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<title>15分間の文学的思考</title>
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<title>024-違和感～Ｋ～</title>
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<![CDATA[ <p><font size="2">　しかし、誰にはめられたんだ？　川瀬さんか？　それとも、神流崎さんか？　ひょっとして、二人ともか？</font></p><p><font size="2">　そういえば、俺が彼女達と別れて、自動ドアに向かって歩いているときに、こんなことがあった気がする。</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2">「韃靼蕎麦の踊り」</font></p><p><font size="2">　背後で、川瀬さんが小さな声で、何かをつぶやいた。</font></p><p><font size="2">　俺は彼女のほうに振り向き、尋ねる。</font></p><p><font size="2">「ん、何か言いましたか？」</font></p><p><font size="2">「い、いえ。何も」</font></p><p><font size="2">　彼女は何事もなかったかのように振る舞っているが、顔には焦りの色が浮かんでいる。</font></p><p><font size="2">「あ、そうですか」</font></p><p><font size="2">　結局、俺はそう答えて、ドアのほうに向かっていったのだ。</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2">　そう、あのときだったのだ！　彼女が「韃靼蕎麦の踊り」とつぶやいたあのとき！　あのとき彼女がつぶやいた言葉が、自分をこの不思議な世界へといざなったのだ。</font></p><p><font size="2">　そこで、俺は何かに違和感を覚えた。</font></p><p><font size="2">　何だ？</font></p><p><font size="2">　何だ！？</font></p><p><font size="2">　思い出せ！</font></p><p><font size="2">　思い出せ！！</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2"><strong>⇒「バイザー」～「原画展」～</strong></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/roman813/entry-10265933026.html</link>
<pubDate>Fri, 22 May 2009 19:08:30 +0900</pubDate>
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<title>023 - 新世界と、新世界と、新世界　〜くゐーん〜</title>
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<![CDATA[ <p>　……何か、引っかかる。<br>　何だ、何が引っかかる。<br>「どうかしましたか？」<br>　俺の顔をのぞくのは、川瀬さん。目の色を白黒させて、見上げてくる。<br>「冷や汗かいていますよ。あ、これ使います？」<br>　差し出されたハンカチを手に取り、俺は顔を拭いた。確かに冷や汗をかいている。<br>　何かが、何かが引っかかる。何なんだ、この感じは……。<br>　俺は目の前の、彼女の顔を見た。静かな笑いを含んでいるその顔に、少しの間見とれる。<br>　そして、思い出した。<br>「ほんと、大丈夫ですか？」<br>　再び川瀬さんの、真摯な言葉が来た。<br>　俺は答えた。<br>「えぇ、大丈夫ですよ。少し頭痛がしましてね。ほら、よく小説とかで、記憶を戻りそうなとき、頭が痛くなったりするじゃないですか。もしかして、それとかじゃないですか？」<br>　俺は微笑みを返して、彼女に答えた。なるほど、と川瀬さんも、しっかりと頷いている。<br>　俺はここぞとばかりに続けた。<br>「さて、じゃ、俺は少し外を見てきます。もと来た道を見ていれば、もしかしたら思い出せるかもしれませんし。三十分くらい歩いて無理でしたら、戻ってきますよ」<br>「そうですか？　じゃ、私達はこれで」<br>　俺は彼女達と別れた。<br>　自動ドアの向こうの暗闇は、どろりとしているようだった。硝子越しに見るそれは、形を成さない、不思議なもの。言うなれば黒い炎とでも言うべきか。気が滅入るほどの色である。<br>　俺は深く息を吸うと、自動ドアを越えていった。<br>　その先には、セピア色の世界があった。<br>「だんなあ、象です、押し寄せやした」<br>　後ろから、声が聞こえる。<br>　振り返るともうそこには自動ドアなど跡形も無く、ただ、無限に続く砂漠と、その中にぽつんと建った一軒の屋敷が見えるばかりである。<br>「どこだ、ここ」<br>　何か嫌な気分だ。<br>　足元がどろりとした、そんな不思議な世界に足を踏み入れている気がする。<br>　現在地はわからない。<br>　俺が誰かもわからない。<br>　唯一つ、判ることがあった。<br>「……はめられた」</p><br><br><br><p>⇒「K」　～「韃靼蕎麦の踊り」～</p>
