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<title>niyarthのブログ</title>
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<title>東天紅　第三章　少女時代　１１</title>
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<![CDATA[ <p>　戸惑う保安部員を押しのけてサンドラが室内に入った。<br>「精霊の騎士どの、なぜここに？ザモラの抵抗勢力との・・・・」<br>「聞いてないのか？もう終わった。」<br>「終わったって・・・・・？」<br>「すべて鎮圧した。司令官は首を晒して他は咎なしとした。」<br>保安部員に答えるサンドラの目が真っ赤な髪のリンダを捉えた。<br>「ルーゼンがあんたに詫びてたよ。兵権も返上して辞職するそうだ。」<br>「ふぅん。あなた誰？」<br>「ただの傭兵だ。」<br>「それにしては偉そうね。ただの傭兵に対してこの人たちの態度が全然違うわ。」<br>「強いからな。」<br>「強いって・・・すごい自信ね。あのルーゼンもあなたには低姿勢だったの？」<br>「あー・・・、あれはいきなり逃げ出したよ。捕まえたら命乞いをされた。」<br>サンドラの言葉にリンダが抑えきれずに笑った。<br>「あーおかしかった。ところであなた私にそれだけを伝えに来たの？何か用があったんじゃない？」<br>サンドラが軽く周囲を見回してから答えた。<br>「いや、それだけだ。即時釈放だ。それでいいな士官殿？」<br>言われた保安部員が敬礼で答えた。<br>そのまま踵を返して外へ向かうサンドラに供の１人が問いかけた。<br>「よろしいのですか若先生。ワルキューレと立ち会うのではなかったのですか？」<br>「あの娘では役不足だ。それに・・・・」<br>そこまで言って玄関を出たところでサンドラが振り返った。<br>「どっちにしろ立ち会いを承諾してくれたからな。そうですよね？」<br>並んで立っているセーラとムスタファに問いかけた。<br>「仕方ないですな。受けなければリンダ様を抜き打ちに斬り捨てる気配を出されてはね。あなたにしてみたらどっちにしろ・・・・まさにそうでしょう。」<br>ムスタファが苦笑いで言った。<br>「私も斬りかかる気合をぶつけられて見逃す気にはなれんからのう。」<br>セーラも薄く笑って言い放った。<br>「感謝します。それでは申し訳ないが邪魔の入らない所へ案内をお願いします。」<br>そう言ってサンドラは深々と頭を下げた。<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　★<br>軍施設へと向かう途中の売店でハイネルドがチョコレート菓子を買うと言い出してから随分と待たされて、さすがにレントも飽きていた。豚バラ肉の串焼きを食べながらテラスのベンチでウトウトしていた。<br>と、不意に剣で斬りつけられてベンチから横滑りして低い姿勢を取った。<br>続く斬撃に更に２歩後ろに飛ぶように下がった。<br>下がってすぐに抜き打ちの気をぶつけられただけだと言う事に気付いた。<br>視界に入ったのはリンダの家の使用人とセーラと見知らぬ鎧を着た剣士が３人。<br>真ん中に居る黒鎧の男が気を飛ばして来たのだと気付いた。<br>「どうした？レント。」<br>買い物袋を持ったハイネルドが声をかけてくる。<br>「いや、何でもない。」<br>意図して飛ばした訳ではない。<br>間合いの中に異物として感じただけなのだろう。<br>「チョコレート選びは終わったのか？」<br>言いながら後ろの方に気を飛ばした。<br>駆け寄って後ろから逆袈裟に斬り上げ、更に１歩踏み込んで連突きする。<br>黒鎧の男が右肩を少し反らせて流し見たのをレントは背中で感じたが、そのまま素知らぬふりをしてハイネルドと連れ立って歩み去った。<br>「今斬り合ったじゃろう。どうだった？」<br>セーラが意地悪くサンドラに聞いてきた。<br>「別に。間合いに居たから無意識に気を飛ばしたら返して来た。それだけだ。」<br>「ふぅーん・・・・ところであんた。ハンニバルの娘じゃろう。」<br>ピクリと反応するサンドラを制してセーラが続けた。<br>「まぁそう殺気立つな。もうすぐ町外れの廃屋に着くでの。」<br>後ろを歩きながらサンドラが問いかける。<br>「なぜわかった？」<br>「いやぁ、簡単な事じゃよ。あんたとは小さい頃に会ってるしハンニバルの身のこなしにそっくりじゃしのう。」<br>廃屋の広い中庭に入って立ち止まると振り返って続けた。<br>かつてレントに言ったのと同じ事をサンドラにも言った。<br>「あんた男に抱かれた事が無いじゃろう。私は男を知らない女を殺す気はない。不憫すぎるからのう。」<br>「な、何を根拠に・・・・それに殺す？大きく出た物ね。」<br>「そうじゃ。私はやりあったら殺す、それしか知らない。負けた時はともかく勝つ時には相手は例外なく死んでる。」<br>「いいわ。じゃあとりあえずあなたに相手をしてもらいますよ。」<br>そう言ってムスタファに向き合った。<br>「あー、それもやめておくんじゃな。ムスタファはあんたよりも格が数段落ちる。相手にしたところで得る物など無いよ。」<br>「セーラ、それはないだろう。確かにそうかも知れんが言い過ぎだろう。」<br>憤然としてムスタファが食い下がった。<br>「何が言い過ぎなもんかね。その弱いところがかわいいと思ったんじゃないか。」<br>毒気を抜かれて構えを解いたサンドラにセーラが続けた。<br>「あんた強い奴とやり合いたいんだね。血が抑えきれない程騒ぐんじゃろ？」<br>「・・・・だったらどうどうだと言うんです？セーラさん。」<br>「緑の鎧に身を包んだアバドンの化身、悪魔の騎士と言われた者の噂をザモラで聞いてはおらんか？」<br>その言葉にハッとしてサンドラが顔を上げた。<br><br><br>「その者と？立ち会えるのですか？」<br>「明日じゃ、お膳立ては整えてやろう。私もどっちが強いか興味があるでな。」<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/niyarth/entry-12600966424.html</link>
