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<title>きみのしゅわっち ぼくのどろん</title>
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<description>「どこへ行ってしまうのですか？」と言います。</description>
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<title>兆候群の夏</title>
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<![CDATA[ <p>いま出航していったあの舟の目的地は、きっとどこかに潜む西瓜畑なのだ。それはいつか夢のランプになる。溶けた氷みたいに幽霊がみんな出てきた日、手をつないで輪っかをつくってた。ぼーんぼーん、と雷が鳴っておりますのは晴れた空の下、わたくしのたましい三階にて。ちり色の虫眼鏡にふらふら光が寄ってきては、紙を焼いていた。ねえ、いい思い出はいつも光のたまった三階でぼんやりしている。どうしたのか、不作の年のまんなかでかかしが泣いているのであの夏まで連れていくのだ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<pubDate>Fri, 02 Dec 2016 11:58:13 +0900</pubDate>
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<title>星座電球会社</title>
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<![CDATA[ <p>はくちょう座の口のところにそっと手を入れて、きゅるきゅると外しながら星座技師が説明しました。「これは、アルビレオ。しっぽのところにあるのが、デネブ。羽のところにあるそれはまだ名前がないのだ。そういうのがいっぱいあるから、むかしは水素表を見ながら決めていたんだけどね。すきとおったじゅんばんにことばをつなげていくのだ。射手座の方面なら、ほとんどぜんぶぼくが名付け親だよ。でも使い方を忘れてしまったからね。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>そんな話をしながら、つぎつぎとはくちょう座の星を交換していくのです。あっというまにしごとが終わりました。「ほら、見なよ。夜空の電光板に次のしごとが書いてある。だからもう行かなくちゃならない。ぼくがどこへ行くのか興味あるかい。じゃあ荷台付きのそりをあげるから、きみもしごとをするんだよ。星座電球会社をさがすんだ。きっと見つかるさ。おなかにわるいから積荷の星を齧ったりしちゃいけないし、見つめすぎるのもよくないよ。じゃあまた、いつか会おう。」 そういうと、星座技師はポケットからもうひとつのそりを出してきて、夜空に飛んでいって、見えなくなりました。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>それからというものぼくはそりに乗って、星座電球会社をさがしはじめたのでした。見つかるまでのあいだ見ようみまねで星を交換してみたかったのですが、感電するのがこわかったので、ちゃんと教えてもらうまでは積荷に手をつけないことにしたのです。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>その旅が終わるまでにもういちど、前に出会ったのとはちがう星座技師と話をする機会がありました。その人から、ぼくがこれからすることになるはずのしごとの、現状についておしえてもらったのです。「そろそろ木星の在庫がないので、どうすればよいのかわからない。このまえの晩にストライキがあったので入荷がおくれているらしい。オリオン座の左肩もそうなんだ。世界中で近ごろおなじようなことが起こってる。みんな星をつくるのがいやになってるのだね。この時代じゃだれも星なんて見ないのだからね。だからといったって、もう消えかかっている夜空を見ていたらかなしくなるのだ。だれかがそれを替えなきゃいけないのだ。ぼくは、そのしごとをしたいと思う。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>それからもそりを走らせつづけました。水平線が燃えるように波打ってとほうもない時が過ぎていきました。何度かそれを見つけたと思ったことがありましたが、よく似てはいたもののそれは星座電球会社ではありませんでした。もしかしたら星座電球会社というのはどこにも存在しないのかもしれません。もう灯らなくなった廃材の星を砕いてあまのがわに流したり、ガラス工房にかよって電球をふくらましたり、夜の玄関にあるマットを切り取って手袋をつくったり、だれにもおそわらないのに、感電するかもしれないのに、たったひとりでしごとをはじめなければならないのかもしれません。それなら星座技師というのはさびしいしごとだな。でもだれかがそれをやらなきゃいけないのだ。ぼくは、そのしごとをしたいと思う。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<pubDate>Wed, 30 Nov 2016 12:02:10 +0900</pubDate>
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<title>時計の名産地</title>
