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<title>トライアングル　三角関係（フランス人♂、アメリカ人♂、日本人♀）</title>
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<description>アーティストの恋の日記　パリーニューヨーク</description>
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<title>夫が私に書いた詩</title>
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<![CDATA[ Ce poivre vertige de nos destins houleux, <br>abreuvant nos coeurs mets besogneux, <br>mille fois debout le remerciant, de nous sentir autant présent<br><br>この辛いめまいの私たちの運命の嵐は、<br>私たちの貧しい心の皿に水をまき、<br>生きていることの実感を感じさせて、千回は立ち上がって感謝させる。<br><br><br><br>今日夫とお昼ご飯を食べた。<br>仕事の合間のつかの間の時間で。<br><br>彼が新しい詩を書いたよと言って<br>SMSで送ってくれた。<br><br>今一人でアパートに戻ってから<br>彼の詩をもっとよく理解するために<br>日本語に訳してみた。<br><br>私たちの複雑な運命が彼の繊細な気質、<br>隠されていた彼の正体を浮きたたせて発達させた。<br><br>正直、なんて素敵な人なんだろうと思った。<br><br>３人の中で繊細で花のように可憐でアーティストなのは<br>彼なのかもしれない。<br><br>私とギデオンの男性脳的ながさつなエキセントリックさとは違う<br>夫の心に打たれる。<br>
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<pubDate>Thu, 17 Jan 2013 23:31:14 +0900</pubDate>
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<title>ファーストキス</title>
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<![CDATA[ 私たちはギャラリーの裏の小さな中庭にいた。<br><br>アーティストたちはビールを飲みながら<br>展覧会が終わった後のほっとした顔で話していた。<br><br>そこに彼らが加わるのはほんの少し不自然だったかもしれない。<br><br>それは私たち日本人同士の中に二人のアメリカ人が加わった事にもあったし、<br>一緒に展覧会をしたアーティスト同士の中に<br>二人の外の人間が入って来た事にあったのかもしれない。<br><br>けれどその違和感はすぐに消えて行った。<br><br>二人はとても人なつこく、拙い私たちの英語にとても辛抱強く<br>そして陽気だったから。<br><br>私は空いている椅子に座ると、彼は私の隣に座った。<br><br>すべては私が招いた事ではなかったと思う。<br>ただもう、自分の意志に関係なく彼は私の人生に入って来た。<br>そして私はそれを受け入れてしまった。<br><br>彼と話し始めてすぐに彼もペインターだという事がわかった。<br>そして７歳から絵を８歳から音楽を始めた事。<br>そしてしばらくすると、彼はギャラリーを経営していた事が<br>ある事を話してくれた。<br><br>私はその事実にびっくりしていた。<br><br>アーティストでありキューレター活動をしている私との<br>共通点に驚いていた。<br><br>あのコンサートを観たときにそんな事は全然知らなかったのに。<br><br>そしてもうどんどん彼の魅力に<br>引き込まれてしまっていた。<br><br>最初に彼をライブハウスで観てから、<br>オープニングパーティーに彼が現れた事に驚いて<br>そしてまた今晩彼がまたギャラリーに来た事。<br><br>彼がペインターであり、しかも私が一時期勉強していた<br>抽象表現主義的な絵を描いている事。<br><br>彼の声、はっきりとしたそして優しい話し方、温かそうな瞳、<br>彼の既知に。<br><br>彼が携帯で彼の絵や彼のギャラリーについての記事を見せてくれた。<br><br>気がつくと一人一人とアーティストたちは帰って行っていた。<br><br>私も次の日はパート２のオープニングパーティーがあったし、<br>私たちもそろそろ帰った方がいいと考えていた。<br><br>ギデオンの友達が私に聞いた。<br>君は結婚しているの？<br><br>私はそう。と答えた。<br><br>ギデオンは少しだけ残念そうな顔をした。<br><br>私は急激にストレスを感じて、気持ちが悪くなってしまった。<br><br><br>冷や汗が出て、息が苦しく、めまいを感じて、何度もはいた。<br><br>どれくらい時間が過ぎたのか<br>トイレから戻ってくると二人はとても心配そうだった。<br><br>そろそろ二人は帰った方がいいと私は言った。