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<title>”頼まれなくても、生きてゆく”</title>
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<description>何かを為すことができない日常に苛立ち、立ち竦んでいました。茫洋とした時の流れの中で言葉を紡いでゆきます。どこへ向かえばよいのか探しながら。</description>
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<title>僕が鳥を飼わないわけ（2）</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>明けるのが早くなった夜の終わり、</p><p>太陽が光を届ける前に雨はあがっていました。</p><p>&nbsp;</p><p>大阪へ向かう阪神電車の始発が通り過ぎるのをぼんやりと眺め、</p><p>タバコに火をつけます。</p><p>&nbsp;</p><p>桜はもうとっくに散りましたが、</p><p>雨上がりの日の出前の涼しさは、</p><p>少しだけ僕の目を醒ましてくれるような気がします。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>まだ誰も歩いていない、雨で濡れたアスファルト。</p><p>少し遠くにコンビニが見えますが、人がいるかはわかりません。</p><p>&nbsp;</p><p>僕は空を見上げて鳥をさがしましたが、みつかりません。</p><p>からす、はと、すずめ。</p><p>なんだか、生き物ぜんぶがいなくなったような錯覚がして、</p><p>高架の上をゆく電車に目をやります。</p><p>&nbsp;</p><p>まばらに利用客が乗車していて、</p><p>僕はほっとしました。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>鳥は自由で勝手気ままな生き物なのかも知れません。</p><p>&nbsp;</p><p>愛情を込めて触れようとしても、</p><p>僕の手をすり抜けて、飛んでいってしまうことでしょう。</p><p>&nbsp;</p><p>もしも心が通いあっていたとしても、</p><p>僕をかまっているよりも、空を飛ぶほうが気持ちがいいと思うでしょう。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>想えば想うほど、</p><p>追えば追うほど遠くへ行ってしまうもの。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>記憶の中の君は、</p><p>自由に生きたいと願っていたね。</p><p>生まれた土地を離れることも、</p><p>この僕が行かないで、ってイジワルしたことも、</p><p>たぶん効果なかったんだろうな。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>そんなにそんなに遠くに行ってしまって、</p><p>君はどの雲の上を飛んでいるの？</p><p>&nbsp;</p><p>僕もはやくそっちに行きたいな。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/nandf2000/entry-12377245189.html</link>
<pubDate>Sat, 19 May 2018 23:51:00 +0900</pubDate>
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<title>僕が鳥を飼わないわけ（1）</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p><br>灯りのない部屋はほんとうに殺風景で、<br>あなたが見たら、やっぱり眉をひそめるのでしょうか。</p><p>&nbsp;</p><p>あいかわらず僕は、ベッドのかわりに寝袋を使っているよ。</p><p>&nbsp;</p><p><br>何も無い、とはいいながら、捨てるかどうか迷っている品がありました。<br><br>壊してしまったノートパソンコンが置かれたパソコンラックの上に、<br>鳥の入っていない鳥かごがあるのです。<br><br>それは、皮肉なジョークの込められた、<br>僕の大学の先輩からいただいたプレゼントでした。<br><br>『おまえはかごの中の鳥だ』<br><br>陳腐な揶揄の含まれたものだったと想像します。<br><br><br><br>まじまじとみたことなんてなかったのですが、<br>部屋を引き払う機会に、<br>これをどうするか決めなくてはなりません。<br><br><br><br>タバコに火をつけて、<br>僕は考えるふりをしました。<br>ふりをしたのは、どーせ捨ててしまえばいいだけ、<br>と思っていたからです。<br><br><br>ところが、ふと気になって、<br>先輩がなぜこの鳥かごをくれたのかを考えてみよう、<br>と思い直してしまいました。<br><br>青サビが浮いたようなあしらいをしていて、<br>どこでも手に入るような量販品ではないような気がします。<br><br><br>「『おまえはかごの中の鳥』か…」<br><br>言ってみて、<br>僕は少しこめかみのあたりがチクチクするような<br>感覚を覚えました。<br><br><br>先輩は、大学卒業を待たずして、<br>映画の世界をこころざし、<br>東京へ移り住んだ人です。<br><br>何かふつーの人とは少し違ったメッセージがあるのではないか、<br>と思ってしまったのは、僕の勘違いでしょうか。<br><br><br>鳥かごは、<br>あたりまえですが、鳥が逃げないように、<br>飼育するための檻です。<br><br>入れられた鳥は飛ぶ自由を失いますが、<br>その反面、えさをもらえて命をつないでゆくことができます。<br><br>そもそも鳥が飛ぶことって、<br>どれぐらい重労働なのでしょうか？