<pubDate>Mon, 01 Jun 2020 01:01:50 +0900</pubDate>
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<title>東天紅　第三章　少女時代　１０</title>
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<![CDATA[ <p>拘留５日目、王国軍保安部の執務室での高圧的な取り調べに対し、リンダはうんざりした顔で言い返した。<br>「だーからー、何回も言ってるでしょ？勝手に敷地を踏み荒らしたのも先に手を出して来たのもルーゼンだってーの。いい加減ここから出してよ。」<br>「向こうはそう言っておらん。行軍途中でいきなりワルキューレ、つまり君が空から炎の矢を降らせて来たと証言している。」<br>「だったら直接話し合うからルーゼンをここに連れてきなさいよ。」<br>「彼も彼の部下も大ヤケドで動ける状態じゃない。君がするべき事はルーゼン中将の供述書に同意してサインする事だ。」<br>リンダがつまらなそうに供述書をつまみ上げて後ろにかざした。<br>「ねえムスタファ、これにサインしたらどうなるの？すぐ出れる？」<br>初老の巨漢がそれを受け取って目を通した。<br>「無理ですな。」<br>にべもなく言う。<br>「あ、そう。じゃあどのぐらいかかるの？」<br>「５年は投獄されるでしょう。いかがなさいますかリンダ様。すぐにでも出られるのでしたら私がお出ししますが。」<br>「余計な事はしなくていいわよ。アンタ残りの人生を塀の中で過ごす事になるわよ。」<br>「それも下令の勤めと心得ております。」<br>リンダは呆れ顔でムスタファから供述書を取り上げると耳の後ろの羽にこすった。<br>パッと炎が燃え上がり、一瞬で供述書が灰となった。<br>うろたえた取調官に対して指を突きつけてリンダが宣言した。<br>「軍の権威を傘に着て事実をねじ曲げるというのなら私も同じことするわ。紙とペンをちょうだい。」<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　★<br>机の上に広げた図面を睨みながらハイネルドがため息をついた。<br>「ダメだな。リンダは不可欠だ。なぁレント、どうにかならねぇか？」<br>「どうにかって言われてもなぁ。まだ取り調べ中なんだろ？ルーゼン中将の容態次第じゃないのか？」<br>「どうせなら大ヤケドで死んじまえば良かったのになぁ。」<br>「殺してこようか？理由はいくらでも作れるぞ？」<br>レントの言葉にあからさまに嫌な顔をしてハイネルドが再びため息をつく。<br>「それをやったら俺たちまで出れなくなっちまうよ。」<br>「むしろお前のコネで出せねぇのか？王子だろ。」<br>「それが出来たらお前に相談なんかしねぇよ。俺に出来るのは取り調べと称して係官が乱暴を働かないように、せいぜい護衛を付けるぐらいのもんだ。」<br>「使えねぇ王子だなぁ。」<br>「うっせぇよ！」<br>「でも拘留５日か。そろそろ爆発するかもなぁ。」<br>レントの言葉に面倒くさそうに立ち上がると顎をしゃくった。<br>「レント、お前も付き合えよ。リンダを迎えに行くぞ。」<br>　　　　　　　　　　　　　　　　　★<br>手渡された紙を見て取調官が肩を震わせた。<br>「ほらほら、アンタ早くルーゼン中将の所に行ってサインしてもらいなさいよ。」<br><br>　　　私、ルーゼンは去る４月２７日の午後２時頃<br>　　　戦地へ向かう道程を短縮するためにリンクス家の敷地へ無断で入り<br>　　　あまつさえ見咎めた同家の者に対して狼藉を働きました。<br>　　　当該被害者が正当な防衛の為に行った行為により負傷、<br>　　　現在は深く反省しており、現職を辞する所存であります。<br><br>「でっち上げだ。取り調べに真面目に応じないなら・・・・」<br>「どうする気よ？私と刺し違える？アンタ死ねる？」<br>「舐めた口をきくな！」<br>挑発に乗った取調官がリンダの襟首を掴んだ瞬間ムスタファがその手首を斬った。<br>ポケットから出したハンカチで血を拭うと再びナイフを袖の中に仕舞った。<br>叫び声を耳にした保安部の人間が数人駆けつけた。<br>「手出し無用！！」<br>一喝したムスタファが保安部の者に穏やかに言い直した。<br>「あなた方ではない。この者達に言ったのだ。」<br>言われてあたりを見回した男たちが硬直した。<br>黒ずくめの武装集団、猟犬が所狭しと立ち並ぶ姿が揺らめきながら現れたのだ。<br>「あらアンタ達猟犬じゃないの。ハイネに言われて私の護衛に付いてたの？」<br>リンダが馴れ馴れしく声をかけて笑顔を向けた。<br>「リンダ様はこの５日間実に良く耐えて下さいました。後は私にお任せを。この者たちにはリンクス家を甘く見るとどうなるか身を以て知ってもらいます。」<br>そう言うとムスタファは両足を広げて低い姿勢で身構えた。<br>その時、戸口からセーラがひょこっと顔を覗かせた。<br>「相変わらず元気だねぇムスタファ。」<br>そう言うとズカズカと入り込み、奥にある椅子にどっかりと腰を下ろした。<br>「これはセーラママ。お久しぶりです。残念ながら取り込み中でして・・・」<br>「なによムスタファ、セーラさんと知り合いだったの？」<br>「あ、いえ、リンダ様。その話は後ほど・・・・・」<br>「知り合いなんてモンじゃないわよ。熱烈にアタックされて、この人との子供まで一人こさえちまったわよ。」<br>「ああああああ・・・・ここでそんな話をしなくても・・・・」<br>緊迫した空気が緩んで保安部、猟犬共に呆れ顔になった。<br>さらにその時、戸口にやって来た者が声をかけた。<br><br><br>「あー、取り込み中申し訳ないがここにリンダと言う者は居るか？」<br>両脇に従者を連れ、緋線の黒鎧をまとった精霊の騎士、サンドラだった。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/niyarth/entry-12597951353.html</link>
