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<title>麗佳美</title>
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<description>れいかび</description>
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<title>生きている腸</title>
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<![CDATA[ <p>生きている腸（はらわた）</p><p>海野 十三（うんの じゅうざ）</p><p>&nbsp;</p><p>医学生吹矢隆二は、その日も朝から、<ruby>腸<rt>はらわた</rt></ruby>のことばかり考えていた。</p><p>&nbsp;</p><p><br>　午後三時の時計がうつと、彼は外出した。<br>　彼の住んでいる家というのは高架線のアーチの下を、家らしい恰好にしただけの、すこぶる風変りな住宅だった。</p><p><br>　そういう風変りな家に住んでいる彼吹矢隆二という人物が、またすこぶる風変りな医学生であって、助手でもないくせに、大学医科にもう七年も在学しているという日本に一人とあって二人とない長期医学生であった。</p><p><br>　そういうことになるのも、元来彼が課目制の学科試験を、気に入った分だけ受けることにし、決して欲ばらないということをモットーにしているのによる。</p><p>されば入学以来七年もかかっているのに、まだ不合格の課目が五つほど残っていた。</p><p><br>　彼は、学校に出かけることは殆どなく、たいがい例の喧騒の真只中にある風変りな自宅でしめやかに暮していた。</p><p><br>　いまだかつて彼の家をのぞいた者は、まず三人となかろう。</p><p>人は大家であり、他の一人は、彼がこれから<ruby>腸<rt>はらわた</rt></ruby>のことについて電話をかけようと思っている先の人物――つまり熊本博士ぐらいのものであった。</p><p><br>　彼は青い顔の上に、ライオンのように房づいた長髪をのせ、世にもかぼそい身体を、てかてかに擦れた金ボタンつきの黒い制服に包んで駅前にある公衆電話の函に歩みよった。</p><p><br>　彼が電話をかけるところは、男囚二千七百名を収容している○○刑務所の附属病院であった。</p><p>ここでは、看護婦はいけないとあってすべて同性の看護夫でやっている。</p><p>男囚に婦人を見せてはよくないことは、すでに公知の事実である。</p><p><br>「はあ、こちらは○○刑務病院でございます」<br>「ああ、○○刑務病院かね。――ふん、熊本博士をよんでくれたまえ。僕か、僕は猪俣とでもいっておいてくれ」</p><p><br>　と、彼はなぜか偽名をつかい、横柄な口をきいて、交換嬢を銅線の延長の上においておびえさせた。</p><p><br>「ああ熊本君か。</p><p>僕は――いわんでも分っているだろう。</p><p>今日は大丈夫かね。まちがいなしかね。</p><p>本当に<ruby>腸<rt>はらわた</rt></ruby>を用意しておいてくれたんだね。</p><p>――南から三つ目の窓だったね。</p><p>もしまちがっていると、僕は考えていることがあるんだぜ。</p><p>そいつはおそらく君に職を失わせ、そしてつづいて食を与えないことになろう。</p><p>――いやおどかすわけではない。</p><p>君は常に、はいはいといって僕のいいつけをきいてりゃいいんだ。</p><p>――行くぜ。きっとさ。夜の十一時だったな」</p><p><br>　そこで彼は、誰が聞いてもけしからん電話を切った。</p><p>　</p>
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<link>https://ameblo.jp/reikabi/entry-12833225964.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Dec 2023 03:35:23 +0900</pubDate>
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<title>死体室</title>
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<![CDATA[ <p>死体室<br>岩村 透（いわむら とおる）</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>私は今度躯からだに腫物できものが出来たので、これは是非共ぜひとも、入院して切開をしなければ、いけないと云うから、致方いたしかたなく、京都きょうとの某病院へ入いりました。</p><p>その時、現今いま医科大学生の私の弟が、よく見舞に来てくれて、その時は種々しゅじゅの談はなしの末、弟から聴いた談はなしです。</p><p><br>　元来病院というものは、何となく陰気な処ところで、静かな夜に、隣室から、苦しそうな病人の呻吟うめきごえが聞えてきたり、薄暗い廊下を白い棺桶が通って行ったりして、誠まことに気味の悪わるいものだが、弟はその病院の二階にある解剖室で、或ある晩十時頃まで、色々人骨を弄ひねくって、一人で熱心に解剖学の研究をしていたが、最早もはや夜も更ふけたので、家へ帰ろうと思ってその室へ錠を下ろして、二階から下りて来ると、その下にある中庭の直すぐ傍わきの、薄暗い廊下を通って、小使部屋の前にくると内で蕭然しょんぼりと、小使が一人でさも退屈そうに居るから、弟も通りがかりに、「おい淋しいだろう」と談はなしかけて、とうとう部屋へ入いって談込はなしこんでしまった。</p><p>その時に、弟が小使に向って、「斯様こんな室しつに、一人で夜遅く寝ていたら、さぞ物凄い事もあるだろう」と訊ねると、彼は「今では、最早もはや馴れましたが、此処ここへ来た当座は、実に身の毛も竦立よだつ様な恐ろしい事が、度々ありました」というので、弟は膝ひざを進めて、「一躰いったい、それは如何どんな事だった」と強しいて訊ねたので、遂ついに小使が談はなしたそうだが、それはこうであったというのだ。