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<title>死んだ葉っぱの葬式</title>
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<description>音羽創による創作ブログ。気まぐれに更新します。お気軽に感想をいただけると嬉しいです。</description>
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<title>A half and a half 　六話</title>
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<![CDATA[ <p>暗い</p><br><p>暗い</p><br><p>暗い</p><br><p>出して</p><br><p>誰か</p><br><p>この世界から</p><br><p>出して</p><br><p>この世界を</p><br><p>壊して</p><br><p>「壊れろっ！！！」</p><p>悲鳴に近い声を上げて、らんすはベッドから飛び起きた。</p><p>部屋には、煌々と明かりが輝いている。</p><p>彼女は暗い場所が極端なほど苦手だ。そのため、眠るときでさえ明かりをつけていないと落ち着かないのだ。</p><p>額の汗をぬぐうと、落ち着け、落ち着け、大丈夫だ、暗くない、だから、怖くなんて無い、と何度も口の中で繰り返す。</p><p>「らんすちゃん、大丈夫か？」</p><p>ふと気づくと、ピエロが不安そうな表情（もっとも、表情全ては見えないので口元だけをみた印象だが）を浮かべて横に立っていた。</p><p>「怖い夢を見ただけだよ、昔の夢」</p><p>「その怖い夢が問題なんだろう。夢の中じゃ守ってやれないんだから」</p><p>その口調があんまりにも真剣なので、少しだけらんすは笑ってしまった。</p><p>心外だ、と言いたそうなので、ピエロに向かって手を伸ばした。</p><p>「怖いから寝るまでそこにいてね」</p><p>「それでいいのなら、そうするよ」</p><p>軽くピエロは手を握ってくれた。悪魔には人間と同じような体温がないせいか、ひんやりとしている。</p><p>それでも、昔から慣れ親しんだ感覚に、らんすは落ち着いて、また元のように眠ることが出来た。</p><p>ピエロは、彼女の寝顔を見ながらぼんやりとつぶやいた。</p><p>「まだ忘れられないんだなぁ。困ったもんだ」</p><br><p>「らんすちゃーん、おはよーござーいますっ♪」</p><p>明るいよく響く声でらんすは目を覚ました。</p><p>カーテンを引く音を寝ぼけた頭の端で認識する。</p><p>部屋の明るさは大して変わらないが、太陽の光がまぶしい気がした。</p><p>窓のところに、にこにこと笑いながら立っている女性が見えた。</p><p>ゆるくウェーブした髪を、ゴムでまとめてポニーテールにしている、ジーンズと白いシャツのよく似合う活発そうな人だった。</p><p>「おはよーございます…蓮華さん…」</p><p>吉祥蓮華（きっしょう　れんげ）。ルゥの知り合いの一人で、同居人のひとり。</p><p>家事が好きで世話好きのため、自然とみんなの母親代わりのようになっている人だ。</p><p>実際には彼女は結婚すらしていないので、以前らんすが「蓮華さんてお母さんみたい」と言ったら「独身女性にそういうこというかなぁ、らんすちゃんたらっ☆」と言われた。</p><p>「もぅ、皆ねぼすけさんばっかりねぇ。早く着替えて台所にいらっしゃいね。今アイザック君が、ダンテ君を起こしに行ってるから、皆そろってご飯にしましょーっ！」</p><p>「はぁい」</p><p>そのときだった、どこかの部屋から悲鳴が聞こえてきたのだ。</p><p>らんすの表情が、一瞬にして険しくなる。</p><p>「今のはっ…」</p><p>それに対して、蓮華の表情は先ほどと変わらない。</p><p>「アイザック君の声みたい」</p><p>「何かあったんじゃ…」</p><p>「何かあったんでしょうね、たぶんダンテ君が部屋にトラップでも仕掛けてたのよ。昨日私が箒でたたき起こしたら、怒って『絶対誰も部屋に入れなくしてやる』って言ってたから」</p><p>ぽかん、とした表情でらんすは固まった。</p><p>それは、完全にアイザックはとばっちりではないのだろうか。</p><p>「さぁ、らんすちゃんいつまでも布団に入ってないで。はやく支度してね」</p><p>蓮華の笑顔を見て、らんすは何も言わないことに決めた。</p><p>世の中には、あまり触れないほうがいい話題もある。これもそのひとつなのだ。</p><br><p>朝食の席で、明らかにアイザックは不機嫌そうにしていた。</p><p>当然だろう。善意から他人の手伝いをしたら、ひどい目にあったのだから。</p><p>「悪いなぁ、アイザック。まさかお前が来るなんて思わなかった…」</p><p>「あぁ、悪かったよ。本当に最悪だ。部屋に入った瞬間催涙ガスなんて物騒なものを吹きかけられるとは思ってなかったからな」</p><p>「こんなに上手くいくとは思わなかった。でもちょっと効き目が薄かったな」</p><p>「お前反省して無いだろう」</p><p>「らんすちゃんは今日一日どうやって過ごすの？」</p><p>諸悪の根源戸も言えるはずの、蓮華がのほほんとした声で聞いてくる。</p><p>いいのかなぁ、と思いつつもらんすはアイザックとダンテを気にしないようにして、今日は街を歩いてみます、と答えた。</p><p>まだ、この街に引っ越して日は経っていない。気になっていた店をめぐってみるのも楽しいだろう。</p><p>「それはいいわねー」</p><p>蓮華は無邪気な笑顔でそう言った。</p><br><p>夕方になって、屋敷へ戻った所、門のところに誰か立っているのにらんすは気づいた。</p><p>見慣れない男だった。少し癖のある黒い髪、黒いサングラスをかけているので目から表情は読めないが、少し微笑んでいるように見える。見たところ、30歳には届いていないようだ。</p><p>何をするでもなく、門の前のところに立っていて、らんすはちょっと気味が悪い、と思ってしまった。</p><p>早く通り過ぎよう。</p><p>そもそも、知らない人というのは苦手なのだ。</p><p>らんすが男の横を通り過ぎようとしたそのときだった。</p><p>「こんにちは」</p><p>柔らかで、穏やかな声がした。どこか、ルゥの声と雰囲気が似ている。</p><p>その声がその男のものだということに気づくのに、時間は要らなかった。</p><p>そこで、無視して通り過ぎればよかったのだが、その声には穏やかながらも「答えないことを許さない」といった種類の、圧倒的な響きがあった。</p><p>らんすはおそるおそる男のほうを見ながら答える。</p><p>「こん…にちは」</p><p>「呼び止めちゃってごめんね？急いでたかな？」</p><p>そう言いながら、男はらんすの目の前までやってきて、視線を合わせるように軽くしゃがんだ。</p><p>「大丈夫…」</p><p>「そう、よかった。君はそこの家のお嬢さんかな？」</p><p>「何だ、お前は」</p><p>男の声に、ピエロが現れて答える。自分の視界の端に、いつもの黒い影が入ったことで、らんすは少しばかりほっとした。</p><p>「あれ？悪魔だ。君、悪魔使いなの？小さいのにすごいねぇ」</p><p>男は、ピエロが突然現れたことにもまったく動じず、むしろ楽しそうにそう言った。</p><p>逆にピエロのほうが、こんな反応をされたことに少し動揺しているようである。</p><p>「別に誘拐とかじゃないよ。ちょっと頼みたいことがあっただけ。そうだね…名前も名乗らないのは僕としたことがちょっと失礼だったかなぁ。僕は月船。月船歪（つきふね　ひずみ）。…君は？」</p><p>「桐江…らんす」</p><p>「キリエ？」</p><p>月船はちょっと不思議そうに首をかしげた。</p><p>どうしたのだろう、とらんすが怪訝そうに眺めると、なんでもないよ、という風に手を振る。</p><p>「気にしないで。それより、ちょっと伝言を頼んでもらっていい？」</p><p>「誰に？」</p><p>「君たちが“ルゥ”と呼んでいる者に。僕の名前を出せばすぐにわかってくれるだろう」</p><p>「伝言は？」</p><p>「『僕の準備は整った』これでわかるよ。彼はとても賢明だから」</p><p>「わかった、じゃあ。これで」</p><p>らんすは、それだけ言ってくるりと踵を返し走り出した。早くここから立ち去りたかった。用事を受けたのも、話を長引かせたく無かったからに過ぎない。</p><p>「どーしたんだ？らんすちゃん」</p><p>ピエロが、不思議そうに尋ねる。</p><p>「あの人、何か怖い」</p><p>らんすは、少し震えた声で言った。</p><br><p>「ふーん、悪魔使いの癖に『キリエ』…ね。皮肉というかなんと言うか」</p><p>くすくす、と笑いながら月船は少女の後姿を見送る。</p><p>月が輝き始めた夕方のことだった。</p><br><p>続く</p><br><p>注：キリエ…キリスト教の礼拝における祈りのひとつ</p>
