<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<rss version="2.0" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom">
<channel>
<title>哀しい恋の物語</title>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/</link>
<atom:link href="https://rssblog.ameba.jp/mmm82889/rss20.xml" rel="self" type="application/rss+xml" />
<atom:link rel="hub" href="http://pubsubhubbub.appspot.com" />
<description>哀しい恋の物語です</description>
<language>ja</language>
<item>
<title>愛子（桜雪）no.4</title>
<description>
<![CDATA[ <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子、ゴメンネ。僕はあの日、むさ苦しい頭のままで会うのはダメだなあと思って床屋に行ったんだ。東邦生命ビルの地下にある『モグラの床屋』っていうシャレた床屋に。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そうして意外と時間がかかってしまった。それにそのまえに愛子とのデートのコースの下見をしたからそれでますます遅くなった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ゴメンネ、愛子。散髪には一時間１０分もかかった。僕は始めそわそわしていて早く終わってもらおうかな、と思っていたけど途中で眠ってしまっていた。そして気がついたらそこの床屋のちっちゃな女の子が僕の肩をもんでくれていた。僕は『そんなことしないでいいのに。』と言おう言おうとしたが、もうそのとき一時間が過ぎていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　いつもは散髪が済んだあとコーヒーを出されてシャレたカウンターで『ポパイ』などファッション雑誌を１０分から１５分くらい読むのだが僕はその日コーヒーを出されるのももどかしくコーヒーが出されたらすぐにグイッと飲んで料金（2500円）を払って外へ出た。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そうして僕は夕暮れの街角に出た。愛子との約束の時間はもうとっくに過ぎていた。１１月の夕陽が僕を哀しく照らしていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　まるで風が孤独のように吹いていた。この風は僕の胴腔をかすめてゆく秋の肌寒い木枯らしを含んだ風のようだった。そうだ。孤独のように吹いていた。すぐ帰って愛子からのＴＥＬを待つべきかカルチャーセンターへ行って天使さまのような木村さんと会うか僕は街角に立ちつくし木枯らしに吹かれながら考えつづけていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　帰るにしてはもう遅すぎた。そして木村さんの美しさは愛子の存在をはかないものにするほど輝いていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも愛子にはひたむきな純な心で僕を慕ってくれている。でも時間はあまりにも遅かった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そして僕も統一教会に行ってみようかと思った。赤レンガのクリエーター長崎ビルの中にあるカルチャーセンターに行くといつもいるそのお姉さんを僕は好きだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　せっかく散髪されて綺麗にセットされた頭だった。このままヘルメットを被って家に帰るのはもったいなかった。それに愛子は６時に電話すると言ってたけどもう６時１０分近くだった。もう間に合わなかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　このまえ午後の授業が面白くなくて昼過ぎ頃カルチャーセンターへ行った。夕方は多いが昼は人が少ない。それで僕と木村さん二人っきりになった。二人で座っているとき木村さんは目を潰った。９０°の位置関係だった。なぜ潰ったのかあまりよく解らなかった。眠いのかな、と思った。また、僕と喋るのが退屈なのかな、と思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　それで僕は『ビデオ見てきます』と言って立ち上がった。すると木村さんはさっきまで潰っていたデメキンみたいな大きな目をパチパチと開けて『あっ、そう、そうね』とびっくりしたように言った。何日かしてから気付いたけどあれは僕を誘っていたんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　くの時型のソファーに僕の斜め横に座っていた木村さん。木村さん、もしかしたら僕を誘惑していたんだ。教義では男女関係を厳しすぎるくらい戒めているけれど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は愛子からの電話にはもう間に合わないと思って木村さんのいるクリエーター長崎ビルの方へ歩き始めた。僕は背中で夕陽に向かって手を振っていた。紅い夕陽の中に愛子の顔が見えた。でも僕は愛子に手を振って年上の統一教会のお姉さんのところに向かって歩いていた。愛子、ごめんね。遅れてごめんね。もう間に合わないから僕は今日カルチャーセンターへ行くよ。愛子、今度またね。そのうちきっとまたデートしようね。僕は今日時間の配分を甘く考えすぎて愛子との約束の時間をすでにオーバーしてしまっている。ごめんね、愛子。また、会おうね。ごめんね、愛子。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さんへ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　寒さも厳しくなってきましたがどうお過ごしですか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　さて、私このまえカメ太郎さんを見たように思います。たぶんカメ太郎さんだったと思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私たちがバスを待ってたら銀色のヘルメットを被ってバイクに乗ってる人がカメ太郎さんにそっくりだったから私、手を振ったのだけど。カメ太郎さん、気付かなくて信号が青になるとそのまま行きました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『見て、あのオッサン、肩悪いんやろか。ぜんぜん小石も投げきれんね』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『私、弱いの好き。たとえばあなたのように』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （そう言って愛子は僕を見た。雪の降る１２月の寒い夕暮れだった。僕らの２度目のデートのときだった）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　君に無理難題を押しつけて君を困らせたボクの気持ち解ってくれるかい？<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　君が好きだから。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　君を困らせて、君の困った顔を見たいと思った僕の気持ち。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　君の可愛いあどけない笑顔が見たかったから<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　君を困らせて眠ったふりをするボク。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『なんだ。これではダメだ』と吐き捨てるようにボールを愛子のグラブへ力まかせに投げたのですけど__するとその白球は公園の片隅の階段に腰かけていた老人に激しく当たりました。僕も駆けて行って『すみません』と謝ったのですけどその老人は目も見えず耳もとても遠いらしく口をもがもがさせながら亡霊のように立ち上がると、僕たちに深々と礼をして夕暮れの住宅街の方へ消え去るように歩いてゆきました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボクと愛子はそしてポカンとして護国神社の中でボールとグラブを手にしてその老人の夕陽に紅く染まった後ろ姿を見つめていました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　その老人は誰だったのだろう、と僕たちはそのあと不思議そうに語り合ったのだが、あれは僕らの守護霊ではなかったんだろうか、とこの頃再び宗教関係の本を読み漁るようになった僕には思われた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　その日はものすごく暑い１１月の終わり頃だった。まるでその頃の僕の胸の中のように（その頃どんな真冬の日でも250ccのバイクに乗って駆け回っていた元気だった僕の胸の中のように）夕陽がもう暗くなり始めた護国神社の中を赫赫と照らしていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　夢の中の亡霊のようにその老人は夕陽に紅く染まらされながら揺れるように歩いていた。それがもう何年もたったこの正月に急に思い出されて来るのは何故だろう。まるでその老人の記憶は夢か幻のように人生の終鴛を告げるかのように、暮れてゆこうとしている。僕の人生の終鴛はかかって来ない愛子からの電話とともに静かに僕に近寄って来ているらしい。そして僕はとても不安だ。足音を忍ばせながら布団の上にずっと朝から（一度、愛子からの手紙がまだないかな、と思って400ccの赤いバイクに乗って戸石のゴミ焼却場まで行ったけど、そしてそこでその森で首を括って死のう、という誘惑に猛烈に襲われたけど）横たわり続けている僕のところに近づいてきているその死神の影が、とても心配だ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎～　カメ太郎～　と鳴いている声が聞こえてくる。これは主に母の声だ。なぜか江戸時代末期の島原の農村地帯で叫ばれている光景だ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　それが今こうしてバイクに乗ってペロポネソスの丘へと山の中を通っているときに湧いてきていた。周囲は吹きすさぶ寒風。ススキやカキの木の葉が寒風に揺れ湧き水をたたえている円形の石器が冷たい湧き水を少しづつ溢れさせている。『カメ太郎～　カメ太郎～』その悲しい響きがバイクのマフラーから発せられる爆音に混じって何故聞こえてくるんだろう。あまりにも悲しい響きで僕は谷底があればそこからバイクもろとも突っ込んでしまいたくなるような響きだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　坂をすでにかなり登りつめており視界の下方にカキの木がその茶色の木を使い女を傷ぶって服を脱がせるように無惨なふうに脱がせ鈍色に光るその鉱石のような肌のところどころに木片がまだ付いておりそれが傷ぶられ辱められた女の衣服の切れ端のように見える。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あれは寒い冬の日だった。僕が愛子を待っていたのは。雪がコンコンと降っている１２月の寒い日だった。ボクはＦＴに乗って愛子が来るはずの本屋の前を行ったり来たりした。でも来たのは愛子と同じクラスの女の子らしい２人連れだったようだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子、なぜ来なかったのかい？　僕、待ってたよ。生徒会の仕事があってたのかい？　僕待ってたよ。ＦＴに乗って本屋の前を行ったり来たりしながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　（小雪の降るなかボクは愛子を待った）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　やがてバイクのスタンドをカタッ、と音をたてて立てて、僕は本屋から道一つ隔たった通りの上に立った。愛子は寒がりやだから、それにコートを持たないから、寒いから来ないのかな、と思った。道一つ隔てた本屋には依然として愛子から送られてきた愛子のクラスメートたちの写った写真の中にいたと思われる可愛い女の子が２人、ちょうど待ち合わせの６時５分前に来ていた。僕は彼女たちに話しかけるべきだ、とも思ったけど、僕は恥ずかしかったので、僕は茫然とかかしのように、そして地縛霊のように道一つ隔てた通路の上に小雪に顔を凍らせながら立ちつくしていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は喋れなかったので_吃って_吃ってしまうので。彼女たちに笑われてしまう。変な人だと思われてしまう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は茫然と立つくし続けた。そして彼女たち２人は美しくて（とくにそのうちの一人はとても美しくて）僕は愛子が僕にその子たちと僕をつき合わせよう、私のようなブスとつき合うのはボクに似合わないとかそんなことを思ってそうしたのかな、とも思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　家へ帰ると孤独感に猛烈に襲われて、まるで今外で舞ってる吹雪のように孤独感に襲われて、いたたまれなくて、そして大げさに言えば死にたくなるから、だから僕はいつも帰りは夜１０時ぐらいになって、愛子に手紙を出すのがこんなにも遅くなってしまったけどごめんね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は今日も夜の吹雪の中を僕のあの黒いカワサキの250のバイクで駆け抜けてきました。母は『とても寒かったろ』と言っていました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも僕には自殺した人たちの死後の世界の方が何倍も何十倍も寒いんだ、そして寒くて辛いんだ、っていうことを知ってるから我慢していたというか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　実は今夜も統一教会の所に９時半までいました。もちろん僕が信仰しているのは高橋信二という人のＧＬＡですけれど。でも統一教会は明るくて楽しいから。　　　　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　 学一・二月<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　冬も終わりに近いある午後のことだった。度の強そうな完全にまんまるいメガネをかけた青年が浜ノ町をユラユラと歩いていた。つい最近2500円で買ったＵＯＭＯのトックリセーターとラングラーのスリムジーパンと黒のコンバースを身に付けていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　昨日留年の発表があり、今朝そのことを知ったのであった。進級できるんじゃないかなという考えがあったのでやはりショックだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボクはアーケード街をフラフラと歩きながら、国家上級の試験を受けることを考えていた。泥沼だった。耐えられないほどの心の渇きと言おうか焦りに苛まれていた。国家上級の試験に受かって国立考古学研究所にでも入ろうと考えていた。それは東京にあるだろうから試験に合格すると東京に住むことになるだろう。ああ、淋しいなあ。とっさに僕の頭に愛子のことが浮かんできて愛しさと言おうか淋しさと言おうかそんなものに耐えられなくなった。愛子のボクへの思慕が急に思い浮かんできたのだ。ああやっぱり思われれば思われた人はその人を恋しくなるのだろうなあと思った。このように木村さんもボクが思慕していることを知ればボクを愛しくてたまらなくなるんだろうなあと思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもボクが東京に出れば親も淋しいだろうなあと思った。親にとってはこのまま長大の医学部に通ってそして卒業したあとも長崎に居てもらいたいのだろうなあと思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ホントに東京に出れば淋しいなあと思った。一人ぼっちになったボクはいったいどうしたらいいのだろうと思った。東京で彼女をつくろうかなあ。でも愛子が淋しいだろうなあ。愛子を東京に呼んで一緒に生活しようかなあ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　東京に住むことを考えたらなぜこんなに愛子が愛しくなるのかなあと思った。なぜ木村さんのことが思い浮かんでこないのだろう。木村さんは適当にボクを思っているだけだけど、愛子は１８才の純な心でひたむきに思うからだろうなあと思った。（木村さんは２９才だから）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子に誕生日のプレゼントをやらなければならないなあと思った。４月３日まで日日が迫っているので急がなければならないなあと思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はまた落第してしまいました。これで２度目です。愛子に会いたいなあと思います。愛子は福岡へ行ってしまったんですか。それとも長崎なのですか。長崎のどこに行ったら愛子に会えるのですか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はちょっぴり愛子の人生を狂わせてしまった後悔とそして淋しさに包まれながらこれを書いています。長崎の新地店に宛ててこの手紙を出そうと思っています。今日浜ノ町を一人でぶらぶらしているとき何度かベスト電器へ行ってみようとも思いましたけど恥ずかしくて行けませんでした。それで家に帰ってきてからこれを書いています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春の風が吹いてきたのに、僕は淋しさに打ちひしがれ、愛子に手紙を書いたり、留年の通知が来ていないかと毎日ポストの中を確かめたり、淋しさに打ちひしがれて浜ノ町を一人で歩いてきたりしているけど、僕の心のなかにポッカリと空いている淋しい空洞には何も満たされない。そして僕は淋しさをこらえたまま、ただ黙々と毎日を送っている。ビデオを見たり何をすることもないまま。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕は今たまらない不安に襲われている。また留年した。また学一をやり直さなければならないようになった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　まるで僕と愛子の恋のようだね、桜雪<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （桜の散る絵と、散る桜の下にいる僕の絵）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　昭和６０年４月４日記す<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　待ってます。でもボクは愛子を束縛したくありません。ボクは愛子に楽しいＯＬ生活をしてもらいたいのです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　待ってます。楽しいＯＬ生活をしてもらいたいのです。でも、最後には、ボクの元に帰ってきて下さい。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　 （愛子との電話。４月５日のことだ。）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　元、元、元気、ん、元、元気かな？<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。また留年してしもうたもんね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　いや、ま、また、また、りゅ、留年したけん、やっぱい落ち込んではおったけど、うん<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　いや、いや（いやや）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　えっと深夜料金は８時からやったかな。８時やったかな。９時かな。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　_<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　_<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　_<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。あれ、３日誕生日やったやろ。いや、４月３日<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あっ、あっ、うん、うん、（チャリン）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　（結局出されなかった手紙）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕が日に日に廃人になりつつあること知ってるかい？<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　２度目の留年は僕の不眠を更にひどくし、僕はもうお酒なしでは眠れなくなった。そして中二の頃のように夜の２時半ぐらいになると驚いて起き出すようになってしまった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　もし愛子が長崎に残っていてくれたのなら僕は今こんなに苦しまなければならないようにはならなかったのにと思うと残念でたまりません。僕は今、愛子が恨めしい気持ちでいっぱいです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　夜眠れない辛さは僕を発狂の渦の中へと巻き込んでしまいそうです。夜いつも２時半ごろ目が醒め、それから４時半または５時半ごろまで眠れません。きっとそのころ愛子は気持ち良く福岡の寮のなかで眠っているのだろうなあ、と思うと、長崎は地獄で福岡は天国のような錯覚も湧いてきます。そして現役のとき、また浪人のとき、九医に入っていたならという口惜しさとともに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そして僕は空が白々と明けてきた頃ふたたび眠りに就いています。悔しさと淋しさで心をもみくちゃにしながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あの日、僕が愛子への誕生日のプレゼントを手に持って、浜ノ町のベスト電器へと行ったとき、僕は愛子に似たちょっとポッチャリしたまだ高校を卒業したばかりのような女の子に尋ねた。するとその女の子は愛子が福岡勤務になったことを悲しげに伝えた。そしてその女の子が福岡の愛子にすぐ電話したのだろう。２日後の４月５日の夜、愛子から寂しげな電話が掛かってきた。僕は吃り吃り喋ってほとんど話をできなかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子のその寂しげな電話ののち僕は受話器を握りしめながら立ちつくした。黙ったまま立ちつくした。悲しみに耐えながら、いつもいつもの悲しみに耐えながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　心をいつものように打ち震わせながら耐えていた。悲しみに耐えるのには強い僕だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　夜はだんだんと更けてゆき僕は親子電話になっている僕の部屋の黒電話の前でずっと畳に手をついて俯き続けた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　（春だから）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春だから、君の所へ飛んでゆこう。春だから愛子の所へ飛んでゆこう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　（汽車の中で、愛子は）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春なのに、悲しみの風が吹いてきて、長崎から博多発の急行列車の上に、桜の花びらが、僕の涙のように落ちていっていた。そして愛子は、いつも明るすぎるほど元気な愛子は、泣いていた。しくしくと春なのに、泣いていた。明るすぎる春なのに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そして僕は博多へ向けて走ってゆく愛子を乗せた汽車を、護国神社の丘からずっと見送っていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子を乗せた電車はもう帰って来ない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は護国神社のベンチに座って俯きながら愛子と出会ってからのこの２年間の日々をとてももの哀しく振り返っていた。２年間、僕らはいつもすれ違ってばかりでろくにつき合えなかったけれど、愛子が卒業してからは僕らは毎日のように会ったりすることができるよう_ﾉなれるような気がしていたのに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも、愛子は福岡で僕と離れて楽しいＯＬ生活を送ってくれればいいなあ、と思っていた。愛子が幸せになってくれるなら、そうしたら僕の心も軽くなり罪悪感も薄れてゆくのだけれど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子が幸せに福岡でＯＬ生活を送ってくれるなら僕は心配しないのだけど。きっと明るく活発な愛子のことだからきっと楽しく福岡でＯＬ生活を送るだろうと思っていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　帰っておいで、愛子。桜の花びらと一緒に福岡に行ってしまった愛子。帰っておいで。帰っておいで。そうして僕を慰めてくれ。愛子の元気いっぱいの明るさで、落ち込んでいる僕を慰めてくれ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; (第２章終わり)　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　桜の花とともに福岡に行ってしまった愛子。戻っておいで。戻っておいで。そして淋しくて落ち込んでいる僕を救っておくれ。　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は愛子が燕のように長崎に舞い戻って来てくれないかなと、または僕の家が以前飼ってた文鳥のように戻ってきてくれないかなと、窓の外ばかりを見つめています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕の部屋の窓に愛子が小鳥になって飛び込んできてくれないかな？と夢のようなことばかり考えています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　学一留年期間中　４月　家にて<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>　　　　　　（結局出さなかった手紙）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ。僕は落ち込み果てて何もする気が湧きません。もう一回解剖実習をしなければいけないと言うし愛子は福岡へ行ったと言うし。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕は落ち込み果ててコタツの中でずっと午前中を過ごしていました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　明日から解剖実習が始まります。僕は幽霊になって愛子の傍に、明るく福岡のベスト電器でお客と応対している愛子の傍に、居たいなあ、という気持ちでいっぱいです。そうしたら楽しいだろうなあ、と思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子の傍で何も喋らなくてもいいから時間を過ごしたいなあ、という気持ちです。<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（途中、逸損）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は廃人になりました。２度目の留年をして僕はもはや廃人になりました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は灰になって長崎でひらひらと春風に吹かれて飛んでいる。愛子の居ない長崎で。淋しい空で。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は一人ぼっちで飛んでいる。でもやがて僕は福岡へと飛んでゆこう。途中で疲れて、疲れつきて、佐賀の辺りでおっこちてしまうような気もするけれど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　生きる。僕は生きる。愛子がいなくても。一人でも僕は生きる。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はそう思った。窓を開け外を見た。創価学会に戻ろうかとも思った。淋しさにやはり僕はやりきれない気がした。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。愛子のいないこの長崎で生きてゆくのは辛いことです。長崎では“空を見上げても一人”という変な言葉を空を見上げるときに思い出す変な僕です。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも本当に長崎では空を見上げても一人です。寂しい空が僕を覆っています。あまりにも寂しすぎるようです。でもこの寂しさに耐えなければいけないと思っています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子は福岡に旅立ち、僕はこの長崎に一人淋しく残された。誰か愛子に代わる女の子が、この丘を飛んでいる燕のように、春になって暖かくなった空を燕となって、現れてくれないかなあ、<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は浦上川の方を眺めながらそう思っている。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子はツバメと交代に長崎から去っていって、僕は思い出のこの丘にただ一人取り残されている。愛子が楽しいＯＬ生活を送ってくれることを、僕はただそれだけを願っている。幸せであれよ、愛子。幸せになれよ。今まで苦しかった辛かったかもしれないけど、これからは幸せであれよ。楽しい幸せなＯＬ生活を送れよ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春なのに、愛子は福岡に一人、僕は長崎に一人、福岡の空も長崎の空も青く染まっていて同じようだけど、僕らはお互い別々にその空を見つめている。僕も愛子も孤独な心を胸に秘めて、４月の空を見つめている。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春なのに、悲しみの風が吹いてきて、僕と愛子を悲しみでいっぱいにしてしまう。こんなに明るい春なのに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春なのに、悲しみの風が吹いてきて、その風に僕は包まれて、愛子、僕は発狂しそうだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　人生には出会いと別れがあるというように、僕らも出会って２年して別れることになった。でも愛子、僕が早く卒業して医者になったら愛子の住んでる福岡まで行くからね。早く卒業して、もう留年なんかしなくて。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　福岡の空は青い空。僕と愛子の恋を溶かし込んでゆく青い空。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は長崎から、遥かな北東の方角の福岡の空を一人ポツンと眺め遣ってるけど、一人でポツンと眺め遣ってるけど、愛子は今頃仕事に夢中なんだろうなあと思う。新入社員で大変なんだろうな、と思う。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　もしも僕が九医に入ってたら愛子と会わなかっただろう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　もしも僕が柔道部に入ってなかったら愛子と会わなかっただろう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもその方が良かったような気がする。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子の幸せにとって良かったような気がする。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　一人ぼっちの護国神社に僕は今居るけど、冷たい北風が吹いてきていて僕らがここで待ち合わせた６月の終わりのあの暑い日と全く違っています。もう愛子は福岡での生活にも慣れて青春を謳歌しているんじゃないかな、と思うと一人ぼっちの僕はとても寂しい心地に陥ってしまいます。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　浪人の頃、２ヶ月半住んだ福岡の町。自転車で駆け回った福岡の町。そして元気いっぱいだったあの頃の僕。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　今は寂しいけど、本当にぬるま湯に浸かったような楽な毎日です。あの頃は辛く厳しい毎日でしたけどとても充実していました。とても楽しかった。友達もたくさんいたし、創価学会の同志もいたし、そして希望に溢れていたし、<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子はあの頃の僕のように新しい生活に戸惑いながらもとっても楽しく毎日を送っているんじゃないのかな、と思います。僕もあの頃苦しかったです。愛子も仕事がきつくて苦しいと思うけど、頑張って下さい。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　明るい愛子だから、とってもとっても明るい愛子だから。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子が去ってから、２度目の解剖実習をしたりなどで、とても辛い毎日ですけど、愛子も新入社員で今はきついのだと思うと、僕も負けずに頑張らなければならないな、と反省しているこの頃です。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は愛子の手紙に、夕暮れになるといつも悲しくなります、と何度も書いたことがあると思うけど、やはり今も夕暮れ時になるととても悲しくなります。愛子は福岡で元気にやっていますか。僕は２度目の留年で落ち込み果ててはいますけどまあなんとなく毎日を僕なりに一生懸命に過ごしています。たしかに辛い日々ですけど、このくらいの辛さは僕が高校生の頃までの辛かった日々に比べたら何でもありません。ただ元気がなくなったと言うか、そんな感じがしているだけです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　もしもボクが力を喪くして倒れそうになったとき、福岡に行ってしまった愛子の名前を叫ぼう。もしもボクが毎日の生活に挫けそうになったとき、福岡の愛子の名を叫ぼう。５月の青空へ向かって、ちょっぴり涙ぐみながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は寂しいから、長崎の空は寂しいから、僕は福岡の空のなかへ溶けてゆこう。そうして四六時中元気な愛子の姿を見ていよう。----そうなるととっても楽しいだろうなあ、って僕は思ってしまう。長崎の空を寂しく見上げながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子が長崎を去ってから僕はとても寂しくなりました。もともと寂しがりやの僕だったけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はこの手紙を長崎の夜景を眺めながらクルマの中で書いています。あのでっかい白いマークⅡでです。まえ暴走族が乗ってたというタコ足付きのボコボコという凄い排気音のする奴です。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は今、立山の空き地にクルマを停めてこの手紙を書いていますけど、僕は淋しくって淋しくって。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボロボロッと凄い音をたててたマークⅡも愛子が長崎を去って福岡へ行ってしまったのでとても寂しそうです。一度は愛子をこのマークⅡに乗せてドライブかそれとも愛子を学校帰りに家まで送り届けてやりたかったけど、このマークⅡももうすぐ車検でもう廃車にしようと思います。そうしてこれからはバスで学校に通おう、と思っています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （僕も鳥になって飛びたい。この立山の丘の上から。そしてできれば夜景を突っ切って福岡の愛子のところまで一直線に飛んでゆきたい。福岡までたいへんだけど、長崎から福岡の南区の高宮寮までとってもとってもきつそうだけど、僕は鳥になって飛んでゆきたい。できれば白い白い鳥になって）　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。明日から解剖実習が始まるけどそれが厭でふと霊界へ、と思ってしまいます。本当に自殺したら地獄なのかな？ この頃そのことを疑う僕です。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は今日、雨に濡れながらバイクで学校へ行くときとても悲しくなり泣きたくなった。また親に内緒の留年生活で、本当に自分はどうなるんだろう、また、どうしよう、と僕はバイクの上で涙がにじんできそうになりました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は一人ぼっちです。そして今、辛い二度目の解剖実習を週に三回ほど受けています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも愛子も新入社員だからきついのだろうけど頑張って下さい。僕も頑張るつもりです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は親への罪悪感とそして友人も少なく、恋人もいない寂しさが今朝バイクの上で僕をあんなにも悲嘆に沈めたんだと思います。<br><br>（完）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br><br><br><br>http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/entry-12192717229.html</link>
<pubDate>Mon, 22 Aug 2016 17:24:11 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>愛子（桜雪）no.3</title>
<description>
