<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<rss version="2.0" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom">
<channel>
<title>短編小説集</title>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/</link>
<atom:link href="https://rssblog.ameba.jp/lepetitmort/rss20.xml" rel="self" type="application/rss+xml" />
<atom:link rel="hub" href="http://pubsubhubbub.appspot.com" />
<description>やってみなきゃ解らないと思って、こちらで小説を書いていきます。 ※全てフクションです。 ※この小説に出てくる登場人物、団体等は架空の存在です。仮に実際に存在していた場合、一切関係有りません。 ※こちらの文章などの無断転用、無断転載はやめて下さい。</description>
<language>ja</language>
<item>
<title>寅吉。11</title>
<description>
<![CDATA[ 「どうして、田上さんが超能力者の取材なんてしたんすか？」<br>「昔、ここじゃない違う部署に居たんだよ。それでね」<br>「へぇ～。そうなんすか」<br>　田上氏は、新卒で鳴り物入りで報道部に入社したと噂では聞いていたのだが、何故かこの地域の小さな話題のみのこの部署に居るのだ。田上氏も自らの過去を話そうとしない為、誰もその理由を知らない。<br>「この写真は、僕にとっては、あの人の形見みたいなもんなんだよ。報道の世界に身を置く人間にとっては、戒めのようなもんだな」<br>　そう言った後の田上氏は、何とも言えぬ寂しそうな悲しそうな表情をしているように私には見えた。<br><br><br><br><br><br><br>　その晩の事だった。家でいつものように、寅吉を相手に晩酌をしていると、来客を告げるチャイムが鳴った。何気なく玄関のドアを開けるとそこには、先日取材した伊集院家のご令嬢の伊集院まどかが居た。<br>「こんばんは」<br>「こん、ばんは…」<br>「突然、夜分遅くに失礼します。お電話の一つでも差し上げるべきだったんですが、会社にお電話したんですが、もういらっしゃらなかったようでしたので…」<br>「はぁ…」<br>　まどかの手には、大きなバスケットのような、籐籠のキャリーケースがあった。<br>「あっ。良かったら上がりますか？」<br>「えっ？」<br>「あっ、いやっ。こんな玄関先じゃアレかと、寒いだろうし…」<br>「えっ…」<br>「あっ、いや別に変な意味じゃなくて…」<br>　こんな時間に、女子大生がこんな独身中年男の家に来たのだ、それは、身構えるだろう。<br>「それでは、お言葉に甘えてお邪魔させて頂きます」<br>　まどかさんはそう言うと、私の部屋へと上がった。<br>「いきなり不躾で申し訳ないのですが、先日の取材の事なのですが」<br><br><br><br><br><br><br>つづく<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/entry-10427231340.html</link>
<pubDate>Tue, 05 Jan 2010 13:09:30 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>寅吉。10</title>
<description>
<![CDATA[ 　私が、加納の目の前に差し出した写真は、先程まで見ていた写真とは、まるで雰囲気が違っていた。先程まで見ていた写真は、ピントが合っているのは勿論の事だったが、この写真は、まるでピントが合って居ないのだ。それもぼやけていると言うレベルでは無く、うっすら人影が見える程度なのだ。<br>「そうなんすよねー。これ、最後に撮ったヤツみたいなんすけど。これだけ変なんすよね～。オレこんな写真撮った記憶ないんだけどなぁ…」<br>「どういう事だ？」<br>「暗室で現像したら最後に出て来たんですよね」<br>　加納は、あの日、いまどきめずらしく、フィルムの一眼レフカメラを持って行っていたのだった。<br>「何かでもよーく見ると、どっかの旅館みたいだなぁって思ったんですよね。見えません？」<br>「えっ？」<br>　私は、加納に渡した写真を奪い取るように、加納から受け取りその写真をもう一度、今度は穴が開く程に見た。<br>　確かに、その写真はぼんやりとだが、立派な日本家屋のように見えた。そして、そこに何か大きな蔵のような物も見えるように感じた。<br>「確かに、日本家屋みたいに見えるな」<br>　そう言うと、となりに居た田上部長が私の見ていた写真を覗き込みながらぼそりとこう言った。<br>「念写のようだな…」<br>「念写？」<br>　私と加納が声を揃えて、田上部長の方を見た。<br>「そう、昔、超能力者の取材をした事があってね。その超能力者、インチキだって中傷された方だったんだけど。僕が取材に行った時に、自分はインチキなんてしていないっておっしゃって、その証拠にって言って、僕の持って行った一眼レフをご自分の額の辺りに、こう持って来て…」<br>　田上部長は、一眼レフを持った手を自分の額の前に持って行くジェスチャーをした。