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<title>涼香の小説</title>
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<description>プロを目指して絶賛執筆中の涼香の小説公表ブログです。</description>
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<title>テオブロミン</title>
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<![CDATA[ <br><p>バレンタイン記念です。</p><br><br><br><p>　「おい！起きれよアホォ」<br>痛っ！　ったく何するんだよ、俺はまだ安眠していたのに。誰だかわからないが、俺の体を揺すったり強請ったりする。　<br>「もう終業のチャイム鳴ってるんやけど」<br>　「マジで？」<br>　俺は驚いた拍子に体を上げた、その瞬間、<br>　「いたぁ！」<br>　俺の体を揺すったり、強請った奴の顎に俺の後頭部が綺麗に、華麗にヒットした。俺を起こそうとするからこうなるんだよ、罰当たり者め。<br>そう思った瞬間、俺の脊髄に一筋の手とうが下る。もうそろそろ限界だ……。<br>　「こんの野郎！　いい気になりやがって、女だからって容赦ねぇぞ！」<br>　「望むとこや、万年寝太郎にうちがやられるとでも思う？」言いたい放題言ってくれるじゃないか……。そんなのやってみないとわからないじゃないか。<br>　俺は強く右手を握り締め、大きく振りかぶった。<br>　とたんビンタ二発。<br>　もちろんノックダウン。<br>　「しょうもないことやめて帰ろうや」<br>　彼女はそう言って手を差し伸べた。発端はお前だろうが！　と突っ込みたくなるけれど、俺も俺だ。何が睡眠中枢を刺激したかは知らないけれど、昼休みからぶっ続けて終業まで寝る奴がどこにいる？　付け加えると昨日は学校から帰ってすぐ眠ったので12時間睡眠となるのか？　<br>　「何物思いに耽ってるん？　か弱い女の子の特権は暗い夜道を歩くと襲われことやねんから家まで送っていってな」<br>　「はいはい」<br>　「はいは何回？」<br>　「二回、いや三――」回、という前に鼓膜を破くような音が教室に響く、なんて強烈なビンタなんだ。<br>　「お前、関西人なんだろ？　そんな些細な冗談も通じないでよく生きてこれたな！　笑いの街で」<br>　「大阪の人はそんなしょうもない洒落言わへんもん、あんたとはレベルが違うんよレベルが」<br>　そう言って彼女は僕の手を引き、廊下へ引きずっていく。<br>　彼女の名は香美。一ヶ月前からこの東京の限りなく千葉に近い地域に引っ越してきた。何故か一人暮らしで、何故か六月という中途半端な季節に引っ越してきた。綺麗で艶のある黒髪を有効利用しないショートヘアーと、端正な顔立ちに似合わない荒い口調と男勝りな性格が気に入り、俺は転校初日から彼女の面倒を見ることにした。この街にあるスーパーやらコンビニやらの場所から学校のことまで、知る限りの街の情報を彼女に伝えた。<br>その結果今では彼女の方がこの街のことを良く知り、そして今じゃ俺が面倒をかけている始末。本当に情けない限りだ。<br>　そんな彼女でも一瞬だけ女の子のような顔を見せる瞬間があった。<br>　「なぁ香美。お前、彼氏できた？」<br>　そういうと彼女は少し儚げに移ろいだ表情を見せ、決まって俺とは逆方向に顔を向け、「別に」と言う。<br>　俺は香美のそんな顔を愛らしいと思い、同時に哀らしいとも思った。きっと大阪で何かあったのだろう。その言葉を口にすることなく、もう二週間がたつ。けれどそれを言ってしまうと二人の関係が崩れてしまうことが容易にわかった。それほど彼女は愛らしく、哀らしい傷を背負っているのだろう。<br>　「あんた、今日は暇？」<br>　「何かあるのか？　女友達でも紹――」やはり最後まで言う前に、顔面にカバンが飛んできた。わかっていてもやってしまう、人をからかうのは面白い、同時に痛みも生じるけれど。<br>　「ご飯食べにきぃよ、賞味期限間近の食品オンパレードやから男手ひとつ貸りらなゴミ箱にポーンせなあかんなるから」ね、とウインクをした。<br>途端寒気がした。いくら何でもこのご時世にそれはないだろう？　そこそこ顔が良くたってそれはNGだ、モデルくらいの容姿ならわかるけど。<br>　「来るのけぇへんの？　はっきりしいや」<br>　ここで行かないと言えばどうなるのだろ？　考えずとも痛い目に遭うと決まっている。それに行かない理由もないので、「行きます」と力強くうなずいた。<br>　彼女の部屋はやっぱりと言うか、何というか、片付いていた。世間の主婦が嫉妬するほどの整理整頓振りだ。バイトもしているのにどうやってここまで綺麗にできるのだろう、ちょっと不気味。<br>　「ほな、出来るまで適当にくつろいどいてな」<br>　香美はエプロンを着ながら俺のほうを見た。その眼が何か誘っている気がしたので、居ても立ってもいられず、<br>　<br>「新婚さんみたいだな」<br>…………。<br>　<br>　「痛っ」<br>　無言で顔面を蹴り上げるなんて、冗談で出来る類のモノじゃないぞ。こいつの神経どうなってるんだ？<br>　「誰がそんな言葉を求めたん？　次言ったらどうなるか覚えときや」<br>　包丁をかざしながらそんなこと言われるとYESしか浮かぶ言葉はない。<br>　そう言えばこいつ、またあの表情をしたな。新婚どうやらこうやら言ったとき。僕が一番好きな顔、そして同時に胸が痛む顔。<br>　そして僕はまた口に出かけたあの言葉を飲み込み、香美の部屋を粗探しすることにした。だって悔しいじゃないか、同学年のくせに、こんなに部屋をキレイにできているなんて……。きっとどこかに穴があるはずだ、そう思いながら香美の目を盗み、引き出しやら押入れやらを探しまくった。<br>　数分が経過し、ほぼ全て見終わり、どこもかしこも完璧に整理整頓されている絶望感を抱きながら、最後の最後。<br>　俺は、押入れの一番奥にある卒業アルバムに手をかけた。<br>　何でこんな無くしそうなところにこんな大切なものをしまっているのだろう？　俺は疑問に思い、そして好奇心に負けアルバムをめくった。<br>　色々な覚悟をしながらページをめくった。<br>　するとスルッと一枚の写真が滑り落ちてきた。それは偶然と必然の狭間で動いた運命の歯車だったのかもしれない。<br>　その写真には芝生が茂る広場で、髪の長い香美と快活そうな少年が肩を組み、これ以上ないくらい幸せそうな顔で笑っている。<br>　瞬間、これだなと思った。<br>　瞬間、視線を感じた。<br>　俺はどんなキツイ痛みでも耐える心意気で振り向いた。<br>　<br>泣いていた。<br>　無いていた。<br>　成いていた。<br>　<br>　俺はどうすれば自分の行いを償えるだろうと思いながら香美に手を伸ばした、けれどはじかれた。<br>　嗚咽ながらも香美は言う。<br>　「なんで今を見てくれへんの？　昔のことばっかり、昔のことばっか。そんなに気になる？　ほな教えてあげよっか。その覚悟があんたにある？　ないやろ？　あんたはそんなこと言えるような男前ちゃうもん。……うちが間違いやってん、ちょっと似てると思ったけど『似てる』は所詮『似てる』や。どうもできへん。」<br>　俺はどうしていいかわからずただ香美を見つめる。<br>　「そんな眼で見らんといて、あたしに同情するん？　あんたのような知恵の無い寝てばっかりのアホに同情なんかできるわけないやん」<br>　「それくらいやったらできる」俺はたまらず口を開いた。<br>　「ほな、なんでアルバム見たん？　あんたもガキやないんやからうちを見てて、大阪で何かあったって気づいたやろ？」<br>　僕は唯うなずく。<br>　「もう嫌や！　出て行って！　もう二度とうちの前に来んといて」<br>　「いい加減にしろ！」　<br>　「――？」<br>　「悲しみ悲しみ悲しみって、お前が教えてくれないから何があったか想像するしかできないけど、男の一人や二人なんだって言うんだ？　そいつに心を奪われて悔しくないのか？　どうだ？　悔しいだろ？」<br>　香美は涙を拭いながら悔しいと言った。<br>　「なら塗り変えれよ、塗り替えてしまえばいい。それに俺はお前が……。」<br>　好きだ。<br>　なんて言えるわけが無い。どの面下げて言えるというのだ、馬鹿野朗。<br>　僕が深刻そうな顔をしているというのに香美は急に笑い出した。<br>　「いきなり好きやなんて、アホちゃう？」<br>　えっ!?　<br>　「俺なんか言ったのか？」<br>　「好きって言ったで」<br>　本当に？　もしかして思わず口に出てしまったのか？<br>　「その顔、那実がうちに告白したときとそっくりや」<br>　「那実？」<br>　彼女は那実という名を口にするとすごく幸せそうな、崩れそうな笑顔を見せた。<br>　「なんでもない、独り言。……なんかいろんなこと言ってスッキリしたわ、ご飯にしよか」<br>　俺は安心した。このまま崩れていくはずだった二人がいつもどおりの笑顔を移し合えた事。この繋がりを人は何というのだろう。<br>　<br>　香美の部屋のように綺麗に食い片付けられた皿を背に俺は部屋を出た。<br>　「今日は色々とありがとう」<br>　「何言ってるん？　あんたとうちの仲やん」<br>　何度見ても彼女の笑顔は温かい。<br>　「その……返事なんだけど」<br>　「まさかこのタイミングで聞きに来るとは」香美は声を上げて笑った。<br>　「どこまで女々しいの？　まぁあんたらしいな、いつまでがいいの？」<br>　ってお前もその返事はセコイんじゃないか？<br>　「じゃ……、バレンタイン」<br>　「へ？」<br>　「俺、チョコとか貰ったことないから、せっかくの記念になるんならその日がいいと……」<br>　こいつめ笑ってやがるな、人の話も聞かずにゲラゲラと。こっちは真剣だって言うのに。<br>　「そんな眼で見らんといてよ、怖い怖い。いや、自信満々やなと思って。うんわかった。ほなまだまだ先やけど、約半年後を楽しみにしときなさい！」<br>　「うすっ」<br>　それだけ言うと香美は静かに、扉を閉めた。<br>　微笑みながら。<br>　そこに哀らしい表情は無かった。<br>　それが俺にできる、できる限りの思いやりだ。<br>　叶わないことはわかっている、すべての願いが叶うというならどれほど面白くない世界なのだろう。叶わない痛みを忘れることもできず、しがみ付きながら過去を思い、憂い、愛し、そうやって人は生きてきた。なら俺だって香美だってできないはずはない。<br>　俺は最後の侘しさで、携帯を手に取り、ダイヤルする。<br>　「またいつか……」<br>　それだけ言って俺は電話を閉じた。</p><p>　思ったとおり、その日から香美の姿を見ることはなかった。<br>　　<br>　彼女は過去と向き合うことにしたのだ。それは酷く辛く、哀しい選択だっただろう。でもその重要性を知った香美ならきっと大丈夫。<br>　俺のような仕様の無いボケをする奴などいない大阪の町できっとうまくやっていける。過去に打ち勝っても打ち負けても……きっと。</p><p>　そんな彼女のことを一日、一時間、一分たりとも忘れること無く半年が過ぎた。<br>　その日、いつものように学校に行き、半分を寝て過ごし、家に着くとポストに無理やり赤い箱が押し込まれていた。<br>　俺はまさかと思い、その赤い箱を手に取った。<br>　<br>　宛名は香美からだ。<br>　<br>　何かメッセージに準ずるものを探したけれど見つからなかった。<br>　ただ大きな丸い形をしたチョコレートが包まれているだけだった。<br>　受付日は……七月十四日？<br>俺は急いで香美の携帯に電話をした。<br>　この番号をダイヤルするのはあの日以来だろう。</p><p>　高鳴る胸。</p><p>　「はい」<br>　出た。</p><p>　――けれど違う、香美の声じゃない。<br>　「あの？　香美さんじゃないですよね」<br>　「あなた、香美の友達ですか？」<br>　「はい、東京の」<br>　すると電話越しの女性は声を詰まらせた。<br>　何かとてつもなく嫌な予感がする、一体何があったのだろう？<br>　「香美はもういません」<br>　やっぱり。</p><p>　僕は何も言わず、そのまま電話を切った。<br>　彼女は過去に飲まれてしまったのだ。<br>　その絶望に打ち勝つことができなかったのだ。<br>　何が勝っても負けてもだ。<br>　この無責任、この偽善者、この……<br>　「万年寝太郎！」<br>　その声に僕は振り向く。<br>　「何、死んだような顔してるん？」<br>　もう幻でもなんでもいい。俺は目の前にいる、ただ逢いらしいだけのそれを、ただ愛らしく抱きしめた。<br>　彼女がここに来た意味を、この日に来た意味をかみ締めながら。<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/ryouka2/entry-10072692215.html</link>
<pubDate>Thu, 14 Feb 2008 22:25:31 +0900</pubDate>
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<title>超心理的青春</title>
