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<title>セットンのブログ</title>
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<description>ブログの説明を入力します。</description>
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<title>漫画本　水溜り　戦争</title>
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<![CDATA[ <p>　戦争だ、そんなバカな一声と共にその男は立ち上がった。<br>　涙を流しながらも立ち上がり、赤く腫れ上がったその瞳はつり上がる。<br>　つい先程まで笑っていたとは思えない表情をしながら目の前の扉を開け放ち、外に出る。<br>　その様子を見ていた周りの男達も弔いだと言いながら立ち上がり、男の後を追っていく。<br>　その姿を見て私を含めた数人の女は溜息を着いた。<br>　ハッキリ言ってバカだとしか言えない。<br>　何が戦争か、何が弔いか。<br>　高々漫画本を教師に没収されただけだというのに、それをする彼らの気持ちが私には分からない。<br>　彼らが出ていった後の教室に残された私達女子はその光景を見ながら一時間目の授業の支度を忘れていた事に気付き、慌て出す。<br>　これこそが日常だ。<br>　漫画本の為だけに弔いだ戦争だと騒ぎだす男子など日常に入れる訳もない。<br>　そうして始まった日常（授業）は教室の半分が空席だった事をここに記そう。</p><p>　授業開始から数十分が経過したところでスピーカーから途切れるような音がして、聞き覚えのある声が流れ出した。<br>『――我ら男子連合は授業のボイコットと放送室を含めた数カ所の占拠を宣言する！』<br>　……バカかと。<br>　いや、聞くまでもなく馬鹿である。<br>『私立御嵩ヶ原高校における全男子の内約八割がこの連合に参加している。我ら男子連合の要求は至極簡単、没収品の返却を要求する！』<br>「……授業を継続します」<br>　授業の担当教員の発言は解りやすかった。<br>　なにが悲しくて自分の首を絞める行為に付き合わなければならないのかという事だろう。<br>　一部の教室が占拠されたところで授業には支障がない上に放送の音量はこちらのスピーカーで調節可能だからだ。<br>　それ故に、そんな面倒な事は……。<br>『アホどもがぁ！私の仕事を増やそうとするんじゃない！』<br>　……生活指導の教諭にでも任せておけばいいという事だ。</p><p>◆◇◆</p><p>　占拠してからやく三十分が経過した。<br>　放送室の前に陣取っている教師達を確認して俺達は計画を実行に移す事にした。<br>　手元には占拠した用務員室から持ってきたホースとワックス、そしてモップがある。<br>　まず教員達から見えにくい所に水を蒔き、水たまりを作り出す。<br>　そして其の奥にモップを使ってワックスを塗りたくった。<br>　奴らがこっちに走ってきて転んだ直後に隠れていた人員でタコ殴りにするという寸法だ。<br>　ふっふっふ。<br>　これで勝つる！<br>　そう思っていた俺達の背後から声が聞こえた。<br>「……貴様等、学校の備品をこんな風に扱っていいと思っているのか？」<br>　……油断大敵とでも言うべきか、人外とも噂されている教師の存在を忘れていた。<br>　逃げ道ともいえる残された道は先程自分自身で封じてしまった。<br>　あれか、死亡フラグとでも言うべき物を俺達はいつの間にか立ててしまっていたらしい。<br>「まだだ！まだ第二第三の部隊が残っている！」<br>　<br>◆◇◆</p><p>　授業も終わり休み時間に入ったそんな時、負け以外の選択肢がないようなセリフが聞こえてきた。<br>　やはり、彼等は馬鹿の集まりだったらしい。<br>　連合とやらに参加しなかった男子は評価されるべき対象なのかもしれない。<br>　……まぁ、目の前の光景を見れば殆どの人間が思うだろう。<br>　職員室の前で段ボールを覗き込みながら、他人の物も含めて物色している男子の姿がそこにあった。<br>　あれだ、連合だ団結だと言いつつも他人の物を奪取して走り去る事に全力を費やしている人間にしか見えない。<br>　そんな事をしていれば教師に見つかるのも当たり前と言うことで。<br>　一部の生徒の裏切りによる敗北が決まった瞬間でもあった。</p><p>　その後、馬鹿な事に参加しなかった男子達の株は鰻登りだったそうな。</p>
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<link>https://ameblo.jp/okasisaikou/entry-11324138324.html</link>
<pubDate>Thu, 09 Aug 2012 16:59:00 +0900</pubDate>
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<title>西 餅 刀</title>
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<![CDATA[ 此度の主人公は男ではなく女、艶のある長い黒髪に鋭い目つき、男女関係なく注目を集める豊満な胸を持った少女の話である。<br>時は四月の二十日、高等学校の入学式も終わりを迎え、生徒達の間に友情が芽生える頃である。<br>此度の主人公、南雲 清は教卓の前に立っている男子生徒を睨んでいた。<br>彼の名前は江原 陳九郎、ボサッとした黒髪に柔らかい目つき、可愛らしい顔付きには似合わない名前をした彼は入学式が終わってから少しした今日、このクラスに転校してきたのである。<br>そんな彼を睨みつづけるこの少女、顔に似合わず占い等に手を付けており、つい先日の託宣がその理由を告げていた。<br>『西方より来たる者、それに纏わる暗き影、それらは汝に災厄をもたらすであろう』<br>(……関西圏から引っ越してきたということは災厄をもたらすのはあいつということか……)<br>冗談のような話だが彼女の占いの的中率は自分の事に関しては約十割、外れるようなことは殆どなく、そのようなことが出来る理由は彼女の家が関係しているのだが今はまだ語るべき時ではない。<br>陳九郎は不審な点が多すぎる。<br>まず、常に竹刀袋を携帯しているという事である。<br>竹刀や木刀が入っているだけなのかもしれないが、彼は剣道部に入部するつもりは殆どないという。<br>次に、陳九郎が昼食時に口にするのは餅のみでその他の食材は一切口にしていない。<br>他にも学校の中を念入りに調べ回っていたり、不審な点が多すぎるのである。<br>清は放課後に陳九郎の後を付けて回り、彼の動向を調べていた。<br>大して怪しい行動をせずに下校する彼は人気がない公園に入り込み、その中心で立ち止まり声を発した。<br>｢……いい加減出てきたらどうかな?｣<br>気付かれたと思い、意を決して出て行こうとした彼女は虚空より響く声を聞いた。<br>『……流石は我等が王、私の行動など御見通しというわけですな』<br>(……!?)<br>戸惑う彼女の目に映ったのは彼の目の前に現れた黒い影、影というよりも陽炎のように揺らめく黒い炎の方が適切だろう。<br>そして連想される形は一羽の鳥、清の家の中では鬼と呼ばれる類、その低級種であった。<br>｢……だから、僕は君達の王になるつもりはないよ｣<br>『……しかし、我等の王として相応しいのは貴方様しかおられません!!』<br>喚きたてる鬼を横目に陳九郎は持っていた竹刀袋の紐を解いた。<br>中から現れたのは一本の日本刀、赤い帯を巻かれた柄に梅の紋が入れられた鍔、生憎清には鍔まで見ることは出来なかったがその後の異常は理解できた。<br>鞘から日本刀を抜き放ち一閃、鬼を一刀両断した。……刀身の存在しないその刀で鬼を一刀両断にした。<br>｢……え?｣<br>『……王よ……なぜ……』<br>黒い煙を撒き散らしながら消えていく鬼。<br>それを見ながら無言で刃のない刀を鞘に納める陳九郎。<br>異常な出来事に理解が追いつかず放心する清。<br>それが二人の始まりだった。
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<link>https://ameblo.jp/okasisaikou/entry-10770929958.html</link>
<pubDate>Mon, 17 Jan 2011 07:52:28 +0900</pubDate>
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<title>西 もち米 運河</title>
