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<title>太陽のように高く、そして、優しく</title>
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<description>小説書いてます。読んでばっかりで書いたことは無いですが、頑張ってます!! 下手ですが、よかったら読んでってください。</description>
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<title>言葉を紡ぐ　＃４３．特別な人なら</title>
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<![CDATA[ <p>　何も考えていなかった。というより、何かを考えている余裕が無かった。</p><br><p>　気づくと、あの時の植え込みにいた。</p><br><p>　あの雨の日、誰かが私に傘をくれた場所。</p><br><p>　今、その“誰か”に会った。</p><br><p>　あの日と同じ場所に座って、空を見上げる。澄んだ青が広がっている。</p><br><p>　そっか・・・。sky academyの人だったんだ。</p><br><p>　そりゃそうだよね。そうじゃないと、あんな雨の中、ここ通らないよね。</p><br><p>　たぶん、私は彼に特別な気持ちを抱いていた。</p><br><p>　でも、きっぱり諦められそうだ。</p><p>　</p><p>　自分の気持ちを素直に出せない性格、想いを隠すこと消すことに慣れたことも、背中を押す。</p><br><p>　不思議だ。</p><br><p>　今までたくさんのことを諦めてきたけれど、こんなにすがすがしい気持ちになっているのは初めてだ。</p><br><p>　空を見上げたまま、少しぼんやりしていると、ふと、置いてきた野村さんのことを思い出した。</p><br><p>　立ち上がってビルの方を振り返ると、入り口の辺りで野村さんが手を振っている。</p><br><p>　私はそれに答えて、ビルに戻った。</p><br><p>　</p><p>　私にはしなくちゃいけないことがある。山ほどある。</p><br><p>　私を支えてくれる人も、私を必要としてくれる人もたくさんいる。</p><br><br><p>　だから・・・、恋をしてる暇なんて無い。</p><br><p>　それに、こんなのただの理想論かもしれないけれど、</p><br><p>　</p><p>　あの人が特別な存在だったら、またきっと、私の目の前に現れてくれる。　</p>
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<pubDate>Sat, 18 May 2013 19:54:56 +0900</pubDate>
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<title>言葉を紡ぐ　＃４２．衣装のヒント</title>
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<![CDATA[ <p>　すっごーい。</p><br><p>　思わず口がそう動いた。</p><br><p>　フロア一面に服が所狭しとハンガーに掛けられている。</p><br><p>　ジャケットからシャツから何から何までとにかく何でもそろってる。</p><br><p>　</p><p>　私と野村さんがやって来たのは、野村さんが所属する「スタジオ ステージ」の衣装ルーム。</p><br><p>　各ブランドから借りてきた服を全部ここで保管しているらしい。</p><br><p>　さすが一流ブランドの集まっているだけあって、色使いや形が個性的で、とにかく新鮮だった。</p><br><p>　一着一着丁寧に見て、しっかり目に焼き付けた。</p><br><p>　でも、何か違う。</p><br><p>　いいものを見つけたんだけれど、何か足りない。</p><br><p>　そんなことを思ったのが野村さんにも伝わったのか、そろそろ帰ろうかと言った。</p><br><p>　お昼ご飯を食べて、次はショップをいくつか回った。</p><br><p>　ここでも色使いとか着こなしとか、参考になることはたくさんあったけれど、服のテーマになるものは見つからなかった。</p><br><p>　まあ、こんな所に転がっていたら誰も苦労しないよね。</p><br><p>　ふと腕時計を見ると、あと少しで３時になるところだった。</p><br><p>　今日もあの部屋でレッスンしているのかなと思うと、その風景を見たくなった。</p><br><p>　そう言えば最近見てないな。</p><br><p>　鞄からノートを取り出して、言いたいことを書いて野村さんに見せた。</p><br><p>　そろそろビルに戻っても良いですか？</p><br><p>　「そろそろそういうこと、言う時間だと思ってた。帰ろうか。」</p><br><p>　そう言って、野村さんは車を取りに行った。