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<title>17時46分</title>
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<description>ノンフィクションで幼少期からの目まぐるしい変化をお伝えしています</description>
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<title>35.誰か気づいてください</title>
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<![CDATA[ <p>-------------------------------------------------------------------<br>暴力的な表現が含まれています。<br>気分が悪くなってしまう方は、お控え下さいますようお願いいたします。<br>-------------------------------------------------------------------</p><br><p>痛みなんて感じなくなったよ、だって私は強いんだから。<br>はじめてやったときはね、すごく真剣な顔をしてたと思う。<br>だけど、今は少し微笑みながらできるよ。</p><br><p>傷の入った左腕、それを薄暗い明かりにかざして見つめる。<br>一番最初に切ったところが、毎日のスタート地点。<br>綺麗に細かく間を開けて切っていたけど、だんだんとそれも面倒になって、<br>無造作に叩きつけるようになっていった。<br>傷と傷との間隔が広いところには集中的に切り刻んだ。<br>その範囲は大きくなっていって、手首から肘までの間に、<br>何十回、何百回と切っていくたびに、傷は重なり合いながら残っていく。<br>左手が次第に麻痺したような感覚になる。<br>こんなもんでいいか、昨日よりは多く残ってくれるかな。</p><br><p>左腕を見ながら、頭の中でもう1人の私を作り上げて会話する。<br>こんなことして何になるんだろう。<br>何にもならねえよ、でもこうしてると落ち着くし。<br>うん、そうだね。<br>でも満足しないよ、これもいつか消えてしまうんだし。<br>なら残るようにもっとやればいいのさ。<br>消えてしまったら作ればいい、そしたらいつも通りだろう？</p><br><p>仕事の制服はまだ長袖のまま。<br>一応包帯を巻いて、他からは見られないように隠した。<br>知らない他人に愛想を振りまいて接客をする。<br>こんな糞ジジイや糞ババアが、金に困ったような顔もしていないで遊んでいる。<br>そんな金あるならくれよと、関係のないことを考えながら。</p><br><p>帰宅して包帯を取ると、薄く赤みがかった傷がいくつも残っている。<br>部分的に紫色へ変色していく腕。<br>ほとんど隙間を作らないようにしてやっていたのに、<br>それを消してしまうことに腹が立つ、なら今度は思いっきりやってやる。<br>普段よりカッターを力強く握った右手を上から振りかざして、<br>消えるな、消えるな、消えるなって思いながら。</p><br><p>左腕の手首から肘までのほとんどを済ませたあとは、<br>それでも満たされない心を埋めるために、今度は右腕にも証をつけた。<br>はじめてやったときとは違って、ためらいもなくできる。<br>両腕を見比べて、まだこっちのほうが浅いと思えば、<br>同じようになるまで何十回も切って、叩きつけて、それを繰り返した。</p><br><p>今の私と一緒に泣いてくれる人はいますか。<br>そんな人がどこにいるんですか。</p><br><p>今の私と一緒に苦しんでくれる人はいますか。<br>いるのなら今すぐ目の前に現われてください。</p><br><p>今の私を止めてくれる人はいますか。<br>気味が悪くて誰も近寄ろうとはしないでしょう。</p><br><p>生まれてこなければ、こんな思いしなくてよかったのに。<br>いてもいなくても、どうでもいい存在なのに、<br>なんでこうして生きて、苦しまないといけないんだろう。<br>生々しい傷を見ながら涙がこぼれる。<br>暗い部屋に訪れる安心という空気が、孤独というものに変わっていく。<br>死にたい、死にたいと心の中で叫んで、<br>勢いよく切ったり、ゆっくり押し込んで切ったり。</p><br><p>窓を開ければ外は雨、家を出て傘を持たずに道を歩いていく。<br>行きたいところがあるわけじゃない、死に場所を探していたわけでもない。<br>風邪引かないかな、でもこんな雨だとあまり濡れない。<br>もっと大雨になってほしい、もっと一気に降ってこい。<br>頭が少し痛い、いっそのこと破裂でもしてくれないかな。<br>あーあ、楽に逝きたい。</p><br><p>毎晩、両腕に数え切れないぐらいカッターで切っても、<br>傷が増えていくだけで、得ていくものなんてない。<br>怒りだったり哀しみだったり、そういったものを腕にぶつけて、<br>誰かが気づいてくれるのを待ち続けていたのかもしれない。</p><br><br>-------------------------------------------------------------------<br><a href="http://blog.with2.net/link.php?1106278">・人気ブログランキングへ</a> <br><br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank"><img border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログ ノンフィクションへ" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fnovel.blogmura.com%2Fnonfiction%2Fimg%2Fnonfiction88_31.gif" width="88" height="31"></a> <br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank">・にほんブログ村</a> <br><br>※こちらのランキングにも参加しています。 <br><p>ボチボチだららんと更新していきますので、よろしくお願いいたします。 </p>-------------------------------------------------------------------<br>
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<link>https://ameblo.jp/meliades/entry-10719225331.html</link>
<pubDate>Fri, 26 Nov 2010 23:33:02 +0900</pubDate>
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<title>34.切り刻め</title>
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<![CDATA[ <p>-------------------------------------------------------------------<br>暴力的な表現が含まれています。<br>気分が悪くなってしまう方は、お控え下さいますようお願いいたします。<br>-------------------------------------------------------------------</p><br><p>オバちゃんの紹介で勤めた仕事は、18歳を迎えて3ヶ月目になって、<br>外はまだ寒さが残り、朝には車のフロントガラスが白く覆う。<br>冬にかぎって水も風も冷たい、当たり前のことか……。</p><br><p>店長は気を使ってか、シフトも休みもオバちゃんと同じように組んでいた。<br>もう決定しているものは変えることができない。<br>だから、その月の遅番はやむを得なく一緒に帰っていたが、<br>タイミングよく遅番専門希望の子が入ってきたこともあって、<br>来月からのシフトはすべて朝番に変更してもらい、<br>職場でも家でも、なるべく顔を合わせないようにしていた。