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<![CDATA[ 古くから、白米やもち米には邪を祓う力があるとされている。<br>神社等で使われる御神酒も日本酒が基本なのは邪を祓う神聖なモノから作られているため、神に捧げるのに相応しいからである。<br>ともあれ、イロイロと御託を並べてはいるが僕が常にもち米を持ち歩いているのは総じて『幽霊や妖怪が恐い』というのが理由である。<br>全く、我ながら情けない理由だと言うのはわかっている。<br>だが、今回に限っては……今回に限ってはそんな情けない理由で持ち歩いているもち米が心強かった。<br>西の空に太陽が沈む黄昏の時刻、帰り道を歩いていた僕に一人の女性が声をかけてきた。<br>｢久しぶり、私の事覚えてる?｣<br>声は聞こえる姿も見えて足もある、唯一わからないのが彼女の顔だけだ。<br>黄昏、誰そ彼とも読むそれは相手の顔を判別できなくすると言われている時刻。<br>僕には彼女の顔を見ることが出来なかった、だがその声と彼女の着ている服を見て僕は思い出した。<br>『約一年前に事故死した同じクラスの朝霧 明日美』<br>ここ最近、彼女に会ったという生徒が増えており、その何人かの生徒が暫くすると意識不明に陥るという話があることを。<br>そして、その話の元凶である彼女が今、僕の前に現れたということを直感した。<br>｢……まさか、本当に朝霧さん……なの?｣<br>｢そうだよー……もしかして噂になったりしてる?｣<br>｢……うん、……君に会ったって人が何人かいるからね｣<br>僕がそう言うと彼女は苦笑した。<br>顔が見えないのにもかかわらず、僕には彼女が苦笑したのが手にとるようにわかった。<br>｢……うーん、失敗したかな……えーと鎌田君?｣<br>｢……違うよ、僕の名前は……｣<br>そう言いかけて僕は思い出した。<br>『幽霊に自分の名前を告げると魂を引きずられる』<br>そう教えてくれたのは祖父だったか、死人に生者が名前を明かすと言うのは魂の端を握らせる行為だとどこかで聞いた覚えがある。<br>｢……どうしたの?｣<br>首を傾げる用にして聞いてくる彼女は顔が見えないからこそ恐ろしく、僕はその場から逃げ出したい衝動に駆られた。<br>｢その手は食わないよ｣<br>｢……え?｣<br>｢今までそうやって名前を言わせてきたんだろうけど……その手は食わない｣<br>｢……ちぇっ、知ってたんだ｣<br>｢思い出したのはついさっきだよ｣<br>｢……なんでこんな事を……とか思ってるでしょ｣<br>｢……これ以上何かするつもりなら米を撒くよ?｣<br>｢わー!待って待って!!そんな事したら私消えちゃうよ!!｣<br>｢ならもう何もしない?｣<br>僕の脅しに屈した彼女は何もしないことを約束してくれた。<br>……にしても幽霊を脅すなんて僕もどうかしてる、本当は怖くて堪らないくせに逃げ出したりせず話を聞こうっていうんだから。<br>｢……えっと、なんで他の人の意識を失わせたの?｣<br>｢正確には魂を引っ張り出したんだけどねー、今日が最後だから……｣<br>｢……最後?｣<br>｢うん、最後。だからそれまでにいっぱい話をしたかったんだ｣<br>｢……そうだったんだ｣<br>……でも、最後って一体なんだろう。<br>そんなことを思いながら辺りを見渡せば、もう日も暮れきって星が見える頃合いになっていた。<br>｢……そろそろ……かな｣<br>彼女はそう呟くと僕を近くに流れる運河まで連れて来た。<br>そこで僕が目にしたのは一面の光、運河を流れ行く灯籠の一群だった。<br>｢……そっか、最後っていうのは｣<br>｢そ、これのこと｣<br>灯籠流し、盂蘭盆の終わりに霊送りの儀式として川や海に灯籠を流すこの儀式は幽霊にとって良い道標となるのだろう、だから彼女はそれまでに未練を残さないようにしていたのかもしれない。<br>｢それじゃあ、もう行くね｣<br>｢……うん｣<br>彼女はそういうと灯籠の上に腰掛ける様にして海の方へと流れて行った。<br>その光景を見ながら僕は思ったほど怖かったとは思っていなかったことに気がついた。<br>｢……そっか、僕は何も知らなかったから怖かったんだ｣<br>そして、会ったのが彼女だったからそこまで怖くなかったのかもしれない。<br>そこで僕は涙を流していることに気がついた。<br>彼女が亡くなったと聞いた時には流れなかった涙が、今何故か溢れていた。<br>そして僕は結論に辿り着く。<br>｢僕は、彼女が好きだったんだ｣<br>あの明るく話す彼女の顔や友達と笑っていた彼女の顔に僕は一年前から惹かれていた。<br>その事に気付かなかったんじゃない、きっと自分の弱い心に蓋をして気付かないフリをしていたんだ。<br>だから涙は流れなかった。<br>だから彼女の死を悼めなかった。<br>薄情だと言う者もいるだろう、それでも僕は彼女の事が好きだったんだと思う。<br>｢……朝霧 明日美｣<br>彼女の名前を呟いてみるとゆっくりとその言葉が胸に染み渡り空へと溶けていく様な気がして空を見上げた。<br>幾つもの星が瞬いているのを見ながら僕はまた一つ、涙を……流した。
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<link>https://ameblo.jp/okasisaikou/entry-10760865638.html</link>
<pubDate>Fri, 07 Jan 2011 12:54:28 +0900</pubDate>
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<title>影 地下室 黒光りするｱｲﾂ</title>
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<![CDATA[ 一寸先は闇、なんていう言葉が存在するが、今回の場合は一寸先は影と表現するのが打倒だろう。<br>闇ではなく影、どちらも共に光なくしては成立しないものである。だが、その違いは明白だ。闇は一筋の光も射さないが、影は物や人の足元にできる、つまりは自分達の普段気にしない場所であり、怖がる者は少ない。<br>だが、闇は手探りだからこそ慎重になるものだが、灯台下暗しなどという言葉も存在するように影は足元を掬う存在となりうる。<br>ならば、今の状況は一寸先は影と言うのが打倒だろう。<br>準備は万全、居場所も確認済み、後は行動に移すのみ…のはずなのだが…なぜだろう、何かを見落としてる気がする。<br>…なんだ…?<br>｢…兄さん、さっさと始めて｣<br>｢…はいはい…｣<br>此処は某家のキッチンである。…というか我が家のキッチンである。<br>現在、キッチンの床には新聞紙が敷き詰められており、僕の手には丸められた新聞紙が握られている。<br>僕はゆっくりと冷蔵庫に足を掛け、大きく揺らした。<br>それと共に冷蔵庫の裏から家庭で１番嫌われているアレの形をしたモノが飛び出してきた。<br>｢…ひっ!!に…兄さん!｣<br>妹の冴子の声を聞きながら、僕は飛び出して来たソレに新聞紙を振り下ろし、僕は自らの失敗に気づいた。<br>フワリと舞い上がる黒い影。<br>家庭で最も嫌われている黒光りするＧの姿をしたそれは宙を飛んだ。<br>…そりゃ飛ぶわなぁ、曲がりなりにも羽が付いたモンに変化してるんだし…まぁ、叩き潰すけどね。<br>バシッという音が二回連続で響いた時、新聞紙の上には丸くなった影のみが残った。<br>｢…終わった?｣<br>｢うん、多分｣<br>｢…はぁ～、何もあんなモノに変化して出てこなくても良いのに…｣<br>机の影からひょっこりと顔を出しながら冴子は溜息を付いた。<br>容姿端麗、成績優秀、僕とは似ても似つかない妹は溜息を付いた。<br>…僕か冴子、どちらか橋の下で拾われたんじゃなかろうか…。<br>｢まぁ、影がこんな形で変化するのは辞めてほしいな｣<br>現在、世界各地でモノの影が実体から離れて変化する事件が続いている。<br>今のところはモノだけですんでいるから良いのだが、これが人や動物に起きたらと思うとゾッとする。<br>切り離された実体は太陽光に当たると燃え尽きてしまう。吸血鬼のように燃え尽きてしまうのだ。<br>｢それで?今回の被害は?｣<br>｢ん～、コーヒーカップが軽く燃えてる｣<br>｢…たく、まぁ被害はすくないか…｣<br>実体から出た火は飛び火をすることはなく、燃え尽きるまでそのままだ。<br>そして、潰した影の処理の仕方は何かの入れ物に保存しておいたり、長時間日に晒して蒸発させるなど様々である。<br>更に、影の特性や影がなぜ質量を持って分離するのかについては解明されていない。<br>…とはいっても何かに使えるかもしれないし、大抵の家は保存しておくんだけどね…<br>そんなことを考えつつ、地下室の扉を開けた僕の前には闇が広がっていた。<br>否、闇ではなく影だ、今まで貯まりに貯まった影が入口近くまで這い上がってきたのだろう。<br>影は一度潰されたとしてもまた動きはじめる、だが太陽光の当たる場所には出ようとしないので保存は簡単だ。<br>僕が影を地下室に放り込んで背を向けた。<br>…ズッ…<br>その時、重いものを引きずるような音が響き、僕の身体は足元から地下室へと引きずり込まれた。<br>｢…え?うわぁああああ!!｣<br>        ◆◇◆<br><br>それが僕が人であった時の最後の記憶だった。<br>あの後、僕は地下室に貯められていた影達に影を食い散らかされた。<br>そして影達は僕の影と入れ替わり、僕は人ではなくなった。<br>年をとる事はなく、怪我をしても簡単に修復され、影を実体を持った何かとして操ることが出来る。<br>そして、影がなくなった物のように太陽光に当たって焼き尽くされることもない。<br>僕は化物となった。<br>…カツン…<br>そんなことを考えているうちに目的地に着いたようだ。<br>｢…貴方がシャドウ･ウォーカーですか?｣<br>｢僕の名前は柊 陽炎。ですが、そう呼ぶ人もいます｣<br>僕の名前は柊 陽炎、今はしがない探偵だ。
