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<title>小説はコッチに</title>
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<title>図書会誌 第一話 (４)</title>
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<![CDATA[ <br>「気が付いたかい？」<br>「離してください。こんな……、こんなことが許されるはずがない」<br>「許す許さないは君の判断ではないよ」<br>「くそっ！ こんなことをする意味が分からない！」<br>「知らなくいいことが世の中に多いことを理解して置くんだな。少なくとも、我が組織ではそういう行動こそ命取りになると弁えたまえ」<br>「ちっ！」<br><br>「あの、ちょっといい？」<br>　なんですか？ 朝見さん。<br>「これって、そんなシリアスな話しじゃないと思うよ。第一、組織って何？」<br>「サナカも朝見さんに同じ」<br>　だよな。そうなるよな。<br>「では、悪ふざけもそこそこに第一回会誌作成のための会議を始めますが、反対意見はありますか？」<br>　しばしの沈黙…………。<br>　そして、サナカを言った。<br>「無し！」<br>　続けざまに朝見さん。<br>「特にないよー」<br>　そして、俺！<br>「あります！」<br>「じゃあ、本日のテーマは────」<br>「無視か！」<br>「君、うるさいよ」<br>「は、はい」<br>　気負いされる俺。情けない。<br>「仕切り直して、本日のテーマは図書会の明確な活動についてだけど……ある人は挙手してください」<br>　再び、しばしの沈黙…………。そして、サナカは言った。<br>「無い！」<br>　続けざまに朝見さんはこう言った。<br>「今まで通りでいいよー。できたら、去年みたいにのんびりゆったりほのぼのがいいな」<br>そして俺は────<br>「俺も特になしです」<br>「よし、これにて終わり！」<br>「えぇ！ これでいいんですか！」<br>「いいの、いいの。あとはサナカちゃんがどうにか膨らませて執筆くれるからさ。春君、心配してるってことはいよいよ、腹決めたってことか。男らしいね」<br>「いや、そういうわけではないですよ。ハハハ」<br>　あの、腹決めるって何ですか？<br>「それでは、今日はこれで第一回図書会活動を終了します。ご苦労様でした」<br>　こんなに早く終わっていいのか？ 一応、メインイベントなんじゃ……。<br><br>「じゃあ、私お先に」<br>「俺も先に帰るから、サナカちゃん、鍵、お願いね」<br>「了解です。さようなら」<br>　二人は別れを告げるとすぐさま帰って行った。朝見さんには行ってほしくないよ。<br>「いよいよ二人きりね。春彦」　サナカが目を輝かせ、こちらを見る。背筋が凍った！ だが…………。<br>「私のこと、好き？」<br>「い、いきなりなんだよ！」<br>「別にからかいたかっただけよ。フフッ」<br>「そうかよ……」<br>　含み笑いが嫌に可愛らしい<br>「あの二人どう？」<br>「どうって、感じの良い先輩だと思う」<br>「なら良かった。少し後悔してね。あんたをこの会に連れて来たこと。でも、あの二人が良い印象だったなら嬉しいし、連れて来てて良かった」<br>　サナカのこういう、たまに見せる女の子姿は卑怯だ。いつもは変なのに。<br>「明日からあんたの好きにしていいよ。ここに来るなり、バイトするなり」<br>「えっ？」<br>　意外だ。てっきり強制入部かと……。<br>「お金貯めるんでしょ？」<br>「そうだけど……」<br>「だったら、好きにするといいよ。私は春彦と一緒に部活とか出来たら嬉しいなって思っただけ。中学は別々だったわけだし。でも、クラス同じだから別に問題ないよ」<br>「そう……か」<br>　言葉に詰まってしまう。<br>「でも、やっぱりちょっと寂しいかも。なんてね」<br>　くそっ！ そんなことを言われたら……断れるわけ…………<br><br>「チクショウ、分かったよ。部活動登録書にサインするから、綱ほどいてくれ」<br>「いいの？」<br>「お前がそう望むんだったら、俺はそうするしかないだろ。俺はお前にいつだって抵抗はしないだろ？」<br>「春彦……」<br>　サラサラと登録書を書き終え、拇印を押した。<br>　そして、いい感じの雰囲気。