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<![CDATA[ <p>電撃大賞に応募しようと思っている小説です</p><br><br><p>率直な感想をいただけるとうれしいです　m(_ _ )m</p><br><br><p><font size="3"><strong>「超心理的青春」</strong></font></p><br><p><strong><font size="3"><br></font></strong></p><br><p>ジャンル　　学園　SF</p><br><br><p></p><br><p>【あらすじ】</p><br><p></p><table width="50%"><tbody><tr><td align="center"><p><font style="FONT-SIZE: 10pt"><br></font></p><font style="FONT-SIZE: 10pt"><br><p>ある双子の下に調有名進学校の推薦入学の誘いがきた。</p><br><p>二人は入学することになるのだが、</p><br><p>その学校には日常ではありえないクラブが存在するのだった。</p><br><p><br></p><br><p>【前書き】</p><br><br><p><font size="2">　高校に入学してからというもの、ろくなことなんてない。何が有名進学校だ。裏を開けてみればこの通り、命の取引を繰り返す日々だ。<br><br>　今だってこんなこと考えてる場合じゃない、鳴り止まない銃声、張り詰めた空気、弾薬の匂い。ここにいると、この国が平和を唱えてることが嘘のように思えてくる。もうすぐ僕は死ぬのかもしれない、天照もはぐれてしまったし、他のみんなはどうなったか知らない。探そうと思えば超心理の加護で見つけれるんだろうけど、もう疲れたよ。</font></p><br><p><font size="2">　この1年、僕は何をしてきたんだろう。死ぬ前にそれくらいは知りたいよ。<br><br>　那実、お前ならこの状況どうする？ </font></p><br><p><font size="2"><br><br><br></font></p><p><font size="2"><font size="2">パソコンからは<a href="http://ncode.syosetu.com/n0675d/">こちら</a><br> でお読みください</font></font></p><font size="2"><br><br><p><font size="2">第一章</font></p><br><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2"><font size="2">その1　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10067118095.html" target="_blank">始まる以前</a><br><br></font></font></p><p><font size="2"><font size="2"><font size="2">その2　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10067409138.html" target="_blank">日常と非日常を分ける土曜日</a><br></font></font></font></p><font size="2"><font size="2"><br><p><font size="2">その3　</font><a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10067554783.html"><font size="2">青天の霹靂の薙</font></a><br> </p><br><p>その4 　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10067675324.html">青天の霹靂の那実</a><br> </p><br></font></font></font></font><p><font style="FONT-SIZE: 10pt"><font size="2"><font size="2">その5　 <a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10068200621.html">水も滴るいい女は沖田薫</a><br> </font></font></font></p><br><p><font size="2">その6　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10068393978.html">伊佐兄弟の過去</a><br> </font></p><br><p>その7　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10068625658.html">那実と香美にひとまずの別れを</a><br></p><br><br><p>第二章</p><br><br><p>その1　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10069081519.html">天照沙希と黒猫</a><br> </p><br><p>その2　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10069203163.html">カードと一週間</a><br> </p><br><p>その3　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10069553703.html">ルールと夕陽</a><br><br>その4　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10070296015.html" target="_self">七不思議と真実</a><br></p><br>その5　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10070592484.html" target="_self">IQとカード</a><br><br>その6　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10071157324.html" target="_self">崎野心花と黒い夢</a><br><br>その7　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10071721145.html" target="_self">唐突と滅亡</a><br><br><strong>第三章</strong><br><br>その1　<a href="http://ameblo.jp/ryouka2/entry-10071721992.html" target="_self">那実に角</a><br><br><br>より多くの人に読んでいただきたいので<p></p><br><p><a href="http://blog.with2.net/link.php?588945">人気ブログランキングへ</a><br> クリックしていただくとありがたいです。 <br><br></p></td></tr></tbody></table>
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<link>https://ameblo.jp/ryouka2/entry-10067120459.html</link>
<pubDate>Mon, 11 Feb 2008 00:13:12 +0900</pubDate>
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<title>超心理的青春　その15</title>
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<![CDATA[ <p><strong>超心理的青春　第三章　その1</strong></p><p><strong><br></strong></p><p><strong>【那実の角】</strong></p><p><strong><br></strong></p><p><strong><br></strong></p><p><font size="2">　僕は何かおかしな夢を見ているんだろうか。<br>　そうとしか考えられない。一般の高校生が、訳のわからない薬剤を投与され、そのお陰で超能力を身につけ国を守ってくれだとさ。僕らが戦隊ヒーローっていうのか？ 本当に馬鹿げている。どういう社会の仕組みでそういう組織が生まれたのかイマイチわからないし、なぜ、僕らみたいな少年少女に、そのような危険な真似をさせるのかもわからない。別に自衛隊か何かそういう組織の大人達に任せればいいものなのに、全く答えが見えてこない。<br>　それは今、この状況にしてもだ。<br><br>　照りつける朝日の中、僕と那美はバス停の前にいた。<br>　こんな快晴は久しぶりだろう、完璧な行楽日和だ・・・そう、行楽。<br>　朝早く那美にたたき起こされ、寝ぼけた体に担がされたバトミントンセットとビニールシート2枚。　 <br>　「沖田先生と話が出来るって言われたから来たのにこれはどういうことやねん」<br>　　昨日の頭痛もまだ治っていないというのに、何故休日の朝7時に起きてピクニックに行かなきゃならないんだ。せっかくの休日くらい寝かせろって言うんだ、せめて10時までは。<br>　「いっつも授業中寝てるやないか、何を偉そうなこと言うてんねん」確かに那美の言うとおり、僕は授業の7割は寝て過ごしてる、けど、そんなことはどうでもいいんだよ。問題はそう・・・<br>　「ピクニックってなんやねん？てか僕とお前だけなんか？何が悲しくて兄弟でそんなことしなあかんねん」<br>　「ホンマに誰も来えへんなぁ。集合の8時までもう5分前やで」<br>　僕の話しを聞き流すように那美が言ってすぐ、東方からものすごい勢いで走ってくる人が見えた。朝日のせいで姿かたちをよく確認できないけれど、その横を走る小動物を見ればわかることだ。<br>　「やっと来たか、意外と時間にルーズなんやな」と那実がどうでもいいことを言う。<br>　「黒猫も一緒て、やっぱり変な女や」と僕もどうでもいいことを言う。<br>　それにしても、何故黒猫も一緒に来てるんだろう？<br>　天照は僕らの前まで来て急ブレーキをかけた。徐々にスピードを落とせばそんな忙しなく止まらなくて済むのに。<br>　彼女はあれだけのスピードで走ってきたのに息も切らしていないし、汗もかいていない。流石と言うべきだろう、黒猫ですら息が上がってるのに、恐るべし体力だなこいつは。<br>　「すまない、少し起きるのが遅れたから遅刻してしまった。いや、ギリギリセーフか？」<br>　「残念ながら、ギリアウトやで」と僕が言うと、天照は肩を落とし、もう1度僕らに謝罪をした。<br>　すると微笑みながら那実が天照に尋ねた。「なんで遅れたんや」<br>　「だから言ったじゃない。寝坊だって」そう言って那実を凄い剣幕で睨んだ。どうやら天照は『僕ら』に謝罪しているわけでなく、僕に謝罪していたようだ。<br>　「寝坊？」そう言うと那実は不適に笑う。天照も不安になったのか、少し恐れるような顔になる、けれどそれでも那実を睨み続ける。「何よその顔は」<br>　「天照沙希、その長い髪に付いた物はなんや？」今にも噴出しそう言った。<br>　それを聞いて僕も天照の髪を見ると、木の葉が付いている。さらに服を見てみると、木の枝が引っ付いていた。続けて那実が訊ねる。<br>　「その黒猫はどうしたんや、何でついてきとんねん」<br>　「たまたま公園を通りかかったら付いてきたのよ」<br>　そりゃそうだろ、わざわざ公園で飼っている猫をピクニックに連れて行くような女じゃないだろう、この女は。けど・・・。<br>　「それやったら何で木の葉や木の枝が天照沙希の体についてんねん、ゴミをひきつける能力でもあるんか？ そうやったら人間掃除機とでも呼ばしてもらおか」<br>　「私をからかってるの？ それ以上言うと痛い目合うわよ」冗談と思って、2人の会話を聞いていたが、天照の表情を見ると、その考えが甘かったと気付かされる。衝突間近だ。<br>　けど、想像してみると偉く滑稽だ。わざわざ公園に寄って、体に枝やなんやら付くほど、黒猫を探し、そのせいで遅刻するなんて。子供みたいにかわいい一面もあるんだな。本当にガキっぽい、けどそのガキっぽさには共感が持てる。<br>　天照の弱点を握って上機嫌にヘラヘラしている那実の電話が鳴った。<br>　「もしもし、伊佐やけど・・・あっそうなん？ OKわかった、ほなまた」<br>　一体誰からだろう、というかこのピクニックに誰を誘ったのか気になる。<br>　「コノカは後から来るって、ほんで沖田先生も一緒にくるみたい」<br>　ってことはこの3人で、しばらく過ごさなくてはいけないのか？それは気まずいぞ、「何時くらいに先生らは来るん？」<br>　「現地に行っといて言われたからなぁ、でもあの2人弁当係りやから昼までには来るやろ」<br>　それじゃ、長くて4時間はこの3人でいなきゃならないのか。一気に時間の流れが、飴を溶とすように遅く感じる。<br>　「あれ？ まだ来てないんじゃない」<br>　「せやで、先輩のクセに遅刻やて、情けない」慌てて僕は聞き返す。<br>　「まだ誰か来るの？」一体誰なんだろう？先輩？何の先輩なんだ？<br>　「俺ら1年の教育係みたいな人やな、あの人のことを知る為に呼んだんや」<br>　口を尖らせて、天照は「無理に決まってる」と断定の言葉を吐いた。<br>　「電話してみるわ、まだ寝てるかもしれんし」そう言って、那実は僕らより5歩くらい離れて<br>いった。　<br>　ふと、天照を見ると、スカスカのリュックを背負っていた。やっぱり那実の言うことは間違ってなかったんだな。そう思うと、あの天照の態度がやけに可笑しく見えて、笑いをこらえることが出来なかった。<br>　「電話中やぞだまっとけ」<br>　「私を見て笑ってるの？ ちょっと失礼すぎるでしょ」そんなこと言われたって、つぼに入ったんだから仕方ないだろ、人の感性をくすぐるものがどこにあるのかわかったもんじゃないよ本当に、それより、「どこまでピクニック行くか聞いてる？」<br>　あきれた表情の天照が猫を抱き上げながら言う。<br>　「目的地も聞かされずによくピクニックに行こうと思ったわね」<br>　だから、僕はピクニックに行くことを知らなかったんだよ。<br>　「あなたはそこまでバカじゃないと思ってたけど・・・。行く場所はあなたがよくご存知の場所よ」<br>　って遠まわししないで言ってくれよ、いちいち回りくどいやつだな。<br>　「少しは考えるってことを知らないのかしら、行く場所は・・・」と唾を飲む天照。<br>　引っ張りすぎだろ？早く言えよ。<br>　「大仙公園よ」<br>　あぁ、あそこね・・・って遠すぎだろ!!てか地元じゃないか!一体、那実は何を考えてるんだ。<br>　あいつの思考を理解することは特殊相対性理論を理解するよりも難しいのかもしれない。</font></p>
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<pubDate>Sun, 10 Feb 2008 22:11:41 +0900</pubDate>
