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<title>オリジナル創作小説「中澤家」</title>
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<description>ある一軒家の『中澤家』で巻き起こるギャグ系の創作小説。時にはシリアスあり、ラブありのハチャメチャな世界を描きます。気長に読んでくれると嬉しいなネタギレの場合は他のも書きたいと思います。</description>
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<title>壊れた生活8</title>
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<![CDATA[ 誰かの為に、何かの為に、蒼星石はそんな奇麗事が嫌いだ。いや、それがどれほどすばらしい精神かは分かっている。<br><br>皆が皆、そうあれるのであればこの世界はなんとすばらしいことだろう。そこには平和があり、争いなどは無いだろう。<br><br>だが、現実ではそんな気高い志を持っている人物は一握りしかいない。<br><br>そして、その一握りは多数の利己主義の者達にとって都合のいい存在として扱われるのだ。<br><br>蒼星石のマスターである女性の本人の望んでいない、両親という誰かの為の結婚によって生じたやりきれない思いを蒼星石は消化できずにいた。<br><br>姉である翠星石はしょうがないですと、悲しげな表情で自分を納得させていたが、蒼星石も表面上はそう言いながらも、心の奥底では納得など出来なかった。<br><br>だから、蒼星石は金持ちと結婚しながらも続けているマスターの店のレジに書置きをした。<br>『彼女の望まぬ結婚をどう思っているのか、この紙を見たその場所で応えてください。』<br>それは彼女が小太りの男の家から出られなくなった後でも決まってやってくる男性への言葉だった。<br><br>そして、その男性は蒼星石の予想通りに決まった時間に店の中へと入ってきて、その手紙を手に取った。<br><br>彼はまわりを確認して誰か隠れているのかと探す事も無く、いつもと変わらぬ口調で口を開いた。<br>「俺の、無力さが生んだ結果だ。」<br>蒼星石は後悔した。そんな書置きをして、彼にそんな表情をさせたことを蒼星石は心の底から後悔した。<br><br>それは、泣きそうな顔だった。<br><br><br><br>「本当に何もないな。」<br><br>「お婆さんは、夢を見ないほどの深い眠りの状態にいるんです。このまま、夢を見ないで眠り続けていればお婆さんは遅かれ早かれ……。」<br><br>「ふむ。では、急いでこの老婆の中にある夢の樹へと続く道を探すか。」<br>雅也達とジュン達は、蒼星石のお世話になっている老人の家の中で眠り続けている老婆の夢の中に来ていた。<br><br>雅也と蒼星石の契約に従い、この場に翠星石と蒼星石の他に水銀燈と雅也がいるのは仕方の無い事である。<br><br>だが、そうなると真紅が知った際に、それでは翠星石と蒼星石が危ないとついてくることになった。<br><br>水銀燈のこれまでの行いを知る真紅にして見れば当然の判断である。<br><br>そして、そうなれば必然的に雛苺とジュンがついてくる事は決定した。<br>「なんで、僕が……。」<br><br>「皆で探すのぉ。ジュンも探すのぉ。」<br>しぶしぶといった感じを装うジュンと一人テンションの高い雛苺は真紅の後に従うようにして老婆の夢の中を歩く。<br>「人間！　ぶつぶつ言ってないでちゃんと探すです！！」<br><br>「わかってるよ。まったく、この呪い人形どもめ。」<br><br>「聞こえてるですよ人間！！」<br><br>「うわっ、危ないだろ！！　ビュンビュン飛び回るな！！」<br>そんな賑やかなジュン組とは対照的に、雅也組は無駄口を叩くことなく老婆の樹を探している。<br>「あちら側はもう探したので、あるとしたらこっちの方だと思うんです。」<br><br>「ふむ。」<br><br>「……。」<br>水銀燈は蒼星石の言葉に無言で、蒼星石の指差したほうへと飛んでいき、蒼星石も慌ててそれを追いかける。<br><br>雅也はそんな二人の後ろを徒歩で着いていく。<br>「あの、雅也さん。」<br><br>「なんだ？」<br><br>「ここは、夢の中なので、雅也さんも飛べると思うんですけど……。」<br><br>「ふむ。本当だ。正直、徒歩では限界があるなと考えていたところだ。」<br>雅也は自分が、概念的に宙に浮かんでいる事を認識すると、少し嬉しそうに微笑んだ。<br><br>だがその感情もすぐに消え、いつもの無表情に戻ると雅也はあたりを見渡しながら、水銀燈の隣へと移動した。<br><br>蒼星石はその様子に胸の痛みを感じながらもついていく。<br><br>それぞれが、それぞれ老婆の木を探し続け、随分と時間がたったときにその声は響いた。<br>『もうやめてよ！！』<br>その声に反応して、広く分散して老婆の木を探していたジュンや雅也達は声の主の下へと集結した。<br><br>そして、そこにいたのは短く髪を切りそろえた品のいい、泣きそうな顔をした少年がいた。<br><br>蒼星石が驚いたように、その少年に声をかける。<br>「君は、もしかして、カズキ君？」<br><br>『もう、もうやめてよ！　お母さんはやっと、やっとなんの不安も無い場所にいれるようになったんだ！！　邪魔しないでよ！！』<br><br>「なっ、お前！　」<br><br>『ここには、ここには何もない。そうさ！！　怖い車も、悲しい出来事も、何もない所なんだ！！』<br>ジュンはその言葉に絶句した。<br><br>蒼星石達の説明で、老婆が一人息子を交通事故で失ったショックで眠り続けているという事は知っていたが、その眠り続けている原因が他にあったことにだ。<br><br>いや、正確に言えばその、眠り続ける原因の叫びが自分の心を掻き毟る音に、と言った方が正しいだろう。<br>「なんだよ、それ。そんなの、おかしいだろ。」<br>声が震えている。ジュンは目の前がグラグラと揺れ始めるのを感じながらも、言葉を紡ぎ続ける。<br>「お婆さんは、生きてるんだ。生きてるんだから、眠ってちゃ駄目なんだ。」<br><br>『どうして？　夢の中にはつらい事は一つも無いよ！　悲しむ事なんて一つも無いよ！！』<br><br>「それじゃ駄目だ。つらいことや、いやな事から、逃げて、安全な場所で、そんな場所で……。」<br>お前がその言葉を言うのか？<br><br>ジュンは自分の内から沸きあがったその自問に、怯えるように、恐怖するように、口を閉じる。<br><br>逃げては駄目だと言葉を紡ぐ自分こそが、逃げているではないか。<br><br>嫌な事、つらい事から逃げて、安全な場所に引きこもっているのは自分だって同じではないか。<br><br>ジュンの心を貫く自問はその声を大きくして、ジュンを攻める。<br><br>焦点がぼやけていく。目の前がチカチカして、足が震えて、ジュンは自分が立っているのか、座っているのかも分からなくなってしまった。<br><br>脳裏をよぎるのは引きこもる原因となった出来事。<br>『桜田って、あいつ、私立に行ったんじゃねえの？』<br><br>『それが落ちたらしいぜ。』<br>うるさい。<br>『桜田。先生は、お前の才能を素晴らしいと思う！！』<br>うるさい。<br>『あのドレスのデザイン書いたの桜田なんだって。』<br><br>『桜田ジュンって誰？　えっ男なの！？』<br>うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。<br>「は、ぁ。」<br>ジュンは息を吐き出すようにして声を漏らすと、怯えてその場にしゃがみ込んだ。<br>「ジュン？　どうしたのジュン！！」<br>ジュンの突然の変貌に真紅は慌てて、ジュンの名前を呼び、雛苺もジュンの名前を呼ぶ。<br><br>その様子を少し驚いた様子で見ていたカズキは囁く様にして、その言葉を投げかける。<br>『なんだ。君ももしかして、逃げたいの？』<br><br>「僕は、僕はぁ！！」<br><br>「そこまでにしておけ。」<br>ジュンとカズキのやりとりを静観していた雅也は仕方が無いという風に肩をすくませるとカスギの前に立った。<br><br>その鋭い視線を前に、カズキは怯えたように、そしてその怯えを隠すように雅也を睨みつける。<br>「つらい事や、悲しい事から逃げる事をまるで光栄な事のようにほざきおって、下らない奴だ。」<br>呆れたように雅也は溜息をつくと、言葉を続ける。<br>「つらく、悲しい事があるのは当然だ。つらく、かなしいからこそ、人は喜びや楽しさを知る事が出来るのだから。」<br><br>『そんな、そんなの！！』<br><br>「なかったとでも言うつもりか？　現実は楽しくなかったと。そんなはずはない。楽しかったからこそ、つらいという言葉の意味を知る事が出来るのだ。」<br>お前も、俺もと雅也は一度言葉を切ると、しゃがみこんだジュンを見下ろした。<br>「今というモノは変わり続ける。それはなぜか？　そこに生きるものが変わることを求めるからだ。この桜田ジュンもその例外ではないだろう。」<br><br>『嘘だ！　その人は、怯えてる。逃げたいって思ってるはずだ！！』<br><br>「それでも願っているはずだ。進みたいと、今を変えたいと。今を苦しいと、つらいと感じているならば、なおさら。それは、お前の母とて変わらない筈だ。」<br><br>『違う！　お母さんは、僕と、この世界で二人だけがいいって思ってるはずだよ！！』<br><br>「ほぅ。それは、お前もそう思っているのか？」<br><br>『当たり前だよ！！』<br>ニヤリ、と雅也は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。<br><br>それは正にすべてが自分の思惑通りに進んでいる事を確信した笑みであり、その笑みの意味を唯一知ることの出来る水銀燈は、終わりが近い事を理解した。<br>「では、お前の父はどうするのだ？」<br><br>『えっ？』<br><br>「お前を失い、妻を失いかけながらも、現実の中で足掻くお前の父はどうするのだ？」<br><br>『おとう、さん？』<br><br>「お前を求め、妻を求め、心を病んだ父は、お前達にしてみればいらないということか？」<br><br>『そんなことない！　そうだ。父さんも此処に！！』<br><br>「いい加減に、しろよ。」<br>それは、泣きそうな声だった。<br><br>いくらか気を整える事に成功したのか、しゃがみこんだままジュンが顔を上げる。<br>「お前だって、分かってるんだろう。」<br>お前はまだ、この少年に何か言える権利があると思っているのか？<br><br>自問がジュンの心を攻めるが、ジュンは搾り出すように言葉を続ける。<br><br>一度目を閉じて、呼吸を整え、目を開く。<br><br>権利なんて知らない。自分の事なんて知らない。<br><br>自分の事を棚において、それはいけない事なのかもしれないけど、でも、それで誰かの為になにかできるなら————<br>「なにが、一番いいかってことぐらい。」<br>————進めるかもしれないと漠然とジュンは思った。<br>「僕だって、つらい事から逃げたいと思う。そして、僕はその通りに逃げてる。でも、それじゃあ、駄目なんだって思う時がある。」<br><br>「ジュン。貴方……」<br>真紅の驚いた顔に、ジュンは微笑んで見せ、それを見た真紅は誇らしげに花のような笑顔を浮かべた。<br>「君は、本当に君が、君の両親の幸せを願うなら、それなら……。」<br>続きの言葉を口にする事は出来なかった。<br><br>なぜなら、そこから先を考え、決めなければならないのはカスギ自身だとジュンは思ったからだ。<br><br>そして、カスギはジュンの言葉に心を打たれたようにその頬に涙をこぼした。<br>『わかってたんだ。これがいけないってことは。でも、僕は……僕が、このままでいたいと思ったから。』<br>真っ白で、何も無い世界に色が宿り始める。<br><br>そして、白い世界が鮮やかな世界に変わっていく中心にその樹はあった。<br><br>弱り果てた、いかにも折れそうで、他の草のしがらみに絡められた樹が、そこにあった。<br>「翠星石！」<br><br>「わかってるですぅ！！」<br>翠星石と蒼星石は慌ててその樹に駆け寄る。<br>「レンピカ！」<br>蒼星石がその木に絡まる草を断ち切る巨大なハサミを取り出すと、たった一閃でその草を全て刈り取る。<br>「スィドリーム！」<br>翠星石もそのその掌に、夢の樹を元気付かせる事の出来る如雨露を取り出し、そして言葉を紡ぐ。<br>「私の如雨露を満たしておくれ。甘ぁいお水で満たしておくれ。」<br>如雨露の中に、光り輝く水が現れ、翠星石はそれを樹にふりかける。<br>「健やかにィ～のびやかにィ～緑の葉っぱをキラキラ広げて…！！」<br>蘇っていく樹を見つめながら、カズキは涙をこぼし続ける。<br>「ふぃ～、これで一安心ですぅ。」<br><br>「カズキ君。君は……。」<br>蒼星石と翠星石が雅也達の近くに戻ってきて、翠星石は疲れたと文句を呟き、蒼星石は心配そうにカズキを見る。<br><br>カズキはそんな蒼星石に泣きながら微笑みかけ、消えていく自分の掌を見つめた。<br>『僕の、我侭だったんだ。僕は、現実の世界にいなくて、そこに生きる父さんと母さんは僕を忘れちゃうんじゃないかって。だから。』<br><br>「下らない。」<br><br>『えっ？』<br><br>「お前が、父と母を覚えていながら死ぬのならば、お前の父と母は絶対にお前を忘れない。」<br><br>『そう、かな？』<br><br>「ああ。忘れるな。両親が父と母なのではない。父と母が両親なのだ。両親という括りで覚えるのではなく、父と母、別々に覚えておくのだ。」<br><br>『そうだね。そう、だよね。』<br>カズキの体の殆どは消えてしまい、もはや顔すらも消えようとしているカズキに雅也は微笑みかける。<br>「そうすれば、お前は、父と母の思い出の中で、輝き続け、生き続けるだろう。」<br>返事は無い。もうそこには、父と母に忘れないでと叫んでいた少年はいない。<br><br>鮮やかな世界に、色あせることなく、小さな写真立ての中で、親子三人で微笑む、そんな少年しか、この世界にはいない。<br>「思い出の中で生きる。クスクス。使い古されすぎて、面白くも何とも無い言葉を使うのね。雅也ぁ。」<br>水銀燈はからかうように、雅也の肩に座るとそう言って馬鹿にしたような笑みを浮かべた。<br>「水銀燈。貴方！」<br>真紅がその言葉に怒りをあらわにするも、その挑発を受けた雅也は気にした様子もなく、言葉をこぼす。<br>「使い古されるということは、その言葉が、何人もの人の心に響き続けた、最高の言葉という事だ。」<br><br>「雅也にかかればなんでも屁理屈で返されるから面白くないわ。そうおもわなぁい？　真紅ぅ。」<br><br>「屁理屈ではない。」<br>そのやりとりで、真紅は雅也と水銀燈のことを少しだけ理解する事が出来た。<br><br>じゃれているのだ。<br><br>あの水銀燈が、本気ではなく、冗談で先ほどの言葉を言って、雅也とじゃれついているのだ。<br>「もう、帰ろうぜ真紅。僕は疲れた。」<br><br>「え、ええ。そうね。」<br>ジュンは真紅を抱え、現実へと通じる穴に向けて飛び上がる。<br><br>帰るんだ、とジュンの心が言葉を漏らす。<br><br>逃げるにしても、進むにしても、全ては現実の世界で、動き続ける世界の中でやることにしよう。<br><br>自問の声はもう聞こえない。<br><br>今はただ、一歩でも進めたんじゃないかという漠然としたこの思いを、誰にも内緒で誇っていようとジュンはそう思った。<br><br>そう、思えた。<br><br>結論から言えば、眠り続けていた老婆は目覚め、心を病んでいた老人もそれにより心を取り戻した。<br><br>そして、今は桜田家の玄関にて、下記のやりとりが行われていた。<br>「嫌ですぅ！」<br><br>「翠星石。昨日あれだけ話したじゃないか。」<br><br>「納得できないですぅ。嫌ですぅ。蒼星石は翠星石と一緒にいるですぅ。ずっと、一緒ですぅ。」<br>蒼星石は泣きながら抱きついてくる翠星石をあやしながら、後ろに立つ雅也を見上げた。<br><br>雅也はいつもの如く無表情で、その腕に抱かれている水銀燈は目をあわせようともしない。<br>「翠星石は、蒼星石とずっと一緒にいたいと思ってました。蒼星石は違うですか？」<br><br>「ごめん。翠星石。僕は、そう思っていない。」<br><br>「そ、蒼星石！？」<br><br>「僕は僕で、君は君だ。同じじゃ、ないんだ。だから……。」<br><br>「嫌です。嫌ですぅ。」<br><br>「寂しい時は呼んで、絶対に会いに行くから。だから、翠星石。」<br><br>「じゃあ、ずっと寂しいって言い続けるです。呼び続けるです。」<br><br>「翠星石。どうしてわかってくれないの？　僕達も、進まなくちゃいけないんだ。」<br>蒼星石は目を閉じて、カズキに向かって雅也が発した言葉を思い出し、言い聞かせるようにして言葉を放つ。<br>「君も僕も、もう、一人で進んでいかなくちゃいけないんだ。」<br><br>「そう、せいせき。」<br><br>「お願いだ翠星石。わかってほしい。」<br>そう言って、蒼星石は被っている帽子を取ると翠星石に頭を下げた。<br><br>それに翠星石は慌てたように、周りを見渡し、そこに逃げ場が無い事を理解すると、俯いて、涙を我慢しながら口を開く。<br>「わからないけど、わかったですぅ。でも、遊びに来るですよ蒼星石。こなかったら押しかけてやるです。」<br><br>「うん。わかったよ。じゃあ、僕は行くね。」<br>そう言うと蒼星石は翠星石に背中を向けて、しゃがみこんだ雅也の腕に抱え込まれた。<br>「よろしくお願いします雅也さん。水銀燈。」<br><br>「歓迎しよう。」<br><br>「ふんっ。」<br>ジュン達は去っていく雅也達を少しの間眺めた後、自分達も同じように背を向けて家の中にはいった。<br><br>ジュンの腕の中には真紅と翠星石がいて、隣ののりの腕の中には雛苺がいる。<br><br>腕の中で泣き続ける翠星石を慰めながら、ジュンは真紅に話しかけた。<br>「あいつ、いい奴だったな。」<br><br>「そうね。」<br>その同意の返事に気をよくしたジュンは、泣き続ける翠星石に語りかける。<br><br>真紅はその様子を眺めながら、小さく、本当に小さな声で呟いた。<br>「そうだと、いいわね。」<br><br>それは、蒼星石の最初のアリスゲームが終わる時のお話。<br><br>蒼星石のマスターである金髪の女性は、飛来した戦争という暴力から逃れるために蒼星石達の前から去ってしばらくしてからの事である。<br><br>翠星石は既にトランクの中に入り、鏡からNのフィールドへと逃げ、蒼星石もそれに続こうとトランクに入ろうとした時に、その青年は店に入ってきた。<br><br>片腕は無く、血は彼の足跡を示すように流れ続けている。<br><br>彼はもはや目が見えないのか、探るようにして店の中を歩いてきて、いつも蒼星石がマスターと喋るときに座っていた場所でなにかを探していた。<br><br>そして、数秒その場所に手を這わせ、そこになにもないことを確認すると安心したように笑みを浮かべた。<br>「レイナは、動く人形がいるといっていたが、本当だったのだな。」<br><br>「——！！」<br>蒼星石はその言葉に声を失った。<br><br>なぜなら、その言葉が意味するのは、その青年は死にかけの身で、自分達を助けに来てくれたという事なのだから。<br><br>蒼星石の脳裏に自分の心無い書置きに泣きそうな顔をした青年の顔がよぎる。<br><br>だから、<br>「あの……。」<br>気がつけば声をかけていた。蒼星石のマスターの店は燃えていて、早く外に出なければ命は無い。<br><br>そしてそれは蒼星石も例外ではないのに、声をかけていた。<br>「……ほぅ。これが、人形の声か。」<br>そう言うと青年はその場に、力尽きたように座り込んだ。<br>「すいま、せんでした。僕、あんな書置きをして。」<br><br>「そう、か。アレはお前が書いたものだったのか。マスターの幸福を願うお前にして見れば許せなかったのだろうな。」<br><br>「ごめんなさい。」<br>火は燃え続けている。煙は黒々と室内を満たしていく。<br>「気にするな。誰かに、自分の弱さを見せたいとも思っていた。」<br><br>「……。」<br><br>「それより、早く逃げろ。お前がここで、朽ち果ててしまっては、お前を、いや、お前達を救おうとここに入ろうとしていたレイナに申し訳ない。」<br><br>「貴方は……。」<br><br>「俺は、もうもたない。レイナとの別れも済ませたし、未練は無い。故に、お前は俺の事を気にせず、早く逃げろ。」<br><br>「でも、貴方は僕達の為に！」<br><br>「俺にとって、死は終わりではない。だから、お前が長い時を生きるのであればまた会えるだろう。」<br><br>「最後に、貴方の名前を教えてください。」<br><br>「俺の名前？　レイナから聞いていなかったのか？」<br>そこまで言うと、青年はまるで最後の言葉を放つ準備をするように息を吐いた。<br>「俺の今の名はアルカード。アルカード・ブラッドレイだ。次の人生を生きる俺にこの名で呼びかけろ。応えれば、それが俺だ。」<br><br>「アルカード。」<br><br>「どうやら、別れは俺の方かららしい。動く人形よ。ちゃんと逃げるんだぞ。わかったな。」<br><br>「はい。」<br><br>「ふむ。これで、安心だ。では、またな。」<br>最後まで、青年は蒼星石を心配して、死んでいった。<br><br>これは、それだけのお話。蒼星石の経験した別れの一つに過ぎないお話。<br><br>けれど、蒼星石にとっては『そんな』ではないお話。<br><br>いつか出会う、蒼星石にとって大切な人とのお話。<br>