<br>「こうしてしばらくすると、フィルムを巻く音がしたんだよ。誰もシャッターを押してないのに。何枚かそんな感じでシャッターが切られてね。そして、その方が今、念写をしたって言うんだよ。早く現像して下さいって言うから、近くの写真屋に言って今すぐ現像してくれって言って現像してもらったら、こんな感じの写真が何枚も出て来たんだけど、カラーフィルムなのにモノクロで一枚だけはっきりと猫が写ってたんだよね」<br>　そう言うと、田上部長は自分のデスクの引き出しから一枚の写真を取って私と加納に見せてくれた。<br>「その方は、中傷が原因で自殺されてしまったんだよね」<br>　その写真には、はっきりと三毛猫とトラ猫の姿が写っていた。<br><br><br><br><br><br><br>つづく<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/entry-10394105159.html</link>
<pubDate>Sun, 22 Nov 2009 13:36:37 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>寅吉。9</title>
<description>
<![CDATA[ 　何だか、夢を見ているような、不思議な感覚のまま私は、風呂に入ったそれから布団に入り眠りに就いた。しかし、数時間もすると無情にも目覚まし時計が起床時刻を声高に叫びだした。冬の朝の寒さは、布団から出る気力を失わせるものだ。私は、枕元の鳴り響く目覚まし時計を止めると、その目覚まし時計を掴み寝ぼけ眼で時刻を確認すると、暫く布団の中でゴロゴロとするのが、この時期の日課のようなものだった。そして、うとうととしてくると決まって、寅吉が私の枕元に来て大きな鳴き声をあげてくるのも、寅吉の日課のようなものだった。この日も例に漏れる事なく寅吉は、私の枕元に来ると大きな鳴き声を上げて私を起こしたのだった。<br>「…はいはい。解ったよ。起きれば良いんだろ。起きれば…」<br>　私は、寅吉にそう言うと、布団から出て暖房の効いていない氷のように冷たい床で、目を覚ますのだった。<br>「寒っ」<br>　冷たい床を歩いて居間に行くと私は、電気ストーブのスイッチを入れた。スイッチの入った電気ストーブは、赤々と温かそうな色に染まり、冷たい部屋を温め始めた。寅吉は、伸びをしながらその電気ストーブの前に来ると、目を細めてその前に座った。私は、そんな寅吉に構う事なく、洗面所で氷水のように冷たい水道水で顔を洗うと、冷蔵庫を開けて、昨日、半分だけ出した寅吉の缶詰と同じく昨日の夕飯の残りを出して、夕飯の残りをレンジに入れた。<br>　私は、ぼんやりと、昨晩の出来事を思い出していた。昨晩、間違いなく寅吉と話しをしたのだ。そして、寅吉は、昨日取材した猫、千代を知っているのだ…。私は、何だか狐につままれたような心持ちだった。<br>　朝飯を食べて、支度を終えた私の後をついて来るように、寅吉は、私の後をついて玄関まで来ると、まるで仕事にでも出掛けるかの如く、私と共に外へ出るのも寅吉の日課のようなものだった。寅吉が、室内と屋外を自由に出入り出来るように、小さな扉を付けたのだが、寅吉は、朝は決まって私と一緒に出掛けるのだった。<br>「お前さんも出勤かい？一体、給料いくら貰ってるんだ？まぁ、いってくるよ。寅吉もいってらっしゃい。気を付けてな」<br>　私がそう言うと、寅吉は私の方を振り振り返り、ニャーと一声鳴いた。<br><br><br><br><br>　路線バスに乗って、約20分くらいで職場に着くのだが、この日は、やたらと道が混んで居たせいか、始業時間の5分前に職場に到着した。<br>「杉原さん、おっそーいっ！！」<br>　私は、職場に着くなりいきなり加納に捕まってしまった。<br>「うるさいっ！今日は、道が混んでたからバスが遅れたんじゃっ！」<br>「とか言って～！ホントは寝坊なんじゃないの～？！」<br>「うるさいなぁー。お前だっていつもは、ギリギリじゃないか。そんな事より、お前、朝からこんな所で何してるんだ？」<br>「あっそうそう！昨日の写真出来たから、見てもらおうと思って」<br>　加納は、そう言うと手に持って居た封筒を私に渡した。<br>「なかなか良く撮れてるでしょ～？！」<br>　私は、封筒から写真を取り出して一枚づつ確認をした。<br>「なかなか良いんじゃないか？」<br>「でしょーっ！オレの腕が良いからなぁー」<br>　そう言いながら、加納は、私の見終わった写真を見ながら、周りに集まった人間に見せていた。<br>「伊集院さんトコの娘さん美人ですねー！」<br>「本当、女優さんみたい！」<br>「おいおい、伊集院さんの娘さんばっか撮ってたんじゃないだろうな？！肝心なのは、千代くんなんだからな！」<br>「そんな事無いっすよー！」<br>「そうかぁ～？じゃあ、この写真は、どう説明してくれるんだ？！」<br>　私は、一枚の不可思議な写真を加納の目の前に差し出した。<br>「えっ？！」<br><br><br><br><br><br><br><br>つづく<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/entry-10373163146.html</link>
<pubDate>Sun, 25 Oct 2009 20:01:30 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>寅吉。8</title>
<description>
