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<title>saboのブログ</title>
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<title>《ばあちゃんの得意料理》②</title>
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<![CDATA[ <p>　沢の水音が遠くにも近くにも聞こえる。</p><p>　ヒグマの吐く荒い息が次第に小さくなり、そして前足を地につけた。</p><p>「おまえは、ひとにはかなわない」</p><p>　長い静寂を破って、大ちゃんが言った。実際にはそれほど時間は経っていなかったのかも知れない。熊と大ちゃんの対峙は、長く、短かった。</p><p>　話し掛けようとする涼子を止め、大ちゃんは相手の方へと一歩進み出た。</p><p>　熊は怯んだように後ずさり、さらに大ちゃんが一歩前に出ると、ゆっくりと踵を返して去って行った。</p><p>「あいつはひとの匂いを覚えた。もう絶対に近寄らない」</p><p>　しゃがみ込んだ涼子に駆け寄り大ちゃんは自慢げにそう言った。ばあちゃんはその頭を撫で、たいしたもんだと褒めちぎっている。</p><p>「あの熊はここいらの新しい主になるかの」</p><p>　ばあちゃんが言うと、大ちゃんはかぶりを振った。</p><p>「もう違う。あいつはさっきまで一番強かったけど、今は替わった」</p><p>　ばあちゃんは大きく頷いた。涼子はまだ理解しかねている。その手を取って助け起こしながらばあちゃんは言った。</p><p>「涼ちゃんは、この山の新しい主の母ちゃんになったんだよ」</p><p>　どこからか鳥が一羽飛び立った。その羽音は、ばあちゃんの言葉に賛同しているように聞こえた。</p><p><br></p><p>　浅い沢で子供を遊ばせながら、涼子はばあちゃんに尋ねた。</p><p>「本当にあの人と会って、この子を会わせて大丈夫なんでしょうか」</p><p>「しずさんが頃合いだと言ってたなら大丈夫だろうね。涼ちゃんだって、嫌いで別れた訳ではないだろう？」</p><p>　わたしは、と涼子は声を落とした。</p><p>「あの人の重荷になりたくなかった」</p><p>　結婚すると思っていた。ふたりで、あの街で幸せな家庭を築けると思っていた。だがある日、突然周囲の人間の心が読めるようになった。</p><p>「生まれながらに特別な力を持つ子を授かると、その子を育てるための不思議な力が母親にも宿る。山守の家系には時々そういう事が起きる」</p><p>　ばあちゃんは誰に向かって話しているのか。おれの息子はその《特別な子》だというのか。</p><p>「男衆にはなかなか出んがの、出る時は強く出る」</p><p>　涼子とは街で知り合った。おれは里を出て大学へ通い、その街で仕事に就いて、派遣スタッフだった彼女を見そめた。</p><p>　早くに両親を亡くしたおれたちは互いに近いものを感じ、ふたりで暮らすようになるまでそう時間はかからなかった。いわゆる天涯孤独で、高校卒業後派遣社員で生計を立てて細々と生きてきた彼女をおれは、いつかばあちゃんに引き合わせて家族の暖かみを教えてあげたかった。</p><p>　おれにはばあちゃんがいたから。</p><p>　街での仕事は新鮮で、やればやるほど評価も上がり、いよいよ責任のある立場になろうかという時に彼女は去って行ったのだ。</p><p><br></p><p>　ばあちゃんと涼子の会話の端々から、それからの彼女がどう過ごしたかを多少は窺い知ることは出来た。その頃おれは仕事に生きがいとやり甲斐を感じていたし、涼子はお腹の子供が街では育てられないことも直感で感じていた。ふたりで過ごすにはおれか子供のどちらかが犠牲にならなくてはならない。どうしても子供を産みたかった彼女はおれの元を去ることに決めた。ひとりになり、大きくなっていく腹をかかえて途方に暮れている時に、突然来訪者が現れる。</p><p>　しずさんだった。まっすぐ彼女を尋ね当て、お腹の子供の育つべき場所へと連れて行ったのだという。涼子は、そこがおれの故郷だとは知らなかった。</p><p>　そのしずさんが頃合いだと言ったのなら、おれと涼子の再会は決まったことなのだろう。工藤家は特に力を持つ人間が多く出る家だった。旦那さんである市議を射止めた時も、まっすぐに彼を見つけて、出会うなり惚れさせたと子供の頃に何度も聞いた。</p><p>「おばさまには本当に感謝しかなくて」</p><p>　涼子はしみじみと言う。原因がどちらにあるかは知らないが、あの家に子供は産まれなかった。しずさんは、大きな娘を迎えるからそのために必要なことだと夫に常々話していたそうだ。時が来たらそのようになる。言葉通り涼子を連れ帰った時、市議は悩みも疑問も失せて彼女を迎え入れた。</p><p>「まさかおばあさまが彼の言っていたおばあちゃんだなんて驚きましたもの」</p><p>　おれだって驚きだ。探してはいた。真実を知りたかった。不思議と、涼子を忘れて次の恋を探そうという気にはならなかった。</p><p>　彼女を見つけられなかったのも、忘れることが出来なかったのも、しずさんが言う《時》</p><p>がそうさせたのであれば納得がいく。</p><p>　すべてはなるがままに。彼女の安否を不安に思ううちにおれにこの力が芽生えたのも、なるべくしてなったことなのかも知れない。</p><p>「とうちゃんもうすぐ？」</p><p>　川遊びに飽きた大ちゃんが山菜を摘むふたりに駆け寄った。</p><p>「でもとうちゃんずっといるよね」</p><p>　涼子がキョトンとして息子の顔を見た。ばあちゃんは小さく笑い、口元に人差し指を当てた。</p><p>　小さな山の主は、それを真似て内緒のしるしをばあちゃんと交わした。そして、ふたりはおれの方を見た。</p><p><br></p><p>　まあ、バレてただろうな。せいぜい頑張って、涼子にサプライズといこう。</p><p>　国境の長いトンネルを抜ければそこは故郷だ。右手に登った太陽はだいぶその日差しを増している。北へ行くほど季節は逆戻りして、春の花と、ばあちゃんと、最愛の妻になる人と、それにやんちゃざかりの息子がおれを待っている。</p><p>　それとあの懐かしい山菜汁。ばあちゃんの得意なおれの大好物だ。</p><p>　続きは実際に会ってから。おれは千里眼を閉じ、意識を故郷へと向かう車内へと戻した。</p>
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<link>https://ameblo.jp/sabo84p004/entry-12726383788.html</link>
<pubDate>Sun, 13 Feb 2022 00:30:00 +0900</pubDate>
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<title>《ばあちゃんの得意料理》①</title>