<br>　だが、それをいきなりぶち壊したのは────<br>「羽鳥先輩、朝見さん成功しました！」<br>サナカだった！<br>「よくやった、サナカちゃん。君を昇級して、副会長に任命しようじゃないか」<br>「流石だね。もう、朝見感激！」<br>　俺は事情を察した。謀られた！<br>「ちょっと待って、そんな、騙すなんて……」<br>「騙してないわよ。あんたと離れて、いじめる相手がいなくて寂しかったよ、すごく。フフッ」<br>「これからよろしく頼むよ」<br>「春君、ガンバッ！」<br>「とりあえず、明日はスタンダードに鞭にするよ」<br>　三人それぞれが自分の思いを伝えて帰った。三者三様っていうのかな。<br><br>　そして俺は一人残されて、すごく寂しかった。<br><br>　チクショウ！<br><br><br>　後日談。<br><br>　俺は色々聞きたいことがあったので、朝見さんとダベった。<br>「なんで最初の日、遅れて来たんですか？」<br>「ああ、それ？ ここのドア開けるのに時間かかるでしょ？ ちょっと手こずっちゃってね」<br>　ここの扉にはちょっと細工されていて、簡単には開かなくなっている。開け方は人に言えるような生易しいことではない。ある意味、法律に引っかかる可能性も…………。<br>「ああ、あと、部活の呼び込みの時のあの格好何だったんですか？」<br>「見たんだ、あれ……」<br>「見ちゃいました、あれ……」<br>　顔を赤くする朝見さん。ああ、もうなんて可愛いいんだ！<br>「じ、実はあれはね、誠の趣味なのよ。あいつ、ぱっと見た感じ格好いいのに、趣味が完全にあっち系統だからさ」<br>「あっちとはつまり？」<br>俺は確信に触れた！ 確信って何だろうね？<br>「オタクなのよ、あいつ。だけど、モテるにはモテるけどね」<br>「そうなんですか。あっ、そういえば、羽鳥先輩とサナカは何してる────」<br>「遅れてゴメンよ。会誌の見本数ページ出来たから見てくれよ」<br>　走って入ってきたのは、羽鳥先輩。その手には会誌が握られている。<br><br>　サナカが書いた会誌、裏表紙、目次ときて次のページ。三ページ目。つまり、最初のあの時のページ。<br><br>《初めて書きますので、読みにくかったらスミマセン。<br>　第一回のテーマ、“図書会の活動方針”<br>　現会員の四人全員が現状維持ということで決定しました。<br><br>　以上と言いたいところですが、余白があるので、色々書きます。<br><br>　私が図書会に入ったのは、この同好会が単純に一番楽しそうだったからですね。<br>　羽鳥先輩がなんやかんや言って図書会を広めようとしていて、朝見さんはそんな羽鳥先輩をうまくサポートしていたから。<br>　すごく微笑ましくて、羨ましかった。<br>　そんな二人と一緒に活動したいと思った。<br>　でも、私一人じゃ不安だから、春彦を……。<br><br>　私にとって、今一番は図書会での活動。特にすることもないけど、これはこれで楽しい。<br><br>　いつまでもこんな時間を、そう思うのです。<br><br>　色々書きましたが、こんな私を一年間よろしくお願いします》<br><br><br>『…………』<br>　羽鳥先輩、朝見さん、俺はきっと表現する言葉は違っても同じことを考えていただろう。<br><br>　可愛いな、チクショウ！
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<link>https://ameblo.jp/mad-imp/entry-10275440915.html</link>
<pubDate>Sat, 06 Jun 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>図書会誌 第一話 (３)</title>
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<![CDATA[ <br>「大丈夫かい？」<br>「何……とか…………」<br>　息絶え絶えで答える。息絶え絶えと、なかなかすんなり出て来た自分にビックリだ。<br>「本当に大丈夫？」<br>「はい……」<br>「それならいいけどさ。二、三分気絶してたからさ、びっくりしたよ」<br>　結構な間、気を失っていたようだな。チクショウ、サナカめ。<br>「来ていきなり、お騒がせしてすいません。全部、サナカが根元ですよ。ハハハハ」<br>　心にも無く、笑ってしまったじゃないか。チクショウ、サナカめ。憎しみを込め、隣のサナカに目をやる。