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<title>MDgak kit 小説</title>
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<title>－第１部－ 「あとがき」＆「目次」</title>
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<![CDATA[ <p>皆さま、23日に渡ってご愛読ありがとうございました<img height="16" alt="ビックリマーク" src="https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/039.gif" width="16"></p><br><p>第１部「テニスクラブ殺人事件」を項目別に再編集して、目次を設けました。</p><br><p>なお、第２部は現在創作中です。</p><p>完成は、まだいつになるか分かりませんが……<img height="16" alt="あせる" src="https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/029.gif" width="16"></p><p>夏ごろになるか、はたまた秋か来年か……<img height="16" alt="汗" src="https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/028.gif" width="16"></p><br><p>ともかく、それまでしばしのお別れです。</p><br><p>もちろん、皆さまのブログへは不定期にはなるかと存じますが、<font color="#ff0000" size="2"><strong>これからもご訪問させて頂きます</strong></font><img height="16" alt="音譜" src="https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/038.gif" width="16"></p><p>皆さまのブログに遊びに行かせてもらうことが、なによりの楽しみですから<img height="16" alt="！！" src="https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/176.gif" width="16"></p><br><br><p>どうぞ、これからもよろしくお願い申し上げます。</p><br><br><p><font color="#008000" size="3"><strong>　　　　　　　　　－　目　次　－</strong></font></p><p><strong><font color="#008000" size="3"><br></font></strong></p><p><font color="#ff0000" size="3"><strong>　　　　－第１部－ テニスクラブ殺人事件</strong></font></p><br><br><p><font color="#ff1493" size="3"><strong>　　　　　　　<a href="http://ameblo.jp/m-d-shine-style/page-2.html"><font color="#ff1493">１．　　悠斗　テニス</font></a> </strong></font></p><p><strong><font color="#ff1493" size="3"><br></font></strong></p><p><font color="#00bfff" size="3"><strong>　　　　　　<font color="#00bfff">　</font><a href="http://ameblo.jp/m-d-shine-style/page-3.html"><font color="#00bfff">２．　　悠斗　潜入</font></a></strong></font></p><p><font color="#ff0000" size="3"><strong><br></strong></font></p><p><font color="#ff0000" size="3"><strong>　　　　　　　<a href="http://ameblo.jp/m-d-shine-style/page-4.html"><font color="#ff0000">３．　　悠斗　推理</font></a></strong></font></p><p><font color="#ee82ee" size="3"><strong><br></strong></font></p><p><font color="#ee82ee" size="3"><strong>　　　　　　　<a href="http://ameblo.jp/m-d-shine-style/page-5.html"><font color="#ee82ee">４．　　動機とトリック</font></a></strong></font></p><p><font color="#fa8072" size="3"><strong><br></strong></font></p><p><font color="#fa8072" size="3"><strong>　　　　　　　<a href="http://ameblo.jp/m-d-shine-style/page-6.html"><font color="#808000">５．　　第２の犠牲者</font></a></strong></font></p><p><font color="#0000ff" size="3"><strong><br></strong></font></p><p><font color="#0000ff" size="3"><strong>　　　　　　　<a href="http://ameblo.jp/m-d-shine-style/page-7.html"><font color="#0000ff">６．　　事件『解決』……</font></a></strong></font></p><p><strong><font color="#0000ff" size="3"><br></font></strong></p><p><strong><font color="#0000ff" size="3"><br></font></strong></p><p><font color="#0000ff" size="3"><font color="#000000" size="2"><font color="#0000ff">p.s.</font> これまで１日<font color="#ff0000" size="3"><strong>450</strong></font>人くらいの人たちに毎日ペタを頂きました。この場をお借りして、あらためて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。</font></font></p><p><font size="2">　</font></p><p><font size="2">　<font color="#000000">せっかく「恐竜」まで育ったペタキャラですが、これからは日に日に退化していくのでしょうね。そう思うと、今からちょっと寂しい気分になります……</font></font><strong><img height="16" alt="汗" src="https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/028.gif" width="16"></strong></p><p><br><strong>　</strong><font size="2"><font color="#000000">また、</font><font color="#000000">小説ランキングも、おかげさまで50位まで上がることができました。</font><font color="#000000">これも一重に皆さまのおかげと感謝しております。</font></font></p><p><font color="#000000" size="2"><br></font></p><br><p><font color="#000000" size="2">　それでは、そろそろペンを置きます。</font></p><p><font color="#000000" size="2"><br></font></p><p><font color="#000000" size="2">　次回作でまたお会いしましょう</font><strong><img height="16" alt="ビックリマーク" src="https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/039.gif" width="16"></strong></p><p><strong><br></strong></p><br><br><p>　　　<br><font color="#ff00ff">------------------------------------------------------------</font><br></p><p>　　<br></p><p><strong>　</strong></p>
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<pubDate>Tue, 13 May 2008 00:48:00 +0900</pubDate>
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<title>第１部「テニスクラブ殺人事件」－１－『悠斗　テニス』</title>