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<link>https://ameblo.jp/okasisaikou/entry-10700709845.html</link>
<pubDate>Mon, 08 Nov 2010 08:58:26 +0900</pubDate>
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<title>篭の鳥 棘 自転車</title>
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<![CDATA[ 心に棘が刺さるように私はその日、失恋した。<br>曖昧で、不明瞭な、そんな形で私は失恋した。<br>私の想い人が異性と二人で歩いているという、よくあるようなシチュエーション、そして私は告白をすることも無く失恋した。<br>それからの私は自分でも思うほどに死んでいたといっても良いだろう。勿論比喩であって実際に死んでいた訳ではなく感情を無くした人形の様であった。<br>ただ惰性に生活し、自動化された道具のように過ごしていた。<br>言うなれば私は自分という篭に閉じこもって逃げ出したニートの様なものである。格好良く言うならば篭の鳥だ。<br>うん、ごめんなさい。使い方が間違っています。<br>そんな時、私の下に一つの知らせが舞い降りた。<br>ハロウィンパーティーの知らせである。<br>主にアメリカを中心に行われているその祭は、夜中に子供達を出歩かせ、他人の家にお菓子をたかりに行くというとんでもない祭だ。しかも、お菓子を用意していないと悪戯をされるというのだからなお質が悪い。<br>そんな祭に託けてパーティーをするというのだから彼等はそんなにも騒ぎたいのだろうか。<br>まぁ、私が暇であることには変わり無く、私は早速準備を始める事にした。<br>騒ぐというのだから酒類が欲しいのだろう、幸い私は大学生の身分であり、酒類を買うことは問題が無い。<br>買うことは、である。<br>私は酒類を一口飲むだけで酔ってしまうので普段は飲まないのだが、今回に限り飲んでも良いだろう。<br>そう思いながら私は部屋にある梅酒を引っつかみ、家の脇に停めてある自転車を友達の家へと走らせた。<br>この時、既に私は自分の意志で行動していたと言うことは言うまでもない。<br>よくある手段として酒の力によって失恋の事など忘れてしまおうという腹積もりで向かい、案の定着いて直ぐに酔い始めたのだが、そこで一つの問題が起きた。<br>飲み始めてから少したった頃だろうか、私の想い人であった彼が以前見かけた女性と現れたのだ。<br>時に、女の嫉妬は恐ろしいというモノだが私はそれを酔いが覚めた次の日に実感した。<br>正直言うのであれば私は前日のことを彼が現れたあたりから覚えていなかったのだが、目覚めて見れば辺り一面朱一色、私以外に集まっていた人間は全て横たわり、特に彼が連れて来た女性については見る影もなく、一言で言うならグチャグチャに潰れていた。<br>それから、私は自分の身体ではなく自分の部屋という篭に閉じこもった、外界と隔絶された篭に閉じこもった鳥となった。<br>鳥というには私は汚れすぎているのでは無いのだろうか、ならば篭の鳥という言葉は相応しくないだろう、篭の烏とでも表しておこうではないか。<br>まぁ、それでも烏に失礼ではあるし、使い方も間違っているのではあるが、それはどうでもいいことだろう。<br>くだらない独白の様なモノは終わり、部屋に備え付けられた来客対応用報知器、言うなればインターホンが鳴り響いた。<br>警察だろう、だが私は往生際が悪い生き物であったらしい。<br>知らせを無視して私が手にとったのはヘアスプレーの缶と着火マンだった。<br>私はつくづく往生際が悪く、罪深い生き物らしい、もしかすると前世は蛇だったのかもしれない。<br>馬鹿なことだとわかっていたとしても止まることはなく、ガチャリと扉が開いた瞬間、私は両手に持ったそれらを同時に使用した。<br>簡易火炎放射機と化したそれらを使いつづけていた私は炎の壁の先から、何かの破裂音を聞きながら前方へと倒れ込み、火に包まれた。<br>熱い、熱い熱い熱い熱い熱い熱い、私は死ぬのだろうか、恐らく死んだ後も同じ様に炎に包まれ、焼かれ続けるのだろうな、そう思いながら私の人生は幕を閉じた。<br>独白の様な、馬鹿な女の人生は幕を閉じた。
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<link>https://ameblo.jp/okasisaikou/entry-10692961945.html</link>
<pubDate>Sun, 31 Oct 2010 15:35:31 +0900</pubDate>
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<title>吸血鬼 雪 安全保証条約</title>
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<![CDATA[ 闇よりも暗い黒色に<br>血よりも深い紅色に<br>僕の心は奪われた。<br><br>         ◆◇◆<br><br>「なぁ、安全保証条約ってどう思う?」<br>学校からの帰り道、僕はふと思った疑問を隣を歩いていた友人にぶつけてみた。<br>「ん～、私から見たら争いが無くなるから良いと思うよ～。あ～、でも他のヴァンプがどう思ってるのかは知らないなぁ」<br>そう言って茶髪茶眼、新世代の吸血鬼、菜畑 木ノ花は笑った。<br>吸血鬼。<br>昔は小説でしか存在して来なかった吸血鬼、彼等はゆっくりと姿を現し、僕等に牙を剥いてきた。彼等と僕達人間の関係は補食者と食物というものでしかない。<br>現在、彼等の数は一億に達しており、僕達が出来たことは彼等と安全保証条約に似た何かを結ぶことのみであった。<br>彼等との談義の結果、イギリス、イタリア、エジプト、カナダ、ロシア、ドイツ、オーストラリア、そして日本、この８つの場所を安全地帯、又は中立地帯として決定した。<br>安全保証条約の締結からおよそ40年、僕等のような新世代の人間と吸血鬼は平和に暮らしている。<br>「そっか、吸血鬼にとっては不自由になったって怒ってたのかと思ってた」<br>「吸血鬼っていうのは禁止」<br>普段語尾を伸ばしている木ノ花が強い意志をもって言ったその言葉は、吸血鬼という呼び方に強い不満を持っていることの意思表示であった。<br>吸血鬼とは人間、特に日本人が言い出した言葉で、彼等にとって血を吸う行為は生きるための必要事項ではなく嗜好品の様なもので、普通の食事で生きるために必要な栄養素は確保できるらしい。<br>だからこそ吸血鬼というのは化物を指す侮蔑の言葉として彼等に嫌われていた。<br>「…あ、ごめん」<br>「うん、よろしい」<br>簡潔な応答の後、僕等はいつもの三叉路で別れた。<br>彼等吸血－おっと、ヴァンプだった。<br>彼等ヴァンプについて小説で言われている霧になる、影が無い、鏡に写らない、太陽の下に出ると焼かれ死ぬ等といった事は無い。先程の木ノ花を見ていればわかることで彼等は僕等人間と違う所は犬歯が異様に長いということだけだと僕は思う。<br>だから僕は彼等を差別するつもりも無いし侮蔑の言葉を投げ掛けるつもりも無い。彼等は僕等の良き隣人であろうとしている、そんな人々をどうして嫌いだと言えようか。<br>そんなことを考えていると僕の目の前に一人の少女が現れた。<br>黒い髪と紅い眼、クラスの中で丁度真ん中辺りの背丈の僕より少し小さいくらいの背丈、黒いワンピースに身を包んだその少女は僕に問い掛けた。<br>「吸血鬼は好き?」<br>なにを言いたいのか理解できない僕はただ頷くのみであった。<br>「そう、なら気をつけて、貴方は『特別』だから…」<br>「…特別?」<br>僕が問い返した頃には少女は影のように消え去っていた。<br>跡も残さず影も残さず雪のように消えた少女の姿は家に帰るまで脳裏に焼き付いたままだった。<br><br>        ◆◇◆<br><br>「…暗い、寒い、眠い」<br>「も～、ごめんって言ってるでしょ～?」<br>「夜中に呼び出されて何かと思ったら『忘れ物したから付き合って～』なんて言われたら誰でもそうなるよ…」<br>夕方に話していた時の陽気さは何処へやら、僕の気分は最悪だった。<br>「そんなこと言っても付いて来てくれるから好き～」<br>「……馬鹿なこと言ってないで早く行くよ」<br>馬鹿な話が底をついた頃、僕等は教室の前に到着した。<br>「ちょっと待っててね～、今取って来るから～」<br>そう言って教室に入っていった木ノ花を見送った後、僕は後ろの窓からグラウンドを眺めていた。<br>いつもと変わらないはずのグラウンドは闇の中にぽっかりと空いた穴の様だった。<br>闇の中に広がる穴は何処か吸い込まれそうで…不思議と恐ろしく感じてくる。穴は大きく、白い影が通り過ぎ、全て……白い影?<br>その異常に気がついた時には下の階からガラスが割れる音が聞こえた。<br>「何……?」<br>先程の影を見た後だと何者かの侵入としか思えない。<br>『…気をつけて…』<br>夕方の少女の声が脳裏で再生され、僕は教室に飛び込んだ。