</p><br><p>　</p><p>　私がどこに行こうとしているのか、野村さんは勘付いているようだけれど興味津々だったので、２人であの場所に行った。</p><br><p>　いつものように壁に隠れるようにして中を覗くと、いつものようにレッスンが行われていた。</p><br><p>　しかし、今日は人数が違った。１人増えて４人になっている。</p><p>　</p><p>　人数が増えても動きがぴったりで、思わず息を飲んだ。そのダンスに思わず引き込まれた。</p><br><p>　もっと近くで見たい。いつの間にか目の前にあるドアさえ開ければ中に入れるところに立っていた。</p><br><p>　そして、休憩時間になったのか、さっきまで真剣だった顔が緩んで、彼ら素のような顔になっていた。</p><br><p>　そんな顔まで引き込まれた。</p><br><p>　夢人にもこんな時期があったのかな。・・・あったんだよね。</p><br><p>　じっと中を見ていると、４人のうちの１人と目が合った。いつもはいない彼だった。</p><br><p>　その瞬間、体が反応してそこから逃げ出した。</p><br><p>　その理由は、ただ単に目が合ったからだけではなかった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/library-aaa/entry-11499132361.html</link>
<pubDate>Thu, 28 Mar 2013 11:40:00 +0900</pubDate>
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<title>言葉を紡ぐ　＃４１．デザイン</title>
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<![CDATA[ <p>　その扉を開けると、目の前に映ったのは大量の衣装だった。</p><br><p>　部屋の８割以上が衣装が占めているのではないかと思うほどだった。</p><br><p>　衣装担当の野村さんと打ち合わせをしようと、衣裳部屋にやって来たのだが、これでは見つけるにも見つからないし、見つけてもらおうと思っても見つけてもらえない。</p><br><p>　迷子になったときは下手に動くよりその場にとどまっていた方がいいというのを思い出して、野村さんを探すのを諦めて近くにある衣装を覗いた。</p><br><p>　この時間に私がやってくることは、陽子さんを通じて野村さんも知ってるはずだし、ちょっと衣装触ったって、ボタンとか取れなかったら大丈夫だよね・・・とか言ってるそばから、何かプラスチックが落ちる音がした。</p><br><p>　ビクッとして、何が落ちたのか探そうとしゃがみこむと、私の真横に男物の茶色い靴が目に入った。</p><br><p>　そのまま顔を上げると、夢人より５歳ほど年上の大人な男性が私を見ていた。</p><br><p>　「そこで何をしているのかな？森崎裕歌さん</p><br><p>  慌てて立ち上がって、申し訳ない!と思って一礼した。</p><br><p>　「初めまして。衣装担当のスタイリスト・野村真司です。今回はスタイリスト兼デザイナーってところかな。よろしく。」</p><br><p>　私は鞄に入っているノートの、ここに来る前に書いた、自己紹介の分を書いてあるページを見せた。</p><br><p>　「じゃあ、さっそく始めようか。奥にデスクがあるからそこで打ち合わせしよう。</p><p>　あっ、衣裳には触らないでね。まぁ、こんな状況じゃ不可能だよな。」</p><br><p>　野村さんはそう言って笑った。</p><br><p>　</p><p>　野村さんは慣れた足取りでスーっと衣装の間を抜けていく。</p><br><p>　私は野村さんの後を懸命に追っていく。</p><br><p>　横目で衣装を眺めると、夢人のCDジャケットやコンサートで着ている服がたくさんかけられていた。</p><br><p>　野村さんが足を止めたので、私も足を止めると、机と椅子が衣装に囲まれるようにぽつんと置いてあった。</p><br><p>　机の上には、衣裳のデザイン画が散らばっていた。</p><br><p>　野村さんは椅子に座って、デザイン画を２、３枚手に取って見比べた。</p><br><p>　「とりあえず、いくつかは考えてみたんだけど、しっくりこない。何か良い案ないかな？」</p><br><p>　デザイン画を受け取ってめくって見る。</p><br><p>　衣装のテーマはアルバム収録曲と同じ『希望と・・・』。</p><br><p>　どれもカッコよくて夢人に似合うんだろうなと思うけれど、野村さんの言うとおり、何か足りない。</p><br><p>　私は絵が壊滅的に下手だから、あまり物が言える気分にはなれないけれど。</p><br><p>　こうしている間にも野村さんはデザインに集中している。</p><br><p>　私はもう一つの椅子に座って、ノートに書いて、それを野村さんに見せた。</p><br><p>　どれくらい考えているんですか？</p><br><p>　「あぁー。２週間は考えてるかな。ちょうど、裕歌ちゃんが東京に来たときくらいから。」</p><br><p>　ずっとここでですか？</p><br><p>　「基本はここかな。気分転換にこの部屋ぐるっと回るくらいかな。それと他にも仕事があるから、その移動中とか空き時間で。」</p><br><p>　野村さんってスタイリストさんなんですよね？</p><br><p>　「うん。」</p><br><p>　男性の服とか詳しいですよね？</p><br><p>　「うん。そうだけど何？」</p><br><p>　</p><p>　私をメンズの服をたくさんある所に連れて行ってください!!</p>