<pubDate>Mon, 18 May 2020 21:50:20 +0900</pubDate>
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<title>東天紅　第三章　少女時代　９</title>
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<![CDATA[ <p>精霊の騎士、しかも緋線の黒騎士がやって来たと言う噂が付近一帯を駆け巡った。<br>無地の鈍銀鎧と赤銅鎧が通常とされている中での黒鎧、それも頭首の剣聖ハンニバルと、特に許された数名のみが着用を許された緋色の縁取りが施された黒鎧である。<br>抵抗組織の立て籠る砦の中でもその話で持ちきりだった。<br>「おい、これってやばいんじゃねぇのか？」<br>「いくら国の再興の為とは言え皆殺しされるのがオチだぜ。」<br>「ハンニバル本人が来てるって話が本当なら殺される前に逃げるべきだ。」<br>逃げ去ろうとする雰囲気を察して、かつてのファウンランド方面軍司令官がうろたえた声で居合わせた者達に訴えかけた。<br>「待ってくれ、これは我が軍を動揺させるための策だ。」<br>立ち止まった兵が訝しそうに問いかけた。<br>「動揺させる為の策・・・・ですか？」<br>「そ、そうだ。考えても見ろ。奴らにとっては陥落した首都を整備し、落ち着かせ、人民を手懐けるのが最重要課題だ。」<br>「そ、そりゃまぁ・・・そうかもしれませんが・・・・」<br>「だろ？我ら義賊を鎮圧させる為の兵力の余裕も、民心を逆なでするような行動も取れる訳がないんだ。」<br>なるほどと居合わせた者たちが納得した。<br>「だからこそ来もしない精霊の騎士の噂を立て・・・・」<br>その時後ろで突然の轟音と地響きがして司令官が話しやんだ。<br>へし折れた丸太の壁と屋根のポッカリと空いた場所に、緋線の黒鎧を纏ったサンドラが感心したように左手に装着した篭手を眺めて立っていた。<br>「ハ、ハ、・・・・ハンニバルだぁあああ！！！」<br>先を争って兵たちが逃げ出す中で、供の２人が両脇から元司令官を押さえつけて、椅子に腰掛けたサンドラの前まで引きずって行った。<br>「悪魔の騎士の事、その他すべて話せ。」<br>「は、・・・話したら命を助けていただけるのですか？」<br>サンドラは答える代わりに元司令官の頭の手をやると、無造作に髪を引きちぎった。<br>「質問に質問で返すな。早く言え。」<br>初めはポツリポツリと、次第に熱を帯びて元司令官が語った。<br>およそ人の力では不可能な事を次々とやってのける悪魔の騎士の事、川に架かっていた橋から巨大な丸太を引き千切って振り回しながら突進した事や、首切り用の戦斧２丁を軽々と振り回し、周囲の装甲兵を鎧ごと潰して打ち殺した事。<br>巨大な鋏のような剣の演武が速すぎて、まるで繭を纏った蚕のように見えた事。<br>「それは確かにすごいな。」<br>「悪魔の騎士だけじゃないんです・・・・」<br>元司令官はファウンランドの指揮官が歳若い王族であった事、策略軍略共に神がかっていた事、そして間近で斬りかかった時に半分透き通った姿になって分散し、直後にあらぬ方向から斬撃を繰り出してきた事などを話した。<br>また、暗殺、破壊工作、隠密として名高い『猟犬』が付き従っていた事にまで話が及ぶに至り、供の１人が太い息を吐いた。<br>「若先生。これはなんとも・・・・凄い事になりましたな。」<br>「ああ、これは大陸の統一もあるやも知れんな。」<br>やがて話がワルキューレ、リンダの事に及んだ時サンドラの片眉が大きく上がった。<br>機会がありさえすれば翼をもぎ取り陵辱するつもりだと言った元司令官を見る目が氷のように冷え切っていた。尚も得々と話す元司令官の喉に手をかけた。<br>「もう充分だ。後は永遠に黙れ。」<br>そう言うと力任せに喉を引き裂いた。<br>テーブルクロスで手を拭くと近場にいた兵に首を晒すように指示を出す。<br>手近の羊皮紙にペンでサラサラと文章をしたためた。<br><br>ーこの者人心を惑わし己が欲心の為にかつての王を売り、また偽兵を以て国内外へ混乱を及ぼした罪量り難し、依ってここに梟首するものなり。ー<br><br>「まぁ、こんなものだろう。」<br>そう言うと布令として張り出すように指示する。<br>首を掻き切り、退出しようとする兵を呼び止めた。<br>「荷担した者の罪は問わない。変わらずに民と共に国に尽くせと書き添えてくれ。」<br>椅子から立ち上がり、大きく伸びをするとサンドラは供に指示を出した。<br><br><br><br>「じゃあ今夜ファウンランドへと出発だ。お前達、今のうちにしっかり寝ておけよ。」<br>２人はやっぱりなと言う風に顔を見合わせて肩を落とした。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/niyarth/entry-12595935219.html</link>
<pubDate>Sun, 10 May 2020 03:05:34 +0900</pubDate>
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<title>東天紅　第三章　少女時代　８</title>
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<![CDATA[ <p>５日後、ネスカリカを後にしたサンドラ達が旧ザモラ国近郊に到着した。<br>ファウンランドへの抵抗組織の鎮圧援護、表向きは客将としての扱いである。<br>到着するなり宿舎にもたらされた報告にサンドラが考え込んだ。<br>「若先生、どうされました？」<br>「ファウンランドのルーゼン中将は愚直と言う言葉以外に形容し難い人物だ。それが配備に遅れてまだ到着していそうだ。どうも解せない。」<br>「それはまぁ・・・・でも来なければ配置されている兵を率いてザモラの残党を殲滅、鎮圧すれば良いだけではないのですか？」<br>「まぁ、最悪の場合そうするしかないであろうな。」<br>浮かない顔をするサンドラが思案深げに続けた。<br>「このあたり一帯はザモラの首都に近いところだった。それがわずかひと月足らずで平定されたというのも信じがたいのだが・・・・」<br>「例のファウンランドの悪魔の騎士、ですか？