</p><p>一躰いったい、この小使部屋のあるところというのは、中庭を間に、一方が死体室で、その横には、解剖学の教室があるのだが、この小使が初めて来たのが、恰あたかも冬のことで、夜一人で、その部屋に寝ていると、玻璃がらす窓越しに、戸外そとの中庭に、木枯こがらしの風が、其処そこに落散おちちっている、木の葉をサラサラ音をたてて吹くのが、如何いかにも四辺あたりの淋しいのに、物凄く聞きこえるので、彼も中々なかなか落々おちおちとして寝込まれない。</p><p>ところが、この小使部屋へは、方々ほうぼうの室から、呼鈴べるの電線がつづいているので、その室で呼ぶと、此処ここで電鈴べるが鳴って、その室の番号のついてる札が、パタリと引繰返ひっくりかえるという風になっているのだが、何しろ、彼も初めての事なので、薄気味悪わるく、うとうとしていると、最早もう夜も大分更ふけて、例の木枯こがらしの音が、サラサラ相変らず、聞きこえる時、突然に枕許まくらもとの上の呼鈴べるが、けだだましく鳴出なりだしたので、おやおや今時分、何処どこの室から、呼ぶのだろう、面倒臭いことだなどと思いながら、思わず、ひょこり頭を擡もたげて、それを見上げると、こは如何いかに、その札の引繰返ひっくりかえっているのは、正まさしく人も居ない死体室からなので、慄然ぞっとしたが、無稽無稽ばかばかしいと思って、恐々こわごわ床とこへ入るとまたしきりそれが鳴り出して、パタリと死体室の札が返るのだ。</p><p>彼も最早もう堪たまらず、震えながらにとうとう夜を明あかしたとの事である。</p><p>しかし今では奇妙なもので、「もうそれも平気になった」と彼は頗すこぶる平然として語ったが、この際弟は、思わずそこの玻璃がらす窓越しに見える死体室を見て、身震みぶるいをしたと、談はなしたのであった。</p><p>　</p>
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<link>https://ameblo.jp/reikabi/entry-12833225740.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Dec 2023 03:22:59 +0900</pubDate>
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<title>結婚を教へる女</title>
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<![CDATA[ <p>何の為に遊女と言ふ売色が行はれて来たかと言へば、理論や想像では解釈出来ない。<br>つまり我々の結婚といふことには、相手の女性が決つたらその人とすぐ結婚する、といふのは昔の風習ではなく、その為には段階があつた。<br>男の為に女があり、女の為に男があつたのに違ひない。<br>女の結婚する場合の事をよく言つてゐるが、男の結婚する場合の事を考へてみる必要がある。<br>その場合大抵、村の青年に結婚法を教へる女があつたのである。<br>その女は宗教的な威力をもつた人であつて、適齢に達した男等に、結婚の方法を教へるのであつて、昔の人の理想としてゐたのであらう。<br><br>何処の国に於いても、どうして生殖の道を覚えたかを考へると、事実は何でもなかつたのだらうが、<br>想像にしてみると不思議なのである。<br>銀蠅や鶺鴒のつながつてゐるのを見たりして、人間以外の動物の叡智によつて悟らされたと考へるのは、一つの理想である。<br>だからとつぎの教へを教へたのは、村々にとつぎを教へる女がゐなくては、男は結婚しなくてもすむだらうといふ一つの理想で、教へなくとも結婚はするが、教へる女があるのは生殖の方法を教へる為ではなく、そんな女を設けなければ宗教的儀式がすまないと言ふ事なのである。<br>大抵の場合は宗教的な女性がゐて、初めて、生殖の道に這入るところの女に会ふ。<br>それはつまり宗教的関門を通らす事で、女の場合、初夜権の様に、女の体に持つてゐる悪い血を宗教的威力を以つて排除する意味なのである。<br>男も同じく婚姻するのに、宗教的儀式によつて適当な資格を与へられるのである。<br>普通神社に仕へてゐる巫女が、さうした為事をしたのは、古く記録に載つてゐる。<br>神社に仕へてゐなくとも、宗教的な要素を持つてゐる女であればよい。<br>中には旅をして来る遊女もあり、村に附属してゐる遊女、神社・寺院等の附近に住む遊女等がある。<br>さういふ一つの関門を通り越して初めて結婚に這入るのである。男が通らなければならない関門を割合に早く忘れて、男は女の処へ通つて結婚する様になつた。<br>遊女の処へ通ふ年齢は、いくつから始つてくるか、宗教的な女性とのこゝろみは何歳までか、秘密な事であるだけに訣らない。</p><p>　</p>
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<link>https://ameblo.jp/reikabi/entry-12833225607.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Dec 2023 03:17:08 +0900</pubDate>
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<title>巫女と遊女と</title>
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<![CDATA[ <p>巫女と遊女と<br>折口 信夫（おりくち しのぶ）</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><h4><a id="midashi10">大尽と末社</a></h4><p>　我々は遊郭の生活は穢いものと思つてゐるが、江戸時代の小説・随筆等を読むと、江戸時代の町人は遊郭生活を尊敬してゐる。</p><p>段々調べてみるとその生活も訣る。</p><p>遊びにゆく人達は目的は同じところなのだが、直接に売色に関係した事を目的としてゐない。</p><p>吉原・新町・島原等に於ける遊郭の本格的な遊びをするお客を<em>だいじん</em>と言ふ語で表してゐる。</p><p>大尽と書いてゐたが、元は大神と書いたのである。</p><p>それに対してお供が従いてゆく。</p><p>それを末社といふのだが、後に太鼓持ちを末社と言ふやうになつた。