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<title>山のち釣り、ときどき酒</title>
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<description>日記と昔ばなしのページです。</description>
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<title>疑心　最終話</title>
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<![CDATA[ <p><br>（よし、沢から上がろう）。<br><br>そう決心した。<br><br>完全に日が暮れる前に車道を探し、キャンプ場に辿り付かなければならない。<br><br>手早く身支度を済ませ、大小の岩が転がる狭い河原から一段高くなった台地へ上がる。<br>藪の中で引っかからないように毛鉤は外し、ラインもリールの中に収容した。<br><br>日中でさえ日が差しにくい杉の林のなかは、すでに暗くなり足元が見えにくいのだが、<br>幸いにも下草があまり生えていないので、藪漕ぎのような状況にはならなかった。<br><br>キャンプ場への最短コースは上流に向かって斜め右方向のはずなのだが、いまとなってはその判断に自信がなくなっている。<br><br>とにかく車道を目指し、沢と直角方向にまっすぐ進む。<br><br>沢から30メートルほど進むと沢音も遠のき、それまで平たんだった台地は少しずつ傾斜を増し急な斜面になった。そう遠くはない斜面の途中に車道が通っているはずだった。<br><br>（車道には白いガードレールがあったはず…）<br><br>そう思って頻繁に前方の斜面を見上げるのだが、ガードレールは見えなかった。<br><br>もし、車道に行き当たらず延々と斜面を登り続けるか、下りになって別の沢に行き当たってしまうようなことがあれば、それは心配していたとおり別の沢に入り込んでいたことになる。おそらくその場合は、日没時間切れとなって山中で夜を明かすことになるだろう。<br><br>いま登っている斜面の途中で車道に行き当たるという結果以外は、すべてハズレなのだ。<br><br>半ば祈るような気持ちで斜面を登り続けた。<br><br><br>〇<br><br><br>底にフエルトが張られた釣り用のシューズは、踏ん張りがきかずにズルズルと滑って歩きにくい。四つん這いになって草を掴むようにして登っていく。<br><br>車道を走る車がいれば、ヘッドライトの明かりが見えるはずなのだがそんな気配はまったくない。本当に早池峰山の懐深くに入り込んでしまったのだろうか……。</p><p>&nbsp;</p><p>地図もライトも通信手段も持たない状況では、歩く以外に方法はなかった。迷ったら動かないほうがいい、という登山の鉄則も頭の中にはなく、遭難しかけているという実感もなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>天気予報では、明日から大雨という予報になっていたはずだ。もし、今日中に戻ることができず、沢筋でで大雨に降られるようなことになったら、それこそ本当の遭難になってしまうかもしれない。</p><p>&nbsp;</p><p>孤立無援とはこんな状況のことをいうのだろうか。</p><p>&nbsp;</p><p>どれくらい経っただろう。<br><br>急斜面を這いつくばるようにして登っていくと、突然、傾斜がなくなり目の前に白いガードレールが現れた。あれだけ探しても見つからなかった車道が唐突にそこにあった。下からでは、階段の踊り場のようになった車道の空間にあるガードレールが見えなかったのだ。<br><br>ガードレールを乗り越えて車道に立つと、50メートルほど先にキャンプ場入り口の看板が見えた。<br><br>身体から一気に力が抜け、車道にしゃがみ込んでしまいそうになった。<br><br>やはり、あの沢はキャンプ場の脇を流れる沢だったのだ。<br><br>沢が蛇行していることを考慮しても、あと70～80メートルほど遡ればキャンプ場が見えただろう。<br><br>しかし、一度抱いてしまった疑心を最後まで振り払うことができず、自分を信じることができず、夢中で斜面をよじ登るという滑稽な行動をすることになってしまった。<br>まったくお粗末なことだった。<br><br><br>疑心を抱くことがなければ、（思ったより距離があったな～）という感想だけで済んだはずだった。<br>それが、ふと（本当にこの上流にキャンプ場があるのか？）、という疑心が芽生えたことにより、（沢の分岐を見落してしまったのではないか）（別の沢に迷い込んでしまったのではないか）、悪い方へ悪い方へと考えを巡らせることになってしまったのだ。<br><br>こういう状況も疑心暗鬼というのだろうか。<br><br>無事に戻れてよかったという安堵感、カッコ悪いことをしてしまったという恥ずかしさ、人間の感覚なんていい加減なものだなという無力感、そんな思いがごちゃまぜになったまま、トボトボとキャンプ場へ歩いて行った。<br><br>「お帰りなさい。釣れた？」<br><br>ランタンの明かりに照らされたキャンプテーブルで食事の支度をしていた妻の笑顔を見たら瞬間、なんだか涙が出そうになった。<br><br><br>20年ほど前の真夏の出来事だ。<br><br><br>おわり<br><br><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20190819/22/m-ani-kun/77/e0/j/o0430047314543645309.jpg"><img alt="" height="462" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20190819/22/m-ani-kun/77/e0/j/o0430047314543645309.jpg" width="420"></a></p>