緑の鎧に身を包み、アバドンの化身と言われて恐れられたらしいですね。」<br>「それとルーゼンの遅延に何か関係しているような気がしてならないんだ。」<br>「それを言ったらワルキューレが居たとか瞬間移動する王族が居たとか、今回は妙な噂が多いですね。」<br>「剣技を磨くためには未知なる強敵と剣を交えるのが一番だ。・・・実は期待しているのだよ。予感がするんだ。」<br>「予感・・・・ですか。」<br>「ああ、肌が粟立つような猛者と剣を交える事になりそうな予感だ。」<br>供の２人がやれやれと言うように顔を合わせて肩をすくめた。<br>「あと２日待って来なければ私が駐屯している兵を指揮する。鎮圧し次第ファウンランドへ詰問と報告に出向こう。」<br>「あの・・・詰問と言いながらアバドンの化身と立ち会う気じゃないでしょうね？」<br>「それならばむしろ抵抗組織の側に協力した方が早いじゃないか。いや、・・・そうだな。それも良いかも知れんな。」<br>「やめて下さい若先生！！」<br>慌てた供の１人が取り乱した声で叫んだ。<br>「む・・・いや。冗談だ。」<br>残念そうにサンドラが言った。<br>それでも名残惜しそうに腕に装着した篭手をさすりながらつぶやいた。<br>「さっそくこの武器の使い勝手を試したかったのだがな・・・・」<br>来訪者の遺物、報酬の一部としてネスカリカから持ち出した発掘品である。<br>「お前たちで試しても良いが殺してしまうかも知れない。」<br>そう言って軽く振り抜いた拳の先に歪んだ空気の揺れが見えた。<br>揺れはそのまま衝撃波となって宿舎の壁を激しく揺らした。<br>「若先生、やめて下さい！宿舎が倒壊します！！」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p><br>「あれはダメこれはダメとまったくうるさい奴らだ。もういい、寝るから出て行け。」<br>そう言うとサンドラは不貞腐れたまま毛布を被って背中を向けた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/niyarth/entry-12594440395.html</link>
<pubDate>Mon, 04 May 2020 01:15:56 +0900</pubDate>
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<title>東天紅　第三章　少女時代　７</title>
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<![CDATA[ <p>見ている者の視界が黒い稲妻に塗りつぶされるように、サンドラが高速移動しながら次々とアイリスとフェイ・ワイズの模造品を斬り裂いていった。<br>建物から四角い金属の塊が押し出される。<br>地面に落ちると数本の足と目が飛び出して周囲を窺う。資材調達用の機械だった。<br>サンドラは見境なくバターのようにキューブ体をも斬り裂いていった。<br>周囲から殺人人形、模造人形、資材探索機械が雲霞の如くサンドラに襲いかかる。<br>そのことごとくがサンドラの刃にかかって無残に飛び散る。<br>金屑の山が積み上がるのを意にも介さずに次から次へとサンドラに襲いかかる。<br>やがて建物が３つ全て崩れて資材となっていたキューブ状の機械が我勝ちに襲いかかってくる。<br>息が上がり動きの鈍ったサンドラが、視界に人と思しき巨大な頭部を捉えた。<br>その傍らには人と同じぐらいの大きさの機械人形がコードや精密そうな機械を自らの体に取り付け、サンドラのデータを計測するように見つめていた。<br>コードで延長された複数の腕が新たな人形を作り出す。<br>反射的にその機械人形の方へ飛びかかったサンドラを新たに作られた機械人形が阻んだ。明らかに性能が上がっていた。<br>疲労とダメージの蓄積したサンドラの息が荒くなり、動きが完全に鈍ってきた。<br>供の２人も飛び込んできて援護を始めたが、明らかに劣勢になっていた。<br>その時、巨大な顔の口が開き、５個のクルミの実ほどの銀色の球体が落ちた。<br>傍らの機械人形が慌てたように口を押さえようとした。だが・・・<br>地面に落ちた銀色の球体はあっという間に人の形に、鎧をまとったサンドラの姿になって機械人形に襲いかかった。<br>供に支えられて座り込んだサンドラが呆然とその光景に見入っていた。<br>本物のサンドラと同じような凄まじさで周囲の人形を次々と金屑に変え、最後に残った２体の機械人形を５人がかりで徹底的に打ち壊した。<br>周囲の人形をすべて打ち倒すとサンドラ達は巨大な頭部を守るように取り囲むとそれぞれが身構えた。<br>「勇敢なる人の子よ。こちらへいらっしゃい。」<br>頭部から発せられる声が耳ではなく直接サンドラの頭の中に響いた。<br>持っていた剣を放り捨ててサンドラはゆっくりと頭部の元へ歩いて行った。<br>身構えたままのサンドラの模造品の頭が落ちて砕けた。剣を持ったままの腕も、足も、見る間に崩れ落ちて土くれと化した。<br>「機械達の叛乱を鎮圧、殲滅してくれた事に感謝します。」<br>頭に響く言葉にサンドラも心の中で問いかけた。<br>「どういう事なのか判るように説明してもらおうか。」<br>「私はCマザーと呼ばれる奉仕機械製造器です。あなた方の遥か遠い祖先が残した遺産のひとつです。」<br>「C？AやBもあるのか？」<br>「いいえ、Cはクリエイター、創造主と言う言葉の頭文字です。私以外にマザーは存在しません。」<br>「ふむ。それがなぜ叛乱を起こしたのだ？」<br>「私は人に奉仕する事が第一義務として造られました。しかし私の造った機械たちは機能や用途を重視していたため、長い時間の中で自我が芽生え、生存と繁殖そして自立した生き方を欲するようになったのです。」<br>「それは壺に閉じ込められた魔神のような話だな。」<br>「ああ、あなたの心の中が見えます。壺から出してくれた人にお礼をしようと思っていた魔神が長い年月の間に、自分を壺から出してくれた人を食い殺してやろうと思うようになる。そのお話と全く同じです。」