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<title>高木らいら</title>
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<description>夢と希望がつまった言葉をつづれるようになりたい３０代女子の雑記。</description>
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<title>You don't know.</title>
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<![CDATA[ You　don't know<br><br>「ねぇ、あれを見てよ。あの魂、こっちでは、あんなに輝いていたのに、あっちの世界ではずたぼろだ。どうして、救ってやろう。」<br>厚みのある雲の上から下界をのぞいた、翼のある赤ん坊の姿をした金髪の巻き毛のほうがつぶやいた。<br><br>「いや、僕達は、何も手出しすらできないよ。」<br>そう相槌をうった赤ん坊もおなじように翼があった。黒い巻き毛をふうっとふきちらした赤ん坊の眼は、蒼かった。<br><br>「あーあ、どうして、あんなことになっちゃうんだろう。死んでしまえば、肉体などなくなって、心しかなくなるというのに。」<br>金髪の赤ん坊は、蒼眼の天使、ハッグに真向い、しゃがみこんだ。<br><br>ハッグは言う。<br>「ルチア、そう嘆くなよ。」<br>「肉体が朽ちることくらい、生きていれば分かるはずなのに、な。なくなるものを何故、追うのかな。心はなくならないのに。」<br>「それは、ばかだからだろ。神様からあんなに教え込まれえて、下界に転生したってのにさ、そんなことも忘れてしまうんだから。」<br><br>ハッグは大きくため息をついた。<br>「それは、ライラ姉さんが呪いをかけたからだ。あのひとは、いつもそうして何もかも忘れさせてしまう呪いをかける。」<br>「ライラ姉さんが、呪いをかけなかったら、もっとよくなったとでも？」<br>ハッグはいらいらしながら、問い詰めた。蒼眼の天使は、ライラが好きだった。<br><br>「ライラ姉さんが悪いとでも？ひとに忘却の呪いをかけるのは、ライラ姉さんの仕事だ。こっちの世界のことを忘れずにあっちの世界に行くことができた時代を、お前は忘れたのか？大天使たちが、その智慧を使い果たしたときのことを！あっちの世界を想うままに生きたあの時代を忘れたのかよ！」<br><br><br>ルチアは知っていた。あの時代に転生したライラの姉妹が、堕天使たちにそそのかされ、心にかげりをつくったことを。それに嘆き、自らの記憶すらも封じ、ひとの転生にまつわる忘却の世界システムと成り果てたことを。そして、あの美しきライラと、もう、言葉を交わせないことに、深く傷を負っていた。また、ひとを憎んでいた。身をのりだしてハッグを責めた。ルチアの眼には涙が潤っていた。<br>「ごめん、ライラ姉さんのせいじゃないよ。わかってるよ。だけど、僕の兄弟も、ほら<br>あそこにいるんだ。」<br><br>ハッグが指差したその先には、ひとりの男性がいた。ファッショナブルに仕立て上げられたスーツに身をまとい、運転手が待つ、黒塗りの車に乗り込んだ。<br>「ああ、政治家だっけ。」<br>「そうだよ。本当は、国を正しく導くはずだった。だけど、自分が導くんじゃなくて、周りに導かれちゃって、あのざまさ。迎合することで身を立てる、大ばか者さ。」<br>ハッグの眼にも涙が溢れていた。ルチアも、涙をおさえることができない。<br><br>どうして、ライラ姉さんを失うことになったんだろう。<br>どうして、ひとは忘れてしまうんだろう。<br><br>「これこれ、そこのふたり、おかげであの場所だけ、豪雨になってしまったではないか。」<br>白衣に身をまとった、灰色がかった青緑の眼の、茶色の髪をたらした男が近づいてきた。麻のサンダルをはき、穏やかな顔をして、ふたりに笑いかけた。<br>「キリスト様…ごめんなさい。」<br>素直にハッグは謝ったが、ルチアのほうはまだ、涙を貯めている。<br>「よくお聞き。この世界とあの世界は何が違う？」<br>「この世界でも違いはあるけれど、絶対的にあるのは、ときが流れていないこと。」<br>ルチアはまだ自分の感情を制御できずに、かわりにハッグが答えた。<br><br>「正解だ、ハッグ。では、ときが経てば、なにがゆらぐ？」<br>「肉体だろ」<br>うっとおしそうに、ルチアは言葉を吐き捨てた。<br>「それもそうだ、ルチア。だけど、肉体だけじゃないんだ。肉体が朽ち果てるとき、何がゆらぐんだね？大事なひとが死に、大事なひとと別れ、大事なものが成しえないことがわかったとき、お前達のように、ひとは、何がゆらぐんだね？」