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<link>https://ameblo.jp/m-ani-kun/entry-12509089696.html</link>
<pubDate>Mon, 19 Aug 2019 22:44:29 +0900</pubDate>
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<title>疑心　第２話</title>
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<![CDATA[ <div>（待てよ、この沢は本当にキャンプ場の横を流れている沢なんだろうか……）</div><div>&nbsp;</div><div>釣りはじめた時から，いや買い物に行くときからずっと，いま釣りをしている沢はキャンプ場の横を流れている沢だと思っていた。今でもそう思っている……。</div><div>&nbsp;</div><div>でも，もし違う沢だったとしたら……。</div><div>&nbsp;</div><div>この沢を遡ればキャンプ場にたどり着くというのは思い込みで、本当は、まったく違う沢で釣りをしているのではないか。</div><div>&nbsp;</div><div>そんなはずはない。キャンプ場から下流の橋までは沢に沿った道だったはず……．</div><div>&nbsp;</div><div>でも、もし途中に支流が流れ込んでいたとしたらどうなる。水面の毛鉤ばかりを見ていて分岐に気づかず、その支流に入り込んでしまった、ということはないだろうか……。</div><div>&nbsp;</div><div>いや、周りの地形から考えても，もう一本別の沢が流れているとは考えにくいし、いま自分がいる沢には、かなりの水量がある。仮に支流があったとしても本流と間違えるほどの水流があるとは考えにくい。間違って入り込むなんてことはあり得ないだろう。</div><div>&nbsp;</div><div>疑心を打ち消そうと、いろいろな反証を挙げてみるのだが、一度抱いてしまった疑心は、そう簡単に消せるものではない。こんなとき、地図を持っていれば問題はすぐに解決するのだが地図はキャンプ場においてきていた。</div><div>&nbsp;</div><div>支流に入りこんでいるのだとしたら、遡れば上るほど、本来たどり着くべきキャンプ場からは遠ざかり、早池峰山の懐深く入り込んでしまうことになる。</div><div>&nbsp;</div><div>どうしよう……。</div><div>&nbsp;</div><div>少しの間、立ち止まって考える。</div><div>&nbsp;</div><div>唯一、確実な方法がある。</div><div>&nbsp;</div><div>遡ってきた沢を下流に向かって戻ることだ。それなら確実に元の橋に戻ることができる。登山でも迷ったら引き返すが鉄則ではないか。</div><div>&nbsp;</div><div>そう思って振りかえるが、もちろん沢に入った橋は、はるか下流になってしまっている。</div><div>&nbsp;</div><div>早くキャンプ場に着きたい一心で歩を早めため、今となっては、戻ることも難しくなっていた。橋に辿り付く前に完全に日が暮れてしまうだろう。沢の中で暗闇になったら、それこそ厄介なことになる。</div><div>&nbsp;</div><div>もっと早い段階で、戻ることを決意していればよかったのだが、やはり心の中の、(もう少し行けば橋が見えるのではないか)という期待が、引き返すという選択肢を打ち消し続けてきたのだ。</div><div>&nbsp;</div><div>そうしている間にも、日はますます暮れていく。沢から見上げた稜線は日没間際の雲間から一瞬差し込んだ残照で茜色に染まっていた。その稜線に自分のいる沢筋から夜の戸張が、じわりじわり迫りつつあった。</div><div>&nbsp;</div><div>残照が消えてしまったら、ライトを持たない自分は、歩くことができなくなってしまうだろう。もう悩んでいる時間はないようだった。</div><div>&nbsp;</div><div>（よし、沢から上がろう）。</div><div>&nbsp;</div><div>そう決心した。</div><div>&nbsp;</div><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20190808/21/m-ani-kun/e7/82/j/o1632122414526469831.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="465" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20190808/21/m-ani-kun/e7/82/j/o1632122414526469831.jpg" width="620"></a></div><div>次号に続く</div><div>&nbsp;</div>
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<link>https://ameblo.jp/m-ani-kun/entry-12502911192.html</link>
<pubDate>Thu, 08 Aug 2019 17:41:09 +0900</pubDate>