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<link>https://ameblo.jp/roman813/entry-10213482733.html</link>
<pubDate>Mon, 23 Feb 2009 20:16:54 +0900</pubDate>
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<title>022 - 失言？湿原？〜バイザー〜</title>
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<![CDATA[ 「今気に入っててるのが、屯田島イレブン太郎さんの作品ですかねー・・・」<br><br>「・・・・・・はい？」<br>為替、いや川瀬さんが聞き返す。<br><br>「屯田島シリーズって知りませんか？現代ギャグ小説の先行者ですよ！」<br><br>「・・・・・・はあ。」<br><br>為替、いや川瀬さんがキョトンとしている。<br>しかし更に俺は続ける。<br><br>「この方は本当に凄いんですよ！最近ヒットした作品は『ウィワクシア霧雨のウォーキングレッスン』っていう作品で、主人公である霧雨が『カバとサファイアと久留米・ザ・山科』のウィークポイントを指摘するところなんてもう・・・」<br><br><br><br>ん、なんだ、この空気は。<br><br>為替、いや革製、いや翡翠、ん？まあいい。<br>まあ、為替だったか革製だったかいう人が、俺の前で苦笑いをしているのが分かる。<br><br>・・・なんか俺、オタクだと思われた？<br><br>「ぷっ」<br><br>マネージャーが顔を赤くして笑っている。<br>立ち去りたい。あぁ、立ち去りたい。<br><br>「ふふ、恥じることはありませんよ。立派なご趣味じゃありませんか。神流崎には後できつく言っておきますんで、気に病まないでください。」<br><br>と、川瀬さんが柔らかい手で俺の手を握ってくる。<br>紅いドレスと柔らかい手・・・まるでゼリーのようだ。<br><br>「では、私はそろそろ・・・」<br><br>川瀬さんがそういって席を立つ。しかし次の瞬間、<br>「あ、そういえば。」<br><br>何かを思い出した様だ。<br><br><br>「早く、記憶が戻られると良いですね。」<br><br>それはそれはとびきりの笑顔だった。<br><br>「はい！」<br><br>それに答えるように、とびきりの笑顔でこちらも答えた。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>・・・・・・んん？？？<br><br>⇒「くゐーん」　～「だんなあ、象です、押し寄せやした。」～
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<link>https://ameblo.jp/roman813/entry-10212565516.html</link>
<pubDate>Sun, 22 Feb 2009 02:19:57 +0900</pubDate>
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<title>021-山の上ホテル ～Ｋ～</title>
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<![CDATA[ <p><font size="2">　マネージャーは続けて私に問うた。</font></p><p><font size="2">「あなたは何故、山の上ホテルに入ろうとしたのですか？」</font></p><p><font size="2">「そ、それは……」</font></p><p><font size="2">　記憶を取り戻すために……、などとはとてもじゃないが言えない。さて、どうしたものか。</font></p><p><font size="2">　そういえば、山の上ホテルは締め切り間際の作家が缶詰になることで有名ではなかったか？それとも、ジンギスカン作戦を指示した牟田口廉也が帰国後に最初に泊まったホテルだったか？いや、違う。絶対に前者だ。</font></p><p><font size="2">　なので、私はこう答えた。</font></p><p><font size="2">「川端康成や三島由紀夫が缶詰になっていたホテル。