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<pubDate>Fri, 22 Mar 2013 13:55:00 +0900</pubDate>
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<title>言葉を紡ぐ　＃４０．いろんな道</title>
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<![CDATA[ <p>　今日も空が真っ青でまぶしい太陽しかなかった。</p><br><p>　いつものように優作さんと歩きながら駅へ向かう。</p><br><p>　だけど、今日は今まで以上に足が軽い。仕事に行くのが楽しい。</p><br><p>　こんな気持ち、いつ振りだろう。　</p><br><br><p>　昨日の私のために開いてくれた会で、１つ、あることが決まった。</p><br><p>　それは、いくら考えてもいいものが出なかったタイトルだ。</p><br><br><p>　箱から取り出した次の質問は『好きな漢字』だった。</p><br><p>　思わず、はぁっ？、みたいな顔になってしまったが、出され</p><br><p>　た質問には必ず答えなければならない。</p><br><p>　目を閉じて考えると、ひとつの言葉が浮かんできた。</p><br><p>　そして、ノートに書く。</p><br><p>　「道・・・どうして？」</p><br><p>　そう聞いたのは、大宮怜だった。</p><br><p>　私はまたペンを執る。</p><br><p>　「道」っていう字 自体が、道みたいじゃないですか</p><br><p>　顔を上げると、想像通りはてなマークがたくさん浮かんでいた。そりゃ分からないよね。　</p><br><p>　しんにょうのところみたいに曲がりくねった道があればまっすぐな道もある</p><p>　短い道があれば長い道もある</p><p>　アスファルトで舗装された道があれば、石や砂利が転がっている道もある</p><p>　そういう世の中にあるいろんな道が、この字はつまってると思うんです</p><br><p>　ほんの少し、静かな時間が流れた。</p><br><p>　やっぱり分かってもらえないよね、と心の中で肩を落とした時だった。</p><br><p>　『「それにしよう!! アルバムのタイトル。」』</p><br><p>　その声の元は、夢人の５人だった。</p><br><p>　「タイトル『道』。それに決まり。誰がなんと言おうとこれだけは譲れない。」</p><br><p>　そう大宮怜が言う。</p><br><p>　「怜がそこまで言うなら、誰も文句は言えねえよな。」とスカイさんも続ける。</p><br><br><p>　まったく、一石で何鳥かっさらっていくのだろう、この人たちは。</p><br><p>　そんなことを思っていると、すぐそこにsky academyのビルが見えた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/library-aaa/entry-11494950125.html</link>
<pubDate>Thu, 21 Mar 2013 15:00:00 +0900</pubDate>
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<title>言葉を紡ぐ　＃３９．１つになる時</title>
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<![CDATA[ <p>　「今日は裕歌ちゃんの日だって分かっているんですけど、今を逃すとたぶんずっと言えない気がするので…。」</p><br><p>　そう陽子さんが切り出すと、さっきまでの優しい空気が一変、張り詰めたような空気になった。</p><br><p>　視線が陽子さんに集まる。</p><br><p>　「裕歌ちゃん以外のスタッフさんは勘づいている人がほとんどだと思うんですけど、私、本当は製作がメインの社員じゃないんです。</p><p>　私は大阪で小さい子たちのスケジュール管理をしています。制作の現場は、入社したての頃に何度かお手伝いをさせてもらった以来で。だから、社長直々にこの制作の話をいただいた時に一度お断りさせていただいたんです。」</p><br><p>　「その時に俺が言ったんだ。</p><p>　『あなたの経験が役に立つ時が来た。あなたと同じ経験を１０年もしている女の子が、今度制作に来ることになった。