<br><br>飛べない僕から見たら、<br>さえぎるもののない空は、<br>自由の象徴のような気がして、<br>そこを飛ぶのは、真に清々しいことなのでしょう。<br><br>ところが、飛ぶためにはエネルギーが必要です。<br>そのために食事をしなくてはなりません。<br><br>「そーいえば、最近ろくなもの食べてなかったっけ……」</p><p>&nbsp;</p><p>…っと、どーでもいいようーな感想が頭に浮かびます。</p><p>ちらっと冷蔵庫のほうに目をやりましたが、</p><p>たいしたものが入っているわけではないのは知っていました。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>煙草をもみ消して、ひとつ息を吐き出します。</p><p>部屋の外に目をやると、街のネオンは雨に濡れて、</p><p>キラキラと僕の目には眩しいです。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「朝になったら、雨止むのかな……」</p><p>&nbsp;</p><p>誰もいない部屋の暗闇の中へ、僕のひとりごとは吸い込まれていきました。</p><p><br><br><br><br><br><br><br><br><br>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/nandf2000/entry-11753123942.html</link>
<pubDate>Sun, 19 Jan 2014 06:42:33 +0900</pubDate>
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<title>遠い未来の約束</title>
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<![CDATA[ <br><br><br>さすがに寒くなって、今の時期は喫煙所にいるのも震えてしまいます。<br>僕は、タバコをまた吸うようになっていました。<br><br>タバコの煙を眺めていると、ふと、電車の中で見かけた女の子のことを思い出しました。<br><br>父親に抱かれた女の子は、父親のフリースのジッパーを下ろしては上げて、<br>を繰り返していました。<br><br>女の子がジッパーを下げると、父親が、<br>「上げてー」<br>と頼みます。<br><br>「いいよー」と、女の子は言ってジッパーを上げてあげます。<br><br>しばらくすると女の子はまたジッパーを下げてしまいます。<br>すると父親がまた、<br>「上げてー」<br>「いいよー」<br><br>その繰り返しです。<br>そのやりとりがとても可愛らしく感じられて、僕は思い出し笑いをしていました。<br><br>「何にやにやしてんの？」<br>僕に声をかける女性がいます。<br><br>「こないだ電車で見た女の子のこと思い出してね」<br>「女の子？…って、女子高生とか？きもいんだけど」<br>「ち、違うよ、2、3歳の女の子だって」<br><br>僕はタバコの煙でむせてしまいました。<br><br>「いーよいーよ、嘘つかなくたって。図星なんでしょ？」<br>「違うっていってるのに…」<br><br>僕はため息をついて、タバコをもみ消しました。<br>喫煙所を出ようとすると、女性が呼びとめます。<br><br>「ねぇ、アメリカ行くってほんとなの？」<br><br>僕はなぜ彼女が僕のアメリカ行きを知っているのか怪訝に思いましたが、<br>僕が前に話をしたことを思い出しました。<br><br>「うん、来年の1月には行くよ」<br>「そうなんだ…準備は？」<br>「だいたい終わってる。家もひきはらったし。あとは飛行機に乗るだけってかんじ」<br><br>一瞬伏し目がちに彼女はなりましたが、僕の目を見つめて、かばんから小さな包みを<br>取り出しました。<br><br>「はい」<br>「え？なに」<br>「餞別よ。それと、クリスマスと誕生日プレゼントも兼ねて」<br>「一気にまとめてくれるんだね、ありがと。あけていい？」<br>「どーぞ」<br><br>クリスマスっぽい赤い包装紙をなるべく丁寧にあけると、<br>中にはボールペンが入っていました。<br><br>「ありがとう。選んでくれたの？」<br>「そうよ。何か不満でも？」<br>「いや、別に…」<br><br>僕がボールペンと彼女を交互に見やっていると、<br>彼女は右手を差し出してきました。<br>僕は彼女の手を握って、握手をしました。<br>寒気で冷たくなった手でした。<br><br>「冷たいね。だいじょーぶ？」と僕。<br>「少し風邪ぎみよ。はな水がとまんないの」<br>「あったかくして寝ないとだめじゃん」<br>「そーね。そーする」<br><br>彼女は着ていた茶色のロングタイプの羽毛のコートの前を閉め、<br>新しいタバコに火をつけました。<br><br>「タバコの量増えたんじゃない？」<br>「うん。健康的な生活に戻ったからね。健康だとタバコ増えるみたい」<br>「よくないね」<br>「値段もあがるだろうし。その前にやめよーかな」<br>「それができれば一番いいんだけど…」<br><br>僕も禁煙してまた吸い出した経験があるので、アドバイスできることは<br>何もありませんでした。<br><br>「どれぐらいで帰ってこれるの？」と、彼女は言いました。<br>「…うーん、2年は最低でも帰ってこれないかな」<br>「ずっと行きっぱなし？休暇で帰ってこないの？」<br>「だいぶ離れてるからねぇ…長期連休がとれたら帰ってくるかも、だけど」<br>「えぇ、ずっと会えないんだ。それはイヤだな。…会いにいってもいい？」<br>「いいけど、めっちゃ遠いよ？」<br>「それでもいいよ」<br><br>僕もタバコに火をつけます。<br><br>「…って、ゆーか、俺のことどー思ってんの？」と僕。<br>「どー思ってんの？ってどーゆー意味よ？」<br>「いや、好き…とかさ。何かあんじゃん」<br>「うん…好きだよ」<br><br>僕は意外でした。<br>彼女がメールで好き、とたまに書いてくることはありましたが、<br>僕の目の前で言ったのは初めてでした。<br><br>「ほんとに？」