</p><p>それは大尽についてゆくお供と末社との間が離れてゐるので、お供（太鼓持ち）を末社と言ふやうになつたのである。<br>神社に於いては主座の神が大神であり、そこに配合せられてゐる小さな神が末社である。</p><p>ところが吉原では末社とは言はない。</p><p>と言ふのは江戸の町を対象としてゐるからである。</p><p>昔の人は都会と郊外とを区別して、郊外に住む人は江戸の町に対して江戸といつたのである。<br>大尽と言はれる男が伴れてくるお供を<em>えどがみ</em>といひ、その土地の人間で大尽を取り巻くものを<em>ぢがみ</em>と言つてゐる。</p><p>それで見ても大神・末社等の語は神社の神々によせてゐる。</p><p>なぜかと言へば現在の神社の性格では訣らないが、昔の神社の祭りの主要なものは宴会であつたのが、近頃になつて厳粛な儀式ばかりを残してゐるのである。</p><p>要するにお祭りが盛んになると言ふ事は、饗宴が大きくなることであつた。</p><p>&nbsp;</p><h4><a id="midashi20">祭りと饗宴</a></h4><p>　遊郭に於ける饗宴はお祭りの形式を践むのだが、昔の人は正直だから、重要な部分だけを行はずにとにかく始めから終りまで行つたのである。吉原へ遊びに行くと饗宴を開く。</p><p>村の饗宴と同じく或式が行はれ、その式に来臨する正客があり、それを廻る陪従の客があり、これらの人々に主人が酒・肴を進め、芸人を進め、客もこれに応じて後、客が主人の進めた芸人を自分の思ふ通りにするのが昔のきまりであつた。</p><p>遊郭の揚屋へ行つても同じ形式で行つたのである。</p><p>例へば月見は遊郭では大事な行事であり、地唄の「月見」を見ても遊郭に於ける遊びの席の様子が訣る。</p><p>島台を据ゑ（島台即、洲浜台は平安朝時代から饗宴の席に出てくる）、そこへすゝきをあしらひ、銀紙で作つたお月様を張る。その島台を置いて饗宴の座敷が開かれるのである。</p><p><br>祭りの時招かれた神が饗宴を受けるのと同じ形を、客が受けるのである。</p><p>唯違ふのは、客がその費用を支払ふだけである。</p><p>昔の人はさういふ遊びをする身分になりたいと絶えず思つてゐたのである。</p><p>性欲をほしいまゝにするのではなく、座敷のとりさばきを如何にするかゞ問題で、伝説にも残る事を予期した。</p><p>当時の人々には、それをうまくやる事によつて名誉と考へたのである。</p><p>&nbsp;</p><h4><a id="midashi30">舞大夫</a></h4><p>　その時に招かれた女で一番上の女を大夫といふ。</p><p>これは神事に関係のある語に違ひないが、客が遊びにゆく饗宴とは関係のない語である。</p><p>当時遊郭での遊びは、大為込みな遊びで、大夫は、始めはそんなに教養が必要であるとも思はれなかつたが、身分のある者が自由に出入してから、相当な教養が必要となつて来たのである。</p><p>近代では幸若の舞大夫が、遊郭の大夫の本流遊女である。</p><p>しかもその中には歌舞妓もの、乱暴狼藉を働くもの、所謂無頼漢（豪華な服装をして人の思はくもかまはぬ振舞ひをするもの）などゐたが、江戸初期は相当な教養があり、素性も良かつたので、見識が高かつた。</p><p>それが無頼漢気取りと相俟つて意気地となつたのである。普通の女と違ひ、彼女等はさういふ個性を持つてゐた。<br>教養を積まなければならないだけに、その口があつて、</p><p>女の芸事或は諸文学、或は芸術、或は花等に行つたのである。</p><p>それ迄は職業的な幸若のであつたが、その後段々本道の芸に進んで行つた。</p><p>遊女の位置が高まると、当時の人々は、まるで、貴族の女性か遊女の位置の高い女性かでないと、女の高い生活を知らないのが、江戸時代の小説随筆に出てくるところの女性観である。</p><p>そんな風になつて来てから遊郭生活を理想的に考へてくるわけである。</p><p>　</p>
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<link>https://ameblo.jp/reikabi/entry-12833225571.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Dec 2023 03:14:58 +0900</pubDate>
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<title>何処かの街角</title>
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<![CDATA[ <p>何処かの国のとある時代。</p><p>&nbsp;</p><p>ある寒い日に、ひとりの少女が大通りの近くで花を売っていた。</p><p>様々な色の花でとても美しく、通り掛かりの人は一瞬をチラッと見てしまう程であった。</p><p>&nbsp;</p><p>寒々しい空気の中、白い息を吐きながら、</p><p>「お花、お花要りませんか？○○カヌンですよー」</p><p>&nbsp;</p><p>少女は右手を口の横に当て、大きな声で売り声を出した。</p><p>&nbsp;</p><p>何枚も重ね着をし、足元も一体いくつ靴下を履いているのだろうという、</p><p>重装備。</p><p>ずっと、夕方まで売るからである。</p><p>&nbsp;</p><p>「花瓶に飾ろうかしら」</p><p>「これからデートだから、彼女にあげよう」</p><p>&nbsp;</p><p>ちゃりん</p><p>数人の人間が、数本買ってくれるのだが、</p><p>当たり前だが売り上げは微々たるものであった。</p><p>&nbsp;</p><p>休憩中に、</p><p>「（こんなにあると、鮮度の問題がたくさん捨てないといけないことになるわ）」</p><p>ため息をついて、あと少しだけ売れる手助けをしてくれる</p><p>保存用冷蔵庫のことを思う女の子。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「雛（ひな）！どーしてんの。</p><p>売れてる？」</p><p>&nbsp;</p><p>向こう側から、車を降りて大通りの雛の方に向かって歩いてくる長身の女性が来た。