<![CDATA[ 　休みでは無いので、急いで風呂の準備をしていると、後ろから以前聞いた事のある声がした。<br>「お前さん、いつもこたつで寝てとるが、ちったぁー学習っちゅうモンをせんのかにゃ？」<br>　私が驚いて振り返ると、そこには、寅吉の姿があった。寅吉は、そんな私に構う事なく続けた。<br>「今日、お前さんが取材に行ったっつう猫の事だぎゃ、あんの千代爺さんホントは、80年も生きとるだに。あん爺さんは、神通力を身につけとる。この辺猫又だけじゃねぇ。この辺の猫にとっちゃあ仏さんみてぇなモンだがね」<br>「80年？！」<br>　きっと夢だ。あぁ、私は、また夢の中で寅吉と話してるんだ。私は、そう思いながら、寅吉の話に耳を傾けた。<br>「あの爺さんを取材するなんて、お前さんも成長したもんだがねぇ」<br>「そりゃどうも」<br>「わしのメシもちったぁー豪勢にしてもらいてぇもんだがや。たまにゃあ、マグロの赤身なんか食いてぇもんだがねぇ」<br>「缶詰じゃ不満ですか？あれだって、お前さんが歳だからと思ってこっちは気使ってるんだけどねぇ」<br>「猫又にゃあ、んなモン関係にゃあだがね！！そんな事よりお前さん、風呂はどーすんだがや」<br>「入りますよ！！」<br>　そう言うと、私は風呂の支度を始めた。寅吉は、私にそう言った後、私の足元を摺り抜けて居間のコタツに向かった。そして、コタツ布団の上で丸くなるとそのまま目を錘むり眠り出したようだった。<br><br><br><br><br>つづく<br><br><br><br>私信：更新に時間がかかってしまってすみません。こんな小説ですが、楽しみにして下さっていらっしゃる方がいらしゃったら嬉しいです。<br>これからは、ちゃんと更新して行く予定です。<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/entry-10362673684.html</link>
<pubDate>Sun, 11 Oct 2009 23:47:02 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>寅吉。7</title>
<description>
<![CDATA[ 「随分、礼儀正しい今時珍しい娘さんだったな」<br>「そうっスね」<br>「最近の若い子なんて、とんでもないのばっかかと思ってたよ」<br>「どう言う意味っすか？！」<br>　そんな会話をしながら、新聞社に帰った。しかし、今時珍しく礼儀正しく清楚と言う言葉が良く似合う少女だったので、私はとても良い気分だった。新聞社に帰ってから取材の片付けを終えて、あの喋る猫の待つ家へと帰った。<br><br><br><br>　あの日以来、寅吉はあまり話さなくなったと言うか、喋らなくなったと言う方が正しいような気もする。しかし、私が寅吉に話し掛ける回数は、以前に比べ格段に増えたと言って良いだろう。一人暮らし故に、良く独り言を言ってしまう。そんな感じで、何かと寅吉に話し掛けてしまうのだが、寅吉はと言うと少し煙たそうな顔をしたり、香箱座りで目を錘っていたりする。私は、そんな寅吉に構う事なく話掛け続けるのだが、やはりこの間の事は夢だったんじゃないかと思わされる。今日もまた、いつものように晩酌をしながらこたつ布団の上で丸くなった寅吉に今日の出来事を話した。<br>「寅吉さん、今日は珍しく取材なんてモンに行ってね。そこん家の猫ってのが珍しい三毛猫のオスで随分な長生きの猫でね」<br>　今日会った三毛猫の話をすると、今まで丸く成ってた寅吉が何やら興味でも持ったように、顔を上げた。<br>「25歳だってさ。お前さんより10歳も年上だな」<br>　私がそう言いながら酒の肴にしていた鯵の干物を一口、口に入れると寅吉は、私を見ながら伸びた。何だか、ほっといてくれと言わんばかりに私に背を向けて丸くなった。何だか、あの日以来私を避けているような気がしてならないのだが、やはり、あれは夢だったのだろうか？しかし、あの日、うちで寅吉と話をしていた加納の家の飼い猫にそっくりなブチと言う猫。加納は、あの猫が喋ると言う事を知っているのだろうか？そんな事をぼんやりと考えていたら、こたつで朝を迎えてしまった。<br>「しまった！朝になっとる！！」<br>　まだ、冬の寒さの厳しい明け方、窓の外の景色は暗闇に包まれていた。そんな明け方に新聞配達のバイクの音が、暗闇をつんざくように響いていた。<br><br><br><br><br>つづく
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/entry-10217254422.html</link>
<pubDate>Mon, 02 Mar 2009 19:22:41 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>寅吉。6</title>
<description>