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<link>https://ameblo.jp/romantic-pierrot/entry-10081729482.html</link>
<pubDate>Wed, 26 Mar 2008 16:57:00 +0900</pubDate>
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<title>A half and a half 　設定メモ</title>
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<![CDATA[ <p>しばらくの間話を進めていけたら、と思う「A half and a half」。</p><p>上手くストーリーの中で出していければいいのですが、なかなか上手く説明できていない設定もありますので、登場人物紹介も兼ねて設定説明をさせていただきますね。</p><br><p><font color="#ff0000">世界</font></p><p>科学と、悪魔や妖精などの存在が共存している世界。</p><p>科学技術は、車や飛行機がそこそこ普及してきているレベル。ただし、地域による発展の差は少ないようである。</p><p>貴族制の残っている地域もあり、未だに「家」が大きな力を持つ場合も多い。</p><br><p><font color="#ff0000">桐江らんす</font></p><p>性別：女</p><p>年齢：14歳</p><p>職業：悪魔使い（パートナー：ピエロ）</p><p>肩口くらいまでの赤い髪に、大きな骸骨のヘアアクセサリー。髪の色は、染めてあります。</p><p>年齢に比べて小柄。ダガーを使って戦う。<br>両親共に不在で、ピエロを親代わりとして育っている。</p><p>人懐っこい性格をしているようだが、実は人見知りで、かなりの人間嫌いである。<br></p><p><font color="#ff0000">アイザック・J・ルディック</font></p><p>性別：男</p><p>年齢：18歳</p><p>職業：悪魔使い（パートナー：カース）</p><p>悪魔使いの家系である、ルディック家の直系。</p><p>青い瞳に、金髪。</p><p>時期当主候補で悪魔使いとしての勉強もしてきたが、それらのことに疑問を覚え、現在家出中。</p><p>比較的常識的な性格をしており、周りの人間の行動に呆れていることが多い。<br></p><p><font color="#ff0000">ダンテ・デクスター</font></p><p>性別：男</p><p>年齢：23歳</p><p>職業：“自称”天才科学者</p><p>色素の薄い金髪に深い緑の目。常に眠そうな表情をしている上、ぱっと見はとても不健康そうに見える。</p><p>研究など、何かに没頭しているときは寝食などの基本的な生活習慣を忘れることもある。</p><p>面倒くさがりであるが、世話焼きな性格をしているらしく、らんすやアイザックを気遣ったりすることも少なくない。</p><br><p><font color="#ff0000">ピエロ</font></p><p>性別：男</p><p>種族：悪魔</p><p>悪魔の中でも高位に位置する、「六百六十六の悪夢」として名高い悪魔</p><p>人の姿とほとんど変わらないが、表情が帽子と髪に隠れて口元以外見えず、表情がいまいち読めない。</p><p>性格はいい加減で、「楽しければそれでいい」という主義の持ち主。</p><p>人が争いごとをしているのを見るのが好きだが、らんすが巻き込まれる場合は例外。</p><br><p><font color="#ff0000">カース</font></p><p>性別：男</p><p>種族：悪魔</p><p>ルディック家と契約をした悪魔。現在はアイザックのパートナーとして行動している。</p><p>ピエロと比べて悪魔の中での位置づけは低く、年齢もずっと若いようである。</p><p>比較的冷静な性格をしているが、どこか天然めいた発言をすることもある。苦労人。<br>目下の悩みは、アイザックと現当主の親子喧嘩をどうするか。<br></p><p><font color="#ff0000">ルゥ（本名不明）</font></p><p>性別：男</p><p>種族：不明（人間で無いのは確か）</p><p>笑顔の印象的な、やわらかい栗色の髪を持つ人。</p><p>やや独断で物事を進めることが多いものの、人をひきつける魅力を持っており、らんす達のように彼を尊敬し、慕っている者は少なくない。<br>ピエロとは旧知の仲。<br></p><p>ノートに話を考えていた時に書いた登場人物のイラスト。上かららんす、アイザック、ダンテ。</p><p>実はらんすが一番描きづらいです。キャラクターとしては結構長い付き合いになるのに…<br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/57/de/10055102489.jpg" target="_blank"><img height="144" alt="らんす" src="https://stat.ameba.jp/user_images/57/de/10055102489_s.jpg" width="176" border="0"></a><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/a6/4a/10055102574.jpg" target="_blank"><img height="144" alt="アイザック" src="https://stat.ameba.jp/user_images/a6/4a/10055102574_s.jpg" width="176" border="0"></a><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/6f/85/10055102575.jpg" target="_blank"><img height="144" alt="ダンテ兄さん" src="https://stat.ameba.jp/user_images/6f/85/10055102575_s.jpg" width="176" border="0"></a><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/romantic-pierrot/entry-10081198840.html</link>
<pubDate>Mon, 24 Mar 2008 21:03:43 +0900</pubDate>
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<title>A half and a half 　五話</title>