俺の目から憎しみを糧としたビームが出ればいいのに…………<br>「なに？」<br>むしろ睨み返さられた。サナカの目からビームが出たのかと思うくらい、心臓が痛い。コイツに睨まれるとトラウマが……、虎？ 馬？<br>「何でもないよ。何でもない」　そして見事に敗北した俺。ヘタレ街道まっしぐらだな。チクショウ。<br><br>「では、まず自己紹介を。俺は羽鳥誠と言う。一応、図書会の会長してる。気軽に羽鳥様って呼んでくれ」<br>「えっ？」<br>「嘘だよ、嘘」<br>　目は全然笑ってなかった気がするが……。<br>「じゃあ次に美倉さん」<br>「私もするんですか？」<br>「一応、形式だけはね」<br>「分かりました。あと、私のことはサナカでいいですよ」<br>「分かった。あっ、別に俺に気を使わなくていいからね。今まで通りな感じでいいよ。サナカちゃん」<br>「そう？ なら────」<br>　なら、って……、たぶん社交なんとかだぞ、それ。<br>「私のことはご存じ、美倉サナカ！ 現在、新入生人気ランキング堂々の一位！」<br>　そんなランキングを初めて知りましたよ、俺。<br>「学力も最高順位！」<br>　ということは、学年一番か。俺と真逆だ。<br>「自他共に認めざるを得ない──」<br>　他は良いけど、自分はダメだろ。ナルシストになっちゃうよ！アルシンドになっちゃ────。<br>「美少女様よ！」<br>　総勢三人しかいない図書館もどきの教室に俺でもアホらしく思う、セリフが木霊した。なんか、木の霊って恐くない？<br><br>　だが、美倉サナカは悔しいが本当に完全無欠の美少女、悔しいが！。<br>　髪は黒くて長い。だけど顔立ちは欧州あたりの顔の作り。サナカはサンタクロースどうのこうのじゃないけど、本当に外国人の血を引いている。その証拠に目がスカイブルーに輝いている。外国人がモチーフの人形みたいで、悔しいが可愛いしモテる。悔しいが！<br>　あと、何故か女子の前だと自分のことを“僕“って言う変わり者だが、昔から頭は良い。一時は地元を離れた有名私立中学にいたが、高校生になると同時に戻ってきた。理由は…………不明。<br>　そして、何度でも言おう、悔しいが可愛い！<br><br>「流石、サナカちゃんだね。大物感が漂ってるよ」<br>「ですよね」<br>　自分で言うな。<br>「じゃあ、君の番だね。よろしく」<br>　えっ！ 俺もするのかよ。って、普通そうだよね。仕方ない……。<br>「俺は村岡春彦です。…………以上」<br>　三秒ほど時間が止まった。マズいこと言ったのか、俺？<br>「つまんない」<br>「つまらないねぇ」<br>「えっ！」<br>　二人とも同意見！ 俺に面白さを求めないでもらいたいよ…………。<br>「モットオモシロイノヲ聞キタイナ」<br>「何故カタコトだ！」<br>「右ニ同ジ」<br>「真似ですか？」<br>　サナカと羽鳥先輩はふざけていやがる。何をしたいんだよ、まったく。<br>「それじゃあ、村岡君。もう一回、どうぞ」<br>「えーっと、俺の名前は村岡春彦です。英語なら、ビレッジ…………岡……スプリング…………彦……です。」<br>　十秒ほど世界が動かなくなった。つまり…………スベったぁぁぁぁぁ！<br>「じゃあ、次いこっか！」<br>「明るいテンションが妙に傷つきますね！」<br>　これが俗に言うブロークンハートなのか！ そして、気になるものが…………。<br>「あの、サナカ？ 視線が痛いんだけど。ねぇ？ サナカ？」<br>「次いこっか！」<br>「ウザッ！」<br>　しまった！ 口が滑った！<br>「ごめんなさい。本当に申し訳ないです。だから、その大根はしまってください。大根だけは、うげっ！」<br>　ボディブロー一発。また危うく意識が向こうの世界に行くところだった……ぜ。<br>「じゃあ、次行くよ。我が会、図書会の活動についてだけど」<br>　一番気になることだったりするな。<br>「我が会はただダベるだけの会です」<br>「えぇ！それだけ！」<br>「まあ、正確には若干違うんだけどね。ニュアンスは近いかな」<br>　驚きだ……。テンションあげて言うと、驚きだぁぁぁ！<br>「ついでに図書会の由来は、元々が読書の会だっただけなんだってさ」<br>「案外あっさりと重大事実ですね」<br>「そうかな？ ああ、あと、言い忘れてたけど、もう一人部員いるからね」<br>「…………そうなんで────」<br>「ごめんなさい。遅れました！」<br>「あっ！」<br>　この人は…………。<br>「何？顔に何かついてるかな？」<br>「い、いえ」<br>　焦る俺。