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<title>OTONAの萌口座</title>
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<description>過去日記に晒したへぼ短文中心</description>
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<title>激久</title>
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<![CDATA[ <p>テスト。</p><p>生まれて初めて見る画面…すっり仕様が変わっていてわからん…。</p><p>え、ちょと本当にわからない。</p><p>広告いっぱ出てるけど、前からこんなだっけ？</p><p>お金？お金払えばなんとかなるの？</p><p>お金ならあるわよ、月300円位…。</p><p>もう書く事ないんだけど、どうやって終了つかUPすんのこれ。</p>
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<link>https://ameblo.jp/otobaco/entry-12780940204.html</link>
<pubDate>Sun, 25 Dec 2022 08:09:19 +0900</pubDate>
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<title>super LION (9)</title>
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<![CDATA[ <p>振り返らずに大股で歩く深夜の動物園。<br>湿った薄ら寒い空気がオレに纏わりつく。<br>オレの背中はバッシュが檻に体当たりする姿を見つめる。<br>オレの背中は檻とライオンがぶつかる音を拾う。<br>振り向いてはいけない。<br>振り向いてはいけない。<br>ライオンと暮らす方法や、ライオンを盗み出す方法を考えて、<br>これがバッシュとのやっと出逢えたバッシュとの最後の別れではない事を、<br>自分に必死で言い聞かせながらオレはライオンの檻から猛スピードで離れた。<br>泣いてもいけない。涙を零してなんて絶対いけない。<br>振り仰ぐと、やけに大きな月が空に浮かぶ。<br>そうか、今夜はスーパームーンの夜。<br>だから…だからなんだってんだ。<br>ああ、もう振り返ってバッシュの元に走って戻ろうかと思い、<br>踏み出した片足を止めそうになった瞬間、<br>耳障りなサイレン音が園に鳴り響いた。<br>何が起こったんだろう。<br>本気でわからなかったけど、ちょっと考えて自分の事だと気づいた。<br>バッシュから離れる事で頭が一杯で、オレは何も考えず堂々と敷地を歩いていたんだった。<br>やばい。<br>周囲を見回せば思ったよりも近くにライトの光が幾つも現れ、<br>かなりのスピードでこちらに向かってくる。<br>ほんと、やばい。<br>ここで捕まり前科者にでもなったら、バッシュに逢えなくなってしまう。<br>オレはライトに背を向けて、どこに向かっているのかよくわからないが取りあえず<br>全速力で走り出した。<br>常夜灯を避け、整備された通路を避け、なるべく木々の陰を選び、<br>闇雲に走った先は…急に拓けて…苦しい息の中見渡せばライオン舎の上にかかるあの橋の上だった。<br>なんの事はない、身を切る想いで去ったバッシュの真上に出て来たわけだ。<br>左右から、ライトがちらちら迫ってくる。<br>こっちだ、あっちだ、止まりなさいの声が聞こえる。<br>ライトを持つ警備員のシルエットがはっきり見え始める。<br>どうする？どうなる。<br>咄嗟に橋の手すりから下を覗き込めば、もうバッシュがオレの下にいる。<br>敷地内の小高い岩に軽々と飛び乗ったバッシュがオレを見上げている。<br>眼が合う。<br>頷く。<br>バッシュは深く息を吸い一声短く、だが大きく吼えた。<br>その瞬間、オレは手すりをひらりと越えてバッシュめがけて飛び降りた。</p><p>昼間に飛び降りた時と同じように周囲が急に静かになって、<br>ゆっくりゆっくりとオレはバッシュに近づいていく。<br>はっきりとバッシュが笑っているのが見える。<br>スーパームーンを背に、バッシュが手を差し伸べてオレを待ち構えているのが見える。<br>ライオンが手を差し伸べるなんて、まるで漫画の様だけどそんなんじゃない。<br>鬣を夜風に靡かせ堂々と立っているバッシュは本当にカッコよかった。<br>やっぱり離れられなかったな、なんて考えながらオレはバッシュの腕に飛び込む。<br>落下による衝撃は、まったくない。<br>離れようと馬鹿な事をして、ごめん。<br>バッシュの胸に膝にしがみついて眼を瞑る。<br>これからはここで一緒に暮らそう、バッシュの声が聞こえる。<br>顎をくいっと持ち上げられて、鼻先に暖かなバッシュの息がかかる。</p><p>&nbsp;</p><p><br>急いでいる訳ではない、むしろ時間はたっぷりある。<br>バッシュはコンビニに立ち寄り、サンドイッチと飲み物と…砂糖衣がかかった菓子パンを購入し、<br>近所の公園に寄る事にした。<br>木のベンチは少し湿っていたが、さほど金をかけた服を着ている訳でないあまり気にならない。<br>がさがさとレジ袋の音を公園に鳴り響かせる。<br>今日はいないのか、とすこしがっかりする。<br>住まいの近くのこの公園は、日当たりもよく清潔なのに、たいてい誰もいない。<br>時折ここで過ごすうちに、最近茶色い野良猫を見かけるようになった。<br>パンを差し出すと警戒もせずに一口食べて、眼を丸くしてこちらを見上げてくる姿が可愛らしく、<br>なんとなく、バルフレアと名付けてみた。<br>野良猫は、何回か出逢う内にバッシュの姿を見つけるとトコトコ走り寄ってくるまで慣れた。<br>レジ袋の音を聞き逃す奴ではないし。<br>サンドイッチを食べながら、バッシュはがっかりしている自分に苦笑する。<br>休日の今日はこれからフラワーアレンジメントの展覧会に出かける予定だ。<br>職場の同僚かつ友人以上、彼女未満…いや彼女になってしまう、のか？