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<![CDATA[ <p>「ここは時計の名産地なのだ。でも、みのる野菜はみんな小さいのだ。辺りいったいに引力が小さいからなのだと博士たちは言ってました。あんまりにも時計をつくりすぎるので、測られている時間のほうがたりなくなると言ってた。この街の住人はみんながいい職人で、いいねじまきの作り方を知ってる。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>茶色い写真みたいな建物の並んでいるところをずっとあるいていきました。ショーウインドウの向こうにはたくさんの、飾り付きの時計がひとつずつ互い違いながら、とことこ鳴っているのです。「金平糖のかたちしたクオーツ入り」とか、「化石のオルガン付き」とかの看板が立っていて、いるのかいないのかわからないような不思議な人たちが、それを見つめていました。銅でつくったニワトリとか、ぜんまいでうごく消防士とかもいましたが、それはあまり人気ないようでした。通りはだんだんみちはばせまくなってきて、くねくねとつづいていくのを抜けたら、ふと丘の上のベンチにだれかすわっているので、彼の話をきいてみます。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ぼくだけは、ねじまきつくらないのです。代わりに動物となかよくなるバイオリンつくろうと思うのですが、うまいこといきません。心はうまいこといきません。いつも大変です。」といってはにかむ。なにか、すなおになりたい、すなおになりたい、という気持ちがわいてきて、見上げたむこうには、すこしずつ形を変えていく煙の柱や、ぼうっと影のような山脈や、そのふもとで輝く水田のみはらしが広がっているのでした。ところどころに規則ただしく鉄塔が建っていて、あかいランプが灯ったり消えたりしてます。ぜんぶ何かの線でむすばれているので、どうやら電気を供給しているのだなと思いました。夜になったら、こうこうとした星で一杯の空を地面に写しているみたいになるでしょう。もしかすると星座も、きっとなにか電気のことなのかもしれません。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ふかく、ふかく、青い空のまんなかで、雷がどーんとおちてきたら、子供たちはいっせいに両手いっぱいにトウモロコシや、じゃがいもや小麦を抱きしめながら、きらきらと光る水晶の坂をかけ下りていく。わたしはこの街で、まだいろいろと見て回りたくなるのです。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/linen-cloth/entry-12224243282.html</link>
<pubDate>Wed, 30 Nov 2016 09:20:20 +0900</pubDate>
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<title>ケータイ、けろろんぱ　最終章</title>
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<![CDATA[ <br><span style="font-size: 16px; line-height: 24px;">ケータイ<br>新しいのと<br>交換できたよー。<br><br>これで<br>いつもどおりです。<br>すべては<br>始まりへと<br>戻っていくのだ。<br><br>そして<br>始まりの向こうには<br>いったい<br>何があったのだろうか。<br><br>大きな謎を<br>のこしたまま<br>物語は<br>幕を閉じるのである。<br><br><br><br>「完」<br><br><br><br></span>
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<link>https://ameblo.jp/linen-cloth/entry-12186612237.html</link>
<pubDate>Tue, 02 Aug 2016 18:07:41 +0900</pubDate>
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<title>ケータイ、けろろんぱ　その２</title>
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<![CDATA[ <br><span style="font-size: 16px; line-height: 24px;">ケータイ<br>機種変更をしようかと<br>おもっていたのですが<br>やめたのです。<br>同じ機種の<br>新品と<br>交換することにしました。<br>いつも使ってきたから<br>一番使いやすいもんね。<br>それに、ポイントたまってたので<br>タダだったのです。<br><br>ということで<br>あさっての午前中には<br>新品が<br>手に入るのですが<br>それまでは<br>ドコモで貸してもらったケータイによって<br>なんとか暮らします。<br><br>そうなると<br>ポケモンＧＯ<br>やっぱり、できないままだなあ。<br>でも、いいんだ。<br>今年の夏は<br>心の草原を<br>走りまわるのさ。<br><br>ぼくは心にモンスターボール投げるのさ。<br>では、またね。<br><br><br><br></span>
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<pubDate>Sun, 31 Jul 2016 16:32:56 +0900</pubDate>