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<title>超心理的青春　その14</title>
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<![CDATA[ <p>超心理的青春　第二章　その終</p><br><p>【滅亡と唐突】</p><br><br><p><font size="2">　衝撃的な出来事の帰り道。僕はまだ錯乱状態ということを知ってか、那実は話しかけてくる。頭痛もする、頼むから少し黙っててくれないかな。<br>　「お前は薫ちゃんが本当に超能力あると思うか」僕の顔を見ず、どこか遠い目をして那美は言った。<br>　「あるっていってたじゃないか。超現象を自分の身に起こりやすくする能力やろ」沖田先生はそう言った。嘘をついてるようにも見えなかったし、間違いはないはずだ。それにそれが嘘とわかる根拠なんてどこにもないはずだ。嘘発見器的能力が、もしあるなら人間不信になって、今頃、僕は火に焼かれて小さい箱の中だよ。<br>　「嘘なんや、薫ちゃんの言ってることは」だから、「根拠なんてどこにもないやろ」<br>　「お前はわからんのか？」本当に深刻そうな顔をして那実は言った。<br>　「薫ちゃんには超能力者特有のオーラが感じられへん」またわけのわからないことを。そういう霊的な話しばかりしてると頭が可笑しくなってくるぞ。ってもうおかしいか。<br>　「お前はまだ能力に目覚めたばかりで気付かんだけやけど、いつかは気付けるはずや『こいつはなんか違う』っていう雰囲気に」<br>　それは、動物にある危機察知能力に似ているものなのかもしれないと那実は言った。<br>　「なんで沖田先生はそんな嘘をついたん？」そうだよ、すぐにばれる嘘を。そんなことを言って超能力者になれるわけではないし、信頼を得れるわけでもないし、逆に不信に思ってしまうだろう。本当によくわからない人だ。<br>　「俺にもあの人の真意はわからへんよ。でもお前も超能力が身についてよかったよ本当に」屈託のない笑顔で僕を見る那実。わからないことがあるとすぐ話を帰るのはこいつのクセだ。<br>　それにしてもどうしたんだこいつ？ 放課後の時は「なんでここにおるんや」って迫ってきたくらいなのに、今じゃその笑顔かよ、お前もやっぱり変な奴だよ。<br>　「夕方はあんなけ拒否しといて今じゃ大喜びか。ホンマにコロコロ変わる奴やな」<br>　「それは組織の集合場所におったから言っただけや。超能力が身につくのは大賛成やで」そういって那実は落ちていた空き缶を蹴った。空き缶はクルクル回って車道に出て行く。<br>　「超能力が身につくのが何でそんなにいいこと何？」僕がそう言った瞬間、那実が蹴った空き缶が車の車輪に見事衝突して、ぺしゃんこにならずにこちらに跳ね返ってきた。<br>　僕は何も出来ず、ただその缶を眺め「あの缶、アルミじゃなくてスチールだな」くらいしか考えられなかった。あまりにも唐突過ぎて。しかし那実は驚くほどの反射神経と冷静さで、時速80キロはある空き缶を華麗にカバンで弾いた。曲芸すぎる。僕はただ呆然とするしかなかった、あわや顔面流血になりかねないその出来事を、花を摘むように簡単に防いでしまったことに。ただ、ただ、驚愕のひとことだった。<br>　これがお前の能力なのか那実。<br>　「と、まぁ訓練すればこういうこともできるようになるねん、あともうひとつは・・・」呆然としている僕をそっちのけで話しを続ける。「地球がもうすぐ死ぬんやってさ」<br>　何と大それたことを日常会話みたいに言うんだ？ またいつもの冗談だろ。<br>　「冗談ちゃうよ、ホンマのことや。あと約10年後かな？ これは裏社会では常識らしいで」<br>　「ってことは、僕らの寿命もそこまでってことか」<br>　あまり信用しない方がいい、こいつは恐らく夢で見た出来事と現実の出来事を区別できない人間なんだから。軽く聞き流す程度に・・・しておきたいけど、『裏社会』てのが気になる。<br>　「誰からそんなわけのわからんこと聞いたねん」<br>　「薫ちゃんや」<br>　また沖田先生かよ。一体あの人は何者なんだ。<br>　「組織の幹部で俺たちの指揮官的存在やで」<br>　「だからあの人は僕が超能力者になったことを喜んだのか、コマは１つでも多い方がいいもんな」その一言がいけなかったのか、那実は僕をにらみ付けた。何を怒ってるんだこの野郎。<br>　「薫ちゃんはそんな人やない、お前の人の見る目のなさには驚きやわ」<br>　それはご苦労なことだ。勝手に驚いてくれ、世の中にはもっと驚くことがあるだろ？ スイカが野菜っていう方がまだ驚けるよ。<br>　「まぁ薫ちゃんのいい人具合はこれからわかるやろうな、いくら人間不信のバカヤロウでも」僕のこと言ってのかこいつ？<br>　「そんなことより、お前が超能力者であることに喜んだ最大の理由それは・・・」那実は不敵な笑みで僕の顔を見る、そんなに僕の驚く表情を拝みたいのかこいつは。仕方ないか、今日は色々面倒かけたから、誠心誠意を込めて演技してやるよ。感謝の意を込めて。<br>　「超能力を持つ人だけが、宇宙に脱出できるんや」<br>　僕は驚くフリが出来なかった。あまりにも意味がわからなく唐突すぎて。もうなんだか唐突なことばっかりだな今日は。恐らく僕が無表情だったからだろう、もう１度那実が言う。<br>　「だから、超能力を持つ人だけが爆発する地球から逃れられるんや」<br>　いい加減慣れたいものだ、こういうとんでも発言には。けど何度聴いても慣れる兆しが見えやしない、ここから富士山を見ようとするくらいに慣れることは無謀かもしれない。そんな気がする。<br>　僕は息を整え、やっと一言口にする。「なんで超能力を持つ人だけなん？」<br>　「全国民を乗せれるようなロケットなんか作れるわけないやろ。だから特別な能力がある俺たちに行く資格があるらしいで」<br>　なんだか納得いかないけど、そういうことなんだろうきっと。というか納得なんてしたくないけどな、こんなことに。<br>　「まぁ詳しいことは明日、薫ちゃんに聞きや」<br>　「明日会いに行くんか？」　<br>　「そうや、朝から行くで、だから今日は深夜番組なんか見てたらあかんで、遅刻したら怒られるからな」<br>　それはそうだな、人を待たすのは最低なことだし、けど沖田先生が遅れてくる可能性はかなり高いよな。まぁいいか。ていうか、朝からなのか。先生の都合もあるんだろうけど、休日くらい午前中は布団の中にいたいよ。<br>　「何をだれたこと言うてんねん、高校生がそんなこと言うたらあかんやろ」<br>　誰がそんなこと決めたんだよ、そんなことを言う高校生の方が圧倒的多数だと思うけど、まぁこれ以上反論しないでおこう、頭も痛いし、それに何だかんだ言ってこいつはこいつなりに僕のこと気にかけてくれてるんだな。<br><br>　満月が照らす帰り道、その不気味な輝きを忘れて僕の心はただ高鳴っていた、これから出くわすであろう、非日常な日々に、漫画やドラマや小説の出来事のような世界が本当にあるんだということに、ただ、心が満たされていた。崎野さんのことを忘れるほどに。</font><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/ryouka2/entry-10071721145.html</link>
<pubDate>Sun, 10 Feb 2008 22:08:40 +0900</pubDate>
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<title>超心理的青春　その13</title>
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<![CDATA[ 超心理的青春　第二章　その6<br><br>【崎野心花と黒い夢】<br><br><br><font size="2">　開かれたドアの先には、驚いた顔をする僕によく似た顔と、毎朝花屋で見かける小さな顔に大きな目をして艶やかな唇をした中学生がキョトンとしていた。<br>　空気は沈黙。<br>　僕も驚いて声が出せないでいる。何故奴がここにいるんだ？　いや考えなくてもわかることだけれど、一応確かめてみよう。そう思い口を開こうとした瞬間。<br>　「うっそぉ？凄いわぁ」<br>　鼓膜が痺れるほどの声で、桃の花びらのような顔をした中学生が言った。どこからそんな声が出るんだ？<br>　「なー君、いつからそんな超能力使えるようになったん？分身の術って忍者みたい」<br>　そう言って腹を抱え、涙を流す。大爆笑だ。それより『なー君』とは那実のことか？<br>　「そんなすごい能力使えるなんて知らんかったわ。コノカを驚かすためなん？」<br>　笑いをこらえながら必死で話すけれど、たまに堪えきれず唇から空気が漏れる。<br>　そこに那実が空気を元に戻すかのよう冷静に、「ちゃうよ、これは兄弟の薙や」<br>　「兄弟？ってことは双子やったん？　初耳やぁ」<br>　そう言って彼女は僕の顔をまじまじと見る。そんなに凝視されると照れてしまう。<br>　「ほんまや、ちょっと顔違う。ごめんなさい笑ったりして」<br>　そう言って斜め45度くらいに背中を曲げて、お辞儀を慣れたようにする。いつも店の接客でやってるからなれているんだろう。<br>　「ここにおるってコトは・・・」<br>　彼女はそう言うと沖田先生に目配せをした。恐らく僕が超能力者かどうか確認を取ってるんだろう。<br>　「超能力者なんやぁ、これからよろしく」<br>　そう言うと僕の方に一歩近づき、<br>　「あたしは崎野心花（さきのこのか）。よろしくお願いします」<br>　そう言うと営業スマイルとは別の、親しみが伝わってくる笑顔を僕に向けた。<br>　照れ隠しに僕は、「花屋でサキノってなんかネタみたいやな」何を初会話の人に失礼なことを言ってるんや僕は。<br>　僕はパニックになると、後先考えずに出てきた言葉を口から発するタイプの人間のようだ。<br>　しかし彼女はそんな言葉を気にすることなく、<br>　「でもなんか運命みたいやろ？　花屋をする運命に生まれたって気がして。あたし、生まれたころから花が好きやから、やっぱり運命かなって思う」<br>　今の言葉で何回、運命って言葉を使ったんだろう。それほど日常会話に出てくる言葉じゃない気がするんだけど。<br>　と、ここで薙が割り込んできた。人がせっかく崎野さんと話してるのに、邪魔するなっての。<br>　「お前ほんま、何でここにおるねん」こいつはさっきの話しを聞いてなかったのか？　呆れる奴だ。<br>　「だから超能力があるからここにおるんや」<br>　「それはわかってる」<br>　なんだとこいつ、わかってるんなら、そんな質問するなよ。<br>　「俺は何でお前がここにおるんか聞いてるんや」<br>　ったくめんどくさい奴だ、いちいち説明するのがめんどくさいけれど、こいつがこんなに興奮しているのはあまり見たことがない。仕方ないのでここまで来た経緯を説明した。<br>　「そうか、そうやったんか」そう言うとうつむいて、落胆の表情を映す。<br>　なんだこいつ。わかってるんなら、そんな質問するなよ。<br>　「天照沙希が、やっぱりあいつが要注意人物やったんか」<br>　どういう意味？<br>　「俺はお前を超能力を持ってることに気付いて欲しくなかったんや」<br>　沖田先生は那実を試すような声色で言う<br>　「あら、それはどうして？」<br>　少し口をもごもごさせて那実は言う。なんだ？　 そんなに言いにくいことなのか。<br>　「嫌な雰囲気がするんや、この組織には、先輩とかもだんだん・・・」<br>　「おっと那実くん、言って良いことと悪いことがあるわ」<br>　沖田先生はいつもみたくのんきな声で言ったけれど、その中に明らかな怒りを感じた。<br>　那実はなんて言おうとしていたんだ？<br>　「那実、その組織って何なん」<br>　「まだ聞いてなかったんか」驚きと、やってしまったという声が聞こえてきそうなくらいの表情をしてそう言った。<br>　「今から説明するわ、薙くん」<br>　いつもの雰囲気に戻る沖田先生。凄い感情の切り替えだな、やっぱり女性は怖い。<br>　「この学校では、あの薬を打たれた生徒の中で超能力に目覚めた人に限り、ある活動をしてもらうの」<br>　「ある活動って？」<br>　「国を守ったり、悪い人を捕まえたりするの」<br>　そんなことをするの？ ていうか、「そんなこと警察に任せればいいじゃないですか」<br>　「出来ないから言ってるのよ」<br>　どういうことなんだ、警察が解決できないようなことを僕らがやるって言うのか。出来るわけないじゃないか。<br>　「裏の警察ってコトよ。警察は市民のためでしょ」<br>　そりゃそうだよ。<br>　「で、私たちは、国を守るためにがんばるの」<br>　国のために僕達が、何をどうがんばれるのかが全くわからないんだけど。<br>　「簡単に言っちゃえば、国にとって邪魔な存在を消してしまうのよ」<br>　暗殺者ってこと？<br>　「まぁよく似てるけど、殺すことまではしなくていいわ、その手伝いをしてもらうだけ」<br>　「例えばどういうことするんですか」<br>　それは正義なのか悪なのか、ちょっと微妙だぞ。邪魔な奴を消すって言うところが怪しい。<br>　「うーんとね、最近、有名な映画監督が脳卒中で倒れたわよね」<br>　確か、ニュースでも取り上げられて、監督の作った映画の出演者たちが、メッセージを送る映像はよく流れていた。まぁ彼らが本当に心配しているかどうか気になるところだけれど。その監督とどう関係あるんだ。<br>　「あの人は脳卒中で入院してなくて、死んでいるわ」<br>　どういうこと、ニュースじゃ病気と言われて、最近じゃ、監督は容態も回復してきて、朝のニュースで生電話もしていたぞ。もしかして、この組織にはマスコミを動かすほどの力を持ってるってコトなのか。<br>　また沖田先生のちんぷんかんが飛び出したのか、本当のことを言ってるのか気になって、斜め後ろにいる2人を見たけど、2人は俯いたままだ。<br>　「那実、どういうことなん」<br>　僕は出来るだけ、落ち着いた声で言ったつもりだけれど、実際、声はビブラートしたみたく震えていた。<br>　「俺は何にもしてないで、先輩達がやったことや」<br>　決して目を合わせようとしない、こういうときの那実は高確率で嘘をついている。けど、今の空気は問いただせるようなものではない。<br>　「能力が発覚して半年は研修期間だから、難しい事件には関わらせないようにしているわ、極力」<br>　極力ということは、関わることもあるっていうことだよな。