<br><br>私は真っ青な顔をしていたと思う。<br><br>具合が悪いから私は少し休んでから行くというと、<br>今夜何か食べたか？とギデオンが聞いて来た。<br>私は食べていないと言った。<br><br>彼が何か買ってくると言った。<br><br>私は気持ちが悪くて何も考えられず、<br>もうとにかくいすの上に横になっていた。<br>青空の下で。<br><br>他のビルではパーティーをしているらしく<br>喧噪が聴こえて来た。<br><br>ギデオンの友人が私の頭を撫ぜて来た。<br>それはなんだかお父さんの手みたいに安心だった。<br>私は思わず、<br>ギデオンのこと好きになってしまいそう。と言った。<br><br>彼が知ってる。と言った。<br><br><br>しばらくしてギデオンが戻って来てお水を飲ませてくれて、<br>バナナとピーナッツ味のプリッツェエルを交互に食べさせてくれた。<br><br>私は吐き気がしてあまり食べられなかったけれど、<br>彼に勧められて少しだけかじった。<br><br><br>ギデオンの友人が帰ると言った。<br>私はまだ少しだけある迷いを感じていたけれど<br>もう今を受け止めるしかないと思っていた。<br><br><br>マンハッタンの夜空の下、私はいすの上に横たわっていた。<br>ギデオンは私のすぐ横に座って、<br>冷たく濡らしたハンカチを頭に載せてくれたり、<br>頭の下にミネラルウォーターのペットボトルを入れてくれたりしていた。<br><br><br>私は少しずつ回復してきた。<br>そして少し恥ずかしくなって来た。<br>彼が大丈夫？と何度も聞いて来た。<br><br>私はだいぶ良くなったと言った。<br><br>彼が私の額に手を当てて、それからこめかみを少しもんでくれた。<br><br>私は大きく息をして肺の中に空気を入れた。<br><br>彼の息が聴こえていた。<br><br>その息は少し苦しそうだった。<br>彼が何かを求めている事を感じていた。<br><br>しばらくそうしていて、それでどちらもそうしたかったように自然にキスをした。<br><br>そしてそのキスは今まで一度も経験した事のないような<br>すばらしいキスだった。<br><br>彼はたくさんタバコを吸うのに、ちっともタバコの香りはしなかった。<br>彼の唇は柔らかくて、頬はすべすべしていた。<br><br>後れ毛を触ると髪の毛はとても柔らかかった。<br><br>夜の空気が私たちの肌を愛撫していた。<br>世界の中心にいて、世界がぐるぐる私たちの周りを回っているような<br>不思議な感覚だった。<br><br><br>私たちは２時間くらいキスしていたように思う。<br>彼の息は時にとても荒くなったけれど、<br>キス以上の事はしなかった。<br>それは不思議なくらいの安心感だった。<br><br>気がついたら私も彼も蚊に食われた後でいっぱいになっていた。<br><br>私は明日のオープニングの事を考えて、<br>もう本当に帰らなければならないと伝えた。<br><br>二人でギャラリーの戸締まりをした。<br><br>そして、タクシーで帰った方がいい。心配だから君の住んでる地域まで<br>一緒にいくよ。と彼が言った。<br><br>私は彼が絶対に無理強いをしないだろうと感じていた。<br>そして一緒にブルックリンまで行った。<br><br>タクシーを降りてキスをして、<br>メトロはどこかな？と聞くので<br>今度は私がメトロまで送るよと言った。<br><br>送って行く間本当に危なくないかい？<br>帰りは大きい通りを帰るんだよ。と言った。<br><br>メトロについたらまた僕が送ろうか？とか<br>冗談を言ったりした。<br><br>メトロのそばのアパートの前の階段に座って彼が最後のタバコを吸った。<br>そして情熱的にアートセールスについて話した。<br>彼のバイブルにしている本について。<br>その本を読んだ方がいいと言った。<br>彼がギャラリーを経営していたときに<br>実行していた、とても大事な事が書いてある本だと言った。<br><br>私は本当にもう帰って寝なければならなかったのだけど、<br>彼は熱中して話していた。<br>キスをする前とは少し違う、<br>少し押し付けがましいところがあるくらいの<br>進め方だったけど、<br>それがなんだか不器用でいいなと思った。<br>情熱的なんだなと思った。<br><br>また何度もキスをして別れるのは辛かったけれど、<br>最後は私が潔く別れを告げた。<br>明日大事な日が待っているのは私の方だったから。<br><br>明日のオープニングでね。といって<br>やっと私たちは別れた。<br><br>彼は気をつけて帰ってね。といって<br>メトロの階段を下りて行った。<br><br><br><br>
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<pubDate>Thu, 03 Jan 2013 05:46:07 +0900</pubDate>
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<title>彼が私の人生の中に入って来た日</title>
