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<title>neoneoのブログ</title>
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<description>フィクションです(^^)v</description>
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<title>サッカー部</title>
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<![CDATA[ キオミは入学後、<br>仲良くなったクラスメイトの飯山桃子と一緒に<br>サッカー部のマネージャーを担当することになった。<br>放課後は選手の練習をサポートし、<br>休日は練習試合の遠征に付き添う毎日。<br>家に帰れば、家事や食事の準備が待っていた。<br><br>「いっぱい青春を謳歌しなさい。」<br><br>父親も母親も、そんなキオミを温かく見守ってくれた。<br><br>片想いだったが好きな人もできた。<br>サッカー部の副キャプテン、<br>横尾崇だ。<br><br>キャプテンの高田洋平が<br>熱血漢なのとは対照的に、<br>横尾はいつも優しく部員やキオミたちマネージャーに接する、器の大きな人だった。<br><br>マネージャーはキオミの他にも二名いて、<br>飯山桃子と、横尾や高田と同じ三年生の宮川郁子がいた。<br>総勢二十名を超える部員たちのサポートは、<br>三名のマネージャーでも手に余るものがあり、<br>洗濯やスコアの整理、部室の掃除、遠征の準備など、<br>学校のある日は毎日八時近くまで<br>残っていることが多かった。<br><br>「キオミちゃんと桃ちゃんがマネージャーになってくれて、本当に助かる！」<br>郁子は口癖のように二人に感謝してくれた。<br>「郁子先輩、今まで良く一人で回してましたねぇ。」<br>キオミが感心する。<br>「回ってなんかないよー。もう、毎日ボロボロだったんだから。」<br>郁子の言うとおり、キオミと桃子がサッカー部を訪ねた初日、<br>部室は驚くほど散らかっていて、<br>二人を大いに驚かせた。<br>その惨状を目の当たりにして、<br>キオミと桃子は即座にサッカー部のマネージャーになる決心をした。<br><br>「類は友を呼ぶ」ということわざ通り、<br>キオミと桃子は、困った人を放って置けない姉御体質な性格が良く似ていた。<br><br>キオミの通うS高校では、<br>サッカー部は創部四年目とまだ年月が浅く、<br>東京都の地区大会でも、四年間でまだ一勝しか<br>実績を残すことができていなかった。<br>「私たちが縁の下から支えて、強いチーム作りに協力しよう！」<br><br>マネージャー三人の結束は固かった。<br>キオミの提案で、部の標語を考えることになった。<br><br>「燃え尽きよう」<br><br>その標語は、副部長の横尾が考えたものに決まった。<br>書道の得意な郁子が大きなパネルにこの言葉を書き、<br>部室に掲げた。<br><br>練習後のディスカッションも、<br>マネージャーたちが、<br>対戦校ごと、選手ごとに<br>まとめたスコア表と分析表が<br>大いに役立ち、<br>より綿密な戦略が立てられるようになった。<br><br>「マネージャー三人のお陰だよ。」<br>横尾が労ってくれる。<br>「悪いが、来月までにY高校の過去の試合、分析表にまとめといて。」<br>高田からも更なる要求が課せられた。<br>「頼りにされてる。いい風が吹いてるなぁ。」<br>キオミは嬉しかった。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/neoneo2013/entry-11479976650.html</link>
<pubDate>Wed, 27 Feb 2013 22:28:40 +0900</pubDate>
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<title>続・離婚</title>
