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<title>遥かなる故郷　白鳥町</title>
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<description>平成１５年に合併し東かがわ市となり、今は存在していない香川県白鳥町。かつては手袋の街として栄えたこの街で、私は数々のヒット商品を開発し、世に送り出した人間だ。栄光と挫折を繰り返たジェットコースターのような壮絶な人生を記録に残したい。そんなブログです。</description>
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<title>渡瀬貿易株式会社</title>
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<![CDATA[ <p>翌日省三は父に連れられ秀男の会社に行った。</p><p>秀男は大阪の心斎橋で渡瀬貿易㈱という会社を経営していて社員は百五十人くらいいた。</p><p>白鳥町で出来る手袋の五割以上が渡瀬貿易㈱を通して日本全国及び世界各国に販売されていた。</p><p>心斎橋の六階建てビルを見上げて省三は父の偉大さが想像もつかないほど大きく感じていた。</p><p>省三は五階の社長室の大きな応接用のソファーに座って父の仕事ぶりを見ていた。</p><p>いろいろな社員が入れ替わり入ってきて父と相談したり書類に決裁の印鑑を貰ったりしていた。</p><p>蝶ネクタイに鼻ひげを蓄えた父はテキパキと大きな声でそれらの社員に指示を出していた。</p><p>&nbsp;</p><p>やがて隼人がやってきて父と仕事の打ち合わせをして、省三の座っているソファーのところへ来た。</p><p>「省ちゃん、退屈だろう、何か飲む？日本茶か、紅茶か、コーヒーかなにがいい？」</p><p>黒いスーツに蝶ネクタイの隼人はいつも笑みを絶やさず際立ってスマートに見えた。</p><p>「紅茶お願いします」</p><p>省三も改まった口調で答え＜自分も隼人兄ちゃんのようにスマートな接客が出来るような人間になりたいなー＞と感じていた。</p><p>&nbsp;</p><p>隼人が社長室から出て行ってしばらくして黒のタイトスカートに白のブラウスを着た背の高い女性がお盆に紅茶と羊羹とスポーツ新聞を持って来てくれた。</p><p>「秘書の梅川明美です。なんでも御用があったら言ってね」省三に優しく微笑みかけた。</p><p>&nbsp;</p><p>スポーツ新聞には昨日の巨人阪神戦が第一面で大きく載っていた。</p><p>別所が完封し、川上が七回にタイムリーヒットを打って１対０で巨人が勝っていた。</p><p>昨日の早朝、公園でサインをもらった別所、川上の写真が一面に大きく載っており</p><p>省三は「ヤッター！」と叫んで新聞を持って父のデスクの方に走って行った。</p><p>&nbsp;</p><p>「どうした省三」父は省三のはしゃぎふりに驚いて顔を上げ声をかけた。</p><p>「この新聞見て。別所と川上の写真が大きく載っているよ。昨日サイン貰った日の写真だよ」</p><p>「なるほどいい写真だ。サインの色紙と一緒にこの新聞も大事にとって置きなさい」</p><p>「わしは昼は会合があるから隼人にどこかおいしいものを食べに連れて行ってもらいなさい」</p><p>「それからあさって、二十八日じゃがわしは用が出来たけん白鳥の工場に行く。省三も一緒に帰るか」</p><p>「はいそうします。今回は非常に大きな収穫がありました。早く帰って皆にこのサインを見せてやらなくちゃ」</p><p>「わっははははは、現金なやっちゃな」父は大きな口をあけて笑った。</p><p>&nbsp;</p>
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<pubDate>Thu, 08 Apr 2021 09:29:48 +0900</pubDate>
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<title>武庫川の堰</title>
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<![CDATA[ <p>夏の武庫川の河原は涼を求めて若いカップルや老夫婦がそぞろ歩いていた。</p><p>武庫川の水量は豊富で青くきれいに澄んだ水が滔滔と流れていた。</p><p>夕方になると多くの水鳥が堰に集まってきて盛んに小魚を啄ばんでいた。</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210406/06/runprofire79/21/92/j/o0300016614922016049.jpg"><img alt="" height="166" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210406/06/runprofire79/21/92/j/o0300016614922016049.jpg" width="300"></a></p><p>&nbsp;</p><p>真っ赤な夕日が遠くの六甲山の彼方に沈み始めていた。</p><p>隼人は白く水しぶきの立っている堰の中から沈めておいたモンドリをそーと引き上げた。</p><p>中には十三、四センチの小魚がビッシリ、満杯に入っていた。</p><p>「わーすごい！ものすごく捕れたね」</p><p>「これだけ捕れれば今夜のおかずは充分だ。さー帰ろう」</p><p>&nbsp;</p><p>隼人と省三が風呂から上がってくると父の秀男が浴衣姿でビールを片手に小魚のから揚げをつまんでた。</p><p>「これはうまい。生きた魚のから揚げは格別じゃ」</p><p>省三は父の嬉しそうな顔を見てなお一層楽しくなり隼人と笑顔を交わした。</p><p>&nbsp;</p><p>台所からキュウちゃんのキャー、キャーという甲高い声が聞こえてくる。