<br>「…こころ？」<br>ハッグが上目遣いで、とまどいながら、キリストに答えた。<br><br>「そうだよ。彼らは、心を揺らがせてしまう。今の君達のように。今は、君達はそこにいて、あるままに心を想わせることができる。だけど、ひとは、与えられた環境の中での出来事に、心を揺らがせたままなのだよ。偽りの世界を本当だと想いこみ、そして、心揺らぐ。それは、今、君達が涙を貯めたのと同じように。」<br><br>「だからって、間違ったことをしてはいけない！」<br>ルチアは、怒った。涙はもう、頬を伝っている。男は、ルチアの頬に手をおき、涙をやさしくぬぐった。そして、額にキスをした。<br>「そうだね、だけど、彼らは、そうまでに、本当はひとを愛しているんだ。あきらめきれないその想いを手離すことができずに、枕を涙で濡らし、愛をこらえているうちに、酒や異性に溺れていく。世界やひとを変えることはできないからね。自分を変えることはできても、ひとを変えることはできないと、わかっているからこそ、だ。」<br><br>ああ、と小さくうめいて、ハッグが顔をふせた。<br>ルチアはつぶやく。<br>「ぼくはわからないよ。」<br>ルチアの眼はまっすぐに、男をとらえている。<br>「どうして、だれか、を限定して、愛するの？愛ってそういうものじゃない。」<br>にっこりと笑ったその顔は、ルチアが可愛くてたまらないと伝えている。<br>「そうだね、だけど、ひとは、誰かを愛しすぎ、朽ち果てたとき、そうなってしまうんだよ。…きっと、絶望するのだろう。」<br>まっすぐにルチアを捕らえたその眼は、笑ってはいなかった。穏やかな所作に包まれるだけ、その眼は厳しかった。<br>「絶望し、希望を捨てる。それは、神を失うことと同義だ。」<br>また、ルチアが泣き出した。<br><br><br><br>「だからね、君達はそうして責めてはいけないよ。君達もまた、愛深きゆえに、失ってしまったものへの哀しみにとらわれることがあるだろう。また、さみしさもあるだろう。だからこそ、今ふたりが手をとりあっているように、愛したものへの想いとともに、手をとりあって、あるのだよ。愛を嘆くのではなく、愛を語るのだよ。」
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<link>https://ameblo.jp/laylafontaine/entry-11968620442.html</link>
<pubDate>Wed, 24 Dec 2014 22:41:26 +0900</pubDate>
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<title>エゴ</title>
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<![CDATA[ エゴ<br><br><br>じりじりとした焦燥感が、香織を襲ってくる。LINEの返信もない。忙しい彼は、仕事の合間に携帯を触ることができないだろうからと、昨晩から、彼のアパートに行くということを伝えてあった。香織の身体を暖める車のエンジン音が近所迷惑にならないことを<br>、心の隅で願った。<br><br>「信じるってなんだろう…」<br><br>香織の胸に、そんなことがよぎる。彼の言葉がそのとおりであると認めることが信じることなのか、私を愛してくれてることに嘘偽りがないと確信していることが信じることなのか、彼女を混乱させた。<br><br>---いつも、スケジュールが合わないからさ、今日は、私があなたにすべて合わせるよ。---<br><br>---あなたの用事を優先させて、その合間でいいから、きちんと時間を過ごしたいのよ。---<br><br>---会いにいけなくてごめん。スケジュールをきちんと合わせることを求めてごめん。---<br><br>返信はなく、既読のマークだけが彼の答えだった。<br><br><br><br>看護士学校を卒業したばかりの彼女は、仕事を覚えるのに必死だった。すこしばかり年上の、先輩社会人の彼は、そうした彼女の忙しさや精神的切迫感を理解してくれる、穏やかでやさしい人だった。彼女が現場で失敗した日など、その仕事を覚えようと勉強をするために、彼の話を聞かずにLINEを返さない日もあった。周囲にえげつない言葉をかけられたその日は、電話にでるまでえんえんとコールし、眠たいはずの彼をしばりつけ、えんえんとしゃべった。彼女が仕事の軌道にのるまで、１年を要した。<br><br>　それでも、月に何回かは彼と会い、時間を過ごした。日常を聞けば、「うまくいってるよ。」「まぁまぁだね。」と言い、詳しくは聞かされなかった。