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<title>お話ギャラリーつくばのブログ</title>
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<description>お話ギャラリーつくば事務局からのお知らせです。</description>
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<title>◆「仕立て屋の娘マクブレ」（トルコの民話から）</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">少し間があいてしまいまして申し訳ございません。<br>ほじゃさんがただ今大忙しですので、<br>今後も少し間があいてしまう時があるかもしれません。<br>楽しみにお待ちいただいている方には、<br>ご迷惑をおかけいたします。<br>今後ともよろしくお願い致します。</font></p><p><br><font size="3">では、</font></p><p><br><font size="3">＊ほじゃさんからお話の紹介です。<br>話目は『トルコの民話』から「仕立て屋の娘マクブレ」というお話です。</font></p><p><br><font size="3">----------■仕立て屋の娘マクブレ（トルコの民話から）■----------</font></p><p><br><font size="3">　ある王様に息子が一人ありました。王様のお城の真向かいにはお金持ちの仕立て屋のお屋敷があって、仕立て屋にはマクブレという美しい娘がおりました。そして、王様の息子、王子は仕立て屋の娘マクブレに好意をよせていました。</font></p><p><br><font size="3">　マクブレが庭へ出てハーブの花に水をやろうとすると、王子はいつも、</font></p><p><br><font size="3">　　　仕立て屋の娘マクブレ<br>　　　毎日ハーブに水をやっているね<br>　　　ハーブの葉っぱは何枚だい？</font></p><p><br><font size="3">と、聞きました。マクブレはこれに対して、</font></p><p><br><font size="3">　　　王様の息子さん<br>　　　夜はもの書き<br>　　　昼は書物読む<br>　　　お空の星の数はいくつ？</font></p><p><br><font size="3">と聞きました。そして、二人とも質問の答えを言うことは出来ませんでした。</font></p><p><br><font size="3">　王子はマクブレをお嫁にもらいたいと思いましたが、王様の息子は王様の娘と結婚しなければならないと言うしきたりがありましたから、親たちは二人の結婚に反対でした。王子は考えて考えてある時マクブレにキスをする方法を見つけました。</font></p><p><br><font size="3">　マクブレは魚が大好きでした。町に魚売りが来ると必ず魚を買いました。そこで、ある日のこと、王子は汚れたボロ服を身にまとい顔には泥を塗って魚売りになりすまし、魚を仕入れて仕立て屋のお屋敷の前へ行きました。<br>「魚、魚、魚は要らんかねえ」と大声で呼ばわると、思ったとおり、マクブレが、<br>「魚やさあん、こちらへ来てくださいな」と声をかけてきました。王子はしめたと思いました。娘は魚を買い求めると、お金を差し出しました。ところが王子は、<br>「お嬢様、わたしはお金で魚を売りません。一つキスをしてくれたら一匹魚をお売りいたしましょう」と、言いました。娘はこんな魚屋にキスをしたってなんのことはないと、右、左をきょろきょろ見回して誰もいないのを確かめると、さっと王子にキスをしました。そして、魚を買いました。</font></p><p><br><font size="3">　朝になると、マクブレはまたハーブに水をやるため庭へ出ました。すると、王子はいつものように、</font></p><p><br><font size="3">　　　仕立て屋の娘マクブレ<br>　　　毎日ハーブに水をやっているね<br>　　　ハーブの葉っぱは何枚だい？</font></p><p><br><font size="3">と聞きました。マクブレはこれに対して、</font></p><p><br><font size="3">　　　王様の息子さん<br>　　　夜はもの書き<br>　　　　昼は書物読み<br>　　　　お空の星の数はいくつ？</font></p><p><br><font size="3">と言うと、王子はすぐにマクブレに、<br>「魚一匹に一つのキスを与えた人よ・・」と言いました。マクブレはどうして王子がこのことを知っているのか驚きました。誰も見ていないのを確かめたはずです。マクブレはまっすぐ家へ行くと恥ずかしくて泣き出しました。どうにかしてそのわけを知りたいと一生懸命考えました。そして、父親に、<br>「お父様は腕のいい仕立て屋です。どうぞわたしに服を仕立ててください。真っ黒な毛皮で目の穴だけ開いた服です。服のうえにたくさんの鈴を縫い付けてください」と、頼みました。金持ちの仕立て屋はすぐに娘のいうとおりの服を作りました。マクブレはすっかり気に入ってそれを身につけると、レバーと鉈を持って王様のお城へ行きました。そして、門番に一袋の金貨を握らせ、まっすぐ王子の部屋へ入ると、ブルブルン、ブルブルンと体を震わせました。王子は驚きのあまり気が狂ったように飛び上がりました。マクブレは、<br>「我は黄泉の国より使わされた者であるぞよ。おまえの命をもらいにやって来た。さあ、命をよこすか、このレバーでお前の尻をぶち叩くか」とこわいろを使って言いました。王子は恐ろしさのあまり、<br>「何をやっても良いが、い、命だけはお助けを」と、頼みました。マクブレはレバーを王子の尻に叩きつけました。そうして、さっさとお城を後にしました。さあ、お城中たいへんな騒ぎになりました。お城の人々は右往左往して、医者を呼び王子の傷の手当をしました。</font></p><p><br><font size="3">　朝になると、王子はやっとの思いで窓辺により、いつものように仕立て屋の娘に問いかけました。</font></p><p><br><font size="3">　　　　仕立て屋の娘マクブレ<br>　　　　毎日ハーブに水をやっているね<br>　　　　ハーブの葉っぱは何枚だい？</font></p><p><br><font size="3">マクブレもいつもと同じことを聞きました。</font></p><p><br><font size="3">　　　　王様の息子さん<br>　　　　夜はもの書き<br>　　　　昼は書物読み<br>　　　　お空の星の数はいくつ？</font></p><p><br><font size="3">すると、王子はおまえさんの秘密は知っているとばかり、<br>「魚一匹に一つのキスを与えた人よ・・」と、付け加えました。これを聞くと、娘もすかさず、<br>「黄泉の使いに尻をぶたれた人よ・・」と言い返しました。王子はすぐに昨日のことが誰の仕業かわかり、腹ただしさのあまり家来の者に命じました。<br>「井戸を掘ってマクブレを中へ放り込め」</font></p><p><br><font size="3">　家来のものが井戸を掘っている時、マクブレはこっそりと金貨の袋を渡して、井戸から自分の家へ通じるトンネルを作らせました。やがて、井戸堀りが終わり、マクブレは井戸の中へ放り込まれました。そして、食べ物は毎日井戸の上から投げ入れられました。けれども、トンネルのことは井戸を掘った者意外誰も知りませんでした。</font></p><p><br><font size="3">　何日も何ヶ月も過ぎました。王様は隣の国の王女様を王子の嫁に迎えたいとおもいました。ところが王子はその前にどうしてもチンという国へ行きたいと言ってでかけることになりました。出かける前に、王子は井戸の底へ向かって、<br>「僕はチンという遠い国へ行ってくる。お前さんは井戸の中で朽ち果てよ」と言いました。すると、マクブレは、<br>「どこへなりともおいでなさい。いつかは王子様はわたしのものになるのだから」と、言い返しました。</font></p><p><br><font size="3">　娘はすぐに秘密のトンネルをくぐって自分の家へ行きました。そして王子にわからないように灰色の服を着て変装し、灰色の馬に乗り王子の後を追いました。王子に追いつくと、旅は道連れとばかり仲良くいっしょに旅を続けました。町へ着いて同じ宿屋に泊まり飲み食いをともにしているうちに二人は愛し合うようになりました。やがて別れの時がくると、王子は思い出の記念にとマクブレに一枚のハンカチを与えました。マクブレはすぐに家へ戻り、トンネルをくぐって井戸へ帰りました。</font></p><p><br><font size="3">　やがて十ヶ月と十日過ぎると、マクブレに息子が生まれました。チンと名づけました。</font></p><p><br><font size="3">　それからしばらくたって、王子はラーチンという国へ出かけることになりました。出かける前に、王子は井戸へやってくると、<br>「僕はラーチンという国へ行ってくる。お前さんは井戸の中で朽ち果てよ」と言いました。マクブレはこれを聞くと、すぐ家へ行って赤い服を着て変装し、赤い馬に乗り王子の後を追いました。王子に追いつくと、再び王子と一緒に旅を楽しみました。別れの時がくると、王子は思い出の記念にとマクブレに時計を与えました。マクブレはすぐにに家へ戻り、トンネルをくぐって井戸へ帰りました。</font></p><p><br><font size="3">　やがて十ヶ月と十日過ぎると、マクブレにまた息子が生まれました。ラーチンと名づけました。</font></p><p><br><font size="3">　それからしばらくたって、王子はトゥットゥハルという国へ旅にでることになりました。出かける前に、王子は井戸へやってくると、<br>「僕はトゥットゥハルという国は行ってくる。お前さんは井戸の中で朽ち果てよ」と言いました。マクブレはこれを聞くと、すぐ家へ行って白い服を着て変装し、白い馬に乗り王子の後を追いました。王子に追いつくとまた王子といっしょに旅を続けました。一緒に飲み食いし、歌い踊り同じ宿屋に泊まりました。身なりを変えていたので王子はマクブレだとは気がつきません。やがて別れの時が来ると、王子はマクブレに金のサンダルをくれました。マクブレは王子より先に家へ戻り、トンネルをくぐって井戸へ帰りました。</font></p><p><br><font size="3">　やがて十ヶ月と十日が過ぎると、マクブレに娘が生まれました。トゥットゥハルと名づけました。</font></p><p><br><font size="3">　子どもたちはどんどん成長しました。マクブレはいつも子どもたちに教えました。</font></p><p><br><font size="3">　　　　チンさん、ラーチンさん<br>　　　　トゥットハルさんの手をお取り<br>　　　　金のサンダルより落ちないように<br>　　　　偉い父上のゼルデピラフを食べに来た<br>　　　　みんなもわたしらを追い払う<br>　　　　さあ、さあ、早く行きましょう</font></p><p><br><font size="3">　　いよいよ王子様の結婚式の時が来ました。マクブレは娘にハンカチを、もう一人の子どもに時計を、三人目の子どもに金のサンダルをはかせました。そして、いつも教えている文句を王子様の前で絶えず言い続けなさいとよくよく言い聞かせて、三人の子どもを結婚式の会場へと送りました。料理人たちは足元でなにかもぐもぐ言いながらちょろちょろしている子どもたちを王子様のそばへつれて行きました。王子様は子どもたちに言いました。<br>「お前たちは何を言っているのだね。わたしにもわかるように言ってみておくれ」</font></p><p><br><font size="3">　子どもたちは三人一緒に口を揃えて言いました。</font></p><p><br><font size="3">　　　　チンさん、ラーチンさん、<br>　　　　トゥットハルさんの手をお取り<br>　　　　金のサンダルより落ちないように<br>　　　　偉い父上のゼルデピラフを食べに来た<br>　　　　みんなもわたしらを追い払う<br>　　　　さあ、さあ、早く行きましょう</font></p><p><br><font size="3">王子様が見ると、マクブレに与えたハンカチと時計と金のサンダルが子どもたちのところにありました。王子様ははすぐにすべてをさとりました。さっそく、王子様は王様のところへ行くと今までのことを何もかも話しました。マクブレはすぐ井戸から引き上げられ、王子との結婚式が行われました。それからは王子様はマクブレと三人の子どもたちと末永く幸せにくらしました。</font></p><p><br><font size="3">---------<br>■ほじゃさんから</font></p><p><font size="3">この話はトルコ北西のシバスという町に在住しているアイシェ・べネック・カヤさんの『宮廷の庭の薔薇』という本に出ている話です。この本の序文には私の他界した妻との出会いのいきさつも書いてあって、それがこの本を出版する動機のひとつにもなったとのことです。民話を通じての人の縁は地の果てまでつながっている感じです。<br></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/ohanashi-g/entry-11310198445.html</link>