</p><p>「どうしたの。キュウちゃん」省三はキュウちゃんの近くに行って声をかけた。</p><p>「あまり近くに来ないで。生きた魚を油に入れるとピ、ピ、と跳ねて油を飛ばすのよ。キャー」</p><p>魚をフライパンに入れるたびにキュウちゃんは悲鳴を上げている。</p><p>省三は丸く反り返った小魚のから揚げをお皿に盛って父と隼人のテーブルに持って行った。</p><p>&nbsp;</p><p>「お父さんこれ見て。全部ジャイアンツの選手のサインだよ」</p><p>省三は食卓のテーブルの上に数枚の色紙を並べた。</p><p>「別所も、川上も、青田のもあるよ」</p><p>「いいもの貰ったね。そこの公園で貰ったのかい」</p><p>「そう、朝五時に起きて公園に行ってもらったんだ」</p><p>「ちょうど、巨人軍が来ていてよかった。省ちゃんはよっぽど運がいいんだ」</p><p>隼人は今朝のサインをもらう時の省三の嬉しそうな顔を思い出しながら言った。</p><p>&nbsp;</p><p>秀男はこの子は少し無鉄砲だがよほど運の強い星に生まれてきているかもしれないと思い始めていた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<pubDate>Tue, 06 Apr 2021 06:10:52 +0900</pubDate>
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<title>モンドリ</title>
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<![CDATA[ <p>象やシマウマ、ゴリラどの動物も目がかわいく目を見ていると何となく気持ちが安らぎ省三は優しい気持ちになるのだった。</p><p>&nbsp;</p><p>「省ちゃん、野球が終わったら市電も混むから早めに帰ろう」</p><p>隼人は動物たちに夢中になっている省三の背後から声をかけて出口に向かった。</p><p>&nbsp;</p><p>甲子園口の商店街まで帰って来て隼人は釣具屋に入って行った。<a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210406/05/runprofire79/64/75/j/o0500050014922008935.jpg"><img alt="" height="420" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210406/05/runprofire79/64/75/j/o0500050014922008935.jpg" width="420"></a></p><p>透明のプラスチック製の丸い筒状の魚捕具を見つけて省三に渡しながら「これを持って武庫川へ魚とりに行こう」と言った。</p><p>「へーこんなので魚とれるの」</p><p>「これはモンドリと言ってね、この中にさなぎ粉などで練った団子を入れて川の中に沈めておくと一度入った魚は外に出られなくてモンドリの中は魚で一杯になるんだよ」</p><p>「どんな魚が取れるの」</p><p>「こちらではハヤとかハスとか言ってる小魚だよ」</p><p>「その魚なら僕も知ってる。四国でもよく釣ったよ」</p><p>「から揚げにするとおいしいよ。たくさん捕ってキュウちゃんに今夜の夕食のおかずに作ってもらおう」</p><p>&nbsp;</p><p>二人はまだ残暑が残っている武庫川の河原にモンドリと餌の団子を持って行った。</p><p>二メートルくらい段差のあるコンクリートの堰き止めの下で激しく泡立っているところにロープで杭に縛り付けてモンドリを沈めた。</p><p>「三十分くらい散歩してこよう。きっとたくさん入っているよ。</p>
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<pubDate>Tue, 06 Apr 2021 05:53:19 +0900</pubDate>
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<title>阪神パーク</title>
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<![CDATA[ <p>巨人軍の選手が全員弥生荘に帰り公園には省三と隼人の二人だけになってしまった。</p><p>&nbsp;</p><p>「今日はついていたね。ちょうど巨人軍が来ていてよかった。</p><p>阪神は長いロードに出ていて久しぶりのホームグランドだからこの三連戦は超満員みたいだよ。</p><p>野球は無理だから阪神パークに行こうか」</p><p>&nbsp;</p><p>二人は急いで朝食を済ますと甲子園口から市電に乗って阪神パークに向かった。</p><p>&nbsp;</p><p>夏休み最後の日曜日とあって阪神パークも大変な人だった。</p><p>メリーゴーランド、ジェットコースター等どの乗り物も二十～三十人は並んでいた。</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/16/runprofire79/13/c3/j/o0260014014886161334.jpg"><img alt="" height="140" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/16/runprofire79/13/c3/j/o0260014014886161334.jpg" width="260"></a><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/16/runprofire79/13/c3/j/o0260014014886161334.