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<![CDATA[ キオミの高校生活は、<br>府中にある2DKの小さなアパートからスタートした。<br><br>結局足立のアパートを出ていく父の清彦に、<br>キオミがついていく形で家族はバラバラになった。<br><br>離婚直前まで、<br>清彦だけが出ていく段取りだったため、<br>両親にとって、かなり想定外の結果となった。<br><br>しかし、視覚障害が進む辰彦が、<br>これ以上障害を隠してキオミと生活するのが難しくなってきたことと、<br>キオミが通うことになった高校が東京の西外れに位置し、<br>足立のアパートから二時間以上かかることもあり、<br>清彦と二人で西の郊外へ移り住むことが好都合である、<br>と話がまとまった。<br><br>「お父さんは、不器用だからね。私かお母さんみたいな人がそばにいないと、不摂生ですぐ体壊しちゃうよ。」<br><br>キオミは、両親の離婚の真意を聞かなくなっていた。<br>ただ何となく、父からではなく、<br>母が下り半を突きつけたように感じていた。<br>これはあながち真実からは外れていない。<br>しかし、そうだとするとこれ以上離婚の原因を追及することは、<br>父のプライドを傷つけることになるとキオミは考えたのだ。<br><br>数年来、仕事に恵まれない父。<br>離婚を機に、自営を断念し、就職先を見つけることになった。<br>幼い頃から自宅が職場だったから、<br>いつも働く父の姿を見てきた。<br>仕事に誇りをもつ職人気質の父が大好きだった。<br><br>そんな清彦が離婚と転職を余儀なくされるなんて、<br>本人は相当傷ついているに違いない。<br>今こそ、娘として父を助け、励ましたいという使命を感じていた。<br><br>そんな清彦も、ようやく就職先が見つかった。府中市内のホームセンターに併設された<br>工作室のスタッフとして、<br>新たなスタートを切ることになった。<br>「お父さん、就職先見つかったんだよ！凄いでしょう？」<br>キオミは真っ先に理緒子に電話で伝えた。<br>「凄いじゃない。良かったわ。」<br>母も嬉しそうである。<br>「工作室で開催するイベントで、<br>今度革の小物作り教室任されるんだって。」<br>「へぇ。」<br>「また、よりを戻したら？」<br><br>背後でテレビを見ている清彦を気遣い、<br>小声で囁く。<br>「キオミったら！」<br>母は苦笑し、話題を変える。<br><br>「お兄ちゃんが、いよいよ来年就職でしょう？今度、清彦さんにもアドバイス貰いたいわ。」<br>「だからさあ、一緒に暮らせば、いつでもアドバイスなんてもらえるじゃん。<br>それに、『清彦さん』なんて他人行儀だよ。<br>私やお兄ちゃんにとってはお父さんに変わりはないんだから、お母さんだって『お父さん』のままでいいでしょう？」<br><br>つい声が大きくなり、<br>清彦に聞こえてしまったようで、<br>背後から咳払いが聞こえてきた。<br><br>「じゃ、とりあえず今日は報告終わり！またね。お兄ちゃんにもよろしく。」<br>キオミは慌てて電話を切った。<br><br>何だか、いい風が吹いている気がする。<br>もしかしたら、意外とあっさり再婚するかも…。<br><br>元来、キオミは楽天家の気質だ。<br>これからも、夫婦を説得する機会を作ろうと考えていた。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/neoneo2013/entry-11479603926.html</link>
<pubDate>Wed, 27 Feb 2013 13:06:33 +0900</pubDate>
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<title>離婚</title>
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<![CDATA[ キオミが高校に入るのを待っていたかのように、<br>両親はその年の五月に離婚をした。<br><br>辰彦は福祉の専門学校に入学し、<br>将来的に福祉関係での仕事を見つけることを目指していた。<br>彼はこのころから視覚障害が始まっており、<br>すでに左目の視覚がほとんど欠けていた。<br>通っている専門学校では、<br>右目で黒板の見えやすい席へ<br>移してもらった。<br>友達や講師にも恵まれ、<br>温かい配慮の下で登校を続けていた。<br>近視になることと、視覚が欠損することとでは、大きく意味が異なる。<br>しかし、家族はキオミに辰彦の視力が急激に落ちたとだけ伝えていたため、兄が重度の近視であると思い込んでいた。<br><br>そんなキオミにとって、<br>両親の離婚話も寝耳に水だった。<br><br>「何で？急にそんなこと言うなんて。お兄ちゃんと私はどうすればいいの？二人とも無責任だよ！」<br><br>辰彦は、<br>「キオミ、父さんと母さんが悩み抜いて出した結論なんだ。分かってあげようよ。」<br>と諭した。<br><br>キオミには、辰彦がなぜ両親の味方になるのか、<br>まるで分からなかった。<br><br>実は、キオミにも真実を打ち明けるべきだと<br>清彦はこれまでに何度も理緒子を説得していたが、<br>一度も首を縦に振らなかった。<br><br>「あなたと別れて、時期が来たらきちんと私からキオミに話します。」<br>これが理緒子の出した結論だった。