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<title>sunao</title>
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<description>どこにも出せない気持ちを、ここに綴っていけたら。</description>
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<title>29.死因</title>
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<![CDATA[ 内職の人を含めて挨拶回りは全部で30軒ほどだった<br>挨拶のつもりが、一方的な質問の返事ばかりになった。<br><br>それはそうだろう、毎週顔を合わせて、つい３日程前にも配達に来ていた馴染みの人が、火曜日に娘だと言う人物から亡くなったと連絡が入るなんて。<br><br>だから「お父さんどうしたの？何で亡くなったの？」が皆の第一声だった。<br>自殺しました、と言って涙ぐめばそれ以上聞かれないで済むかもとも思ったけど…。<br>母が葬儀の間にかかって来た電話の相手に、事務所で倒れて手遅れだった、なんて対応をしているのを聞いてたから、そうしておいた方がいいのかなとも思った。<br>自殺と言う単語を口にするのも正直辛かったから。<br>でも、倒れて手遅れだと言うのも実際に面と向かって説明するのもチョット無理が有った。内職のおばさん達に興味深く質問されながら、曖昧に誤魔化して先を急いだ。 <br><br>「死因」<br><br>首の骨折による窒素死だと確か診断書に書かれていた。<br><br>だけど、郵便局で生命保険の払い戻しの申請時は、それで受け付けて貰えなかったらしい。<br>「自殺による窒息死」と書かされたと言って母は泣いていた。<br>でもそれが現実。<br>母は現実を受け入れないでいた。<br>だから私がしっかりしないと。とにかく男手が無いからと言い訳なんて出来ない。同じ様に動かなきゃ母も妹も生活出来なくなるんだから。<br>とにかく頑張ろう！その思いで車を走らせた。
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<pubDate>Wed, 21 May 2008 09:34:16 +0900</pubDate>
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<title>28.父の車で</title>
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<![CDATA[ 一人ライトエースに乗り込む。<br>昨日配達先は地図で確認した。<br><br>古い大きな地図は、父の手で几帳面に道が書き足されて、今まで内職をしてくれた人の家が赤で塗られていた。<br>そこまでは以前から知っていたけれど今回改めて調べると、つい最近書き込まれた跡が有る事に気付いた。<br>狭い場所、細い路地に矢印が書いている。<br><br>後で配達して気づいたけれど、矢印通りに行かないと入れない道だった。<br>あまりにも父らしい配慮に…<br>改めて父が死ぬ準備を怠らなかった事をツラく感じた。<br><br>ルートを確認し、車に乗り込む。<br><br>父のタバコの匂いのする車。<br>灰皿にはまだ父の吸ったピースの吸い殻。<br>父の手で書きこまれた地図<br>父の愛用の３色ボールペン。配達用のノート。几帳面な文字。<br><br>父が一日の半日を過ごしていた車に乗って今日からは私が父の仕事を受け継ぐ。<br>泣き腫らした目で。<br>父が亡くなってからほとんど寝ていない。<br>それでも自分がしないと<br>その思いだけで動いていた。<br><br>どんな苦労も…<br>父が死を選んだ事に比べたら何でも無いように思えた<br>エンジンをかけるとディーゼルの低く大きい音が響く。いつもの車とのシフトレバーの位置の違いに一瞬戸惑いながら、車を走らせた。<br><br>いい天気と言うよりはあまりにも朝から蒸し暑かった。今日も夏日らしい。<br><br>こうして、父がなくなって始めての配達は始まった。
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<pubDate>Fri, 16 May 2008 18:31:15 +0900</pubDate>
