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<title>試作型小説集。</title>
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<description>小説タイトルをブログテーマ一覧から選んで、その上で読み始めていただければ、あなたも私も幸せです。 Setting と書かれているものは内容の書き加えがあることもあります。</description>
<language>ja</language>
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<title>マジュヌーン (1)</title>
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<![CDATA[ <p>　森を切り裂くように疾る。<br>　風の音がする。<br>　木々を震わせ森を駆け抜ける男は哂っていた。<br>　思わぬところで目的が果たせるかも知れないから。<br>　今行くまでもないことかも知れない、だが身体は行くことを望んでいた。<br>　理由は判らないが、恐らく大気の震えに腕が疼くからだろう。<br>　何にしても混乱している状況の方が仕事への支障は遥かに軽くなるのだ。<br>「――」<br>　段々と地響きが大きくなる。<br>　音の発信源に近付いている。<br>　恐らくは眼前の木々の茂みのすぐ向こう。<br>　深く重なり合う木々の向こうで、男の目的の為に、何とも都合良く生命を競う戦いが行われている――<br>　男は哂っていた。</p><br><br><br><p><strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10021431068.html">back</a></strong> 　　<strong>next</strong></p>
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<pubDate>Mon, 18 Dec 2006 01:19:02 +0900</pubDate>
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<title>ディビールの森 (3)</title>
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<![CDATA[ <p>「地震！？」<br>　木々が、地面が揺れる。<br>　遠くからまるで火薬が爆発するかのような音が響いてくる。<br>　――違う。<br>　これは地震なんかじゃなく、何か、そう、竜巻のようなものがすぐ近くで――<br>「レナード、これ……！」<br>　ブルーは眼を見開いてレナードに振り返る。<br>「ガスパだ。ミルズさん達の進んだ方から」<br>「じゃあ、ミルズ達が襲われてるのか！？」<br>　ブレイズがレナードに詰め寄る。<br>「音の方角からして、まず間違い無いだろうね。<br>　……どうする？僕は行くけど、二人はここに残る？」<br>　そう話している間にも音が強くなる。<br>「――俺も行く。この為に来たんだから」<br>「ミリアムとラッシュもいるんだから隠れてられるわけないじゃない。<br>　早く行こう」<br>　二人は迷わずそう言って、音の聞こえてくる方角に走る。<br>　走り出した二人を見たレナードもまた走り出し、すぐさま二人を追い抜き先行する。<br>「二人とも後ろから続いて。そうすれば少なくとも即死はしないで済む」<br>　追い抜き際に二人に視線を向けレナードが言い残す。<br>　そしてそのまま道を切り開くように疾走する。<br>「ミリアム……！」<br>　ブレイズは木剣を強く握り締め、遅れまいと全力でレナードの背中を追った。</p><br><br><br><p><strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10021032424.html">back</a> </strong>　　<strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10021786791.html">next</a></strong></p>
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<pubDate>Mon, 11 Dec 2006 22:03:05 +0900</pubDate>