</p><p>&nbsp;</p><p>色々とたわいもない話をした後に、</p><p>クリスマスだから楽しいでしょうね、とつい厭味を言ってしまった女の子。</p><p>&nbsp;</p><p>長身の女性は腕を組んで、フッとため息をついて</p><p>「うち来る？」と言った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>-------------------------------------------------------</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>車の音、人々の笑い声、酔っ払いの大声、子供たちのはしゃぎ声。</p><p>そんな声を聞いて、クリスマスを楽しむのも一興だな、と感じる女の子。</p><p>&nbsp;</p><p>この少女の名前は「雛」。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/reikabi/entry-12428489272.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Dec 2023 02:58:40 +0900</pubDate>
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<title>GRIP &amp; BREAK DOWN</title>
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<![CDATA[ <p><span style="font-family: &quot;Monotype Corsiva&quot;; font-size: x-large;">I wanna play with you once</span></p><div><font color="#800000" face="メイリオ" size="2"><span style="line-height: 20.8px;">あなたと遊びたいわ</span></font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Are you a fragile,baby?</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">あなたは壊れやすいかしら？</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">If so,I throw you away after use</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">それなら、すぐ捨てるわね</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">I Don't know why I'm alone now</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">私は何故今ひとりなんだろう</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Why don't you play with me? Hey!</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">ねぇ、遊ぼうよ！</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">You can never refuse my asking</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">私からは逃げられないでしょ</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Everything has the spot to be broken away</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">全てのものには弱点がある</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">I only know where it's hidden away</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">私だけがそこを知ってるのよ</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">C'mon baby!&nbsp; C'mon baby!&nbsp; Come into my hand</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">おいで、おいで！私の手に</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Oh,it's so easy to Grip &amp; Breakdown!!</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">すぐ壊れるんだから！</font><p><br>&nbsp;</p><p><font face="Monotype Corsiva" size="5">Let's get along,baby,I'm never insane</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">楽しみましょう。私はおかしくないわ</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">You must enjoy to play</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">あなたは楽しまないとダメなの</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">this game more and more and more</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">このゲームをもっともっと楽しまないと</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Hey! How are you feeling?It's funny,isn't it?