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<title>ケータイ、けろろんぱ</title>
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<![CDATA[ <span style="line-height: 21px;"><br><span style="font-size: 16px;">ケータイ<br>ついに<br>電源入ったり<br>落ちたり<br>くりかえすように<br>なっちゃった。<br><br>今までも<br>同じこと<br>あったんだけど<br>なんとか<br>自分で直してたの。<br>でも、もうだめみたい・・・。<br><br>ということで<br>新しいケータイを<br>買ってもらえるのです。<br>今日、ドコモに行ってきます。<br><br>ポケモンＧＯ<br>できるようになるかも。<br>そしたら<br>お墓で<br>ユーレイポケモンをつかまえます。<br><br>では、またね。<br><br><br><br></span></span>
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<link>https://ameblo.jp/linen-cloth/entry-12185812026.html</link>
<pubDate>Sun, 31 Jul 2016 08:55:02 +0900</pubDate>
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<title>ターナ・バーター</title>
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<![CDATA[ <br><span style="font-size: 14px;"><br>みんなのヒーローが<br>やって来る<br>その名はターナ・バーター<br>なので、願いごとしましょう<br><br>アマゾンで<br>注文しようと思っていたゲーム<br>マイナーだから売れ残ってたのに<br>いつのまにか<br>入荷待ちになってる<br>だから、買うのをあきらめて<br>想像で遊ぶことにしたのですが<br>わびしいので<br>何とかしてください<br><br>まかせなさい<br>いざ出陣だ<br>タナバーター<br>怪人を倒すのだぞ<br>えっほ、えっほ<br><br>あらわれたなっ<br>子どもたちの夢を食べていたのだな<br>パンダ怪人<br>この技をみよ<br>たけのこチョップ<br><br>すべては終わった<br>そして、救われた世界を背にして<br>男は立つ<br>その名はターナ・バーター<br>あとは永遠に<br>平和な、この世界で<br>忘れ去られるのを待つだけさ<br><br>ありがとう<br>そして<br>さよなら<br>ターナ・バーター<br><br>ぼくらの永遠のヒーロー<br><br><br><br><br></span>
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<pubDate>Thu, 07 Jul 2016 15:50:24 +0900</pubDate>
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<title>蝉とバリケード</title>
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<![CDATA[ <span style="font-size: 14px;"><br><br>鳥は<br>体の中に<br>砂時計を持っていて<br>貝を食べては<br>その殻を<br>砕いているのです<br><br>あいさつができないということで、世界はどうしても身近なものにならない。地震に備えて祖父のつくっていた土嚢の砂を、家族みんなで笑ってから、海に帰すために歩いたときのこと、祖父のために地震が起こればよかった。あいさつをするのが良いのか、それとも世界が壊れた方が良いのかわかりません。心を砕き終わったあとで、ぼくはみんなとあいさつしたい。ぼくはみんなにあいさつをしてまわりたい。<br><br>ドライバーを沈めましたが<br>湖のねじが<br>もとに戻りません<br>あの箱は<br>花を浮かべて<br>ぼくの棺の形をしています<br><br>「あたらしい冬に砂糖の小瓶がこわれて、彼の足跡を数えるためには、彼の振るサイコロの目を数えていけばよかった。すれちがう時、彼が「おはよう」といった、それは夜のことだったが、彼はきっと別の光を見ていたのだと思う。」<br><br>蝉とバリケード。インクの切れたペンで、ずっと文字の跡ばかり残している気がする。人間の気持ちがわからなくなったのだとはっきり自覚した夜のこと、こわくて仕方がなくなったぼくは住んでいた町を逃げ出した。林のなかで寝起きして、草を食べて、雨を飲むうちに、何のことだか良くわからなくなった。いつのまにか、古いお城のまえに立っていて、破れたバリケードのすきまには蝉がとまっていた。馬の幻影がそれを乗り越えて、ずっと先の方へと走っていった。人の声をこわがりながら生きているうちに、もう二度と戻れなくなってしまったのだ。どうせいつか死んでしまうのに、どうしてこの瞬間だけでも、幸せに生きられないのだろう。原始人が、石でぼくを叩く。幸せになろうとするたびに、食べ物がなかった頃を思い出して、このゆたかな時代をねたむのだ。そうしてぼくは、過去のすべてを供養するために、一切の幸せをあきらめて、目をつむることに専念しはじめた。<br><br>蝉とバリケード<br>王には<br>翼がなく<br>空を弾圧する<br><br>「告示。翼にはニカワを用いて接着されたし。太陽に近づきすぎれば熱で溶けて落ちること。海に近づきすぎれば湿気で溶けて落ちること。すなわち、外国への渡航を禁ずる。禁を破りし者には水難の相あり。」<br><br>午後は<br>すわったまま<br>背中をまるめている<br><br>なにかおかしな<br>接着剤をつくっている<br></span><span style="font-size: 14px;"><br><br><br><br></span><br>