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<title>ディビールの森 (2)</title>
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<![CDATA[ <p>　森の中を歩く。<br>　充満した樹液の匂いが少し息苦しい。<br>　勾配の激しい山道ほどでは無いが、舗装されていない森の地面は少しずつ体力を奪ってゆく。<br>　ブレイズ達と分かれてから二時間。<br>　以前、ミルズ自身が件のガスパを目撃した場所はとうに通り過ぎ、後は経験と直感でガスパを探しながら泉に向かうのみ。<br>　ただ、森に入った頃より立ち込めている霧と木々によって陽光が遮られている為に、どうにも方向感覚が怪しい。<br>　ブレイズ達ほどでは無いが、少なくとも地図無しで泉まで歩くには問題無いだけの経験はある。<br>　だが視界が遮られている為に一向に先が見えず、泉までの道順が正しいかどうか確証が持てないのは堪える。<br>　恐らく並んで歩くラッシュとミリアムも同じような事を思っているのではないだろうか。<br>　日頃から鍛えている分、この程度の状態の獣道なら一日歩き続けたところで問題は無いが、精神面の疲れは気付かないうちに予想以上に体力を奪ってゆくものだ。<br>　いつもと同じように進めているとするのならば、泉まであと一時間ほど。<br>　その時になって泉に到着していない場合、更に悪く言えば、もしもまったく見たことの無い場所を進んでいる等と言う状況に陥った場合、自分は問題無いとしてラッシュとミリアムが今と同じようにこの状態の森を歩いて行けるかどうかは定かでは無い。<br>　体力的な限界は心配する事では無いが、平静を失った精神では些細な問題も見過ごせなくなるだろう。<br>　通常、登山では水分の補給、身体のチェックは万全でなくてはならず、果ては踏み出す足が右か左か、次に手を掛ける岩肌が一ミリ浅いか深いかの判断を求められる。<br>　とは言え森の移動はそこまで困難なものでは無いが、森は森で山とは違う危険を孕んでいる。<br>　大きなものでは方角の見失い、現在地の不詳等である。<br>　更に、そう言った遭難する危険性も然ることながら、森に生息する動物との遭遇は、何より直接的に命に関わる。<br>　人間の手の付いていない地域には当然野生の獣がテリトリーを張っている。<br>　この手の道行きで獣に襲われる時と言えば、大抵が彼らの領地を侵犯した時だ。<br>　無遠慮にテリトリー内を歩き回るのは襲ってくれと言っているようなもので、一見真っ直ぐな獣道でも大きく迂回しなければならない時がある。<br>　幸い、この森には毒をもった蛇の類は生息していないし、何より大方の動物のテリトリーは知り得ている。<br>　問題は狭められた視界ゆえに、判断が鈍っていると言うことだ。<br>　時折見受けられる野犬のものと思われる屍骸が、更に判断を鈍らせる。<br>　やはり想像通り野生のはぐれガスパなのだろうか。<br>　見るからに何か潜んでいそうな茂みは迂回して、安全を確認出来てから詳しく調べ、その上で記憶に従い泉を目指す。<br>　危険に遭ってから逃げることを考えるのでは無く、そもそも危険な場所にはおいそれと近寄らずに、慎重を期してから探索する。<br>　それがこのような道行きでの絶対条件である。</p><br><p>「……ミルズさん。やっぱり今日の森はいつもと違うよ」<br>　すぐ横にいるミリアムが辺りを見渡しながら言う。<br>　確かに肌で感じる威圧感が違う。<br>　と言うより、一歩奥に進む度に、背筋に嫌な痺れが走る。<br>　この先に進むな。<br>　今すぐ森から引き返せ。<br>　進む者は何人たりとも生きては帰さぬ。<br>　風で揺れる木々が、そう囁き掛けてくるように感じる。<br>「――この匂い。<br>　二人とも待て。俺の後ろに来い」<br>　霧の強さも相まっていつもより強い樹液の匂いに隠れていた獣臭。<br>　野生のガスパ特有のすえた血の臭い。<br>　ミルズは鞘から剣を抜き放ち、数メートル先の茂みに意識を集中させ、数分待つ。<br>「――二人とももっと後ろに下がれ。<br>　茂みに隠れてろ」<br>　村人の知る内では、ディビール村の警備兵で最も屈強な戦士ミルズの言葉にラッシュとミリアムは無言で従う。<br>　二人は後退する際にミルズの背中を力強く見る。<br>　何も言わぬ筈の背中は二人の視線以上に力強かった。<br>　茂みの向こうから空気のざわめきが来る。