<br>とにかくその女性が通う教室が、繁華街のギャラリーで作品展を開くという。<br>観に来て欲しいとねだられて、用事もないので引き受けた。<br>花束でも持って行こうと思っている。<br>フラワーアレンジメントの展覧会に花束を抱えて参上する危険性をバッシュはわかっていない。<br>気が重い訳ではない、が、出かける前にバルフレアと逢っておこう。<br>茶色の毛並みを一撫ぜして、行って来いよと送り出して欲しかった。<br>サンドイッチは食べ終わってしまった、缶コーヒーも飲み終わってしまった。<br>バルフレアが好きな白い砂糖のパンも半分食べてしまった。<br>バッシュは時計を見て、公園を見渡し、スマホで会場を確認しゴミをまとめ、もう一度時計を見て、<br>本人は気づかぬまま溜息をつき、ベンチに背を預け大きく伸びをし、<br>最後に未練がましくもう一度左右を見て、小さく呼んでみた。<br>バルフレア、と。<br>その途端、どこからか茶色い塊が飛び出てきて躊躇わずバッシュの膝に腕によじ登り、<br>あっと言う間にバッシュの胸に縋りつき、<br>見上げて小さくにゃ、と鳴いた。<br>鳴いてから、寝ぼけ眼できょろきょろと辺りを見回し、もう一度バッシュを見上げまた鳴いた。<br>バルフレア、どこに隠れていた？<br>いたのなら、すぐ来てくれなくては困るだろう。<br>バッシュの目じりが下がる。<br>パンはいるか？キミが遅いからハムやチキンはもうない。<br>砂糖衣のパンに早速目をつけ、かぶりつく猫の背中は小さく、肩も薄い。<br>残っていたパンをあっと言う間に平らげると、バルフレアは当然の様にバッシュの膝に座り込み<br>前足で器用に口の周りや耳を繕い始めた。<br>そろそろ駅に向かう時間だと、時計を見なくてもわかる。<br>普段なら食べ終わればさっさと離れていくバルフレアが、バッシュの膝の上で丸くなる。<br>今日はご機嫌がよろしいようで。<br>耳と耳の間を撫でてやる。<br>バッシュを見上げてくる瞳は、澄んだ翠。<br>よし、行くか。<br>バッシュはバルフレアを驚かさぬよう胸に抱え直し、そっと立ち上がった。<br>駅にではない。<br>自分の住まいに。<br>これも運命だろう。<br>こんなに懐いた小さな生き物を、置いて離れられはしない。<br>展覧会は…正直全く興味がない。彼女には、メールで詫びを入れておこう。<br>数日…へたをすれば数か月、職場で気まずい思いをすればそれで済む。<br>今はただ、この猫と、バルフレアと離れたくない。<br>猫より犬派だと思っていたが。<br>わからんものだ、と一人口元を綻ばせながらバッシュはバルフレアを抱えて家に戻る。<br>バルフレアは躊躇いもなくすたすたと部屋の奥に入り込み、ちゃっかりベッドの真ん中に座り込んだ。<br>最初からここにいた、とでもいうように。<br>横に寝ころび、顎を掬って呼びかける。<br>これからはここで一緒に暮らそう。<br>鼻先に、キスをしたら引っかかれるだろうか…。</p>
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<link>https://ameblo.jp/otobaco/entry-12225720714.html</link>
<pubDate>Sun, 04 Dec 2016 23:26:30 +0900</pubDate>
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<title>super LION (8)</title>
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<![CDATA[ <p>眠れる訳がない。<br>元々寝付きは悪いし眠りも浅い。<br>あんな体験をした後に、繊細なオレの神経がそう易々と眠りに落ちる訳がない。<br>横になっても相変わらず、喉に異物が詰まっているような不快感は消えない。<br>案の定、オレの脳は一度に映画のフィルムを5本も10本も同時に上映しているスクリーンのような映像を、<br>次々と繰り出しオレから眠りを遠ざける。<br>意味がある様なない様な、現実の様な空想の様な、泣きたい様な笑いたい様な。</p><p>動物園、青い空、泣きそうな誰かの瞳、懐かしい風景、今まで出会ったその人この人。</p><p>合間にライオン、またライオン。<br>何時間もベッドの上で寝返りを打ちながら、眠ったふりでやり過ごす。<br>その内耳鳴りまで始まって、しきりにオレの名を呼び始める。<br>いや、待て。<br>オレははっと眼を覚ましベッドから身を起こした。<br>眠れない眠れないと言いながら、実際は半分眠っていたんだと思う。<br>確かに誰かに呼ばれた。<br>オレの名を遠くで誰かが口にしている。<br>大きな声ではない、きっと小さく囁いているだけ。<br>それでもオレの耳にはオレの名を呼ぶ低い声が届く。<br>バルフレア、と。<br>バルフレア？オレの名はバルフレアなのか？そんな風にオレは呼ばれた事がない。<br>家族も友達も、みんなオレをファムランと呼んでいたではないか。<br>オレをその名で呼ぶのは…<br>バッシュ。</p><p>喉のつかえがぽろっと取れた。</p><p>オレはベッドから飛び出して、かろうじて白シャツと黒パンツを身に着けると<br>財布を尻ポケットに突っ込んで家を出た。<br>真夜中も過ぎて夜明け前なのか、それとも逆に夜更け前なのか外は思ったより明るい。<br>キーを回すのももどかしく、ガレージのゲートを突き破る勢いで車を走らせた。<br>何故すぐわからなかったのだろう。<br>バッシュ、バッシュ、バッシュ。<br>だから怖くなかった、だから守ってくれた。<br>あのライオンはバッシュだったんだ。<br>耳鳴りなんかじゃない、バッシュがオレを呼んでいる。<br>邪魔なトラックは追い抜く。赤信号は迂回する。<br>ブレーキなんて一度も踏まない。<br>オレは動物園目指して走り抜いた。ま、実際に走ったのは愛車なんだけど。</p><p>コインパーキングに車をぶっ込み、オレは動物園のゲートまで走った。<br>やっと着いた動物園は当然だけど、大きな門がしっかりと閉まっていた。<br>なんだよどうすりゃいいんだよ登るか？いやセキュリティシステムが作動して<br>大騒ぎになっちまう。昨日の今日で騒ぎを起こすのはまずい。