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<link>https://ameblo.jp/miyabi0518/entry-11198616710.html</link>
<pubDate>Tue, 20 Mar 2012 20:54:00 +0900</pubDate>
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<title>壊れた生活7</title>
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<![CDATA[ 蒼星石は悲しみの感情とそれに混ざるようにして強く存在する辟易とした気持ちで自分のマスターを抱きしめる少し小太りの男を見ていた。<br><br>やがて、その男はマスターの悲しみを押し隠した仮面のような笑顔に口付けを交わすのだろう。<br><br>やがて、マスターは愛してもいない男にその唇を許すのだろう。<br><br>憎い、という思いよりも、悲しい、という思いだけが蒼星石の心を締め上げる。<br><br>満面の笑みで祝福しているマスターの病弱な両親に言ってやりたい。<br><br>貴方達の医療費を払うためにマスターは好きでもない金持ちの男と結婚しなくてはならないのだと。<br><br>小太りの男に言ってやりたい。<br><br>金でマスターを買おうとするものが、マスターの心を求めるなと。<br><br>教会の椅子の最前列、マスターの両親の隣に置かれた蒼星石は瞳をそらすことなく、その悪夢を見つめ続ける。<br><br>その隣に座った蒼星石の姉である翠星石は、泣きそうな顔でその光景を見ている。<br><br>何も出来ない。何もしてはいけない。ただの人形のように、見つめる事しか出来ない。<br>「やめなさいよ！！　あんた、そんな奴の事なんて愛していないんでしょ！！　あいつの事が好きなんでしょ！！」<br>突然、マスターの友人である女性が耐えられないとばかりに立ち上がり、叫んだ。<br><br>場は一瞬であるが騒然となり、だかしかしすぐにその騒乱は鎮められる。<br>「何を言っているの？　私は、この人を……愛しているわ。」<br>その声は震えていて、そして鐘が鳴った。<br><br><br><br>「というわけで、僕はカズキ君のお友達なんですよ。」<br><br>「そうだったのかい。悪いね。ちょっと待っててくれるかい。」<br>その様子を水銀燈はまるで恐ろしいものを見るように眺めていた。<br><br>視線の先にあるのは、その年代に相応しい無邪気な笑顔とそれとは不釣合いな混濁した色を見せる瞳。<br><br>水銀燈と雅也は昨晩不法侵入した蒼星石を引き寄せた老人の下に休日の昼間から堂々と乗り込んでいた。<br><br>と、いうのもどうやって老婆を眠りから覚まさせるかを家に帰った後に水銀燈がぶつぶつ文句を言いながらも考え出した方法のためだ。<br><br>そして、その方法には蒼星石が必要であり、その蒼星石を老人の所から合法的に引っ張り出すにはどうしたらいいかと考えた際に<br>「俺に任せておけ。」<br>という雅也の言葉に頷き、ここまできたのだがまさかこのような手に出るとは水銀燈は思っていなかった。<br><br>つまりは普段の雅也を知る者からすれば目を疑うような光景。<br><br>媚びる様な笑顔と、本来持つはずの少年としての口調。<br>「どうだ。上手くいっただろう。」<br>だが、その老人を完全に騙しきった少年の笑顔もすぐに、いつもの不敵な笑みへと戻る。<br><br>水銀燈はその雅也の言葉に律儀に答えるのも癪なので、ぷいっと顔をそらす。<br><br>だが、顔をそらした先には雅也の胸板がある。<br><br>そこで水銀燈は、自分が今、雅也に抱っこされている状態である事を思い出し、頬を赤く染めた。<br><br>誰かにこのように抱えられるなど水銀燈の長い時の中で、生まれて初めてのことである。<br><br>温かくて、安心できて、気を抜けば寝てしまいそうになるくらいで、水銀燈はそっと雅也の胸板にもたれかかる。<br><br>その鼓動は緩やかに刻まれ、そのリズムは水銀燈の心を包み込んでいく。<br>「ねぇ、すぐ……」<br><br>「お待たせしました。雅也さん。」<br>その聞きなれた声に水銀燈は瞬時に我に返ると、自分の仲に渦巻いていた甘い何かを取り払った。<br>「それじゃあ、カズキ。私は仕事をしているから、カズキは友達と遊んでおいで。————車にはくれぐれも気をつけるんだよ。」<br><br>「はい。マス……おじいさん。」<br>蒼星石は老人にそう言って微笑みかけると、その微笑とはまた別の意味を持つ微笑を浮かべて雅也を見上げた。<br><br>その視線に水銀燈はなぜかドロリとした熱い何かが自分の仲で湧き上がるような錯覚を覚えた。<br>「では、行くか。」<br>雅也は蒼星石の手を掴み、促すように老人の営む時計店から外に出る。<br><br>休日の昼間といえども、人通りはそれほど多くはないが、人形が歩いていては大騒ぎなるのは避けられない。<br><br>雅也は身を屈めると空いている腕で蒼星石を救い上げるようにして抱え上げた。<br>「なにあれ？」<br>近くを通りかかった女性が両手に見事な人形を抱え込んだ雅也を見て、そう感想を漏らす。<br><br>だが、雅也はそんなことを気にするような奴ではないし、水銀燈にしてみても同じ事である。<br>「あ、あの雅也さん。僕、トランクに入ったほうが……」<br>故に必然的にそういう視線を気にするのは三人の中での唯一の常識人である蒼星石だけである。<br><br>その心配そうな蒼星石の視線に雅也は笑みを浮かべると<br>「別に気にする事は無い。」<br>当然のようにその意見を切り伏せた。<br><br>もしここでそれに頷き、蒼星石をトランクに入れてしまえば、それなら私もと水銀燈もトランクに入ってしまうかもしれない。<br><br>ほんの少し触れられるだけでも怒る水銀燈を抱き抱えるチャンスなどはそう多くは無い。<br><br>雅也は自分の下した判断に間違いが無い事を確認すると、目的地へと向けて歩き出したのだった。<br><br>「ジュン君—。お客さんよぉ～～！！」<br>その声が桜田ジュンの耳に届いたのは太陽が真上にさしかかろうとした時刻の事だった。<br><br>ジュンは姉であるノリの心なしか明るい響きに怪訝そうに首をかしげながら立ち上がった。<br><br>桜田ジュンに対してお客としてこの家に来る人物など限られている。<br><br>いや、一人しかいない。<br><br>ジュンのローゼンメイデンである真紅の下僕となった雛苺の元マスター柏葉巴である。<br>「ったく、わざわざ僕を呼ぶなよなぁ。」<br>そうぼやきながら一階へと続く階段を下りて、玄関口で構成された亜空間へとその身を投げ入れた。<br><br>玄関には姉のノリと真紅、そして最近押しかけてきた翠星石というローゼンメイデン。<br><br>雛苺は怯えるようにして真紅の背中に隠れている。<br><br>それに対峙するようにしているのは、少し前に意味不明な言葉を投げかけてきた少年とジュンの知らない二体の人形。<br>「貴方がこんなにも正直にやってくるとは思わなかったわ。」<br><br>「思わなかったぁ？　考えられなかっただけでしょぉ。真紅は相変わらずのお馬鹿さんねぇ。」<br><br>「蒼星石！！　どうして水銀燈なんかと一緒にいやがるんですか！？」<br><br>「————翠星石。」<br><br>「あがらしてもらっても構わないか？」<br><br>「え、ええ。別にいいけどぉ、あっそれならお茶を入れるわね。」<br>帰りたい、ジュンは心の底からそう思った。自室に引き返して、布団にもぐりこみ眠ってしまいたいと。<br><br>だがそれを許さない視線が合った。それは雅也のものだ。<br><br>ニヤリと雅也はジュンに向けて不適に笑い、ジュンは外見からは想像できないその邪悪さにぞくりと恐怖を感じるのであった。<br><br>そして、いつまでも玄関で言い合いをするわけにもいかず、それぞれが桜田家のリビングに腰を下ろす。<br><br>真紅は警戒するように水銀燈を睨みつけ、水銀燈はその視線を鼻で笑って受け流す。<br><br>翠星石は歯がゆそうに蒼星石を見つめ、蒼星石はそんな翠星石の視線に怯えるように顔を背けた。<br><br>雛苺はノリのお手伝いと称して逃げている。<br>「さて、いつまでも見詰め合っているわけにもいくまい。」<br><br>「そうね。用件は早く済ましてしまうに越した事は無いわ。」<br>雅也が水銀燈にそう言葉を放ち、水銀燈もそれに普通に従った。<br><br>そして、その様子を真紅は顔には出さなかったが、驚きの感情と共に受け止めた。<br><br>だがそれは仕方の無い事だろう。水銀燈が、誰かの言葉に素直に頷くなど真紅には考えられなかった。<br><br>いや、よーく見れば水銀燈と雅也は手をつないで座っている。<br><br>水銀燈はどうにかしてその手を解こうとしているのだが、雅也は巧みにそれをさばき、手をつなぎ続けている。<br>「翠星石。今回は貴方に用があるのよぉ。」<br><br>「な、なんですか！　ローザミスティカを渡せとか言うふざけた内容だったらおとといきやがれですぅ！！」<br><br>「翠星石。まずは話を聞いてみようよ。」<br><br>「うぅ、どうして蒼星石はそんな人間の隣に座るですか？　私の隣が空いているですから、こっちに座るです！」<br>翠星石のその言葉に、蒼星石は拒絶するように雅也へと擦り寄った。<br><br>きゅっ、と雅也の服を掴み、視線で水銀燈に先を促す。<br><br>水銀燈はその光景に再び暗いなにかを感じるものの、無意識のうちに自分も雅也に身を寄せてから口を開いた。<br>「翠星石。」<br><br>「な、なんですか水銀燈。」<br><br>「今日、貴方に用件があるのは私なの。こっちを向きなさい。」<br>その言葉には温かさというものは無く、ただそう命じるのが当然のような響きが含まれていた。<br><br>だがそれも当然といえば当然のことなのかもしれない。<br><br>ローゼンメイデンが作った七体の人形の中で、一番最初に作られたのは水銀燈である。<br><br>いってしまえば、水銀燈がローゼンメイデンの姉妹において長女という位置に存在するのだ。<br>「貴方の力をねぇ、貸して欲しいのよ。」<br><br>「こ、断るです！　な、なんで私がお前みたいな薄気味悪い奴に力を貸さなきゃ駄目なんですか？」<br><br>「そんなに怒らないでよぉ。妹と違って子供みたいなんだから。」<br><br>「うるさいですぅ！！」<br><br>「これは貴方のためでもあるのよ。貴方の妹の蒼星石の為でもね。」<br><br>「それはどういうことなの？　説明しなさい水銀燈。」<br>水銀燈と翠星石の言葉のやり取りに煩わしさを感じたのか、真紅が二人のやり取りに介入する。<br><br>それに対して、相変わらずのでしゃばりね、と水銀燈は感想を漏らしながらも事の本題を口にした。<br>「眠っている老婆。それを助けるためには貴方の力が必要なのよ。この意味、わかるでしょぉ？」<br><br>「な、なにもなかったです！　おばばの夢の中は真っ白で、あれでは死んでるのとおんなじですぅ！！」<br><br>「翠星石！！　お婆さんは死んでなんかいない！！」<br><br>「あぅっ。蒼星石。わ、私は死んでるのと同じっていっただけです。死んでるなんていってないですぅ。」<br>蒼星石の怒りの言葉に、翠星石は瞳に涙を浮かべながらも座っていたソファーから立ち上がって怒鳴り返す。<br>「落ち着きなさい翠星石。で、貴方が誰かを助けようなんて、どういう風の吹き回し？」<br><br>「あらぁ、妹が困っているみたいだから手伝ってあげようというただの姉心よぉ。人の親切心を疑うなんて、最低ねぇ真紅。」<br><br>「黙りなさい。私が、貴方の言葉を信じるなんて思って？」<br><br>「お馬鹿ねぇ、真紅。貴方に信じてもらわなくたっていいのよ。私はただ、翠星石の力を借りたいだけ。それに貴方の許可は要らないわ。」<br><br>「そう。そうね。で、翠星石。貴方はどうするの？」<br>水銀燈の冷たい視線と、真紅の威圧的な視線が同時に翠星石へと向けられる。<br><br>翠星石はそれにたじろぐようにして後ずさり、逃げようとしたが蒼星石の視線でその動きを止められた。<br>「わ、私は……。」<br>助けを求めるように翠星石は視線を巡らせるが、誰も助けをよこせるものなどいなかった。<br><br>雛苺は怯えた姿でジュンにすがり付いているし、そのジュンも場の雰囲気に言葉を挟めないのか沈黙を保っている。<br><br>ジュンの姉のノリは、それぞれにお茶を配ってすぐに部活のために家を出ている。<br>「貴方も、蒼星石を今のままにしておきたくは無いでしょぉ。なら、答えはわかるわよねぇ。」<br><br>「っ！！」<br><br>「……翠星石。僕は……」<br>水銀燈の明らかな挑発と蒼星石のすがるような瞳を向けられ、翠星石は苦し紛れにその禁忌を口にした。<br>「う、うるさいですぅ！！　わかったです。おばばを助けるのに協力するです。でも、それは蒼星石の為です。水銀燈！！　お前みたいなジャンクに力を貸すわけではないです！！」<br><br>「ジャンク、ですって？」<br><br>「そうです！　知ってるですよ！　お前には胴体部のパーツがないです。お父様が作ったローゼンメイデンのドールの中で、お前だけが最後まで完成させてもらえなかったです！！」<br><br>「黙りなさい翠星石。」<br><br>「言い過ぎだよ翠星石。」<br>翠星石の言葉に、真紅と蒼星石が嗜めるように待ったをかけるが、翠星石はその性格ゆえに一度口にした事を引っ込める事など出来なかった。<br><br>故に、水銀燈の様子にも気づかずにその禁忌を言い続ける。<br>「蒼星石の姉はこの翠星石ですぅ。出来損ないのお前なんか、姉でも、姉妹でもないですぅ！　調子にのるなですぅ！！」<br><br>「————言ったわね翠星石。私は、ジャンクなんかじゃ、ないわ。」<br>そこでようやく、翠星石は水銀燈を完全に怒らせた事に気がついた。<br><br>今までの挑発するような感じは完全に消え、ただ鋭利な殺気を放つ存在がゆっくりとその漆黒の翼を広げる。<br>「お、おいっ！　こんな所で暴れる気かよ！！」<br>場の雰囲気を納めようとジュンが慌てて口を開くが、水銀燈の殺意の篭もった視線で黙り込む。<br><br>そして、水銀燈は翠星石の殺意を向けながらも、ちらりと雅也に視線を向け、そこにあるいつもと変わらぬ表情に恐怖した。<br><br>水銀燈は怖かった。翠星石が己の体のことを言い出した瞬間、得体も知れない恐怖とジャンク呼ばわりされたという怒りで一瞬、頭の中が真っ白になってしまった。<br><br>雅也にばれた。自分がジャンクだという理由が、一番知られたくない人にばれてしまった。<br><br>悲しさと、怒りとが体の中を駆け巡り、水銀燈は翠星石を殺す事を決意する。<br><br>だが、<br>「少し落ち着け。」<br>という言葉と共に、次の瞬間には水銀燈は雅也に抱きしめられていた。<br><br>その手が確かめるようにして存在しない胴体部をなでる。水銀燈は泣きたくなるような、悲しい感情に顔を伏せ、歯を食いしばった。<br>「なるほどな。だが、そう怒る事でもあるまい。」<br>その言葉に水銀燈は弾かれるようにして顔を上げる。<br>「怒る事でもない？　何を言ってるのよ雅也。貴方も、他の馬鹿な人間みたいに私にこういうの。欠けていたとしても、私は私だから関係ないって？」<br>それは水銀燈のはじめてのミーディアムの言葉だった。<br><br>白々しい、自分よりも醜い、弱いもの投げかける嘲笑の言葉だった。<br>「そう怒るな。いや、そもそも俺はなぜお前が怒っているのかわからない。」<br><br>「わからない、ですって！！」<br>水銀燈は噛み付くように声を上げると、雅也を悲しみの篭もった憎しみの目でにらみつけた。<br><br>雅也はそれを視線をそらすことなく受け止めると、まるでなんでもないことのように告げた。<br>「欠けているからこそ、完全でないからこそ、お前は完全(アリス)を目指すのだろう？」<br><br>「あっ。」<br>水銀燈は自分の体から力が抜けていくのを感じた。<br><br>張り詰めていたものが、そんな一言で緩められていく。<br><br>思えば当然のことではないか。自分は欠けている。そうだ。確かに自分は完全ではない。だが、それがなんだというのだ？<br><br>自分には初めから用意されている。完全へと至る道が、アリスゲームという自分を完全へと導く道が。<br><br>誰も言葉を発しなかった。いや、発する事が出来なかった。<br><br>ローゼンメイデンの他の姉妹は気づいたのだ。そして、水銀燈も気づいていた。<br><br>他の姉妹に与えられず、水銀燈にだけ与えられたモノ。<br><br>具体的な理由をもって存在する戦う理由。それこそが唯一、水銀燈にだけ与えられているモノ。<br>「だからこそ、お前は戦うのだろう。」<br><br>「え、あっ、うぅ。わ、私は……。」<br>嬉しいと心が吼えていた。涙がこぼれそうになるくらい、水銀燈は嬉しくて、その思いを言葉にする事が出来なかった。<br><br>ぽろぽろと水銀燈の瞳から涙がこぼれ、それを隠すように水銀燈は雅也に抱きついて、顔を隠した。<br><br>初めから、そう出会った時から、雅也は水銀燈を水銀燈のままに見てきた。<br><br>壊れているや、人形だとか、そういうものを超越して水銀燈という存在を見ていた。<br><br>だからこそ言えるのだ。欠けたままでいいとは言わない。欠けているからこそお前などとは言わない。<br><br>欠けているのならば埋めればいいと、水銀燈が一番欲しかった言葉をだからこそ雅也は口にする事が出来たのだ。<br>「……水銀燈は、どうやら今は喋れる様子ではないらしい。しかし、用件を伝え、それに対する快い返答も貰った。だから、今日は帰らしてもらう。」<br><br>「あ、ああ。勝手にしろよ。」<br>ジュンの言葉に雅也は頷くと立ち上がり、そして蒼星石の頭を優しく撫でた。<br>「ま、雅也さん？」<br><br>「これで、お前の悩みも消えうせるだろう。悪いが、帰りは一人で帰れるか？」<br><br>「は、はい。Nのフィールドを使えば大丈夫です。」<br><br>「翠星石。」<br><br>「な、なんですか。」<br><br>「約束をたがえることなく、蒼星石を助けてやれ。」<br><br>「お、お前なんかに言われなくても分かってるですぅ！　とっとと、水銀燈を連れて帰りやがれです！！」<br><br>「————翠星石。貴様のその性格、いずれ貴様自身を滅ぼすぞ。」<br><br>「ぴぃっ！！」<br>翠星石は余りの恐怖に可笑しな奇声をあげて硬直した。<br><br>十七の人生を生きた雅也の時間の大半が、生々しい戦場での時である。<br><br>故に、そんな男が向けられる本当の殺意というものは、先ほどの水銀燈のそれとは比べ物にならないほどに死を予感させる。<br>「わかったな。」<br><br>「わ、わわわわわ、わかったですぅ。改めるですぅ。」<br><br>「そうか。では、またな。」<br>そう言うと、雅也は己が纏っていた殺気を消し、軽く翠星石の頭を撫でて出て行った。<br>「あれが、水銀燈のマスターなのね。」<br>最後に、真紅がぽつりと感情の篭もらぬ声でそう呟いた。<br><br>あとがき<br><br>お久しぶりです。作者の鬼光死です<br><br>色々と忙しくて更新できませんでした。<br><br>今回はどうでしたか？<br><br>ではでは、次の更新をお待ちくださいませ(^-^ゞ<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/miyabi0518/entry-11197326888.html</link>