<![CDATA[ 「それじゃあ、千代くんの子猫の頃の思い出で何か印象深いもの等教えてもらえますか？」<br>「そうですね。もう、私が産まれた時には、千代はもう既に我が家に居たのですが、祖母の話では、まだ産まれてすぐに我が家の門の前に捨てられて居たのを祖母が見付けて我が家で飼う事になったそうです」<br>「そうだったんですか？へぇーっ。でも三毛猫のオスが捨てられてるなんて、本当に珍しいですね」<br>「ええ、本当に！あっ！そうだわ。千代がまだ若かった頃なんて、良くケンカして帰って来て、今もここにその時の傷痕が残っていて、10円ハゲみたいになって居るんですよ」<br>　そう言ってまどかは、千代を持ち上げて、左前足の付け根の人間でいう肩の辺りの短毛の毛を掻き分けて、小さな傷痕を見せてくれた。<br>「本当だ。僕の家にも猫が居るんですよ。そいつもかなりの爺さんなんですけど、血気盛んでそいつもケンカして帰って来るんですけど、こんな凄い傷付けて帰っては来ないですよ。ケンカの強い猫なんですね」<br>「えぇーっ！記者さんのお宅にも猫ちゃんいらっしゃるんですか？」<br>「ええ。キジトラで寅吉って言うもう15年になります」<br>「本当ですか？凄いですね」<br>「いえいえ、千代くんには敵わないですよ」<br>「そう言えば、千代くんは25歳ですよね？まどかさんっていくつなんですか？」<br>　カメラのシャッターを切りながら加納は、突然そんな事を言い出した。<br>「私ですか？今年で23歳になります」<br>「あっそうなんだ」<br>　加納はまどかの歳を聞いて、何やら納得したようにまたシャッターを切った。<br>「何だよ」<br>「良いから続けて下さい」<br>「じゃあ、他に何かありますか？」<br>「そうですね。まだ私が小さかった頃に、私がはしかで高熱を出して、危なかった時があったんですけど。その時、私の側にずっと居てくれてそれが、とても印象に残ってます」<br>「なるほど。あと、長生きの秘訣など有りますか？」<br>「なんでしょう？そうですね。毎日新鮮なお水とご飯ですかね」<br>「お水は、ミネラルウォーターだったりするんですか？」<br>「いえ。そんな事はないですが、うちで清酒造りにも使っている井戸水を私達も飲料水として使っているので、それを千代にも」<br>「なるほど！良い水が名酒を造ると言いますしね」<br>「そうですよね。あと、煮干しが好きです」<br>「なるほど。いやぁ～。うちにも居るので、非常に参考になります」<br>「いえいえ。余り良い事も言えなくてすみません」<br>「とんでもないです」<br>　こうして、伊集院家の娘さんに対するインタビューも無事に終わり、最後に三毛猫を抱いている写真を撮影して取材が終了した。片付けをしている加納とまどかは何だか、親しげに会話をしていた。<br>「えぇーっ！オレも○○大学だったんだよね。何学部？」<br>「英文科です。加納さんは？」<br>「オレ、経済学部だったんだけど。一年で辞めて、写真の学校行ったんだよね」<br>「そうなんですか」<br>「お前、経済学部に居たのか？」<br>「そうなんすよ！」<br>「へぇー。意外だな～」<br>　そんな会話をしながらも慣れた様子で、テキパキと機材を片してカバンに仕舞っていった。<br><br><br><br>「では、また記事になりましたらご連絡致しますね」<br>「わかりました。いつ頃になりそうですか？」<br>「そうですね。新春の特別版辺りを予定してます」<br>「有難うございます。父にもそのように伝えておきますね」<br>「宜しくお願いします。それでは、失礼します」<br>　私と加納は、深々と頭を下げるまどかに頭を下げてから伊集院家を後にした。<br><br><br><br><br><br>つづく
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/entry-10184358947.html</link>
<pubDate>Sun, 28 Dec 2008 18:27:38 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>寅吉。5</title>
<description>
<![CDATA[ 「有難うございます。こちらが我が家の飼い猫の千代です」<br>　千代という名の三毛猫は、歳のせいもあってかとても大人しく伊集院家の娘さんに抱かれていた。<br>「大人しいですね」<br>　加納がそう言って、まどかに抱かれた三毛猫に手を伸ばし小さな頭を撫でた。<br>「ええ、こう見えても千代はオスなんですよ」<br>「えっ？！オスの三毛猫？！」<br>　三毛猫と言う猫は、あの白、茶、黒の三色の毛色の猫の事を指すのだが、この毛色に関しても何やら細かい分類も存在するのだが、私は、その分野の人間ではないので、毛色に関しては、詳しく説明出来ないが、三毛猫と言う、日本では見慣れた日本猫と言えば？と言われたら、誰もが思い描く位、ポピュラーな猫なのだが、この猫の雌雄と言うのが、全てと言って良い程の確率で、メスの三毛猫しか存在しないのだが、ごくごく稀に、オスの三毛猫と言うのが産まれるのだが、その確率と言うのが、昔読んだイギリスの生物学者の本にあったのだが、どうやら3万分の1という確率だそうで、そのオスの三毛猫と言うのは、確か殆どが遺伝子だか染色体の突然変異だそうで、繁殖機能が備わっていないそうで、それでも稀に、繁殖機能が備わったオス猫も産まれるそうで、それだけ珍しいと言う事で、オスの三毛猫と言うのは、船に乗せれば遭難しないなど縁起物として江戸時代には、大変な高額で取引されてたらしく、最近の取引事例としては、日本の第一次南極観測隊で珍しくて縁起がいいとい<br>う理由でオスの三毛猫のタケシが連れて行かれ、昭和基地内のペットとして南極で越冬しているという事例がある。散々こうして語ってるのだが、三毛猫のオスと言うものの希少性を理解して頂けたでしょうか？因みに、繁殖機能のある三毛猫と言うのは日本で2001年に確認されて、未だに御存命だそうだ。<br>「えぇ、千代は、本当に我が家にしてみれば、福招きの招き猫なんですよ」<br>「こいつは、凄い！！三毛猫のオスだなんて、珍しい」<br>「すげぇーっ！！オレ、初めて見た！！！