<br>「ん～?どうしたの～?」<br>呑気な声を上げた木ノ花の手を掴んで僕は走り出した。<br>「…ﾊｧ…ちょっと!…ﾊｧ…いきなり走り出してどうしたの?!」<br>普段の語尾も付けられない程に息切れた木ノ花は一階の昇降口の手前で僕の手を振り切って立ち止まった。<br>「不審者が学校に入ってきたんだよ!さっき窓ガラスが割れた音がしたんだ!!」<br>「不審者?こんな田舎の学校に何の用が…」<br>『…ミツケタゾ…』<br>「え?」<br>月明かりの差し込む廊下に男の声が反響する<br>『…コノカオリ…』<br>声の主が何処に居るかもわからず、ただ声のみが反響し続ける。<br>「…なんか、やばくないか?」<br>「…逃げた方がいいかも」<br>僕は背中に木ノ花を隠しながら昇降口へと歩を進めた。<br>「僕が後ろを見張りながら行くから木ノ花は思いっきり校門まで走って!!」<br>「…わかった」<br>そして僕等は走り出した。<br>正直に言えば、足が遅い僕は助かることを放棄していた様なものだった。<br>遥か先を走る木ノ花の姿を見ながら僕は足を止めた。<br>「…何処だ?何処に…?」<br>辺りを見回すも昇降口から校門までの間に広がるグラウンドには他の影は見当たらない。<br>「…諦めたのかな?」<br>『…ココダ…』<br>突然背後に現れたそれは大きく口を開き、二本の犬歯を露にした。<br>－吸血鬼?!－<br>『…ヤハリ…マサシク…』<br>僕の驚く顔を横目に吸血鬼は首に犬歯を近づけた。<br>吸血鬼が血を吸う場合、血を吸い付くして殺すという。<br>こんな所で僕は死ぬのか?<br>こんな訳のわからない状況で僕は死ぬのか?<br>「い…やだ、だれか…たすけて」<br>僕の小さな声は響く事はなく、風に掻き消された。<br>だが<br>「…まったく…気をつけてって、言ったでしょう?」<br>そんな声と共に吸血鬼はまるで霧になったかのように掻き消えた。<br>否、霧になったのだ。<br>小説に書かれる吸血鬼のように、伝説のように、その吸血鬼は霧になった。<br>『…ジャマヲシタノハドイツダァアアア!!!…』<br>吸血鬼のいた辺りにはまるで血で作られたかのように紅い矢が突き刺さっており、僕の傍らに現れた少女はそれを引き抜いた。<br>「私よ、規約違反の吸血鬼さん?」<br>『…キヤク?…ソンナモノ、オマエタチガカッテニ、キメタコトダロウ?』<br>「それでも規約は規約、貴方みたいな吸血鬼を狩るのが私の仕事…だったはずなんだけど、今日からこの子の護衛も兼ねることになったのよね」<br>吸血鬼を狩る?僕の護衛?<br>『…シルカ…ヨウガアルノハソイツダケダ…』<br>「そうよね、貴重な『縁の血』だもの、狙う吸血鬼は貴方だけじゃないわ」<br>『…キサマ…!!』<br>「欲しいなら私を倒してからにしてね?」<br>そう言った少女は自分の手首を切り裂いた。<br>「…え?」<br>「…いったー…聞きたいことはあるだろうけどちょっと待っててね」<br>少女の手首はちぎれてはいないものの夥しいまでの血が滴っていた。<br>『…バカカ?』<br>「なんとでも言ってなさい、死ぬのは貴方なんだから」<br>少女の手首から滴り落ちていたはずの血はゆっくりと空中に集まり、先程見た矢の形に固まった。<br>手首の傷は既に無く、少女は血で出来た矢を手に掴んだ。<br>「見たところ成り立ての吸血鬼みたいだけど、誰を殺したの?友人?恋人?それとも家族?まぁ家族はないか」<br>『…ナニヲ…』<br>「基本的に吸血鬼はヴァンプが血を吸って初めて変化するものよ、吸血鬼は小説なんかで登場する能力と弱点を持っているけど一つ違うのは血を吸われた人間はヴァンプに成るだけなのよね。で、霧になったまま勝ち誇っているような奴は成り立ての半人前ってこと!!」<br>長い説明をしながら少女はグラウンドの土を蹴り上げ辺りに砂埃を舞上げた。<br>『…「ぅぇ!!何だこれ!?」』<br>突然、反響していたはずの声が一つの方向からに定まった。<br>「霧っていうのは水なのよ?砂に吸収されたらなれる訳無いじゃない」<br>そう言って少女は手に持っていた矢を吸血鬼の心臓に突き刺した。<br>「…何を?…吸血鬼は不死身のはず…」<br>「えぇ、不死身よ?吸血鬼が不死身なのは体に巡っている血が一番影響してるの、だ･か･ら」<br>そして少女は一息置いた。<br>「人間と吸血鬼のハーフである私の血を混ぜてしまえば、不純物に体が拒否反応を起こすって訳、心臓以外の場所だと効果が薄いけど心臓に刺してしまえば致命傷ね」<br>「…そ……な…」<br>何かを言う前に吸血鬼は紅い血晶を散りばめて消えていった。<br>辺りに散った血晶は紅い雪のように少女を照らし、映していた。<br>その闇よりも暗い黒い髪、血よりも深い紅い瞳に、僕は心を奪われた。<br>そして僕は恋に落ちた。
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<link>https://ameblo.jp/okasisaikou/entry-10690487702.html</link>
<pubDate>Thu, 28 Oct 2010 22:49:14 +0900</pubDate>
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<title>傘 蛙 お伽話</title>
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<![CDATA[ くるくる、くるくる<br>春の夕暮れ時の雨の中、今時では珍しい和風の傘が廻っていた。唐笠と言うのだったろうか、僕は隣を歩きながら傘の持ち主の少女を見た。<br>肩にかかる程の黒い髪、見た目に反し和服ではなく洋服を着込んだその姿は何処か違和感を覚える。<br>｢これから何処に行くんだ？｣<br>｢貴方と終わるその場所に｣<br>｢今日は、どうするんだ？｣<br>｢貴方と最後の一時を｣<br>｢貴方は私と何処に行きたい？｣<br>｢君と終わるその場所へ｣<br>｢貴方は私と何時までいたい？｣<br>｢君と終わるその日まで｣<br>そう言って僕等は笑いあった。<br>これは儀式、これは契約、これは信頼、これは愛情、これはその全てから成り立った僕等の関係だ。<br>お伽話みたいに王子様とお姫様の甘ったるい関係じゃない、打算的な思考とどうしようもない感情を突き詰めていった結果、出来た関係だ。<br>…そんな関係を信じるものは少なく、大抵の者は僕達を否定していく。<br>だから僕達は歩きだした。<br>人は関係ない、これは僕達の問題なのだから。<br>｢ねぇ、私達は何処に行けばいいと思う？｣<br>問い掛ける彼女の視線と僕の視線は絡み合い、僕はきちんとした言葉を述べた。<br>｢まずはこの町から出ないといけないよね。｣<br>｢でも…｣<br>そう言って空を見上げる彼女と一緒に僕は空を飛んでいる飛行船を見据えた。<br>あの飛行船は僕達を監視している。この町の住人が出て行かないように、他の町に逃げ出さないように。<br>この町は、外の町ではなく国家そのものに不満を持った人間が多く住んでいる。そのため外からの奇襲に備えるために壁を作り、同時に中の人間を逃がさないようにした。<br>逃げ出そうとした人間は例外なく町の境目にある壁から伸びる銃で射殺される。だからこそ僕達はこの日を選んだ。雨が降り、前が少し見えにくくなっている今の時期を狙い、僕達は行動を起こした。逃がし屋と連絡を取り、僕達は地下の道を通り抜けるつもりだ。<br>｢…まるでベルリンの壁だな。｣<br>そう、形こそ少し違うが逃走ルートに新たに掘った地下のルートを使うというのは似ていると言ってもいい。<br>｢此処を降りて待っていればいいのね？｣<br>そういって彼女は待ち合わせ場所の下水道に繋がるマンホールへと降りていく。<br>…こういう時は男の俺が先導したかったんだけどな…<br>そんな淡い矜持を抱きながらマンホールを僕達は降りてしばらくするとライトを持った人間が近づいてきた。<br>｢貴方達が依頼人であっていますでしょうか？｣<br>現れたのは僕達と変わらない位の年の少女だった。<br>肩のあたりで髪を纏め、動き安そうな短パンを履いている。<br>僕達が頷くと少女は背中を向けて歩きはじめた。<br>｢これから先、罠が仕掛けられていますので何にも触ることをせず私の後ろについてきてください｣<br>僕は先行した少女の後を彼女と歩きだした。<br>しばらく進むとと下水道の一部に穴が開けられていて少女はそこに入り込んだ。<br>｢此処から先は、私共が作った道ですので罠の危険はありません｣<br>此処までくる間、罠には引っ掛からなかったものの、非人道的とも言える罠が幾つも設置されていた。教えられただけでもワイヤーを切ってしまうと壁から日本刀の刃の様なものが正確に首と腹と足を横凪ぎに切っていく物や、決まったタイルを踏んでしまうと熱センサーが起動して熱物体目掛けてマシンガンや手榴弾、火炎放射機などが浴びせ掛けられるものまであるそうだ。<br>少女の言葉を聞き、僕達は横穴へと入り込んだ。<br>｢見て、カエルがいるわよ。｣<br>｢此処は外の川とも繋がっているのでいても…っ!!｣<br>少女は地面で跳ねているカエルを見て驚愕した顔になり、叫んだ。<br>｢二人とも離れて伏せてください!!｣<br>少女の言葉を聞き、僕達はその場から床に飛び込んだ。<br>瞬間、カエルが爆発し、体液が僕の服に付着して煙を上げた。<br>｢よかった…。｣<br>そう言った少女の腕は皮膚が爛れ、焼け焦げていた。<br>｢よかった、じゃない!!大丈夫なのか？!｣<br>僕達の心配の言葉を聞き流し、少女は腕を押さえながら歩き去って行った。<br>｢…ついていきましょう｣<br>｢…うん｣<br>僕達の間には重い空気が流れ、穴を抜けるまでそれが無くなることは無かった。<br><br>穴から出て、僕達がまずしたのは少女の腕の手当だった。大丈夫だと言う少女を他の逃がし屋の職員と取り押さえ、無理矢理手当を施した。<br>それから僕達は町の外を歩きはじめた。<br>｢これからどこに行こうか。｣<br>｢貴方と終わるその場所に。｣<br>｢これからどうしようか｣<br>｢貴方と最後の一時を｣<br>｢貴方は私と何処に行きたい？｣<br>｢君と終わるその場所へ｣<br>｢貴方は私と何時までいたい？｣<br>｢君と終わるその日まで｣<br>これは誓いだ。これから最後まで生き抜いて行こうという僕達の誓いだ。<br>僕達のせいで怪我を負った少女に感謝と後悔の気持ちを抱きながら生きていこうという僕達の誓いだ。<br>僕達はそう誓いながら歩きだした。