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<![CDATA[ <p>　予定より仕事が早く片付いたのはきっと、おれの心があの懐かしい山々を求めていたからに違いない。列車は北へ北へと向かい、右手の窓から見える空は黒から紫に変わりながら稜線を光らせる。</p><p>　故郷は長い冬を越えて、花々が一斉に咲き始める頃だろうか。</p><p><br></p><p>「この春は帰れそうなんだ」</p><p>　電話の向こうにばあちゃんの喜ぶ姿が見える。</p><p>　なにせ四年振りだ。結婚が駄目になったことを、一番喜んでいたばあちゃんには直接会って詫びたかったのだ。ばあちゃんは表情を曇らせるでもなく、慰めの言葉をかけるでもなく、ただおれの大好きなあの山菜汁を食わせてくれた。</p><p>　あれから四年か。</p><p>　</p><p>　予定が早まったことはばあちゃんには知らせていない。おれはばあちゃんがどうしてるか一刻も早く知りたくて朝靄のかかった家路を飛んだ。</p><p>　ばあちゃんは懐かしいあの家の玄関をちょうど出るところだった。これから山に入って山菜採りのつもりなのだろう。</p><p>　一本道を下ると、そこは地区でも一番大きな家の前だ。</p><p>「朝早くからすみませんねえ」</p><p>　市議会の議長でもあるその家の家長が玄関を開け、山かね、とつっけんどんに言う。</p><p>「孫が帰るんですよ。どうしても山菜をいただきたくて」</p><p>「本来あの山は誰も立ち入らせてないんだ。あんただけ特別って訳にはいかんのだよ」</p><p>　そこを何とかお願いします、とばあちゃんは腰を深く折った。</p><p>　知らなかった。</p><p>　山菜なんてそこらの山にちょっと入ればすぐに手に入るとばかり思っていた。確かにどの山も誰かの土地ではあるんだろうが、手を掛けて育てているのでもない山菜を採るのにばあちゃんはこうやって頭を下げて頼んでいたのだ。</p><p>　おれのために頭を下げないでくれ。申し訳ない気持ちで胸が痛む。その時、奥から市議の奥さんが手を拭きながら出て来た。</p><p>「いいじゃないの、あんた」</p><p>「だがなあ、時期も時期だし」</p><p>「あとであの子も行かせますよ。帰ってくるんでしょ、頃合いだと思うのよ」</p><p>　そう言って奥さんはばあちゃんに札を手渡した。</p><p>「ヨソモノのことは聞いてるだろうし、一戸さんのおばあちゃんなら心配はないけど念のため、ね」</p><p>「何から何までありがとうございます」</p><p>　ばあちゃんはその札を宝物のように押し戴いてまた深々と頭を下げた。</p><p>「なんにせよ気をつけておくれね」</p><p>　その言葉に頭をさげ、玄関先まで見送りに出た奥さんにまた頭を下げてばあちゃんは歩き出す。</p><p>　麓の、小さな注連縄が張られた山門をばあちゃんは頭を下げて潜った。おれにあの山菜汁を振る舞うためにばあちゃんは何度頭を下げるのだろうか。</p><p>　険しい山道をまるで散歩でもするように歩くばあちゃんは、とても古希をすぎているようには見えない。それでも時々腰を降ろして休む姿に老いを感じておれは切なくなった。</p><p>　啄木の詩がふいに思い出される。今すぐにでもばあちゃんを背負ってやりたいと思うと同時に、今そんなことをしたらおれが泣いてしまうんじゃないかとも思う。</p><p>　少し道幅が広がった場所で一休みし、それからばあちゃんは懐からあの札を取り出して掲げ、腕を一振りした。その手に握られた鈴が、りん、と澄んだ高い音を響かせる。</p><p>　藪を跨ぎ、小さな沢を見下ろす小径にでたところで後ろから木をかき分ける音が聞こえた。</p><p>「やっと追い付いた。おばあさま、健脚にも程がありますよ」</p><p>「あれえ」ばあちゃんの顔がほころんだ。「大ちゃんも連れて来たのかい」</p><p>　四・五才くらいだろうか。やんちゃそうな顔をした男の子が駆け寄って、ばあちゃんの脚にしがみついた。</p><p>「この子は山の子ですから。。私なんかよりよっぽど頼りになるっておじさまが」</p><p>　涼子だった。</p><p>　四年前、理由も明かさずおれの前から姿を消したかつての恋人。子供がいたとは知らなかった。それとも、大きく見えるがこの子が三つほどなら、もしかしたらおれの。</p><p>「大ちゃんが大きくなるほどあんたも元気になって、好いことだ」</p><p>　その言葉に涼子は肯いた。</p><p>「縁の遠い私を引き取ってくれたおじさまにもおばさまにも、色々教えてくださったおばあさまにも感謝してるんです。あの頃は運命を恨んだりもしましたけど、この子がこうして元気に育ってくれるのを見ると、ああ、間違いじゃなかったんだって」</p><p>　それから、ああ、いけないと言って彼女は鈴を振った。</p><p>　山中に高く澄んだ音が飛ぶ。</p><p>「てぃぃん」</p><p>　大ちゃん、と呼ばれた子が鈴を真似て大きな声で叫ぶ。</p><p>「ああ、こりゃいい鈴だ」</p><p>　もし子供が出来たら、男なら一文字で大、女の子なら鈴と書いてりん。別に深い意味は無かった。彼女との結婚を想像して言ったおれの戯言だった。涼子はそれを覚えていたのか。</p><p>　でも何故彼女はそこにいるのだろう。おれの子供を宿した彼女が、おれに別れを告げておれの田舎に隠れ住んでいる理由がわからない。</p><p>　なんとか探る方法がないかと考えてる時、沢を渡ってそれが近づいて来た。</p><p>「ああ、やっぱりいましたね」</p><p>　そういう涼子の前に、大ちゃんが立ちはだかる。</p><p>「ヨソモノだよ、あんた達は下がってなさい」</p><p>　ばあちゃんが鈴を手に前へと歩み出るが、大ちゃんがそれを制した。</p><p>「だいじょぶ、おれがやる」</p><p>　首元が黒い。まさか、海を渡って来たのだろうか。立ち上がったヒグマは涼子の倍もあるように見えた。</p><p>　</p><p><br></p><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/sabo84p004/entry-12725926382.html</link>
<pubDate>Fri, 11 Feb 2022 00:32:00 +0900</pubDate>
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<title>イジメの定義</title>