<br>　耳を澄ませば枝ずれの音に混じって、荒い呼気も聴こえてくるようだった。<br>「――」<br>　――来る。<br>　それは茂みの奥から、迷うこと無くミルズに向かって来ていた。<br>　剣を振り上げる。<br>　両腕に渾身の力を、柄を握る両手には僅かな力を込めて、剣を上段に踏み留める。<br>　茂みが割れた。</p><br><br><br><p><strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10020602392.html">back</a> </strong>　　<strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10021431068.html">next</a></strong></p>
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<pubDate>Mon, 04 Dec 2006 20:03:21 +0900</pubDate>
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<title>ディビールの森 (1)</title>
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<![CDATA[ <p>「正午くらいに入ったから、泉まで大体二時間。ミルズさん達と合流して村に戻ると夕飯時くらいかな」<br>  周囲を見渡しながら、のんびりした調子でレナードは言う。<br>　ベルトにナイフをぶら下げただけの軽装。<br>  世に言う旅人らしいと言えばそうなのかも知れないが、場所が野生のガスパが巣食う場所なだけに些か軽装過ぎる格好だった。<br>  ブレイズはそんなレナードの姿を不安気に見やりながらも、先ずは一番最近に件のガスパを目撃した場所に向かうべく歩を進めていた。</p><br><p>　一時間程前、アンティに見送られながら、一行は二手に分かれ、森に踏み入った。<br>　ミルズはラッシュ、ミリアムを連れ左手へ、ブレイズ達はブレイズを先頭にブルー、――楽しそうだからと言った理由で付いてきたレナードと続き右手へ。<br>　そうして探索を始めた。<br>　ブレイズの荷物は腰に挿んだ木剣と、背嚢に詰め込んだ軽い食料と水のみ。<br>  対してブルーは木剣の代わりに嗜みのある槍(研ぎの無い木柄の物)を片手に、背嚢には食料、水に加え、捻挫、切り傷擦り傷等軽傷の治療が出来る簡易応急処置セットを詰めている。<br>　応急処置セットについては女の子らしさとも受け取れるが、その実、かつてニーラ国軍医として活躍した父の教えを享け、医術にもまた嗜みがある為に持ち込んでいるのであった。<br>　互いに地図、コンパスと言った、探索に必須であるはずの物は持っていなかった。<br>　もともと馴染みのある森なので必要が無い為、更に探すべき対象が場所ではなくガスパである為でもある。<br>　つまり頼りになるものと言えば、ブレイズが見た記憶と、経験、直感だけなのだ。</p><br><p>　そうして三人は黙々と森を進んでいた。<br>　ブレイズは、以前ガスパを目撃した場所の付近に着いたら、そこからはやや散開しつつ、じっくり探索しながら泉に向かおう、と提案し、二人もそれに異論を唱えることはなかった。<br>  ――上手く行けば泉に着く前に発見出来るはずだった。<br>  泉に着いた後は、ミルズ達と話し合って決めれば良い。<br>　森の入口から離れて一時間強。<br>　馴染みのあるはずの森は、昼日中だと言うのに朝靄の如く白ばんでいた。<br>　立ち込める霧と背の高い木々によって遮られた陽光が、森からも人間からも時間の感覚を奪っていた。<br>　今までに見たことの無い森の表情だった。<br>「…平気なの、これ」<br>　今更、とは思ったがブレイズの無鉄砲さに呆れながらブルーがぼやく。<br>　実際、誘われた時は面白そうだと思っていたから迷うこと無く行くことにしたのだが、こうもなっていると流石に不安にもなる。<br>「そういう事言うな。冒険なんだから当たり前だろ」<br>　ブレイズ自身も不安がよぎったのか、気を入れ直すように力強く返す。<br>　その言い方からブレイズの心中を読み取ったのか、ブルーはそれ以上煽りはしなかった。<br>　そうして再び沈黙に包まれる。<br>　地面を踏みしめる湿った足音、木々のざわめき、遠くから僅かに聞こえる獣のいななき以外の音は無かった。<br>　ふと、ブレイズは眼を閉じ、深く呼吸をする。<br>　野獣の多い森の中、視界は狭まり、目標位置も不明。