</p><br><p>晩ご飯もコンビニへ行って弁当を買い、自分の部屋で食べた。<br>小学生の頃に経験した孤独感とは違う。<br>あのときは、私はただ待ち続けるだけの生活だったから。<br>今は、出ようと思えばいつだって出ることができる。<br>寮付きの仕事へ行くことだって、貯金して家を出ることだって、<br>1人なんだから何でもできたはずなんだ。</p><br><p>心のどこかでは、またいつか手を差し伸べてくれるんじゃないかって、<br>もしかしたら、10回中1回は約束を守ってくれるかもしれないと、<br>私のほうを振り向いてくれるときが来るって期待してた。<br>息が白く残る夜に、気分転換に外へ出てみる。<br>空を眺めれば、いくつかの星たちが輝いていて、<br>オリオン座がうっすらと覗かせている。<br>この夜空を、どれだけの人が見ているのだろう。<br>見ている人の中で、私に振り向いてくれる人がいるのかな。<br>……ロマンチストじゃあるまいし、馬鹿馬鹿しい。</p><br><p>嫌でも聞こえてくる会話が、耳を塞いでも貫通してくる。<br>台所のところで、今まで聞いたことのない優しい声で父が話している。<br>「やっぱりお父さんのほう……かなあ」という言葉を思い出しただけで、<br>苛立ちが込み上げてきてどうしようもなくなる。<br>私は邪魔者、いつまで経っても独りぼっち、誰も近寄ってはこないのさ。<br>部屋にいれば、同じことをグルグルと頭の中で考える。<br>あー、イライラする、何に……何にぶつければ……。</p><br><p>ねえ、誰か見てる？</p><br><p>電気をつけない暗い部屋の中で、カッターではなくハサミを右手に持った。<br>カッターがなかった、だからハサミなら切れると思った。<br>外の廊下の光が若干差し込む場所で、ハサミを広げて左手の手首に刃をあて、<br>すーっと浅く、左から右にずらして切ろうとする。<br>ちょっとだけ赤くなる、血は……出てこない。</p><br><p>だから同じ箇所をもう一度、今度は少し強く押しながら、<br>同じような感じで、ゆっくり力を入れて左から右へ。<br>皮が歪みながら傷を作っていく、小さく間を開けて若干の血が出てくる。<br>その傷を眺める、なんかホッとするような悲しいような。<br>たった一本の長い傷の線、これが私の生きた証になる。</p><br><p>自分の存在を確かめるように、薄く浅く証をつけていくようになる。<br>最初は1本だけの線が、少しずつ多くなっていく。<br>つけた傷跡から近いところへ刃をあてて、<br>痛いと思いながらも、その行為が妙な安心感を与えてくれる。<br>次の日にはミミズ腫れ、でもそこまで大したものじゃない。<br>これじゃ満足しない、こんなんじゃない、もっと深く……深く……。<br>深く切れないのは勇気がないから、臆病者だからだと思い込んだ。<br>勇気を出せ、私ならできるはず。</p><br><p>次第にハサミでは物足りなくなった。<br>コンビニでカッターを購入して、これなら切れるって嬉しくなる。<br>決まって夜に切り刻んだ、静かで暗い部屋の中は孤独感じゃなく、<br>心が安まる時間を作り出してくれる。<br>カチッカチッとカッターの刃を出して、<br>いつも切ってるミミズ腫れの上に刃をあてて、あまり力を入れずに切ってみた。<br>ハサミより切れ味がいい、これなら望むようにできる。<br>カッターと腕だけで、精神安定剤のようなものが出来上がる。</p><br><p>ねえ、誰か気づいてる？</p><br><p>手首から浮き出てる血管、思いっきり切れば血が吹き出るんだろうか。<br>やってみたい、でも怖い。<br>今まで通り、左手首からゆっくり押し込んで切っていく。<br>はじめてやったときよりも、深く切れるようになった。<br>やった、やったよ、少し成長したんだ。<br>もっと証を増やそう、今度はここぐらいまで。<br>これじゃあ短い気がする、長くなければ駄目なんだ。<br>手首から5センチ程の間に、数十回と証が消えないように重ね切りしていく。<br>滲み出る血を拭き取って、時間を置くとミミズ腫れができあがる。<br>朝になっても、これって消えないのかな。<br>消えないで欲しい、もう一回やっておこう……。</p><br><p>朝起きると、薄赤くなって残っている。<br>でも、つけたはずの傷がいくつか消えていて、<br>あれだけやったのに、何でこれだけしか残らないのかと思い詰める。<br>じゃあ今夜は、もっと回数を増やそう、もっと深くやろう。<br>一生、消えてしまわないように。</p><br><br>------------------------------------------------------------------<br><a href="http://blog.with2.net/link.php?1106278">・人気ブログランキングへ</a> <br><br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank"><img border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログ ノンフィクションへ" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fnovel.blogmura.com%2Fnonfiction%2Fimg%2Fnonfiction88_31.gif" width="88" height="31"></a> <br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank">・にほんブログ村</a> <br><br>※こちらのランキングにも参加しています。 <br><p>ボチボチだららんと更新していきますので、よろしくお願いいたします。 </p>-------------------------------------------------------------------<br>
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<link>https://ameblo.jp/meliades/entry-10718153775.html</link>
<pubDate>Thu, 25 Nov 2010 22:00:46 +0900</pubDate>
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<title>33.裏切り者</title>
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<![CDATA[ <p>笑い声が玄関の外から聞こえる、前のときと同じ。<br>信じてくれなければ、信じることができないって言ったじゃないか。<br>今度は連絡もなかった、まるで忘れていたかのように。<br>オバちゃんは何も言わずに隣の部屋へ入っていき、<br>父が代理のような感じで理由を説明してきた。</p><br><p>「そういや、今日約束しとったんやっけ？」</p><br><p>「行かせようと思ったんやけどな、出るのが止まらなかったんやて」</p><br><p>パチンコか……、呆れて何も言うことはない。<br>予想はしてた、どうせ一緒に行ってるんだろうなって。<br>少しでも、守ってくれると期待した私が馬鹿だった。</p><br><p>「その前のやつは？」</p><br><p>「ん？」</p><br><p>「この前の約束してた日は？」</p><br><p>「あー、あれなあ、ええ台があったから呼んだんや」</p><p><br>もういいよ、どうでもいいよ。<br>オバさんともまだ別れていない状況で、そうやって恋愛気分を気取ってる神経。<br>頭がおかしいんじゃないか……、いや、おかしいんだろう。<br>2人して嘘をつくのが当たり前のことなんだ。<br>もう、この人たちに信用という言葉はいらない。<br>誰も信じられる人なんていない、また裏切られるだけだから。<br>気にするだけ疲れるから忘れてしまおう。<br>平常心をよそおって普段と同じように振る舞えばいい。<br>いつもと変わりなくいることは、更なるストレスを背負うことになって、<br>行き場のない怒りと哀しみは、性格さえも歪ませていく。</p><br><p>仕事の帰り道、車の中でオバちゃんはその日のことについて言い訳を話しはじめる。