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="140" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/16/runprofire79/13/c3/j/o0260014014886161334.jpg" width="260"></a></p><p>「省ちゃん、今日は乗り物はあきらめよう。並ぶだけで日が暮れてしまうよ。動物園だけにしよう」</p><p>&nbsp;</p><p>どの動物も目を見ていると何となく気持ちが安らぎ楽しかった。</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/16/runprofire79/b8/fb/j/o0480064014886161232.jpg"><img alt="" height="560" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/16/runprofire79/b8/fb/j/o0480064014886161232.jpg" width="420"></a></p>
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<link>https://ameblo.jp/runprofire79/entry-12652456483.html</link>
<pubDate>Mon, 25 Jan 2021 12:00:50 +0900</pubDate>
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<title>手袋秘話</title>
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<![CDATA[ <p>昭和二十八年（１９５３年）　省三　十一歳　小学五年生　の夏休み　</p><p>&nbsp;</p><p>この日巨人軍の選手に直に会った体験が家内内職型の手袋産業を</p><p>野球のバッテインググローブやゴルフグローブというスポーツ産業へと</p><p>大きく転換していく原動力となり省三はその先頭に立って活躍することになるのである。</p><p>&nbsp;</p><p>イチローや松井秀喜のバッテインググローブ、ジャンボ尾崎のＪ’Ｓゴルフグローブは省三が開発、製造したものである。</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210125/09/runprofire79/5c/8f/j/o0234021514886508723.jpg"><img alt="" height="215" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210125/09/runprofire79/5c/8f/j/o0234021514886508723.jpg" width="234"></a></p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210125/09/runprofire79/cc/bf/j/o0168029914886508655.jpg"><img alt="" height="299" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210125/09/runprofire79/cc/bf/j/o0168029914886508655.jpg" width="168"></a></p>
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<link>https://ameblo.jp/runprofire79/entry-12652435042.html</link>
<pubDate>Mon, 25 Jan 2021 09:49:02 +0900</pubDate>
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<title>読売巨人軍</title>
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<![CDATA[ <p>朝、四時頃目が覚めた。</p><p>公園にはまだ誰もいなかった。</p><p>公園の横の坂道を登って堤防の上から朝もやにけぶる武庫川を眺めた。</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210125/05/runprofire79/be/9a/j/o0275018314886448928.jpg"><img alt="" height="183" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210125/05/runprofire79/be/9a/j/o0275018314886448928.jpg" width="275"></a></p><p>&nbsp;</p><p>水はとうとうと流れすっかり夜が明けた夏空にに白い雲がぽかりぽかり浮かんでいた。</p><p>省三は一時間近くも堤防から武庫川の流れを見続けていた。</p><p>&nbsp;</p><p>やがて公園の方からイチ！ニイ！サン！と元気な声が聞こえてきた。</p><p>「ジャイアンツだ！」</p><p>省三は大きく叫ぶと堤防の坂道を公園の方に駆け下りて行った。</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210125/05/runprofire79/2b/a1/j/o0275018314886446337.jpg"><img alt="" height="183" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210125/05/runprofire79/2b/a1/j/o0275018314886446337.jpg" width="275"></a></p><p>&nbsp;</p><p>揃いのウインドブレーカーを着た選手たちが早朝のトレ-ニングを始めたところだった。