<br>　それよりももっと気になることがある。<br>　「何故、その映画監督を殺したんですか」<br>　「私たち、組織のことを感じらせるメッセージを含んだ作品を作ったことと、国民に対して不安を与える物語だったからよ」<br>　日常会話のように言う様子に、人を殺すという罪は全く感じられなかった。<br>　もしかして本当にやばい組織なのかな、誰か冗談だと言ってくれよ。<br>　「大体わかりました、ほな僕はこの辺で」<br>　もうこの場にいたら頭がおかしくなりそうだ。そう思い右足を前に踏み出した瞬間。<br>　壁や那実たちがゆがんで見える、沖田先生の声が機械音のように、一定の高音を鳴らし続けている。どうしたんだこの教室は。もしかして、他の超能力者が僕を教室から出さないようにしているのか。負けじと僕は左足を踏み出した瞬間、バットで殴られたような感触が後頭部に響き、目の前が真っ暗になった。<br><br>　そこは何よりも暗く、暗闇なんかよりずっと暗く、太陽が消えた世界。<br>　僕は不安になって光や声を探すけれど見つからない。<br>　その不安はどんどん膨らんでいって、それを抑えるために僕は走り出した、走れば何も考えずにいれると思って。<br>　けれど、そんなことで断ち切れなかった。5分ほどするとまた次の問題が発生する。<br>　「一体どこまで走れば、家や電柱なんか見えるんだろう」<br>　周りを見渡しても、何もない。あるのは黒、見えるのは自分の体だけ、でもあるという実感がない。<br>　僕は何か叫ばずにいられなくなっていた。<br>　「誰かおるんか？ おるやろ、返事して」<br>　ひたすら繰り返すけれど何も聞こえてこない、自分の声すらも聞こえてこない。<br>　不安は積み重なる一方、今は何時なんだ、時間は進んでいるのか、一生このままなのか？<br>このままなのか。<br>　その言葉を脳内で浮かべた瞬間、叫んだ。<br>　それは泣き声にも似ていたのかもしれない。響かないから聴こえないけれど。<br><br>　しばらくして、叫ぶことに疲れた僕は、うずくまって何も考えず、ただ暗闇を眺めていた。<br>すると何か聞こえた気がした。<br>　白い靄がかかったような声で、しっかり聞き取れない、もしかしたら幻聴かもしれない。<br>けど次の瞬間、しっかりとした声に暗闇は包まれた。<br>　「崎野はもう帰り、夜も遅いし」<br>　那実の声だ。<br>　その声は僕の脳内で何度も何度も巡り、脳内がその声で埋め尽くされた瞬間、崎野さんの顔が見えた。僕は驚いて反対側に顔を向ける。<br>　って、ここはどこなんだ？　そう思い僕はすぐに体を起こす、その瞬間、頭に軽く電流のような痛みが流れ、僕は痛みよりも驚きで「イタっ」ッと言ってしまった。<br>　「大丈夫ぅ、薙くん」<br>　最初に声をかけてくれたのは崎野さんだった。次に、「いきなり倒れるからびっくりしたけど、仕方ないか」何が仕方ないんだかわからないけれど、それよりここはどこだ？<br>　周りを見渡しても見慣れない場所だ、ベッドや消毒液、何かの錠剤が見える、保健室なのか？　けれで、定番の体重計や人体模型やら、学校にある保険の道具が見当たらない。<br>　「ここはどこや」<br>　考えても答えにたどり着けないしこれ以上考えると頭が割れそうなので、那実に聞いてみた。<br>　「ここは組織のためだけの治療所や、まぁ学校の中やけどな」<br>　そうなのか、組織のための・・・、って保健室のほかにこんな部屋があったのか、学校に。<br>そういえば、沖田先生は？<br>　「仕事で大阪にいったよ」<br>　「生徒が倒れたのに看病もなしか」<br>　「よくあることなんや」何がよくあることなんだ？　主語を言え主語を。<br>　「沖田先生が出張によく行くことと、超能力を使いすぎると、脳に負担がかかって眠ってまうことや」<br>　強制終了ってわけね。<br>　「ほなお前も目が覚めたことやし帰るか」<br>　「すまんな心配かけて。崎野さん、夜遅いのにごめんな」<br>　「全然ええよ、コノカも心配やったし」<br>　そう言って、微笑む姿を僕は一生忘れないように目に焼き付ける、あの暗闇の中でも見えるように。<br><br>　帰り道が一緒なので3人横に並んで歩く。真ん中に崎野さん、その左に僕、空いた所に那実というポディションだ。<br>　那実がいなければ最高の帰り道になったんだろうけれど、3人で他愛のないことを話す帰り道もそれはそれで楽しかった。天照だとこうはいかないだろうな。<br>　「僕、最近やけど崎野さんを登校時に見かけるで」<br>　「え？どこでですかぁ」いやいや、その質問はおかしいやろ？　今朝だって笑いかけてくれたじゃないか。<br>　「今朝、花屋で見かけたんやけど」<br>　「そうやったんですか、ごめんなさい、あたし仕事中は仕事しかしなくって」どういう意味？<br>　そんなこんなで話しているうちに、いつの間にか崎野さんの家である花屋の前辺りまで来たので、サヨナラを言おうとしたとき、<br>　「月曜日からはよろしくお願いします」そう言って、手を振りながら笑顔で、店じゃなくて家の方に走っていった。<br>　「どういうこと那実」<br>　「どうもこうも、彼女は来週からうちの学科に転校してくるんや」<br>　「崎野さんって高校生やったん？」<br>　「そうやで、飛び級とかじゃなく純粋な高校生や、まぁ間違えても仕方ないやろ」<br>　僕の目がおかしいのかもしれないと思い、振り返って崎野さんを見た。<br>　手を振りながら僕らを見送る彼女は、高校生と認識してもやっぱり中学生にしか見えなかった。<br>　双子のフリをして歩く帰り道、那実の言葉を右から左へ受け流し、僕は暗闇の夢のことが頭から離れなかった。</font><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/ryouka2/entry-10071157324.html</link>
<pubDate>Fri, 08 Feb 2008 16:05:04 +0900</pubDate>
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<title>短編小説　【夢現】</title>
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<![CDATA[ <br><strong>【夢現】</strong><br><br><br><strong>【夢七つ】</strong><br><br>　<br>　凛とした夜、月だけが辺りを照らす。星は両手で数えるほどしかない不思議な空。<br>　裕美は夕御飯を調達するために、釣り糸を川へ投げ込み、糸を巻いては投げ、巻いては投げてを繰り返していた。けれど裕美はそんな単純なことを苦しいとは思わなかった。なぜかというと、<br>　「うわぁ、今日は大量だよ！　釣り糸を投げるたびに魚が釣れるなんてありえないっしょ」<br>　今日のあたしは絶好調の絶対無敵。誰が来ようとも今日のあたしに釣りで勝つことはできないのよ。<br>　ありえない釣果にすっかり上機嫌な裕美は、当初三匹釣るつもりだったが、今ではバケツ一杯、数えるのが苦労するほどの魚を釣り上げていた。<br>　「うっ！　これは大物だよ！」<br>　ぐっとしなる竿、確かな手応え。裕美は一瞬で今日一番の大物と確信した。<br>　この引きは池の主かもしれない。さすがあたし、本日絶好調！<br>　今日の勢いと共に引き上げた竿には、なんと魚ではなく、<br>　「なんだこれ？　ライオンの置物？」<br>　それは鉄製のライオンの置物で額には『Z』と言う文字が刻まれていた。裕美はどこのメーカーのものか頭を巡らせたが、そんなマークは見たことがないという結論をすぐに導き、ついでだから、その置物を魚が入ったバケツに入れた。<br>　せっかくいい調子で釣りをしていたのに、大物と思っていたらあんな置物が釣れるとさなると、さすがにだれてしまったらしく、店舗よく片付けを済まし、その場を後にした。<br>　しばらく山道を歩き、家へと続く一本道にたどり着いたころ、突然後ろの方から声が聞こえた。裕美は気になり、耳を澄ますが遠すぎてよく聞こえない。<br>　このまま立ち止まっているとお腹と背中がくっつきそうになったので、声のたよりを探すことを諦め、裕美は足を前に踏み出した。すると、足下の茂みが静かに揺れ、木々の雑音とともに老人が飛び出してきて、裕美の前でいきなり土下座をした。それは深く深かった。<br>　「お願いだ。そのライオンをわしに譲ってくれ、頼むこの通りじゃ」<br>　よく見ると土下座をしているのは、この辺りで一番の金持ちの老人だった。<br>　いつもは偉そうに命令したり、見下すそんな老人が、凡人のあたしに土下座までするのだから、このライオンの置物はすごく貴重な物なんだろう。よし、これは何かのチャンスかもしれない。<br>　「いいよ、これあげる」<br>　裕美は老人を見下ろし、置物を手に取った。<br>　「ほんとうか」<br>　「ばか、誰が土下座やめていいっていったんだよ、そのままでいろよ。じゃないとこのライオンあげないよ」<br>　「あぁ、すみません、裕美さんのいう通りにしますので」<br>　裕美は最高に幸せだった。生きていてこれほど気持ちいいことがあっただろうか、なんて爽快な気分。いつもは名前なんて呼ばず身分で呼ぶくせに、それがこの態度。裕美は大釣果のときよりも倍くらいの幸せをかみしめていた。<br>　「そんなことをしてもあげないよ」<br>　裕美はそういうと家に向かって一直線に走り出した。<br>　「ちょっと待ってくれ、お願いじゃ」<br>　そう叫ぶ老人を無視して、裕美は舌を出し、<br>　「あんたみたいな人にあげるわけないでしょ。ばーか」<br>　言いたいことをすべて言い切り、胸のもやもやがすっかり晴れた裕美は、疲労困憊しながら追ってくる老人の姿を想像し、さらに上機嫌になった。<br>　しかし、裕美の予想とは裏腹にその老人はありえない速度で走り、裕美が釣ったライオンの置物に手をかけた。<br>　「お前の傲慢さにはほとほとあきれるわい」<br>　裕美は驚きのあまり声が出なかった。夢と現実が入れ違ったようにしか思えない状況に、罵倒する気力をすべて吸い取られたように。<br>　その老人は裕美が釣り上げたライオンの置物を引ったくり、そのまま夜の町に消えていった。<br><br>　「返せー」<br>　「何が帰せだ馬鹿やろう！　授業中に寝る奴なんてとっとと帰っちまえ」<br>　その声で裕美はさっきのことが夢だと気づいた。<br>　そうだった、今は５時間目の国語の授業だった。しかも先生すごく怒ってるよ、謝ろうかな？　どうしよう。<br>　なんて考えている間に裕美は廊下に放り出された。　<br>　裕美は夢を見るのが好きな少女だ。現実の夢ではなく、睡眠時に見る夢の方だ。何だかよくわからない矛盾した出来事でファンタジックな幻想を体験できることが何よりも楽しいらしい。<br>　それにしてもどうかしてるよ、授業中にレム睡眠に陥ってしまうなんて、あたしらしいと言えばあたしらしいけれど。そういえば最近夢を見る日が多いなぁ。<br>　裕美は昨日も一昨日も夢を見た、恐らく三日連続だろう。しかし見たと言うことを覚えているけれど、その内容までは覚えてはいない。普通ならその内容を思い出せない自分に苛立つだろうけれど、裕美はそんなことがなかった。また夢を見れば昨日見た夢も一昨日見た夢も思い出せる、何となくそんな気がしたから。それは夢よりもずっと不思議な気分だった。<br>　そして裕美の予感は的中した。その日の夜、またあの星がごく少しの世界へ舞い降りた。<br>　裕美は早速思い出すことにした、昨日の夢と一昨日見た夢を。するとやっぱりすんなりと思い出せた、普通ならそれは不思議なことだろうけど、裕美にとっては空気中に酸素が含まれていることと同じくらい当たり前だと思っていたので、安心することも喜ぶこともなかった。<br>　一昨日見た夢はずぼらで優雅な夢だった。何もせずに料理が運ばれてきたり、お風呂が勝手に目の前に現れたり、欲しい物を願うと手に取れると言う、まさしく典型的で堕落しきった夢だった。<br>　昨日はユニコーンの音楽とともに現れる男が、いつも金を借りにきては踏み倒すと言う最悪な夢で、確かその男を怒鳴り散らしたところで夢が終わった気がする。<br>　そして今日はどんな夢を見れるのだろうと心待ちにしていると、香ばしい匂いが鼻を通った。裕美はそのまま鼻に任せ匂いをたどると、そこはTVで見たこともある有名とんかつ屋だった。<br>　早速のれんをくぐると、そこには脂身がちょうどいい具合に乗った豚肉を切る店員姿が。たまらず裕美はとんかつ定食を一人前注文することにした。<br>　「おじさん、一番おいしいとんかつ１つ！」<br>　あいよ！　と愛想のいい返事が返ってくると裕美はさらに上機嫌になり、箸を両手で持ち鼻にかけた。<br>　とんかつが揚がるまでの間、暇つぶしをしようと店内を見渡すが、そこには娯楽と言う言葉がつく物は何一つなかった。あるのは机と椅子、それと箸とお手拭きだけという最小限の物しかおいていないようだ。<br>　しかたない、数十分の辛抱だと思い、お手拭きを取ると、カランという綺麗で高い音が響いた。<br>　「サイコロ？」<br>　サイコロは裕美の目の前で2と5の数字を向けてとまった。<br>　なんでサイコロしか置いていないのだろうと少し不安に思ったけれど、そこは店長のこだわりなのかもしれないと思い、店員に問うことはせず、裕美はサイコロを転がしながら豚がパン粉で揚がるのを待った。<br>　そろそろサイコロ遊びにも飽きた頃、裕美の前にからっと揚がったとんかつが黄金色の衣に身を包み油のいい匂いをさせた。<br>　裕美はいただきますを言うよりも先にとんかつを口にいれ、さくっとした衣の感触とその肉汁に絡み付くソースを口いっぱいに広げ、空腹を満たした。<br>　「これ美味しいよ！　こんな美味しいとんかつ食べたの初めて！」<br>　裕美はそのとんかつがあまりにも美味しかったので、口の中をもごもごさせながら店員に言った。<br>　「それはうれしいことでござんす。もしよけりゃあドンドン揚げますよ！　その気持ちに免じてお代はその定食代のみでよろしいので」<br>　「本当に！？　じゃあお願いします、マジでうれしいよあんがと！」<br>　思ってもいない幸福な出来事がさらに食を進ませ、あっという間にとんかつを一枚平らげた。すると今度はテンポよく二枚目、また食べ終えると三枚目と運ばれてきて、裕美の箸は止まることがなかった。不思議と満腹感はない。<br>　「あんまり食べると嬢ちゃんのお腹破裂しちゃうよ」<br>　「ははっ、面白いこと言うねおじさん。