<br><br>女性であるキオミには、<br>辰彦のように遺伝性疾患の症状が出る確率は低い。<br>しかし、これから恋愛し、結婚し、<br>更に子供を産むとなると、<br>きっとその節目節目で<br>大きな試練が彼女に立ちはだかるだろう。<br><br>その日のために、<br>理緒子はキオミが高校を卒業する<br>十八歳になったら、真実を告げようと決心していた。<br><br>せめて、高校生活の三年間は何も知らずに青春を謳歌してほしい…。<br><br>ところが、いざ離婚となったとき、<br>夫婦が想定していなかった事態が発生した。<br>キオミが、父の清彦についていく、<br>と譲らなかったのだ。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/neoneo2013/entry-11479549735.html</link>
<pubDate>Wed, 27 Feb 2013 11:10:07 +0900</pubDate>
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<title>事実</title>
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<![CDATA[ 「お兄ちゃん、どうしたの？ご飯食べないの？」<br><br>キオミの声にハッとなった。<br>「あ、うん。食べるよ。」<br>慌てお箸を持つ。<br><br>「変なお兄ちゃん。」<br>そう言うと、ご機嫌なキオミは鼻歌を歌いながら、<br>食卓に持ち込んだ手鏡で自分の首もとを飾る<br>オモチャのネックレスを覗きこんでいた。<br>先日浅草の遊園地に行った帰りに<br>雷門の商店街で一緒に行った友だちとお揃いで買ったものだという。<br><br>理緒子は朝から近所の老人ホームへ<br>アルバイトに出た。<br>清彦も近くのホームセンターで開催される<br>「春休み ちびっこ手作り教室」と銘打ったイベントのために、<br>革細工教室の講師として出かけている。<br><br>今日は辰彦とキオミは二人で留守番だ。<br><br>先日八王子を訪れた際に、<br>辰彦は藤男から入学祝い金をいただいていた。<br>思いの外その金額が大きく、<br>辰彦は躊躇したが、<br><br>「自分には、辰彦やキオミが子供のような存在だからな。受け取ってくれないか？」<br>と逆に懇願され、根負けしていただいてきた。<br><br>決して豊かではない暮らしの中で<br>コツコツと貯めたであろう大金を前に、<br>本当に頭が下がる思いだった。<br><br>それにしても…、と辰彦は思う。<br>あの日、藤男から聞いたことが頭から離れない。<br>ここ数日、辰彦の気持ちは暗く沈み、<br>考え込んでばかりいた。<br><br>「辰彦、よく聞いておくれ。」<br>藤男はあの日、<br>ほとんど見えないはずの眼差しを辰彦に向けて<br>ズシン響く一言を放った。<br><br>「辛いけれど、きちんと事実を受け止めて今を一生懸命生きなさい。」<br><br>「辰彦、藤男おじさんはね、<br>お前が五年前に入院して精密検査で事実が分かるまで、<br>自分の失明の原因が遺伝性のものだと知らなかったのよ。」<br>ずっと黙っていた理緒子も<br>横から静かに語った。<br><br>遺伝性の病気を抱えている家系である事実。<br>その因子は母親から引き継がれてしまうという事実。<br>その九割が二十歳までの男性に発症するという事実。<br>そして、症例は視覚障害、心臓疾患であるという。<br><br>五年前に理緒子から、<br>涙ながらにそれらの事実を聞かされていた藤男。<br>今、ゆっくりとした口調で辰彦に言う。<br>「<br>辛いが、お前は私と同じようにこれから失明する可能性が高いんだよ。」<br><br>辰彦は身震いした。<br>先ほど両親が離婚を口にしたときに流した涙も、<br>今はあまりのショックのために止まってしまった。<br><br>今日、キオミだけ浅草の遊園地に遊びに行かせたのは、両親が予め画策したことに違いない。<br>こんな話しは、まだ小学生のキオミには重すぎる。<br><br>「お父さんと離れて一人で考えたい」<br>と言った母の気持ちや、<br>夫婦として続けて行くことを断念した二人の気持ちは、相当深刻なはずだ。<br><br>藤男と別れ、帰宅するまでの長い時間、<br>辰彦を始め、清彦も理緒子も<br>ずっと押し黙ったままだった。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/neoneo2013/entry-11477265960.html</link>
<pubDate>Mon, 25 Feb 2013 18:58:00 +0900</pubDate>
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<title>藤男</title>