</p><p>省三は公園入り口のベンチに座って知ってる選手はいないか懸命に探したがウインドブレーカーで背番号もわからずだんだん焦ってきた。</p><p>&nbsp;</p><p>やがて隼人が色紙とサインペンを持ってキョロキョロしている省三の横に座った。</p><p>「省ちゃんおはよう！このベンチに座っていると選手たちが帰るとき横を通るからサインをもらえるよ」</p><p>&nbsp;</p><p>選手達は一時間近くトレーニングしてぱらぱらと弥生荘に帰りはじめた。</p><p>「ほら川上さんが来たよ」</p><p>隼人に背中を押され省三はあわてて「サインお願いします」とテレビでよく見る川上選手に近ずいて頭を下げながら色紙とサインペンを渡した。</p><p>川上選手は黙って立ったまま色紙にサインしてくれた。</p><p>&nbsp;</p><p>「別所さんがきたよ」隼人に声をかけられて省三は「サインお願いします」と言いながら色紙とサインペンを渡した。</p><p>初めての経験でドギマギしながらも数人の有名選手のサインをもらえた。</p><p>&nbsp;</p><p>隼人は省三の貰ったサインの色紙の裏に鉛筆で選手の名前を書いていった。</p><p>「皆独特のサインするからこうして裏に名前を着ておくとだれのサインかわかるだろ」</p><p>&nbsp;</p><p>隼人は省三にウインクしながら言った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/runprofire79/entry-12652413148.html</link>
<pubDate>Mon, 25 Jan 2021 07:14:27 +0900</pubDate>
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<title>キュウちゃん</title>
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<![CDATA[ <p>父の家は弥生荘から五、六軒先を左に曲がったところにあった。</p><p>&nbsp;</p><p>同じような門、庭がついて同じような造りの二階建ての家が整然と並んで建っていた。</p><p>どの家も庭木がよく手入れされ高級住宅地の雰囲気があった。</p><p>&nbsp;</p><p>隼人は先に門を開けて省三達を出迎えた。</p><p>「お帰りなさい！」</p><p>家の中からキューピー人形のような丸い目をくりくり回しながらエプロンをつけたおかっぱ頭の女の子が出てきた。</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/17/runprofire79/d0/20/p/o0127018714886197811.png"><img alt="" height="187" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/17/runprofire79/d0/20/p/o0127018714886197811.png" width="127"></a></p><p>「キュウちゃんですか、僕省三です。よろしくお願いいたします。</p><p>キュウちゃんの事は隼人兄ちゃんからよく聞いています。</p><p>本当にキューピー人形のようですね」</p><p>&nbsp;</p><p>「省ちゃん一人でよく来たわね。疲れたでしょう。</p><p>お風呂沸かしてありますからゆっくり入って一眠りしたらいいわ」</p><p>&nbsp;</p><p>省三は明日巨人軍の選手たちを見られと思うとうれしくて湯船の中でわーい、わーいと一人で騒いでいた。</p>
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<link>https://ameblo.jp/runprofire79/entry-12652307159.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Jan 2021 17:52:49 +0900</pubDate>
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<title>甲子園</title>
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<![CDATA[ <p>三人はＪＲに乗って甲子園口で降りた。</p><p>&nbsp;</p><p>「お父さんはこの甲子園口で住んどるんですか」</p><p>駅から線路に沿って歩きながら省三は前を歩いている父に話しかけた。</p><p>&nbsp;</p><p>「ああ、ここから十分ほど歩いたところで庭付きの一軒家で住んどる」</p><p>&nbsp;</p><p>「私は社長の家の二階に居候さしてもらっとります」</p><p>隼人が後ろから声をかけてきた。</p><p>&nbsp;</p><p>「社長の家の近くに巨人軍が遠征に来たときの定宿があるんや。</p><p>今日は甲子園で巨人・阪神の試合があるから今夜は巨人軍の選手はこの宿に帰って来るはずや」</p><p>隼人が駆け足で走って一軒のしもた屋風の宿の前で立ち止まった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ここが弥生荘という巨人軍の定宿や」</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/15/runprofire79/3b/41/j/o0311035314886157133.jpg"><img alt="" height="353" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/15/runprofire79/3b/41/j/o0311035314886157133.jpg" width="311"></a></p><p>省三は隼人と並んであまり大きくもない宿をじっと見つめた。