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<![CDATA[ <p><font size="2">　　　　　　　　　　　　　　　　　　-1-<br>　　　　 　 　　　　　　　　　悠斗　テニス</font></p><p><br><font size="2">　「あー、ダメダメ！」<br><br>　テニスコートに男の声が響いた。4月上旬の暖かな日である。<br><br>　「それじゃあダメだよ」<br>　男は呆れた口調でさらにダメを押した。<br><br>　「すいません……」と、気の弱そうなもう一人の男が謝った。<br>　「ボレーは苦手なんです……」と、申し訳なさそうに、ダメ出しをした男を見て苦笑いを浮かべる。<br><br>　「グリップを変えろよ。ボレーはもっと『グリップを厚く』握らないとダメなんだよ！そんなだから、いつまでたってもボレーが安定しないんだ」と、男は吐き捨てるように言ってから、「ほら、こう！」と、頼まれてもいないのに『技術指導』を始めた。<br><br>　ダブルスをしていた他のメンバーは、『また始まった……』とばかりの顔をして、お互いを見ていた。<br><br>　ちなみに『グリップ』とは『握り方』のことである。「グリップを変える」というのは、なにも「グリップを取り替える」ことではなく「握り方を変える」ということ。<br><br>　「ほら、これでやってみろ！」<br>　そう言って男がゆっくりとボールを投げると、気の弱そうな男がボレーを成功させた。<br><br>　「そうそう！」と、男が親切顔で言う。<br>　「それでいいんだよ。そのグリップでこれから練習してみろ。上手くなるから！」<br><br>　「はい！ありがとうございます！！」と、気の弱そうな男が嬉しそうにお礼を言った。<br><br>　それを見た他のメンバーは『やっと終わった』と、胸をなでおろしたような顔をしてから、一人が「西野先生、続きを……」と言った。<br><br>　どうやら男の名前は『西野』といい、『先生』と呼ばれる職業らしい。『先生』といってもいろいろあるが、他の3人が相当気を使っている様子から、この西野がグループのリーダーなのは間違いなさそうだ。<br><br>　「おう、分かった分かった！」<br>　そう言って西野がプレーに戻ろうとした時、突然、隣のコートから大きな声が響いてきた。<br><br>　「『ボレーはグリップを厚く』だって……！」<br>　若い男の声だ。<br><br>　「しかも、それ言われて『ありがとうございます』って、どうかしてるな」と、さらに声が続いた。<br><br>　「ユウちゃん、ちょっと……。見ず知らずの人に失礼でしょ」と、若い女性の、たしなめるような小さな声が聞こえた。<br></font></p><p><br>　「おい、坊主！」と、西野が怖い形相で『ユウちゃん』をにらみつけて怒鳴った。<br><br>　『ユウちゃん』は、隣のコートのベンチに、西野に背を向けて座っており、西野の怒鳴り声に動じる様子もなく靴ひもを結んでいた。<br><br>　「今のは俺たちに向かって言ったのか！？」と、西野はさらに大きな声を出した。<br><br>　「いや、別に……」と、『ユウちゃん』は振り返るでもなく、立ち上がって言った。<br>　「思ったことを口にしたら、あんたにたまたま聞こえた……ってだけだよ」と、『ユウちゃん』は半分振り返って西野を横目で見た。高校生くらいのハンサムな男だ。<br><br>　「ちょっと、ほんとにやめなさいってば……」と、隣にいた高校生くらいの美しい女性が、小声でたしなめる。<br><br>　「ほんと、すみません。この人、悪気はないんです。４年間アメリカ暮らしで、つい最近日本に帰ってきたばかりなんで、まだ日本の風土になじめないっていうか、その……、つい思ったことを言ってしまうっていうか……」と、その女性はあわてたそぶりで西野に説明した。<br><br>　「私なんて丸４年間……、４年間ですよ！日本で待ちぼうけして。手紙書いても返事もくれないし……。で、帰ってきてからこの人何て言ったと思います？『おう、お前、生きてたのか』ですよ。ひどいと思いません？こんなヤツなんですよ、こいつは！」と、その女性はやや早口で言葉を続けた。<br><br>　「美鈴、お前……。それでフォローしてるつもりか」と、『ユウちゃん』はその女性『美鈴』に、あ然としたように言った。どうやらこの２人は幼馴染みの関係らしい。<br><br>　「お前ら、高校生か！何年だ！」と、西野がイライラしたように言ってきた。<br><br>　「あ、に、２年生です」と、美鈴が答えた。<br><br>　「美鈴、やるぞ」と、『ユウちゃん』がもはや西野には何の興味もないかのように、ラケットとボールを持ってコートに向かって歩き出した。　<br><br>　「ちょっと待てよ！」と、西野が声を荒げた。<br>　「さっきから、『ユウちゃん』『美鈴』って、見せつけてくれるじゃあないか。高校生のジャリたれが」<br><br>　「はぁ……。『ユウちゃん』っていうのは、こいつが勝手に言ってるだけだし、美鈴っていうのはこいつの『名字』だから仕方ねーだろ。別にカップルでもなんでもないんだけど……？」と、『ユウちゃん』が面倒くさそうに答えてから、『答えるんじゃなかった』と少し後悔したような表情を浮かべた。<br><br>　「うわ、ユウちゃん、ひどい！！そんな言い方ってある？それが4年間もじっと待ってた幼馴染みへの仕打ち!?」と美鈴が言った。<br><br>　「いや、別にお前に言ったわけじゃ……。ほら、今日だって、『テニス教えて』っていうから、こうして貴重な休日をさいてだな……」と、『ユウちゃん』があわてて言った。<br><br>　「ほう、じゃあ、俺にも教えてくれよ、テニス」と、西野が意地悪く言ってきた。<br>　「それで負けた方が土下座して謝るってのはどうだい！？」と、西野が言葉を続けた。</p><p><br>　「キミ、やめときなさい。西野先生はこの前の市長杯でもベスト16に入った強豪だ」と、西野の後ろから一人の男が『ユウちゃん』を諭すように言ってきた。<br>　「西野先生も、子供をからかうのは、もうそのくらいに……」<br><br>　「俺はいいけど！？」<br>　『ユウちゃん』が、男の言葉が終わるのを待たずにそう言った。<br><br>　仲間の言葉で、引き揚げかけていた西野は、『ユウちゃん』の言葉に一瞬体が固まり、そして振り返って睨みつけるように「本当にいいんだな！？」と言った。<br><br>　「別にいいけど、負けたらちゃんと土下座してくれよ？」と、『ユウちゃん』が言った。<br><br>　「おもしろい。ガールフレンドの前で恥をかかせてやるよ」と、西野が言った。</p><p><br>　こうして２人の試合が始まった。<br><br>　「６ゲームマッチでいいな？」と西野が言うと、「別になんでも」と『ユウちゃん』が答えた。<br><br>　コイントスで『ユウちゃん』からのサービスゲームとなった。<br><br>　「生意気なクソガキめ。俺が高校生なんかに負けると思ってるのか。思い知らせてやる」と一人ごとを言いながら、西野がリターンの位置に立った。<br><br>　『ユウちゃん』がボールをトスアップし、ラケットを振り下ろした。<br>　その瞬間、時速200kmはあろうかというボールが、センターラインに決まって西野の横を通り抜けた。<br><br>　「なっ……」<br><br>　西野は絶句して固まった。<br><br>　「バカな……。プロ並みじゃあないか」と、西野の仲間の一人がつぶやいた。<br>　その後もサービスエースを決め続け、あっという間に『ユウちゃん』が第一ゲームを取った。<br><br>　「ちょっと、お嬢さん。……名前なんていうの」と、西野の仲間の一人が美鈴に小声で尋ねてきた。<br><br>　「え……。み、『みこと』です。美鈴美古都。美しい古い都、と書いて美古都……」<br><br>　「そうじゃなくて、彼。彼の名前！」と、男は言った。<br><br>　美鈴が「あー。すみません」と言ってから、<br>　「『ゆうと』です。桜川悠斗。悠然のゆうに、北斗七星の……」と答えていると、男はその話を最後まで聞かずに戻って行った。<br><br>　「桜川悠斗……？国内では聞いたことがない。これだけの選手なのに……？もしかして……」と、その男は一人ごとを言いながら、携帯型の小型パソコンをバッグから取り出して、桜川悠斗が4年間いたというアメリカに絞って検索を開始した。<br><br>　「Yuto Sakuragawa……。あった！……。何だって！？」</p><p>　検索結果に驚いた男が、思わず大きな声を出した。<br><br>　「そんなバカな……。これでなんで日本で無名なんだよ。なんで報道されない？」と、男はつぶやくように言った。　　<br><br>　その間も試合は進み、悠斗のリターンエースとサービスエースの山が築かれていき、気がつけば5ゲーム連取で5-0と悠斗がリードしていた。<br><br>　西野はもはや茫然自失。<br>　いつの間にかギャラリーも集まっていた。<br><br>　「おい、あれ県議の西野じゃないか」と、ギャラリーの一人が連れと話している。<br>　「今日は午後２時から、ここのクラブハウスで彼の親睦会が行われるはずだろ？」<br>　「ああ、私のところにも招待状が届いたがね。私は丁重にお断りさせてもらったよ」などと、ギャラリーがささやき合っていた。<br><br>　西野は、先生は先生でも、議員先生であるようだ。<br><br>　その時、「0-40(ラブ-フォーティ)」のコールが聞こえた。どうやらあと1ポイントを悠斗が取れば、勝負は決するようだ。<br>　そして、歓声と拍手。悠斗がリターンをエースで決めた。<br><br>　「何者だ、きさま……」と西野がしぼりだすような声で言った。<br><br>　「別に。名乗るほどの者じゃあない」と悠斗は答えた。<br><br>　そしてコートの脇を歩いて戻って行く。<br><br>　ボレーを指導されていた『気の弱そうな男』の前を通り過ぎた時、悠斗は立ち止まって振り返り「1つだけいいですか」と言った。<br><br>　『気の弱そうな男』は驚いたように「は、はい」と答えた。<br><br>　「真偽の定かでない情報を、鵜呑みにするべきじゃあない。間違った練習は『ヘタを固める』ことになりますよ」と、悠斗が言った。<br><br>　その言葉にあっけにとられたような顔をしたその男をよそに、悠斗は再び向き直って歩き始めた。　<br><br>　その一方で、先ほどパソコンで悠斗のことを調べていた男が西野に歩み寄り、そっと耳打ちした。<br>　それを聞いた西野は驚いて言った。<br>　「あのクソガキが……！？そんなバカな……！！」</p><p><br></p><p>　午前11時を回ったこの時、これから２時間後にこの西野が死んでしまうとは、ここにいる誰もまだ知らなかった……。</p><p><br></p><p><br></p><p><font size="2"><br></font>　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550.jpg" target="_blank"><font size="2"><img height="128" alt="kyara2" src="https://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550_s.jpg" width="220" border="0"></font></a> <br><br></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font color="#ff1493" size="2">---------------------------------------------------------</font></p>
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<pubDate>Tue, 13 May 2008 00:35:34 +0900</pubDate>
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<title>－２－『悠斗　潜入』</title>