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<link>https://ameblo.jp/okasisaikou/entry-10558670060.html</link>
<pubDate>Wed, 09 Jun 2010 22:31:44 +0900</pubDate>
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<title>スクリーン プレート 窓</title>
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<![CDATA[ ｢では、健闘を祈る。｣<br>目の前に見える人影はそんな言葉を残してスクリーンから消え去った。<br>｢…健闘を祈る、だとよ｣<br>｢と、言われてもねぇ…｣<br>薄暗い部屋の中、二人の男女がスクリーンの方を向いて座っていた。<br>｢さて、まずは授業に戻るとするか。｣<br>そういって小柄な青年が立ち上がり女の方を見た。<br>｢おまえはどうするんだ？｣<br>｢まぁ、休み時間も終わることだし目立たないように教室に帰ることにするわ｣<br>そういって二人の男女はスクリーンのあった部屋から出てゆきそれぞれの居場所に帰っていった。<br>二人が出ていった後の部屋のなかで物音がして一人の少年が机の下からゆっくりと出てきた<br>｢…ふぅ、見つからなかったわけだけど何の話だったのかな｣<br>彼の名前は刈島 幸平、此処柏木高校の一年生である。<br>｢まぁ、調べられることは調べておかないといけないし｣<br>そういって彼は部屋から出ていった。<br><br>世界は平和だった。平和過ぎるほどに平和だった。<br>俺は平和が嫌いだ。平和な世界なんて糞食らえだ。俺の好きなことは静かな湖に岩を投げ込んで波紋を起こすこと、要らぬ波風を起こすことが俺の生き甲斐でもある。<br>そんな俺がなぜこんな所で教師なんかをしているのかといえば、それは趣味と実益を兼ねているからと言ってもいいだろう<br>｢ﾌ…我ながら趣味が悪いな｣<br>｢先生、どうしたんですか？｣<br>おっと、授業中だったな<br>｢いや、なんでもない、授業を再開するぞー｣<br>全く、俺としたことが…ん？<br>おー、こわ。あいつ目茶苦茶睨んでやがる。<br>はいはい、真面目に仕事をさせていただきますよー。<br>そう思いつつ俺は俺を睨む女生徒の視線から逃げるように授業を再開した。<br><br>全く、あいつは自覚というものが足りていない。<br>教師をするというのであればもっと毅然とした態度で望まなくてはならないのに軽いノリで行動をする。私達の任務をきちんと理解しているのだろうか<br>｢今日はこの辺にしておこう、なにか質問がある者は？よし、じゃあ解散ってことで｣<br>そう言って立ち去ろうとするあいつに女生徒が群がり、文句を言うことが出来なくなる。<br>此処で騒ぎ立てるわけにもいかず、私は屋上へと向かった。<br>｢全く、あいつは自覚がなさすぎる…!!ここは私がちゃんとしないと…｣<br>屋上の出入口の壁の上、更にその上にある貯水タンクの上に座って私は呟きながらパンを頬張っていた。<br>｢なんの自覚がないのかな？｣<br>｢え…？ｷｬｯ…!!｣<br>突然の隣からの声に驚き、私はバランスを崩した。<br>｢危ないっ!!｣<br>声の主は私の腕を掴んで引き戻す。<br>｢えっと、ありが…とう？｣<br>｢どういたしまして、それで？何の自覚がたりないのかな？｣<br>声の主は同じクラスの…確か名前は…<br>｢刈島君、だったかな？｣<br>｢…転校してきたばっかりなのにもう名前覚えてくれたんだ。うれしいなぁ｣<br>…う、うかつ～!!まさか聞かれていたなんて…<br>｢えっと、刈島君？い、何時からそこに居たの？｣<br>｢さっきの授業終わって直ぐだから幡野さんのちょっと前だね。｣<br>ま、まさか初めからだったなんて…任務とかのことは口にだしてないだろうから大丈夫だけど…<br>｢それで？なんの自覚が足りてないの？｣<br>｢っ津守先生よ!授業中に放心したり、あの言葉遣い、教師としての自覚が足りないんじゃないのかって事よ!｣<br>｢へー、幡野さんは津守先生の事が嫌いなんだ。｣<br>｢ええ、大っ嫌いよあんな奴｣<br>そこで刈島君は目を細めた。<br>｢へ～、津守先生は一週間前、幡野さんは昨日この学校に来たのになんかもっと前から知ってるって言い方だね。｣<br>っ!？なに？コイツ…鋭過ぎる!!<br>｢気のせいよ、昼休み終わっちゃうし早く戻ろ？｣<br>｢そっか、次は古典だったかな？｣<br>は…話は反らせたけど、刈島 幸平、警戒しておいたほうが良いわね…。<br><br>うーん、少し早まったかなぁ。まぁあの態度を見るからにあの二人は結構長い間何かしらの形で関わってるみたいだ。…でも、なんで此処、雷襲高校に着たのかまではわからないな。<br>｢…もう少し調べてみないとな｣<br>｢え？なにか言った？｣<br>｢ううん、なんでもないよ。それよりも早く教室に行こう｣<br>｢ええ｣<br>ふー、危ない、危ない。これ以上警戒されるのはまずいからな。<br>まぁ、さっきの話からして行動は今日中だろうな。<br><br>二人が教室に戻る途中、近くの教室から叫び声が聞こえた。<br>｢うわぁあああ!!｣<br>急いで二人が駆け付けるとそこにはまるで獣に食い散らかされたような男子生徒の死体があった。<br>｢そんな…計画はまだ先の…っ!!｣<br>そんな言葉を呟き、彼女は走り去った。<br>｢予想外の事態なのか…？…誰か、先生を呼んでくれ!!｣<br>刈島は初めて死体を見たはずであるのに冷静に対処し、初めに見つけた男子生徒を落ち着かせていた。<br>｢呼ぶ必要はない、俺が此処にいるからな。おーおー、派手に食い散らかしてくれたもんだ。｣<br>｢津守先生、幡野さんなら何処かに走って行きましたよ。｣<br><br>｢－幡野さんなら何処かに走って行きましたよ。｣<br>…!？なぜ此処であいつの名前が出て来る!？<br>…まさか、コイツにばらしたんじゃねぇだろうな…!？<br>｢…俺は原因を探ってみる。暫くこの教室は立入禁止にしてくれ。｣<br>俺は走り出した。この学校の使われなくなった焼却炉の前へ…!!<br><br>やはり手遅れだった。焼却炉に閉じ込めて、計画時に解き放つはずだった狼はもう解き放たれていた。<br>｢やっぱりあれは…!｣<br>校舎の一階廊下から叫び声が聞こえた。<br>｢…計画を早めなくちゃいけないようね…｣<br>なら、先ずは放送室に行くべきか、それとも…<br>｢おい!｣<br>校舎から叫びながら走ってくる津守の姿が見え、私は気分が悪くなる。失態はあいつの不注意でもあるから八つ当たりされる謂れはない。<br>｢…なに？｣<br>｢この際アレが居なくなったことは二人の責任だから文句は言わない。だが、なんであの男子生徒が俺ら二人の関係を知っている？｣<br>関係？あの場に居た男子生徒といえば刈島のはずだけど…<br>｢刈島幸平の件であれば警戒をした方がいいでしょうね。勘が鋭過ぎる。｣<br>｢…まぁ、いいか。計画は実行段階に入っちまったってことで｣<br>疑わしげな視線を向けて、津守は去って行った。<br><br>…オオカミだって!？そんな捕獲も討伐もしにくいモノをなんで…<br>この学校が置かれてる状況を考えると…考えられることは一つだけ…<br>焼却炉の近くの茂みから話を聞いていた僕はゆっくりと校舎に戻ることにした。<br><br>窓が、割れている。<br>負傷した生徒や腕のみが廊下に転がっていた。<br>このまま計画を実行してもいいのだろうか…<br>校舎に戻ってきた私は校内の荒れ具合に驚愕していた。<br>｢流石にこれは…｣<br>『校内に狼が侵入しました。生徒は急いで退避してください。』<br>…退避!？身代金の請求じゃあなかったの!？退避なんかさせたら狼に喰われるのが落ちじゃない!？<br>狼の退治をすべく私は走り出した。<br>校内のスピーカーから響いた声がついさっき聞いた声ではない事には気がつかなかった。<br><br>『校内に狼が侵入しました。