<br>　記憶した森を再現し、記憶したガスパを経験と直感で探る。<br>　その行為が全て、自らの戦士としての才能と適正を問うているのだと考えれば、不安は無くなった。<br>　そして再び森の中を歩いた。</p><br><br><br><p><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10020263339.html"><strong>back</strong></a> 　　<strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10021032424.html">next</a></strong></p>
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<pubDate>Mon, 27 Nov 2006 01:34:23 +0900</pubDate>
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<title>一人の村娘</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　窓から差し込む柔らかな陽光に身を包まれながら、その甘美なまでの心地好さに微睡み、ミリアムは己の心の内を覗いていた。</p><br><p>　もしも、この村で生まれ、この村で死んでいけるのだとしたら。</p><p>　そうしたら、それはどれだけ素敵なことだろう。</p><p>　村をまたぐスタイド川の桁橋を何度渡るだろう。</p><p>　――ラッシュはいくつになっても橋を渡るのを怖がるのかなぁ。</p><p>　川の南に広がる牧草地をどれだけ歩き回るだろう。</p><p>　――ブルーは羊の世話をさぼらなくなるのかなぁ。</p><p>　北に広がるディビールの森をどれだけ歩き回るだろう。</p><p>　――ブレイズはいつか森に住むようになっちゃうんじゃないかなぁ。</p><br><p>　もしも、この村で生まれ、この村で死んでいけるのだとしたら。</p><p>　そうしたら、きっと私は感謝するだろう。</p><p>　私を育てたこの村の、この教会で。</p><p>　私では無い、他の誰かに。</p><p>　私と同じように想い、叶えられずに生きる、他の誰かに。</p><br><p>　そうして物思いに耽っていると、いつ隣に来たのだろうか、――まだ乳飲み子だった頃に、戦で両親を失ったミリアムの育ての親、アンティ・クープルがミリアムと同じように窓辺に腰を掛け、同じように村を眺めていた。</p><p>　優しげなアンティの横顔をミリアムはまじまじと見つめ、まるで童話に出てくる優しいお母さんを絵に描いたような人だなぁ、とそんなことを思った。</p><p>　その視線に気付いたアンティは、その視線の意味をどう受け取ったのか、「あなたも一緒に行きたいんでしょ？」と、眉根に皺を寄せ、それでも優しい声で問いかけた。</p><p>　十数分前、森に遊びに行こうとミリアムを訪ね誘ったブレイズの話なのだろう。</p><p>　そう問われミリアムはアンティから視線を外し、窓の外を眺め、考える。</p><p>　ブレイズはいつもの調子でミリアムを誘いに来た。</p><p>　いつもなら何の迷いも無く誘いを受け、ついて行っていたはずだった。</p><p>　だが、ミリアムはその時返事を出来なかった。</p><p>　今の自分は、自分だけの判断で動いてはいけないと思ったから。</p><p>　それでも自分の境遇を恨めしく思えないのは不思議だったが、結果ミリアムは森に行かない方が良いのだろうと考えていた。</p><p>　ミリアムからの返事が無いことを意外に思ったのか、アンティはミリアムを見つめたまま優しく微笑む。</p><p>「そんな風に難しく考えなくて良いの。行ってきなさい。</p><p>　今日までは、みんなと一緒なんだから」</p><p>　その言葉が厳しい現実を突きつけるものであっても、アンティにはそうすることしか出来なかった。</p><p>　せめてこの村で過ごす最後の時まで、ミリアムには笑っていてもらいたかったから。</p><p>　そうしたアンティの心情の全てがミリアムに伝わったわけでは無い。</p><p>　ただ、それでもその言葉はミリアムの背中を押し、迷いを打ち消した。</p><p>　明日からの自分が今までとは違うものになろうとも、今日この日までは、今までと何も変わらないままでいれる。</p><p>　厳しい現実に向き合うからこその喜びだったのだろう。</p><p>　ミリアムはそれがたまらなく嬉しかった。</p><br><br><br><p><strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10019852108.html">back</a> </strong>　　<strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10020602392.html">next</a></strong></p>