<br>塀の周囲をじっくり調べてみると、敷石と鉄格子の間に小さな隙間を見つけた。<br>オレどころか、子供だって通り抜けるのは無理だ。<br>諦めて先を探し続けるが、何も見つけられぬまま、とうとう一周して正門に戻ってきてしまった。<br>園の中ではきっとバッシュがオレを待っている。<br>他のライオン達がすやすや眠っている中で、バッシュだけは身を起こしオレが来るのを待っている。<br>堪らず、もう一度ちいさな隙間の前に立つ。<br>小石を一つ投げ込んでみるが、何も起こらない。<br>システムの作動範囲外という事か。<br>人が通らない事を祈りつつ、バカみたいだと思いながらも地面に手をつき隙間に頭を突っ込んでみる。<br>と、なんだか行けそうな雰囲気だ。思ったよりも隙間は大きくなんとか頭が通り抜けた。<br>その後、肩をすぼめ身をくねらせ、あちらをこすりこちらをぶつけながら、<br>気づけばオレは腰を伸ばしながら隙間を潜り抜けている途中だった。<br>両手で身体を引きずるようにばたばたと這い出して、無事に園の内側に忍び込んだ。<br>ここで捕まっては元も子もない。<br>なるべく植え込みや建物の陰に身を隠しながら、ライオン舎に辿り着くのに結構骨が折れた。<br>通路とゲージを区切る手すりを乗り越え、檻にぴったりと身を寄せ中を覗き込めば、<br>眼の前にちゃんとライオンが、いやバッシュがオレを待っていた。<br>何故、すぐわからなかったんだろう。<br>そもそも、バッシュの事を忘れて何年もどうして過ごしてしまっていたんだろう。<br>ライオンになってもバッシュはバッシュの瞳でオレを見つめていたのに。<br>情けないけど、オレは泣いた。<br>嬉しくて、バッシュに逢えて嬉しいけど触れ合う事が出来ないこの環境に。<br>檻の隙間から指を差し入れると、バッシュは大きなライオンの舌で舐めてくれた。<br>オレの頬に残る涙を金網越しに舐めとってくれる。<br>泣いてばかりだな、照れ隠しにぼそっと口に出すとうんうん頷いて笑っていた。<br>本当は抱きしめたいし抱きしめられたい。<br>耳と耳の間をなぞり広い背中を首筋を顎をくしゃくしゃに撫で回したい。<br>かってバッシュがオレにしてくれたように。<br>冷たい金属を間に挟み、オレ達は出来るだけぴったりと寄り添い、地面に座り込んだ。<br>片や人間片やライオン。どうしてこうなっちまったんだろう。<br>バッシュはわかっているのかいないのか、精一杯身体を檻に押し付け<br>塀を潜り抜けた時にぼろぼろになったオレの服の裾を噛む。<br>その姿が、ぼんやり歪む。<br>オレの涙腺はどうかなっちまったみたいだ。<br>オレはアンタと笑ったりしゃべったり走ったり、いっぱい遊びたかったんだ。<br>残念な事に、その願いは叶わない。<br>だけどこうして会えたから、オレの望みは半分叶ったわけだ。<br>バッシュが吐いた息がオレの額に吹きかかる。<br>アンタもオレに逢いたかった？尋ねるとやっぱりうんうん頷いてやっぱり笑ってくれた。<br>じゃあ…間違えたのはオレかなアンタかな？<br>多分二人とも間違えて二人とも正しかったんだろう。<br>金網越しでもあったかいな、アンタの身体は。<br>なぁバッシュ。<br>いつの日か必ず来る、目覚める事のない最後の眠りにつく時に、オレもアンタも強く強く願うだろう。<br>また二人逢えますように。<br>いや、逢えますように、ではない。<br>絶対逢う。<br>そう決めて瞳を閉じるんだろう。</p><p>&nbsp;</p><p>さてと。<br>オレは立ち上がり、大きく一つ伸びをする。<br>バッシュもつられて立ち上がり、前足を前にぐ～っと伸ばして伸びをする。<br>一緒に欠伸をして、一緒に笑う。<br>その鼻先を指で弾いて、後ろ手に手を振って、オレは檻から離れた。<br>一晩でも二晩でもこのままいたい。<br>でもオレが忍び込んだ事がバレて、園や、ひいてはバッシュに迷惑が掛かるのだけは避けたい。<br>警備員が見回りに来るだろうし、どこに監視カメラが設置されているかわからない。<br>わかっている。バッシュはオレが離れていく事が理解できずずっとこちらを見ているだろう。<br>数歩歩いたところで背後から、金属がギシギシ軋む音が聞こえ始めた。<br>バッシュが檻に身体をぶつけている。行くなと言う声がする。<br>オレ、また泣きそうだった。<br>ごめんなバッシュ、また来るから。<br>毎晩こっそりここに来て、アンタの側で眠りアンタの夢を見るから。<br>そして、たとえ夢の中ででも、今度こそ空に浮かぶ丸い大きな月めがけてジャンプして、<br>一晩中手を繋いで踊ろう。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/otobaco/entry-12224152349.html</link>
<pubDate>Wed, 30 Nov 2016 20:00:00 +0900</pubDate>
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<title>super LION (7)</title>
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<![CDATA[ <p>園のスタッフ達に助け出された後も目まぐるしかった。<br>既に待機していた救急車で病院に運ばれ、医師（もちろん人間専門）の精密検査を受け、<br>どこもなんともない事を科学的に証明してもらい、その間オレの思考は止まったまんまだ。<br>検査の間中、園の責任者にずっと説教を喰らい、<br>遅れて駆け付けた親父に怒鳴られっ放しだ。<br>あれだけ高い所から落下したのに骨一本折らず、<br>動物園生まれの動物園育ちばかりとはいえライオン達のテリトリーに飛び込んだのに傷一つ負わず、<br>ライオンに捕らえられ、圧し掛かられたのに噛みつかれもせず、<br>まるで何事もなかったかの様なオレの身体に、医師もオレも親父も園の関係者も首を捻った。<br>あそこから落ちたら、へたすりゃ死ぬよ。<br>スポーツでもやってる？ヒトの身体能力を超えているみたいだな。<br>エサではなく仲間の様な気がして、だからライオンも食いつかなかったのかな？<br>呟く医師の言葉に、みんな笑っていたがこっちは笑えない。<br>お前は猫か！いい年をして親父に頭をはたかれた。言い返せない。