生徒は急いで退避してください。』<br>なんだと!？、人質にするつもりだった生徒を退避させたら計画が…!!<br>そう考え、俺は校長室に向かって走り出した。<br>スピーカーから響いた声が先ほど疑っていた生徒の声であることに、気づいた。<br><br>｢…ふぅ、それじゃあ、校長室まで誘い出しますか。｣<br>放送を終え、僕は廊下に飛び出て左右を確認する、右手に狼の影が見え手に握っていたペンを投げつけた。<br>ダーツの矢のように飛んだペンは狼の額に刺さった。<br>狼は怯まず走り出す。目が血走り、牙を剥き、餌を目指して走り出す。<br>僕は身を翻し走り出した。<br>次第に牙が近付き、追いつかれそうになったその瞬間、前方からナイフが飛んできて狼の足に突き刺さった。<br>｢早く!!｣<br>前方を見ると播野がナイフを構えて叫んでいた。<br>その間狼は足を引きずるようにして尚も餌を追い求める。<br>僕は播野の元まで走り寄り、手を引いて校長室に駆け込んだ。<br>校長室は荒らされていた。荒らした人間は一目瞭然、何らかの書類を握りしめて津守は声をあげた。<br>｢な…!!お前…!!｣<br>僕は無言で播野を引っ張り、開いた扉の影に回り込んだその時、狼が部屋の中に飛び込んだ。<br><br>津守は立て続けに起きた事態に気が動転して体が硬直した。予想だにしなかった刈島の登場、更にそれを追い掛けてきた狼、部屋に入って直ぐに隠れた刈島よりも目の前の津守に意識が向くのは当然の事態で、狼は津守に飛び掛かった。<br>｢…は……？｣<br>理解が出来ないとでもいうような声を最後に、津守は押し倒され首に喰らいつかれた。<br>｢…くっ…こんなところで…｣<br>最後の力を振り絞り、津守はナイフを狼の頭に突き刺し、共に絶命した。<br>｢…うそ…これじゃあ任務が…計画が…土地の権利書が…｣<br>津守が死んだのを確認した播野は呆然と呟きはじめ、しばらく我に返ることはなかった。<br><br>事件は終わり、僕の日常は帰ってきた。<br>播野達の目的は学校の土地の権利書の奪取、又は手段は問わない形での委譲だったそうだ。<br>僕はポケットから生徒手帳の形をしたプレートを取り出した。<br>｢暫く依頼はないんですね？はい、わかりました。｣<br>そういって僕はプレートをしまい歩きだした。
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<link>https://ameblo.jp/okasisaikou/entry-10554203643.html</link>
<pubDate>Sat, 05 Jun 2010 00:48:57 +0900</pubDate>
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<title>灯籠 年賀状 悠々自適</title>
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<![CDATA[ …ﾋﾟﾁｬ…ﾋﾟﾁｬ……ﾋﾟﾁｬ…<br>水の滴る音がする。<br>全てが沈むような闇の中、静かに水の音のみが響き渡っている。<br>…ﾋﾟﾁｬ…ﾋﾟﾁｬ……ﾍﾞﾁｬｯ…<br>………水の滴る音…か？<br>どちらかというと水分を含んだ何かが落ちる音じゃないか？<br>…ﾍﾞﾁｬｯ…ﾍﾞﾁｬｯ…ﾋﾟﾁｬ…<br>……いやいやいやいや!!<br>な…何が落ちてるんだ？<br>あかり…明はないのか…？<br>その瞬間、目の前に火が灯り、徐々に灯籠、庭と見えて行き…飯が…飯？<br>…飯だ…ろ…<br><br>｢優!!飯だ!起きろ!!｣<br>…飯…<br>｢これのことかよ!!｣<br>｢なんだ？いきなり｣<br>｢…いや…なんでもない｣<br>そう、あの夢の事はコイツには関係ない<br>｢それよりも、女の子なんだからいい加減、言葉遣い直せよ…佳奈｣<br>｢そんなのはあたしの問題だ。居候が指図すんな｣<br>｢はいはい｣<br>そう、俺は居候だ。三年前からコイツ、良木 佳奈(りょうぎかな)の家に居候させてもらっている。<br>あの…悪夢のような三年前のあの日から…<br>｢どうした？なんか渋柿にマヨネーズをかけて食べた見たいな顔をしてるけど｣<br>どんな顔だよ!!<br>｢いや…なんでもない、それよりも朝ご飯のメニューは？｣<br>｢喜べ!心の中で『どんな顔だよ!!』と突っ込みを入れてくれた君のために…｣<br>ま…まさ…か…<br>｢渋柿のマヨネーズ掛け、崖っぷち風味をプレゼントだ!!｣<br>…渋柿のマヨネーズ掛け、崖っぷち風味は※※※の味がした。<br>｢…うっぷ｣<br>気持ち悪い…家を出る前に鏡を見てきたが、俺は絶対あんな顔はしていない…はず<br>｢……ごめん｣<br>謝るくらいならしないでほしい…<br>｢…まぁ、学校にいこうか？｣<br>｢…あぁ｣<br>重い足を引きずる様に俺は学校へと足を向けた。<br>瞬間、目の端に銀が写った。忘れもしない銀、紅と白銀のあの風景。銀色の髪をした…人<br>｢…っ!!｣<br>｢ちょっと、優!？｣<br>俺は反転し、佳奈の制止の言葉を振り切って銀色を追って走り出した。<br>姿は辛うじて見えるが、角を曲がるときに見える銀の髪だけだ。<br>曲がる、曲がる、その繰り返し。<br>｢…たしかそこの角を曲がって………え？｣<br>着いたのは廃工場。そこに銀髪の少女は佇んでいた。<br>｢私に、なにか用？｣<br>紅い瞳を光らせ、少女は問うてきた。<br>正直にいって、少女の美しさに俺は言葉を失っていた。<br>腰まである長い髪、鮮血の様な鮮やかな瞳、歳の頃は俺と同じくらいだろうか。<br>｢…ちょっと、聞こえてる？｣<br>｢…え…あ…な…何？｣<br>｢だから、貴方が私に何の用か聞いてるのよ｣<br>少し苛立っているように話す少女を見て、俺は少女に聞きたい事があったのだと思い出した。<br>｢…三年前、と言われて何か心当たりはある？｣<br>｢三年前!？兄さんの事を何か知ってるの!？｣<br>｢兄…？三年前の１月二日の事を聞きたいんだけど…｣<br>少女は軽く眉を潜めた。<br>｢…なんで貴方があの日のことを…兄さんが盗んだ物は部外秘のはずなのに…｣<br>｢…盗んだ？俺はあの日の事件のことを…｣<br>…おかしい…話が噛み合っていない…<br>｢…話が噛み合っていないわね…事件ってなんのこと？｣<br>…この少女は何も知らないみたいだ…なら、これ以上話を聞いても無駄かな<br>｢知らないならいいよ、俺の名前は藤倉 優、もし何か思い出したらこの電話番号に連絡をしてもらえるかな？｣<br>少女は怪訝な顔をして俺が差し出した紙を受けとった。<br>｢…私の名前は鎖神 璃紗…多分することはないと思うけどね｣<br>…そういって俺はようやく学校へと向かった。<br>…鎖神 璃紗…か…<br>        ※※※<br>｢藤倉 優｣<br>兄さんが家からアレを持ち出したあの日に起きた事件はただ一つ、一家心中未遂事件の事でしょうね<br>あの事件の真相はわからないけど兄さんがあれを持ち出してから色々な事件が起きている。もしかしたら兄さんが関係しているかも…<br>調べてみる必要があるかもしれないわね<br>私は携帯をおもむろに開き番号を入力した。<br>『…………ﾌﾟｯ…珍しい、貴方が電話をよこすとは』<br>｢そんなことはどうでもいいわ、兄さんが失踪した日にあった心中事件と兄さんの関係を調べて｣<br>『人使いが荒いですね、わかりました。では明後日に………ﾌﾟｯ…』<br>｢…………兄さん…｣<br>        ※※※<br>二時間目の授業が終わる頃、俺は学校に着いた。<br>鎖神 璃紗はなにかしらの関係がある。俺のあまり当てにならない直感がそう言っていた。<br>｢…大した重役出勤だねぇ…優？｣<br>｢……………知らなかったのか？俺は重役なんだ｣<br>…やばい奴に見つかった。<br>まさか休み時間に教室に残っているとは…<br>｢…じゃあ、その更に重役の私がお仕置きしてやらないとなぁ？あたしを置いて何処に行ってやがった!？｣<br>……三年前の記憶にあった人物に似ていた人を追いかけたって言ったら心配かけるだろうな…よし、ここは真実をぼかして<br>｢女の子の尻を追っかけてた｣<br>『こいつ馬鹿だ…』<br>『あぁ、死にたいとしか思えない…』<br>『だれか!線香を用意しろ!!』<br>…ん？何故かクラスにいた生徒が騒いでる気がする………しまった…これじゃあただの変態か痴漢だ…や、やばい…佳奈が手を白くなるまで握りしめて…<br>｢こんの…色ボケがぁ!!!｣<br>顎の強烈な痛みと共に俺の体は宙を舞い廊下の壁に打ち付けられた<br>｢…っ～～～～～～～!!｣<br>｢…人を置いて行ってナンパか？いい御身分だなぁ？!｣<br>｢ちょっ…やりすぎ…｣<br>｢知るかー!!｣<br>し…死ぬ!…マジで死ぬ!!<br>その時、教室の中から声が響いた<br>｢お前達、私の授業の前に流血沙汰とかやめてくれよ？私の仕事が増えるからな｣<br>俺と佳奈が入口を見ると古典の瀬倉が立っていた。<br>｢由美先生…｣<br>｢良木、授業前に騒ぐのは構わん。だが、流血沙汰等の教師の後処理が必要になることはするな。面倒臭いからな｣<br>…た…助かった。彼女の名前は瀬倉由美(28)独身、噂では彼氏いない歴=年齢だという…<br>｢…藤倉｣<br>｢は、はい!!