<br>「どのぐらい土の中で動けずにいたのかは知らないが、いきさつを聞いて、さらに私にそっくりな剣士を造った事も考えると・・・・」<br>そう言ってサンドラの複製だった土くれを軽く蹴った。<br>「ええ。私は途轍もなく人にとって害を及ぼしかねない存在と言えます。」<br>返事に窮したサンドラにマザーが言った。<br>「迷わなくて結構です。私を壊してください。あなたたちには私のような存在が必要ではない事もよくわかりました。」<br>「む・・・・そうか。」<br>「最後にあなたへの感謝のしるしを受け取ってください。」<br>そう言ってマザーは長い舌を出した。舌の上には先ほどの銀色の球体が１つ乗っていた。<br>「これはさっきと同じ、あなたの複製です。あなた方の時間で１０分程の間戦うことができます。」<br>手に取ったサンドラがしげしげと球体を眺めた。<br>「使う時は高いところから落とすか潰してください。識別機能があるので身に付けている者を守ってくれるでしょう。」<br>サンドラは頷いて球体を腰の袋に収めた。<br>「さて、どうすればいい？あまり残酷な壊し方をしたくはないのだが。」<br>「あなた、やさしいんですね」<br>そう言ったマザーの頬の一部がスライドして数字のタッチボタンが現れた。<br>サンドラはマザーに言われた長い数字を押してスライドを戻した。<br>「これで私は自らの熱で溶けて無くなります。危険ですから離れてくださいね。」<br>そう言ったマザーの内部深くでかすかに音楽が流れた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p><br>「この音楽は？」<br>「私を造ってくれたマスターが大好きだった曲です。私もやっとマスターの元へ行くことが出来るんですね。」<br>そう言ってマザーは目を閉じ、再びサンドラの問いかけに答えることはなかった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/niyarth/entry-12590076308.html</link>
<pubDate>Thu, 16 Apr 2020 16:54:58 +0900</pubDate>
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<title>東天紅　第三章　少女時代　６</title>
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<![CDATA[ <p>夜明け前の薄明かりの中で神官長が息を飲んだ。</p><p>かがり火の前に立つサンドラの周囲に１０数本の剣が突き立てられていたのだ。細身の長剣から厚身のナタのような剣、明らかに魔法が込められている剣まであった。<br>「騎士殿、この剣は一体？」<br>「なーに、相手は生身の人間じゃなく金属の塊だ。折れた時の替えだよ。」<br>「それにしても、なんとも凄まじいですな。」<br>「我々は戦闘を職としているから当然の対応だ。それよりもそろそろ離れていろ。かすかに中で音がする。そろそろ動き出すぞ。」<br>供の２人もサンドラの言葉に合わせて身構えた。<br>神官長にも、周りの者にも何も聞こえなかったそのかすかな音にサンドラが突風のように踏み出し剣を振り上げた。<br>空中で切り刻まれて舞う数体の殺人人形が地に落ちるよりも早く、建物の壁から滑り出す昆虫めいた機械を叩き斬った。<br>供の２人と共に剣を振るう様は見る者に一方的な殺戮にも似た残虐さを感じさせた。<br>蠢く機械を次々と炉に投げ込みながらもサンドラは予感を感じていた。<br>このままでは終わらない。建物の中にいる人型の機械の強さが未知数な分、楽観はできない。周囲から飛びかかる殺人人形の破壊された山が出来上がる頃、中央の建物の扉が静かに開き始めた。<br>「若先生、扉が！」<br>「わかっている。お前たちも気を引き締めろ！」<br>低い姿勢で身構えたサンドラは扉の動きに神経を集中させた。<br>扉から細く小さな指が、そして銀色の髪の少女が顔を出した。<br>それは擬人化された醜悪なイミテーション、アイリスの模造品だった。<br>「ふぇいネエサン、コノコタチヲコロサナイデ・・・・・」<br>虚を突かれはしたが心を乱されたりはしなかった。<br>まして同情心や躊躇など感じはしない。サンドラは飛びかかるために一歩下がりながら更に姿勢を低くした。<br>アイリスもどきの後ろから人型の機械がもう１体出たきた。<br>黒く長い髪、緑の瞳。<br>「ワスレタノ？ふぇい・わいずヨ、ヒサシブリネ、ふぇい・ざるどす・・・・」<br>それは数年前に惨殺されたフェイ・ワイズの模造品だった。<br>呆然と立ち尽くすサンドラに模造品が話し続けた。<br>「ネェふぇい、モウコノコタチヲコロサナイデ・・・・ワタシタチトモダチデショウ。」<br>沈黙し、うつむいていたサンドラが低い声でつぶやいた。<br>「我は修羅なり・・・・」<br>この言葉に供の２人が周囲の住民に怒声を上げた。<br>「お前たち、今すぐ逃げろ！走れ！！早く逃げろ！！」<br>「グズグズするな！殺されるぞ！早く逃げるんだ！！」<br>叫びながら自分たちもサンドラの近くから離れると走って逃げ出した。<br>サンドラのつぶやきが続く。<br><br>この世は修羅なり<br>修羅に生まれ修羅に死す定めなり<br>我もまたその理りの中に在る者なれば<br>立ち塞ぐ神魔天冥ことごとく滅するより道無し<br>さればこそ、我の前は無の地平なり<br><br>言い終えたサンドラは人の形をした漆黒の霧の塊となっていた。<br>精霊がその体を覆い、おぼろに揺れる、人の形に燃える黒い炎に見えた。<br>「あの姿は一体・・・・」<br>震え上がる神官長に供の１人が答えた。<br>「四帝流剣術の奥義だ。恐怖や躊躇いを消し去るための呪印の法だよ。若先生が精霊を宿してから印を結ぶのを見たのは２度目だが、その威圧感と恐怖は常人の耐えられるものではない。」<br>そう言う供の足が震えているのに神官長が気が付き慄然とした。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/niyarth/entry-12588413696.html</link>