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<pubDate>Mon, 20 Nov 2006 23:19:27 +0900</pubDate>
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<item>
<title>ブルーとレナード (1)</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　暗色の木造大型家屋。<br>　ディビール村の村長宅にして、村人の憩いの場。<br>　村長が開放的な人柄であり、人望も厚い為に昼は仕事の合間に休憩をとる村人で、夜は一日の締め括りの一杯を楽しむ村人で溢れかえる場所。<br>　そして今は、屋根と壁に備え付けられている木窓から柔らかな陽光が差し込む正午前。<br>　本来ならば、村人が仕事をこなしている時間の為、家族そろって教会で祈りを捧げているべき時間なのだが、一月程前にふらりと訪れた旅人が滞在している為、家主は一人娘に応対を任せ、残りの家人とでその時間帯を利用し教会に通っている。<br>　見ず知らずの旅人レナードと一人娘を二人きりにするのは危険なことでもあるが、幸いレナードが気の優しいひ弱な見た目の人間であった為、さらに娘も娘で多少武芸に心得があった為に、村長ら家人は間違いが起こることは無い、と安心して出掛けることが出来た。<br>　ディビール村村長の一人娘ブルーはレナードと二人きりになるこの時間を嫌がることは無かった。と言うよりも好んでその時間を過ごしていた。<br>　それはあらゆる地域に滞在したレナードの体験を聞くことが何より楽しかったからだ。<br>　自分では見ることの出来ない景色を見てきたことが羨ましく、華々しい都において、女の自分が都にも負けない華々しい武勲を挙げたいと願う憧れがそのままで終わらないよう心に留めることが出来るから。<br>　そしてレナードもまたブルーに話をし、かわりに村の話を聴くことを好んでいるようだった。<br>　興味深げに聞き入り、時に眉根をひそめ、時に憧れるように。</p><br><p>「――じゃあ、東の国の人たちは冬はどうしてるの？」<br>　この日旅人が話したことはニーラの東に位置するディビールよりもさらに遠い東の異国の生活様式についてだったようであり、聞かされたブルーは感じたことをそのまま訊ねる。<br>「ん～、なんでだろうね。君たちみたいな東部地方の人間が何故か寒さに強いみたいに、彼らも一緒なんじゃないかな。<br>　まぁそれが何でかは知らないけど」<br>　レナードはブルーの質問に対して明確な答えはせずに、自分の意見を混ぜつつも飽くまでブルーに考えさせたいようだった。<br>　そこにレナードの方針や意図があるわけではない。<br>　ただそうすることが正しいと思い、そうしているようだった。<br>「なんでだろうね…」<br>　ブルーが考えつつも別の質問をしようと口を開いたその時、家屋の戸が勢い良く開く。<br>「ブルー、ガスパ探しに行くぞ！」<br>　勢い良く村長宅に入ってきた少年は、村長宅であることを解っているにもかかわらず、あいさつ抜きで、そこにブルーがいるだろうと予測しただけでそう言った。<br>　ブレイズだった。<br>　ニーラ教の教えを享けるニーラ国はディビール村。<br>　礼と義を重んじる教義を村の民は遵守している。<br>　そしてその村のうら若きブレイズは、それを歯牙にもかけていなかった。<br>　礼が無いわけでも、義を知らぬわけでもなく、堅苦しいことを嫌う性質ゆえの行動なのだろう。<br>　ブレイズはそのままブルーとレナードを交互に見ながら、戸口に立ったまま喋り続ける。<br>「森にガスパがいるんだよ。見たこともないやつが。<br>　でかいんだ！だから行こう。<br>　ミルズのおっさんも来るからさ、ラッシュとミリアムも誘ってくるから後で見張り小屋の前に集合な」<br>　用件を短く伝えると、じゃあな、とこれもまた短く別れを告げ戸も閉めずに駆けていった。<br>　そんなブレイズに唖然としているレナードを傍目に、誰に言うでもなく、<br>「いっつも自分勝手に進めるんだから」<br>　ぼやく様にブルーは呟く。