読書家の私なら、一度訪れたいところです」</font></p><p><font size="2">「ほう！あなたは読書家なのですか？」</font></p><p><font size="2">　私がそう返答すると、川瀬佐重喜さんが話に割り込んできた。</font></p><p><font size="2">「それで、あなたは最近の作家では、誰が好きですか？」</font></p><p><font size="2">「そうですね。佐藤友哉さんとかですかね。他には……」</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2"><strong>⇒「バイザー」～「ウィワクシア」～</strong></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/roman813/entry-10211198391.html</link>
<pubDate>Thu, 19 Feb 2009 17:47:26 +0900</pubDate>
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<title>020 - 名前？　そんなの飾りですよ　～くゐーん～</title>
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<![CDATA[ <p>「あ！　君、その人捕まえて！」<br>　俺がドレスの女に見ほれて、視線が入ろうと思ったホテルの中ではなく、今来た道のほうに走っていく彼女に向いていると、不意にホテルの中から声が聞こえた。ゆっくりと振り向くと、短髪で清潔そうな青年が、息を切らして俺のほうを向いていた。<br>「え？」<br>「とにかく！　走って！」<br>　息を切らせてその場にへたり込みながらも、俺を見上げる青年の目には、未だ彼女を追いかけようと言う闘志が見られた。大事な結婚相手か、それとも仕事仲間か。ホテルの中で何かが起きて、それに関係して大事な人物になったのか。俺は想像しうる限りの、彼女が追いかけられる理由を考え、その多さに事の重大性を理解し、そして体は自然、あのドレスの女のほうに向いていた。陸上競技が得意だったと言う記憶は無いけれど、あの青年の真摯なまなざしには逆らえないし、何より今の俺にすべきことなど何も無い。人助けをしておいて、困ることは無いのだ。<br>　どれだけ足が速いのだろう、あちらは陸上競技の選手のようで、俺が振り返るともう遠く向こうを走っていた。優雅に、颯爽と、彼女は強く走っていた。直線的に、音の壁を破るように、その足は強く地を蹴っていた。<br>　そして、<br>「あ」<br>「転んだ」<br>　彼女は足元に石に気づかず、砂煙をもうもうと上げて、下りのホテルからの山道の途中に倒れた。俺は短髪の青年と顔を見合わせると、彼のほうも少し驚いているようで、首をかしげながら立ち上がった。彼は頷くと、彼女のほうに走り出した。俺も、その背を追った。</p><br><p>「為替差益？」<br>「川瀬佐重喜です」<br>　ホテルの扉の向こうは、左側にカウンターがあり、右側はラウンジとなっていた。ラウンジには八つのソファと、十二個の椅子が置かれており、壁には三枚の小さな川と山と海の絵があり、はめ殺しの大きく広い窓からは、山と川と海が見えている。<br>　俺とドレスの女と短髪の青年は、その窓際から三メートルほど離れたところのソファ二つと椅子一つに座っていた。ソファに女が、もう片方に青年が、そして俺は椅子にもたれかかっている。<br>「彼女は俳優の川瀬佐重喜さんです。僕は彼女のマネージャーをしております、神流崎京三郎衛門です」<br>　青年は俺に向かって、自分と、ドレスの女の紹介をした。<br>　……豪く面倒な名前だ、どっちも。<br>「それで……その俳優さんが、何で陸上選手並みに走っていたんだ？」<br>「はい……」<br>　そう言うと、ドレスの女ではなく、短髪の青年が俺の問いに答え始めた。なるほど、確かにマネージャーのようだ。<br>「彼女、何か怖い夢を見たようで。先ほど急に叫び声を上げたんです。僕が見に行くと、急に部屋の扉をあけて出てきて、走り出しました。止めようとしましたが、私を殴って、そのまま向こうに走って行ってしまったんです。おそらく、パニックに陥っていたのでしょう」<br>　パニック、か……。<br>　俺は彼女の顔を見た。未だに長い前髪のせいで顔が隠れてしまっていて表情は読み取れないが、見たところ冷静そうだ。とても元パニック状態の人とは思えない。それにすれ違ったとき、あの時もパニックと言えるような状態には思えなかった。<br>　……俺の感性が狂っているのか？<br>「それで、あなたは？」<br>　マネージャーの神流崎京三郎衛門が振って来た話に、俺は現実に引き戻された。マネージャーは不思議そうな顔をして俺を見ており、川瀬佐重喜さんも俺を見上げていた。<br>「俺は……」<br>　……誰なんだ？<br>　誰だったか思い出せない。あの白いときから、ずっと思い出せない。<br>　……偽名か、偽名を使うべきなのか。<br>「な、七篠ジャックです」<br>「ジャックさんですか。面白い名前ですね」<br>「あはは、よく言われます」<br>　……やっちまったよ、俺。</p><br><p>⇒「Ｋ」 ～「ジンギスカン作戦」～</p>