<br>父には「約束をしてるから、その日は行けないよ」って伝えてあったと。<br>それでも当日に電話がかかってきた、最初は断ったけど「待てない」と言われて、<br>仕方なくパチンコ店へ向かった、私よりもパチンコを選んだのだ。</p><br><p>言い訳なんぞオバさんで聞き飽きてる。<br>最初は断っただの、前から伝えてあっただの関係あるかい。<br>来たか来なかったか、アナタは来なかった、この事実に変わりはない。<br>そもそも、まだオバさんと付き合ってることを知っていて、<br>それでも毎日のように家に来ては、父の隣に座ってニヤニヤして、<br>それのどこがおもしろいのか分からん、頭おかしいんじゃないのか？<br>オバさんが来ると分かれば、不機嫌そうな顔をしてふてくされる。<br>アナタはお子様なんですか？<br>言ったことも守れないんですか？<br>すぐに約束を破るんですか？<br>だから信用しねえって言っただろ、何が信じてくれなきゃ信じられないだよ。<br>ふざけるのも大概にしろ。</p><br><p>溢れだしていた感情をむき出しにする。<br>オバさんとも喧嘩はしていたけど、ここまで感情をむき出しにしたことはなかった。<br>言いやすさというのもあったんだろう。<br>車内は、次から次へと文句を垂れる私の声と、<br>何かを言いたくても、声を詰まらせるオバちゃんで険悪な空気が包んでいた。</p><br><p>「じゃあ、もし同じ日に約束したらどっちを優先するんだよ」</p><br><p>困った表情をして、数分間考えた末に出した答えは予想通り。</p><br><p>「やっぱりお父さんのほう……かなあ」</p><br><p>義母もオバさんも、言葉にして出しはしなかったけれど、<br>態度を見ているだけで私を邪魔者扱いしてるぐらい感じてた。<br>確信を持っていたわけじゃない、だけど2人は私のほうを振り向いてはくれなかった。<br>大人の気持ち悪い恋愛にとっては、子どもというのは一番のお荷物なんだろう。<br>それなら、いっそのこと捨ててくればいいのに。<br>ああ、父は一度置いていったんだった。</p><br><p>家に帰れば、オバちゃんはご飯を急ぐように作って隣の部屋へこもる。<br>食べ終えて食器を台所へ持って行き、<br>自分の部屋へ行こうとしたときに、さり気なく視線の中に隣の部屋が飛び込んできた。<br>オバちゃんは父の体に寄り添いながら、いつものように笑っている。<br>父はオバちゃんの肩に手を回して、気味の悪いぐらいに笑顔だ。<br>私は、その部屋の扉を勢いよく閉めて自分の部屋へ。</p><br><p>この怒りをどこにぶつければいい。<br>物か？　他人か？　それとも私自身にか？</p><br><p>あいつらは心の裏切り者、消えてしまえばいいのに。</p><br><br>-------------------------------------------------------------------<br><a href="http://blog.with2.net/link.php?1106278">・人気ブログランキングへ</a> <br><br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank"><img border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログ ノンフィクションへ" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fnovel.blogmura.com%2Fnonfiction%2Fimg%2Fnonfiction88_31.gif" width="88" height="31"></a> <br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank">・にほんブログ村</a> <br><br>※こちらのランキングにも参加しています。 <br><p>ボチボチだららんと更新していきますので、よろしくお願いいたします。 </p>-------------------------------------------------------------------<br>
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<link>https://ameblo.jp/meliades/entry-10716236993.html</link>
<pubDate>Tue, 23 Nov 2010 22:32:47 +0900</pubDate>
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<title>32.信じるということ</title>
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<![CDATA[ <p>手を差し伸べてくれる人がいなかったから、こっちだって手を出さない。<br>誰も助けてはくれなかったから、誰が苦しんでようが関係ない。<br>全員いなくなってしまえばいい、消えてしまえばいい。<br>大勢でいるよりも、1人のほうが気楽でいいさ。<br>いつも孤独だったから慣れてる、邪魔になるから近寄らないでほしい。<br>1人でも生きていけるよ、誰も必要ない。<br>そうやって、いつも強がってた。</p><br><p>誰かといるよりも1人を好んだ。<br>人と関わるのが面倒だから、距離を取り壁を作って寄せつけない。<br>来る者を拒んだ、何もかも手当たり次第に突っぱねた。<br>くだらない奴だと思った人には冷たくあしらって、<br>使えない奴だと思った人は、役立たずだと判断して簡単に切り捨てた。<br>魚の死んだ目をしているとオバちゃんに言われたことも。</p><br><p>「明日、買い物行こうか」</p><br><p>「10時に駅まで来てくれれば、車で迎えに行くから」</p><br><p>休みが一緒だったのもあって、オバちゃんが誘ってきた。<br>特に用事もなかったから、久々に"約束"というものをしたんだ。<br>その日は雨、でもそこまで大雨じゃない。<br>家を出て、10分も歩けば駅に着く。<br>電車に揺られながら外の景色を見ていると、7分か8分して目的の駅に。<br>改札口を出て、狭いロータリーを見渡しながら待ち続けた。<br>まだ約束した時間になっていない、もう少ししたら来るだろう。<br>折りたたみ携帯を何度も開いては、連絡がきてないか確認して、<br>右……左……と、通り過ぎていく車を目で追いかけた。</p><br><p>あと5分、あと3分、あと1分、連絡もなければ車も見えない。<br>私から電話をかけてみる、何度かけても同じことを言われる。</p><br><p>「留守番電話サービスに転送します」</p><br><p>遅れるなら連絡ぐらいしてくれればいいのに。<br>まだ支度できてないんだろうか、もう少し待ってみよう。<br>10分過ぎても来やしない、もしかして忘れたんだろうか。<br>自分から約束しておいてどういうことなんだ。<br>時間を守れないなら最初からするなと、ブツクサ小声で愚痴をこぼしていた。<br>約束の時間から30分以上過ぎたとき、一本の電話がかかってくる。</p><br><p>「お父さんに呼ばれちゃったから、うん、だからそっちのほう行くね」</p><br><p>その言葉を聞いた瞬間に、電話の切るボタンを押していた。<br>細かい雨が、少しでも私の気持ちを和らげようとしているような。<br>冷静さを保とう、怒っちゃいけない、落ち着け……落ち着け……。</p><br><p>そのまま家にトンボ返り、とんだ無駄足だった。<br>会話を思い出しただけで眉間にシワがよってきて、<br>帰宅途中の道を歩いているときに、押し込めていた怒りが沸き上がってくる。<br>私よりも父のほうが大切か、先に約束してもそっちが優先なのか。<br>あー、そうかい、そうなのかい。<br>ふざけんじゃねえ、言ったことも守れないなら最初から言うなよ。<br>抑えきれない苛立ちを物にぶつける、部屋にある物を壁に投げつけて、<br>父たちが帰ってくるまで、その気持ちがおさまることはなかった。</p><br><p>玄関の扉を開ける音と同時に、2人して笑いながら入ってくる。<br>謝ってくるわけでもなく、いつものように隣の部屋へ。<br>思い出したかのように私のほうへ来て、ニヤニヤしながら心ない言葉。