</p><p>&nbsp;</p><p>弥生荘の前は武庫川の土手に沿って公園になっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>「明日の朝早く起きてこの公園にきてみな。巨人軍の選手たちがここでトレーニングしとるから」</p><p>&nbsp;</p><p>「ほんと！僕　絶対早起きする」</p><p>省三は憧れの巨人軍の選手をじかに見られと思うと急に胸がわくわくしてきた。</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/runprofire79/entry-12652296602.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Jan 2021 17:01:25 +0900</pubDate>
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<title>神戸</title>
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<![CDATA[ <p>「おい！起きろ。とっくに神戸に着いとるぞ」</p><p>&nbsp;</p><p>昨夜の若い船員に毛布をはぎ取られて起こされた。省三は寝ぼけまなこで腕の時計を見た。八時に近かった。目をこすってもう一度腕時計を見た。間違いない七時五十分だ。昨夜眠りにつくまで体中に響いていたゴトゴトというエンジンの音も止まって貨物室がシーンと静まり返っていた。</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/07/runprofire79/b5/97/j/o0900060114885963073.jpg"><img alt="" height="280" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/07/runprofire79/b5/97/j/o0900060114885963073.jpg" width="420"></a></p><p>&nbsp;</p><p>「降りる支度しろ。おやじさんも迎えに来とるぞ」</p><p>「えー！お父さんもう来とんですか」</p><p>&nbsp;</p><p>省三は昨夜工場の仕事を手伝ったままの半ズボンとＴシャツを両手でパタパタと叩いて「はい！降りる支度できました」右手をあげ指をこめかみに付けて敬礼の仕草をした。</p><p>&nbsp;</p><p>若い船員はわっはは！と大きな口をあけて笑いながら省三の手を引いて貨物室の階段を上がって行った。甲板に出ると埠頭に大きな倉庫がたくさん建っているのが見えた。</p><p>｛ここが神戸か！｝重油の匂いが混じった港の空気を大きく深呼吸して胸に吸い込んだ。</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/07/runprofire79/9e/24/j/o0644043214885963529.jpg"><img alt="" height="282" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210124/07/runprofire79/9e/24/j/o0644043214885963529.jpg" width="420"></a></p><p>&nbsp;</p><p>貨物船が横付けされた大きな倉庫の事務所に入っていくと鼻ひげを蓄えた浅黒い顔の父と若い社員の井沢隼人が大きな応接用ソファーに座っていた。</p><p>&nbsp;</p><p>「省三よく来たな」父は咥えていた大きなパイプを右手に持ち替えて省三に声をかけた。久しぶりに聞く父の低いしわがれた声だった。</p><p>省三は思わず泣きそうになったが横でニコニコしている隼人兄ちゃんの笑顔につられて笑顔で「おはようございます」と父と隼人兄ちゃんにぺこんと頭を下げた。</p><p>&nbsp;</p><p>「びっくりしたぞ！母さんからの電話で省三が一人で貨物船に乗ったちゅうから。無茶するやっちゃな」</p><p>&nbsp;</p><p>いつもは厳つい父のまなざしはやさしかった。</p><p>&nbsp;</p><p>「昨日出荷を手伝っていてこの荷物と一緒に貨物船に乗ったらお父さんに会えるんじゃないかと思って。そしたら伝馬船の源爺さんが貨物船に乗せてくれるちゅうもんじゃけん」</p><p>&nbsp;</p><p>「省ちゃんは誰にも好かれる得な性分やなー」</p><p>&nbsp;</p><p>隼人が父の横で感心しながらいつものニコニコした笑顔で言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「隼人兄ちゃん、またよろしくお願いいたします」</p><p>&nbsp;</p><p>隼人は父の代わりによく白鳥の工場に来ていた。隼人は仕事が終わるといつも省三と将棋をさしたりしてよく遊んでくれた。</p><p>&nbsp;</p><p>「それにしても船が着いて二時間もたって起こされるまで寝とるとはええ度胸しとるな―社長！」</p><p>&nbsp;</p><p>隼人は父、秀男の同意を得るように言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「だって若い船員さんが着いたら起こしてくれるゆうたけん」</p><p>&nbsp;</p><p>省三は頭を掻きながら二人に説明した。</p><p>&nbsp;</p><p>「ほんまになんちゅうやっちゃ。あの船は間もなく大阪へ向かって出帆や。起こされなんだら大阪まで連れて行かれるところだったんだぞ。</p><p>おかげでこっちの仕事も早く済んだから帰ろうか」</p><p>&nbsp;</p><p>秀男は父に会いたさで貨物船に乗ってきた省三がかわいくて仕方なかった。</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/runprofire79/entry-12652189511.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Jan 2021 05:38:55 +0900</pubDate>