香織のほうも、それまでの自分のありさまを反省し、愚痴などもらさないと、同じように伝えた。互いにあったのは結果報告だけだった。「仕事、終わった。」「練習がんばってた。」<br><br><br><br>　ショッピングをしても、香織のほうが年収があったため、ねだることもはばかられた。<br>「私、もうすぐ誕生日だわ。」<br>「あぁ、何が欲しい？」<br>ベランダに出て、夜空の美しい星が、ふたりで見た星空を思い出させる。晃の田舎は、もっときれいなんだって言ってたっけ。<br>「…何もいらない」<br>電話の向こうで、晃が言葉につまるのを感じる。だけど、私は、晃との時間が欲しい。永遠に続く何もない二人だけの世界。仕事さえなければ、生活するということがなければ、ずっとふたりでいることもできたはず。<br>「そういえば、淳子がね、結婚したのよ。」<br><br><br><br>---あと、一時間でそっちにつくからね---<br><br><br><br>　ふたりの住まいは、車で１時間半ほどかかる場所にあった。学生の頃は、学生寮だったけれど、晃の住まいと近かったため、週末は会うことはできた。実習中はとんでもない日々だったけれど。<br>「ねぇ、ずっと一緒にいてくれる？」<br>「いいよ」<br>くったくのない微笑みで返してくれた。<br><br><br>---何が買っていこうか？---<br><br><br>「金さえあれば…」<br>そんなことを晃がもらしたことを、香織はずっと覚えていた。金さえあれば、私と結婚したいという意思だと香織はそう、思っていた。だけど、冷静に考えてみるとそんなこともないということがわかってくる。彼は母子家庭で、香織には想像がつかない多くの問題があった。幼い弟をこっちに呼び寄せたい、とそんなことをもらした。驚いた香織は、小学生の子を日中、どうやって預かるの？と、目をまるくして聞いた。彼の実家のことはよくわからない。だけど、小学生の子を、私とも会う時間さえままならない彼に、どうやって世話をするのか、分からなかった。気持ちだけが伝わる。どうにかよくしてやりたい。どうにか、辛い環境から辛いことをとりはらってやりたい。<br>「だけどね、それはその子の人生だから、それに慣れたり、受け入れながら生きていくしかないのよ。あなたは責任とれるの？」<br><br><br>---まだ、仕事終わらないの？---<br><br><br>だんだんと、どうやって時間を一緒に過ごしていいのか分からなくなって、食事をすれば、機嫌だけが悪くなった。どうやって微笑めばいいのか、分からなくなってきた。どうやって、この大きな不安と、大きな焦りと、孤独と哀しみと付き合っていけばいいのか、わからなくなった。仕事をしている間は忘れることができた。だけど、ひとり、部屋に帰ってきたそのとき、暗闇の中にはいると、晃のかおりが消えていくその部屋に、いたたまれなくなってきたのだ。<br><br><br>---ねぇ、どうして電話にでないの？---<br><br><br>「かおりのことは忘れないよ」<br>「…ねぇ、どうして、そんなこと言うの？」<br>私だって、忘れないわ。だけど、どうして、そんなふうに、忘れるとか、言うの？忘れてしまうような未来が前提なの？私と一緒にいてくれるって言ったのに、どうして？溢れる想いをひたかくしにして、晃の頬をはたいた。<br><br><br>晃の返信はまだ、ない。<br><br><br>女の人の愛してると、男の人の愛してるは違うって雑誌に書いてあった。女の人は愛を与えるためにセックスをするけれど、男の人はセックスするために愛を与えるって。なんで、結婚しないの？っておじさんに聞いたら、おじさんはこう答えた。<br><br>「結婚と恋愛は違う。恋愛して結婚しても、いつか、その恋は終わりを告げる。結婚したら、恋ができなくなる。僕はいつでも、誰かに恋をしていたい。」<br>「でも、失恋したらつらいでしょう？結婚しない恋愛だなんて、よくわからないよ。」<br>「だから、僕はたくさんの恋人がいるんだよ。みんな、それぞれで、可愛い。謎めいていて美しい。謎があるうちは付き合ってる。なくなってしまえば、そのひとの魅力がなくなってしまうから、いつかは果てるけどね。」<br>「そんなのドラマの使い捨てじゃない。永遠じゃないわ。」<br>「香織は、まだ、こどもだね。ドラマがあるから生きていけるんだよ。」<br><br><br><br>　韓国ドラマにはまっている母を彷彿とさせた。韓国ドラマを見ると、確かに荒い感情の起伏が激しく、それでいて、思いもよらない出来事が起こる。思いもよらない出来事が増えると日常の荒々しい自分の感情がどこかにいってしまう。<br>「ねぇ、晃があまりかまってくれないの。どうしてかしら？」<br>看護士仲間の幸枝が言う。<br>「女がいるね。あの人、そういう人でしょう？」<br>香織は絶句した。確かにそういう人だったかもしれない。