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<![CDATA[ <p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-2-<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　悠斗　潜入</p><br><p>　テニスを十分に満喫した美古都は、上機嫌だった。<br><br>　「あー、お腹すいた。シャワー浴びてたらもう1時になっちゃった。ねぇ、このクラブハウスの食堂で何か食べていきまょうよ！」と、美古都が悠斗に言った。<br><br>　「さあ、それはどうかな」と、悠斗が答えた。<br><br>　「あ、こんなところのご飯っておいしくないと思ってるでしょ。でも、ここの料理はすごくおいしいことで有名なんだから！なんでもここの料理長はフランスで８年間も修行してきたらしくって、テニスクラブのオーナーにぜひにって請われて……」<br><br>　「いや、そうじゃない。見ろよ。テニスクラブには似つかわしくないスーツ姿の人たちが、さっきから忙しそうに前を通り過ぎていくだろ。今日はどうやら、食堂は一般に開放されていない可能性が高いんじゃないかと思ってさ」と、悠斗が美古都の言葉をさえぎるように言った。<br><br>　シャワー施設から歩いて５分の食堂の前に２人がたどり着いてみると、悠斗の言う通り、入り口は招待客を出迎える人たちによってふさがれていた。<br>　どうやら招待状がないと中には入れないようだ。<br><br>　「あー、ほんとだ～！ショック～！！」と、美古都が本当に残念そうに言った。<br><br>　「食事は、近くのファミレスだな」と悠斗が言って、2人がその場を立ち去ろうとした時、突然食堂の中が雑然とし始めた。<br><br>　「先生、先生！！」という声が中から聞こえてくる。それに続いて「救急車を！早く！！」という声も聞こえてきた。<br>　入り口で出迎えをしていた人たちも、いっせいに食堂の中へと入っていった。<br><br>　「どうしたのかしら。何かあったのかな。ね、ユウちゃん……」<br>　美古都がそう言って振り返ると、悠斗の姿はすでになかった。<br><br>　「あれ、ユウちゃん……！ユウちゃんてば、どこ！？」と言いながら、美古都は辺りを見回したが、やはり悠斗の姿はどこにもなかった。<br>　「もしかして……。もう、ホントに血は争えないってゆうか……」とつぶやきながら、美古都は誰も止める者がいなくなった入り口から、食堂の中へ入っていった。<br><br>　中に入ってみると、案の定、悠斗はそこにいた。あわてふためく大人たちをよそに、その場を冷静に調べているようだ。<br><br>　「ユウちゃん、何してるの……」と、美古都が悠斗に近づいてささやいた。<br><br>　「さっきの『西野県議』が死んだ」<br>　悠斗が調査を続けながら美古都に答えた。その様子は冷静そのものだった。<br><br>　「うそ！！なんで！？」<br>　『死んだ』という言葉に驚いて、美古都はつい大きな声を出してしまった。<br><br>　「それを今調べているのさ」と、悠斗が言った。<br><br>　そこへ、警察が到着した。</p><p><br>　１人の刑事が死体を検視し、もう１人が周囲の人たちからその時の状況を聞き始めた。<br><br>　「立食形式の食事会で、西野先生が急に苦しみだして、そのまま……」と、１人が刑事に答えていた。<br><br>　「苦しむ直前に口にしたものが何か分かりますか」と、刑事が聞いた。<br><br>　「いや～」と、答えにつまっていると、そばにいた別の男が「そういえば、ワインを飲んでから急に苦しみ始めたような……」と言った。<br><br>　「ワイン？これですか？」と、刑事がテーブルの上に置いてあるワインを指差した。<br><br>　「そうです。それです」と、男は答えた。<br><br>　「でも、そのワインには何も問題ないと思いますけど……」と、その男は言葉を続けた。<br><br>　「問題ない？どうしてですか」と、刑事は聞いた。<br><br>　「西野先生はとても用心深い方で、いつも『毒味役』が先に口にしたものでないと、口には入れない方でした。そのワインも、いつものように『毒味役』がまず最初に飲んでいますが、彼はあの通りなんともないようですから……」と、少し離れたところにいる『毒味役』を指差して、男は答えた。<br><br>　悠斗は指差された方を見た。そこでは３人の人間が話をしていた。そのうちの１人が『毒味役』なのだろう。悠斗は彼らに近づいた。</p><p><br>　「すいません」と、悠斗が話しかけた。<br><br>　「あ、キミはさっき西野先生とテニスを……」と、１人が言った。<br><br>　「はい。少し聞きたいことがあるんですけど、よろしいですか」と、悠斗は言った。<br><br>　「はい、何でしょう」と、その人は言った。<br><br>　「実は、この中に西野氏の『毒味役』がいらっしゃると聞いたんですが」と、悠斗は言った。<br><br>　「あ、佐々木さんですね」と言って、その人は隣にいる背の低い小太りの男を見た。<br><br>　「彼が、西野先生の『毒味役』をされていた佐々木さんです」と、その人は言った。<br><br>　「毒味役は佐々木さん以外にはいらっしゃらなかったんですか」と、悠斗は尋ねた。<br><br>　「はい、彼は毒味のためだけに西野先生に雇われていたようなものですから」と、その人は答えた。その時、一瞬『毒味役』の佐々木は少しだけ顔をゆがめた。それは通常では分からないほど一瞬ではあったが。<br><br>　「佐々木さん、西野氏が苦しみ始めた時のことを詳しく教えてもらえませんか」と、悠斗が言った。<br><br>　「はい。私がいつものようにワインをグラスに注いで、それを飲んだ後、同じグラスに同じボトルのワインを注いで先生にお渡ししました。それを先生が飲んでからしばらくすると、急に胸の辺りをおさえて苦しみ始めました。そして、その場に倒れて、そのまま……」と、佐々木は答えた。<br><br>　「そうですか。佐々木さんはその時どうしていたのですか」と、悠斗が聞いた。</p><p><br>　「私は、倒れた先生のもとにかけよって、ただ『先生、先生！』と……。ほかにどうしていいのか、気が動転してしまって」と、佐々木は答えた。<br><br>　「そうですか。分かりました。ありがとうございます」と悠斗は言って、その場を離れかけた。<br><br>　「あ、あと一つだけ……」と、佐々木の方を振り向いて悠斗が言った。<br><br>　「西野氏はワインを飲む時に、特別のグラスを使われていたのでしょうか」と、悠斗が尋ねた。</p><p><br>　「い、いえ。……先生はいつもグラスの形状などはあらかじめ指定されますが、他の人と同じ型のグラスを使用されます。自分だけが特別のグラスですと、支援者の方々に反感を買うとおっしゃられていましたので……」と、質問はもう終わったと安堵した顔を見せていた佐々木は、少し驚いたような様子で答えた。<br><br>　「……、そうですか。ありがとうございます」と、悠斗は笑みを浮かべて言った。</p><p><br>　悠斗が西野氏の死体のそばに戻ってくると、刑事がまだ聞き込みを続けていた。<br><br>　「西野先生はこの親睦会の直前に、大変激しいスポーツであるテニスを、２時間以上もされていたそうですね」と、刑事がそばの男に尋ねていた。<br><br>　「はい。先生は大のテニス好きで……。このテニスクラブの特別会員でもありますし。そういうわけで、この度の親睦会もここで行われることになったんです」と、男が言った。<br><br>　「なるほど……」と、刑事がつぶやいた。<br><br>　そこへ死体を検視していた刑事がやってきて、「死体に特に不審な点はなさそうだ」と言った。そして、「おそらく、心臓発作が死因だろう」と、言葉を続けた。<br><br>　「激しい運動をした直後に、アルコールを過度に摂取したせいで、心臓発作を起こした……か」<br><br>　「自然死で、どうやら事件性はなさそうだな」<br><br>　「ああ。これは鑑識を呼ぶ必要もあるまい」<br><br>　２人の刑事はこう言って、それ以上の捜査を打ち切ろうとした。<br><br>　その時、「ちょっと待って下さい！」という声がした。</p><p><br>　悠斗の声だった。</p><p><br>　「こら、勝手に死体に手を触れるやつがあるか！」と、いつの間にか死体のそばにいた悠斗に、１人の刑事があわてたように言った。<br><br>　「大丈夫。ちゃんと手袋してますから」と、悠斗が涼しい顔で答えた。<br><br>　「なんだ、お前は」と、その刑事は顔をゆがめて言った。<br><br>　「キミは……」と、テニスコートで西野と一緒だった男が言った。パソコンで悠斗のことを調べていた男だ。<br><br>　「高校生か？お前は。なんでガキがこんなところをうろついてる。関係者なのか？」と、その刑事が言った。<br><br>　「いえ。まったく無関係です。通りすがりに『事件』に遭遇しただけで」と、悠斗が言った。<br><br>　「『事件』？これは自然死だ。事件ではない」と、その刑事が言った。<br><br>　「いえ、これはれっきとした『殺人事件』です」と、悠斗が言った。<br><br>　「なんだと、貴様……！俺の判断が間違っているというのか！？」と、その刑事は機嫌を損ねたように大きな声で言った。<br><br>　「残念ながら、そうです」と、悠斗は言った。<br><br>　「な……、なんだと！貴様。第一お前は誰だ！？部外者の素人が余計な口を出すんじゃない！！」と、その刑事が『もう勘弁ならん』という態度で怒鳴りつけた。<br><br>　「まあまあ……」と、もう１人の刑事が割って入って来た。50代くらいに見える、優しそうな顔をした刑事だ。<br>　「キミも、もう帰りなさい。子供が遊び半分にいるところじゃない。仏さんもいるのだから。あとはプロの我々に任せるだ。いいね」と、その刑事が悠斗を諭すように言った。<br><br>　「プロ？なんのプロだよ。誤認のプロか？」と、悠斗が刺すような目線で言った。<br><br>　「なんだと！！」と、最初の刑事がまた大きな声を出した。<br><br>　「待ってください」<br>　そう言ったのは、西野の仲間で、パソコンで悠斗のことを調べていた男だった。<br>　「彼なら……。彼なら犯人をつきとめてくれるかもしれません。あ、いや……。もし、これが『事件』だったら……、ですけど……」と、その男が２人の刑事を気にしたように言った。　<br><br>　「あなたは？」と、冷静な方の刑事が聞いた。<br><br>　「私は西野先生の第二秘書で、高山と申します」と、男は答えた。<br><br>　「なぜ、彼のことをそこまで『買う』のです？初対面ではないのですか」と、刑事が聞いた。<br><br>　「いえ、初対面ではありません。この親睦会の前に、この少年は西野先生とテニスの試合をしまして……」と、高山秘書は答えた。<br><br>　「なるほど……。すると西野先生はこの少年との試合で体力を消耗し、その直後にアルコールを摂取しすぎて心臓発作を……。ということは、少年！貴様は『間接的に西野先生を殺した』ということになるな！ええ！？」と、最初の刑事が意地悪く言った。 </p><p><br>　刑事のこの理不尽な言い様に、悠斗は微塵も動揺しなかった。<br><br>　「分からない人ですね、あなたも。これは『自然死』ではなく、『殺人』だと言ってるでしょう。それとも、『殺人』だと何か都合の悪いことでもあるんですか！？」と、悠斗は少し強い口調で刑事に言った。<br><br>　２人の刑事は少し動揺したようだった。<br><br>　「な、なにを……。都合の悪いことって、なんだ……！」と、最初の刑事が言った。<br><br>　「一応、２人とも身分証を提示して頂けますか」と、悠斗は言った。<br><br>　「な、なにを……。貴様、何の権利があって……」と、刑事が言った。<br><br>　「権利はあるはずですよ。民間人に身分証の提示を求められれば、断ることはできないはずですが」と、悠斗は涼しい顔で言った。<br><br>　「坊やの言う通りだ。笠山、身分証を見せなさい」と、冷静な方の刑事が言った。　　<br>　それを受けて、『笠山』刑事がしぶしぶ身分証を提示した。<br><br>　「県警一課、笠山だ」「同じく、楢本智則です」と、２人が身分証を提示した。<br><br>　「しかし、子供がこんなところに入り込んでくるのは感心しないな。早く帰った方がいい。親御さんも心配なさっているだろう」と、楢本刑事が言った。<br><br>　「いえ、刑事さん。ちょっと待って下さい。私は彼が『殺人』だと言っている理由を聞いてみたい」と、高山秘書が刑事に向かって言った。<br><br>　「しかしねぇ。