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<title>疑心　第1話</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p style="text-align: left;">午後遅くなって雲行きが怪しくなってきた．<br><br>冷たい沢の流れに浸かったまま見上げる空は高層雲で埋まり、その下を黒味を帯びた片積雲が西から東へ流れていく．気象の入門書に出てくるような典型的な天候悪化の兆候だ。<br><br>雨になりそうだった。<br><br>（天気予報が当たったなあ）<br><br>太ももまで浸かれば容易に渡渉できそうな幅５メートルほどの渓流は，今夜の宿となるキャンプ場脇を流れていた．キャンプ場といっても，小さな橋のたもとにトイレと炊事場があるだけで管理人もいない、見た目は草の生えた広場だった。<br><br>東京から車を運転して岩手県早池峰山の山裾にあるキャンプ場に到着したのは２時間ほど前。テントを設営し下の街まで食料の買い出しに行った帰り道、橋のたもとで車から下してもらい釣り始めた．<br><br>その橋は，キャンプ場から車で少し下った所にあり、橋の下流は農村地帯を流れる里川，上流は小規模ながら山岳渓流の様相を示していた。ここから釣り上ればキャンプ場にたどり着くはずだ。<br><br>「じゃあ，キャンプ場のところまで釣り遡ってみるよ」<br><br>「了解！　2匹は釣ってきてね～」<br><br>と言って妻と別れ，支度をして釣り始めたのはもう夕暮れ時だったが，同時に一番釣りに適した夕まずめ”の時間でもある。小さな渓流だからはじめから大物は期待していないが、はるばる東北まで来たのだ。少しでもいいから釣りをしたかった。<br><br>ケースから小さめの毛鉤を選び、白泡の切れ目に振り込んで流れに乗せる．</p><p style="text-align: left;"><br>何回か流すが反応なし．<br><br>毛鉤の水気をフッと息を吹きかけて払い，再び流れのなかに振り込む．<br><br>時折，小さな岩魚らしき魚影が突っつきにくるものの，毛鉤のサイズが大きすぎて口に入らないのか，なかなか針掛かりしない．やっとのことで１５センチ程の岩魚を釣り上げたものの、その後はすっかり反応がなくなってしまった．<br><br>橋から近い場所だから魚がスレていても仕方がないのだが，遠く東北まで来ていい魚が釣れないというのもなんだか寂しい．<br><br>（まあ，夕飯前の手慰みってことだから…）<br><br>釣れない言い訳を呟きながら，日の傾きも気になってきたので，少しテンポを上げて釣りあがっていく．<br><br>どれくらい遡っただうか．<br><br>振り向けば，もうとっくに入渓した橋は見えず，右岸は傾斜のきつい広葉樹林，左岸は相変わらず杉の森が続いている．それほど遠くない所を車道が通っているはずなのだが，ここからでは薄暗い杉林が奥まで延々と続くだけで道は全く見えない．<br><br>（もうそろそろキャンプ場の脇に掛かっている橋が見えてくるころだ）<br><br>買い物に出かけるとき，入渓地点の橋を渡って街へ出た．そのときの感覚では，キャンプ場から橋まではせいぜい車で１～2分の距離というイメージだった．<br><br>（もう少し距離があったのかな…）<br><br>そう思いながらさらに釣り遡っていく．<br><br>普通なら毛鉤を2回流すところを1回で見切りをつけ、どんどん遡っていった。<br><br>10分ほど経っただろうか，空はますます暮れていき，あたりは薄暗くなってきた．<br><br>(いくなんでも次のコーナーを曲がればキャンプ場の橋が見えるだろう）。<br><br>そう自分に言い聞かせて，先を急ぐ．正直に言えば、このころから少し不安を感じはじめていた。もはや釣果は，どうでも良くなっていた．<br><br>しかし，コーナーを曲がっても橋は現れず、50メートルほど先で、また右に曲がって深い森の中へ続いていた。<br><br>（沢の中で暗くなっちゃうとやばいから，もう釣りを切り上げてサッサと遡っていくか）そう思ったとたん，ふと疑心を抱いた。</p><p style="text-align: left;">&nbsp;</p><p style="text-align: left;">（待てよ、この沢は本当にキャンプ場の横を流れている沢なんだろうか……）</p><p style="text-align: left;">&nbsp;</p><p style="text-align: left;"><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20190805/11/m-ani-kun/c9/9e/j/o1732230914523121389.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="560" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20190805/11/m-ani-kun/c9/9e/j/o1732230914523121389.jpg" width="420"></a></p><p>&nbsp;</p><p>次号へ続く</p>
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<link>https://ameblo.jp/m-ani-kun/entry-12501717041.html</link>
<pubDate>Mon, 05 Aug 2019 11:56:48 +0900</pubDate>
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<title>オーバーナイト・ハイク　最終話</title>