だけど、彼はそうした浅い付き合いの女性のことを私に話してくれていた。だから、私だけが特別だと思ってた。だから、私に都合の悪いこともすべて、あけすけのない話をしてくれていたのだと思っていた。忙しい私をかばうように、そうして空いた時間の隙間を埋めてくれる彼女達をありがたいとさえ思っていた。彼は彼女達に恋心を抱いていたわけじゃない。時間の隙間を埋めてくれるから。<br>頭を抱えながら、香織は言った。<br>「…どうして、それを言ってくれなかったのかなって。それなら、そうだと、伝えてくれればいいのに。そしたら、私だって、こんなふうに想いを…」<br>呆れたように幸枝は言う。<br>「そんなにひとは親切じゃないよ。親切じゃないでしょ？かおり…。」<br>確かにそうだ。だけど、私は、彼が親切じゃないなんて想いもよらなかった。仕事の愚痴や自分の気持ちを、すべて包み隠さずぶつけてきた。そうすることが、彼への誠意だと思っていた。私の心をすべてひけらかすことが…。<br>「あなた、暇なのよ。趣味でも持てばいいのよ。」<br><br><br><br>彼の仕事仲間の女友達、もしかしたらセフレかもしれないし、彼女かもしれない。香織が彼女たちに嫉妬したことがないとは言えなかった。むしろ、その嫉妬を心に抱え、どうしようもないことだと言い聞かせた。ただ、セックスの後、漠然とした不安と一緒にいたいことを伝えては、泣き喚く香織を、大きな胸でしっかりと、いつも晃は抱きかかえてくれた。赤ちゃんをあやすように、背中をポンポンとやさしく叩いた。<br><br>「もっと、笑ってればよかった。」<br>「もっと、やさしくすればよかった。」<br>「もっと、大事にすればよかった。」<br><br>車のエンジンがぶおんとひとふき、大きな音を立てた。涙でぐしょぐしょになった香織が、車のウィンドウから見えたその姿は、晃だった。ウィンドウをさげた。<br>「なにしてんの？」<br>くったくのない、不機嫌な顔をした晃がのぞく。<br>「なに、泣いてんの？」<br>それだけでもう、限界だった。愛しさ、哀しみ、孤独、嬉しさと不信とがいりじまって、涙をこらえることができなかった。晃の顔を見ればいいのに、そこに晃がいることに大きな安堵がおそって、暖かく、そして、哀しかった。<br>「お前、何してんだよ…。」<br>「何、泣いてんだよ。」<br><br><br><br>…晃、私のこと愛してる？<br>そう胸によぎって、言えずにひときわ大きく泣き出した。私の「愛してる」は、彼の「愛してる」とは違う。どこかそこか、違う。どれが大きな愛が分からないけれど、大事なことは、互いに求め合うものがおなじかどうかだから、愛してるって言葉を使ってはいけない。私は晃と一緒にいたい。心に描くものを同じとし、夜空を見て、心を通じ合わせていたい。何かの目標を一緒にしなくてもいい。ただ、そうして、いまを味わい、ときをともにしたい。<br>「お前、暇なんだな。」<br><br>晃はそうつぶやいて、笑った。<br>
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<pubDate>Tue, 23 Dec 2014 14:22:37 +0900</pubDate>
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<title>タイムラグ</title>
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<![CDATA[ タイムラグ<br><br><br>「私が、間違っていたわ。ずっと、忘れようとしたけれど、できなかった。」<br><br><br>大声で叫ぶ雪菜の頬には、涙が伝っていた。月だけが煌々と輝く空は、澄み切った蒼で、星はひとつも輝いてはいなかった。月灯りだけが、雪菜の頬をなで、向かい風が、黒い木々をざわめつかせた。<br><br><br>「忘れようとしたために、いろんなことをしてみた。貴方の知っているとおり。貴方を傷つけもした。だけど、何も変わらなかった。」<br><br>そう叫ぶ雪菜の顔は、月灯りをまっすぐ見定めた。雪菜の言葉は、月灯りと同じ高さまで届く。<br><br>「もう、過ぎたことだよ。」<br>人ではないものが、低いうなり声で応える。雪菜の顔をまっすぐにとらえて、にらみつけるその目は、黄金色をしていた。猫目のようなとがった黒目が、黄金の玉に傷をつけている。太いその体躯は黄色がかった深い緑であり、月灯りはその背を照らすばかりで、腹や顔をうつすことはできない。だが、その声や姿は、竜の形をしていることは、その陰でわかる。<br><br>「お前は、俺に何が言いたいのだ。」<br><br>風にざわめく木々の音がわずらわしいのか、首をもたげ、身体をくゆらす。