彼女の支えになってほしい。』って。」</p><br><p>　えっ、と思わず陽子さんの顔を見上げた。</p><br><p>　同じ経験って・・・？</p><br><p>　「学生時代に、私も裕歌ちゃんと同じ心因性失声症という病気にかかっていました。私は１年くらいで戻ったんですけど。</p><p>　そういうことならって、制作に参加させてもらったんです。」</p><br><p>　</p><p>　何がなんだか分からなくなった。</p><br><p>　陽子さんも私と同じ病気だった!?</p><br><p>　あんなに明るい人なのに・・・</p><br><p>　そう言えば、今まで会った誰よりも、私の病気に理解があった。</p><br><p>　学生時代に、ってことはきっと、私と同じように・・・。</p><br><p>　</p><p>　「もう、裕歌ちゃん、そんな顔しないでよ。</p><p>　裕歌ちゃんも分かってるように、その頃はいろいろあったけど、今となっては嫌な思い出じゃないし、こんな経験が役に立つ仕事なんてきっとないよ。</p><p>　いつもしている仕事と全く違って慣れないことも多いけど、楽しいよ。」</p><br><p>　そう言って、陽子さんは私をギュッと抱きしめてくれた。</p><br><p>　さあ、と言って陽子さんは体を離した。</p><br><p>　「私の話はこれでみんなおしまい。</p><p>　これからは裕歌ちゃんの時間だよ。言っておくけど、引いた質問には全て答えてもらうからね。もちろん、ノーコメントなんていう答えは受け付けないから。」</p><br><p>　スカイさんも夢人も他のスタッフさんも「ノーコメントはダメだよねー」と言っている。</p><br><p>　私はペンを執ってノートに書いた。</p><br><p>　陽子さんは私の味方じゃないんですか？</p><br><p>　「確かに味方だよ。</p><p>　今、ここで裕歌ちゃんが自分のこと全部正直に言わないと、この先もっと辛くなるだけだから、今日は心を鬼にします！」</p><br><p>　</p><p>　何を言ってもダメだと諦めた。</p><br><p>　陽子さんたちの楽しみにしている顔を見ていると、反論する気が無くなった。</p><br><p>　</p><p>　それから始まった私への質問攻め（この表現が最も正しい。次から次へ答えさせられた。）は夕方まで続いた。</p><p>　</p><p>　それでもスタッフさんたちは物足りなかった様子だったが、スカイさんが止めた。</p><br><p>　今日はとても楽しい１日だった。自分のことをたくさん話せて、さらにスタッフさんたちと仲良くなれた。</p><br><p>　</p><p>あと１カ月もない東京でのアルバム制作、きっと乗り越えなければならない壁はたくさんあるだろうけれど、絶対に乗り越えられる。</p>
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<pubDate>Tue, 19 Mar 2013 11:30:00 +0900</pubDate>
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<title>言葉を紡ぐ　＃３８．知る日、伝える日</title>
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<![CDATA[ <p>　会議室のドアを開けると、驚いて思わず足が止まった。</p><br><p>　椅子が全部埋まっている。こんな光景を見たのは初めてだ。</p><br><p>　夢人ももちろん５人全員そろっている。</p><br><p>　どうしたらいいか分からないでいると、スカイさんが自分の方へ来いと、手招きをした。</p><br><p>　スカイさんの方へ歩いていき、ちょうど会議室全体が見渡せる前の真ん中まで来たときに、スカイさんが「ストップ！」と言って、私を止めた。</p><br><p>　「今日はアルバム制作はお休みして、裕歌のこともっと知る会にします！」</p><br><p>　スカイさんの一言に盛り上がる声が聞こえたが、ますます意味が分からない。</p><br><p>　そんな私にスカイさんは今の状況を説明してくれた。</p><br><p>　「せっかくこうやってアルバム作っているのに、俺たち、裕歌のことほとんど知らないんだよな。だから、今日は裕歌のこと、何でも知る日にしようと思って。」</p><br><p>　確かにこういう日を作ってくれることは嬉しいんだけど、こんなことしていたら、制作が間に合わない。</p><br><p>　そんな不安が生まれて、たぶん顔に出たと思う。</p><br><p>　「心配しないで。いつもはこんなことしている余裕ないんだけど、今回は何が起こるか分からないからって、かなり余裕をもって計画しているんだ。」</p><br><p>　まさに心を読んだようなスカイさんの言葉だった。</p><br><p>　「さあ、始めようか。」</p><br><p>　俺たちが訊きたいことは全部ここに入っている、とテーブルの上に置いてある箱を指差した。