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<![CDATA[ <p>時計を見ると午前2時になっていた。<br><br>キャンプ場を出発したのが午後8時だったから、延々6時間も歩いていたのだ。昼間なら3時間もあれば登れるコースだから、やはり夜道という状況が、大きな制約になったということだ。しかし、とにかくぼくたちは目的の頂上に着いたのだ。山小屋に明かりはなく、営業しているのかどうかはわからなかった。</p><p><br></p><p>頂上は開けているので、暗いとはいってもぼんやりと周りの様子が見える。遠く南東の方向に街の光が見えた。ぼくたちは少しの間その光を眺めた。あの光の街にいる人たちは、ぼくたち3人が山の上から眺めているなんてことは、まったく思いもせず眠っている。当たり前のことなのに、そんなことが不思議に思えた。</p><p><br>ひととおり頂上の標識や三角点を確認したぼくたちは、登山道を少し下った場所で身体を寄せ合って風避けをつくり、固形燃料に火を着けた。</p><p><br></p><p>風に煽られ、ゆらゆらと頼りなく揺れ動く青白い炎を見ていると睡魔が襲ってくる。</p><p><br>時間をかけてお湯を沸かして紅茶を入れ、非常食のビスケットを食べた。そして、休憩を終えたボクたちは下山を開始した。暗い頂上ではすることもなく、御来光を待つには時間があり過ぎ、仮眠をするには寒すぎたからだ。</p><p><br></p><p>　　　　　　　　　⚪</p><p><br></p><p style="text-align: left;">暗いとはいえ一度は通った道、ぼくたちは登りの倍くらいのスピードで山道を駆け降りて行った……と言いたいところなのだが、実はここからは記憶が曖昧になり、あまりよく覚えていない。何しろ一睡もせずに歩き続けているのだ。疲労と睡眠不足のため、フラフラとまではいかないまでも、かなり集中力が落ちていたのではないだろうか。しかし、幸い尾根を踏み外すことも、道を誤ることもなく、ボクたちは再び林道に戻ってきた。</p><p style="text-align: left;"><br>夜が明けはじめ、二俣あたりまで来るころには、空と稜線との境目がはっきりして山のカタチがわかるようになった。そして、お互いの表情もわかるようになって懐中電灯は必要なくなった。<br><br>行くときはまったく見えなかった登山訓練所の赤い屋根が林道から離れた森の中に見え、暗闇でぼくたちを驚かせた尾関氏の胸像を通り過ぎるころ、Jが「女の人の声がする……」と言い始めた。<br><br>ボクとHには、まったく聞こえないのだが、Jは「ほら、声がするだろ」というのだ。ふざけて言っているのかと思いJの顔を覗き込んでみたが、とても嘘を言っているようには見えなかった。<br><br>もしかすると登山訓練所に泊まっている人の声が聞こえてきたのではと思い、耳を澄ましてみたのだが、やはり何も聞こえなかった。<br><br>すでに明るくなっていることもあって、怪談的な怖さは感じなかったが、何かに獲り憑かれているようなJの様子が少し怖かった。ぼくとHは、「気のせいだろ」とJに言い聞かせ、疲労と睡眠不足によるJの幻聴である、と強引に結論付け、それ以上詮索することをやめた。<br><br>しかし、そのあと林道を歩いていると、ぼくとHにも聞こえる不思議な音があった。それは「ひゅーん、ひゅーん」というムチを振るうようなかん高い、近づいてくる電車の音がレールから伝わってくるときのような音だった。ちょうど林道の上を送電線が通っていたので、「風で送電線が鳴ってるんじゃないか？」と大して風も吹いていないのに無理のある推論で自分たちを納得させることにした。本当のところはわからない。</p><p style="text-align: left;"><br>帰り路では、そんな出来事があったものの、道に迷ったり、心臓が止まりそうになるような事件は起こらず、大倉集落に戻ることができた。オーバーナイト・ハイクのことが、キャンプ場のオジサンに知られたらひどく怒られそうだったので、受付を通らず、川を渡って自分たちのキャンプサイトに戻った。朝の７時を過ぎていたように思う。結局１２時間近くも夜の山を歩きまわっていたのだ。<br><br>朝ごはんを作る他のサイトの焚火の煙や、飯盒から漂うオコゲの香りがするなか、ぼくたちはお腹が空いているのも忘れてテントに転がり込み、ただひたすら眠りこけたのだった。<br><br>これが、「オーバーナイト・ハイク」の顛末だ。</p><p style="text-align: left;"><br>ぼくらはその後、違う日に大倉尾根から改めて表丹沢の主峰ともいえる塔ノ岳に登って表尾根を縦走したり、何日目かの夜、吹き荒れた暴風のためにテントのポールを折られてしまったり、ラジオの深夜放送を聞きながら大声で唄ったり、とにかく色々な経験をしたのだけれど、それはまた次の機会にしよう。</p><p style="text-align: left;">&nbsp;</p><p style="text-align: left;">おわり<br><br><br><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20190729/16/m-ani-kun/60/7f/j/o1840269514516008985.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="615" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20190729/16/m-ani-kun/60/7f/j/o1840269514516008985.jpg" width="420"></a></p>
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<link>https://ameblo.jp/m-ani-kun/entry-12499027493.html</link>
<pubDate>Mon, 29 Jul 2019 13:33:56 +0900</pubDate>
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<title>オーバーナイト・ハイク　第3話</title>