さっ触っても良いですか？！」<br>「ええ、どうぞ」<br>　まどかは、笑顔でそう言うとその千代と言う三毛猫を膝の上に座らせた。私と加納は、この珍しい三毛猫の頭を撫でた。<br>「杉原さん、いい歳なんだしこの三毛猫の御利益で結婚出来ると良いっすね！」<br>「お前こそ、三毛猫の御利益でカメラマンらしい仕事が回ってくると良いな」<br>　私は、加納にそう言うと、この珍しい三毛猫をしげしげと眺めた。こんなに、珍しい三毛猫のオスでしかも、25年もの長生きな猫となると、凄い事になりそうだ、とその時は漠然と思っていた。<br>「では、早速取材の方を始めさせて頂いても宜しいでしょうか？」<br>「はい。宜しくお願いします」<br>「じゃあ、撮影の準備の方も進めさせて頂きますね」<br>　そう言うと加納は、カメラや照明機具をカバンから出すと、手際良くそれらを組み立て始めた。私は私で、自分のカバンから取材に使うICレコーダーを出した。良くニュース等で、政治家が記者やレポーターに囲まれてインタビューを受けている時に政治家の周りに出されるアレだ。以前、自宅でテレビを見ていて、元々政治部志望だった私としては、是非とも持って居たいと思って、ニュースを観た次の日に家電量販店に買いに行ったっきり、新聞社の自分のデスクの引き出しに仕舞ったままになっていた。<br>「あっ、それやっと日の目を見ましたね」<br>　加納は、何の悪びれも無くそう言った。<br>「ちゃんと使えるんすか？だって、それ、仕舞ったままでしょ？」<br>「うるさい！！暗記出来る位、説明書読んどるわいっ！！」<br>　加納がそう言うのは仕方ない。私の居る部署では、こんな物は滅多に使わないので、買った当時は、宝の持ち腐れと良く言われたのだった。<br>「買った時に、うちの寅吉の鳴き声を試しに録音したんだよ。多分まだ残ってるんじゃないか」<br>　そう言って、私はメニューボタンを押して、唯一の録音記録を再生した。ICレコーダーからは、寅吉の鳴き声が流れた。<br>「おおっ！ちゃんと使えるじゃないっすか！」<br>「だろ？」<br>「お二人とも面白いですね。お笑いコンビみたい」<br>　まどかはそう言いながら、クスクスと笑った。<br>「そんな事無いっすよ！」<br>「そうですよ！じゃあ、早速インタビューを」<br>「はい。でも、新聞社の記者さんってもっとお堅い方がいらっしゃるのかと思って居たので、少し不安だったので、お二人みたいな方で良かったです」<br>「我々の部署は、社会部や刑事部程、忙しい部署でもありませんし、いつもこんな感じですよ」<br>　こうして、伊集院家の飼い猫と飼い主に対する取材が始まった。<br><br><br><br><br><br>つづく<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/entry-10183955117.html</link>
<pubDate>Sat, 27 Dec 2008 19:45:16 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>寅吉。4</title>
<description>
<![CDATA[ 　取材の当日。私は、カメラマンに加納を連れていく事にした。<br>「ここっすか？」<br>　もらった地図と窓の外を見ながら加納は助手席でそう言った。<br>「しっかし、でっけぇー家だなぁー」<br>　取材先の伊集院邸は、大正時代から代々続くこの辺りでは有名な、酒蔵で今では、大きな自社ビルを持っていて、私の勤める新聞社のスポンサーの一つでもある。その伊集院邸は、正門から続く小路が玄関まで途方もなく続いて居るような気がした。<br>「お前、余計な事すんなよ」<br>「失礼だなーっ！」<br>「ウチのスポンサーの一つだからな。もし、お前がなんか余計な事したせいで、伊集院酒造がスポンサーから降りたりしたら、ウチの新聞社…。ヤバイかもしれんからな」<br>「またまたぁー。大袈裟だなー」<br>「本当、頼むから余計な事だけはすんなよ！」<br>「はいはい」<br>　加納と言う男は、学生時代にバスケットボールをやっていたそうで、長身で手足も長く黙って居れば、俳優やモデルと見紛う程大変良い男なのだが、口を開くと、もう26になったと言うのに、どうもまだ子供っぽいと言うか、天然ボケと言うか、世間知らずと言うか、少し間の抜けている所があり、良く言えば、天真爛漫とでも言うのだろうか。良く周りの人間を冷や冷やさせる所がある。<br>「しかし、でかい家だよなー」<br>　私は、改めて伊集院邸を眺めて、その家を見上げた。<br>「さっきオレが言いましたよ」<br>「うるさいっ！行くぞ！！」<br>「はいはい」<br>　加納はそう言うと、カメラや撮影用の機材の入ったカバンを持って車から降りた。私も取材用のカバンを持って車を降りて、伊集院邸の豪華な玄関のチャイムを鳴らした。チャイムを鳴らしてすぐに、ドアが開き伊集院家のお手伝いさんが応接間に通してくれた。<br><br>「すっげー。高そう」<br>　加納がいかにも高価そうな壷に手を伸ばしたので、私は思わず加納の手を叩いた。<br>「バカッ！お前の安月給じゃ一生掛かっても弁償出来ないぞ！！」<br>「オレまだ触っても無いじゃないっすか！！」<br>「お前が触ったらどうせ壊すに決まってんだろ！」<br>「失敬だなぁーっ！！」<br>　そうこうしていると、今日の取材に答えてくれる相手の伊集院家の娘さんが現れた。<br>「遅くなってしまってすみません」<br>　そう言って、応接間のドアが開いた。その先には、明るめながらも落ち着いた色合いの茶髪でストレートヘアに品の良いピンク色の花柄のワンピースを着て、三毛猫を抱いた少女が居た。<br>「初めまして。伊集院　伸太郎の娘のまどかです。今日は宜しくお願い致します」<br>　そう言って、春風のように爽やかな微笑みを湛えた。まるで、どこかの女優のような容姿の伊集院家の御令嬢は、三毛猫を抱いたままソファーに腰を降ろした。<br>「初めまして。○×新聞社の杉原です。こちらこそ今日はお忙しい中お時間頂きまして有難うございます。宜しくお願いします。こちらは、カメラマンの加納と申します」<br>　私はそう言うと、鞄から名刺入れを出して、伊集院家の令嬢に名刺を渡した。<br><br><br><br><br><br>つづく