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<![CDATA[ 藤男は生まれながらに<br>目が悪かったわけではない。<br><br>工業高校卒業を間近に控えた十八歳の秋、<br>ふと授業中に黒板の文字が霞み、<br>見えづらいことに気づいた。<br><br>『いつもは見えていたはずなのに…。』<br><br>そう言えば、昨晩からずっと頭痛が続いている。<br><br>家計を助けるために、<br>藤男は毎朝近所の同級生と新聞配達をしていた。<br>今朝も、頭痛を気にしながらいつも通りに<br>自転車で近所に配達してまわり、<br>その後登校していた。<br><br>『寝不足かな。いや、もしかしたら近眼になってしまったかもしれない。』<br><br>違和感を感じたまま一日を過ごした。<br>そして学校から下校中、藤男は自宅の近くの路上で意識を失い、倒れた。<br><br>その二日後にようやく病室で目覚めたとき、<br>違和感は確信的なものとなった。<br><br>目を開けているはずなのに周囲は霧に包まれたかのようだった。<br>白いすりガラスの向こうにうっすらと人影を感じた。<br><br>そこにはすりガラスなどなく、<br>うっすらとした人影が<br>自分を心配する母や、<br>妹の理緒子の姿であることを理解するのに、<br>長い時間が必要だった。<br><br>退院するまでのひと月の間に<br>何度も検査を繰返した。<br>医師からは、原因不明の突発性視神経炎で、<br>視神経が萎縮していることから<br>もはや回復は困難であることを告げられた。<br><br>卒業後は横浜の造船会社に就職が決まっていたが、<br>事情を伝えると無情にも内定は取り消された。<br><br>ショックだった。<br>外出することもなくなり、<br>自宅に引きこもる毎日の中で<br>唯一の楽しみはラジオを聞くことだった。<br><br>ある日ラジオを聞いていると、<br>自分と同じように目の不自由な人たちが<br>指圧師、鍼灸師や整体師として働く様子が紹介された。<br>藤男は聞き入った。<br>そして、自分の生きる道がようやく見つかった気がした。<br><br>このとき、すでに退院から二年の月日が経っていた。<br><br>藤男は再び前進を始めた。<br>この二年間、塞ぎこむ自分を心配し、<br><br>励ましてくれた家族に恩返しをしたい一心で<br>指圧師としての知識や技術を必死で学び、<br>何とか自立できるようになった頃、<br>相次いで両親を亡くした。<br><br>更にこのころ、<br>残された唯一の肉親である妹の理緒子に、嫁入り話が舞い込んだ。<br>職人気質で誠実そうなその相手こそ、清彦であった。<br><br>理緒子は実家に藤男一人を残したまま家を出ていくことを随分悩んだが、<br>藤男は理緒子を説得し、<br>「自分は一人でも大丈夫。理緒子には絶対に幸せになって欲しい。」<br>と力強く後押ししたのだ。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/neoneo2013/entry-11475540649.html</link>
<pubDate>Mon, 25 Feb 2013 18:58:00 +0900</pubDate>
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<title>続・辰彦</title>
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<![CDATA[ 勝手知ったる実家なので、<br>理緒子はすぐに台所に立って、<br>自分達のお茶を用意した。<br><br>「受験頑張ったなぁ。良い高校に入れて何よりだ。」<br><br>藤男は辰彦と清彦を茶の間に通すと、自分の定位置のひじ掛け椅子にゆっくりと腰を下ろした。<br><br>「そうなのよ。私も辰彦には感心したわ。A高校に受かるなんて。」<br><br>得意気に理緒子が台所から割って入る。<br>照れ臭くて、辰彦は黙ったまま自分の組んだ手を見つめる。<br><br>確かに、中学に入ってからの三年間、辰彦は良く勉強を頑張った。<br>逼迫していく家計の様子をひしひしと感じ、<br>高校に行くなら公立しかないと、<br>口には出さずとも両親もそれを望んでいるのが手に取るように伝わってきた。<br>相変わらず体の調子が悪い日が多く、学校は休みがちだったが、<br>遅れまいと自習を続け、<br>気がつけば、地元では一番の公立高校が射程圏内に届くほど<br>優秀な成績を修めるようになっていた。<br>そして担任が太鼓判を押した通りに、無事合格を果たすことができた。<br><br>「キオミは元気かい？」<br><br>藤男の問いに、辰彦は答える。<br><br>「うん。