冷や汗ダクダクだ。あと唾液もダラダラ。<br>「そっか、良かった。昼にお好み焼き食べたから、青ノリついてたかと思ったよ」<br>　何故、学校でお好み焼き？<br>「君がサナカちゃんの…………よだれ出てるけど、大丈夫？」おっと、うっかり妄想を…………。<br>「すごい……！ まだ出てるよ？」<br>　妄想が止まりませんよ、そりゃあ。<br>　何故ならこの人は────<br><br>　あのコスプレのひちょだから！<br>　脳内で噛むなんて……。<br><br>「ジャストタイミングだね」<br>「ジャストタイミングですね」<br>「誠とサナカちゃん、息ピッタリだね。で、この人は例の？」<br>「この子は新入部員の村岡春彦君だよ」<br><br>「まだ、入部するとは────」<br>「そうなんだ！ 入部するんだ！ 四露死苦ね！」<br>　テンションがすこぶる高いですね！<br>「彼のことは、気軽にビレッジ岡スプリング彦と呼んであげてくれ」<br>「呼びにくいから、そうだなぁ…………ネジ君と呼ばせてもらおう」<br>「ん？ な、なぜネジですか？」<br>「スプリングってネジじゃなかったっけ？」<br>　なんだかこの人、俺と同じ匂いがするぞ。<br>「そんなことより、とりあえず自己紹介してやってくれ」<br>「そうだね。私は柚木朝見だからね。気軽に朝見様と呼んでくれていいよ」<br>「あの、非常に言いづらいんですが、ボケかぶりました」<br>「えぇ！ マジですかよ！」<br><br>　しかし、驚いたこの人の顔は麗しかった。あのコスプレを思い出してしまうよ。<br>　髪はサナカに比べて短めで、活動的なお姉さんというイメージかな。顔もサナカを芸術的とするなら、朝見さんは人間的に可愛らしい。頭が若干アレな感じはあるけど、それがまた可愛らしい。<br>　だからついつい、よだれが……。<br>「早速、揃ったところで重大発表です」<br>　よだれを飲み込み終え、重大発表という言葉に惹かれてしまう。<br>「俺達はご存知の通り、図書会誌を書かなければなりません。」<br>　ご存知じゃないのここに一人いますよ、羽鳥先輩。<br>「まあ、村岡君がいることだし、会誌の説明してあげたら？」　あれっ、ネジ君じゃないんだ。<br>「そうだねぇ…………。うーん…………。」<br>　そんなに悩むとこ？<br>「ヤダ！」<br>「結局！」<br>「なんて、嘘だよ。会誌っていうのは、簡単に言えば一年間の活動記録かな。例年、月に一回、一ページのペースで書いてるんだよ。読書の会だった頃からの名残なんだってさ」<br>　羽鳥先輩、名残って何ですか？ 食べ物ですか？<br>「しかし、今年は違う。今年は図書会設立およそ百年！ というわけで、今年は会誌を毎日書くように、ＯＢの方々に言われました。まあ、暑さにすると週刊漫画誌くらいかな」<br>　ツッコミどころが多い！ だいたい、そういうのはおよそじゃダメなんじゃ…………。<br>　しかしまあ、冷静に、冷静に。冷製パスタソースに。<br>「へぐっ！」<br>「ダジャレ考えたでしょ？」<br>「そんなわけないじゃないか……」<br>「え○り君みたいに言うな！」　更に一発殴られた。チクショウ！<br>「本当に仲いいね、二人。二人って付き合っ────」<br>「なんとなく話は分かりましたが、なんで俺をサナカに拉致させたんですか？」<br>　話を遮り、悪い流れを断ち切った。これでまた、平和が保たれた。<br>「えっ、春彦君、わかんないの？」<br>　あっ、村岡君じゃないんだ。<br>「今の図書会に足りないのはね、君のみたいな子なんだよ」<br>「えっ、つまりどういう存在ですか？」<br>「簡単じゃない。ツッコミよ」　俺はバカだが、今の一言に対する、自分がこの会に必要なのかどうかは分かる。俺は────<br><br>必要ない！<br><br>「どこ行くの、春君！」<br>　俺は出入り口に走った。<br>　あと、また呼び方変わってますよ、朝見さん。<br>「ハハッ。君が逃げようとすることは最初から分かっていたよ」<br>　後ろを振り返って、立ち上がり澄ましている羽鳥先輩の姿を確認する。流石に読まれていたか。流石に会長なだけはあるな、羽鳥誠よ。<br>「サナカちゃん、懲らしめてやりなさい」<br>　えっ！ サナカ？<br>　前を向き直すと、何か液体が頭に掛かった。もしや、例の養毛剤か？<br>　油断した瞬間、目の前に白いものが降ってきた。それは大根に間違いな────<br><br>　意識が飛んだ。（本日、三度目）