<pubDate>Mon, 23 Jul 2012 22:22:17 +0900</pubDate>
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<title>◆「鏡沼」（福島の民話から）</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">＊ほじゃさんからお話の紹介です。<br>31話目は『福島の民話』から「鏡沼」というお話です。</font></p><font size="3"><p><br>----------■鏡沼（福島の民話から）■----------</p><p><br>会津の下郷というところに鏡沼という沼がある。</p><p><br>　むかし、そのあたりに大蔵（だいぞう）というひとりの猟師が住んでおった。ある日のこと、大蔵は犬と共に猟にでかけた。鏡沼のほとりまで来ると、岸辺に腰を下ろして、ぷかりぷかりと煙管を吹かして、気を休めておった。ふと、沼の水面を見ると、美しい裸の女が黒髪をゆらめかして浮かんでいる。<br>「世のなかには不思議なこともあるものだ」と大蔵は思いながら、夢かもしれないと考えて、自分のほほをつねってみた。<br>「いてて・・・。こりゃあ夢を見てるってわけじゃない。とすると、あれは化け物か」</p><p>　<br>　大蔵はそう考えて、猟銃のねらいをさだめた。</p><p><br>　銃声が響いて、女にあたったと思った瞬間、沼の水面はにわかに波打って、女の姿は数丈もある大蛇の姿に変り、青黒い腹を見せながら、長い尾を左右にうねらせて、沼の中に姿を消してしまった。大蔵はつづけざまに二発、三発と水中めがめて弾を撃ち込みました。すると、今まで晴れ渡っていた空に真っ黒な雲が沸き起こり、雷がとどろいて、雨が激しく降りだし、沼の岸には大波が打ち寄せて、地鳴りまでが響いた。</p><p><br>　大蔵は肝をつぶして、森の中を死に物狂いの思いで駆け抜けて、自分の村に逃げ帰った。全身傷だらけで血だるまの大蔵を見て、村人たちが訳を聞くので、大蔵は自分が体験したことをそのまま村人たちに話して聞かせたが、村人たちは<br>「そんなことってあるもんか。今日はずっとおだやかでよい天気がつづいているよ」と言って、大蔵の話をまったく信じなかった。</p><p><br>　それからというもの、大蔵は鏡沼には行かなくなり、猟もやめてしまったそうな。</p><p><br>---------<br>■ほじゃさんから</p><p><br>　この話は未来社の『福島の民話』（１９５８年）に収録されている一篇を私なりに再話したもの。短いストーリーの中に鮮明なイメージが凝縮されていて、ラフカディオ・ハーンの短編みたいな感じです。<br></p></font>
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<link>https://ameblo.jp/ohanashi-g/entry-11274113707.html</link>
<pubDate>Sun, 10 Jun 2012 20:10:52 +0900</pubDate>
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<title>◆「足長手長」（福島の民話から）</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">＊ほじゃさんからお話の紹介です。<br>30話目は『福島の民話』から「足長手長」というお話です。</font></p><p><br><font size="3">----------■足長手長（福島の民話から）■----------</font></p><p><br><font size="3">むかし、会津のあたりに足長と手長という化け物の夫婦がおったと。おやじの足長の方はおっそろしく足が長くて、会津をひとまたぎすることができたんだと。なんでも、片方の足を磐梯山の頂に置いて、別の方を明神嶽にのせて、両手で雲をかき集めて、あたり一帯を真っ暗にすることだってできたんだと。おっかあの手長の方もおっそろしく手が長く、磐梯山に腰掛けて、猪苗代湖の水をすくって、あたり一帯に雨を降らせることができたんだと。<br>この化け物夫婦はとてもいたずら者で、おてんとさまをかくしてみたり、大雨を降らしてみたり、ブワッと息を吹きかけて、木や橋や家を吹き飛ばしてみたり、いつも悪いことばかりしておったものだから、会津のあたりのひとたちはみんな困り果てておったんだと。</font></p><p><br><font size="3">　ところが、ある日、そまつな衣に身をつつんだ旅のお坊さまがやってきた。そして、人々が化け物夫婦に困り果てているのを知って、こう言ったんだと。<br>「それは、ききずてならぬことじゃ。わしがなんとかしてやろうわい」</font></p><p><br><font size="3">　けれども、人々はその坊さまがあまりにみずぼらしい身なりをしているので<br>「そのお気持ちはありがたいが、およしなされ。あなたさまの手におえるような化け物ではありません」とお坊さんを引き止めめようとした。でも、坊さまは平気な顔で、一人で磐梯山めざして歩きだしたと。</font></p><p><br><font size="3">　磐梯山の頂に登ると、坊さまは大声で呼ばわった。<br>「おーい。手長、足長。おまえらはやりたい放題の悪さでみんなを困らせておるが、できない事だってあるじゃろうが」</font></p><p><br><font size="3">　すると、雲の上でワッハッハという高笑いが響いて、化け物の声が聞こえた。<br>「乞食坊主めが何をぬかしておるんじゃい。この俺にできぬことなど何ひとつないわい」<br>「よし。それならわしの言うことをやってみろ。出来なければ会津をたちのくのだぞ。よいか」<br>「わしにできないことなどあるもんか。何じゃ、言ってみろ。この乞食坊主め」</font></p><p><br><font size="3">　そこで、お坊さまは衣の下から小さな壷をとりだして、言ったんだと。<br>「足長手長。おまえたちは大きななりをしているから、二人でこの壷に入ることなど出来はしまい。どうじゃ、まいったか」</font></p><p><br><font size="3">　すると、足長と手長はかんかんに怒ってわめいた。<br>「なんだ、そんなことか。みておれ、入ってみせる。そのあと、おまえの命はもらうから覚悟しておれ」</font></p><p><br><font size="3">　こういうと、足長と手長はみるみる小さくなって、二人で一緒に壷の中に飛び込んでしまったんだと。そのとたん、坊さまは壷のふたをしめてしまい、着ていた衣の袖をちぎって、壷をつつんでしまい、言ったんだと。<br>「おろかものどもめが。おまえたちはこれまでさんざん悪さをしてひとびとを苦しめたのだから、これからはずっとこの壷の中に入っておれ」</font></p><p><br><font size="3">　そして、坊さまはその壷を磐梯山の頂に埋めて、呪文を唱えたんだと。だから、化け物たちはどうしても外に出られず、それからというもの、会津のあたりはいつもお日様に照らされて、作物も豊かに実るようになり、人々は幸せにくらせるようになったんだと。</font></p><p><br><font size="3">　坊さまはそれを見とどけると、いつのまにかどこかに行ってしまったんだと。</font></p><p><font size="3">　</font></p><p><font size="3">---------<br>■ほじゃさんから</font></p><p><br><font size="3">　地方の駅の売店などに、和綴じの民話本が置かれているのをよく見かける。一冊５００円程度で売られている。出版元、再話者、挿絵画家などの名前が記載されているのもあるし、そうした情報がまったく記載されていないのもある。<br>出版元の名前は記載されていても、住所などは記載されていないから、情報としては不完全だ。こうした商売はどこかの智恵者がやっているのだろうし、扱っている素材が民話なので、それほど目くじらをたてることでもないのだろうが、最近、『福島の昔ばなし』というのを読んでいて、多少感じたことがある。<br>自分の書斎の本棚にほこりにまみれて何十年も置かれたままのこの和綴じの本を手にしたのは、福島のことが気になるからだ。福島は私の他界した妻の生まれ故郷でもあるから、原発事故で苦しんでいるこの地域のことは、個人的にも無関心ではいられない。<br>この和綴じの本の最後に『手長足長』という話が紹介されているが、その文章を読んでいて、やっぱり、再話者の名前も明記されていない本のテキストは駄目だと感じた。</font></p><p><font size="3">例えば、この話の出だしは、以下のように書かれている。<br>「むかしむかしの大昔。会津に足長と手長という夫婦の怪物が住んでいました」<br>『怪物』という言葉は民話で使われる言葉ではない。</font></p><p><br><font size="3">その次の文章はこんな風だ。<br>「夫の足長は大変に足が長く、会津盆地をひとまたぎにすることができました」<br>『盆地』と言う言葉は民話では使われない。</font></p><p><br><font size="3">次の文章はこんな風だ。<br>「なんでも片足を磐梯山の頂上に置き、片足を会津高田町の明神嶽や博士山の上にのせて、両手で空の雲をかき集め、たちまちにして盆地全部を真暗にしたといいます。」<br>「会津高田町の明神嶽や博士山の上にのせて」なんて表現は、民話で使われる筈もない。</font></p><p><br><font size="3">次の文章はこんな風だ。<br>「また妻の手長の方はおそろしく手が長く、磐梯山に腰をかけて猪苗代湖の水をすくって会津盆地にばらまき、いつでも雨を降らすことばできたといいます」<br>『妻』という言葉は、民話ではほとんど使われない。おもしろい話だからイメージをふくらませることはできるが、再話された文章はいかにもお粗末だ。</font></p><p><font size="3">以下の文章の検討は割愛するが、会津の人たちがもっと豊かな言葉遣いで語り伝えていたはずの昔話をこんなにボロボロに貧しくしてしまっている。</font></p><p><br><font size="3">私だったら、こんな風に再話する。</font></p><p><font size="3">「むかし、会津のあたりに足長と手長という化け物の夫婦がおったと。おやじの足長の方はおっそろしく足が長くて、会津をひとまたぎすることができたんだと。なんでも、片方の足を磐梯山の頂に置いて、別の方を明神嶽にのせて、両手で雲をかき集めて、あたり一帯を真っ暗にすることだってできたんだと。<br>　おっかあの手長の方もおっそろしく手が長く、磐梯山に腰掛けて、猪苗代湖の水をすくって、あたり一帯に雨を降らせることができたんだと」</font></p><p><br><font size="3">　こんな風に和綴じの民話本の内容を検討してみると、かなり問題がありそうだ。</font></p><p><br><font size="3">　ついでに、この話の残りの部分も合わせて私なりに再話してみた。和綴本の再話者は、この物語の最後に、このお坊さまが弘法大師ではなかったかという、土地の古老のことを付け加えているが、それは余分だと思う。こういう昔話のモチーフは、例えば、有名な『三枚のお札』にもあるし、トルコの民話にもある。<br>　</font></p>