素人の、しかも子供の意見など……」と、楢本刑事が言った。<br><br>　「それが、彼はただの高校生ではないんです。アメリカでは知る人ぞ知る『名探偵』のようで……」と、高山秘書は言った。<br><br>　「名探偵？」と、楢本刑事は少しバカにしたように言った。<br><br>　「しかも、彼のIQは180だと……」と、高山秘書が言った。<br><br>　「IQ180？なぜあなたがそんなことを知っているのです」と、楢本刑事が聞いた。<br><br>　「これを見て下さい」と、高山秘書がパソコンの画面を２人の刑事に見せた。<br><br>　「んん……！！英語じゃないですか。笠山、分かるか？」と言って、楢本刑事が笠山刑事を見た。<br><br>　「い、いえ……。まったく……」<br>　笠山刑事はさっきまでの威勢のよさはどこへやら、すっかり意気消沈したように答えた。<br><br>　「高山さん、いったいここには何が書かれているのですか」と、楢本刑事が高山秘書を見た。</p><p><br>　「桜川悠斗。身長173cm, 体重60kg……」と、高山秘書が翻訳を始めると、「そんなところはどうでもいいから、肝心なところを早く……！」と、楢本刑事が促した。<br><br>　「高山さん、やめて下さい。今ぼくのことなんて関係ないはずです。そんなことより、なぜこれが『殺人事件』だと思うのかを説明します」と、悠斗が口をはさんだ。<br><br>　「お願いします」と、高山秘書は自身の翻訳を中断し、悠斗の説明を待った。<br><br>　２人の刑事も、しぶしぶ悠斗の説明を聞く体勢に入った。いつの間にか、会場にいた多くの人も集まっていた。皆が悠斗の説明を聞こうとしている。<br><br>　「まず……」と、悠斗が説明を始めた時、「よお、悠斗くん！」と大きな声が聞こえた。<br><br>　「か、課長！」と、声の主を見た笠山刑事が思わず叫んだ。<br><br>　「４年ぶりに日本に帰ってきたと思ったら、もう探偵ごっこかい」と、『課長』が悠斗にいたずらっぽく笑いながら言った。</p><p><br>　「美鈴課長、この少年とお知り合いですか」と、楢本刑事が言った。<br><br>　「ああ、昔からの付き合いでね」と、美鈴課長は『なっ！』という感じで悠斗をちらっと見て言った。<br><br>　「今日はすまなかったね。美古都のわがままに付き合せてしまって」と、言いながら今度は美古都の方を見た。<br><br>　見つからないように人ごみに隠れていたつもりの美古都は、『見つかった～』というような表情を見せて、「パパ……」と言いながら小さく手を振った。<br><br>　「それにしても課長、どうしてここに」と、楢本刑事が尋ねた。<br><br>　「さっき、悠斗くんにメールをもらってね。来れるようなら来てくれとね」と、美鈴課長は答えた。<br><br>　「しかし、課長。今回は事件性はないと判断してよいのではないかと……。死体を検視しましたが、不審な点は何もありませんし、飲食物に毒物が入れられた痕跡もありません。それは死亡した西野氏以外は誰も毒を口にした様子がないことと、西野氏が必ず『毒味役』に毒味をさせてからでないと飲食物を口にしないようにしていたことで明らかです。つまり、もし飲食物に毒物が混入されていたとすれば、まず西野氏の『毒味役』が死んでいるはずなのです。ですが、『毒味役』の方はあの通りピンピンしています。外傷もなく毒殺の可能性もない、とすれば病死か突然死しか考えられません。西野氏はふだん、睡眠時間がほとんど取れないほどスケジュールが詰まっていたようですし、『過労に加えて、激しい運動と過度のアルコール摂取による突然死』と見るのが妥当な線だと、私は確信しますが……」と、楢本刑事が美鈴課長に説明した。<br><br>　「私も楢本さんと同意見です。このような突然死はよくあることです」と、笠山刑事も楢本刑事に同調した。<br>　「このような『事件性のない件』でわざわざ鑑識を呼ぶと、予算の無駄使いになり、他の事件に十分な予算が回らなく……」と、楢本刑事は言いかけて、周りの人山に気がついたように口を閉じた。<br><br>　「だが、悠斗くんはこれを『事件』だと思っている。そうだね」と言って、美鈴課長が悠斗に視線を向けた。<br><br>　「はい。そして犯人もだいたい見当がつきました」と、悠斗が言った。<br><br>　「犯人が……？まさかこの中に……？」と、美鈴課長が言った。<br><br>　「はい」と、悠斗は言った。<br><br>　「犯人はこの中にいます！」 </p><p><br></p><p><br></p><p><font size="2"><br></font>　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550.jpg" target="_blank"><font size="2"><img height="128" alt="kyara2" src="https://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550_s.jpg" width="220" border="0"></font></a> <br><br></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font color="#ff1493" size="2">---------------------------------------------------------</font></p>
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<pubDate>Tue, 13 May 2008 00:34:30 +0900</pubDate>
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<title>－３－『悠斗　推理』</title>
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<![CDATA[ <p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-3-<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　悠斗　推理 </p><p><br>　「犯人はこの中にいます！」<br><br>　その瞬間、会場の人々がざわついた。<br><br>　「まず……」と悠斗が声を発すると、しかし、一瞬で再び静寂につつまれた。ここにいる皆が、悠斗の言に耳を傾けた。<br><br>　「西野氏の死因は、毒物を経口摂取したことによるものです」と、悠斗は言った。<br><br>　「だから、それはさっきも言ったように、可能性は全くないと……」と笠山刑事が言いかけたのを、美鈴課長が腕を横に上げて制止した。そして、『まずは話を聞こう』という顔で、笠山刑事を見た。<br><br>　「彼の死が毒物によるものだということは、司法解剖をしてみればすぐに分かると思います。おそらく胃が相当ただれているはずです。外見的には無傷ですから、自然死だと判断されて、司法解剖に回されないまま荼毘にふされる……、つまり火葬されてしまうことも実際に多いのですが、そうなると死因を特定することが著しく困難になってしまいます。そして、解剖に回されるか否かは、現場の警察官の判断に委ねられてしまうことが多い。今回もまた、自然死として処理されてしまうところでした」と、悠斗が語った。<br><br>　「な……。まるで我々が無能だと言わんばかりに……！」と、笠山刑事が楢本刑事を見てつぶやくように言った。<br><br>　「しかし、西野氏の死は明らかに『青酸系の毒物』による中毒死です」と、悠斗が言った。<br><br>　「なにを言ってる、素人が！青酸カリによる死なら、死体から『アーモンド臭』がするはずだ」と、笠山刑事はバカにするように笑って言った。<br><br>　「確かに……」と、悠斗は表情を変えずに言った。<br>　「『青酸カリ』や『青酸ナトリウム』による中毒死の場合、アーモンド臭がすることがあります。……が、それも『必ず』というわけではありません。それに、遺伝的にこの臭いを感じることができない人の割合は、全体の20～40%もいるのです。ですから、『アーモンド臭』がしないから『青酸化合物』による死ではないと断定するのは大変危険です。実際に、過去にも保険金目的で人を青酸系毒物で毒殺し、それが自然死として処理されてしまっていた例が、日本では非常に多いのです」<br><br>　「日本では？外国では誤認することはないというのですか」と、楢本刑事が尋ねた。<br><br>　「少なくともアメリカでは、このようなケースの場合、間違いなく司法解剖に回されます。そのためのシステムも予算もあります。ですが、現在日本でこの監察医制度があるのは、東京23区・大阪市・名古屋市・横浜市・神戸市の５地域だけ、しかもこのうち、監察医制度が、正常に機能している地域は、東京、大阪、神戸のみとも言われているのが現状です。つまりこの地域以外では、現場で警察官が『事件性なし』と判断してしまったら、解剖などには回されず、自然死か事故死として処理されてしまうのです」と、悠斗が答えた。<br><br>　「なるほど……。それはそうと、坊やにはアーモンド臭がしたのかい？私にはまったく臭いがしなかったが……」と、楢本刑事が尋ねた。<br><br>　「かすかですが……。それと、口腔内が赤くなっています。さらに、服の下を少し調べたのですが、皮膚に死斑と思われる暗赤褐色……、つまり黒っぽい赤色をしたあざのようなものを見つけました。これは青酸系の毒物による死の特徴でもあります」と、悠斗が説明した。<br><br>　「死斑が……？」と言って、美鈴課長が死体を検視し始めた。そして、「なるほど、これは『青酸中毒』による死斑だ。それに害者の口から、かすかだが青酸ガスの甘酸っぱい臭いもしている」と言って、楢本刑事と笠山刑事の方を振り返って見た。『なぜこんなことを見落としたんだ』と、その目は語っているようだった。</p><p><br>　「そんな。私が検視したときにはそんなあざはどこにも……」と、楢本刑事が言った。<br><br>　「死斑は時間差でできるものですから、楢本刑事が検視をされていた時には、あるいはまだなかったのかもしれませんね。それに、死斑が出ていても、打ち身によるただのあざだと思われてしまうことも多いですし」と、悠斗が言った。<br><br>　それを聞いた楢本刑事は、決まりが悪そうに床に視線を落とした。<br><br>　「だが、おかしいじゃないか」と、笠山刑事が悠斗に言った。<br>　「西野先生は必ず『毒味役』に毒味をさせていた。毒を盛られていたのなら、まずその毒味役が死ぬはずだ。だが、その毒味役はあそこでピンピンしているじゃあないか」と、笠山刑事が言葉を続けた。<br><br>　「そう。その話を聞いて、すべてが僕の中でつながったんです。西野氏の死が毒殺であり、その毒は青酸系……、とくに青酸ナトリウムなら水にもよく溶ける……。となると、毒物が入れられたのは飲み物の中です。青酸ナトリウムの致死量はおよそ150～200mg。それを食べ物で摂取させるのは困難ですし、他の被害者が出てしまう可能性もありますから、西野氏が飲む何かにピンポイントで入れられた可能性が高い。そして西野氏が死の直前に飲んでいたものは、ここにあるワインだったという証言がありました」と、悠斗が言った。<br><br>　「すると、このボトルを調べれば毒物が検出されるということか」と、美鈴課長が言った。<br><br>　「いえ、おそらくこの中に毒物は混入されていません。ボトルの中に混入したのなら、西野氏以外の犠牲者が出ている可能性が高い。犯人は西野氏を心臓発作などの自然死に見せたかったようです。