<br>　いつも振り返らずに走るブレイズ。<br>　後ろに仲間がいることを、無意識に信じ走り続けるブレイズ。<br>「しょうがないなぁ」<br>　嬉しそうにブルーは呟く。</p><br><strong><font color="#ffffff">次の文章出来てない。。うん、、次回掲載未定！</font></strong><br><br><p><strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10019509166.html">back</a> </strong>　　<strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10020263339.html">next</a></strong></p>
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<pubDate>Mon, 13 Nov 2006 11:39:30 +0900</pubDate>
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<item>
<title>幕間</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　木製の大きな車輪が付いた装飾過多の馬車が泥道に揺られながら進んでいた。<br>　舗装のされていない泥道には、荷馬車や四輪馬車、荷車が何年にもわたり抉ってきた深い轍が刻まれていた。<br>　たまにこの泥道を通る粗末な造りの馬車とは比較にならない程に贅沢な造りの馬車だった。<br>　その馬車はニーラ教の紋章を掲げ、ミトラス市国に選抜された騎士に周囲を護衛されていた。<br>　前方に八騎、後方に八騎。<br>　騎士達は、道の片側に広がる原野と、反対側に迫る暗い森――ディビールの森とに油断無く眼を走らせていた。<br>　馬車の中ではアーブ・ドゥリンダナ司教が公用の手紙を口述筆記させている。<br>　それを向かいに座っている秘書の小男が忙しなく羊皮紙に内容を書き留める。だが、泥道によって馬車が揺らされる度に筆先からインクを零していた為、羊皮紙には所々読めない箇所が出来上がっていた。<br>　アーブが口述筆記させている中、秘書の隣に座っていた法衣の女がアーブを見遣り、小さな声で囁いた。<br>「きっと、ブラッドリー家は大丈夫ですよね？」<br>　アーブは言葉を止め、法衣の女に顔を向ける。<br>「えぇ、きっと大丈夫ですよ、アーシア司祭」<br>　そう言って法衣の女の肩に、そっと手を掛ける。<br>「これでようやく信徒達を安心させることが出来る」<br>　アーブの言葉に法衣の女は安心したのか、眼を閉じ、祈りの言葉を口にする。<br>　女のその姿にアーブもまた安心したのか、僅かに笑みを浮かべる。<br>　しかし、その笑みには何か言い知れぬものを感じることさえ出来た…。</p><br><br><br><p><font color="#000000"><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10018789256.html"><strong>back</strong></a> </font> 　　<strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10019852108.html">next</a></strong></p>
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<pubDate>Mon, 06 Nov 2006 23:04:52 +0900</pubDate>
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<item>