<br>「ほんとにって、どーゆーつもりで言ってんの？ほんとに決まってんじゃない」<br>「そ、そう。ありがとう、うれしいよ」<br>「あ、心がぜんぜんこもってないんだけど」<br>「そ、そんなことないよ…」<br><br>僕はまた、煙でむせてしまいました。<br><br>僕は彼女の言葉のすべてを信じることができていないのです。<br>彼女の目を見てその心の奥底の真実を見定めようとしましたが、<br>大きく美しい瞳は微笑みをたたえていて、容易にそれをさせてはくれません。<br><br>「信じて…いいのかな？」<br>「いいよ」<br><br>その問いかけにも隙を見せない彼女。<br>僕は、彼女の真意をさぐるのをあきらめました。<br>その代わり、彼女がたとえ嘘をついていたとしても、<br>そのすべてを真実として受け入れ、彼女との未来を考えよう。<br>そう自分に言い聞かせるようにしました。<br><br>もし彼女が僕を愛さなくても、僕は彼女を愛していればそれでいい。<br>彼女がほかの男を愛し、僕の前からいなくなっても、彼女が幸せならそれでいい。<br><br>そう思考し、心をコントロールすることでしか、<br>今の僕は前に進むことができないと考えていました。<br><br>「ボールペンありがと。大切にするね。2分おきに使わせてもらうよ」<br>「何それ？うける」<br><br>彼女の笑顔が、僕の心の暗いところを明るくしてくれるようでした。<br><br>『たまらなく嬉しくなるから、それもまた僕にとって真実』<br><br>Ｍｒ.ＣＨＩＬＤＲＥＮの歌詞の一節がふと思い出されます。<br><br><br><br>どうせ明日とも知れぬ命をなんとかぎりぎりいっぱいで生きることを許された身なのです。<br>どんな未来が待っていたとしても、それを受け入れなければ、<br>生きたくても生きれなかった人たちにたいして申し訳ない、と思いました。<br><br><br>「好きだよ」<br>「なに？急にあらたまって」<br>僕は不意に彼女のタバコをとりあげてキスしました。<br>彼女は可愛い瞳を大きく見開きました。<br><br>喫煙所に居合わせた人たちは少し驚いていたようですが、<br>僕は気にしませんでした。<br><br><br><br><br><br>彼女への気持ちは、誰にも邪魔なんかさせない、とても強いものでしたから。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/nandf2000/entry-11733295837.html</link>
<pubDate>Sat, 21 Dec 2013 02:58:19 +0900</pubDate>
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<title>I’ｍ dreaming in a dream.</title>
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<![CDATA[ <br><br>夢の中で夢を見ている。<br>そんな奇妙な感覚をおぼえながら、僕は眠っていました。<br><br>夢の中で僕は、乱立するビルに囲まれた、都会の公園の中にたたずんでいました。<br><br>太陽は高くて影が短くなっています。お昼ごろなのでしょうが、人々は急がしそうに行きかっています。そんな光景をぼんやりながめて、僕は大きなSLの設置されたオブジェクトを見上げていました。<br><br>気温は30度あるみたいなのですが、風は涼しく感じられ、汗かきの僕でも、シャツを濡らさなくてすんでいます。<br><br>喫煙所が整備されているようで、都会の中で、愛煙家たちは一箇所に集い、白い煙をのぼらせていました。<br><br>僕もタバコを吸おうとしてそちらに歩きかけましたが、胸ポケットをまさぐって苦笑いします。<br>タバコはやめたのでした。<br><br><br>「お待たせ」<br>ふと、僕に声をかける女性がいます。<br><br>「…待ってないよ、僕も今来たとこだから」<br>僕はこの女性を知りませんでしたが、なぜか話しかけられた違和感はなく、さもこの女性と待ち合わせをしていたかのように振舞ってしまいました。<br><br>「海のほうに行くんでしょ？」<br>「うん、無人運転の電車に乗っていくみたいだね」<br><br>僕は彼女のことをほんとは知ってるんではないかと思案しましたが、思い出すことは出来ませんでした。でも、ここは僕の夢の中なのです。しばらくは成り行きまかせにしてみよう、とそんな風に考えました。<br><br>「ここ最近暑かったから、ちょっと涼しく感じるよね？感覚が麻痺してるのかも」<br>「そうだね。僕は汗かきだから助かるよ。歩いてるだけでフルマラソンした後みたいに汗をかいていちゃ、君にも迷惑かけそうだしね」<br>「迷惑？そんなこと無いよ。わざわざ来てくれてありがとね」<br><br>彼女はそういって、僕と手をつなぎました。<br><br>一瞬ドキッとしましたが、夢ですから。なんてことはありません。<br>彼女は僕と身長も同じぐらいで、長く豊かな髪をポニーテール風になびかせています。薄いピンクのトップスは夏の日差しに映えて、良く似合ってました。デニムはスキニーなもので、脚の細さが際立っています。足元のパンプスは、僕に気を使ってるのか、ヒールの極めて低いものでした。<br><br>「どこに行くの？」<br>「テレビ局の企画のテーマパークがあるみたいなんだよね。そこでいいかな？」<br>「どこでも大丈夫だよ」<br>くすりと笑って、彼女は言いました。<br><br>それから僕と彼女はとあるテーマパークでひとときを過ごしました。<br>遅めの昼ごはんをチェーン店の串カツ屋さんで食べました。<br>日が暮れるころ、僕と彼女はライトアップされた大きな橋を眺めながら、とりとめもない話をしていました。<br><br>「映画、おもしろそうなのやってなかったね」と、僕。<br>「そうだね。また今度見よう？」と、彼女。<br><br>気が付けば日はとっぷり暮れていて、あたりは暗くなっています。<br>もう、彼女とは別けれなければいけない時間が近づいていました。<br><br>都心から北へ向かう電車に乗るので、彼女を改札前まで見送ります。