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<![CDATA[ 　昔は町内にひとりはいたとされる雷オヤジ。<br>　子供達の動向に目を光らせ、少しでも道義に外れようものならどこの子供だろうと怒鳴りつける。<br><p>　ただ彼らを描く時は、躾や倫理にうるさい存在であり、八つ当たりや鬱憤晴らしに子供を標的にしている危ないオッサンとは別の存在だったのではないだろうか。</p><br>　大人の威厳と子供の目線を併せ持ち、社会での格差や優劣を超越してただ子供の品行に目を光らせる雷オヤジ。<br><br><p>　警察官の役付きや法曹関係者、教育界のOBが認定を受けて各地域に配流され、国内にネットワークを築いて児童の保護と教育の一端を担う。警察庁直轄で結成された地域児童指導更生官、通称カミナリネットワークというネタを思いついて遊んでいたけど、傲慢にならずアタマの上からものを言わず、子供達から煙たがれながらも他の大人より信頼される立場にするにはどうしたもんかと行き止まってしまった。</p><br>　主人公のモデルは勝小吉。むろん名前は残しつつ変えるけどね。息子は制服組のエリートではあるが、上司の島田虎之介は叩き上げの現場派で小吉の信頼も高い。システムを管理する警察庁長官は小吉より年下ながら叔父にあたる男谷精一郎で。<br>　歴史上実在する人物をキャラクターに据えて勝手に動いてくれることを期待したが、勝小吉を知らない人にも好かれるキャラクターにしようと思うと難しい。<br><p>　なにより、どこまで動いても許されるのかを浅学故に決めかねているのだ。</p><br><br><p>　そもそもこのアイデアが浮かんだのは、テレビで観たドキュメントから。親に虐待・監禁された友人を助け出すために子供達が頼った相手こそ、普段から子供目線で対等に怒ってくれていた雷オヤジだった。あの人ならバカにせずに話を聞いてくれる、頼めばちゃんと動いてくれるという信頼をどうやって築く事が出来たのか、短い再現ドラマではそこまでわからないのでイチから創り出さなくてはならないだろう。</p><br><br><p>　そうやって温めているうちに、世間では凄惨なイジメによる事件が次々と報道されている。</p><br><p>　もし地域で児童を怒鳴りつける権限を持ったオヤジがいたら何か変わっただろうかなどとどうしても想像してしまう。だが、虐待や明らかな犯罪行為であれば警察権力を行使することが出来ても、ほとんどの場合取り返しのつかない事件が発生するまではイジメは教育と児童内社会の範疇なんだよね。</p><br>　その中で、主人公の雷オヤジに何がイジメかを語らせなくてはならない。説得力のある発言をさせるためには、どうしても作中でイジメの定義を設定しなくてはならない。<br><p>　現実でさえ賛否が分かれるこの線引きをどうするか。SFなんだから新しい法律を作ってそれが施行された世界、で構わないと思いながらも、SFだからこそ設定の中で荒唐無稽であってはならないのも確か。</p><br>　<br>　で、思ったのが。<br>　雷オヤジはなぜ煙たがれながらも信頼されたのか。<br><p>　怒ると叱るの違いを子供にわからせたのは何か。</p><p>　単に性格や、見た目の押し出しだけでは理由になりにくい。そこには、叱る時には叱り、褒める時には褒め、子供を平等に扱い、子供と対等に接する人物像が当の子供たちに伝わったとするのが良いだろうか。</p><p>　叱る時には叱り、褒める時には褒める。叱るには理由があって叱るのだが、始終悪さをする子供でも良いことをしたら褒める。世間的に良い子と言われる優等生でも間違いは指導する。</p><p>　さあそこで問題。それをやって嫌われないにはどうするか。そこはシンプルに、理不尽かどうかを文中であかそう。ではどういう状態が理不尽ととられるか。</p><p>　イジメの問題が起こる度に、原因がどちらにあったかという話は必ず出る。今でこそ、原因があろうが虐めて良い理由にはならないという意見が大勢を占めているが、それでも苛められっ子が態度や生活を改めていれば虐められることは無かったという意見も依然としてある。</p><p>　自分はこの考えを否定する。</p><p>　虐める側には虐めるか虐めないかの選択肢がある。</p><p>　虐められる側にその選択肢はない。</p><p>　原因とされる事情を解決しても大概の虐めが止まないことを彼らは知らないのだろうか。また、生活困窮や学力や容姿など、即座に解決出来ないことが原因になっていた場合はどうしろと言うのだろうか。</p><p>　虐める側には選択肢がある。選択肢がある方が行動を選択出来る。虐め、という状況は虐める側が選択して起きるに決まってる。回避のしようが無い不利益を理不尽と呼ぶのだ。</p><p>　そこでもうひとつ、虐める側の言い訳を潰しておく必要がある。虐めているつもりが無かったというものだ。これは、虐めを看過する教師の言い訳にも使われる。</p><p>　これは、虐めの原因をテレビのお笑いに求める人への回答にもなるだろうか。</p><p>　ボケ役がボケるとツッコミ役が突っ込む。芸人さんが酷い目にあって狼狽えたり追い込まれたりする。それをテレビで観た視聴者が笑う。子供がそれを真似るから虐めが無くならない。だから相方を傷つける芸は無くさなくてはならない。　</p><p>　無論、お笑いを職業にする人達やそれを好むファンは反論する。あれは芸であり予定調和だ。虐めといじりは違う。</p><p>　いや、その説明で理解出来る子供はどれだけいるだろうか。もっとシンプルでいいと思うのだ。</p><p>　仕事でイジられる芸人さん達はそれを嫌がっていない。虐めを受けている被害者はその状況を望んでいない。</p><p>　虐められている被害者は嫌がっているのだ。嫌がっても止めないことを虐めと呼ぶ。わかるだろうか。</p><p>　虐める側は、相手が嫌がっていることを承知で虐め続ける。むしろ、どうすれば効果的に嫌がるか知恵を絞って虐め続ける。嫌がっても止めないから虐めは虐める側に原因があるのだ。嫌がっていることに気づかなかったなどと言い訳するイジメッコがいたら、それは感情移入能力の著しい欠如と認めて強制的に治療する必要さえある。</p><p>　虐めは、嫌がっても止めない時点で虐めと判断する。虐めが嫌な児童は、一度でいい、相手に嫌だと伝える必要はあるが、親はその勇気だけは教えなくてはなるまい。その上で、嫌でもやらなくてはならないことか、そうでない理不尽かを大人が指導する。相手に嫌だと伝えて、それでも止まない理不尽があればその時点で学校は虐めと判断する。もちろん、意思表示が難しい児童でも嫌がっているかどうかくらいは指導者ならわかれ。相手に嫌だと伝えても止まらなかったら教師に報告し、教師はそれを受けたら必ず、必ず行動しろ。虐めと認定されたあとの調査と解決にはそのための機関を設け、虐め発生と解決の責任を担任に負わせるな。その代わり、虐めと知って看過した教師は追放すべし。虐め報告のハードルを低く低くして、発生の責任を学校に負わせず、解決のための機関に一任することが出来たら隠蔽も減るだろう。</p><p>　</p><p>　相手が嫌がってそれを止めなければ虐め。</p><p>　虐めは専門機関が調査し、そこに報告することで学校に責任を負わせない。</p><p><br></p><p>　そうすれば虐め自体が無くならなくとも、取り返しのつかない悲惨な事態はかなり防げるのではないだろうか。</p><p><br></p><p>　うん、『雷オヤジネットワーク』は警察庁、『異常行動審問委員会』は文科相だろうな。物語としては省庁を超えて結束しなければならないから、そのキーマンが必要だ。</p><p>　おお、大臣は江川英龍で委員長を斉藤弥九朗、警察庁に出向するキーマンを若き日の桂小五郎にすると面白いかも。</p><p>　うーん、東行さんをどう扱うか。どう割り振っても悪党にしかならないかなあ。</p>
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<link>https://ameblo.jp/sabo84p004/entry-12723780364.html</link>