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<![CDATA[ <p>”心臓が止まりそうになる”、とはまさにこのことだった。<br><br>懐中電灯の明かりに浮かび上がった人物には、胸から下がなかった。いや、胸から上しかなかった、というべきか。ぼくらを驚かせたのは胸像だったのだ。<br><br>鍋割山に登ったことのある人なら「ああ、あれか」ということになると思うが、登山訓練所手前の林道わきに塔ノ岳の尊仏山荘を建てた尾関　広という人の胸像が建てられている。<br><br>そんなことをまったく知らないボクたちは、突然浮かび上がった人の顔に本当に腰を抜かすぐらいビックリしたのだった。オチがわかってしまえば、「な～んだ」ということになるのだが、必ず出てくるとわかっているお化け屋敷のお化けさえ驚くのだ、なんの予兆もなくこの場面に遭遇する状況を想像してみてほしい。<br><br>しかし、この胸像のお陰で自分たちが登山訓練所の近くまでやって来ていることが想像できた。そうであれば中間地点ともいえる二俣や、林道の終点ももうすぐのはずだ。ダラダラした歩きがもう少しで終わるのだ。ボクたちは気を取り直して再び歩き始めた。<br><br>二俣を過ぎると林道は徐々に細くなり沢の音が近づいてきた。林道と沢の高低差がなくなってきたのだ。さらに進むとすぐ脇を沢が流れる広場のような場所に出た。そこが林道終点のようだった。<br><br>ここで、ザックを降ろして少し長めの休憩をとる。（おそらく、この地点が現在「鍋割山荘への水場」と呼ばれている場所だったのではないかと思う）<br><br>日付が変わろうとしていた。ここで引き返したとしても十分にナイト・ハイクをした、という実績になるのだが、なぜか「もう帰ろう」とか「もういいんじゃない？」というようなことを口にするヤツはいなかった。それぞれ不安を感じていながらも自分からは言い出しにくかったのか、「みんなで登れば怖くない」的な集団バイアス的な状態になっていたのか、”とにかく頂上までは行こう、というサミッターとしての目覚めだったのか、今となってはよくわからない。<br><br>　　　　　　　　　　　　〇<br><br>休憩を終えたボクたちは、懐中電灯で登山道の入口を探した。昼間なら多少距離が離れていてもペンキの〇印や道標を見つけることができるのだろうが、今は懐中電灯の明かりが届く範囲しか見ることができないのだ。<br><br>すると、少しして広場に流れ込んでくる細い廊下のような沢の入り口に道標を見つけることができた。この沢の中を少し登ると正面が岩で塞がれたようになっている。ここで右側の斜面に取り付いて植林された杉の林のなかへと登っていくのだ。昼間でも、わかりにくいと思われる場所だった。思い返してみてもこの時、暗いなかでよく見つけられたものだと思う。もしかしたらスタート直後の迷走が経験値となり、野生の勘のようなものが少しだけ敏感になっていたのかもしれなかった。<br><br>杉の林のなかの道は明瞭に踏まれ、懐中電灯で照らしさえすれば迷うようなことはなかった。ぼくたちは稜線に向けズンズンと高度を上げていった。<br><br>どれくらい登っただろうか。頬に風を感じた。稜線が近いのだ。<br><br>そしてぼくたちは唐突に後沢乗越に着いた。西側から少し湿り気のある風が吹いていた。汗が一気に引いて寒い。乗越とは尾根の低くなった部分で鞍部とも呼ばれる。そのまま向こう側へ降りていくことができれば、後沢峠と呼ばれていたはずだが、ここには稜線の向こうへ降りていく道はない。地図によると西側は急な斜面でウシロ沢の源頭になっている。尾根は痩せていて細かった。<br><br>ここから南北に連なる尾根を北に向かって登っていけば鍋割山の頂上に着くはずだ。<br><br>ところどころに岩が顔を出す稜線の道は、単調な林道歩きや、湿った苔の臭いのする杉の林の道と違い、いかにも”登山”をしているという気分にさせられた。足元に気をつけながらカヤトと低灌木で囲まれた登山道をひたすら高い方へ、高い方へと登っていくと、だんだん傾斜が緩やかになり、前方に山小屋が現れた。<br><br>鍋割山の頂上だった。<br><br><br>時計を見ると午前2時になっていた。</p><p><br><br><br>（次号へ続く）</p><p style="text-align: right;"><br><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20190725/13/m-ani-kun/3b/41/j/o3163407114512133634.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="541" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20190725/13/m-ani-kun/3b/41/j/o3163407114512133634.jpg" width="420"></a><br>&nbsp;</p>
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<pubDate>Thu, 25 Jul 2019 13:05:28 +0900</pubDate>
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<title>オーバーナイト・ハイク　第2話</title>