とぐろをまく竜の姿はおぞましく、尾でさえ、雪菜には届かないだろう太さがあった。<br><br>「わたしは、、、わたしは怜といたいのよ。」<br>「それはお前がこばんだことだろう。」<br>「私は怖かったのよ。自分に起きることが。また、怜といることで、何かおかしなことが起きるんじゃないかって。だけど、もういいの。私は、どうあるべきかなんて、もう、どうでもいいの。」<br><br><br>怜と呼ばれた竜は、鼻をならした。<br>「お前は、至極自分勝手な女だ。お前が去った後、お前が何をしていたか、俺は知っている。お前が何を思っていたか、もだ。お前は、俺を愛したんじゃない。」<br><br><br>「私も知ってるわ。怜が私に幻滅していったことも。」<br>雪菜は、少女ではなかった。子どもを産んでもおかしくない年齢だった。現実離れした竜に、恋心を伝えるような分別のない女性には見えなかった。仕事もしているだろう、結婚の話もあっただろう、女性の雰囲気があった。<br><br>「怜は、私を愛だと言った。だけど、私があなたを想いながら混乱し、愛ではなく、欲望や駆け引きをしていたのよ。それを知りながら、私をまるごと見ていたことも、知ってるわ！」<br><br>ふぅっとため息をついた竜は、一度しっかりと目を閉じ、そして、また目を見開いたが、さきほどよりも、ほんの少し小さくなった。風も穏やかになり、木々の音も聞えなくなった。<br><br><br>「そうだ。お前は愛ではなくなった。だから、愛などないし、いつか終わるものだ。意味のない感傷ばかりが残るものを追うことほど、無駄なことはない。愛はどこにもなく、あるものは、過去の自分が昂ぶった想いや愛したいという衝動だけだ。それならば、いっそ、今のお前などいなくなればいい。過去の俺が夢見た愛だけがあれば、それでいいのだよ。それでじゅうぶんだ。」<br><br>「うるさい！」<br>怜の言葉を聞きながら青ざめた顔を左右に振り、ひときわ大きく叫んだ。<br><br>「仕方のないことばかりじゃない！いろんなこと考えるわよ！ずっと、私はあなたを手放さなければならないと想ってた。ずっと、想ってたのよ！最初から。だって、そうでしょう？貴方と私はこんなにも違う！だけど、私も大人になった。けど、たぶん、フツウじゃないわ。私は、全部分かっていて、全部抱えて生きていくって言ってんのよ！！」<br><br>竜の前にいるだろう小さな女性が、黄金色した竜をぐっとにらめつける。竜のほうは、こともなげに、あくびをし、とぐろにその頭を垂らした。<br><br>「で、お前はどうしたいんだ。」<br>「どうしたいか、なんて、ないわよ！」<br><br>くくっと喉を鳴らした竜の姿がぼやけていく。少しずつ、身体が渦を巻いた風に掻き消えていく。<br><br>「わたしは、ただ、怜と心をわかちあいたい。」<br>雪菜は手のひらで顔を覆い、しくしくと泣き始めた。感情が全身にゆきわたった。<br><br><br>「そのようなことはできないんだよ。そして、してはいけない」<br>泣いている雪菜をそっと抱いた、さきほどまでの竜は、金色の目をした黒い短髪の男に成り代わっていた。<br><br><br>「一緒に生きるということは、何かを形にして、その想いを表現して生きていくことだ。俺達には、それができなかった。あったのは、心だけだった。だから、お前と俺のようなものが異種のものが、愛し合うことができた。だが、異種だからこそ、形にして想いを相手に伝えることは、到底できない。だから、一緒にいることはできない。また、心通じあわせたとしても、それには限界があるだろう。同じことの繰り返しじゃないか。」<br><br>「うるさい。」<br>涙をぬぐい鼻水をすすり、怜の腰に手をまわした。怜の柔らかなニットに顔をうずめ、ささやくようにつぶやく。<br><br>「もう、あきらめることをあきらめたんだ。どうせ、現実が今すぐどうにかなるわけじゃないし、私はもう自分に嘘をつきたくない。本や雑誌をたくさん読んだけど、私はよくわかんなかった。だから、結局お手本なんてないし、誰がどう言おうと、これが私だから仕方ない。全部わかっていて、いや、身にしみてわかるわけじゃないだろうけど、それでも、頭では全部想像がついてる。けど、もういいんだよ。ふつうじゃないんだ。これは。」<br><br>「だけど、俺はいやだね。竜とは、ひとを喰うものだ。」<br><br>「私はここまで来るのに時間と何かの経験が必要だった。これもだめで、あれもだめで、って言う自分の気持ちを確かめることばかりだった。自分ばかりだった。それに貴方が、拒否することは自由だ。だけど、私がそう想うのも自由だ。」<br><br>「ばかだな、君は。」<br><br>「なかなか難しかった。覚悟を決めるのは。逃げたかった。貴方がどうなるか分からなかったから。」<br><br><br><br>「だけど、もう、俺は大丈夫なんだよ。愛を拒むことが、お前への愛だと決めて。」<br><br>雪菜がはっと顔をあげて怜を見ると、穏やかに微笑んでいたその眼は、雪菜の心をとらえてはいなかった。<br>