<pubDate>Mon, 19 Mar 2012 21:53:00 +0900</pubDate>
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<title>壊れた生活6</title>
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<![CDATA[ 「ここは、どこ？」水銀燈は見たことも無い風景を目の前にして戸惑うようにしてそう呟いた。燃え盛る炎、巻き上がる砂煙、聞こえてくる雷鳴にも似た爆発音。<br><br>どれもが水銀燈の記憶には無い完全なる現実感を持ってそこに存在している。<br><br>それらを眺め、水銀燈はなぜここにいるのかと、眠る為にトランクに入る前の出来事を思い出す。<br><br>もう何度目になるのか分からない就寝前の雅也との攻防に勝利し、自分は安心して眠りについたはずだ。<br>「メイメイ」<br>己の人工精霊の名を呼ぶが、いつもであるならばすぐに現れるはずの精霊は、現れることなく沈黙をもたらす。<br><br>水銀燈は瞬時にそこから考えられる可能性を推測し、一つの答えとたどり着く。<br><br>己の夢の空間であるのならば、精霊であるメイメイは容易く呼び出しに応える事が出来る。<br><br>それが出来ない、そして自分の記憶にも無い場所。そこから導き出される応えは一つ。<br>「雅也の夢に、引っ張られた？」<br>ミーディアムとドールの繋がりは、力の供給だけの繋がりではない。二人の繋がりは、それこそ概念空間ともいえる記憶の領海を介して繋がっている。<br><br>簡単に言えば心と心が繋がっているようなものだ。故に、水銀燈はミーディアムである雅也の夢にその繋がりを通して引きずり込まれたのだろう。<br><br>そこまで考え、その考えに水銀燈は納得すると、次に主役を探した。<br><br>即ち、この夢を見ている雅也の姿を。<br>「あれは……」<br>視界にその二人の姿を捉えた。一人は輝かしいはずの金髪を汚し、泣きじゃくっている女性。<br><br>そして、もう一人は片腕を失い、そこから大量の血を流しながらもその顔に感情を浮かべていない青年。<br><br>水銀燈は直感的にそれが雅也であることを理解した。<br><br>好奇心か、それとも別の何かか、水銀燈は二人に近づき、二人のやり取りに耳を済ませた。<br>「早く、逃げろ。俺はもう、もたない」<br><br>「いやよ！　どうして、どうしてなのよ！？　私は、私は貴方を裏切ったのに、どうして！」<br>女性は錯乱しているのか、しきりに首を横に降り、無表情な青年の前で泣き叫んでいる。<br>「下らない」<br><br>「えっ？」<br><br>「守りたいと思うものがあり、守れる力が俺にあった。ならば、この結果は享受すべきものだ」<br><br>「そんな、そんなの！？」<br><br>「さて、ここでこんな不毛なやり取りをするのにも飽きた。次の人生に生きるとしよう。」<br>そういうと青年は目を瞑る。力尽きたわけでもない、絶望しているわけでもない。安らかであり、故に満ちたりた顔で青年はその生涯を終える。<br><br>そして、その青年の物語は一度幕を閉じ、そして次に幕があけるまで青年にとっては一瞬であり、そして他者にとっては長い眠りが始まる。<br><br>水銀燈はそれらを見終え、そして湧き上がる不快感に身を振るわせた。<br><br>これは夢、現実ではなく、目覚めれば消える幻に過ぎない。その筈なのに、その青年が死んだという事が心を抉る。<br><br>湧き上がる不快感は出口を求め荒れ狂い、そして、零れ出る。<br>「いやよ！！」<br><br>「なにがだ？」<br><br>「えっ？」<br>気がつけば半ばトランクを無理やり開いたように水銀燈は立ち上がっていた。<br><br>息が荒く、無意識のうちに怯えるようにして雅也の方に視線を向け、彼が不思議そうに自分を見ている事に安堵した。<br><br><br><br>「ねぇマスター。」<br>それは、古い古い、蒼星石と呼ばれるローゼンメイデンがこの世に生まれ、そして初めて体験したアリスゲームの時のお話。<br><br>ローゼンメイデンの姉妹人形達は自分達が戦わなくてはならないという宿命を知りつつ、それを初めて体験し、戸惑いを感じていた頃のお話。<br>「なぁに？　蒼星石？」<br>蒼星石の初めてのミーディアムは輝かしい金髪を笑顔が似合う少女から大人の女性へと変わろうとしている女の人だった。<br><br>彼女は蒼星石のことをありのまま理解し、その上で受け入れ、幾度かのアリスゲームの戦いを乗り越えてきた。<br><br>そんな彼女に蒼星石は戦うたびに膨れ上がるある一つの悩みを打ち明ける事にした。<br><br>いや、誰かに話さなければその重みに潰されてしまいそうだった。<br>「聞いてもらいたい事があるんですけど」<br><br>「あら、それは翠星石には聞かせたくない話？」<br><br>「いえ、聞いたんですけど……」<br><br>「貴方が納得できるような答えじゃなかったのね。じゃあ、話してみて。私の答えで貴方が納得できるかは分からないけど」<br>優しげな彼女の微笑みに、蒼星石も微笑を返すと、いくらか緊張を解いてその悩みを口にした。<br>「僕らの戦いは、一体なんなんでしょう？」<br><br>「アリスゲームのこと？」<br><br>「はい。アリスゲームがお父様の求める完璧な乙女であるアリスに僕らがたどり着くためのものだとは分かっています。でも、その為に実の姉妹と戦うなんて！！」<br>大好きな父を疑うわけではなかった。だが、大好きな父に問うてはみたいと戦うたびに思っていた。<br><br>どうして、戦わせるのですか？　今の私達では駄目なのですか？　どうして、私達を仲良くさせたのですか？<br><br>生まれた時から決まっていた宿命。定められた果てへとたどり着く道。<br>「宿命なんだと。お父様の為なんだと。なんど、そう自分に言い聞かせても僕は！！」<br>すっと、蒼星石の被っていた帽子は彼女の手によって外され、その代わりのように暖かな手が蒼星石の頭部を撫でた。<br>「優しいのね蒼星石は。そして、ごめんなさい。私には、貴方に言ってあげられる言葉はないわ」<br><br>「……」<br><br>「だって、それは貴方達姉妹が出さなくてはならない答えだと思うの」<br><br>「僕達姉妹が？」<br>そんな時、カランッと彼女の親が経営する店の扉が開く音がして、蒼星石は慌てて普通の人形のように動くのをやめた。<br><br>彼女はそれを確認すると、一度頷いて、入ってきた客に視線を向けた。<br>「あら、いらっしゃい」<br><br>「頼まれ事だ。友人に、この手紙を貴方に渡してくれと頼まれた」<br>入ってきた男は、軍服に身を包んだ無表情の男性だった。その瞳は彼女を写しているはずなのに、誰も写していないかのように黒く濁っている。<br><br>彼女もそれに気がついたのか、少し寂しそうな顔に変わる。だが、男性はそれを気にすることなく、彼女の手に頼まれた手紙を渡した。<br><br>彼女はそれを受け取り、さっと目を通す。<br>「麗しの姫君ですって？　貴方の目にも私はそううつっている？」<br><br>「好きに解釈するといい。で、返事は？」<br><br>「ふふっいつも答えてくれないのね。まぁいいわ。答えはいつもと同じよ」<br><br>「そうか。ならば用は済んだ。邪魔をした」<br><br>「あっ、ちょっと待って！　貴方に聞いてみたい事があるの」<br><br>「なんだ？」<br>そこで彼女は蒼星石の方にちらりと視線を向けると、再び青年に視線を戻し、告げた。<br>「宿命で、貴方が自分の親しい人と戦わなくてはならなくなったら貴方ならどうする？」<br><br>「宿命でか？」<br><br>「宿命でよ」<br><br>「下らない」<br>その次にその青年が言った言葉は、この後、ずっと蒼星石の記憶に刻み込まれる事となる。<br><br>蒼星石が悩んでいる事を下らないと切り伏せたその青年は、<br>「戦う。ということは、自分に戦う理由があるから戦うのだ。宿命などというものは戦う理由にはならん。いや、理由を宿命と名づけるものも中にはいるがな」<br><br>「じゃあ、貴方は自分に戦う理由が無ければ戦わないという事？」<br><br>「挑んでくるのなら、戦う。己を守るために。挑んでこないのであれば放っておく。戦う理由が無いからな」<br>まるで、演劇の脚本のセリフを棒読みで読むように抑揚の無い口調でそう言うと、<br>「では、またくる」<br>と告げて去っていった。<br><br>青年は知らない。それが蒼星石の悩みを解き、彼女のスタンスまでをも確立させる言葉になったという事を。<br><br>これはそんな、蒼星石の古い古いお話。<br><br>「ゆ、め？」<br>蒼星石はその目を開き、自分の今の状況を確認した。古い畳の上で、まるで死人のように眠っている老婆の姿がまず目に入る。<br><br>それから視線を巡らしていき、本来ならその中で眠るはずの自分のトランク、仲睦まじい家族の写真。<br><br>そこまで見て、蒼星石は自分の体に巻かれた赤色のロープに視線を向けた。<br><br>今回、蒼星石のミーディアムとなった人間は精神を病んだ老人であった。<br><br>事故で息子を失い、妻もそれ以来眠り続け、そこから生じる孤独ゆえに精神を病んでしまったのだ。<br>「今日も、探さなくちゃ」<br>いつも一緒にいた姉の翠星石はそんな老人に見切りをつけて去ってしまった。<br><br>老人を助けるには、老婆の夢に入り、老婆の根本ともいえる木を探し、その木をなんとかしなくてはいけないのだが<br>「真っ白で、いくら探しても見つからない」<br>こんなことならば、姉の翠星石に自分の考えを話し、協力してもらえばよかったという考えがよぎるが<br>「ううん。これは、僕が勝手に思ったことだから」<br>そう言って、誰かに助けを求めるという考えを蒼星石は切り捨て、再び眠り続ける老婆に視線を向ける。<br><br>だが、その視線はすぐに室内の化粧台へとそそがれることとなる。<br>「あら、起きていたのね蒼星石。」<br><br>「っ、水銀燈！！」<br><br>「そう、警戒しないでよぉ。今日は貴方と戦いに来たわけじゃないわ。」<br>姉妹達の中でも一番好戦的な筈の水銀燈の言葉が信じられるはずも無く、蒼星石はその警戒を緩めない。<br><br>水銀燈はそんな蒼星石をつまらなそうに眺め、馬鹿にしたように微笑んで見せた。<br>「アリスゲームが目的じゃないとしたら、君は何をしに来たんだい？」<br><br>「それは、俺が話そう。」<br>どくんっ、と蒼星石のローザミスティカが揺れ動いたような錯覚が生じた。<br><br>鏡から一人の少年が現れ、水銀燈の隣に並ぶようにして立ち、その視線を蒼星石に向けた。<br><br>夢にでてきた青年ではない。体つきも、容姿も、いや、そもそもあの青年と再び会うなんてありえない。<br><br>なのに、その口調が、感情を宿さないその顔が、そしてなによりその瞳が、蒼星石の心を強く揺さぶる。<br>「あ、貴方は？」<br><br>蒼星石は、僅かにつまらなそうな感情を見せた少年を前にして上手く考える事が出来ないのを感じていた。<br><br>水銀燈はそんな蒼星石に怪訝な視線を向けるものの、隣に立つ雅也に今日訪れた意味を言うように促した。<br><br>雅也はそんな水銀燈に頷いて見せると、蒼星石と視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。<br>「はじめまして、だな蒼星石。俺は水銀燈のミーディアムである中澤雅也だ。」<br><br>「あっ、はい。はじめまして、蒼星石です。」<br><br>「うむ。で、今回俺とまいすいーとの水銀燈がきた理由だが、君に一つ提案があってやってきた」<br><br>「提案。ですか？」<br><br>「ああ。俺達と組まないか？」<br><br>「組む？　仲間になれってことですか？」<br>そう言って、蒼星石は困惑した瞳を水銀燈に向ける。<br><br>蒼星石にしてみれば、水銀燈が誰かと組むなどという事は考えられない事だからだ。<br>「お馬鹿な真紅が、アリスゲームである雛苺のローザミスティカを奪わないでなぜか下僕にしちゃったのよ。それに加えて、貴方のお姉さんの翠星石までも真紅の所に行っちゃって。まぁ、弱い者がいくら集まろうが構わないんだけど、雅也が」<br><br>「弱者は単体ゆえに弱者なのだ。群れればそれは弱者ではない。と、俺は思っている。故に、こちらも君を引き込みたいのだ」<br>そこまで聞いて、蒼星石は首を横に降り、二人に拒絶の意思を告げた。<br>「ほら、雅也。だから無駄な事はしたくないっていったじゃない」<br><br>「理由を、聞かせてくれるか？」<br><br>「……第一に、僕は水銀燈と貴方を信頼できません。第二に、僕はマスターをほっとけませんから」<br><br>「第一の理由は理解した。だが、第二の理由は……」<br>あっと、短く蒼星石は声を上げた。呆れたように少し肩をすくめて見せるその仕草は、夢の中の彼と同じ仕草であった。<br><br>感情を感じさせなかった彼が唯一見せた感情の動きゆえに、蒼星石は鮮明にその仕草を覚えている。<br>「下らない。が、今回はそれを使用させてもらおう」<br><br>「え、ぁ」<br><br>「君のマスターを救う事に協力しよう。それを見て、俺と水銀燈が信頼できるかを判断してもらいたい。」<br><br>「ちょっと、雅也！？」<br><br>「返答は？」<br><br>「あ、はい。わかりました。」<br>気がつけば蒼星石は頷いていた。それに対し、雅也は満足したように笑みを見せると水銀燈に視線を向けた。<br>「道は作った。進むのはお前だ。指示を」<br><br>「あなたねぇ、そこまで言うんだったらなにか手を考え付いているのかと思ったじゃない！！」<br><br>「？？」<br>何を言ってるんだねチミィ、という表情を浮かべる雅也に対し、水銀燈は吼えた。<br>「このっ、馬鹿！　考えなし！　どうして、私のミーディアムがこんなのなのよぉ！！」<br>日頃よほど鬱憤が溜まっているのか、水銀燈は普段の彼女を知る人にしてみれば信じられないほど激しく、しかし明るい怒りを吐き出した。<br><br>対する雅也はそんな水銀燈を楽しいものを見るように見つめている。<br>「あの、水銀燈？」<br><br>「なによっ！！」<br><br>「そんなに、大声を出したらお爺さんが……」<br>その言葉に水銀燈は怒鳴るのをやめて、耳を澄ます。<br>「かぁぁぁずぅぅぅきぃぃぃ」<br>老人が呪詛にも似た声で、無くなった息子の名を呼びながら近づいてくるのがわかる。<br><br>水銀燈はまだ言い足りなさそうにしながらも、キッと雅也を睨みつけてから、化粧台の鏡にその身を沈めた。<br>「では、またくる」<br>その言葉は、夢の中の青年が去り際にいった言葉と同じで<br>「はい。楽しみにしています」<br>と、自分のマスターだった女性と同じように微笑んで、蒼星石はそう告げた。<br><br>嬉しい、と心のどこかで呟いていた。<br>
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<link>https://ameblo.jp/miyabi0518/entry-11191099564.html</link>
<pubDate>Mon, 12 Mar 2012 23:46:00 +0900</pubDate>
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<title>壊れた生活5</title>