そんなわけないじゃないかぁ」<br>　と言いつつも、自分の腹に手を当ててみて少し不安になったけれど、本当にそんなことがある訳ないので、さらに裕美は腹を膨らましていった。<br>　机の上がとんかつをのせた皿でいっぱいになったころ、さすがの裕美も自分の明日からの体重が気になり箸を止めた。いつもより十倍近く腹が膨れている。<br>　「ありがとう！　すんごくおいしかったんだから。またくるね」<br>　そういってのれんに手をかけると、店員が裕美の手を引いた。<br>　裕美は食べ過ぎたからやっぱり全額払えと言われると思い少し不安になった、そんなお金を持っている訳がない。裕美の計算では軽く一万円を超えていつ。　<br>　すると店員は、<br>　「いやお金は大丈夫、ただこれさえ返してくれればね」そう言うと引き出しから七センチ程の大きな針を右手で持ち、裕美の大きくふくれたお腹に突き刺した。<br>　するとお腹が破裂し、パーンと風船が割れたような音が店内に響き豚肉をまき散らした。<br>　裕美は何がおこったかわからず、お腹に手を当てることも忘れ、ただ空中を舞う豚肉を凝視した。<br>　「暴食の先に何があるのかね？　まいどありー」<br><br>　「と、とんかつー」<br>　「何だよ、うっせぇな、起きて第一声がとんかつなんてどれだけ食い意地はるんだよ。それに朝からとんかつなんてどんな胃袋してやがるんだ」<br>　その声で、やっと裕美は布団の上だと気づいた。<br>　「あたしなんか言った？　おにい」<br>　「とんかつって叫んだ。うっさい」<br>　もちろん先ほどの夢のことなど裕美は覚えてもいなかったので、その言葉を不思議に思いながら朝ご飯の用意された台所に向かった。<br>　どうやらまた夢を見たようだ、それだけはわかる。でも内容はさっぱり。こんなのが四日も続くなんてあたしはどうかしている。<br>　夢を見ることが好きな裕美も、さすがに少しずつ恐怖を覚えてきた。<br>　そんな裕美の気持ちを知ってか知らずか、その次の日も夢を見た。<br>　その夢はすごく現実的だった。<br>　<br>　おにいのお小遣いが裕美よりも三千円も多かったので、お母さんに文句を言いにいくと言う夢だった。確かその理由は、おにいが野球部でレフトを守っていてレギュラーだから、という帰宅部の裕美には反論できない理由だったので、口答えができず悔しい思いをした。<br>　もちろんその夢も、夢から覚めると思い出すことはできなかった。<br>　そしてまた夢を見た。<br>　<br>　その夢で裕美はなぜだかある男に凄まじいまでの恋心を抱いていた。　<br>　「何であたしを好いてくれないの？　あたしはこんなにもあなたに尽くしてるんだよ」<br>　あたしはどれほどこの男のために色々としてきたのだろう、ご飯の支度はもちろん、掃除もしたし、生活費まで渡して、さらにプレゼントまで送っていたのに、不思議でならない。会話だって弾むし、けんかなんてほとんどしないのに。どうして。<br>　それは裕美の声にならない叫びだった。　<br>　しかし男はそれを知ってか、裕美と友達以上の関係を持つことはなかった。<br>　「うるさい、お前は蠍座の女だから良いんだよ。ただ働いてりゃいいんだ」<br>　そう言うと、男は引き出しから、裕美の貯金を取り出した。<br>　「そのお金どうするの？」<br>　「あ!?　今からちょっといってくるさ」<br>　そう言って、酒を飲む仕草をしながら、男は家を出て行った。<br>　裕美は男を引き止めることをせず、そのお金さえ渡していれば家にいてくれるのだからそれでいい。本気でそう思っていた。<br>　しかし夜が更けても男は帰ってくることはなかった。裕美は心配になり、男を捜しに家を出た。<br>　嫌な予感がしたのだ、もしかすると、他の女と過ごしているのかもしれないという、最悪の出来事が起こる気が。<br>　十分程走り回って疲れ果てた裕美は、ふと目についた公園で休憩することにした。ベンチに座り息を整えようと思い、辺りを見渡すと、なんと偶然あの男の姿が瞳に映った。<br>　あまりのうれしさに裕美は男の方へ駆け出したが、男の腕には最悪の出来事の象徴である女性の腕が絡み付いていた。<br>　どうして？　こんなに愛しているの、こんなに尽くしているの、思っているのに、あなたはあたしを見てくれないの？　いつになればこの螺旋から逃れられるのだろう、もしかすると一生届かないのかもしれない、もしそうなら、そうだとするならば……。<br>　「てめぇ何しやがる」<br>　その声に裕美は気を持ち直し、男を見た。<br>　腹部から血が溢れ出ていた。<br>　裕美は自分の手に違和感を感じ、ふと目を落とした、そこには血に濡れた包丁と赤く染まった自分の手が映った。<br>　男は裕美を睨みつけ、呪いを告げるようにつぶやいた。<br>　「色欲は心を狂わせる……か」<br><br>　「あたしは悪くないんだから！」<br>　「ワン！」<br>　そう鳴きついて裕美の頬を柴犬が舐めた。<br>　「あれ？　なんであたしの部屋にいるのナイン？　あたし読んだっけ？」<br>　「ワンワン」<br>　機嫌良くシッポを左右に降るナインの様子を見る限り、あたしが名前を呼んだか散歩の時間かのどちらかだ。空を見るとまだ明るさを取り戻し始めた色をしている。この時間だとまだ散歩の時間ではないし、とすると寝言でこの子を呼んだのかな？　それにしても今日は特に寝心地が悪かった気がする。何だかもう嫌だよ。<br>　立て続け見る悪夢に裕美は心底疲れ果てていた。もちろん夢の内容までは覚えていないけれど、喜か哀くらいの判別はついた。<br>　もう怖いよ。もう今日は寝ないでいよう。こんな気分になるくらいなら寝ない方がましだ。夢なんてなくなっちゃえば良いんだよ。<br>　そして太陽は落ち、時計が三を指す頃、裕美は案の定寝息を立てていた。恐怖感も睡眠欲には勝てなかったようだ。<br>　その夢はいつもの月が照らし、星の少ない世界ではなく、真っ赤な、血よりも紅い色で包まれていた。<br>空には何もなく、ただ紅が広がるだけ。もちろん家やら電柱などある訳がない。<br>　裕美は不安になり、いてもたってもいられずどこに行く当てもないのに駆け出した。遠くにいけば誰かに会えるかもしれない、何か建物があるのかもしれない。<br>　そんな裕美の期待を裏切るかのようにただ永遠と紅の世界は続いた。<br>　どうしてこんなに空が紅いの？　みんなは消えてしまったし、もしかしてここはあたしの住む世界ではなく異次元ではないだろうか、きっとそうだ。あたしはもしかすると四次元に迷い込んだのかもしれない。<br>　裕美はこのとき普通の考えができなくなっていた、何時間も走り回っても同じ景色という現実はそれほど心を傷つけた。異常なまでの心拍数、滴る汗、紅くともる体。この世界では何もないのかもしれない、そう絶望しそうなときだった。<br>　「チャリン、チャチャ」とリズムもよく響き渡る鈴の音がした。<br>　音の大きさからさほど遠くない。耳を澄まして位置を確かめると、音は少しずつ小さくなっていく、それはかすかに動いていた。このままだと見失ってしまうかもしれない、このチャンスを逃すともう二度と巡り会えない気がして、裕美は疲れた体を必死に動かし、ただ鈴の音のする方へ進んだ。<br>　しかし一向にその音の場所がつかめない。少しずつ音は近くはなってきているのだけれど、人の気配が感じられない。もしかして心霊現象かもしれないと不安になったけれど、裕美はとにかく何かを見つけたかった、それは例え幽霊であっても、自販機でも、何でもよかった。ただ人とのつながりにある物に触れたかった。<br>　その鈴の音を追ってついに一時間が経過した。その音は頭を響かせるくらいの大音量でこの辺りになっていた、それでも人を、鈴を見つけられない。<br>　これだけ音が近いのに何とも出くわせないとすれば、考えられる可能性はたった一つしかないだろう、この音はあたしの寂しさが生み出したのかもしれない。だから音の主を確認できないのだ。<br>　そう決め込んだ裕美は座り込み、何もやる気がなくなりただ溜め息を吐き続けた。<br>　そろそろこの場所から離れようと思い、裕美が手を地面につけると、何か違和感を感じた。<br>　「あれ？　何でこんなところにタバコがあるんだろう？」<br>　もしかすると人がこの近くにいるのかもしれない、という期待に輝かせた目を上げると、驚いたことにそこはあの忌々しい紅の世界ではなかった。<br>　真っ白な、何にも汚されていないような、それほど美しく色のない世界だった。<br>　裕美はただ感嘆しその景色を眺めた。どこからどう見ても白い世界が続いている、不思議だけどすごく心地いい、もしかすると天国なのかもしれない。そう思う程、その世界は美しく、気分のいいものだった。<br>　「やぁ、どうもいらっしゃい」<br>　裕美は突然、後ろから聞こえる声に驚きビクンと体を動かせたが、すぐにその気持ちは喜びへと方向転換された。<br>　やっとこれで人と出会える、何時間ぶりだろう。あたしはこのときをどれほど待っただろう、きっとそれは閏年よりも長いだろう。<br>　振り返るとそこには思ってもいない人、いや動物が佇んでいた。<br>　「どうして狐が立ってるの？」<br>　そこには淡い茶色のジャケットを羽織った狐が帽子を深くかぶり、じっくりと裕美を眺めていた。どっしりとした立ち振り舞は、何よりも高貴で美しいように見えた。<br>　そしてその狐はポケットからタバコを取り出し火をつけた。<br>　裕美は不安を胸にためきれなくなり口を開いた。<br>　「ここはどこなの？」<br>　狐はタバコを口元から離し、大きく煙を吐き出した。<br>　「ここは先ほど君のいた紅の世界の末端です。まだ塗られていない世界」<br>　「まだ塗られていない世界？」<br>　「そう、今からあなたを塗料として使わせていただきます。光栄なことでしょう？」<br>　そう言って、狐は大きなはさみを取り出した。<br>　裕美は悟る、塗料とは自分の血と肉だと言うことに。<br>　「いや、やめてよ」逃げ出そうにも足が震えていうことが聞かず、ただ両手を振り回すことしかできない。<br>　「今日は何日目だと思います？」<br>　「どういう意味？　なんなの？」<br>　「わからないようですね、今日はあなたがこの世界を覗いてから七日目なのですよ」<br>　この世界と言う言葉で裕美はあることに気がついた。確か奇怪な夢を見始めたのはその辺りだったような気がする。<br>　「今気づいたようですがもう遅いです」そう言って狐ははさみを閉じたり開いたりし、その音が世界に響く。<br>　「どうしてあたしが殺されなきゃだめなの？」<br>　「簡単なことです、思い返して見なさい、この七日間であなたは七つの罪深きことを起こしてしまいました。しかしそれが人間と言うもの、何も悲観なさることはないですよ。ちなみにあなたで823,543人目ですので」<br>　「本当に殺しちゃうの？」<br>　「ええ、もちろん。これからあなたのお腹を十時に切り、腸を垂らし、その光景をしばし楽しんだ後、綺麗に臓器をくり抜き、血をまき散らし、この世界の一つとなっていただきましょう」<br>　「夢でしょ？　ねぇ、だから殺したって意味ないんでしょ」<br>　「夢であることには間違いないですが、このハサミであなたを切り刻むとこの覚める保証はないでしょう」<br>　「いやぁぁぁあ」<br>　裕美は最後まで叫ぶ間も与えられず、ハサミで腹を十時に切られ気を失った。<br>　「ふっ、また会うことになるでしょう、人間よ、次の人間は罪深くなければ良いのですが、まぁそれは七日後わかることですね」<br>　狐はそうつぶやき、血にまみれた裕美の死体を眺めていた。<br>　腹部に描かれた七の数をただひたすら眺めていた。　
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<link>https://ameblo.jp/ryouka2/entry-10070839983.html</link>
<pubDate>Thu, 07 Feb 2008 03:54:45 +0900</pubDate>
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<title>超心理的青春　その12</title>
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<![CDATA[ <strong>超心理的青春　第二章　その5<br><br>【IQとカード】</strong><br><br><font size="2"><br>　天照はその長い足を器用に使い、訓練されたみたいにキレイなフォームで、競歩並みのスピードで歩いていく。そんなに早く歩いて疲れないのか？　僕も歩くスピードについては定評があるので（自分で言うのもなんだけど）天照に追いつくためにフルスピードで足を動かすことにした。<br>　僕は男のクセにデカイ尻をしているなぁと言われる、たまにその尻を見て「良い野球選手になれるよ」とまで言う奴がいるけど、良い野球選手は野球の練習で鍛えられて良い尻になったのであって、勝手に大きくなった尻を持つ僕が良い野球選手になれるわけがない。実証するように僕は90ｋｍのバッティングマシーンを全部空振りした実績もある。長くなったけど、この尻は、野球のためでなく、早く歩くためにあるのだと自負している。この尻には早く歩く筋肉が詰まっているのだと。<br>　けれど甘かった、女だからすぐに追いつけるだろうと思ったけど、この俺の競歩とここまで良い勝負する女子がいたとは。男子を一気に3人も片付けたことがうなずけるよ。歩いて1分程過ぎたけれど、全くその差は縮まらない。僕と天照はほとんど同じスピードなのだろう。<br>　しかし、このままじゃ一向に追いつく気配がない、仕方がない・・・、最終手段だ、少しプライドが傷つくけれど。<br><br>　走るか。<br><br>　僕は天照の真横に並んで歩くような形をとり、これから何をするのかたずねてみた。<br>　天照は僕の方へ顔を向けることもなく正面を見て、表情を変えず、「あなたが超能力者であるという確信が持てたから、薫に伝えるのよ」<br>　「何で沖田先生に言わなあかんねん、てか僕は超能力者ちゃうわ！」<br>　何故、超能力のことと沖田先生が関連するんだ？　彼女はやはり何か隠してたのか？　あの実験も何かのため？<br>　「あなたは超能力者よ。昨日でやっと確信が持てたんだから」<br>　えらく自信があるように見える横顔とその声は、少し投げやりな感じにも聞こえる<br>　「私の言うことが信じれなくても薫がちゃんと立証してくれる、安心しなさい」<br>　「そんなこと言われても安心できるか!」