<title>ガスパ</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　食肉性、ガスパ科の脊椎動物。<br>　体長約２ｍ、尾約２ｍ～２ｍ半、高約３ｍの非常に大きく、細くしなやかな体躯。雄は雌よりも多少身体が大きい。<br>　体毛の色は遺伝で決まり、雌は基本的に白い体毛に黒の尾の一種類。雄の方が派手で、白に赤の尾、灰に紫の尾、ごくごく明るい薄茶に緑の尾を持つ三種に分けられる。雄の尾は根元から先にむけてグラデーションで色が変化し、その鮮やかさが美しければ美しいほど雌が惹かれると言われている。<br> 鋭い鉤爪と牙を持つ。前足の指を独立して動かすことが出来、器用に物をつかむ姿も確認されている。<br>　ニライ大陸の林や、森の浅い部分に生息しているが、ディビール地方のディビールの森はガスパの森と呼ばれ、ガスパの生態系の多くはそこで観察された。<br>　５～８頭の群れを成して行動することが多いが、単独で行動を好むガスパもおり、一概に必ず群れをつくる訳ではない。<br>　昼行性で、夜になると個々（群れ）が決まった特定の大きく太い木に登って眠る。主には肉食であり、雄が狩をして食料を得るが、果実などの植物も食べる。<br>　身体能力は非常に高く、跳躍力、俊敏性、の高さを挙げることが出来るが、特筆すべきは走力で、個体次第では最高速が時速１２０ｋｍ以上にもなる。<br>　知力もまた非常に高く、人と生活をするガスパであれば、人語を完全に理解する。<br>　相手の気持ちを読むことに長け、こちらが怯えたり、興奮して危害を加えようとすると、それを敏感に察知し自らと群れを守るために攻撃をしかけてくる。<br>　森に迂闊に入りガスパと遭遇し命を落とす人間も少なくない。しかし、一度心を通わすことができれば、二度と襲ってくることはなく、飼い慣らすことも可能ではある。<br>　非常に忠誠心が高く、一度主人と認めた人間に忠義を尽くす。 </p><br><p>　ディビール地方では、古くからガスパは神の化身であるとされ、神聖な動物として扱われてきた。<br>　また、大陸のニーラ教の聖典でもガスパを神聖な動物だとするくだりがあり、大陸全土でも、その美しい姿と、圧倒的な強さに畏怖、尊ばれる存在である。<br>　ディビールの森付近の村では野生のガスパと共生しており、人間の村にガスパが歩いている珍しい姿を見ることが出来る。</p><br><p>　アルゴ戦争の英雄『戦士ゼーン』がガスパに乗っていたことでも有名で、そのガスパの体毛は黒に白い尾の雄であったが、突然変異だったのではないか、とされている。<br>　『戦士ゼーン』の出現以降、多くの国がガスパを繋養して、ガスパに乗り戦う『ガスパ兵』の育成に乗り出したが、乗りこなすことが非常に困難であるため、数が育たないこともあり、ガスパ兵は多くない。<br>　繋養されたガスパは野生のガスパに比べて体躯が小さく、尾の鮮やかさに欠け、能力も劣ると言われている。</p>
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<pubDate>Mon, 30 Oct 2006 01:00:42 +0900</pubDate>
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<title>ブレイズ (1)</title>
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<![CDATA[ <p>　ブレイズは非の打ち所のない戦士と言えた。<br>　まだ少年と呼べるブレイズは尊大とも見受けられる表情でガスパに乗り、ディビールの森の中を駆けていた。<br>　時折ガスパを止めては、腰のベルトに差した木剣を引き抜き、森の闇の中から現れる屈強な戦士と熾烈な戦いを繰り広げた。</p><p>　時には、凶悪な獣や巨大な竜と戦うことさえあった。<br>　だが、『英雄ブレイズ』はどのような相手にも打ち勝ってきた。<br>　そうしてそれらの戦いを終えるとブレイズは必ず村の外れ、森に面したところにある見張り小屋に向かう。<br>　そこにはニーラ国から遣わされた国境警備兵が常時数人詰めている。<br>　ブレイズはその警備兵達との会話が好きなのだ。<br>　警備兵達もまた、余所者である自分達を好いてくれる、戦士への強い憧れを持つブレイズを気に入っていた。<br>　そんなブレイズに、警備兵達は彼の未だ見ぬ華やかな首都の話、異国の話等、沢山の話をしてくれる。<br>　ゆえにブレイズは今日も今日とて見張り小屋へ行く。</p><p><br>「よぉ、相棒。勤務の交代か？」<br>　ブレイズが見張り小屋の戸を開けると、中から陽気な声の兵士がまるで戦友にするように声を掛ける。ブレイズはそんな対応をしてくれるこの兵士――ミルズが一番好きだった。<br>「はは、まだ交代には早過ぎる時間だよ。昼飯前じゃないか」<br>　ゆとりのある村を守っている故に、ゆとりのありすぎることを言う警備兵にブレイズは思わず笑ってしまう。<br>「ふふん。で、何か用事があるんだろ？」<br>　ミルズはブレイズの心を見透かしたように訊ねる。