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<![CDATA[ <p>「馬鹿みたいだなぁ」</p><p>アイザックはつぶやいた。わかっているのだ。</p><p>彼はらんすを嫌っているわけではない、妬ましかったのだ。</p><p>他人に認められる存在価値を自分の力で手にしている彼女が、暗い過去を見せない強い彼女が。</p><p>自分は、家名以外に存在を主張できるものも持ってないし、過去どころか自分の現在にも負けそうだから。</p><p>だが、こうしていても何も変わってくれない。</p><p>「カース」</p><p>「何だ」</p><p>それまで静かに控えていたカースが大きくは無いがよく通る声で答えた。</p><p>「俺たちの担当の分は喋れるように残しておくぞ。桐江は完璧に気絶させていってるし、ダンテだってあんなの使っちゃ大変なことになるのは目に見えてる」</p><p>それを聞いてカースは、アイザックに分からないように少しだけ笑った。彼らしいな、と思ったのだ。</p><p>「はいはい」</p><p>「……行くぞ」</p><p>ちゃらり、と音をさせてアイザックが取り出したのは、一見ロザリオのようにも見える、凝った細工の飾りだった。</p><p>細工の部分がところどころナイフのように磨き上げられていて、手にしっかりとそれを持ったアイザックがくるりくるりとそれを振り回すたび、周りの草花がしゃきん、しゃきんと斬られていく。</p><p>「でも、目くらいはつぶしても構わないぞ？手加減は面倒だし」</p><br><p>「にだいぶーん！」</p><p>楽しそうにらんすが叫んだ。</p><p>「俺も終了。案外手ごたえ無いのな」</p><p>その横でダンテもよしよし、とあやしながらジャンビーヤを抱えあげる。いいストレス解消になったらしく、ジャンビーヤは満足そうだ。</p><p>二人の足元にはうめき声をあげていたり、気絶してたりする人々。</p><p>やりすぎだよ、とアイザックはため息をついた。つまりは、相手が拳を固めた瞬間に全力で殴りかかるような人間だということなのだ、この二人は。</p><p>「カース、喋れるようにはしているな？」</p><p>「とりあえず」</p><p>ダンテの車に乗せてあった（何のためにかは不明だが）ガムテープでぐるぐるに巻かれたアイザックとカースの担当の分の人たちは、ぎくっとしたように彼らのほうを見た。</p><p>「拷問でもするのか？」</p><p>「お前じゃあるまいし人聞きの悪い。こういう時って、何か黒幕チックなやつがいるんじゃないのか？名前を言わせようと思って」</p><p>「卑劣だねアイザック！」</p><p>「うるさいっ！」</p><p>漫才をはじめてしまった彼らを横目に見ながら、カースは呆れていた。</p><p>一番思いやりというものを持っているのは、ひょっとしたら自分なのだろうか？そんな世の中は悲しすぎると思う。</p><p>「お前らも大変なのだろうなぁ」</p><p>自分がぐるぐる巻きにしておきながら、カースは彼らに同情の眼を向けた。</p><p>「いや、俺だって別にアイザックと一緒にいるのは構わないのだ。だがなぁ、時々俺は実は悪魔に向いてないんじゃないのかと時々思うんだよ……」</p><p>いや別に頭首殿に不満があるわけでもないし、とカースの愚痴は延々と続く。普段はおとなしい彼だが、それなりにストレスはたまっているらしい。</p><p>「でも俺は何だかんだ言っても、アイザックのことが大切なのだ。だから」</p><p>そこまで言うとしゃきんっ、と見た目で唯一人間とかけ離れた部分である真っ黒なかぎ爪を光らせた。</p><p>「アイザックの命令があればおまえらをばらばらにすることも厭わん」</p><p>目が本気だった。</p><p>カースの今までの独白を脅しと判断したらしく、彼らはてんでばらばらに話を始めた。</p><p>「おっ…おまえらどうしたのだ突然！？」</p><p>「おー、カース流石は知能犯だな、油断させておいて一気に脅す！えげつないえげつない」</p><p>慌てるカースの横でピエロが感心したようにうなずく。</p><p>「はっ！？何を言っているんだピエロ！？」</p><p>後ろではまだ三人の漫才が続いていた。</p><p>「分かってないとはよりえげつない。それよりこいつらの話ちゃんと聞いとけよ、あとでらんすちゃんたちに説明しないと」</p><br><p>結局、全員揃っての話が再開したのが約10分後。</p><p>ピエロとカースが根気強く（主にカースが）聞いた話をまとめると。</p><p>『ダンテ・デクスターは兵器を他国に輸出して戦争を起こそうとしている』という情報があり、兵器の回収を目的として動いたということ。</p><p>当然のことながらダンテは「そんなめんどくせーうえに意味の無いことするか阿呆！俺は平和主義なんだ！」とキレた。前半部はともかく、後半部はいかんせん信じがたい。</p><p>その上殴りかかったものだから、それを止めるまでにもう一騒動起こったのは、今回の話にしてみれば些細なことである。</p><p>とりあえず、その後は特に何事も無く、彼らは無事に目的地へたどり着いたのである。</p><br><p>「ねぇ、あなたは何をしたかったの？あなたならあんな兵器奪っても奪わなくても同じじゃない？わざわざあんなデマを流して」</p><p>栗色のふわふわした髪を持つ人形のように綺麗で、同時にひどく無機物的な少女は、鏡に向かって話しかけた。</p><p>当然彼女以外のものなど部屋の風景以外に移っていないはずだ。</p><p>が、数秒の後に、鏡の中から、まるでそこが窓だったとでもいうように、ぬらり、と男がひとり飛び出してきた。</p><p>二十代後半、といったところの少し癖のある黒髪をした男だ。</p><p>神経質な芸術家を思わせる顔つきをしていて、目には鋭い光が見えた。</p><p>ただし、それは左目のみだが。</p><p>彼の右目の部分は、抉り取られたかのように空洞になっている。その空洞は、陶器の人形の顔が欠けたような、非人間的なものだった。</p><p>少女は男に驚いた様子も無く、平然としている。</p><p>「別に。暇つぶしだよ。あえて言うなら、向こうの出方を見てみようかなぁと思ったくらいだ」</p><p>「向こう？」</p><p>「また教えるよ」</p><p>「いつもそれ」</p><p>少女はすねたように言った。男の姿はいつの間にか消えていた。</p><br><p>「おっかえりー。遅かったねー」</p><p>ある意味勝手なことを言って、ルゥが無事にたどり着いた彼らを笑顔で迎えた。</p><p>「ひさしぶりだね、ダンテ君。背伸びた？」</p><p>「いつまで子ども扱いですか。前にあったときにすでに俺成人してましたよ。さすがにもうそんなに変化しませんよ」</p><p>「そーかなー？まぁいっか。荷物は適当な部屋に置くといいよ」</p><p>どうやら、これで二人の役目は無事に終わったらしい。</p><p>「それじゃ、俺らは帰るか、桐江」「そだね」</p><p>二人が顔を見合わせたそのとき、不思議そうな顔をしてルゥが言った。</p><p>「何言ってるの？らんすもアイザックもしばらくここに住んでもらうつもりだよ？」</p><p>『は？』</p><p>全員が奇妙な声を出した。確かにルゥの屋敷は大きいから、この人数が全員住んでも部屋数が余って困るほどだが。いや、その前に唐突過ぎる。</p><p>「いや、そもそも挨拶的な意味もこめて二人にはダンテ君を迎えに行ってもらったんだけどね、これから同居人になるから。アイザックも家出してから住むとこ困ってるでしょー？らんすはまぁ、もともと家族に近いし。言ってなかったっけ？」</p><p>「聞いてないですよ！」</p><p>「ちょっと待て、ルゥ、そんな話俺だってきいてねーぞ！？」</p><p>「ピエロにも言ってないから当然じゃないか」</p><p>しれっとした顔で言われたものだから、逆に腹がたったらしく、だんだんとピエロの語調が荒くなってくる。</p><p>「ふざけるな、貴様、いつもいつもお前はそうだ、俺に何も言わず話を進める！だいたい分かってるのか、らんすとこいつらが一緒に暮らす！？らんすに何かあったらどうするというんだ貴様はっ！」</p><p>どうやら、微妙に本性が出ているようだ。いつもの軽さがなくなってきている。言っていることは普段と変わらないが。</p><p>それにしてもアイザックやダンテとしては「失礼な」としか言いようが無い話だ。</p><p>「君、いいお父さんになったねぇ、らんすの結婚式では号泣するんじゃない？大丈夫？」</p><p>「話をそらすな！そもそも誰にも嫁になんぞやるか！」</p><p>「何か起こらないようにらんすを守るのが君の仕事でしょ？」</p><p>「うっ……」</p><p>お見事、と後ろで他のメンバーが手を叩く。</p><p>「あくまでらんすとアイザックとダンテ君がよければ、だけどね。この話は」</p><p>「いいですよ」</p><p>「私もー」</p><p>「構いません」</p><p>三人が同時に返事をした。</p><p>こうなったら、ピエロには否定することはできない。</p><p>その代わり、彼はこっそりと目の前の昔なじみに聞いた。</p><p>「お前、何考えてるのー？」</p><p>ひみつ、と彼は笑って答えた。</p><br><p>一部、完</p>