<br><br>「今日は楽しかった。また会おうね？」<br>「うん…また今度」<br><br>改札を通って人ごみのなかにまぎれる彼女は、一度も振り返りませんでした。<br><br><br><br><br>僕は、もう彼女に会うことができないだろうことを感じていました。<br><br>違う街ですれ違ったとしても、僕も彼女もお互いの存在に気付かないだろうな、そんな想像をしていました。<br><br>「せめて連絡先でも聞いておけばよかったかな…」<br>思いついて、少し苦笑いをして頭を振ります。<br><br>彼女は僕の歩く道をいっしょに歩くことは無いのです。<br><br>僕も彼女の歩く道に踏み込むことはないのだろう、と思いました。<br><br><br><br><br>あてもなく街を歩いていると、遅くまでやっている花屋を見つけます。<br>ほとんど売れてしまっていますが、バラが4.本売れ残っていました。<br>僕は花なんか買ったことがないのですが、なぜか財布を出していました。<br><br>とっても小さな花束を持って、人通りの少ない小道に入ります。<br><br>昼間はたくさんの人で賑わう商店街ですが、終電もなくなると嘘のように静かになるのです。<br><br>と、街灯の下に若い女性がひとりぽつんと立っています。<br><br>僕はさっき買った花束を、その女性に渡しました。<br><br>女性は面食らったみたいで、少し驚いていましたが、にっこり笑いました。<br><br>「ありがとう。きれいなバラね」<br>「うん。きれいな花だね」<br><br>僕はそれだけを言うと、また大通りへ歩き出しました。<br>日付が変わってしまったので、さっきまでいた客引きたちもいなくなってしまいました。<br><br><br><br><br><br>夜が明けたら、また朝が来て。<br>昼が過ぎれば、また夜が来る。<br><br><br><br><br><br>もう僕は、どこに行ったって、その中の景色の一部すらになれないような感じを覚えて身震いしました。<br><br>いっそのこと誰もいない無人島のようなところでこの生涯を終えたほうが、どんなに気楽なことでしょう。<br><br>夢が覚める前に、僕は自ら夢を見ることを止めてしまいました。<br><br><br><br><br><br><br><br>夢を見ていいのは、もう少し前のことだったんだな。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/nandf2000/entry-11606903724.html</link>
<pubDate>Wed, 04 Sep 2013 23:03:04 +0900</pubDate>
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<title>春、それからの君を想う</title>
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<![CDATA[ <br><br><br><p>三寒四温ってゆーのは、近頃のような気候のことをゆーのでしょう。</p><br><p>窓から吹き込んでくる風は、冷たかったり、あたたかかったり。</p><br><p>日差しは強そうに見えても、気温はあがらなかったりして不思議です。</p><br><p>季節の移り変わりなんて気にしてきませんでした。</p><br><p>季節が変わっていっても、変わることのない薄暗い闇のようなものが僕の中にはいつもあって、それをどうすれば取り除けるのか、わからないからそのことを考えるのもやめてしまって、もう久しくなります。</p><br><br><br><br><p>空には雲がところどころに浮かんでいて、</p><p>春が近づいてきているのを教えてくれます。</p><br><p>汗かきの僕は、早くもあせばんでいて、部屋の空調をあわせにいきました。</p><p>呼吸を補助する器械をひきずりながらです。</p><br><p>と、ユウコが廊下をこちらにむかって歩いてくるのが見えました。</p><br><p>「気分はどう？顔色はよさそうね？」と彼女。</p><br><p>僕は右手でＯＫサインを送ります。</p><br><p>彼女はやさしく自分のおなかをさすっています。</p><p>僕は、その仕草がとても好きなのです。</p><br><p>僕もさわらせてもらいます。</p><p>彼女はほほえみました。</p><br><p>「とっても順調なんだって」</p><br><p>僕は笑みを浮かべてそれに応えます。</p><p>呼吸器のマスクで、僕はしゃべることができませんでした。</p><br><p>「元気な子を産むからね。楽しみにしててよ？」</p><br><p>うなずいて、少し涙が出てきたのを感じました。</p><br><p>命って素晴らしいんだな。</p><p>僕の今の率直な感想です。</p><br><p>この腕に抱いて、いろんなところへ連れて行ってあげたい。</p><br><p>いろいろな欲求がこころの中に浮かび上がるのは、</p><p>とても嬉しいことです。</p><p>そんなこと、もうずっと感じてきませんでしたから。</p><br><p>「今年は桜が咲くのは早いかも知れないんだってね」</p><p>ユウコは雑誌やら下着やらをしまいながら言いました。</p><br><p>「いっしょにお花見にいけるといーわね」</p><br><p>そうだね。</p><br><p>声にはできませんでしたが、</p><p>そっとつぶやきました。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><p>おだやかな毎日を、</p><p>大切な人と過ごすことができる。</p><br><p>そんな幸せに、気づきました。</p><br><p>果たせない想いを胸に抱き続けて、</p><p>復讐にも似た感情を捨てたその先に、</p><p>生まれてきた意味をかみしめる。</p><br><p>ぽっかり穴があいていた胸はいつしか治癒していて、</p><p>醜い傷を、僕はかきむしることをしなくてもいいのです。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>「…ねぇ、名前、どうしようか？」