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<![CDATA[ 中澤芹香は疲れていた。その疲れは肉体的なものではなく、精神的なものであったが、芹香はしんどそうに溜息をつく。<br><br>どうしてこんなにも疲れるのか、と思考を巡らせば、すぐにその答えへと芹香の思考はたどり着く。<br><br>実の兄であり、オタクであり、ひきこもりであった兄の事だ。<br><br>芹香の兄、中澤雅也は典型的な引きこもりであった。学校でいじめられ、現実回避の為に空想へと浸り、他人との関わりを断つ。<br><br>なんとかしたいと思った事もある。芹香の兄である雅也は男のはずなのだが、その外見、そして心はほとんど女性だといってもよかった。<br><br>気弱な性格、おどおどした態度、握れば折れそうな華奢な体、伸びた髪、そして白い肌。<br><br>一度、変質者に襲われて人間不信になり、そして学校でのいじめが兄の人嫌いを決定づかせ、そんな兄を救いたいと思うものの周りの眼を気にして何も出来なかった。<br><br>何も出来なかったから、何もしなかったから、<br>「ああなっちゃったのかなぁ」<br>そんな兄が突然変わった。外見特徴は全く変わっていないが、性格と態度は完全に変貌していた。<br><br>気弱な性格ではなく、強気な性格へ、おどおどした態度が、尊大な態度へ。<br><br>それに加えて、兄は不思議な人形を持ってきた。人形としてみるのならばそれは完成された造形美を持つ価値ある人形だろう。<br><br>しかし、それには意思があった。動く事が出来た。<br><br>芹香の日常が、兄に引きずられるように非日常に変わっていくのが分かる。<br>「……」<br>芹香は洗面所に着くと服を脱ぎ、それを洗濯機へと入れていく。<br><br>シャワーでも浴びてすっきりすれば、この疲れも幾分かはマシになるだろうと芹香は風呂場へと足を踏み入れる。<br><br>風呂場の椅子に座り、シャワーを持ってお湯の温度を調整すると頭からそれを浴びる。<br><br>疲れが解けていく。眠るときと、この瞬間だけは兄の事から解き放たれ……<br>「湯は、心臓から遠い箇所から浴びるべきだ。言うなれば足からだ。頭部から浴びるのは正直やめたほうがいいぞ芹香？」<br><br>「……」<br>……なかった。芹香の動きが第三者の声によって凍りつき、しばらくして無理やり動かすように声のしたほうへと顔が向けられる。<br>「どうした？」<br>そこにはいた。兄がいた。湯船につかり、タオルを丁寧にたたんで頭に乗せた兄が、無表情でそこにいる。<br><br>どうして、なぜ、私今裸、え、最近流行の妹萌え？　等と数多くの事が瞬時に芹香の脳裏に沸きあがり、そして<br>「ばかぁーーーー！！」<br>全ての思いは投げた洗面器に集約され、雅也の顔面に向かっていく。<br><br>だが雅也はそれを余裕で受け止めると、ぎゃあぎゃあ騒いでいる芹香を一瞥し、家族なのに裸を見られたぐらいで此処まで騒ぐものなのかと妙な事を学習していた。<br><br><br><br>水銀燈は疲れていた。とてつもなく疲れていた。いますぐにでもトランクの中に入って眠ってしまいたいと思うほど疲れていた。<br><br>その疲れの原因は水銀燈のミーディアムである中澤雅也に起因する。<br><br>ドールを所有する他のミーディアムを見つけたといったので、その人間の住居を突き止めてこいといって送り出したはずなのに、雅也はそれを突き止めずに猫耳という不可思議なヘアバンドを持って帰ってきた。<br><br>嫌な予感はしたのだ。いや、嫌な予感しかしなかった。猫耳を持ってにじり寄って来る雅也との追いかけっこは二時間にもわたった。<br><br>結局は姿見の鏡を使い、nのフィールドに逃げる事で雅也の魔の手から水銀燈は逃れる事が出来た。<br>「らしくない。人間如きから逃げるなんて、本当にらしくない」<br>水銀燈は自分に言い聞かせるように何度も呟くと、ふとベッドの上に無造作に投げ捨てられている雅也の携帯に目がいった。<br><br>それはいつも雅也が身に着けているものであり、水銀燈は特に理由も無くそれを手に取ると折りたたみ式のそれを開く。<br><br>まず目に入ったのは、見慣れた自分の顔だ。<br>「変えてないのね」<br>水銀燈は携帯についてのことは雅也から聞いて知っていた。携帯について説明され、そして壁紙にしたいからと写真を撮られたのはついこの前の事である。<br><br>こうやって、別の形にしてまでも、自分のことを思ってくれている人がいる。<br><br>水銀燈はそこまで考えると顔を赤くして、顔をぶんぶんっと振った。おかしい、らしくない、でも悪い気分じゃない。<br><br>水銀燈はそのまま携帯をいじくると、ピクチャーとかかれた場所をクリックし、そしてそこにある一つの写真に眉をひそめた。<br><br>その写真を選び、スイッチを押すとその写真が拡大される。<br>「……真紅」<br>胸の辺りに黒く、渦巻くものが現れ、水銀燈の顔は不機嫌そうに冷たく、それでいて残酷に変わっていく。<br><br>携帯を持つ手に力が入る。<br>「真紅ぅ」<br><br>「そのドールは真紅というのか」<br>その声に驚いて、反射的に自分の背後にいるものに攻撃をしかけた水銀燈は、そこにいるのが雅也だとわかり、その手を止めた。<br><br>後ろから絡み取られるように抱きしめられ、頭を撫でられる。<br>「放しなさい。触れないで」<br><br>「何を不機嫌になっている？　嫉妬か？　俺の携帯に他のドールが入っていたのが気に食わないのか？」<br><br>「そ、そんなんじゃないわ」<br><br>「ふむ。そうか、で、どうだ？　その真紅というのに対抗して、こちらも猫耳をつける気に……」<br>そこで水銀燈ははじけるようにして雅也の手の中から逃れた。<br>「そう。突然、変な事を言い出すから何かと思ったら、貴方真紅がこんな耳をつけているのを見て、興奮でもしたのぉ？　だから、私にもつけようと思ったのねぇ。」<br>そう言って、水銀燈はクスクスと人を馬鹿にしたように笑い<br>「汚らわしいわ人間。人形に欲情するなんて貴方、終わってるんじゃなぁい？」<br><br>「――何を勘違いしている」<br><br>「勘違いぃ？　あらぁ、自分の異常を言い訳でもするつもり？」<br>水銀燈は笑う。結局のところ、雅也も変わらないのだ。そして、それは当然の事だと思う。<br><br>完璧なものと、壊れたものとでは、だれもが完璧なものを選ぶ。<br><br>対抗？　違う。雅也は自分に完成品と同じような格好をさせて、完成品のように見立てるつもりなのだ。<br><br>染み付いた劣等感が暴走している。<br><br>そして冷たいものが戻ってくるのを感じながら、水銀燈は笑い<br>「この猫耳をつけているお前になら欲情するだろうな水銀燈。他の人形がどうとかそんなことはどうでもいい」<br><br>「なんですって？」<br><br>「何を勘違いしている水銀燈。俺にとって価値あるものはお前だけだ。お前以外が、この猫耳をつけていても何も感じないな」<br>ぎしり、とベッドが軋み、そして<br>「ば、ばばばばば馬鹿！　近づかないで雅也。こら、猫耳を持って近づいてこないで！　雅也！！」<br><br>「怖いのは最初だけだ。問題ない。じきに慣れる。俺はそう信じている」<br><br>「このっ、毎回、毎回、いい加減にしなさいよぉ！！毎日、毎日、やめてよね。バカップル」<br>バカップルの会話など毎日のように聞かされている芹香はしんどうそうに溜息を着いた。<br><br>隣の部屋から聞こえてくる二人のやり取りは、甘ったるくて胸がかきむしりたくなる。<br><br>芹香は変わってしまった兄と、その彼女である人形に自分が日常から非日常へと引きずり込まれていくのを知り、また溜息をつくのだった。<br><br><br><br>「もう、それをはずしても構わない。これで、壁紙は昼と夜のローテーションで、ノーマル水銀燈と猫耳水銀燈によって征服された」<br><br>「何言ってるのよ馬鹿」<br>水銀燈は結局付けられた猫耳を外して放り投げると、姿見の鏡から飛び込んでくるようにして現れた人口精霊メイメイに視線を向けた。<br><br>真紅の監視をさせていたメイメイからの情報を聞きながら、水銀燈は雅也への警戒を緩めない。<br><br>そうして情報を聞き、水銀燈はその内容に笑みを浮かべた。<br>「へぇ、真紅が、雛苺を……。アリスゲームのルールを守らなかったのね真紅ぅ」<br>その情報が水銀燈を怒らせる内容であったのは確かであった。<br><br>アリスゲーム－ドール達が、完全なる乙女『アリス』へと至る為に繰り広げられる戦闘遊戯。そこにおいての絶対的なルールの一つ、勝者は敗者の心臓とも言えるローザミスティカを奪い、その力を我が物としなくてはいけないというものがある。<br><br>そう、敗者は敗者となった時点でこの世界から退場しなくてはいけないのだ。<br>「少し、分からせてあげなくちゃね」<br><br>「ん、水銀燈。どこかいくのか？」<br><br>「ええ。ちょっと、アリスゲームのルールを守らなかったお馬鹿さんに挨拶しないと。そうだ。雅也、貴方の言っていたミーディアム、柏葉　巴だったかしら。その子、もうミーディアムじゃなくなったわ」<br><br>「ふむ。では、もう接触しなくていいという事だな」<br><br>「ええ。その柏葉　巴とかいう人間のドールである雛苺。敗者の癖にまだ存在しているみたい」<br><br>「ほぅ。それは面白い。負けたというのに存在しているのか。それは見てみたいな」<br>雅也はアリスゲームというものを水銀燈からの説明で聞いていたので、敗者はローザミスティカを勝者に渡して消えなくてはならないと思っている。<br><br>故に思う。敗者はどのような顔をして、生きながらえているのかと。<br>「その挨拶、俺も一緒に行ってもいいか？」<br><br>「好きにすればいいわ」<br>そう言うと、水銀燈はもう会話は終わりといわんばかりに姿見の鏡にその体を溶け込ませる。<br><br>雅也もそれに躊躇することなく、鏡に体を溶け込ませると笑みを浮かべる。<br><br>楽しくなってきた、とその顔が告げていた。<br><br>ローゼンメイデンが一体である真紅が、その黒い羽に気がついたのはトイレに閉じ込められていた同じドールである雛苺を救出したときであった。<br><br>自分のミーディアムであり。下僕である桜田ジュンはどういうわけか珍しく家にはいない。<br><br>いたのであれば偵察に向かわせるのだが、いないのでは仕方ないと真紅はその黒い羽が飛んできたであろう方向にある部屋に視線を向ける。<br>「これが、攻撃であるならばあの娘しかいないわね」<br><br>「どうしたのなの真紅？　うわぁ、なにそれぇ？　鳥さんの羽なのぉ？　雛もほしいのぉ！！」<br><br>「煩いわ雛苺。それに欲しいのなら、この羽の持ち主に頼みなさい」<br>そこまで言うと真紅は気持ちを落ち着かせ、そこにいるであろう存在に声をかける。<br>「でてきなさい。いるのはわかっているわ」<br>そして、その声に呼び込まれるようにして、物置部屋の大きな鏡から想像通りの人物が姿を現す。<br>「久しぶりねぇ。真紅。それに敗北者なのに存在している雛苺。」<br><br>「なにをしにきたの？」<br><br>「なにをしにきた？　あら、当たり前のことを聞くのね真紅。あなたのお馬鹿さん加減が変わっていなくて安心したわぁ。」<br><br>「煩いわ水銀燈。それに、馬鹿って言ったほうが馬鹿なのよ。」<br><br>「クスクス。そんなことはどうでもいいのよ真紅。それよりも、私、貴方に聞きたい事があるのぉ。」<br>真紅が無言で先を促し、雛苺が怯えるように真紅の背中へと隠れる。<br>「どうして、敗北者である雛苺がまだ動いているのかしら真紅？　貴方がその娘のローザミスティカがいらないっていうのなら、私が貰ってあげてもいいのよぉ。」<br><br>「あぅっ！　真紅ぅ。怖いのぉ～。」<br><br>「黙りなさい。水銀燈。雛苺を狙うというのなら、主人である私が相手をしてあげるわ。」<br><br>「主人？　どういうことなの真紅ぅ？」<br><br>「雛苺は私という媒介を通して、ミーディアム無しで弱いけど力を使えるの。言うなれば私の下僕だわ。」<br><br>「信じられなぁい。そんなことしてなんの価値があるのぉ？」<br><br>「その価値は私が決めるわ。言っておくけど、水銀燈。これから先、貴方が向かってくるというのなら私と雛苺の二人でお相手するわ。」<br><br>「ふふっ。弱い者がどれだけ集まっても弱い事に変わりは無いのよ真紅。」<br><br>「弱いかどうか、貴方自身で確かめなさい！！　ミーディアムを持たない一人ぼっちの貴方の力で！！」<br><br>「――――それは、違うな。」<br>水銀燈に対し、攻撃を仕掛けようとしていた真紅の腕が止まる。暗闇の中に、人がいた。<br><br>その指に嵌められた指輪を見て、真紅は水銀燈に視線を向ける。<br>「クスクス。どうしたのぉ？　そんな間抜けな顔をしてぇ？　元々そんな顔だったかしらぁ？」<br><br>「水銀燈。……貴方」<br><br>「そんなに私がミーディアムを持つ事が驚く事なのぉ？　真紅。ぼぉっとしてたら、死ぬわよ。」<br>水銀燈の漆黒の羽が宙を舞った。それは敵を射つくさんばかりに、真紅と雛苺の場所へと突進していく。<br><br>真紅はそれを慌てて、自分の力の具現である薔薇の花びらの盾で防ぐと、お返しとばかりに攻撃を返す。<br><br>両者の実力は拮抗し、攻めては防ぎ、防いでは攻め手を繰り返す。<br><br>雅也はそれを眺め、そして無造作に近くにあった変な仮面を手に取ると真紅に向かって投げた。<br>「なにっ！？」<br>真紅にしてみれば、水銀燈の攻撃だけに集中していたので雅也のソレは予想外の攻撃であった。<br><br>故にそこに決定的な隙が生まれ、そしてその隙を水銀燈は逃さない。<br><br>羽での攻撃をやめると瞬時に真紅との間合いをつめ、その胸を抉ろうとして、突如床から生えた苺轍の蔓によって体を拘束される。<br>「真紅を助けるのぉ！」<br><br>「雛苺！　このっ、敗者は引っ込んでなさい！！」<br>が、すぐにその拘束を解き、後ろに飛びのく。すると水銀燈のいた場所に真紅の薔薇の花びらが殺到する。<br>「驚いたわ。ミーディアムが戦いに参加してくるなんて……。」<br><br>「おかしなことではあるまい。嫁が勝ちたいと願う戦いを夫が黙ってみていられるものか。」<br><br>「嫁？　夫？　なにをいっているの貴方？？」<br><br>「そ、そんなこと気にしてる暇は無いわよ真紅！」<br><br>「くっ。」<br>少し顔を赤くした水銀燈の攻撃を、真紅は迎撃する。<br><br>再び戦いが始まろうとしたとき、ガチャリと玄関の扉が開く音が聞こえ、<br>「だたいまぁ～。」<br>と、なんとも暢気な声が響いた。<br>「水銀燈。」<br><br>「邪魔が来たようね。雅也、一度引くわ。」<br>水銀燈と雅也は瞬時に状況を理解し、短く会話をすると鏡へとその身を投げ込んだ。<br>「逃げるの！」<br>真紅のそんな苛立った声が聞こえたが、二人ともソレを無視する。<br><br>今回の戦闘で真紅が倒せるなどとは水銀燈は考えていなかった。<br><br>本当に挨拶だけするつもりだった。軽くからかって、自分という存在を相手に意識させる。<br><br>それだけが今回の目的だ。<br><br>故に、引くことに対してなんの後ろめたさも悔しさも無い。<br><br>倒すからには、幾重にも罠を仕掛け、その上で確実に倒す。<br><br>そして、勝ち進み、完璧なる乙女『アリス』へと至るのだと水銀燈は自分に言い聞かせる。<br>「勝ってみせる。」<br>いや、勝てるはずだ。なぜなら、今は一人ではないのだから。<br><br>あとがき<br><br>ふうー。作者の鬼光死です。<br><br>少し、戦闘シーンをまぜてみました。文字だと難しいですね・・・<br><br>やはり、銀様。引き際がいいですねー。<br><br>ではでは、次の更新をお待ちくださいませ(^-^ゞ<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/miyabi0518/entry-11189909542.html</link>
<pubDate>Sun, 11 Mar 2012 21:23:00 +0900</pubDate>
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<title>壊れた生活4</title>
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<![CDATA[ 「どうしたらいいと思う？」<br><br>「なにが？」水銀燈はイライラする気持ちを抑えて、自分の膝にのっけられた雅也に視線を向ける。<br><br>雅也はまどろんでいる様子で、水銀燈の髪をいじくりながら言葉を続ける。<br>「最近気がついたんだが、俺のクラスに俺と同じような指輪をした女がいる。」<br>髪をいじくられるのを鬱陶しいと感じる反面、心地よさも感じていた水銀燈はその言葉に視線を鋭くする。<br><br>今の所、水銀燈が人工精霊であるメイメイを使って、居場所を突き止めているのは役立たずの人形を贈った陰念深い相手、真紅の所だけである。<br><br>メイメイからの情報によれば今回の真紅のミーディアムは少年。つまりは、雅也の言う女性が本当にミーディアムだとしたら新たな姉妹の居所の発見に繋がる。<br>「アリスゲームは、お前のゲームだ。だから、指示を仰ぎたい。俺はどうすればいい？」<br><br>「そうねぇ。とりあえず、その女性の家を見つけてほしいわ。そうすれば、メイメイが調べるわ。」<br><br>「わかった。」<br>そう言うと雅也は再び心地よさそうに瞳を閉じるが、思い出したように言葉を続けた。<br>「――女性がミーディアム。そして、ドールは全て女性。導き出されるのは一つ。」<br><br>「雅也？」<br><br>「お前の姉妹にはそういう趣味の奴がいるのだな。いや、それに応えた柏葉も、ということになるのか。」<br><br>「どういうことぉ？」<br><br>「いや、こっちの話だ。気にする事は無い。」<br>そう言うと雅也は、水銀燈と共にいるベッドの上に散らばっているトランプを手に取る。<br>「約束の時間まではまだあるな。もう少しだけ、お前の膝を味わうか。」<br><br>「……。」<br>水銀燈はその言葉に先ほどまで繰り広げられていた雅也と自分による熾烈な戦いを思い出す。<br><br>それは暇そうにしていた水銀燈に、雅也がトランプで勝負をしようと言い出したところから始まった。<br><br>勝った方は負けたほうの言う事を聞く。その命令は公平かつ、両者の身の安全を保障するために妹の芹香によって書かせたものである。<br><br>というのも、最初に命令の例を互いに挙げてみたところ、両者共に負ければ地獄ということが判明したのが原因である。<br><br>そして、三回勝負という規約の元にトランプゲームの一つである『スピード』を行い、雅也が勝利したのである。<br><br>そして、芹香が書いた命令カードから雅也が選んだのは『膝枕三十分』であり、そして今に至る。<br>「……。」<br>そこまで思い返したところで、水銀燈は膝の上で眠る雅也に視線を向けた。<br><br>安心しきったその顔に、水銀燈は自嘲の笑みを浮かべる。<br><br>自分の膝で、そのように無防備な姿を見せるという事がどういう事か分かっているのだろうかと嗜虐的な思いが湧き上がるが、<br>「！！」<br>水銀燈は慌てた様子で、自分のスカートの中に進入しようとしていた雅也の手を握り締める。<br><br>油断した、安心しきっているような顔はこの手を進入させるために自分を油断させるためのトラップ。<br>「残念。あと少しだったのだが……。」<br><br>「このっ馬鹿ぁ！！」<br><br><br><br>柏葉　巴は困惑していた。それはもう過去に類を見ないほど困惑していた。<br><br>そして、その自分を困惑に陥れている存在は隣で、なにを考えているか分からない無表情を崩さずに歩いている。<br><br>長い髪、不健康そうな白い肌、そして女の子のような華奢な体。<br><br>最近学校でなにかと話題の中澤雅也である。<br><br>いつものように今日、出されたプリントを委員長という職務と幼馴染という肩書きの為に、不登校の桜田ジュンに届けようと学校を出たところに雅也はいた。<br>『待っていたぞ柏葉　巴。一緒に帰ろう。』<br>と、呆然と立ちすくむ巴に対して雅也はそう宣言すると、巴の返答を待つように腕組をして巴を見つめる。<br><br>巴はその視線で我に返ると、<br>『えっと、私、桜田君の所にプリントを届けなくちゃいけないから。』<br><br>『わかった。では、共にいこう。』<br>遠まわしにお断りの意思を示してみたのだが、雅也には全く伝わっていないようであった。<br><br>そして、元々口下手な所がある巴は明確な断りの言葉を言えぬまま、無言で桜田　ジュンの家へと向けて歩いていた。