<br>自分でもなんだかな～と思う。<br>もちろん、オレが無傷で助かった事は、オレにとっても園にとっても、願ってもいないハッピーエンドだ。</p><p>故意ではなく、園の設備に落ち度もなく、天候による不幸な事故。<br>この事件が無理やりだがそういう形に落ち着いたのは、もちろんオレの熱弁、目撃者の協力もあるが<br>ライオンの行動に称賛が集まり、世間が温かい眼を向けていた事が大きい。</p><p><br>助け出されたオレを待っていてくれた彼女の手に、<br>落ちたはずのストールがしっかり握られていたのも不思議と言えば不思議な話だ。<br>オレが地に落ちた時、風に乗って彼女の手に戻ってきたという。<br>まるで何事もなかったかのように。染み一つなく。</p><p>&nbsp;</p><p>若い男ががライオンにのしかかられ舐め回されている写真。<br>泣きべそでへたり込む男の前で、彫刻の様に悠然と周囲を見回すライオンの写真。<br>静止画はまだいい。<br>オレがへっぴり腰でもぞもぞ動き、その横をライオンが堂々と歩いている動画。<br>……人の命が係わるって時に、誰がこんなモン撮ってたんだ……。</p><p>念のためにと渡された抗生物質をテーブルに放り投げ、オレは自分のベッドに倒れ込んだ。<br>痛みはないが、流石に疲れ切って力が入らない。<br>枕元のモバイルを立ち上げたら、トピックスに自分のヘタレ顔がUPされていて、疲れ倍増。<br>一見無表情に見えるが、顏が硬直して頬が瞼が引きつって、いい男が台無しだ。<br>対照的な、横に立つライオンの雄々しい姿。風に靡く鬣。<br>その瞳は、じっとオレに注がれている。<br>何枚かUPされている画像を繰り返し見ているうちに、オレはその視線に気づいた。<br>ライオンは、オレの上にいる時も、オレの横で歩いている時も、オレをじっと見つめている。<br>そりゃ、周囲を見回すし、メスライオンを威嚇している時はある。<br>でも、殆んどの画像、静止画も動画も、ライオンはオレから視線を外さない。<br>その眼を見ていると、唐突に腹の底から沸き上がった塊が、オレの喉に突っかかる。<br>熱い大きな塊が、オレの喉を内側から締め付ける。<br>何かが頬に触れる。<br>ライオン？<br>頬をくすぐる柔らかな感触に一瞬、あのライオンの息を想像した。<br>慌てて自分の頬を確かめると、濡れていた。<br>ああ、オレは泣いているんだと理解した。<br>ライオンを、オレを見つめるライオンの姿を見つめ、オレは泣いているんだ。<br>喉仏が不自然に上下し、唇が勝手に動く。<br>吐き出したいのに、何を出せばいいのかわからない。<br>回線を無理やり切って、眠ってしまおうと毛布を顎まで引き上げる。<br>ライオンに触れていた感触を思い出す。<br>あっちの方が良かった。<br>臭いし不潔だしごわごわしていたが、あっちの方が…暖かかった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/otobaco/entry-12217300034.html</link>
<pubDate>Tue, 29 Nov 2016 21:55:28 +0900</pubDate>
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<title>super LION (6)</title>
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<![CDATA[ <p>猫の姿を追って光の中に飛び込んだバッシュは、あまりの眩しさに足を止めた。<br>自分がどこから出て来たのか、ほんの一瞬前の記憶すら飛び散ってしまう程の強い光。<br>何回か瞬きをしているうちに猫を見失ってしまったバッシュが立っているのは、広い草原だった。<br>ここは…どこだろう…。<br>まったく見覚えのない風景。<br>緩やかな斜面の先には大きな岩山が聳え立ち、その先は濁った水が僅かに流れる川。<br>大小様々な樹木が視界の続く限り生い茂り、あちこちに何か生き物が寝そべっている。<br>ここは…大きな公園なのか？バッシュはゆっくり辺りを見回した。<br>猫の姿がどこにもない。<br>バルフレア…呼んでみたが返事はない。<br>数頭の生き物が気だるそうに顔を上げ、またすぐ元の姿勢に戻っていく。<br>バッシュが立ち止まっていたのはほんの数分、すぐにバルフレアを探すための一歩を踏み出した。<br>せっかく会えたのに、また見失ってしまった。<br>だが、もうあきらめはしない。<br>もう一度会えたらずっと一緒にいようと決めていた。<br>たとえ見知らぬ世界でも、キミを追ってたどり着いた場所だ。<br>端から端まで探し続ければきっとどこかでまた会える。<br>バッシュは迷いのない足取りで、草原を横切る。<br>どこまで続くのかわからないこの草原を抜け、あの山を越え川を渡り。<br>暑い日もあれば凍る風が吹く日もあった。</p><p>どんな時間も全てバルフレア探索の旅に充てた。<br>その、時間という感覚もついには自分の感情も失くしてなお、歩いても歩いてもこの世界に終わりはない。<br>バルフレアもいない。<br>もうどれほど歩いたのか、ここに来る前はどうしていたのか。<br>己の名も忘れ、探しているものがなんだったのか、どんな姿をしていたか、<br>なんの為に何を探しているかもわからなくなって、それでもバッシュは歩き続けた。<br>何年も何年も。</p><p><br>バッシュは知らない。<br>己が4本の足で歩いている事を。<br>鬣を風に靡かせしっぽを揺らし、悠然と歩く姿を人々が上から横から眺めている事を。<br>広い世界は…実は動物園の限られた敷地内。<br>何回も何回も。<br>同じ場所をぐるぐる回っているだけだとういう事も。<br>知っていても、バッシュはやはり探し続けるだろう。<br>大切なものを。<br>空から懐かしい、胸を絞られるようなに匂いが降ってくるまで。</p><p>感じた事のない風に煽られ、柔らかな肌を持つ生き物が舞い降りて<br>眼の前に転がるのを見てバッシュは、待ち望んでいた時が来た事を知った。</p><p>&nbsp;</p><p>これはわたしがまもるべきもの。</p><p>このものののぞみどおりに。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/otobaco/entry-12216104752.html</link>