</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">ねぇ！何を思ってる？面白いでしょ、ほら！</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Never ever to be seen,the game!</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">こんなゲーム見たことないでしょ！</font></p><p><br>&nbsp;</p><p><font face="Monotype Corsiva" size="5">Let's get along,baby,beautuful fire works</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">ねぇ楽しもうホラ、キレイな火遊び</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">You can never run away</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">あなたは絶対逃げられないのよ</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">because we're the friends</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">私たち友達でしょ？</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">So,don't mind to be dead,</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">死ぬなんて考えちゃだめよ</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">play the funny game,yeah!</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">楽しいゲームをしよう！</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Grip &amp; Breakdown! Fire works tonight</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">破壊！今夜の火遊び</font></p><p><br>&nbsp;</p></div><p><font face="Monotype Corsiva" size="5">All the friends l found ever</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">友達はみんな</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">have gone far away from me</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">私の傍から去って行った</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">They have gone to the place not to be back</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">彼らはもう二度と戻ってこれないの</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">You are the brand new my friend</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">あなたは私の新しい暇つぶし</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Won't you go far away so</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">逃げちゃだめよ？</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Hey! How do you response to my asking</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">どこまで楽しませてくれるのかしら</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Everything has the spot to be broken away</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">全てのものは、壊れるポイントがあるの</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">l only know where it's hidden away</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">私だけがその隠された部分を知っている</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">C'mon baby! C'mon baby!&nbsp; Come into my hand</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">ホラおいで！