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<![CDATA[ <p>第2話<br><br>ボクたちは、出発していきなり道に迷ってしまった。<br><br>キャンプサイトから鍋割山に登るには、西に尾根を1本跨いだ四十八瀬川沿いの林道まで、<br>畑や森を越えて行かなければならない。<br><br>5万図には、林道までの道が描かれているのだが、尾根上の登山道と違い、この辺りには地図には描かれていない生活道路や農道が縦横に走っていた。<br><br>しかも街灯がほとんどない集落の夜道は暗く、誰も鍋割山に登ったことがないボクたち3人は、記憶に頼るということもできなかった。<br><br>「とにかく西へ向かえば四十八瀬川にぶつかるはずだよ」と言いながら進むのだが、そんなに都合の良い道があるわけもなく、何回も進路を変えさせられるうちにボクたちは現在位置と進むべき方向を失ってしまった。<br><br>幸いにも、大倉尾根末端であるこのあたりは見晴らしの良い丘陵地帯で、星明りや、眼下に広がる秦野方面の街明かりがよく見えた。だから、漆黒の闇というようなことはなく、黒い森を背景に畑や農家らしき家の形がぼんやりと見えた<br><br>散々悩んだ末に僕らは一軒の農家で道を尋ねることにした。時間はおそらく午後9時を回っていたと思う。<br><br>こんな遅い時間、山の中の一軒家に子供が山への道をを尋ねに来るというのは、かなり怪しく半分ホラーなのだが、とにかくこの家の人のお陰で、竹林や豚小屋の脇をすり抜けるような細い道を進み、ようやく林道にたどり着くことができたのだった。<br><br>林道脇には、「丹沢大山国定公園」と書かれた立派な看板が設置してあり、ぼくらは再び地図上に現在位置を確認することができた。現在地を地図上に示すことができる重要性と安心感をぼく達は改めて実感した。<br><br>あとは、この林道を上流に向かってズンズンと進んで行けば登山訓練所のある二俣に行きつくはずだ。道に迷った影響でかなりの時間を浪費し、出発してからすでに2時間ほどが経っている。ぼくたちは林道を急いだ。<br><br>電池を節約するため時々懐中電灯を消す。明かりを消して少しすると目が慣れ、白っぽい林道がぼんやりと見える。左側の谷から聞こえてくる四十八瀬川の音と、自分たちの靴が蹴散らす砂利の音、それだけを聞きながら、とにかくぼくたちは黙々と歩いた。<br><br>1時間ほど歩いただろうか。懐中電灯の明かりの輪のなかに、石組みの階段のようなものが見えた。<br>公園だろうか……。ベンチでもあるなら少し休憩しようかと階段を上がり、少し進んだとき、懐中電灯の明かりのなかに突然人の顔が浮かび上がった。<br><br>人の顔、しかも胸から下がなかったのだ……。<br><br>”心臓が止まりそうになる”、とはまさにこのことだった。<br><br><br>（次号に続く）<a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20190719/12/m-ani-kun/ae/05/j/o1954356414506524609.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="766" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20190719/12/m-ani-kun/ae/05/j/o1954356414506524609.jpg" width="420"></a></p>
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<link>https://ameblo.jp/m-ani-kun/entry-12495632362.html</link>
<pubDate>Fri, 19 Jul 2019 12:51:31 +0900</pubDate>
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<title>オーバーナイト・ハイク　第1話</title>
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<![CDATA[ <p>第1話</p><p style="text-align: left;">今から40年ほど前、ボクは中学の同級生2人と神奈川県丹沢、水無川の麓にキャンプに行った。おそらく中2の春だったように思う。メンバーは、ボクと同じ団地に住むH君。そして中学に入ってから知り合ったJ君。</p><p>H君はボーイスカウトに入っていて、野外活動やキャンプの知識も豊富にもっていた。</p><p>J君は、小学校は違うのだが自転車が大好きで、よく「やっぱりブレーキはカンパニョロだよな」などとマニアックに語り、『サイクル野郎』という漫画にハマり、自転車での日本一周を夢見ていたボクとは気が合った。</p><p>そんな3人で「キャンプに行こう！」ということになり、僕らの街から小田急線1本で行くことができ、遠足でも訪れたことのある丹沢が選ばれた。</p><p>　　　　　　　　　　　　〇</p><p>小田急線の渋沢駅からバスに乗り終点の大倉までは何の問題もなくたどり着いた。とても順調なスタートに思えたのだが、ここで予期しない問題が起きた。</p><p>キャンプ場で受付をしようとしたら、管理人のオジサンから「中学生だけでは泊めるわけには行かないよ」と言われてしまったのだ。<br>想定外の事態にボクたち3人は、途方に暮れかけたのだが、<br>キャンプ場から自宅に電話をかけ、親と直接話をしてもらことで、ようやくキャンプをする許可が下りたのだ。</p><p>当時は「なんだよ。あの親父！」とかテントを建てながらぶつくさ文句を言っていたような気がするのだが、いま思えば、キャンプ場の管理人として至極真っ当な対応だったように思う。</p><p>さて、ハプニングはあったものの、H君がボーイの隊から借りてくれた最新型の家型テントのお陰で、中学生のキャンプとは思えない、とても充実したテントサイトが出来上がった。</p><p>テントサイトが出来上がってしまえば、あとは特にすることもない。ボクたち3人は、まったく自由な気分でキャンプ場の周りを探検したり、薪を集めて焚火をしたり、心行くまでキャンプを楽しんでいた。</p><p>　　　　　　　　　　　　〇</p><p>そんな勢いが有り余った結果、”オーバーナイト・ハイク”に行こう、ということになった。オーバーナイト・ハイクは、文字通り夜のハイキングで、ボーイスカウトの活動としてH君は何回か経験があるようだった。</p><p>そうと決まれば、行く先の検討だ。<br>さっそく、国土地理院の5万図を拡げて相談した。