<![CDATA[ &nbsp;&nbsp; &nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子（桜雪）　　　　　　　　　　　　　<br>&nbsp;&nbsp; &nbsp;<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カメ太郎　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は愛子の手紙をほとんどすべて捨てちまったこと、胸元が張り裂けるほど後悔している。僕はあの頃狂っていたんだ。自分の過去を塗り変えようと躍起になっていて狂っていたんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも愛子とのあの頃が僕にとって最高の青春だったんだなあとばかり思ってため息ばかりついています。今の僕は死にかけています。死神にとり憑かれていて明日にも死にそうなほど元気がありません。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あの頃の愛子との元気いっぱいな明るい日々に戻りたい気持ちでいっぱいです。そしてまた僕は“愛子と結婚しようかな？”とこの頃本気で考えています。再生のためには、生き続けるためには愛子と結婚するしか方法がないような気もします。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はまったく生きる意欲をなくしかけています。３度目の留年は僕を強く強く叩きのめし僕を確実に死へと導いているようです。もしも進級できてたら僕は吃りの人たちなどのために研究と治療に没頭する決意で毎日を燃える決意で送っていたのにちがいありません。でもこれから一年間の暇な日々を考えると僕はいたたまれません。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　明日にでも柔道場へ行って柔道の帯で首を吊って死のうかな、とも考えています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子、僕たちが始めてデートしたとき待ち合わせていたあの商業高校の裏の護国神社のこと憶えているかい。あれは６月終わりのことだったね。愛子は明日から試験っていう日だったのにね。呼び出してごめんね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あの夕暮れのとき、僕は愛子が始め解らなかった。綺麗な女子高校生が護国神社の坂を登ってきて誰かを待っているようだったので、僕らのほかにもここをデートの待ち合わせの場所にしているのがいるんだな、と始め思っていてそれで愛子を１０分近くも待たせておいてごめんね。僕が柔道の合宿のとき見てた愛子と違うようだったから。やっぱり体操服のときと学生服のときはちがうんだね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （なぜ今ごろ愛子とのことがこんなにも思い出されてくるのかな。僕の魂はすでに急降下を始めていて過去の記憶が走馬燈のように蘇るという現象がすでに起こりつつあるのかな。そして愛子の手紙をほとんど捨ててしまったという罪悪感と悔やみが僕を朝から何かに憑かれたようにしてこんなに夢中になって書かせているのかな）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕たちが始めて出会ったのは合宿第一日目の夕暮れだった。その日ボクは留年の通知が家に行っているかも、と思って夕方の練習が終わってすぐ愛車のセルボで家に帰ったんだ。夕方だから混んでいて行って帰ってくるのに一時間半以上もかかった。そうして当然夕食に遅れてもうあと片づけをしているところだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はその頃ようやく衣服に目覚めかけ……４ヶ月ほど前のクリスマスイブの夜からの手痛い失恋が今もまだつづいていたから。そして僕は今まで母の着せる自分の店の服ばかり着てたのを町の若者向きの店で買うようになったばかりの頃だった。僕は5800円したズボンと2800円の長袖のシャツとそして水害のあとに友だちと浜ノ町に出かけて買ったたしか2000円ぐらいの丸っこいメガネを掛けていた。靴は母が知り合いから買ってきた以前からの靴のままだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　食堂は２階だったけど調理室は１階で愛子たちそこで食事をしていた。入口に立ちつくしていた僕に愛子は駆け寄ってきてそうして中のみんなに叫んだ。何と叫んだっけ。愛子の声はかん高くて大きくて叫んだように僕には聞こえた）<br>　僕は愛子に促されるまま中に入り、そしてみそ汁などをついで貰って食べ始めた。僕は始終うつむいていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; ※（あの頃、愛子たちと出会った春休みの合宿のときクルマの中で書いたもの。まだ残っていた）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボクは明るいあなたたちを見ていて、生きよう、と思いました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボクはあなたたちを見て自分の少年の頃を思い出しました。そうしてとても懐かしくなりました。ボクの少年時代は暗かったけど、でもボクもあの頃はあなたたちのように純粋でした。美しく生きようと思いました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子たちの明るさはクリスマスイブの夜以来、意枯地になっていた僕の魂を大きく大きく揺り動かした。僕は揺れた。夕食を食べながら。僕は大きく揺れた。僕の胸の中は揺れてた。生きようと思いながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕があの頃口癖にしていた言葉、愛子、知ってるかい。僕はそのころ『ダメダ、ダメダ』とばかり口にしていた。本学での合宿のときもずっとその言葉ばかり口にしていて先輩たちからあきれられていたっけ。合宿所のなかに真夜中２時３時頃から目覚めたボクが『ダメダ、ダメダ』とばかりブツブツ言うものだからほかのみんなよく眠れなくてとても迷惑していた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕の『ダメダ、ダメダ』という独り言が止まったのはあの夕暮れ、愛子たちの明るさにボクが触れたからだ。それ以来ボクは『ダメダ、ダメダ』という口癖をほとんど口にしなくなった。僕は元気になった。そして生き返ったような気分になった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （世の中にこんな明るい元気のいい生命っていうか女のコがいることを知って、そしてそのコとお友だちになれそうで、僕は急に生きる意欲が湧いてきたのだろう。僕は生きようと思った。クリスマスイブの夜以来、奈落の底に落ちかけていた僕の魂は愛子たちの元気さによって救い出された。ボクが陥っていた奈落の底から）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子たちは天使さまだったんだ。僕が陥りかけていた地獄の底から僕を救い出してくれる天使さまだったんだ。ちょっぴりポッチャリとしたでもとても元気のいい天使さまだったんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　（一回目の手紙）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は毎晩毎晩父と母の会話に階段のところからソッと聞き耳をたてている。僕は僕が留年したことを親に内緒にしているから。でもそれが何時何処から親に知れるか解らない。僕は毎晩恐怖に脅えている。早く芥川賞を取りたいなあ、と思っています。芥川賞取ったら留年したことを親に言おうと思っています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕は寂しい留年生活を送りながらつくづく“自分は果たして生きる価値のある人間なのだろうか？”ととっさに不安に駆られてしまいます。そして愛子の所に走っていきたくなります。２５０ｃｃのバイクに乗って愛子の住んでる香焼の夜の闇を突き破るようにして。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は高校の頃からよく“ピストルが闇の中に浮かんでいてそれが僕のこめかみを突き破る”幻想に悩まされてきました。でも僕の手元にはピストルはありません。そんなに簡単に死ねる道具があったらどんなにいいでしょう。それに死んだら親が可哀相です。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さんへ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　お手紙どうもありがとう。でも私びっくりしています。カメ太郎さん、死ぬのだけはやめて下さい。私、とってもびっくりしています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私も今までとっても辛い経験をしてきました。私の母は私が４歳のときに死にました。それからずっと２つ下の弟と生まれたばかりの妹の面倒を私が見てきました。小学校の頃は友だちと遊べなくてとても辛かったです。中学になると下の妹がどうにか家事をやれるようになってそれでテニス部に入ったんですけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　小学校の頃は本当にきつくって私何度母と一緒に死んでたら良かったのに、と思ったことでしょう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　それに私が中学二年のとき継母が来たし。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　話は変わって今私たちはクラスマッチの練習で大忙しです。放課後遅くまで練習したりしています。私はテニスにでるんですよ。そうしてダブルスでは優勝候補に挙げられています。私、中学の頃２年のときからレギュラーで私たちの中学（香焼中学）は２年連続で県大会で優勝したんです。そして私、３年のときはキャプテンしていました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; -----------------------------------------------------------------------　　　　　　　　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; テニスしている少女の絵<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; ---------------------------------------------------------------------<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　※（二度目の手紙だろうか）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はこの頃、愛子の手紙に元気づけられて毎日をなかなか元気いっぱいに生きてきたつもりです。しかし僕はやはり落ち込んでしまいます。とくに夕暮れから夜になる頃。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はもうほとんど沈んでしまっている山の端の太陽のところまで走っていってそこで（※消去されている）という衝動にやはり駆られてしまいます。まるで狂気でしょう。僕は発狂寸前の男です。アルバイトをできない留年を繰り返しているそしてそれを親に言えないでいます。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はその頃愛子と僕との恋が成り立つことが世の中のためみんなのためにプラスになることかマイナスになることかと考え込んでは悩んでいた。愛子と僕とがつき合うようになると恋人の居ない者が減り恋人の居ない者たちが余計焦るようになる（マイナス）。そのマイナスと僕たち二人だけの幸福（プラス）とどちらが大きいだろう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　つき合わざるべきかそれともつき合おうかと迷った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕と愛子が犠牲になるべきか、それとも二人の幸せを悪魔のように追求してゆくか。僕は迷った。しかも二人だけの幸せにもそこへ行きつくまで多大の困難が待ち構えていて他の人たちにはマイナスとなるところをそれらの困難を克服してまでも突き進むべきか僕は迷いに迷った。それとも友だちを紹介してほかの人たちへの幸せになるのかもしれない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子とボクの連絡が途切れたとき、ボクはＮＢＣの夜１１時１５分からあるプレゼントアワーにボク出しただろう。そうしてすぐ愛子から手紙が来た。でもボクその手紙、どうせ『迷惑しました。もうあんなことしないで下さい』とか書かれた手紙だと思って怖くて怖くて読み切れなかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そしてそれから一ヶ月ほどしてまた手紙が来た。そして僕はやっと読んだ。２つ連続して来るのなら迷惑なため断りの手紙だと思っていたのは僕の邪推だと解った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもその手紙を読んだときもう遅かった。一回目の手紙のとき愛子は県外就職にしようか県内就職にしようかとても迷っていた。○○○○のため愛子は県外就職するつもりでいたけど僕のためになら○○○○だけど県内就職に変えるつもりだった。そして『できるだけ急いで返事を下さい』と愛子は書いていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも２回目の手紙には『私、もう県外就職に決めました』と書いてあった。僕からの返事がないので愛子はあきらめて県外就職にしたんだ。あのとき愛子はせっぱつまっていたのに、僕はその手紙が『迷惑です』などと書かれているものとばかり思って怖くて読みきれなかったんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　やっぱり僕らの間には悪魔が働いていたんだ。僕らをひっつかせまいとする悪魔が。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そして愛子は福岡へ行った。僕が浪人の頃２ヶ月ほど住んだことのある福岡市に。　そしてそれから３年が経とうとしている。僕には寂しい３年間だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもまだ３年経つには３ヶ月ある。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　まだ３カ月。そして今１２月３０日だ。愛子、帰って来るのではないのかな。そして帰ってきたら僕に電話をくれないかな。そして浜ノ町で会おうよ。僕は愛子と結婚するつもりだよ。ボク、死にたくないから。死の代わりに愛子と結婚しようか、と考えているんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　リンリーン、リンリーン、と電話のベルが鳴っていた。僕が福岡の愛子の寮に電話したのだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『あの、○○愛子さん呼んでください』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はそう言った。タバコを吹かせて気分を落ちつかせたあと。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『愛子ちゃんは今日帰るそうですよ』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　少しの沈黙が流れた。<br>『あの、○○愛子さんは今居ないんでしょうか？』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『はい、いま会社に行っています。今日帰るそうですよ』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　明日だ、明日だなあ、と思った。僕が久しぶりに愛子に会える日は。３年ぶりになるだろう。愛子が高校３年生のとき雪の降る寒い１２月に本屋で待ち合わせてデートしてから。どんなに変わっているだろうかなあ、と思った。綺麗になってるかな？、それともブスくなってるかな？<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　たぶん明日か明後日、浜ノ町で待ち合わせて３年ぶりのデートをしよう。そして良かったら結婚の申し込みをしよう、と思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕のノイローゼ状態はいっぺんに吹き飛んでいた。力が湧いてきたのを感じとっていた。僕は死なないゾ。僕は決して死なないゾ、と思い始めてきた。そして隣りの隣りの千恵子の部屋にいた喜文に『今から浜ノ町に行くゾ。やっぱり一日じゅう家にいたら頭が変になってくるな。俺、さっきまで欝状態だったけど急に元気が出てきた。今から浜ノ町に行くゾ』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はいつの間にか死ぬことを考えなくなっていました。３年前の元気だったあの頃を思い出したからでしょうか。僕は元気になっていました。愛子の明るさや元気さを思い出したからでしょうか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は今でも忘れられない。合宿最後の前の日のことだった。僕はこの日もいつものように夕方の練習が終わるとセルボに乗って家に帰りまた留年の通知が来てないことを知るとすぐに商業高校へと引き返した。そしていつもの通り一階の愛子たち四人のマネージャーのいる調理室で遅い夕食をとった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　その日最後の夕食で先生が特別にビフテキを御馳走することになっていた。僕の心はそれを聞き重くなった。今日は夕食に遅れずにちゃんと合宿所にいなければならないかな。また先輩も僕に『今日は○○先生が特別にビフテキを御馳走するそうだから帰るなよ』と言われた。僕はそれで煩悶した。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は黙々と考えた結果、昼食が終わって愛子たちが後片づけをしているとき、調理室に入っていってたぶんリーダー格である（愛子は柔道部のマネージャーでなくて香焼中出身の仲間が３人柔道部のマネージャーなため合宿のときお手伝いをしていただけだった）窪田さんに『あの、今日も遅れます』と吃り吃りもじもじと言った。僕はもう４日連続で夕食に遅れ愛子たちやあるときは野球部の奴ら、またあるときは女子高生とばかり思っていた女性の教師と一緒に夕食を食べていた。僕はいつもうつむき続け無口な僕だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; ……僕はそう言うとうつむきながら調理室を出ていき始めた。すると僕のうしろに愛子たち３人が入口で手を振って僕を見送っていた。何気なく振り返った僕の目に映ったその光景はとても美しく、僕は久しぶりにこんなに美しい光景を見た。僕はこの冬自殺を決意してセルボで雪の降り積もる雲仙岳に登りそこで見た霧に包まれた打ち続く樹氷の光景、あああれよりも美しかった。彼女たちの手のひらは春の花びらのようだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　入口のドアから３人の女子高校生がうつむき歩き去っていこうとしていた僕に手を振ってくれている。無口でいつもうつむいている僕に対する彼女たちのいじらしい意思表示のようだった。ああ僕は好かれてるんだなあと思った。でも口を開けばきっと幻滅される。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は彼女たちに微笑み返しながら立ち去っていった。僕は久しぶりに本当の微笑みをしたようだった。いつも『ダメダ、ダメダ』とばかり言っていた傷つき果てていた僕の心は彼女たちの笑顔ときらめく手のひらによって魔法のように癒された。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子のあの手紙、もう永久に戻って来ないのか。愛子のあの手紙、もう永久に消えてしまった。ただ僕の胸のなかに残っている。愛子の胸のなかにも残っていることを願っているけれど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　正月明けの戸石のゴミ棄て場で山のように積もったゴミの山を前にして僕と愛子の文通の手紙の束を捜すのは不可能だった。僕たちの愛は消えてしまった。僕のちょっとした気まぐれのために消えてしまった。僕たちの青春を刻んだ手紙の束。僕たちの青春の苦悩を刻んだ手紙の束。もう戻って来ないのか。思い出としてだけでも残しておきたかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子のあの手紙、いつもいつも落ち込みがちの僕の心を明るくランプのように照らしてくれて僕をいつもいつも自殺の一歩手前のところで救ってくれていた。それなのに、それなのに僕は自分の虚栄心のため、醜い醜い虚栄心のために捨ててしまった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子の手紙はもう２ヶ月まえ、僕の醜い想念とともに黒いゴミ袋の中に入れられて清掃車の中にギリギリッと押し潰されて戸石の清掃場に持っていかれてもう焼かれてしまった。いや、もしかしたらまだあるかもしれない。あの山のようなゴミの山のなかに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は捜そうとした。でも清掃場の人から止められた。無理だ、と。それにもう焼いてしまっている、と言われて。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　夜、僕は捜しに来ようかと思った。外は真冬の冷たい風が吹いていたけど、捜しに来よう。僕はそう思った。　　　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ゴミの山のなかを真冬の真夜中の大気のなかで探し回っている狂人に僕はなってもいい。また浮遊霊のようにゴミの山の中に愛子の手紙の束、僕が迎えに来るのを待っているかもしれない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもあの巨大なゴミの山のなかから愛子の手紙の束を捜し出すのは大変だ。不可能だ。だから僕、必死に書くつもりだ。愛子のあの優しさと真心を無にしないためにも必死に書くつもりだ。僕の魂はあの頃の愛子の魂となって愛子の手紙を必死に再生するんだ。僕は純粋だった愛子の心に成りきって、立派に愛子の手紙を再生してみせる。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕らの手紙の中継点となっていた中川町の○○さんのアパート、取り壊されて新しくビルが建とうとしていただろう。だから僕、それだから愛子からの返事が来ないのかなあと、とも思ってラジオのプレゼントアワーに出したんだ。僕は２度目の手紙で本当にメチャクチャなことを書いていたのにごめんね。『結婚して下さい』とか、初恋の話など書いたりして、本当にメチャクチャなことばかり書いてごめんね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は本当にバカでした。○○さんの住所がちょうど中川一丁目でしかもそこは今取り壊されている最中なのをＦＴでドッドッと振動を受けながら学校への行き帰り見て知っていたから。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　一年間の空白が流れた。僕もちょっと愛子のことあきらめかけていた。僕は今思う。僕はすでにあの頃自分の青春をあきらめかけていたのではないのかと。僕はすでにあの頃死霊のとりこになっていて死の道へ死の道へとまっしぐらに落ちていたのではないのかと。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕には今見えてくる。近いうちに僕が平和公園の平和記念像の前でソビエトの核実験に抗議するために焼身自殺する光景が。でも苦しいだろうな。焼身自殺なんて。やっぱり首吊りじゃないと苦しいだろうな。それに焼身自殺のような苦しい死に方をしたら親をますます悲しませてしまう。やっぱりひっそりとした所で静かに眠るように柔道の帯で首吊り自殺をしようと思う。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　それに僕はいま哲学的にも行き詰まっている。２日前、民医連の奨学生の書類を柴田さんに手渡したけど、僕は創価学会に戻ろうかとも思っている。宗教がアヘンなら共産主義もアヘンだろ。経済的にいくら救われても魂は救われない。共産主義はちょっと不十分だ。間違っている所がある。もっと宗教を重視した共産主義でないとダメだと思う。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は中学３年から高校１年にかけていろんな理想境を夢見ていた。そしてそれはブラジルのアマゾンの奥地にしかないと思っていた。それが女子高校生の胸の中にあるなんて。僕は知らなかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　理想境はすぐ近くにあった。それなのに僕は遠くばかりを見つめていた。そして僕は最近、理想境のことなど忘れていた。理想境なんてあってたまるかって、少しやけっぱちになっていた。　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　３月２１日<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はその日朝からずっと家に居た。途中昼寝を２回ほどしたりしてずっと自分の部屋でいろいろな本を読んでいた。オナニーも二回した。夕方５時５０分ぐらいの時だった。僕は相対性理論の本を読んでいた。頭は本の読みすぎで疲れていた。すると電話のベルが鳴り始めた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はどうせ松尾徹さんかケーシーだろうと思い、出るまいかと思った。しかし僕は少々退屈でもあった。僕は機械的にただ電話の所まで歩いていって受話器を取った。電話のベルが鳴っているからだから受話器を取ったのだという衝動的行為だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ベルの８回目で受話器をとった。切れるか切れないか危ないところだったろう。僕は機械的に受話器を耳に当てた。ものうい動作で。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　すると若い女性の声が聞こえてきた。『_商業の_です。カメ太郎さんですか？　憶えてますか？』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はドサッとうしろへ倒れた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。半年近くの空白が流れた。僕がめちゃくちゃな２回目の手紙を出してから。１０月１１月１２月１月２月と完全に僕ら空白だった。秋と冬のあいだ僕ら完全に空白だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　すると電話がかかってきた。僕は驚いた。ちょっとカン高い声で僕は始め愛子のことが解らなくて鎌田さんかなって思った。始め『００＿＿』っていうのが僕気が動転していてあまり良く聞き取れなかったから。でも『商業の＿＿』っていうことはよく聞き取れたから。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は吃り吃り喋ったろ。ものすごく吃り吃り喋ったろ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は電話を切ったあと電話機の前の廊下にずーっと寝転び続けた。夕暮れの暗い廊下に。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも愛子、ものすごく吃って話にもならない僕とよく１５分ぐらいも喋ってくれてありがとう。僕はとても嬉しかった。愛子が僕の２回目の手紙のことを許してくれて再び僕を懐かしく思ってくれて電話してきてくれてありがとう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さんへ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私には二つの顔があります。カメ太郎さんの前や学校での明るい私と、家に帰ってからの暗い私が。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　どっちが本当の私なのでしょうか。私、つくづくこの頃考え込んでしまいます。どっちが本当の私なのだろうかなって。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　太陽を見つめていると、毎日の生活の苦しさと言おうか、クルマのこと、バイクのこと、学校のこと、父や母に対すること、などのことが僕の頭の中を駆け巡ってゆく。そして悲しくなってくる。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そして僕はバイクで学校へと走りながら深いもの思いに沈んでしまう。生きること。生き抜くこと。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （５月１８日消印）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さんへ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　今やっと英語の勉強が終わったばかりです。今中間試験で明日国語と英語の試験があります。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　今夜の１２時です。明日６時に起きなくっちゃならないからもう寝ないといけないけどどうしてもカメ太郎さんに手紙を書きたくなって。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、今、県外就職にしようか、県内就職にしようかとても迷っています。このまえまで絶対に県外就職にするつもりだったけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　なるべく早く返事を下さい。こんなこと言っていいのか解らないけど。すみません。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （６月１日消印）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さん。お元気ですか。返事が来ないから私とっても心配しています。私の手紙、着かなかったのかなあ。もしカメ太郎さんからの返事が来ないのなら私はこのまま県外就職に決めようと思っています。でもカメ太郎さんの返事が早く来たら、私、県内就職に変えるつもりです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　毎日、カメ太郎さんからの手紙が来ないかなあと考えています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　こんにちは。手紙が遅れてすみません。今は１３日の午後１０時１７分です。今、風呂からあがりました。愛子の手紙は先週の土曜日に来ました。それから僕の心はなにか夢でも見ているようにボーッとなっています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもその手紙が愛子のものだったのを知ってとてもびっくりしました。実はボクはこのまえの愛子の手紙をまだ読んでいませんでした。今もまだ読んでいません。読むのが恐くて読めないのです。恥ずかしくて恥ずかしくてとても読めません。それにこのまえの手紙は別れの手紙なのだろうと思っていました。あの電話以来電話がかかってこなかったし、そしてボクが伝言板のコーナーを使ったことを迷惑がって『これ以上つきまとわないで下さい』という手紙なのだろうと思っていました。それに裏から透かしたりしてチラッと見たところ『手紙が遅れてすみません』や『＿＿を大事にして下さい』『これが最後だと＿＿』というのが見えたし、いやに丁寧に書いてあったようだったから、間違いなく“別れの手紙”だと思いました。そのためますます読むのが恐くなりそれに傷つくのが厭でもあったので読まないでおいたらもう一ヶ月半近くも過ぎてしまいました。愛子のことを忘れるんだ、と思って努力してこのごろとても学校が忙しくもあったので正直いって忘れかけていました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さん、写真ありがとう。とっても大事に学生手帳のなかに入れてます。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもその写真、大事な写真だったのではありませんか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は生きる価値のない人間かもしれません。しかし僕は卒業したらドイツの吃りを研究している研究所に入ろうかな、と考えたりこの頃しています。そのためには英語ができなければならないそうです。ドイツ語はできなくてもいいそうですけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　だから僕は現在は生きている価値のない学生ですけど卒業したら吃りで苦しんでいる人たちを救うために頑張るつもりです。そうして僕の生きる価値がそのとき始めて生まれるのだと思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　だから今は苦しさに耐えて何の楽しいことがなくても生きています。毎日毎日苦しいことみじめなこと口惜しいことばかりです。でも卒業したら僕は吃りの研究のためにドイツへ渡って世界中のたくさんの吃りで苦しんでいる人たちを救うんだ。だから僕はいま根性で生きているんだと思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　朝方は僕は憂欝です。でもバイクに乗って外に出ると気分も晴れて生きる勇気が湧いてきます。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　バイクに乗ってそよ風に打たれながら太陽の光を浴びてると、そのうち愛子をバイクのうしろに乗せて海へ活きたいな、と思ってきます。今度、良かったら電話して下さい。僕はいつでもＯＫだと思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　眠れなかった。愛子との痛恨のデート故に僕は昨夜ぐっすりとは眠れなかった。そして悪夢ばかりを見ていた。それは主に過去の失敗に関しての（大学入試失敗などの）悪夢ばかりだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ああ、これから毎夜、ふたたび僕を悪夢が襲い始めるのだろうか。今から一年半前の日々のように。悪夢にうなされる日々が続くのだろうか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ああ、僕はいいとしても愛子が可哀相だ。僕はいいんだ。僕はどうでもいいんだ。ただ、愛子が可哀相なだけなんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。やっぱり僕らの間には悪魔が暗躍していて僕と愛子の恋が成り立つことを阻もうとしているんだ。きっと僕らの間には悪魔が暗躍し続けているんだ。僕らが出会ったときからずっと。でもその悪魔の正体は何だろう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕らはまた再び会わなくなるだろう。そして再び空白の月日が、僕らの青春の大事な大事なときに、白いページが次々と造られてゆくだろう。僕らの青春のページに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕らの大事な青春のノートはそうして何も書かれずにめくられてゆくのだろうか。僕らは再び虚しく大事な青春のときを送ってゆくのだろうか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕らの金箔の青春のページはそうして薄っぺらなノートとなって初夏のそよ風に舞っていって消えてしまうのだろうか。僕は厚い厚いノートにしたかった。僕と愛子の恋のノートを。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｓ５９・７・２<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子が泣いていた。夢のなかで愛子が泣いていた。愛子を傷つけた僕は、そうして夜空を見上げて自分の病気をとても呪った。僕の病気のために愛子を傷つけて、そして僕まで淋しい思いをしている。今ごろ愛子はちゃんと眠れてるだろうか。愛子は泣いていないだろうか。僕も星空を見つめながら泣こうとしている。愛子のことを思って僕も泣こうとしている。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕には生きることへの怖しい懐疑感がある。僕はまったくお酒なしには眠れない。そして朝、いつも二日酔いでぼんやりとして起き上がる。そしてコトコトとカワサキの２５０ｃｃのバイクに揺られて学校へ行く。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は怖しく孤独だ。学校へ行けば緊張して先生の講義を理解できない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　教室に座っていて何故そんなに集中できないのかというと、これは“自我漏影現象”と言って分裂病の一つの徴候であるのかもしれません。僕は極度に緊張し、顔はこわばり、周囲に迷惑をかけているようです。そして僕は人の居る処を避けて一人ひっそりと座るのです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は淋しい。僕は６月、愛子と会ったときも顔がのけぞっていたろ。どうか気にしないで下さい。あれは口臭のためでも何でもありません。ただ癖として僕の場合ああなってしまうのです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕は生きれるか心配だ。毎日襲ってくる譬えようもない不安感と孤独感。愛子。僕は生きれるか心配だ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子の胸の中に抱かれて過ごしたいという気持ちでいっぱいです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　もう夏になった護国神社で、僕は一人佇みつづける。愛子の居る商業高校を眺めながら、僕は一人淋しく佇み続ける。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　 （夢での会話）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; ※（これは現実のことではない。僕らは_僕らは手を握り合ったことさえないのだから。これは現実のことではない）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『解けるかい？　愛子、僕の呪いを』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『いいえ、カメ太郎さんの強すぎて解けないみたい。少なくとも私には無理みたい』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （僕はそして俯く愛子の肩をそっと抱いた。愛子は無力な自分を責めているようだったから。でも僕も苦しんでいた。治らぬ病気に僕はずっと苦しんできた。もうずっと前から。愛子と出会う十年以上も前から）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　学一・八月<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『愛子。僕らを出会わせた赤い糸は、僕らはお互いあまり恵まれてなかったけど、でもそれ故にこれから僕らは幸せな家庭を築いてゆけると思うんだ。僕ら今までちょっぴり不幸だったけど、僕の場合はちょっぴりどころでなくて大変不幸だったけど、今から僕らは二人で幸せな世界を築いてゆけるんだ。これから僕らは。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （愛子はちらっと僕に視線を遣った。愛子は僕の今までの苦しみをよく理解していないようだった。僕の幼い頃からのとても辛かった毎日のことを。でも僕も愛子のこと理解していないのかもしれない。愛子は僕以上に本当は辛い毎日を送っていたのかもしれない。愛子も幼い頃からの辛い毎日を_<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　（幸せの黄色いヘルメット）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕が愛子に被せるのは幸せの黄色いヘルメット。ナバの黄色いヘルメット。僕たち、カワサキのＦＴに乗ってそれで野母崎まで『ダッ、ダッ』と音をたてながら進む。潮の香りをいっぱいに浴びながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そうして僕ら、野母崎の岸壁に寄り添って座っていろんなことを語り合うんだ。人生のこと。高校のこと。将来のことなど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕ら、潮風を頬に受けながら幸せいっぱいに語り合うだろう。愛子はとても明るくていつも沈みがちになる僕を励ましてくれる。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　（夕陽を見つめながら）　ﾊﾟｰﾄ2<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕には中学・高校時代、激しい恋をしたことがある。遂に一度も生きているときは手をつなぎもしなかったのだけど、あれは少年の頃の燃えるような激しい恋だった。今、夕陽が照ってるだろ。あの夕陽のような紅い燃えるような恋だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもその女の子、この野母崎の港をちょっとちっちゃくしたような網場の青い海の中に、僕に長い遺書を書いて、そして最後に僕にお別れの電話をくれて、沈んでいった。僕が夜の闇の中を必死に走っていって、そのコを救おうと必死にそのコが身投げをするはずの網場の桟橋まで必死に走っていったけど、もうそのコ、夜のまっ暗い海面にプカプカ浮いて死んでいた。一度きっと沈んで海藻の生えてる海底に『ゴンッ』と当たってそれから再浮上したのだろうけど（だから最初５分間ほどは何も見えなかったのだろうけど）浮かび上がってきた杏子さんを見て僕は５月の凍てつく夜の海の中に無我夢中で飛び込んだ。その日は５月の始めだったけど寒の戻りというのかとても寒い夜だった。僕の飛び込んだ夜の黒い海はまるでオホーツク海のような海だった。僕は海中を泳ぎながらそう思った。『僕はオホーツク海を泳いでいるんだ。そして月の光に照らされてポッカリと浮かび出た杏子さんはアザラシのようだった。まるで水の上で孤独に吠え続けるアザラシのようだった。黒い黒いまだ幼いアザラシのようだった』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; (第1章終わり)　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　（夕陽を見つめながら　　ﾊﾟｰﾄ3）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　生きているのは何故。カメ太郎さん、生きているのは何故なのかしら。私たち何故生きているのかしら。私たちの存在って何なの。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、カメ太郎さんの思想にかぶれたのかしら。私、以前、カメ太郎さんと文通し出す以前はこんなことこれっぽっちも考えたことなかったのに。毎日毎日をなるべく楽しそうにノホホンと過ごしていたわ。カメ太郎さん、手紙に書いてたでしょ。『毎日をノホホンと過ごすようにしなくっちゃいけない。毎日をノホホンと過ごせるようにならなくっちゃならない』って。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、今までノホホンと過ごしてきたつもりよ。でもカメ太郎さんと出会ってから私、もうノホホンと過ごせなくなっちゃった。私の胸はいつも心配で潰れそうになるようになっちゃった。そして自分の存在は何なのかって。私って何のためにいきているのかって私、この頃本気で考えるようになってきちゃった。きっとカメ太郎さんの影響だと思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子はそう言って僕の肩に頭をもたげた。高校三年生の愛子の体ははち切れそうで僕は思いきり抱きしめたくなった。紅い夕陽に照らされながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　学一・八月<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　全く、死の谷のようだった。僕はここへ商業高校の愛子と来たかった。ちょっとブスだけどとても明るいあの愛子と。沈みがちな僕の心にランプの火を灯してくれるような明るいあの愛子と。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも現実には僕はたった一人で、この谷間の青い草叢の中を歩いていた。僕は朝から誰とも口をきいてなかった。そしてカワサキの250ccのＦＴの鼓動だけが僕の友達だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　マリンブルーの真夏の海が僕の目を幻惑し出し、もし隣りに愛子がいたらなあ、という後悔とも悔恨ともつかないものを僕に抱かせた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はただ一人、岸壁に腰掛けていた。僕はそっと横を振り向いた。でも誰もいない。ただ僕の視界の端に僕のカワサキの黒塗りのＦＴ２５０が寂しげに見えるだけだった。僕は孤独だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は孤独に座っている。潮風が僕の胸腔をわびしげにわびしげに通り過ぎていっているようだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　学一・八月<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕は寂しくってたまらない。この夏はとても淋しい夏だった。こんな虚しい夏は始めてみたいだ。海には一回友だちとチョロッと行っただけだった。なんにも思い出になるようなことがない夏だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボクはこの夏、愛子の胸に抱かれて過ごしたかった。愛子のふっくらとした胸に抱かれていたかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　（１０月２３日消印）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （一枚目）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さん。元気にしてますか？　永く手紙を書かなくてすみません。私、このまえの期末テストで社会で赤点を取ってしまいました。テストを返してもらうとき先生は私に『どうしたの？』ととても心配そうに声をかけてくださいました。今度のテスト、就職に一番響くテストだったのですけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私それで希望していた福岡の会社に入れないかもしれません。でも私それでもいいわ、と思っています。長崎の会社に勤めようかな、とも考えています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さん、今ごろどうしていますか？　このまえもこのまえも電話したけど居なかったから。何回も何回も電話したけど居なかったからもう電話するのが億劫になって。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、明日、福岡のその会社に面接に行きます。たぶん駄目だろうとは思うけど先生は大丈夫だって。でも私、行っても駄目だろうからわざわざ福岡まで行くのがもったいないような気がしています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、そしてこのまえ長大祭に友だちと３人で行って『スティング』を見て来ました。カメ太郎さんが居ないかな、と私カメ太郎さんの姿を捜していましたけどカメ太郎さんの学部坂本町にあるからやっぱり違うのね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（二枚目）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さんへ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　長く手紙ほったらかしにしていてすみません。私、県外就職に決めました。そしておととい試験を受けて帰ってきたばかりです。先生は、きっとあがってるよ、と仰るけど私には自信ありません。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私昨日から、自動車学校に通っています。私あんまり行きたくなかったけれど、家の人が行け行けって言うから。本原自動車学校です。カメ太郎さんもたしかそこに行ってたのではありませんか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、今度こそは絶対電話します。２４日の６時頃になると思います。家に帰ったら電話しにくいから帰りがけ公衆電話から電話します。電話をする、するって言いながら今までしなくてすみません。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも私、福岡に就職することになったらカメ太郎さんと滅多に会えなくなる訳だから落ちてればいいな、と思っています。本当に落ちてればいいな。でもそれもカメ太郎さんの気持ちしだいなんですけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　（突然湧いてきたけど思い出せない愛子の手紙）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、カメ太郎さんの家に何回も何回も電話したんですけどいつも留守だったから。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　だからそのうち電話するのが億劫になってきて。ずっと電話しないでいましたけどごめんなさい。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも私、１０月２４日の日には必ず電話します。学校帰りに必ず電話します。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さん、本当に勉強頑張って下さいね。本当にもう留年なんかしないで早くお医者さんになって下さいね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　話は変わりますが私このまえ長大祭に友だちと４人で行ってきました。『スティング』を見てきました。私、カメ太郎さんが居ないかなあといろいろ辺りを見ていたんですがカメ太郎さん居なかったみたい。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br><br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm<br><br>&nbsp;<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/entry-12192716964.html</link>