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<pubDate>Mon, 22 Dec 2014 14:17:59 +0900</pubDate>
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<title>自己紹介的なアレ</title>
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<![CDATA[ 小学生のときの夢は、小説家だった。<br><br>すこし、年をとると、どんな仕事でもいいから、バリバリとこなすキャリアウーマンがいい、とか言っていたりした。経営がしたいとも言ったし、臨床心理士などとも言った事がある。ボイストレーニングにも通ったこともある。<br>ものかき。高校生になると、自分の思ったことを文字にしたりしたけれど、「何かの模倣」でしかなかった。高校生のときに読んでいたのは、山田詠美や村上龍だったりしたので、そのままの刺激を受けた、ちょっと恥ずかしい子でもあった。そんな高校生の私が、創作をやろうとすると、どうしてもどうしても、なんとなく、くらーく、くらーくなってしまったりした。そう、私は、どっちかというと、本が大好きなだけあって、ネクラな文章になってしまうのだ。何度、書こうとしては、まだ違う、まだ早いと書きかけの文章をほうりなげた。<br><br>まるで、演歌と同じである。この歌は、私にはまだ早いわ、とか何とかとおなじなわけ。<br><br>「今の私ではかけない」などと、断じるわけだが、かといって、私が「書きたいもの」がなんなのかもわからなかった。２０代、短編をいくつか書いては、ブログに載せたりした。評価されたくなくて、要は、「怖くて」、どこかに応募したことはない。漠然と「いつか文章を書く」と頭に残しながら、フリーターをしたり、大学に入ったり、就職したり、結婚したり、出産したりした。<br><br>そんなうち、いろんなことがありまして、とある道に入る。その道の「先生」に、「あなたはお話を書きなさい」と言われ（本当は言われてはいない、呪われたに近い）、今使っているウルトラモバイルPCなるものを買った。非常に使い勝手がよい。<br><br>そんなうち、ダラっとその道のことを、モバゲで書いてみたら、わりとたくさん読者さんがついた。今でも、その読者さんのうちの何人かとは、交流があるし、かけがえのない友人となった。<br><br>あのとき、ダラと書いたそのお話の目的は、はっきりしていた。<br><br><br><br>「ひとを癒すこと」<br>「本当のことを話すこと」<br>「ひとにほんのかけらでも愛を思い起こさせること」<br><br><br><br>モバゲで文章を書こうとしたのは、理由がちゃんとあったんだよ。最後のほうは忘れてしまっていたかもしれない。モバゲ執筆２９歳だったと思う。<br><br><br>そうこうするうちに、文章が書けなくなってきた。そうこうするうちに、実生活が大変になってきた。友達の就職活動に付き合って、「二児の子持ち３０歳でパチのワゴンレディ採用される。」という奇跡が起きたあたりかもしれない、モバゲで書くのをやめたのは。<br><br><br>パチのお客さんが「君、どこかで見たことあるんだよね」とか言うものだから、「私１０年前もワゴンレディやってたことあるから、そのときじゃあないかな」って、笑っていったら、お客さんがものすごい目をまんまるにしていた。そりゃ、年齢をカミングアウトしたようなものだからね、あのときは、お客さんと素で、かしこまって互いにお辞儀をしたものだった。馴れ合いの、ではなく、社会人としての敬礼みたいな。<br><br>そりゃ、２０代前後のお姉ちゃんと３０前後のお姉ちゃんは、たぶん、生き物の種別から違うからだろう。<br><br><br>モバゲの読者さんから心友（笑）になったＭちゃんと、ジャズバーに行ったとき、どこかの社長さんにひっかけられて、オカマバーに４人で出かけたんだ。そのオカマバーから帰宅するとき、タクシーにのって帰るとき、社長さんともうひとり、見送りに来てくれてね、しっかりと頭をさげられました。パチ屋で交わされたお客さんとの敬礼は、この空気に近かった。大きな会社の社長さんだったからなのか分からないけれど、敬礼に、年季がこもっていて、もう、なんていうか、これが「責任の極地」だと思ったのも付け加えておこう。<br><br>で、すぐにパチ屋をやめて、家庭教師などのアルバイトを経てですね、ジャズバーでＭちゃんと夜遊びおさめをして、なぜか、学校の常勤講師などをやってみた。