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<link>https://ameblo.jp/ohanashi-g/entry-11268358014.html</link>
<pubDate>Sun, 03 Jun 2012 23:01:47 +0900</pubDate>
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<title>◆「泥棒たちとケローラン」（トルコの民話から）</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">＊ほじゃさんからお話の紹介です。<br>29話目は『トルコの民話』から「泥棒たちとケローラン」というお話です。</font></p><p><br><font size="3">----------■泥棒たちとケローラン（トルコの民話から）■----------</font></p><p><br><font size="3">　昔ある国に、眠ることが大好きな王様がおりました。王様は朝も眠り、昼も眠り、夜はもちろん眠りました。王様の仕事といえば、ただひたすら眠ることだったのです。こういうわけで、王様に仕える役人や大臣たちも当然王様と一緒に眠りこけていました。王様はじめこの国のお偉いさんたちがこのような有様であれば、その家来たちももちろん居眠りばかりしておりました。</font></p><p><br><font size="3">　こうなると、お城の立派な家具調度、金銀財宝などを守る番兵も眠っているわけですから、泥棒はやりたい放題、何でも盗みまくりました。この噂は次第によその国まで広まり、世界中の国から泥棒たちがやってきました。まさにこの国は泥棒たちにとって天国でした。そのうちに、王様や役人たちをさしおいて、抜け目のない泥棒たちが国を治めようとし始めましたから、とうとう人々は王様や大臣たちにぶつくさ文句を言うようになりました。民衆がなんとかしてくれと騒ぎだしたので、眠い目をこすりながら王様はしぶしぶ腰をあげ、大臣たちを集めて会議を開きました。そして、<br>「こういうことになったのは、すべてお前たちが怠けていたからだ。お前たちがしっかりしないから、わしはゆっくり眠ることもできないではないか。何か良い考えがあったら申してみよ」と、言いました。大臣たちはワイワイガヤガヤいろいろなことをいいましたが、王様は、<br>「どんなことをしても、泥棒たちのわるさをやめさせてくれ。それが出来なければ、お前たちは即座にクビだ。よいな」と、命じました。</font></p><p><br><font size="3">　大臣たちは、<br>「仕事らしい仕事もしないでたんまりお金をいただいていたのに、ここを追い出されてはたまらない。それに、王様が眠っている間に働いた悪事がばれたらどうしよう」と恐れおののき、目をパッチリ開けて額を寄せ合い相談しました。そして、国中にお触れを出してはどうかということになりました。</font></p><p><br><font size="3">　次の朝、触れ人の呼ばわる声に人々が群がっているところを、ケローランという若者が通りかかりました。ケローランが何事かと耳をすまして聞いてみると、<br>「みなの者、ようく聞くが良い。この世を荒らしまわる憎っくき泥棒たちを捕えよ。捕らえし者には褒美をとらせる。我こそはと思う者は名乗り出よ」と、叫んでいました。人々はお互いにささやきました。<br>「泥棒たちを捕まえたら、王様はどんなご褒美をくださるのだろう｣<br>「なんとかして、わしが捕まえてみせる」<br>「いいや、俺が捕まえる」と、意気込みました。宝物の蔵を守る番兵たちも、王様の軍隊も手にあまるならず者たちを、いったいどうやって捕まえるというのでしょう。ケローランはすぐにお城へ走りました。そして、門番に王様に会わせてくれるように頼みました。門番は頭に毛のないみずぼらしい小男ケローランを見て、<br>「何しに来たんだ。お前みたいな奴に何が出来る。王様に会う資格などないわ。とっとと帰れ｣と、あざ笑いました。ケローランはこんなことで引き下がったりする男ではありません。何とか門番を説得して、王様に会うことになりました。<br>「王様、おいらが泥棒たちを捕まえてみせます。やらせてください｣</font></p><p><br><font size="3">　はじめは王様も門番と同じように、ケローランを頭の先から足の先まで眺めて、<br>「頭に毛もないこんな小男に何が出来るというのか」と、馬鹿にしました。けれども、溺れる者藁をも掴むです。急場をしのぐにはだれでもいい、早くなんとかしなくてはなりません。王様はケローランに言いました。<br>「ふむ、そちが泥棒たちを退治してくれるとな。して、褒美として何がほしいのか申してみよ」<br>「王様、泥棒たちを捕まえることが出来ても、ご褒美なんていりません。でも、一日だけ、おいらを王様にしてくれませんか｣<br>「なに？　いや、よしよし。お前の望みはかなえてやる。だが、もし出来なかったら、お前の首はないものと思え。わかったな」</font></p><p><br><font size="3">　ケローランは一日王様になるか、首が飛ぶか、どっちにしろやってみることにしました。王様からもらったお金で泥棒にふさわしい服をととのえ、大きな口ひげをつけ、腰には短剣をさして、真夜中に町の中をこっそり歩きまわりました。街角で指笛を聞いたので、ケローランも同じように指笛をならしました。すると、そばに一人の男が現れました。男はケローランも同じ仲間だと思って一緒に先へ進みました。通りをこそりこそり指笛を鳴らしながら歩いていると、さらに二人の男が現れました。男たちはケローランをほかの国からやってきた、自分たちと同じ腕利きの泥棒仲間だと思いました。</font></p><p><br><font size="3">　さて、指笛を合図にあちこちから集まった泥棒たちは、めいめい自己紹介を始めました。そして、競って自分の得意の技を述べました。<br>「おれは犬の鳴き声から、どこで何が起こっているかを知ることができる」と、一人が言えば、もう一人は、<br>「おれは錠前をはずすことが出来るんだ。世界中のどんな錠前だってわしの手にかかっちゃ無いも同じ。一分もしないうちにすぐ開けることが出来る」と言い、次々に、<br>「いやいや、おれなんか、どんな真っ暗闇のなかでもまるでまっ昼間のようになんでもみえる」<br>「おれは一度見たものは決して忘れない」と自慢しあいました。泥棒たちのはなしを聞き終わると、ケローランも自分の特技について言いました。<br>「おいらの自慢はこのひげなんだ。ひとなですりゃ、なんでも思い通りになるんだぜ。もし、おまえさんたちの誰かが捕らえられて縛り首になったとしても、このひげをさっとひとなですりゃ、助けることも出来るってわけだ｣</font></p><p><br><font size="3">　それから泥棒たちは、次の日の夜、お城へ忍び込んで王様の一番大切にしている宝物を盗むことに決めました。</font></p><p><br><font size="3">　次の朝早く、ケローランはお城へ行って王様に泥棒たちの計画を話しました。そして、泥棒たちに宝物が盗まれないようにするにはどうしたらよいか、一人残らず泥棒たちを捕まえるもっとも良い方法は何かを教えました。</font></p><p><br><font size="3">　やがて真夜中になると、ケローランは泥棒たちと示しあい、お城の裏門へ行きました。この時、遠くから犬の声が聞こえてきてその声はだんだん大きくなってきました。犬の吠える意味がわかる泥棒はしばらくじっと耳をすましていましたが、やがて仲間に言いました。<br>「おい、お城じゃ､われわれに入られないようにしっかり警備しているそうだ。犬たちがそう言って吠えているぜ」</font></p><p><br><font size="3">　これを聞いたほかの泥棒たちはみんな笑いました。門の前で見張りをしている兵隊たちは、グーグーいびきをかいてだらしなく眠りこけていたからです。<br>「おまえ、聞き違えたんじゃねえのかい。このありさまを見ろよ。門番だってこんなじゃ、知れたことよ。お城中、みんなおねんねさ」<br>　ケローランも、<br>「そうともさ。さあさ、ぐずぐずしないでやっちまおうぜ」と、けしかけました。錠前破りの名人が数秒のうちに門の扉を開けてしまいましたから、泥棒たちはお城の中へやすやすと忍び込み、長い廊下を通ってお城の奥へ入って行きました。あちこちにいる見張り番はみんな居眠りをしているようでした。ところが、本当は眠っているように見せかけているだけで、実は目をさましていたのです。そして、薄めを開けて泥棒たちのすることをしっかり見張っていました。これこそケローランが仕組んだわなでした。</font></p><p><br><font size="3">　錠前破りの名人は宝の蔵の錠前も簡単に開けてしまいました。それっとばかりみんなはどやどやと中へ入り、めいめい背負えるだけの宝物を背中の袋に詰め込みました。そして、意気揚揚と出口にむかいました。ところが、ちょうど外へ出ようとしたその時です。蔵の前で待ち構えていた見張りの兵隊たちが、いっせいに泥棒たちに飛びかかりましたから、泥棒たちはまたたく間に取り押さえられ、縄で縛り上げられ、牢屋へぶちこまれてしまいました。</font></p><p><br><font size="3">　約束通り一日王様になることが出来たケローランは、すぐに大臣や役人たちを全員呼び出して、王様が眠っているあいだにした悪事をひとつひとつ明らかにしました。そして、命だけは助けてやりましたが、大臣職や役人職から追放し、島流しの刑にしました。新しい大臣や役人には正直で働き者で、てきぱきと仕事をこなす立派な人たちを選びました。</font></p><p><br><font size="3">　さて、いよいよ捕まえた泥棒たちの問題になりました。泥棒たちは手や腕を縄で縛られ、どんなお裁きを受けるのかと恐れながら一日王様、ケローランの前に召し出されました。泥棒の一人は、<br>「仲間のひげ撫で名人がきっと助けてくれるにちがいない」と思って、まわりを見回しましたが、捕らえられた泥棒の中にはひげ撫で名人の姿はありませんでした。ところが、ひげ撫で名人は玉座にすわっていたので、<br>「やあ、おまえさん。そのひげを撫でてここから俺たちを助けてくれ。王様が見えたら、すぐに俺たちは縛り首だ。頼む」と、懇願しました。ケローランは泥棒たちに、<br>「約束は約束だ。お前たちを助けてやろう。その代わり、お前たちもおいらに約束をしておくれ。いままでのことはよくよく悔い改めて、これからは二度と泥棒はしないとな。おまえたちの特技はもっと世の中に役に立つことに使うように｣と、言いました。泥棒たちは、<br>「これからは決して泥棒などいたしません。正直に、人々の助けになる良い仕事に精を出します」と、誓いをたてました。ケローランはひげをひと撫でしました。前に役人たちと示し合わせておいたので、すぐ縄ははずされました。</font></p><p><br><font size="3">　ケローランの賢い裁きを見ていた王様はすっかりケローランが気に入りました。そこで、王様はケローランをこの国で一番偉い大臣にしました。そして、大事な一人娘、王女様と結婚させました。それからというもの、この国は平和になり居眠りなどをして怠けることなく、力を合わせてよく働いたのでみんな幸せになりました。</font></p><p><font size="3">---------<br>■ほじゃさんから</font></p><p><br><font size="3">ケローランとは、ケリ（禿げの）オーラン（息子）という意味で、貧乏な家の一人っ子は末の子の場合が多く、名前の通り風采もあがらないのですが、何かの運命で冒険に出かけると、断然勇気と知恵を発揮して、目的を成就し、幸福な結末を迎えます。トルコ民話の代表的なキャラクターのひとりです。</font></p>