</p><br><p>「今度行こうね」</p><br><p>無性に腹が立ってくる、何ともいえない気持ちが苛立ちを大きくする。<br>そして父も、笑いながらオバちゃんをかばう。</p><br><p>「また約束して行けばええやんけー」</p><br><p>返事をする気もない、謝るということをしないのか。<br>類は友を呼ぶってこういうことを指すんだ。<br>肘をテーブルにつけながら、不機嫌な顔のまま無視していると、<br>また2人して隣の部屋へ入っていき、馬鹿笑いして大声を出している。</p><br><p>次の日、いつもなら一緒に仕事へ行く時間よりも前に家を出た。<br>一緒に行く気にはなれない、電車で職場まで向かって、<br>顔も見たくないぐらいに引きずっていたから、<br>同僚と会話して、何とか気を紛らわせようとしていた。<br>仕事中も目を合わせようとはしない、声も聞きたくない。<br>こいつも今までの人たちと同類だ。<br>義母もオバさんも、父のことを優先して私は蚊帳の外だったさ。<br>気が向いたときに相手して面倒になれば無視して、こっちから近寄れば嫌な顔をする。<br>邪魔かい？　邪魔なら直接言って欲しいよ。</p><br><p>帰りは電車がない、だから歩いて帰ろうと外を出ると、<br>オバちゃんが後ろから走ってきて、それを引き留めた。<br>何が何でも1人で帰ると言う私に、オバちゃんは真剣な顔をして、</p><br><p>「もし何かあったら、私が怒られるんだよ」</p><br><p>結局それか、父に嫌われるのが怖いだけなんだ。<br>嫌々しながら車に乗って、聞きたくもない声を聞きながら夜道を帰る。</p><br><p>「また休み一緒の日があるから、そのとき行こうよ」</p><br><p>「もうアンタの言葉は信じない」</p><br><p>「あの日は仕方なかったんだって」</p><br><p>「信じてくれないと、私だって信じることできないよ」</p><br><p>本当に仕方がなかったのか？<br>そんなに大切な用事だったんだろうか。<br>もしそうなら、怒ってもどうしようもならないと冷静になる。<br>それなら、もう一度約束してみよう。<br>やっと歩み寄ってくれる人がいるのなら、その手を掴もうって思えた。<br>朝は用事があるから、昼過ぎに家まで迎えにくると確かにそう言った。</p><br><p>約束の日、夕方になっても来ることはなかった。</p><br><br>-------------------------------------------------------------------<br><a href="http://blog.with2.net/link.php?1106278">・人気ブログランキングへ</a> <br><br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank"><img border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログ ノンフィクションへ" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fnovel.blogmura.com%2Fnonfiction%2Fimg%2Fnonfiction88_31.gif" width="88" height="31"></a> <br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank">・にほんブログ村</a> <br><br>※こちらのランキングにも参加しています。 <br><p>ボチボチだららんと更新していきますので、よろしくお願いいたします。 </p>-------------------------------------------------------------------<br>
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<link>https://ameblo.jp/meliades/entry-10715711019.html</link>
<pubDate>Tue, 23 Nov 2010 13:27:58 +0900</pubDate>
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<title>31.悲劇のヒロイン</title>
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<![CDATA[ <p>重い腰をあげて、18歳になる3ヶ月前に仕事をはじめた。<br>オバちゃんが勤めていたパチンコ店に行って、基本的には遅番として働き、<br>朝は電車で通勤、夜は車で一緒に帰るという生活。</p><br><p>家に帰ると、そそくさとご飯を作りテーブルの上に置いてくれる。<br>だけど一緒に食べることはない。<br>オバちゃんは父の部屋に入っていき、私とは別々の部屋で食べる。<br>何をするにしても、父の隣に座って眺めているだけ。<br>それのどこが楽しいのか、疑問を抱くようになる。<br>同じ屋根の下にいても、家族の輪というものの欠片すら見当たらない。</p><br><p>オバちゃんの車に乗って、知人の女性宅に招かれた。<br>検索フォームの履歴を消して欲しいというもの。<br>主婦をしながらも、朝から晩までオンラインゲームをしているらしい。<br>旦那さんが帰ってくると、履歴で何を検索したか調べて、<br>その度に喧嘩する毎日、だから履歴を見られたくないと。<br>そんな光景を、ここにいる幼い子ども2人は見ているのか。</p><br><p>どんなときだって、嫌な思いをするのは子どもなんだ。<br>親の喧嘩も、パソコンばかり見てほったらかしにされるのも、<br>どこかで淋しさが生まれる、だから行動なりして現わそうとする。<br>かまって欲しいって口では言えないから。<br>少し悪さして気を引こうとする、そしたら怒られる。<br>知人の話を聞きながら、子どもの立場になって考えてみると、<br>隠しながらでもオンラインゲームに没頭しようとする神経が理解できず、<br>「機種が違うから分からない」と言って、その方法を教えなかった。<br>検索して調べれば分かること、それに気づかない間だけでも。</p><br><p>その後、オバちゃんの2番目の旦那さん宅へお邪魔する。<br>姉弟4人が暮らしていて、旦那さんは仕事でいなかった。<br>予め行くことを伝えてあったのか、長女がクッキーを出してくれて、<br>みんなとテーブルを囲んで和気藹々と雑談する。<br>初対面ということもあって、どこかぎこちない。<br>この子たちも、母親というのを間近で見ずに育っているのだろう。</p><br><p>「母さん、帰ってこんの？」</p><br><p>次男がさり気なく言った言葉、うなずくことしかしないオバちゃん。<br>どんな理由で別れたにしても待ち続けている。<br>必死に訴えようとはしなくても、心のどこかで「またいつか」と。<br>1時間ほどして、旦那さんが帰宅してくる時間が迫ってきたこともあって、<br>姉弟たちにとって、母親と久々の再会は終わりを告げた。<br>手を振って見送るその姿は、淋しそうな、そうでなさそうな。</p><br><p>車の中で、どういう理由で別れたのかを話し出した。<br>持病が悪化して入院することになり、一時期は死の直前まで悪くして、<br>数ヶ月に及ぶ闘病の末に、退院できるまで回復したものの、<br>突然旦那さんから「入院費を返せ」と言われ、愛想が尽きて出て行った。</p><br><p>「信じられなくない？」</p><br><p>「いきなりお金の話を出してくるとは思わなかった」</p><br><p>「こっちは体調が悪くて、それどころじゃないのに」</p><br><p>時折ため息をついて、そのときの心境や状況を事細かに伝えてくる。<br>聞いている側からすれば、離婚は仕方がないと思えるかもしれない。<br>それが偽りでないのならば。</p><br><p>そんな家にいたくない、だから子どもたちを置いて出て行った。<br>仕方のないことだったんだよ、私だって本当は連れて行きたかったけど、<br>親権問題とかでゴタゴタになって、私より旦那さんのほうが収入もあったから、<br>裁判までして親権を争ったけど負けちゃったんだよ。<br>一番下の子だけ引き取って育ててたけど、病気が悪化して旦那さんに戻したんだよ。<br>経済的な余裕もなかったし、どうしようもなかったかなあ。