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<link>https://ameblo.jp/romantic-pierrot/entry-10081526263.html</link>
<pubDate>Fri, 21 Mar 2008 18:19:01 +0900</pubDate>
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<title>A half and a half 　四話</title>
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<![CDATA[ <p>大通りを、派手なスピードを出して銀色の車が文字通り突っ切っていく。</p><p>当然ながら、ダンテの運転する車だ。</p><p>確かに、自分から「上手い」というだけあって、確かに事故は起こさない。</p><p>ただし、周りの車が危険を感じて避けていってくれるからなのだが。</p><p>おまけに、車の屋根の上にピエロが座っているのが状況を余計ひどくしている。</p><p>当の本人は、周りの驚きなどお構い無しに楽しんでいるようだが。</p><p>「ひひひ、いやぁ、風が気持ちいいねぇ。らんすちゃんも後で登ってみるといい、抱えといてやるから」</p><p>屋根をすり抜けて、車の中に頭だけ覗かせて、ピエロが話しかけてくる。</p><p>この状況に動じず運転しているダンテは、確かに天才なのかもしれないとアイザックは助手席で呆れた。</p><p>「楽しそうだね～」</p><p>「やめとけよ、桐江。髪が乱れるだけならまだしも、下手すると呼吸できなくなるぞ」</p><p>「そうなの？じゃあやめとく」</p><p>「それにしても案外平和なもんだ。さすがにやつらも諦めてくれたみたいだな」</p><p>「いや、お前の運転が危なくて近寄れないんだろ」</p><p>言うなれば車の形の弾丸が走ってるようなものだ。</p><p>さすがに、弾丸を止めにくる無謀な者はいないらしい。</p><p>おそらく、何か危険が及ぶとしたら車を止めたときだろう。</p><p>車は大通りを抜け、街を出た。</p><p>「街を抜けても懲りずについてくる車が5台～。思ったより少ねぇのな。俺とらんすちゃんで3台、アイザックとカースで2台ってとこだな」</p><p>ピエロが再び車の中に首を突っ込んできた（首だけが覗いているので、気味が悪いことこの上ない、後ろの車からはどう見えているのだろうか）</p><p>「俺にも1台」</p><p>ダンテが楽しそうにけらけら笑いながら言った。</p><p>「ん？大丈夫なのか？」</p><p>意外だ、と言いたげにピエロがダンテの方に顔を向ける。</p><p>「偶然出来たものとはいえ、人の研究成果を奪おうなんてふざけた考えの奴らは研究の実験台になってもらってもいいよなぁ、と思って」</p><p>「なぁるほど、そりゃあ楽しそうだ」</p><p>ふっふっふっふっふ、とダンテとピエロは顔を見合わせて楽しそうに笑った。</p><p>…どうやらこの二人は、根本的なところで似通っているのかもしれない。</p><p>「死人が出なきゃいいがなぁ…」</p><p>カースが不吉なことを口走った。もちろん、相手のほうに、ということだろう。</p><p>「じゃ、人通りもなくなってきたし、そろそろ車止めるかー！」</p><p>「そうしよーぅ！」</p><p>「お前ら、遠足気分だろ…」</p><br><p>ぎゅるぎゅる、と不吉な音を立てて道の端に車が止り、三人の人影が車から出て行くのを車に乗っていた男たちは見た。人通りがほとんど途絶えた道。ここならこちらとしても好都合だ。</p><p>目的の人物に、子供がふたり。もう二人いたはずだが、どうしたのだろう。</p><p>三人に逃げる様子が無いのを見て、男たちは車から降りた。</p><p>彼らの元に、赤い髪の小柄な少女が駆け寄る。</p><p>短く切った赤い髪に、大きな骸骨のヘアアクセサリー。赤と黒を基調にしたミニスカートにブーツのパンク・ファッション。</p><p>どこかのバンドのファッションを真似ているのかもしれない。</p><p>瞳は大きく、力強い。</p><p>「ねぇ、おじさんたち誰？」</p><p>彼女が無邪気に尋ねる。</p><p>ダンテ・デクスターにこんな知り合いや家族はいなかったはずだ（そもそも彼は家族と縁を切っている）。しかし、一緒にいたところを見ると、一応は彼の信頼している知り合いなのだろう。</p><p>この子供は、使えるのではないか、そう判断して、なるべく警戒心を与えないように振舞う。</p><p>「ダンテさんの武器が欲しいんでしょ？」</p><p>「そう、デクスターさんの持っている兵器があれば、この国の平和を守ることが出来るんだよ」</p><p>「あー、わかった！おじさんたちコッカケンリョクってやつだよね？国の平和を守るってことは！」</p><p>「そうだね」</p><p>「へー、私、国家権力って大っ嫌い」</p><p>彼女は笑顔のまま、そう言いきった。</p><p>「あなたたちは私を助けてはくれなかったもの。六百六十六の日が経ってもね。あなたたちには何も守れない」</p><p>「そりゃそうさ、らんすちゃん、人間ごときに期待するのはお互いに酷ってもんさ」</p><p>少女の後ろに、青年の姿が唐突に現れた。</p><p>「その点で悪魔は人間よりずっと優しいし優秀だろう？」</p><p>「そうだねー。それにしてもダンテさんすごいね、国家から狙われてるって、かーっこいいっ！」</p><p>「そーだなー、まぁ、天才って名乗ったのも伊達じゃないってかー」</p><p>楽しそうに後ろの青年と顔を見合わせて話をしていた少女は、再びこっちを見た。</p><p>「名乗り遅れました。悪魔使いの桐江らんすと、『六百六十六の悪夢』、使い魔のピエロです」</p><p>少女の口元は笑っていたが、目はまったく笑っていなかった。</p><p>「ダンテさんを守らなきゃいけないんだ。手加減するつもりだけど、うっかり殺しても怒らないでね？」</p><p>がちゃり、と音が鳴った。いつの間にか、彼女の手にはダガーが握られている。</p><p>ブーツの辺りにでも仕込んでいたのだろう。</p><p>少女と悪魔の笑顔が、フィルムを重ねたようにダブった。</p><br><p>「桐江はすぐに突っ走る……」</p><p>アイザックがため息をついたのを見てダンテがからからと笑う。</p><p>「積極的でいいじゃないか。おとなしい女の子よりは積極的なほうが俺は好みだけどね」</p><p>「お前の好みはどうでもいいっ、ていうかそういう状況じゃないだろ」</p><p>「まぁ、それはいいとして、アイザックは俺を守ってくれないの？」</p><p>「自分の身くらい守れないのか？自分に一台分回せとか言ってたくせに」</p><p>「できるよ。言ってみただけ」</p><p>「何でルゥさんがわざわざお前の警護を頼んだのか分からない」</p><p>「さぁ？あの人念には念を入れるタイプだから。よし、じゃ、俺もやるかな。アイザック。足元気ぃつけろ」</p><p>はぁ？と妙な声を出してアイザックは足元に目をやった。</p><p>イグアナみたいな生き物がそこにいた。</p><p>「うっわ……何だ」</p><p>「生物兵器その２－。名前はジャンビーヤ。いい子だけど強暴で人間の足くらいなら噛み千切れるから」</p><p>ぐっぱー、とイグアナもどきが口を開ける。ずらりと並んだ犬歯！</p><p>困ったことに、ダンテの言っていることは冗談ではないらしい。</p><p>「何やってるんだよお前は！こんなもの作って何を目指してるんだよ！」</p><p>「……神だ！」</p><p>「言い切った！」</p><p>「俺がすばらしいのはいいとして、早く行かないとらんすが全部倒しちまいそうだ。強いねぇ、ほら、またひとり倒れた」</p><p>「そりゃああいつは悪魔使いとして天才だからさ」</p><p>アイザックが呆れたように言った。</p><p>そう、彼女の強さは素質的なものだ。まだ幼いと言うのに高位の悪魔を道具や術に頼ることなく苦も無く使って、多くの同類に認められている。「家」の都合でなんとなく悪魔使いになってしまった自分とは違うのだ。</p><p>「そりゃ違うだろ」</p><p>ダンテがさらり、と口を挟む。アイザックが彼を見ると、今までと変わらない、どこか眠そうな顔で彼は話を続けた。</p><p>「努力に見合った結果を完璧に引き出せるのが天才って言うんじゃねぇの？努力も苦労も苦悩もないのは天才って言うより、単なる怠け者だ。聞けば、悪魔との契約にはリスクを伴うそうじゃないか。らんすも危険を冒して、苦労したからこそ今の『天才』と称される彼女があるんじゃないのか？」</p><p>それから彼はにやりと笑って、「じゃあ俺も喧嘩に参加しよっと」と言って笑った。</p><br><p>続く</p><br>