<pubDate>Mon, 22 Aug 2016 17:22:50 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>愛子（桜雪）no.2</title>
<description>
<![CDATA[ <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　（突然湧いてきたけど思い出せない愛子の手紙）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、カメ太郎さんの家に何回も何回も電話したんですけどいつも留守だったから。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　だからそのうち電話するのが億劫になってきて。ずっと電話しないでいましたけどごめんなさい。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも私、１０月２４日の日には必ず電話します。学校帰りに必ず電話します。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さん、本当に勉強頑張って下さいね。本当にもう留年なんかしないで早くお医者さんになって下さいね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　話は変わりますが私このまえ長大祭に友だちと４人で行ってきました。『スティング』を見てきました。私、カメ太郎さんが居ないかなあといろいろ辺りを見ていたんですがカメ太郎さん居なかったみたい。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子、ゴメンネ。僕はあの日、むさ苦しい頭のままで会うのはダメだなあと思って床屋に行ったんだ。東邦生命ビルの地下にある『モグラの床屋』っていうシャレた床屋に。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そうして意外と時間がかかってしまった。それにそのまえに愛子とのデートのコースの下見をしたからそれでますます遅くなった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ゴメンネ、愛子。散髪には一時間１０分もかかった。僕は始めそわそわしていて早く終わってもらおうかな、と思っていたけど途中で眠ってしまっていた。そして気がついたらそこの床屋のちっちゃな女の子が僕の肩をもんでくれていた。僕は『そんなことしないでいいのに。』と言おう言おうとしたが、もうそのとき一時間が過ぎていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　いつもは散髪が済んだあとコーヒーを出されてシャレたカウンターで『ポパイ』などファッション雑誌を１０分から１５分くらい読むのだが僕はその日コーヒーを出されるのももどかしくコーヒーが出されたらすぐにグイッと飲んで料金（2500円）を払って外へ出た。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そうして僕は夕暮れの街角に出た。愛子との約束の時間はもうとっくに過ぎていた。１１月の夕陽が僕を哀しく照らしていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　まるで風が孤独のように吹いていた。この風は僕の胴腔をかすめてゆく秋の肌寒い木枯らしを含んだ風のようだった。そうだ。孤独のように吹いていた。すぐ帰って愛子からのＴＥＬを待つべきかカルチャーセンターへ行って天使さまのような木村さんと会うか僕は街角に立ちつくし木枯らしに吹かれながら考えつづけていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　帰るにしてはもう遅すぎた。そして木村さんの美しさは愛子の存在をはかないものにするほど輝いていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも愛子にはひたむきな純な心で僕を慕ってくれている。でも時間はあまりにも遅かった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そして僕も統一教会に行ってみようかと思った。赤レンガのクリエーター長崎ビルの中にあるカルチャーセンターに行くといつもいるそのお姉さんを僕は好きだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　せっかく散髪されて綺麗にセットされた頭だった。このままヘルメットを被って家に帰るのはもったいなかった。それに愛子は６時に電話すると言ってたけどもう６時１０分近くだった。もう間に合わなかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　このまえ午後の授業が面白くなくて昼過ぎ頃カルチャーセンターへ行った。夕方は多いが昼は人が少ない。それで僕と木村さん二人っきりになった。二人で座っているとき木村さんは目を潰った。９０°の位置関係だった。なぜ潰ったのかあまりよく解らなかった。眠いのかな、と思った。また、僕と喋るのが退屈なのかな、と思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　それで僕は『ビデオ見てきます』と言って立ち上がった。すると木村さんはさっきまで潰っていたデメキンみたいな大きな目をパチパチと開けて『あっ、そう、そうね』とびっくりしたように言った。何日かしてから気付いたけどあれは僕を誘っていたんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　くの時型のソファーに僕の斜め横に座っていた木村さん。木村さん、もしかしたら僕を誘惑していたんだ。教義では男女関係を厳しすぎるくらい戒めているけれど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は愛子からの電話にはもう間に合わないと思って木村さんのいるクリエーター長崎ビルの方へ歩き始めた。僕は背中で夕陽に向かって手を振っていた。紅い夕陽の中に愛子の顔が見えた。でも僕は愛子に手を振って年上の統一教会のお姉さんのところに向かって歩いていた。愛子、ごめんね。遅れてごめんね。もう間に合わないから僕は今日カルチャーセンターへ行くよ。愛子、今度またね。そのうちきっとまたデートしようね。僕は今日時間の配分を甘く考えすぎて愛子との約束の時間をすでにオーバーしてしまっている。ごめんね、愛子。また、会おうね。ごめんね、愛子。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さんへ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　寒さも厳しくなってきましたがどうお過ごしですか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　さて、私このまえカメ太郎さんを見たように思います。たぶんカメ太郎さんだったと思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私たちがバスを待ってたら銀色のヘルメットを被ってバイクに乗ってる人がカメ太郎さんにそっくりだったから私、手を振ったのだけど。カメ太郎さん、気付かなくて信号が青になるとそのまま行きました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『見て、あのオッサン、肩悪いんやろか。ぜんぜん小石も投げきれんね』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『私、弱いの好き。たとえばあなたのように』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （そう言って愛子は僕を見た。雪の降る１２月の寒い夕暮れだった。僕らの２度目のデートのときだった）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　君に無理難題を押しつけて君を困らせたボクの気持ち解ってくれるかい？<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　君が好きだから。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　君を困らせて、君の困った顔を見たいと思った僕の気持ち。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　君の可愛いあどけない笑顔が見たかったから<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　君を困らせて眠ったふりをするボク。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『なんだ。これではダメだ』と吐き捨てるようにボールを愛子のグラブへ力まかせに投げたのですけど__するとその白球は公園の片隅の階段に腰かけていた老人に激しく当たりました。僕も駆けて行って『すみません』と謝ったのですけどその老人は目も見えず耳もとても遠いらしく口をもがもがさせながら亡霊のように立ち上がると、僕たちに深々と礼をして夕暮れの住宅街の方へ消え去るように歩いてゆきました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボクと愛子はそしてポカンとして護国神社の中でボールとグラブを手にしてその老人の夕陽に紅く染まった後ろ姿を見つめていました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　その老人は誰だったのだろう、と僕たちはそのあと不思議そうに語り合ったのだが、あれは僕らの守護霊ではなかったんだろうか、とこの頃再び宗教関係の本を読み漁るようになった僕には思われた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　その日はものすごく暑い１１月の終わり頃だった。まるでその頃の僕の胸の中のように（その頃どんな真冬の日でも250ccのバイクに乗って駆け回っていた元気だった僕の胸の中のように）夕陽がもう暗くなり始めた護国神社の中を赫赫と照らしていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　夢の中の亡霊のようにその老人は夕陽に紅く染まらされながら揺れるように歩いていた。それがもう何年もたったこの正月に急に思い出されて来るのは何故だろう。まるでその老人の記憶は夢か幻のように人生の終鴛を告げるかのように、暮れてゆこうとしている。僕の人生の終鴛はかかって来ない愛子からの電話とともに静かに僕に近寄って来ているらしい。そして僕はとても不安だ。足音を忍ばせながら布団の上にずっと朝から（一度、愛子からの手紙がまだないかな、と思って400ccの赤いバイクに乗って戸石のゴミ焼却場まで行ったけど、そしてそこでその森で首を括って死のう、という誘惑に猛烈に襲われたけど）横たわり続けている僕のところに近づいてきているその死神の影が、とても心配だ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎～　カメ太郎～　と鳴いている声が聞こえてくる。これは主に母の声だ。なぜか江戸時代末期の島原の農村地帯で叫ばれている光景だ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　それが今こうしてバイクに乗ってペロポネソスの丘へと山の中を通っているときに湧いてきていた。周囲は吹きすさぶ寒風。ススキやカキの木の葉が寒風に揺れ湧き水をたたえている円形の石器が冷たい湧き水を少しづつ溢れさせている。『カメ太郎～　カメ太郎～』その悲しい響きがバイクのマフラーから発せられる爆音に混じって何故聞こえてくるんだろう。あまりにも悲しい響きで僕は谷底があればそこからバイクもろとも突っ込んでしまいたくなるような響きだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　坂をすでにかなり登りつめており視界の下方にカキの木がその茶色の木を使い女を傷ぶって服を脱がせるように無惨なふうに脱がせ鈍色に光るその鉱石のような肌のところどころに木片がまだ付いておりそれが傷ぶられ辱められた女の衣服の切れ端のように見える。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あれは寒い冬の日だった。僕が愛子を待っていたのは。雪がコンコンと降っている１２月の寒い日だった。ボクはＦＴに乗って愛子が来るはずの本屋の前を行ったり来たりした。でも来たのは愛子と同じクラスの女の子らしい２人連れだったようだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子、なぜ来なかったのかい？　僕、待ってたよ。生徒会の仕事があってたのかい？　僕待ってたよ。ＦＴに乗って本屋の前を行ったり来たりしながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　（小雪の降るなかボクは愛子を待った）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　やがてバイクのスタンドをカタッ、と音をたてて立てて、僕は本屋から道一つ隔たった通りの上に立った。愛子は寒がりやだから、それにコートを持たないから、寒いから来ないのかな、と思った。道一つ隔てた本屋には依然として愛子から送られてきた愛子のクラスメートたちの写った写真の中にいたと思われる可愛い女の子が２人、ちょうど待ち合わせの６時５分前に来ていた。僕は彼女たちに話しかけるべきだ、とも思ったけど、僕は恥ずかしかったので、僕は茫然とかかしのように、そして地縛霊のように道一つ隔てた通路の上に小雪に顔を凍らせながら立ちつくしていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は喋れなかったので_吃って_吃ってしまうので。彼女たちに笑われてしまう。変な人だと思われてしまう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は茫然と立つくし続けた。そして彼女たち２人は美しくて（とくにそのうちの一人はとても美しくて）僕は愛子が僕にその子たちと僕をつき合わせよう、私のようなブスとつき合うのはボクに似合わないとかそんなことを思ってそうしたのかな、とも思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　家へ帰ると孤独感に猛烈に襲われて、まるで今外で舞ってる吹雪のように孤独感に襲われて、いたたまれなくて、そして大げさに言えば死にたくなるから、だから僕はいつも帰りは夜１０時ぐらいになって、愛子に手紙を出すのがこんなにも遅くなってしまったけどごめんね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は今日も夜の吹雪の中を僕のあの黒いカワサキの250のバイクで駆け抜けてきました。母は『とても寒かったろ』と言っていました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも僕には自殺した人たちの死後の世界の方が何倍も何十倍も寒いんだ、そして寒くて辛いんだ、っていうことを知ってるから我慢していたというか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　実は今夜も統一教会の所に９時半までいました。もちろん僕が信仰しているのは高橋信二という人のＧＬＡですけれど。でも統一教会は明るくて楽しいから。　　　　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　 学一・二月<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　冬も終わりに近いある午後のことだった。度の強そうな完全にまんまるいメガネをかけた青年が浜ノ町をユラユラと歩いていた。つい最近2500円で買ったＵＯＭＯのトックリセーターとラングラーのスリムジーパンと黒のコンバースを身に付けていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　昨日留年の発表があり、今朝そのことを知ったのであった。進級できるんじゃないかなという考えがあったのでやはりショックだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボクはアーケード街をフラフラと歩きながら、国家上級の試験を受けることを考えていた。泥沼だった。耐えられないほどの心の渇きと言おうか焦りに苛まれていた。国家上級の試験に受かって国立考古学研究所にでも入ろうと考えていた。それは東京にあるだろうから試験に合格すると東京に住むことになるだろう。ああ、淋しいなあ。とっさに僕の頭に愛子のことが浮かんできて愛しさと言おうか淋しさと言おうかそんなものに耐えられなくなった。愛子のボクへの思慕が急に思い浮かんできたのだ。ああやっぱり思われれば思われた人はその人を恋しくなるのだろうなあと思った。このように木村さんもボクが思慕していることを知ればボクを愛しくてたまらなくなるんだろうなあと思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもボクが東京に出れば親も淋しいだろうなあと思った。親にとってはこのまま長大の医学部に通ってそして卒業したあとも長崎に居てもらいたいのだろうなあと思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ホントに東京に出れば淋しいなあと思った。一人ぼっちになったボクはいったいどうしたらいいのだろうと思った。東京で彼女をつくろうかなあ。でも愛子が淋しいだろうなあ。愛子を東京に呼んで一緒に生活しようかなあ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　東京に住むことを考えたらなぜこんなに愛子が愛しくなるのかなあと思った。なぜ木村さんのことが思い浮かんでこないのだろう。木村さんは適当にボクを思っているだけだけど、愛子は１８才の純な心でひたむきに思うからだろうなあと思った。（木村さんは２９才だから）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子に誕生日のプレゼントをやらなければならないなあと思った。４月３日まで日日が迫っているので急がなければならないなあと思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はまた落第してしまいました。これで２度目です。愛子に会いたいなあと思います。愛子は福岡へ行ってしまったんですか。それとも長崎なのですか。長崎のどこに行ったら愛子に会えるのですか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はちょっぴり愛子の人生を狂わせてしまった後悔とそして淋しさに包まれながらこれを書いています。長崎の新地店に宛ててこの手紙を出そうと思っています。今日浜ノ町を一人でぶらぶらしているとき何度かベスト電器へ行ってみようとも思いましたけど恥ずかしくて行けませんでした。それで家に帰ってきてからこれを書いています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春の風が吹いてきたのに、僕は淋しさに打ちひしがれ、愛子に手紙を書いたり、留年の通知が来ていないかと毎日ポストの中を確かめたり、淋しさに打ちひしがれて浜ノ町を一人で歩いてきたりしているけど、僕の心のなかにポッカリと空いている淋しい空洞には何も満たされない。そして僕は淋しさをこらえたまま、ただ黙々と毎日を送っている。ビデオを見たり何をすることもないまま。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕は今たまらない不安に襲われている。また留年した。また学一をやり直さなければならないようになった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　まるで僕と愛子の恋のようだね、桜雪<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （桜の散る絵と、散る桜の下にいる僕の絵）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　昭和６０年４月４日記す<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　待ってます。でもボクは愛子を束縛したくありません。ボクは愛子に楽しいＯＬ生活をしてもらいたいのです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　待ってます。楽しいＯＬ生活をしてもらいたいのです。でも、最後には、ボクの元に帰ってきて下さい。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　 （愛子との電話。４月５日のことだ。）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　元、元、元気、ん、元、元気かな？<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。また留年してしもうたもんね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　いや、ま、また、また、りゅ、留年したけん、やっぱい落ち込んではおったけど、うん<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　いや、いや（いやや）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　えっと深夜料金は８時からやったかな。８時やったかな。９時かな。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　_<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　_<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　_<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。あれ、３日誕生日やったやろ。いや、４月３日<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　うん。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あっ、あっ、うん、うん、（チャリン）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　（結局出されなかった手紙）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕が日に日に廃人になりつつあること知ってるかい？<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　２度目の留年は僕の不眠を更にひどくし、僕はもうお酒なしでは眠れなくなった。そして中二の頃のように夜の２時半ぐらいになると驚いて起き出すようになってしまった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　もし愛子が長崎に残っていてくれたのなら僕は今こんなに苦しまなければならないようにはならなかったのにと思うと残念でたまりません。僕は今、愛子が恨めしい気持ちでいっぱいです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　夜眠れない辛さは僕を発狂の渦の中へと巻き込んでしまいそうです。夜いつも２時半ごろ目が醒め、それから４時半または５時半ごろまで眠れません。きっとそのころ愛子は気持ち良く福岡の寮のなかで眠っているのだろうなあ、と思うと、長崎は地獄で福岡は天国のような錯覚も湧いてきます。そして現役のとき、また浪人のとき、九医に入っていたならという口惜しさとともに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そして僕は空が白々と明けてきた頃ふたたび眠りに就いています。悔しさと淋しさで心をもみくちゃにしながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あの日、僕が愛子への誕生日のプレゼントを手に持って、浜ノ町のベスト電器へと行ったとき、僕は愛子に似たちょっとポッチャリしたまだ高校を卒業したばかりのような女の子に尋ねた。するとその女の子は愛子が福岡勤務になったことを悲しげに伝えた。そしてその女の子が福岡の愛子にすぐ電話したのだろう。２日後の４月５日の夜、愛子から寂しげな電話が掛かってきた。僕は吃り吃り喋ってほとんど話をできなかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子のその寂しげな電話ののち僕は受話器を握りしめながら立ちつくした。黙ったまま立ちつくした。悲しみに耐えながら、いつもいつもの悲しみに耐えながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　心をいつものように打ち震わせながら耐えていた。悲しみに耐えるのには強い僕だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　夜はだんだんと更けてゆき僕は親子電話になっている僕の部屋の黒電話の前でずっと畳に手をついて俯き続けた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　（春だから）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春だから、君の所へ飛んでゆこう。春だから愛子の所へ飛んでゆこう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　（汽車の中で、愛子は）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春なのに、悲しみの風が吹いてきて、長崎から博多発の急行列車の上に、桜の花びらが、僕の涙のように落ちていっていた。そして愛子は、いつも明るすぎるほど元気な愛子は、泣いていた。しくしくと春なのに、泣いていた。明るすぎる春なのに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そして僕は博多へ向けて走ってゆく愛子を乗せた汽車を、護国神社の丘からずっと見送っていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子を乗せた電車はもう帰って来ない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は護国神社のベンチに座って俯きながら愛子と出会ってからのこの２年間の日々をとてももの哀しく振り返っていた。２年間、僕らはいつもすれ違ってばかりでろくにつき合えなかったけれど、愛子が卒業してからは僕らは毎日のように会ったりすることができるよう_ﾉなれるような気がしていたのに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも、愛子は福岡で僕と離れて楽しいＯＬ生活を送ってくれればいいなあ、と思っていた。愛子が幸せになってくれるなら、そうしたら僕の心も軽くなり罪悪感も薄れてゆくのだけれど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子が幸せに福岡でＯＬ生活を送ってくれるなら僕は心配しないのだけど。きっと明るく活発な愛子のことだからきっと楽しく福岡でＯＬ生活を送るだろうと思っていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　帰っておいで、愛子。桜の花びらと一緒に福岡に行ってしまった愛子。帰っておいで。帰っておいで。そうして僕を慰めてくれ。愛子の元気いっぱいの明るさで、落ち込んでいる僕を慰めてくれ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; (第２章終わり)　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　桜の花とともに福岡に行ってしまった愛子。戻っておいで。戻っておいで。そして淋しくて落ち込んでいる僕を救っておくれ。　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は愛子が燕のように長崎に舞い戻って来てくれないかなと、または僕の家が以前飼ってた文鳥のように戻ってきてくれないかなと、窓の外ばかりを見つめています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕の部屋の窓に愛子が小鳥になって飛び込んできてくれないかな？と夢のようなことばかり考えています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　学一留年期間中　４月　家にて<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>　　　　　　（結局出さなかった手紙）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ。僕は落ち込み果てて何もする気が湧きません。もう一回解剖実習をしなければいけないと言うし愛子は福岡へ行ったと言うし。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕は落ち込み果ててコタツの中でずっと午前中を過ごしていました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　明日から解剖実習が始まります。僕は幽霊になって愛子の傍に、明るく福岡のベスト電器でお客と応対している愛子の傍に、居たいなあ、という気持ちでいっぱいです。そうしたら楽しいだろうなあ、と思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子の傍で何も喋らなくてもいいから時間を過ごしたいなあ、という気持ちです。<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（途中、逸損）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は廃人になりました。２度目の留年をして僕はもはや廃人になりました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は灰になって長崎でひらひらと春風に吹かれて飛んでいる。愛子の居ない長崎で。淋しい空で。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は一人ぼっちで飛んでいる。でもやがて僕は福岡へと飛んでゆこう。途中で疲れて、疲れつきて、佐賀の辺りでおっこちてしまうような気もするけれど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　生きる。僕は生きる。愛子がいなくても。一人でも僕は生きる。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はそう思った。窓を開け外を見た。創価学会に戻ろうかとも思った。淋しさにやはり僕はやりきれない気がした。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。愛子のいないこの長崎で生きてゆくのは辛いことです。長崎では“空を見上げても一人”という変な言葉を空を見上げるときに思い出す変な僕です。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも本当に長崎では空を見上げても一人です。寂しい空が僕を覆っています。あまりにも寂しすぎるようです。でもこの寂しさに耐えなければいけないと思っています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子は福岡に旅立ち、僕はこの長崎に一人淋しく残された。誰か愛子に代わる女の子が、この丘を飛んでいる燕のように、春になって暖かくなった空を燕となって、現れてくれないかなあ、<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は浦上川の方を眺めながらそう思っている。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子はツバメと交代に長崎から去っていって、僕は思い出のこの丘にただ一人取り残されている。愛子が楽しいＯＬ生活を送ってくれることを、僕はただそれだけを願っている。幸せであれよ、愛子。幸せになれよ。今まで苦しかった辛かったかもしれないけど、これからは幸せであれよ。楽しい幸せなＯＬ生活を送れよ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春なのに、愛子は福岡に一人、僕は長崎に一人、福岡の空も長崎の空も青く染まっていて同じようだけど、僕らはお互い別々にその空を見つめている。僕も愛子も孤独な心を胸に秘めて、４月の空を見つめている。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春なのに、悲しみの風が吹いてきて、僕と愛子を悲しみでいっぱいにしてしまう。こんなに明るい春なのに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　春なのに、悲しみの風が吹いてきて、その風に僕は包まれて、愛子、僕は発狂しそうだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm<br><br><br><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/entry-12192716277.html</link>
<pubDate>Mon, 22 Aug 2016 17:21:01 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>愛子（桜雪）no.1</title>
<description>