</p><br><p>離婚した原因は、すべて相手側にあると言う。<br>相手がこうだったから、相手がこう言ったからと、自分の非は一切言わない。<br>私は悪くない、私は治らない病気だから大変だったんだと。<br>遠回しに、自分は可哀想な人と言いたげな様子にイライラしてくる。<br>同情して欲しいのか、大変だったねと言って欲しいのか。</p><br><p>悲劇のヒロイン、気取ってんじゃねえよ。</p><br><br>-------------------------------------------------------------------<br><a href="http://blog.with2.net/link.php?1106278">・人気ブログランキングへ</a> <br><br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank"><img border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログ ノンフィクションへ" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fnovel.blogmura.com%2Fnonfiction%2Fimg%2Fnonfiction88_31.gif" width="88" height="31"></a> <br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank">・にほんブログ村</a> <br><br>※こちらのランキングにも参加しています。 <br><p>ボチボチだららんと更新していきますので、よろしくお願いいたします。 </p>-------------------------------------------------------------------<br>
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<pubDate>Mon, 22 Nov 2010 15:51:34 +0900</pubDate>
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<title>30.友人の境界線</title>
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<![CDATA[ <p>「私ね、今まで色んな人から誘われてきたんだけど全部断ってたの」</p><br><p>「はじめてだよ、お父さんにだけは何でか分からないけど断れなかった」</p><br><p>あっそう、としか言いようがなかった。<br>父のどこがいいのかを聞いても、分からないと返ってくる。<br>オバさんとまだ関係があることに関しても、<br>今はまだ本気で付き合ってるわけじゃないから、あまり気にならないと言う。<br>それならなぜ、オバさんが来る前日にわざとピアスをテーブルの上に置いて行ったのか。<br>過去のことを話しても、そんな人には見えないと。<br>あんな男でいいのかと何度聞いても、まったく聞いてはもらえなかった。</p><br><p>そんなことする人じゃない、そんな風には見えないと誰しもが言った。<br>オバさんも、東京の人も、長男も言うことは同じだった。<br>でも私は見てきてる、経験してきてる、それなのになぜ分からない。<br>どいつもこいつも、常識にとらわれて信じようとしない。<br>くそったれ……。</p><br><p>長男は度々夜に訪ねてきて、気分転換にとドライブに連れて行ってくれる。<br>黒色の軽自動車に乗って、1時間ほどかけて田舎にあるダムへ着いた。<br>ヴィジュアル系バンドのRaphaelを爆音で流しながら、<br>もうすぐ来る長男の友達を待ち続けた。<br>ダムの近くにはベンチがあって、そこに2人で座って話していると、<br>程なくしてガッチリ体型の男性が現われた。</p><br><p>「おっ、来た来た、ジョルジー！」</p><br><p>手を挙げて反応する、昔からのあだ名がジョルジらしい。<br>特に何をするわけでもない、たわいもない雑談からはじまって、<br>明るい性格で場を和ませてくれる。<br>長男とジョルジが出会った場所も、ここのダムで喧嘩したときだったという。<br>30分ほどしてお別れの時間がやってきたとき、<br>ジョルジは初対面の私に、優しく声をかけてくれた。</p><br><p>「また今度、ゆっくり遊ぼう」</p><br><p>チャットサイトでは、文字だけの「また今度」というもの。<br>実際に、顔を見て目を合わせて握手する「また今度」は違った感じがする。<br>幻の世界に居場所を求めていたけど、くだらないことだと思えた。</p><br><p>ジョルジが7歳の頃には、両親が交通事故で他界。<br>足し算も引き算も、かけ算も割り算もできない、漢字も読めない、<br>あだ名は「出来損ない」「欠陥品」と世間から呼ばれていた。<br>親戚が引き取ったが、実子との差別がひどく、<br>家のゴミ箱を漁って食べ残しを探したり、<br>それが見つかってしまうと、下にいる2人の兄弟たちのために頭を下げた。<br>殴られ蹴られ、ようやく貰ったお茶碗一杯のご飯を、下の兄弟たちに分けていた。</p><br><p>私は待っていればご飯が出てきた、例え目玉焼き一個だけであったとしても。<br>住むところもあった、雨に打たれることはなかった。<br>異なった過去を照らし合わせると、私はまだいい方なんだと感じる。<br>でも、可哀想だとも思わないし同情もしない。<br>不思議とそういう感情は沸いてこないものなんだ。</p><br><p>このときはまだ、どこからが友人なのかどこからが他人なのか、<br>距離をとって壁を作っている頃だった。</p><br><br>-------------------------------------------------------------------<br><a href="http://blog.with2.net/link.php?1106278">・人気ブログランキングへ</a> <br><br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank"><img border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログ ノンフィクションへ" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fnovel.blogmura.com%2Fnonfiction%2Fimg%2Fnonfiction88_31.gif" width="88" height="31"></a> <br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank">・にほんブログ村</a> <br><br>※こちらのランキングにも参加しています。 <br><p>ボチボチだららんと更新していきますので、よろしくお願いいたします。 </p>-------------------------------------------------------------------<br>
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<pubDate>Sun, 21 Nov 2010 18:45:03 +0900</pubDate>
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<title>29.次から次へと</title>