今なら、間違くなく昭文社の「山と高原地図－丹沢」を使うところだが、ボーイスカウト出身のH君にその発想はなかったし、ちょっとした探検気分を盛り上げるには5万図がちょうどよかったのだ。</p><p>そして、僕たちが行先として選んだのは”鍋割山”。なぜ、鍋割山にしたのかよく覚えていないが、おそらく表丹沢の主峰ともいえる塔ノ岳を避け、それより少し標高が低く、比較的奥まで林道でアプローチすることができる、たぶん簡単に登れるだろう、というのが選んだ理由ではなかったと思う。</p><p>当時は、それほど気にしていなかったのだけれど、これはもうハイクではなく完全なる登山。<br>いま思えばかなり無謀な計画だったように思うけれど、当時のぼく達には探検に行けるという高揚感だけで、不安や心配は感じていなかったように思う。</p><p>夕方から焚火をして飯盒めしとレトルトカレーの夕食を済ませたボクたちは、地図、水、固形燃料と紅茶、非常食、懐中電灯と雨具をバックパックに詰め、午後8時ころキャンプ場を出発した。</p><p>ところが、出発していきなり道に迷ってしまったのだ……。</p><p>※写真と本文は少しだけ関係があります</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20190717/16/m-ani-kun/e3/04/j/o1229091914505065974.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="314" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20190717/16/m-ani-kun/e3/04/j/o1229091914505065974.jpg" width="420"></a></p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>（次号に続く）</p>
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<link>https://ameblo.jp/m-ani-kun/entry-12495048362.html</link>
<pubDate>Wed, 17 Jul 2019 16:29:57 +0900</pubDate>
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<title>【誘惑】</title>
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<![CDATA[ <p><br><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20171215/14/m-ani-kun/25/59/j/o3840216014091401800.jpg"><img alt="" height="236" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20171215/14/m-ani-kun/25/59/j/o3840216014091401800.jpg" width="420"></a><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20171215/14/m-ani-kun/32/c7/j/o3840216014091401805.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="236" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20171215/14/m-ani-kun/32/c7/j/o3840216014091401805.jpg" width="420"></a></p><p><span style="font-size:0.83em;">運動不足解消とダイエットを兼ねて，この夏から週1～2回プールで泳いでいる．<br>有り難いことに帰宅ルートをちょっと迂回すると「千葉県国際総合水泳場」というすごく立派なプールがあるのも理由のひとつ．<br>大人は500円／2時間だ．<br><br>泳ぐといっても半分くらいは，リタイヤした先輩方々と一緒の”水中歩き”．<br>でも，ちゃんと泳いでもいますよ．ただなかなかタイムが上がらないので，<br>ちょっとフォームを見直しそうとしているところ．<br><br>とりあえずの目標は45秒／50ｍ．シニアのベストからしたら圧倒的に遅いのだけど，<br>高校の臨海学校の遠泳のために平泳ぎを教わったくらいで，きちんと水泳習ったことないし，<br>飛び込みができないから，まあこんなところでいいでしょ．<br><br>さて，プールに行ったは酒を控える＂休肝日＂にすることにしているのだが，<br>駅の構内には，なんと由緒正しい”居酒屋”が二軒も，こちらに向かってにっこりと微笑んでいる．<br><br>いつも（イヤイヤ，見なかったことにしよう）と，<br>コンビニでウイダーインゼリー（プロテイン）を買って電車に乗り込むのだけれど，<br>そのうち誘惑に負けてしまいそうだな．<br><br><br>2017年師走</span><br>&nbsp;</p>
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<pubDate>Fri, 15 Dec 2017 14:04:38 +0900</pubDate>
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<title>【自称常連】</title>
