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<title>新宿ばか物語 ～ ムード歌謡コレクション</title>
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<description>昭和40年代の終わり、新宿歌舞伎町のとある小さなクラブでの出来事をからめて、ムード歌謡を紹介。</description>
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<title>コモエスタ赤坂</title>
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クラブ「Ｍ・Ｍ」のビルの１階にある「笑寿し」は、最近新宿で勢力を伸ばしてきた新興のすしチェーン店である。このチェーンの売りは、明朗会計。すしの値段が、ちゃんと表示されている点である。念のため断っておくが、廻るおすしチェーンではない。ル　ミ：田嶋ちゃん、着いたわ、ここ、ここ。　自動ドアが開いて、店内に入ると、20人ほどが座れる半円形の大きな白木のカウンターがあり、そのすぐ横には、テーブル席、奥には座敷が用意されていた。時間が早いためか、お客は数えるほどしかいない。カウンターの中には数名の板さんが、
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<dc:date>2010-05-12T17:55:39+09:00</dc:date>
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<title>涙とともに</title>
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午後６時半過ぎの新宿駅、通勤ラッシュのピークは一段落したとは言えまだ多くの人々が行き交い、中央改札口付近は混雑でごった返していた。待ち合わせの時刻に、ほんの少しだけ遅れた田嶋だったが、改札を通り抜けると、もうそこにはルミが待っていた。同伴出勤のため、すでに化粧も衣装もお店の中さながらに準備してきたルミの格好は、明るい駅構内ではひときわ異彩を放っていた。ル　ミ：　田嶋ちゃーん、ここよ！田嶋の姿を見つけると、ルミは大きく手を振った。田　嶋：　やあ、待たせちゃって、ごめん。ル　ミ：　ううーん、私もちょ
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<dc:date>2010-02-16T15:11:55+09:00</dc:date>
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<title>新宿の女</title>
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年が変わって、いよいよ昭和５０年代の幕開けである。クラブ「Ｍ・Ｍ」のオープンから２ヶ月ほど経った週末の午後、飯田橋のとあるオフィスの電話が鳴った。事務員：　はい、神楽坂商事です。　　　　　　ええ、そうですが、少々お待ちくださいませ。事務員は、電話を保留にすると内線の番号を廻した。　　プルルルルル～　プルルルルル～　ガチャ事務員：　田嶋主任？　１番に外線です。　田　嶋：　どこから？事務員：　それが、加藤さんとおっしゃる女性の方なんですが、　　　　　もしかしたら彼女ですか？田　嶋：　おいおい、いい加
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<title>東京ナイトクラブ</title>
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本日最後の曲が終わると、店内がパッと明るくなった。絞っていた照明を最大限に明るくして、営業が終わったことをお客に知らせるためだ。同時にそれは、ホステスや歌の世界に浸っていたユートピアから、現実の世界へと引き戻される瞬間でもあった。田　嶋：おっと、急に明るくなると眩しいなぁ。田嶋はルミに話かけると、そのままじっとルミの顔を見つめていた。ル　ミ：えっ、何！　田　嶋：いや～、こんな白日の下でルミの顔を、まともに拝見できる　　　　チャンスなんかそうそうないからね。　　　　目に焼き付けようと思ってさ。ル　
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<title>グッドナイト</title>
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明日香：　田嶋さん、ごめんなさい。　　　　　マネージャーに呼ばれたから、ちょっと失礼しますね。田　嶋：　どうぞ、どうぞ、こっちは気にしないでください。ステージでは、あきらが、ルミのリクエスト曲を歌っていた。そして、その曲が終わった途端に、田嶋は奇声を上げた。田　嶋：　ブラボー！　あきら！　うまいぞ！　　　　ル　ミ：　田嶋ちゃん、恥ずかしいから、そんな大声出すのやめてよ。田　嶋：　いいじゃないか、本当に感激したんだから！ル　ミ：　でも、ほら、あきらさんだって、ちょっと迷惑な顔してるわよ。田嶋はステ
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<title>イミテイション・ゴールド</title>
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ステージの演奏が終わり、舞台の照明が暗くなった。そして、その舞台から一人の青年が、田嶋たちのいるテーブルへやって来た。明日香：　あきらさん、疲れてるところ、悪いわね。　　　　　　田嶋さん、こちら、バンドでギターを担当している、　　　　　　あきらさんです。あきら：　ママ、大丈夫ですよ、お気遣いなく。　　　　　　　　　あっ、初めまして、あきらです。そう言うとあきらは、田嶋の隣に座っているルミに、軽い会釈をした。ル　ミ：　あきらさん、お疲れ様！　遊びにきちゃった。　　　　　この方、私のお客様で田嶋さん
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<title>よせばいいのに</title>
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ダンスの曲が終って、ルミと田嶋がテーブルへ戻ってきた。ル　ミ：　田嶋ちゃん、けっこう筋がいいわよ。　　　　　案ずるより生むが易しってことね。　ね、ママ？明日香：　そうそう、とてもお上手でしたよ。　　　　　今度は私のお相手、お願いしようかしらね。田　嶋：　ダメダメ、そんなに煽てても！　　　　　それに、踊ったせいで、更に酔いが回りましたから。　　　　　息があがって・・・もう、死にそう！ル　ミ：　ちょっと、オーバーね。　演技過剰じゃない？田　嶋：　ホントだってば、普段の生活であんな動きしないだろ？　　
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<title>星降る街角</title>
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田嶋はお酒はけっこういける口だが、今夜は始めての店で、しかもはしごとあって、緊張のせいか、いつもより早く酔いが回ったようだ。田　嶋：　今日はちょっと酔ったみたいだ、珍しいな。ル　ミ：　そう？　見た目はちっとも変わらないけど。　　　　　そういえば、飲むピッチが速いせいかしらね。明日香：　そうね、ちょっと速いかしら？　　　　　じゃあ、チェイサーでもつくりましょうか？田　嶋：　いや、まだ大丈夫ですから、ご心配なく。　　　　　美女に囲まれて、飲んだせいかポーっとしただけです。　　　　　少しペースダウンを
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<title>恋は終わったの</title>
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しばらくすると、ルミのボトルとセットが出てきた。田　嶋：　へえ～、ピンチか。　ルミ ってスコッチ派だったのか？ル　ミ：　そんなんじゃないけど、名前が気に入っちゃってね。田　嶋：　ピンチだろ？　どっちかというと嫌なイメージがあるけどな。ル　ミ：　そこが、素人のあさはかさね。　グットこない？　グット!　　　　　まあ、田嶋ちゃんには、永久に無理かもねえ。明日香：　さあさあ、馬鹿なこと言ってないで、飲みましょう。　　　　　田嶋さん、飲み方は水割りでいいかしら？ル　ミ：　あっ、ママ！　わたしがつくりますよ
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<title>献身</title>
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10分後、ルミは田嶋の腕を取りながら、歌舞伎町の裏通りを大久保方面へと歩いていた。２人は年齢もさほど離れていないせいか、遠くからみると、客とホステスと言うよりは、まるで仲のいい恋人同士のようだった。田　嶋：どこへ行くんだい？ル　ミ：すぐ近くのお店だけど、着いてからのお楽しみよ。しばらくすると右手に、ネオンききらめく小奇麗なビルが見えてきた。ル　ミ：着いたわここのビルの４階なの。田　嶋：へえ、まだ新しい感じのビルだな。エレベーターで４階に上がると、そこはいきなりお店の中だった。田　嶋：洒落てるね。
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<dc:date>2009-11-07T00:20:54+09:00</dc:date>
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