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/entry-10180818307.html</link>
<pubDate>Sat, 20 Dec 2008 23:40:33 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>寅吉。3</title>
<description>
<![CDATA[ 「とっ寅吉？！おおおっお前、しゃっ喋った！！」<br>　私が驚いて、寅吉を見ていると、寅吉は、何事も無かったかのように、平然と机から降りて、私の方に歩いて来て私の少し手前で止まり座ると、私に向かってこう言った。<br>「見られたからには、正直に話さにゃならんだで、仕方ない」<br>「ええっ？！」<br>　全く、状況が掴めずに居る私をよそに、寅吉は話し続けた。<br>「わしら、猫っちゅうモンは、10年以上生きとると猫又っちゅうモンになるんだに。さっき、あの大家から聞いとったから、解るだろ？猫又っちゅうのは、人間の言葉を理解し、話せるようになってな」<br>「お前、まさか、俺を食い殺すつもりなんじゃ…」<br>「それは、昔の話だかん。ここ最近の猫又は、よう喰わんだに。それに、わしがお前さんを食い殺したら猟奇殺人事件になってまうしな、それに、わしらは、昔っから人間に変化出来る力を持っとるもんで、人間なんぞ喰わんでも変化は出来る」<br>「じっじゃあ、なんで人間を食い殺したりするんだ？」<br>「それは、猫を虐めた人間に対する猫による報復だろう。わしら、猫又も100年以上生きとって、修練を重ねると神通力っちゅうモンを身につけて、神さんみたいなモンになるんだに」<br>「それじゃあ、寅吉。お前は、猫又って事なのか？」<br>「そうだに」<br>　そう言うと寅吉は、顔を洗い出した。あぁ、これは、夢だ。そうだ、俺は寝ぼけているんだ。と私は、自分自身に言い聞かせた。そうでなければ、寅吉が喋る訳がない。<br>「夢だと思っとるみてぇだが、夢じゃないだに。そう言えば、あんさん風呂はいるんじゃなかったのかい？早くせんと、朝になってまうだに。まぁ、わしはもう寝るだに」<br>　寅吉はそう言うと、寝室のドアの隙間から出て行った。私の頭の中は、『？』でいっぱいになっていた。本当に猫又なんて存在するのだろうか？いや、私は、晩酌で酔っ払って寝てしまったのだし、寝ぼけているのかもしれない。むしろ、これは、夢なのかもしれない。そうだ、先程起こった出来事は、全て夢なのだ。夢の中の出来事で、常日頃から私は、寅吉が人語を話せたらと想像していたじゃないか。きっとその想像が潜在的に欲求となって、夢になったのだろう。<br>「取り敢えず、寝よう」<br>　私は、そう言うとベットに入った。しかし、私は何だかいつものように、ぐっすりと眠れなかった。何故なら、その晩に見た夢と言うのが実に恐ろしかった。猫又となった寅吉が虎程はあるだろうか？虎のような大猫に化けた寅吉が鼠のくらいの大きさになった私を追いかけ回すのだ。私は、部屋の角に追いやられて寅吉の爪を起てた大きな前足が私目掛けて振り下ろされた瞬間で目が覚めた。時計を見ると目覚ましを掛けている時間の一時間前だったが、私は、風呂にも入らず寝てしまったので、風呂に入る事にした。寝室を出ると、居間のこたつ布団の上で丸くなって眠っている、いつもと変わらない寅吉が居た。<br>「夢だ。うん。夢だったんだ」<br><br><br><br><br><br><br>　その日、私は、新聞社に出社すると早速、夢の話を同僚に話した。<br>「いやいや、参りましたよ。寅吉のヤツがシャーッて前足を振り下ろした瞬間に目が覚めましてね。本当、恐ろしい夢でしたよ」<br>「杉原さん、猫の事ばっかり記事にして書いてるからそんな夢みるんすよ」<br>「そうなのかなー？」<br>　私は、新聞の地域面の中で小さな連載を持っているのだ。それも、この地域面の担当編集長の田上氏が私に、猫の事を記事にしてみては？と言ってくれたのがきっかけだった。実はこれが、なかなかの評判で、投書なども貰ったりするのだ。私の連載は、隔週で投書で頂いた猫の写真やエピソードを紹介したり、私の飼い猫の寅吉の事を紹介したりしている物で、新聞のこんな小さな記事でもしっかり目を通している人が居るんだなぁと思うようになった。<br>「いやいや、しかも寅吉のヤツが喋る夢も見たんだよ。何でか知らんが寅吉のヤツ、名古屋弁だったんだよな」<br>「へぇー。つか、杉原さんどんだけ猫バカなんすか？！」<br>「お前だって、携帯のカメラで猫の写真ばっかり撮ってるじゃないか。あんなに良いカメラ持ってる癖に」<br>「こいつは、仕事用なんです」<br>　カメラマンの加納　浩二は、良くこの部署に来ては、油を売っている。