そのためにも他の犠牲者が出てしまう可能性は、できるだけ排除したいと思っていたはずです」と、悠斗は言った。<br><br>　「ボトルに入れていないとしたら、あとは西野氏のグラスに入れられていた……ということになるが」と、美鈴課長がつぶやくように言った。<br><br>　すると、高山秘書が「それはありえません」と、即座に否定した。<br><br>　「ん、それはなぜですか」と、美鈴課長は尋ねた。<br><br>　「西野先生は毒味役が使ったグラスをそのまま使うのを常とされていたんです。グラスに毒が塗られている可能性もあると言って」と、高山秘書が答えた。<br><br>　「らしいぞ、悠斗くん」と言って、美鈴課長は悠斗を見た。<br><br>　「西野氏の用心深さを聞いて、それは予測済みですし、それと同じ証言を僕も聞いています。それに、毒味役が目の前で一気に飲み干したからこそ、西野氏もまた何の疑いも抱かずにグラスのワインを『一気に飲み干した』んです」と、悠斗が言った。<br><br>　「どうして『一気に飲み干した』と分かるのかね」と、美鈴課長が聞いた。 </p><p><br>　「それは簡単です。西野氏が倒れている周辺にワインはこぼれていません。テーブルの上に飲みかけのグラスも残っていません。これは『飲み干した』ことを意味します。さらに『一気に』というのは、一気に飲み干さなかったとすれば、青酸化合物の強烈な刺激で、飲むのをやめていたはずだからです。そうすると青酸化合物は致死量に達せず、西野氏は意識がもうろうとしながらもまだ生きているはずです。おそらく西野氏はテニスの後、喉の渇きをワインを一気に飲むことで癒すのを常とし、犯人はその習慣を犯行に利用したのでしょう」と、悠斗が言った。<br><br>　「確かに、桜川君の言う通りです。先生はワイン好きでも有名でして、運動の後は必ずと言ってよいほどお気に入りの銘柄のワインを、一気に飲み干していました」と、高山秘書は言った。<br><br>　「つまり犯人は、この西野氏の行動パターンをよく知っていた、ごく身近な人物です。しかも、犯人は西野氏が使ったグラスを、犯行後の騒ぎにまぎれて回収しています」と、悠斗は言った。<br><br>　「グラスを回収？」と、美鈴課長が驚いたように言った。<br><br>　「そうです。西野氏がグラスを持ったまま倒れたにしても、テーブルの上にグラスを置いてから倒れたにしても、彼が使っていたと思われるグラスがどこにも見当たりません。つまり、グラスをこの場に残しておくことが、犯人にとっては極めて都合が悪かった……、ということになります」と、悠斗が言った。<br><br>　「たしかに、飲み干したとはいえ、グラスには毒入りワインが数滴はついているだろうから、調べられて毒物が検出されると都合が悪い……」と、美鈴課長は言った。<br><br>　「それもあります」と、悠斗が言った。<br>　「しかし、もっと犯人に都合が悪いことがあったのだと思います。この場に出してはおけない、何かが。そうでなければ、つじつまが合いません。つまり、そのグラスはここにたくさん用意されているグラスに似ているが、まったくの別物。そして、そのグラスには、毒味の時には死ぬことなく、その後に飲んだ西野氏だけが死ぬように仕向けられた『トリック』が仕掛けられていたはずです」と、悠斗が言った。<br><br>　「しかし、毒味役は普通にワインを注いでそれを飲み干し、次に同じボトルから同じグラスにワインを注ぎ、それを西野先生が飲み干したんです。もし、この間に不審なことがあれば、西野先生は決してワインに口をつけなかったはずですし、私もそばで見ていましたが、ただワインを注いだという風にしか見えませんでしたが……」と、高山秘書は言った。 </p><p><br>　「ええ、そうでしょう。用心深い西野氏の目の前で毒を混入することは、犯人も避けたはずですし、そうする必要もなかったのだと思います。おそらくグラスにあらかじめ細工がしてあったのでしょう。二重構造で毒物を仕込めるように。その特殊なグラスを、犯人は一刻も早く処分したいと思っています。ですが、できなかった。テーブルの上に置いておくことも、ゴミ箱に捨てることもできず、会場の外に出ることもできなかった犯人は、今もそのグラスを隠し持っているはずです」と言って、悠斗は『毒味役』の佐々木を見て、意味深に微笑んだ。『すべて分かっているのですよ』という顔をして。<br><br>　その瞬間、佐々木は動揺して落ち着きを失った。そして左手のあたりを気にし始めた。<br><br>　「そうですか。グラスは左の内ポケットの中ですか」と、悠斗は言った。<br><br>　「まさか、『毒味役』の佐々木さんが……？」と、高山秘書は驚いて言った。<br><br>　「彼が不平不満を言っているのなんて、聞いたことがないのに……」<br>　そう言って、高山秘書は一つため息をついた。<br><br>　「失礼ですが、佐々木さん。ポケットの中のものを拝見してもよろしいですかな」と、美鈴課長が毒味役の佐々木に近づいて言った。<br><br>　「こ、これは、さっきたまたま見つけて、珍しいからポケットの中に入れていただけで……」と、佐々木は口ごもった。<br><br>　「そうですか。やはりグラスをお持ちなのですね？」と、美鈴課長が言うと、佐々木はしまったという顔を一瞬見せた。　<br><br>　「お出し頂けますかな」と、美鈴課長が佐々木の目の前に立って言った。</p><p><br></p><p><br></p><p><font size="2"><br></font>　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550.jpg" target="_blank"><font size="2"><img height="128" alt="kyara2" src="https://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550_s.jpg" width="220" border="0"></font></a> <br><br></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font color="#ff1493" size="2">---------------------------------------------------------</font></p><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/m-d-shine-style/entry-10095989864.html</link>
<pubDate>Tue, 13 May 2008 00:33:28 +0900</pubDate>
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<title>－４－『動機とトリック』</title>
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<![CDATA[ <p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　-4-<br>　　　　　　　　　　　　　　　 動機とトリック</p><br><p>　佐々木は小さくうなずいてから、内ポケットからグラスを取り出した。<br><br>　「そのグラスが犯行に使われたことは、グラスに付着したワインを調べればすぐに分かると思います。おそらく軽く拭き取ってはいるでしょうが、水洗いまではできていないでしょう。少量でも確実に毒物が検出されるはずです」と悠斗は言って、すぐにまた言葉を続けた。<br><br>　「それよりも、そのワイングラスの柄の部分が、普通のものと異なっていませんか。たとえば、柄の中がくり抜かれたようになっているとか、外側がすりガラスのように加工されているとか……」<br><br>　「た、たしかに……。よく見ると柄の部分が空洞になっているし、外から中が透けて見えないようにすりガラスのような加工がしてある！」と、美鈴課長が言った。<br><br>　「やはり、そうですか。おそらく、その中に青酸ナトリウムをいれていたのですね」と、悠斗は佐々木の顔を見て言った。<br><br>　「しかし、それだと毒味役の彼が死んでしまうぞ」と、美鈴課長が言った。<br><br>　「それも簡単です。水溶性の何か……、たとえばオブラートのようなものを塊にして、上から栓をすればいいんです。そしてワインを注いだらすぐに飲み干します。そして、グラスの底に少しだけ残ったワインがその栓を溶かしかけたところへワインを注いでいけば、栓がはずれてワインと青酸ナトリウムが混ざり合います。その時に柄の部分が透明だと、そこに流れ込んだ赤紫色のワインが透けて見えてしまいます。それを隠すために外側からは透けて見えない加工をする必要があったんです」と、悠斗は答えた。　<br><br>　「なるほど……。で、佐々木さん。それをあなたが実行したわけですな」と、美鈴課長が佐々木に言った。<br><br>　「私はグラスを持っていただけです。落ちていたグラスを拾って所持していただけで、私が犯人ということにはならないでしょう！」と佐々木は語気を強めていった。<br><br>　「確かにそうですが、物証というのは雄弁ですよ。もしそのグラスから毒物の痕跡が検出され、さらにあなたと西野氏の指紋しか検出されなかった場合、それはこの殺人があなた以外には実行できなかったことを意味します」と、悠斗は言った。<br><br>　「わ、私は毒味を行ったのですから、このグラスに指紋が残っていても不思議ではないでしょう！それに、先生が自ら毒を入れて自殺したのかもしれない。私が毒を仕込んだ証拠がどこにあるんですか。あるなら見せてくださいよ！」<br><br>　「佐々木さん、調べればすぐに分かってしまうことなんですよ。いくらこの場で悪あがきをしても。佐々木さんの家も家宅捜査が入るでしょう。この日のために用意していたものも、毒物も、すべて警察に発見されてしまうんですよ」と、悠斗が言った。<br><br>　それを聞いて佐々木はうなだれた。<br><br>　「あなたがやったんですね」と、美鈴課長が佐々木に言った。<br><br>　「……、はい……」と言いながら、佐々木はひざから崩れるようにその場に座り込んだ。<br><br>　「いったいどうして」と、美鈴課長が尋ねた。</p><p><br>　「私の両親は、西野に殺されたんです……！」と、佐々木は言った。<br><br>　「殺された！？」と、美鈴課長が驚いたように言った。<br><br>　「そうです。両親は小さな工場をやっていました。吹けば飛ぶような小さな工場で、来る日も来る日もネジを作り続けていました。でも、それでもあの頃は幸せだった。毎日が笑顔で……。でも、私が中学２年の時、急に取引先から注文が来なくなり、そのまま潰れてしまいました。心労で父は倒れ、その看病をしていた母も倒れて……。そんな時、家が火事になりました。私はなんとか外に逃げ出したのですが、両親はそのまま……。その時は私もまだ子供でしたし、『自分はなんて運が悪いのだろう』としか思いませんでしたが、１ヶ月くらい前にある人から聞いたんです。『火事のあと、焼けた家と工場があった場所には大きな道路が出来ただろう。お前の両親は立ち退きを拒み続けていたから殺されたんだ』と。そしてその指示を出したのが『西野』だと……。西野は両親の工場を潰すために、取引先に圧力をかけて注文をキャンセルさせて工場を潰し、それでも立ち退こうとしない両親に腹をたてて、『家を燃やせ』と言ったそうです。その道路建設にはとんでもない額の利権が絡んでいて、二束三文で手に入れた土地を国が高値で買ってくれるし、道路建設の計画を進めてくれた議員には多額の『謝礼金』が……、建設費の約7%が建設を請け負った業者からペイバックされるのだと……。