朝、はりきって遊園地に出掛けた。」<br>「そうかぁ。…子供の成長は早いなぁ。春から五年生だな。」<br>「うん。」<br><br>「どれ、辰彦。手、触らしてくれないか？」<br><br>辰彦は藤男の傍まで行き、<br>黙って藤男の手をとった。<br><br>全盲に近い藤男は、<br>成人してから指圧師の資格を取り、<br>時々近所を訪問し日銭を稼ぐ。<br>両親、つまり辰彦やキオミの祖父母が残した財産や、<br>市からの福祉援助金で細々と暮らしてきた。<br>藤男の温厚な性格をよく知る知り合いから、いくつか見合い話もあったと<br>理緒子は聞いているが、<br>残念ながら良き伴侶に巡り会うこともなく、生涯独身を通してきた。<br><br>「細い手だ。高校に入ったら、筋肉をつけないとな。」<br>「うん。伯父さん、さすが商売道具の手だね。指が太い。」<br>辰彦は照れを隠すように明るく言う。<br><br>そこへ理緒子が台所からお茶を運んできた。<br><br>すると、それまでずっと黙っていた清彦が、<br>不意に咳払いをする。<br><br>「辰彦。」<br><br>いつもよりもゆっくりと、<br>低い声だった。<br><br>「父さんと母さん、そして藤男さんからお前に話しておきたいことがある。」<br><br>あらたまった言い方に、辰彦は心が一気にざわめいた。<br><br>清彦は理緒子の方にちらりと目をやり、<br>再び辰彦を見つめる。<br>理緒子も藤男も、申し合わせたかのように何も言わない。<br><br>「すぐにではないが、父さんは母さんと離れて暮らすことにした。」<br><br>いきなり本題を口にした。<br>何となく、この数年間の夫婦の状態から、この発言は覚悟はできていた。<br>しかしいざとなると、辰彦は青ざめ、体が震えた。<br>黙っていると、今度は理緒子が喋り始めた。<br>「ごめんね、辰彦。でも、わかってほしいの。お母さん、お父さんと離れて考えたいことが色々あるのよ。」<br><br>「…もう、決まったことなの…？」<br><br>乾いた喉にからは、かすれた声しか出なかった。<br>理緒子はうつむき、そして堪えきれず嗚咽を漏らし始めた。<br><br>清彦はため息をつき、そして呟くように言った。<br>「そういうことだ。但し、キオミが高校に入るまであと五年は、今のまま四人家族だ。」<br>「理由は？教えてよ。」<br>「だから、色々考えたいのよ。」<br>「違う！」<br>辰彦は自分でも驚くような大声で否定した。<br>「僕が…これまで気づかないとでも思ったの？父さんも母さんも、僕が心臓発作で入院した頃から、何かが変わった。」<br>「辰彦。」<br>藤男が割って入った。<br>「突然聞かされて、驚くのは無理ないよなぁ。お前は、本当に可哀想になぁ。」<br>急に涙が込み上げてくる。<br>「辰彦、すまんが暫く私の話を聞いてくれないかい？賢いお前ならば、きっとこの二人の辛い決断の意味が分かるはずだ。」<br>言葉が出てこない。涙を拭う辰彦に、<br>藤男は深くため息をついたあと椅子に座り直し、ゆっくり語り始めた。<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/neoneo2013/entry-11472511880.html</link>
<pubDate>Mon, 25 Feb 2013 18:57:00 +0900</pubDate>
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<title>辰彦</title>
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<![CDATA[ ガチャガチャとドアノブを回す音と共に、辰彦が帰ってきた。<br>「お兄ちゃんおかえり！」<br>「おっ、キオミ。」<br>狭いアパートの玄関口で、辰彦はゆっくりと靴を脱ぐ。<br>視覚に障害があるのため、辰彦は動作が緩慢だ。<br>「図書館に行ってたんだって？」<br>「うん。」<br>ようやく靴を脱ぐと、白杖を下駄箱に仕舞い、<br>玄関からまっすぐ続く手すりに沿って廊下を入ってきた。<br>辰彦は昨年心筋梗塞を起こし、その後遺症から失語症を患っている。<br>リハビリを繰り返し、今ではごく簡単な単語なら出てくるようになった。<br>「辰彦、おかえり。手洗ってきて。ご飯にするよ。」<br>理緒子が優しく声をかける。<br><br>辰彦は小学校六年生の時に、<br>遺伝性視神経症であることを医師から告げられた。<br>高校に入ってから徐々に視野狭窄が進んでいき、<br>今では左目が視覚欠損のためほとんど見えない。<br>右目は上半分の視野が欠損しているが、<br>日常ではほとんどこの右目に頼って過ごしている。<br>また、この病の特徴として心臓疾患の合併症を伴う場合があり、<br>辰彦は幼い頃からこれまでに、<br>何度も心臓発作を繰り返し、昨年とうとう心筋梗塞で倒れた。