<br>　僕の会心のツッコミにも天照は眉ひとつ動かさず、僕の方を一度も見ることなく、その会話を終了させた。<br>　もういいや、こいつと話していても全く信じるとかそういう気になれないし、本当のことに近づけない気がする。沖田先生に聞けば早いことも事実だ。あの実験のことも気になるし。<br>　僕と天照は、歩くということを超越した速さで、学校に着き、そのまま職員室に向かった。<br>と思ったのだけれど、天照は職員室を素通りする。いやいや、沖田先生はここやろ？<br>　「着いてきて、薫は今そこにはいないから」<br>　何か他の仕事でもしているのだろう、職員室にいるだけが教師の仕事じゃないし。<br>　天照が職員室の隣の教室のドアを開き手招きをする。<br>　案外近かったんだ。僕は校舎中をくまなく探す覚悟をしていた。何ていったって沖田先生だ、どういう行動をしているか思考をしているのか、全く予測不可能な人だからな。<br>　教室へ入ろうとドアに手をつけた瞬間、体中を電気が流れるような感覚にあい、一瞬目眩がした。さっきの公園で出たような鳥肌も、僕自身が鳥になったんじゃないかと錯覚するほど出た。<br>　公園とは明かに体の示し方が違う、体全体が教室に入るなと危険信号を出しているみたいだ。これが虫の知らせとういうものなのか？　けれどそれを認めてしまうこと＝自分が超能力者だと認めてしまう気が何故かしてしまい、僕は教室に足を踏み入れた。<br>　自分がそんな能力を持っていないと思うために、誰かに否定してもらうために。<br>　教室を見渡すと沖田先生がいた。彼女は机の上に座って腕を組み、こちらを見ている。<br>　それ以外に人がいる気がしたのでもう1度見渡してみるけれど、僕と天照と沖田先生しかいない。<br>　「来てくれたのね薙くん、ありがとう。あなたの性格じゃ来てくれないって思っていたけど。うれしい」<br>　机を椅子のようにして座り、キレイで長い足を地面に伸ばす沖田先生は、満面の笑みで、それはそれは、心がうれしいで埋め尽くされたような声色で僕に言った。<br>　それにしてもこの美女2人は何を隠しているんだ。嫌な気がしてならない。教室の空気も最高に悪い。<br>　中学校の受験前の寒々と緊張が混ざった教室の空気の方がまだマシだ。沖田先生がどれだけ自分の周りに花を浮かせても変わることなどない。<br>　天照は沖田先生に背を向け、黒板の方向を見てドライアイスのように冷たい声で、「薫、早く彼に説明して、彼はものすごく頭が固い人だから、あたしがどれだけ理解させてあげようとしても全くダメ」<br>　なんだ？　沖田先生を下の名前でしかも呼び捨てにしてるから、仲が良いと思ったけど全然そうは見えない。逆に嫌ってるように見える。<br>　「そうね、それじゃ早速本題に入りましょうか」<br>　沖田先生の顔が強ばり、眉の位置がセンターに少し寄って、眼の色が変わったような雰囲気がする。<br>　「あなたは超能力者なの、わかる？」<br>　「そんなことはさっき聞きました。ていうかわかるもクソもないですよ」この人は何を突拍子もないことを言い出すんだ？<br>　「そりゃそうよね、いきなり言われてもわかるわけないか」<br>　口を手で押さえて、笑いをこらえるように喋る。<br>　一体何がおかしいんだ？あんたの方がよっぽど面白いよ。<br>　「これは前に薙くんにやってもらった実験の結果よ」<br>　そう言って僕に解答用紙を渡す。<br>　「何もなかったんやろ。先生落胆してたやん」<br>　「あの時は気付かなかったのよ、でもこの実験結果を本居先生が見ておかしいことに気付いたの」<br>　おかしいこと？　それより何故あの忌々しい本居の名前が出てくるんだ？<br>　「本居先生が関係してるんですか？」<br>　「それもあとでちゃんと説明するから」と子供をなだめるような言い方と声色を沖田先生にされる。<br>　「実は言うとあの解答用紙の答えだけど、5日中3日は全問正解だったのよ」<br>　とここで天照が口を挟む、もちろん黒板を見たまま。<br>　「ある意味よ、ある意味全問正解ってこと」<br>　「ある意味ってどういうことなん？俺も解答用紙見たけどあってたの1問か2問やったで」<br>　「今から説明するわ」<br>　沖田先生は自分が発見したような者の言い方で僕に説明をする。<br>　「まず1日目の回答結果を見て13問目だけあってるでしょ」<br>　その通り、全25問中13問目だけが正解したんだ、確かそれは最終日も同じだった気がする。<br>最終日も同じ？　偶然にしては凄い確立じゃないか？<br>　「薙くんは1問目の解答欄に25問目の正解を書いたの、そこから順に2問目は24問目の答え、3問目は23問目の答え、・・・」<br>　と永遠に「何問目は何問目の答え」と続く気がしたので、僕は「10問目は16問目の答え」を言うところで先生の言葉を止めた。<br>　「もうわかったよ先生、ようするに正解と問題を逆の順番で書いてたってことやろ？」<br>　「わかってくれた？　それじゃ、わかったでしょ、あなたは超能力者なの」<br>　「わかれへんよ。そもそも偶然やろこんなこと？」<br>　言っている自分でも矛盾していることはわかっていた。こんな凄い偶然が何万分の一なんだろう、でもそれにかけてみたい。<br>　「一回そんなことあっただけで超能力あるなんて決めつけるんやったら占い師は超能力者やないか」<br>　何故この結果を見て信じないの？　と呆然として目が点になる沖田先生。<br>　彼女が黙ると教室は静かになり、時計の秒針の音だけが響く。この空気どうにかしてくれ。<br>　すると天照が平坦沈着な声と表情で僕を見た。<br>　「まだ信じないの？　往生際が悪い」<br>　そう言うと沖田先生が持つもう一つの解答欄を持って続きを話した。<br>　「2日目はハズレ、3日目は無理やりつなぎ合わせた感じだけど言葉で説明するのがめんどくさいから黒板に書く」<br>　そう言って黒板に白いチョークで数字を書きなぐる、速い割に上手な字を書く。沖田先生の字よりも明らかに上手い。<br>　天照は黒板にはこう書いた。ピンクのチョークで書いた部分は正解しているところらしい。<br><br>1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・11・12・13・14・15・16・17・18・19・20・21・22・23・24・25　<br><br>12・24・23・22・21・20・19・18・17・16・15・14・13・ 1・ 2・ 3・ 4・5・ 6・ 7・ 8・ 9・10・11・25　<br><br>　「ちょっと不規則になってるのはあなたの心理状態のせいかもしれないわ、けれど法則性はある。4日目はハズレで5日目は・・・あなたが考えてみて、わかるでしょ」<br>　問題用紙を見て少し考えなくてもわかった。1日目の結果と一緒だった。もうなんと言っていいのかわからない。<br>　こんなことが実際にあるんだろうか？僕は目ではなく自分の脳と記憶を疑った。<br>　「その表情を見ると、答えはわかってるようね、沖田先生、彼は納得したみたいよ」<br>　「違う！　この結果は認めるけど、僕が超能力者になった経緯とかが全くわからん。せやから認めへん」<br>　いきなり目覚めるなんてそんな理不尽なことありえるのか？どこかにきっかけがあったのか最近の記憶を探るけれど見当たる気配すらない。いたって普通の日常を過ごしてきたぞ、僕は。<br>　変なことといえばこの学校の推薦届けが来たくらいだ。<br>　「薫、止めを刺して」そう言った天照の顔は、あきれた顔の代表として、記憶に留めたいほどだ。<br>　「はーい。じゃ薙くん、いきなりだけど、あなた面接の日、健康診断でインフルエンザの予防注射されたわよね」<br>　確かにされた。それがどうしたんだ？<br>　「あの注射には超能力に目覚める素みたいなのが入ってるの」<br>　「なんやねんそれ？」<br>　天照が掃いて捨てるように言う、「詳しく言ってもあなた理解できないでしょ、脳内のシナプスを活性化させるのよ」<br>　「活性化させたら目覚めるんか？」<br>　「人の脳は80%は眠った状態、それで一生を終えるわ。でもその眠った脳内に超能力があるという実験結果が出たの。それはもう半世紀も前のことよ。それから研究を重ねて、その眠った部分を起こしやすくする薬が開発されたってわけ」<br>　「その薬を僕は注射されたのか」<br>　「薙くんだけじゃないわよ、天照さんも含めて特別能力開発科の生徒みんな」<br>　「なんでや？　僕らのIQが高いからか？」<br>　「あなたまだそんなこと信用してたの」<br>　「えっ？」<br>　僕はもう何が何だかわからない。もしかしてだまされたのか？この学校に。<br>　「IQはあなた達のような一般の生徒を入学させるための口実よ、だから嘘」<br>　「ごめんね薙くん、嘘ついちゃって」<br>　「ごめんで済むか」<br>　僕は沖田先生が、何故この話しをへらへらして話しているのかわからない。イライラが積もる。<br>　「人は死に直面したときに風景がスローになる。走馬灯が見えたとか言うでしょ？　あれも一種の超能力なのよ、でも死に直面するときにしか能力が発揮されないんじゃ命が何個あっても足りないでしょう？」<br>　「僕は死にそうじゃないのに能力が使えたで？」<br>　「それはそうしているからよ薙くん。集められた生徒はIQが高いんじゃなくて、心に傷を負っているの、深い深い。普通の日常じゃ考えられないほどの深いトラウマを持ってるのよ」<br>　「もしかして」<br>　僕はやっとつかめてきた、この能力が使える時が。<br>　「死とトラウマは似ているのよ。その心の衝動を脳が勘違いして超能力を引き起こさせる。まぁ死に値するトラウマを持った人間なんてそんなにいないのよね、それにそれを頻繁に思い出せるメンタルもないわ、けど薙くんはそれができるのよ」<br>　「じゃあ、天照も」<br>　「私は、別よ」<br>　そう言うと逃げるように教室を出て行った。<br>　過去のことは聞かれたくないのか。<br>　「天照さんは少し違うのよ、まぁ私の口からは言えないわ」<br>　ちょっと引っかかるところがある。何故僕はこの問題をしているときはトラウマも思い出してないのに、能力を発揮できたんだ？<br>　「私もその薬を注射したのよ、するとそういう超現象を引き寄せやすくする能力が身についたの」<br>　「その、身につく能力って人それぞれなんですか？」<br>　「そうよ、あなたの心の傷の一番深い記憶のときに強く望んだものがあなたの超能力になるのよ」<br>　ってことは、この人は超現象を引き寄せる能力が欲しかったのか。やっぱり変な人だ。<br>　けれど少しずつこの能力のことがわかってきた。<br>　あれ？　知らないうちに僕は信じてしまったのか、このありえないことを。でも先生が言ってることは間違ってるように見えないし、それに俺の能力も恐らくは・・・。<br>　自分の能力が何か考えていると、教室のドアが開いた。<br>　ふと、目をドアの方へやる。<br>　那実ともうひとりは…通学路にある花屋の女の子だ。<br>　どういう組み合わせ？　てかこの教室にこのタイミングで来たってコトは……。<br></font><br>
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<link>https://ameblo.jp/ryouka2/entry-10070592484.html</link>
<pubDate>Wed, 06 Feb 2008 01:15:47 +0900</pubDate>
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<title>長心理的青春　その11</title>
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<![CDATA[ <strong><br>超心理的青春　第二章　その4<br><br>【七不思議と真実】</strong><br><br><font size="2"><br>　いつもの登校時、よりも少しテンションが高めなのは、那実が寝坊して１人での登校を楽しめるからではなくて、先週の金曜日、天照から放課後の約束をされたからだろう。<br>今でもはっきりと思い出せる。約束を承諾したときのあの微笑。よほど僕と話がしたかったんだと思う。<br>　クラスでも人気があって、いつも友人が取り囲んでる状態だから、このことを伝える時間がなかったのだろう。<br>　それとも助けてくれたお礼に放課後遊びに行きませんか？　とか言われたりして。<br>　あんな綺麗な女の子に好かれるなんて、僕にとっては奇跡的だよ。きっと僕はある程度は好かれているだろう、那実と僕との態度の違いを見れば、一目瞭然だよ。<br>　それにしても那実は何でアレほどまで嫌われているんだろう？<br>　まぁあいつの変に理屈っぽいところは妙に鼻につくし、脳につく。僕も好きじゃない。<br>　この調子で告白されたらどうしよう……。<br>　返事は間違いなくＮＯだ。<br>　別に彼女のことを嫌いではない。華麗だし、綺麗だし、猫の死体で遊ぶ変体チックな所も僕にとっては少し好印象だ。<br>　けれど僕には好きな人がいる。<br>　そう強く胸に刻み、１０ｍ先の花屋を見つめた。いや、花屋ではなくそこで店の手伝いをしている少女に。<br>　見た感じ中学生の彼女は、朝から汗をかき、店内と店の前を行き来している。<br>　ずっと見すぎたのか、目が合ってしまった。<br>　彼女は僕に営業スマイルという言葉を知らないような微笑みを繰り出し、思わず僕も微笑み返す。<br>　きっと気持ちの悪い顔になってただろうな、彼女の心を暖めるような笑みとは違って。<br>　彼女はすぐに作業に戻り、いつもと同じように、忙しなく店内にある花達を店の前に並べている。開店準備を手伝ってるんだろう。<br>　朝もゆっくり寝ることも出来ず、家の手伝い。僕には出来るわけがない。それに清純度MAXの仕事っぷり。<br>　いつか話せる機会があればなぁ。<br><br>　いつもの眠たい、しんどい、だるい、の三拍子が揃った授業を終えて、僕は放課後、天照との約束を守るためにあの黒猫公園へ急いでいた。<br>　本当に天照は変わった奴だ。<br>　あの日、場所の指定をされていなかった僕は学校に行けば、下駄箱や机の中に手紙的なものを入れられているのだろうと思っていたけど、そんなものは一切なく、不安になって天照に聞くことにした。<br>　移動授業のとき、彼女が１人になる隙を狙って。