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<title>27.出発</title>
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<![CDATA[ 葬儀の翌日。<br><br>家族全員で今日することを手分けした。<br><br>私は、仕事の関係者全ての挨拶を兼ねて仕事の配達周りに。<br><br>あと、生命保険の申請やその他の手続き、税理士さんとの打ち合わせ。<br>事務所の整理。<br>事務所に書類や印鑑など、必要なものが置かれていたけれど<br>今の母の状態で父が死んだ場所を見せたくなかった。<br>なので母に必要な物を聞き、配達の途中で私が取りに行く事にした。<br><br>実家は広く、車を外に置いてコンクリート造りのシャッター付きの車庫を使えば、即席の事務所代わりに使えるよね、と言う事になった。<br>父が死んだ事務所で母一人留守番させるのも酷な気がしたから<br><br>私と言えば…一人で事務所に寄る事はツラい気もしたけれど…一度現場を見ているから大丈夫にも思えた。<br>一人で配達の方が気楽にも思えた。<br>配達や挨拶回りは、距離を考えると一日はかかる。<br>一人にもなれるのが、なんだかホッするような気もした。<br><br>新しい一日の始まりだった。<br><br>皮肉にも…葬儀が終わったら残された者には新しい生活が始まる<br><br>父のいない暮らし。<br><br>小さいけれど、内職さん達30人ほどの会社で<br>彼女たちの生活の足しを担うようになってしまった。<br>とにかくやって見なきゃ始まらない<br><br>新しい出発だった。
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<link>https://ameblo.jp/masa125/entry-10096551370.html</link>
<pubDate>Tue, 13 May 2008 23:45:56 +0900</pubDate>
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<title>26.葬儀のあと</title>
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<![CDATA[ <p>父は、小さな２つの箱に入って帰ってきた。</p><p>両手に載る大きさの白い透かしの模様の入った布に包まれた箱と、</p><p>紫に金の刺繍の入った片手に載るような小さい箱。</p><p>小さい方は、ノドボトケの部分が入っていて、</p><p>四十九日の仕上げの時に高野山に納めるらしい、と聞いた。</p><br><p>これから、7日ごとに晩うちへ兄弟が集まってお参りし、</p><p>四十九にちまで毎週お坊さんが来て拝んでくれるらしい。</p><p>しばらくは、親戚が出入りすることになりそうで、</p><p>人が死ぬって、大変なんだと改めて思った。</p><br><p>夕方になり、やっと親戚の人も帰っていった。</p><p>急に静かになった気がした。</p><br><p>ゆっくりと落ち着きたかったはずなのに、</p><p>これからのことを家族全員で色々話し合ったり、</p><p>決めなければならなかった。</p><p>ゆっくり落ち着いてから、という時間はあまりなかった。</p><br><p>まずは、しばらく実家で過ごす段取りをすることになった。</p><p>身の回りのものをとりあえず持ってくる準備も要る。</p><br><p>そして、明日はまず、内職の人の所へ回らないと。</p><p>出来た仕事を貰ってきて、納めないとお金にならないし、</p><p>今ある仕事を配らないと、内職を続けてもらえない。</p><p>取引先の信用と、内職さんへの信用。</p><p>まず、それを引き続き継続させないと。</p><p>最低でも今までどおりの売り上げを確保しないと。</p><br><p>借金は2000万ほどだった。</p><p>よく、テレビで何億もの借金をかかえた芸能人の話なんか、</p><p>見たことがあったけれど。</p><p>実際、縫製業でその金額を支払って返していくことの</p><p>大変さを思い知るようになる。</p><p>2000万。大してニュースにもなりそうにもない</p><p>そんな金額の為に</p><p>父親は自らの死を選んだのか。</p><br><p>それと住宅ローンも有った。</p><p>これは父の死によって、消失するはずだった。