<pubDate>Tue, 08 Nov 2016 20:00:00 +0900</pubDate>
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<title>super LION (5)</title>
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<![CDATA[ <p>ぼんやり転がってる暇なんぞない。立ち上が…る間もなく身体はすぐまた地面に転がってしまう。<br>くそっなんなんだ！！<br>立ち上がろうと振り向いたオレの眼の前に…ライオンの顔を間近で見た事があるか？ないだろ。<br>想像以上に大きな額、更に大きな下顎。密度の濃い鬣。<br>一頭だけ動き回っていたあの雄ライオンが、オレに纏わりついてオレの顔を覗き込んでいた。<br>まったく動けなくなった、息もつけなくなったオレの匂いを嗅いでいる。<br>そして、前足でオレの頭を抱え込み、ばふばふ息を吐きながら、オレの頭を舐めている。<br>猛烈に暑くて臭い。ライオンの身体の周りを土埃とハエが舞っている。<br>ライオンの糞や泥にまみれ立つことも出来ず太いライオンの前足にされるがまま、<br>オレの思考はスピードが落ち始めていた。<br>このままでは喰われる…わかっているのに、では次は何をすればいいのかさっぱり頭が働かなくなってしまった。<br>２００キロを越すライオンの全体重を押し付けられ、仰向けに地に倒れたまま起き上がれない。<br>ライオンはそんなオレに嚙みつくでなし、何を考えているのか顏でも手でも首筋でも、やけに舐め捲る。<br>オレの視界の端に、別のライオン達が集まって来る気配が映る。<br>お預けが待てなくなった一頭のメスライオンが、飛びかかろうと地を蹴った瞬間、<br>オレの上のライオンが素早くそのライオンとオレの間に立ち塞がり、<br>空を割くような大音量で吠えた。<br>威嚇の唸り声、ではない。<br>怒り、の獅子の咆哮だった。</p><p>大気が震える。地が揺れる。<br>集まっていたライオンも、もちろんオレも、動物園の観客も周囲の住宅街の人々も空を舞う鳥達も、<br>ひょっとしたらはるか上空を過ぎる飛行機の中の乗客までも、<br>その声を聴いた空気の振動を響きを感じた全員が、しばらく息を動きを止めてしまう程の威力。</p><p>&nbsp;</p><p>咆哮の波動が徐々に治まり、他のライオン達が身を低くして後ずさりを始めると、<br>雄ライオンはこちらに振り向き、今度はオレを鼻面で柔らかく、だが猛然と押し始めた。<br>しきりに一定方向に力を入れるので、そちらに眼をやると、<br>木々の間に飼育員が出入りするドアなのだろうか、小さな鉄扉が見えた。<br>そこに行けという事か。<br>何がなんだかわからないまま、オレは情けないが地面に手をつきやっとの事で身を起こし、<br>目立つ事が恐ろしくて、姿勢を思い切り低くしてそろそろとそちらに向かい移動を始めた。<br>正直腰が抜けかけて数歩ごとに足がよろけ、その度にライオンのがっしりした肩に支えられた。<br>まるでオレを庇う様にすぐ横を、ライオンはぴったりとついてくる。<br>時折近づく他のライオンに、今度は低い唸り声を向けつつ、鉄扉までついてきた。<br>ライオンは…オレを他のライオンから完璧にガードしてくれていた。<br>やっとの思いで鉄扉に到着し、その前にへたり込むと、オレを背に雄ライオンも座り込む。<br>扉とライオンに挟まれ、オレは大きく安堵の息をついた。今になって震えと汗と…涙がどっと出た。<br>敷地を見回していた雄ライオンが急に振り向き、オレの涙を舐めとってくれた。<br>初めてまともに見るライオンの顔。<br>初めて合わせる視線。<br>なんにも怖いところのない顔。<br>初めて合わせた視線が何故か外せない。<br>オレの喉が勝手に動く。言葉を発するために息を吸う。<br>口が勝手に動くでもなんて言おうとしている？</p><p><br>突然寄りかかっていた背中が支えを失い、<br>オレは後ろに転がり、事態を把握したスタッフであろう数本の手で、素早くそして若干乱暴に鉄扉の中に引きずり込まれた。<br>中の一人の手が光速の勢いで扉を閉める、僅かな隙間から見えたライオンは、笑っているように見えた。<br>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/otobaco/entry-12216104146.html</link>
<pubDate>Mon, 07 Nov 2016 20:00:00 +0900</pubDate>
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<title>super LION (4)</title>
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<![CDATA[ <p>ゆっくりとした浅い呼吸。<br>もう一息ごとに下顎が勝手に動くのを止められない。<br>もっとも止めようともしていない。<br>バッシュは今自分が生の瀬戸際にいる事を正しく自覚している。<br>もう指一本動かす力も残っていない、ただ横になっているだけ。<br>人生を振り返ったり、これまでに出会ってそしてこれから別れる人々を想ったり、するのもとっくに終わった。<br>バッシュはこれまで淡々と毎日を人生を送り淡々と人と接し、<br>よって過去を振り返るという行為も、淡々と短時間で終わってしまった。<br>死を直前にして、強く心に根ざす思いはない。<br>ただただ待つ。<br>すぐそこまで来ている。気配でわかる。<br>今はひたすらその時が来るのを待つために苦しい息を繋いでいる。<br>段々暗くなる部屋の隅、いつの間にか小さな陰がバッシュに忍び寄り、<br>バッシュはその気配に相当な苦労をして瞼を開いた。<br>やっと…来てくれたか。<br>バッシュは自分の胸の上に飛び乗って来た重みのない猫を見て眼を細めた。<br>絶対に来てくれると信じていた…。<br>猫は僅かに乱れた茶色の毛並みを自分の前足で器用に整え、バッシュの鼻先をふん、と一回嗅いでから<br>床に飛び降りると、しっぽを振ってドアに向かい歩き始めた。