<br><br>どうしていきなり一緒に帰ろうなどと思ったのか聞きたくはあったが、なにか嫌な予感が巴の口を閉ざさせていた。<br><br>しばらくすると、見慣れたい柄が巴の視界に入ってきた。<br><br>プリントの届け先である桜田　ジュンの家である。<br>「中澤君。」<br><br>「なんだ？」<br><br>「桜田君の家、ここだから。」<br><br>「ふむ。」<br>巴は手早く用事を済ませて、家に帰ろうとインターホンを押すと、間髪おかずにバタバタと誰かが走る音がして見慣れた女性が家から出てきた。<br><br>天然っぽい独特の雰囲気を持った女性は、巴の姿を見つけるとニッコリと微笑んだ。<br>「こんにちは～。巴ちゃん。」<br><br>「学校で配られたプリントを持ってきました。」<br><br>「ありがとう～。ここまで来るのは大変でしょぉ～。あがってお茶でも、あらっ？　貴方は？」<br>その女性は巴の隣に無表情で立つ雅也に気がつくと、どこか嬉しそうに声をかけた。<br>「中澤雅也だ。」<br><br>「これはどうも～。桜田　のりですぅ。」<br>そう言って頭を下げたのりに、雅也も軽く会釈すると視線を感じて、桜田邸の二階の窓へと視線を向ける。<br><br>そして、蒼い瞳と視線が合った。<br><br>金色の髪と、透き通るような蒼い瞳、そして身に纏った真紅の服を着た人形。<br><br>それに雅也はある可能性を感じ、のりへと視線を戻す。<br>「で、中澤君も巴ちゃんもお茶でどお？」<br><br>「いえ、私は……。」<br>巴はここではちゃんと断ろうと言葉を口にしようとして、ぐらりと世界が傾くのを感じた。<br><br>最近頻繁に起こる立ち眩みである。体から力が抜け、倒れると思った瞬間、力強い手に受け止められる。<br>「だ、大丈夫！　巴ちゃん！！」<br><br>「だい、じょうぶ、です。」<br>心配かけまいと声を出すが、それすらもつらいと巴の体は訴える。<br>「桜田のり。」<br><br>「は、はいっ！」<br><br>「柏葉を休ませたい。ひとまず家に入らせてくれ。」<br><br>「そ、そうよね！」<br>巴はその気遣いをなんとか断ろうとするも、言葉に出来ず、結局桜田邸のソファーに腰を下ろした。<br><br>雅也に手をひかれるようにしてここまできて、一息ついたところで巴の体を襲った立ち眩みは治まった。<br>「はい。お茶をどうぞ～。」<br><br>「あ、お構いなく。」<br><br>「いただこう。」<br>巴は自分の言葉とは正反対の言葉を放った隣に座る雅也へと視線を向ける。<br><br>片手にシュークリームを持ち、しきりに感心したようにほぅ、ふむ、と呟いている。<br>「いつもありがとう巴ちゃん。ここまで来るのしんどいでしょう。」<br>巴は正面に座ったのりの言葉に、視線をそちらに向けると短く言葉を返した。<br>「学級委員長ですから。」<br><br>「巴ちゃんは学級委員長になったんだぁ。偉いのねぇ。」<br><br>「いえ。」<br><br>「中澤君はなにかやっているの？」<br><br>「いや。つい先日まで不登校だったのでな。そのような役職にはついていない。」<br><br>「ふとう、こう？」<br><br>「ああそうだ。周りの視線、言葉、思いが煩わしくて、家に閉じこもっていた。」<br><br>「今は、学校に行っているの？」<br><br>「ああ。」<br><br>「その、どうして学校にまた行こうって思ったの？」<br>その言葉に潜められた真剣な響きに雅也は手にしていたカップを机の上において、のりを見た。<br>「変わったからだ。俺自身が、な。」<br><br>「どう、変わったの？　そのきっかけは！！」<br><br>「俺の事を話したところで、お前の弟の助けにはならん。」<br>その言葉と向けられた視線に、のりは急速に力をなくすと乗り出した身を戻した。<br>「ごめんね。そうだよね。あまり、そういうことって、話したくないことだよね。」<br>その言葉を最後にシンッと場が静まり返り、巴がそろそろ帰ると告げようとした時<br>「貴方の名前は？」<br>場の静寂を貫く凛とした声がその場に響いた。<br><br>驚いた顔で、巴とのりはその声の発生源を見る。<br><br>そこには雅也が二階にいるのを見た蒼い瞳の人形がいた。<br>「し、しししし真紅ちゃん！！」<br>ばびゅん、とのりは凄いスピードで真紅と呼ばれた人形を手に取ると廊下へと駆け抜けていった。<br><br>リビングから廊下へと繋がる扉が力強く閉められ、その向こうからのりと真紅の会話が聞こえてくる。<br>「ふむ。ここにもいたのか。」<br><br>「えっ？」<br>巴はその言葉に慌てて雅也の方に視線を向ける。<br><br>そこには無表情だったはずの雅也の顔に感情という色が塗られていた。<br><br>欲しい物を見つけた子供のような笑み、巴はそれに言い知れぬ恐怖を感じ、そして雅也の意図に気がついた。<br><br>それは雅也が巴の家に、ローゼンメイデンが一つ、雛苺がいるということを嗅ぎつけ、居場所を突き止めようとしていることを、だ。<br>「ごめんねぇ。いきなり出て行っちゃって、この子はねぇ……。」<br><br>「すいません。私、帰ります。中澤君。さよなら。」<br>巴は自分の荷物である鞄と竹刀を手に取ると、逃げるようにして桜田邸から出て行った。<br>「あれぇ、どうしちゃったんだろ巴ちゃん。」<br><br>「なにか急ぎの用事でもあったのだろう。」<br><br>「あ、中澤君。この子はねぇ、最近流行の猫耳人形なのぉ。」<br><br>「ふむ。」<br>逃げられたか、と一人胸の中で呟いていた雅也はのりの言葉で、真紅へと視線を向ける。<br><br>可愛らしい猫耳をつけた真紅。<br><br>雅也は水銀燈にもつけてみたいと思いながら、真紅をじーと見つめ、そしておもむろに携帯電話を出すと写真を撮った。<br>「妹がこういうのが好きで、撮らしてもらった。柏葉も帰ったようだし、俺も帰らせてもらおう。」<br><br>「え、うん。また、その……。」<br><br>「なんだ？」<br><br>「ううん。なんでもないの。」<br><br>「そうか。では、邪魔をした。」<br>そう言って雅也は自分の鞄を持つと、玄関へと続く廊下に出て、二階から降りてきた一人の少年と出くわした。<br><br>驚きで固まる少年と、その指につけられた薔薇の指輪を見て、雅也は笑みを浮かべる。<br>「同士よ。お互い、嫁の事で苦労しそうだな。」<br><br>「はぁっ？」<br><br>「気の強そうな感じだが、まぁ、主導権を握れば案外上手くいくものだ。では。」<br>困惑の顔で、雅也を見る少年とのりに雅也は会釈をすると外に出た。<br><br>後には不思議そうな顔で雅也を見送る二人だけが残された。<br><br>あとがき<br><br>作者の鬼光死です。<br><br>今回、あらたなドールがでてきましたね(´Д｀)<br><br>真紅・・・。そして、名前しかでてないですけど雛苺。<br><br>次はどうなるやら・・・笑<br><br>ではでは、次の更新をお待ちくださいませ(^-^ゞ<br>
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<link>https://ameblo.jp/miyabi0518/entry-11188913251.html</link>
<pubDate>Sat, 10 Mar 2012 22:16:00 +0900</pubDate>
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<title>壊れた生活3</title>
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<![CDATA[ 彼は賞賛されるべきだったのだ。たった一人で、不可能に挑み、それを可能へと変えた彼は蔑まされることもなく賞賛されるべきだったのだ。<br><br>お前達には無理だろう。お前達には考える事すらできないだろう。初めから『今』を完全なものとして捉えているお前達に彼の想いはわからないだろう。<br><br>欠けていない者達には、一度だって理解することは出来ない。なぜなら、完全とは何かを理解できないからだ。<br><br>抗う必要などないと声高々に叫ぶお前達には彼の可能にした事がどれほどお前達に意味があるか理解できまい。<br><br>彼のおこなった事がお前達がどういう存在であるかを露呈させた事に気づこうともしないだろう。<br><br>彼は、一人寂しく死んでいった。隣には誰もおらず、ただ無念と憎悪だけを残して死んでいった。<br><br>お前達には理解出来まい。出来てたまるものか。<br><br>私だけが理解できる。私だけが彼の隣に立てる。だって、私も彼と同じように――――<br><br><br><br>オタク――すなわちアニメ等が好きな人であった雅也は学校でもそれをネタに苛められていたので登校拒否になった少年だ。<br><br>かつての雅也であるならばもう二度と学校に行きたいなどとは思わなかっただろう。<br><br>他者に干渉され、傷つけられ、それに抗う術を持たないのだから当然の事だ。<br><br>目を閉じ、耳を塞ぎ、口を噤んで部屋に閉じこもり、都合のいい空想の世界に浸る。<br><br>これは現実からの逃亡ではない。現実から身を守っているだけだ。<br><br>と、言うのが以前の雅也の自論である。<br><br>だが、今の雅也は違う。現状が悪いのでありれば改善してやればいい。<br><br>己に嘲笑と謂れのない侮蔑の言葉を吐きかけるなら相応の事を返してやればいい。<br><br>身体を痛めつけられる事などどうでもいい。精神を痛めつけられる事も構わない。<br><br>ただ、自分という唯一無二のものの価値を下げられることだけは納得しない。<br><br>その理念に沿って雅也は久々にやってきた学校で行動した。<br><br>久々に来た雅也をからかった岸本、中西という不良ともいえる少年を痛めつけた。<br><br>そして、職員室にて説教を受けていた。<br>「先生は悲しいぞ中澤。やっと登校してくれたと思ったら喧嘩なんて……。」<br><br>「侮蔑の言葉を吐き、俺を見下した態度で接してきた。それに対してそれ相応の事をしてやっただけだ。」<br><br>「岸本と中西がお前に対してちょっかいをかけていたという事は聞いている。でも、だからといって、喧嘩は駄目だ。」<br><br>「なぜだ？」<br><br>「暴力では何も解決しない。今度こんな事があったら先生に言ってくれ！　先生はお前の味方だ！！」<br>雅也のクラスの担任である梅岡という男の言葉に雅也は笑ってしまった。<br>「あはははははっ。暴力では何も解決しない！？　な、なにを馬鹿な事を！！　くくっ、そんな、そんな戯言を言う奴は初めてだ！！」<br>雅也は腹を抑え、笑いを必死にかみ殺そうとするが抑えきれずまた声を上げて笑ってしまう。<br><br>この場に水銀燈がいれば目を丸にして驚いた事だろう。<br><br>ニヤリと悪巧みを思いついたようにしか笑わない雅也が大声で笑い転げているのだ。<br>「な、中澤！　何がおかしいんだ！！」<br><br>「ふ、くく。すまない。真面目な顔で、そんな当たり前のことを言うから年甲斐もなく笑ってしまった。」<br>雅也は何度か深呼吸をすると落ち着きを取り戻し、呆けた顔をしている梅岡を見る。<br><br>若く、愚かで、無知で、それ故に己の価値観は正しいと声高に叫んでいる若造。<br><br>それが梅岡に対して雅也が下した評価である。<br>「梅岡先生。確かに暴力では何も解決しない。それは当然の事だ。」<br><br>「わかってくれるか！　中澤！！」<br><br>「というよりも暴力とは問題を解決させるためにもちいるのではない。問題をねじ伏せるために存在するのだ。」<br>例えば、二人の子供が一つのケーキを取り合っていたとしよう。二人ともそのケーキが丸まる一つ食べたくて、喧嘩をしている。<br><br>半分にすればいいという人がいるかもしれないが、そんな風に半分にしなくても最も簡単に、そして最大の利益を得る方法が存在する。<br><br>それは喧嘩し、暴力を使い、勝利する事だ。そうすれば敗者には何も与えられず、勝者は望みがかなう。<br><br>原始から続く単純な法則。解決を目指すのではなく、問題の根底の破壊。<br><br>理解できないと言う風に首を捻る梅岡に雅也は失望と共に笑みを浮かべる。<br>「まぁ、俺は古い価値観で物を言っているに過ぎない。先生の新しく、輝かしい価値観を尊重して今後、あの二人が絡んできたときには相談しよう。」<br><br>「そ、そうか。」<br>呆然と、妙な威圧を放つ雅也に梅岡はそう呟くと去っていく雅也の後姿を見送った。<br><br>近くの席にいた同僚が雅也の口調や、態度について文句を言っているが梅岡にはそれすらも頭に入ってこない。<br><br>なにか、そうとてつもないなにかを相手に話していた様な感じがして梅岡は深く椅子に座り込む。<br><br>気がつけば掌がじっとりで汗で濡れていた。<br><br>雅也が教室に足を入れた瞬間、それまでざわざわと賑わっていた他の生徒達が喋るのをやめる。<br><br>雅也はそんなことには全く気づかず、自分の席に着いた。<br><br>そしてまた、それまで停滞していた場の空気が動き始める。<br><br>雅也には友人と呼べるような人間はいない。<br><br>過去の雅也は気が弱く、友達を作るのがとてつもなく下手糞であり<br><br>今の雅也は気が強く、友達を作れと言われれば作る事も出来るがその必要性を感じていない。<br><br>いや、そもそも作ったところでそれは友と呼べるものではなく、教室内での居心地を良くする為の道具みたいなものだ。<br>「中澤君。」<br>周りのざわつきに我関せずと座っていた雅也に声をかけるものがいた。<br><br>クラス委員の柏葉　巴である。<br><br>短く切り揃えられた髪と感情の色を余り見せない瞳、整った顔立ちは可愛いというよりも美人という言葉が似合うそんな少女だ。<br>「なんだ？」<br><br>「顔の傷。血が出てる。保健室に行った方が……。」<br><br>「問題ない。この程度の傷、放っておけば治る。」<br>傷、といっても唇の端が喧嘩の時に殴られた衝撃で切れているだけだ。<br><br>血が少しばかり流れてはいるがこんなもの放っておけば瘡蓋となって治る。<br>「えっと、ごめんなさい。」<br><br>「？　なぜ謝る？」<br>雅也は気がついていないが、雅也の喋り方はひどく他人に不快感を与える。<br><br>偉そう、心配してもらっているのに冷たい、二人を遠巻きに見ているモノ達は口をそろえてそう雅也の口調を評価している。<br>「その……。」<br>困ったように視線を彷徨わせ、最後には視線をそらす巴に雅也は溜息をついた。<br>「言いたいことがあるのならはっきりと言え。そうしなければ相手には何も伝わらん。」<br><br>「別に、なんでもないの。ごめんなさい。」<br>雅也の言葉に巴は先ほどまでよりもっとひどく困惑、というよりも狼狽すると逃げるように自分の席へと去っていた。<br><br>学校から帰ってきた雅也は机の上に鞄を投げると、制服の上着も脱いで、こちらはベッドへと投げた。<br><br>部屋を見渡し、水銀燈がいないことを確認すると雅也はつまらなそうに溜息をついてその場に座り込む。<br><br>だが、なにかを思いついたのか水銀燈の入っていたトランクを手に取ると、カチリと金属音を鳴らして開けた。<br>「――――いないのか。」<br>残念そうにそう呟くとトランクを閉め、ベッドにもたれかかる。<br><br>しんっと周りが静まり返り、瞬時にしてそこは雅也一人だけしかいないような雰囲気に変わる。<br><br>だが、突如として姿見に備え付けられた鏡が光だし、そこからにゅっと小さな手が現れた。<br><br>その手を見ただけで雅也の顔に笑みが浮かぶ。<br><br>立ち上がると鏡に近づき、その鏡の中に両手を突っ込んでなにかを掴むと抱え上げるようにして引っ張り出した。<br>「……。」<br><br>「おかえり。まいすいーとはにー。」<br>苦虫を噛み潰したような顔の水銀燈と笑みをたたえた雅也の視線が交差する。<br>「触らないで。」<br>ひゅっと水銀燈が雅也の顔めがけてビンタをするが、雅也はそれを顔を後ろにそらすだけで避ける。<br>「随分だな水銀燈。」<br><br>「ふんっ。」<br><br>「まったく、部屋に帰ればお前がいなくてつまら……心配していた夫にこの仕打ちとは。」<br>そう言いながらもまるで大事なものを扱うように丁寧に水銀燈を床に下ろすと雅也は天井を見上げ嘆いた。<br>「私はねぇ、アリスゲームで忙しいのよ。」<br>苛立った様子で水銀燈は雅也にそう言った。<br>「ほぅ。他の人形が目覚めたという事か。」<br><br>「ええ。そうよ。」<br><br>「それは――――。」<br>この目だ、と水銀燈は下唇を噛み締めた。<br><br>この、濁った目が現れると自分に余裕が無くなる。雅也がこの目をするのでは、と考えると余裕が消えうせる。<br><br>それはまるで鏡に映った自分の目を見るようで、ひどく気に入らない気持ちにさせられる。<br>「とりあえず、挨拶をしといたわ。雅也、貴方の人形を一つ使ったから。」<br><br>「ふむ。どの人形かは知らないが、まぁこの部屋にあるものなら好きに使うといい。」<br><br>「あら、貴方にはこの部屋に大切なものは無いのかしら？　そんなことを言うと全部燃やしちゃうわよ。」<br><br>「かまわん。」<br>その瞬間、水銀燈はぞくりと体中に寒気が走るのを確かに感じた。<br><br>微笑んでいるように見える雅也の口元、しかしあれは微笑むと言うよりはニタリと悪巧みを思いついた人間特有の―――<br>「この部屋、いや、この世界の中で俺にとって大切なのはお前だけだ水銀燈。」<br>ぼふんっと音が聞こえそうなほど水銀燈は顔を真っ赤にすると、すぐ傍においてあったトランクの中へと飛び込んだ。<br><br>ジャンク、と蔑みの言葉と己の欠陥を嘲笑う視線しか感じた事の無い水銀燈は雅也のああいう『愛』の言葉に弱いのだ。<br><br>からかわれているだけだとか、嘘を言っているとか、否定的な考えが脳裏を占めるが、水銀燈は嬉しいようなくすぐったいような感情を持て余し、<br><br>結局のところそれら全てを投げ捨てた。<br><br>つまりのところ、ふて寝である。<br>「ふむ。逃げていては解決しないぞ水銀燈。さぁ、でてきていちゃいちゃしようではないか。聞こえているか水銀燈！」<br>トランクの外でなにやら声が聞こえるが、水銀燈はそれを無視した。<br><br>トランクに閉じこもる等と自分らしくないと思いつつも、この関係が心地よいと感じるが故に――――。<br><br>あとがき<br><br>作者の鬼光死です。<br><br>今回は学校のことをすこし書いてみました。<br><br>いよいよ次は銀様以外のドールが登場します。<br><br>お楽しみに！！<br><br>ではでは、次の更新をお待ちくださいませ(^-^ゞ<br>
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<link>https://ameblo.jp/miyabi0518/entry-11187886223.html</link>
<pubDate>Fri, 09 Mar 2012 21:40:00 +0900</pubDate>
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<title>壊れた生活2</title>