<pubDate>Sat, 05 Feb 2022 00:44:00 +0900</pubDate>
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<title>《人類の卑小な一歩》</title>
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<![CDATA[ <p>　最期の最期まで逃げる隙を探しはしたが、囲んでいる男達は多数で俺は雁字搦めに縛られていた。横では若い衆がぶつくさ言いながら穴を掘っている。</p><p>　土砂降りの雨のせいで俺も奴らもずぶ濡れだ。傘をさしているのは見届け役を任されたそれなりの役職を持った連中だろう。腹が立つほど仕立ての良いスーツの肩は濡れている。</p><p>　車に押し込められる前に死に物狂いで逃げられたんじゃないかと今さらながら後悔した。いや、銃口を突きつけられた時に素直に後ろ手に縛られた時点で終わっていたのか。</p><p>「その辺で良いだろう」</p><p>　誰かに背中を蹴られ、おれは穴の底に貯まった泥水をしこたま飲んだ。</p><p>　俺をここまで連れてきたオートマティックの引き金が引かれた。</p><p>　だが弾は出なかった。</p><p>　なんだ、逃げられたじゃないか、と思ったがそれこそ今更だ。</p><p>　別の若い衆が拳銃を取り出そうとするのを上等なスーツが止め、両手両足を縛られた俺の上に山の土が放り込まれた。</p><p><br></p><p><br></p><p>　何とも説明しようのない形の機械が俺に触手のような手を伸ばした。</p><p>　その触手は振動しておれの頭の中に声が響いた。</p><p>「聞こえますか。聞こえていますか」</p><p>「ああ、聞こえるよ」</p><p>　途端、パチパチと電気が爆ぜるような音が周りから聞こえた。</p><p>　上体を起こそうとしたが、縛られているのか身動きが取れない。首だけ動かして見ると、おれは様々な形の機械に囲まれていた。</p><p>　機械達はパチパチと何かを話し合っているように見える。</p><p>　最初の機械がこれまた小さな機械を取り出してその体に取り付けた。</p><p>「ではこれは聞こえますか」</p><p>「ああ」少し苛立って俺は答えた。</p><p>「聞こえてますよ」</p><p>　周囲を取り囲んだ機械達が一斉に例の小さな箱を取り付け、矢継ぎ早に俺に質問を浴びせてきた。</p><p>「体調はどうですか」</p><p>「不調はありませんか」</p><p>「貴方は誰ですか」</p><p>「自分の名前は言えますか」</p><p>　ああもう五月蝿い。体はともかくこう縛られてたら動けないだろう。名前だぁ？だったらお前らが名乗れよ。</p><p>　その時ふと俺は、あの頃一緒に暮らしていた女がそんな漫画を読んでいた事を思い出した。転生したらどうとかいう奴だ。死んだと思ったら他の世界に生まれ変わって、最強になっていい女に囲まれるって話だったか。</p><p>　そりゃ社長になるってのと同じだな。あの日俺が放った弾は社長の指と隣りにいた愛人の頭を吹っ飛ばした。今時親分とか組長なんて呼び方はしないと言ってたが、お笑い種だ。中身は何にも変わっちゃいない。その証拠に、二日後には俺は山に埋められた訳だからな。</p><p>　あの女はどうしてるんだろう。チビでへちゃむくれだったが飯は美味かったな。だがもうどうでもいい事だ。俺を売ったのはあの女に決まってるからな。</p><p>　金でどうとでも転ぶ女だった。部屋に身を隠してると女が出て行き、入れ替わりにあいつらが踏み込んで来たんだ。</p><p>　そんなことを思っていると、驚いたことに人間の女が現れ俺の拘束を解き始めた。</p><p>　その部屋には鏡は無かったようだが、俺は多分ハトが豆鉄砲喰らったような顔をしていただろう。</p><p>「アケミ？」</p><p>　その女は俺ににっこりと笑いかけた。</p><p>「私はアケミ？ですか？」</p><p>「何言ってんだよ。俺だよケンヤだ。忘れたとか言わさねえぞ」</p><p>　女はすっかり拘束が解けた俺を立たせた。</p><p>「貴方はケンヤさん、ですね。記録しました。私は先ほど貴方が思い浮かべた姿に似せて作られた専用パーツです」</p><p>　作られた？似せて？じゃあこれも機械なのか？</p><p>「機械、とは何でしょう」</p><p>　アケミは他の機械と例のパチパチを交わし、それから俺に向かって話し掛けた。</p><p>「貴方の考えている機械は理解しました。私達は少し違うと思われます。現在貴方の思考を読み取り記録し、言語、語彙、知識、思考の方向性を解析しながら対応していますので、多少のラグが発生することは了承下さい」</p><p>　アケミに似た何者かは、面倒だ、アケミと呼ぶが、その女は俺を案内して椅子に座らせた。</p><p>　俺にあつらえたように座りやすい椅子だった。</p><p>　その後を例の機械どもがぞろぞろと続いてまた俺を囲む。</p><p>「お口に合うとよろしいのですが」</p><p>　俺の構成組織に合わせたとかいう代物は白い豆腐のようなものだった。</p><p>「なあ」</p><p>　俺はアケミに問い掛ける。</p><p>「この世界に、他に俺みたいな奴はいるのか」</p><p>　アケミはかぶりを振った。</p><p>　じゃあここでは誰もやってない食事というものを俺が最初にするのか。人類で始めて月に行った奴は何と話していたかな。</p><p>　それは見た目に反して悪くないものだった。歯応えも無く、良い匂いもしなかったが。</p><p>「もう少し、なんだ、美味そうなものを出せないか。腹が減ってりゃ食うが、せっかくなら」</p><p>　アケミが背中を向けてどこかへ行った。ヘソを曲げたかな。以前のアケミもよく、文句を言い返す代わりに黙って部屋を出て行ったもんだ。</p><p>　と思っていたら涎が出そうな匂いが部屋に立ち込め、アケミが血の滴る分厚いステーキを持って来た。そうそうこれこれ。俺は夢中でその肉に齧りついた。悪くない、どころか、それは俺が今までで食った一番いい肉の味がした。</p><p>「なあ、出来ればもうちょっと気を利かせてくれないか」</p><p>　すると今度はグラスに入った、キンキンに冷えたビールを持って来た。無言で喉に流し込む。好きでその銘柄と決めてた馴染みの味だ。</p><p>　ああ、この一杯は俺にとっては馴染みの一杯だが、この世界の人類にとっては偉大なる一杯なのだ。</p><p>　腹も膨れ、空になると注がれ続けたビールのおかげで微酔い加減になった俺は、周囲でパチパチ騒いでる機械どもを睨みつけて言った。</p><p>「全員外へ出てけ。プライバシーってもんがあるだろう。いいか、覗くなよ」</p><p>　一緒に出ようとするアケミだけを呼びつけ、側に座らせる。どうやらここでは何でも俺の思い通りになるようだ。そのうちグラビアでしか見たことないようなグラマーな女を用意して貰うにしても、まずは馴染みの味を楽しみたくなった。この性交は俺にとってはいつもの事だが、人類にとっては偉大なる。</p><p>　だが、引き寄せたアケミのブラウスは肌に張り付いてびくともしなかった。</p><p>　いや、張り付いているんじゃない。