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<title>mjmp3のブログ</title>
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<title>砂の果て、茜の衣</title>
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<![CDATA[ <p>前漢の都・長安の片隅に、卑しい奴婢（ぬひ）の出ながら、天の悪戯（いたずら）のように美しく烈しい姉弟がいた。姉の名を**衛少児（えいしょうじ）**、そしてその血を引く若き弟を、**霍去病（かくきょへい）**といった。物心ついた時から、去病にとって姉は母であり、世界のすべてであった。貧しさの中で飢えに震える夜、姉は自分の薄い衣を去病に着せ、その小さな手を握りしめて言ったものである。「去病、お前はいつか、この長安の狭い空を飛び出す鳥になる。だから、今はただ、強くおなり」その言葉通り、運命の輪は激しく回り始めた。叔母が**武帝（ぶてい）**の皇后となったことで、一族は一躍、帝国の頂点へと引き上げられたのである。武帝は、去病の瞳の奥にある「飢えた狼」のような鋭さを見抜き、彼を我が子のように寵愛した。「去病、朕の刃となれ。北の匈奴（きょうど）を、あの果てなき悍（おぞ）ましき影を、お前の足で踏み躙（にじ）って見せよ」わずか一八歳で将軍となった去病は、その日から、長安の華やかさを捨てて戦場へと赴くようになった。去病の戦い方は、苛烈を極めた。かつての冒頓単于がそうであったように、彼は勝つための「目的合理性」の権化であった。重い輜重（しちょう）を持たず、水も食糧も敵地から奪う。千里の砂漠を電光石火で駆け抜け、匈奴の首を挙げてゆく。だが、長安に残された姉の元には、勝利の報せとともに、弟の不穏な噂も届いていた。「驃騎将軍（ひょうきしょうぎょう）は、兵が飢えて倒れそうであっても、自分だけは天幕で美味い肉を喰らい、蹴鞠（けまり）に興じている」姉は、胸を締め付けられる思いで弟の帰還を待った。数ヶ月後、砂塵にまみれ、鬼神のごとき眼光を宿して帰ってきた去病に、姉はたまらず声を荒らげた。「去病、お前は何のために戦っているのです。兵の怨嗟を買い、己の心を鬼と化して、何を手に入れようというの。陛下はお前に、豪華な邸宅を下さると仰っている。もう、家へお帰り」しかし、去病は姉の茜色の衣をそっと見つめ、寂しげに微笑んだだけであった。「匈奴未だ滅びず、何ぞ家を求めんや（匈奴をまだ滅ぼしていないのに、どうして家など構えることができましょう）」その言葉は、武帝への忠誠のようでありながら、自らへの呪縛のようでもあった。姉には分かっていた。去病は、身分が低かった自分たちを引き上げてくれた武帝の「夢」を叶えるため、自らの「人間らしい情」をあえて殺し、冷徹な兵器として生きる道を選んだのだということを。「姉上、私はもう、あの凍てつく砂の世界でしか生きられぬ身体なのです」姉が差し出した温かい白粥（しゆがゆ）にも手をつけず、去病はただ、遠い北の空を見つめていた。彼の背中には、誰も届かない高みへ登り詰めた者の、底知れぬ孤独が張り付いていた。紀元前117年。彗星のごとく現れ、大漢帝国の最大の脅威を退けた若き天才は、わずか二十四歳という若さで、病のためにこの世を去った。あまりにも烈しく命の炎を燃やし尽くしたかのような、突然の死であった。長安中が、若き英雄の死を悼み、武帝は玉座で涙を流した。しかし、大々的な葬儀の喧騒から離れた静かな部屋で、姉はただ一人、弟が遺した一振りの弓を抱きしめていた。戦場の勝利も、帝国の栄光も、すべては砂の彼方へ消え去った。窓を開ければ、今夜も北からの冷たい風が、長安の街に砂を運んで吹き抜けてゆく。姉は、涙を流す代わりに、静かに夜空へ向けて呟いた。「去病、もう、鬼の面（おもて）を被る必要はありません。重い鎧を脱ぎ捨てて、あの懐かしい、私の小さな去病に戻っておくれ……」果てなき砂漠の闇の向こう、戦いに憑りつかれた男の詩（うた）が終わり、一人の若者がようやく長い眠りについたかのように、草原の風だけが寂涼（せきりょう）と響いていた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/mjmp3/entry-12970169554.html</link>
<pubDate>Fri, 19 Jun 2026 18:35:21 +0900</pubDate>