</p><br><p>　くじ引きの箱みたいな上の面に丸い穴が開いている箱だ。</p><br><p>　「パソコンと書画カメラ、どっちも用意してるけど、どっちがいい？」</p><br><p>　私は迷わず書画カメラを指差した。</p><br><p>　そっちだと思ってた、と言って、スカイさん達は準備をしてくれた。</p><p>　</p><br><p>　「始める前に、裕歌にこれ、返しておく。」</p><p>　</p><p>　そう言われてスカイさんから返されたのは、一昨日、社長室で使ったノートだった。</p><br><p>　「それから、そこに書いてあること、一昨日俺に話してくれたこと、全部みんなに話した。</p><p>　裕歌に黙って、しかも裕歌のいないところで話ちゃって、ごめん。」</p><br><p>　私は返されたノートを軽く見返してから、新しい真っ白なページを開いた。</p><br><p>　今から全部話そうと思っていたので</p><p>　楽しく答えられそうです</p><br><p>　「その前に、私からも一つ良いですか？」</p><br><p>　そう切り出したのは、陽子さんだった。</p>
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<pubDate>Mon, 18 Mar 2013 11:45:00 +0900</pubDate>
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<title>言葉を紡ぐ　＃３７．門番さん</title>
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<![CDATA[ <p>　昨日、スカイさんからメールが来て、１０時に会社に来てほしいと言ってきた。</p><br><p>　何か理由があるのかと聞いても、大人の事情だと言うだけで、何も教えてもらえなかった。</p><br><p>　スカイさんはスマートな人だから意味のないことなんてしないはずだけど、陽子さんにも他のスタッフさんに訊いても何も答えてくれないので、仲間外れにされた気分だ。</p><br><p>　１０時に来てくれ、遅れても良いから早く来るな、念を押された結果、９時過ぎに家を出た。</p><br><p>　美紀さんも買い物に行くから、と駅までついてきてくれた。</p><br><p>　雲が少し出ているけれど、きれいな青空。何か良いことがありそうだ。</p><br><br><p>　言われた時間の１０分前に到着した。</p><br><p>　入ろうかどうか迷って入り口の辺りをうろうろしていると、自動ドアの向こうに制作スタッフ１の若手・小林君が目をギラつかせていた。その目つきなど、全身から出ているオーラのせいで近寄りがたい。</p><br><p>　小林君は高校・大学とラグビーをしていたらしく、体がゴツイ。</p><br><p>　小林君が私に気づいたらしく、そのランクがさらに上がった。</p><br><p>　ここを突破するのは、ただの女子中学生には無謀だし、そんな気もなかったので、中に入るにはやめた。</p><br><p>　今日もビルに隣接されているショップにはかなりの人が整理券を求めて並んでいた。</p><br><p>　その様子を少し離れたところから見ていた。</p><br><br><p>　１０時なって、あえて堂々と自動ドアから入っていった。</p><br><p>　小林君が「おはよう」と声をかけてくれたので、一礼してから、ケータイを取り出して、「今日は一段と威圧感ありました」と打って見せた。</p><br><p>　「ごめんね。社長に、何しても良いから阻止しろ!!って言われてね。」</p><br><p>　今日はそこにいるだけで、番犬以上の働きしてましたよ</p><p>　ずっと立ってたら、セコムとかいらないほどでした</p><br><p>　「そこまで言う？せめて人間扱いしてくれ。」</p><br><p>　分かりました</p><p>　じゃあ、あの人に制服借りたら？</p><br><p>　そう打って、笑いながら入り口近くに立っている警備員さんを指差した。</p><br><p>　もういい加減にしろよ、とちょっと怒った様子だったけれど、楽しそうだった。</p><br><p>　</p><p>　エレベーターが来て乗り込んでからも、小林君イジリは続いた。</p>
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<pubDate>Sun, 17 Mar 2013 16:05:00 +0900</pubDate>
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<title>言葉を紡ぐ　＃３６．家族の話</title>