<br>振り返り、早く来いとバッシュを睨む。<br>バッシュは慌てて上掛けを跳ね除け、腕に足首に尿管に刺さっていたチューブを引き抜く。<br>待ってくれ、起き上がるのは久し振りなんだ。<br>そんな言い訳は通用しない。<br>何しろ相手はあの猫だ、わかっている。</p><p>&nbsp;</p><p>若い頃にバッシュは公園で野良猫に出会った。<br>公園は当時住んでいたアパートと最寄り駅の間にあって、<br>買い物帰りや仕事帰り、外の空気を吸いたい時など、バッシュはよく立ち寄っていた。<br>その公園をねぐらにしている、野良猫にしては艶やかな茶色い毛並みと、濁りのない翠の瞳を持つ猫が、<br>いつの間にか彼の横に座るようになり、そのうちに平気で膝に乗るようになった。<br>額をバッシュの足に擦り付け、好意を寄せてくる小さな身体が愛おしく、バルフレアと名付けて仲良くなった。<br>独りと一匹は、さほど長い時間を過ごした訳でもない。<br>心温まるエピソードや、胸を熱くする出来事があった訳でもない。<br>ちょうどその頃のバッシュは後に妻になる女性と出会い、結婚し、父親になるという人生の最大イベント真っ最中だったはずだ。<br>それでも、当時を思い出す時は、必ずバルフレアの事が真っ先に浮かんだ。<br>柔らかな毛並みを撫ぜた時の指の感触は、一生バッシュに纏わりついた。</p><p>&nbsp;</p><p>そのバルフレアの後を追い数歩歩いただけで、バッシュは足が縺れて腰を落としてしまった。<br>やせ衰えた足首に、柔らかな身体を何度も何度も摺り寄せて、<br>猫は心配そうにバッシュの顔を見上げてきた。<br>わかっている、心配するな。<br>バッシュは猫を一撫ぜすると、しゃんと立って見せた。<br>久し振りだな、バルフレア。<br>最後にはキミが迎えに来てくれると、絶対いつかは会えると、<br>そう信じてキミを失った後の時間を過ごしてきた。</p><p>堂々と立ったバッシュの姿を確認し、バルフレアは病室のドアをすり抜け、ぼんやりと明るい方向に走り出す。<br>バッシュも軽々と後を追う。<br>もう足も腰も痛まない。<br>眩しい光の中に飛び込んでいく後ろ姿を追って、バッシも躊躇わずその中に身を投じる。</p>
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<link>https://ameblo.jp/otobaco/entry-12216103719.html</link>
<pubDate>Sun, 06 Nov 2016 20:00:00 +0900</pubDate>
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<title>super LION (3)</title>
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<![CDATA[ <p>ガキの頃からオレは公園が大好きだった。<br>世界中の街にオレの造った公園をばら撒きたいという野望を胸に秘めているが内緒だ。<br>良く晴れた天気が続く、季節は秋。<br>今日はデートで郊外の動物園に来ている。<br>自然の丘陵を生かしつつ、周囲の居住地とも無理なく接するこの動物園はホント良くできている。<br>園内は坂道だらけで、本気で一周するには結構骨が折れるけど、その傾斜をうまく利用して<br>元の環境に近い広々としたスぺースを与えられた動物達はみんな健康そうで、見ているこっちも元気になれる気がする。<br>中でもこの動物園の目玉のライオン舎。<br>広大な面積の中には緩やかな斜面や大きな岩を配置し、小さな川などしつらえて、<br>囲う大小様々な樹木はいかにもラインがたたずみそうな景観。<br>客は、その敷地の真ん中に渡した橋からライオン達を見下ろすこともできるし、<br>坂道を下れば、もちろんゲージ越しだがもう少し近くでライオンに会うことも出来る。<br>オレ達はその橋の上で、お～とか見える見える、あ～あそこにも２頭とか。<br>流石百獣の王、なんて子供の様に夢中になり下を覗き込む。<br>ライオン達は岩の上で寝そべり日陰で寝そべり大きな枝の上で寝そべり…<br>つまり、場所はそれぞれ別として、みんなだら～～んぼんやりと寝ていた。<br>動いているのは一頭の雄ライオンだけ。<br>そいつはゲージの縁に沿ってゆっくりゆっくり敷地内を廻っているようだった。</p><p><br>それまでゆったり歩いていた雄ライオンが若干歩調を早め、橋の下に着いた頃、<br>穏やかだった空を急に黒い雲が横切り、強い風が吹きすさび始めた。<br>彼女が緩やかに纏っていたストールが風に舞い上がる。<br>おっと、と腕を伸ばしすかさずキャッチ。<br>ここは恰好良いところを見せるチャンス。<br>まだ風にあおられたまま宙に浮く反対側の布端を、軽くジャンプして掴もうとした瞬間、<br>ひときわ強い風がオレの周りに起こり、<br>絶対そんな事があるはずはないのに、オレの身体は薄い布きれ１枚に引きずられるように、<br>軽々と宙を舞い…橋の手すりを超えてしまった。<br>そんなはずはないだろ？<br>何が何だかわからないまま、泣きそうな女の子の目を、大きく口を開けた周りの客の顔を<br>一度は上から見下しそのままゆっくり身体は下降を始め、今度は下から見上げながら…<br>ライオンゲージの内側に、オレは落下している最中だった。<br>みんなの顔の向こう、晴れた青空が広がっているのが良く見えて、<br>オレの周りは急に静かになってしまった。</p><p>&nbsp;</p><p>あとから聞いた話だが、<br>その日一匹の猫がライオン舎に落ちたという目撃情報が、動物園に何件か届いていたそうだ。</p><p>&nbsp;</p><p>手は拾おうとしたストールを掴んだままだ。<br>一緒に持ってきちまって彼女に悪い事をした…なんて呑気な考えがチラと浮かんですぐ消えた。<br>意識を無理やり現実に戻し、背中から地面に叩きつけられる強い衝撃を覚悟した。<br>しながら身体は回転し、脳が落ちる先を理解し始めて…もっと嫌な事を覚悟した。<br>ぼんやりしているように見えたライオン達は、毎日餌場に置かれる切り身の肉なんかでなく<br>空から活きの良い肉が降ってくるのを待っていたようだ。<br>運良く足から着地して、すぐに走り出せる体勢をとる事が出来たが、<br>オレが顔を上げた時には数頭のメスライオンがゆっくりとだが確実に、既にこちらに向かっていた。<br>足は…これも運良く痛めていない。どこだ、どこに逃げればよい。<br>誰かが園の事務所に連絡を、そこからライオン担当に連絡が。<br>何らかの対策を取り準備をし、こちらに向かってくるのに…何分かかる？<br>考えながらもオレの眼は敷地内をフルスピードでチェックし、本能がGOサインを出す。<br>もう身体が勝手に走り出す。<br>足に絡みつく草を飛び越え素早く岩に這い上り、そりゃもう全速力で走り続け…<br>る間もなく、オレは何かに足を取られ盛大にすっ転んだ。<br>それまでしっかと握っていたストールが手から離れ、やけに大きく空に舞った。</p>