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<link>https://ameblo.jp/ohanashi-g/entry-11258032152.html</link>
<pubDate>Tue, 22 May 2012 23:36:37 +0900</pubDate>
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<title>◆「とんまな大男とケローラン」（トルコの民話から）</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">＊ほじゃさんからお話の紹介です。<br>28話目は『トルコの民話』から「とんまな大男とケローラン」というお話です。</font></p><p><br><font size="3">----------■とんまな大男とケローラン（トルコの民話から）■----------</font></p><p><br><font size="3">　むかし、あるところにケローランという若者がおりました。ケローランは仕事らしい仕事もせず、食っちゃ寝、食っちゃ寝しておりましたから、母親はいつも困っておりました。とうとうある日のこと、母親は堪忍袋の緒が切れて、<br>「やい、ケローラン。いい年をして、いつまでも親のすねをかじっているんじゃないよ。さあ、どこへなりとも出てお行き。自分のパン代は自分で稼ぐんだよ、いいね」と、有無を言わせず家から追い出してしまいました。</font></p><br><p><font size="3">　ケローランはパン一切れと少しばかりの小麦粉と卵を二、三個入れた袋を背負ってとぼとぼ家を出て行きました。山超え野を越えどんどん歩いて行くと、やがて大きな農場が見えてきました。垣根をくぐって農場へ入ると、農場の真ん中に大きなお屋敷がありました。あたりを見回しましたが人っ子ひとりいません。ドアというドアはどこも開けっ放しで、中へ入ると、居間のテーブルにはご馳走がたくさん並べられ、おいしそうなにおいがプンプンただよっていました。ケローランは飲まず食わず長い間歩いてきたので、我慢できずに思わずどの皿からも一口ずつスプーンですくって食べました。お腹がいっぱいになると、今までの疲れがどっと出てそばにあった椅子の上に倒れこむように眠り込んでしまいました。<br>それから間もなく、とつぜん雷のような音がして、ケローランは目をさましました。いったい何が起こったというのでしょう。見ると、ケローランのすぐそばにとてつもなく大きな男がにゅうっと立っているではありませんか。驚いたの何の心臓がとまるほどでした。でも、わざと平気なふりをして大男に大きな声で言いました。<br>「うるさい。いったいなんの騒ぎだ」</font></p><p><br><font size="3">　大男もケローランを見て驚きましたが、ケローランをしげしげ眺めて、<br>「やい、おれの家になにしに来たんだ。俺様がどんなに強力（ごうりき）かわかっておるんだろうな。石だって握りつぶして、あられのようにできるんだぜ」</font></p><p><br><font size="3">　ケローランは大男の力の強さに内心どきっとしましたが、できるだけなんでもない顔をして言いました。<br>「なんだ、それしきのこと。お前はおいらと力比べをしようってんだな。ようし、やってやる。おいらは石を粉みたいにしちまうぞ」</font></p><p><br><font size="3">　そんなことができるものかと、大男は、<br>「なにをぬかす。やれるならやってみろ、ちび助め」と、ケローランを馬鹿にしました。ケローランも負けずに言いました。<br>「おいらがやる前に、お前がやってみせろ。本当かどうか見てやろうじゃないか」</font></p><p><br><font size="3">　大男はすぐ手に石を持つと、ぎゅっと握ってあられのようにばらばらにしてしまいました。ケローランは袋から小麦粉をこっそり一掴み手に持つと、すばやく地面から石を拾ったように見せかけて、ぎゅっと握りました。それから手を広げて小麦粉を大男の顔にぷっと吹きかけました。<br>「どうだい。ごらんの通りさ」</font></p><p><br><font size="3">　さすがの大男もこれには驚きましたが、こんなことで参ってはいられないと、<br>「なに、これしきのこと。俺様は石をしぼって三度しずくをたらしてみせる」と、言いました。これを聞くと、ケローランは袋からこっそり卵を取り出して自分の番を待ちました。さっそく、大男は石をぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっとしぼって本当に三滴のしずくをたらしました。ケローランの番になって、ケローランは卵をぎゅっとしぼりましたから三滴どころか、とろーり、とろーりと卵の中身がしたたり落ちました。これを見た大男はすっかり感心して、<br>「なあるほど。お前様にはかなわねえ。こうなったからには、なにもかもお前様の言うとおりにいたしやす。なんでも言いつけてくだせえ」と、降参しました。</font></p><p><br><font size="3">　こういうわけで、なんとケローランは大男の農場に居座ることになりました。ところで、大男には弱みがありました。体はとてつもなく大きいのですが、片方の足がもう片方の足より少し短いのでバランスよく歩くことが出来ないのです。これをよいことに、ケローランは大男にわざと用事を言いつけて走り回らせました。毎日ケローランにこきつかわれて、大男はだんだんうんざりしてきました。なんとかこのちび助をやっつけて追い出したいのですが、一人では太刀打ちできません。そこである日のこと、大男はケローランに言いました。<br>「ここからふた山越えると、おれの二人の兄弟が住んでいる村があるんだが、しばらく会っていないので訪ねたい。お前様も一緒に、どうだね」</font></p><p><br><font size="3">　ケローランも大男との暮らしに少しうんざりしていたところだったので、気晴らしにちょっと遠くへ出かけるのも悪くないと思いました。<br>「よろしい。だが、ちょっと問題がある。おいらはものすごい速さで歩くんだが、おまえさんは足が悪いからおいらに追いつけないにちがいない。一番良いのは、おまえさんの背中においらをのせていくことだと思うんだがね。どうだね」</font></p><p><br><font size="3">　まぬけな大男はたやすくケローランの罠にひっかかって、喜んでケローランを背中にのせて出かけることにしました。夜も昼も休みなくどんどん歩いて、ちょうど一週間ほどたつと、ついに大男の兄弟たちの家に着きました。大男はさっそく兄弟たちにケローランがどれほど力持ちかを話しました。おそれをなした兄弟たちはケローランを丁寧にもてなし、一番良い部屋にあんないしました。</font></p><p><br><font size="3">　ある日のこと、三人の大男はひたいを寄せ合ってひそひそ相談をしました。<br>「こんな恐ろしいちび助をいつまでも生かしてはおけねえ。なんとかしてこやつをやっつけちまうか、追い出すことを考えようぜ」</font></p><p><br><font size="3">　とうとうある晩のこと、大男たちはケローランを殺すことに決めました。<br>「今夜こそ、あいつをやっちまおう。ぐらぐら煮えたぎったお湯をやつの部屋の天井からベッドめがけてぶちまけるんだ。そうしたら、やつはたちまちゆでだこになってお陀仏まちがいなしだ」</font></p><p><br><font size="3">　ところが、大男たちのひそひそ話をケローランはこっそり盗み聞きしていました。夜になると、ふとんの下に枕をしのばせて自分は部屋の隅にかくれてじっとしていました。真夜中、三人の大男たちはめいめいぐらぐら煮えたぎったお湯を大なべに入れて運んでくると、ケローランの部屋の天井からケローランのベッドめがけて思い切りぶっかけました。<br>「やれやれ、これで安心だわい。もうあんなやつに悩まされることはない」</font></p><p><br><font size="3">　大男たちはほっとして引き上げて行きました。</font></p><p><br><font size="3">　次の朝、大男たちはケローランの茹で上がった姿を見に、ケローランの部屋へやってきました。きっと死んだにちがいないと思いながらドアを開けようとしたその時、中からケローランの声が聞こえてきました。<br>「ドアの前でなにをごちゃごちゃ騒いでいるんだね」</font></p><p><br><font size="3">　大男たちの驚いたのなんの、それでも勇気を出しておそるおそるドアを開けると、<br>「ゆんべは良くお休みになれましたですかいの？」と、聞きました。すると、ケローランは朗らかに言いました。<br>「ああ、ぐっすり休んだとも。だが、夕べはいつもより暑かったみたいで汗をかいちまった。ベッド中びしょびしょだよ」</font></p><p><br><font size="3">　これを聞いた大男たちはお互いに顔を見合わせて、開いた口がふさがりませんでした。<br>「なんというやつだ。煮えたぎった湯を汗だとぬかしやがる。これじゃ、とうていわしらのたちうち出来る相手じゃないわい」</font></p><p><font size="3">　ある朝のこと、大男たちのところへ王様から使いの者がやてきました。<br>「わが国に恐ろしい竜王がやってきて、流れの大元に座り込んで水をせきとめてしまった。<br>やつは、“毎朝、娘を一人いけにえとして捧げなければ、おまえらには一口の水も与えるわけにはいかぬ”と言っておる。なんとかおまえたちの強力（ごうりき）で我々を助けてはくれまいか」</font></p><p><br><font size="3">　大男たちは自分たちの力に自信をなくしていたので、<br>「よろしいと言いたいところだが、我々だけではどうも心細い。ちびの大将にお伺いをたてて、大将がうんと言ったら行ってやってもいいんだが、、、」と、返事をしました。そして、使いの者をケローランのところへ連れていきました。使いの者は自分と同じ人間が大男たちの大将だと知って驚きましたが、すぐ用件を話しました。これを聞くと、ケローランは心の中で、<br>「しめた。大男たちから逃れるチャンスがやってきた」と、喜びました。そこで、使いの者に、<br>「承知しました。かならずその恐ろしい竜王を打ち負かしてみせましょう。さっそく、大男たちと一緒にでかけます」と、誓いました。