だから、どんな手を使ってでも、私の両親には立ち退いてもらう必要があったのに、言うことを聞かないから、西野に殺されたんだと……」と、佐々木は語った。<br><br>　「それを『ある人』から聞いたあなたは、西野氏に殺意を抱いたわけですね？」と、悠斗は言った。<br><br>　「……そうです……」と、佐々木は力なく答えた。<br><br>　「そして、その人に『殺る気なら、協力する』と言われて、青酸ナトリウムを受け取ったんですね。違いますか？」と、悠斗は言った。<br><br>　佐々木は驚いたように悠斗を見上げて、「そうです」と答えた。<br><br>　「どうしてそう思ったんだね、悠斗くん」と、美鈴課長も驚いたように言った。 </p><p><br>　「簡単です。まず、この殺人は佐々木さん単独では不可能なんです。毒物の入手やワイングラスの加工、そのグラスの形状も、今日この会場で出される物と同型でなくてはなりません……。それらすべてを佐々木さん１人で準備できたとは思えません。実行犯は佐々木さんだったとしても、そのお膳立てをした人物が他に必ずいるはずだと思ったんです」と、悠斗は言った。<br><br>　「それに、その『ある人』の話も真実かどうか……。佐々木さん、あなたは真偽も確かめずに殺意を抱いてしまったのですか？」と、悠斗が尋ねた。<br><br>　「そ、それは……。『両親を殺したのが自分だとも知らずに、今度は俺の毒味役だ。まあ、他になんの取り柄もない能無しだから、それも仕方がないな。これで佐々木が毒味で死ねば、一家皆殺しになってしまうなぁ。アハハハ！』と西野が笑って話していたと、その人から聞いて……、カーッと頭に血がのぼってしまって……」と、佐々木は言った。<br><br>　「あなたは、利用されたんだと思いますよ、その人に。西野氏に死んでほしい誰かに、あなたはまんまと利用された可能性がとても高い。どうして他人の言葉をそのまま鵜呑みにしてしまったんですか。後でどんなに悔やんでも、時計の針は決して戻ってはくれないというのに……」と、悠斗は言った。<br><br>　「そんな……」と、佐々木は茫然自失としてつぶやいた。<br><br>　「で、その『ある人』というのは誰です」と、美鈴課長が佐々木に尋ねた。<br><br>　「言えません……」と、佐々木は言った。<br><br>　「言えない？あなたのことを利用した奴のことなんか、かばっても仕方がないでしょう、佐々木さん」と、美鈴課長が言った。<br><br>　「別にかばっているわけではありません。いや、逆にこの手で殺してやりたいくらいです。……ですが、言えば家族に危害が……。余計なことをしゃべったら、妻と生まれたばかりの子供がどうなってもしらないぞと、その人に何度も言われましたから……」と、佐々木は言った。<br><br>　「なるほど。同情するふりと、脅迫と……。アメとムチでいいように踊らされたわけですな……」と、美鈴課長がつぶやくように言った。<br><br>　「言わなくても、だいたい察しはついています」と、悠斗が言った。 </p><p><br>　「なんだって！？それは誰だね」と、美鈴課長が言った。<br><br>　「誰……、とは分かりません。が、似た形のトリックグラスを事前に準備できた人物……ということになります。つまりこの親睦会を取り仕切ることのできた人物。それは普通『秘書』の仕事ではないでしょうか。西野氏の秘書全員に出てきてもらって、事情をお聞きしてはどうでしょう」と、悠斗は言った。<br><br>　「まだこの会場に残っていらっしゃれば……、の話ですが」と、悠斗が言葉を続けた。<br><br>　「そういえば、第一秘書の荒田さんがいない……」と、高山秘書があたりを見回して言った。<br><br>　「まさか、荒田さんが……？」と、高山秘書が佐々木に向かって言った。佐々木はうなだれたまま、何も答えなかった。<br><br>　「とにかく、佐々木さんには署の方で詳しい話をお伺いしましょう」<br>　そう言って美鈴課長は、楢本刑事と笠山刑事に佐々木を連行するように指示した。<br><br>　「それにしても、大したものだな、悠斗くん」と、美鈴課長が悠斗に話しかけた。<br>　「いったい、いつ佐々木が犯人だと気がついたのかね」<br><br>　「最初からです。これが殺人だとすると、すべての状況を鑑みて、実行可能なのは『毒味役』しかいなかったんです。そして、確信したのは僕が彼を『コールドリーディング』した時です」と、悠斗が美鈴課長の問いに答えた。<br><br>　「コールドリーディング？」と、美鈴課長は言った。<br><br>　「そうです。僕はあの時、『すべて分かっている』という顔で佐々木さんを見ました。もし、彼がこの事件に無関係なら、キョトンとした顔をしたはずです。ですが、彼は急に落ち着きをなくし、無意識のうちに左手のあたりを気にし始めました。それで『推理』が『確信』へと変わったんです」と、悠斗は答えた。</p><p><br></p><p><br></p><p><font size="2"><br></font>　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550.jpg" target="_blank"><font size="2"><img height="128" alt="kyara2" src="https://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550_s.jpg" width="220" border="0"></font></a> <br><br></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font color="#ff1493" size="2">---------------------------------------------------------</font></p><p><br><br><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/m-d-shine-style/entry-10095991262.html</link>
<pubDate>Tue, 13 May 2008 00:32:58 +0900</pubDate>
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<title>－５－『第２の犠牲者』</title>
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<![CDATA[ <p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-5-<br>　　　　　　　　　　　　　　　　第２の犠牲者</p><br><p>　「そんなことより……」と、悠斗はつぶやくように言った。<br><br>　「ん、どうしたね。悠斗くん。何か気がかりなことでも？」と美鈴課長は、まだすっきりとしない顔をしている悠斗を見て言った。<br><br>　悠斗は会場の隅に美鈴課長をいざなって、周りに人気がないことを確認してから、「いえ……。本人のいるところでは言えなかったのですが、あの２人の刑事、なにかおかしいと……。この件をどうしても『自然死』として処理したがっていたような……」と、佐々木を連行していく２人の刑事が出口から出て行く様子を見ながら答えた。<br><br>　「２人が故意に捜査を曲げようとしていたと？ハハハ。まさか、それはないだろう。２人とも私の部下だぞ」と美鈴課長は言ってから、「それにしても、あの２人が気を悪くしないように、本人の前では言えなかったのかね？悠斗くんがそんな気を使うなんて、珍しいじゃないか」と言葉を続けた。<br><br>　「本人の前で言わなかったのは、こちらが勘づいている事を敵に知らせたくなかったからです。それに、この時間になっても、救急車が来ない。おそらく誰かが『もう死んでいるから来なくていい』と通報したんです。ですが、一般人が『もう来なくていい』と通報したとして、救急車は来るのをやめるでしょうか。つまり通報したのは、おそらくあの２人のうちのどちらかです。警察官からの通報があったとすれば、救急車が来なかったことにも、合理的な説明がつきます。もし、救急車で一般の病院に搬送されてしまえば、自然死ではなく毒殺だと判明してしまう可能性が高まりますから、それを避けたかったのでしょう。そして、あとで知り合いの医者にでも、都合のいい死亡診断書を書いてもらえばいい。それに、あの２人はここで騒ぎになってから、ほどなく現着しました。タイミングが良すぎると思いませんか」と、悠斗は言った。<br><br>　「つまり、あの２人もこの殺人事件に何らかの関与をしていると？仮にも警察官だぞ。そんなバカな！」と、美鈴課長は言った。<br><br>　「証拠は何一つありませんが……」と悠斗は、美鈴課長の問いに答えた。<br>　「ただ、あの２人がこの事件に関与しているとすると……」と、悠斗は哀しげな眼差しで言ってから、「佐々木さんが無事に警察署にたどり着ける可能性は、限りなく0%に近いと思いますが……」と、悠斗は言葉を続けた。<br><br>　「まさか。それはいくらなんでも悠斗くんの考えすぎだ」と、美鈴課長は笑って言った。<br><br>　その時、美鈴課長の携帯電話が鳴った。<br>　「ああ、どうした」と、美鈴課長が電話を取った。　<br><br>　そして「なんだって！？」と大きな声を出した。<br>　それから無言のまま電話を切り、悠斗に力なくこう言った。<br>　「佐々木が連行中の車内で死んだそうだ。笠山は『自殺した』と言っている。突然、隠し持っていた青酸ナトリウムを口に含み、差し入れのコーラで流し込んだらしい。あまりに突然のことで止めることができなかったと言っている」</p><p><br>　「……そうですか。これで確信しました。この殺人事件は単なる個人的な怨恨によるものではなかったんです。それよりももっと大きな力によるもの……。おそらくあの２人の刑事も、本当の黒幕に使われていただけ。『この件を自然死として処理』することで、多額の報酬金が手に入るところだったのでしょう。黒幕にとって、今まで利用してきた西野氏が急に邪魔になった、だから、殺した……。自分に疑いがかからないように、自然死に見せかけ、万一『殺人』だと見破られたとしても、個人的な怨恨がその動機だと思わせるという、二重のトリックを仕掛けていたんです。佐々木さんも、おそらく自殺ではなく、あの２人の刑事に口をふさがれ……」<br><br>　「もういい！」と、美鈴課長は悠斗の言葉を遮った。<br>　「これ以上この件には関わるな。高校生の悠斗くんには荷が重すぎる。あとは、我々警察に任せるんだ。必ず黒幕の正体をつかんでみせる！」と、美鈴課長は悠斗に言った。<br>　「人が２人も死んでいるんだ。これ以上深入りすると、キミにも危害が加わってしまうかもしれないんだぞ」と、美鈴課長は言葉を続けた。<br><br>　その様子を、美古都は少し離れたところに立って見ていた。</p><p><br>　「とにかく……」と悠斗が言って、さらに言葉を続けた。<br>　「第一秘書の荒田さんを捜し出してください。彼の命も危ない。彼は黒幕本人と面識がなくても、そこに通じる『誰か』とは確実に接点を持っているはずです。彼を探し出せば、黒幕の正体に近づくことができます。でも、もし敵に先を越されて、殺されてしまえば……」<br><br>　「黒幕へ近づく手がかりを失ってしまう、ということだな！？」と、悠斗の言葉に美鈴課長が言葉をかぶせた。<br><br>　「はい……」と、悠斗は答えた。<br><br>　美鈴課長は携帯電話を取り出し、電話をかけて「緊急配備をひけ。逃走中の荒田を必ず逮捕するんだ。……ああ、殺された西野県議の第一秘書だ。……だから、『殺し』だったんだよ、これは。とにかく急げ！」と、指示を出した。<br><br>　「とにかく、死んだ佐々木さんのところへ急ぎましょう」と、悠斗は言った。<br><br>　「ダメだ。悠斗くんはここにいるんだ。いいね！」と、美鈴課長は言い残して走り去った。　</p><p><br></p><p><br></p><p><font size="2"><br></font>　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550.jpg" target="_blank"><font size="2"><img height="128" alt="kyara2" src="https://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550_s.jpg" width="220" border="0"></font></a> <br><br></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font color="#ff1493" size="2">---------------------------------------------------------</font></p>