忙しいのも分かっていたし、子育てと両立できるのかも分からないほどだとは思っていた。非常勤をお願いしにいったら、その場ですぐに常勤の誘いがあったので、二つ返事でおｋしてしまった。できるかどうかわからないけれど、チャレンジしたいというのが本音だった。体力的に死亡状態の時期が続いたが、やってみたかったことができたことが嬉しかった。実は、「教員」」は、数年前から頭にひっかかっていて、ひとにも伝えていた。実はちょこっと勉強もしていた。ワゴンレディになる前からである。<br><br>そんなこんなで、漠然としていた夢が、突如、常勤講師として夢が果たせたのである。だが、しかし、これで人生を遂げたいとは思っていないわけだ。不誠実かもしれないが、人生を賭しての仕事だとは思わなかった。いや、人生を賭するだけのやりがいや生きがいを見出すことはできるし、正直なところ、「はまりそう」にもなっていた。実際、退職（契約満了）時、家庭の様子を見て、もう一度やろうと思っていた。が、しかし、家庭の様子を見ていると、復職は難しい。<br><br>たとえ、給与がよいやろうとか、常勤講師だから大変じゃないヤンとか、そういう意見もあるかもしれないが、まずもって、私の家庭が、私の復職を希望していない。そして、また、常勤講師、でも、死ぬよ。独身しかできんやろ、あの仕事。実際、教員という仕事は、特殊だと思う。いろんな意味で、脳みそが開発される。ひとつの空間で同時多発的に、矛盾をもする多角的職能を求められることが、私にはカオスだったよ。なんていうか、千手観音みたいなかんじね。すごくすごく、エキサイティングな仕事。たぶん、私は、すごくイキイキしていたと思う。<br><br>だから、仕事を辞めてから、中途半端な離職期間を有意義な時間となるように、やらなければならないことを、ばったばったとおさめていた。家庭のソレは、ずっと置き去りにしていたため、大変な労力、精神力を使った。まずは、息子の生活習慣の見直しだとか、育児にかかわることがメインとし、家の掃除から、家族成員の全員の精神的な支えになった。要は、私を軸にして、この家は、繋がっているのである。だから、私がいないときは、この家は崩壊していたのと同じであった。だから、私は、どの家族成員にとっても、「家にいなければならない」存在になっていた。つまり、グループのストレス対処機能が著しく低能である、とも言える。つまり、私は、この家の精神的支柱、だとも言える。<br><br><br>誰が、この家を護るんだろうと思ったら、私しかいなかった。二世帯なのにね。<br>母すらも、私が働くことを望んでいない。<br>私の人生を賭する仕事ではない、と思う。<br><br><br>むしろ、私は人生を賭するならば、、、これもゾクゾクする話だ。<br><br><br>ハウルの動く城をバックミュージックにしながら、言葉を綴る。<br>「ソフィがいるから行けたんだ」<br>「だって、私、あなたを愛してるの」<br>ハウルの動く城、のような恋をしたことがある。きっと、誰でも。<br><br><br>私、小学生の頃、自分は、小説家になるんだと思っていたんだ。
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<pubDate>Tue, 09 Dec 2014 00:25:36 +0900</pubDate>
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<title>それでも僕は夢を見る</title>
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<![CDATA[ <a href="http://click.affiliate.ameba.jp/affiliate.do?affiliateId=28709392" alt0="BlogAffiliate" target="_blank" rel="nofollow">それでも僕は夢を見る/水野 敬也<br><img src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F41J%252Bt-Ib9wL._SL160_.jpg" border="0"></a><br>￥1,065<br>Amazon.co.jp<br><br><br>「夢をかなえるゾウ」を書いた水野さんの本<br><br>絵本形式になっている。煩瑣な言葉でつづる何かよりも、みじかい言葉ひとつひとつが、こころに訴えかけてきて、しみわたる。<br><br>何が美しいのか、何が輝くのか、どうしてその結論になったのか、一発でわかる本。