｣<br>｢今、失礼な事を考えただろう｣<br>…鋭い…っていうか、男子の間では有名な話だけど…<br>｢いえ、瀬倉先生の事を褒めたたえてました｣<br>｢…良木、構わん。好きにしろ｣<br>｢すいませんでした!!｣<br>その言葉を聞いた瞬間俺は床に飛び込み、額を床に擦り付けた。<br>プライドなんか、訪れるであろう命の危機の前では紙切れ同然だ。<br>｢…よし、全員席に付け!授業を開始する。あぁ、名波啓介は起こさなくていいぞ、寝てる奴が悪い｣<br>…あいつは命の危機の前に成績の危機が訪れそうだな…<br><br>授業が終わり、購買で昼食を調達して教室に帰ると同時に名波君が教室から出ていった。<br>｢－－－－－くれるなよ｣<br>教室から声が響き、独特の香が立ち込めた。<br>｢…教室は禁煙ですよ、瀬谷先生｣<br>｢固いこと言うんじゃない｣<br>まぁ、俺は余り気にならないしいいか<br>｢先生がそんなこと言うなんて珍しいですね｣<br>｢そりゃ、名波やお前がもしかしたら今日で見納めになるかもしれんと考えるとなぁ｣<br>｢それって…ど…ﾌﾟﾙﾙ…ﾌﾟﾙﾙ｣<br>｢そら、電話だ。行ってきな｣<br>相変わらずタバコを吸っている先生のいる教室を後にして、俺は携帯の通話ボタンを押した<br>｢…もしもし｣<br>｢私よ、事件について話したい事があるから今から言う場所に急いで着て貰える？大変なことになる前に…｣<br>それだけ言って彼女は通話を切った<br>忌まわしいあの場所を待ち合わせ場所に指定して…<br><br>電話があってから３０分後、俺は一つの廃墟の前に立っていた。俺の人生の大半を占め、俺の家族を奪っていった家の前に、俺は、立っていた<br>｢遅かったわね、貴方の学校からなら１５分で来れると思ったのだけれど｣<br>｢いろいろと準備してきたんだよ｣<br>…なんで俺の学校を知ってるんだ？<br>｢調べたから｣<br>｢……人の心を読まないで貰えるかな｣<br>｢読める訳無いじゃない、声に出てたわよ｣<br>｢え……｣<br>…マジか…って本題を忘れてた<br>｢それで？俺を呼んだ理由は？｣<br>｢それは貴方がよく分かってるんじゃない？｣<br>｢…三年前の事件の現場であり、俺の住んでいた家…此処に何かあるとでも言うのか？｣<br>｢その事件の時の事を詳しく話してもらえない？｣<br>…より詳しく状況を知るためか…俺は…今日初めてあった女に警察にすら話すことをしなかった話をしようとしてる、俺の血塗られた記憶を…罪…の…記憶を…<br><br>その日は三が日ということもあり、俺は年賀状の仕分けをしながら悠々自適な生活を送っていた。<br>｢お兄ちゃん、私に年賀状きてたー？｣<br>｢ん、十三枚きてたぞ。｣<br>そう言って俺は妹の海歌(みか)に年賀状を渡した。<br>俺はこんな日常がこれからも来るのだと、そう思っていた。<br>夜、水の滴る音で目が覚める。<br>闇が部屋を包み込み、庭の父が趣味で作った灯籠からも明かりが消えている。<br>｢明かり、明かりは、何処だ？｣<br>明かりを探してさ迷う間も水の滴る音が響いている。<br>『お兄…ちゃん…』<br>海歌の声が聞こえた気がした。<br>｢海歌？｣<br>声が聞こえた方向へと俺は歩き始め、居間の前で足を止めた。足を止めざるをえなかった。<br>居間には大量の水が…否、血がぶちまけられ、母親と父親の顔をした塊が俺の目の前に転がっていた。<br>｢っ!!｣<br>悲鳴をなんとか押し止め、再び俺はゆっくりと中を覗き込んだ。<br>血で出来た池の中心では腹を刺し抜かれた妹の姿と月明かりでヌラリと反射する返り血を浴びた銀色の髪－－－<br>｢海…歌…？｣<br>今度は声を押さえることが出来なかった。<br>血のように紅い瞳が俺を見据える、その狂気を孕んだ瞳を見て俺の足は動くことをやめた。<br>｢っ!動け!動けよ!｣<br>海歌の生死の判断の義務を捨てて、俺は部屋に逃げ込もうとするが足が動かない。銀色の髪の男はゆっくりとナイフを構え歩み寄って来る。その時、足が、動いた。急いで部屋に駆け込んで、立て掛けてあったバットを追い掛けてきた男に勢いよく振り下ろした。<br>バットは男の肩に当たり、男は身を翻して逃げていった。<br>その場に崩れ落ちた俺はこれからどうすればいいか考えながら意識を手放した。<br><br>｢－－その後、近所の人が通報して、何故か父親がナイフを持っていたってことで警察が勝手に無理心中だと断定した。あの時海歌はまだ生きていたかもしれない!俺はそれが分かっていながら逃げてしまったんだ!!｣<br>｢…ごめんなさい｣<br>璃紗は少し申し訳なさそうな顔をしながら謝った。<br>｢…お前が謝ることじゃない、それで？何かわかったのか？｣<br>｢ええ、それは…｣<br>｢それは私が話しましょう!!｣<br>突然、ﾊｲﾃﾝｼｮﾝなオッサンが目の前に現れ、まくし立て始めた<br>｢私の名前は村田弘樹、今回、鎖神様にご利用いただいた情報屋でございます、私の調べたところによりますとその事件の犯人は、鎖神の家から家宝である宝刀『水月』を盗み去った鎖神裏姜(りよう)様に間違いございません、切られた死体の中にはで足の健を切られたございましたがどうもその傷だけナイフによる傷ではないようなのです。恐らく、軽い試し切りと間合いの長い刀で切ったのでしょう。さらに…｣<br>…長い、うざい、五月蝿い、何だよコイツ…<br>｢…なぁ、コイツいつもこんな感じなのか？｣<br>｢…ええ…腕はいいのだけれど、余り依頼はしたくないわね｣<br>そう小声でやり取りしてる間も村田は話を続ける。<br>｢…そういうことで、鎖神裏姜はこの家に只今潜伏中でござーいます!!｣<br>は？海歌の…仇が…この…なか…に？<br>頭が真っ白になり、扉に手を……かけた<br>｢っ!!待ちなさい!!話はまだ…!!｣<br>璃紗の制止の声は虚しく響き、俺は懐かしく、そして悲しき我が家に踏み込んだ。<br><br>扉の開く音がする…私以外に立ち入る者は…あの少年…か？<br>切り掛かる私にバットの一太刀を浴びせ掛け、私を退散させたあの少年、何をしに来た？<br>あれから三年…生活用品を取りに来た訳がない、…ということは狙いは私、か？<br>床が軋み、居間の扉が悲鳴を上げる<br>私は立ち上がり、宝刀『水月』を手に扉を見た<br>｢…やはり、君か｣<br><br>扉を開けるとあの日と同じ銀色の髪の男が俺を見据えていた。<br>ようやく、見つけた…海歌の、父さんの、母さんの…仇!<br>｢…やはり、君か｣<br>｢…やはり？…なんで俺が来ると思った？｣<br>いざ仇を目の前にすると意外にも冷静な俺がいた。<br>｢意外だな、会った瞬間にそのバットで殴り掛かって来ると思ったんだが…｣<br>｢俺も驚いている、何故俺の家を狙ったんだ？｣<br>｢…この宝刀『水月』の軽い試し切りの為に適当に押し入っただけだ。たまたま鍵も空いていたんでな｣<br>そういうと裏姜は刀に手をかけた<br>｢…てめぇ｣<br>自然とバットを持つ手に力が入る。<br>｢一人の足の健を切って助けを求めさせたら、芋づる式に釣れる、釣れる。家族愛というものには感心させられたな｣<br>…そんな理由で海歌は…父さんは…母さんは…<br>｢兄さん、そんな安い挑発をしてどういうつもり？｣<br>｢｢璃紗｣｣<br>涼しげな声が響き、俺と裏姜の二人の声が重なった。<br>…挑発…確かに安い挑発だ、俺が見逃すことが出来ない事を見透かした挑発だ…俺を逆上させて切り伏せようとしたのか、それとも…<br>｢…残された時間は少ない、宝刀『水月』…いや、妖刀『吸月』を手に取ったあの日、私の意識は刀に乗っ取られていた、『吸月』は常に合理的判断を行いながら宿主の体を使って殺人を促す、自我が弱い者は刀に意識を乗っ取られ殺人を始める、あれから刀に乗っ取られた私は身を潜めていた。｣<br>突拍子もない話をされて俺も璃紗も言葉を失った。<br>｢だから罪を償う機会を得たと私は思った、彼に殺される事によって全ては終わると私は、思ったんだ。｣<br>｢………けんな…｣<br>｢は？｣<br>｢…ふざけんな!!その刀に乗っ取られただの罪を償うだの、どっちにしても俺は被害者なんだよ!!三年前は無理心中ということにされて、今度は殺人犯になれってか!？そんなら始めから自首しやがれ!｣<br>｢では私はどうすれば…｣<br>｢そんなの自分で考えやがれ!｣<br><br>確かに兄さんは理不尽な事を言ってはいたけれど…藤倉 優…彼も理不尽な事を言ってると思う…投げやりな発言にも程があるわね…<br>彼の一言一言に兄さんの顔は絶望に沈んで行く、…そういえば、兄さんはなんて言っていたかしら…『自我が弱い者は刀に乗っ取られ…』自我が弱いとは、精神的にダメージを追っている今のことじゃ…!<br><br>｢離れて!!｣<br><br>璃紗の声が俺の叫びを中断する。<br>裏姜をよく見ると刀を持つ手に力が入り始めている。<br>瞬間、刀を構えた裏姜が一歩前へと踏み込んだ。<br>横凪に振るわれる刀を何とか避けた俺は裏姜の頭目掛けてバットを振り下ろす。裏姜は刀でそれを防ぐが木製のバットに深く食い込んでしまい抜けなくなる。<br>そこで均衡状態に陥った<br>｢…殺す気はなかったんじゃねぇのかよ？｣<br>｢ｿﾚ ﾊ ﾜｶﾞ ｲｼ ﾆ ｱﾗｽﾞ｣<br>…何だコイツ、本当に刀が意識を乗っ取っているとでもいうのだろうか<br>…刀が折れればいいのだとでも？<br>｢そのまま離さないでね｣<br>璃紗の声が聞こえたと思った時には刀は宙に舞い鎖でがんじがらめにされていた。