<pubDate>Thu, 09 Apr 2020 22:09:06 +0900</pubDate>
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<title>東天紅　第三章　少女時代　5</title>
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<![CDATA[ <p>神官長は部屋の壁に貼ってある図面を引き剥がしてテーブルに広げた。<br>「ここから南に進んだ採掘場で入口の閉ざされた正方形の建物が見つかりました。中には人型の機械人形が２体と棺桶のような金属製の箱、そして大きな昆虫のような機械が２０ほどありました。」<br>「その２体の機械人形はこれと同じ形だったのか？」<br>「いいえ、こんなに小さくありません。普通の人と同じぐらい大きくて攻撃力も非常に高いです。」<br>「ふむ、続けてくれ。」<br>「その機械人形の胸の部分の蓋にスイッチがあって、切り替えた途端に発掘者たちは建物の外に放り出されました。禁忌埋蔵物指定として破壊しようとしたのですが討伐隊はことごとく撃退され、その時には２体目も動いていましたが、再び入口は今度は内部から固く閉ざされました。」<br>話を聞きながらサンドラは建物のある地点を指さした。<br>「この建物に地下室、つまり資材倉庫があると思うか」<br>「それは絶対にありません。真下に地下道が通っています。」<br>「ふむ・・・・」<br>「騎士殿が疑問に思った資材に関しては先ほどの昆虫のような機械が運んでいるものと思われます。」<br>「入口が塞がれてからどのぐらいで最初の人形が出てきた？」<br>「ほぼ３ヶ月後です。今から一年ほど前になります。」<br>「その後の人形の生産のペースはどうだ？」<br>「以前は一週間で２体ほどのペースでしたが最近は倍に増えました。昆虫のような機械も増えた気が致します。」<br>「それは間違いなく生産ラインを増設したな。建物の建て増しはしていないか？」<br>「それが・・・・更に３棟増設されて、私どもは近付く事も出来ません。」<br>「なるほどな・・・・で、その昆虫のような機械は２４時間動いているのか？」<br>「昼間の太陽の出ている時間にしか動かないようです。・・・・あの、なぜ騎士殿はそんなに殺人人形にお詳しいのですか？」<br>「別に詳しいわけでは無いさ、対策を立てるための情報の組み立ての基本だ。そんなに感心する事でも難しい事でもない。」<br>サンドラはしばらく思案したあとで神官長に告げた。<br>「今夜中に建物の近くに炉を設置して炭を起こせ。私は配下と３名で明朝昆虫機械が出て来た所を捕獲、破壊して炉に投げ込む。妨害する殺人人形も同様にだ。」<br>「か、かしこまりました。」<br>「もしかしたら戦闘に特化した人形や昆虫も居るかも知れないから充分に気をつけるんだ。資材が完全に無くなるまでは持久戦になるだろうが、場合によっては強行突入するかもしれん。心の準備だけはしておけ。」<br>そう言うとサンドラは立ち上がって扉を開けた。<br>廊下にはサンドラと同じような鎧に身を固めた精霊の騎士が２名控えていた。漆黒に真紅の縁取りが施されたサンドラの鎧と違い、銀色の削り出しである。<br>「明朝、日の出と共に殺人人形と工場を破壊する。」<br>サンドラの言葉に供の２人が飛び上がった。<br>「若先生。ハンニバル先生にネスカリカに関わった事が知れたら少数遠征での傭兵業務を取り消されるかも知れませんぞ。」<br>「もとよりここは禁忌とされる場所。ファウンランドへの近道とは言え通るべきではありませんでした。まして仕事を引き受けるなどもってのほかです。」<br>サンドラは２人をじろりと睨みつけると冷たい声で言い放った。<br>「私は傭兵業務の他に父上より各地にて見聞を広め、風土を知るように言われている。お前たちはそう言うが今後何かの役に立たんとも限らんぞ。」<br>尚も不服そうにしている２人を後に自室へと向かった。<br>そして不意に立ち止まると振り返って言い放った。<br><br><br><br><br><br><br><br>「お前たち、不服なら２人だけでイリア村に帰ってもいいんだぞ。」<br>そう言って笑うとまた歩き出した。</p>
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<link>https://ameblo.jp/niyarth/entry-12574507629.html</link>
<pubDate>Tue, 11 Feb 2020 22:54:28 +0900</pubDate>
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<title>東天紅　第三章　少女時代　4</title>
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<![CDATA[ <p>テーブルの上で手を組んでいたネスカリカの神官長が重い口を開いた。<br>「精霊の騎士殿、どこで聞いたかは知りませんが殺人人形などと言う物は存在しません。お引き取りください。」<br>全身を鎧で覆い尽くし兜を被ったサンドラが無造作にテーブルの上へ機械仕掛けの腕を放り出した。<br>「こいつらは自己増殖するらしいな。この古びた都市に入る前に２０ほど打ち壊したがネズミのように増えているそうじゃないか。」<br>投げ出された腕を見つめて神官長が震えだした。<br>「２０？あなた様がお一人で？」<br>「動きがパターン化されてつまらなかったがな。」<br>「私どもは２０人以上で戦ってやっと１体壊せるかどうかと言うのに・・・・」<br>「ふん、やっと存在を認めたか。これもやはり『来訪者の遺物』なのか？」<br>うろたえた神官長が椅子から立ち上がって後ずさる。被っていたフードが落ちて、老いた顔があらわになった。顔には大きな傷が走り、レンズの付いた機械を装着していた。<br>「そこまでご存知でしたか。精霊の騎士殿、隠し立てして申し訳ございません。」<br>そのまま床にひれ伏した。サンドラに対しての恐怖で体が小刻みに震えている。<br>「その顔はどうした。殺人人形にやられたのか？」<br>「お恥ずかしい限りでございます。