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<![CDATA[ 結論から言おう。中澤雅也は妹に対して自信満々に<br>「今日からこの水銀燈と婚約するようになった。それに伴って水銀燈もこの家に住むから仲良くしろ。」<br><br>「ちょっ、離しなさいよぉ。」<br>とまるでなにかおかしい事はあるか、いやないと言わんばかりに唖然とする妹に対して宣言して<br>「ど、どこから誘拐してきたのよぉーーー！！」<br>と、コンマゼロ三秒の速さで繰り出されたスリッパによるツッコミを後頭部に受け、KOノックアウトされたのであった。<br><br><br>「うわぁ、本当に人形何だぁ。」<br><br>「気安く触らないで。手垢がつくじゃない。」<br><br>「ふむ。」<br>雅也は椅子に座り、自分で入れたコーヒーの味に舌鼓を打ちながら仲良く戯れる未来の嫁と妹を眺める。<br><br>もう少し水銀燈という存在に妹である芹香が順応するのは時間がかかると思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。<br><br>まぁ、早く順応してくれればしてもらえるだけ無駄な問題がおきなくてよいので雅也は気分良くコーヒーの二口目を含んだ。<br><br>その際にコーヒーを飲もうと顔を動かすたびに長い前髪が視界をよぎる。<br>「邪魔だな。」<br>記憶をたどればこの時代には美容院という髪をきる専用の、いわば床屋の進化系があるようなのでそこにいったほうがいいのだろうかと雅也は考え<br>「めんどうだな。」<br>そこまで行く労力も部屋の掃除によって尽きている。いや、と雅也は考えを巡らせる。<br><br>そもそもたかだか近所の美容院に行くのをしんどいと考えるのはこの体の体力がなさ過ぎるからだと雅也は結論付ける。<br><br>見れば見るほど貧弱な体である。<br><br>見方によれば雅也よりも芹香のほうが肉付きはいいのではないだろうか。<br><br>そう思って二人に再び視線を戻せば、水銀燈の意思を無視してベタベタと触る芹香に対して水銀燈がなにか行動をしようとしている。<br>「くっ。」<br><br>「水銀燈。」<br>出会ってまだほんの数時間しかたっていないが雅也は水銀燈に対して一つ理解したことがある。<br>「なによ。」<br>それは水銀燈がとても律儀な性格をしているという事である。呼び止められれば行動を中断して、声をかけたものに応じる。<br><br>そんなものは無視してしまえばいくらか楽に生きれるというのに、と雅也は考え、そしてそれを否定した。<br><br>己は既に十七の人生を生きる生ける屍であるが、水銀燈は物の怪といえど今を生きているのだ。<br><br>死したものと、生きているものとの違いがそこにはある。そしてそれは、とてつもなく大きな差なのだ。<br><br>水銀燈は生きる者の特権として無自覚にその効率の悪さを楽しんでいるのだろう。<br>「こっちにこい。」<br><br>「お兄ちゃん！ 今は私が水銀燈ちゃんと……。」<br><br>「わかったわ。」<br>水銀燈は鬱陶しいと芹香の手を払うと雅也の傍へと寄っていく。雅也はすぐ傍にまでやってきた水銀燈を確認すると冷たい視線を芹香に向けた。<br>「水銀燈はお前の玩具じゃない。」<br><br>「むっ。」<br>芹香は雅也の言葉に不満そうにし、助けを求めるように水銀燈に視線を向けるがそれを冷ややかな一瞥で返される。<br>「意思がある者の嫌がる行為をすることは人として最低だぞ。芹香？反省しろ。」<br><br>「な、なによぉ！　」<br><br>「行くぞ。水銀燈。」<br>雅也のその言葉に水銀燈は逆らおうとも、なぜ糧である人間に命令されなければならないのか、という思いは不思議とわいていなかった。<br><br>一つは芹香といるよりも雅也といるほうが自分としては幾ばくか心地いいという事。<br><br>そしてもう一つは――なぜか水銀燈はそれを言葉で表せず――そういう気が起こらないということ自体である。<br><br>二階にある雅也の部屋に行くために階段に差し掛かったところで雅也が口を開いた。<br>「こんど、ああいう事があったら怖がらしてやれ。」<br><br>「いいのぉ？　怖がらすどころか、殺してしまうかもぉ。」<br>そう言って水銀燈はからかうようにそう言ってみせる。<br><br>それこそが水銀燈のスタンスであり、そうやってなにかを嘲笑うことで自分を高める水銀燈の無自覚の癖。<br><br>だがそれは雅也には通じない。<br><br>正常な者にならそのスタンスで通じるだろう。<br><br>しかし雅也は正常ではない。<br>「殺せば面倒になる。それはお前にとっても面倒な事態になるという事だ。だから、やるならばほどほどにしておけ。」<br><br>「えっ。」<br>水銀燈はその言葉を予想していなかったので、思わず驚いて顔を挙げそして雅也の瞳に恐怖を感じた。<br><br>雅也は、本当に、心の底から妹の命を『面倒な事態になる』という理由だけで殺すなといっていることが水銀燈には理解できた。<br><br>そして理解すると共に、水銀燈は納得する。<br><br>人形とそのマスターもしくは糧であるミーディアムは共鳴する。<br><br>それはそうすることによって、力の大海である『無自覚の海』から力を効率よく吸い上げるためだ。<br><br>つまりは水銀燈と雅也は共鳴するほどに、似たものを抱え込んでいる。<br>「雅也？貴方、壊れてる(ジャンク)でしょう。」<br>その言葉に雅也は驚いて目を見開き、そして納得したように微笑を浮かべる。<br><br>言葉にしていったわけじゃない。ただ、二人は互いに似たもの同士だという事に気づき、水銀燈は親近感にも似た思いを雅也に抱き<br>「傷を舐めあうつもりはない。」<br>雅也はそれを切り捨てた。<br><br>そのあまりにもストレートすぎる拒絶の言葉にぴくりと水銀燈の顔が歪む。<br>「私も、貴方なんかと舐めあう気はないわ。」<br><br>「それでいい。後々になって、傷の舐めあいの延長で結婚したとなれば離婚は免れんからな。」<br><br>「はぁっ！？」<br><br>「先ほどのあの、箱ではなく、そう、テレビで言っていた。そういう結婚をしたものは長続きしないらしい。」<br>ひくっと水銀燈の顔が引きつる。<br><br>アリスゲームの事、ローゼンメイデンの事、ミーディアムの事をあれほど細かに教えてやったというのにこの男の誤解はまだ解けていないのかと。<br><br>契約だと言って指輪に口付けをさせた、いや、契約とはそういうものだといった瞬間に雅也がやったのだが、水銀燈は今すぐソレを撤回したい気分になっていた。<br><br>怒りが沸々とわいてきて、そして疲れたように水銀燈は溜息をついた。<br>「らしくないわね。」<br>水銀燈はそう言って、目の前の雅也の背中を見つめる。<br><br>階段を、高みへと上っていくその姿、それがふと違う姿と重なった。<br><br>片手に錆びた使い物にならない剣を持ち、岩が並んだ険しい山道を登っていく一人の男、その先に求めるものがあり、同時にそこは終焉でもある。<br>「どうした？」<br><br>「――――っ！」<br>水銀燈は雅也の呼びかけによりはっと我に帰った。<br><br>そこには岩などなく、ただの一般住宅の壁があり、木造の階段が存在するだけ。<br>「なんでもないわ。」<br><br>「そうか。」<br>水銀燈は少し乱れた息を整えるとちらりと雅也の背中に視線を向ける。<br><br>不健康そうな白い肌が覗く半袖姿の雅也がそこにいるだけであった。<br><br>雅也は部屋に入ると勉強机に備え付けられている椅子に座り、水銀燈はベッドの上へと腰掛けた。<br>「後、一、二時間もすれば芹香が暴れだす。痛めつけるなり、なんなり好きにしろ。」<br><br>「あの人間がぁ？　どうして？」<br><br>「先ほど思い至ったのだが、芹香が見せたあの早い順応能力は、ただの現実逃避の産物ではないかと。」<br><br>「あぁ。人間は脆いものねぇ。心が。」<br><br>「己が常識を逸脱したものと出会った際に人がとる行動は二つだ。恐ろしい物なら逃げ惑い、そうでないのなら認めない。」<br>そこで一度、雅也は言葉を切ると雅也は吐き捨てるようにして告げた。<br>「心が脆いのではなく、心が受け入れないのだ。その狭さゆえに。」<br>まるでその狭さに対して憎しみを抱いているように雅也はそう言うと、ふとベッドに座っている水銀燈に視線をとめた。<br><br>ぞくりと水銀燈に寒気が走る。先ほどまでの真面目な感じが雅也からなくなり、不吉な感じがあふれ出す。<br><br>それはまさに水銀燈の脳裏にこの短時間での雅也の行動が蘇り、そして今の状況に照らし合わせる。<br><br>ベッドに座る自分、雅也の頭では二人は婚約している、時刻は夕方。<br>「今夜は……ふむ。やはり、結婚してからの方がいいのか。いや、だが……。」<br><br>「――――寝るわ。」<br>これ以上雅也の前に姿を見せているのは危険だと判断した水銀燈は少し慌てた様子でトランクの中に入る。<br><br>鍵をかける事も忘れない。<br><br>トランクの中に潜んでいた人工妖精のメイメイがきらりと輝き<br>「メイメイ。貴方はどういう基準であんなマスターを選んだのよ。」<br>それに対し、メイメイは困ったように明滅を繰り返すしかなかった。<br><br>あとがき<br><br>つかれた笑。作者の鬼光死です。<br><br>壊れた生活2はどうでしたか？<br><br>言葉って難しいですねwww。この先、ちゃんと続けていけるか心配です。<br><br>ではでは、次の更新をお待ちくださいませ！！<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/miyabi0518/entry-11186874451.html</link>
<pubDate>Thu, 08 Mar 2012 20:33:00 +0900</pubDate>
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<title>壊れた生活</title>
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<![CDATA[ 生まれ出たときの記憶がないということを人はどう思っているのだろうか。<br><br>ビデオや写真という記憶媒体を通して、記憶にない己の姿を見て安心するのだろうか。<br><br>ああ、自分はちゃんとこの世に生まれ出たという証が存在していると。<br><br>ならば、それがなかったとしたら。誰も己が生まれたという事を知らず、己だけが気がつけば存在していたとしたら。<br><br>何時の頃からかは記憶がないので分からないが、自分は気がつけばそういう存在だった。<br>「これで、十七回目の人生か。」<br>死と生との流転を彷徨う存在としては、生から死ではなく、死から生へと流転する感触は何時味わっても何ともいえないものがある。<br><br>生れ落ちる瞬間に記憶を持っているものなど世界を探しても己みたいなものだろう。<br><br>今回は『中澤 雅也』は柔らかな布団の上で目を覚ました。<br><br>目を開いて最初に目に入るのは壁に貼られたメイド服を着たアニメの女のポスター。<br><br>飾られたこれまた女の子のフィギュア。本棚には漫画の本がびっしりと詰まっていて、視線をその横に向ければゲームが詰められた棚が目に入る。<br>「――これはまた、世界は変わったものだ。」<br>雅也は己の部屋をまるで始めて見たかのように見渡すと、ふとベッドの隣に置いてある鏡張りの机の上に置かれている紙に目をつけた。<br><br>真っ白な紙の上にただ『まきますか、まきませんか』という言葉だけが書かれている。<br><br>雅也はまるでそうすることが当然のように机の上に置かれていた筆箱から鉛筆を取り出すとまきませんかの所に印をつけようとした。<br>「なにを、しているんだ？」<br>そこではっと雅也は我に帰る。まるでなにか得体の知れない何かに操られるような感覚で『まきませんか』の箇所を丸しそうになっていた。<br><br>じっと何の変哲もない紙を眺める。そして、まるで得体の知れないものに逆らうように雅也は『まきすまか』の方をチェックした。<br><br>なにか嫌な予感が雅也を襲ったが、別に気にすることもないと雅也は汚れた部屋を見渡す。<br><br>どうやら、十七回目の人生の始まりは掃除から始まるようだ。<br><br><br><br>未成年が所持していてはいけないはずの本が二十五冊。だいぶ前に発行されたであろうゲーム雑誌が四十二冊。プラモデルの箱が六箱。<br><br>雅也はとりあえず目に付くものを整理していった結果に出現したそのゴミを眺めながら、小さく呆れたように溜息を吐いた。<br><br>掃除をする前に今回の体はどのようなものかと鏡を見たのだが、なかなかの体つきをしていた。<br><br>細身だが健康的な体、顔も伸ばしっぱなしの前髪を何とかすればそれなりに見栄えはいい。<br><br>身長は170前後。どこにもガタのない健康的な体である。だが、ほとんど外に行かないのか肌は女性の肌のように白い。<br>「なんたる惰弱な体だ。前の体も鈍らではあったが、ここまでではなかった。」<br>自分の体を雅也はそう言って侮辱すると、まぁ仕方ないとゴミの本を縛る縄を探すために部屋を出た。<br><br>雅也の部屋は一軒家の二階に存在し、記憶を探ると縛れそうな網のようなものは物置にあるとわかる。<br><br>階段をトントンと下りていくと一階でなにやらキャイキャイと騒がしい声が雅也の耳に入る。<br><br>大方、妹あたりが友達を呼んで遊んでいるのだろう。別段気にすることではない。<br><br>前までの雅也はこういう状況であるならば部屋に引き返し、妹の友達がどこかに行くまで部屋に閉じこもっているのだが<br><br>今の雅也が同じように行動してやる義理はない。<br>「あ、あの人。芹香ちゃんのお兄ちゃん？」<br><br>「えっ？　お兄ちゃん？」<br>妹の声が聞こえて、そちらにちらりと視線を向けると開けられたリビングのドアを通して妹の友達と目が合った。<br><br>愛想笑いを浮かべ軽く会釈をしたので、雅也もそれに返す。そして、目的の場所に行こうと背中を向けて<br>「ちょっとごめんね。」<br>という妹の声と共にリビングのドアが閉められ、足早に妹は雅也に近づいた。<br>「ちょっとお兄ちゃん！　友達がいるときは降りてこないでって言ってるじゃない！！」<br><br>「なぜだ？　ここは芹香の領土というわけではあるまい。」<br><br>「うわっ。なに、その言葉遣い？　また何かのアニメのキャラの真似？」<br><br>「これが普通だ。」<br><br>「うわぁ。やめてよ。もう、早く部屋に帰って！　友達が来てるんだから！！」<br><br>「なら、俺のことなど気にせず遊んでいればいい。可笑しな奴だなお前は。」<br>雅也は呆れたように肩をすくめて見せると芹香から視線を外し、物置へと向かった。<br>「ちょっと、お兄ちゃん！？」<br>背後からぐいっと肩をつかまれ、雅也は邪魔だといわんばかりにその手を払いのけると物置へと向かった。<br><br>後ろのほうで芹香が何か文句を言っているが雅也は意識的にその声を無視する。<br><br>そして、物置で目的のものを見つけると自分の部屋へと雅也は帰っていった。<br><br>その際、芹香がいたはずのリビングはもぬけの殻で、その友達の姿もそこにはなかった。<br><br>自分の部屋に帰ってきた雅也はそこで自分が部屋を出たときにはなかったはずの年代もののトランクに気がついた。<br><br>ひとまず倉庫から取ってきた縄とはさみを机の上に置くと、トランクの前に座り込む。<br><br>とりあえずは中身を確認しようとトランクをあけ、そして中には言っているものを見て雅也は眉をしかめた。<br>「人形？　それも、随分と精巧な……。」<br>漆黒の衣装とそれに栄える白銀の髪。眠っているような安らかな顔は人間のソレと変わらないほど上手く作られている。<br><br>雅也はしばらくそれを眺めると、綺麗に立てられたフィギュアに視線を向ける。<br>「とりあえず飾っておくか。」<br>意思を言葉にして明確にすると雅也はトランクから人形を取り出す。<br><br>その際にポロリとゼンマイが人形の手から零れ落ち、卓はこの人形の付属品だろうとその手に再び握らせた。<br><br>そして、胸を強調するような姿勢で明るい笑みを浮かべているフィギュアの隣に人形を置くとゴミの方へと向き直った。<br><br>動くたびに目に入りそうになる前髪をうっとうしいと掻き揚げると雅也はゴミの整理を始める。<br><br>すると整理を始めて数分も立たぬうちに背後で何かが落ちる音がした。<br><br>視線を向けてみれば、先ほど人形に持たせたはずのゼンマイが再び落ちていた。<br><br>雅也はそのゼンマイを拾い上げると、持たせたはずの人形を見た。<br><br>先ほどと何の変化もなく、人形は無言でそこに存在する。<br>「これは……もしや、あの物の怪というものか。」<br>なぜそこまで思考が飛躍するのかは雅也本人にも分からないが、とりあえずなんとかしようと雅也は人形を抱き上げた。<br><br>そしてその背中に丁度ゼンマイの差し込める場所を発見すると迷うことなくゼンマイを差し込んだ。<br><br>するとキリキリとゼンマイは独りでに回りだし、それと呼応するように人形の瞳が開かれていく。<br><br>人形はふわりと浮いて、雅也の手から離れるとその瞳に人を馬鹿にしたような色を浮かべて笑い始めた。<br>「貴方が私のネジを巻いたのぉ？　なんかつまんないカンジぃ。」<br><br>「やはり、か。」<br><br>「……その視線がなんか嫌な感じだけどまぁいいわ。さっさとこれを指に嵌めなさい人間。」<br>雅也は人形の手のひらの上に置かれている指輪に視線を向ける。<br>「指輪？」<br><br>「他の姉妹達のように選ばれるのを待つなんて水銀燈はしない。私が選び、私が決める。人間、貴方はねぇ、私の糧となるの。」<br><br>「糧？」<br><br>「そうよぉ。アリスゲームを制する為のねぇ。」<br><br>「そうか。人生を十七回も経験しているがこんな展開は初めてだな。」<br>雅也の不思議な物言いに水銀燈は首をかしげ、そして次の言葉でその顔を真紅に染めた。<br>「初対面の人形に婚約を申し込まれるとは。世界も変われば変わるものだ。」<br><br>「こ、婚約ぅ？」<br><br>「それにしても私が決めて、私が決めるとは随分と一方的な求婚だな。まぁ、それだけ女性が強くなったという事なのだろう。」<br><br>「ちょっ、ちょっと待ちなさい。鈍い人間ね。私はねぇ、貴方を糧とするといってるのよぉ？　アリスゲームを制する為のいけにえよ。」<br><br>「物騒な言葉が飛び交うようになったものだ。前の人生では、むしろ男が主導権を握っていたのだが。」<br><br>「ちょっとも聞いてるの貴方？」<br><br>「まぁそう気にすることもない。いいだろう。お前の申し込みを受けようではないか。」<br>水銀燈の言葉を無視して、雅也は勝手に自分の中で結論を出すとその指輪を左手の薬指に躊躇なく嵌める。<br><br>キラリと指輪が輝き、力が水銀燈へと流れる。<br>「ふふっ。おばかさんねぇ。よくわからないけど、これで貴方は私の糧となって、死ぬのよ。」<br><br>「そうか。婚約したばかりなのにもうそんなことを考えているのか。まったく、強くなると羞恥を失うとは別であろうに。」<br><br>「何を言って？」<br><br>「夜伽で俺の精を吸い尽くすと言っているのだろう。心配するな。物の怪がどういう存在であるかは分かっている。」<br><br>「よ、夜伽ぃ！　ちょっと、人間！！」<br><br>「そう大声で言うな恥ずかしい。だが、そう簡単に吸い尽くせると思うな。俺とて、なんどかの経験はある。そう簡単に負けんさ。」<br><br>「……！！」<br><br>「水銀燈と言ったな。求婚した相手を人間と大きな規模で括った呼び方をするな。俺は中澤雅也だ。雅也と呼べ。」<br>そう言うと、雅也は少し赤くなった頬を隠すように座り込みゴミへと向かい合う。<br>「さ、さっきから変なことばっかり言ってぇ、人間その馬鹿みたいな誤解を解くから話を聞きなさい！！」<br><br>「雅也だ。」<br><br>「そんなのどうでもいいのよ！！」<br><br>「雅也と呼べ。そうしたら話を聞いてやる。それと、喚く前にお前が散らかしたこの羽を掃除しろ。」<br><br>「ぐっ、このっ。」<br><br>「喋るな。手を動かせ。」<br>この後、水銀燈は律儀に雅也のことをちゃんと名前で呼び、人口精霊を用いて部屋の中に散らばった羽を掃除し、雅也の誤解を解こうとするのだが。<br><br>暖簾に腕押し、馬の耳に念仏、全くといっていいほど雅也の勘違いは解けず、疲れるだけという結果となる。<br><br>これが、薔薇乙女が一人である水銀燈の今回のアリスゲームの始まりであった。<br><br>あとがき<br><br>お久しぶりです。作者の鬼光死です<br><br>今回は原作よりのローゼンネタでかいていきます。<br><br>中澤家の雅也とは違いますので。性格も変えてますので。<br><br>ローゼンでは銀様好きなので、メインヒロインにさせてもらいました。<br><br>たくさんコメントもらえたら、嬉しいなー。<br><br>ではでは、次の更新をお待ちくださいませ！！<br>