</p><p>いわば、死でチャラ。</p><p>なんて、安易な考えなんだろう。</p><p>それで、家族が喜ぶ？</p><p>ありがたかったわ、なんていう？</p><br><p>頭には浮かぶものの、そんな考えはナシ！</p><p>考えないようにしなきゃ。</p><p>今は、父親を恨んでも悔やんでも責めても仕方ない。</p><br><p>大きな住宅地図を広げる。</p><p>内職さんの自宅を、一軒一軒確認始める。</p><p>25件ほどの、4市町村にわたる内職さん宅の確認は</p><p>慣れない地図と地名に戸惑い、</p><p>深夜まで続いた・・・。</p><br><p>こうして、父が死んで3日が経った。</p><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/masa125/entry-10071406272.html</link>
<pubDate>Sat, 09 Feb 2008 16:37:07 +0900</pubDate>
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<title>25.精進上げ</title>
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<![CDATA[ 精進上げが始まろうとしていた<br><br>素早く娘の隣の席に座った<br><br>父の長兄が取り仕切ってくれて、<br>親戚一同が勢ぞろいし始まった。<br><br>これが終われば、やっと少し落ち着くはず。<br>そう思うとホッとした。<br><br>親戚の人の支えが有って<br>葬儀は無事に終わろうとしていたけれど、<br><br>かなり疲れが溜まっいる気がした<br>早く自分達だけになりたかった。<br><br>ちゃんと寝たようにも思わないし<br>疲れていたし<br>食欲もほとんど感じなかったけれど、<br>それでも食事は取っていた。<br><br>みんなの前で食べないのは、同情を引く様でイヤだった。<br><br>目の前に有るものを黙々と食べた。<br>周りは先ほどの火葬場の空気とは変わって、<br>少し緊張感が解けたようだった。<br><br>少しのお酒が、叔父達の気を弛ませた。<br><br>「うちのしきたりじゃ、こんな葬儀はおかしい。」<br>「うちの家に似合わない。」<br>「ここの地区のもんは勝手に決めてなっとらん。」<br>「こんな貧相な葬儀してからに。」<br>「大体、弟嫁も何を考えてるんや」<br>父方の兄姉が次々に愚痴をこぼす。<br><br>黙って聞いていたが、たまらなくなり<br>今まで張り詰めた糸がプチンと切れた気がした<br><br>私はちょうど叔父の斜め後ろに座っていた。<br><br>叔父の方を向いて、立ち上がった<br><br>手伝いの近所の人は一旦席を外してくれていたので<br>立ってるものは私一人だった<br><br>皆が一斉に注目する<br><br>しまった、こんな所でキレたらアカン！<br><br>そう思ったが遅かった<br>しかも夫も母も居なかった。<br>止まらないまま、ぶつけた。<br><br>「おっちゃん、そんなこと今言ってどうするん！<br>大体近所の人、夜中まで会議して<br>この地区の初めての葬儀やったのに<br>一生懸命努めてくれたやんか<br>おっちゃん文句ばっかりで動いてくれへんかったし<br>私らも至らんとこ有ったかも分からへんけど<br>初めてのことやんか<br>何でそんな言われ方せなアカンの！」<br><br>もう止まら無かった<br><br>口から暴言に近い声が出た<br>溜まっていたものが<br>一気に喉の奥から出て来たような気がした<br><br>気が付けば声は泣き声に変わり<br>次第に号泣していた<br><br>こんなに大勢の前で感情を露にするなんて<br>自分でも信じられ無かったが<br><br>母や近所の人の苦労を無にする様なことは<br>耐えられ無かった<br><br>義弟と妹達に押さえられ、<br>へなへなと座り込み泣く。<br>父が死んで、やっと思いっきり泣いた気がした。<br><br>人前でこんなに号泣したこともなかった。<br><br>夫が部屋に入ってきた<br><br>「お骨の準備出来たそうですので、タクシーもすぐに来ます」<br><br>叔父が明らかにホッとしていた。<br><br>「じゃあ行こうか」<br><br>叔父は、私と妹二人と母がツラいだろうから<br>無理に行かなくてもいいと言った<br><br>夫もうなずいた。<br><br>父のお骨を拾うべきだと思ったものの、<br>正直、落ち着いてお骨を拾う事が出来るとも思え無かった。<br><br>叔父の意に沿わず行くと言うのも躊躇われた。<br><br>結局、火葬場に行かなかった。<br><br>皆出払った広い室内で、娘を抱きしめて泣いた。<br><br>未だに、辛かろうが父のお骨を拾うべきだったと<br>思い出して後悔する。<br><br>最期と言う重みを、その時は考えられ無かった。