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<pubDate>Sat, 06 Jun 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>図書会誌 第一話 (２)</title>
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<![CDATA[ <br>　俺は、泣きじゃくる自らの体を慰めていると、ふいにサナカは立ち止まったのが分かった。そのうち、何にかが暴れているような奇怪な音が聞こえた。<br>まず、壁を殴っているような音が六回ほど。鉄琴を叩いたような軽快な金属音が三回くらい。そのうち、チェーンソーが回っている音と、スーパー戦隊の登場シーンばりの爆発音がした。そして最後にドアが開いた音を聞こえた。<br>　もしかすると、到着したのかもしれない。<br>　少しの期待や多大な不安と緊張が俺に流れ込んでくる。ちなみにこのセリフもなんかの受け売りのような気がするが、気にはしない。<br>　それからしばらく沈黙が続いた。待てど暮らせどってやつか……、意味は分からないのは当然。<br>　しばし経ってから、頭上から光が漏れてきた。光に慣れず、普段よりもまばたきの回数が増えてしまう。その目が光に慣れた時、俺は自分の目を疑った。<br>　俺を縛っていたロープは異常に太い、綱引き用の綱だったのだ。綱独特の毛羽立ちが体をチクチクとこそばゆくしている。それにしても、あいつはどうやって俺を運んでいたのだろう。綱だけで、俺の倍近くの重さがあるだろうから。そして、自然と目線を足下にいった。<br><br>　やはり！<br><br>　袋の底には大根の破片が落ちていた。<br>　そうどぎまぎしていると、綱が解かれ、ガムテープを勢いよく剥がされ、口がジンジンとしてくる。何故だか両手両足にもガムテープが数枚貼られていて、それを破竹の勢いで次々に剥がされた。言わずもがなだが、破竹の勢いの意味は知らない。<br>　光が差している袋の外へは長く感じた。サナカ曰わくサンタさん愛用の真っ白な袋から思いっきり飛び出すとそこは──────。<br><br>　雪ぐ、図書館でした。<br><br><br>　雪国じゃないことに驚いた俺は、口をバカみたいに開けて、立ち尽くしていた。実際にバカなのは認めているけど。<br>「やっと来たね。とりあえず、座って待ってくれる？」<br>　図書館のような姿をしている教室のドコからともなく、声が聞こえた。<br>「時間あったから、ちょっと本棚の整理しててね。そしたら、思いのほか手間取っちゃってね。でも、もうすぐ終わるからさ」<br>　すると、棚の片隅からいかにもなイケメンさんが顔を出した。<br>「あ……、はい」<br>　俺はこの心境を一言で言い表せる言葉を持っていないが、少なくとも俺が女性だったなら、たぶんこの人に一目惚れしているよ。<br>　髪は金色、耳にはピアスをしていて、この二つが不良のようなイメージを連想させそうだが、それをも拭いさってしまう爽やかで整った顔立ちをしている。正直言ってカッコイいです。<br><br>　その名前も知らぬイケメンさんから目を離し、部屋を見渡した。この教室は図書館自体をボロボロにて少し狭くしたような感じがする。でも、図書館というイメージをさせるだけのことはあって、十数個の本棚が立ち並んでいる。本棚には隙間なく本が敷き詰められいて、俺が知ってる難しい言葉で言うなら、壮観だ。それに机も幾つかあって、形が丸、三角、四角、星と奇妙な型をした机も幾つかある。<br>　星型って何人掛け？<br>　俺はあまりに難解すぎる計算を立って考えるには疲れるので、近くのあった四角い長方形型の机を見つけ、その席に座ることにした。うろうろしていたサナカも、俺の隣を陣取り、ふてぶてしく腕組みして席に着いた。<br>　すると早速、机の下ではサナカの攻撃が始まってしまった。コイツはいつ履き替えたのか、それとも最初から履いていたのか分からないが、学校指定の内履ではなく、赤いハイヒールを履いていた。そして、何故か裸足になっていた俺の足を踏みつけいる。しかし、足の甲部分というのが、えーっと、不幸中の幸いでなんとか痛みには耐えられる。我ながら絞り出したよ、不幸中の幸いなんて…………。<br>　そして、俺はサナカが満足そうな顔をしていることを確認したうえで、悪意が込められているのを理解した。<br>「ごめん。待たせてしまったね」<br>　いきなり後ろから声を掛けられ、驚いた俺の体は小さく揺れてしまった。<br>　その瞬間、中立が保たれていたはずヒールの位置がずれて、足の皮膚を掻いた。つまりそれは、冷戦が終わり、本格的な戦争の始まり告げる鐘の音でもあった。…………多分、漫画の受け売り！<br>　そして、一気に激痛が体を巡り、その痛みで不覚にも意識を失った。あっ、不覚ってどんな意────<br><br>　意識が飛んだ。（本日、二度目）