<br>　「天照さん、放課後はどこに行けばいい？」<br>　長い髪を丁寧に耳にかけて、「あなたの机に書いたはずよ？」そう言って天照は、すばやく僕の元を立ち去り、音楽室へと向かって行った。<br>　いやいや、書いた場所を教えるんなら、待ち合わせ場所をここで言えよ。<br>　教室に戻り、自分の机を見てみると確かに書いてあった。右下の隅に小さく上品な字で「黒猫のいる公園」と。<br>　これが机じゃなくて、せめて紙に書いてくれれば絵になったかもしれないのに。まぁこれはこれで芸術的か。<br>　放課後、授業終了のチャイムが鳴ると同時に公園へ向かった。のは僕ではなく天照であって、僕はいつもと同じペースで向かった。<br>　公園に着くと天照がベンチで座りながら、あの黒猫とじゃれていた。<br>　天照は右手にねこじゃらしを持ち、ひざの上にいる黒猫は必死になってそれを引っかこうとしている。２人とも幼稚園児のように無邪気で、声を上げて遊んでいる。普段のお嬢様的風貌を纏っているの彼女が嘘みたいだ。<br>　これはこれでいい構図なのかもしれない。僕に絵をかく才能があれば、ここで黒猫と天照をスケッチするだろうな。<br>　けれど、僕にはそんな才能も道具もないので、無邪気に遊ぶ黒猫とお嬢様もどきに近寄る。<br>　「もう来たの？　人がせっかく楽しく遊んでいたのに」<br>　楽しそうだってのは万人が見てもわかるよ。それに僕はそんなの見に来たんじゃない。<br>　「それより話ってなんや？」<br>　出来るだけ自然に話しかけた。心臓はありえないくらい縮んだり膨らんだりを繰り返してるけど。<br>　「あなたは知ってるかしら、この学校にある７不思議のひとつで、特別能力開発科にいる生徒の半分が行方不明または死んでしまう、という噂を」<br>　「聞いたことはあるけど、そんなんどうせ噂やろ」<br>　入学してから１週間後くらいに、その噂はクラスで話題となった。<br>　自分の属する学科にそんな不吉な噂があるとなったら話題にもなるだろう、でも今じゃみんな忘れてる。そんな流行が過ぎた話しなんか聞きたくないんだけど。<br>　「今の３年生は１０人しかいないのよ、初めは１８人の生徒がいたのに」<br>　それも知ってる。噂を確証したい奴が言う決め文句だったっけ？　<br>　「そのことをクラスの奴が先生に聞いたら、勉強についていけずに転校や退学しったって言っていたで」<br>　そのことが、クラスに知れ渡ったことで、その７不思議は影を潜めたんだ。そのこともクラスで知らない奴はいないだろう。それに、うちの学科は天才を養成する学科だから、授業内容も難しい、大いに納得できることだ。<br>　「それが一般生徒の答えね。ありがとう」<br>　普通の生徒よりも、僕はこの件を知っている方だと思う。<br>　何でって？　この噂の真相を突き止めたのは那実だからな。<br>　よくあいつにそのことについて色んな話しを聞かされたよ。本当にあいつは生粋の噂好きだ。何か秘密を知れずにはいられないのだろう。<br>　「まぁいいわ、このことはいずれ知る日が来るでしょう」<br>　全然知りたくないんですけど、そんなおっかないことの真相なんて。<br>　天照は黒猫をひと撫でして、僕の目を見た。<br>　今思えば、今日まともに目が合ったのは初めてだな、こいつずっと猫見てたし。<br>　それにしても嫌な予感がする。背中が冷たい。冷気を吹きかけられてるみたいだ。<br>　なんだこいつは？　その眼はなんなんだ？<br>　「あなた今、すごい悪寒がするでしょ？」<br>　何でわかったんだ？<br>　僕は鳥肌が止まらない。<br>　「その表情を見るとあってるようね、やっぱりあなたは」<br>　天照が少し緊張した表情を見せ、さらに僕を睨みつけた。<br>　その顔は、初めて人を殺す表情に似ているのかもしれない、と何故だか思ってしまった。<br><br>　「あなたは超能力者よ」<br><br>　僕は緊張の糸が切れた。<br>　何だこいつ、やっぱり頭がおかしいだけか、こいつの脳内を見てみたいよ。<br>　僕のどこが超能力者だ？　意味不明だ。<br>　「テレビの見すぎだろう？　ほな」<br>　僕はもう、こんなアホと話すこともないので、アホと黒猫に背を向けて、公園を出入り口へ足を進めた。<br>　「理由を言うわ。何故あなたはさっき、悪寒や鳥肌が止まらなかったの？」<br>　「お前が怖い顔するからや」<br>　「いいえ、違う。あなたは私が何を言うか直感的にわかって、それを聞くのが怖かったからよ」<br>　後ろを振り向けば、必死な表情をしてるんだろうなと、天照のその顔を想像して、こりゃ振り返ったら帰れないなと思い、さらに足を進める。<br>　「これが決め手よ」<br>　決め手も何もないよ。<br>　「何故あなたは、あの日、あいつがナイフを持っているかわかったの？」<br>　そんなの知るか。また嫌な予感がする。僕はいつの間にか早歩きになっていた。<br>　「見えたんでしょう」その言葉に思わず振り返ってしまった。<br>　何でこいつが知ってるんだ？　あの時、僕は確かに天照が刺された映像のようなものが脳内に流れた。でもそのことは誰にも言ってないはず。それは那実にも。<br>　その驚いた表情を見て天照は言う<br>　「これから、薫のところへ行くけど、あなたも来なさい」<br>　天照はそういうと黒猫を膝から下ろし、公園の裏口から学校へ歩いていく。<br>　思わず僕も彼女へ付いて行く。この胸騒ぎを抑えるにはこれしか方法はないだろう。<br>　天照は僕の顔を見ず、前を見たまま、「本当にあなたはヤギなのか羊なのかよくわからないわ、まぁ信じるも信じないもあなた次第だけど」<br><br>　と、どこかのお笑い芸人の決め文句に似たようなことを言った。</font><br><br><br><br><p><a href="http://blog.with2.net/link.php?588945">人気ブログランキングへ</a></p>
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<link>https://ameblo.jp/ryouka2/entry-10070296015.html</link>
<pubDate>Mon, 04 Feb 2008 20:50:54 +0900</pubDate>
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<title>えりあし</title>
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<![CDATA[ <p>aikoさんの「えりあし」をモチーフにして作ったショートショートです。</p><br><br><p><strong>【えりあし】</strong></p><p><strong><br></strong></p><p><strong><br></strong></p><p><font size="2">　今思うとあの頃のあたしは、ただ彼に甘えていただけなのだろう。今更こんなこと言うのも遅すぎるけど。</font></p><p><font size="2">　あなたは今でも大切な人、それはきっと何年たっても変わることはないでしょう。　</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2">　あなたと出会ったのは高校生の入学式。　</font></p><p><font size="2">　同じクラスのあなたは特にルックスがいいとか、勉強が出来るとか、運動が出来る。なんて特技は持ち合わせてなかった、けれど彼はクラスでも人気のある生徒だった。</font></p><p><font size="2">　それは誰にも負けないくらいの溢れる優しさが彼にはあったからだ。</font></p><p><font size="2">　泣いている生徒がいると一言声をかけたり、体育祭で運動が苦手な子がいると効率のいい練習法を教えたり、文化祭のときはいつも最後まで残って作業が進まない班を手伝ってくれた。</font></p><p><font size="2">　彼は昔は誰でも持っていたであろう、子供の頃の純粋な優しさを持っていたのだ。</font></p><p><font size="2">　それに惹かれたのは実は結構早くて、入学してすぐのことだった。</font></p><p><font size="2">　同じ中学校の友人がいないことで疎外感を覚えていたあたしは、入学から1週間たっても昼ごはんを一人で食べる毎日が続いていた。</font></p><p><font size="2">　あたしはこの時間が一番悲しい。自分なんてこの世界に必要とされていないのではないか、自分とは一体なんなんだろう。なんてことはいつも考えてるんだけど、その時間はそういうことが一気に放出されたように思い出してきて酷く悲しい気持ちになってくる。もちろんそんな気持ちで食べる昼ごはんなんて全くおいしくなかった。</font></p><p><font size="2">　いつものようにそういうことを考えていると、あたしの机の上に青い弁当箱が置かれた。</font><font size="2">一体何ごとだろうと思い、目線を上げると、</font></p><p><font size="2">　彼がいた。</font></p><p><font size="2">　あたしは訳もわからず泣きそうになった。</font></p><p><font size="2">　その瞬間口の中に入れていた玉子焼きに塩の味がした。</font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font size="2">　その日から半年後、あたしは一大決心をした。彼に愛の告白をしようと。</font></p><p><font size="2">　はっきり言って、付き合って何をするでもないんだろうけど、ただ、彼の「好き」と言う気持ちを共感したかったんだろう。あたしひとりだけが思うなんてなんだか不公平な気がしたから。それにクラスのみんなも十分脈アリだと言ってくれていた。あれだけ優しく接してくれているのだから、きっと両思いなんだよと。</font></p><p><font size="2">　けれど結局は結ばれなかった。</font></p><p><font size="2">　彼はただ「好きな人がいるから付き合えない」と言って、さらに「君なら僕なんかよりずっと良い人とめぐり合えるさ」</font></p><p><font size="2">　そんなこと言うもんだから、普段は涙を流さないあたしでもさすがに我慢できなかった。</font></p><p><font size="2">　彼はどれほど無神経に優しいのだろう、告白するまでは、その優しさが凄くうれしくって、それだけで今日１日どんな悪いことがあっても乗り越えれるくらいの気持ちになったけれど、今じゃただ、胸が痛むだけ、張り裂けそうになる、こんな思いをいつまで抱けばいいのだろうか。</font></p><p><font size="2">　</font></p><p><font size="2">　そして卒業式、あたしは本当に最後だと胸にその言葉を打ち付けて、もう１度彼に思いを打ち明けた。すると、なんとも意外、OKをもらった。</font></p><p><font size="2">　１８歳を過ぎてからは同じ時間で過ごせることが少なくなったけれど、あたしたちは二人で会える時間を何よりも待ち望み、そして大事にした。</font></p><p><font size="2">　付き合ってから１年が経ちあたしは彼に何で付き合ってくれたの？　とずっと積もらせてきた思いを打ち明けた。彼はただ「あの頃は見る目がなかった、君が違うクラスになって初めてわかったよ」</font></p><p><font size="2">　本当に気付くのが遅いよ、あたしがそれまでどれだけ苦しかったと思ってるんだろう。でもそれは彼も同じなのかもしれない、いや、それ以上なのかもしれない。</font></p><p><font size="2">　なんていったて、彼はあたしを振ってしまったのだから。</font></p><p><font size="2">　</font></p><p><font size="2">　そして２１歳の春、夜の１０時過ぎにいきなり彼から電話がかかってきた。こんな時間に呼び出しとは彼にとっては珍しいことだったので、あたしは急いで待ち合わせの公園まで走った。</font></p><p><font size="2">　急いでいったのに、彼は、俯いて缶コーヒーを飲むばかりで、ちっとも話そうともしない。</font></p><p><font size="2">　あたしは急に怖くなった。これがいわゆる別れの前触れなのだろうか、確かに最近、彼と会う時間が少なくなってきたし、毎日電話やメールをしていた頃なんていつだったかなと、思い出せないくらいだった。それでもあたしは初めて彼を好きになったときよりも彼を好きだと言う自信があった。そう思っていると泣けてきた。そういえばあたし、彼と付き合ってから涙腺が緩くなってきた気がする。するとやっと彼が口を開いた。</font></p><p><font size="2">　「俺、東京に行くよ」</font></p><p><font size="2">　どうやら、学校の業界研修で、東京の大手出版社から誘いを受けたらしい。彼は高校生の頃から雑誌の編集者になることが夢だった。そして彼は言った、</font></p><p><font size="2">　「別れようと」</font></p><p><font size="2">　あたしは必死に拒否した。</font></p><p><font size="2">　何故、研修で東京に行くくらいで別れなきゃいけないんだと。</font></p><p><font size="2">　けど彼の決意は固く、その眼はあたしをさらに恋焦がらせた。泣きじゃくるあたしに彼は「そういう嘘泣きももううんざりなんだ」そう言い残し、その場を去っていった。</font></p><p><font size="2">　あたしは追いかけることもなく、ただその言葉の意味を探すだけで精一杯だった。</font></p><p><font size="2">　ただえりあしを見つめて。</font></p><p><font size="2">　</font></p><p><font size="2">　今思うとやっぱりアレは嘘泣きに近いものだった気がする。それに気付いたのは大学を卒業して、社会に出てやっとだった。</font></p><p><font size="2">　本当に悲しいときには涙はまた違う色をしているから。</font></p><p><font size="2">　けど、あの頃のあたしは本気のつもりだったんだろうな、それにしても酷すぎないかな？　泣きじゃくる彼女に嘘泣きだなんて、けどそれが彼の最後の優しさだったんだろう。</font></p><p><font size="2">　あたしの人生のルートはもう決まってしまったんだろう。</font></p><p><font size="2">　目をつむって想像してみる、これから合コンで彼氏を見つけて、そして寿退社して子供生んで・・・。けど、その決められたルートの中にあなたがいて欲しい、それが結婚相手だなんて大それたことは思わない、たまたま道で会うだけでいいから、あなたの顔をひと目見て言いたい、</font></p><p><font size="2">　「いつまでも好きだから」と。</font></p><p><font size="2">　それは５年経っても１０年経っても変わらない。</font></p><p><font size="2">　重い女だなんて思わないでよ、本当にそう思ってるんだから。</font></p><p><font size="2">　そうさせたあなたが悪いのよ。</font></p><p><font size="2">　あたしはあのときの彼の笑顔を忘れない、１人でいる昼休み、青い弁当箱を置いて作り笑いのように微笑んだあなたを。</font></p><br><br><br><p>読者さんを増やすお力をください。お願いします。</p><p><a href="http://blog.with2.net/link.php?588945">人気ブログランキングへ</a></p>