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<title>鳴鏑（めいてき）の響き、情の詩</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;凍てつく北の最果て、乾いた風が砂を巻き上げる地に、地平線を睨み据える、一人の若き太子の姿があった。名は冒頓（ぼくとつ）、実の父に売られ、死線を潜り抜けた男であった。引き絞る弓の弦（つる）が、彼の張り詰めた心を映して軋（きし）んだ。「我が放つ鳴鏑、その音が虚空を震わせたなら、躊躇いを捨て、疑いを捨て、すべての矢を同じ標的へと放つべし」乾いた音を立てて放たれた鏑矢が、彼の愛馬の肉を貫いた。怯んだ部下の首が、次の瞬間には白刃（はくじん）に刎（は）ねられて雪を染めた。次に鳴鏑が向けられたのは、美しく、最愛の妻の胸。「……御免」と呟く間もなく矢は放たれ、紅（くれない）の血が草原（くさわら）に飛び散った。部下たちの瞳から、すべての「情」が消え失せ、冷徹な兵器へと変わったのであった。&nbsp;</p><p>やがて狩猟の野、実の父・頭曼（とうまん）の背に向けて、冒頓の鳴鏑が鋭く鳴り響いた。「放て」冷徹な声と同時に、万条（ばんじょう）の矢が黒い雨となって父の身体を覆い尽くした。愛を屠（ほふ）り、親を殺し、己の心さえも鉄の機械と化して、若き王は、血に染まった無敵の軍勢をその手につかみ取ったのである。&gt; **【私情を捨て去り、恐怖の力で絶対的な軍隊を作り上げた北の怪物。これに対するは、人間の弱さと絆を武器に、混沌の世を勝ち抜いた南の英雄。異なる強さを持つ二人の激突が、いま近づいていた。</p><p>翻って、はるか南の中原（ちゅうげん）、大河のせせらぎ豊かな地に、泥を跳ね上げながら駆ける、もう一人の男がいた。名は劉邦（りゅうほう) 不完全にして泥臭き覇者であった。戦に負けては「間に合わぬ、走れ、走れ」と叫び、みっともなく逃げ惑う男だった。されど、天幕（てんまく）の中で彼が「困った、どうすればよいのだ」と頭を抱えて涙を流せば、張良（ちょうりょう）は静かに微笑み、「我が君、焦るな、策はここにあります」と絹に筆を走らせた。韓信（かんしん）は「貴殿のその弱さこそが、我らを戦わせるのだ」と、その槍を厳かに掲げた。恐怖の鉄鎖（てっさ）ではなく、信じる心と涙で繋がれた、不完全だからこそ温かい、人間たちの心の網（あみ）があったのだ。&nbsp;</p><p>非情なる合理の怪物と、人情味あふれる不完全な英雄。北と南、それぞれの頂点に立った二人は、ついに極寒の山頂で相まみえ、人間の本質を懸けた決戦の火蓋が切られた。</p><p>二つの運命が激突する、白登山（はくとさん)の凍てつく山頂。四万の騎兵が、劉邦の軍を隙間なく包囲し、冷たい槍衾（やりぶすま）が陽光に光った。冒頓がただ一度、その鳴鏑を引けば、漢の軍勢はすべて塵と化すはずであった。合理の刃が、情の絆を断ち切らんとした、その静寂の刹那。動いたのは、冒頓の傍らに佇む、妃（きさき）の心の揺らぎであった。財宝の輝きと、中原の美姫（びき）の絵を贈られた彼女は、不安に胸をかき乱され、夜、毛皮の寝所で、冒頓の耳元へ細い指を走らせて囁いた。「漢の皇帝にも天の加護がありましょう。あまり追い詰め、新しい女子（おなご）を娶（めと）れば、我が立場も、あなたの心も、どこかへ離れてしまいます……」冷徹極まる仕組みの中に滑り込んだ、極めて人間的な、嫉妬と不安の揺らぎ。完璧なる王は、妻の潤んだ瞳を見つめ、一瞬だけ弓を引く手を止めた。「……よかろう、包囲の一角を開けよ。実利を取るべし」それもまた合理の判断であったが、冷徹な怪物が、一瞬だけ人間の情に歩み寄った瞬間でもあった。&nbsp;</p><p>戦いは終わり、二人の王はそれぞれの国へと帰ってゆく。しかし、危機を脱した者と、勝利を手にした者の部屋に広がる光景は、あまりにも対照的なものであった。</p><p>劉邦は包囲を抜け、命からがら漢の宮殿へと帰り着いた。「生き延びたぞ、さあ酒だ、宴（うたげ）だ」仲間たちと杯を重ね、大笑いし、時にまた涙する、賑やかで温かな明日（あす）がそこにはあった。&nbsp;</p><p>一方、勝利者として静寂の草原へ戻った冒頓は、玉座に一人腰掛けていた。「我が命令に従わぬ者は、この地に一人もおらぬ」その言葉に応えるのは、血の通わぬ機械のような部下たちの、一糸乱れぬ拝礼のみ。そこには絶対の支配があり、従属があり、そして、底知れぬ果てなき孤独が広がっていた。鳴鏑の音が、今も冷たい空に鳴り響く。世界を手にするために、人間らしさを捨て去った男の詩（うた）。合理の王座はあまりに高く、あまりに冷たく、吹きぬける風のなかに、ただ寂涼（せきりょう）の音だけが残されていた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/mjmp3/entry-12970104791.html</link>
<pubDate>Fri, 19 Jun 2026 02:09:51 +0900</pubDate>
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