一応、カメラマンとしてこの新聞社に就職したのだが、どういった訳か社会部からも刑事部からも出動の要請がめったに掛からないらしく、勤務中にふらりと来ては、一日中この部署に居る事も珍しくは無い。まぁ、ウチもウチで取材の際には、しっかり使わせてもらっているので、あまり文句も言えないのだが。<br>「仕事用って言っても、滅多に使わないじゃないか」<br>「そんな事無いっすよ。ちゃんと、仕事してますよ。ホラ！」<br>　そう言って、一眼レフカメラの液晶の画面を見せて来た。<br>「なんだよ。猫ばっかじゃないか！」<br>「仕事ですよ！杉原さんの連載の為に、こうして猫の写真をたくさん撮ってるんじゃないっすか！」<br>「なんだよ。恩着せがましいなー」<br>「杉原さんには、たくさん恩を着せとかないと！また、飯おごって下さいよー」<br>「ったく、調子いいヤツだなー」<br>　私がそう言うと、加納は自分の撮った猫の写真や風景の写真を見ながら、こう言った。<br>「そう言えば、オレん家にも猫居るんすよ。実家なんすけど、オレが中三ん時に拾ったからもう11年かな。それが可愛いヤツなんすよー」<br>「へぇー。お前ん家にも猫居るんだ」<br>「そうなんすよー！ウチのブチも長生きしてもらいたいっすよ」<br>「ブチ？」<br>　確か、昨日、寅吉と喋って居た猫もブチだったような…。加納の家の猫も10年以上生きているし、まさか、こいつも猫又の飼い主なのか？<br>「そっ。ブチ」<br>　そう言って、加納は自分の携帯の写真を見せてきた。その画面に写ってたいた猫は、正しく昨日寅吉と話していた白と黒のブチ猫だった。<br>「可愛いヤツなんすよー。オレにめっちゃ懐いてて、すっげー可愛いんすよね。多分、あいつオレの事、親だと思ってると思うんすよね。ちっちゃい頃からミルクあげたりしてオレが育てたんすよね」<br>「そうなんだ…」<br>　まだ、加納は気付いていないようだった。私は、昨日の出来事が夢では無かったんじゃないかと思い出した。<br>「杉原さーん。この間言ってた猫ちゃんの飼い主さんの取材の許可下りましたよ」<br>「あぁ、ミエちゃん有難う」<br>　この猫と言うのは、先日私の連載を読んで下さってる読者の方から頂いた情報で、25年以上の長生きらしく、是非とも長生きの秘訣を教えてもらいたいという内容の投書を頂いていて、これは面白そうな記事が書けそうだと思って取材を申し込んだのだった。<br>「伊集院さんっていうのか、あっ。うちの近所だ」<br>　事務員のミエちゃんが持ってきた資料には、私の住むアパートの近所の住所が書いてあった。<br>「で、日程は？向こうの都合はどうなの？」<br>「土日でしたらいつでも大丈夫だそうですよ」<br>「なるほどね。それじゃあ、締め切りもあるし今週にでもお願い出来ないかな？」<br>「わかりました。それじゃあ、そのように先方さんに伝えますね」<br>「宜しく！」<br>「はーい」<br>　私は、早速取材の準備を始めた。今回のこの取材は、いつもよりも大きな記事になるそうだ。なので、写真もたくさん使えるようなので、私は加納も連れて行く事にした。<br><br><br><br><br><br><br><br>つづく
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/entry-10165538494.html</link>
<pubDate>Sun, 16 Nov 2008 15:29:14 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>寅吉。2</title>
<description>
<![CDATA[ 　寅吉と私は、それからかれこれ15年の付き合いになる。まだ、子猫だった頃には、やはり体も弱く、よく風邪をひいたりしたものだったが、今では、立派な猫になり、私は私で、あの部署で毎日、小さな記事をコツコツと書いていた。この部署の良い所は、滅多に残業が無いと言う所と人間関係がギスギスしていないという所だろうか。それ故、寅吉が小さい頃は、本当に助かったものである。熱を出した寅吉が心配で家に置いて置けなかった時など、良く職場に連れてきたものだ。部署のみんな、本当にのびのびとしていて、これも一重に、上司の田上氏のお陰だろうと思う。でも、それ以外は、実に地味な部署である。最近は、インターネットの普及によって、新聞という物自体が押され気味と言う事もあり、より面白い記事が要求される。<br>　しかし、便利な世の中になったものである。今では、インターネットでどんな情報も得る事ができ、買い物まで出来てしまう。私と寅吉が出会った頃には、夢物語としてしか語られなかったような世界だ。しかし、インターネットの普及によるメリットも大いにあるが、デメリットもあるようで、犯罪に利用されたり、いじめなどの温床になっていると言うのも事実。あぁ、また話が逸れましたね。寅吉の話でした。これは、私の悪い癖ですね。これからも、この悪い癖が出るかも知れませんが、お付き合い頂けると有り難いです。<br><br><br><br>　ここの所、寅吉はと言うと、歳のせいか、一日中良く寝ている事が多くなったように感じる。<br>「寅吉さん。お前さん、寝てばっかりだねー。やっぱり歳なんですかね？」<br>　私がそう言って、寝ている寅吉の頭を撫でると、「そんな事は無いやい！」とでも言いたそうな顔をして私を見上げてから、また、眼を閉じた。<br>「なんだい、まだまだ若いつもりかい？もう、15歳になるんだから、十分、爺さんじゃないか」<br>　私がそう言うと、寅吉は「余計なお世話だ！」と言わんばかりに、顔を背けた。