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<title>貨物船に乗って</title>
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<![CDATA[ <p>六個の木箱を積み込んで省三と源三を乗せた伝馬船は白鳥の砂浜を離れた。</p><p>源三の漕ぐ長い櫓がギーギーと音を立て始めると砂浜で大きく両手を振っている美奈子、橋本の姿がだんだんと小さくなり沖にに停泊している黒い貨物船が次第に大きく前方に迫ってきた。</p><p>&nbsp;</p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210121/19/runprofire79/0b/e3/j/o0800060014884847623.jpg"><img alt="" height="315" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210121/19/runprofire79/0b/e3/j/o0800060014884847623.jpg" width="420"></a></p><p>&nbsp;</p><p>伝馬船が貨物船に近ずくと甲板に三人の人影が現れた。</p><p>「すまんの、子供一人神戸まで乗せてやってや」</p><p>源三が甲板の三人に向かって大声で叫んだ。</p><p>「あいよ。後ろに低いところがあるからそこからあがんな」</p><p>船長らしい帽子をかぶった男が貨物船の後方を指さしながら叫んだ。</p><p>「まず荷物を上げるのが先や。省ちゃんもちょっと手伝ってくれや」</p><p>&nbsp;</p><p>源三と省三は甲板のリフトから降りてきたロープのフックに木箱を引っ掛け次々と伝馬船の荷物を貨物船に荷上げしていった。</p><p>十分くらいで荷上げが終わり源三は軽くなった伝馬船を貨物船の後ろに漕いで行った。</p><p>貨物船の後ろには甲板から鉄の梯子が海面まで降りてきていた。</p><p>「省ちゃん。その鉄の梯子を上っていくんや。大丈夫か？」</p><p>源三は櫓を漕いで伝馬船を鉄の梯子に近ずけながら船首に立っている省三に声をかけた。</p><p>「わかりました。これなら簡単に上って行けそうです」</p><p>省三は鉄の梯子を両手で掴んで伝馬船から梯子に飛び移った。</p><p>「源爺さん、どうもありがとうございました。行ってきます」</p><p>「気つけてな」</p><p>源三は省三がするすると鉄の梯子を上っていくのを眺めながら「いつもわしの船で遊んでいるだけあるわ、達者なもんや」</p><p>省三に聞こえるように大きな声をかけた。</p><p>&nbsp;</p><p>甲板では帽子をかぶった船長が鉄の梯子を上ってくる省三を見下ろしていた。</p><p>「僕　一人で神戸行くんか？」</p><p>船長は登ってきた省三の手を握って甲板に引き上げながらあきれ顔で声をかけた。</p><p>「はい、神戸の港に父が来てくれることになっています。渡瀬省三です。よろしくお願いいたします」</p><p>省三は無精ひげを生やした船長にぺこんと頭を下げた。</p><p>「そうか、渡瀬手袋のセガレさんか」</p><p>船長は急に改まった口調で言うと省三の手を引いて貨物船の中央の大きな穴の開いた甲板に連れて行った。</p><p>「今夜はあの貨物の横で寝るんや。大丈夫か？」</p><p>船長に言われて省三は甲板から船底の貨物室を見下ろした。</p><p>木箱がたくさん積まれていたがまだ二割ほどの空きスペースがあるようだった。</p><p>「貨物室に下りた階段の下に畳を敷いた部屋がある。そこで寝ればええ。枕も毛布もあるから好きなように使ってくれ」</p><p>「すぐ，出帆すっからな」</p><p>船長は甲板にいた若い船員に省三を貨物室の畳の部屋に案内するよう指図して運転室の中に入って行った。</p><p>&nbsp;</p><p>若い船員は省三の手を引いて貨物室の降り口の階段まで連れて行った。</p><p>「危ないから階段の手すりにつかまりながら降りてきな」</p><p>船員は先に手すりのつかみ方などを教えながら鉄製の急な階段を降りて行った。</p><p>続いて省三も手すりをつかみながらゆっくり降りて行った。</p><p>階段の裏側に６畳ほどの畳を敷いた部屋があり裸電球の入ったカンテラがぶら下がってうっすらと明るかった。</p><p>船腹には海面すれすれに丸い穴があり波が後方に飛び散っていくのが見えた。</p><p>「着いたらたら起こしてあげるからゆっくり休んだらええ」</p><p>枕と毛布を渡すと若い船員はにっこり微笑んで階段を上って行った。</p><p>省三は毛布にくるまってしばらく丸い窓ガラスに波しぶきが勢いよくぶつかって後方に飛んでいくのを眺めていたが</p><p>いつの間にか眠ってしまっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/runprofire79/entry-12651685919.html</link>
<pubDate>Thu, 21 Jan 2021 19:07:47 +0900</pubDate>
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