<![CDATA[ &nbsp;&nbsp; &nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子（桜雪）　　　　　　　　　　　　　<br>&nbsp;&nbsp; &nbsp;<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カメ太郎　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は愛子の手紙をほとんどすべて捨てちまったこと、胸元が張り裂けるほど後悔している。僕はあの頃狂っていたんだ。自分の過去を塗り変えようと躍起になっていて狂っていたんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも愛子とのあの頃が僕にとって最高の青春だったんだなあとばかり思ってため息ばかりついています。今の僕は死にかけています。死神にとり憑かれていて明日にも死にそうなほど元気がありません。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あの頃の愛子との元気いっぱいな明るい日々に戻りたい気持ちでいっぱいです。そしてまた僕は“愛子と結婚しようかな？”とこの頃本気で考えています。再生のためには、生き続けるためには愛子と結婚するしか方法がないような気もします。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はまったく生きる意欲をなくしかけています。３度目の留年は僕を強く強く叩きのめし僕を確実に死へと導いているようです。もしも進級できてたら僕は吃りの人たちなどのために研究と治療に没頭する決意で毎日を燃える決意で送っていたのにちがいありません。でもこれから一年間の暇な日々を考えると僕はいたたまれません。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　明日にでも柔道場へ行って柔道の帯で首を吊って死のうかな、とも考えています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子、僕たちが始めてデートしたとき待ち合わせていたあの商業高校の裏の護国神社のこと憶えているかい。あれは６月終わりのことだったね。愛子は明日から試験っていう日だったのにね。呼び出してごめんね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あの夕暮れのとき、僕は愛子が始め解らなかった。綺麗な女子高校生が護国神社の坂を登ってきて誰かを待っているようだったので、僕らのほかにもここをデートの待ち合わせの場所にしているのがいるんだな、と始め思っていてそれで愛子を１０分近くも待たせておいてごめんね。僕が柔道の合宿のとき見てた愛子と違うようだったから。やっぱり体操服のときと学生服のときはちがうんだね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （なぜ今ごろ愛子とのことがこんなにも思い出されてくるのかな。僕の魂はすでに急降下を始めていて過去の記憶が走馬燈のように蘇るという現象がすでに起こりつつあるのかな。そして愛子の手紙をほとんど捨ててしまったという罪悪感と悔やみが僕を朝から何かに憑かれたようにしてこんなに夢中になって書かせているのかな）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕たちが始めて出会ったのは合宿第一日目の夕暮れだった。その日ボクは留年の通知が家に行っているかも、と思って夕方の練習が終わってすぐ愛車のセルボで家に帰ったんだ。夕方だから混んでいて行って帰ってくるのに一時間半以上もかかった。そうして当然夕食に遅れてもうあと片づけをしているところだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はその頃ようやく衣服に目覚めかけ……４ヶ月ほど前のクリスマスイブの夜からの手痛い失恋が今もまだつづいていたから。そして僕は今まで母の着せる自分の店の服ばかり着てたのを町の若者向きの店で買うようになったばかりの頃だった。僕は5800円したズボンと2800円の長袖のシャツとそして水害のあとに友だちと浜ノ町に出かけて買ったたしか2000円ぐらいの丸っこいメガネを掛けていた。靴は母が知り合いから買ってきた以前からの靴のままだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　食堂は２階だったけど調理室は１階で愛子たちそこで食事をしていた。入口に立ちつくしていた僕に愛子は駆け寄ってきてそうして中のみんなに叫んだ。何と叫んだっけ。愛子の声はかん高くて大きくて叫んだように僕には聞こえた）<br>　僕は愛子に促されるまま中に入り、そしてみそ汁などをついで貰って食べ始めた。僕は始終うつむいていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; ※（あの頃、愛子たちと出会った春休みの合宿のときクルマの中で書いたもの。まだ残っていた）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボクは明るいあなたたちを見ていて、生きよう、と思いました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボクはあなたたちを見て自分の少年の頃を思い出しました。そうしてとても懐かしくなりました。ボクの少年時代は暗かったけど、でもボクもあの頃はあなたたちのように純粋でした。美しく生きようと思いました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子たちの明るさはクリスマスイブの夜以来、意枯地になっていた僕の魂を大きく大きく揺り動かした。僕は揺れた。夕食を食べながら。僕は大きく揺れた。僕の胸の中は揺れてた。生きようと思いながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕があの頃口癖にしていた言葉、愛子、知ってるかい。僕はそのころ『ダメダ、ダメダ』とばかり口にしていた。本学での合宿のときもずっとその言葉ばかり口にしていて先輩たちからあきれられていたっけ。合宿所のなかに真夜中２時３時頃から目覚めたボクが『ダメダ、ダメダ』とばかりブツブツ言うものだからほかのみんなよく眠れなくてとても迷惑していた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕の『ダメダ、ダメダ』という独り言が止まったのはあの夕暮れ、愛子たちの明るさにボクが触れたからだ。それ以来ボクは『ダメダ、ダメダ』という口癖をほとんど口にしなくなった。僕は元気になった。そして生き返ったような気分になった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （世の中にこんな明るい元気のいい生命っていうか女のコがいることを知って、そしてそのコとお友だちになれそうで、僕は急に生きる意欲が湧いてきたのだろう。僕は生きようと思った。クリスマスイブの夜以来、奈落の底に落ちかけていた僕の魂は愛子たちの元気さによって救い出された。ボクが陥っていた奈落の底から）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子たちは天使さまだったんだ。僕が陥りかけていた地獄の底から僕を救い出してくれる天使さまだったんだ。ちょっぴりポッチャリとしたでもとても元気のいい天使さまだったんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　（一回目の手紙）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は毎晩毎晩父と母の会話に階段のところからソッと聞き耳をたてている。僕は僕が留年したことを親に内緒にしているから。でもそれが何時何処から親に知れるか解らない。僕は毎晩恐怖に脅えている。早く芥川賞を取りたいなあ、と思っています。芥川賞取ったら留年したことを親に言おうと思っています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕は寂しい留年生活を送りながらつくづく“自分は果たして生きる価値のある人間なのだろうか？”ととっさに不安に駆られてしまいます。そして愛子の所に走っていきたくなります。２５０ｃｃのバイクに乗って愛子の住んでる香焼の夜の闇を突き破るようにして。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は高校の頃からよく“ピストルが闇の中に浮かんでいてそれが僕のこめかみを突き破る”幻想に悩まされてきました。でも僕の手元にはピストルはありません。そんなに簡単に死ねる道具があったらどんなにいいでしょう。それに死んだら親が可哀相です。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さんへ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　お手紙どうもありがとう。でも私びっくりしています。カメ太郎さん、死ぬのだけはやめて下さい。私、とってもびっくりしています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私も今までとっても辛い経験をしてきました。私の母は私が４歳のときに死にました。それからずっと２つ下の弟と生まれたばかりの妹の面倒を私が見てきました。小学校の頃は友だちと遊べなくてとても辛かったです。中学になると下の妹がどうにか家事をやれるようになってそれでテニス部に入ったんですけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　小学校の頃は本当にきつくって私何度母と一緒に死んでたら良かったのに、と思ったことでしょう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　それに私が中学二年のとき継母が来たし。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　話は変わって今私たちはクラスマッチの練習で大忙しです。放課後遅くまで練習したりしています。私はテニスにでるんですよ。そうしてダブルスでは優勝候補に挙げられています。私、中学の頃２年のときからレギュラーで私たちの中学（香焼中学）は２年連続で県大会で優勝したんです。そして私、３年のときはキャプテンしていました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; -----------------------------------------------------------------------　　　　　　　　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; テニスしている少女の絵<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; ---------------------------------------------------------------------<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　※（二度目の手紙だろうか）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はこの頃、愛子の手紙に元気づけられて毎日をなかなか元気いっぱいに生きてきたつもりです。しかし僕はやはり落ち込んでしまいます。とくに夕暮れから夜になる頃。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はもうほとんど沈んでしまっている山の端の太陽のところまで走っていってそこで（※消去されている）という衝動にやはり駆られてしまいます。まるで狂気でしょう。僕は発狂寸前の男です。アルバイトをできない留年を繰り返しているそしてそれを親に言えないでいます。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はその頃愛子と僕との恋が成り立つことが世の中のためみんなのためにプラスになることかマイナスになることかと考え込んでは悩んでいた。愛子と僕とがつき合うようになると恋人の居ない者が減り恋人の居ない者たちが余計焦るようになる（マイナス）。そのマイナスと僕たち二人だけの幸福（プラス）とどちらが大きいだろう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　つき合わざるべきかそれともつき合おうかと迷った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕と愛子が犠牲になるべきか、それとも二人の幸せを悪魔のように追求してゆくか。僕は迷った。しかも二人だけの幸せにもそこへ行きつくまで多大の困難が待ち構えていて他の人たちにはマイナスとなるところをそれらの困難を克服してまでも突き進むべきか僕は迷いに迷った。それとも友だちを紹介してほかの人たちへの幸せになるのかもしれない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子とボクの連絡が途切れたとき、ボクはＮＢＣの夜１１時１５分からあるプレゼントアワーにボク出しただろう。そうしてすぐ愛子から手紙が来た。でもボクその手紙、どうせ『迷惑しました。もうあんなことしないで下さい』とか書かれた手紙だと思って怖くて怖くて読み切れなかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そしてそれから一ヶ月ほどしてまた手紙が来た。そして僕はやっと読んだ。２つ連続して来るのなら迷惑なため断りの手紙だと思っていたのは僕の邪推だと解った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもその手紙を読んだときもう遅かった。一回目の手紙のとき愛子は県外就職にしようか県内就職にしようかとても迷っていた。○○○○のため愛子は県外就職するつもりでいたけど僕のためになら○○○○だけど県内就職に変えるつもりだった。そして『できるだけ急いで返事を下さい』と愛子は書いていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも２回目の手紙には『私、もう県外就職に決めました』と書いてあった。僕からの返事がないので愛子はあきらめて県外就職にしたんだ。あのとき愛子はせっぱつまっていたのに、僕はその手紙が『迷惑です』などと書かれているものとばかり思って怖くて読みきれなかったんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　やっぱり僕らの間には悪魔が働いていたんだ。僕らをひっつかせまいとする悪魔が。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そして愛子は福岡へ行った。僕が浪人の頃２ヶ月ほど住んだことのある福岡市に。　そしてそれから３年が経とうとしている。僕には寂しい３年間だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもまだ３年経つには３ヶ月ある。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　まだ３カ月。そして今１２月３０日だ。愛子、帰って来るのではないのかな。そして帰ってきたら僕に電話をくれないかな。そして浜ノ町で会おうよ。僕は愛子と結婚するつもりだよ。ボク、死にたくないから。死の代わりに愛子と結婚しようか、と考えているんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　リンリーン、リンリーン、と電話のベルが鳴っていた。僕が福岡の愛子の寮に電話したのだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『あの、○○愛子さん呼んでください』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はそう言った。タバコを吹かせて気分を落ちつかせたあと。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『愛子ちゃんは今日帰るそうですよ』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　少しの沈黙が流れた。<br>『あの、○○愛子さんは今居ないんでしょうか？』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『はい、いま会社に行っています。今日帰るそうですよ』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　明日だ、明日だなあ、と思った。僕が久しぶりに愛子に会える日は。３年ぶりになるだろう。愛子が高校３年生のとき雪の降る寒い１２月に本屋で待ち合わせてデートしてから。どんなに変わっているだろうかなあ、と思った。綺麗になってるかな？、それともブスくなってるかな？<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　たぶん明日か明後日、浜ノ町で待ち合わせて３年ぶりのデートをしよう。そして良かったら結婚の申し込みをしよう、と思った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕のノイローゼ状態はいっぺんに吹き飛んでいた。力が湧いてきたのを感じとっていた。僕は死なないゾ。僕は決して死なないゾ、と思い始めてきた。そして隣りの隣りの千恵子の部屋にいた喜文に『今から浜ノ町に行くゾ。やっぱり一日じゅう家にいたら頭が変になってくるな。俺、さっきまで欝状態だったけど急に元気が出てきた。今から浜ノ町に行くゾ』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はいつの間にか死ぬことを考えなくなっていました。３年前の元気だったあの頃を思い出したからでしょうか。僕は元気になっていました。愛子の明るさや元気さを思い出したからでしょうか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は今でも忘れられない。合宿最後の前の日のことだった。僕はこの日もいつものように夕方の練習が終わるとセルボに乗って家に帰りまた留年の通知が来てないことを知るとすぐに商業高校へと引き返した。そしていつもの通り一階の愛子たち四人のマネージャーのいる調理室で遅い夕食をとった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　その日最後の夕食で先生が特別にビフテキを御馳走することになっていた。僕の心はそれを聞き重くなった。今日は夕食に遅れずにちゃんと合宿所にいなければならないかな。また先輩も僕に『今日は○○先生が特別にビフテキを御馳走するそうだから帰るなよ』と言われた。僕はそれで煩悶した。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は黙々と考えた結果、昼食が終わって愛子たちが後片づけをしているとき、調理室に入っていってたぶんリーダー格である（愛子は柔道部のマネージャーでなくて香焼中出身の仲間が３人柔道部のマネージャーなため合宿のときお手伝いをしていただけだった）窪田さんに『あの、今日も遅れます』と吃り吃りもじもじと言った。僕はもう４日連続で夕食に遅れ愛子たちやあるときは野球部の奴ら、またあるときは女子高生とばかり思っていた女性の教師と一緒に夕食を食べていた。僕はいつもうつむき続け無口な僕だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; ……僕はそう言うとうつむきながら調理室を出ていき始めた。すると僕のうしろに愛子たち３人が入口で手を振って僕を見送っていた。何気なく振り返った僕の目に映ったその光景はとても美しく、僕は久しぶりにこんなに美しい光景を見た。僕はこの冬自殺を決意してセルボで雪の降り積もる雲仙岳に登りそこで見た霧に包まれた打ち続く樹氷の光景、あああれよりも美しかった。彼女たちの手のひらは春の花びらのようだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　入口のドアから３人の女子高校生がうつむき歩き去っていこうとしていた僕に手を振ってくれている。無口でいつもうつむいている僕に対する彼女たちのいじらしい意思表示のようだった。ああ僕は好かれてるんだなあと思った。でも口を開けばきっと幻滅される。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は彼女たちに微笑み返しながら立ち去っていった。僕は久しぶりに本当の微笑みをしたようだった。いつも『ダメダ、ダメダ』とばかり言っていた傷つき果てていた僕の心は彼女たちの笑顔ときらめく手のひらによって魔法のように癒された。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子のあの手紙、もう永久に戻って来ないのか。愛子のあの手紙、もう永久に消えてしまった。ただ僕の胸のなかに残っている。愛子の胸のなかにも残っていることを願っているけれど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　正月明けの戸石のゴミ棄て場で山のように積もったゴミの山を前にして僕と愛子の文通の手紙の束を捜すのは不可能だった。僕たちの愛は消えてしまった。僕のちょっとした気まぐれのために消えてしまった。僕たちの青春を刻んだ手紙の束。僕たちの青春の苦悩を刻んだ手紙の束。もう戻って来ないのか。思い出としてだけでも残しておきたかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子のあの手紙、いつもいつも落ち込みがちの僕の心を明るくランプのように照らしてくれて僕をいつもいつも自殺の一歩手前のところで救ってくれていた。それなのに、それなのに僕は自分の虚栄心のため、醜い醜い虚栄心のために捨ててしまった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子の手紙はもう２ヶ月まえ、僕の醜い想念とともに黒いゴミ袋の中に入れられて清掃車の中にギリギリッと押し潰されて戸石の清掃場に持っていかれてもう焼かれてしまった。いや、もしかしたらまだあるかもしれない。あの山のようなゴミの山のなかに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は捜そうとした。でも清掃場の人から止められた。無理だ、と。それにもう焼いてしまっている、と言われて。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　夜、僕は捜しに来ようかと思った。外は真冬の冷たい風が吹いていたけど、捜しに来よう。僕はそう思った。　　　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ゴミの山のなかを真冬の真夜中の大気のなかで探し回っている狂人に僕はなってもいい。また浮遊霊のようにゴミの山の中に愛子の手紙の束、僕が迎えに来るのを待っているかもしれない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもあの巨大なゴミの山のなかから愛子の手紙の束を捜し出すのは大変だ。不可能だ。だから僕、必死に書くつもりだ。愛子のあの優しさと真心を無にしないためにも必死に書くつもりだ。僕の魂はあの頃の愛子の魂となって愛子の手紙を必死に再生するんだ。僕は純粋だった愛子の心に成りきって、立派に愛子の手紙を再生してみせる。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕らの手紙の中継点となっていた中川町の○○さんのアパート、取り壊されて新しくビルが建とうとしていただろう。だから僕、それだから愛子からの返事が来ないのかなあと、とも思ってラジオのプレゼントアワーに出したんだ。僕は２度目の手紙で本当にメチャクチャなことを書いていたのにごめんね。『結婚して下さい』とか、初恋の話など書いたりして、本当にメチャクチャなことばかり書いてごめんね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は本当にバカでした。○○さんの住所がちょうど中川一丁目でしかもそこは今取り壊されている最中なのをＦＴでドッドッと振動を受けながら学校への行き帰り見て知っていたから。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　一年間の空白が流れた。僕もちょっと愛子のことあきらめかけていた。僕は今思う。僕はすでにあの頃自分の青春をあきらめかけていたのではないのかと。僕はすでにあの頃死霊のとりこになっていて死の道へ死の道へとまっしぐらに落ちていたのではないのかと。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕には今見えてくる。近いうちに僕が平和公園の平和記念像の前でソビエトの核実験に抗議するために焼身自殺する光景が。でも苦しいだろうな。焼身自殺なんて。やっぱり首吊りじゃないと苦しいだろうな。それに焼身自殺のような苦しい死に方をしたら親をますます悲しませてしまう。やっぱりひっそりとした所で静かに眠るように柔道の帯で首吊り自殺をしようと思う。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　それに僕はいま哲学的にも行き詰まっている。２日前、民医連の奨学生の書類を柴田さんに手渡したけど、僕は創価学会に戻ろうかとも思っている。宗教がアヘンなら共産主義もアヘンだろ。経済的にいくら救われても魂は救われない。共産主義はちょっと不十分だ。間違っている所がある。もっと宗教を重視した共産主義でないとダメだと思う。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は中学３年から高校１年にかけていろんな理想境を夢見ていた。そしてそれはブラジルのアマゾンの奥地にしかないと思っていた。それが女子高校生の胸の中にあるなんて。僕は知らなかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　理想境はすぐ近くにあった。それなのに僕は遠くばかりを見つめていた。そして僕は最近、理想境のことなど忘れていた。理想境なんてあってたまるかって、少しやけっぱちになっていた。　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　３月２１日<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はその日朝からずっと家に居た。途中昼寝を２回ほどしたりしてずっと自分の部屋でいろいろな本を読んでいた。オナニーも二回した。夕方５時５０分ぐらいの時だった。僕は相対性理論の本を読んでいた。頭は本の読みすぎで疲れていた。すると電話のベルが鳴り始めた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はどうせ松尾徹さんかケーシーだろうと思い、出るまいかと思った。しかし僕は少々退屈でもあった。僕は機械的にただ電話の所まで歩いていって受話器を取った。電話のベルが鳴っているからだから受話器を取ったのだという衝動的行為だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ベルの８回目で受話器をとった。切れるか切れないか危ないところだったろう。僕は機械的に受話器を耳に当てた。ものうい動作で。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　すると若い女性の声が聞こえてきた。『_商業の_です。カメ太郎さんですか？　憶えてますか？』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はドサッとうしろへ倒れた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。半年近くの空白が流れた。僕がめちゃくちゃな２回目の手紙を出してから。１０月１１月１２月１月２月と完全に僕ら空白だった。秋と冬のあいだ僕ら完全に空白だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　すると電話がかかってきた。僕は驚いた。ちょっとカン高い声で僕は始め愛子のことが解らなくて鎌田さんかなって思った。始め『００＿＿』っていうのが僕気が動転していてあまり良く聞き取れなかったから。でも『商業の＿＿』っていうことはよく聞き取れたから。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は吃り吃り喋ったろ。ものすごく吃り吃り喋ったろ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は電話を切ったあと電話機の前の廊下にずーっと寝転び続けた。夕暮れの暗い廊下に。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも愛子、ものすごく吃って話にもならない僕とよく１５分ぐらいも喋ってくれてありがとう。僕はとても嬉しかった。愛子が僕の２回目の手紙のことを許してくれて再び僕を懐かしく思ってくれて電話してきてくれてありがとう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さんへ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私には二つの顔があります。カメ太郎さんの前や学校での明るい私と、家に帰ってからの暗い私が。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　どっちが本当の私なのでしょうか。私、つくづくこの頃考え込んでしまいます。どっちが本当の私なのだろうかなって。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　太陽を見つめていると、毎日の生活の苦しさと言おうか、クルマのこと、バイクのこと、学校のこと、父や母に対すること、などのことが僕の頭の中を駆け巡ってゆく。そして悲しくなってくる。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そして僕はバイクで学校へと走りながら深いもの思いに沈んでしまう。生きること。生き抜くこと。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （５月１８日消印）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さんへ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　今やっと英語の勉強が終わったばかりです。今中間試験で明日国語と英語の試験があります。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　今夜の１２時です。明日６時に起きなくっちゃならないからもう寝ないといけないけどどうしてもカメ太郎さんに手紙を書きたくなって。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、今、県外就職にしようか、県内就職にしようかとても迷っています。このまえまで絶対に県外就職にするつもりだったけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　なるべく早く返事を下さい。こんなこと言っていいのか解らないけど。すみません。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （６月１日消印）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さん。お元気ですか。返事が来ないから私とっても心配しています。私の手紙、着かなかったのかなあ。もしカメ太郎さんからの返事が来ないのなら私はこのまま県外就職に決めようと思っています。でもカメ太郎さんの返事が早く来たら、私、県内就職に変えるつもりです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　毎日、カメ太郎さんからの手紙が来ないかなあと考えています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　こんにちは。手紙が遅れてすみません。今は１３日の午後１０時１７分です。今、風呂からあがりました。愛子の手紙は先週の土曜日に来ました。それから僕の心はなにか夢でも見ているようにボーッとなっています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもその手紙が愛子のものだったのを知ってとてもびっくりしました。実はボクはこのまえの愛子の手紙をまだ読んでいませんでした。今もまだ読んでいません。読むのが恐くて読めないのです。恥ずかしくて恥ずかしくてとても読めません。それにこのまえの手紙は別れの手紙なのだろうと思っていました。あの電話以来電話がかかってこなかったし、そしてボクが伝言板のコーナーを使ったことを迷惑がって『これ以上つきまとわないで下さい』という手紙なのだろうと思っていました。それに裏から透かしたりしてチラッと見たところ『手紙が遅れてすみません』や『＿＿を大事にして下さい』『これが最後だと＿＿』というのが見えたし、いやに丁寧に書いてあったようだったから、間違いなく“別れの手紙”だと思いました。そのためますます読むのが恐くなりそれに傷つくのが厭でもあったので読まないでおいたらもう一ヶ月半近くも過ぎてしまいました。愛子のことを忘れるんだ、と思って努力してこのごろとても学校が忙しくもあったので正直いって忘れかけていました。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さん、写真ありがとう。とっても大事に学生手帳のなかに入れてます。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもその写真、大事な写真だったのではありませんか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子へ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は生きる価値のない人間かもしれません。しかし僕は卒業したらドイツの吃りを研究している研究所に入ろうかな、と考えたりこの頃しています。そのためには英語ができなければならないそうです。ドイツ語はできなくてもいいそうですけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　だから僕は現在は生きている価値のない学生ですけど卒業したら吃りで苦しんでいる人たちを救うために頑張るつもりです。そうして僕の生きる価値がそのとき始めて生まれるのだと思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　だから今は苦しさに耐えて何の楽しいことがなくても生きています。毎日毎日苦しいことみじめなこと口惜しいことばかりです。でも卒業したら僕は吃りの研究のためにドイツへ渡って世界中のたくさんの吃りで苦しんでいる人たちを救うんだ。だから僕はいま根性で生きているんだと思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　朝方は僕は憂欝です。でもバイクに乗って外に出ると気分も晴れて生きる勇気が湧いてきます。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　バイクに乗ってそよ風に打たれながら太陽の光を浴びてると、そのうち愛子をバイクのうしろに乗せて海へ活きたいな、と思ってきます。今度、良かったら電話して下さい。僕はいつでもＯＫだと思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　眠れなかった。愛子との痛恨のデート故に僕は昨夜ぐっすりとは眠れなかった。そして悪夢ばかりを見ていた。それは主に過去の失敗に関しての（大学入試失敗などの）悪夢ばかりだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ああ、これから毎夜、ふたたび僕を悪夢が襲い始めるのだろうか。今から一年半前の日々のように。悪夢にうなされる日々が続くのだろうか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ああ、僕はいいとしても愛子が可哀相だ。僕はいいんだ。僕はどうでもいいんだ。ただ、愛子が可哀相なだけなんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。やっぱり僕らの間には悪魔が暗躍していて僕と愛子の恋が成り立つことを阻もうとしているんだ。きっと僕らの間には悪魔が暗躍し続けているんだ。僕らが出会ったときからずっと。でもその悪魔の正体は何だろう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕らはまた再び会わなくなるだろう。そして再び空白の月日が、僕らの青春の大事な大事なときに、白いページが次々と造られてゆくだろう。僕らの青春のページに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕らの大事な青春のノートはそうして何も書かれずにめくられてゆくのだろうか。僕らは再び虚しく大事な青春のときを送ってゆくのだろうか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕らの金箔の青春のページはそうして薄っぺらなノートとなって初夏のそよ風に舞っていって消えてしまうのだろうか。僕は厚い厚いノートにしたかった。僕と愛子の恋のノートを。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　 Ｓ５９・７・２<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子が泣いていた。夢のなかで愛子が泣いていた。愛子を傷つけた僕は、そうして夜空を見上げて自分の病気をとても呪った。僕の病気のために愛子を傷つけて、そして僕まで淋しい思いをしている。今ごろ愛子はちゃんと眠れてるだろうか。愛子は泣いていないだろうか。僕も星空を見つめながら泣こうとしている。愛子のことを思って僕も泣こうとしている。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕には生きることへの怖しい懐疑感がある。僕はまったくお酒なしには眠れない。そして朝、いつも二日酔いでぼんやりとして起き上がる。そしてコトコトとカワサキの２５０ｃｃのバイクに揺られて学校へ行く。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は怖しく孤独だ。学校へ行けば緊張して先生の講義を理解できない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　教室に座っていて何故そんなに集中できないのかというと、これは“自我漏影現象”と言って分裂病の一つの徴候であるのかもしれません。僕は極度に緊張し、顔はこわばり、周囲に迷惑をかけているようです。そして僕は人の居る処を避けて一人ひっそりと座るのです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は淋しい。僕は６月、愛子と会ったときも顔がのけぞっていたろ。どうか気にしないで下さい。あれは口臭のためでも何でもありません。ただ癖として僕の場合ああなってしまうのです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕は生きれるか心配だ。毎日襲ってくる譬えようもない不安感と孤独感。愛子。僕は生きれるか心配だ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子の胸の中に抱かれて過ごしたいという気持ちでいっぱいです。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　もう夏になった護国神社で、僕は一人佇みつづける。愛子の居る商業高校を眺めながら、僕は一人淋しく佇み続ける。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　 （夢での会話）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; ※（これは現実のことではない。僕らは_僕らは手を握り合ったことさえないのだから。これは現実のことではない）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『解けるかい？　愛子、僕の呪いを』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『いいえ、カメ太郎さんの強すぎて解けないみたい。少なくとも私には無理みたい』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （僕はそして俯く愛子の肩をそっと抱いた。愛子は無力な自分を責めているようだったから。でも僕も苦しんでいた。治らぬ病気に僕はずっと苦しんできた。もうずっと前から。愛子と出会う十年以上も前から）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　学一・八月<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 『愛子。僕らを出会わせた赤い糸は、僕らはお互いあまり恵まれてなかったけど、でもそれ故にこれから僕らは幸せな家庭を築いてゆけると思うんだ。僕ら今までちょっぴり不幸だったけど、僕の場合はちょっぴりどころでなくて大変不幸だったけど、今から僕らは二人で幸せな世界を築いてゆけるんだ。これから僕らは。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （愛子はちらっと僕に視線を遣った。愛子は僕の今までの苦しみをよく理解していないようだった。僕の幼い頃からのとても辛かった毎日のことを。でも僕も愛子のこと理解していないのかもしれない。愛子は僕以上に本当は辛い毎日を送っていたのかもしれない。愛子も幼い頃からの辛い毎日を_<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　（幸せの黄色いヘルメット）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕が愛子に被せるのは幸せの黄色いヘルメット。ナバの黄色いヘルメット。僕たち、カワサキのＦＴに乗ってそれで野母崎まで『ダッ、ダッ』と音をたてながら進む。潮の香りをいっぱいに浴びながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そうして僕ら、野母崎の岸壁に寄り添って座っていろんなことを語り合うんだ。人生のこと。高校のこと。将来のことなど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕ら、潮風を頬に受けながら幸せいっぱいに語り合うだろう。愛子はとても明るくていつも沈みがちになる僕を励ましてくれる。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　（夕陽を見つめながら）　ﾊﾟｰﾄ2<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕には中学・高校時代、激しい恋をしたことがある。遂に一度も生きているときは手をつなぎもしなかったのだけど、あれは少年の頃の燃えるような激しい恋だった。今、夕陽が照ってるだろ。あの夕陽のような紅い燃えるような恋だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でもその女の子、この野母崎の港をちょっとちっちゃくしたような網場の青い海の中に、僕に長い遺書を書いて、そして最後に僕にお別れの電話をくれて、沈んでいった。僕が夜の闇の中を必死に走っていって、そのコを救おうと必死にそのコが身投げをするはずの網場の桟橋まで必死に走っていったけど、もうそのコ、夜のまっ暗い海面にプカプカ浮いて死んでいた。一度きっと沈んで海藻の生えてる海底に『ゴンッ』と当たってそれから再浮上したのだろうけど（だから最初５分間ほどは何も見えなかったのだろうけど）浮かび上がってきた杏子さんを見て僕は５月の凍てつく夜の海の中に無我夢中で飛び込んだ。その日は５月の始めだったけど寒の戻りというのかとても寒い夜だった。僕の飛び込んだ夜の黒い海はまるでオホーツク海のような海だった。僕は海中を泳ぎながらそう思った。『僕はオホーツク海を泳いでいるんだ。そして月の光に照らされてポッカリと浮かび出た杏子さんはアザラシのようだった。まるで水の上で孤独に吠え続けるアザラシのようだった。黒い黒いまだ幼いアザラシのようだった』<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; (第1章終わり)　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　（夕陽を見つめながら　　ﾊﾟｰﾄ3）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　生きているのは何故。カメ太郎さん、生きているのは何故なのかしら。私たち何故生きているのかしら。私たちの存在って何なの。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、カメ太郎さんの思想にかぶれたのかしら。私、以前、カメ太郎さんと文通し出す以前はこんなことこれっぽっちも考えたことなかったのに。毎日毎日をなるべく楽しそうにノホホンと過ごしていたわ。カメ太郎さん、手紙に書いてたでしょ。『毎日をノホホンと過ごすようにしなくっちゃいけない。毎日をノホホンと過ごせるようにならなくっちゃならない』って。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、今までノホホンと過ごしてきたつもりよ。でもカメ太郎さんと出会ってから私、もうノホホンと過ごせなくなっちゃった。私の胸はいつも心配で潰れそうになるようになっちゃった。そして自分の存在は何なのかって。私って何のためにいきているのかって私、この頃本気で考えるようになってきちゃった。きっとカメ太郎さんの影響だと思います。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子はそう言って僕の肩に頭をもたげた。高校三年生の愛子の体ははち切れそうで僕は思いきり抱きしめたくなった。紅い夕陽に照らされながら。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　学一・八月<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　全く、死の谷のようだった。僕はここへ商業高校の愛子と来たかった。ちょっとブスだけどとても明るいあの愛子と。沈みがちな僕の心にランプの火を灯してくれるような明るいあの愛子と。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも現実には僕はたった一人で、この谷間の青い草叢の中を歩いていた。僕は朝から誰とも口をきいてなかった。そしてカワサキの250ccのＦＴの鼓動だけが僕の友達だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　マリンブルーの真夏の海が僕の目を幻惑し出し、もし隣りに愛子がいたらなあ、という後悔とも悔恨ともつかないものを僕に抱かせた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はただ一人、岸壁に腰掛けていた。僕はそっと横を振り向いた。でも誰もいない。ただ僕の視界の端に僕のカワサキの黒塗りのＦＴ２５０が寂しげに見えるだけだった。僕は孤独だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は孤独に座っている。潮風が僕の胸腔をわびしげにわびしげに通り過ぎていっているようだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　学一・八月<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　愛子。僕は寂しくってたまらない。この夏はとても淋しい夏だった。こんな虚しい夏は始めてみたいだ。海には一回友だちとチョロッと行っただけだった。なんにも思い出になるようなことがない夏だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　ボクはこの夏、愛子の胸に抱かれて過ごしたかった。愛子のふっくらとした胸に抱かれていたかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　（１０月２３日消印）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （一枚目）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さん。元気にしてますか？　永く手紙を書かなくてすみません。私、このまえの期末テストで社会で赤点を取ってしまいました。テストを返してもらうとき先生は私に『どうしたの？』ととても心配そうに声をかけてくださいました。今度のテスト、就職に一番響くテストだったのですけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私それで希望していた福岡の会社に入れないかもしれません。でも私それでもいいわ、と思っています。長崎の会社に勤めようかな、とも考えています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さん、今ごろどうしていますか？　このまえもこのまえも電話したけど居なかったから。何回も何回も電話したけど居なかったからもう電話するのが億劫になって。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、明日、福岡のその会社に面接に行きます。たぶん駄目だろうとは思うけど先生は大丈夫だって。でも私、行っても駄目だろうからわざわざ福岡まで行くのがもったいないような気がしています。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、そしてこのまえ長大祭に友だちと３人で行って『スティング』を見て来ました。カメ太郎さんが居ないかな、と私カメ太郎さんの姿を捜していましたけどカメ太郎さんの学部坂本町にあるからやっぱり違うのね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（二枚目）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　カメ太郎さんへ<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　長く手紙ほったらかしにしていてすみません。私、県外就職に決めました。そしておととい試験を受けて帰ってきたばかりです。先生は、きっとあがってるよ、と仰るけど私には自信ありません。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私昨日から、自動車学校に通っています。私あんまり行きたくなかったけれど、家の人が行け行けって言うから。本原自動車学校です。カメ太郎さんもたしかそこに行ってたのではありませんか。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　私、今度こそは絶対電話します。２４日の６時頃になると思います。家に帰ったら電話しにくいから帰りがけ公衆電話から電話します。電話をする、するって言いながら今までしなくてすみません。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも私、福岡に就職することになったらカメ太郎さんと滅多に会えなくなる訳だから落ちてればいいな、と思っています。本当に落ちてればいいな。でもそれもカメ太郎さんの気持ちしだいなんですけど。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm<br>&nbsp;