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<link>https://ameblo.jp/miyabi0518/entry-11186258260.html</link>
<pubDate>Thu, 08 Mar 2012 02:35:00 +0900</pubDate>
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<title>中澤家 第１話 『フンドシ親子再び！？』</title>
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<![CDATA[ 外道「親父・・・。まだかよー・・・」<br><br>こいつらは何故か公園のトイレにいた。どうやら、ソトミチは用をたしてるらしい。(大のほうを笑)<br><br>ソトミチ「もうちょい・・・。すげーのが出そうだ・・・」<br><br>外道「親父・・・。余計な説明いらないから、早くしろよ・・・」<br><br>ソトミチ「ん？？」<br><br>トイレットペーパーがない・・・<br><br>ソトミチ「のぉぉお！？紙ぃ～～～～！！！？」<br><br>外道「なんだよ？うるさいな～？親父どうした？」<br><br>ソトミチ「か、紙がねぇー・・・。ふざけんなー！？公園管理がなってねぇーじゃねぇか！！わああああぁぁぁ～～～！？」<br><br>外道「紙ぐらいでキレるなよ・・・。」<br><br>だが、ソトミチは吠えまくる笑<br><br>ソトミチ「やべー！？息子よ・・・。ティッシュ・・・」<br><br>外道「あるわけないだろ！？」<br><br>即答で答える。<br><br>ソトミチ「ぶっｗｗ」<br><br>ソトミチ(これは、非常にまずい・・・。この危機を脱け出す方法は・・・・！？)<br><br>なにか閃いたようだ。<br><br>ソトミチ「紙ぃ～～～！！！？ヘルプミー～～！！！？誰か～～～」<br><br>外道がいるのになぜ、頼まない笑<br><br>余程テンパってるらしい。<br>雅也「む？？何事だ・・・。やたらとうるさい声が聞こえるな・・・。」<br><br>仕事の買い出し中の雅也が通りかかった。<br><br>お人好しの雅也は何事かと思い、トイレの方へ向かった。 <br><br>ソトミチ「誰かきてくれ～～～！！！？」<br><br>雅也「何事だ？？いったい・・・・」<br><br>外道「ん？？お前は・・・・。前、公園にいた熊じゃないか？？」<br><br>ソトミチ「熊！？？そんなのはどうでもいいぃ～～～。それより紙ぃ～～！！！？」<br><br>雅也「というか、なぜ・・・。ドアを開けたまま用をたしておるのだ・・・」<br><br>そう。何故か、ドアを開けたまま用をたしてるソトミチ。<br><br>外道「あぁー・・・。親父は何故か・・・。ドアを開けたままじゃないと落ち着かないみたいなんだ・・・。」<br><br>雅也「そうなのか・・・？それよりもこれを使え・・・」<br><br>買い出し袋から、トイレットペーパーを出し、ソトミチに渡す。<br><br>ソトミチ「おぉ～！？？天の恵み！！たすかる・・・」<br><br>さっそくトイレットペーパーの袋を開け、ケツを拭く。笑<br><br>ソトミチ「ふぅ～・・・。トイレの神様っているんだな？？トイレットペーパーが目の前に出てくるとは・・・・。って、お前は俺のソトミチパンチを喰らっても効かなかった熊野郎じゃないか！？？」<br><br>フンドシを絞めながらソトミチは言う。<br><br>雅也「ん？？あぁ～・・・。貴様はあの時の・・・」<br>ソトミチ「まあ、助かった。礼をいう・・・。」<br><br>外道「親父が礼を言うなんて、余程ピンチだったんだな？？」<br><br>ソトミチ「まあな・・・。危うく、お気に入りのフンドシが黄色くなるとこだったぜ・・・」<br><br>外道「きたなっｗｗ」<br><br>雅也「まあ、よくわからんが・・・。俺は急いでおるので・・・。」<br><br>ソトミチ「まあ、待て！？」<br><br>立ち去ろうとする雅也を呼び止める。<br><br>ソトミチ「良し。飲みにいくぞ！？奢ってやる」<br><br>雅也「生憎、俺は酒は飲まんのでな・・・。」<br><br>急いでいるのに律儀に答える雅也。<br><br>ソトミチ「まあ、そういうな・・・。俺が飲みたいんだ！？大人の付き合いをしろ」<br><br>馴れ馴れしく雅也の肩を組んで言う。<br><br>雅也「おいっ！？止めろ・・・。俺は仕事が・・・」<br>外道「親父、しつこいから、諦めたほうがいいぞ？？熊公～？」<br><br>雅也「うーむ・・・。」<br><br>ソトミチ「なあ？？俺達この辺よくわからんから、飲み屋しらないか？？」<br><br>雅也「飲み屋か・・・。一件ならわかるが・・・」<br><br>ソトミチ「良し。そこに行こうじゃないか！！レッツゴー・・・」<br><br>三人は店に向かうのであった。<br><br>ソトミチ「おっ！！ここか・・・。」<br><br>外道「バー・ドリーム？？」<br><br>カラン、カラーン・・・。<br>店のドアを開けた。<br><br>オーナー「おや？随分と遅かったね？雅也・・・。」<br>雅也「あぁー・・・。」<br><br>この店の店主であるオーナーが言った。<br><br>オーナー「これは随分と個性的な人たちが来たね・・・。雅也の知り合い？？」<br>雅也「知り合いというか・・・。」<br><br>オーナー「まあ、君のことだから・・・。どうせ、困ってる人を助けたんでしょ？？」<br><br>クスクスと笑いながら言う。<br><br>雅也「まあ、そんなとこだ・・・」<br><br>そういうと、店の奥へ向かった雅也。<br><br>ソトミチ「ん？？ここはホストバーか？？」<br><br>オーナー「そうともいうのかな？？基本、この店は僕と雅也しかいないけどね・・・。何を飲みます？」<br><br>酒の準備をする。<br><br>外道とソトミチはカウンターの椅子に座った。<br><br>ソトミチ「俺はソトミチスペシャルだ。」<br><br>外道「俺は・・・。ベルモットムーンで」<br><br>オーナー「ソトミチスペシャルにベルモットムーンですね・・・。少々お待ちを・・・」<br><br>外道「親父・・・。なんだよ？ソトミチスペシャルって・・・」<br><br>ソトミチ「知らんｗ」<br><br>外道「ぶぶっｗｗ」<br><br>こいつら、無茶苦茶な親子だな笑<br><br>ソトミチ「お前こそベルモットムーンって笑」<br><br>外道「適当だｗｗ」<br><br>二人「がっはははは・・・」<br><br>大笑いする二人。<br><br>オーナー「お待たせしました。ソトミチスペシャルにベルモットムーンです。」<br>ソトミチスペシャルは虹色みたく、何層も色がついた不思議なカクテルだった。<br>因みにベルモットムーンは淡い紫色の綺麗な炭酸系のカクテル。<br><br>ソトミチ「・・・・。マジか！？」<br><br>外道「普通に出てきたしｗｗ」<br><br>唖然とする二人。<br><br>オーナー「僕くらいになると、普通にあるカクテルしか作れないのは二流・・・。お客様が言ったものを作れて初めて一流ってよべるものだとおもってるよ？？」<br><br>ソトミチ「なるほどな・・・」<br><br>外道「すげーな。」<br><br>感心する二人。<br><br>オーナー「お二人とも、どうぞ・・・。」<br><br>カクテルをすすめる。<br><br>ゴクッ・・・。<br><br>外道「うまっｗ」<br><br>ソトミチ「不思議な味だけど、嫌いな味じゃないな・・・。」<br><br>オーナー「それは、お褒めな言葉ととってもいいのかな？クスッ・・・」<br><br>クスリと笑う。<br><br>カラン、カラーン・・・。<br>店のドアが開いた。<br><br>マダム「こんばんわぁ～・・・。雅也いるぅ～？？たくさん、人つれてきたわ～」<br><br>鼻につくしゃべりだ。猫撫でた声で・・・。どうやら、この客は常連らしい。<br><br>オーナー「これは、これは・・・。マダム。いらっしゃいませ。雅也なら今くると思いますから、お席にどうぞ・・・。」<br><br>マダム達数十人を席に案内した。<br><br>外道「マダムだな・・・。いかにも、金もってますーって感じだな？親父・・・。」<br><br>ソトミチ「あぁ～・・・。それにしても、熊野郎って人気あるんだな？」<br><br>コクリとカクテルを飲み、オーナーに言う。<br><br>オーナー「まあ、雅也はある一部の人には人気があってね～・・・。貴婦人方達には人気でね～。若い子はからっきしだけどね。クスッ・・・」<br><br>ソトミチ「ふーん・・・。」<br><br>一方、雅也は<br><br>雅也「今日は随分と・・・って！？ベタベタするな！？何回・・・」<br><br>マダム「もおぅ～・・・。雅也ったら。怒った顔も素敵よ？？」<br><br>ベタベタとくっつくマダム達。<br><br>雅也「き、き、貴様ら・・・。何度もいってるだろが・・・。煙草なんぞ・・・。クドクド」<br><br>お客さんに説教する雅也。それを、軽く流すマダム達。<br><br>ソトミチ「なんか、あいつ・・・。説教してるしｗ」<br>外道「わやだなｗｗ」<br><br>そんな話しをしていると、また、ドアについてるベルが鳴った。<br><br>カラン、カラーン・・・<br><br>先ほどのマダムたちとは違い、２０代後半辺りの女性達がきた。<br><br>オーナー「いらっしゃいませ。初めてのお客様ですね？？バードリームへようこそ・・・。こちらの席へどうぞ。」<br><br>オーナーは女性達を席に案内した。<br><br>外道「なんだかんだ、この店は繁盛してるんだな？」<br>ソトミチ「そうだな・・・。」<br><br>外道たちが話しをしてると、少々困り顔でオーナーが戻ってきた。<br><br>オーナー「困りましたねー・・・。まさか、団体様がくるとは・・・。」<br><br>ソトミチ「ん？臨時はいないのか？？」<br><br>オーナー「そうですね・・・。いるにはいるんですけどね・・・。あまり使い物にならない人達ばかりで・・・。」<br><br>どうやら、オーナーと雅也以外はたいしたことないみたいだ。<br><br>ソトミチは少し考え、オーナーに提案をした。<br><br>ソトミチ「熊野郎には世話になったから、俺達がなんとかしてやろう。」<br><br>外道「俺もかよｗｗ」<br><br>オーナー「・・・・。そうですか。ルックスも悪くありませんから、お願いできますか？」<br><br>ソトミチ「任せろ！！あっ、さすがにこの格好じゃ貴婦人方には失礼だ。スーツを貸してくれ。」<br><br>外道「親父・・・。一様、常識はあったのかｗｗ」<br><br>オーナーはクスリと笑い、店の奥に案内した。<br><br>ソトミチ「はじめまして。バードリームへようこそ！？期待の新人、ソトミチことソッティ～っと呼んでくれ。」<br><br>外道「俺は外道だぜ。」<br><br>ソトミチ達は軽く挨拶した。<br><br>女性達はある一点に集中し、一人の女性が質問した。<br>客「あの～・・・。上はスーツなのに下はなんでフンドシなんですか？」<br><br>女性達、全員クスクスと笑っている。<br><br>ソトミチ「うむ。よく聞いてくれた。フンドシは男のロマンだからな・・・。」<br>フンドシのことを語りだすソトミチ。<br><br>客「意味わからないけど・・・。かなり、うけるんだけど笑」<br><br>ソトミチ「がははは・・・」<br><br>この席一角、笑い声で絶えなかった。<br><br>雅也(あいつら・・・。)<br><br>マダム「雅也・・・？どおしたの？？ぼぉーっとして？」<br><br>雅也「なんでもない！！トイレにいく。」<br><br>マダム「私もついてくわぁ～！」<br><br>雅也「くるな！！大人しく座っておれ！！」<br><br>そういうと雅也は席を立ち、オーナーの方へ向かった。<br><br>雅也「オーナー・・・。」<br>オーナー「おや？どうしたんだい？雅也・・・・。それにしても、君の知り合い・・・。良い働きするね？？雇っちゃうかな？クスクス・・・。ほら？見てごらん？彼達、ホント面白いね・・・。初めてお客様なのに・・・。あんなに楽しそうにお酒を飲んでるよね！彼らは才能あるのかな？」<br><br>クスッと笑い、雅也に言った。<br><br>雅也「・・・・。」<br><br>ソトミチ「オーナー？ドンペリ追加ね～！！」<br><br>オーナー「少々お待ちを・・・。今日の売り上げ楽しみだね・・・。」<br><br>そういうと、オーナーはドンペリを取りに店の奥へ消えた。<br><br>数時間後・・・<br><br><br>オーナー「ありがとうございました・・・。また、お越しを・・・。」<br><br>客「ホント、今日は楽しかったです！また、来ますね～。」<br><br>オーナー「・・・。お待ちしてますね。」<br><br>最後のお客様を見送った。<br>楽しそうに喋りながら店から出ていく女性達。<br><br>オーナー「雅也・・・。お疲れ様。そういえば、彼ら達は？？」<br><br>雅也「ん？？一人はソファーで酔っぱらいながら、飯を食べておる。」<br><br>外道「おっ。酒あとのラーメンは格別だな！しかし、熱いな・・・。全裸になりたい気分さ」<br><br>どれだけ、飲んだかしらないけど。よく食べれるもんだ笑<br><br>オーナー「もう一人の彼は？」<br><br>雅也「あぁ・・・。さきほど、トイレを借りるといってたぞ。」<br><br>ジャバジャバーっとトイレの水を流し、ソトミチが出てきた。<br><br>ソトミチ「ひゃっほー！最高な気分だぜ！！しかし、ねむてーぜ。」<br><br>ソトミチはかなりテンションが高かった。<br><br>オーナー「雅也・・・。片付けは僕がやっとくから、今日は上がっていいよ？彼ら、あの状態じゃあぶないから・・・。そうそう・・・。彼らに伝言伝えといて。良かったら、また手伝いしてみない？って」<br><br>ソトミチ達はなぜか、相撲をとっていた。<br><br>ソトミチ「がっははは。まだまだだな？まだ、息子ごときには負けん！」<br><br>外道「くそっ！」<br><br>雅也「わかった・・・。おい！貴様ら、店からでるぞ！」<br><br>二人「うい～・・・」<br><br>三人は店から出た。<br><br>雅也「貴様ら？家はどこだ？先ほどとは違い、随分と静かだな？」<br><br>ふと、雅也は後ろを振りかえると・・・。<br><br>ソトミチ達がいない。<br><br>雅也「どこへいったのだ・・・？？」<br><br>雅也が横にあるゴミ箱の所をみたら・・・。ソトミチ達ががー、がー・・・といびきをかきながら寝ていた。<br><br>ソトミチ「ｚｚｚ・・・。もう、飲めん・・・」<br><br>外道「・・・ｚｚｚ。」<br><br>雅也「・・・・。おいっ！！貴様ら！！起きんかー！」<br><br>怒鳴りちらす雅也だが、ソトミチ達は夢の世界だった。<br><br>雅也「はぁ～・・・。しかたあるまい・・・。」<br><br>雅也はタクシーを呼び、自宅へ帰ることにした。勿論、マサルタクシーである笑<br>勝「ん？？雅也じゃないか？偶然だな・・・」<br><br>ニヤニヤする勝。<br><br>雅也「勝！？なんで、貴様が・・・。」<br><br>勝「なんでっていわれてもな～・・・。呼んどいてなんだ？そのセリフは！」<br><br>１号「そうだ！そうだ！」<br>２号(じぃ～～～)<br><br>３号「図に乗るなよ？お前に意見なんてないんだよ～。」 <br><br>仮面連中も勝の後ろで言う始末。笑<br><br>雅也「な、なんかよくわからんが・・・。すまん。」<br>わかからないくせに謝る雅也。<br><br>勝「まあ、わかればいい。そのゴミ箱にいる連中どうしたんだ？」<br><br>雅也「む！そうだ・・・。勝！手伝え。さすがに、放置するわけにもいかんだろ。」<br><br>勝「ほーい・・・。」<br><br>勝(これは、また楽しくなりそうだな。)<br><br>勝が笑みを浮かべていた。<br>雅也「勝？なにわらっておるのだ？」<br><br>勝「いや。気にするな。」<br>雅也の頭に？？が浮かんだ。そんなやりとりがあり、中澤家へ向かった。<br><br>雅也「ただいま。」<br><br>千郷「あ、お兄ちゃんおかえり～♪」<br><br>パタパタと足をたてて、兄の出迎えをした。<br><br>理想の奥さんになりそうだよね？笑<br><br>千郷「あれ？お兄ちゃん・・・。その人達は？？」<br><br>千郷は首を傾げて、雅也に聞いた。<br><br>雅也「・・・・。」<br><br>雅也(し、しまった・・・。なんて、説明をしたら・・・)<br><br>返答に困ってる雅也。すると勝が後ろからきて、話しを切り出した。<br><br>勝「あぁー。こいつらは雅也の同僚だ。どうやら、こんな状態だからさ。」<br><br>雅也(ま、勝！すまぬ・・・。助かる！)<br><br>勝(なぁ～に。気にするな。貸し一つな？)<br><br>ボソボソと雅也と勝は話す。<br><br>千郷「そうなんですかー(o^v^o)」<br><br>純粋に勝の言葉を信用する千郷。長年の付き合いってやつなのかな？笑<br><br>すると、ソトミチが目を覚ました。<br><br>ソトミチ「ん・・・？ここは・・・。俺は知らないうちにテレポートをつかえるようになったのか～！？」<br>ダメだこいつ笑。まだ酔っぱらってるようだ。<br><br>雅也「目が覚めたか？？ここは俺の家だ。」<br><br>千郷「はじめまして～(o^v^o)中澤千郷といいます♪兄がお世話になってます。」<br><br>ペコッとお辞儀をする千郷。<br><br>ソトミチ「あ、ああー・・。これは、これは。ご丁寧にお嬢さん・・・。」