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<link>https://ameblo.jp/masa125/entry-10071196704.html</link>
<pubDate>Fri, 08 Feb 2008 19:35:03 +0900</pubDate>
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<title>24.現実</title>
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<![CDATA[ 父が現れた、という不思議な余韻に浸ったまま、<br><br>火葬場を後にした<br><br>自宅に戻り、着物から喪服に着替えていると<br><br>電話が鳴った<br><br>慌てて取りに走る<br><br>「はい、もしもし」<br><br>「こちら○○銀行ですが、ご主人はいらっしゃいますでしょうか？」<br><br>「申し訳ないですが、一昨日亡くなりまして」<br><br>「さようでございますか、そうしましたらご主人様のお借り入れにつきまして…」<br><br>「すみませんが葬儀の真っ最中でして、母に伝えておきますから」<br><br>そう言って、電話を切った。<br><br>現実に一気に戻った<br><br>きっと、銀行の人は父が死んだのを知って連絡してきたのだろう<br><br>それは銀行の業務としては当たり前の事なんだと思う。<br><br>銀行にも警察にも迷惑をかけてると思うけれど<br><br>父の死と言うものが関係の無い人にとって<br>あまりにも取るに足りない事の様に扱われてる気がして<br>空しく、寂しかった。<br><br>でも、それが現実。<br><br>落ち込んでいられない。<br><br>慌てて着替え、公民館に戻らなくては…<br><br>気持ちはそうなんだけど、行きたく無かった<br><br>食欲もほとんど無かったし<br>味のない食事は意味が無かった。<br><br>父方と母方の叔父叔母と並んで食事も<br>ひどく疲れる様な気がした。<br><br>のろのろと着替え、玄関のドアを閉めた。
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<pubDate>Thu, 07 Feb 2008 10:03:22 +0900</pubDate>
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<title>23.火葬場にて</title>
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<![CDATA[ <p>火葬場は、初めてではなかった。</p><p>祖母や祖父の葬儀の時にも来ていた。</p><br><p>父の棺が設置されて、お坊さんの読経だけが響く</p><p>それでもまだ実感を得られないまま、お経は終わる。</p><p>本当に、これで終わりなのだろうか？</p><p>葬儀屋さんが、たんたんと言う。</p><p>｢・・・故人と最後のお別れです・・・」</p><p>だいたい、あの棺に本当に父が入っているのだろうか？</p><p>そんなしょうも無いことばかり、考える。</p><br><p>長々と葬儀屋さんが話していたが</p><p>ついに、</p><p>「こちらのスイッチをお願いします。」</p><p>母、妹、夫。</p><p>みんな急に顔を上げる。</p><p>だれも、自分がその担当だとは思っていない。</p><p>かおを見合わせても、言葉も出ない。</p><br><p>葬儀屋さんが、母の顔を見る。</p><p>「お願いします」</p><p>それでも母は踏ん切りがつかなかった。</p><p>細い声で夫の名前を呼ぶ。</p><br><p>夫は、その突然の名指しに驚いた。</p><p>やがて、意を決してボタンに近づく。</p><p>周囲からすすり泣きが聞こえる。</p><p>ボタンに指を置き、顔を反対側にそらす。