<br><br>妹のキオミに辰彦のような症状が出ていないのは、この疾患がほぼ男性にのみ現れる病気だからである。<br><br>昭和に入って医学が進歩し、<br>この遺伝性視神経症は母親から息子に引き継がれていってしまうことが証明された。<br>理緒子は辰彦が六年生でこの診断を受け、事実を知ったときに、<br>激しく動揺し、深く自分を責めた。<br><br>理緒子には、視覚障害をもった兄が一人いて、長い間原因不明と言われてきた。<br>しかし、医師から正式に辰彦の病名とその特徴を告げられたことで、<br>やっとその理由が理解ができ、<br>受け入れがたい現実と向き合うことになったのだ。<br><br>失意の理緒子は、自責の念で塞ぎこんだ。<br>「辰彦にどう伝える？キオミには？」<br><br>夫婦は夜遅くまで話し合いを繰り返した。<br>更に悪いことが重なった。<br>この頃、合成皮革の市場台頭が激化し、<br>皮革製品の修理業を営む清彦の仕事が激減してしまったのだ。<br><br>清彦と理緒子の関係は徐々にギクシャクし始めた。<br><br>辰彦は何となく勘づいていた。<br>小学校最後の年、自分が心臓発作で入院した頃から、清彦と理緒子の表情に暗い陰が差し込むのを。<br>そして、それを見せまいと取り繕っているのを。<br>しかし辰彦は、それが清彦の仕事のせいだと思い込んでいた。<br>辰彦が中学に上がると、<br>ついに清彦は実質的な失業状態となり、<br>理緒子は近くの老人ホームでアルバイトを余儀なくされた。<br><br>高校入試が終わったある日、辰彦は両親と三人で八王子の理緒子の実家に連れ立った。<br>春休みのこの日、キオミは友達家族に便乗して浅草の遊園地へ出かけた。<br>「藤男おじさんによろしく！」<br>興奮したまま朝早く出かけて行った。<br>藤男おじさんとは理緒子の兄のことである。<br>実家といっても理緒子は両親を早くに亡くしており、<br>今は藤男が一人で暮らしている。<br>辰彦にとっては祖父のような存在で、目が不自由な人だが、昔から何かと一家を気にかけてくれるていた。<br>高校が決まった時心から喜んでくれて、彼にお祝いを渡したいと申し出てくれた。<br>そこで、春休みを利用して挨拶に出かけることになったのだ。<br>藤男は一人で遠出できない事情から、<br><br>いつも電話や手紙でのやりとりが多く、対面するのは実に五年ぶりだった。<br>「久しぶりだなぁ。辰彦、高校合格したって？おめでとうなぁ。」<br>柔和な表情は、五年前のままだった。<br>「ありがとうございます。」<br> <br>そして、辰彦はこの一時間後に自分の人生を左右するショッキングな事実を藤男と両親から聞かされることになったのだ。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/neoneo2013/entry-11467422197.html</link>
<pubDate>Mon, 25 Feb 2013 07:01:00 +0900</pubDate>
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<title>続・キオミ</title>
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<![CDATA[ キオミは昭和四十七年十月九日に東京都足立区の下町にある都営アパートで生まれた。<br>キオミこと丸山清緒実は、<br>「清」を父から一文字、「緒」を母から一文字、実りある豊かな人生を生きてほしいという願いが込められている。<br>また、彼女には五歳年上の兄、辰彦がいる。<br>辰彦は生まれつき病弱で、<br>キオミが物心ついた時から<br>入退院を繰り返していた。<br><br>彼女が小学校一年生の時、鮮明に残っている記憶がある。<br>ある日学校から帰ると、いつもはいるはずの家族が、<br>何故か全員留守をしており、鍵がかかって家に入れない状態だった。<br>専業主婦の母親と、自宅兼職場で革職人として革製品の修理を生業とする父親。<br>これまでキオミが自宅に帰ると、<br>必ず誰かが家にいることが当たり前の家庭で育ったため、大きく動揺した。<br>ドアの前で泣きながら突っ立っていると、<br>アパートの隣人、山崎のおばあさんが顔を出した。<br>「あ、キオミちゃん、帰ったかい。<br>お父さんとお母さんね、辰っちゃん連れて病院行ってるよ。」<br><br>結局キオミは山崎のおばあさんの家で両親が戻るのを待たせてもらうことになった。<br>実はこの日、朝から辰彦は体調が優れず学校を休んでいた。<br>しかしキオミが下校する少し前に容体が急変。てんかんと心臓発作を併発させ仮死状態となり、<br>両親は取るものも取り合えず、<br>救急車を呼んで辰彦を近くの総合病院に担ぎ込んでいたのだ。