<br>刀を離した裏姜は倒れ伏し、意識を失った。<br>｢…その刀とコイツはどうするんだ？｣<br>｢刀は厳重に保管、兄さんは暫く謹慎した後処分は貴方を交えて決定、ということでどう？｣<br>…仕方ないか…<br>｢まったく、使えないですねー。せっかく妖刀を手に入れるように仕向けたのに、こんな結果になってしまうとは…｣<br>｢…は？どういう…｣<br>｢まぁ、いいでしょう、死んでいただけませんか？｣<br>村田はがんじがらめにされた妖刀に手をかけて引きちぎるように引き抜き、璃紗の脇腹を切り裂いた。<br>｢くっ!!｣<br>｢おや？当たってしまいましたか、痛いでしょうねぇ、今…楽にしてあげますねぇ!!!｣<br>そういって刀を振り上げる村田とうずくまっている璃紗の姿を見た瞬間、俺の中で何かが弾けた。<br>｢璃紗!!｣<br>叫びながら俺はバットを投げつけ走り出した。<br>｢おやおや、涙ぐましいですねぇ、ですが…っ!？｣<br>刀でバットを弾いた村田はそこで後ろに倒れ、刀が床に転がった。<br>バットを追走していた俺に突き飛ばされたのだ。<br>｢か、かたなを…｣<br>はいつくばりながら刀を取ろうともがいたが、俺に刀を蹴り飛ばされ、村田は背中の少し上辺りを踏まれた。<br>｢させると思ってるのか？｣<br>必死にじたばたと手足を動かしているが、努力も虚しく１ミリも動くことが出来ない<br>｢覚悟しろよ？｣<br>その言葉とともに優は主人公にあるまじき顔をした。<br><br>それから一時間後、近隣の住民から空き家から男の悲鳴が聞こえたと通報があり、警官が現場に踏み込んでみたものは誰かが争った跡のみであった。<br><br>｢…ふぅ｣<br>昨日はいろいろあった。三年前の事件は解決したわけではないが犯人も解り一段落することが出来た。<br>｢結局、復讐は出来なかったが、これで…よかったんだよな｣<br>そういえば…璃紗、怪我をしてたけど…<br>｢…なんか、優…昨日のナンパから様子おかしくない？｣<br>｢いや、な…なんでもないぞ｣<br>佳奈の指摘はあながち間違ってはいなかった。<br>昨日、行動を共にした少女、璃紗、いや、同年齢くらいなら少女はまずいか、俺は彼女の事を気にしていた。気にしすぎなくらいに。<br>｢ホームルームを始めるぞ、さっさと席につけ。｣<br>瀬倉先生が現れ、教室の空気は一変した。<br>緊張を通り越し、怯えの混ざった空気を醸し出す。<br>その様子に瀬倉先生は納得したのか口を開く。<br>｢喜べ男子共、美人の転校生だ。｣<br>…まさか、いやいや、ベタにもほどがあるだろう…<br>入って来る人物の先ず最初に目に入ったのは銀色の髪、次に紅い瞳。<br>｢はじめまして、鎖神 璃鎖といいます。よろしくお願いします。｣<br>…鎖神 璃紗その人だった。<br>｢……ベタな…なんてベタな…｣ <br>そう呟きながら俺は静かな生活の終りを感じた
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<link>https://ameblo.jp/okasisaikou/entry-10549812212.html</link>
<pubDate>Mon, 31 May 2010 10:23:55 +0900</pubDate>
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<title>傷痕、サイン、街灯</title>
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<![CDATA[ ｢おにさんこちら、てのなるほうへ｣<br>全てが飲み込まれるような闇の中、不自然に佇む少女の声がする。<br>少女を目指して僕はひたすら走っていた。走っても走っても少女との距離は一向に縮まらない。不意に街灯の明かりのようなモノが僕等を照らした。<br>少女の姿が僅かにぼやける。いや、僕の正面の空間がぼやけ始め人の形をとりはじめる。目の前に立ちはだかっていたそれは右手を軽く持ち上げ、まるでゼリーを貫くように僕の心臓を貫いた。<br>｢え…？｣<br>前を見るとそれは左手を握り親指を突き出すというサインをしてきた。<br>｢そんな軽い感覚ですんじゃねぇよ!!｣<br>｢ほぅ、よくいった。｣<br>｢ん…？｣<br>周りを見渡すと古典の瀬倉由美(28)独身、彼氏いない歴=年齢な教授が立っていた。<br>｢おい｣<br>｢…何でしょうか瀬倉先生｣<br>｢今、失礼な事を考えていなかったか？｣<br>…無駄に勘がいいな…<br>｢いえ、そんなことありませんが。｣<br>｢そうか、なら今の時間はなんの時間だ？｣<br>周りを見ると僕と瀬倉の二人しかいない。…これは…<br>｢皆で瀬倉先生の授業をボイコットとは…皆度胸あるなぁ。｣<br>ｶﾞｯ!!<br>｢痛っ!!なんで無言で殴って来るんですか!？痛っ、やめっ痛い、痛いですって。すいません自分マジちょーしこいてましたー!!｣<br>｢よし、今は昼休みだ。名波啓介、今後、私の授業で眠らないように。｣<br>ちっ、めんどくさいな…<br>｢了解の返事は？｣<br>｢了解しましたっ!!だからその構えてる出席簿降ろしてください!!｣<br>瀬倉先生はようやく出席簿を降ろして教室から立ち去った。<br>…疲れた…さて、帰るとするか…<br>｢あ、お前レポート十枚提出な。｣<br>｢鬼!!悪魔!!｣<br>｢なんとでも言え。あぁ、この頃ナイフを持った通り魔がうろついてるらしいから…忠告は必要ないか。お前がいなくなった方が授業進めやすいしな｣<br>…マジで鬼畜だこの教授…<br>｢わかりました。じゃあ失礼します。｣<br>そういって僕は教室を立ち去った。<br><br>｢…全く、憎たらしい生徒だ…あいつに殺されてくれるなよ。｣<br>そう言って彼女は誰もいなくなった教室でタバコに火を点けた。<br><br>…昨日は腕を…一昨日は脚を切った。今日は…胸を切ってしまおうそうしよう。<br>｢…あ……｣<br>目の前をけだるそうに歩く少年を見つけ、私はナイフに手を…伸ばした。<br><br>｢…あー…これからどうするかな…暇だ。｣<br>｢…そんなに、暇なら、遊びま、しょ…？｣<br>後から幼さを多少残したような声が響いた。<br>振り向くと、年は16くらいだろうか、夏なのに黒い服を着込んだ長い黒髪の少女がナイフを持って佇んでいた。<br>｢噂の通り魔か？｣<br>｢…たぶん、そう…｣<br>…こういう時は逃げるのが常套手段なんだが…無理そうだ。<br>通り魔は既に臨戦体制に入ったらしくナイフを持ってにじり寄って来ていた。<br>｢…あなた、は、逃げ、ないの…？｣<br>｢逃げたら後から刺されるだろうが｣<br>鞄を片手に僕は一歩踏み出した。<br>｢それで、闘う、つも、り？｣<br>｢…まぁ、隙をついて逃げる役には立つんじゃないか…？｣<br>｢…そう、じゃあ!｣<br>少女が右に動き出した。鞄を少女の正面に合わせ一歩下がると少女が姿勢を低くして一歩踏み込みナイフで鞄を一閃した。<br>ﾄﾞｻﾘという音がして鞄を見ると持ち手の根元を切り裂かれていた。<br>素早い判断力、躊躇をしない攻撃、この少女は人を殺すことを躊躇しない。<br>逃げなければ、だが背を向ければ確実に斬られる。僕は後ずさった、少女はにじり寄った。<br>｢お前は、人を殺すことを躊躇しないのか？｣<br>当たり前の事を聞いてしまった。時間稼ぎにすらならない。<br>｢…躊躇…？…ひと、を、殺す、こと、は、躊躇、する、ことじゃ、ない、でしょう…？｣<br>…何と言うことだ。躊躇どころか罪悪感というものが欠如しているのではないだろうか…<br>｢…言いたい、こと、は、それ、だけ…？…じゃあ…｣<br>少女が腕を振るう音が聞こえナイフが心臓を貫いた。<br>よりにもよって心臓を、何故このタイミングで心臓を貫くのだろう、夢で穿たれた傷痕が疼く、ナイフから血が滴り、血が徐々に変色する。毒々しい紅からどす黒い赤へ…<br>｢え…なに…ひっ…ば…｣<br>な…んだ？少女は何故恐れる？そして『ば』とはなにが言いたいのだろう。おもむろにナイフを見るとナイフは胸から離れていた。胸から生えた影のように黒い腕がナイフの刃を握りしめて…<br>｢…化け…もの…!!｣<br>あぁ、確かにこれは化け物だ…<br>『おにさんこちら、てのなるほうへ』<br>どこからともなく夢で聞いた少女の声が響く<br>｢…ひっ!｣<br>腕がもう一本僕の胸から生え、少女の躯を抱き寄せた。ナイフが傷痕に呑み込まれ、腕も殆ど呑み込まれた。<br>｢…た…たすけ…!｣<br>少女の叫びは虚しく響き渡り、躯は徐々に呑み込まれ、温もりだけが残る。<br>『つーかまーえた』<br>夢で聞いた少女の声が響き、胸の傷は塞がっていた。<br>｢…な、なにが起こっていたんだ…。｣<br>僕の耳朶には少女の叫びがいまだに聞こえる気がした。
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<link>https://ameblo.jp/okasisaikou/entry-10515579578.html</link>
<pubDate>Fri, 23 Apr 2010 08:22:13 +0900</pubDate>
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