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<link>https://ameblo.jp/roman813/entry-10204925534.html</link>
<pubDate>Sun, 08 Feb 2009 12:42:14 +0900</pubDate>
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<title>019 - 私のアンバランスな幸福・不幸〜バイザー〜</title>
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<![CDATA[ ８<br><br><br>そしてまた目が覚めた。<br><br>辺りはかわらず真っ白な世界・・・では無かった。<br><br><br><br><br>ここは、旅館の、前？<br><br><br>「山の上ホテル」と看板がたててある事から、ここは山の上ホテルだということが分かる。<br><br>―――さて、また突然の事だが、この状況をどうするべきか。<br>このまま様子を見るべきなのか・・・？<br><br><br>しかし俺は少々考えた後にホテルの中に入ろうと扉に向かった。<br><br>この奇妙な現象を説き明かす事が俺の記憶を取り戻す為には通らなければならない道だと感じたからだ。<br><br><br>それが茨の道か、三途の川か、そんな事はこの際どうでもいい。<br><br><br><br>しかし、俺が扉を開くよりも先に勢いよく扉が開いた。<br><br><br>中から真紅のドレスを纏ったロングヘアーの女性が出てきたのだ。<br><br>その女性の顔は髪に隠れて見えなかったが、なにやら急ぎの用事のようで、走りにくそうなドレスで颯爽と走って行った。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>そのロングヘアーや皮膚にまで及ぶ紅いドレスを靡かせて。<br><br>⇒「くゐーん」 ～「為替差益」～
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<link>https://ameblo.jp/roman813/entry-10204593431.html</link>
<pubDate>Sat, 07 Feb 2009 20:30:27 +0900</pubDate>
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<title>018-テレビ ～Ｋ～</title>
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<![CDATA[ <p><font size="2">　考えても考えても自分の名前を思い出せない。どんなに考えてもだ!!</font></p><p><font size="2">　仕方ない、とりあえず名前を思い出すのは諦めよう。</font></p><p><font size="2">　と、思っていたら白い空間に突如テレビが現れた。</font></p><p><font size="2">　レベルは32。（32型のことです。）</font></p><p><font size="2">　シルバーの服を着ている。（シルバー色をしているということです。）</font></p><p><font size="2">　こ、こいつは強い。倒せない。</font></p><p><font size="2">　私はテレビに降伏して、テレビさんのご機嫌伺いをする。</font></p><p><font size="2">「テレビさん、私は何をすればよろしいでしょうか？」</font></p><p><font size="2">「とりあえず私の電源を入れて、どこかのチャンネルの番組を見てくれ。そうでもしないと、私は暇でたまらん」</font></p><p><font size="2">　テレビさんに言われたとおりに電源を入れ、チャンネルを5に回した。</font></p><p><font size="2">　刑事ドラマが放送されていた。私は1度も見たことがないが、噂によると面白いドラマらしい。</font></p><p><font size="2">　出世に縁がなさそうな人が、</font></p><p><font size="2">「暇か？」</font></p><p><font size="2">と、高学歴のインテリ派と思われるメガネの人と、アウトドア派の好青年と思われる人に話しかけていた。</font></p><p><font size="2">　それに対し、アウトドア派の好青年と思われる人は、</font></p><p><font size="2">「暇だからここにいるんですよ！」