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<![CDATA[ <p>だらだらと過ごす私に、父は黙って様子を見ていたけれど、<br>半年を過ぎたあたりで注意するようになる。</p><br><p>「ええ加減に仕事探したらどうや？」</p><br><p>「あー、うん、いいのがなくてね」</p><br><p>なまくら返事をして受け流す。<br>人に言うぐらいなら、自分だって仕事したらどうなんだ。<br>物心ついた5歳から今まで、3年しか働いている記憶がないのだけど。<br>だるそうに募集雑誌を手に取り、10分ぐらい見たあとにはパソコンの前へ。<br>父の顔色を伺って、機嫌がよさそうなときに分からないことを聞いてみる。<br>あーだこーだと楽しそうに教えてくれる。<br>こんなもの、ただの機嫌取りなのに単純な人だ。</p><br><p>17歳になっても変わらずに、パソコンという恋人に惚れ続けて、<br>ニヤニヤしながら画面と向き合っている夜に、知らない女の人が来た。</p><br><p>「お邪魔しま～す」</p><br><p>父と一緒に部屋へ入ってきて、少し微笑みながら挨拶をしてくる。<br>背が低くシワが目立つ、痩せ形で髪は整えているが若さはない。<br>前歯が一本ない、歯抜けババアか。<br>軽く挨拶を交わしたあとは、そそくさと隣の部屋へ入っていき、<br>会話をすることもなく、別々の空間ができあがる。<br>驚くこともない、誰が来ても「いつものこと」で済んでしまう。</p><br><p>次の日も、その次の日も隣の部屋へ父と一緒に入っていく。<br>笑い声が聞こえる、何だか気持ち悪い。<br>オバちゃんは突拍子に私のほうへ来て、「今なにやってるの？」と聞いてくる。<br>人に合わせることには慣れている、いつも顔色を見ながら会話していたから。<br>でも、聞かれたことに答えるだけ。<br>私から何かを問いかけることはしない、面倒だから。</p><br><p>暫く経った日、オバちゃんの長男が尋ねてきた。<br>親子して前歯が一本ない、同じところの歯がない、なんで………？<br>長男は私と話したいから来たらしい、私はそんなもの望んではいない。<br>帰れと言うわけにも行かず、パソコンを閉じて部屋へ移動した。</p><br><p>どんな人なのか探りを入れながら会話をする。<br>いつも通りに顔色を見ながら、何を考えているのかを伺う。<br>そして、昔話の話題に切り替わったとき、長男の顔色が変わった。<br>今まで経験したことをありのままに話した。<br>放浪のこと、義母のこと、貧乏だったこと、取り立てがきたこと、<br>父が暴力を振るい義母はアザだらけであったこと、<br>借金にまみれて自己破産していること、中学では靴や体操服がなかったこと、<br>私を置いていったこと、ここに来るまでの課程の何もかもすべてを。</p><br><p>信じられないと言った、でもすべて本当にあったことだから。<br>過去のことを話したのは長男がはじめての人。<br>周りに言おうとも思わないし、話したところでどうにかなるものじゃない。<br>ただ、やっとこうして話し合える人ができたことが嬉しかった。<br>見えない人が相手じゃない、目を合わせて話すことができる。</p><br><p>「産んだ人とは会ったことがないんだね」</p><br><p>「うん、ない」</p><br><p>「名前も知らないし、顔も分からないし、どこに住んでるかも」</p><br><p>「話してみたいけど、連絡が取れないからどうしようもないね」</p><br><p>「そっかー、何か……大変だったんだなとしか言いようがない」</p><br><p>苦笑いしながら、次に出す言葉を探しているようだった。<br>長男は、最初の旦那さんとの間に産まれて、その後にオバちゃんは離婚。<br>オバちゃんの再婚相手の人と一緒に暮らし、養子として育てられた。<br>しかし、日常から来る虐待に耐えきれず、中学のときに家を飛び出した。<br>知らないところで、そんな苦労を味わってきている。<br>一般的な家庭に育ってきた人とは、どこか考え方のすれ違いがある。<br>全員がそうではないけど、噛み合わないことのほうが多い。<br>共感できる部分があって話しやすい、ようやくできた友人。</p><br><p>オバさんが来る日になると、父は必死に部屋の中を掃除する。<br>床に落ちているゴミや髪の毛を、入念にコロコロローラーで取り、<br>浮気していることがバレないように、隠し通そうとしていた。<br>そんなことをするぐらいなら、別れたほうが早いと思うのだけど。<br>オバさんは、たまに確信しているかのように打ち出す。</p><br><p>「ねえ、最近来るなって言うけど浮気でもしてるんじゃないの？」</p><br><p>「女の勘だけどね、怪しいなあって少し思ってる」</p><br><p>父は動揺した様子で「そんなことないよなあ」と馬鹿面して私に振ってくる。<br>修羅場になろうが別れようがどうでもいいよ、勝手にやっててくれ……。<br>適当に受け流して部屋に戻る、巻き込まれるなんてゴメンだから。</p><br><p>オバちゃんとも、知らない間に打ち解けるようになっていく。<br>少しだけ距離を置いて接しているけど、話すだけなら抵抗はない。<br>今まで、どんな女の人が来ても関係ないと思ってた。<br>でも、徐々に私まで狂わされていくなんて予想もしていなかった。</p><br><br>-------------------------------------------------------------------<br><a href="http://blog.with2.net/link.php?1106278">・人気ブログランキングへ</a> <br><br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank"><img border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログ ノンフィクションへ" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fnovel.blogmura.com%2Fnonfiction%2Fimg%2Fnonfiction88_31.gif" width="88" height="31"></a> <br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank">・にほんブログ村</a> <br><br>※こちらのランキングにも参加しています。 <br><p>ボチボチだららんと更新していきますので、よろしくお願いいたします。 </p>-------------------------------------------------------------------<br>
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<link>https://ameblo.jp/meliades/entry-10713045034.html</link>
<pubDate>Sat, 20 Nov 2010 20:58:49 +0900</pubDate>
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<title>28.閉じこもる居心地</title>
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<![CDATA[ <p>オバさんが来る回数は、1ヶ月に1回から2ヶ月に1回と少なくなっていく。<br>父が好きだから来るのか、それとも慢性なのか。<br>オバサンの荷物は、すべて団地に戻してあって家にはない。<br>内縁の妻だとか、そんなふざけた関係なのならば、<br>いっそのこと綺麗サッパリ別れてしまえばいいのに。</p><br><p>子どものために帰る、それは正当化しようとしているだけさ。<br>置いて行かれたという傷が癒えることはない。<br>目先のことしか考えずに、勝手な行動をしたことに関して、<br>大人っていうのは言い訳しか言わなくて、現実から逃げていくだけ。</p><br><p>大人しか分からない世界、じゃあどこからが大人なの？</p><br><p>一度は置いていっても、あとで引き取った父のことでも同じ。<br>子どもより恋愛なんだろうか。<br>土下座してまで奪ったのに、また新しく女作って何がしたかったんだ。<br>私の目の前で、オバさんと愛だの恋だの気持ち悪いこと言う暇あるのなら、<br>仕事の雑誌一冊でも持ってきて、電話の一本でもしたらどうなのか。</p><br><p>引っ越しても、父のパチンコ生活は続いている。<br>常に不安定な家、また退屈な仕事探しから。<br>万年貧乏、金に困らず生活なんてしたことがない。<br>どこの家でも同じだと思う、でも食べ物に困ったことないだろう。<br>冷蔵庫を開ければ、何かあるのが当たり前。<br>それなのに、開けてもワサビぐらいしか入っていないときもあった。<br>平々凡々と育った人はいいな、生きる苦労なんてなさそうだし。