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/entry-12192716079.html</link>
<pubDate>Mon, 22 Aug 2016 17:19:55 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>愛子（完）no.4</title>
<description>
<![CDATA[ <br>　愛子へ<br>　僕は酒ばっかり飲んで、以前３ヶ月近く住んだことのある福岡の町並みを、とても淋しく思いながら、愛子がそこで今何をしているのかなあ、と思いながら、悲しくて、愛子の手紙を全て捨ててしまった後悔の思いや、もう過ぎ去ってしまった元気だった青春の頃の思い出を振り返りながら、昼間から酒ばっかり飲んでいます。愛子のところに電話する勇気もないし、僕は酒ばっかり、酒ばっかり飲んで、やっと２、３時間眠っています。<br><br><br><br><br>　愛子<br>　あの１２月の最後の夜のことを覚えているかい。僕らはあれ以来会わなかった。あの寒い１２月の夜、僕らは護国神社の周りの道を肩を寄せ合うようにして歩いた。小雪がぱらついていたね。<br>　午後６時ぐらいだったと思う。僕らは本屋で待ち合わせてそれから護国神社の周りの道を歩いた。もう外はまっ暗だった。<br>　愛子は『寒い、寒い』と言っていた。オーバーを着ていない愛子には本当に寒い日だったと思う。でも暑がり屋の僕は学校から本屋の前まで２５０ｃｃのバイクに乗って来た。<br>　あの日から僕らは４年半も会ってない。冷たい寒い１２月のあの夕暮れから、僕らはずっと離れ離れになっている。愛子は博多で、僕はそのままずっと長崎で、僕らはお互い離れ離れに暮らしてきた。僕はとても寂しかった。愛子は青春を謳歌していたような気がする。でも僕はその頃から精神病者に変わり果て、ずっと孤独な年月を送った。とくにこの２年半はずっと一人きりだった。<br><br><br><br><br>　　　　　　　（学四・三月）<br>　愛子<br>　君と一緒に歩いた護国神社の前の小さな道、もう春になりかけた今、歩いている。君を苦しめ、僕たちの間を裂いた僕の対人緊張症はそのままで、僕はまた留年するかもしれない。一生懸命、一生懸命勉強しているけど、僕の頭には少ししか入らなくて……。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　今さらこんな手紙書くのも恥ずかしいけど懐しくなってきて、いま愛子はどうしているかなあと思って書き始めました。<br>　このまえ手紙書いたのはいつだったかなあ、と思っています。去年は留年していてとても苦しかったです。今年はやっと最終学年に進めて毎日勉強で大変です。ときどき挫けそうになることもあるけれど、僕はこのまえから小さい頃から大学一年まで一生懸命にやっていた創価学会の信心を再び始めたからもう落ち込んだり挫けたりしなくなりました。<br>　学校で叱られて落ち込んで帰ってきても仏壇の前に座って題目をあげてたらすっきりとします。それに創価学会に戻って本当の友達ができたしもうあんまり寂しさを感じなくなりました。<br>　今、夜の１１時で少しお酒を飲んで書いてるのでちょっと字が乱れていると思うけどゴメンネ。愛子、元気にしてましたか？　もう結婚したのかもしれないのにこんな手紙を書いてすみません。<br>　僕の部屋に僕専用の電話機を引いたことを書いたかなあと思います。電話番号は0958-39-4557です。パイオニアの留守番電話機を使っています。でもほとんど誰からも電話はかかって来なくて淋しいです。<br>　毎日勉強に追われながらも真実は何なのだろうかと、また正義は何なのだろうかと煩悶しています。創価学会をやめてただの日蓮正宗の信徒になろうかと考えたり、創価学会の改革派に付こうか、と考えたりして迷っています。<br>　僕もこの頃やっと愛子と会っていた頃の元気な僕に戻ってきました。２年ぐらいとても性格的にも暗くて自分のことしか考えきれない自分に陥っていました。今もまだ信仰に思い切れなくて毎晩お酒を飲んでるダメな僕ですけどでも確かに少しづつ自分が立ち直っていっているのを感じています。愛子と会ったりしていた頃の僕は信仰をやめていて落ち込んではいなかったけれど人間的に駄目な僕でした。<br>　　すみません。もう眠くなってきたのでこのへんでやめます。<br>　　お元気で。<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長崎市界町９の２　　○○カメ太郎<br><br><br><br><br>　　　　　　　（７月６日）<br>　愛子はもう何年福岡に住んでいるのかなあと思います。もう５年も住んでるんじゃないのかなあ、と思って、僕がたった３ヶ月ぐらいしか住まなかった悲しい予備校時代の思い出の福岡の町を（自転車で駆け巡っていた福岡の町を）そしてその頃創価学会の信仰に燃えていて元気だった僕を、まだ若くて未来への希望に溢れていた僕を、人生の厳しさに（人生が自分の思うようにならないことをまだ知らなかったあの頃の僕の姿を）とても懐しく思い出しています。<br>　舞鶴公園のポプラの並木や<br>　もしも僕が卒業して九大に行ったなら、舞鶴公園の並木道は僕らの並木道になるだろう。僕らは肩を寄せ合ってその並木道を歩くだろう。お互い悲しい過去を背負ったまま、これからは幸せになろうと誓い合いながら、僕らはその並木道を歩くだろう。<br><br><br><br><br><br>　　　　　　　（７月７日）<br>　もしも僕が愛子と博多の町を歩いてみたら、いま手元にあって出そうか出すまいかとても迷っている手紙を出して、そうして夏休みになって、真夏の赤い太陽が照り始めるようになって、僕が孤独で愛子に会いたくてたまらなくなって、バイクに乗って、愛子に会いに行ったなら。<br>　よく考えてみると今日は七夕の日です。今日、仏間にインバーターのエアコンを入れました。工賃も含めて１４万２千円かかりました。ＮＥＣのエアコンで中味は全くサンヨーのと同んなじで、ＮＥＣは今までエアコンを出したことがなかったのでダイエーでとても安く売っていました。<br>　もうすぐ夏休みですけど、僕はこの夏休みは仏間で勤行・唱題と勉強に明け暮れようと思っています。このままではきっと留年してしまうと思うけど、信仰を基本にして高校や浪人の頃のように病魔にも負けずにきっと卒業試験と医師国家試験に一発で合格してみせるつもりです。この頃、題目は３分ぐらいしかあげていませんが、勤行はするようになったのでとても元気になりました。本当にやっぱり創価学会というか日蓮正宗を広めるのが正義なんだなあ、と思っています。<br>　今も教授から怒られたりして辛い毎日ですけど、家に帰ってきて夜の勤行をして落ち込んでいる自分を直しています。辛い毎日ですけど、愛子と会っていたときのような挫折をあまり知らない元気だった僕とは今は本当に違っています。辛さについ負けそうになるけれど、そんなときは真夜中にでも仏壇の前に座って勤行したり題目をあげたりします。そうして僕は懸命にこらえているのだと思っています。毎日の辛さに。孤独と親への罪悪感に。<br>　<br>　<br>　愛子と、明るい愛子と、歩きたい。福岡の町を。どこか淋しい福岡の町を。愛子と肩を寄せ合って歩きたい。<br><br><br>　愛子の手紙を捨てたときの僕は、自分の過去を塗り変えようとしていた。学２のあの頃、留年する前のあの頃、一日３時間ぐらいしか眠れなかったあの頃、家にいろいろと悪い事が起こったり、僕はオカルトに凝ってたり、共産党の病院の奨学金を貰おうと共産党の病院へ行ってたり、僕はあの頃狂っていた。せっかくの僕の（そして愛子の）青春の形見を捨ててしまった。熊本の共産党の病院へ、自殺しようかどうしようか迷いながらクルマで旅立つとき、僕は愛子との手紙の入った袋を捨てた。<br><br><br>　愛子と福岡の町を歩くとき、僕にも青春が戻って来るだろう。元気だった２２、３歳のあの頃の僕、きっと僕に青春が戻ってくるだろう。元気だったあの頃の自分が、まだ自信に溢れていたあの頃の自分が。<br><br><br>　愛子。僕らが手を繋いで歩くときは福岡の町はまっ暗でもう２時、３時くらいなのかなあ。僕らはきっと僕らのアパートに向かって歩いているのだと思う。もう２時、３時でほとんど人通りのない薬院や○○の通りを僕らは。<br>　まるでそこは５年前の護国神社の周りの道のようだね。あのときは１２月でとても寒くて、そして夕方でほとんどまっ暗で。<br>　５年前と愛子はちっとも変わってないし（ちょっと大人になったなあ、という感じはあるけれど）僕は苦しくてとても淋しい３年近くの年月を経てきてそれにすっかり痩せてしまったけれどこの頃また創価学会の信仰を始めたから元気になりかけている。僕は元気になりかけたから久しぶりに愛子に手紙を出したのだし、電話でも明るく喋って、そうして今から福岡へ行くからね、とクルマに乗って夜の９時なのに家を飛び出したのだった。愛子に会いたくて、久しぶりに愛子に会いたくて。<br>　僕がクルマを置いてきた所から愛子のアパートまでちょっと歩かなければならなくって、今僕らはこうやって歩いているけれど（そうして愛子は５年前の護国神社の道のときのように言葉少なく俯いているけれど）僕も３時間半もクルマをまっ暗な中を運転してきて疲れているんだよ。でも愛子と出会えた嬉しさに今こうやってとめどもなく喋っているけれど。<br>　愛子。愛子が福岡に来たときも高校を卒業してすぐだったけど、僕も大学受験に失敗して高校を卒業してすぐ福岡に来たんだ。２ヶ月して僕は長崎に帰ってしまったけど福岡での２ヶ月は本当に楽しかった。苦しいことの方がずっとずっと多かったけど（だから福岡の予備校を２ヶ月でやめて、そしてまた夏休みの頃、一週間ぐらい福岡に戻ってきたりしていたんだけれど）あの頃は毎日三時間題目をあげていたから楽しかった。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（７月８日　夕方）<br>　赤坂の夜の道を愛子と歩くことを考えると、（あの少し緩やかな坂道を。大きな高級マンションが立ち並んでいるあの通りを。綺麗な舗装されたばかりのあの道を）休みの日、一日じゅう家に居て酒を飲んでいる僕に（なんだかこの頃お酒のためかとても吃りがひどくなってしまった僕だけど）本当に１９の頃の僕に帰ったような（元気だった、未来への希望に溢れていた僕に）帰ったような気がします。<br>　あの頃、一生懸命だった僕。信仰と勉強とそして自転車競技に一生懸命だった僕。あの頃は永松と（永松は結局九大の物理学科に現役で入ったけれどもパチンコで１００万円借金を作ったりして放校になったけれど。高校の頃はとても真面目だったけれど）夜のこの警固の道を２時３時ぐらいに歩いたのだった。あの頃僕は浪人していたけれど、来春は京医に入るのだと燃えていた。もうその頃発病していたのだけど自分では気付いていなかった。<br>　もうあれから９年が経つ。９年間、始めの頃僕は元気だった。でも留年を重ねるにつれて僕は“死”を願うようになっていった。何事にも楽しさや喜びを得られないようになっていた。<br>　苦しい後半の４年間だった。自殺の一歩手前で僕は４年間生きてきた。そしてこの頃再び創価学会の信仰に励み始めた。１９や２０の頃、そして中学・高校の頃の自分に舞い戻ったような気もしていて、毎日とても元気になって楽しくなっていて不思議な気がする。<br>　自分にはやっぱり日蓮正宗の信仰をするより他に生きてゆく道はないような気がする。こんな僕が生きてゆくためには。僕には創価学会の信仰をやっていかなければ駄目なような気がする。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（７月１０日　夜　　酒）<br>　愛子。僕は以前福岡の街の中を本当に自信に溢れて歩いていたことがあった。あれは僕が１８の頃だった。春から夏へ変わろうとしているときだった。僕は元気だった。浪人していたけど、来年はもっといい大学に（京医か東大理三に入るんだ）と思っていた。<br>　あの頃の僕は自信でいっぱいで、それに決して不幸でも淋しくもなかった。友達や知り合いはたくさんいたし、僕は元気で、折伏をしようと福岡の友達の所を駆け回っていたぐらいだった。<br>　僕はその頃まだ自分の病気には気づいていなかった。教室でとても緊張してしまって頭がよく働かないのをあんまり気にしていなかった。成績がものすごく下がったのもあまり気にしていなかった。僕はひたすら題目を毎日３時間ぐらいあげていて、とても元気だった。<br>　あの福岡の町。綺麗に化粧した女の人たちがたくさん歩いている町。みんなみんないい洋服を着ていてみんなとても綺麗に化粧していた。<br>　僕の思い出の中の女の子よりももっと魅力的な女の子もたくさん福岡の町を歩いていた。みんなとても綺麗だった。綺麗な女の人ばかりが九州じゅうから博多の町に集まっているんだ、と僕はその頃思っていた。<br>　毎日、僕は天神に食料品などを買い込みに行ってたし（その頃僕は自転車競技でオリンピックに出て金メダルを取るんだと、悲しい辛い中学・高校時代の埋め合わせのためにそうするんだと本気で思っていたから）ときどき見る寮の近くの女の子はみんな綺麗だった。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（６月３０日）<br>　僕の悲しい癖は、君を傷つけ、君を悲しませ、そして君を遠く福岡へとやってしまった。<br>　僕のこの悲しい癖は、高三の終わり頃、一生懸命受験勉強していた頃に付いてしまった。<br>　君を悲しませ、君に次の日の期末テストの勉強をできなくさせ、一番就職に大事なテストだったのに、歴史で赤点を取らせて、僕が君が一番に志望していた就職先をダメにしてしまった。この僕が。こんな僕が。<br><br>　君も悲しんだし僕も悲しんだ。僕は一人きりの淋しい年月をそれから何年も過ごしたし、僕はそれに２年ぐらい前から何度も自殺を決意したぐらいだった。三度も留年したし、それにまた留年するかもしれないし。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（Ｈ１，７，１２）<br>　愛子<br>　もしも僕が創価学会をずっとずっと続けていたならば、僕の人生は、そして愛子の人生はとても違ったものになっていたと思う。もし僕が愛子と知り合ったときまだ信仰を続けていたら僕は一年近くの空白もなくて、そのまま僕が２０歳半の頃からずっとつき合っていたと思う。それに愛子に辛い思いをさせたりなんてしなかったと思う。<br>　そして僕はもうとっくに結婚していて（愛子でなくっても誰か女の人と結婚していて）毎日仕事と信仰に追われていたと思う。きっと今の現在の僕とずっとずっと違った、そしてずっとずっと幸せで恵まれた状況にあったと思う。でも現在の僕は苦しくって、とってもとっても苦しくって、宗教に身を捧げるようにしていてやっと生き延びているような僕です。<br>　大学一年の十一月、僕はクラブや勉強や文学、それに信仰とあまりにも荷が重すぎて行き詰まり果てて、そうして信仰を捨ててしまった。信仰を捨てて本当に肩の荷が降りたような気がした。それまでは信仰のために一日少なくとも３時間は取られていたから。<br>　でも僕は信仰をやめて、人間的に堕落し始めていた。自分のことしか考えきれない自分になっていっていた。そして愛子と出会う４ヶ月前の合コンで僕が中学三年の頃からずっと片思いをし続けてきた女のコと偶然一緒になってそして冷たくふられてそのコは僕のクラブの親友になびいていった。<br>　僕はだからあの頃はとても苦しかった。愛子と出会わなかったら僕はもう寂しさに耐えかねて（それに人間不信にもなって）発狂していたかもしれない。<br>　僕があの頃発狂しなかったのは愛子たちの明るさや元気さに触れて人間不信になりかけていた僕の心に灯を灯してくれたからだと思う。僕は親友に裏切られ、クラブのみんなから蔑まされていた。<br>　素直に信心していたら良かった。素直に信心してたらもうとっくに卒業していただろう。高三の２月１３日、東小島の霊能力者のところにノドの病気を治して貰いに行かなかったら、僕はこんなたいへんな病気に懸かってなくて、現役で九大医学部に入ってて、そうしてもうとっくに医者になっていただろう。もしもあのときあんなところに行かなかったら、たとえ行っても心霊治療を受けずに断って帰ってきてたら、そうしたら今ごろ僕は。<br><br><br><br>　カワサキのＦＴに僕はその頃乗っていた。愛子と始めて待ち合わせをしたとき（デートをしたとき）、僕はあの護国神社に僕が自分で塗った黒塗りのカワサキのＦＴで行った。思い出のあのＦＴもでも今はなくて、もう何処かのクズ鉄になってしまって、まるで僕らの恋のように、まるで僕らの青春のように。　<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（Ｈ１，８，２７）<br><br><br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　（東支那海を望む丘の上にて）<br>　愛子へ<br>　ずっとずっと昔にあの大きな海の向こうに大きな大陸があってムー大陸と呼んでいた。今僕らが見ているのは五島列島か中国大陸だけれど、太平洋の方に行くとずっとずっと昔、大きな大きな島がハワイ諸島のところにあってとても栄えていたのだって。そして僕らは前世、そこでも恋人どうしだったのかもしれない。<br>　冷たくなった秋の風が僕の体を打ってるけど、僕は死ねない。僕が死ぬときは、もう海の向こうの中国大陸が見えなくなったときだろう。<br>　でもそのとき僕はきっと死んでいると思う。目が見えなくなって、僕がベットの上で、苦しんでいるときだと思う。<br><br><br><br><br>　夜１１時半ごろ電話が鳴った。でもそれは一回で切れた。僕はいろいろと考えた。もしかしたら君なのかって。福岡の君からかって。一人でアパート住まいしている君からかって<br><br><br><br><br>　僕は立っていた。１２月のあの雪の降る寒い夕方、君を待って本屋の前で、２５０ｃｃのバイクの横で待っていた。６時頃、君が来ると思って待っていた。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（Ｈ１，１１，１６）<br>　君は僕のために希望していた博多の会社に入れずにベスト電器の店員となった。君への罪悪感と、そして今君は何しているのだろう、何処に（たぶんまだ博多に住んでいると思うけど）引っ越していって、そうして今どうしているのだろう。僕の手紙が宛先人不明のまま戻ってきたから君はもうベスト電器をやめたのだと思う。そしてもしかしたらもう結婚して（誰かと一緒に住んで）いるのかもしれない。<br>　僕は君をとても傷つけた。高校三年生の大事なときに君をものすごく傷つけ、期末テストでものすごく悪い点数を取らせて、希望していた会社に入らなくさせた。僕は君の一生をめちゃくちゃにしたのかもしれない。そして君は今、（僕より５つ年下で早生まれだから２３歳になっている君は博多の何処かで誰かの男と一緒に暮らしているのかもしれない。<br><br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（１９８９、１１、１７）<br>　君は福岡のアパートで、２３歳の青春を、もしかしたら誰か男のひとと一緒に送っているのかもしれない。長崎には僕や（君を苦しませた…本当は本当は愛していたんだけど、君は福岡の博多の僕が浪人の頃自転車でよく通っていた道のどこかのアパートに君は住んでいて、一人か二人か解らないけど…幸せな人生をこれから歩んでくれることを思っている。そう思って愛子のことを悲しく思い出している。<br>　君が今から幸せな人生を歩んでくれることを、無責任な僕だけど、君を苦しませた僕だけど、僕は君が病気にも何にも犯されずに幸せに過ごしてくれることを、そうして僕らが老人になって久しぶりに会って、僕たちの人生が幸せだったことを確かめあいたい。<br><br><br><br><br>　君は福岡のアパートから僕にときどき電話をくれてるようにも思う。でもいつも二回（三回鳴ると録音されるから）で切れているように思う。君は僕を思い出して懐かしがって僕にときどき日曜日に（それも午前中に）電話をくれているのだと思うのだけれど。<br>　もしも僕が死ぬことができたなら、眠るように、そして母や父にも迷惑をかけないで、一人ぼっちで、死ぬことができたなら。<br>　君は福岡で楽しい日々を、もしかしたら寂しい日々を送っているのかもしれない。僕もこの前、１０月だったと思うけど、福岡まで創価学会の会合で行ったんだ。君のすぐ傍に僕は行ったんだ。でも会えなかったけれど。日曜日でポカポカと暖かい日だったけれど。<br>　僕は会合が終わってからバスを待つまでの間、近くの公園のベンチの上で寝ころんで一時間近く眠った。夢を見た。君の夢だったかどうかあんまり自信がないけれど、昼ご飯を食べたあと、僕は陽の光に照らされながら博多の南区の公園のベンチで一時間くらい眠ったðB<br><br><br><br><br>　君は寂しさを残して去っていって、僕は一年後、あんまり寂しくなって精神科の門をくぐった。君は<br><br><br><br><br>　愛子<br>　君は結婚して、もう遠い遠い福岡でなくてもっと遠い岡山か大阪あたりに行っているような気がする。君がベスト電器の寮から出てアパートかそれとも間借りかに（たしかアパートだったと思うけど）住むようになって僕が出した手紙が宛先不明のまま寂しく戻ってきたとき、あれは夏のことだったと思う。僕が比較的元気だった創価学会をしていた頃の夏休みの頃のことだったと思う。<br>　君は六年ぐらい前、白い鳩になって長崎駅を飛び立って福岡へ行き、そしてそれから２年ぐらい君からときどき手紙が来たりしていたけど僕は返事を出さなかった。僕は金持ちのお嬢さんと結婚するんだ、とても家柄のいい女の人と結婚するんだ、と思っていた贅沢な僕だった。<br>　愛子が居た頃は元気だった僕は、愛子が福岡へ行ってからちょうど一年ぐらい経ってから欝病みたいになって今年の春頃まで苦しんできた。今も卒業試験があっていてそして落ちそうでとても苦しんでいるけど<br><br><br><br><br>　君が僕にくれた文庫本を僕は何処へやってしまった。君を忘れていたあるときに。誰かほかの女の子と結婚するんだと思っていたあるときに。<br>　１２月の、寒い、夕暮れ時に、君がバスへ駆け始めながら僕に渡したその文庫本の題名は何だったか僕は思い出せない。もう四年も五年も前のことだから。寒い夕暮れ時の、雪の降りそうな日のことだったから。<br>　君はその文庫本を僕に手渡して今にも発車しようとしているバスまで走っていった。１２月の、ちょうど今頃だったと思う。雪が桜の花のように散っていて、とても寒かった日のことだったと思う。<br>　君は雪のなかへと走っていっていた。君の背中は雪で白く覆われ始めていた。君は僕のもとからバスへと元気いっぱい走って行っていた。あの６年前の雪の日に。<br>　白い雪のなかに消えてゆく君を、僕から遠ざかって走ってゆく君を、僕はバス停まで見送っていた。雪のなかに吸い込まれていくように消えてゆく君の駆けてゆく姿は悲しげで、僕は愛子のためなら何でもしよう、と思った。でもそれが最後の出会いになるなんて。１２月の寒い日のその日の出会いが僕らの最後の出会いになるなんて。<br>　雪のなかに消えていった君と、僕はもう６年間も会っていないのだろう。君には充実した６年間だったかもしれない。でも僕は一人ぼっちのずっと一人ぼっちの６年間だった。<br>　あの日、僕はハム無線の本を読んで君を待っていたっけ。その日は君と最後に会った日よりもずっと寒い日だった。雪がどんどん降っていたけど、僕はバイクのカワサキＦＴ２５０に乗ってそこまで来た。雪がどんどんと激しく降ってきていた。もう目の前も見えないくらい激しく降ってきていた。<br><br><br><br><br>　君は福岡でどんなクリスマスイブを送っているのだろう。僕は長崎で、いつものように一人ぼっちのクリスマスイブを送っている。一人でお酒を飲みながら。テレビを見て泣きながら。<br>　君と一緒に歩いたあの道は、いつも５時か６時頃で薄暗くて、そしてとても寒くて、雪が降っていた。白い白い雪が、僕らの肩に降り注いできていた。<br>　君を捜して、僕一人で、あの道を駆けて歩いたことがあった。あの日はとても寒い日で、とても寒がりやの君には、いつもの本屋さんまで行くのがとても辛かったと僕は思うけど。でも僕は一人で雪の降る暗い道のなかを君を捜して走った。<br><br><br><br><br>　君はもう２３歳になって、今度の暮れに長崎に帰ってくると思うけど、僕に電話してくれるだろうか。卒業試験に追われて、孤独で、孤独でたまらない僕に。<br>　君から電話がかかってきたら僕はどんなに喜ぶだろう。僕は結婚の申し込みをするかもしれない。毎日毎日が自殺直前の苦しい日々だから、それに親のためにも、僕は君に結婚の申し込みをするかもしれない。<br>　五年ぶりに見る君の姿は変わっているだろう。僕はやつれ果てて、頬骨が出てて、顔色がまっ白になっていて、かつての元気だった僕とはすっかり変わっているのを見て君は驚くだろう。<br>　もしも君と会うとしたら、あの雪の降っていたとても寒い夕方から、５年ぶりのことになるのだけど。本当に５年ぶりのことになるのだけど。<br>　あの頃の純粋だった君。元気だった僕。僕らが５年ぶりに出会って。<br>　もうあの日から千五百日余りも経ってしまった。僕が変わったように、君もとても変わったと思う。でも僕らの心は五年前のあの雪の日のままで、僕らはきっと<br><br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（１２月２８日）<br>　幸せな君は、もう僕なんて目のなかにないのだろう。でも僕はアフリカや南アジアなんかで苦しんでいる人たちのために命を捧げる決意がある。もう君なんて僕の目のなかにはないような気もする。<br>　もう正月が近づいてきて君も実家に帰り始めてると思う。でも僕の胸にはもう君はいない。僕は一人で<br><br><br><br>　君とあの燈台の下で誓えば良かった。でも僕らはずっと無言だった。僕らは俯いていて、雪が降っていたっけ。<br><br><br><br><br>　君はそんなに雪の降るあの日、凍えるような夕方、僕を待つのを嫌がったのだろうか。いや、君の友だちだと思う君から送って貰った写真に載っていた可愛い２人の女の子が愛子の代わりかもしれないけれど、愛子が今日来れないことを知らせにか本屋に来ていたけれど。<br>　でも僕はその本屋の前を愛子がいないかな、と思いながらバイクでゆっくりと行ったり来たりした。雪が降っていて僕はマフラーをしていてその２人の女の子も寒そうだった。<br>　とても寒がりやの愛子、ごめんね。あんな日に呼び出してごめんね。それにもっと学校から近い所で待ち合わせをしていたら良かったのにと僕はとても反省している。<br>　雪がこんこんと降っていて、僕はバイクの上で君を捜していた。雪がこんこんと降っていて、君が来なくて僕は悲しかった。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（１月１２日）<br>　君はバイクに乗って海へ行きたいと言っていた。でもあの頃のバイクはもう無くて（もう５年も６年も前のことになるから。３年ぐらい前、僕のそのバイクが公園の隅に捨てられていたと後輩が言っていたけれど）そして正月ももう過ぎて君はもう福岡へ帰っていったと思う。僕のことなど全く考えてなくて。<br><br>　<br><br><br>　愛子。僕たちは二人だけで幸せになるんだと、手紙に書いてきたと思うけど、誰からも見捨てられても、ただ友達からだけで祝福されると思うけど、親から見捨てられても、一人だけで幸せになるんだと。<br><br><br><br><br>　君とあの燈台までの道を歩いたことがあっただろ。君がまだ高校三年生の頃、君はセーラー服を着ていた。秋でもう冷たい風が吹いていて僕はバイクに乗るときの防風ジャンバーを着ていて、でもそれでも寒かったことを（寒がりやの君は僕よりもっと寒かったようなのを）僕は今でもときどき思い出してしまう。辛くなったとき、夜遅く茶碗を洗っている昼間の仕事で疲れている母の体のことを思いながら。<br>　君はあのとき言ったと思う。<br>『私、県外就職に決めました』<br>　そう言ってるとき僕を見つめる君の目はとても哀しげだった。燈台の下でだったと思う。<br>　もう一番星が出ていたと思う。長い気まずい沈黙のあと僕は言ったと思う。<br>『ほら、あの星も長崎に居てもまったく同じに見えるんだ。まったく同じ方向に見えるんだ』と。<br>　帰り際、鈴虫の声が聞こえていた。僕らは無言で歩いていた。俯く君を……県外就職にしたと言った君を慰めるために僕は何か言わなければならなかったのだけど僕は吃って喋れなかった。<br>　……鈴虫が鳴いていた。たしかに鈴虫が鳴いていた。僕らを慰めるように鈴虫が鳴いていた。<br>　僕たちは鈴虫の鳴いているその小道を急いで戻っていった。すぐ近くに愛子の住んでるアパートが見えていたし、海岸への入り口に置いてきた僕のカワサキのＦＴも見えていた。愛子は『カメ太郎さん。帰り際、寒いでしょ』と言った。僕は『いや、僕は暑がりやだから。とっても暑がりやだから寒くないよ』と言った。<br>　でもとても冷たい風がそのとき僕の顔を打っていた。<br><br><br>　僕は君との恋以来、恋みたいなものをしていない。君とは結局手も繋がなかった。でもたくさん手紙のやり取りをしたし、電話もしたし、何回かデートもしたし、あれはたしかに恋だったと思う。僕が今まで始めて恋をしたというか、女の子とつき合った経験だった。<br>　君は遠く福岡へ旅立ってしまい、やがて音信不通となってしまった。君は寮を出てアパート暮らしを始めたようだけど、君はもう（手紙に精神病院のことを書いたことが一番いけなかったのだと思うけど）僕のことを避けるようになってしまったようだ。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　９０・２・１４<br>　愛子<br>　もう僕らの青春は戻って来ない。僕らは幸せを目指して、毎日毎日醜い日々を送らなければいけないと思う。辛いけど、本当に辛いけど……<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>『僕は何をしてたんだ。今まで何をしてたんだ』という思いで、台所で働く母の後ろ姿を見ながら<br><br><br><br><br>　灯台の向こうに僕らの楽園があって、魚が戯れていて、海藻が生い茂っていて、みんな幸せで、僕も幸せな世界がきっとあると、僕は確信している。<br>　君は高校三年生なのに強かった。僕は君より５つ年上なのに弱かった。僕らは冷たい北風の吹きすさぶ灯台の下で語り合った。本当に君は元気で、僕のために志望していた会社に行けなくなったことを少しも顔に出さなかった。本当に君は元気で、北風のように寂しい僕の心を慰めてくれていた。<br>　灯台の向こうに、僕らの幸せな世界があることを、君も、僕も知っている。とても幸せな世界があることを。<br><br><br>『もう灯台にも灯りがついたね』<br>『ええ、もう灯台にも灯りがついたわ』<br>『もう薄暗くなってきたね』<br>『ええ、もう薄暗くなってきたわ』<br>……僕と愛子はとりとめもない話をしていた。<br>『もう暗くなってきたね』<br>『ええ、何処が足元か解らないくらい』<br>……僕はそれでもピョンッ、ピョンッと飛び跳ねるように歩いていたが愛子は僕よりずっと遅れてゆっくりと岩場を歩いてきていた。もう夕陽は海の向こうに沈みかけようとしていた。<br><br><br><br><br>　僕も、君も、幸せを追い求めてきたけれども、幸せは何処にもないね。もう東長崎のゴミ焼場に、僕らの手紙のように捨てられ焼かれていったのかもしれない。僕は何ヵ月ぶりぐらいにお酒を（おとそを）飲んでいるけれど（…何杯も…何杯も…）“幸せ”って何処にも見当たらないことを（たぶん、今、帰省している愛子のことを考えながら、そうして精神病院の一室から出した手紙をとても後悔しながら、精神病院って世間の目はとても厳しく、愛子は僕が狂って精神病院の一室から手紙を書いているのだと誤解したようだけれども）辛い毎日の羅列に終止符を打ちたい、と僕は３年ぐらい前から望んでいたけれども、幸せは遠くて、僕は苦しんで、とても苦しんで、そして右往左往して、僕はノイローゼになりかけている。今にも僕の頭はパンクしてしまいそうになっている。<br>　幸せは何処にあるんだと、僕は昨日も昨夜も暗闇のなかを探索し続けた。僕には“幸せは何処に在るのか”解らなかった。冷たい世間の目と、厳しすぎる現実の目が、僕を覆って暗くしていた。<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　１９９１・１・１　　AM 6:00<br><br><br><br><br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; 完<br><br>http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm<br><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/entry-12192715015.html</link>
<pubDate>Mon, 22 Aug 2016 17:16:28 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>愛子（完）no.3</title>
<description>
<![CDATA[ <br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（７月８日　夕方）<br>　赤坂の夜の道を愛子と歩くことを考えると、（あの少し緩やかな坂道を。大きな高級マンションが立ち並んでいるあの通りを。綺麗な舗装されたばかりのあの道を）休みの日、一日じゅう家に居て酒を飲んでいる僕に（なんだかこの頃お酒のためかとても吃りがひどくなってしまった僕だけど）本当に１９の頃の僕に帰ったような（元気だった、未来への希望に溢れていた僕に）帰ったような気がします。<br>　あの頃、一生懸命だった僕。信仰と勉強とそして自転車競技に一生懸命だった僕。あの頃は永松と（永松は結局九大の物理学科に現役で入ったけれどもパチンコで１００万円借金を作ったりして放校になったけれど。高校の頃はとても真面目だったけれど）夜のこの警固の道を２時３時ぐらいに歩いたのだった。あの頃僕は浪人していたけれど、来春は京医に入るのだと燃えていた。もうその頃発病していたのだけど自分では気付いていなかった。<br>　もうあれから９年が経つ。９年間、始めの頃僕は元気だった。でも留年を重ねるにつれて僕は“死”を願うようになっていった。何事にも楽しさや喜びを得られないようになっていた。<br>　苦しい後半の４年間だった。自殺の一歩手前で僕は４年間生きてきた。そしてこの頃再び創価学会の信仰に励み始めた。１９や２０の頃、そして中学・高校の頃の自分に舞い戻ったような気もしていて、毎日とても元気になって楽しくなっていて不思議な気がする。<br>　自分にはやっぱり日蓮正宗の信仰をするより他に生きてゆく道はないような気がする。こんな僕が生きてゆくためには。僕には創価学会の信仰をやっていかなければ駄目なような気がする。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（７月１０日　夜　　酒）<br>　愛子。僕は以前福岡の街の中を本当に自信に溢れて歩いていたことがあった。あれは僕が１８の頃だった。春から夏へ変わろうとしているときだった。僕は元気だった。浪人していたけど、来年はもっといい大学に（京医か東大理三に入るんだ）と思っていた。<br>　あの頃の僕は自信でいっぱいで、それに決して不幸でも淋しくもなかった。友達や知り合いはたくさんいたし、僕は元気で、折伏をしようと福岡の友達の所を駆け回っていたぐらいだった。<br>　僕はその頃まだ自分の病気には気づいていなかった。教室でとても緊張してしまって頭がよく働かないのをあんまり気にしていなかった。成績がものすごく下がったのもあまり気にしていなかった。僕はひたすら題目を毎日３時間ぐらいあげていて、とても元気だった。<br>　あの福岡の町。綺麗に化粧した女の人たちがたくさん歩いている町。みんなみんないい洋服を着ていてみんなとても綺麗に化粧していた。<br>　僕の思い出の中の女の子よりももっと魅力的な女の子もたくさん福岡の町を歩いていた。みんなとても綺麗だった。綺麗な女の人ばかりが九州じゅうから博多の町に集まっているんだ、と僕はその頃思っていた。<br>　毎日、僕は天神に食料品などを買い込みに行ってたし（その頃僕は自転車競技でオリンピックに出て金メダルを取るんだと、悲しい辛い中学・高校時代の埋め合わせのためにそうするんだと本気で思っていたから）ときどき見る寮の近くの女の子はみんな綺麗だった。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（６月３０日）<br>　僕の悲しい癖は、君を傷つけ、君を悲しませ、そして君を遠く福岡へとやってしまった。<br>　僕のこの悲しい癖は、高三の終わり頃、一生懸命受験勉強していた頃に付いてしまった。<br>　君を悲しませ、君に次の日の期末テストの勉強をできなくさせ、一番就職に大事なテストだったのに、歴史で赤点を取らせて、僕が君が一番に志望していた就職先をダメにしてしまった。この僕が。こんな僕が。<br><br>　君も悲しんだし僕も悲しんだ。僕は一人きりの淋しい年月をそれから何年も過ごしたし、僕はそれに２年ぐらい前から何度も自殺を決意したぐらいだった。三度も留年したし、それにまた留年するかもしれないし。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（Ｈ１，７，１２）<br>　愛子<br>　もしも僕が創価学会をずっとずっと続けていたならば、僕の人生は、そして愛子の人生はとても違ったものになっていたと思う。もし僕が愛子と知り合ったときまだ信仰を続けていたら僕は一年近くの空白もなくて、そのまま僕が２０歳半の頃からずっとつき合っていたと思う。それに愛子に辛い思いをさせたりなんてしなかったと思う。<br>　そして僕はもうとっくに結婚していて（愛子でなくっても誰か女の人と結婚していて）毎日仕事と信仰に追われていたと思う。きっと今の現在の僕とずっとずっと違った、そしてずっとずっと幸せで恵まれた状況にあったと思う。でも現在の僕は苦しくって、とってもとっても苦しくって、宗教に身を捧げるようにしていてやっと生き延びているような僕です。<br>　大学一年の十一月、僕はクラブや勉強や文学、それに信仰とあまりにも荷が重すぎて行き詰まり果てて、そうして信仰を捨ててしまった。信仰を捨てて本当に肩の荷が降りたような気がした。それまでは信仰のために一日少なくとも３時間は取られていたから。<br>　でも僕は信仰をやめて、人間的に堕落し始めていた。自分のことしか考えきれない自分になっていっていた。そして愛子と出会う４ヶ月前の合コンで僕が中学三年の頃からずっと片思いをし続けてきた女のコと偶然一緒になってそして冷たくふられてそのコは僕のクラブの親友になびいていった。<br>　僕はだからあの頃はとても苦しかった。愛子と出会わなかったら僕はもう寂しさに耐えかねて（それに人間不信にもなって）発狂していたかもしれない。<br>　僕があの頃発狂しなかったのは愛子たちの明るさや元気さに触れて人間不信になりかけていた僕の心に灯を灯してくれたからだと思う。僕は親友に裏切られ、クラブのみんなから蔑まされていた。<br>　素直に信心していたら良かった。素直に信心してたらもうとっくに卒業していただろう。高三の２月１３日、東小島の霊能力者のところにノドの病気を治して貰いに行かなかったら、僕はこんなたいへんな病気に懸かってなくて、現役で九大医学部に入ってて、そうしてもうとっくに医者になっていただろう。もしもあのときあんなところに行かなかったら、たとえ行っても心霊治療を受けずに断って帰ってきてたら、そうしたら今ごろ僕は。<br><br><br><br>　カワサキのＦＴに僕はその頃乗っていた。愛子と始めて待ち合わせをしたとき（デートをしたとき）、僕はあの護国神社に僕が自分で塗った黒塗りのカワサキのＦＴで行った。思い出のあのＦＴもでも今はなくて、もう何処かのクズ鉄になってしまって、まるで僕らの恋のように、まるで僕らの青春のように。　<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（Ｈ１，８，２７）<br><br><br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　（東支那海を望む丘の上にて）<br>　愛子へ<br>　ずっとずっと昔にあの大きな海の向こうに大きな大陸があってムー大陸と呼んでいた。