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<link>https://ameblo.jp/m-d-shine-style/entry-10095992794.html</link>
<pubDate>Tue, 13 May 2008 00:31:24 +0900</pubDate>
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<item>
<title>－６－『事件「解決」……』</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-6-<br>　　　　　　　　　　　　　　　　事件『解決』……</p><br><p>　親睦会の会場だったテニスクラブの食堂を出た悠斗と美古都は、しばらく無言のまま歩き続けた。<br><br>　春の暖かい風が２人の間を吹き抜ける。<br><br>　「ねぇ」と、美古都が言った。<br>　「何か食べない？お腹すいちゃった……！」<br><br>　笑顔になりきれない笑顔でそう言う美古都に、一瞬、悠斗は胸がキリリと痛むのを感じた。あの時、迷わず佐々木の連行を止めていれば、少なくとも２人目の犠牲者は出さずにすんだのに……。その後悔の念が、悠斗の心をしめつけていた。<br><br>　「考えてみれば……」と、悠斗は切り出した。<br>　「今回の事件は、第一秘書の荒田氏が自殺に見せかけて殺され、それで一件落着、幕引きされるはず……。それならやはり、敵に何を勘づかれようと、佐々木さんの連行は止めておくべきだったんだ。『適切な時期を待っているうちに、結局取り返しがつかなくなる……』 そんなことは分かっていたはずなのに」と、悠斗は言った。<br><br>　「でも、パパが言ってたわ。『必ず黒幕の正体をつかむ』って」と、美古都は言った。<br><br>　「無理だな」と、悠斗は言った。<br><br>　「なんで？パパを信用しないの！？」と、美古都は言った。<br><br>　「そうじゃない。……だけど、今回のような政治家がらみの事件は、上から捜査中止の圧力がかかるのが常だ。西野氏よりもっと上の、おそらく国会議員もこの件にはからんでいる……。いくら美鈴のお父さんが県警一課の課長でも、上からの圧力にはどうしようもない」と、悠斗は言った。<br><br>　「そんな……」と、美古都は悲しげに悠斗から視線をはずした。<br><br>　「結局、犯人は『毒味役』の佐々木さんと『第一秘書』の荒田氏……。荒田氏は『罪の呵責に耐えられなくなった』という趣旨の遺書を残して、自殺したことにされる……。結局、２人の犯人はどちらも自殺したとされ、被疑者死亡のまま書類送検されて……、それでこの事件は『解決』……ということだ……」と、悠斗は言った。<br><br>　「そんなことが……。そんなことが許されていいの……！？」と、美古都は今にも泣きそうな顔で言った。<br><br>　「……、許されて……、いいものか……」<br>　悠斗は拳をぎゅっと握り、怒りを吐き出すように、それでいて声にもならない声でそう言った。<br>　<br>　それから３日後、荒田氏は県内のホテルの一室で首をつって死んでいるのが発見された。室内には、『逃げ切れないと観念して、死ぬことにした。お騒がせして申し訳なかった』といった内容の遺書があり、警察によって即座に自殺と断定された。監察医制度が適用されれば、これもまた『他殺』である何らかの証拠が見つかったかもしれないというのに。<br><br>　そして、「荒田氏は殺されたのだ」と言って捜査を継続しようとする美鈴課長の思惑とは裏腹に、この事件は『被疑者死亡の上、解決』とされ、それ以上の捜査は署長命令により、すべて打ち切られた。<br>　<br>　テレビでは、ワイドショーがしばらくこの事件を取り上げていたが、世間の反応が薄れるにしたがって、やがて報じられなくなり、忘れられていった。</p><br><br><br><p>　「おう、悠斗か。久しぶりだな。元気にしてるか」と、携帯電話から声がもれた。<br>　よく晴れた日の、川べりに立った悠斗の前髪を、心地よい風がなびかせる。<br><br>　「ああ。父さんも元気？」と、悠斗が言った。<br><br>　「聞いたぞ。さっそく事件を一つ『解決』に導いたらしいじゃないか。悠斗が現場にいなければ、『犯人』どころか、『殺し』だとも思われずに処理されていたところだったと、美鈴が言っていたぞ」と、悠斗の父は言った。悠斗の父と美鈴の父は、お互いに幼馴染みである。<br><br>　「解決？本当の悪人はまだ、そ知らぬ顔で大きな顔をしているというのに……？」と、悠斗は言った。<br><br>　「おいおい、その『悪人』をどうしたいんだ、お前は。まさか自分で捕まえる気か」と、悠斗の父は言った。<br>　「お前はまだ高校生だ。自分のことで精一杯のはずだろう。これ以上この件に首を突っ込むんじゃない。いくら私が警視庁の警視正だからといって、単身赴任の私にはお前の身を守りきれる自信もない、残念ながらな……」と、悠斗の父は言葉を続けた。<br><br>　「政治家や官僚が事件に絡むといつもこれだ……」と、悠斗がつぶやくように言った。</p><p><br>　「何を言ってる。この国の警察は、一国の首相でさえ逮捕したことがあるんだぞ」と、悠斗の父は言った。</p><p><br>　「逮捕されるのは、反対勢力に巧妙に陥れられたときだけです。そうでなければ、どんな不正がまかり通っていても……、誰も逮捕されない、責任もとろうとしない。この国に『正義』はないんですか、父さん！」と、悠斗が珍しく父親に強い口調で言った。<br><br>　「『正義』か。アメリカにはあったか、悠斗……」と、悠斗の父は言った。<br><br>　「少なくとも、不審な死体は監察医が必ず検案するシステムがあります」と、悠斗は答えた。<br><br>　「だが、結局そこでもみ消されることも多いはずだ。それに『正義』とは、絶対じゃあない。立場を変えればまた別の『正義』がそこにはある」と、悠斗の父が言った。<br><br>　「たとえそうでも……！」　<br><br>　「とにかく！今回のことはお前が考えているよりも、相当に根が深い。政財界を巻き込んだ、巨額の利権が絡んでいるとの噂もある。……私の方でも極秘裏に捜査を進めている。だからお前は手を引くんだ。美鈴もお前にそう言ったはずだ。いいな」と悠斗の父は、悠斗の言葉を遮るように言って、電話を切った。<br><br>　悠斗はあらためて、自分が『無力』であることを思い知らされた。</p><p><br></p><p>　上を見上げると青い空が広がっている。悠斗はそのまま目を閉じた。<br>　<br>　川べりの、とっくに花の散った桜の木が、春の風に揺れていた……。</p><p><br></p><p><br>　　　　　　　　　　　　　　　－第一部　終わり－</p><p><br></p><p><br></p><p><font size="2"><br></font>　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550.jpg" target="_blank"><font size="2"><img height="128" alt="kyara2" src="https://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550_s.jpg" width="220" border="0"></font></a> <br><br></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font color="#ff1493" size="2">---------------------------------------------------------</font></p><p><font color="#ff1493" size="2"><br></font></p><br>
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<link>https://ameblo.jp/m-d-shine-style/entry-10095994035.html</link>
<pubDate>Tue, 13 May 2008 00:30:33 +0900</pubDate>
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<title>探偵　桜川悠斗  －第１部－ テニスクラブ殺人事件[23]</title>