</p><br><p>ユウコが楽しそうなのを見て、</p><p>僕は呼吸補助のマスクをはずしました。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>…ユウコは、ベッドの端に腰をかけて、</p><p>　　僕のあたまをやさしく抱いてくれました。</p><br><p>きっと、僕の考えていた名前を気に入ってくれたんだと思います。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><p>桜が咲いて、</p><p>そして散って、</p><p>梅雨が来て、</p><p>日差しがきつくなって、</p><p>僕が毎日汗をふくのに億劫になったら、</p><p>君を海に連れて行ってあげる。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>きらきら輝く、まぶしい海は、</p><p>きっと君も気に入ってくれると思うよ。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/nandf2000/entry-11489265598.html</link>
<pubDate>Wed, 13 Mar 2013 02:35:13 +0900</pubDate>
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<title>手を伸ばせば、そこに君がいてくれた。</title>
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<![CDATA[ <br><p><br></p><p>軽い頭痛を感じ、眠りから覚めた。</p><br><p>目をあけると、靄がかかったように白く濁った視界。</p><br><br><p>しばらくしたら、少しづつ見えるようになってゆく。</p><p>白を基調にした、病室の中。</p><br><p>僕は、スプリングの硬いベッドの上にいた。</p><br><br><p>目がよく見えないのは、投薬治療のせいなのかも知れない。</p><p>医者が説明してくれていたのだろうが、あまり聞いていなかった。</p><br><br><p>肺のほとんどを失くした僕は、人工呼吸器をつけなければならないありさまだった。</p><p>息を吸い込むたびに、機械が酸素を送り込む音が耳に障る。</p><p><br>見慣れないはずの白い天井は、</p><p>今ではすっかり見慣れてしまった。</p><p>蛍光灯のひとつが点いたり消えたりしている。もうすぐ消えてしまうのかも。</p><br><br><p>身体は動かすのが億劫で、</p><p>目だけであたりをうかがう。</p><br><p>レースのカーテンだけが引かれた窓からは、</p><p>街のネオンが遠くに見えた。</p><br><p>その窓ぎわの小机の上には、</p><p>花瓶に切花がささっている。</p><p><br>ユウコが持ってきてくれたものだ。</p><br><br><p>僕は、ユウコ自身の身体をいたわって欲しかったけど、</p><p>彼女は運動がてらに見舞いに来てくれる。</p><br><br><p>心配症の僕の願いを神様が受け入れてくれたのか、</p><p>ユウコのおなかの子は、男の子だった。</p><br><br><p>彼女はとてもいとおしそうに自身のおなかをさする。</p><p>そのしぐさを見るのが、僕はほんとうに好きだ。</p><br><br><p>新しい命の誕生を心待ちにしている女性は素敵だ。</p><br><br><p>嬉しいことだけじゃなくて、いろいろなことが待っているはずだけど、</p><p>それでも子を産み育てることの喜びを知っているからだ。</p><br><br><p>僕は少し嫉妬している。</p><p>ユウコのおなかの子にだ。</p><br><br><p>彼女の深い深い愛情は、</p><p>その子に注がれる。</p><br><br><p>僕はその手伝いをするだけの人みたいに勝手に感じられて、</p><p>よそよそしい気分だ。</p><br><br><p>男親って、そんなものなのだろうか？</p><br><br><p>それとも、僕と血のつながらない子との対面を、</p><p>こころのどこかでひっかかりを感じているのかも。</p><p>そんなことはわかっていたから、それもひっくるめて全部受け止めて、</p><p>僕はユウコと一緒になることを望んだんだ。</p><br><br><p>それでも嫉妬する気持ちがあるのは、</p><p>こころの弱さのせい？</p><br><br><p>支えていこう、とはらを決めたつもりだったけど、</p><p>支えを欲しがってたのは、むしろ、僕のほうだったんだと思う。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>自分自身が情けないのは、十分理解してるつもりだったけど、</p><p>病室で考えていたってどうしようもない。退院してから考えても多分同じだけど。</p><p>頭痛が治まらないから、無理やり眠ってしまうことにした。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>軽い頭痛で目が覚めたとき、</p><p>僕は、左手に温もりを感じた。</p><br><br><p>ユウコが握ってくれている。</p><br><br><p>優しい瞳で、僕を見つめてくれている。</p><br><br><p>彼女のおなかを見た。</p><p>ふくらみが少し大きくなってきたのかな。</p><br><br><p>「おはよう」とユウコ。</p><p>彼女は僕が返事ができないこと知っている。</p><br><br><p>僕は無理矢理に笑おうとして、</p><p>むせて咳き込んでしまった。</p><br><br><p>彼女に僕の気持ちを伝えることができないのがもどかしい。</p><p>筆談じゃだめで、僕の声で伝えたい。</p><br><p>”好きだ”</p><br><br><p>その言葉を口にするまで、</p><p>僕はかじりついてでも、生きてやる。</p><br><br><p>僕は、右手を伸ばしてユウコのおなかに触ろうとした。</p><br><p>ユウコはベッドの淵に腰かけて、僕の右手を受け入れる。</p><br><br><p>この両手の感触だけは、失うわけにはいかない。</p><br><br><p>優しい目のユウコに、</p><br><p>　　　　　　　　　　”ありがとう”</p><br><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　を言うんだ。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>君がそこにいてくれる。</p><p>僕にはそれだけで十分幸せなんだよ。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/nandf2000/entry-11477916676.html</link>