<br>アルバイトの募集雑誌を見ながら、そんな余計なことを考えている。<br>他人を妬んでも仕方がないこと、分かっているつもりで分かっていない。</p><br><p>働く意欲がなくなってしまった。<br>何かもう面倒臭い、どうせ稼いでも使えないのだし。<br>部屋の中で横になりながらテレビを眺める。<br>ゴロゴロしながら、眠くなったら寝て起きたいときに起きる。<br>パチンコが順調なのか、オバさんから借りてるのか知らないけど、<br>冷蔵庫の中には食べ物もある、カップラーメンもたくさん押し入れに。<br>中学卒業したての頃は、お金のなさに危機感を持った。<br>それが切れてしまった途端に、やる気も何もなくなった。<br>どうせ前の家賃も、滞納したまま逃げた同然で引っ越したんだろう。<br>払いきれなくなったら、ここもそうなるさ。</p><br><p>こんな生活に慣れてしまうと抜け出せない。<br>父から貰ったノートパソコンをカチカチといじりはじめて、<br>それが更に拍車をかけて働きたくない病が発症する。<br>起きたらまず行うこと、それは寝ぼけながらパソコンの電源ボタンを押す。<br>朝から晩までずっと画面に向き合って、テレビを見ることもなくなった。<br>最初は調べ物だけだったのが、チャットサイトというものを知ってから、<br>毎日のようにそこへ通うようになる。</p><br><p>見ず知らずの人と文字だけで会話する。<br>相手の表情も、声も、どんな人かも分からないそんな世界。<br>そこだけは、現実とは違った私だけの本心をさらけ出せた。<br>普段なら言わないようなことも、文字なら簡単に表現できる。<br>ストレートに感情を映し出せる場所。<br>ご飯を食べているときも、常に目線はパソコンの画面。<br>寝ているとき以外ほとんど同じところに座っている。<br>周りから見れば、画面を見て笑っている姿なんて疑問に思える。<br>私にとっては、それが楽しいひとときだった。</p><br><p>オバさんが来ている日でも、話は右から左へ聞き流して、<br>体はパソコン、たまにオバさんと目を合わせるぐらい。</p><br><p>「パソコンの何が楽しいの？」</p><br><p>「そんなカチカチカチカチしてさあ、よく分からない」</p><br><p>と、真剣な顔をして聞いてくる。<br>説明しようがない、分かってもらおうとも思わない。<br>首をかしげて考えておけばいいと、聞いていないフリをして、<br>オバさんの存在を忘れるほどに夢中になってしまう。<br>話を聞いてくれる人は、画面越しにいてくれるから。</p><br><p>四六時中張り付いて、常にキーボードを叩いているかマウスを持っている。<br>パソコンという魔物が、手を握って放さない。<br>その手をあえて振り払おうとはしないまま月日は過ぎていく。</p>
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<pubDate>Sat, 20 Nov 2010 11:49:27 +0900</pubDate>
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<title>27.流れゆく景色</title>
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<![CDATA[ <p>東京から戻ってきて1年が過ぎた16歳最後の冬、大阪から父の友人が家にやってきた。<br>昔話で盛り上がっているわけじゃない。<br>友人へ、引っ越しの手伝いをしてくれないかという相談だった。<br>小柄な体型、頭が少し禿げていて、<br>とても同年代には見えないぐらいに老けている。<br>笑いながら友人に色々と話してはいるが、また仕事を辞めなければいけないのか、<br>そんなことを思いながらいると、まったく楽しくはない。<br>せっかく慣れてきたところで、やむを得なく続けられないことは、<br>モチベーションを保つことが難しい。<br>引っ越す理由も分からないまま、ただ流されていくだけ。</p><br><p>家の中にある荷物は少ない。<br>前に住んでいたワンルームの頃から増えておらず、まとめるのも簡単。<br>冷蔵庫の扉には、透明のテープを貼って開かないようにする。<br>食器は新聞紙に包んでダンボールの中へ丁寧に入れて、<br>お風呂やトイレの掃除をはじめる。<br>雑巾で窓を拭いて、一通り綺麗にし終えると、<br>物があまりなくて殺風景だった部屋が、なおさら何もないように見える。<br>オバさん、最近全然来てないな……別れたんだろうか。<br>まあいいか、関係ないことだし。</p><br><p>次の日に、父の友人が軽トラを運転してきた。<br>業者に頼むお金がないのか、それとも勿体ないからか、<br>2人で息を切らしながら家具やダンボールを下へ運んで積んでいき、<br>一度ではすべて乗り切らないため、何度かに分けて運ぶようだ。<br>縄でガッチリと固定して、あまりスピードを出さずに運転していく。<br>私は真ん中に座り、どこへ行くのか分からない道をひたすらに眺める。</p><br><p>家を借りることができたらなあ。<br>そんなことを思っても、いざその場になると戸惑ったかもしれない。<br>雑誌を見ると、敷金礼金0円なんてものがある、敷金も礼金も分からない。<br>どこに連絡すればいいのか、どうやって借りるのか、<br>保証人なんて言葉も知らない、そもそも保証人は何のためにあるのか。<br>経験や知識不足が浮き彫りになる。</p><br><p>山を越えて広い二車線の道路を走っていくと、次第に海が見えてくる。<br>太陽の光が反射して、キラキラと細かく光っている。<br>向こう岸には、様々な工場が薄く広がって見える。<br>ラーメン屋の脇道を通り、少し真っ直ぐ行ったところで停止した。<br>3階建てのアパートに到着し、2階にある3DKの家へ荷物を運んでいく。<br>部屋に入ると、ベランダの窓から海を眺めることができる。<br>新鮮な感じがする、真っ白にしてくれるような匂いがする。<br>その部屋で私は待ち続け、父たちは2度目の荷物を取りに出かけた。<br></p><p>部屋、風呂、トイレ、ベランダと見て回り、<br>窓をすべて開けると、家の中を風が通り抜けていく。<br>外に出て、近くに何があるのかを確認するために散歩する。<br>見慣れない土地、入り組む小道、古風な家が建ち並び田舎を感じさせる。<br>余計なことを考えなくていい、色んなことを忘れさせてくれる時間。<br>親戚も知り合いもいないから、離れて淋しいだとか感じない。<br>どこへ住もうが、誰もいないことに変わりないから。</p><br><p>ひとまず家に戻り、ダンボールの中身を出して整頓する。<br>雑巾で台所や窓を拭き、父たちが戻ってくるのを待つ。<br>ドタドタと騒がしい音を立て、汗を流しながら荷物を運んできた。</p><br><p>「これは……、こっ…こっちに………」</p><br><p>息を切らしながら、タンスを奥の部屋へと持って行く。<br>数時間にも及ぶ引っ越し作業も終わり、ようやく落ち着ける時間がやってくる。<br>友人は使い捨てられたように帰って行き、<br>少し休憩してから、父と2人での片付け作業に入った。</p><br><p>「そういえば、オバさんは？」</p><br><p>「近いうちに来るらしいで、東京のことは内緒やぞ」</p><br><p>なんだ、別れてなかったのか。<br>来なくてもいいのに、そもそも来る意味があるのだろうか。<br>引っ越しぐらい手伝いに来い、役立たずが……。</p><br><p>流れていくのは景色だけじゃない、私の気持ちも流れていくもの。</p><br><br>-------------------------------------------------------------------<br><a href="http://blog.with2.net/link.php?1106278">・人気ブログランキングへ</a> <br><br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank"><img border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログ ノンフィクションへ" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fnovel.blogmura.com%2Fnonfiction%2Fimg%2Fnonfiction88_31.gif" width="88" height="31"></a> <br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank">・にほんブログ村</a> <br><br>※こちらのランキングにも参加しています。 <br><p>ボチボチだららんと更新していきますので、よろしくお願いいたします。 </p>-------------------------------------------------------------------<br>