今僕らが見ているのは五島列島か中国大陸だけれど、太平洋の方に行くとずっとずっと昔、大きな大きな島がハワイ諸島のところにあってとても栄えていたのだって。そして僕らは前世、そこでも恋人どうしだったのかもしれない。<br>　冷たくなった秋の風が僕の体を打ってるけど、僕は死ねない。僕が死ぬときは、もう海の向こうの中国大陸が見えなくなったときだろう。<br>　でもそのとき僕はきっと死んでいると思う。目が見えなくなって、僕がベットの上で、苦しんでいるときだと思う。<br><br><br><br><br>　夜１１時半ごろ電話が鳴った。でもそれは一回で切れた。僕はいろいろと考えた。もしかしたら君なのかって。福岡の君からかって。一人でアパート住まいしている君からかって<br><br><br><br><br>　僕は立っていた。１２月のあの雪の降る寒い夕方、君を待って本屋の前で、２５０ｃｃのバイクの横で待っていた。６時頃、君が来ると思って待っていた。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（Ｈ１，１１，１６）<br>　君は僕のために希望していた博多の会社に入れずにベスト電器の店員となった。君への罪悪感と、そして今君は何しているのだろう、何処に（たぶんまだ博多に住んでいると思うけど）引っ越していって、そうして今どうしているのだろう。僕の手紙が宛先人不明のまま戻ってきたから君はもうベスト電器をやめたのだと思う。そしてもしかしたらもう結婚して（誰かと一緒に住んで）いるのかもしれない。<br>　僕は君をとても傷つけた。高校三年生の大事なときに君をものすごく傷つけ、期末テストでものすごく悪い点数を取らせて、希望していた会社に入らなくさせた。僕は君の一生をめちゃくちゃにしたのかもしれない。そして君は今、（僕より５つ年下で早生まれだから２３歳になっている君は博多の何処かで誰かの男と一緒に暮らしているのかもしれない。<br><br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（１９８９、１１、１７）<br>　君は福岡のアパートで、２３歳の青春を、もしかしたら誰か男のひとと一緒に送っているのかもしれない。長崎には僕や（君を苦しませた…本当は本当は愛していたんだけど、君は福岡の博多の僕が浪人の頃自転車でよく通っていた道のどこかのアパートに君は住んでいて、一人か二人か解らないけど…幸せな人生をこれから歩んでくれることを思っている。そう思って愛子のことを悲しく思い出している。<br>　君が今から幸せな人生を歩んでくれることを、無責任な僕だけど、君を苦しませた僕だけど、僕は君が病気にも何にも犯されずに幸せに過ごしてくれることを、そうして僕らが老人になって久しぶりに会って、僕たちの人生が幸せだったことを確かめあいたい。<br><br><br><br><br>　君は福岡のアパートから僕にときどき電話をくれてるようにも思う。でもいつも二回（三回鳴ると録音されるから）で切れているように思う。君は僕を思い出して懐かしがって僕にときどき日曜日に（それも午前中に）電話をくれているのだと思うのだけれど。<br>　もしも僕が死ぬことができたなら、眠るように、そして母や父にも迷惑をかけないで、一人ぼっちで、死ぬことができたなら。<br>　君は福岡で楽しい日々を、もしかしたら寂しい日々を送っているのかもしれない。僕もこの前、１０月だったと思うけど、福岡まで創価学会の会合で行ったんだ。君のすぐ傍に僕は行ったんだ。でも会えなかったけれど。日曜日でポカポカと暖かい日だったけれど。<br>　僕は会合が終わってからバスを待つまでの間、近くの公園のベンチの上で寝ころんで一時間近く眠った。夢を見た。君の夢だったかどうかあんまり自信がないけれど、昼ご飯を食べたあと、僕は陽の光に照らされながら博多の南区の公園のベンチで一時間くらい眠ったðB<br><br><br><br><br>　君は寂しさを残して去っていって、僕は一年後、あんまり寂しくなって精神科の門をくぐった。君は<br><br><br><br><br>　愛子<br>　君は結婚して、もう遠い遠い福岡でなくてもっと遠い岡山か大阪あたりに行っているような気がする。君がベスト電器の寮から出てアパートかそれとも間借りかに（たしかアパートだったと思うけど）住むようになって僕が出した手紙が宛先不明のまま寂しく戻ってきたとき、あれは夏のことだったと思う。僕が比較的元気だった創価学会をしていた頃の夏休みの頃のことだったと思う。<br>　君は六年ぐらい前、白い鳩になって長崎駅を飛び立って福岡へ行き、そしてそれから２年ぐらい君からときどき手紙が来たりしていたけど僕は返事を出さなかった。僕は金持ちのお嬢さんと結婚するんだ、とても家柄のいい女の人と結婚するんだ、と思っていた贅沢な僕だった。<br>　愛子が居た頃は元気だった僕は、愛子が福岡へ行ってからちょうど一年ぐらい経ってから欝病みたいになって今年の春頃まで苦しんできた。今も卒業試験があっていてそして落ちそうでとても苦しんでいるけど<br><br><br><br><br>　君が僕にくれた文庫本を僕は何処へやってしまった。君を忘れていたあるときに。誰かほかの女の子と結婚するんだと思っていたあるときに。<br>　１２月の、寒い、夕暮れ時に、君がバスへ駆け始めながら僕に渡したその文庫本の題名は何だったか僕は思い出せない。もう四年も五年も前のことだから。寒い夕暮れ時の、雪の降りそうな日のことだったから。<br>　君はその文庫本を僕に手渡して今にも発車しようとしているバスまで走っていった。１２月の、ちょうど今頃だったと思う。雪が桜の花のように散っていて、とても寒かった日のことだったと思う。<br>　君は雪のなかへと走っていっていた。君の背中は雪で白く覆われ始めていた。君は僕のもとからバスへと元気いっぱい走って行っていた。あの６年前の雪の日に。<br>　白い雪のなかに消えてゆく君を、僕から遠ざかって走ってゆく君を、僕はバス停まで見送っていた。雪のなかに吸い込まれていくように消えてゆく君の駆けてゆく姿は悲しげで、僕は愛子のためなら何でもしよう、と思った。でもそれが最後の出会いになるなんて。１２月の寒い日のその日の出会いが僕らの最後の出会いになるなんて。<br>　雪のなかに消えていった君と、僕はもう６年間も会っていないのだろう。君には充実した６年間だったかもしれない。でも僕は一人ぼっちのずっと一人ぼっちの６年間だった。<br>　あの日、僕はハム無線の本を読んで君を待っていたっけ。その日は君と最後に会った日よりもずっと寒い日だった。雪がどんどん降っていたけど、僕はバイクのカワサキＦＴ２５０に乗ってそこまで来た。雪がどんどんと激しく降ってきていた。もう目の前も見えないくらい激しく降ってきていた。<br><br><br><br><br>　君は福岡でどんなクリスマスイブを送っているのだろう。僕は長崎で、いつものように一人ぼっちのクリスマスイブを送っている。一人でお酒を飲みながら。テレビを見て泣きながら。<br>　君と一緒に歩いたあの道は、いつも５時か６時頃で薄暗くて、そしてとても寒くて、雪が降っていた。白い白い雪が、僕らの肩に降り注いできていた。<br>　君を捜して、僕一人で、あの道を駆けて歩いたことがあった。あの日はとても寒い日で、とても寒がりやの君には、いつもの本屋さんまで行くのがとても辛かったと僕は思うけど。でも僕は一人で雪の降る暗い道のなかを君を捜して走った。<br><br><br><br><br>　君はもう２３歳になって、今度の暮れに長崎に帰ってくると思うけど、僕に電話してくれるだろうか。卒業試験に追われて、孤独で、孤独でたまらない僕に。<br>　君から電話がかかってきたら僕はどんなに喜ぶだろう。僕は結婚の申し込みをするかもしれない。毎日毎日が自殺直前の苦しい日々だから、それに親のためにも、僕は君に結婚の申し込みをするかもしれない。<br>　五年ぶりに見る君の姿は変わっているだろう。僕はやつれ果てて、頬骨が出てて、顔色がまっ白になっていて、かつての元気だった僕とはすっかり変わっているのを見て君は驚くだろう。<br>　もしも君と会うとしたら、あの雪の降っていたとても寒い夕方から、５年ぶりのことになるのだけど。本当に５年ぶりのことになるのだけど。<br>　あの頃の純粋だった君。元気だった僕。僕らが５年ぶりに出会って。<br>　もうあの日から千五百日余りも経ってしまった。僕が変わったように、君もとても変わったと思う。でも僕らの心は五年前のあの雪の日のままで、僕らはきっと<br><br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（１２月２８日）<br>　幸せな君は、もう僕なんて目のなかにないのだろう。でも僕はアフリカや南アジアなんかで苦しんでいる人たちのために命を捧げる決意がある。もう君なんて僕の目のなかにはないような気もする。<br>　もう正月が近づいてきて君も実家に帰り始めてると思う。でも僕の胸にはもう君はいない。僕は一人で<br><br><br><br>　君とあの燈台の下で誓えば良かった。でも僕らはずっと無言だった。僕らは俯いていて、雪が降っていたっけ。<br><br><br><br><br>　君はそんなに雪の降るあの日、凍えるような夕方、僕を待つのを嫌がったのだろうか。いや、君の友だちだと思う君から送って貰った写真に載っていた可愛い２人の女の子が愛子の代わりかもしれないけれど、愛子が今日来れないことを知らせにか本屋に来ていたけれど。<br>　でも僕はその本屋の前を愛子がいないかな、と思いながらバイクでゆっくりと行ったり来たりした。雪が降っていて僕はマフラーをしていてその２人の女の子も寒そうだった。<br>　とても寒がりやの愛子、ごめんね。あんな日に呼び出してごめんね。それにもっと学校から近い所で待ち合わせをしていたら良かったのにと僕はとても反省している。<br>　雪がこんこんと降っていて、僕はバイクの上で君を捜していた。雪がこんこんと降っていて、君が来なくて僕は悲しかった。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（１月１２日）<br>　君はバイクに乗って海へ行きたいと言っていた。でもあの頃のバイクはもう無くて（もう５年も６年も前のことになるから。３年ぐらい前、僕のそのバイクが公園の隅に捨てられていたと後輩が言っていたけれど）そして正月ももう過ぎて君はもう福岡へ帰っていったと思う。僕のことなど全く考えてなくて。<br><br>　<br><br><br>　愛子。僕たちは二人だけで幸せになるんだと、手紙に書いてきたと思うけど、誰からも見捨てられても、ただ友達からだけで祝福されると思うけど、親から見捨てられても、一人だけで幸せになるんだと。<br><br><br><br><br>　君とあの燈台までの道を歩いたことがあっただろ。君がまだ高校三年生の頃、君はセーラー服を着ていた。秋でもう冷たい風が吹いていて僕はバイクに乗るときの防風ジャンバーを着ていて、でもそれでも寒かったことを（寒がりやの君は僕よりもっと寒かったようなのを）僕は今でもときどき思い出してしまう。辛くなったとき、夜遅く茶碗を洗っている昼間の仕事で疲れている母の体のことを思いながら。<br>　君はあのとき言ったと思う。<br>『私、県外就職に決めました』<br>　そう言ってるとき僕を見つめる君の目はとても哀しげだった。燈台の下でだったと思う。<br>　もう一番星が出ていたと思う。長い気まずい沈黙のあと僕は言ったと思う。<br>『ほら、あの星も長崎に居てもまったく同じに見えるんだ。まったく同じ方向に見えるんだ』と。<br>　帰り際、鈴虫の声が聞こえていた。僕らは無言で歩いていた。俯く君を……県外就職にしたと言った君を慰めるために僕は何か言わなければならなかったのだけど僕は吃って喋れなかった。<br>　……鈴虫が鳴いていた。たしかに鈴虫が鳴いていた。僕らを慰めるように鈴虫が鳴いていた。<br>　僕たちは鈴虫の鳴いているその小道を急いで戻っていった。すぐ近くに愛子の住んでるアパートが見えていたし、海岸への入り口に置いてきた僕のカワサキのＦＴも見えていた。愛子は『カメ太郎さん。帰り際、寒いでしょ』と言った。僕は『いや、僕は暑がりやだから。とっても暑がりやだから寒くないよ』と言った。<br>　でもとても冷たい風がそのとき僕の顔を打っていた。<br><br><br>　僕は君との恋以来、恋みたいなものをしていない。君とは結局手も繋がなかった。でもたくさん手紙のやり取りをしたし、電話もしたし、何回かデートもしたし、あれはたしかに恋だったと思う。僕が今まで始めて恋をしたというか、女の子とつき合った経験だった。<br>　君は遠く福岡へ旅立ってしまい、やがて音信不通となってしまった。君は寮を出てアパート暮らしを始めたようだけど、君はもう（手紙に精神病院のことを書いたことが一番いけなかったのだと思うけど）僕のことを避けるようになってしまったようだ。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　９０・２・１４<br>　愛子<br>　もう僕らの青春は戻って来ない。僕らは幸せを目指して、毎日毎日醜い日々を送らなければいけないと思う。辛いけど、本当に辛いけど……<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>『僕は何をしてたんだ。今まで何をしてたんだ』という思いで、台所で働く母の後ろ姿を見ながら<br><br><br><br><br>　灯台の向こうに僕らの楽園があって、魚が戯れていて、海藻が生い茂っていて、みんな幸せで、僕も幸せな世界がきっとあると、僕は確信している。<br>　君は高校三年生なのに強かった。僕は君より５つ年上なのに弱かった。僕らは冷たい北風の吹きすさぶ灯台の下で語り合った。本当に君は元気で、僕のために志望していた会社に行けなくなったことを少しも顔に出さなかった。本当に君は元気で、北風のように寂しい僕の心を慰めてくれていた。<br>　灯台の向こうに、僕らの幸せな世界があることを、君も、僕も知っている。とても幸せな世界があることを。<br><br><br>『もう灯台にも灯りがついたね』<br>『ええ、もう灯台にも灯りがついたわ』<br>『もう薄暗くなってきたね』<br>『ええ、もう薄暗くなってきたわ』<br>……僕と愛子はとりとめもない話をしていた。<br>『もう暗くなってきたね』<br>『ええ、何処が足元か解らないくらい』<br>……僕はそれでもピョンッ、ピョンッと飛び跳ねるように歩いていたが愛子は僕よりずっと遅れてゆっくりと岩場を歩いてきていた。もう夕陽は海の向こうに沈みかけようとしていた。<br><br><br><br><br>　僕も、君も、幸せを追い求めてきたけれども、幸せは何処にもないね。もう東長崎のゴミ焼場に、僕らの手紙のように捨てられ焼かれていったのかもしれない。僕は何ヵ月ぶりぐらいにお酒を（おとそを）飲んでいるけれど（…何杯も…何杯も…）“幸せ”って何処にも見当たらないことを（たぶん、今、帰省している愛子のことを考えながら、そうして精神病院の一室から出した手紙をとても後悔しながら、精神病院って世間の目はとても厳しく、愛子は僕が狂って精神病院の一室から手紙を書いているのだと誤解したようだけれども）辛い毎日の羅列に終止符を打ちたい、と僕は３年ぐらい前から望んでいたけれども、幸せは遠くて、僕は苦しんで、とても苦しんで、そして右往左往して、僕はノイローゼになりかけている。今にも僕の頭はパンクしてしまいそうになっている。<br>　幸せは何処にあるんだと、僕は昨日も昨夜も暗闇のなかを探索し続けた。僕には“幸せは何処に在るのか”解らなかった。冷たい世間の目と、厳しすぎる現実の目が、僕を覆って暗くしていた。<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　１９９１・１・１　　AM 6:00<br><br><br><br><br>http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/entry-12192714211.html</link>
<pubDate>Mon, 22 Aug 2016 17:13:29 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>愛子（完）no.2</title>
<description>
<![CDATA[ <br><br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; （僕は祈る）<br>　愛子へ<br>　僕はこのまえ手紙のなかで自分だけ苦しんでいるように書いてたけど、でも本当はみんな苦しんでいるんだと知った。僕は愛子の返事を読んで、そうして夜あまりよく眠れずによく考えたけど、僕より苦しんでいる人たちはこの世界中にたくさん居ることをすっかり忘れていた自分に気づいた。<br>　とくにアフリカや東南アジアにはたくさんいて、僕は早く卒業して医者になって彼らのところへ行ってやらなければならないのだと、夜もう２時ごろだったと思うけどそう思って涙が湧いてきた。僕の悩みって贅沢なんだと、でも僕はやっぱり苦しくて、明日が始まるのも怖くて、やっぱり落ち込んでしまう。僕は早く暗黒の毎日から、充実した楽しい毎日へと、早く早く脱皮したい。誰か本当に僕を救ってくれる、白い目のパッチリとした天使さまが現れないかと、僕は強く強く願っている。そうしてクリスマスイブの夜からの苦しみのどん底に突き落とされている僕をどうか救ってくれないかと、それが愛子じゃないのかな、と思いつつ、僕は強く強く願っている。優しい暖かい手が僕を暗闇から救ってくれないかなと、僕は強く強く祈っている。<br>※（最初の手紙を出して愛子から長い最初の返事をもらったその頃書かれたものだろう）<br><br><br><br><br><br>　……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………（内容紛失）……………………………………………………………………………<br><br>（これは僕が学一留年十月ごろの手紙のことだったろう。僕が愛子に『だいぶ幸せになったろ？』とか書いたら愛子はちょっと憤激した調子で『いいえ、私全然。私寂しくて寂しくて毎日泣いてるのに』とか書いていた。あれは僕が久しぶりに愛子に……２回続けて愛子から手紙が来てやっと僕が出した手紙への返事にそう書いてあったように思う）<br><br><br><br><br>　愛子。僕らの恋はもう終わったような気がする。愛子はもう手紙も電話もくれなくなったし僕から何通愛子からの返事の来ない手紙を出したかなあ。<br>　もう僕は２７歳になろうとしているし僕より５つ年下の愛子は２２歳でもう結婚するかもしれない年齢だし。<br>　でも僕は思うけど僕の青春はこれからなのかなあと思います。今まで本当に暗かったけど僕の青春って、少なくとも３０歳までは結婚しないで青春を謳歌したいなあ、と思っています。<br>　僕の赤いプレリュードは恋人を乗せることなくもう２年半も経ちました。そしてこの７ヶ月ほどはほとんど乗っていません。あんまり神経質すぎる僕はクルマを運転すると頭がとても疲れてしまって勉強できないし混んでるときはとても時間がかかるし。<br>　愛子はもう結婚するのかもしれないけど、だから返事をくれなくなったのかもしれないけど、でも僕は自分は今からが青春なんだ、僕にとって青春は今からなんだ、と思って希望を持ってもう自殺なんて考えることなしに、たとえあと何年留年したって、何年留年したって負けずに頑張っていくつもりです。<br>　いつもいつも泣きべそのような意気地のないことばかり書いた手紙ばかり出しててごめんね。僕はこれから明るく生きていこうと何故か今日思っています。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　もう新聞配達の音が聞こえてくるようになりました。僕の不眠症はこの頃めっきりひどくなってきました。もうどんな睡眠薬も効かないようになってきました。腹いっぱい食べてすぐ寝ることが今の一番の睡眠法です。<br>　この頃はめっきり朝晩は冷えてくるようになりました。もう愛子は僕から離れていった架空の中の女性だけれど、僕は淋しさにいたたまれなくてこの手紙を書いています。<br>　福岡はクルマやトラックの音、それに酔客の声などで喧しいだろ。でも愛子は長崎をたってからもう３年半になるのかな。僕は長崎で一人で淋しくて。<br>　今、僕の家の周りでは鳩が唸りをあげて飛んでいます。次から次へと何故か僕の部屋の前を横切って。そして福岡へ飛んでゆくのかなあ。この朝、愛子への思いを乗せて福岡まで飛んでいってくれるのかなあと錯覚されます。<br><br><br>　　　　（僕の思いは白い鳩に乗って）<br>　僕の思いは白い鳩に乗って、福岡の愛子の所まで今旅立ったようです。僕が福岡の愛子のことを考えていると、窓辺の白い鳩が僕の思いを伝えようと福岡まで飛び立っていってくれたようです。もうほとんどあきらめかけ忘れかけていた愛子のことだけど、僕を救ってくれるのはとても気立てが良くて明るい愛子しかいないんじゃないかとか、そんなことを今朝思っていたら、僕の窓辺から白い鳩が幾羽も幾羽も福岡目指して飛んでいったようです。寂しい僕の心を慰めようと、飛び立っていってくれたようです。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　もう遠く過ぎ去ってしまった愛子との思い出も、ああ、僕が悪魔にとり憑かれていた去年の秋ごろ、愛子の手紙を全部（そして僕が愛子に宛てて出した手紙のコピーも）捨ててしまったこと昨夜ものすごく後悔しました。僕の最高の青春のときが愛子と文通したりしていたときのことだったんだなあとか思って。<br>　愛子。僕はまた希死念慮に捕らわれるようになってしまった。愛子たちの手紙を全て全て捨ててしまったあの頃の悪魔にとり憑かれていた僕はなんて馬鹿だったんだと。<br>　愛子。僕らの青春は、そして僕らの思い出も、もう帰って来ない。僕が愛子の手紙を捨ててしまったため。あの（今もかもしれないけど）死神にとり憑かれていた日々のことを考えて。<br>　愛子。僕は今日にでも死のうかな。苦しいから、生きてゆくのが苦しくて辛くてたまらないから、今日にでも。<br><br>　　　　　（僕は羽立とう）<br>　僕は愛子との思い出を、虚しく虚しく捨ててしまって、そうして白い霊界へと羽立とう。白い霊界へと、愛子との清らかだった交際のことも忘れて、今日にでも、明日にでも、僕は羽立とう。白い白いもう苦しむことのない霊界へと。<br>　愛子との思い出のいっぱい詰まった手紙の束を捨ててしまったことをとても後悔しながら、とってもとっても後悔しながら、後悔して泣きながら。<br><br><br><br><br>　君をクルマの助手席に乗せて、僕はこの海へ来たかった。君は遠く福岡へ旅立ってしまい、そして僕はまた留年して、寂しさを紛らわすこともできなくなった。一生懸命勉強をすると気も紛れると思うのだけれど、留年したからあまり勉強しないでいいし、それに僕はアルバイトもできないし……<br>　僕は鳩になって君の住む福岡へと飛んでゆきたい。<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（学一留　七月）<br><br><br><br><br>　僕が疲れ果てたとき、そっと胸を貸してくれる女のコが欲しかった。でもそのコは福岡へ行きもう長崎には居ない。もう帰って来たくないと言って、長崎からそのコは去っていった。<br><br><br>　僕が寂しさに打ちひしがれ始めたとき愛子はいなくなっていた。僕が留年して、そして留年していることを親に内緒にして毎朝家を出て誰も居ない友人の下宿で時間を過ごすとき、夕暮れまでそうやって時間を過ごすとき、僕は寂しくって、福岡の方の空を見上げるけど、たぶん愛子が居ると思う方向を見上げるけど、すずめや赤とんぼが飛んでいて、とても寂しくて、それに愛子は店の仕事でとても忙しいと思うから。<br><br><br><br>　愛子。僕は昨夜愛子と僕の手紙が夢の中でぽんっと何処からか、たぶん天国からだったような気がするけれど、落ちてくる夢を見ました。神さまが僕に、与えて下さったんだなあと僕は思いました。<br>　もし、本当に愛子と僕の（僕のはいいから愛子のだけでも）見つかったら（何処か押入れの奥とかから）僕はまた明るくなって（愛子と文通したりしていたときのように明るくなって）そうしてまた死のうとか考えてきたことを僕は元気いっぱいに振り切れると思うんだけど。<br><br><br><br><br>　　　　　　　（愛子）<br>　僕は愛子の黄色い封筒に乗って、翼立とう。天国へ向かって、もう愛子との思い出のいっぱい詰まった愛子の手紙の束を捨ててしまった僕だから、そんなとっても罪深い僕だから、それにもう苦しいから、毎日の生活が苦しくてたまらないから、飛んでゆきたい。愛子の黄色い手紙に乗って、福岡の空はもうダメだから、ただ天国へと、天国へと、僕は飛んでゆきたい。<br><br><br><br><br>　愛子。僕らの思い出は何処に行ってしまったんだろう。僕らの青春はいったい何処に。<br>　僕らの青春はもう還って来ないんだね。愛子の手紙の束のなかに詰めこまれていた僕らの愛と青春は。もう還って来ないんだね。そうして僕らはもう別々に道を歩いていっている。僕らは別々に。もう僕らの青春の思い出も消え失せて。<br>　時は流れてゆく。僕らの思い出を乗せて、遠く彼方に押しやりながら、そうして僕らの思い出はもうずっと遠くに押し流されてしまって、もう戻って来ない。淋しいけれどもう戻って来ない。<br>　僕は淋しくて泣きわめきたいほどだけど、もう戻って来ない。もう戻って来ない。僕らの思い出は戻って来ない。<br><br><br><br><br>　　　　　（僕は死ねない）<br>　愛子。僕は落ち込み果てて立ち上がれない。僕は落ち込み果てて、立ち上がる勇気が、そして希望が、見えない。もう見えない。僕には希望と勇気という二字が。<br>　でも愛子。僕は父や母のため死ねない。父や母の姿を今朝学校へ来るときちょっと見たけど、淋しげで、もしも僕が死んだら、どんなに悲しむだろうと思うと、僕はやっぱり死ねない。そうして親の前では、できる限り元気な振りをしていなければいけない。少なくとも親の前では。<br>　僕には首吊りの丸い輪しか見えないけれど、僕は死ねない。僕は決して死ねない。<br><br><br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　１０月１日　p.m.4:06<br>　愛子へ。<br>　もう一度文通したいけど、もう僕らの青春は還ってこないんだね。もう一度、もう一度文通したくてたまらないけれど。<br>　あの頃と比べてもう愛子は変わってしまったし僕も変わってしまった。大切な僕らの青春のかたみをほとんど捨ててしまった僕は、本当に惜しいことをしたと昨日夢で唸らされたほどです。<br>　もう一度、本当にもう一度文通し直したいけれど。本当にもう一度、もう一度。<br>　誰か愛子に代わる女の子を僕は見つけよう。誰か愛子に代わる女の子を。<br><br><br><br><br>　僕は長崎から鳩になって飛び立って、福岡まで愛子に会いに行きたいけれど、でも僕には翼がなくって福岡まで飛び立てない。それに僕にはそんな勇気も自身もないし。<br><br><br><br><br>　僕は夕暮れ時に長崎を飛び立って真夜中近くに愛子の住む福岡へ着くと思うけど、うまくいったら着くと思うけど。<br>　僕は寂しく飛び立って、愛子に会えるか愛子が僕にどう接してくれるか思い悩みながら、鳩になって長崎から博多へと飛んでゆくだろう。<br>　とっても寂しい鳩になって寂しさでいっぱいの鳩になって、涙でもみくちゃになって。<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（学一留　七月）<br><br><br><br><br>　僕は愛子の手紙が、せめてコピーでも出て来ないかと押入れやそして今夜は文芸部の部室まで行って探し回ったけど僕は何も見つけ出せなかった。僕はやっぱりあの悪魔に完全に捕らわれていた期間、愛子との手紙をほとんど完全に捨ててしまったんだね。そしてもう戻って来ないんだね。<br>　僕は病気だったんだ、あの頃。悪魔に捕らわれて完全に病気だったんだ。<br><br><br><br><br>　あれはいつのことだったろう。愛子が福岡へ行った年の秋のことだった。１０月１１月と愛子からたて続けに手紙がきたけれど僕は返事を書かなかった。あのとき僕は何をしていたのだろう。僕はあの頃すっかり愛子のこと忘れかけていた。今思い返せば愛子が感傷的になって書いてきたとても美しい手紙だったけれども。たしかその一部のコピーだけが残っているだけだと思うけれども。<br>　愛子はあの頃淋しがって僕に手紙を書いてきていたけれども、僕は、僕は淋しくなかったのだろうか？　僕はあの頃勉強が忙しかったし愛子のことを忘れよう忘れようと努力していたのだった。<br>　あれは学一留年の秋のことだった。その夏にバイクもクルマも売ったり廃車にしたりいてバス通学に切り換えたのだった。そして学２の５月にクルマの赤いプレリュードを買うまでバス通学を続けたのだった。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕は本当に夢の中だけで生きている悲しい男なのかもしれません。愛子へのこの頃の手紙は本当にもう現実の世界からは懸け離れていているような気がします。でももしかしたら夢の中で生きてゆける幸せな男なのかもしれません。<br>　愛子への手紙を書くことによって僕はどんなにこの苦しい時代慰められたものでしょう。僕は本当に幸せでした。<br>　僕たちが手紙を交換したりしてたもう４、５年も前になるあの時代はもう本当に懐かしくて今となってはもう本当に涙が出てきそうな気さえしてきます。<br><br><br><br><br>　明るかった頃の、元気だった頃の、あの頃の僕はもう遠い空の彼方へ消えてしまって、今ここに居るのは、抜け殻になたようなもう愛子の知らない僕だ。あの頃とは全然違う、もう抜け殻になった僕だ。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕はもうダメだ。僕は昨夜気力を湧かせようと思って麦飯をたくさん食べた。でもお酒もまた飲んでしまった。僕はそうして今自己嫌悪や絶望感と戦いつつこれを書いている訳です。<br><br><br>&nbsp; 楽になりたい。中学や高校の頃の気力が、少なくとも愛子と文通したりしていた頃の気力が僕に戻ってきたら、そうしたら僕は強く強くなれると思うのだけど。<br>　僕も強く強く。<br><br><br>　愛子<br>　僕は寝てばかりいます。僕は強く強くなりたいのだけど、僕は眠ってばかりいます。いつまでもいつまでも家ではずっと寝てばかりいます。<br>　そしていろいろ鮮明な夢ばかり見ています。怖い怖い夢が多いのだけど。<br><br><br><br><br>　愛子<br>　僕は胸のときめきも何ももう感じなくなってしまった。そうしてもう悲しみだけが僕の胸を支配しています。２７歳になろうとしている僕と、何もできない僕と。<br><br><br>&nbsp; 僕は強くなりたい。昔の僕のように、元気いっぱいだった以前の僕に、僕は戻りたい。<br><br>&nbsp; 少年の頃の僕の毎日は今と比べものにならないくらい厳しい毎日だったけど僕は元気だったしいつも明るく決して挫けなかった。今の僕は挫けかけている。<br>　中学の頃や高校の頃、僕は毎日ノドの病気や吃りなどで学校で苦しんできた。毎日毎日針のむしろに座らされたような学校生活だった。あの頃のことを思えば今はどんなに楽だろう。あの頃の僕はとっても強かったのに。<br><br><br>　　　　（もしも僕が今度進級できたら）<br>　もしも僕が今度進級できたら、そうしたらあと一年ちょっとで卒業だから、僕は高校三年の頃を思い出して一生懸命勉強しよう。そうして早く親孝行ができるように、卒業試験に落っこちないように、国家試験を楽にパスするように、一生懸命勉強しよう。詩や小説を書くのも少し控えて、僕は一生懸命勉強しよう。<br>　そうして僕は明るさを取り戻すかもしれない。少なくとも高校三年生の頃の元気さやバイタリティーは取り戻せる気がするのだけど。<br>　今度進級できたら僕は変わるかもしれない。辛かったけど元気だった高校三年の頃を思い出して、僕は変わるかもしれない。とても元気になれるかもしれない。<br><br><br><br><br>　僕の手に、力があったならば、僕は一生懸命になって、困っている人のために苦しんでいる人のために、毎日駆け回ると思うのだけど。もし僕に力があったならば。<br>　でも現実の僕は全然力がなくて、あの高校生だった愛子を傷付けたりした悪い癖があって、顔のこわばりがあって、僕は人を救えない。人を救おうとしても逆に人を傷つけるだけで、それで僕はいつも一人っきりで部屋に閉じ込もってそうしてほとんど誰とも喋らない。そうして一人淋しさに打ち沈んでいる。ずっと、ずっと、もう九年も前から。<br><br><br><br><br>　愛子<br>　高校三年生だった君を傷つけた僕は、あの大事な試験の前の日に呼び出してそして傷つけてしまった僕は、そうして君の進路を狂わせてしまった僕は、僕はいったいどうしたら君への罪を償えばいいのだろう。僕はいったいどうやって。<br>　でも君を傷つけた僕の悪い癖（顔のこわばり）は、もう九年間も僕を苦しめてきて、その間僕はどんなに苦しんできただろう。僕はこの癖のためこれからもずっと一人っきりであることを思うと、僕は死んでしまいたいとよく思ってしまう。もうこんな苦しい淋しい毎日からさよならしたいから、前途に光が見えないから。<br><br><br><br><br>　愛子<br>　もう君のことはずっと前のことになるのに僕はまだ君のことにこだわっている。僕は君へ犯した罪のために、いや君のことを思ってじゃなくて君を傷つけた悪い癖のために、ずっと人を避けてきた。淋しい淋しい毎日だった。人と会うととても緊張してしまう僕はなるべく一人でいようとしてきた。教室でも友達を作らずなるべく人から離れた所に一人ポツンと居るようにしてきた。それに僕は授業に出てもとても緊張してしまってあんまり勉強もできずに３年も留年してしまった。<br><br><br><br><br>　カメ太郎さん、元気にしていますか？　私、何度も何度もカメ太郎さんの家に電話したのですけどいつもいつも居なかったからそのうち電話するのが億劫になって…<br>（天井を見ていると思い出されてくる愛子の手紙の端々ももう今の僕には遠い昔の思い出になりつつある。すべて僕が、そして手紙を捨ててしまったことが悪いんだ。<br><br><br><br><br>　愛子。僕らが始めてデートしたあの護国神社での待ち合わせの時間は何時だったかな？　あれは５時半じゃなかったかな？　それとも、あれは僕が解剖実習で遅くなるかもしれないということで５時半から６時１５分までの何時かだった。愛子、期末試験前日の日に呼び出してごめんね。そしてそのために。<br>　僕はこの手記をなんだか気が変になりそうな心地のまま書いている。僕は創価学会に戻ろうか戻るまいか迷っているけどやっぱり戻るまいと思っている。このまま発狂するか死んでしまうかもしれないけど僕は芸術の方を取ろうと思っている。<br>　僕は今御飯前なんだけど（晩御飯前に書きものするってここ２年ほどの僕にはとても珍しいことなんだけど）さっきお風呂に入っていたら霊感みたいなものが湧いてきて『書かなくっちゃいけない、書かなくっちゃいけない』と思ったから今こうして書いている訳なんだ。<br>　愛子。僕はもう死ぬかもしれない。その予感に踊らされるようにして僕は今これを書いているんだ。<br>　死ぬ前に愛子への罪滅ぼしと言うか、最後に書いておかなくっちゃならないことがたくさんあるような気がして。<br><br><br><br><br>『愛子。今頃電話してきたってもう遅いよ。もう僕の心は半ば亡霊になりかけている。僕はもう淋しさや辛さ・苦しさに耐えきれない。愛子の声ももう僕を元気づけてはくれない。僕の魂はもう半分霊界へ旅立っているんだ。僕の人生は挫折や苦労の連続だった。僕はもう疲れきった。もう２７年になるだろう、僕がこの世に生き続けてから。僕は僕と同じ年のみんなが次々に結婚していって幸せな第２の人生をスタートさせているのに僕には第一の人生も悲惨なものだった。あまりにも過去が今思えば悲惨だったために僕は今こうやって死んでゆくのかもしれないし……たぶんそのために死んでゆくのだと思う。愛子。電話するのがもう一日でも早かったならよかったのに。昨日までの僕にはまだ立ち直れるチャンスと勇気があった』<br>（僕はガチャンと電話を切った。深いため息を僕はついていた。その深いため息が何回も何回も続いていた。永遠に、きっと僕が死ぬまでこのため息は続くらしかった。<br>……愛子、遅すぎたんだ。せめてあと一日でも早かったならば。愛子、遅すぎたんだ。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　この部屋に居ると懐かしいあの頃のことを思い出してきます。あれは何年前のことだったでしょう。僕はよくこの部屋から愛子に手紙を書いてました。生理や細菌などの実験の合間を縫って。あれは僕が学一（３年生）のときでした。僕は今学三（５年生）であれからまた２年留年しましたからもう４年も前のことになります。<br>　４年前、あの頃僕はまだ元気いっぱいで、自信に溢れていて、希望に満ちていました。でも今もう疲れ切ったというか、希望や自信がはかなく崩れ去り僕は毎日沈んでいます。小さい頃から大学一年までやっていた創価学会に戻ろうか、という気もよくします。僕はもうかつての元気だった僕ではありません。自殺をしようとしたほどの落ち込み果てた落ちぶれ果てた僕になってしまいました。<br>　本当にあの頃は元気でした。教養で一年留年していましたけど、もう留年することはないと思っていましたし。でもあれから２年も留年して、愛子と文通したり会ってたりしていた年真面目に勉強していたら良かったととても悔やんでいます。<br>　もうそうしたら卒業して半年が経っていたはずです。でもその年留年して泥沼にはまり込んで卒業まであと少なくとも一年半あります。<br>　愛子。元気にしていますか。愛子もずいぶん変わっていることと思います。もうあれから四年経っていますから。<br>　もう愛子の思い出も雲の上のようなものにしか僕には思い出されません。でも遠い昔本当にあった純粋な愛の思い出として今から社会へ巣立つ僕にとても懐かしい青春の記念としていつまでも残り続けると思います。本当に有り難う。そうして迷惑ばかりかけ続けてごめんね。<br><br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕は文学を捨てるかどうかとても迷っている。僕は昨夜もあまり眠れなかった。睡眠薬を飲んで朝までたっぷり寝てそして朝冴えた頭で小説を書こうという気と、夜２時頃から眠れなくなって、勉強したりしていました。でも勉強も頭に入らずまた布団の中に入ったけど眠れず、クスリを飲むべきか飲むべきでないか激しく悩みました。<br>　来週の土曜日は僕の誕生日ですけど僕はまた淋しい一人っきりの誕生日を迎えるんだなあと思います。僕の２７歳の誕生日を。愛子からプレゼントでも来ないかなあと心待ちにしながら。<br>　僕の頭はぽーっとなっています。よく眠れなかったから。試験が近づいているのにこれではだめなのに。<br><br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕の心にできた空白は大きく大きく、僕は飛び立ってゆきたい。もう愛子の福岡も嫌だ。どこか知らないところへ、白い霧に覆われた静かな山奥のようなところへと、僕は行きたい。そして一人っきりでとぼとぼとそこを歩いてみたい。僕の心が晴れるときまで。<br>　もう愛子の福岡も悲しみに満ちていて、町を歩けば家々から嗚咽の声が漏れてきそうで、僕は人のいない静かな山奥へと、ゆっくりと歩いてゆきたい。そしてどこかに大きな腰掛ける石があったら、そこに座って僕の今までの人生を振り返ってみたり、思い出に耽ってみたり、でも寒いような、冬の山奥は寒いような気がする。僕はこたつを出して、そしてその中で時を過ごそうかなと思う。ポカポカとしたこたつの中で、何も考えず、学校にも行かず、静かに時の過ぎてゆくのを待っていようかなと思う。<br>（二十七歳の誕生日を８日後に控えたある暗い朝に）<br><br><br><br><br><br>　愛子<br>　僕の二十七歳の誕生日はもう夜の７時半になろうとしている。僕は一人お酒を飲んでそして夜ごはんを食べて２回へ上がって来てこれを書いてます。淋しい僕の二十七歳の誕生日はこうしてもう終わろうとしています。誰に祝われることもなくひっそりとした淋しい二十七歳の誕生日を。<br>　２、３日前からとても寒くなってきて僕は昨日も今日もバイクでなくてクルマで学校へ行きました。家ではエアコンを入れてもまだ寒いです。<br>……夜が明けた。僕の誕生日は何も祝われないままに夜が明けた。<br><br><br><br><br>　君と歩いたあの道を僕はいつまでも忘れないだろう。あの冬の道を…僕はいつまでも忘れないだろう。あれはもう４年前のことだった。寒い寒いもう日がとっぷりと暮れていた学校帰りのことだった。あのころ僕は元気だった。僕にはまだ希望があった。でも今はすべての希望がことごとく崩れてしまったようなそんな気がする。<br>　あの護国神社のまわりの道を僕らは歩いたっけ。もう時刻は６時半だったと思う。１２月なのでもうまっ暗だった。<br>　でも僕らは元気にその道を歩いたっけ。君は『寒い、寒い』と言ってたけど暑がりやの僕にはそんなに寒くはなかった。<br>　あの暗い夜道を歩いて以来僕らは会ってない。あの寒いあの日から僕らは出会わなくなった。あの日、黒い悪魔が僕らを取り囲んでいたっけ。僕らの心はあまりにも純粋ですぐに護国神社の周りに浮遊していた悪魔からいたずらされてしまったのかもしれない。<br>　あの悲しい別れの夜、愛子は走ってバスへと向かった。商業高校までのバス停へみんながたくさんバスに今にも乗り込もうとしている所へと愛子は走っていった。僕は愛子から贈られたプレゼントを持ったまま悲しく揺れ動く闇に向かって走ってゆく愛子の後ろ姿を見送っていた。もうこれが僕らの最後の別れになるとも知らずに。<br>　あれから何度か愛子から手紙が来た。でもそのころの僕は孤独ではなかった。僕は愛子に返事を書かなかった。僕はこれから違う人間になるんだと心に決めていた。どこか金持ちのお嬢さんと結婚しよう、と考えていた僕だった。<br>　愛子があの日僕に渡したプレゼントは小さな綺麗な文庫本だった。いつかその本は失われていた僕の心が愛子から離れていた僕が統一教会の綺麗なお姉さんに憧れて愛子のことを考えなくなっていたあの悲しい時期に。<br><br><br><br><br>http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm<br><br><br><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/entry-12192713662.html</link>
<pubDate>Mon, 22 Aug 2016 17:10:58 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>愛子（完）no.1</title>
<description>