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<![CDATA[ 彼が帰ってしまったあとで、<br>私はほっともしたし、そして少し残念な思いだった。<br><br>けれど日常は続いていき、日々は毎日語学学校に通ったり、<br>ギャラリー番をしながら、お客様や<br>日本から来たアーティストさんと話をしたりしながら<br>過ぎて行った。<br><br>私が企画した展覧会はパート１とパート２に分かれていて、<br>それぞれ８人ずつ一週間の展覧会になっていた。<br><br>オープニングパーティーから６日後の９月６日。<br>パート１の展覧会が無事にすみ、<br>作品を外してアーティストさんたちとギャラリーの裏庭で<br>小さな打ち上げをしていた。<br><br>一人のアーティストが知り合いが訪ねて来たというので<br>見に行くと、それはギデオンとその友達だった。<br><br>半分シャッターを閉めていたギャラリーの扉の向こう側から<br>身を屈めて挨拶をして来た。<br><br>私はドキドキしてまともに顔も観れずに、<br>どうしたの？と聞くと、<br>搬出を手伝いに来たという。<br><br>搬出はもう終わったけれど、アーティストたちと<br>打ち上げをしているからどうぞ。<br>と言って、私は二人を中に通した。<br><br>彼らが私の後ろからついてくるのを感じながら、<br>ああ、この人は私の人生にはいってくる。<br>と、その時に感じていた。<br><br>そして、私はもうこの人が自分の人生に入ってくる事を拒めないのだと<br>説明できない、確信に近い諦めに近い気持ちを<br>同時に感じていた。<br><br><br><br><br><br><br><br>
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<pubDate>Thu, 03 Jan 2013 05:29:10 +0900</pubDate>
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<title>オープニングパーティー</title>
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<![CDATA[ ギデオンと再会したのは９月１日。<br>私が企画した１６人の日本人アーティストの展覧会の<br>オープニングパーティーでだった。<br><br>ロウアーイーストサイドの小さなギャラリーではあるが<br>２６年と歴史も古くかつてバスキアも展示したことのある<br>ギャラリーだ。<br><br>オープニングパーティーが始まってすぐに<br>彼が姿を現した。<br><br>私はとても驚いた。<br>まさか彼に再会するとは思いもしなかったから。<br><br>彼は黒いシンプルなTシャツにジーンズという出で立ちで、<br>とても人なつこい笑顔で挨拶をしてきた。<br><br>１０日前のコンサートで見た彼と別人のような印象を受ける<br>礼儀正しく人なつこい笑顔だった。<br><br>彼はもっと悲しげな様子に見えたから。<br><br>彼はワインのボトルを開けようとしていた私を<br>さりげなく手伝ってくれた。<br><br>そして展覧会の主催者は私かと聞いてきた。<br>私はそうだと答えた。<br><br>私は彼に魅了されてしまって、顔をまともに見ることもできないし<br>話を続けることもできなかった。<br><br>それにきっときっかけを作ってしまいたくなかったのかもしれない。<br><br>ヨハンのことを裏切るようなことはしたくなかったから。<br><br>彼は他の人と話を始めた。<br>楽しそうに彼と話をするギャラリーアシスタントが<br>少しうらやましく、<br>でも展覧会の主催者としてやるべきことに追われて<br>その後彼のことは考えないようにした。<br><br>ナビバンのコンサートが始まって<br>私たちは温かいラテンジャズの世界に包まれた。<br><br>ギャラリーにはささやかにけれどきらきらと輝くようなアートと<br>陽気な音楽があふれて、みんな幸せな気持ちになっていた。<br><br>オープニングパーティーへの人の入りは中くらいという所で<br>彼はコンサートが終わって間もなくギャラリーを後にした。<br><br>ギャラリーアシスタントやアーティストたちには頬につけるキスをして<br>私には握手をして帰って行った。<br><br><br>私は彼に再会できて嬉しかったけれど<br>何もすることができず、<br>積極的に機会を作るでもなく<br>ただ彼が私の展覧会へ来たことに驚いていた。<br><br>あの地下のライブハウスと、ギャラリーは結びつかなかったし<br>彼のバンドがナビバンと親しいことも知らなかったから。<br><br><br><br><br><br>
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<pubDate>Tue, 11 Dec 2012 07:41:18 +0900</pubDate>
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<title>夫が出て行った日</title>