</p><p>震えながらボタンを押した夫の顔は、一生忘れないと思った。</p><br><p>その時だった。</p><p>突然、ざわめきが聞こえた。</p><p>見ると、叔母が。</p><p>母の姉である叔母が、後方からこちらに近づいてきた。</p><br><p>母の前につかつかと近づく。</p><p>様子がおかしい。</p><p>母の顔を見て、叔母は言った。</p><p>「ママ、ゴメンな。ゴメンな、みんな、ママをお願いします。」</p><p>そう言って、叔母は急によろめいた。</p><p>慌てて周囲の人間が支える。</p><p>すると、その顔を眺めて、</p><p>｢皆さん、宜しくお願いします。お義兄さん、勝手なことしてすみません。」</p><p>そう、つぶやいた。</p><p>声も絞り出したような声。叔母の声ではない。</p><p>その言葉は、叔母が自分の夫に対して言った言葉で、</p><p>本来なら叔母の口から出るはずのない言葉である。</p><br><p>私は、今まで心霊、霊というものを信じたことがなかった。</p><p>でも、その時の叔母は、叔母ではなかったと思う。</p><p>父が、叔母の口を借りて、最期に伝えたかったのだと。</p><p>そう思う方が納得がいく。</p><p>そんな場面で冗談で出来るはずもない。</p><br><p>それだけ思い残すことがありながら・・・父はなんで？</p><p>何で死んだの？</p><p>そう思い悔しい反面、</p><p>父の魂は、自殺した現場に残ってはいないのだと</p><p>少し安心した気分にもなった。</p><p>死後の世界なんか分らないけれど</p><p>でも、少なくとも、お経の声は届いたのかも知れないな、と。</p><p>そんなことを考えながら、火葬場を後にした。</p><br>
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<link>https://ameblo.jp/masa125/entry-10070703597.html</link>
<pubDate>Wed, 06 Feb 2008 16:45:08 +0900</pubDate>
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<title>22.お葬式</title>
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<![CDATA[ <p>結局、なんだか知らないうちに色々な事が決められていって</p><p>お葬式まで来た。</p><br><p>今更のことだが、お通夜やお葬式の時の天気のことを</p><p>よく覚えていない。晴れ？雨？曇り？</p><p>傘を使った覚えは無かったが</p><p>自宅と隣の公民館への往復しただけだったし。</p><br><p>ただ、すごく蒸し暑かった。</p><p>その年はそれまでクーラーを入れていなかったのに</p><p>夜通しクーラーを入れていたような気がする。</p><br><p>お葬式は午後からだったが、</p><p>すでに早くから親戚も集まっていた。</p><p>階段を下りて、部屋に入る手前で</p><p>階段下の収納を見つめる。</p><br><p>そっと紙袋を覗き込み、父親が最後に着ていた服を眺める。</p><p>そっと、紙袋に手を突っ込んで触ってみる。</p><p>いつもと同じ、半袖のポロシャツ。</p><p>タバコを吸うので、</p><p>いつも胸ポケットが付いているものを選んで買っていた。</p><p>そして、ジーパン。</p><p>かすかに、ピースの匂いがした。</p><br><p>昨日と同じように、叔母に喪服を着せてもらう。</p><p>昨日と打って変わって、着古した感じ。</p><p>昨日までは新品だったのに。</p><br><p>叔父達は、父が使ってた灰皿をタバコで一杯にしながら、</p><p>近所の葬儀の担当者の段取りが悪いと愚痴っている。</p><p>クーラーの設定温度が20度なのに、</p><p>それでも蒸し暑い気がした。</p><br><p>今日一日で、終わる。そう言い聞かせる。</p><p>皆、普通の状態であるはずないもんね。そう思う。</p><br><p>父の顔は、公民館に運ばれてから見ていなかった。</p><p>なんとなく、棺を開けて改めて見るのが怖い気がした。</p><p>別人で有るかのように思えそうで怖かった。</p><br><p>うちは家に仏壇がないから、お経というものに</p><p>あんまり聞きなじみが無かった。