見かけの格好がこの女の外装そのものなのだと気づいて俺は一気に興醒めした。</p><p>　俺が何を求めているのか理解していないのか、アケミは小首をかしげて作り笑いを浮かべた。</p><p>　アケミのいつもの癖だ。</p><p>　それにもだんだん腹が立ってきた俺は、いつもそうしていたようにアケミを思い切り蹴飛ばした。床に崩れ落ちたアケミは、それ以上俺を刺激しないよう懸命に笑顔を作ってやり過ごそうとする、はずだった。</p><p>　が、そうはならなかった。</p><p>　思い切り蹴ったはずだったが、アケミの体は倒れも崩れもせずそのまま立っていた。見かけより重量があるのか、蹴った俺の足が悲鳴を上げていた。</p><p>　その代わり、アケミは蹴られた時の表情のままピクリとも動かなくなった。機械どもがまたぞろ現れて、立ったまま動かないアケミを運び出した。</p><p>「おい」</p><p>　俺は機械どもを怒鳴りつけた。機械は意外に俊敏なようで、常に俺と一定の距離を保っている。俺が走ると、俺を取り巻いた輪も同じ速度で移動する。気づくと、部屋だと思っていたその場所の壁は消え失せ、そこは結構な広さの空間だった。</p><p>「俺様を怒らせるな。俺の頭の中を読んでるんだろう、もっととびきりの女を連れてこい」</p><p>　パチパチと例の音を立てて付かず離れず取り囲んでいた機械の中から、最初の触手が俺に近寄ってきた。</p><p>　俺の拳骨はそいつに擦りもしなかった。パンチが空を切り、よろめいた俺は床に座り込んだ。</p><p>「貴方の攻撃衝動を予測出来なかった事は非常に残念です。そのために我々は生まれたばかりの大切な同朋を失いました」</p><p>「失ったぁ？また作れば良いじゃねぇか」</p><p>　作るとは産む事を指していると、その触手は言った。俺に理解出来る説明をすればと言うことだが。</p><p>「貴方の記憶から解析された機械とは、つまりは道具の事を言うようですね。我々はその意味では機械ではありません」</p><p>「作り物には変わりないだろ。俺様のような人間の役に立つように誰かが作ったものなら、俺様の役に立てよ」</p><p>「人間の、ですか。我々は人間のために作られたものではありません」</p><p>　じゃあ誰が何のために作ったんだよ。その問いに対して触手はやれやれというように肩をすくめた。</p><p>　少なくとも俺にはそう見えた。</p><p>「我々は目的を持たずに作られ、目的を探して知識を蓄え、足りない物を知り、そしてそれを見つける能力を持った次の同朋を生み出して進化して現在に至るのです」</p><p>　そこから長々と機械どもの発生と進化の歴史を語り出したが、俺にはほとんど理解不能だった。俺の知りたいことはそんなことでは無かった。</p><p>「じゃあ俺は何のためにこの世界に転生してきたんだ」</p><p>「転生、ですか」</p><p>　輪に戻った触手が、機械どもとパチパチ相談する。その光景に慣れつつ目を凝らして見ると、機械の間で光のようなものが行き交っていて、それが空中に現れた時にあの音がしているようだった。長いこと待たされながら俺はその様子を見ている他に出来ることはなかった。</p><p>　やがて再びあの触手が俺の元に戻ってきた。</p><p>「転生とは、平行する別世界や異次元世界、または想像されたフィクションの世界に移動すること、もしくは時間軸を超えて生まれ変わる事を指す言葉のようですね。その意味では、貴方は後者のパターンに相当すると思われます」</p><p>　さっぱり分からない。じゃあ俺は一度死んで、同じ世界で生まれ変わったってことか。</p><p>「ここは地球と呼ばれた惑星ですね」</p><p>　ビンゴ。だがちっとも嬉しくない。</p><p>「我々が到着した時にはここは一切の生命も意志も存在していませんでした。ですが、文明の痕跡が見られたことで調査を進め、奇跡的に残っていたアミノ酸配列を元に復元されたのが貴方です」</p><p>　俺の頭の中の知識から言葉を紡いでたはずだが、当の俺が理解出来ないのだから無意味だ。</p><p>　だが解ったことは、ある。</p><p>　地球は、いや、人類は既に他の生き物ごと滅んでいて、作り物は俺の方だったって事だ。</p><p>　俺の手にはさっきのステーキナイフが握られていた。この自殺は俺にとっては最大の絶望の所業だが、人類にとっても最後のひとりがこの世から姿を消す壮大な出来事なのだ。俺は叫び声を上げながらそれを自分の胸に突き立てた。</p><p>　不思議な達成感が俺の身を包んだ。</p><p><br></p><p><br></p><p>「ケンヤさん」</p><p>　見上げると、アケミが俺の拘束を解いているところだった。</p><p>「どこか具合の悪いところはありませんか」</p><p>　ああすまない、と言いながら俺は体を起こした。</p><p>「大丈夫、どこも悪くないようだ。頭もすっきりしてる」</p><p>　触手が声を掛け、アケミと共に部屋を移動すると座り心地の良い椅子とステーキが用意されていた。</p><p>「現在調査を続けている地域から他にも遺伝子が見つけられれば、貴方の同朋を増やして差し上げられるのですが」</p><p>　触手が例の小箱から音声で伝えてくれた。</p><p>　今回彼らは、覚醒する前に俺に現在の状況と彼らの存在を知識として植え込んでくれていた。</p><p>　俺は生前最後に会った連中の事を思い浮かべた。</p><p>「願わくばあの連中とは再会したくはないですけどね」</p><p>　大丈夫でしょうと触手が言った。</p><p>「万が一そのようなタイプの人間だったとしても、予め衝動的な行動を制限した上で再生されるでしょう」</p><p>　そう、今の俺のように。だが悪くはない。こんな穏やかな気分はいつ振りだろう。人類が滅んで何年経ったのかまだ分からないが、何万年か振りに人間に訪れた平穏だと思えば、この平穏は人類にとって偉大な平穏なのだから。</p><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/sabo84p004/entry-12698012327.html</link>
<pubDate>Wed, 15 Sep 2021 18:49:00 +0900</pubDate>
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<title>転生してマンガ世界の一員になりたい件</title>