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<link>https://ameblo.jp/mad-imp/entry-10275438856.html</link>
<pubDate>Sat, 06 Jun 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
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<title>図書会誌 第一話 (１)</title>
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<![CDATA[ <br>　高校に入学して早々と二十日あまりが過ぎ去った。<br>　入学式、新入生歓迎会、部活動の呼び込みが立て続けに行われ、その後すぐには部活動仮入部期間に突入したりと、四月に行われるべき、あらゆる行事が忙しいほどに消化されていった。<br>　そんな多忙極まりないスケジュール設定によるものなのか、俺の記憶力が単にバカなだけなのか、多忙極まりないってどういう意味なのかは分からないが、ただその数ある行事の中で、きちんと思い出として俺の頭に保管されているものは、たったの一つ。<br>　それは部活動の呼び込みだ。<br>　なぜ、特にその行事──いや、その企画をピックアップしてあるかというのは、何を隠そう、女子の先輩方々の勧誘用コスチュームプレイが、目に焼き付いて離れなくなっているからだ。今なお、絶賛進行形で萌え──燃え上がってしまっている。<br>　女子が多く所属しているであろう部活動のコスプレは特にクオリティと破壊力が半端じゃなかった。その中でもテニス部のメイド服、調理部のウエイトレス、茶道部の和服。それらは俺を代表とする男共の下心を良い感じにくすぐる、会心の代物だった。それにどこかの同好会が着ていたアニメか何かのキャラクターを扮したコスプレもかなり秀逸な出来だった。そのコスプレしていた女子の先輩が、かなり可愛らしかったおかげで凄く映えていた。ピンク色の危うい妄想が頭を埋め尽くしてしまったが、理性がミリ単位でギリギリ勝っていたため、犯罪に手を染めることなく済んだ。<br>　しかし、水泳部のスクール水着が欠けていたのには、とても残念だった。だが、もしもスクール水着があの場にあったとしたら、俺は自らの理性を上回る、野性的本能を抑えられる自信はなかった。本当に犯罪を犯してしまっていたかもしれない…………。たまに自分が怖くなるよ。<br>　それはさておき、それらの部活動が思考を凝らして、呼び込みをしていた熱意には驚かされてしまった。どの部活動も新入生を入部させようとする、殺気にも似た雰囲気がヒシヒシと漂っていて、なによりも先輩達の目が血走っていて、まさに血眼になっていたことに心の底から恐怖した。<br>　俺はそんな先輩方々のギラギラした眼差しに応えることはなく、帰宅部に所属と最初から、そう、入学前から決めていた。だから、仮入部期間には部活への参加はおろか、見学をしに行く気すら全くなかった。ただ、あのコスプレ達をもう一度だけ拝見おきたかった後悔もある。ことわざでは、覆水盆に返らずなんて言うらしいけど、まったく意味がワカリマセン。今更だけど、会心とか秀逸とか血眼の意味もよくワカリナイ。<br>　意味どうこうはさておき、俺は高校の在学中にはアルバイトをするという、大きな誓いを持って入学したのだ。人はこれを夢とでもいうのだろう。人はこれをロマンとでもいうのだろう。そして何より、金が一番大事────<br><br><br>　頭がクラクラとしていて、視界も揺れているような気がする。でも、目の前が真っ暗で、それを確かめるのは難しい。<br>　気を失っている間、入学してから、数週間の出来事を誰かに話しかけているような、不思議な走馬灯みたいものを見ていたようなが気がするが、まさか、そんなわけはないだろう。第一、走馬灯の意味がワカラナイ。<br>　意識がハッキリとしてくると、俺は身動きがとれないことに気がついた。両手両足を太い紐のようなもので痛いくらい縛り固められて、口には独特の匂いを発している所から推測すると、ガムテープが貼られているようだ。