</p><p>般若心経の音が耳の中で響きながら</p><p>そういえば、仏壇もお墓もない。</p><p>これから、考えることは一杯ありそうだった。</p><br><p>昨日よりも比較的人も少なく感じたが、</p><p>お葬式はとくに問題もなく終わった。</p><br><p>棺が運ばれてきて、最後のお別れをする。</p><p>葬儀屋サンの用意してくれたお花の他に、</p><p>買ってきたミニウイスキーや、タバコを入れる。</p><br><p>これでお別れだというのに、実感が湧かない。</p><p>棺のフタが閉じられ、一斉に号泣する。</p><p>母は位牌、妹が写真を持つ。</p><p>夫や義弟は棺を担ぐ。</p><br><p>私は、手持ち無沙汰な感じでそれを眺める。</p><p>なんだか、部外者みたいだなあ、なんて。</p><p>しょうもないことでちょっといじける。</p><br><p>タクシーが来て、焼き場（そう、呼んでいた。）</p><p>に移動する。</p><p>十分当事者であるはずなのに、</p><p>なんだか気持ちも体もふわふわして、実感がもてない。</p><p>それでも、7対のお地蔵さんの脇を通り過ぎ、</p><p>タクシーはいよいよ父との最後の別れの場に到着した。</p><br><br><br><br><br><br>
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<pubDate>Mon, 28 Jan 2008 10:15:06 +0900</pubDate>
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<title>21.長女</title>
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<![CDATA[ <p>姉妹で、当面の相談をする。<br>母と末の妹だけではほっとけないね、という事になり、<br>妹夫婦も私達家族も、初盆までの３ヶ月弱、<br>実家で寝泊まりする事にした。<br><br>私も真ん中の妹も、お互い仕事はしておらず<br>お互いの旦那は30分ほど通勤時間が増える事になったが、<br>二人とも何も言わなかった。<br><br>私は仕事を継ぐからと宣言し、実家に引越してくると宣言した。<br><br>夫も賛成し、母もホッとしていた。<br><br>その時はまだ、当時一緒に同居していた</p><p>夫の両親に相談もしていなかったので<br>少し申し訳なさも感じたが、<br>それでもこんな状況だから許されるだろうと思っていた。<br><br>お葬式の次の日、金曜日に初めて配達に回る事にした。<br><br>悲しむよりも前にするべき事が一杯あるような気がした。<br><br>あと一日で、日常生活が戻って来る。<br>仕事を継ぐと言うものの、母と女二人で</p><p>本当に生活していける様に継続して行けるのだろうか？<br>ホントは不安でたまらない.</p><br><p>誰も何も言うわけでもない。</p><p>私は結婚し外に出た人間だけど、でも。</p><p>感じなくてもいいプレッシャーを感じていた。</p><p>母と妹を食べさせていけるだろうか？</p><p><br>父親の最後の別れ、お葬式が終わることが</p><p>すごく不安に感じられてきた。</p><p>もうすぐ、夜明けだった。</p><br><p>すでに、私の人生は大きな転機を迎えているような</p><p>そんな気がした。</p><p>家庭の通知簿、２なんだから。</p><p>裁縫もミシンもヘタクソだし。</p><p>私は継がないよ、なんていってたのに。</p><br><p>好きにしたらいいよ、</p><p>うちは跡継ぎなんかいらないから</p><p>なんて言ってたのに。</p><p>父のうそつき！！！</p><p>勝手に自分で死んじゃうなんて。</p><br><p>責任感だけではなく、色んな思いが</p><p>次から次に溢れてくる。</p><p>今日も、ほとんど眠れない。</p><br><p>お葬式は午後から。</p><p>あと半日で、父との最後のお別れの時が来る。</p><p>不安と寂しさの中、朝を迎えた。</p><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/masa125/entry-10067816097.html</link>
<pubDate>Thu, 24 Jan 2008 21:14:56 +0900</pubDate>
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<title>20.お通夜</title>