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<link>https://ameblo.jp/otobaco/entry-12216103278.html</link>
<pubDate>Sat, 05 Nov 2016 20:00:00 +0900</pubDate>
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<title>super LION (2)</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-size: 1em;">その夢が叶い、オレはこうして人間になった。<br>ま。ちっとばっか想像していたのとは違ったが。<br>早くバッシュに会いたくて、毎日いっぱい食っていっぱい寝て、<br>手足を４本使って歩けるようになったらすぐに、オレはバッシュを探す旅に出た。<br>部屋から出ないうちに、背中からいとも簡単に掬い上げられベッドに連れ戻された、笑い声と共に。<br>…ちっ…人間ってのも色々不便なもんだ。<br>２本の足で歩けるようになるのに、その後ずいぶん時間を使ってしまった。<br>そして、猫の時にはなかった機能を、意志を伝えられたり伝えたり。<br>言葉を覚えるのにもっと時間がかかってしまった。<br>最初に見た男や優しそうな女やうるさい小さな男達やら。<br>オレの周りは猫だった時に比べると、賑やかで快適で、少しばっか窮屈だ。<br>早くあの公園に行きたい。<br>オレが白いふわふわしたモンにお着換えなんかされている間にも、バッシュは公園に来ているかもしれない。<br>バルフレア…いるのか？なんて植え込みの陰を覗いているかもしれない。<br>もたもたなんて、していられないじゃないか。<br>男でも女でも、大人でも子供でも、誰彼構わず手を引いてはあの公園に行こうとせがんでも<br>みんな笑って、見当違いなところにばかりオレを連れ回す。<br>しまいには、どこに行きたいんだファムラン。<br>困った顔で眼を見合す。</span></p><p><span style="font-size: 1em;">生れて始めて父に抱かれて公園に行った時、街灯が規則正しく並ぶレンガ敷の遊歩道を見て<br>オレは公園中の人が振り返るほどの大声でギャン泣きした。<br>違う、ここはバッシュと出会ったあの公園じゃない。<br>あの公園でなきゃだめなんだ。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size: 1em;">そのうちオレはでかくなり、しっぽがなくても身体を自由に動かせるようになった。<br>この建物はオレの家、父親がいて母親がいて兄が二人。そんな事もわかるようになった。<br>もう一つ、この辺りのオレが連れて行ってもらえる公園は、どこもあの公園ではない事も。<br>学校に通うようになって初めての夏休み。<br>父親が素晴らしいプレゼントを用意してくれた。<br>ピカピカ光る銀色の流線形。黒々とした弾力のあるゴムが巻かれた車輪。<br>知っている、これは自転車だ！<br>これこそまさにオレを公園へと運んでくれる乗り物。<br>オレは初めてこの人の息子で良かったと思った。<br>お礼もそこそこにペダルを踏み、家を飛び出し車道を突っ切り、<br>しまいにはサドルから尻を持ち上げ、能う限りの全速力で走り続けた。<br>何も考えなくてもオレの身体はあの公園の場所を覚えている。<br>周りの景色なんて知ったこっちゃない。<br>帰り道？いらない。<br>オレはバッシュに会うためだけに生まれてきた。<br>路面だけを見つめただひたすらに、足を動かし息を切らせ、公園目指して走り抜いた。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size: 1em;">だけど。<br>そんな公園はなかった。<br>バッシュと出会ったあの公園は、見つからなかったのではない、なかったんだ。<br>ここだと思ったその場所に自転車を停め、顔をあげ周囲を見回した時、<br>眼の前には思ってもいなかった大きなビルが建っていた。<br>硝子の扉がずらりと並び、そのどれもがひっきりなしに開いたり閉まったりし続ける。<br>速足の大人の男と女が大勢出てきて、入って行った。<br>並んで座った木のベンチも、<br>バッシュが丸めたパンの袋を放り投げた歪んだ金網製のくず籠も、<br>オレがねぐらにしていた小さなつつじの植え込みも。<br>なんにも残っちゃいなかった。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size: 1em;">その夜、オレは人生２度目の大泣きが止まらず、人生で初めて眠れなかった。<br>本当は…薄々気づいてはいた。<br>バッシュと一緒にいる時に見た街の風景と、今オレが暮らすこの街は若干違っている事に。<br>建物も乗り物も何もかも、前よりもぴかぴかしてつるつるして、まっすぐだ。<br>少し湿った木のベンチなんてどこに行っても見ないし、<br>整備された公園には、ぼーっと独りで座っている人もあまりいない。<br>オレみたいに独りで生きている猫もいない。</span></p><p><span style="font-size: 1em;">オレは、間違った世界に来てしまった。<br>バッシュがいない世界に生まれてしまった。<br>これじゃ、人間になった意味がない。<br>オレは人間になりたかったんじゃない、バッシュに会いたかったんだ。