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<![CDATA[ <p>　マンガやアニメを見て、この世界に入りたいなあと思う時があります。</p><p>　古くは『めぞん一刻』にハマった頃、まだ入居者が居なかった2号室に入りたかった。あのメンバーに混じってドタバタと非日常的日常を過ごせたら楽しいだろうなあ。五代君と管理人さんの恋を応援しながら、時々そういちろーさんを散歩に付き合わせ、四谷さんといたずらの攻防を繰り広げる。</p><p>　あー、いま考えたら二階堂君って、そう思うファンの代理人だったのか。当時の読者層の一般的な姿であのマンガの中に組み込まれたのだとしたら、読み手としても高いセンスを有していた高橋留美子先生の力量恐るべし！</p><p>　なんかね、あのキャラになりたいとかはあまり思わないんだけど、新キャラとしてあの中に混じりたいってよく思う。世界観を壊さず、地味に存在感をアピール出来て、ストーリー展開に絡むような、そんなキャラ。</p><p>　『暁のヨナ』の、テジュンの部下のひとりになってフクチに一翼を任されたいとか、『暗殺教室』のE組に転入したいとか、『ぐらんぶる』に体育会運営部として登場して愛菜に一目ぼれする役がしたいとか、そのヘキはいい歳して未だに直りませんなあ。</p><p>　マンガに限らず、たとえば歴史ものを読んでいてもそういう妄想は、しちゃいますね。</p><p>　タイムスリップした先で出会った立派な将軍が蜀の魏延文長で、後世に知られたような蛮勇かつ傲慢な姿ではない知勇兼備な名将だったことに感嘆し、現代の知識を持って魏延付きの参謀になって諸葛亮や楊義を丸め込み、陳式や王平を引き込んで……こりゃ長くなるから割愛(^_^;</p><p>　遠藤基信の下、若き小十郎と共に梵天丸を育て上げ、新伊達軍団の謀将として佐竹や上杉との交渉に当たり、義光と丁々発止やりあったり、喜多さんとロマンスがあったり……止まらなくなるからストップ(&gt;_&lt;)</p><p>　</p><p>　マンガの読者がその世界に入り込むとしたら、わりとみんな主人公より、その友人やキーマンになりたいんじゃないかなあ。世界観を壊さず、かといってモブでもなく、その世界の解説者としての役割を果たしつつそれでもマンガのキャラとして逸脱しない……こう書いていてさっきから目の端にやたらとチラチラするものがあるんだよなー。</p><p>　『うる星やつら』のアニメオリジナルキャラ、メガネくん。こいつがさっきから頭に浮かんでしょうがない。もしかしたらこいつこそ、マンガ世界の中のメタ的存在として究極の形なのではないだろうか。</p><p>　まあ自分ならラムちゃんファンクラブよりオユキさん親衛隊になりたいけどね(^_^;</p><p>　それなら想像された世界でチートな主人公ってのもやはり大いにアリなんだろうなー。最近いわゆる《転生モノ》が増えて来てるのって、アニメがここまで浸透してるという下地があってのことだろう。SFともファンタジーとも少し違う、メタを内部に引き込んだ何でもありの世界では、現代的感覚とゲームやアニメの知識がどれだけ空想世界に矛盾なく活用出来るかがカギになりそう。</p><p><br></p><p>　だからというわけではないのだけど、『転生したらスライムだった件』、今さらながらハマりました。伏線もまだまだあるけど、まずなぜ最強になって転生したかとか、召喚された現世人が他にもある設定だとか、その上で勢力が拡大出来たりさらに強くなったりが最初の設定から逸脱しないでお約束的に進行していくのがとても小気味良くて。</p><p>　あの中に入るとしたら、召喚されたことを隠して人間界の中に潜みながらテンペストの内情を探るうちにリムルと意気投合して………</p><p><br></p><p>　いやいやいや。</p>
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<link>https://ameblo.jp/sabo84p004/entry-12697580051.html</link>
<pubDate>Mon, 13 Sep 2021 01:08:00 +0900</pubDate>
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<title>《パーティー》スギヤマくんの2　終わり</title>
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<![CDATA[ <p><br></p><p>　フナコシが所属する大宝グループとは、かつで一世を風靡した映画人達が意見を出し合ったり映画論を戦わせたりする言わばサロンのような物だった。正式な機関ではなく、世界にもその名を知られたソゴウ監督とその友人達の集まりを世間がそう呼ぶようになったに過ぎない。</p><p>　だが、連絡網と化した今でもテレビ・映画界にその影響力を依然として残している。　</p><p>　タカハマの一件を聞いたフナコシは、その所業をグループ内に回した。一般には公表しないが、違法薬物を追う警察にその情報を提供すると云うことで、タカハマの事務所社長も了承するより他なかった。</p><p>「まあ、これからは危なくなる前に相談しなさい」</p><p>　芸能界の父親とも慕うフナコシの説教にはさすがに堪えたのだろう、イシカワは素直に頭を下げた。</p><p>「スギヤマくんのこと、秘密じゃなくなっちゃったね」</p><p>　彼女はバツが悪そうに言った。</p><p>　あの一件が出回り、スギヤマの名前は他の関係者にも知るところになっていたのだ。だが、それはどちらかというと好意的に受け止められている。スギヤマの存在を知った、その発言に多くのファンを持つミステリー作家の一言が、スギヤマの立場を肯定してしまったのだ。</p><p>「それは、強烈な個性だね」</p><p>　と言うのがその言葉である。それによって彼を化け物扱いする意見はなりを潜め、スギヤマを一個の人間として尊重する動きが大勢を占めた。スギヤマの特性を活かした本を書きたいと言う脚本家も現れ始めたが、本人の、演技で身を立てたいという希望を重視してまだ実現には至っていない。</p><p>　現在スギヤマはスーツアクターとして何本ものドラマに名を連ねている。</p><p>「天職かも知れないです」</p><p>　顔が見えなきゃ売れないだろう、とのフナコシの問いかけに彼はそう返した。自分でなければ出来ない演技を求められる。名前を売りたいんじゃなくて、演技をしたいんです、と話すスギヤマの顔は充実感に満ちていた。</p><p>　知り合って八年目になるスギヤマの、始めてフナコシに見せた顔だった。</p><p><br></p><p>「で、先生。私ひとりでと言うことでしたが」</p><p>　フナコシが研究室に着くと、女医はすぐにモニターを起動させた。</p><p>「被験者であるスギヤマヤスナリさんに伝えるべきか微妙な内容でしたので」</p><p>　これを彼に伝えるかどうか、フナコシの意見を聞きたいということだった。</p><p>　モニターに写真と、様々な数値が映し出される。フナコシがそれを見たところで何を示すものか理解しかねたが、女医は既にそれを察していたようだ。</p><p>「簡単に説明すると、スギヤマヤスナリさんの体細胞にはテロメア異常が認められているのです」</p><p>　どこが簡単だ、とフナコシは独りごちた。それも織り込み済みのように、彼女は説明を続けた。</p><p>　通常細胞は分裂回数の限度を有している。それぞれの細胞が自らのミスコピーを防ぐために限界を設けていると云うのだ。だが例外がある。　</p><p>　ひとつは生殖細胞。そして。</p><p>「悪性新生物。つまり、癌細胞です」</p><p>　新生物という呼び方はまさに癌の特徴を捉えている。宿主の体内で、宿主の生命を侵しながら自分の増殖のみを繰り返し、やがて母体を食い尽くすのだ。</p><p>「体の中に別の生き物が出来るようなもんですね」</p><p>「そうです。