それにバカデカい袋のようなものに身をすっぽりと入れられて、引き擦られているような感覚がある。真っ暗になっているのもこのせいだろうか。<br>　しかし、何故こんな状況にいるんだろう。<br>　必死に思い出そうと、体が無意識にガムテープによって塞がれ、呼吸のできない口の代わりに、鼻穴を痛いくらい大きく広げていた。大量の空気を取り込んでいる。その空気の中の酸素を、ヘモグロビンを介して脳へと運び、さらに大脳辺縁系の一部、海馬をフル回転させているのが体から伝わってくるのが感じられる。<br>　なんという難しい表現をしているのだろう、俺。もしかしたら、こんな状況になって秘めたる才能が開花したのかもしれない。<br>　すると、記憶が不意に甦ってくる。今まで感じたことのない未知の感覚へと陥った。<br><br>　そうだ！ 思い出した！<br><br>　そういえば、一昨日に読んだマンガのセリフだったな。ヘモグロビンがどうのって、大脳なんたら系って────<br><br>　そうだ！ 思い出した！<br><br>　走馬灯の中でスク水のことを考えてたはずだ。スクール水着……<br><br>　そうだ！ 何でこんな状況にいるのか、はっきりくっきり思い出した！<br><br>　確か、それはホームルームと掃除当番が終わって、完全な放課になってから。今日から部活動の本入部が可能になるのと同じく、バイトの許可申請の受け付けも出来るようになった。俺は早速、鼻歌交じりのメルヘン気分の中、バイトの許可申請書を提出しに職員室の担任のもとへと向かおうとしていた。準備が済んで、教室から出ようとしたときだった。<br>　背後に殺気を感じた瞬間、不意に後頭部を激痛が走った。俺は何者かにとてつもなく硬いもので頭をぶん殴られたようだった。気を失う寸前、目線を後ろにに向けるとそこには、嘲笑している犯人の姿と、床に粉々になった何かの白い破片が散らばっていた。俺は犯人の顔とその白い破片を脳細胞に刻みつけるように、記憶していた。<br>　ん？ これも漫画に書いてあったような気がするな。<br>　さておき、それを読み取ると犯人と破片は────<br><br>　誰？<br><br>　もとい！ 犯人は幼なじみの美倉サナカだ！<br>　あと、床に散布していたのは大根だったはず。<br><br>　　　　　　　　◇<br><br>「起きてる？ 起きてなくても話しちゃうんだけどね」<br>　記憶通りに犯人である美倉サナカの声がした。<br>　ああ、起きているとも。<br>　俺はガムテープで塞がれた口をモゴモゴ、体をウネウネさせながら答えた。<br>「今から『トショカイ』って言う同好会の活動場所に行くんだ」<br>　トショカイ？ それは何だ？ 食いもんか？ <br>　なんてな。そんな訳あるかよ。我ながらベタな言い回しだぜ。同好会って言っているわけだし、ここは普通であれば『図書会』が妥当だろうよ。<br>　そうだとしても、行くなら勝手に一人で────独りで行くといい。<br>「えっ、この袋？ 実は僕の家系、十七代くらい前からサンタクロースの血が流れてるんだよ。だから、家系図辿っていけば、外国人の名前があったはずだけど。隠しててゴメンね！ この袋はお姉ちゃんのお下がりなんだけど、十八歳になると新しいのを買ってもらえ────えっ、中身？ 中身は夢と希望は当然のことながら、愛と勇気を空を飛ぶ謎のアンパンから奪って詰め込んである。その時にちょっとした戦闘になっちゃって、油断した隙にパンチ一発受けちゃったんだけど。これがその時のアザ。でも、そのあとすかさず、鞄に入ってた養毛剤をぶっかけたら、目が×印にしながらフラフラになってね。そうしたら、空から触覚が生えた黒っぽい謎の生き物が、未確認飛行物体的な物に乗って現れてさ。流石にビビったよ。そうだ！名前は確か、バイキ────えっ、あっそう？ わかったよ。それじゃあ、また明日。バイバイ」<br>　イタい話を聞いてしまった気がする。<br>　会話をしていたみたいだから、俺に話し掛けている訳ではなさそうだ。察するに、クラスの友達にでも声を掛けられたんだろう。内容が内容なだけに相手の苦笑が手に取るように見える。もちろん、俺は手に取るようにの意味がいまいちピンとかこない。<br>　そして、どうしてもひとつだけ気になる衝撃の事実なのだが……。俺は夢と希望と愛と勇気の存在だったのか。しかも愛と勇気は例のアンパンのもので。マジで一度、親に確かめてみる必要があるかもしれない。<br><br>　サナカがしばらく黙ってある間、俺はごく簡単に頭の整理をすることにした。