</font></p><p><font size="2">と、答えると、出世に縁がなさそうな人がバツの悪そうな顔をして、部屋を出ていった。</font></p><p><font size="2">　その後、事件が起こり、それを高学歴のインテリ派と思われるメガネの人が解決して、番組は終わった。</font></p><p><font size="2">　うん、三すくみの会話劇などがあり、とても面白い番組だ。今度からは毎週見ることにしよう。まあ、今度があるかは知らないけどね。</font></p><p><font size="2">　と、そんなことを思っていたら睡魔が襲って来て、眠りについてしまった。</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2"><strong>⇒「バイザー」～「山の上ホテル」～</strong></font></p><p><font size="2"><br></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/roman813/entry-10202402193.html</link>
<pubDate>Tue, 03 Feb 2009 17:01:03 +0900</pubDate>
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<title>017 - ９，１０のプロセス　～バイザー～</title>
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<![CDATA[ <p>しかしそれと同時に私はサムライを突き飛ばす。</p><p>そして部屋の隅まで何とか逃げることができた。</p><br><br><br><p>私には分かる。こいつは私の味方ではない。</p><p>この部屋は組織との連絡のために音声が記録されるようになっている。</p><p>今の会話を聞いた組織は今、確実に私が「赤い何か」に取り付かれたと思っていることだろう。</p><br><br><br><p>───それが奴の、狙い・・・！！</p><br><p>あとは私を始末し、金華猫の秘密を明かすことが目的か。</p><p>それともほかに目的があるのか？</p><p>ただ、どちらにしろ奴が潜入捜査員か、あちらの住人であることは、レポートを見るより明らかであった。</p><br><p>「ふん、まだ抵抗するだけの力が残っていたか。」</p><br><p>そう言ったと同時にサムライはこちらに向かってくる。</p><p>距離は約９，１０メートル。</p><p>サムライはすでに剣を右手で構えている。</p><br><br><br><p>私はおもむろに懐の煌びやかに光るパイプを取り出し・・・・・・っと、右手は切られていたんだった。</p><p>気を取り直し、ライターで火をつけ、そして吸う。そこで、</p><br><p>「タバコぐらいゆっくりと吸わせてくれないか」</p><br><p>と私は試しに聞いてみる。</p><p>サムライは無表情のまま、</p><br><p>「俺も暇ではないんだ。」</p><br><p>などと言い捨てる。なんとも薄情な奴め。</p><p>そしてサムライはそのまま剣を振る。</p><br><p>ああ・・・。</p><br><p>なんでこんな・・・・・・・</p><br><br><br><br><br><br><br><p>なぜこんなに上手くいってしまうものなのか。</p><br><br><br><p>私は彼の剣をパイプで防御する。</p><p>それを無理やり跳ね除けようとする彼。</p><br><p>・・・・しかしなかなかパイプは斬れない。</p><p>苦悶する彼の表情がよく見て取れる。</p><br><br><p>「ダイヤモンド製。斬れないぞ。」</p><br><p>私のその言葉を聞き、サムライは剣をパイプから離し、間合いを取る。</p><p>そして約９，１０秒の沈黙・・・・・・・。</p><br><br><p>「・・・・・なぜだ・・・・・・・・・？」</p><br><p>彼は唖然とした顔でこちらを睨んでくる。</p><br><br><p>「なぜ斬った右手から血が出ない・・・・・・？」</p><br><p>彼のその言葉に私は答える。</p><br><br><br><br><p>「・・・・私も長い年月を生きたものだ。</p><p>実に８７年。その間に私も次第に衰えて行った。</p><p>そりゃあそうだ。老い、これは誰にも止められない、誰も回避することのできない。</p><p>生きる上での、枷・・・・・・・。</p><br><p>しかし私はその枷を見る前に一度生死をさまよってな。</p><p>なーに、アフリカへ旅行した際に地雷に引っかかってしまったのだよ。</p><p>両手両足を持っていかれ・・・・毎日のように悪夢を見たさ。</p><p>そして私は、生き延びるために、両手両足から枷という概念を捨てたのだ。</p><br><p>もうわかるだろう？</p><br><br><br><br><br><br><br><br><br><p>義手・義足なんだよ。この体は。」