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<link>https://ameblo.jp/meliades/entry-10711839176.html</link>
<pubDate>Fri, 19 Nov 2010 17:11:53 +0900</pubDate>
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<title>26.忘れられない思い出</title>
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<![CDATA[ <p>物に対して無頓着だとよく言われる。<br>服も着られたら穴が開いていてもいい、今だって10年以上前の服を持ってる。<br>靴も底が抜けるまで履いた、汚くても気にしない。<br>パソコンだってなくても困らない、なければやらないだけ。<br>これが欲しいというものがない、興味がまったく沸かない。<br>凝ることもないし、プレゼントとして貰っても嬉しさがない。<br>少し経てば大切さすら忘れてしまう。<br>物なんて、いずれ捨ててしまうものだから、<br>捨ててしまえば残らないし、記憶からも徐々に薄れていく。<br>思い出に残るのは、ほんの僅かなもの。</p><br><p>数ヶ月もすれば、女の人から貰ったマフラーなんて、<br>どこ置いたかも分からないし、どうでもよくなってきている。<br>手当たり次第に探そうとも思わない、なければ別にそれでいい。<br>オバさんがたまに服を買ってくる。<br>いい加減、古くなった服ばかり着ているから持ってきたそうな。</p><br><p>「ああ、うん、いつか着るよ」</p><br><p>つまらないものが溜まっていくだけ。<br>新しいものだろうが関係ない、私にとっては古びた服と同じ価値にしかならない。<br>その人にとっては着て欲しい、喜んで欲しいと思ってあげるんだろう。<br>私にとっては邪魔になる。<br>だから「欲しいものはないの？」と聞かれても、いつもこう言う。</p><br><p>「欲しいと思うものはない」</p><br><p>「何もいらない」</p><br><p>必要だと思えば自分で買うし、わざわざ買ってもらおうとは思わない。<br>例えそれが何かの記念だったとしても、<br>喜べない人に渡したところで、相手にとっては金の無駄だから。</p><br><p>退屈な日常を過ごしていく。<br>家にいても暇なのだから、働いていたほうが時間が潰れる。<br>だから、近場のスーパーにある飲食店に電話をして面接を決めてもらった。<br>やりたいこともない、働ける場所があるならどこでもいい。<br>夢もない、欲しいものもない。<br>食べていくためにお金を稼ぐ、そんな当たり前のことだけど、<br>素直にお金を渡せない抵抗というものが出てきた。</p><br><p>なんで自分で稼いだのに、自分で使えないんだ。<br>ほとんどがお小遣い稼ぎでやっているのに、私だけそんなんじゃない。<br>欲しいものを買って、好きなように使える人たちを羨ましく思う。<br>前までなら、何も言わずにテーブルの上に置いていたけど、<br>給料日に全額引き落として、コンビニでお菓子を買ったりゲームセンターに行ったり、<br>思う存分に楽しんでやろうと、父に対して反発するようになった。</p><br><p>数ヶ月は「借してくれ」と言ってこなかった。<br>そんなことを意識するわけでもなく、普段通りの生活をする。<br>7万か8万ぐらいだったと思う、そんな金額が一週間もすればなくなってる。<br>どんな使い方をしたのか覚えていない、相当荒っぽく使っていたんだろう。<br>休日の昼、お金があまり残っていないときに、<br>父が申し訳なさそうな顔で借してくれと頼んできた。</p><br><p>「あまり持ってない」</p><br><p>そう言うと、何に使ったかを聞かずに困り果てながら外へ出て行く。<br>正直、このときは「ざまあみろ」と心の中で笑った。<br>私だけが美味しい物を食べて、お腹が空くこともなくて、<br>楽しいことをして、今までと違った日を過ごしている。<br>お金を出さなくても生きていけたから。<br>家から追い出されることもなかったから。<br>困ることなんてなかった、好きなように使えることが当然のよう。</p><br><p>テレビを見ながら、落ち着いて少し振り返ってみる。<br>冷蔵庫の中を見ると、ほとんど食材となるものがない。<br>昨日は吸い殻を綺麗に拭いて吸ってた、新しいのを買う余裕がないんだ。<br>いつも夜はコンビニ行って、何か買って食べてたから気づかなかった。<br>最近、何も食べていないんじゃないのだろうか。<br>買ってきた形跡もない、一体どうしているんだろう。</p><br><p>小学生の頃を思い出す。<br>欲しそうな顔をして、おもちゃ屋のガチャガチャを見ていると、<br>次の日には、袋の中に沢山入れて持ってきた。<br>まるで自分が集めているような素振りをして、一緒にカプセル開けていたなあ。<br>一度だけ、「これが欲しい」としつこくねだったとき、<br>「うるさい」と言われたものの、数日後にはそれを買ってきた。<br>義母を犠牲にしてまで、私にだけは何かを与えようとしていた。<br>晩ご飯が目玉焼き1個だけのときもそう。<br>今まで、一度も与えてもらったことがないわけじゃない。<br>捨ててしまってない物だから、記憶からなくなっていただけ。</p><br><p>私だけが満足しようとしている。<br>一緒に住んでるのに、1人が満腹で1人がお腹を空かしている。<br>父が素直に働けば、すべて丸く収まること。<br>パチンコ生活が悪い、そんなこと誰に言われなくても分かってる。<br>だけど、私にとってはたった1人の親。<br>自分を責めた、なにをしているんだろうって。</p><br><p>もし、目の前から突然いなくなってしまったら、<br>私は1人で生きていくことができるのだろうか。</p><br><br>-------------------------------------------------------------------<br><a href="http://blog.with2.net/link.php?1106278">・人気ブログランキングへ</a> <br><br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank"><img border="0" alt="にほんブログ村 小説ブログ ノンフィクションへ" src="https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fnovel.blogmura.com%2Fnonfiction%2Fimg%2Fnonfiction88_31.gif" width="88" height="31"></a> <br><a href="http://novel.blogmura.com/nonfiction/" target="_blank">・にほんブログ村</a> <br><br>※こちらのランキングにも参加しています。 <br><p>ボチボチだららんと更新していきますので、よろしくお願いいたします。 </p>-------------------------------------------------------------------<br>
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<pubDate>Thu, 18 Nov 2010 10:06:18 +0900</pubDate>
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