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<link>https://ameblo.jp/romantic-pierrot/entry-10080679001.html</link>
<pubDate>Wed, 19 Mar 2008 22:16:15 +0900</pubDate>
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<title>A half and a half 　三話</title>
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<![CDATA[ <p>人がいるのならば、外見ほど中身はひどくないかもしれないと考えていたが、まったくの見当はずれだった。</p><p>見た目と同じく、中身もひどい。</p><p>ところどころの床板は抜け落ちているし、ガラスが割れているものも少なくない。</p><p>実年齢よりずっと小柄ならんすの体重でさえ時々床を踏み抜いてしまうような状態だ。</p><p>さっきらんすは本当に床を踏み抜いたので、今はピエロが抱えて歩いている。</p><p>本人は「子供じゃないんだからいい」と拒否したが、「今回はよかったけど、うっかり転んで顔に傷でもつけたらどうするんだ！女の子なのに！」とピエロが叫んで、無理やり抱えあげていた。</p><p>成人男性の平均より少し細いだろうか、くらいの体格のはずのピエロが特に危険も無く歩みを進めているのは、彼が地面を歩かず、軽く浮いて進んでいるからだ。</p><p>普段は人間と同じように歩くこともしているから、自分で自由に変化させられるらしい。</p><p>カースも、服のすそに隠れて分からないが、おそらくは同じ状態なのだろう。</p><p>悪魔は案外便利な存在のようだ。</p><p>先ほどカースは「運ぼうか」と言いたげな視線をアイザックに送ってきたが、「余計な心配はしなくていいからな」とアイザックに言われていた。</p><p>基本的に、カースはアイザックの意思に反することはしない。</p><p>「あ、ここだよね、さっきの爆発のあった部屋」</p><p>らんすがドアのひとつを指差す。なるほど、他のものより若干ドアの損傷が激しい。</p><p>「開けるね」</p><p>ピエロが彼女を床におろし、そのまま彼女は何のためらいもなくドアを開ける。</p><p>「無鉄砲な…」</p><p>「何か言った？アイザック？」</p><p>「何でも」</p><p>怖いとか、危険かもしれないと疑うとかないんだろか。ないんだろうなぁ。</p><p>ドアを開くと、まだ爆発の後の煙が少し残っていた。</p><p>喫煙者が集まった部屋の中みたいになっている。</p><p>少し見えにくいが、人が何人か床に倒れているのが見える。</p><p>「まさか、倒れてる人の中にいるんじゃ……」</p><p>らんすが慌てて部屋の中に入った瞬間だった。</p><p>開いたドアのすぐ横、死角になる部分から、手が飛び出し、らんすを捕まえた。</p><p>「ひゃぁっ！？」</p><p>「らんすちゃん！！」ピエロが慌てて部屋に飛び込む。</p><p>アイザックとカースにも緊張が走った。</p><p>ひょっとしたら、さっそくトラブルの巻き添えを食ってしまうのかもしれない。</p><p>全員がいっせいにらんすを捕らえた人物を見た。</p><p>「何だ？あんたら？まぁた俺になんか用事のあるやつらか？」</p><p>まだ若い男性だ。20歳を少し過ぎた、といったところだろう。</p><p>後ろでひとつにまとめた色素の薄い金髪に、どこか眠そうな深い緑の瞳。</p><p>白衣をコートのように着こなしている。</p><p>肌の色が病的に白く（たぶん、太陽にしばらく当たってないと思われる）、おまけに線が細いのでとても不健康そうに見える。</p><p>全員が彼の顔を知っていた。</p><p>彼が、目的の人物、ダンテ・デクスターだ。</p><p>「ダンテ……、ダンテ・デクスターさん？」</p><p>らんすがおそるおそる聞く。男はめんどくさそうにあくびをして答える。</p><p>「そうだけどー？あんたらは何」</p><p>「ルゥさんに頼まれて、あなたを迎えに来た」</p><p>ダンテは「あぁー」と奇妙な声を出す。</p><p>「別にいいって言ったのになぁ。まぁ、そういうところがあの人のいいところなんだけど。ルゥさんの知り合いならまぁ、悪いやつじゃないだろうな。悪いね、お嬢ちゃん、びっくりしたろ」</p><p>ようやく手を離してもらえたらんすは、ちょっとためらった後、ピエロのところへ駆け寄った。</p><p>「それにしても四人、ね。大掛かりなもんだ。でも足音は一人分しか聞こえなかったんだけどな」</p><p>「あんな危険な床、家のかわいーらんすちゃんに歩かせられませんからっ」</p><p>ピエロの口調には、微妙に敵意が含まれている。</p><p>おそらく、らんすがつかまったのか気に入らなかったのだろう。</p><p>気にした様子も無く、ダンテは話を進める。</p><p>「お嬢ちゃんは『らんす』ね。苗字？名前？」</p><p>「名前です。苗字は桐江」</p><p>「桐江らんすね、OK、覚えた。で、そっちの坊ちゃんと兄さんたちは？」</p><p>「アイザック・J・ルディック。こっちはカース、悪魔だ」</p><p>「えっと、こっちはピエロ。彼も悪魔です」</p><p>どうやらピエロは自分から名乗ることはする気はないらしい。</p><p>らんすが気を使って、少しためらうようにして言った。</p><p>「おっ、悪魔。初めて見た。あとらんす、別に敬語使わなくていいよ。そういうの気にしないから」</p><p>「はい……じゃないや。うん」</p><p>「悪魔ってことは人間みたいに歩かなくても移動できるってことか？だから足音が無かった、と。面白いねぇ。まっ、話はここらにしようか、さっさと出かけようぜ？時は金なり、ってね」</p><p>ダンテは後ろにおいてあったらしいトランクを手に取る。</p><p>「その前に……ひとつ聞いていいか？」</p><p>アイザックが恐る恐る口を挟んだ。</p><p>「ん？いいけど」</p><p>「そこに倒れてる奴らはなんだ？何が起こった？」</p><p>そう、さらっと何事も無かったかのように話をしていたが、この状況はどう考えても普通ではない。</p><p>「質問が二つだな。まぁいいや、簡潔に答えよう。こいつらは俺の研究を狙ってきたので、正当防衛で気絶させた」</p><p>「研究？科学者なの？ダンテさん」</p><p>「惜しい！『天才』科学者だ」</p><p>また『天才』。自分から天才とか言うやつに絶対にろくなやつはいない、とアイザックは軽くため息をつく。</p><p>対照的にらんすは「天才なの？すっごーい」と軽く感動している。</p><p>「研究狙われてるって何作ってたんだよ……」</p><p>「んー？生物兵器？」</p><p>「何で疑問系なんだよっ！物騒なもの作りやがって」</p><p>「だって偶然出来ちゃったんだもん♪」</p><p>「『出来ちゃったんだもん♪』じゃねぇだろぉぉぉ…・・・」</p><p>アイザックはいらいらと叫び声を上げる。駄目だ、この中でまともな人間は自分ひとりだ。</p><p>らんすはぼけっぱなしだし、カースはそもそも大してしゃべらないし、ピエロは何か不機嫌だし。</p><p>「大丈夫大丈夫、細菌っていうかそういう感じのだけど、きちんと厳重に保管してあるから今は安全だ」</p><p>「当然だ！」</p><p>「ここ最近どっから情報が漏れてるのか、こういうやつらばっかりくるもんだから、さすがにやばいなぁ、と思ってたらルゥさんが何とかしてくれるって言うのでそっちへ行くわけなんだけど。あ、ところでここまで列車で来た？」</p><p>「あぁ、そうだけどそれが何か！？」</p><p>「帰りは乗客巻き込んだりしたら大変だから車で行こう。裏にあるから」</p><p>窓の外を指で示す。なるほど、鈍い銀色の車が止めてある。</p><p>ただしよく言えばクラッシックカー、悪く言えば廃車寸前の車であるが。</p><p>らんすが小柄であるから、5人乗れないことも無いだろう。</p><p>いざとなったら、ピエロかカースに屋根の上にでも座ってもらえばいい。</p><p>「ダンテさん運転するんだ？」</p><p>「できるよー。無免許だけど」</p><p>「は！？」</p><p>アイザックの顔が一瞬にして青ざめる。</p><p>「大丈夫大丈夫。俺運転上手いから。アイザックは心配性か？」</p><p>「そういう問題じゃない！」</p><p>「平気だから。さぁ、行こう」</p><p>ダンテはにんまりと笑った。アイザックは、今更ながらこの用事を引き受けたことを後悔していた。</p><p>やっぱり、桐江に任せればよかった！！</p><br><p>つづく</p>