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<pubDate>Fri, 01 Jul 2016 13:21:21 +0900</pubDate>
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<title>天使予報士</title>
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<![CDATA[ <span style="font-size: 14px;"><br><br>おはようございます。天使を見つけたという嬉しいニュースが各地から届いております。今朝は、この天使ブームのパイオニア的存在であられる、ドクターＫさんにお越しいただいております。天使と初めて遭遇したときのことや、Ｋさんにとって天使とは一体なんであるのか等々、ブームの知られざる原点に迫ってみたいと思います。では、おねがいします。<br><br>みなさん<br>どうも。<br>ドクターＫです。<br><span style="line-height: 21px;">小さいころに<br>傘をなくしたので<br>それ以来<br>思い出の中に<br>一本の川があり<br>そこをぼくの傘が<br>ずっと<br>長いこと<br>ながれているのです。<br>日の沈む方へ<br>ながれて<br>見えなくなり<br>また朝になると<br>日の出る方から<br>ながれてくるのです。<br>その傘が<br>思い出の中で<br>メッセージを<br>受信する。<br><br>ぼくにはただひとりの友だちがいました。ぼくはひとつの世界を創造しましたが、彼はふたつの世界を創造していました。そうして、夏休みが終わったら、ぼくの世界はいつまでも佳作のままで、彼の世界は総理大臣の手に触れて、飛行機に乗らされて、いろんな肌の色をした、髭の生えた大勢の、くさい息のする巨人の会議にまわされて、時の経つたびに、数えきれない勲章のピンに突き刺されてボロボロになっていきました。ぼくの世界には穴がひとつも開かなかった。それで良かったのかもしれない。でも、ぼくは彼がうらやましかった。だからぼくはこっそり、彼の世界をひとつ盗んで、自分の作った世界の中に入れました。そうすると、世界の中にもうひとつの世界があるというので、みんなびっくりして、今度はぼくの世界をピンで刺しはじめたのです。ただひとりの友だちだった彼は、それを祝ってくれました。けれども、彼は、ぼくが一体何をしたのかを、知っていたにちがいないのです。やがてぼくの世界も彼のと同じようにボロボロになったころ、彼は言いました。「本当は、きみは、最初から世界をふたつ作っていたのだよ。でも、あの夏に、ぼくはきみの世界をひとつ盗んだのだ。今まで、どうしても言い出せなかったんだ。ごめんなさい」彼の気持ちが、ぼくにだけはわかるような気がした。そしてこの世で、ぼくの気持ちをわかってくれるのも、ただひとりの友だちである彼だけなのだと思った。今度の夏は、ふたりでひとつの世界を作ってみよう、と計画している。<br><br>天使確率４０パーセントですので、おりたたんだパラボラの傘をみんなで川に流して、おのおのメッセージを受信してください。昨日の夢の中であなたは、職人さんの玄関にすわりこんだまま４０年を過ごし、ようやく叶えられた願いを棒に振ったのですから、今日の夢の中では、ちゃんとスパイ道具のような靴をつくってもらって、思う存分に手紙を書いてください。<br><br></span></span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;">ねむりの中でねむるということは、死の死を、事前に演習しておこうという意志を持っておかないことには、成しえない事業なのですから、世界はひとつの傘ですが、ぼくが傘を二本持ち歩くのは、かならずや足りない人が出るだろうと予想してのことなのです。<br></span><span style="font-size: 14px;"><span style="line-height: 21px;"><br>靴のかかとの中に書きためていた手紙はみんな羽ばたいて、have a nice day、年を重ねたすえに歯がないっすね。そうです、それゆえポリデントの泡の中に昔話をうつしだしては、はじけて消える思い出を見送るのです。友だちと手をつないだまま、海の向こうから輝きが来る、ここに世界はふたつあり、何か生まれるよりも、もっと縁起のいい何かすばらしい出来事。<br><br><br><br></span></span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;"><br></span>