私の手の中に</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Oh, it's so easy to Grip &amp; Break down!!</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">もう、すぐ壊れるんだから！</font></p><p><br>&nbsp;</p><p><font face="Monotype Corsiva" size="5">N'ak Kode Tihs Ot Tuyg</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">ギュッとして壊れる</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Uk Oyr'o Non Odi Et Ur Us Ia Kah</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">破壊するだけよ</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Ow O Nom Ur Uyar A Ot Ira</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">全てのものを・・・</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Grip &amp; Breakdown!!</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">壊しちゃう！</font></p><p><br>&nbsp;</p><p><font face="Monotype Corsiva" size="5">Let's get along,baby,beautuful fire works</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">楽しまないと、ホラ。キレイな火遊び</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">You can never run away</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">あなたは逃げられないんだから・・・</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">because we're the friends</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">私たち友達なんだから</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">So,don't mind to be dead,</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">死ぬなんて考えちゃだめ</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">play the funny game,yeah!</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">楽しいゲームをしよう？</font><br><font face="メイリオ" size="1">　　</font><br><font face="Monotype Corsiva" size="5">Grip &amp; Breakdown! Fire works tonight</font><br><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">破壊！今夜の火遊び</font></p><p><font color="#800000" face="メイリオ" size="2">　</font></p>
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<link>https://ameblo.jp/reikabi/entry-12180691279.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Dec 2023 02:28:52 +0900</pubDate>
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<title>未完成な現代劇</title>
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<![CDATA[ <p>未完成な現代劇<br>岸田 国士（きしだくにお）</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>私はこれから、日本の所謂「新劇運動」に対する考察、批判、研究の一端を、断片的にではあるが、そこから、努めてある一つの結論をひき出し得るやうに、述べて見るつもりである。<br><br>「新劇運動」といふ言葉は、「近代劇運動」といふ言葉と区別されなければならないことは勿論であるが、これは、西洋でのことであつて、現代日本の演劇を云々する場合に、果して、その必要があるかどうか、これは、一考を要する問題である。</p><p><br>　われわれはまだ、厳密な意味に於て、われわれの「近代劇」を有つてゐない。この点で、恐らく異存を挟むものはあるまい。</p><p>これは決して近代の日本が、まだ一人のストリンドベリイ、一人のチエホフ、一人のポルト・リシュ、一人のショオを生んでゐないといふやうな「看板の大小」の問題ではない。現代の日本が、まだ「近代劇」を生むべき「芸術的雰囲気」を有つてゐないといふのである。</p><p>つまり、もつと適確に云へば、現代の日本人はどういふ演劇が、過去の演劇にかはつて、自己の芸術的欲求を満たし得るかを知らずにゐるのである。