<br>もう一回やり直さなくちゃいけない。<br>今度眼を開ける時、その時こそバッシュに会える世界に行く。<br>猫でも人でも、虫でもなんでもいい。<br>眼を細めてオレに笑いかけるバッシュのいる世界に。<br>そう、強く強く、猫だった時よりもはっきりと願い眼を閉じたのに、<br>翌朝起きた時オレはやっぱり人間で、<br>家族のおはようファムランの挨拶が、オレを底が見えないどん底に叩き落した。<br>今のオレは…バルフレアですらない。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size: 1em;">泣くなオレ。自分を励ます。<br>あきらめるなオレ、バッシュに会えないはずはない。自分に言い聞かせる。<br>でないとどうして生きて行ける。<br>自分で自分を騙しつつ、足を使い自転車を乗り潰し、オレは世界中の公園を調べにかかった。<br>やがて成長するにつれオレの世界は猛烈な勢いで広がり、<br>それにつれ公園の数も爆発的な勢いで増えていった。<br>インターネットはまだ見ぬ公園の情報を吐き出し続ける。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size: 1em;">今でも、オレは眠る前に強く願う。<br>瞬く星に光る月に流れる雲に夜風に、そして何よりバッシュに願う。<br>バッシュの顔や声、その指体温。そもそもバッシュという男はどこで出会った誰なのか。<br>そんな問いすら思いつかないままいつか時は過ぎ、記憶は彗星のしっぽのように燃え尽きる。<br>それでも、毎夜ベッドで朧げな、記憶とも呼べぬ小さな明かりを頼りにそいつに会いたい、と願う。<br>その願いは叶わないと知ってなお、願わずにはいられない。<br>今度こそ、バッシュの横で目が覚めますように。<br>毎晩毎晩、眠りに落ちる直前まで、何度も願う。<br>お陰でオレは眠りの浅い身体を持て余す、身長ばっか伸びた大人になってしまった。</span></p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/otobaco/entry-12216102749.html</link>
<pubDate>Fri, 04 Nov 2016 20:00:00 +0900</pubDate>
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<title>super LION (1)</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-size: 1em;">思い切って開いた視界に、真っ白な天井が飛び込んできた。<br>その眩しさに一瞬瞳をきゅっと閉じ、もう一度、今度はゆっくり瞼を上げる。<br>眼の前に精一杯、腕を伸ばす。<br>白い指、その先には丸くて薄い爪。間違いない、これは…人間の手。<br>やっぱりそうだ。<br>次に眼を開ける時は人間になっている。<br>あの時そう決めて、強く強く願って眼を閉じた。<br>今、その夢が叶ってもう猫じゃない、オレはバッシュと同じ人間になった。<br>嬉しくて嬉しくて、胸がドキドキする。<br>大きく息を吸う。バッシュ！今すぐアンタに会いに行く。<br>と、叫ぼうと思ったのに、喉から出たのは盛りのついた猫の鳴き声のような潰れた音だった。<br>ぎょっとして、すぐに黙る。<br>え？オレは人間になったんじゃないのか？<br>思っただけで勝手に涙が滲んできて、さっきの妙な声が自分の喉から迸る。<br>「お。ファムランお目覚めか？」<br>人影が近づき、オレの顔を覗き込む。<br>やけに大きな額の男、知らない男。<br>ぷい。<br>オレはその男から思いっきり顔を背けた。<br>違う、こいつはバッシュじゃない。<br>「ご機嫌斜めか？よし！父が高い高いをしてやろう」<br>軽々とオレを抱き上げ、男は天井を突き抜ける勢いでオレを放り投げ始めた。<br>やめろばか、こいつもそこらの悪ガキのようにオレをおもちゃにするのか。<br>身体を捻り腕から逃れようとしたが、どういうこった、手足をばたつかせるしか出来ない。<br>頭も尻も重たくて、思うように動かない。そもそも…バランスを取るしっぽが今のオレにはない…！<br>はぁ…。<br>額に優しい口づけをする男にされるがまま、オレはこっそり溜息をつく。<br>……そうか、オレはまだまだ生まれたてのチビなのか…。</span></p><p>&nbsp;</p><p><span style="font-size: 1em;">オレはこの前まで猫だった。<br>いつも腹ペコ、一人ぼっちで街中をうろついていた。<br>バッシュと会ったのは住宅街の真ん中の、小さな公園だ。<br>いつのまにやらベンチで寝ていたオレの隣にバッシュは座り、<br>なんにも怖いところのない笑顔で、白い甘いパンとオレだけの、オレのためだけの名前をくれた。<br>その日からオレは、誰にも知られる事のないただの野良猫からバルフレアという猫になって、<br>バッシュと公園で時々だけどのんびりした時間を過ごすようになった。<br>眼を細めてオレの瞳を覗き込む、その眼差し。<br>背を頭を耳と耳の間を撫でる指や、バルフレアと呼ぶ低い声。<br>バッシュと一緒にいると何もかも気持ち良くて、オレは寝てばっかりだったな。<br>最後にバッシュに会った時、あいつの膝に顎を乗せいつもの様に眼を瞑り、固く誓った。<br>今度眼を覚ます時、その時オレは人間になろうと。<br>寝てばっかりじゃオレもバッシュもつまらない。<br>人間になって２人一緒に公園以外のどこか、海とか草原とか高い山とか。<br>そんなところで笑ったりしゃべったり走ったり、いっぱい遊んで、<br>夜になったら空に浮かぶ丸い大きな月めがけてジャンプして、一晩中手を繋いで踊ろう。</span></p>
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<link>https://ameblo.jp/otobaco/entry-12216101735.html</link>
<pubDate>Thu, 03 Nov 2016 23:04:23 +0900</pubDate>
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