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<link>https://ameblo.jp/romantic-pierrot/entry-10080379051.html</link>
<pubDate>Mon, 17 Mar 2008 11:15:16 +0900</pubDate>
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<title>A half and a half 　二話</title>
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<![CDATA[ <p>ルゥ。謎が多すぎるのが難点な、彼らの尊敬すべき知り合い。</p><p>いつも笑顔を絶やさない、やわらかな栗色の髪を持つ人。</p><p>悪魔であるピエロと友人であることから、おそらく人間ではないのは確かなのだが、果たして「何」なのかは知られていない。そもそも、普段は何をしている人なのかすらもいまいちよくわからない。</p><p>らんすは当然ながらピエロとのつながりで彼を知った。</p><p>親のいない彼女の親代わりをつとめてくれたこともあったらしく、彼女が言うには「ルゥさんを教師、ピエロを反面教師にして私は育った」とのことだ。</p><p>アイザックが彼と知り合ったのは「家」とのつながりであった。</p><p>どうやら、彼はルディック家のような旧家にも顔が利くらしい。</p><p>ルゥはめったに他人を尊敬しないアイザックが尊敬する人間の中でも、トップクラスに位置する存在だ。</p><p>なんというか、人をひきつける魅力のある人なのである。おまけに、理知的で優しい。</p><p>現在、縁を切るに近い状態で家出中の身のアイザックだが、彼との交流は辞めるつもりは無い。</p><p>一番古くからの知り合いであるピエロは「あいつは本当は恐ろしいやつだぞ」というが、さて、どちらが真実であるのやら。</p><p>そんな彼からの呼び出しであったから、二人は何のためらいもなく、むしろ喜んで出かけて行ったし、頼まれごとをされてもあっさりと引き受けた。</p><p>「知り合いを迎えに行って欲しい」というどこか奇妙な用事ではあったのだが。</p><br><p>『君たちとあんまり歳の変わらない…えーと、変わらないのかな、たぶん変わらない。いやー、この歳になると若い子の年齢なんて大して変わんなく見えてきちゃってさー。おっと、話が逸れちゃったね。とにかく、君たちにそれなりに年齢の近い男の子をねー。迎えに行って欲しいんだよ。別に一人でも構わないって言われたんだけど、あの子の事だからハプニングの一個や二個や百個、巻き込まれても何にもおかしくないからねぇ。君たちに護衛を頼みたいんだ』</p><br><p>ルゥがいったいいくつなのか、気になるところだが今はその話はおいておいていいだろう。</p><p>そういうわけで彼らは今、その「ハプニングに巻き込まれても何の不思議も無い男の子（おまけに旧文明の建物に住んでいる変わり者）」を迎えに行っているところなのだ。</p><p>正直なところ、アイザックは自分ひとりでも十分事が足りると思ったのだが、らんすが「うっわー、旧文明の建物ですかっ！かーっこい！見たいみたい！」とものすごく乗り気だったことと、ルゥから「らんすも、アイザックも、二人で協力してがんばってね」と言われてしまったから、アイザックとしてはどうしようもなくなってしまったのである。</p><p>それにしてもいったいどんな人物で、どんなハプニングに巻き込まれるというのか。</p><p>アイザックが不安で仕方ないのは、そのことだった。</p><br><p>ようやく列車が目当ての駅に着いた。らんすははしゃいで列車から出て行く。</p><p>「おぉーい、らんすちゃん、あんまり走ると危ないぞー」とらんすの後ろからピエロが声をかけている。</p><p>「子供の遠足みたいだな」とカースがぽつりと感想をもらした。アイザックも全くだ、と思う。</p><p>さて、どこを探したらいいものか、とアイザックはぐるりと辺りを見回す。</p><p>旧文明の建物って言われてもなぁ、きっと街のはずれとかにあるに違いないしなぁ、面倒だなぁ。</p><p>ルゥは、「見れば分かるでしょ」と適当なことを言って地図も住所も渡してくれなかったのだ。</p><p>「ねーっ、アイザックー。あれじゃないかなっ」</p><p>らんすが声を張り上げた。その指差す先には。</p><p>「馬鹿か、桐江。ありゃあ単なる廃屋だろ」</p><p>確かにそう言われれば確かに旧文明の建物だ。今では見られない装飾や屋根の形、だがあれは確実に別物だろう。</p><p>人が住んでいるようには見えないのだから。</p><p>「そっかー、残念」</p><p>そのときだった。突然耳に痛い爆発音が廃屋のほうから響き渡った。</p><p>道を歩いていた通行人が、ざわざわと騒ぐ。</p><p>「…ねぇ、アイザック、ひょっとしてこれ人が住んでるんじゃ…」</p><p>「いや、そんな馬鹿な。何で一般の家屋で爆発が起きるんだよ」</p><p>「だって『ハプニングに巻き込まれても不思議じゃない人』でしょ？爆発のひとつやふたつ巻き込まれてもおかしくないんじゃない？」</p><p>イヤだなぁ、ありえないって、と渋るアイザックに、らんすとピエロが揃って茶化すように言う。</p><p>「行ったらわかるって♪」「行ったらわかるだろ？」</p><p>どうしてこの二人は揃いも揃っていい加減なんだ！アイザックは叫びたかったが、なんとかそれを止めた。</p><p>「とりあえず行ってみるだけだぞ」</p><p>心の中では、当然「誰もいませんように」と祈ってはいたが。</p><br><p>つづく</p>
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<link>https://ameblo.jp/romantic-pierrot/entry-10080146925.html</link>
<pubDate>Sat, 15 Mar 2008 17:07:16 +0900</pubDate>
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<title>A half and a half 　一話</title>