<pubDate>Mon, 25 Feb 2013 00:48:43 +0900</pubDate>
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<title>To Be A FAMILY.</title>
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<![CDATA[ <br><br><br><p>しばらくは離れているから、</p><p>書き記しておこうと思います。</p><br><br><br><p>陽子へ</p><br><p>君に出会って初めて、</p><p>僕は人を愛することを知りました。</p><br><p>それはもしかしたら、”恋に恋している”ってだけの、</p><p>身勝手で稚拙な想いだったかもしれないけど。</p><br><p>嬉しかったり、笑ったり、</p><p>悲しかったり、泣いたりしたね。</p><br><p>ほんとうの僕の気持ちを君にぶつけてみたから、</p><p>ほんとうの感情をあらわにできたんだと思う。</p><br><p>結局、20年ぐらいの間、つきまとってしまって申し訳ない。</p><br><p>君の時間が止まってしまってから、</p><p>僕の時間も止まったままだったから、</p><p>感覚がおかしくなってたんだろうね。</p><br><p>でも、ようやく高校3年生のあの冬にまき戻しして、</p><p>やり直してみる決心がつきました。</p><br><p>いろんな気持ちが混ざって、</p><p>綺麗な言葉ですっきりとは表せないけど、</p><p>敢て言うね。</p><br><br><br><p>”ありがとう”</p><br><p>そして、</p><br><p>”さようなら”</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>ユウコへ</p><br><p>君とはこれから、僕の隣で歩いてもらうから、</p><p>僕の生身のことばを伝えていくよ。</p><p>だから、かしこまらなくていいよね。</p><br><p>男の子が生まれたなら、</p><p>キャッチボールをしてあげたいな。</p><p>僕はへたくそだから、</p><p>小学校ぐらいまでなら相手してあげられるんじゃないかな。</p><br><p>君は女の子がいいといったけど、</p><p>やっぱり何度考えてみても、</p><p>娘を嫁に送り出すときのことを想像するとつらくなるから、</p><p>やっぱり男の子がいいんじゃないかな。</p><br><br><br><p>寒い日は続くから、身体をこわさないように。</p><br><p>しばらくは買い物とか行ってあげられないけど、</p><p>帰ってきたらサービスするから勘弁してやって。</p><br><p>どちらにしても、これからよろしくお願いします。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>P.S.</p><p>サイズは7号でよかったんだっけ？</p><p>お腹の子が大きくなったら、指太くなるもんなのかな。</p><p>それとも産後にはもとに戻るからいいかな。</p><p>以外にやせるの難しいかもね。君は太ったことないだろう…？</p><br><br><br><br><br><br><br><p>結婚しよう＿＿＿</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/nandf2000/entry-11452745574.html</link>
<pubDate>Sun, 20 Jan 2013 00:32:58 +0900</pubDate>
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<title>天使のささやき</title>
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<![CDATA[ <br><br><p>呼んだ？</p><br><p>ううん、呼んでないよ</p><br><p>うそ、呼んだでしょ？</p><br><p>ほんとに呼んでないよ。</p><p>誰かと聞き間違ったんじゃない？</p><br><p>わかんない</p><br><p>そっか、ま、そんなことはいいから、俺と遊ぼう</p><br><p>何して遊ぶの？</p><br><p>何がいいかなぁ、かくれんぼはどう？</p><br><p>ふたりでやるの？</p><br><p>そっか、ふたりじゃつまんないか</p><p>じゃあ、おにごっこは？</p><br><br><p>やろうやろう</p><p>じゃあ、パパが鬼ね</p><p>ボク逃げるの得意なんだ<br><br>そっか、逃げるのが得意ってことは足が速いんだな</p><br><p>そうだよ、この前だって友達3人と競走して、</p><p>ボクが一番だったんだよ</p><br><p>へぇ、それはすごいなぁ</p><br><p>じゃあ、ボク逃げるね</p><br><p>あ、おい、待て</p><br><p>ほらパパ、ボクはここだよ</p><p>つかまえてみて</p><br><p>ほんとに速いんだな、</p><p>ふぅー、タバコもっと早くにやめときゃよかった…</p><br><p>どうしたの？