<![CDATA[ 　　　　　愛子（完）&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; &nbsp;<br><br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; カメ太郎<br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　学一、十二月<br><br>　もう何もない。福岡に行くことに決まった僕と愛子の間には、もう何もない。<br><br><br><br><br>　愛子が鳩になって福岡へ旅立っていったとき、僕は思い出の護国神社の丘から、愛子の乗っている汽車を見つめていた。愛子はとても人気者だから、たくさんたくさんの友達が愛子を長崎駅から見送ったと思う。でも僕は一人寂しく護国神社の丘で、２度目の留年の寂しさ苦しさと戦いながら、愛子を乗せた黄色い汽車を見つめていた。　ゴトンッ、ゴトンッ、と走り去ってゆく汽車を、僕は寂しく見つめていた。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（学一留　四月）<br>----愛子の声が聞こえてくるようだった。福岡へ去ってゆく愛子が僕を励ますために何か叫んでいるようだった。声を枯らしながら必死に叫んでいるようだった。<br>『カメ太郎さん。頑張って。頑張って下さい。早くお医者さんになって不幸な人をたくさんたくさん救っていって下さい』<br><br><br><br><br>　僕も鳩になって、白い鳩になって、愛子のあとを追いかけてゆきたかった。でも僕は護国神社の丘に立ちつくして、愛子の乗っている汽車を、寂しく見送ることしかできなかった。できることなら僕も鳩になって、愛子の行く福岡へと飛び立ってゆきたかった。<br><br><br><br>&nbsp; 愛子が鳩になって飛んでゆくだなんて、僕は少しも思ってなかった。愛子はずっと長崎に居続けるんだと思っていた。県外就職を希望していた愛子だったけど、僕のために県内就職に変えた愛子だったけど。<br><br><br><br><br>　僕は白い鳩になって、愛子の乗った汽車を博多まで追いかけてゆくのだったのだけど。<br>&nbsp; 遠い夏の思い出も何もなくなった。僕らは一度も手を握り合わなかった。一度も口づけもしなかった。<br>　愛子は鳩のように飛んでゆき僕は長崎に取り残されてしまった。一人寂しく長崎に残されてしまった。<br>　本当に愛子は鳩のようだった。白い柔らかい胸をした鳩のようだった。<br><br><br><br><br><br><br>&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　学一留　九月　　黒崎にて<br>　東の方に中国大陸があるだろう。あそこじゃなくって、南の方に、ムー大陸というのがあって、僕らはそこで２千年前か３千年ぐらい前に住んでたんだ。きっと仲の良い、隣りどうしか、もしかしたら一緒に住んでいて、夫婦だったのかもしれない。<br><br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　学一留　十月<br>　僕には岬の向こうに幸せな世界があるような気がする。遥か向こうに中国大陸が見えていて、燈台の足元に白い波しぶきが上がっていて、カモメが何羽も飛んでいて…。<br>　白い波しぶきとカモメと燈台と、今にも雨が降り出しそうな空が、まるで僕と愛子の恋のようにも思える。はかなく哀しい恋のようにも思える。<br>　幸せになりたい。愛子と、誰か恵まれない女の子と、僕は結婚して、そうして幸せな家庭を築きたい。幸せになりたい。誰からも馬鹿にされず、みんなから慕われた結婚式を開いて、僕の父や母を安心させたい。幸せになりたい。僕は幸せになりたい。<br><br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　すみません。もうこれで最後の手紙にしようと思います。でも僕の心は悲しみに打ちひしがれていて今にも泣きだしそうで。<br>　今の僕にはたった一つ…Ｆ１のレースを観ることだけが楽しみです。あとには何も楽しいことしたいことってありません。<br>　愛子<br>　僕はふたたび誰か高校生ぐらいの女のコと恋をしようかなあ…と思ってきています。そうすると僕もふたたび元気になれるような…そんな気がします。<br>　誰か美しい…とても明るいちょっとぽっちゃりした女のコとつき合いたいなあ、という気持ちでいっぱいです。<br>　すると僕の心も愛子が長崎に居た頃のように明るく元気になれるのになあ、と…とても残念です。僕は残念でたまりません。<br>　Ｆ１の轟音とそしてスピード<br>　そして明るい女子高校生をボクの400のバイクのうしろに乗せて駆け回ると…<br>　すると僕の心も以前のように元気を取り戻し、再び明るい以前の僕に戻れると思うのだけど…<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕はこのごろ自衛隊に入ってファントムに乗ろうかな、と考えてきました。<br><br><br><br><br>　　　　　（僕の躰は夏の白い雪となって）<br>　僕の躰は、ファントムに乗って粉々に砕け散り、空の藻屑となって、僕の躰は、やがて福岡の愛子の町へ、愛子の寮の周りに雪のように舞い落ちる。雪のように舞い落ちる。<br>　愛子はそっと寂しい寮の窓から夏なのに降っている雪のようなのを眺めるだろう。そこには僕の叫び声がみぞれのように混じっていて、『愛子…愛子…』と叫んでいるんだ。<br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕には心の余裕というものが、（僕は日曜日もずっと出勤してきているけど）死を意識しているためか、死ぬまでに親のためにできるだけたくさんお金を残してやっておきたくて。<br>　でもこのまえ週に一回は休め、と言われたし。<br>　そして今日、福岡の民医連の人と会うことになってます。奨学金を貰えるようになればいいんですけど、でも僕はこの頃やっぱり本気で近いうちに自殺するつもりでいるから。<br>　どうしようかなあ、と愛宕の町並みを見降ろしながら考えています。哀しくって、哀しくって。<br>　奨学金を貰うようになれば、僕は死ななくなるだろう。自殺したら奨学金を免除してくれるのならいいけれど。<br>　だから僕は迷っている。がむしゃらに働いて親のために金を残して死ぬか。<br><br><br><br><br>　僕の胸から黒いトンビが羽ばたち、愛宕の山の上へ舞い上がって、そして僕の心の苦しみや焦りが、ウソのように消えてくれたらいいんだけど。<br>　僕もみんなと同じようにノホホンと毎日を送れるようになればいいんだけど。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　久しぶりに手紙書くけどごめんね。僕は落ち込み果てていた。完全に落ち込み果てていた。何度、自殺しよう、と思ったことだろう。でもその度に創価学会のお祈りをして自殺しないできた。一人ぼっちでとても寂しかったけれど、愛子からの手紙は全然来なかったけれど。<br>　僕は決して自殺はしないだろう。どんなに落ち込んでも、どんなに厳しい極限の状況にさらされても。僕は最後には創価学会があるから。でも自殺しようとまで落ち込んだときにしかしないけど。あの苦しい小学校から浪人までの間、僕が盲目的に、狂心的に信仰してきた創価学会は、僕が自殺を決意するほど落ち込んだときいつも少年時代の思い出として、26歳になった僕を極限のピンチにさらされたとき救ってくれている。でもそれも一日だけでいつも終わってしまうけれども。<br>　愛子は以前のようにとても明るい元気な女の子のままだろう。そして僕は以前よりもっともっと落ち込み果てて、以前は冗談で言っていた自殺を今日も本気で行おうとしたほどの死神にとり憑かれた馬鹿な、発狂寸前の僕となっている。でも僕は意外と強いから。いや、自殺を実行する勇気がない僕だから。僕は決して自殺なんてしないと思うから安心していいよ。<br>　僕は愛子のほかに女の子を見つけてそして僕の心の支えにして、そして結婚しよう。愛子は彼氏ができたんだろ。だからもうぜんぜん返事をくれなくなったんだろ。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（６月３１日）<br>　僕は親のため、死ぬ訳にはいかない。もしも僕に親が居なかったら、僕は星空に吸い込まれるように別の世界へ行ってしまうことでしょう。でも僕は一人息子で親が居るから。<br>　愛子。よく考えてみると今日は僕らが護国神社で始めてデートをした日ですね。憶えていますか。もう何年まえになるかなあ。たしかあれは僕が２２のときのことだったから４年前のことになると思います。あの日愛子は大事な期末テストの前日だったのに呼び出してごめんね。そして僕のとても悪い癖で愛子をひどく傷つけてしまって次の日のテストをめちゃくちゃにしてしまったことごめんね。そして愛子の将来を変えてしまったこと、愛子の志望する会社に入れなくさせてしまったこと。<br>　僕は愛子への罪悪感や自分の病気や将来のことを考えると星空を飛んでいって何処か遠い別の世界へ行ってしまいたいです。それに４年前のこの日愛子は泣きながらバスに乗って一時間あまりもかかる香焼まで帰ったことを思うと僕は胸が締めつけられてしまいます。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（７月３日）<br>　愛子へ<br>　この手紙は決して出さないつもりですけど悲しくって、また手紙を書き始めました。　僕は今、落ち込み果てています。誰か天使さまのような女性が現れて僕を救ってくれないことには、僕はとてもピンチと言うか、生きてゆけるかどうか苦悩に暮れています。<br>　自分は果たして生きてゆく資格のある人間なのかどうかと、僕はとても悩んでいます。<br>　生きることの厳しさに、僕は今、もろに直面しているというか、僕は今、倒れ伏そうとしているようです。でも僕は倒れ伏せません。僕は一人息子だから。親の期待と頼りを一身に担っているから僕は倒れ伏すわけにはいかないのです。<br>　僕はだから、立派に生きてゆくしか、どうにでもなっても立派に生きてゆくしかないのです。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕はこの４、５日、ものすごい欝状態で、本当に自殺しようと思っていた。僕を取り巻く現実はあまりに厳しく、僕はもう生きられないというか、生きてゆくのが辛くて辛くてたまらない感じがしてたから。<br>　愛子はもう２２になったのかなあ。僕が福岡にいた頃は１８でとてもとても元気だった。でも僕は今もう２６で２７になろうとしている。１８の頃抱いていた夢はことごとく崩れ去り、僕はそうして１８の頃から２６の今まで暗い暗い青春時代を歩んできた。寂しい、つまらない毎日を、毎日毎日敗北の日々を、積み重ねてきた感じだ。<br>　今度の３度目の留年は確実に僕を自殺寸前にまで何度も追い込んだ。何度も大学をやめようと思った。でも僕は福岡の空を思い出すと……早く卒業して福岡の空の下へ行き福岡に住んで以前の、１８だった頃のとても元気だった自分に戻りたい、戻ろう、という気持ちでいっぱいです。<br>　燃えてます。あの頃の思い出はメラメラと音をたてて。元気だった１８の頃の僕の思い出は。ただ元気なだけでつまらない思い出ばかりだけど、でもとても元気だったあの頃の自分の姿を思い出すと懐かしくて懐かしくて。<br>　あの頃、黄緑色のロードマンで駆け回っていた福岡の町を。僕はその頃もだけどいつも一人ぼっちで遊んでいたものだけど。<br>　僕がいつも自転車競技の練習に使っていた港の近くの道。ときどき行ってた西公園の近くの堤防。そして夕暮れどきパンなんかを求めに行ってたダイエーやその帰りに歩いていた天神の地下街……<br>　すべてすべて懐かしく思い出されてきて、僕は早く卒業して福岡に住みたいな、もうこんな狭苦しい長崎から出て大きな福岡に住みたいな、という気持ちでいっぱいです。<br>　思えば愛子は福岡へ行ってからもう３年３ヶ月経つのですね。まだたった３年３ヶ月か、という気もします。愛子が長崎を去ってからの僕の毎日は本当に寂しいものだったけど、３年３ヶ月かあと思うと、納得するというか、僕の人生の晩年のようなこの３年３ヶ月でした。（そしてもし僕がこの頃自殺してたらこの３年余りの日々は本当に僕にとって晩年だったのですけど）<br>　でも僕は再生しようという気も今日ぐらいから湧いてきています。過去の暗い思い出をすっかり断ち切って僕は再生するんだ、という生きる力が出てきかけているのを感じてもいます。でもやっぱり死のうかな、と思う気もします。<br>　誰か僕を救ってくれる女性が現れれば僕は元気になれるんだと思いますけど。誰か明るい元気な女の子が現れれば。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　学三留七月<br>　　　　　　（愛子へ。ＦＴで野母崎のちょっと手前まで来てから）<br>　遠い海の、あの雲の向こうか何処かに、ずっと昔、ムー大陸というのがあって、たくさんの人たちが住んでいたんだけど、その大陸は一万年ぐらい前に沈んでしまったんだって。僕らは前世、そこで友達か従兄妹どうしかだったような気がする。今日、後輩の下宿で寝ころびながらそう考えた。<br>　僕は真実が解らなくて今日も海に来た。創価学会に戻ろうとも思うし、愛子を本当に苦しませた僕の罪のことを考えると、やっぱり僕は創価学会に戻るべきのようにも思うし、迷ってしまって…<br><br><br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕は愛子の手紙をほとんど全て捨ててしまったとき僕は悪魔に魅入られて狂っていました。僕は愛子を活水高校の美しいお嬢さんにすり替えようとして、そして僕の過去を、暗い暗い過去を、塗り変えようとして躍起になっていました。<br>　でも僕はあのとき僕の美しい少年時代の日記をも全て捨ててしまいました。うず高く積まれていた少年時代の日記をも。<br>　あの頃、去年の１０月ごろだったと思います。呪われたような不幸な留年の仕方をした２ヶ月ほど前のことでした。またあの頃僕の家の店が税務署から調べられて３００万円あまり追徴金を取られました。あの頃、やはり悪魔に僕は支配されていたのです。それに僕はあの頃自殺を考えていてエロ本を処分したりしていましたから。<br>　もう青春は、戻って来ないようで、今２６歳の夏を迎えつつありますけれど僕に美しい彼女ができるかどうかあんまり自信がなくって。<br><br><br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　愛子。僕はもうすっかり愛子のことは忘れてしまっているべきなのにまた手紙を書こうかな、と思っています。この手紙出そうかな、どうしようかな、ととても迷っています。<br>　小学生や中学生は今日ぐらいから夏休みのようです。でもまだ梅雨は明けきれないで曇りや雨がちの日々です。真っ青な青空が入道雲とともに出たら僕の心ももっと明るくなれるのになあ、と思っています。<br>　僕はこの半年間、アルバイトばかりをしてきて貯金が６０万円になりました。自宅生だからこれで一年悠々とやってゆけます。でも僕の心の中にはやはり焦燥感の影があって共産党系の病院の奨学金を貰いにまた熊本まで面接に行こうかなと考えています。<br>　僕はこの手紙、出そうか出すまいかな、ととても迷っています。どうしようかなあ。本当にどうしようかとても迷っています。<br><br><br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　眠れないからまた書きます。今夜はお酒を飲みすぎたのか（あんまり飲みすぎた憶えはあまりないけど……）１１時半過ぎに目が醒めてから眠れないでいます。いつもなら睡眠薬を飲むと眠れるのに。<br>　僕は今日、２５０ｃｃのバイクのバックステップを取り付けました。そしてもしかしたら明日、今度はセバハンを取り付けるかもしれません。４００ｃｃのに付いていたのを取り外して付けているのですが、なんだかこんなに２５０のバイクを改造していると元気が出てくると言うか、愛子とちょっぴりつき合っていた頃の懐かしい日々を思い出してきます。<br>　あのなんだか燃えていたような日々、もう三年以上も前のことになるのですけど、僕はあの頃僕の人生で一番幸せな時期だったのかもしれません。苦しいことはあまりなかったし将来に失望していることもなかったし。<br>　あの頃はとてもとても未来への希望に燃えていたし。<br><br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕らにとって青春とはいったい何だったのだろうか？　青春とは人生のなかのちっぽけな一過程に過ぎなかったのだろうか？<br>　僕はこのごろ、とても生きることへの虚しさを感じる。僕にとってそのことを感じることが最近の日課になってしまっているようだ。真夏で太陽が燦々と照っているけど、僕はそれを見上げても虚しさを感じることから逃れることができない。僕には今、すべてが虚しい。そして厳しい現実が僕をがんじがらめに縛り付けている。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕は記憶のなかの愛子の手紙を再生しようと何度も何度も試みたけど、僕には愛子の手紙を再生する情熱が足りないのだろうか。僕の悲しい記憶のなかの懐かしい愛子のいつもいつも僕を慰めてくれてた優しい手紙はもう、永遠に戻って来ないんだね。もう、永遠に。たった一つ、コピーしてある断片だけが残っているだけで。<br>　久しぶりに愛子の明るい声を聞きたいとも思うけど、愛子はもう電話も手紙も寄こさなくなったし。<br>　僕らの恋はもう遠い遠い過去のものとなってしまったようだ。僕らの恋は、はかなくはかなく消え去ってしまうことに。<br>　空のなかに、青い青いもう夏になった空のなかに。遥かに福岡の方の空を眺め遣りながら。<br><br><br><br><br>　僕は愛子との文通の手紙を捨て、自分の日記をも捨て、自分の書き溜めていた小説もめちゃくちゃに書き直していたあの頃、去年の１０月１１月頃の自分は、店が税務署にもやられたし、やはりあの頃は僕は悪魔にとり憑かれていたのだと思う。やっぱり真光が悪かったのかなあと思う。<br>　僕は、いくら後悔しても後悔し足りないようで、狂って叫び出したくなってしまうようだ。僕は狂って、狂ってしまいそうだ。<br>　１０月１１月ごろの僕は悪霊にとり憑かれたようになっていた。愛子の手紙を思いきって捨てたのは１０月の終わり頃だったろうか？　ちょうど僕が熊本の病院へ行った日に税務署が僕の家の店にやって来た。たしかその前後だったと思う。<br><br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　もう遠くなってしまった遥か昔の恋人のような気がする愛子だけど、僕は淋しくって。<br>　僕は一時間半ほど前、代行運転のアルバイトのところにそのアルバイトをやっぱり断わる電話を入れた。その電話は留守番電話になっていて僕は２回繰り返しながらアルバイトを断わる電話を入れた。やっぱり夜９時から３時までというのは時間帯がハードだし家の人が心配するし。<br>　だから家庭教師をするのが一番なんだけど僕は顔がこわばるから。これさえ治れば僕はこんなに苦しむ必要なんてないんだけど。<br>　今はもう夜の４時半です。２時５０分ごろ目が醒めてからもう眠れなくてこうして起きています。真っ暗な中に眠れないで寝ていると死神が僕を手招いているのがはっきりと解るこの頃です。本当にいっそのこと死のうかなと思ってしまいます。<br>　でも警察の友達（高校時代の友達）に共産党のスパイのアルバイトをしたいとも申し込んだこと……やっぱりヤバかったかなあと反省しています。やっぱり本当に家庭教師さえできたら代行運転や共産党のスパイのようなアルバイトなんてしなくていいんですけど。顔がこわばったってどうしたっていいから家庭教師のアルバイトをしてみようかなとも思ってもいます。やっぱり家庭教師のアルバイトしか良いのはないようです。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　愛子の手紙を捨てたとき、僕は死神にとり憑かれていた。あれはたしか１１月のことだった。毎日毎日暗闇の中で生活していたような狂気のような日々の連続だった。悪いことばかりが立て続けに起こっていた。<br>　あの呪われた日々、僕は自分の過去を打ち消そうと日記や写真、それに愛子の手紙までも捨ててしまった。<br>　狂っていた僕はあの日、朝、黒い大きなビニール袋に僕の過去がたくさん詰まったものを入れるだけ入れてそしてゴミ捨て場へ持ってゆき、そしてすぐに赤いプレリュードで学校へと向かった。<br>　僕はあのころ完全に異常だった。<br><br><br><br><br>　　　　　　　　　（もうなくなってしまったけれど）<br>　僕たちの季節は過ぎ去り、僕たちはお互い別々の人生を歩んでゆこうとしているけど、僕らの思い出は、もう灰になっちまったけれど、僕らの思い出は、お互いの胸の中で、永遠に不滅だ。僕らが死ぬまで、永遠に不滅だ。<br><br><br><br><br><br>　愛子<br>　僕が何事にも興味を持てなくなり、焦燥感ばかりに煽られるようになったのは去年の２月頃からでした。もうあれから一年半が経ちます。愛子が長崎に居た頃の元気だった僕とはもうすっかり変わってしまいました。良く言ったら僕は大人になったのかもしれません。でも、悪く言ったら僕は分裂病になりかけている、と言えるのです。<br>　もう一生治らないタイプの分裂症の前駆症状が今の僕の状態によく似ています。寂しさや焦燥感ばかりに包まれた毎日。そうして僕は最も予後の悪いタイプの分裂症に陥ってゆくのかもしれません。<br>　分裂症とは、悪魔に自分の魂を奪われることです。僕はもう、悪魔に自分の魂を喰い始められているらしいのです。悪いことばかりが立て続けに起こって、そして何度も自殺しようとしたり、など。<br><br><br><br><br><br>　　　　　　（今度会うとしたら）<br>　愛子<br>　もし僕らが今度会うとしたら、とても悲しい再会になるだろう。今度会うとしたらどうせ正月だろうから、僕はどうせバイクで浜の町まで行くだろうし、それに寒いだろうし（帰り際二人乗りするのは寒くて辛いから）、きっと僕らは浜の町のバス停で別れて、お互い反対側の方向へと歩いてゆくだろう。愛子は愛子の道を。僕は僕の道を。<br><br><br><br><br>　愛子<br>　僕は愛子が高校一年と二年の間の春休みのときに出会ってそして愛子が高校を卒業すると離れ離れになったけど、その二年間の間が僕にとって一番の青春だったように思う。ちょうど僕が教養留年と学一の２年間のその間が。その間が僕が僕の人生のうちで一番元気で悩みも少なくて幸せな時期だったような気がする。<br>　今、僕は人生の晩年に差し掛かっているのかもしれない。明日死ぬか明後日死ぬかあんまり解らない僕だ。<br>　でも僕は僕よりも苦しんでいる人たちのために生きるんだ、と昨夜なかなか寝つけなくてとうとう朝を迎えたときにそう思った。自殺したいほど落ち込んでいた朝だったけど僕はいつものようにそう思って死ぬのを思い留まった。<br>　もう愛子とは一生会えないかもしれないけど、僕は僕より苦しんでいる人たちを救っていくために一生懸命僕なりに生きてゆくつもりだ。だからもう心配しなくていいよ。僕は今もとても辛くて苦しいことが多いけど、僕より苦しんでいる人は世界中にまだいっぱいいるんだから僕は負けないで生きてゆくつもりだ。<br><br><br><br><br>　僕も少年の頃のように、大きな夢や希望をたくさん持って、明るく元気に毎日を送りたい。僕も少年の頃のように。<br><br><br><br><br>　僕は愛子の手紙が何処かに、家の中の何処かに、きっとあるような気がしていた。だから僕は昨夜、必死に捜した。押入の中をかき分けながら目に涙を浮かべながら必死に。<br>　でも僕らの青春は、恋は、もうはかなくやっぱり灰になって焼かれて消えていってたみたいだった。どこにも、どこにも愛子の手紙は見つからなかった。去年の秋、僕が死神に完全にとり憑かれていた頃黒いゴミ袋の中に入れて捨てたのは本当だったんだ。僕はその記憶が夢であって欲しいと何度も願っていた。でもそれは夢ではなく本当のことだった。夢ではなく僕は本当に愛子の手紙を捨てた。<br>　僕はそうして捜すのに疲れ果てて何時間も座り続けた。膝を抱えて、散らかった部屋の中で。夜の一時から四時近くまで。<br>　もう夏も終わりに近づいた真夜中、僕は窓を開け放したまま星空を眺めながら愛子との文通のこと、愛子の美しい手紙のことなどを懐しく思い出していた。そして今福岡に居て今頃きっと静かに眠っている愛子の可哀そう、健気な姿を思ったりして。<br>　愛子の手紙を捨てたことは、僕は愛子の真心を踏みにじったことになる。愛子の純粋なひたむきな真心を、僕はこれで二重に踏みにじったことになる、と思えて。<br><br><br><br><br>　　　　（流れ星）<br>　愛子、一つ流れ星が流れた。たった一つ、一時から四時近くまで窓から空を見つづけていて、たった一つだけ、流れ星が流れた。とっても哀しそうに、はかなく消えていった僕と愛子の恋や手紙のように、とても淋しそうに、とてもはかなく。<br><br><br><br>　僕は愛子の手の平の上で眠りたい。優しい愛子の手の平の上で。そうしたら僕の不眠症はいっぺんに吹き飛んで、僕は安らかに眠れると思うのに。<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　久しぶりに手紙書くけどごめんね。なぜか今急に手紙書きたくなってこんな紙にだけど書くことにしました。今、病院から書いています。日曜日だけど出てきてこうやってアルバイトしています。明日は富士通ゼネラルでアルバイトをします。<br>　今貯金が７５万で今度クルマを売ると１００万を超えると思います。もしかするとまた留年するかもしれないし、とにかくお金を貯めようと思っています。<br>　もしかしたら愛子はもう結婚したんじゃないかなあと思います。全然手紙も電話も来ないし。僕はまた留年するかもしれないな、と脅えつつアルバイトしたりしている毎日です。<br>　僕はもう、かつてのような元気さは全く喪くなりました。そして親への罪悪感に打ちひしがれている毎日です。去年の１２月からはとくに。<br>　早く卒業して医者になりたいなあ、と思っています。でもうまくいってもあと一年半かかるし。僕の心は重たいです。<br>　ときどき愛子が僕の留守番電話にメッセージでも入れててくれたらなあ、と思います。（39-4557です）　そうしたら僕も元気になれるような気がするのだけど。<br>　元気だった昔に戻りたいなあ、という気持ちでいっぱいです。僕は今年も海に行きませんでした。これで３年間海に行ってないことになります。<br>　僕は２年少し前親が買ってくれた７０万円した旧型のプレリュードを売ることにしています。そのこともあって僕は罪悪感でいっぱいです。<br>　もう書くことがないのでこのへんでやめます。ではお元気で。<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　８月２８日　ＡＭ１０：２５<br><br>　Ｐ．Ｓ．　<br>　出そうか出すまいか迷ったけど、やっぱり出すことにしました。もう９月の５日になって朝晩はめっきり寒くなってきました。そして僕にとっては辛い２学期が（１２月の厳しい試験が）待ち受けています。<br>　僕は鳩になって福岡の愛子のところへと飛んでゆきたいです。それに浪人の頃２ヶ月余り過ごした博多港の周りの風景を思い出したりしています。<br>　あの頃は１８歳でとても元気な僕でしたけどもう２６歳になった僕はいろんな夢や希望が打ち砕かれこの頃は暗い敗北の日々のような毎日を送っていることを思うと僕はとても落ち込んでしまいます。早く卒業して医者になって福岡辺りに住みたいです。そうしたら僕の心の憂愁もすぐに晴れると思うのですけど。<br>　本当に僕は鳩になって福岡の町並みを飛んで回りたいです。あの頃僕は自転車に乗って自転車競技の選手になろうと思って午前中はずっと自転車の鍛錬に明け暮れていました。そして午後からは一生懸命勉強していました。あの頃の燃えていた日々を思い出すと懐かしくて僕は涙が出てきそうです。<br>　自転車に乗って僕は福岡のいろんな所を走り回っていました。南区まで行ったりよくしていました。<br>　あの元気だった時代はもう戻って来ないのかと思うと僕はとても悲しい気分に陥ってしまいます。<br>　今日から２学期が始まります。空は抜けるような青空です。でも僕は今日もアルバイトに行こうと考えています。でもこの病院のアルバイトもそろそろやめて別のアルバイトに移ろうかなとも考えています。<br>　長いこと出すのをためらってきたこの手紙ですけど今日病院への行きがけに思いきって出そうかなと考えています。<br>　クルマは結局売れませんでした。家の人がたまに乗るしこのままもっておこうかなと思っています。<br>　ではこのへんで、お元気で。<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　　９月８日　朝<br>　　　　　　　長崎市界町９の２<br>　　　　　　　　　　　　　○○カメ太郎<br><br>｜---------｜-----------------------------------------------------------｜<br>｜　　　　 ｜&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; 福岡市南区高宮２丁目&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜<br>｜６０円&nbsp;&nbsp; ｜&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ベスト電気　&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜<br>｜&nbsp; 切手&nbsp;&nbsp; ｜&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; 高宮寮&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜<br>｜&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜<br>｜----------&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜<br>｜&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ○○愛子様&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜<br>｜&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜<br>｜&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜<br>｜&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜<br>｜&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; ｜<br>｜----------------------------------------------------------------------｜<br><br><br><br><br>　愛子へ<br>　僕は今日、久しぶり柔道をした。何年ぶりだったかなあ。４年ぶりかなあ。それとも５年ぶりかなあ。５年半ぶりぐらいの気がする。<br>　僕はとても弱くなっててポンポン投げられたし寝技もとっても弱かった。愛子と知り合うきっかけとなった柔道だけれどそうして赤い赤い沈んでゆく夕陽を練習の終わりのときに眺めたけど、そうして僕はその山の端に沈んでゆく夕陽を見ながら愛子と出会った頃の懐かしい若かった頃の自分を回想していたけれど。<br>　僕は今日、○○病院でのアルバイトが終わってからバイクに乗って３０分近くかかって大学まで行って柔道したけれど、僕は本当に弱くなっていて、とってもとってもみんなが強くって、僕はもう相手にならないくらい弱くなっていた。僕は今日の練習に行く前まではソウルの次のオリンピックの柔道に軽量級で出るんだ、ととても張りきっていたけど、やっぱり現実は厳しいんだね。進級のように。<br>　僕は久しぶりに柔道しながら現実の厳しさに唖然として、このままじゃまた診断学で留年するかもしれないな、と思ってとても憂欝になった。現実ってこんなに厳しいなんて。僕は今日久しぶりに柔道をしてかえって憂欝になってしまった。<br>　愛子と文通や交際を始めるきっかけとなった懐かしい柔道だけれどももう痩せてしまって力もなくなった僕にはもう向かないようだ。もう年月は過ぎ去ってしまったんだね。柔道が強かった頃の僕、そして愛子と僕の恋、二つ一緒に過ぎ去ってしまったんだね。<br>　今頃愛子は帰りの電車の中かなあ。僕は帰りがけ経済の図書館まで本を返さなければならなかったので今経済の図書館でこれを書いています。どうせ出さない手紙なんだけども僕の哀しい心を慰めるためにはこれしかないから。誰に出す宛もない虚しい手紙を書いて自分の心を慰めるしか他に手はないから。<br>　愛子も今頃、暗くなりかけた博多の町を寮へと電車かバスに乗って帰っていることを思うと、僕らの実らなかったはかない恋はまるでもうほとんど沈みかけた夕陽のように僕には感じられる。早い早い時の流れとともに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; （昭和６３年９月１３日）<br><br><br><br><br>　僕はいつの間にか生きようと思ってきていた。雲仙の地獄谷の哨気を浴びつつ僕はいつの間にか生きようと思い始めている自分に気づいていた。<br>　空の向こうに天使さまの白い手が見えたから。それに親への責任感もあって。<br>　僕は帰り始めていた。道はとても滑りやすくて僕のコンバースまがいの靴はよく滑った。でも僕は僕を待ってる黄色いセルボへ向かって歩いていっていた。僕には何かの予感があった。<br>　道は濡れていたし所々凍ってもいた。道端には白い雪が積もっていた。僕は細いその道を早足でクルマの方へと降りていっていた。なんだか希望が、希望があるような気がしていたから。<br>　僕は口の中でブツブツと南無妙法蓮華経と唱えていた。久しぶりに、たぶん一年３ヶ月ぶりぐらいに唱えた題目だった。そして雲間から太陽が、もう夕方４時の太陽が僕を祝福してくれるように輝いているのを僕は今日始めて知った。<br>　僕は小学六年や中学一年の楽しかった時代に戻ったような気がしていた。僕はあの頃の元気な自分を小道を駆けながら自然に思い出していた。<br>（クリスマスイブの夜の失恋ののちに書かれたものだ。でもいつのことか、何月のことか解らない。でも冬のことだけは確かだけれども。<br>　僕はこの頃もう愛子の出現を予感していたのだろうか？　でも愛子の出現は３月の終わりのことだったけれども。僕は予感していたのだろう、愛子の出現を）<br><br><br><br><br><br><br><br><br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; 完<br><br>http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm<br><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/entry-12192713399.html</link>
<pubDate>Mon, 22 Aug 2016 17:09:29 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>幻の美少女</title>
<description>
<![CDATA[ &nbsp;&nbsp;&nbsp; 幻の美少女　<br>&nbsp;&nbsp; &nbsp;<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はさっきからずっと夕陽を眺めていた。そして僕は窓辺からそっと離れた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　２年ぶりにあの松山の思い出の国際体育館に行く決心をつけたのだった。あのコの瞳が待っているような気がしていた。あのコが薄暗い観客席の片隅で悲しい化粧をして待っているような気がしていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　道を歩いている僕をあのコの瞳が見ている、僕を照らしている、という思いが最近頻繁に起こっていた。そして思い出の高総体の日は近づきつつあった。僕がそう感じてきたのは５月の初旬ぐらいからだったろう。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　大きな瞳と白い丸っこい頬とそして白い丸っこい肩。そしてその上のギリシャ文字めいた模様。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　眠っていてもくっきりと僕の目に浮かんでくるその文字。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はそれが活水高校の制服だということを最近やっと気づいた。遅かった。遅過ぎた。そして僕は青春を見喪ってしまったのだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも高校の頃も僕は気づいていたのかもしれない。でも僕は何の行動も取らなかった。僕はその悔しさを力に必死になって勉強するだけだった。それしか僕にはできなかった。ラジオの伝言板のコーナーに出すなんていう才覚は僕には沸いて来なかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あのコの瞳は太陽のようだった。そして頬も丸っこくてあのコの顔は太陽のようだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あのコは僕の知らない処であのコだけの楽しい青春を送っていることだろう。きっと僕の知らない誰かほかの男と一緒に。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そしてあのコだけの輝く青春を。僕の知らない処でのあのコだけの輝く青春を。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あのコの思い出は僕の暗かった２年間のこの青春時代の移行期において僕を暗闇から照らしてくれていたたった一つの太陽だった。僕の青春時代を照らしてくれていたたった一つの太陽だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　彼女の丸っこい白い肩にはギリシャ文字めいた刺繍が施されており、それが僕の目を幻惑させた。薄暗い観客席の中で憂愁に打ち沈む僕の目を幻惑させた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　その模様は僕と彼女を天国へと運んでゆく幸せな白い船のようだった。まっ白い幸福の船の船縁に刻まれた幸福の彫刻のようだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕の高校一年の終わり頃からの三年間の懸命な努力は虚しい塵となって消え、そしてその塵の消え去ったあと僕には空白の、そして長い６年間は続くであろう長い大学生活が残されていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕に残されていたのは長い果てしもない霊界の道のようだった。白い、まっ白な霊界の道のようだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　 ----コートでは北側のコートで僕らの東高の試合が始まっていた。河野（僕と一緒に来た友人）は友だちが試合に出ているので北側の長崎東の（たしか川棚高校だったと思うけど）試合を熱心に見ていたけれど、僕は南側の方のコートの試合を見たりしていた。僕らの座っている所はとても空いていて僕らは２人ポツンと座っていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そのときだった。僕のななめ前方５ｍぐらいの所にとても可愛いとても目の大きい少女が僕を見つめて立っているのに気づいたのは。ちょっとポッチャリした感じでそして今まで見たこともないほど目が大きくて。そして今までに見たことがないほど美しい少女だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　彼女は始め横顔を見せて立っていた。でも大きな目で僕を見つめて。今思うけど彼女はそちら側の顔の方が自信があったのだろうと思う。そうして横目で、大きな大きな目で、僕を見つめて立っていた。４分ぐらいそうしていただろう。でも僕は俯いたりコートの方を見たりして知らない振りをし続けた。僕は中学２年の頃から大きな声がでないという喉の病気に罹っていて静かな所以外では女の子と恥づかしくて口がきけなかったから。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　彼女はそして今度は真っすぐに僕を見つめ始めた。横顔で見つめていては駄目なのだろうと思ったのだろう。でも僕は依然として無視し続けていた。でも無視し続けることはとても辛いことだった。彼女より僕の方がきっと何倍も何倍も苦しかったと思う。僕はもし喋りかけられたらどうしようと思って苦しくて苦しくてたまらなかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕は苦しみながらも彼女を僕の記憶のうちの女性の誰かと照らしあわせていた。川崎さん、僕が中三の秋ごろ一目惚れしてラブレターを書いたけど出さなかった川崎さんによく似ている。目の大きさといい顔の輪郭といい、よく似ている。川崎さんなのだろうか。僕の胸に三年近く前になる思い出が蘇み返ってきていた。また高校二年の後半、昼休みに誰もいない運動場で突然、川崎さんへの愛慕の念に駆られて駆け出したあの青春の発作みたいな光景も思い返されてきていた。一度も口をきいたこともなかったけど僕は彼女の青白い肌とちょっとポッチャリとした肉体を体育発表会の予行練習のとき砂場の横に淋しげに立っていた体操着姿のあの光景のままに思い出していた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　再び彼女に付き添っていた小さい２人の少女が彼女に帰ろうと催促したようだった。でも彼女は『もうちょっと待ってね』とでも言ったようだった。彼女は依然として微笑みつづけていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　やがて彼女は僕に背を向けて歩き始めていた。なんだか僕からすべての幸せが去ってゆくような気がしていた。また、これからの苦しみに満ちた年月が始まろうとしているような気もした。彼女が去ってゆくのは僕の少年期が去ってゆき、そして僕の青年期が、苦しみに満ちた青年期が、始まるような気がしていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　彼女は途中で一回フッと振り向いた。でも僕は試合を見ている振りをするだけだった。寂しげに試合を見ている振りをするだけだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　彼女たちは歩いて行っていた。僕からどんどん遠去かっていっていた。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はいつの間にか目を潰っていた。そして目を開けたとき彼女の姿はもうほとんどなかった。喉の病気が追い遣ったのだ。彼女のちょっと太めの悲し気な背中が行き先を喪ってオロオロと入口の方で動いているのが見えただけだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　それから３日間、僕は狂ったようになって勉強した。将来きっと耳鼻科の医者になると思っていたのだ。----<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　　　　　　　　完<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm <br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/entry-12192712691.html</link>
<pubDate>Mon, 22 Aug 2016 17:07:54 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>聖子ちゃん</title>
<description>