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<![CDATA[ <p>結局のところ、アイザック・J・ルディックは桐江らんすという少女が嫌いなのだろう。</p><p>がたごとと耳障りな音を立てる列車。</p><p>目の前に座った派手な赤い髪の少女は、こちらの視線に気づくと、にかっ、と悪意の無い笑顔を向けた。</p><p>アイザックは特に反応せず、視線を窓に移した。</p><p>「ねぇ、もうすぐ着くかな。どんなとこなんだろうね、旧文明の建物そのまま使ってるってルゥさん言ってたじゃない？私まだそんなの見たこと無いんだよね！楽しみ！」</p><p>彼女は無視されたとも思っていないのか、彼に気軽に話しかけてくる。</p><p>楽しみ、ときたか、流石は「天才少女」。こっちときたら不安で参りそうだってのに暢気なもんだ……。</p><p>アイザックは口から出そうになった皮肉を何とか止める。</p><p>気に入らなくても、彼女がパートナーであることは変わりようが無い。そして、</p><p>それに、この用事を頼んできたのは彼の尊敬する人物なのであるのだから、彼としてもパートナーとの友好関係はともかく、協力関係を崩したくは無かった。</p><p>絶対に成功させてみせる！</p><p>その決意が、普段から人付き合いなど適当な彼が、嫌いなはずの人間と協力をするという奇跡的な行為に向かわせているのである。</p><br><p>さて、ここで彼らがいったい何者なのか、彼らは何をしに、どこへ行くために列車に乗っているのかを説明しておく必要があるだろう。</p><p>アイザック・J・ルディック</p><p>桐江（きりえ）らんす</p><p>共にこの世界で「悪魔使い」と呼ばれる人間である。</p><p>悪魔使いとは、文字通り悪魔を使役し、自分のために使うことの出来る人間であり、多くの場合は一人の人間に対して、一人（この数え方が適切なのかは判断できないが）の悪魔が「使い魔」として存在する。</p><p>悪魔との契約を結ぶためには、まずそれぞれの悪魔の持つ「条件」をクリアして彼らを呼び出す必要がある、その後正式に「契約」を結ぶことになる。</p><p>「条件」というのは例えば、「誰かを呪う」「生贄を捧げる」など（ただし、この条件で呼び出せるのは大したレベルの悪魔ではないので、お勧めしない）</p><p>大抵の場合は、その条件は大きなリスクや苦しみを伴うものであるし、見返りがそこまで大きいとは言えない。</p><p>見返りの大きい（つまりは力の強い）悪魔を呼び出すつもりなら、かなりのリスクを覚悟しなくてはいけない。</p><p>その上、その後の「契約」にも大きな危険性が伴うことが多い。</p><p>そもそも、悪魔の召喚条件は知られていない場合がほとんどだ。</p><p>よほどの大悪魔であればその条件も噂となって流れてはいるが、そういうのはほとんど人間には不可能と思える条件だったりするのだ。</p><p>だから、自然と悪魔を召喚し、契約したものは「知らずに条件を満たしたもの」が多くなる。</p><p>この二人の場合、らんすがそれにあたる。</p><p>らんすのパートナーは悪魔使いの間では「六百六十六の悪夢」と名高い「ピエロ」という悪魔。</p><p>召喚条件は「六百六十六の日を、世界を心から恨んで過ごす」</p><p>「世界を心から恨む」と、言ってしまえば簡単に聞こえるかもしれない。</p><p>だが、それこそ夢の中でさえも世界を恨むことのできるものが世界に何人いるだろう？</p><p>彼女は、この悪魔と「死後の魂を渡すこと」を条件に「自分を傷つける全てのものから自分を守る」という契約を結んでいる。</p><p>しかし、この悪魔、その残酷な契約条件、また高名な悪魔、ということでどんな恐ろしいモノだろうと思う者も多いが、「本物なのか？」と疑いたくなるような人物……いや、悪魔である。</p><p>一見しただけで仕立てのよいものとわかる、カラスの羽の色をしたスーツを軽く崩して着こなし、いたるところに銀細工のアクセサリーを飾っている。</p><p>冬の夜の月の色をした髪は、前髪が顔の半分を覆うほどに長く、瞳はそれに隠されどんな表情をしているのか窺い知ることができない。</p><p>ただ、口元がにやあり、と常に笑ったように歪められている。</p><p>相当な話好きで、放っておくとうるさいことこの上ない（おそらく、この中では一番おしゃべりだ）。</p><p>口調も軽く、つまりはあまりらしくない……のである。</p><p>ただし、その実力は噂に違わず、その力を何の苦もなく使いこなしているらんすは多くの者に「天才」と呼ばれているのだった。</p><p>けれども、忘れてはいけないのは、この「天才」とまで呼ばれる少女がかつて魂を犠牲にしても構わないほどに世界を心から恨んでいたという事実だろう。</p><p>彼女にかつて何があったのか、知っている者は数えるほどしかいない。</p><p>ピエロと、彼の古くからの知り合いであるルゥ、そして、彼女本人だけだ。</p><p>そもそも彼女自身が話すつもりもないだろうから、これからもそれは変わらないだろう。</p><br><p>アイザックの悪魔は名前を「カース」という。</p><p>人間に近い姿をしてはいるものの、腕が異様に長く、死人の着るような真っ白な服の袖口から除く長く黒い鍵爪がいやでもカースが人間ではないことを思い知らせる。</p><p>高名な悪魔ではないものの、彼にとっては大切なパートナーであり、彼が唯一信頼している存在だ。</p><p>アイザックとカースが契約したいきさつは、通常のものと少し異なる。</p><p>カースが契約しているのは、アイザックの「家」なのだ。</p><p>アイザックの家系は代々続く「悪魔使い」の家系で、歴代の当主が「家の繁栄に手を貸す」という契約を多くの悪魔と結んでいる。</p><p>カースは現当主（アイザックの父親）が若い頃に契約を結んだ悪魔で、アイザックが生まれたときから世話役としてそばにいた。</p><p>そのためか、カースにとってアイザックは弟か子供といった存在で、「悪魔」という言葉から受ける印象とは外れて、どこか優しく穏やかである。</p><br><p>さて、そんな彼らが何をしに、どこへ出かけているのかというと、話は昨日の夕方にらんすとアイザックの両名が揃ってルゥから呼び出しを受けたことから始まる。</p><br><p>つづく<br><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/romantic-pierrot/entry-10054829182.html</link>
<pubDate>Sat, 15 Mar 2008 17:06:23 +0900</pubDate>
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<title>とりあえず完結。</title>
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<![CDATA[ <p>長らく間が開いてしまいましたが、ようやく完成しました。</p><p>うむむ…なかなか上手くまとめることが出来ませんでした…</p><br><p>次回からは、悪魔と契約した少年少女を中心にしたファンタジーを書くつもりで奮闘中。</p><p>引き続き読んでいただけたら幸いです。</p>
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<link>https://ameblo.jp/romantic-pierrot/entry-10079952558.html</link>
<pubDate>Fri, 14 Mar 2008 22:08:27 +0900</pubDate>
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<title>1206号室のネムリさん　part5</title>
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<![CDATA[ <p>はじめにネムリさんの様子がおかしいのに気づいたのは僕だった。</p><p>顔色が悪く、呼吸が不規則だ。</p><p>「ネムリさん！？待ってて、誰か呼んでくるか……」</p><p>部屋を飛び出そうとした僕に向かって、いや、と言うように首を振ると、ネムリさんは枕もとのナースコールのボタンを押した。</p><p>あぁ、なるほどそっちのほうがずっと早い……当人のほうがよっぽど冷静に判断している。</p><p>しばらくすると、数人の医師と看護師が部屋に飛び込んできた。</p><p>ネムリさんは運ばれて行くときに、弱々しい指の動きで、自分の棚に置いてあるノートを指差した。</p><p>読みなさい、ということだろうと僕は判断して、誰もいなくなった病室でノートを開いた。</p><p>少し丸っこい文字の並んだページをゆっくりと読む。</p><br><p><strong><font size="2">今から書くことは、とても馬鹿らしいことかもしれません。</font></strong></p><p><strong><font size="2">けれども、君がこれを読んでいる頃、きっと私はそこにいないでしょうから、特に気にはしません。