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<pubDate>Fri, 01 Jul 2016 12:40:33 +0900</pubDate>
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<title>くじら座の見える窓</title>
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<![CDATA[ <br><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;"><br>あのカーブの先で戦車みたいな子とぶつかりたい。そんなハッピーエンドを探していたら花屋さんに来た。僕を見て、どうせ花のことなんて何も知らないだろうと思った三つ編みの小さな店員さんから、枯れた花をすすめられるのだけど、何も知らない僕は枯れた花を買わされてしまって、それはそれとして、戦車みたいな子とぶつかりたいので、再びあのカーブの先へと急ぐ。<br></span><br style="font-size: 14px; line-height: 21px;"><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;">想像された立方体の外で</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;">雨が降っている。</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;">閉じ込められた僕は</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;">テーブルに着いたまま、死神のシャッフルする手つきからカードを数える。白昼夢を見てしまって、缶コーヒーの内部で溺れている。ようやく抜け出すと、すでに海岸は最後の夏になっていて、夕焼けで火をつけたタバコを吸うと、水平線の向こうへ帆掛船が消えてゆく。</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;"><br><br>カーブには名前があって、名前を呼ぶと、カーブの方からこっちに来るという。だから僕はここに立ったまま、その名前を呼ぶ。僕が行くのではなく、道が来るのだ。僕がカーブするのではなく、道がカーブするのだ。傘をさすことによって雨が降っているのだ。風車を回すことによって風が生まれているのだ。<br><br>雨の広場のテーブルで、カードをやりすぎて表情を失くしてしまった人たち。もうさむくない。あとはあたたかいだけだ。たくさんの手紙をどうもありがとう。ラジオの向こうには別の大陸があるというので、僕は向かっている。君がアメリカで、僕はコロンブス。何を感じてもいいのに、決して伝えてはいけない。傘を届けたくて走っていたら、駅のあたりの小さな外れで君とすれちがった。<br><br>モザイクと、クラッシュと、オレンジ。それからどのようにしても、水を飲みたくなる。君は夕焼けを作った。タバコのために。だからいまだにデッキブラシを握って、町の小さな船々をみがく仕事から離れられないでいる。やがてそれが当たり前になった頃、ふと思い出すのだ、イルカ色の光に包まれた人々の魂のことを。<br><br>世界がひろがっていたら、もっときれいな星空になっていたのだろうか。僕の窓は小さくて、たった一つの星だけを見ていた。夜のプールで、取り残されたふたりはデッキブラシを握ったまま、将来について話し合っている。</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;">いつか君はどうやってすべてを忘れて、そして僕もどうやって人々と生きはじめるのだろうか。</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;"><br><br>バッドエンドから逃げているうちに、奴隷船の底で長いあいだオールを漕ぐことになった。どうにかして抜け出そうともがいているうちに、暴動が起こって、すべてが沈みはじめたので、こっそりと救命ボートをふくらませた僕は無人島にたどりついた。<br><br>それからさみしくなってきた頃、死神が追いかけてきたので、うれしくて抱きついた。なんだかよく分からないうちに、その胸ポケットからくじら</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;">座のカードを引き当てると、世界がふるえて、</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;">死神は</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;">クランベリー・ジュースに</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;">変わった。さよなら、ハッピーエンド。さよなら、バッドエンド。僕には何でもない日々がお似合いなのさ。</span><span style="font-size: 14px; line-height: 21px;"><br><br><br><br><br><br><br></span>
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<pubDate>Mon, 27 Jun 2016 16:05:18 +0900</pubDate>
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