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<![CDATA[ <p>お通夜の直前に、喪服に着替える。<br><br>こんなに早く喪の和装を着るなんて思ってもいなかった。<br>祭壇に背を向けるようにして座るのも初めてだった<br>私、母、真ん中の妹で３人で並んで</p><p>参列してくれた人に挨拶をする。<br>高校の制服を着た末の妹が叔父や叔母に並んで座っていた。<br><br>質素で、参列者も少ないと思っていたのだが、<br>お坊さんの読経の間、お焼香は続いた。<br>どこから聞いて参ってくれたのだろう？<br>父の古い友人や、私の友人も多数来てくれていた。<br><br>友人達は私の顔を見て涙ぐむ<br>声をかけたいが声もかけられずに<br>目を合わせて会釈する。<br>長いと思ってたお通夜は、あっという間に終わった。</p><br><p>公民館と自宅で、親戚ばかりになる。</p><p>５４歳で亡くなった、その早すぎる死に、</p><p>皆戸惑いを隠せない様子では有った。</p><br><p>はじめて見る祭壇や、喪服の人ばかりの様子に、</p><p>娘は見慣れない様子で、初めはおとなしくしていた。</p><p>だが、唯一久しぶりの幼児、ということもあり、</p><p>皆に遊んでもらううちに、だんだんと雰囲気に慣れた様子で</p><p>最後には酔っ払った叔父達にのせられて、</p><p>沢山、祭壇の前でもりのくまさんやチューリップを歌った。</p><br><p>よく父の膝の上でも歌っていた。</p><p>「おじいちゃんの供養になるよ」叔父が言って</p><p>しんみりとした祭壇の前の小さな輪が、</p><p>すこしだけ和み、穏やかになった。</p><br><p>町内の人が皆お手伝いに来て、</p><p>色々世話してくれた。本当にありがたかった。</p><p>新興住宅地で初めての葬儀だったので、</p><p>今までの決まりごと、というものも無かった。</p><p>だから近所の会長さんの家で、前日は長い時間をかけて</p><p>色々な取り決めをしてくれたらしい。</p><br><p>ただ、それが隣の町内で古くから生活している叔父には</p><p>従来のやり方とは違う部分があったみたいで、</p><p>こと細かいことを会長さんに指示していた。</p><p>葬儀は、長男の叔父によって取り決めが進んでいた。</p><br><p>皆が、言い方はおかしいかもしれないが、</p><p>「父の死」に慣れてきていた。</p><p>父が亡くなり２日目だからなのか？</p><p>ただ、かわいそうに、と皆が自分たちに同情的で</p><p>何も言わなくても</p><p>黙って悲しんでいればいい状況から少し変わってきていた。</p><br><p>親戚以外の人がお参りに来てくれると、どうしても</p><p>「どうして急になくなられたの？」と聞かれる。</p><p>悪気は無いのはモチロンわかっていたし、</p><p>私自身は、そういうことを誤魔化しても仕方ないから、</p><p>という気持ちもあった。</p><br><p>でも、父の警察に宛てたメモや、母や妹のことを考えると、</p><p>わざわざ自殺だと言いふらすようなこともしなくていいかな、</p><p>とも思えた。</p><br><p>それでも、電話や、知り合いの人と母が話をしていて</p><p>「事務所で急に倒れたみたいで。手遅れだったんです。」</p><p>などど聞くと、少し胸が痛んだ。</p><p>自殺を隠したり誤魔化したりすること。</p><p>それは、父のしたことを恥ずかしいと思っているようで、</p><p>寂しかった。</p><br><p>でも、母は母なりに一生懸命だった。</p><p>葬儀は、残された家族に追い討ちをかけるように</p><p>色々なことを迫ってくる。</p><p>葬儀のこと。人とのかかわり。</p><p>静かに悲しんで居たいのに</p><p>落ち着くヒマも与えてもらえない。</p><br><br><br><br><br><p><br><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/masa125/entry-10067403554.html</link>
<pubDate>Tue, 22 Jan 2008 21:46:10 +0900</pubDate>
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