</p><p><br>　これを、劇作家乃至俳優について云へば、日本古来の演劇が、兎も角も今日までに完成した「美の伝統」を放擲して、直ちに西洋劇の「思想的形式」のみを模倣することに急いだ結果、西洋劇の「本質的なもの」を取り逃した、無味乾燥な「日本現代劇」を作り上げたのである。</p><p><br>　然し、かういふ状態はつまり過渡期には免れ難い状態であるから、それほど悲観するには当らないが、若し今、日本にも一つの「新劇運動」が生れるとすれば、それは決して、「歌舞伎劇」乃至「新派劇」への挑戦である必要は毛頭なく、実は、「西洋劇の完全な模倣」であつて少しも差支ないと思ふのである。</p><p>模倣といふ言葉が気に入らなければ、「正しい理解と本質的な摂取」――かう云つてもいい。</p><p>言ひ換へれば、西洋の芝居を観て（へたな翻訳劇などを云ふのではない）面白いと思つたその面白さが、日本語で書かれた戯曲の中に盛られ、日本語で演ぜられる舞台の上で聴かれれば、それでいいのである。<br><br>　そこで、この「面白さ」であるが、結局これは、真似ようと思つて真似られるものではない。</p><p>「完全に真似た」と思ふ時には、既に、「自分のもの」が出来上つてゐるのであらうと思ふ。</p><p>日本の「現代劇」――これが、何も、西洋劇の研究からのみ生れると云ふのではない。</p><p>歌舞伎劇の伝統から、新しい「現代劇」が生れないともかぎらない。</p><p>しかし、近代日本の文化が、泰西文化の好ましい影響を受けて、（一方には好ましからぬものがあるが）どれだけ希望ある未来を示してゐるか。</p><p>それに気がつけば、「日本現代劇」の発達が、「西洋劇」から、貴重な啓示を受けることも、さほど不自然ではあるまい。<br>　</p>
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<link>https://ameblo.jp/reikabi/entry-12833224328.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Dec 2023 02:14:47 +0900</pubDate>
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<title>水鬼</title>
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<![CDATA[ <p>水鬼（すいき）<br>岡本 綺堂（おかもと きどう）</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　Ａ君――見たところはもう四十近い紳士であるが、ひどく元気のいい学生肌の人物で、「<ruby>野人<rt>やじん</rt></ruby>、礼にならわず。はなはだ失礼ではありますが……。」と、いうような前置きをした上で、すこぶる軽快な弁舌で次のごとき怪談を説きはじめた。<br><br>　僕の郷里は九州で、かの<ruby>不知火<rt>しらぬい</rt></ruby>の名所に近いところだ。僕の生れた町には川らしい川もないが、町から一里ほど離れた<ruby>在<rt>ざい</rt></ruby>に入ると、その村はずれには<ruby>尾花<rt>おばな</rt></ruby>川というのがある。ほんとうの名を<ruby>唐人<rt>とうじん</rt></ruby>川というのだそうだが、土地の者はみな尾花川と呼んでいる。</p><p>なぜ唐人川というのか、僕もよく知らなかったが、昔は川の<ruby>堤<rt>どて</rt></ruby>に<ruby>芒<rt>すすき</rt></ruby>が一面に<ruby>生<rt>お</rt></ruby>い茂っていたというから、尾花川の名はおそらくそれから出たのだろうと思われる。</p><p>もちろん大抵の田舎の川はそうだろうが、その川の堤にも昔の名残りをとどめて、今でも芒が相当に茂っているのを、僕も子供のときから知っていた。</p><p><br>　長い川だが、川幅は約二十<ruby>間<rt>けん</rt></ruby>で、まず隅田川の四分の一ぐらいだろう。</p><p>むかしから堤が低く、地面と水との距離がいたって近いので、ややもすると堤を越えて出水する。</p><p>僕の子供のときには四年もつづいて出水したことがあった。</p><p>いや、これから話そうとするのは、そんな遠い昔のことじゃあない。</p><p>といって、きのう今日の出来事ではない、僕の学生時代、今から十五六年前のことだと思いたまえ。</p><p><br>　そのころ僕は東京に出ていたのだが、その年にかぎって学校の夏休みを過ぎてもやはり郷里に残っていた。</p><p>そのわけはだんだんに話すが、まず僕が夏休みで帰郷したのは忘れもしない七月の十二日で、僕の生れた町は停車場から三里余りも離れている。</p><p>この頃は乗合自動車が通うようになったが、その時代には<strong>がたくり</strong>の乗合馬車があるばかりだ。</p><p>人力車もあるが、僕はさしたる荷物があるわけではなし、第一に値段がよほど違うので、停車場に降りるとすぐに乗合馬車に乗込んだ。</p><p><br>　汽車の時間の都合がわるいので、汽車を降りたのは午後一時、ちょうど日ざかりで遣りきれないと思ったが、日の暮れるまでこんな所にぼんやりしている訳にもいかないので、汗をふきながら乗合馬車に乗込むと、定員八人という車台のなかに僕をあわせて乗客はわずかに三人、ふだんから乗り降りの少ないさびしい駅である上に、土地の人は人力車にも馬車にも乗らないで、みんな重い荷物を引っかついで歩いて行くというふうだから、大抵の場合には馬車満員ということのないのは僕もかねて承知していたが、それにしても三人はあまりに少な過ぎる。</p><p>しかしまあ少ない方に間違っているのは結構、殊に暑いときには至極結構だと思って、僕は楽々と一方の腰掛けを占領していると、向う側に腰をおろしているのは、僕とおなじ年頃かと思われる二十四五の男と、十九か<ruby>二十歳<rt>はたち</rt></ruby>ぐらいの若い女で、その顔付きから察するに彼等はたしかに<ruby>兄妹<rt>きょうだい</rt></ruby>らしく見られた。</p><p>　</p>
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<link>https://ameblo.jp/reikabi/entry-12833224245.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Dec 2023 02:11:11 +0900</pubDate>