<![CDATA[ <style>&lt;!-- /* Font Definitions */@font-face{font-family:&quot;Courier New&quot;;panose-1:2 7 3 9 2 2 5 2 4 4;mso-font-charset:0;mso-generic-font-family:auto;mso-font-pitch:variable;mso-font-signature:3 0 0 0 1 0;}@font-face{font-family:Wingdings;panose-1:5 0 0 0 0 0 0 0 0 0;mso-font-charset:2;mso-generic-font-family:auto;mso-font-pitch:variable;mso-font-signature:0 268435456 0 0 -2147483648 0;}@font-face{font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;panose-1:0 0 0 0 0 0 0 0 0 0;mso-font-charset:128;mso-generic-font-family:roman;mso-font-format:other;mso-font-pitch:fixed;mso-font-signature:1 134676480 16 0 131072 0;}@font-face{font-family:Verdana;panose-1:2 11 6 4 3 5 4 4 2 4;mso-font-charset:0;mso-generic-font-family:auto;mso-font-pitch:variable;mso-font-signature:-1593833729 1073750107 16 0 415 0;}@font-face{font-family:Verdana;panose-1:2 11 6 4 3 5 4 4 2 4;mso-font-charset:0;mso-generic-font-family:auto;mso-font-pitch:variable;mso-font-signature:-1593833729 1073750107 16 0 415 0;}@font-face{font-family:Cambria;panose-1:2 4 5 3 5 4 6 3 2 4;mso-font-charset:0;mso-generic-font-family:auto;mso-font-pitch:variable;mso-font-signature:3 0 0 0 1 0;} /* Style Definitions */p.MsoNormal, li.MsoNormal, div.MsoNormal{mso-style-unhide:no;mso-style-qformat:yes;mso-style-parent:&quot;&quot;;margin:0in;margin-bottom:.0001pt;mso-pagination:widow-orphan;font-size:16.0pt;font-family:Cambria;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel1, li.MsoNoteLevel1, div.MsoNoteLevel1{mso-style-priority:99;margin:0in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:0in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:1;mso-list:l0 level1 lfo1;tab-stops:list 0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel1CxSpFirst, li.MsoNoteLevel1CxSpFirst, div.MsoNoteLevel1CxSpFirst{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin:0in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:0in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:1;mso-list:l0 level1 lfo1;tab-stops:list 0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel1CxSpMiddle, li.MsoNoteLevel1CxSpMiddle, div.MsoNoteLevel1CxSpMiddle{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin:0in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:0in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:1;mso-list:l0 level1 lfo1;tab-stops:list 0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel1CxSpLast, li.MsoNoteLevel1CxSpLast, div.MsoNoteLevel1CxSpLast{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin:0in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:0in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:1;mso-list:l0 level1 lfo1;tab-stops:list 0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel2, li.MsoNoteLevel2, div.MsoNoteLevel2{mso-style-priority:99;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:2;mso-list:l0 level2 lfo1;tab-stops:list .5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel2CxSpFirst, li.MsoNoteLevel2CxSpFirst, div.MsoNoteLevel2CxSpFirst{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:2;mso-list:l0 level2 lfo1;tab-stops:list .5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel2CxSpMiddle, li.MsoNoteLevel2CxSpMiddle, div.MsoNoteLevel2CxSpMiddle{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:2;mso-list:l0 level2 lfo1;tab-stops:list .5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel2CxSpLast, li.MsoNoteLevel2CxSpLast, div.MsoNoteLevel2CxSpLast{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:2;mso-list:l0 level2 lfo1;tab-stops:list .5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel3, li.MsoNoteLevel3, div.MsoNoteLevel3{mso-style-priority:99;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:1.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:3;mso-list:l0 level3 lfo1;tab-stops:list 1.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel3CxSpFirst, li.MsoNoteLevel3CxSpFirst, div.MsoNoteLevel3CxSpFirst{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:1.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:3;mso-list:l0 level3 lfo1;tab-stops:list 1.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel3CxSpMiddle, li.MsoNoteLevel3CxSpMiddle, div.MsoNoteLevel3CxSpMiddle{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:1.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:3;mso-list:l0 level3 lfo1;tab-stops:list 1.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel3CxSpLast, li.MsoNoteLevel3CxSpLast, div.MsoNoteLevel3CxSpLast{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:1.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:3;mso-list:l0 level3 lfo1;tab-stops:list 1.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel4, li.MsoNoteLevel4, div.MsoNoteLevel4{mso-style-priority:99;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:1.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:4;mso-list:l0 level4 lfo1;tab-stops:list 1.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel4CxSpFirst, li.MsoNoteLevel4CxSpFirst, div.MsoNoteLevel4CxSpFirst{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:1.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:4;mso-list:l0 level4 lfo1;tab-stops:list 1.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel4CxSpMiddle, li.MsoNoteLevel4CxSpMiddle, div.MsoNoteLevel4CxSpMiddle{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:1.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:4;mso-list:l0 level4 lfo1;tab-stops:list 1.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel4CxSpLast, li.MsoNoteLevel4CxSpLast, div.MsoNoteLevel4CxSpLast{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:1.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:4;mso-list:l0 level4 lfo1;tab-stops:list 1.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel5, li.MsoNoteLevel5, div.MsoNoteLevel5{mso-style-priority:99;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:2.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:5;mso-list:l0 level5 lfo1;tab-stops:list 2.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel5CxSpFirst, li.MsoNoteLevel5CxSpFirst, div.MsoNoteLevel5CxSpFirst{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:2.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:5;mso-list:l0 level5 lfo1;tab-stops:list 2.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel5CxSpMiddle, li.MsoNoteLevel5CxSpMiddle, div.MsoNoteLevel5CxSpMiddle{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:2.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:5;mso-list:l0 level5 lfo1;tab-stops:list 2.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel5CxSpLast, li.MsoNoteLevel5CxSpLast, div.MsoNoteLevel5CxSpLast{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:2.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:5;mso-list:l0 level5 lfo1;tab-stops:list 2.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel6, li.MsoNoteLevel6, div.MsoNoteLevel6{mso-style-priority:99;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:2.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:6;mso-list:l0 level6 lfo1;tab-stops:list 2.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel6CxSpFirst, li.MsoNoteLevel6CxSpFirst, div.MsoNoteLevel6CxSpFirst{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:2.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:6;mso-list:l0 level6 lfo1;tab-stops:list 2.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel6CxSpMiddle, li.MsoNoteLevel6CxSpMiddle, div.MsoNoteLevel6CxSpMiddle{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:2.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:6;mso-list:l0 level6 lfo1;tab-stops:list 2.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel6CxSpLast, li.MsoNoteLevel6CxSpLast, div.MsoNoteLevel6CxSpLast{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:2.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:6;mso-list:l0 level6 lfo1;tab-stops:list 2.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel7, li.MsoNoteLevel7, div.MsoNoteLevel7{mso-style-priority:99;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:3.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:7;mso-list:l0 level7 lfo1;tab-stops:list 3.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel7CxSpFirst, li.MsoNoteLevel7CxSpFirst, div.MsoNoteLevel7CxSpFirst{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:3.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:7;mso-list:l0 level7 lfo1;tab-stops:list 3.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel7CxSpMiddle, li.MsoNoteLevel7CxSpMiddle, div.MsoNoteLevel7CxSpMiddle{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:3.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:7;mso-list:l0 level7 lfo1;tab-stops:list 3.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel7CxSpLast, li.MsoNoteLevel7CxSpLast, div.MsoNoteLevel7CxSpLast{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:3.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:7;mso-list:l0 level7 lfo1;tab-stops:list 3.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel8, li.MsoNoteLevel8, div.MsoNoteLevel8{mso-style-priority:99;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:3.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:8;mso-list:l0 level8 lfo1;tab-stops:list 3.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel8CxSpFirst, li.MsoNoteLevel8CxSpFirst, div.MsoNoteLevel8CxSpFirst{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:3.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:8;mso-list:l0 level8 lfo1;tab-stops:list 3.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel8CxSpMiddle, li.MsoNoteLevel8CxSpMiddle, div.MsoNoteLevel8CxSpMiddle{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:3.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:8;mso-list:l0 level8 lfo1;tab-stops:list 3.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel8CxSpLast, li.MsoNoteLevel8CxSpLast, div.MsoNoteLevel8CxSpLast{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:3.75in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:8;mso-list:l0 level8 lfo1;tab-stops:list 3.5in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel9, li.MsoNoteLevel9, div.MsoNoteLevel9{mso-style-priority:99;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:4.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:9;mso-list:l0 level9 lfo1;tab-stops:list 4.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel9CxSpFirst, li.MsoNoteLevel9CxSpFirst, div.MsoNoteLevel9CxSpFirst{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:4.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:9;mso-list:l0 level9 lfo1;tab-stops:list 4.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel9CxSpMiddle, li.MsoNoteLevel9CxSpMiddle, div.MsoNoteLevel9CxSpMiddle{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:4.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:9;mso-list:l0 level9 lfo1;tab-stops:list 4.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}p.MsoNoteLevel9CxSpLast, li.MsoNoteLevel9CxSpLast, div.MsoNoteLevel9CxSpLast{mso-style-priority:99;mso-style-type:export-only;margin-top:0in;margin-right:0in;margin-bottom:0in;margin-left:4.25in;margin-bottom:.0001pt;mso-add-space:auto;text-indent:-.25in;mso-pagination:widow-orphan;page-break-after:avoid;mso-outline-level:9;mso-list:l0 level9 lfo1;tab-stops:list 4.0in;font-size:16.0pt;font-family:Verdana;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-bidi-font-family:&quot;Times New Roman&quot;;mso-fareast-language:JA;mso-no-proof:yes;}.MsoChpDefault{mso-style-type:export-only;mso-default-props:yes;font-size:10.0pt;mso-ansi-font-size:10.0pt;mso-bidi-font-size:10.0pt;font-family:Cambria;mso-ascii-font-family:Cambria;mso-fareast-font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;;mso-hansi-font-family:Cambria;}@page WordSection1{size:8.5in 11.0in;margin:1.0in 1.25in 1.0in 1.25in;mso-header-margin:.5in;mso-footer-margin:.5in;mso-paper-source:0;}div.WordSection1{page:WordSection1;} /* List Definitions */@list l0{mso-list-id:-227;mso-list-template-ids:842683670;}@list l0:level1{mso-level-number-format:bullet;mso-level-style-link:&quot;Note Level 1&quot;;mso-level-text:&quot;&quot;;mso-level-tab-stop:0in;mso-level-number-position:left;margin-left:0in;text-indent:0in;font-family:Symbol;}@list l0:level2{mso-level-number-format:bullet;mso-level-style-link:&quot;Note Level 2&quot;;mso-level-text:;mso-level-tab-stop:.5in;mso-level-number-position:left;margin-left:.75in;text-indent:-.25in;font-family:Symbol;}@list l0:level3{mso-level-number-format:bullet;mso-level-style-link:&quot;Note Level 3&quot;;mso-level-text:o;mso-level-tab-stop:1.0in;mso-level-number-position:left;margin-left:1.25in;text-indent:-.25in;font-family:&quot;Courier New&quot;;}@list l0:level4{mso-level-number-format:bullet;mso-level-style-link:&quot;Note Level 4&quot;;mso-level-text:;mso-level-tab-stop:1.5in;mso-level-number-position:left;margin-left:1.75in;text-indent:-.25in;font-family:Wingdings;}@list l0:level5{mso-level-number-format:bullet;mso-level-style-link:&quot;Note Level 5&quot;;mso-level-text:;mso-level-tab-stop:2.0in;mso-level-number-position:left;margin-left:2.25in;text-indent:-.25in;font-family:Wingdings;}@list l0:level6{mso-level-number-format:bullet;mso-level-style-link:&quot;Note Level 6&quot;;mso-level-text:;mso-level-tab-stop:2.5in;mso-level-number-position:left;margin-left:2.75in;text-indent:-.25in;font-family:Symbol;}@list l0:level7{mso-level-number-format:bullet;mso-level-style-link:&quot;Note Level 7&quot;;mso-level-text:o;mso-level-tab-stop:3.0in;mso-level-number-position:left;margin-left:3.25in;text-indent:-.25in;font-family:&quot;Courier New&quot;;}@list l0:level8{mso-level-number-format:bullet;mso-level-style-link:&quot;Note Level 8&quot;;mso-level-text:;mso-level-tab-stop:3.5in;mso-level-number-position:left;margin-left:3.75in;text-indent:-.25in;font-family:Wingdings;}@list l0:level9{mso-level-number-format:bullet;mso-level-style-link:&quot;Note Level 9&quot;;mso-level-text:;mso-level-tab-stop:4.0in;mso-level-number-position:left;margin-left:4.25in;text-indent:-.25in;font-family:Wingdings;}ol{margin-bottom:0in;}ul{margin-bottom:0in;}--&gt;</style><span lang="JA" style="font-size: 12pt; font-family: &quot;ＭＳ 明朝&quot;,&quot;serif&quot;;">&nbsp;&nbsp;&nbsp; 聖子ちゃん<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　聖子ちゃん、敏郎兄ちゃんは知らなかったんだ、聖子ちゃんが結婚しないで待っていてくれたことを。　敏郎兄ちゃんは何も知らなかった、一度で良い、一度で良いから、仕事帰りに聖子ちゃんの実家に寄れば、そうしたら僕たちは会えていて、そうして結婚に至ったのだろうけど、敏郎兄ちゃんは面倒くさがって、一度も依らなかった。一度、一度で良いから、依っていたら良かったんだ。そうしたら僕たちは幸せになっていたはずだ。一度で良い、一度で良いから、仕事帰りに聖子ちゃんの実家に依っていれば、こういうことにはならなかった。今のどん底の不幸には陥ることはなかった。一度で良い、一度で良かったのに、面倒くさがり屋の敏郎兄ちゃんは依らなかった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　敏郎兄ちゃんは頭を抱えて後悔している。一度で良い、一度で良いから、仕事帰りに聖子ちゃんの実家に依っていれば良かったんだ。勤務先から聖子ちゃんの実家はすぐ近くだ。すぐ近くだったのに。すぐ近くだったのに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　聖子ちゃんは僕より10歳ぐらい年下だったと思う。一浪して入ったとき、聖子ちゃんは小学４年生だった。敏郎兄ちゃんが「家からでは遠い、下宿する」と言ってアパートを探して下宿というか間借りというかを始めたときがあった。あのとき、僕の家の店に聖子ちゃんのお母さんが手伝いに来ていた。そうして聖子ちゃんが引っ越しの手伝いや間借りというか下宿というか部屋の掃除にも来てくれると言っていたと母から聞いた。あの頃、聖子ちゃんは小学４年生だった。加津佐の実家で会ったとき、小学４年生だったんだね。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　馬鹿な僕はとんでもない結婚をして今、とんでもない不幸のどん底だ。欺された。欺されたんだ。僕は今まで欺され続けてきた連続だった。馬鹿な敏郎兄ちゃんは欺されてばかりだった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　敏郎兄ちゃんはその頃、創価学会の信仰に凝っていたんだ。馬鹿な敏郎兄ちゃんだ。創価学会の信仰に凝って、創価学会員ととしか結婚しないと主張していた馬鹿な敏郎兄ちゃんだった。でも、聖子ちゃんだったら別だっただろう。聖子ちゃんが結婚しないで待っていると知ったら、僕は聖子ちゃんの下へ駆けつけていただろう。敏郎兄ちゃんはあのとき４２歳だったと思う。離婚して、たしか４２歳だった。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　聖子ちゃん、でも、敏郎兄ちゃんにも、ちゃんとした結婚をすることが出来ていた時期があった。でも、馬鹿な敏郎兄ちゃんは創価学会の信仰に凝っていて、創価学会員つまり女子部としか結婚しないと馬鹿な主張をしていたんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも、一度、敏郎兄ちゃんが３８歳ぐらいだったと思う、アパートの一人暮らしに疲れ、僕は、聖子ちゃんか美佐子ちゃんに結婚を申し込む手紙を書こうと思い立ったときがあった。でも、住所が分からなかったから書かなかったようだ。書こう、書こう、と何度も思った、何度も思ったのだけど、書かなかったんだ。書かなかったんだ。書けば良かったんだ。加津佐の基家（加津佐の爺ちゃんの家）の住所は知っていたから（たしか毎年、年賀状を出していたようにも思う）思い切って、書いて、出せば、良かったんだ。書いて、出せば、良かったんだ。……聖子ちゃん、敏郎兄ちゃんは頭を抱え込んで後悔している。５４歳になった敏郎兄ちゃんだけど、人生を後悔して、後悔して、……苦しくて苦しくて……もう駄目だ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あのとき、３８歳の時、手紙を書いて出そうと思い立ったとき、思い切って、書いて、出していれば良かったんだ。そうしたら全てが解決していた。少なくとも僕は今は不幸のどん底に居る。不幸のどん底に居る。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　３８歳の時、一人暮らしのアパートの中で、敏郎兄ちゃんは思った。「美佐子ちゃんと聖子ちゃんに手紙を出そう、２人のうち、１人は結婚しないで居るだろう」と。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　僕はそう思った。馬鹿な敏郎兄ちゃんはそう思った。でも、躊躇いながら、手紙はたしか書かなかったと思う。書いたならばパソコンで書いて、小さなハードデスクの中に今、入っているはずだ。今は、フォーマット方式が変わっていて、読み出せないけど、書いていないと記憶する。書いていないんだ。馬鹿な敏郎兄ちゃんは書かなかったんだ。書きさえすれば、爺ちゃんの実家に手紙を出せば、それで良かったんだ。美佐子ちゃんは結婚していたらしい。しかし、聖子ちゃんは結婚していなかった。馬鹿だ、馬鹿な敏郎兄ちゃんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　敏郎兄ちゃんはそれから数年して、創価学会を実質辞めて、今は「シルバーバーチの霊訓」を信仰している。お金は全く掛からないけど、……でも厳しい信仰だ。実生活を真面目に生きることが全てという信仰だ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　聖子ちゃんとあのとき、結婚していたら、つまり敏郎兄ちゃんが一度目の結婚に失敗して（１０歳年上で子供を産むことが不可能な年齢の女性と馬鹿な結婚をして）一人っきりになったとき、僕は仕事帰りに（その頃は当直が多かったけど、朝９時だったら、聖子ちゃんの実家には敏郎兄ちゃんの叔母に当たる聖子ちゃんの母が居たはずだ。そうして聖子ちゃんが未だ結婚していないことを知ったはずだ。また、夕方の帰りだったら、聖子ちゃんも居たかもしれない）……<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　悔やんでも悔やみきれない。今のどん底な生活を思うと……母がしっかりしていたら良かったんだ……と馬鹿な敏郎兄ちゃんは愚痴を言う。……馬鹿な馬鹿な敏郎兄ちゃんで、悔やんでも悔やみきれない。泣きたいけど、涙は涸れている。泣きたいけど……　泣いて、どうなるものでもない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　聖子ちゃんは僕が僕の息子（当時、２歳ぐらいだったと思う）と僕の実家で寝ていたとき、聖子ちゃんの母が来た。そして聖子ちゃんも同乗しているということで聖子ちゃんも来た。聖子ちゃんの両手には生まれたばかりの子供が抱かれていた。ああ、久しぶりに（おそらく僕が大学１年以来）見る聖子ちゃんだった。そしてそれ以来、会っていない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　もう、どんなにしたら、良いのだろう。僕には分からない。僕は人生の辻辻で失敗ばかりしてきた。大事なときは失敗する馬鹿な敏郎兄ちゃんだ。もう５４歳になっている。あと数ヶ月で５５歳になる。もう遅い。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　今でも実家で息子と寝ていたときに来た聖子ちゃんの姿をありありと想い出すことが出来る。生まれたばかりの子供を抱いていた聖子ちゃん。聖子ちゃんは６歳年下の男性と結婚したと母から聞いた。それまで何故か結婚しないで居たと。（あれは何年前のことになるだろう。息子が今、小学５年生で１０歳だから、８年前のことになると思う。聖子ちゃんは敏郎兄ちゃんが結婚した後に結婚したんだね。馬鹿な敏郎兄ちゃんだ。）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; ……人生を思って、人生を振り返って、後悔の念に沈んでばかり居る馬鹿な敏郎兄ちゃんだ。馬鹿な馬鹿な敏郎兄ちゃんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　思えば、母も、結婚を後悔して、８０歳に成って嘆いている。いや、母は未だ７９歳だろう。母も、不幸な結婚をした。そうして苦労の連続の人生だった。息子の僕も全く同じだ。これを宿命と言うのか、同じ後悔をしている。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　母も本当なら幸せになることが出来たのに、馬鹿な結婚をした。そして、それと同じ馬鹿な結婚をした息子の僕だ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 僕は、母が、もう少ししっかりしていてくれたら、不幸な結婚はしなくて済んだのにと愚痴を言いたい。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　人生の綱渡りが下手すぎる馬鹿な僕だった。後戻りはできない。もう５４歳だ。３日連続の当直が終わって帰るけど、家に待っているのが聖子ちゃんだったら、聖子ちゃんだったら、どんなに良いだろうと、後悔の念に浸ってパソコンに向かってキーボードを叩いている馬鹿な敏郎兄ちゃんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　あのとき、３８歳の時、手紙を書いていたら良かったんだ。または、離婚した後、聖子ちゃんの実家に一度で良いから、仕事帰りに依ったら良かったんだ。職場のすぐ近くが聖子ちゃんの実家なのに、一度も依らなかった馬鹿な僕だ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　もう遅い、ふり返ることはいけないことだ。人生は前だけを見ていなければいけない。後ろをふり返ってはいけないんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　一度、たった一度で良いから、仕事帰りに聖子ちゃんの実家に依ったら、そうしたら幸せになっていたはずだ。後悔しても後悔しきれない。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （実は、聖子ちゃんの他にも悔やむことは幾つかある。最低のくじを引いてしまって後悔してしまっている今の僕だ。もう戻れない過去だ。あのとき、僕たちが結婚していたら、劇的な結婚になっていて、そうして今は幸せだったに違いない。人から欺され続けた僕の人生の一端だ。３８歳の時、一人暮らしのアパートの中で、聖子ちゃんに手紙を書こうと思ったのに、多分、書かなくて出さなかった馬鹿な僕だ。あのとき書いて出していたら良かったのに。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　記憶の端に、手紙を書きかけたけど辞めたことが想い出される。何故、止めたんだ。書き続けたら良かったのに。あれはパソコンではなく、紙の手紙に書き始めたと記憶する。何故、止めたんだ。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　聖子ちゃんも子供が９歳になっているだろう。もう、戻れない。）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （敏郎兄ちゃんは苦しくて、悔しくて、魚釣りに凝っている。魚釣りに逃げていると言って良いだろう。こうするしか、この後悔の念から逃れることが出来ない。魚釣りに凝っているのは、これが大きな原因だ。誰にも分からないだろうけど、……<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　でも、今日は、魚釣りには行かないだろう。余りにも悔しくて、悔し紛れに寝ているだろう。５４歳になった敏郎兄ちゃんはもう体力が弱くなっている。魚釣りに行くのも大変になってきている。）　　<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （子供が出来たら、もう人生は終わりだ。このことに今、気付いた。子供が出来ると後戻りできない。でも、子供のせいにする訳にはいかない。悪いのは自分なのだから。そして注意が足りなかった親もまた悪いけど、主に悪いのは自分なのだから。自分がほとんど悪いんだ。帰りがけ、一度で良いから、聖子ちゃんの実家に依ったら良かったんだ。職場からすぐ近くなのに依らなかった僕が悪いんだ。）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （子供のせいにしてはいけない。自分が全て悪いんだ。自分が全て悪いんだ。自分が全て悪いんだ。もう戻れないことだ。戻れない……戻れない……戻れない……）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （諦めるしか無いことであるが敏郎兄ちゃんは今もメソメソと悔やんでいる。聖子ちゃんと結婚していたら、どんなに幸せだっただろう。敏郎兄ちゃんは幸せではない。聖子ちゃんはそのことを見通して、あの日、僕が息子と奥の部屋で寝ていたとき、会いに来たのだろう。僕たちは何も喋らずに見合っていた。喋ることがなかったし、喋ることが出来なかった。僕は２歳か１歳の息子と寝ていた。聖子ちゃんは赤ん坊を抱いていた。僕は喋ることは出来なかった。）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （聖子ちゃん、敏郎兄ちゃんは行き詰まって（家庭が真っ暗で）世界が破滅することや自殺を考えているのです）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; （聖子ちゃん、敏郎兄ちゃんはあまりの苦しさに、逃げ出そうとも考えている。家では怒声しか聞こえない。もう限界だ。）<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; <br>（完）</span><br><br><br>http://sky.geocities.jp/mmm82888/2975.htm<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/mmm82889/entry-12192711905.html</link>
<pubDate>Mon, 22 Aug 2016 17:02:51 +0900</pubDate>
</item>
</channel>
</rss>