</font></p><p><br><font size="3">　そこですぐ旅の支度をして、いつものようにケローランは大男の背中に乗ってゆうゆうと出かけて行きました。山越え野越え川越えて長い間歩いたすえに、やっと王様の国へ着きました。ケローランは毎日のように町へ攻めてきてはだれかれかまわず殺して行く恐ろしい竜王がいったいどこから来てどこへ行くのかをまず詳しく調べ、要所要所に一人ずつ大男を見張りに立たせました。そして、自分は竜王に出くわして危険なめに会わないようにこっそり町を抜け出しました。どんどん逃げて行くと、濃い緑の牧草地が目にとまりました。<br>「やれやれ、これで大男からも逃れることが出来た。ちょっとあそこで一休みしよう」</font></p><p><br><font size="3">　ケローランは緑の草地に腰をおろし、持ってきたパンを取り出して食べ始めました。ところが、しばらくするとどうしたことか草地と思って座っていたところがかすかに動いたような気がしました。驚いてあたりをみまわすと、なんと、牧草地だと思って座っていたところは恐ろしい竜王の背中だったじゃありませんか。目をさました竜の耳を見てケローランはあわてて地面に落とされないようにその耳にしがみつきました。なにが起こったのかわからない竜は耳をふりふりまっすぐ町へ走り出しました。ケローランが竜の背中に乗っているのを見た大男たちは、<br>「やあ、やあ。みろよ、我らが大将様が竜王をとっつかまえてしょっ引いて来るぞ」と、大喜びで手に持っていた大刀で一打ちばっさり竜の頭を切り落としてしまいました。</font></p><p><br><font size="3">　大男たちの一行が町へ来て幾日もしないうちに、竜王をやっつけてしまったという知らせはまたたくまに町中に広まりました。特に長い間人々を苦しめていた竜をケローランという若者が退治したということで、その英雄の姿を一目でも見たいと通りは町中の人々であふれかえりました。王様はケローランを褒め称え、振り分け袋につめきれないほどの金貨をくださいました。</font></p><p><br><font size="3">　ケローランはこのへんで母親の待っている家へ帰りたいと思いました。そこで、このことを大男たちに伝えると、大男たちはみんな大喜びでした。王様の国を出て、途中で、まぬけな大男は兄弟たちと別れ金貨の入った振り分け袋とケローランを背中に乗せてケローランのふるさとへ急ぎました。</font></p><p><br><font size="3">　やがて家に着くと、ケローランはドアのところへ走って行ってドアをたたきました。すると、母親は長いあいだ便りもなく、案じていたケローランが突然元気な姿で戻ってきたので大喜びでした。ところが、ケローランの後ろに立っているとてつもなくでかい大男を見ると、恐ろしさのあまり気を失って倒れてしまいました。ケローランはあわてて母親を正気にかえらせて、大男といっしょに家の中へ入りました。</font></p><p><br><font size="3">　ところで、ケローランが留守をしている間に、ケローランの家には男の赤ん坊が生まれていました。赤ん坊はゆりかごに寝かされていましたが、大男がぶふぁー、ぶふぁーとあまりに大きく息を吸ったり吐いたりするものですから、その勢いであかん坊はゆりかごから空中に舞い上がって天井へ飛んでいきました。大男はあれよあれよと赤ん坊をみていましたが、<br>「この赤ん坊はいったいなにをしているんだね」と、ケローランに聞きました。ケローランが真面目な顔をして、<br>「じい様から受け継いだ剣（つるぎ）をもってきて、おまえさんの首をちょんぎろうとしているのさ」と言うやいなや、大男はその場から飛び上がると矢のような速さでかけだし、後ろも見ずに逃げて行ってしまいました。<br>　<br>　こうして、ばか力はあってもまぬけな大男はケローランにころっと騙されて、ケローランとその家族は恐ろしい大男から逃れることができたのでした。それからというもの、みんなはケローランが王様からもらったたくさんの金貨でなに不自由なく楽しく幸せにくらしたということです。</font></p><p><font size="3">---------</font></p><p><br><font size="3">■ほじゃさんから</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">つくばで、「ふっくらお話勉強会」と近く、「牧園文庫 歴史雑談会」も発足する予定です。<br>その節はこのブログにて別途ご案内いたします。<br></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/ohanashi-g/entry-11250014540.html</link>
<pubDate>Sun, 13 May 2012 23:29:41 +0900</pubDate>
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<title>トルコ民話紀行（１）（常陽新聞連載）</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">＊ほじゃさんが常陽新聞に掲載しているトルコ民話紀行をこちらのブログでも紹介して行きます。</font></p><p><br><font size="3">--------------------</font></p><p><br><font size="3">はじめに</font></p><p><br><font size="3">　トルコに、ナスレッディン・ホジャと言う名前の愉快な人物が活躍する笑い話が語り伝えられている。私と妻は今から三十年ほど前にこのホジャ話と出会い、その魅力に惹かれて、それ以来ずっとトルコの民話と向き合ってきた。ホジャ話について夫婦で毎日語り合っているうちに、「現代のトルコ人の間で、ホジャ話はどのように語り継がれているのだろう」という興味がつのり、二人でトルコ語の学習を始め、次いで、妻はアンカラ大学の外国人向けトルコ語講座に三年連続して参加し、三年目の秋にはアンカラ大学の修士課程に入学してトルコ民族学を専攻し、ホジャ話に関するフィールド・ワークと取り組んだ。その間、彼女はトルコのさまざまな町や村を訪ね、一千人以上の人々とホジャ話について話し合い、ホジャが今でもトルコ人の心の中に生きていることを実感して帰国した。</font></p><p><br><font size="3">　その後、私達はトルコの民話を紹介するための季刊誌『ふっくら』を十五年間に五十九号まで発行したが、残念なことに妻が五年半ほど前に心臓病の発作で急逝してしまった。しばらく私も失意のどん底をさまよったが、やっぱりホジャ話の深い含蓄と大らかなユーモア精神が忘れられず、妻の語りの活動の仲間のみなさんにも支えられて、また、ホジャ話に向き合うようになった。そして、今年の二月に『ふっくら』挿絵原画展を開催したところ、思いがけず多数の来場者があった。挿絵も、絵が上手だった妻が描いたもので、フィールド・ワーク中に訪ねた町や村の風景と人々の暮らしぶりが生き生きと描き出されている。その絵を紹介しつつ、ホジャ話やトルコの歴史と文化、イスラーム社会のことなどを少しずつ紹介してみたい。どんなピンチにもへこたれず、ロバに乗って悠々と人生を闊歩するホジャの心を少しでも伝えることが出来れば幸い。題して『トルコ民話紀行』。<br>（児島和男：　翻訳家・トルコ民話研究者、つくば市在住）</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3"><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20120418/23/ohanashi-g/42/0c/j/o0528078211923896914.jpg"><img border="0" alt="お話ギャラリーつくばのブログ-hodja01" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20120418/23/ohanashi-g/42/0c/j/t02200326_0528078211923896914.jpg"></a><br></font></p><p>シビリヒサールの入口にあるホジャの像<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/ohanashi-g/entry-11226926215.html</link>
<pubDate>Wed, 18 Apr 2012 23:35:50 +0900</pubDate>
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<title>◆「飼い猫のトム」（イギリスの民話から）</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">＊ほじゃさんからお話の紹介です。<br>27話目は『イギリスの民話』から「飼い猫のトム」というお話です。</font></p><p><br><font size="3">----------■飼い猫のトム（イギリスの民話から）■----------</font></p><p><br><font size="3">ある冬の日の夕方のことです。墓掘り男のおかみさんが、暖炉のかたわらで、飼い猫のトムと一緒に座って、夫の帰宅を待っていました。猫は年をとった、大きな黒猫です。うつらうつらしながら待っているのに、なかなか墓掘り男は帰ってきません。ずいぶん長い間まっていると、男が家のなかに駆け込んできて、やにわに</font></p><p><font size="3">「トミー・ティルドラムっていったい誰かね」と大声をでおかみさんに聞きました。あまりにあわただしい様子なので、おかみさんも猫もびっくりして、いったい何事がおきたのかと、彼をじっと見つめました。</font></p><p><br><font size="3">「どうしたのさ。トミー・ティルドラムなんて知らないよ。どうして、そんな人のことを知りたいのさ」と、おかみさんはたずねました。<br>「いや、おどろいたことがあったんだ。あのフォーダイスさんの墓を掘っているときに眠くなって、ねちまったらしい。そして猫がニャオというなきごえで目を覚ましたのさ。」</font></p><p><br><font size="3">「ニャオ」と、トムが男にこたえるようになきました。</font></p><p><br><font size="3">「そうだ、そんな声だ。で、墓のふちに目をやったんだが、何が見えたと思う？」<br>「そんなこと、わかるわけないわ」と墓掘り人のかみさんは言いました。<br>「トムそっくりの黒猫が九匹いたんだ。みんな胸のところに白のぶちがついたやつだ。猫たちが何を担いでいたと思う？　黒のビロードのかけ布で覆われた小さな棺だ。そして、そのかけ布の上に、全部金でできた小さな王冠が置かれているんだ。そして、猫たちは三歩あゆむ度にニャオを鳴き声をあげるんだ」</font></p><p><br><font size="3">「ニャオ」と、またトムがなきました。</font></p><p><br><font size="3">「そうだ、まったく、その通りのなきごえだ」と、墓掘り人はトムをちらりと見て言いました。<br>「彼らがどんどん近づいてきたので、様子がはっきりわかったよ。彼らの目が緑色の光でひかっていたからね。猫たちはわしの方にやってきたのだが、そのうちの八匹の猫が棺をかついていて、一番大きな一匹だけが先頭を歩いているのだ。おや、ちょっとトムをみてごらん。わしをみつめているな。まさか、わしが何を話しているのか分かっているんじゃないだろうな」<br>「かまわないから、話をつづけなさいな。トムのことなんかほっときなさい」<br>「そうそう、猫たちはゆっくりと厳粛な様子でわしの方にちかづいてきて、三歩あるく度にニャオとなくのさ」</font></p><p><br><font size="3">「ニャオ」と、トムはまた鳴きました。