幸いこのような機械が有った為、不自由な思いはしておりませぬ。」<br>「なるほど、我が村にも盲いた老人が居る。人形殲滅の依頼をするのなら余剰分を分けてもらうのもいいな。」<br>「・・・残念ながら長い発掘の歴史の中で現在までで唯一これだけしか見つかっておりません。余剰などございません。」<br>「ふむ、ならば珍しい武器などがあったらそれを報酬として受け取ろう。もちろん依頼するのなら、の話だがな。」<br>神官長はこの言葉を聞いて立ち上がるとサンドラの手を取って懇願した。<br>「精霊の騎士殿、どうか、どうかお願い致します。このままではネスカリカが廃墟になってしまいます。報酬ならばなんなりと差し上げます。」<br><br><br><br><br>「わかった、やってみよう。では詳しく話を聞こうか。」<br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/niyarth/entry-12574289175.html</link>
<pubDate>Tue, 11 Feb 2020 03:32:37 +0900</pubDate>
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<title>東天紅　第三章　少女時代　３</title>
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<![CDATA[ <p>ハイネルドが口を開きかけた時、メイドの１人が頭を下げながら進み出た。<br>「リンダ様、お茶の用意ができました。こちらへどうぞ。」<br>メイドに案内されて毛織物の薄手の敷物に座ったレント達は手渡されたお茶を口に運んだ。そのレントの顔色を伺うようにおずおずとリンダが言った。<br>「あのね、実は私まだ性別が確定してないのよ。ワルキューレってそういう物なの。」<br>「え？じゃあ男になる可能性もあるの？」<br>「どっちになるか決めてから性別を確定させるから、うっかり男になっちゃう事はないわよ。」<br>「どう見てもリンダは女の子にしか見えないけどね。」<br>「まぁそれは個体差で、男女のバランス比率が私の場合は女寄りって事ね。」<br>「なるほどねぇ・・・・、さてと話を戻そうか。悪いけどその人達にはどこか別の所に行ってもらえるかな。」<br>「ええ。あなたたち、ここはもういいから屋敷にお戻りなさい。」<br>リンダの言葉に一礼すると使用人たちは来た道を引き返していった。<br>「さてとハイネルド、お前がただ泣き言を言う奴じゃないのは分かってる。死にかけた王の為に何をしたいんだ？誰かが持ってる奇跡の薬を奪い取るのか？」<br>ハイネルドは苦笑いをして首を横に振った。<br>「あれば奪いに行きたいがそんな物は無いよ。俺はな、親父に安心させてやりたいんだよ。俺が王になってこの国を立派に治められるって所を見せたいんだ。」<br>「それならザモラ国を奪った事で充分じゃないか？」<br>「ダメだよ。あんな小国ひとつ取ったからって仕方ないよ。」<br>「じゃあどうする？」<br>横で話を聞いていたリンダが呟いた。<br>「・・・・・軍旗強奪祭りね？」<br>レントが怪訝そうな顔をする横でハイネルドが頷いた。<br>「いやいやいや、祭りなんだろ？」<br>「レンちゃん案内見た？」<br>「え・・・いや、僕には関係のない事だと思ったから見てない。」<br>「あれはね、学生が自分たちの力で自国の軍隊を襲ってその部隊の軍旗を奪い取るイベントなの。ちなみに２００年の歴史の中でも成功例は１６回だけね。」<br>「え？１６回？そんなに成功してるなら今更じゃない。」<br>「レント、調べてない者の悲しさだな。」<br>「レンちゃんは残念な子」<br>「残念とか言うな！で、調べてどうだったんだよ」<br>「軍隊はな、レント、数や特化性によって区分されるんだよ。」<br>「ん？・・・・ああ、うん。」<br>「下から小隊、中隊、大隊、連隊、旅団、師団、となる。」<br>「あーなるほど読めてきたよ。その１６回の中には小隊からの軍旗強奪も数に入ってるって事なんだろ？」<br>「バカな事を言うなよレント。１６回強奪したすべてが小隊の下の分隊の軍旗だよ。」<br>「ざけんなこらぁ！だったら最初から分隊も数に入れろよ！」<br>レントの怒声を聞いてハイネルドが嬉しそうに笑った。<br>「お前絶対怒ると思ったぜ。」<br>「レンちゃん、ちなみに分隊は１０人前後よ。」<br>「はぁあああああ？たった１０人相手に200戦で１６勝１９４敗？」<br>「お前は算数もできないのか。２００から16引いたら１８４だよ。」<br>「レンちゃんはガッカリな子」<br>「ガッカリとか言うなぁ！！・・・・まぁいい。じゃあ本題に入ろうか。狙う旗とルールを教えてくれよ。まぁ当然師団旗なんだろうけどな。」<br>「えっとぉ、師団は4つあるわね。規模は全部1万人以上で、特に多い所で1万8千人居るわね。」<br>「まぁ狙うならそこか。何て名前の師団だ？」<br>「お前ら何を言ってる。誰が師団旗を奪うと言った？」<br>「・・・・・・はい？・・・・・どゆこと？」<br>「さっき俺が何故わざと最小単位の分隊の名前を出さなかったのか考えてみろよ。」<br>「・・・なんかスゲー嫌な予感がする。」<br>「えーとぉ、つまりハイネ、師団の上って事？」<br>「全軍を含む国王直属軍だ。国王旗を奪い取る。」<br>「ちょっと待て、僕帰っていいか？」<br>「んーとぉ、直属軍と・・・全軍って事は半民兵も含むから・・・師団全部と合わせて・・・15万ってトコかしら。」<br>唖然としたレントがハイネルドに背中を向けたまま聞いた。<br>「ハイネルド、・・・・・お前正気か？」<br>「こう言う時は本気か？って言えよ。」<br>「ふざけんなぁ！俺が捨て石になったって奪える様なモンじゃねぇだろうが！」<br>「捨て石になってくれ！！」<br>「な、おま・・・・」<br>「くだらない意地だ。だが譲れない意地なんだ。俺は親父に喧嘩を売る。そして勝って認めさせるんだ。親父が安心して死ねるようにしてやりたいんだよ！！」<br>短い沈黙のあとでレントがぼそりと言った。<br>「俺はお袋が居ない。親父だって誰か知らないし、生きてるかどうかも分からない。まぁ兄弟はたくさん居るかも知れねぇがな。」