</p><br><p>私はサムライがあっけに取られている間、１秒あるかないか。その間に懐にもぐりこみ、パイプを目に向けて吹いた。</p><p>灰が飛ぶ。侍の目を闇へと導く。</p><br><p>「ぐっ・・・」</p><br><p>そして私はもっていたライターでモスコミュールのかかった彼の服に火をつけた。</p><br><br><br><br><p>　　　　　　　７</p><br><br><p>「痛・・・・・・・」</p><br><p>目覚めると俺は真っ白の場所にいた。</p><p>床はつるつるふかふか、略してつるふかの絨毯が敷いてあるような間隔。</p><p>誰かいないかと辺りを見回すが、人の気配は感じられない。</p><br><p>まったく・・・・・・・・</p><br><br><br><br><br><br><p>俺は誰だ?</p><br><br><br><br><br><p>⇒「Ｋ」　～「三すくみ」～</p>
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<link>https://ameblo.jp/roman813/entry-10200441247.html</link>
<pubDate>Fri, 30 Jan 2009 21:05:56 +0900</pubDate>
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<title>015 - 可能性その一、あなたは荒川と同じ運命をたどった　～くゐーん～</title>
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<![CDATA[ <p>「本来、荒川の位置には俺が居たからな」<br>「位置、だと？」<br>「あの赤いアレ、アレを削除するのは俺の仕事だ。たとえば……」<br>　そう言って、サムライは後ろに振り返った。と、同時に抜刀する。空を切り裂く音がし、その後を追うように湿った音が響く。<br>　サムライの目の前には、あの赤いスライム状の何かが落ちている。しかしそれは切れたままで修復されず、段々と固まっていった。<br>　俺のほうを振り向きながら、サムライは言う。<br>「この通りだ。こいつらは、今のところこいつでしか切れない」<br>「……何故その刀は、切れるのだ」<br>「こいつのおかげ」<br>　そう言うと、彼はヒュッと刀を振った。透明な液体が、刃先をつたい、宙へと散っていく。雫はそのまま床に落ち、瓦礫の上に染みを作った。<br>　何故だろう、その染みに対する恐怖感が浮かぶ。<br>　恐れに俺は、サムライの顔を見上げた。<br>「この液体が、こいつらを固形化させる」<br>「なんだ、それは」<br>「モスコミュール、というかアルコール全般だな。俺のは特別、モスコミュールだ」<br>　誇らしげな顔をするサムライを見て、俺は心底疲れた。<br>　先ほどまで必死で戦っていたあの赤い奴の弱点は、なんと手近なところにあるアルコールだった。それなら、すぐ側の冷蔵庫の中にたくさん入っている。それで戦えたはずなのに。<br>　……しかし、何故モスコミュールなんだ？<br>「それで、荒川が何か変なことを言っているのを聞かなかったか？」<br>「変なことだと」<br>「そう、変なこと。たとえば『ハイパーマグナムショッキングピンキレーザー』とか『エレクトリカルムサシソードセカンド』とか、やたらカタカナの多い言葉だな」<br>　……。<br>　センスが無い。<br>　俺は記憶の中を探った。あの青年が現れてから、ケータイに荒川からかかってきた。それに答えて、あの扉の前まで連れて行った。そこで二、三話をして……。<br>「……スーパー・エレクトリック・ディバイン・デストロイ-弐式改」<br>「愛も変わらず長ったらしい」<br>「この言葉がどうかしたのか？」<br>「館長さん、あなたも荒川と長いと聞いているが。だったら、あの男が何かするときに決まってやる癖、覚えてはいないか？」<br>　思い出す。<br>　そういえば、前に博物館の蔵書整理をしているとき、奇声を上げていた。絵をずらすとき、センスの無い技名を叫んでいた。<br>　そういえば、あいつは何かをするたびに叫ぶ癖があった。<br>　そういえば、そう思えてきた。<br>　そういえば、そうだったのだろう。<br>「そう、奴は何かをするたびに技名を叫ぶ。そして館長さん、あなたが来たとき荒川はいなかった。その代わりに居たのは赤い奴ら」<br>　サムライは、まるで推理ドラマかのように語りだす。<br>「赤い奴らは、その後俺が来た時、増殖しつつすらあった。そのことから、あなたは赤いのを殺せたわけではない。にもかかわらず、荒川のような結果にならないでここに存在している」<br>　そういえばそうだ。<br>　そういえば、何故俺はここに居るのだ？<br>　そういえば、荒川はどこに行ったのだ。<br>「それって、おかしくないか？」<br>　サムライの右手には、抜き身の刀。その刃先が、そっと俺の喉元に向けられた。<br>「合理的な説明。可能性一、あなたは荒川と同じ運命をたどった。可能性二、先天的に何らかの赤い奴らへの対抗を持っていた」<br>　しかし何故だろうか、俺はその刀に恐怖を覚えなかった。それどころか、それを得ようとすら思えてくる。<br>「非合理的な説明。可能性一、あなたは赤い奴らにとって見方だった。可能性二、あなたは最強だった」<br>　手を伸ばし……。<br>「答えは……可能性その一、あなたは荒川と同じ運命をたどった！」<br>　その手は、切り飛ばされた。</p><br><p>⇒「バイザー」～「つるふか～」～</p>