そんなに遅いとつかまんないよ</p><br><p>ちょ、ちょっと待って</p><p>速すぎるよ</p><br><p>待ってあげないよ</p><p>あはははは</p><br><p>おい、待ってくれよ！！</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>僕はそこで目を覚ましました。それから間髪入れずに大声を出してしまいます。</p><br><p>「うわぁ！！」ユウコの顔が目の前にあったのです。</p><p>「こっちがびっくりするわよ。うなされてたと思ったら、急に叫ぶんだもの」とユウコ。</p><p>「あぁ、夢か……」</p><br><p>僕は額の汗をシャツの袖でぬぐいました。</p><br><p>「夢でうなされるなんて……おじさんになってもそんなことあるんだね？」</p><p>「おじさんでもあるんだよ。ほら、心臓がまだドキドキしてる」</p><p>「ドキドキってゆー歳ぃ？君、おもしろいね」</p><br><p>僕はユウコが愉快そうに笑っているのを見て、</p><p>ほっとしました。妙にすっきりとした気分です。</p><br><p>「男の子と遊んでる夢見たんだ」</p><p>「男の子？」</p><p>「うん、見覚えはない子だったけど。でも、俺のことパパって呼んでた」</p><p>「パパ？君、子供がいたの？隠し子？」</p><p>「隠し子ってなんだよ、まだ未婚なんだけど」</p><p>「知ってます」</p><p>「知ってるなら聞くなよな」</p><br><p>ユウコの額を指でつつきました。</p><p>ユウコは僕の指にかみつこうとしてきます。</p><br><p>「おい、やめろって」</p><br><p>ぐいぐい前に圧力かけてくる彼女を押しのけようとしたら、</p><p>不意に僕の首に抱きついてきました。</p><p>そして、ちからいっぱいに締め付けます。</p><br><p>「く、苦しいです。やめて…」</p><p>「いや、やめない」</p><p>「お、おい、ユウコ…」</p><br><p>なおもちからを込めるユウコ。</p><p>呼吸するのも必死な僕。</p><br><p>「ギブ、ギブ。何でも…言うこと聞くから…やめて」</p><p>「ほんとに？」</p><p>「ああ…ほんと…だから。何でも…聞くって」</p><p>「じゃあ、結婚しよう？」</p><p>「わかった、わかった……え？」</p><br><p>一瞬身を固くした僕に、ユウコは素早くくちづけしました。</p><p>僕は、さらに固まってしまいました。</p><br><p>唇が離れ、彼女は僕の目をまっすぐに見つめます。</p><br><p>「結婚するんだから、いーじゃない」</p><p>「おい、俺の意思はまったく尊重されないのかよ？」鼓動が高くなっていました。</p><p>「だって、何でも言うこと聞くんでしょ」</p><p>「普通こうゆーときに、結婚なんて出てこないだろ」</p><p>「いーじゃん、君のこと好きなんだからさ」</p><p><br>急にユウコは眉根を寄せて不安そうな表情を浮かべました。</p><p>僕が手術するのを不安に思ってくれているのでしょうか。</p><br><p>「…大丈夫、結構こう見えて頑丈だからね、俺」</p><br><p>そんな言葉で彼女の不安をぬぐえないのはわかっていました。</p><p>僕はそれでも言葉を続けます。</p><br><p>「…おなかの子、どっちかな？俺は男の子だと思うんだけど、ユウコはどっちがいい？」</p><p>「女の子がいい」</p><p>「君に似たら美人になるだろうけど、嫁にいかせるのがつらいから、女の子はいやだな」</p><p>「そんな先のこと心配してもしょうがいないじゃん」</p><p>「心配するよ。俺みたいなヤツが、お父さん娘さんをください、ってきたら、俺はどうすればいい」</p><br><p>将来のことを考えてみて、</p><p>改めて生きていきたいと思いました。</p><br><p>「君みたいなのがきたら、まずは2、3発殴ってやらないと、ね」</p><p>「そうだね。根性無いやつなら大事な娘はやれない」</p><br><p>と、ユウコは涙をぬぐうしぐさを見せて、僕から離れました。</p><br><p>「…入院の準備してくるね。元気に退院してきてよ。</p><p>結婚してもいいってゆー奇特ないい女が待ってやってるんだから」</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>パパは遅いね</p><p>ボク、まだ本気だしてないんだよ</p><br><p>ま、まじか</p><p>それはすごいな<br><br>これじゃおにごっこになんない</p><br><p>ご、ごめん</p><br><p>つまんないから、ママのところに帰ろう？</p><p>さっき、ママが呼んでたんだ</p><p>ごはんだよーって</p><p><br></p><p><br><br></p><p>小さな男の子は手を伸ばしてきます。</p><p>僕は男の子と手をつなぎました。</p><br><p>少し腰をかがめて並んで歩く姿は、</p><p>親子のそれみたいに見えるのでしょうか。</p><br><br><br><p>夢の続きを見てみたい。</p><br><p>冬が終わって春が来て、</p><p>遅咲きの桜が咲く頃には、</p><p>パパは君を抱いてあげられるのかな。</p><br><p><br><br><br><br></p><p><br><br><br></p><p><br><br></p><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/nandf2000/entry-11452066861.html</link>
<pubDate>Sat, 19 Jan 2013 01:08:56 +0900</pubDate>
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<title>紡がれる命の悦び</title>