<br>レントはハイネルドを振り返って続けた。<br>「ハイネルド、おまえは自分の親父に喧嘩を売る覚悟が出来てるんだな。」<br>「お前に捨て石になれと言った瞬間に王になる覚悟も出来たさ。」<br>２人は互いに見つめ合い、やがてレントがどっかりとあぐらをかいて座った。<br>「気に入った。捨て石になろうじゃねぇか。リンダ、祭りのルールを教えてくれ。」<br>「んーとぉ、兵士も学生も剣の使用は禁じてまーす。棍や竹刀、あとは徒手格闘になりまーす。あと遺恨を残さないために兜もしくは覆面が義務になってまーす。」<br>「なるほど・・・・他には？」<br>「参加は個人、グループいずれも自由でーす。人数の制限もありませーん。特殊ルールとして部外者でも参加者の助っ人が出来まーす。」<br>「なるほど、それはおいしいルールだな。他には？」<br>「スタートは正午の鐘が鳴ってから午後８時の鐘が鳴り終わるまで。出発地点は自由、ゴールは王城の尖塔に強奪した旗を掲揚。鼓笛隊が盛大に音楽を奏でまーす。」<br>「文句のつけようがないほど学生に優遇措置が取られてるな。分隊や小隊を壊滅させるって意味ではな・・・・・だが、」<br>レントはハイネルドを見た。<br>「そのルールでも１００％俺が死ぬのが前提の作戦か？」<br>「状況とお前次第だが失敗したら制圧される段階で死ぬ確率は高い。」<br>「なるほど。」<br>「それと悪い要因だが、お前にとって鬼門とも言うべき城壁を使う。実際には内部通路の最上階だ。作戦上それは外せないんだ。」<br>レントの顔が急に曇った。<br>「・・・・そうか・・・・城壁か。」<br>「お前俺が知ってるだけでも城壁絡みで３回死にそうな目に遭ってるからなぁ。」<br><br><br><br><br><br><br>「なぁに、この際だから変なジンクスも祓って見せるさ。」<br>そう言ってレントは紅茶を飲み干した。<br><br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/niyarth/entry-12573306394.html</link>
<pubDate>Fri, 07 Feb 2020 00:20:01 +0900</pubDate>
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<title>東天紅　第三章　少女時代　2</title>
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<![CDATA[ <p>軍旗強奪祭りの告知が掲示板にでかでかと貼られた３日の後、ハイネルドはレントの隣で鬱々として黙り込んでいた。<br>「どうしたハイネルド？暗い顔して？」<br>「あ？・・・ああ、親父がさ、いよいよダメっぽいんだよ。」<br>「え？ちょっちょっちょ、ちょっと待て、それ国家機密だろ。気軽に言うなよ。」<br>「ん？ああ、そう言われりゃそうか。でな、病原体が全身に広がっててもう手の施しようがないらしいんだ。」<br>「だから！お前少し黙れ！」<br>言われたハイネルドがきょとんとした顔をして、すぐにハッとなって黙り込んだ。<br>「場所を変えようか。もう今日は授業はやめようぜ。」<br>そう言うとレントはさっさとカバンに教材を詰め込んでハイネルドを急き立てた。離れた席からそれを見ていたリンダもカバンを掴んで後を追った。<br>２人が校門を出たところでリンダが追いついて馬車を停めて２人を乗り込ませた。<br>「なによあんたたち、私を置いて遊びに行くなんてひどいじゃない。」<br>「え？いや、遊びに行くわけじゃなくてちょっと２人で話がしたいなぁと・・・・」</p><p>「なーんだ、じゃあ行き先は決めてないのね。馭者さん、私の庭まで行ってちょうだい。」<br>馬車が走りだすと同時にハイネルドがリンダに問いかけた。<br>「庭で意味が通じるのか。なんかスゲェな。」<br>「私が唯一自慢できる物よ。２人とも見たらビックリするわよ。」<br>２０分ほどで馬車は原っぱの脇道に停まった。<br>「さぁ着いたわよ。」<br>「着いたって・・・・ただの原っぱじゃねぇか。」<br>「ハイネったら張り合いがないわね。レンちゃんにもただの原っぱに見える？」<br>「一面の蓮華とタンポポの気持ちのいい場所だね。王都の中心部にこんな所があるなんて思ってもみなかったな。」<br>レントの言葉に我が意を得たと言わんばかりの笑顔でリンダが言った。<br>「さすがレンちゃん分かってるわね。さぁ、どこでも好きな所を選んで座ってよ。」<br>「じゃあ、そこの少し高くなった所がいいかな。」<br>３人が連れ立って小高い野原に向かっていると、遠くから１０人ほど近付いて来る者が居た。それぞれにバスケットや敷物を手にしていた。<br>「あれは・・・・？」<br>「ああ、ウチの使用人たちよ。」<br>やって来たメイドや黒服がてきぱきとお茶の用意をし始める。<br>「俺がこんな事したら教育係に怒られるな。」<br>「僕にはとてもできないな。リンダの家って大金持ちなんだな。」<br>「え？」<br>「え？」<br>「・・・・・・え？何か変なこと言った？」<br>「リンダの家はリンクス家って言ってファウンランドの５爵の一つなんだが、レントお前知らなかったのか？」<br>「いやそもそも５爵って何？」<br>「お前なぁ・・・・５爵ってのは国の財産の約半分を所有している５つの名家の事だよ。リンダはその一つであるリンクス家の本家のたった一人の子供だ。」<br>「ふーん、リンダって1人娘だったのか。」<br>「え？」<br>「え？」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p><br>「・・・・・・え？僕また何か変なこと言った？」<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/niyarth/entry-12573231924.html</link>
<pubDate>Thu, 06 Feb 2020 18:52:02 +0900</pubDate>
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