</font></p><p><br><font size="3">「そうだ、そんな風にだ。最後に猫たちはフォーダイスさんの墓ところにやてくると、わしの方をじっと見るんだ。わしはけげんにつつまれた感じだった。ほら、トムをみてごらん。その猫たちは、今のトムとまったく同じ様子でわしを見つめたんだ」<br>「それで、それで。トムのことなんていいから、放っておきなさいよ」と、おかみさんが言いました。<br>「どこまで話したっけ？ああそうだ。ああ、猫たちがわしを見つめたんだ。そして、棺をかついでなやつがわしのまん前にやってきて、わしをじっと見つめてから、トム・ティルドラムにティム・トルドラムが死んだと言えと、かなきり声でいったんだ。だから、トム・ティルドラムは誰かとお前にたずねたのさ。トム・ティルドラムがだれだかわからなければ、トム・ティルドラムにティム・トルドラムが死んだとつたえることなんか、できないじゃないか」<br>「あら、トムをみて、トムをみて」とおかみさんは叫び声をあげました。</font></p><p><br><font size="3">　トムは体をゆすり、それから、墓掘り人とおかみさんをじっと見つめ、最後に大声で言いました。<br>「なんだって？　ティムが死んだ？　それじゃあ、わしが猫の王様になる番だ」</font></p><p><br><font size="3">　トムは煙突のなかを駆けのぼり、それからと言うもの、二度と姿を見せませんでした。</font></p><p><br><font size="3">---------<br>■ほじゃさんから</font></p><p><br><font size="3">この話はジョセフ・ジェイコブという人が編集して１９４２年に初版が出版された『イギリスの昔話』（フレデリック・ミュラー社）の中で見つけた話です。よく構成されていて、不思議な感じがする話なので、自分で訳してみたのでが、後で知人から聞いたら、この話はすでに翻訳されて、日本語で出版されているそうです。でも、語りに向いた話なので、自分の訳を紹介します。</font></p><p><font size="3"><br></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/ohanashi-g/entry-11224152516.html</link>
<pubDate>Sun, 15 Apr 2012 21:54:19 +0900</pubDate>
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<title>◆「ヤルムホロズ」（トルコの民話から）</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">＊ほじゃさんからお話の紹介です。<br>26話目は『トルコの民話』から「ヤルムホロズ」というお話です。</font></p><p><br><font size="3">----------■ヤルムホロズ（トルコの民話から）■----------</font></p><p><br><font size="3">　昔むかし、ある村にヤルムホロズという貧しい男がおりました。</font></p><p><br><font size="3">　ある日のこと、ヤルムホロズには食べるものが何もなくなってしまいました。困り果てたヤルムホロズは、ずっと以前に地主に金貨を三枚貨してあるのを思い出して、それを返してもらおうと思いました。ところが、その地主はヤルムホロズの村からは大変遠いところに住んでいました。そこで、ヤルムホロズは朝早く起きて、地主の村へと出かけて行きました。山越え谷越えどんどん歩いて行くと、途中でお化けに会いました。<br>「ヤルムホロズのおじさん、どこへ行くの？　一緒に行ったらいけませんか？｣と、お化けが言いました。ヤルムホロズが<br>「一緒に行くのはいいが、とても遠くへ行くんだよ。そんなに長い間歩けるかい」と言うと、<br>「歩けるとも、おじさんのお荷物にはならないよ」と、お化けがしきりに頼むので、連れて行くことにしました。<br>山越え谷越えどんどん歩いて行くと、お化けはだんだん疲れてきて、びっこをひき始めました。<br>「もう歩けない」とお化けは愚痴をこぼし始めました。<br>「それなら、おれのお尻に入れ」と言って、ヤルムホロズはお化けを自分の尻に突っ込んで、また歩き始めました。</font></p><p><br><font size="3">　しばらく行くと、狐に会いました。<br>「ヤルムホロズのおじさん、どこへ行くの？　一緒に行ったらいけない？｣と、狐は言いました。ヤルムホロズが<br>「一緒に行くのはいいが、とても遠くへ行くんだよ。そんなに長い間歩けるかい」と言うと、<br>「歩けるとも、おじさんのお荷物にはならないよ」と、狐がしきりに頼むので、狐も連れて行くことにしました。山越え谷越えどんどん歩いて行くと、やがてお昼になりました。狐はとても疲れて、よろよろしながら、<br>「もう歩けない」とお化けは愚痴をこぼし始めました。<br>「それなら、おれのお尻に入れ」と言って、ヤルムホロズは狐を自分の尻に突っ込んで、また歩き始めました。</font></p><p><font size="3">　そして、しばらく歩いて行くと、小川のほとりに着きました。<br>「ヤルムホロズのおじさん、どこへ行くの？　一緒に行ったらいけない？｣と、小川が言いました。ヤルムホロズが<br>「一緒に行くのはいいが、とても遠くへ行くんだよ。そんなに長い間歩けるかい」と言うと、<br>「歩けるとも、おじさんのお荷物にはならないよ」と、小川がしきりに頼むので、小川も連れて行くことにしました。また、どんどん歩いて行くと、山のふもとに着きました。すると小川は、<br>「わたしは登れない」と言って、立ち止まってしまいました。ヤルムホロズは小川もお尻に突っ込み、また歩き始めました。山を登り、山を下って、昼下がりに、地主の家に着きました。門の扉をたたくと、召使がやってきて、<br>「何の用かね」と言いました。ヤルムホロズが<br>「地主に貸してあるお金を返してもらいに来たのさ」と言いました。召使が地主に取り次ぐと、地主は怒って、<br>「そのヤルムホロズとやらをがちょう小屋に閉じ込めろ。がちょうに突っつかせて、そやつを殺してしまえ」と、召使に命じました。</font></p><p><br><font size="3">　召使はヤルムホロズをがちょう小屋に閉じ込めてしまいました。がちょうたちはとがったくちばしで、ヤルムホロズに襲いかかって来ました。そこで、ヤルムホロズがすぐにお尻から狐を出すと、狐はがちょうたちを一羽残らず食い殺してしまいました。</font></p><p><br><font size="3">　夕方、召使が様子を見に来ると、がちょうたちはみんな殺されており、ヤルムホロズは何事もなかったような顔をしていました。召使はあわてて地主のところに走って行って、このことを知らせました。これを聞くと、地主はカンカンに怒って、<br>「そうし、それなら、今度は家畜小屋に閉じ込めてしまえ。牛が角で突っつき、馬は蹴っ飛ばして、奴を殺してしまうだろう」と、召使に言いました。</font></p><p><br><font size="3">　召使は、さっそく、ヤルムホロズを家畜小屋に閉じ込めました。ヤルムホロズは夜になるまで、小屋の隅にじっとうずくまっていましたが、暗くなると、すぐにお尻からお化けを出して、家畜たちのところに放ちました。牛も馬も綱につながれているので、お化けは一頭残らずたいらげてしまいました。お腹いっぱいになったお化けは、もう一度ヤルムホロズのお尻にもぐりこみました。</font></p><p><br><font size="3">　次の朝、家畜たちの様子を見に行った召使は、家畜が皆殺しにされているのを見て、びっくり仰天しました。すぐに地主のところに走って行って、このことを伝えました。これには地主もすっかり腹を立てて、<br>「わしの大事な家畜を殺してしまうとは、これはいったいどういうことだ。ヤルムホロズのような奴にこんな目に会わせられるなんて、わしは我慢ならん。こうなったら、奴を裏の焚き木小屋に閉じ込めて、火をつけて、あいつを焼き殺してしまえ」と、召使たちに命じました。</font></p><p><br><font size="3">　召使たちはヤルムホロズを焚き木小屋にぶちこんで、火をつけました。ヤルムホロズは小屋中に火が広がるのを待ってから、お尻から小川をだして水をかけたので、　火はまたたくまに消えてしまいました。そして、ヤルムホロズは焼けた焚き木小屋から、すずしい顔をして出てきました。</font></p><p><br><font size="3">　これを知った地主は気も狂わんばかりに怒って、<br>「わしの大切な財産がめちゃくちゃにされてしまった。ようし、今度は、金貨の蔵に閉じ込めてしまえ。これ以上奴に長居されては、なにもかも台無しにされてしまう」と、わめきちらしました。</font></p><p><br><font size="3">　召使たちは、さっそく、ヤルムホロズを金貨の蔵に押し込めました。ヤルムホロズは蔵に入ると、お尻に金貨を入るだけつめ、口の中にも金貨を三枚突っ込みました。そして、幸いにも抜け穴を見つけたので、蔵から抜け出すと、地主に向かって<br>「お前に貸した三枚の金貨を返してもらったぞ」と大声で叫び、それから自分の村に向かいました。途中で、お尻の中のお化けと狐と小川も、それぞれ元いた場所に戻って行きました。村に帰ったヤルムホロズはたいへんなお金持ちになり、村人たちから重んじられる人になりましたとさ。</font></p><p><br><font size="3">　ヤルムホロズは、今でも元気に暮らしているそうですよ。きのうもここを通って、みんなによろしくと言っていましたよ。</font></p><p><br><font size="3">---------<br>■ほじゃさんから</font></p><p><font size="3">＊　これも『ふっくら』一号に紹介しました。ヤルムホロズは、トルコ語で「半分にわとり」という意味です。トルコの昔話では、小川も山も公園も人間のように動き出します。日本の昔話にはこうした場面が出てくるのかどうか、よく知りません。それでも、猿かに合戦では臼が動き出しますから、こうしたことは昔話の世界では珍しくないのかもしれませんね。<br></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/ohanashi-g/entry-11219763626.html</link>
<pubDate>Tue, 10 Apr 2012 23:37:15 +0900</pubDate>
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<title>ほじゃさんからのお知らせです。</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">■ほじゃさんから</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">「今日（3月31日）から、茨城県で発行されている常陽新聞で連載が始まりました。題して『トルコ民話紀行』。<br>週一回の連載です。満子のペン画に解説を添えながら、ホジャ話などのトルコ民話や、トルコの歴史と文化、イスラーム社会のことなどについて少しづつ紹介していく予定です。現代社会で民話を語り継ぐことの意味とか、語り手群像についても触れようと思ってます。」</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">--------------</font></p><p><font size="3">常陽新聞を読まれている方、是非、お読みくださいませ。</font></p><p><font size="3"><br></font></p><p><font size="3">また、掲載済みのお話を後追いでこちらのブログでも紹介していく予定です、</font></p><p><font size="3">少々お待ちください。</font></p>