<br><br>「学校に連絡したら、キオミはもう帰ったって。山崎さん、悪いけどキオミが帰宅したら、面倒をお願いします。」<br>普段から辰彦やキオミを可愛がってくれる隣人の山崎のおばあさんに頭をさげ、<br>理緒子はキオミが帰宅するほんの五分前に<br>清彦と一緒に辰彦を救急車に乗せて出ていってしまったのだ。<br><br>清彦と理緒子は結局この日、帰って来なかった。<br>キオミは自宅アパートの隣室とはいえ、他人の家で一晩過ごすことになった。<br>実は清彦と理緒子はこの夜、一度山崎のおばあさんにキオミの様子を心配して電話をかけていた。<br>辰彦は一命をとりとめたものの、予断を許さない状況が続いており、<br>更に夫婦は医師から予期せぬ告知を受けたばかりだった。<br>辰彦には、遺伝性の疾患を抱えている疑いがある、と。<br>理緒子は激しく動揺し、キオミと電話で話せる状態ではなかった。<br>清彦が山崎のおばあさんに、やっとの思いで簡単に事情を話すと、再度、キオミのことを頼みます、と頭をさげて直ぐに電話を切った。<br><br>何故家族が一晩も帰ってこないのか。キオミは理解できず、<br>次々に込み上げる涙を拳でぬぐった。<br><br>そんな彼女に山崎のおばあさんは優しかった。<br>旦那さんと死に別れてからは他に身よりもなく、<br>キオミの両親が新婚で入居するずっと前からこの都営アパートで一人暮らしをしている。<br>「キオミちゃんはいい子だね。今日はおばあちゃんと大好物のコロッケ食べてに一緒に寝ようね。」<br>山崎のおばあさんの言葉に、キオミの目からはますます涙が溢れる。<br>子供心に、山崎のおばあさんを困らせたくないと強く思っているのに、<br>言い様のない切なさと不安感をどうしても拭えない。<br>泣き疲れて眠りにつくまで、<br>山崎のおばあさんはずっとキオミを膝に乗せて昔話や童謡を聞かせてくれた。<br><br>そして、翌日のお昼すぎに夫婦はやっと帰宅した。<br>母の理緒子は憔悴しきっていたが、<br>何も知らないキオミはやっと両親に会えた喜びで思いっきり抱きついて甘えた。<br><br>この日、キオミは生まれて初めて学校を休んだ。<br><br>辰彦は容体が安定したものの、<br>精密検査のため、そのまましばらく入院となった。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/neoneo2013/entry-11462628606.html</link>
<pubDate>Sun, 03 Feb 2013 10:56:43 +0900</pubDate>
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<title>キオミ</title>
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<![CDATA[ 「お母さん、ただいまー。」<br>キオミがドアを開けると、母の理緒子がすぐに茶の間から顔を出した。<br><br>「お帰りなさい。キオちゃん久しぶりね。辰彦ももうすぐ帰ってくるわよ。」<br>キオミはコートも脱がずに、茶の間に進み、炬燵に座り込む。<br>「え？お兄ちゃんまだ帰ってないの？遅いじゃん。」<br>「そう。最近辰彦調子が良くて、一人で図書館に通ってるのよ。」<br>「一人で？凄いじゃん！」<br>テレビはサスペンスドラマの中盤で、刑事役の二枚目俳優が難しい顔で考え込んでいるシーンが流れていた。<br>「お母さん、相変わらず刑事モノ見てんの？好きだねぇ。」<br>冷やかすように言う。<br>「いいじゃないの。母さんの唯一の趣味なんだからほっといてちょうだい。このハトヤマっていう俳優さん、若いのに演技が上手くて好きなのよ。」<br>「ハトヤマじゃなくて、ハタヤマ。幡山準一でしょ？」<br>好きな俳優なのに、名前を間違える母に、キオミはため息をつく。しかし、キオミもこの幡山準一は好きな俳優の一人だった。<br>そういえば、笑って目を細めた時の表情が黒川に似ている気がする…。<br>キオミはふと気がついた。<br><br>「ご飯、湯豆腐で良いでしょう？」<br>「えー！久しぶりに帰省した娘に湯豆腐？せめて肉豆腐にしてよー。」<br>「あれ？キオちゃんはダイエット中じゃなかったっけ？それに、久しぶりの帰省って…。同じ都内であなたが一人暮らししているだけじゃない。」<br>今度は理緒子がキオミを冷やかす番だ。<br>「左様ですね。私が悪うございました。どうせ私は万年ダイエット中のおデブですよーだ。」<br>キオミはペロッと舌を出し、<br>ようやくコートを脱ぎ、炬燵から立ち上がり、寒さで肩を縮めながら隣の和室に歩いていく。<br>和室は母の理緒子の寝室なのだが、<br>キオミが帰ってきた時は、<br>ここで布団を二人並べて就寝する。<br>また、この部屋には小さい仏壇も置いてある。<br>キオミは今は亡き清彦を拝む。