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<![CDATA[ <p>　美紀さんに連れて行かれたのは、スカイツリーのふもとにあるショッピングモールに入っているカフェだった。</p><br><p>　食べたいもの頼んで良いよって言われたけれど、よく分からなかったので、美紀さんと同じチキンと香草のソテーとデザートを頼んだ。美紀さんはここの料理が好きでよく来ているらしい。この料理もおすすめだそうだ。</p><br><p>　他のテーブルには客がいたが、その人達と私たちの食事は違う。</p><br><p>　みんなは会話をしながら食事を楽しむけれど、私にはそれができない。</p><br><p>　笑ったり表情をくるくる変えながら、おいしいとかどんな味がするのかを相手に伝えるのだ。</p><br><p>　</p><p>　ランチのお皿が片づけられたら、やっと私たちの会話が始まる。</p><br><p>　鞄から小さいほうのノートを取り出した。</p><br><p>　美紀さんは、季節のタルトと紅茶。</p><br><p>　私はスフレチーズケーキとカモミールティー。</p><br><p>　「カモミールティー飲むなんて、裕歌ちゃん大人だね。」</p><br><p>　大好きな本で飲んでるシーンがあるんです</p><p>　それで　１回飲んでみたいなって</p><br><p>　「なろほどね。私も飲んだことあるけど、結構癖がなくておいしかった。」</p><br><p>　すると、二人分のデザートが届いた。</p><br><p>　「せっかく今日、裕歌ちゃんお休みだから、いろいろ聞きたいこと、聞こうと思って。」</p><br><p>　私は、なんですか？という顔で首をかしげた。</p><br><p>　「裕歌ちゃんのご家族ってどんな感じ？」</p><br><p>　うぅーんと目を閉じて少し考えてみた。</p><br><p>　みんなどこか抜けてます</p><br><p>　父はしっかりしていて真面目なんですけど、好きな食べ物がカレーとかハンバーグとか子どもみたい</p><p>　</p><p>　母はド天然です</p><p>　察しが悪すぎたりとか急に話題が変わったりとか</p><p>　料理もありえない食材の組み合わせだったりすることがあるんですけど　なぜかおいしい</p><br><p>　妹は名前に似合わないほどボーイッシュ</p><p>　花音[かおん]っていうんですけど　服とか好きなものがボーイッシュ</p><p>　言葉づかいも男の子っぽいかな</p><br><p>　性格がバラバラなんですけど　結束するとなかなか良い組み合わせなんです</p><br><p>　「いいな。見てて分かると思うけど、私が結構行動派で、２人が大人しいから、性格合わないんだよね、基本。</p><p>　まあ深いところでつながってるかなんとかなるんだけど。」</p><br><p>　そうやって美紀さんは笑った。ちょっと照れてるのかなと思ったりした。</p><br><p>　「娘は私に似てアクティブだったから、今みたいに２人でいろんな所に行ったな。</p><p>　一緒に買い物したり、ランチ食べに行ったり。」</p><br><p>　そう言うと、美紀さんは今日私を連れ出した理由を話し出した。</p><br><p>　「裕歌ちゃんは私の家のことはだいたい分かってもらえたと思うけど、私は裕歌ちゃんのこと、ほとんど知らないなと思って。</p><p>　それに裕歌ちゃん、娘に似てるんだよね、性格が。だから、家に娘が帰ってきたみたいで嬉しいんだ。</p><p>　なのに、裕歌ちゃんは私たちに敬語使ってくれたり遠慮したり、他人行儀みたいで嫌だったんだ。</p><p>　たった１か月だけだけど、うちに来てくれるんだから、和歌山の家みたいにゆっくりしてほしいんだ。」</p><br><p>　いいよね？いいよね!!と念を押されて、私は笑顔で１度うなづいた。</p><br><p>　今度は瀬川家の話をいろいろ聞いた。最初は自分の家族と似てないなと思ったけれど、聞いていくうちに似てる部分もあって、楽しくなった。</p><br><p>　</p><p>　ケーキもお茶も飲み終えて、おうちに帰るころには実の母娘のようになっていた。</p><br><p>　</p><p>　良かった。</p><p>　</p><p>　心に余裕ができた。</p><br><p>　美紀さんがいてくれて、私の気持ちは楽になった。</p><br><p>　これからどんな辛いことがあっても、美紀さんがついていると思うだけで、なんでも真正面から受け止められる気がした。</p>
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<pubDate>Sat, 16 Mar 2013 19:25:00 +0900</pubDate>
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<title>言葉を紡ぐ　＃３５．休みの日</title>