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<link>https://ameblo.jp/ryouka2/entry-10069645849.html</link>
<pubDate>Sat, 02 Feb 2008 03:51:35 +0900</pubDate>
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<title>超心理的青春　その10</title>
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<![CDATA[ <p><strong>超心理的青春　第二章　その3</strong></p><p><strong><br></strong></p><p><strong>【ルールと夕陽】</strong></p><br><br><p><font size="2">　公園の近くまで駆け寄って見てみる。やっぱり天照だ！<br>　確実に助けを手伝ってくれるだろう人間を呼ぶ。<br>　「那実、やっぱり天照さんや」そう言って振り向くが彼はいない・・・。どこいったんだ？<br>　見つけた。<br>　なんと那実は走ることもなく、いつもの下校時と変わらない速度で寮の方向へ歩いている。こいつは何を考えてるんだ？僕は怒りのオーラをまとい急いで那実に近づく。<br>　「何考えてるねん？早せな天照さんボコボコにされるぞ！」<br>　「それよりもやばいコトされるかもな。それには俺も興味あるし影から覗こうかな」<br>　冗談を言ってる場合じゃない、なぜこいつがこんなに悠長なのか意味がわからない。<br>　「あの男、前に薙が言うてた、天照沙希に振られた不良もどきやろ？」<br>　「そうや、だから助けたらなあかんやろ」こんな話しをしている場合じゃない、1秒を争うんだよ。<br>　「天照沙希が悪いんや、この際、あいつの変な性格を治してもらうべきや、自業自得」<br>　その言葉を聞いたときに思い出した。あれは確か中学2年のころ、2人で電車に乗って服を買いに行った帰りのことだ。<br><br>　その日の電車は日曜の夕方だというのにやたらと混んでいた。<br>　確か終着駅の近所で有名歌手のライブがあるとかそんなところだった。<br>　そのとき那実は、運良く座席に座ることが出来たけれど、その目の前には年老いたおばあさんが、四方八方から押し寄せる人の波に埋もれて、苦しそうに、「うぅ・・・」とうめき声を上げている。その姿は、弱り、年老いた野良犬がエサを求めているようにも見える。<br>　「那実、席ゆずれよ」僕は、一般的な優しさを示す方法を、那実の耳元で囁いた。<br>　すると那実が、憤りを感じさせる表情で「この席は俺が手にしたんや」<br>　何言ってるんだこいつは？<br>　「この電車に乗ったときから、イチバン最初に降りるかもって奴に目ぇつけて、それが当たって手にした座席や、何で譲らなあかんねん」<br>　おばあさんがしんどそうにしてるからだろう。誰が見たってそう言うよ。それに年寄りだし。<br>　「年寄りやからって、優遇なんて気に食わん。自分の体が不自由と思うんやったら、人が減るかもしれへん次の電車に乗るべきや、それかタクシーか何かに乗るか。あのおばはんは自分でこの満員電車に乗ることを決めたんや」<br>　そのおばあさんの勇気に免じて席を譲ってやれよ。僕がそう言うと、那実は「こいつはバカなのか」という目つきで<br>　「甘やかしたらあかんやろ、そんな甘えに浸ってたら、いつか偉い目にあう。薙が言うてることは嘘の優しさや。そんなこと言ってるから戦争が起こるんねん、差別がなくならんのや」<br>　最後、話しが飛びすぎだろう？<br><br>　今まで教えられた道徳を、正面から崩す、那実の言葉は耳を離れることはなかった。2年経った今も。<br>　「天照沙希なら大丈夫や、お前が行っても無駄なだけ」<br>　こいつに何を言っても無駄ということを思い出し、僕は公園へ走り出した。<br>　公園に近づくとわずかに声が聞こえる。男子生徒が何か言ってるがよく聞こえないので、走りながらも耳を澄ます。<br>　「この前のことを謝れよ、さもないと、この黒猫どうかしてまうぞ」黒猫が無邪気に「みゃー」と鳴く。<br>　あいつら、黒猫を人質にとるなんて。どうしようもない人間だ、一緒の種族だということに悲しさを覚えるよ。天照も黒猫が気がかりなのか、声を出さずに男子生徒を睨んでいる。<br>　すると、また男の表面から悪意がかもし出される声で、「上の服脱げよ、ほら、ほら、早くしないとこの猫、踏みつけるぞ」<br>　あいつらはそういうと気色の悪い高笑いを響かせた。マジで最低だ。<br>　でもプライドの高そうな天照のことだから、脱がないだろう、と思っていると。肩にかけているカバンを下に置き、制服の上着に手をかけた。<br>　僕はさらに加速する。そんなことをすれば相手の思う壺だ。これでも那実は傍観者でいるつもりなのか？<br>　そんなことを考え、後ろを振り返ろうとした瞬間、天照が思いがけない行動を起こした。<br><br>　反撃開始。<br><br>　まず足元に置いてあるカバンを思い切り蹴って、左にいる男子生徒の股間に命中させた。当然そいつはうずくまる。そして手にかけていた制服の上着を、あの日天照に振られて、今は黒猫を抱いている生徒の頭に投げつけ、そいつが上着を頭から取ろうとする隙に黒猫を奪った。<br>まるでアクション映画のようだ。<br>　すると那実が駆け寄ってきた。今更なんの用だ？<br>　とりあえず僕はキャミソール姿の天照を助けるために近づく。その距離残り10ｍ。もう少しだ。<br>　しかし、先ほどかばんを股間にぶつけられた生徒が怒りを前面に押し出し天照に襲い掛かる。すると天照は左右にステップを踏み、構え、黒猫を草むらに放った。・・・どこかで見たことのある構えだ。その構えはどんな攻撃もかわしてしまう気がするほど隙のないように見え、何よりも綺麗だった。<br>　思ったとおり、襲い掛かった生徒が繰り出した大降りの右ストレートは空を切り、空振るコトで前のめりになった生徒に、天照はすごい勢いのアッパーを繰り出した。そしてすぐ隣にいるもう一人の生徒を回し蹴る。その回し蹴りは相手のこめかみを見事にヒットさせ、一撃で気を失わせた。<br>　強すぎる。現実に起こっている出来事とは思いにくい。<br>　しかしそれは実際に起きていて、僕はあまりの華麗さに見とれて足を止めていた。ただキャミソール姿というのが少しおかしかったけど。<br>　最後の一人は殴ることをせず、相手の繰り出す蹴りを見事に左へ受け流し、軸足に足払いをした。<br>　それは気持ち良いくらいの勢いで決まり、「ゴン」という尻と地面がぶつかる音が響く。<br>　「天照沙希のやつ、パンツじゃなくてスパッツかよ」<br>　何だいきなり？　そう思い振り返ると那実が不謹慎なことをつぶやいた。いつの間にそこにいたんだ？　那実を一瞥して、天照のほうを見る。<br>　まだ止めを刺していないのか？僕は思わず言葉に出てしまう、「マウントとれよ！はやく」<br>しかし一向に相手を覆いかぶさる様子がない。<br>　それは一瞬のことだった。<br>　相手は刃物を取り出し天照の体にぶつかっていった。天照の腹部にはナイフが刺さっていてる。赤い血が噴出する。<br>　滴り落ちてなんていなかった、ドラマのように衣服ににじむこともなかった。噴水のように噴出す血液がこれほど綺麗だと思ったことはない。<br>　僕はあまりの衝撃にこれ異常ない程の声で叫んだ。<br><br>　「おい！薙、どないしたんっ」<br>　那実のその声で気が付いた。瞬時に那実に問いかける。<br>　「天照はどうなったんだ？」<br>　不思議そうな顔で那実が言う<br>　「まだマウントも取らんと相手を睨んでるで、見たらわかるやん」<br>　どうなってるんだ？<br>　正面を向くと確かに天照が、1週間前に交際を断り、黒猫を人質に取った生徒を睨んでいた。<br>すると、またさっきの走馬灯に似たものが思い出される。もう声に出さないでいられなかった。というより勝手に出た。<br>　「天照！そいつナイフ持ってるで」<br>　僕が精一杯の声で叫ぶと生徒は立ち上がり、1度こっちを見て仕方ないなという手つきでナイフを取り出した。<br>　その瞬間が命取りだった。<br>　天照はそれはそれは綺麗な曲線を描く一本背負いによく似た投げ技を繰り出し、止めを刺した。<br>　投げ終わった瞬間、天照は携帯を取り出し、「すみません、洛南公園まで来て下さい。襲われました」<br>　その落ち着きようは襲われた奴の言うセリフじゃなく、いたずら電話に間違われても仕方がないほど感情の変化はなかった。<br>　「天照沙希はボクシングと何やったけなぁ？イギリスの伝統ある格闘技を習ってるんや」<br>　まるで自分のことのように言う那実を見つめた。なんでこいつがそんなこと知ってるんだ？<br>　「グリマよ、それに人のことをどうのこうの勝手に言わないでくれる？」電話を切りすぐに、那実を睨みつける。<br>　「そや、レスリングみたいな奴やろ？」<br>　「もういいわ」<br>　那実の言葉を一蹴する。それはさっきの回し蹴りより美しい。<br>　僕はひとつ気になることがあった、「どうしてマウントを取らなかったんだ？」<br>　そうすれば一瞬で勝負は決まっていたのに。<br>　「グリマのルールでそういう行為は反則とされているの」<br>　そう言って、地面に落ちている上着を2～3回手ではたいて、また着た。<br>　「今は試合じゃないだろう」<br>　これは正当防衛であり、悪く言えば喧嘩だ、そんなのにルールがあるなんて聞いたことがない。<br>　「確かに試合じゃないわ、でもそういってる人はみんな弱いのよ」<br>　彼女にそう言われるとそうかも知れないという、妙な説得力があるのは、さっきのボクシング兼グリマの試合というか、一方的な展開の喧嘩を見たせいだろうか。<br>　「もうすぐ警察が来るわ、あなた達、巻き込まれたくなかったら早く帰った方が良いわよ」<br>　天照はそう言うと草むらに投げた黒猫を拾い上げた。<br>　最後に何故、主犯格と思われる告白をした不良に手を挙げなかったのか聞こうと思ったけれど、色々事情があるのだろうと思いやめた。<br>　それに僕達は面倒事は嫌いなので（特に警察）さっさと立ち去ることにした。天照も、もう大丈夫そうだし。<br>　僕が背を向けると、天照が忘れ物を拾うような声で、「なぜあいつがナイフを持っていることがわかったの？」<br>　そんなこと僕も疑問だよ、本当のこと言っても信じてもらえないし。とっさ過ぎて言訳が思いつかない。<br>　5秒くらいの間が空いて、感だよ。と言うのが限界だった。<br>　すると天照がほんの少し微笑み<br>　「そう、・・・そうしたら月曜日の放課後、空けといてくれるとうれしいわ」<br>　特に断る理由もないし、彼女の初めて見せる笑顔に思わず、YESを出してしまった。これが過ちだったのかもしれない。<br>　僕らは、天照を公園に残し、寮へ帰る事にした。<br>　「だから大丈夫って言ったやろ？」那実の顔は少しこわばって見える、気のせいか？<br>　「ホンマに強すぎやろ？あんなTVみたいなん初めて見たわ」<br>　僕は少し興奮をしていた、そりゃあんなアクション映画もどきを目の前で見れば誰だって昂ぶるだろう。<br>　「にしてもなんで、那実が何で天照が格闘技強いって知ってるんや？」<br>　一瞬考えたような顔をした気がしたけど、いつもの変に自信のある声で、「俺を誰やと思ってるんや？クラスの情報通やぞ」<br>　本当にこいつは・・・またつまらない事を言って、しかしその言葉は同時に安心感を与えた。<br>　思い出したように後ろを振り向くと、天照が腰を曲げ、深くお辞儀をしていた。<br>　「あれもグリマのルールのひとつか」<br>　「そうかもな」<br>　そう言って那実は夕日を見つめた。その眼は夕日より遥か先を見つめているようにも見えた。</font></p><br><br><br><p>どうぞよろしくお願いします。</p><p><a href="http://blog.with2.net/link.php?588945">人気ブログランキングへ</a></p>
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<link>https://ameblo.jp/ryouka2/entry-10069553703.html</link>
<pubDate>Fri, 01 Feb 2008 20:10:08 +0900</pubDate>
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