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<link>https://ameblo.jp/ohanashi-g/entry-11208854583.html</link>
<pubDate>Sat, 31 Mar 2012 09:38:50 +0900</pubDate>
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<title>◆「霜の大王と雪娘」（ロシアの民話から）</title>
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<![CDATA[ <p><font size="3">＊ほじゃさんからお話の紹介です。<br>25話目は『ロシアの民話』から「霜の大王と雪娘」というお話です。</font></p><p><br><font size="3">----------■霜の大王と雪娘（ロシアの民話から）■----------</font></p><p><br><font size="3">　ずっと昔、ロシアの北の方に、材木商人の夫婦が住んでおりました。長い間待って最初に生まれたこどもは女の子でした。とてもかわいらしい赤ちゃんだったので、近所の人たちもお祭り騒ぎの大喜び。洗礼の式が終わったら、家のドアを広く開けておいて、蜂蜜入りの麦酒を大きなコップにいっぱい満たして用意しておきなさい、と母親に言いました。なぜなら、そんなかわいい赤ちゃんには、かならず妖精の女王がやってきて、赤ちゃんを祝福してくれるにちがいないと、人々は信じていたからです。そして、人々のいったとおりのことが起こりました。きれいな青と銀色の上着を身にまとい、右手には真珠で飾った杖を持った妖精の女王がやってきて、蜂蜜入りの麦酒をすすり、女の子の眠っているゆりかごに微笑みかけ、その真珠の杖をきっかり七回振って、それから家から出て行きました。隣人達はお互いに言い合いました。<br>「この子は本当に幸せな子だね。それに肌の白さといったら、まるで雪娘のようだね」</font></p><font size="3"><p><br>　それから何年か経って、その材木商人の夫婦にもうひとりの女の子が生まれました。このときも、家の扉は広く開かれ、蜂蜜入りの麦酒で満たされた銀のコップが用意され、母親は朝から待って、待って、待ち続けましたが、誰もやってきませんでした。夕食の後、夫は仕事で出かけなければならなかったので、母親は一人で家におりましたが、やがて、もう扉は閉めてしまった方が良いのではないかと思い始めたちょうどその時、ひとりの少女が入ってくるのが目にとまりました。少女は裸足で汚れており、髪の毛もぼさぼさで、物乞いのような身なりでした。<br>「おまえは一体何がほしいんだね」と、母親はとげとげしい声で言いました。<br>「奥様、あなたの赤ちゃんをみせてくれませんか？」<br>「私の赤ちゃんを見せてほしいだって？おことわりだね。出てお行き！　あんたは怠け女だねえ。自分の力でパンにありついたらいいじゃないか」と、母親は大声で叫びました。<br>「赤ちゃんを見せていただけないなら、その蜂蜜入りの麦酒をすこしだけ飲ませていただけませんか。ずっと遠くからやってきたので、とても喉が渇いているのです」<br>「麦酒の飲ませてくれだって？　なんてずうずうしいことをお言いだね。私がつくった一番上等の麦酒を、ボロをまとった物乞いに飲ませてあげるととでも思うのかい？　この麦酒は妖精の女王様のためのものなのさ。今すぐにでもやって来るかもしれないじゃないか」と、母親は言いました。<br>「一口でも二口でもいいのです。どんなに私の喉が渇いているか知っていただけたら・・・」<br>「おまえさんの喉が渇いていたって、それがどうしたっていうんだね。おまえさんは、馬鹿な女の子だね。村の井戸にはたっぷり水があるんだから、そこでたっぷりのんだらいいのさ。さっさと出ておいき！」　母親はひどく腹を立てていだので、少女が立ち去るやいなや、扉のところに走っていって、それをバタンと閉じてしまいました。<br>「あらまあ、なんとしたことをしてしまったんでしょう。妖精の女王がやってきて、家の扉が閉じられているのをみたらどうしよう？」と彼女はつぶやいて、かんぬきを引き抜き、錠前も外して、扉を閉じる棒もひっぱりましたが、なかなか扉を開けることができませんでした。でもやっとの思いで扉を開けて、通りの方を見てみましたが、妖精の女王がやってくる気配はないので、とうとう家の中にひっこんでしまいました。</p><p><br>　次の日も、またその次の日も彼女は待ち続けましたが、二番目の娘を真珠の杖で祝福してくれる妖精の女王は姿を見せず、彼女はひどく落胆してしまいましたが、やがて、その落胆は深い悲しみに代わりました。なぜかというと、二番目の娘は大きくなるにつれて顔が浅黒くなり、せなかがせむしのように曲がってしまったからです。近所の人々はその子のことを煤（すす）娘と呼ぶようになりました。彼女あまりに浅黒くて醜い顔をしており、彼女の振る舞いは家族のものも含めて誰に対してでも不機嫌で、不愉快だったのです。</p><p><br>　やがて時間が経つうちに、母親は雪娘のひどく嫌うようになり、年下の娘ばかり甘やかすようになったので、とうとう、最後には誰もがみな、娘の我慢できないほどになりました。肉を焼かせると黒こげにし、家中に水を撒き散らし、流しの食器は壊すわ、針は失くすわ、なにをやらせても、ひどいありさまです。<br>それでも母親は、猫なで声で言うのです。<br>「おまえは天使のような娘だよ。可愛いすす娘や。お前は良い子じゃないのかい？　賢くないのかい？」</p><p><br>　一方、あわれな雪娘の方は、なにをやっても母親から小言を言われます。とても美味しいパンを焼いても、「イーストが足りないよ」と怒られるし、床をピカピカに磨いても「なんで私が豚小屋みたいなところで暮らさなければならないのさ」と怒鳴られます。顔拭きや手拭のタオルにも見事な刺繍をするので、近所の人たちはみな彼女の針仕事の腕前をほめそやしましたが、母親ときたら「あんなのは台所のぞうきんに使うのがやっとじゃないか」と言い放つしまつです。</p><p><br>　こんな状態が続いても、材木商人の夫は何も言いませんでした。彼は気の優しい男だったので、妻が塩は甘いと言っても、うなずくぐらいだったのです。そのうちに事態はもっとひどくなり、雪娘の暮らしはみじめな奴隷女のようになってしまいました。そしてすす娘は、姉のことをまるで雇われ人みたいにあつかい始めました。そしてすす娘はある日、母親にいいました。<br>「あのひとは台所で食事をさせたらいいんだわ。それに、おかあさんはなんであんなひとに革の靴を買ってあげるの？　ぼろ布でつくったスリッパで十分じゃないの」<br>「おまえはなんて賢いんでしょう。たしかにその通りだ。あの子は台所で働く女達と飲み食いすればいいんだねえ」と、母親は答えました。</p><p><br>　でも、何が起きても、雪娘の優しい性格は変わりませんでした。どんなにひどいことをされても、言われても、彼女はなにひとつぐちをこぼしません。毎日汗みずくで働いても、与えられる食事はちょっぴり。スカートがぼろぼろになり、スリッパもかかとのあたりまで擦り切れてしまい、日々の暮らしに楽しみはひとつもありませんでしたが、それでも雪娘はあいかわらず、嫌な顔をされても微笑をかえし、ひどい小言にも優しい言葉で答えました。<br>「あの子は偽善者なのよ」と、妻は夫に言いました。<br>「もううんざりだわ。あの子にはこの家にいてもらいたくないわね。あんな姉がうろうろしていては、私のかわいいすす娘に良い夫なんか現れっこないわよ。あなたの部下に命じて橇を用意させて、彼女を北の方の遠いところに連れていってしまいなさいよ。そして、どこかの野原に放り出しておけば、霜の大王がいいようにしてくれるわよ。あの子がいなくなったら、私はすぐ可愛いすす娘のためのお婿さん探しをはじめなくちゃ」</p><p><br>　商人は臆病だったので、彼女に言い返すこともできず、ためらっていると、女は急き立てるように言いました。<br>「あの子の身の上には何もおこりゃしないよ。妖精の女王はすす娘には微笑みかけてくれなかったけど、あの子は妖精の女王に護られているんだからさ。どこかの妖精の国にあの子を連れていってくれるわよ」</p><p><br>　女はもう妖精の女王への信頼をずっと前に失っていたのですが、夫をせかすためにそんなことを言ったのです。それで男は、とうとう「わかったよ。おまえの言うとおりにするよ」と妻に言いました。</p><p><br>　そして男は部下に命じて橇を用意させ、雪娘を呼び出し、橇に乗せると、か一番暖かい上着とショールを着せてやりました。<br>「橇すべりに行くの、おおうさん」と、雪娘は微笑みながらたずねました。商人は何と答えていいか分からなかったので、顔をそむけて、思い切ったように中庭から外に走りだしました。</p><p><br>　一方、母親とすす娘は台所の炉のそばに座って、木の実と生姜いりのお菓子を食べていました。<br>「妖精の女王がきて、あのひとを助けるなんて、私は信じないわ。多分、霜の大王が彼女を殺してしまうのよ。そうしたら、もう私たちは二度とあのひとのことは考えなくてもすむわね」と、すす娘はあざけるように言いました。「そうしたら、おかあさん。私に赤い絹のドレスと、トルコ石の耳飾を買ってね。ずっと前からほしかったのよ」<br>「おまえのほしいものは何でも買ってあげるよ。可愛い娘や」と、母親は彼女に言い、父親が戻ってくるまで、木の実とお菓子を食べ続けていました。</p><p><br>　父親が戻ってくると、女は家の外に走り出て、彼を迎えました。<br>「うまくいったの？」と彼女はたずねました。<br>「あの子を残してきたよ。おお、神様、お許しください」<br>「馬鹿なことをお言いでないよ。明日またその野原に行ってみればいいじゃないか。あの子は見つかりっこないよ。きっと、妖精の国に向かってるにちがいないさ」</p><p><br>　でも、商人はなにも答えませんでした。</p><p><br>　一方、野原にひとりで置き去りにされた雪娘は、広い雪の野原のなかで、雪の吹きだまりに身をもたせかけて、立っていました。驚きと悲しみで身を震わせながら、もうじき、立ってもいられなくなるかもしれないと考えていました。するとその時、霜の大王の目に彼女の姿がとまりました。頭にはキラキラ光る氷の王冠をかむり、肩に氷のマントをかけた大王は彼女の方にちかづいてきて、吹き溜まりの前にいる彼女の前で立ち止まりました。<br>「わしが誰かは、知っているだろうね、娘さんや。私になにか言うことがあるかね？」と、霜の大王が言いました。<br>「おはようございますというほかに、何も言葉はございません。霜の大王様」と雪娘は身を震わせながら答えました。「この世のすべてもものと魂は神様のみこころの下にあります。神様が私をこの世から連れ去るために、あなたの寄こしたに違いありません。ですから、私は朝の挨拶をするほかありません。おはようございます。霜の大王様。そして、お気のすむようになさってください」</p><p><br>　年をとった霜の大王は、もちろん、雪娘を殺すつもりでした。でも、雪娘の言葉が彼を大変なごませ、そして感動させたので、今はためらいを感じました。そして、彼は大きな白いあごひげを引っ張り、雪のような肩をすくめると、森の中に戻っていきました。</p><p><br>　しばらくすると、霜の大王はまた戻ってきましたが、今度は、腕に黒いテンの毛皮でできた上着をかかえていました。<br>「ふむ。今度はわしになんというのかね、娘さんや」<br>「こんどもお気にめすように、としかいえませんわ。