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<![CDATA[ <p>　翌朝。</p><br><p>　昨日は帰ってから着替えもしないでお風呂にも入らないで、そのまま寝てしまった。</p><br><p>　どうせ次の日が休みだからと諦めたんだと思う。</p><br><p>　全く、ズボラというかめんどくさがり屋にも程がある。女子としてどうかしてる。</p><br><p>　ゆっくり寝ててもいいのに、目覚ましをかけてないのに、６時半に目が覚める。</p><br><p>　今日は確か直樹が家にいる日だ。普通にしていよう。普通に。ふつうに・・・。昨日のことは彼に悟られてはいけない。</p><br><p>　――まだ隠そうとしている。スカイさんに言った時点でもう隠せないって分かっているのに。</p><br><p>　顔を合わせたくなくて、２度寝しようと思ったけれど、こんな時に限って眠れない。</p><br><p>　いつものように、普通に、と言い聞かせて階下に行った。</p><br><p>　</p><p>　居間に行くと美紀さんしかいなかった。</p><br><p>　「おはよう、裕歌ちゃん。ごはんの前にシャワー浴びる？」</p><br><p>　そう言ってもらえて、先にシャワーを浴びることにした。</p><br><p>　</p><p>　シャワーからあがっても優作さんと直樹がいなかった。</p><br><p>　思い切って美紀さんに訊いてみた。</p><br><p>　「優作さんは昨日残した仕事をしないといけないからって、早くに出たわ。直樹は夜釣りに行って、そのまま仕事に行くって言ってたわよ。」</p><br><p>　２、３回うなずいて食卓に座った。</p><br><p>　美紀さんもまだだったらしく朝食を食べ始めた。</p><br><p>　</p><p>　最近仕事が忙しすぎてか、宿題は半分ほど残っていた。</p><br><p>　今日は片づける良い日だと思って、英語や数学のテキストを一気に片づけた。</p><br><p>　お昼時になって、美紀さんに呼ばれた。</p><br><p>　美紀さんの元に行くと、出かけるわよ、と嬉しそうに笑いながら言った。</p>
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<pubDate>Fri, 15 Mar 2013 12:10:00 +0900</pubDate>
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<title>言葉を紡ぐ　＃３４．傘</title>
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<![CDATA[ <p>　どのくらい時間が経ったんだろう。</p><br><p>　外に出てからずっと植え込みに座り込んで、そのまま寝てしまったようだ。</p><br><p>　頭がぼーっとして痛くて、何となくだるいから、風邪でも引いたかもしれない。</p><br><p>　けれど、体が動かなくてどこにも行けない。</p><br><p>　ただただ雨が止むことを待つしかできなかった。</p><br><p>　いつ止むかな？と空を見上げたりしてみたけど、しんどくてうつむくとまた眠ってしまった。</p><br><p>　</p><p>　「大丈夫ですか？大丈夫ですか!?」</p><br><p>　体が揺らされているのに気づいて、何とかして目を開けると、自分より少し年上に見える男子が傘を私に傾けてくれていた。</p><br><p>　「大丈夫ですか？すごく濡れてますよ。</p><p>　立ち上がれますか？</p><p>　僕、すぐそこのビルに入ってる会社のものなんですけど、とりあえず、そこまで行きましょう。</p><p>　こんな所にずっといたら、風邪とか肺炎になってしまいますよ。」</p><br><p>　何とか一度うなずくことができて、それからまた記憶が無くなった。寝てしまったようだ。</p><br><p>　</p><p>　目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った。</p><br><p>　頭はまだ痛かったけれど、さっきよりはだいぶましになった。</p><br><p>　起き上がると、スカイさんが私が起きたのに気付いたようだ。</p><br><p>　「裕歌！　お前はどれだけ心配させたら気が済むんだ!!」</p><p>　第一声から怒ってる・・・。そりゃ怒るよね、こんなことしたんだもんね。</p><br><p>　「今日はもうみんな帰らせたから、裕歌も帰れ。俺が家まで送ってやる。</p><p>　明日も仕事休みにしたから、ゆっくり家で寝てろ。</p><p>　間違っても、来るんじゃねーぞ。その時は俺が入り口で追い返すからな。」</p><br><p>　言葉が怒ってる。でも、心は怒ってない。怒りは静まったようだ。</p><br><p>　「立てるか？」</p><br><p>　そう言って、スカイさんは手を貸してくれた。</p><br><p>　その手に甘えさせてもらうことにした。</p><br><br><p>　スカイさんは会議室から鞄を持ってきてくれているようで、そのままスカイさんの車に乗った。</p><br><p>　外はまだ雨が降っていて、この雨は明日の朝まで続くと、ラジオが言っていた。</p>
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<pubDate>Thu, 14 Mar 2013 13:45:00 +0900</pubDate>
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