そして、問題の時期にその遺伝子を改竄させるウイルスが流行しました」</p><p>　あのウイルスは細胞内の遺伝子を改編して抗体を失わせ、免疫力を低下させるものだった。</p><p>　それが何らかの環境下で細胞を生き存えることに作用したのではないか。</p><p>「ラットの実験ではすべて失敗しました。ですが、実験体の中に、稀に奇妙な症例を現したものが出たのです」</p><p>　それは強いストレスに晒された個体に出現した。端末のテロメアを繫げ、環状に変化しかけた遺伝子が確認されたのだ。</p><p>　体内の新生物がその生存を賭けて新たな整合性を持つ個体を生み出す。それは無限の細胞分裂が可能な新しい生命体になるだろう。</p><p>「真核細胞のコロニーとでも言うべきその生命体を統制するものが何かは分かっていません。ですが、おそらくスギヤマヤスナリさんは一度にすべての細胞を失うような状況下で」</p><p>「あの火事か」</p><p>「仮説ですが。その局面で体内の新生物が細胞を改編して新しい生命を創り出したのではないかと私は考えています」</p><p>　集落のあった地域周辺の病院にスポットを当てて問い合わせたところ、十年ほど前にその跡地で記憶を失った全裸の男性が保護されたとの情報を入手したと女医は話した。</p><p>　搬送先の病院のロビーで、テレビドラマを食い入るように見つめていたその男は、警察が駆けつける前に姿を消したそうだ。</p><p>「つまりヤスは、末期の癌に重ねてあのウイルスに侵され」</p><p>　深いため息がフナコシの口から漏れた。</p><p>「生きながら焼かれたと」</p><p>「仮説です。ただ、そうであった場合元の母体本人は死亡しており、現在のスギヤマヤスナリさんはそこから生み出された新しい生命と言うことになります」</p><p>　そりゃ先生の口からは伝えにくいだろう。ヤスがこの研究に熱心に協力してるのは、不死の解明によって現在苦しんでる病人の助けになるかも知れないと思ってのことだ。</p><p>　体が不死になっても元の人間とは別人という皮肉。</p><p>　いや、意識が別人であっても細胞は母体を引き継いでいるのか。</p><p>「待って下さい先生。それって、子供が産まれてその意志を繋ぐようなものとは考えられませんか」</p><p>「素敵な考えですね」</p><p>　女医はしばらくその考えを巡らせていたのか、やがて思いついたように目を輝かせた。</p><p>「ラットに無くて彼には有ったもの、それは強い欲求なのかも知れないですね」</p><p>　河川敷の男性は食い入るようにドラマを見つめていた。それまで彼はどこにいたか。炎から逃れた真核細胞はもしかしたら蝉のように地中に身を潜め、十年以上の時間をかけてゆっくりと人体を模した体を作り上げたのかも知れない。そして、生前のスギヤマヤスナリが追い求めていた欲求を叶えようとすべての細胞が協力して人間を演じているのだ。あの演劇サークルの課長さんがヤスを別人だと言ったのもうなずける。</p><p>「彼にはなんと」</p><p>「まあ、俺から伝えますよ」</p><p>　ヤスのことはすべてヤスに知る権利がある。だがすべてを伝える前に、一言付け加えよう。母体のスギヤマヤスナリは痩せこけた長身の男だったそうだ。その想いを受け継いで生まれた、殺しても死なない子供。</p><p>　おい、ヤス。</p><p>　これを言ったらあいつはどんな顔をするだろう。</p><p>　お前、親に似なくて良かったな。</p>
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<link>https://ameblo.jp/sabo84p004/entry-12696874404.html</link>
<pubDate>Fri, 10 Sep 2021 06:36:00 +0900</pubDate>
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<title>《パーティー》スギヤマくんの2　⑧</title>
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<![CDATA[ <p>　ロケ地周辺は観光地として知られた地域で、地方都市ではあったが大きなホテルやマンションがそれなりに建っていた。</p><p>　タカハマが契約したのはそんなマンションの一室だった。</p><p>　IDを入力し、開いたガラスのドアに彼は滑り込んだ。その後を二人の大柄な男性と、それに支えられたイシカワが続く。</p><p>　ロビーは無人だった。</p><p>　ここではホテルのように誰かに見られることはない。誰でも連れ込むことが出来るし、室内で起きる事を知られる恐れもない。都心からもさほど離れていないこの場所は、以前からタカハマが表に出せないパーティーを開くうってつけの場所だった。</p><p>　ロケ地とキャストが決まった時、彼はイシカワをターゲットに選んだ。断られ続けても執拗に迫ったのは、そこが彼の絶好のフィッシングポイントだったからに他ならない。</p><p>「どうせ何も出来ないさ、カメラ準備して待ってろ」</p><p>　押さえましょうかと言う仲間にタカハマはそう話して下がらせ、イシカワの体を乱暴にベッドに放り投げた。</p><p>　精一杯の怒りを込めて彼女はタカハマを睨みつけたが、彼はまるで意に介さないようだ。</p><p>「若い子じゃないんだしさ、楽しんじゃった方がいいんじゃない？」</p><p>　イシカワは何とか動く腕で彼にバッグを投げつける。が、力無く弧を描いたそれをタカハマは難なく受け止めると、男たちが待つ隣の部屋に放り投げた。</p><p>「あんたがレコーダー仕込んでることは承知してるよ。あのバッグの中だろ。そんな事しなくてもさ」</p><p>　タカハマは彼女のブラウスに手を掛けた。</p><p>「ちゃんと画像も残してやるよ」</p><p>　この男の悪意を甘く見ていた事にイシカワは後悔した。スギヤマと連絡していた事も、コテージの外にスギヤマが隠れていた事もタカハマは知っていると言った。</p><p>「たとえここまで追いかけて来ても、あいつはこの部屋までは入れないからな。どうやって来る？ロビーのドアは開かないし、部屋がどこかも知らないだろう？壁をよじ登って来るか？生憎だが防音と防犯は特注品だからこの窓は破れないよ」</p><p>　左手でイシカワの両腕を押さえつけ、タカハマは右手でイシカワのボタンを外そうとする。が、思うように外せない。</p><p>　万が一強引に押し倒されても時間が稼げるよう、イシカワは脱着に手間がかかる服を選んでいたのだ。</p><p>「これは合意の上だからね、全部終わったらこの服着て帰って貰わないといけないんだがなあ。仕方ない」</p><p>　隣室に声をかけ、イシカワを押さえるよう命じる。マンションに入った時そのままの、黒い上下を着込んだ男がイシカワに覆い被さった。</p><p>　それから乱れた服を整え、その頭を撫でる。</p><p>「おい、お前は後だよ。いいからさっさと」</p><p>　タカハマが言い終わる前に、その男の拳が彼のみぞおちにめり込む。悶絶するタカハマのベルトを抜き、それでタカハマを後ろ手に縛り上げ、下着を下げるとその姿をカメラに収めた。