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<![CDATA[ <p>　「おう、悠斗か。久しぶりだな。元気にしてるか」と、携帯電話から声がもれた。よく晴れた日の、川べりに立った悠斗の前髪を、心地よい風がなびかせる。<br>　「ああ。父さんも元気？」と、悠斗が言った。<br>　「聞いたぞ。さっそく事件を一つ『解決』に導いたらしいじゃないか。悠斗が現場にいなければ、『犯人』どころか、『殺し』だとも思われずに処理されていたところだったと、美鈴が言っていたぞ」と、悠斗の父は言った。悠斗の父と美鈴の父は、お互いに幼馴染みである。<br>　「解決？本当の悪人はまだ、そ知らぬ顔で大きな顔をしているというのに……？」と、悠斗は言った。<br>　「おいおい、その『悪人』をどうしたいんだ、お前は。まさか自分で捕まえる気か」と、悠斗の父は言った。<br>　「お前はまだ高校生だ。自分のことで精一杯のはずだろう。これ以上この件に首を突っ込むんじゃない。いくら私が警視庁の警視正だからといって、単身赴任の私にはお前の身を守りきれる自信もない、残念ながらな……」と、悠斗の父は言葉を続けた。<br>　「政治家や官僚が事件に絡むといつもこれだ……」と、悠斗がつぶやくように言った。</p><p>　「何を言ってる。この国の警察は、一国の首相でさえ逮捕したことがあるんだぞ」と、悠斗の父は言った。</p><p>　「逮捕されるのは、反対勢力に巧妙に陥れられたときだけです。そうでなければ、どんな不正がまかり通っていても……、誰も逮捕されない、責任もとろうとしない。この国に『正義』はないんですか、父さん！」と、悠斗が珍しく父親に強い口調で言った。<br>　「『正義』か。アメリカにはあったか、悠斗……」と、悠斗の父は言った。<br>　「少なくとも、不審な死体は監察医が必ず検案するシステムがあります」と、悠斗は答えた。<br>　「だが、結局そこでもみ消されることも多いはずだ。それに『正義』とは、絶対じゃあない。立場を変えればまた別の『正義』がそこにはある」と、悠斗の父が言った。<br>　「たとえそうでも……！」　<br>　「とにかく！今回のことはお前が考えているよりも、相当に根が深い。政財界を巻き込んだ、巨額の利権が絡んでいるとの噂もある。……私の方でも極秘裏に捜査を進めている。だからお前は手を引くんだ。美鈴もお前にそう言ったはずだ。いいな」と悠斗の父は、悠斗の言葉を遮るように言って、電話を切った。<br>　悠斗はあらためて、自分が『無力』であることを思い知らされた。</p><br><p>　上を見上げると青い空が広がっている。悠斗はそのまま目を閉じた。<br>　<br>　川べりの、とっくに花の散った桜の木が、春の風に揺れていた……。</p><br><p><br>　　　　　　　　　　　　　　　－第一部　終わり－</p><br><br><p><font size="2"><br></font>　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550.jpg" target="_blank"><font size="2"><img height="128" alt="kyara2" src="https://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550_s.jpg" width="220" border="0"></font></a> <br><br></p><p><font size="2">　　　　　　　　　p.s. 第２部は現在創作中です。</font></p><p><font size="2"><br></font></p><font size="2"><p><font size="3"><font color="#ff0000">　　　　　　</font></font></p><p><br></p></font><p><font color="#ff1493" size="2">---------------------------------------------------------</font></p><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/m-d-shine-style/entry-10089190663.html</link>
<pubDate>Mon, 12 May 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
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<title>探偵　桜川悠斗  －第１部－ テニスクラブ殺人事件[22]</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-6-<br>　　　　　　　　　　　　　　　　事件『解決』……</p><br><p>　親睦会の会場だったテニスクラブの食堂を出た悠斗と美古都は、しばらく無言のまま歩き続けた。<br>　春の暖かい風が２人の間を吹き抜ける。<br>　「ねぇ」と、美古都が言った。<br>　「何か食べない？お腹すいちゃった……！」<br>　笑顔になりきれない笑顔でそう言う美古都に、一瞬、悠斗は胸がキリリと痛むのを感じた。あの時、迷わず佐々木の連行を止めていれば、少なくとも２人目の犠牲者は出さずにすんだのに……。その後悔の念が、悠斗の心をしめつけていた。<br>　「考えてみれば……」と、悠斗は切り出した。<br>　「今回の事件は、第一秘書の荒田氏が自殺に見せかけて殺され、それで一件落着、幕引きされるはず……。それならやはり、敵に何を勘づかれようと、佐々木さんの連行は止めておくべきだったんだ。『適切な時期を待っているうちに、結局取り返しがつかなくなる……』 そんなことは分かっていたはずなのに」と、悠斗は言った。<br>　「でも、パパが言ってたわ。『必ず黒幕の正体をつかむ』って」と、美古都は言った。<br>　「無理だな」と、悠斗は言った。<br>　「なんで？パパを信用しないの！？」と、美古都は言った。<br>　「そうじゃない。……だけど、今回のような政治家がらみの事件は、上から捜査中止の圧力がかかるのが常だ。西野氏よりもっと上の、おそらく国会議員もこの件にはからんでいる……。いくら美鈴のお父さんが県警一課の課長でも、上からの圧力にはどうしようもない」と、悠斗は言った。<br>　「そんな……」と、美古都は悲しげに悠斗から視線をはずした。<br>　「結局、犯人は『毒味役』の佐々木さんと『第一秘書』の荒田氏……。荒田氏は『罪の呵責に耐えられなくなった』という趣旨の遺書を残して、自殺したことにされる……。結局、２人の犯人はどちらも自殺したとされ、被疑者死亡のまま書類送検されて……、それでこの事件は『解決』……ということだ……」と、悠斗は言った。<br>　「そんなことが……。そんなことが許されていいの……！？」と、美古都は今にも泣きそうな顔で言った。<br>　「……、許されて……、いいものか……」<br>　悠斗は拳をぎゅっと握り、怒りを吐き出すように、それでいて声にもならない声でそう言った。<br>　<br>　それから３日後、荒田氏は県内のホテルの一室で首をつって死んでいるのが発見された。室内には、『逃げ切れないと観念して、死ぬことにした。お騒がせして申し訳なかった』といった内容の遺書があり、警察によって即座に自殺と断定された。監察医制度が適用されれば、これもまた『他殺』である何らかの証拠が見つかったかもしれないというのに。<br>　そして、「荒田氏は殺されたのだ」と言って捜査を継続しようとする美鈴課長の思惑とは裏腹に、この事件は『被疑者死亡の上、解決』とされ、それ以上の捜査は署長命令により、すべて打ち切られた。<br>　<br>　テレビでは、ワイドショーがしばらくこの事件を取り上げていたが、世間の反応が薄れるにしたがって、やがて報じられなくなり、忘れられていった。</p><p><br></p><br><p><font size="2"><br></font>　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550.jpg" target="_blank"><font size="2"><img height="128" alt="kyara2" src="https://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550_s.jpg" width="220" border="0"></font></a> <br><br></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font color="#ff1493" size="2">---------------------------------------------------------</font></p>
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<pubDate>Sun, 11 May 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
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<title>探偵　桜川悠斗  －第１部－ テニスクラブ殺人事件[21]</title>
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<![CDATA[ <p>　「……そうですか。これで確信しました。この殺人事件は単なる個人的な怨恨によるものではなかったんです。それよりももっと大きな力によるもの……。おそらくあの２人の刑事も、本当の黒幕に使われていただけ。『この件を自然死として処理』することで、多額の報酬金が手に入るところだったのでしょう。黒幕にとって、今まで利用してきた西野氏が急に邪魔になった、だから、殺した……。自分に疑いがかからないように、自然死に見せかけ、万一『殺人』だと見破られたとしても、個人的な怨恨がその動機だと思わせるという、二重のトリックを仕掛けていたんです。佐々木さんも、おそらく自殺ではなく、あの２人の刑事に口をふさがれ……」<br>　「もういい！」と、美鈴課長は悠斗の言葉を遮った。<br>　「これ以上この件には関わるな。高校生の悠斗くんには荷が重すぎる。あとは、我々警察に任せるんだ。必ず黒幕の正体をつかんでみせる！」と、美鈴課長は悠斗に言った。<br>　「人が２人も死んでいるんだ。これ以上深入りすると、キミにも危害が加わってしまうかもしれないんだぞ」と、美鈴課長は言葉を続けた。<br>　その様子を、美古都は少し離れたところに立って見ていた。</p><p>　「とにかく……」と悠斗が言って、さらに言葉を続けた。<br>　「第一秘書の荒田さんを捜し出してください。彼の命も危ない。彼は黒幕本人と面識がなくても、そこに通じる『誰か』とは確実に接点を持っているはずです。彼を探し出せば、黒幕の正体に近づくことができます。でも、もし敵に先を越されて、殺されてしまえば……」<br>　「黒幕へ近づく手がかりを失ってしまう、ということだな！？」と、悠斗の言葉に美鈴課長が言葉をかぶせた。<br>　「はい……」と、悠斗は答えた。<br>　美鈴課長は携帯電話を取り出し、電話をかけて「緊急配備をひけ。逃走中の荒田を必ず逮捕するんだ。……ああ、殺された西野県議の第一秘書だ。……だから、『殺し』だったんだよ、これは。とにかく急げ！」と、指示を出した。<br>　「とにかく、死んだ佐々木さんのところへ急ぎましょう」と、悠斗は言った。<br>　「ダメだ。悠斗くんはここにいるんだ。いいね！」と、美鈴課長は言い残して走り去った。　</p><br><br><p><font size="2"><br></font>　　　　　　　　　　　　　　　<a href="http://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550.jpg" target="_blank"><font size="2"><img height="128" alt="kyara2" src="https://stat.ameba.jp/user_images/05/9d/10059394550_s.jpg" width="220" border="0"></font></a> <br></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font color="#ff1493" size="2">---------------------------------------------------------</font></p><p><br></p>
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<pubDate>Sat, 10 May 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
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