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<link>https://ameblo.jp/roman813/entry-10198534790.html</link>
<pubDate>Mon, 26 Jan 2009 23:13:40 +0900</pubDate>
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<title>015-敗北～Ｋ～</title>
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<![CDATA[ <p><font size="2">　そいつ、いや、「それ」はスライムのような半固体で、ルビーのような透き通った赤色をしていた。</font></p><p><font size="2">　私は目の前で起こっていることが信じられず、ただひたすら刹那の間も置かずに「それ」に攻撃を加えた。</font></p><p><font size="2">　攻撃。</font></p><p><font size="2">　攻撃。攻撃。</font></p><p><font size="2">　攻撃。攻撃。攻撃。</font></p><p><font size="2">　攻撃。攻撃。攻撃。攻撃。</font></p><p><font size="2">　攻撃。攻撃。攻撃。攻撃。攻撃。</font></p><p><font size="2">　しかし、「それ」は半固体の特性をうまく利用して衝撃を吸収してしまうので、まったくダメージを受けていない。逆に、攻撃している私のほうがダメージを受けている。</font></p><p><font size="2">　ついに、ダメージが私の体力を上回ってしまい、私はその場に倒れてしまった。</font></p><p><font size="2">　そこで、私の意識は途絶えた。</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2">　　　<strong>６</strong></font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2">　私が次に目覚めたとき、「それ」は私の前から姿を消していた。</font></p><p><font size="2">　窓からは日が射している。とても強い日射しだ。この窓は東向きなので、朝でないとこんなに強い日射しは入ってこない。なので、今が朝であることを理解する。</font></p><p><font size="2">　横たわっているのも何なので、とりあえず、体を起こそうとする。</font></p><p><font size="2">　そのとき、ふと後方から声を掛けられる。</font></p><p><font size="2">「大丈夫か？」</font></p><p><font size="2">　サムライだった。</font></p><p><font size="2">「ど、どうしておまえがここに!?」</font></p><p><font size="2">「そりゃ、荒川さんに呼ばれたからだ」</font></p><p><font size="2">「な、なに!?　それはいつだ!?」</font></p><p><font size="2">「あんたが荒川さんにやられたあとかな」</font></p><p><font size="2">「な、なぜおまえがそのことを知っている!?　答えろ!!」</font></p><p><font size="2">「う～ん、それはだな……」</font></p><p><font size="2">　サムライが一呼吸置いた後に言った言葉は、衝撃的なものだった。</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2"><strong>⇒「くゐーん」～「モスコミュール」～</strong></font></p>
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<link>https://ameblo.jp/roman813/entry-10197854180.html</link>
<pubDate>Sun, 25 Jan 2009 17:06:01 +0900</pubDate>
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