</font></strong></p><p><strong><font size="2">まず、間違っていたらごめんなさい。</font></strong></p><p><strong><font size="2">君は、もうすでに死んでいるのだと思います。</font></strong></p><p><strong><font size="2"><br></font></strong></p><p><strong><font size="2">そう考えた理由はいろいろあります。</font></strong></p><p><strong><font size="2">まず、私は確かに職員から「同室の人間は今いない」と言われたのに君がいたこと。</font></strong></p><p><strong><font size="2">私は一度も君が検診やら投薬やらを受けるのを見たことが無いこと。</font></strong></p><p><strong><font size="2">そして、もっとも大きな理由は、私が図書館で見つけた本にあった記事と写真。</font></strong></p><p><strong><font size="2">この病を最初に発症した少年に関するデータ。</font></strong></p><p><strong><font size="2">君と同じ名前、同じ顔の少年の写真がそこにありました。</font></strong></p><p><strong><font size="2">こういう言い方が正しいのかわからないけど、君は幽霊なのでしょう。</font></strong></p><p><strong><font size="2"><br></font></strong></p><p><strong><font size="2">私は何で君がこの病にかかったのかはわかりません。</font></strong></p><p><strong><font size="2">でも、君が幸せではなかったことはわかるような気がします。</font></strong></p><p><strong><font size="2">私と話してくれた君はすごく優しかった。優しすぎた。</font></strong></p><p><strong><font size="2">だから、きっと、外の世界では悲しいことを見るのに耐えられなかったでしょう。</font></strong></p><p><strong><font size="2">私も、そうだった。君のようには優しくなかったけれど。<br></font></strong></p><p><strong><font size="2">この病は、君の心に同調した人が発症するのかもしれない。</font></strong></p><p><strong><font size="2">この世界が、嫌いで嫌いで仕方ない。</font></strong></p><p><strong><font size="2">強がりを言ったけど、私も死ぬのは怖いのです。</font></strong></p><p><strong><font size="2">でも、それが私が幸せになる唯一の道にしか思えないのです。</font></strong></p><p><strong><font size="2">最後に時間を過ごしたこの世界は、すごく私に優しかった。辛い世界を見なくてよかった。</font></strong></p><p><strong><font size="2">それは、きっと同じ心の痛みを持つ人たちがいてくれたから。</font></strong></p><p><strong><font size="2">何より、君という優しい人に出会えたから。</font></strong></p><p><strong><font size="2">こんな綺麗な世界を最後に心に焼き付けることが出来た。</font></strong></p><p><strong><font size="2">だから、私は君に感謝したいです。</font></strong></p><p><strong><font size="2">さようなら。ありがとう。できればまたいつか会いましょう</font></strong></p><br><p>僕は、ノートを閉じた。</p><p>ネムリさんの言うとおりだ。</p><p>僕はこんな世界に生きていたくなかった。</p><p>けれども、死にたくもなかった。</p><p>だから、未だに、こんな中途半端な世界で少し孤独に、少しだけ誰かと繋がって存在している。</p><p>僕が「視える」人はほとんどいない。僕は、本当に気に入った人の前にしか姿を見せないから。</p><p>ネムリさんは戻ってくるかもしれない、もう、戻ってこないかもしれない。</p><p>どちらでもかまわない。</p><p>彼女とほんの少しの間だけでも、話すこと出来て楽しかったのは真実だから。</p><p>僕はドアをするり、と通り抜けて廊下に出た。</p><p>太陽の光が僕の体を照らす。</p><p>今日も世界は、醜くて美しい。僕は今日もここにいる。</p><br><p>END</p><p></p>
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<link>https://ameblo.jp/romantic-pierrot/entry-10054715480.html</link>
<pubDate>Fri, 14 Mar 2008 21:56:17 +0900</pubDate>
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<title>1206号室のネムリさん　part4</title>
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<![CDATA[ <p>『あなたは死に憧れたことがありますか』</p><p>そうネムリさんは患者さんに手当たりしだい声をかけて回っていたらしい。</p><p>それは怒られるに決まってる。</p><p>看護師にしばらくの間説教を食らっていたネムリさんだが、途中僕に向かって「見つかってしまったよ」と言いたげに目で合図を送ってきた。</p><p>案の定、「話をきちんと聞きなさい」と怒られた。</p><br><p>「怒られてしまった」</p><p>看護師が部屋から出て行くと、ネムリさんは悪びれた様子も無くそう言った。</p><p>「当然だよ」</p><p>「でもね、気づいたんだよ。ちょっとしたことなんだけどね」</p><p>そこで、ネムリさんは声を少し潜めて、まるで子どものように弾んだ口調になった。</p><p>「答えてくれた人は皆、私と同じように死に憧れていたよ。ねぇ、わかるかな？きっとこの病気は『死にたい人がかかる病』なんだ。死にたくて死にたくて仕方ない人間に、誰かが最後にくれた贈り物なのだよ、きっと」</p><p>「本当にそう思うの？」</p><p>「思うよ。それと……」</p><p>ネムリさんはちょっとためらったように言葉を切って、再び続けた。</p><p>「図書室に行ったらね、少し、不思議なことにも気づいたんだ」</p><p>「何？」</p><p>僕の問いかけに、ネムリさんは首を横に振った。</p><p>答えたくない、という意思表示だろうか。</p><p>僕は何も言わずにベッドに寝転んだ。</p><p>ネムリさんは、どこかで買ってきたのか、もともと持っていたのか、ノートをどこかから引っ張り出してくると、そこに熱心に何かを書いていた。</p><p>それは、それは、本当に長い時間をかけて。</p><p>時折、何かが気に入らなかったのか消しゴムをかけ、必死になって。</p><p>本当に長い時間をかけて何かを書いていた。</p><br><p>そして、ネムリさんの容体が急に悪くなったのは、その日から一週間後のことだった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/romantic-pierrot/entry-10054714581.html</link>
<pubDate>Fri, 09 Nov 2007 21:50:20 +0900</pubDate>
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