<br>　何故この男はいつも自分の考えていることが解るのか、とブレイズは訝り、その理由を問いたくなったが、口はそれを訊くよりも見張り小屋を訪ねた理由を優先したようだった。<br>「今日もディビールの森で見たんだ」<br>「例のガスパか…」<br>「一体なんだと思う？」<br>「そうだな、レナードのガスパってことはありえんだろうし。一匹狼のはぐれガスパかも知れないな。<br>　村に影響の出るような辺りに縄張りを張られてると参るな…</p><p>　…よし相棒、勤務交代したら一緒に探しに行くか」<br>　お互いに何度と無く話した内容なのか間髪入れずに話を進める。<br>「冒険だね！」<br>「そうとも戦友！」<br>　ブレイズは一端の騎士になったつもりで喜ぶ。<br>　そんなブレイズを見て兵士も喜ぶ。</p><p>　まるで幼かった頃の、英雄に憧れていた自分を見ているようで。</p><br><br><br><p><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10018405228.html"><strong>back</strong></a> 　　<a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10019509166.html"><strong>next</strong></a> </p>
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<pubDate>Mon, 23 Oct 2006 22:49:14 +0900</pubDate>
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<title>Grail　プロローグ</title>
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<![CDATA[ <p>　聖女ミリアム・ブラッドリーとグレイル騎士団の活躍を描く伝記物語は昔から多くの人々を魅了してきた。</p><p>　それはこの物語が、慈愛と騎士道、英雄と謀略、そして美しい乙女と高潔な騎士達のストーリーだからだ。<br>　聖女ミリアム・ブラッドリーの伝説は無数に存在するのだが、それらは概ねこのような内容だ。<br>　遥か昔、ニーラ国にミリアム・ブラッドリーという美しい乙女がいた。ミリアムは成人の儀を終えた日の夜に神の御告げを聴く（御告げの内容は各伝説により差異があるのでここでは割愛する）。神の啓示を享けたミリアムはミトラス市国に旅立ち、世界中の偉大な騎士達を集めグレイル騎士団を組織しようと考えた。そうして、ミリアムはサー・ブレイズ、サー・ブルー（女性であったという説もある）等の多くの騎士を集めた。<br>　その後、ミリアムとグレイル騎士団は共にニーラ教会を牛耳る大司教や畏国を脅かす者達、そして鴎国と戦い、多くの勝利を収めた。<br>　そうして、ミリアムは世に安息をもたらし、世界中の人々に愛されながら生きていった。<br>　以上がよく知られている聖女ミリアムとグレイル騎士団の物語である。</p><p>　この物語は時代を越えて世界中の人々に愛されてきた。</p><p>　だが、あくまで一つの伝説に過ぎないのだ。<br>　聖女ミリアムとグレイル騎士団の真実の物語は、伝説とは違う別の場所、別の環境で起きたのである。</p><p>　もちろん、真実のミリアムとグレイル騎士団の物語、生涯も波乱に満ちたものであった。<br>　聖女ミリアムやグレイル騎士団が実在したかどうかは、何百年もの間論議が行われてきた。</p><p>　多くの歴史家は、聖女ミリアムもグレイル騎士団も実在であったと言う。伝説は一千年以上も昔、暗黒時代と呼ばれた時代を生きた一人の女性司祭の生涯から生まれたのだと言う。<br>　だが、近年ニーラ国で発見された考古学上の証拠の発見で歴史の再評価がなされ、聖女ミリアムとグレイル騎士団の真実の姿に光が当たることとなった。 </p><p>　その物語をここに甦らせよう。</p><br><br><br><p><strong><a href="http://ameblo.jp/mast-stormy/entry-10018789256.html">next</a> </strong></p>
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<pubDate>Mon, 16 Oct 2006 02:22:58 +0900</pubDate>
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