<br><br>つられて土下座をするソトミチ。笑<br><br>雅也「上がったらどうだ？」<br><br>ソトミチ「おぉー♪邪魔するぜ！起きろ？息子よ・・・」<br><br>外道をバシバシとビンタで起こす。<br><br>外道「い、いって～～～！なにすんだ？親父！っておや？こんなとこに可愛いお嬢さんが・・・」<br><br>千郷「ど、どうも・・・。」<br><br>外道が握手をしようとしたら、横から雅也が手を叩く。<br><br>雅也「おい？貴様！汚い手で妹の千郷に触るな。」<br><br>千郷「もう～。お兄ちゃん・・・。握手くらい・・・」<br><br>外道「ちゃんと手ぐらい洗ってるぞ？失礼な！シスコンが！！お前は今日から熊野郎からバカ兄貴だ。」<br><br>ソトミチ「がっははは。傑作だな。バカ兄貴？」<br><br>ズカズカと居間に向かう二人。<br><br>雅也「ば、バカ兄貴だと～！？貴様ら待て～！」<br><br>ソトミチ達を追いかける雅也。<br><br>千郷「もう～、お兄ちゃんったら～(^o^;)勝さん、あがっていきますか？」<br><br>勝「いや。今日のとこはまだ仕事残ってるからな。また、今度にするよ。」<br><br>千郷「そうですか～♪お仕事頑張ってください(&gt;_&lt;)」<br><br>勝「あいよ～。」<br><br>その頃、ソトミチ達は・・・。<br><br>外道「親父～？こんなとこに・・・」<br><br>ソトミチ「なんだ？なんかあるのか？？」<br><br>外道「なんもねぇーよ！！」<br><br>バフッと屁をかけた。<br><br>ソトミチ「うわっ。く、くせー！！このやろう～・・・。これでもくらえ！」<br><br>バチッ・・・・。バフッより強力な感じだ笑<br><br>外道「ぶほｗｗ」<br><br>そこへ、雅也登場。<br><br>雅也「き、き、貴様ら～～～～～！！いいかげんにせぬかー！？」<br><br>外道「やべー。バカ兄貴がきたぞー。」<br><br>ソトミチ「ひゃっほー！鬼ごっこだぜー」<br><br>居間にあるテーブルの周りを回る三人。そして、それを微笑ましく笑顔でいる千郷。<br><br>終わり？笑<br><br><br><br><br><br><br><br>次回予告？笑<br><br><br>雅也「なんだこれは？酷すぎるではないか！」<br><br>鬼光死「うるせーよ。頭ではわかってるけど、いざ言葉にすると難しいんだよ！」<br><br>雅也「むっ・・・。そうなのか？？」<br><br>鬼光死「次回は奈々達が夕食にやってくる話しかな？」<br><br>雅也「おい！今回は外道達が騒いでおわったが、これからはどうなるんだ？」<br><br>鬼光死「・・・・。あいつらなら何気なく居座りそうだけどな・・・。ニヤリ」<br>雅也「お、おい！ふ、ふざ・・・」<br><br>鬼光死「次回もまたあいましょう～♪ばいならー(o^v^o)」<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/miyabi0518/entry-10804773198.html</link>
<pubDate>Thu, 17 Feb 2011 23:39:05 +0900</pubDate>
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<title>中澤家外伝『雅也』編 後編</title>
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<![CDATA[ 千郷がドアを開けると、目の前にはシックな黒いドレスに身を包んだ女性が立って居た。<br><br>自慢の美しいブロンドをなびかせて。<br><br>カト「パスポート、拾ってくれてどうもありがとう、初めまして私はカトリーヌって言うの、宜しくねぇ、キュートなお嬢さん」<br><br>フランクな挨拶、そしていたずらっぽくウインクをする。<br><br>千郷「あ、は、はい！初めまして、中澤千郷といいます！」<br>千郷はカトリーヌの予想以上の美貌に見とれて、慌てて挨拶を返した。<br><br>千郷（うわぁ、電話の声もそうだったけどやっぱり綺麗な人だなぁ）<br><br>千郷はしばし呆然としていたが用件を思い出し、はっとなる。<br><br>千郷「そ、そうだ！パスポートですよね！ちょっと待っててくだしゃい！」<br><br>慌てすぎて最後に噛んでしまう。<br><br>千郷「お兄ちゃんパスポート取ってくれる？<br><br>リビングでは食事を終わらせた雅也と勝がくつろいでいた‥ように見えた。<br><br>雅也「結局貴様が千郷の作った卵焼きをほとんど食ってしまったのではないか！」<br><br>勝「ガタイのわりに小さい事を言うやつだな、お前は毎日食えるんだからいいじゃないか、朝からやかましい奴だな、熊は黙って冬眠してろ」<br><br>雅也「な、なにおぅ～！！」<br><br>２人は何か激しく口論していた。<br><br>千郷「あの～お兄ちゃ～ん？‥まぁいいか」<br><br>千郷はその光景をスルーしてテーブルの上のパスポートを持ちまた玄関へとパタパタと走り出した。<br>カトリーヌ「ありがとう、お礼といってはなんだけどJapanのお茶菓子買ってきたの」<br><br>カトリーヌはあらかじめ用意したおみやげを差し出した。<br><br>千郷「ええっ！いいですよ！お気遣い無く、拾ったのはたまたまでしたし‥」<br><br>千郷は遠慮するが、カトリーヌはいたずらっぽく微笑む。<br><br>カトリーヌ「いいのよぉ、これ位はさせてちょうだい」<br><br>そしてカトはわざとらしくパタパタとそのセクシーな胸元を手であおぎ始めた。<br>カト「それにしても今日は暑いわねぇ‥喉がもうカラカラよぅ‥冷たい飲み物が欲しくなっちゃうわねぇ、それになんだかんだで結構歩いちゃったから足もクタクタ‥どこかで休みたいわぁ‥」<br><br>チラチラと千郷を見るカトリーヌ、素人目に見てもかなりわざとらしい演技とわかる。<br><br>千郷「あっごめんなさい！麦茶で良ければ飲んで行きますか？お茶菓子なんか頂いちゃってかえって申し訳無いし、狭い所ですが奥にどうぞ」<br><br>カトリーヌは少し目をぎらつかせたが、すぐに笑顔になった。<br><br>カトリーヌ「まぁ‥いいの？」<br><br>千郷「遠慮しないで下さい、どうぞどうぞ」<br><br>カトリーヌ「‥じゃあお邪魔するわねぇ‥」<br><br>カトリーヌはリビングに案内する千郷の背後で小悪魔っぽく微笑んだ。<br><br>そうここまでは彼女の計算通り。彼の妹に接触するという目的は果たしたし、後は彼に会うだけ。<br><br>雅也「むっ！なぜか寒気が‥何かとてつもなく嫌な物が近づいてるような‥」<br><br>勝と口論していた雅也だったが、突然の悪寒に身をすくませる。<br><br>勝「ん、気のせいだ気のせい」<br><br>勝はニヤリと笑う、そう筋書き通りとも言わんばかりに。<br><br>カトリーヌを雅也と接触させる、それをこの青年が仕組んだかどうかはいまだ定かではない。<br><br>勝（しかし、意外と行動が早かったな）<br>そして。<br><br>千郷「お兄ちゃん！お客さんだよ！この人がパスポートの人でカトリーヌさんっていうの」<br><br>座っている雅也と真っ正面から向き合う形でカトリーヌは挨拶をする。<br><br>カトリーヌ「あらぁ？あなたはお兄さんかしら、初めましてカトリーヌよぉ」<br><br>雅也「むっ、俺は中澤雅也だ」<br><br>勝「ぶっｗｗ」<br><br>まもなく千郷が麦茶を持ってやって来た。<br><br>千郷「カトリーヌさんどうぞ飲んで下さい、勝さんもお兄ちゃんもどうぞ、あ、お兄ちゃん！お洗濯してくるから２人にちゃんとくつろいでもらってね」<br><br>千郷は再びリビングの奥へパタパタと駆けていった<br><br>カトリーヌ「ありがたいわね、じゃあ遠慮無く‥」<br><br>と言ってカトリーヌはなんと雅也の膝の上に乗っかった。<br><br>雅也「ぬ、ぬお！なんなのだ貴様！」<br><br>カトリーヌ「あらぁ？ごめんなさいねぇ、てっきり座布団だと‥」<br><br>そう言ってカトリーヌは雅也の隣にある空席の座布団に座りなおす。<br><br>これには意表をつかれた雅也らしくびっくりした様子でカトリーヌを凝視する。<br>雅也（一体なんだったのだ！ま、まあ間違えたと言っておる事だし、よかろう‥）<br>カト（ホッホ～私のお尻の感触を味わってちょっと欲情したのかしら、出会いがしらの作戦は成功ね‥これで普通の男なら今ので股関の事情が人に言えない事になってるはずよ、ほら、あんなに私を見ちゃって）<br><br>考えのすれ違いなど気付くはずもなく、雅也はカトリーヌを凝視したまま、そしてカトリーヌはわざと素知らぬ顔で正面を向いた。<br><br>カトリーヌ「あら‥！運転手さん！？」<br>勝「おや？今頃お気付きですか？お客様、その節はマサルタクシーのご利用有難うございました」<br><br>勝はニヤリとする。<br>カトリーヌ「あらあら！それじゃあ２人は知り合いな訳ぇ？」<br><br>カトリーヌは驚きを隠せない、しばらくポカンとしていた雅也だがこほんと一つ咳払いをした。<br><br>雅也「なんだ？勝貴様、この女を知っておったのか？」<br><br>勝「ああ、ちょっと客としてな」<br><br>カトリーヌ「そうよぉ、雅也あなたの勤めてる店に連れてってくれたのは彼よ‥！？」<br><br>あわてて雅也はカトリーヌの肩をつかみ彼女の口を手でふさぐ、体ごと覆い被さるように。<br><br>カト「むぐっ？」<br><br>雅也「女‥千郷の前でその事言ってくれるなよ‥」<br><br>雅也は今までに無い程、眼光をするどくさせる、そして千郷が今の会話を聞いてないかと思い背筋が凍えた。<br><br>勝「大丈夫、千郷ちゃんは今奥で洗濯中だ」<br><br>勝はつまようじで口をしーしーしながら口を開く。<br><br>勝「あーこいつがホストなんて仕事やってるのを千郷ちゃんが知れば一大事だからな‥自分の兄貴は真面目に営業マンやってると思いこんでるから、だからこいつがホストやり始めてからその事は内緒にしてるのさ」<br><br>カトリーヌ「ぷはぁ！びっくりしたわあ‥そうなの‥事情も知らずごめんなさいねぇ‥」<br><br>雅也「む‥わ、分かれば良いのだ‥かえって、すまんな」<br><br>雅也は口をふさいでいた力を緩めてカトリーヌに謝る。<br><br>見ると彼女のむき出しの白い肩は掴んだ力でちょっと赤くなっていた、雅也は自分の行いを少し反省するとともに、急にしおらしくなるそんなカトリーヌに少しどぎまぎした。<br><br>お互いの距離が近い事に気づいた雅也は余計恥ずかしくなりふっと顔を背けた。<br>カトリーヌ「力づくなんて意外と大胆なのねぇ、それに本当妹さん思いなのね‥雅也、いえバカ兄貴‥」<br><br>カトリーヌは雅也の体がまだ密着してるのをいい事に両手を彼の肩にくるっと回し顔を近付けた。<br><br>そしてそのまま口付けをする。<br><br>雅也「！！？？」<br><br>勝「‥ほ～う」<br><br>カトリーヌ「アメリカ式よぉ」<br><br>雅也には何が起こったのか解らなかった。<br><br><br><br>ほどなくして千郷がリビングに戻って来た。<br><br>千郷「お洗濯終わりっと、あれ？どうしたの？」<br><br>雅也はまるで彫像のように動かない、カトリーヌは雅也からすでに身を離して、何事も無かったかのように麦茶を飲んでいた、若干顔を赤くして。<br><br>勝は我関せずとテレビのチャンネルをころころと変えていた。<br><br>雅也「な、なんなのだ貴様ぁ！！不埒なぁ！！！」<br><br>雅也は立ち上がりガミガミと喚く。<br><br>千郷「ね、ねえ！どうしたのお兄ちゃん！」<br><br>雅也「ち、千郷、違うのだ！この女、俺の唇に唇がくちびるで！？？」<br><br>雅也は気が動転するあまり、もはや言葉もおかしくなっていた。<br><br>勝がテレビを見ながらくっくっと肩を震わせている、番組では地震速報のニュースをやっているだけなので、テレビではなく雅也の様子に笑っているのは間違いないようだった。<br><br>カトリーヌ「大丈夫よぉ千郷ちゃん、彼の体にちょっとお茶をこぼしちゃっただけなの」<br><br>雅也「な、な‥」<br><br>千郷「もう！そんな事でお客さんに怒っちゃだめじゃない！カトリーヌさん、気にしないで下さいねお兄ちゃん、ほらカトリーヌさんに謝って！」<br><br>雅也「あ、あ‥」<br><br>雅也絶句、カトリーヌはいいのよ気にしてないからと千郷に微笑む。<br>勝が肩を震わせたままトイレに駆け込む。<br>程なく爆笑の声が聞こえた。<br><br>千郷「勝さんどうしたんだろ‥それよりもうちの兄が本当に下らない事で怒っちゃってすいません、カトリーヌさんこそ服にかからなかったですか？」<br><br>カト「私は大丈夫よぉ、それよりお茶ご馳走様、私そろそろホテルに帰るわねぇ、久しぶりに団欒って感じで楽しかったわぁ、それとパスポート拾ってくれてありがとう」<br><br>カトリーヌはさも名残惜しそうに立ち上がる。<br><br>千郷「あっ、もうちょっとゆっくりしていっても‥あの‥カトリーヌさんってホテルのお部屋借りて暮らしてるんですよね？しばらく日本に居るんですか？」<br><br>カトリーヌは寂しそうに俯く。<br><br>そう、若干わざとらしく。<br><br>カトリーヌ「ええ‥一応はもう少し、旅費が尽きない限りはねぇ‥」<br><br>と、いって固まったまま動かない雅也をちらっと見る。<br><br>カトリーヌ「でも、先の事考えると困ってるのよぉ‥その内ホテルも追い出されてご飯も食べれなくなるわぁ‥アメリカに帰っても住む家なんかないし‥」<br><br>よよよと泣き真似すらして見せる、健康な一般人男性がこの台詞を聞いていたなら一発で泊まってもらうコースだが。<br><br>千郷「そうなんだ‥ねぇお兄ちゃん！」<br>固まっていた雅也は鶴の一声を聞いたようにビクッとなった。<br><br>雅也「な、なんだ千郷」<br><br>千郷「カトリーヌさんが日本に居る間、ウチに住んでもらわない？部屋は一つ使ってない所空いてるし‥」<br><br>予想外の千郷の提案にカトリーヌはここぞとばかりに顔を輝かせた。<br><br>カトリーヌ「まぁっ、そんな‥いいのかしらぁ」（じわじわ近付くつもりがちょっと予想外ねぇ）<br><br>雅也「な、な、ならん！事もあろうにこの女はさっき俺に不埒な真似を‥」<br><br>千郷「はいはい！お茶をこぼしただけでしょ？お兄ちゃん大人気ないよ、それにカトリーヌさんがこんなに困ってるのに見捨てちゃうわけ！？」<br><br>千郷は両手を腰に当て雅也にむーっと詰め寄る。<br><br>雅也「だ、だがな‥うちは家計的にも二人を養わせる程‥」<br>千郷「それは大丈夫だよ、お兄ちゃんが毎月くれる生活費、余った分は私通帳に貯金してるんだよ、それにお父さんからの仕送りもあるし」<br><br>雅也「オヤジのだと！？そんなのは俺は知らんぞ！」<br><br>千郷「毎月お父さんからもちゃんと振り込まれてるもん、でも私お兄ちゃんからもらってる生活費だけ使ってるから、後お兄ちゃんがくれるお小遣いももらった分だけ使ってるよ」<br>雅也「ぬ‥そうなのか、オヤジめ‥勝手な真似を」<br><br>雅也が思うよりも遥かに莫大な金額が千郷の通帳に振り込まれてる事を千郷は敢えて言わない。<br><br>千郷（お兄ちゃん、絶対に怒るもん、お父さんの事よく思ってないから‥）<br><br>雅也と千郷の父についてはここではまだ明かさない、後に本編にて。<br><br>そして千郷が自分で貯金していた分は専業主婦顔負けのやりくりで中澤家を切り盛りしている成果なのである。<br><br>このお金でいつか父と兄と三人でどこかに旅行にでも行こう、そんな思いを馳せて貯めたお金であるが、千郷からすると目の前で困ってるカトリーヌを捨て置けはしなかった。<br><br>カトリーヌ「あら、千郷ちゃん、私の事は心配しないで頂戴、これからお世話になるなら自分の分はちゃんと生活費としてだすわぁ、まだ少しは蓄えあるし、ここでお仕事も探すつもりだしぃ」<br><br>カトリーヌはウインクして見せる。<br><br>千郷「ねえ、カトリーヌさんもここまで言ってくれてるし、お兄ちゃんいいでしょう？」<br><br>雅也「‥解った、ただし女、先ほどのような真似をしようものならすぐ出てってもらうぞ」<br><br>カトリーヌ「ヒャッホー！決まりねぇ！これから宜しくぅバカ兄貴ぃ」<br><br>カトリーヌは素早く雅也に抱き付くと今度は頬に口付けた。<br>千郷「！‥お兄ちゃんいくらカトリーヌさんが綺麗でも鼻の下あまり伸ばさないでね、」<br><br>千郷が少しヤキモチを妬いてみせる。<br><br>雅也「ち、ちがうのだ、伸ばしてはおらん！‥言ってるそばから！貴様ぁ！！」<br>カトリーヌ「キャー！千郷ちゃん助けてぇ」<br><br>カトリーヌがカサカサと千郷の後ろに回る。<br><br>カトリーヌ「そうそうこれからお世話になる千郷ちゃんにも‥チュッ」<br><br>千郷の頬にも口付ける。<br><br>千郷「もう、カトリーヌさんってば！」<br>千郷は楽しそうに照れ笑いをする。<br><br>雅也「き、き、貴様！しかも事もあろうに俺の大切な妹にまで！そこになおらんか!!八つ裂きにしてくれる！！」<br><br>カトリーヌ「いやーん!バカ兄貴がいじめるわぁ～」<br><br>千郷「ふふ、なんかまたお姉さんが増えたみたい、紫苑さんや伊織さんに、知り合ったばかりの奈々さんも‥みんな素敵なお姉さんって感じ、伊織さんはなんか可愛いけど‥笑」<br><br>ドタバタしてる二人を後目に千郷はそんな事を思っていた。<br>かくして中澤家に住み込みで家族？が一人増えたのだった。<br><br><br><br>一方‥トイレでは。<br><br>勝「ああ、笑った笑った‥そんな事より予想斜め上の展開だな、あの女まさか中澤家に居着く所までいくとは‥さて面白くなってきた」<br><br>ふと、いつの間にか仮面を被った小さい生物が三匹、勝の足元にいた。<br><br>「いい加減俺たちの名前も出してよう兄者」<br><br>「じーっ」<br><br>「俺ら絶対意味わかんないって読んでる人に思われてるよ」<br>勝「解った、紹介しよう‥こいつらはバカ仮面、今の所謎の生物だ、最初にしゃべったのが一号、無口でただ人をじっと見てるだけのが二号、最後にしゃべったのが三号だ、こいつらは俺の商売を手伝ったりする、いわば部下みたいなもんだ、これからは一号、二号、三号で作者に呼ばせる事にするよ」<br><br>一号「わーい、宜しく」<br><br>二号（じーっと勝を見つめている、どうやら感謝しているらしい）<br><br>三号「これで俺達出番増えるかな」<br><br>勝「本当に忙しいのはこれからだぞお前達、雅也の奴めしばらくはバタバタするハメになるだろうな」<br><br>そして彼はくくっと不敵に笑った。<br><br><br>中澤家本編へ！！<br>
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<link>https://ameblo.jp/miyabi0518/entry-10802261580.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Feb 2011 18:39:01 +0900</pubDate>
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