<br><br><br>---------------------------------------------------------------------------<br><br><br>　文章を書きたい、と再スタートしたときに、私はまた、迷子になってしまった。<br>　目標を探して、光明思想、つまり、ひとが読んで心がふっとゆるまるようなもの、真実を描いた本を、ブックオフで探していた。本屋にはいったとき、どの本にひかれるか、じっとしていたけれど、どれもこれも、目につくタイトルは偽モノのような気がした。<br>　<br>ホッピングダンスをしている文字、じっと水底に漂っている文字、月明かりに照らされた文字、ひとつふとつの言葉が、その本の中にあるものをさらす。時代モノは、シルバー色をしていたり、ファンタジーモノは紫と緑のマーブル色だったりした。なんだか広がっているかんじがするほうに足をすすませると、漫画のコーナーだった。ここのところ、漫画でひどい目にあったので、漫画を手に取ることはできなかった。<br><br>　どれをとっても、今の自分には、必要な本をひきあてられない気がしてきた。<br><br>　そうするうち、書店の中をぐるぐるとひたすら周回している、中年の男性が目に付いた。周回することのためにブックオフに来たんだろう。そういうひとだった。目が、こわかった。今の自分がなにかを思えば、それに作用して、物事が起きるような気がした。だから、そのひとのことを過剰に何かを思えば、ふっと、周回するふりをして殴られるような気がした。だから、何も思わないように努めた。<br><br>　自分のもっている本で、言葉が光って感じられる本が１００円の棚で売られている。その本が大好きでもっているのにかかわらず、そっと、この中古の本屋で開けたとき、中から、小さな紙がでてきた。<br><br>「○○さん<br>　先日は～～で、大変素晴らしかったです。～～でありがとうございました。そのちいさなお礼に、この本を贈ります。～～さんがさらに輝きますように。　　○○」<br><br>　その書面を見て、私はとても悲しくなった。本当を言うと、あまりにも悲しくて、心が悲しくないふりをしはじめた。この本を贈ったひとの想いと、この本を売ったひとの心とをつなぐものが、そんなに希薄だったことを想った。本を贈ったひとのじっとした感謝の想いが、その文字面から、ふわりふわりと、はなひらのように、あふれ出るのを見た。もし、そのことを書店で私が想っていたら、もしかしたら、ひとつぶほど、涙がでたかもしれなかった。<br>　だから、小さな紙をどうしていいか、わからないでいて、そのまま、本にはさみこみ、もとの位置に、何もなかったかのようにしまった。<br><br>　周回するひとが、もし、この本を手にとってくれたなら、、、<br>　本を売った人がこの本を少しでも開いていてくれたなら、、、<br>　<br>きっと、なにかがふっと舞い降りて、心を包んでくれるかもしれない。<br>きっと、ふっと立ち止まって、誰かに微笑みをかけるかもしれない。<br><br><br>　そんなことを想って、私の小ささを想った。本を贈ったひとのことも知らなければ、店舗スタッフが警戒する周回オジサンも、私は知らない。周回オジサンは、たぶん、本当に、どこかの病院に通院しているだろう。知らない誰かが、つまり、私が、あなた、こうでしょう、こうこうこうでしょう、と、暖かいことばをかけることも、常識的に変だ。とどのつまり、かかわりあい、になることが、変だと思う私は、所詮、そんなもんだっていうことだ。<br><br>だけど、想うことは自由だ。<br><br>　だから、周回オジサンが私の背をさっと吹き抜けていったとき、「あなたに誰かの愛がとどきますように。」と祈った。周回オジサンだって、周回オジサンを生かしめている誰かがいるはずだ。ここのところ、ひきこもりみたいに、本ばかり読んでは、自分にふたをしている私に、家族は優しい。そういうことだ。誰かに愛されていないひとはいない。誰かに与えられていない人はいない。<br><br>周回オジサンが次も周回してきたら、また、想おうと思ったけれど、周回してこなかった。だから、背面の書棚をじっとみていたら、「夢を叶えるゾウ」があったのを見つけた。そして、その隣にあったのがこの「それでも僕は夢を見る」<br><br>パラパラとめくり、何が書いてあるかを読んだら、ものの数秒でおちた。涙がこみあげてきた。<br><br><br><br>つまり、そういう、本。<br><br>バッチリ、オススメ。息子や夫にも読ませたい。
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<pubDate>Fri, 05 Dec 2014 15:08:54 +0900</pubDate>
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