私は、寅吉の頭を撫でた。不思議なもので、15年も一緒に居ると何だか、寅吉の考えている事や私の考えている事が伝わっているような気になる。例えば、私が新聞の記事のネタが浮かばず悩んでいたりすると、不思議と寅吉がネタになりそうな物を持って来たり、面白い行動をしたりしてくれたりして、なんとか締め切りに間に合わせてくれたりする。私も私で、寅吉が頭を撫でて欲しがっているんだろうなとか、遊んで欲しいんだろうなとか、私の事を心配しているんだろうなとか、不思議なもので寅吉の顔を見ると、何だか伝わってくるような気がする。良く、こんな話を職場や猫を飼っていない知り合いに話したりすると、そんなの親バカだと笑い飛ばされるものです。しかし、長年、動物と連れ添ってる人には、共感してもらえるのだが、やはり『親バカ』の一言で片付けられてしまうのだが、私は、本当に気持ちが通じ合って居ると思う。<br>　しかし、猫と言うものは、昔から不思議な力を持っていると言われている。私は、たまに想像するのだが、天気の良い日曜日の昼間、私のアパートの居間のこたつで私と寅吉が普通に会話をするのだ。それも他愛もない世間話。株価や政治の話なんてのは、このような場合は、野暮である。くだらない話題の方が良い。またたびは、粉末の物よりも木のままの物の方が良いだとか、冬場は、股引きが手放せないだとか、そんな内容がきっとぴったりだと思う。<br>　まぁ、夢物語だと思って居たのだ。あの日、あの光景を見るまでは…。<br><br><br><br><br><br>　私が15年前に住んでいたアパートも、今では綺麗にリフォームされてアパートと言うよりも、メゾネットと言った方が良いような洒落たアパートになった。今だに、動物が飼えると言う理由と新聞社からも近いと言う理由でこのアパートに住んでいる。寅吉達を見付けた倉庫の大家ともなんだかんだで、今だに付き合いがあり、たまに、煮物なんかをおすそ分けしてもらったりしている。<br>「いつもすみません」<br>「ええって、気にせんといて！それより、寅吉、まだ生きとんの？」<br>　笑いながら倉庫の大家がそう言うと、こたつ布団の上で寝ていた寅吉がむっくりと起き上がって、大家の方をムスッとしたような顔をして見ると、また、こたつ布団の上で丸まった。<br>「まだまだ、元気ですよ。この間なんか、凄かったんですよ！近所の若い猫とケンカして勝ってきたんですから！」<br>「まぁーっ！血の気の多い爺さんやわ～」<br>「本当！寅吉は、まだまだ長生きしますよ～！」<br>「ほんまやわ～。それじゃあ、寅吉さん猫又になってまうな～」<br>「猫又？」<br>「そっ。猫又。知らへんの？」<br>「あの、妖怪の？」<br>「そっ。猫又ってな、尻尾が二本になるんやって10年やったか40年以上生きた猫が、人間の言葉を話したりしてな、終いにはその飼い主やったか、猫を虐めた人間を食い殺すんやって、そんで、その人間に成り済ますんやって！おぉーっこわっ！」<br>「やめて下さいよ！10年以上だったら寅吉は、15年も生きてるから、十分猫又になってるじゃないですか！」<br>「食い殺されんように、気ぃ付け～。ほな、また」<br>「もぉーっ！全く人が悪いなー。おやすみなさい」<br>　そう言って、ドアを閉めると貰った煮物を居間のこたつの上に置いて、ラップを外して、冷蔵庫から缶ビールを取り出してからこたつに入ると、煮物を肴に、晩酌を始めた。<br>「猫又ね～。それなら、寅吉さんよー。晩酌の相手でもしてやって下さいよ～」<br>　と言うと、缶ビールを一口飲んだ。寅吉は、相変わらずこたつ布団の上で眠っている。思えば、今だに独身である。何度か、結婚のチャンスもあったのだろうか？まぁ、寅吉も居るし、寂しくは無い。仕事も楽しい。独り身も悪く無い。<br><br><br><br>　そんな事を考えながら晩酌をしていたら、気が付いたらこたつで、うたた寝してしまったようで、寒さで目を覚ました。<br>「寒っ！いかん。寝てしまった！」<br>　食べかけの煮物のラップをかけ直すと、急いで冷蔵庫に入れた。そして、風呂に入ろうと支度をしに寝室に向かうと、寝室から人の声がした。まさか、泥棒？と思いながらその声のする寝室の方へ恐る恐る行き、ドアに耳をくっつけて耳を澄ますと、中からは、どうやら二人組のようで、ひそひそと何やら会話をしているようだった。<br>「起きたんじゃないか？」<br>「あぁ、何か音がしとったな」<br>「そろそろ、帰ろうか？」<br>「そうだがね。それじゃあ、またな。ブチ」<br>「じゃあ。寅吉」<br>　寅吉？今、寅吉って言ったよな？思わず、寝室のドアを開けた。<br>「寅吉？！」<br>　ドアを開けると、寝室にある私の机の上に、寅吉と黒と白のブチ猫が居た。私は、何が何だか解らず、目をパチクリさせて居ると、黒と白のブチの猫が私の方を見て、こう言った。<br>「寅吉、見られたぞ」<br>「あぁ、そろそろ言わにゃいかんと思っとっただに。調度ええがや」<br>　寅吉がそう言うと、黒と白のブチ猫は、窓から出て行った。私は、目の前の光景を信じられずに居た。<br>「えぇーーっ？！！」<br>　とっ寅吉が、喋った？！<br><br><br><br><br><br><br>つづく
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/lepetitmort/entry-10162426404.html</link>
<pubDate>Sun, 09 Nov 2008 11:17:11 +0900</pubDate>
</item>
</channel>
</rss>