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<![CDATA[ <p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20171215/14/m-ani-kun/b2/35/j/o3057193514091400858.jpg"><img alt="" height="266" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20171215/14/m-ani-kun/b2/35/j/o3057193514091400858.jpg" width="420"></a></p><p>最寄りの駅前通りに古本屋がある｡<br>古本屋といっても売っているのは本だけではなく、古いフィルム式のカメラ、南部鉄瓶、アコースティックギター、年代モノのレバーアクションのライフル（西部劇に出てくるやつ）、超合金等々、とにかく色んな物を売っている｡<br>店の外にも超お買い得品の漫画やDVDが雑然と並んでいる｡</p><p>ときどき店先に4本マフラーのHONDA　CB750F(巨摩 郡のじゃなくて早川 光のほうね）が停めてあるところも非常に気になっている｡</p><p>ボクはよっぽどのことがない限りほぼ毎日ここに立ち寄る”常連”だ｡<br>店番のお兄さんはひどく無口で代金とおつりの受け渡し以外の会話はほとんどない｡</p><p>常連とは言ったものの1回の買い物で払う金額はせいぜい300～500円程度。1,000円を超すことは滅多にない。しかもほとんどの日は，何も買わずに帰る”冷やかし”だ ｡だから店番のお兄さんはボクを”常連”と思ってくれているかどうかわからない．ということで　”自称”。</p><p>駅前の再開発計画で店仕舞したところが多く、なんとなく寂しく薄暗い駅前通りにあって、暖かそうな明かりの灯るこの店に，理由もなく立ち寄ってしまうのだ｡</p><p>今度、お兄さんにバイクのこと聞いてみようかな．</p><p>2017年12月</p>
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<pubDate>Fri, 08 Dec 2017 11:57:25 +0900</pubDate>
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<title>【Y君の思い出】</title>
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<![CDATA[ <p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20171208/12/m-ani-kun/66/34/j/o1280072014086754769.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="236" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20171208/12/m-ani-kun/66/34/j/o1280072014086754769.jpg" width="420"></a></p><p>&nbsp;</p><p>高校時代の同級生と飲んでいるとき，Y君という共通の友人がいたことが判明した．<br>Y君の家は学区のいちばん端っこにあって小学校まで遠く1.5キロもあった．<br>ボクの知る限り彼は一番遠いところから通っていたのだが，雨の日も雪の日も頑張って通っていたと思う．だけど，確か5年生のときに隣接する学区の小学校に転校してしまったのだ．</p><p>彼の家は地元の名士ともいうべき裕福な家で，家や庭も広かった．育ちの良さからか，ちょっと内向的でおとなしい彼とボクは，なんとなく気が合い学校が終わると良く一緒に遊んでいた．</p><p>&nbsp;</p><p>ある年の冬．自分の誕生日のこと．<br>１月生まれのボクの誕生日は当たり前だけど冬まっただ中で，その日は雪が降っていた．それでも誕生会にはY君をはじめ4～5人が集まってくれた．</p><p>誕生会はいつしか雪合戦となり，ボクたちは大いに盛り上がったのだけど，<br>たまたまU君が投げた雪玉がY君の顔面を直撃してしまったのだ．<br>もちろんU君に悪気はなかったし，たかが雪玉だ，とボクらは思っていた．しかし当たりどころが悪かったのか，ショックだったのか，今となってはよくわからないのだけどY君はケーキも食べずにひとり家に帰ってしまったのだ．</p><p>&nbsp;</p><p>夕方，母親が「Y君にケーキを持って行っていってあげなさい」というので，<br>ボクは彼が食べるはずだった分のケーキをもって暗くなりかけた雪道を歩いて届けに行った．</p><p>恥ずかしかったからなのか，まだ拗ねていたからなのかわからないが，Y君はちょっと顔を見せただけだったように記憶している．けれど，彼のお母さんはボクがわざわざケーキを届けに来たことにひどく恐縮して，バスで帰るようにとバス賃を渡してくれた．</p><p>&nbsp;</p><p>そのお金をもらってバスで帰ったのか，それを断って歩いて帰ったのかは，実はよく覚えていないのだけれど．ボクの人生のなかで一番記憶に残る誕生日になったことは間違いない．</p><p>そんなY君が転校した先の小学校にいたのが，高校時代の同級生だったというわけだ．</p><p>&nbsp;</p><p>本当は，この話から，世の中って狭いよねという，【六次の隔たり（Six Degrees of Separation）】の話をしようと思っていたのだけど，小学校の思い出が溢れてきていっぱいになってしまった．</p><p>&nbsp;</p><p>Y君，元気にしているだろうか？</p>
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<link>https://ameblo.jp/m-ani-kun/entry-12334434639.html</link>
<pubDate>Thu, 07 Dec 2017 11:59:54 +0900</pubDate>
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