<br>「あんた、お父さん拝む前に手を洗いなさいよ。全く、帰ってきてやる順番が全部あべこべなのよ。」<br>母は茶の間からキオミに声をかけたが、キオミは黙ったまま仏壇の父の遺影を見つめていた。<br><br>『お父さん、私、どうしたらいい？生きてたら、どんなアドバイスくれた？』<br><br>ここ連日、毎晩のように長時間の散歩を続け、あれこれ考えを整理している。<br>だがまだ何も見えてこない。彼女は自分の行く末をすっかり見失っていた。<br>『どうして私の人生、いつも全部ダメになっちゃうんだろう…。』<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/neoneo2013/entry-11462315457.html</link>
<pubDate>Sat, 02 Feb 2013 21:56:00 +0900</pubDate>
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<title>続・過去</title>
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<![CDATA[ キオミは社会人になってすぐに<br>スポーツクラブ・コミュの会員となった。当時、二十三歳だった。<br>途中で退会して疎遠になっていたものの、<br>その五年後に再入会し、<br>トータルで十年あまり、<br>コミュに通い続けていることになる。<br>五年間も疎遠になっていた理由は、<br>先述の暗い過去というのが関係している。<br>キオミはコミュのインストラクターと一時期恋愛関係になり、<br>結果的に別れることになったのだ。<br><br>きっかけは、彼の受け持つエアロビクスのレッスンに毎週通いだしたことからだった。<br>レッスン前後時間での世間話でいつも会話が弾み、<br>ある日思いきってキオミの方からそっと彼に携帯電話の番号を渡し、<br>思いが通じたのだ。<br>付き合い始めてすぐに、彼は言った。<br>「レッスン中、大勢いても、キオミだけが輝いて見えた。運命だね。」<br>キオミはこの上なく幸せだった。<br>感情が表に出やすい彼女は、<br>他の会員に隠せる自信がなかった。<br>勘の良い女性会員はすぐに気づいてしまうだろう。いや、もしかしたら、既に気づかれているかもしれない。<br>キオミは退会を決意した。<br><br>だが、悲劇が起こった。<br><br>退会直前に、彼が複数の女性会員と関係を続けていることが発覚したのだ。<br>バラしたのは、複数いる彼の恋人の中の一人。<br>どうやら彼の浮気癖に気づき、<br>別れ際の嫌がらせのつもりで<br>インターネット上に存在する「スポーツクラブ・コミュ」の電子掲示板に、洗いざらい書き込んだのだ。<br>さすがに実名は控えていたが、「彼」と特定できる書かれ方だった。<br><br>すぐにスポーツクラブ・コミュでは、<br>彼のことが話題となった。<br>退会を数日後に迎えたキオミは、<br>最後のスタジオ・レッスンの日に、<br>他の会員からこの噂を聞いてしまった。<br><br>寝耳に水だった。<br>家に帰って震える手でパソコンを立ち上げた。<br>電子掲示板はすぐに見つかった。<br><br>愛の言葉まで一緒だった。<br>直感的に、コミュの会員であることが、キオミには分かった。<br>目の前が真っ暗になった。<br>インストラクターは女性との接点が多い人気商売。<br>彼は嘘の上手なお調子者で、<br>キオミはそんな彼に簡単に騙されたのだった。<br><br>通常、この業界は、インストラクターと会員との恋愛を厳しく禁止している。<br><br>明るみになった途端に、<br>彼はキオミからも、業界からも、逃げるように去っていってしまった。<br><br>茫然自失のまま、彼女もまたコミュを退会した。<br><br>再入会したのはそれから五年後。<br>心の傷もようやく癒え、噂も風化していた。<br>五年の間に経営する母体企業が二度も変わり、<br>スポーツクラブ・コミュは更に事業を拡大していた。<br><br>移り変わりの激しい業界ゆえに、<br>顔馴染みのインストラクターがほとんどいなくなっていたことが、<br>キオミには好都合だった。<br><br>今度こそ、純粋に運動を楽しむために。<br>同じ過ちは二度と起こさない。<br><br>彼女は心にそう決めて、<br>再入会したのだった。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/neoneo2013/entry-11462094789.html</link>
<pubDate>Sat, 02 Feb 2013 16:43:00 +0900</pubDate>
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