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<![CDATA[ <p><br>僕は少し苛々していました。</p><p>タバコをふかしては、</p><p>消える前にまた次のタバコを取り出し、</p><p>延々と吸い続けていました。</p><br><br><br><p>満足のいく答えは、</p><p>たぶん僕のあたまでは思いつくことはできないのでしょう。</p><br><p>そしてそれは、たぶん答えなんてなくてもいいんだと思います。</p><br><p>何かに答えを求めて、それはなぜ？って、</p><p>数回突き詰めを行うのは悪い癖です。</p><br><p>論理的に導かれた答えはそれは立派なものでしょう。</p><br><p>でも、明快に答えがでない問題に向き合う機会が</p><p>多くなった今、本能的にこれだって思えることを、</p><p>尊重するようなこともたびたびあるんじゃないかって、</p><p>考えるようになりました。</p><br><p>直観力のない僕が言うのも変ですが、</p><p>人ってみんな、大事な局面の対処の仕方は、</p><p>実はわかっているんだけど、それまでの経験や打算が</p><p>働いて、霧の中にかすめてしまうものなんだと思います。</p><p><br>目や耳や肌で感じたことを瞬時に判断して、</p><p>次の行動に移してゆけば、</p><p>ほんとうはそれが一番正しいやり方のような気がします。</p><br><p>間違いを犯したって、</p><p>その次似たような間違いを犯さなければいいのですから。</p><br><br><br><p>そこまで自分で結論付けて、やっと灰皿の前を離れました。</p><p><br>直感で僕の出した答えは、</p><br><p>”守るべきものを持つ覚悟なら、</p><p>　　　　　　　　　　　　　命ある限り守り続ける”</p><br><p>ってゆう、普通の人からしたら、</p><p>あたりまえのものでした。</p><br><p>僕が足踏みしていたのは、</p><p>僕自身の命の長さの問題です。</p><br><p>本格的な検査は入院してからになりますが、</p><p>僕を診断した医者は、神妙な面持ちで、</p><br><p>「家族の方はいらしゃいますか？できればご一緒に詳しい話をしたいのですが……」</p><p>と、カルテを見るのを止め、僕に向き直りました。</p><br><p>家族はいないのですが、と伝えると、</p><p>僕の病気について、かいつまんで話してくれました。</p><br><p>簡単に言うと、僕の両方の肺は重大な手術が必要なのだそうです。</p><br><p>前からダメになっていた左の肺は全摘出して、</p><p>ましな右の肺を蘇生措置を施すんだとか。</p><br><p>手術の成功の確率よりも僕が気になったのは、</p><p>術後、どれぐらい生きられるか、ということでした。</p><br><p>人それぞれの与件があるので一概には言えないそうです。</p><p>手術自体がうまくいかずに、すぐ亡くなることもあったり、</p><p>うまくいけば天寿をまっとうできるまでは生きられる人もいる。</p><br><p>検査や定期健診のために病院に来なければいけないのは</p><p>億劫でしたが、生まれてくるであろう命とともに歩む時間が</p><p>与えられるかも知れないことに、とても感謝しました。</p><br><p>でも、不安はあります。</p><br><p>もし、僕の命が思いのほか早く尽きてしまったら……</p><br><p>その考えを頭を振って振り払います。</p><br><p>それは考えたってしかたのないことです。</p><br><p>未来は等しく訪れます。</p><p>それを受け入れる準備をしておくほうが、</p><p>よっぽど大事です。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>僕は、まだ10本以上入っているタバコの箱を</p><p>ゴミ箱に捨てました。</p><br><p>これからは、健康にだって少しは気をつけてみよう。</p><br><p>そう思えるのは、</p><p>これからの道に明るく陽の光が射しているからなのでしょうね。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>ありがとう。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/nandf2000/entry-11451403168.html</link>
<pubDate>Fri, 18 Jan 2013 01:24:22 +0900</pubDate>
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<title>おわりとそして、はじまりのうた</title>
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<![CDATA[ <br><br><br><p>ああ、忌まわしい記憶よ</p><br><br><br><p>流れる涙とともに去れ</p><br><br><br><p>熱き血潮よ</p><br><br><br><p>陽の光とともにちからを与えたまえ</p><br><br><br><p>白く輝く未来へ</p><br><br><br><p>愛する者たちとともに………</p><p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>握り締めたこぶしは</p><p>ちからが入り過ぎて</p><p>皮膚を破って血をしたたらせた。</p><br><p>生暖かいそれは</p><p>僕が確かに今を生きている証だった。</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p><br><br><br><br><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/nandf2000/entry-11450778395.html</link>
<pubDate>Thu, 17 Jan 2013 05:47:30 +0900</pubDate>
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