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<![CDATA[ １２月９日日曜日、<br>昨日夫がとうとう荷物をまとめて出て行った。<br>私たちが出会ったから７年と１ヶ月の日々を過ごしたアパートを後にして。<br><br>ギデオンとのことを書き進める前に、<br>夫のことを少し書いておきたい。<br><br>夫と私が出会ったのは７年前で、<br>彼が２５歳で私が２９歳の時だった。<br><br>情熱的に恋をした訳ではなかった。<br>けれども日々愛を育んだ。<br><br>最初の一日目から関係はほんの少しずつ作られて<br>私たちはお互いに成長し、<br>相手を無くてはならないものにして行った。<br><br>私たちが結婚したのは２０１０年の６月５日。<br>たったの２年と数ヶ月で終わりを向かえる結婚生活だって<br>誰が想像しただろう。<br><br>私たちの結婚式は自分で言うのもなんだけれど<br>素晴らしいものだったと思う。<br>規模が大きいとか人がいっぱい来たとかそういうことではなくて<br>小さな手作りの温かい結婚式だった。<br><br>私はあの日のことを一生忘れないだろうと思う。<br>お天気のいい暑い日で私たちは汗をかきながら<br>涙にぬれたぐしゃぐしゃの顔でお互いへの手紙を読んだのだった。<br><br>あれはピカルディーとノルマンディー地方の間にある<br>小さなシャトーで行われたささやかな結婚式だった。<br><br>私の中での夫のイメージはまさに白馬に乗った王子様だった。<br>貴族の出とかそういうことではなく<br>彼は文句無く育ちのいい男の人だった。<br><br>礼儀正しく、まっすぐで、背は高く、ハンサムで、<br>家族を深く愛して大事にしていて<br>おまけに小顔で筋肉質で肩幅が広く<br>逆三角形のシルエットの持ち主で。<br><br>はっきり言って言うことなしだ。<br><br>エンジニアの彼はラデフォンスに毎日フランス人には珍しく<br>スーツで通っていた。<br><br>シャツには毎朝自分でアイロンをかけて、<br>まだベッドの中で眠っている私のおでこに静かにキスをして<br>出かけて行った。<br><br>私のアーティスト活動やキューレター活動も凄く応援してくれていた。<br><br>私が初めてフランスで正社員で働き始めることができたのだって、<br>複雑な家族関係や生い立ちの私を支えてくれた彼がいたからだと思う。<br><br>押し付けがましくなく、私をガイドするでも無く<br>でもひっそりと、それでいて確実にしっかりと<br>私を常に支えてくれていた。<br><br>そんな私が想像もつかないパーフェクト以上の彼を<br>かけがえの無い夫を忘れてまでこんな恋に落ちるなんて。<br><br>パーフェクトとはほど遠いギデオンと恋に落ちるなんて。<br><br>神様は私に何を望んでいるのだろう。<br>人生は本当に自分が想像不可能な所へ<br>自分を運んで行ってしまう。
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<pubDate>Tue, 11 Dec 2012 05:27:13 +0900</pubDate>
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<title>出会い</title>
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<![CDATA[ ライブハウスからニューヨークのブルックリンのアパートに戻ってまずしたことは<br>Facebookで彼のバンドを探すことだった。<br><br>彼のバンドの名前はブルースコ。<br><br>ファイスブックにはブルースコのページがあって、<br>私は彼の姿を見つけることができた。<br><br>友達申請をするような勇気はなくて、<br>ただ彼の姿を見て満足して眠りについた。<br>少しドキドキしながら、<br>でももう会う機会はないだろうと思いながら。<br><br><br>私にはフランス人の夫が居る。<br>フランスに住んで１５年目の私の<br>二番目の結婚だった。<br><br>夫とであってから７年。結婚して２年と３ヶ月だった。<br>とても幸せな結婚生活を送っていた。<br><br>アーティストでキューレターの私の活動を応援して<br>理解してくれていた。<br><br>今回の２ヶ月半のニューヨークへの滞在も<br>喜んでとは言わないけれど<br>笑顔で送り出してくれていた。<br><br>そんな夫を裏切ろうとは思わなかったし、<br>だから彼にときめいたのも、映画で見た俳優や<br>好きなミュージシャンへの憧れに近い感覚だったと思う。<br><br>そして日々は過ぎて行った。<br><br>私は英語の語学学校に通い始めていたし、<br>９月から始まる展覧会の準備もしていた。<br><br>そして友人と食事をしたり、同じ時期にニューヨークに滞在していた<br>フランス在住の映画監督の友人の<br>試写会などに出かけたりしていた。<br><br>
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<pubDate>Sun, 09 Dec 2012 04:02:15 +0900</pubDate>
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<title>ファーストインプレッション</title>