<br>　まず、俺は幼なじみの美倉サナカによって、強制的かつ暴力的に『図書会』とか言う、謎の同好会の活動場所に向かうために拉致された訳だ。<br>　まあ、あれだよな、拉致と言っても過言ではないくらいの拉致的な拉致だよな。拉致の仕方に順位かなんかをつけるようなことがあるとすれば、言わずもがなの審査員全員合致でベスト・オブ・拉致、みたいなものに選ばれること間違い無しだな。拉致拉致拉致拉致と、とても不埒なことを言ってしまったな。何つって……。でも、不埒って何？<br>　まあ、さておき、そんな完全無欠な拉致の方法でひっ捕らえられた俺は、袋に無理やりに押し込められ、ズルズルと引き擦られている訳だ。目的地は前述の通り、『図書会』という同好会の活動場所だ。<br>　しかし『図書会』か…………。<br>　見たことも聞いたことも食べたこともないな。新入生歓迎会のメインイベントである、部活動紹介には同好会は参加できないいないはずだから。見てはいないはず。呼び込みの時もそれらしいものは、見かけなかったと思う────って、俺は呼び込みの時には、専ら女子の先輩のコスプレにしか、目をやっていなかった訳だから、覚えていなくても何ら不思議じゃない。<br>　不思議じゃあない。<br>　何故か二回言ってしまったが、コスプレイヤー達は良かったな。思い出すだけで唾液の分泌量が増えて、鼻息も荒くなる。特にあの同好会のコスプ────<br>「えいっ！」<br>「う、うぐっ……」<br>「なんかいかがわしい妄想してたでしょ？今、ピロリロリンって来たから、とりあえず蹴ってた。ふふんふふ～ん♪ 」<br>　鼻歌まで歌いやがっている。しかも、とりあえず蹴るなんて。どういう神経してんだよ。何かの毒素に頭が侵されているに違いないな。ただ、俺も違う毒素に侵されているような気がするから、これ以上は人のことを言えないけど。<br>　しかし、どうして俺はこんなにも冷静沈着そのものでいられるのでしょうか？<br>　それはね、俺がこんなことされて悦ぶ変態さんだから。<br>　とかでは、決して、断じて、全くなくて、案外理由は簡単なのだ。<br>　それは…………<br>　慣れたんだよ！ 慣れちまったんだよ！<br>「とお！」<br>「ぶぐっ……」<br>「ウルサい！ モゾモゾするな！ 運びにくいだろっ！ あっ、今のは肝臓あたりを蹴ったつもりだけど当たってる？ ららんらんらん♪ 」<br>　ふっ、見事にジャストミート肝臓だったぜ。<br>　うん……。<br>　話を戻そう。例えば、お笑い芸人が裸足で逃げ出すくらいの田舎にある熱湯がでる温泉でも、案外その地元の人は入れてしまうものさ。<br>　何故なのか。それは、その温度のお湯に入り続けいたから体が慣れてしまっているんだ。<br>　それと理屈は同じだ。<br>　例えば、ドＭの人でも素っ裸逃げ出してしまうくらいの拷問やいじめでも、毎日毎日ネチネチ、いたぶられて続けていれば慣れてしまう。人間の性とでもいうのか、生存本能の境地とでもいうのか分からないが、そうなってしまうのだ。現に俺はそうだったからな。<br>　拷問、いじめか……。<br>　そう、殴られたり蹴られたり、投げられたり埋められたり張りつけられたり…………。<br>　嗚呼、思い出すよ。肩をトントンとされて振り返ったら、突如左フックが飛んできたこととかさ。逆ヒザカックンと命名された、膝を絶対に曲がらない方向に曲げられそうになったりとかさ。掃除用具箱に二時間監禁されたりとか、スタンダードに殴るって言われて殴り倒された……、なんてことがあったな。<br>　そんなことを小学生になるよりずっと前から、コツコツコツコツされ続けたら、否応なしに体が馴染んでしまうのさ。これが人間の性とでもいうのか、生存本能の境地とでもいうのか分からないが、そうなってしまうのさ。<br>　うっかり同じことを言ってしまったな。あと、人間の性と生存本能の境地って使った割には、意味が理解できないな。<br>　ボーっとして、更に昔を思い出していると、気を確かめられる頃には、目に涙が貯まっていて、耐えきれず一粒の雫が頬を伝ったのが分かった。俺の心はタフに耐えられようとも、体がデリケートに辛いと訴えている表れだろうよ。
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<pubDate>Sat, 06 Jun 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
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