霜の大王様」<br>「おまえは、寒くはないのかね？」<br>「もちろん、寒いです、大王様、でも、今は季節が冬ですし、あなたはその支配者まのですから、寒さと喧嘩してもしかたがありませんわ。神様は、私たちすべての者のために季節を定めてくださっているのです。ええ、まったく、本当に寒くてたまりません。でもそれはどうしようもないことですから、それを悲しんでもしかたありません」<br>「ここにおまえを暖かくしてくれるものがある」と、霜の大王はぶっきらぼうな口調で言いました。そして、その見事な黒テンの上着を彼女の肩にかけてやりました。彼女は大王に感謝の言葉をいいましたが、その様子がとても可愛かったので、彼の体が雪と氷のかわりに血と肉でできていたら、彼の体は解けてしまっていたかもしれません。<br>「おまえにはよくにあう。そんな上着をこれまで着たことはなかったのかね」と彼はつぶやきました。<br>「そんなことは無理ですわ。黒テンの毛皮なんてあまりに高すぎます」<br>「おなえは貧乏なのかね？」<br>「わたしにはぐちをこぼすことなんて、ひとつもありません。霜の大王様。塩があれば、野菜スープにいれますが、塩がなければそれでもいいのです。私はいつでも満ち足りています」<br>「わかった」と霜の大王はうなずいて、荒々しい足音を響かせながら立ち去りました。今度は、何かが彼を当惑させたのに違いありません。というのは、彼がまだ森にたどりつくより前に風が強くなり、雪嵐が野原全体に襲い掛かってきました。でも、雪娘には霜の大王がくれた暖かい毛皮がありましたから、まったく平気でした。</p><p><br>　しかし、霜の大王はまたやってくると、雪嵐やすぐおさまりました。<br>「雪嵐についてはあやまる」と、霜の大王はあいかわらずぶっきらぼうな口調で言いました。「でも、おまえの言ったことがわしを怒らせたのだ。おなえのような娘は何も不自由してはいかんのだ。夕食に塩だけなんてことがあってはならん」<br>「でも、私はそれについても何も不平はいいませんでした。大王様。それにあの雪嵐だって気にかけませんでしたわ。きれいな毛皮が私を気持ちよい暖かさで包んでくれました」<br>「おまえは分別のあるおんなのこじゃな」と霜の大王は言って、彼の右手を上げたり下げたりしました。すると、たちまち頭からつま先までキラキラ光る雪の衣を身に着けた何人かの小人が、野原の向こうからやってきました。<br>「王様」と、彼らは口をそろえて言い、うやうやしくお辞儀をしましたので、雪がひらひらとあたりに舞い散りました。<br>「大きなモミの木の下のわしの倉から、一番大きな赤いトランクをもってまいれ」と、霜の大王は小人達に命じました。<br>「さあ、さっそく仕事にかかるのじゃ」</p><p><br>　小人たちが大きな赤いトランクを担いで戻ってくると、大王はそれを指差して言いました。<br>「これはおまえの結婚のための持参金じゃ」<br>「おお、霜の大王様。なんとお心のひろいかたでしょう。でも私にはそんなものを受け取る資格はありません」<br>「しかし、おまえはもう豊かになったのじゃ。トランクの中には金の塊と、ビロードのドレスが七着はいっておる。さあ、わしはもう行かなきゃならん。おまえは善い娘だから、今後はなにもかもうまくいくことをわしは承知しておるぞ」</p><p><br>　そこで、雪娘はその大きなトランクの上によじ登り、毛皮の上着を肩に引き寄せて、次に起きることをまっていました。やがて、身体があたたまってきて、雪娘がふと野原の向こうに目をやると、ひとりもみすぼらしい身なりの女の子が野原を横切って近づいてくるのが見えました。<br>「おお、かわいそうに。なんて、寒そうな様子をしているの。こちらにいらっしゃい。私の毛皮の上着であなたも温めてあげるわ」と、雪娘は大声で叫びました。みすぼらしい身なりの女の子はどんどん近づいてきてきました。<br>「私と一緒に家に帰らない？私のお父さんがいつ連れ戻しにきてくれるかわからないわ。何故って、なんで私をここに置き去りにしたのか、その理由がわからないんだもの。でも、あなたには温かい夕食が必要でしょう？」と、雪娘はおずおずと言いました。<br>「そのとおりよ。それに喉も渇いているわ。でもあなたのお母さんは私をすぐ追い出してしまったから、わたしは戻ろうとはしなかったの」と、みすぼらしい身なりの女の子が言いました。<br>「まっすぐ台所に連れて行ってあげるわ。そして温かいスープもね！」と、雪娘は約束しました。</p><p><br>　家では、やや親がまた夫をなじり始めました。<br>「まったく、おまえさんときたら役立たずね。あの子はもう長い間外なんだよ。あの馬鹿の妖精があの子をどこかに隠していたんだよ、きっと。さもなければ、霜の大王があの子を殺してしまったんだ。橇にのって、あの子を探しておいでよ。葬式の準備をしておいたほうがいいんじゃないかね」</p><p><br>　そして夫が出かけてしまうと、彼女はパンケーキと蜂蜜入りの麦酒をお葬式のための準備し始めました。なぜかといえば、妖精の女王が雪娘をどこかに隠すなんて、ちっとも信じていなかったからです。</p><p><br>　とその時、突然、テーブルの下から一匹の小さな犬が飛び出してきて、<br>「ワン、ワン、ワン。七着のビロードのドレスと銀の皿、そして金のスプーンをもって戻ってきます。そして、もう一人のわかいご夫人には決して、決してお婿さんはみつかりません。ワン、ワン、ワン」</p><p><br>　母親が犬を蹴ると、犬は部屋から飛び出してゆき、中庭中を駆け回りながら、吠え続けました。</p><p><br>　しばらくして、パンケーキができあがり、蜂蜜入りの麦酒がコップに注がれました。　その時、門が開かれる音が聞こえました。母親とすす娘が外に走り出てみると、信じられないようなことが起きていました。大きな赤いとランクがあり、上王様のように光り輝く雪娘が見事な黒テンのコートを身にまとって立っており、彼女の髪毛はダイアモンドで飾られていました。その後ろにみすぼらしい身なりの女の子が立っていました。その子は前にこの家に来たあの女の子なのです。でも、もちろん、母親にはそれが分かりませんでした。そして、その物乞いのような女の子には一瞥もくれませんでした。<br>「雪娘」と、母親はあえぐように言いました。でも雪娘は別のことを考えていました。彼女は部屋に入っていくと、温かい麦酒のコップをつまり、それをみすぼらしい身なりの女の子に与えました。<br>「さあ、これであなたも温かくなるわ」と、彼女は叫びました。</p><p><br>　みすぼらしい身なりの女の子はコップから麦酒を飲みました。飲んでいるうちに、身にまとっていたぼろぼろの着物が方からすべり落ちて、可愛らしい銀のマントが頭から足の先まで、彼女の身体をつつみました。そして、彼女は真珠とダイアモンドで飾られた杖を右手に持って立ち、母親にいいました。<br>「あなたは私たちのことをちっとも信じていない。私はあなたの二番目のあかちゃんにも微笑をかけるためにここに来たのです。でも、あなたは私が中に入るのを拒絶しました」<br>「だって、妖精の女王様がみすぼらしい身なりで現れるなんて、知らなかったのです」と母親は叫びました。<br>「あなたは麦酒を拒んだり、腹立ちまぎれで家の扉をピシャリと閉めたり、私に向かって腹立ちまぎれに叫んだりするべきではなかったのです」。妖精の女王はこう言うと、大きなコップから麦酒の飲み干し、雪娘の頬に口付けをして、そして、姿が消えてしまいました。<br>「おかあさん。あの人は私を祝福してくれるはずの妖精だったのに、またしても彼女をおこらせてしまったんだわ」と悲しげに言いました。<br>「気にすることはないよ」と、母親は大声で言いました。「あんな人たちとなんのかかわりがあるものかね。真珠の杖だって何だって、たちまち消えてなくなっちまったじゃないか。それにおまえのお姉さんの着ている黒テンのコートや七着のビロードや、ほかのあれこれをよく見てごらん。妖精の女神がおまえにくれるはずだったものより、ずっと立派じゃないか。でも、雪娘。一体なにが起きたのか、私にはなしてごらん。王子様にでも出会ったのかい？それとも、宝物でも見つけたのかい。それにおまえは、愚かな母親が何を言っても許すといったじゃないか」<br>「たしかに、許せないことなんてなにもありませんわ、お母様」と雪娘は答えました。「私がこの結婚持参金を持つように望んだのは、霜の大王様なのです」</p><p><br>　母親は夫に向かって叫びました。<br>「まだ馬から、馬具は外してないだろうね。さあ、すす娘。おまえの毛皮の長靴をおはき。それからできるだけたくさんのショールもだよ。分かったかい。<br>彼女を同じ場所に置いて来るんだよ。聞こえてるかい。私の可愛い娘がたちまち霜の大王を虜にしてしまうにちがいないよ。それにおまえさん。気をつけて戻って来るんだよ、大きなトランクをひっくりさないように気をおつけよ」</p><p><br>　そこで、商人は若い方の娘を同じ野原に行きました。道々、彼女はひっきりなしに父親に話しかけました。<br>「霧の大王を虜にしろだって？彼は陰気なおいぼれ男じゃないの。彼と気の利いた話をしたってなんの意味もないわ。お父さん、見た？　雪娘の宝石は全部真珠とダイアモンドだったわよ。じゃあ、私はルビーとサファイアをくれと大王に言うわ。私は色のついたものが好きなの。お姉さんがもらったような白いビロードのドレスなんて、死んでも着たくないわ。私はエメラルドの刺繍をちりばめた金色のドレスがいいな」</p><p><br>　材木商人は黙って聞いているばかりで、何も言いませんでした。彼はすす娘を同じ場所に置いて、広い野原のはしまで走り戻りました。ショールと羊の毛皮の服を身に着けたすす娘がいらいらしながら待っていると、やがて、霜の大王が姿を現しました。<br>「ふむ。娘さん、何か私に言うことがあるかね？」</p><p><br>　彼はぶっきらぼうな口調で尋ねました。<br>「何か言えですって？」とすす娘は言い返しました。「わたしを空戻りさせるつもりなの？私にもおおきな赤いトランクをもってきてちょうだい。それに、ドレスはぜんぶ金色のビロードよ」<br>「そうかね」と、霜の大王は彼の長いあごひげよりもっとずっとこおりのように冷たい声で言いました。「他にほしいものは？」<br>「ルビーのネックレスと、・・・あれあれ、そんなに私に近づかないでよ。気持ち悪い老いぼれね。寒くてたまらないわ。それに、黒テンのコートもお願いね」<br>「おまえはもうすっかり冷えただろう？」と霜の大王はとどろくような声で言いました。<br>「しかし、おまえはもっともっと冷たくなるぞ」と言うと、彼は氷の手を上げて、すす娘の口を塞ぎました。彼女は叫び声を挙げようとしましたが、声をだすことができず、やがて雪の上に倒れこむのを、霜の大王は冷ややかに見つめていました。それから彼は右手をあげ、次に左手をあげると、すざまじい雪嵐が襲ってきて、そのまま娘の体は雪にうずもれ、誰にも分からなくなってしまいました。そして、次の年の春が巡ってくるころには、彼女のことはもうすっかり忘れ去られていました。そして、雪娘はと言えば、世界でもっともハンサムな王子様と結婚して、幸せにくらしました。</p><p><br>---------</p><p><br>■ほじゃさんから</p><p><br>　このロシア民話は原稿の段階で、ロシアの民話が大好きな語り手さんにお渡ししました。<br>彼女が語りこむと、テキストはもっと変わるかもしれません。</p><p>その語り手さんは、同じ話の他のテキストもあるが、私のテキストの方が語りやすいと言ってくれてます。</p><br></font>
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<link>https://ameblo.jp/ohanashi-g/entry-11202752318.html</link>
<pubDate>Sat, 24 Mar 2012 23:54:21 +0900</pubDate>
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