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<![CDATA[ １２月７日。<br>今日は私とギデオンが初めてキスした<br>９月７日からちょうど３ヶ月目。<br><br>私は私たちについて書くことに決めた。<br>私とギデオンとの出会いとそしてこれから私たちが経験して行くことについて<br>記録して行くことに決めた。<br><br>その理由は私もギデオンもアーティストで、<br>私たちがお互いに与える影響について<br>また私たちの恋がどこに向かうのか<br>そのことを生きながら、同時に書き留めておくことを<br>しなければならないように感じたから。<br><br>私たちが有名になるかは分からないけれど、<br>彼との出会いが私の人生を変えることは確かだと思うから。<br><br><br><br><br><br>私たちが出会ったのは８月２０日。<br>あの人の誕生日の次の日で、<br>彼が前の彼女と別れてちょうど一年後の日だった。<br><br>８月２０日。<br>あの日私は友人のアーティストと、<br>ニューヨークのダウンタウンにいた。<br><br>私はニューヨークで初めて展覧会を企画開催しようとしていた。<br>そしてその日はその展覧会のオープニングパーティーで<br>演奏してくれる予定になっていたラテンジャズのバンド、<br>ナビバンの演奏を聴きにきていたのだった。<br><br>私がニューヨークに着いたのは８月１０日。<br>今回が３回目のニューヨークだったけれど、<br>このようなバーに来たのは初めてだった。<br><br>どちらかというと、セックス＆ザ•シティーに出てくるような<br>アフターファイブのかんじのバーとか、<br>ファッション関係のコーディネーターをしている友人で<br>ニューヨーク生活の長いけん君が連れて行ってくれる、<br>奇抜でおしゃれなバーにしか行ったことがなかった。<br><br>例えば有名なホテルの屋上にあるプール付きの著名人がくるような<br>ミートパッキングエリアのバーとか、<br>普段はストリップバーが週末にクラブになるような<br>イーストヴィレッジのバー。<br>キラキラして、軽薄で妖艶な場所。<br><br>だけど、この日行ったそのバーは、<br>きっと知っているひとしか入らない種類のバーだった。<br>一階は水パイプを吸えるようになっていて、<br>地下はライブハウスになっていた。<br><br>私と友人は一階を通り抜けて、地下に直接おりて行った。<br><br>ここでは長い説明を省くけれど、<br>友人が紹介してくれたナビバンというバンドの演奏は<br>なかなか良くて、<br>特にバンドの全員でドラムを叩くパフォーマンスの一曲は<br>心臓がドキドキするくらい高潮するものだった。<br>こんな風に暗く狭いライブハウスで聞くのがもったいないくらいの<br>いい演奏で、私は友人に感謝した。<br><br>ナビバンには日本人女性が一人居て、彼女は細く美しく強そうで<br>年配の男性音楽家たちの中で一輪の赤い花のように印象的だった。<br><br>その日はナビバンの知人の誕生日だったらしく、<br>演奏の後には私たちまでケーキのお裾分けをいただいた。<br><br>後から知ったのだけど、その日の誕生日会は二人同時にお祝いしてたものらしく<br>その一人はギデオンだった。<br><br>ギデオンはナビバンの後に演奏したバンドの一員だった。<br>少しノワールな印象のブルースとロックのカバーを演奏するバンド。<br><br>次のバンドが準備を始めて、<br>そして彼を一目見たときから目が離せなくなった。<br><br>大柄なギターとハーモニカのバンドのメンバーに挟まれて<br>彼は細身で小柄で、どこか寂しそうな印象を受けた。<br>面長の細い顔とつり上がった目が暗いライブハウスのライトの下に<br>浮かび上がっていた。<br><br>彼はハンサムだったけれど、そういう外見的なことよりも、<br>彼の何かが、直接私の中の柔らかい部分に触れたのだと思う。<br><br>演奏が始まる前に期待したよりも<br>音楽はすばらしい訳ではなくて、<br>というよりも音楽のことがよくわからない私が聞いても<br>とにかくボーカルの歌がまずかった。<br><br>気になる彼は真ん中に居て、音楽の中に居て<br>身体が自然に動いていて<br>その動き方、目の閉じ方、時々コーラスで聴こえる<br>彼の声が本当に私の心をつかんだ。<br><br>陶酔しているというよりも、<br>音楽の中に全く入ってしまっていて<br>ほかのことはどうでもいいように見えた。<br><br>私は最初真ん中にいる彼がボーカルだと思ったいたので、<br>ずっといつになったら彼が歌うのかなと考えていたけれど<br>結局私が帰るまで彼がメインで歌うことはなかった。<br><br>友人とぴょこぴょこ動く彼が愛らしくて<br>あの人可愛いねと言ったりした。<br><br>数曲演奏を聴いて友人はクイーンズに住んでいて遠いので、<br>あまり遅くならないうちに帰らなければならなく<br>私たちは名残惜しくもコンサートの途中でそのバーを後にした。<br><br><br><br><br><br>
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<pubDate>Sat, 08 Dec 2012 08:18:51 +0900</pubDate>
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