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<title>吸い殻</title>
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<![CDATA[ <p>吸い殻<br>漢那 浪笛（かんな ろうてき）</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>午前七時、<br>時刻が来たいざ学校へ。<br><br><ruby>晩秋<rt>おそあき</rt></ruby>の市街の上を、<br>悲しげに風は泣きすぐ。<br><br>絶えずしたゝる冷たい鼻汁を、<br>すゝりつゝ道を通る。<br><br>ふとして眼にとまる白い吸い殻、<br>誰れが手から投げ捨てられし……。<br><br>もどかしい黄色な煙は、<br>力なく渦をまいて漂ふ。<br><br>火の気衰ろへ、煙が消えると、<br>死人の影がちらつく。<br><br>今一しきり秋空が吹き過ぐる、<br>吸い殻は空しく地上を転ろげる。<br>　</p>
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<link>https://ameblo.jp/reikabi/entry-12833224175.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Dec 2023 02:08:02 +0900</pubDate>
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<title>花</title>
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<![CDATA[ <p>花といふものを、しみじみ、美しいなあ、と感じたのは、この病院へ入院した次の日であつた。</p><p>今は収容病室といふのが新しく建つたので、入院者がすぐ重病室へ入れられるといふことはないけれども、私が来た当時はまだそれが出来てゐなかつたので、私は入院するなり直ちに重病室へ入れられた。</p><p><br>　私がそこでどんなものを見、どんなことを感じたか、言語に絶してゐてたうてい表現など出来るものではない。</p><p>日光を見ぬうちは結構と言ふな、といふことがあるが、ここではちやうどその反対のことが言へる。</p><p>たとへばあなたが、あなたのあらん限りの想像力を使つて醜悪なもの、不快なもの、恐るべきものを思ひ描かれても、一歩この中へ足を入れられるや、忽ち、如何に自分の想像力が貧しいものであるか、といふことを知られるであらうと思ふ。</p><p>私もそれを感じた。ここへ来るまで色々とここのことを想像したり描いたりしたのだつたが、来て見て予想以上なのに吃驚してしまつた。</p><p>膿臭を浴びたことのなかつた私の神経は、昏乱し、悲鳴を発し、文字通りささらのやうになつてしまつたのである。</p><p>私は、泣いていいのか、笑つていいのか、また、無気味だと感じていいのか、滑稽だと感じていいのか、さつぱり判らなかつた。</p><p><br>　そこは、色彩において全くゼロであり、音響においてはコンマ以下であり、香りにおいては更にその以下であつた。</p><p>私の感覚は<ruby>脅<rt>おび</rt></ruby>えて、石のやうに竦んでしまふばかりだつた。</p><p>持つて来た書物が消毒室から帰つて来るまでの間、私は全く死人のやうになつてゐた。</p><p>私はせめて活字を、文字を、思想の通つた、<em>人間</em>の雰囲気の感ぜられる言葉を、見たかつたのだつた。今でも忘れないのは、その時私の隣のベッドにゐた婦人患者が、キングだつたか、表紙の切れた雑誌を貸して呉れた時のうれしさである。</p><p>私は実際、噛みつくやうにして今まで見向きもしなかつたこの娯楽雑誌の頁をくつたものである。</p><p><br>　しかしなんといつても、自分の書物が、自分の体臭や手垢のしみついた本が帰つて来た時のよろこびは、それ以上だつた。</p><p>私は涙を流さんばかりにして、その本を一冊一冊抱きかかへて見たり撫でまはしたりした後、ベッドに取りついてゐる<em>けんどん</em>の上に積んで置いた。</p><p>それを眺めてゐる間、私はなんとなくほつとした思ひになつてゐた。</p><p><br>　私がさういふ思ひをしてゐる所へ、誰だつたか忘れたが、花を持つて来てくれたのである。</p><p>なんといふ花か、迂闊な私は名前を知らないが、小さな花弁を持つた、真紅な花であつたのを覚えてゐる。</p><p>はなびらの裏側は幾分白みがかつてゐて、薄桃色だつた。</p><p>華かではなかつたが、どことなく品の良いととのつた感じのする花で、私はもう夢中になつて眺めたものである。</p><p><br>　それまで、私は花など眺めたことは丸切りなかつたのであるが、それからといふものはすつかり花が好きになつてしまつた。</p><p><br>　この間、ある事情で四国の故郷までまことに苦しい旅をしたが、帰つて来ると私はまだ花の咲かないコスモスを鉢に活けた。</p><p>舎の前に生えてゐたもので、私は指先に力を入れながら注意深く掘り返した。</p><p>そこへ看護婦の一人が来て言ふことには、<br>「北條さんが花をいぢるなんて、ちよつとをかしいみたいね。」</p><p><br>　なるほど、さう言はれて見ると私は野蛮人に違ひない。</p><p>しかし、私は言つたのである。</p><p>「平和に暮したいんだよ。何時でも死神が僕につきまとふからね。」</p><p>　</p>
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<link>https://ameblo.jp/reikabi/entry-12833224116.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Dec 2023 02:05:33 +0900</pubDate>
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