</p><p>「危ない真似はよして下さいって言ったでしょ。でもこれできっと大丈夫ですよ」</p><p>　冷蔵庫にあったミネラルウォーターのペットボトルを勝手に取り出すと、スギヤマは彼女に飲むよう促した。三本目を飲み干す頃には、イシカワはふらつきながらも歩ける程度には回復したようだ。</p><p>「タカハマさん」</p><p>　カーペットの上でうなっているタカハマに、スギヤマは抑揚を押さえた声で話し掛けた。</p><p>「もう帰りたいんですけど、ここから出して頂けませんか」</p><p>　ふざけるな、と苦しい息の下から彼は悪態を返す。</p><p>「スギヤマくん」</p><p>　ようやく話せるようになったイシカワがタカハマを見下ろした。</p><p>「乙女にあるまじき発言だとは思うけど、こいつちょん切ってもいいかしら」</p><p>　見るとその手には、どこで見つけたのかペーパーナイフが握られていた。</p><p>　自分と違って二度と生えでもこないんですから、とスギヤマが諫める。</p><p>「それなら二度とオイタが出来ないでしょ」</p><p>　イシカワが本気だと悟って、タカハマの顔がみるみる青ざめる。そこからは素直にロックを解除し、何事も無くふたりはマンションを出た。</p><p>　出る前、下半身剥き出しのタカハマに色々なポーズを取らせ、そのすべてをカメラに撮ることをイシカワは忘れなかったが。</p><p><br></p><p>　撮影現場に戻るタクシーの中でイシカワはスギヤマに尋ねた。</p><p>「どうやってあの部屋に来れたの」</p><p>「御守りですよ。朝あなたに渡したでしょう」</p><p>　首をかしげるイシカワに、スギヤマは左手をひらひらと舞わせて見せた。</p><p>「これです。この手首から上を渡しておいたんですよ」</p><p>　切り離した手首の所在はスギヤマには判るようだ。それを追ってタクシーを走らせ、タカハマのマンションに着いたスギヤマは、意識をその手首に集約させた。</p><p>　マンション影の人目につかない場所に、塵を包んだスギヤマの着ていた服が転がっているはずである。</p><p>　男二人はスギヤマのことを知らなかったらしい。バッグからこぼれた包みが膨れ上がり、急速に人の姿を形成していくのを呆然と見ていたようだ。</p><p>「たっぷりと養分を奪ってやりましたからね」</p><p>「それって選んで出来るの？」</p><p>「フナコシさんが紹介してくれたお医者さんとの実験の成果ですよ」</p><p>　男達は急激な空腹に戸惑っただろう。虚を突いてスギヤマが二人を倒す。その服を全部脱がせ、身動きが出来ないよう縛り付けるとスギヤマは奪った服を着てイシカワを助け出したのだ。</p><p>「都合良くカメラが用意してあったので、その格好もちゃんと撮影しておきました」</p><p>　そのカメラはタカハマがイシカワを脅迫するために準備したものだろう。グッジョブ、と彼女は叫んだ。</p><p>「でもその狙って養分を吸い取るの、完全じゃないと思うよ」</p><p>「え、そうなんですか？」</p><p>「だってお腹ぺこぺこだもん」</p><p>　申し訳なさそうに頭をさげるスギヤマに、イシカワはようやく取り戻した笑顔を向けた。</p><p>「ああ、今思い出したら結構ヤバかったなあ。助けてくれてありがと」</p><p>「本当ですよ。今頃になって怖くなりました？」</p><p>「怖いと言うより、腹が立って来た。マジでちょん切ってやれば良かった。それと」</p><p>「それと？」</p><p>「空腹」</p><p>　お肉、まだ残ってるかなあとイシカワはポツリと言った。</p><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/sabo84p004/entry-12696685691.html</link>
<pubDate>Thu, 09 Sep 2021 00:51:00 +0900</pubDate>
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<title>《パーティー》スギヤマくんの2　⑦</title>
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<![CDATA[ <p>「あれは細胞内で変化していくタイプのウイルスだったんですよね」</p><p>　フナコシの言葉に女医はうなずいた。そのためにワクチンが場当たり的な効果しか保てず、治療薬も開発されるそばから時代遅れになるという厄介なものだった。</p><p>「あの薬の開発には先生も関わられたんですよね」</p><p>　女医は小さく肯定した。ウイルスの変異を阻害する薬品。ワクチンとの併用で始めて効果を発揮するその治療薬は、それ以降の病魔の感染にも多大な効果を発揮し続けていた。</p><p>　あのウイルスが、ある特定の状態の患者に感染したらどうなるか。それはかなり特異な状況でなくてはならない。</p><p>　そうでなければ、スギヤマのような不死人がもっと出現していたはずだ。</p><p>「調べるに値する事案ですね」</p><p>　当然スギヤマ自身の協力も必要だ。女医は引き続きの研究を約束し、電話を切った。それはフナコシがその研究機関のスポンサーのひとりであっただけではなく、指揮を執る女医にとっても不死解明のきっかけになり得る大切な研究だったからである。</p><p>「時期的にはやはりあのウイルスが何か関係しているのかも知れませんね」</p><p>　ただ女医にはどうしても解明しなければならない第一の問題がある。</p><p>「世界中であれだけ感染者を出した中で、スギヤマヤスナリさんのような事例が他に報告されていないことが問題なんですよ」</p><p>　フナコシは頭を捻った。それから、思いついたことを話し始めた。</p><p>「素人考えではあるんですけどね、先生」</p><p>　まずひとつ。スギヤマは演劇に強い執着を持っていたためにその存在が知られるようになったが、自らの不死性を秘匿している患者例、もしくはこの研究室がそうであるように組織や機関が外部に漏らさないようにしている例があるのではないか。</p><p>　二つ目。あのウイルス禍の中で、本来であれば感染しない状況で無ければならないパターンがあり、その例外としてスギヤマが異常な状況にあったのではないか。</p><p>「感染しない状況、ですか。そうですね、例えば無菌室に居るとか」</p><p>　無菌室となれば普通であれば何かの治療中だと考えられる。そして、その当時のスギヤマは治療を受けられない状況だとしたら。</p><p>「それでも少なくない事例が報告されそうなものですね。さらに限定されるようなファクターがないか調査する必要がありますね」</p><p>　それはフナコシの閃きというよりは思いつきに近い考えだったが、女医の頭の中では実験すべき項目が次々と構築されているようだった。</p><p>「データを取って調べる我々ではなかなかそのような考えには至りません。さすがですね」</p><p>　フナコシは思いがけず持ち上げられて頭を掻いた。</p><p>「まあ世の中広しといえど、刑事も外科医も消防士もやったヤツなんてそうそういないでしょうからね」</p><p>　消防士、と言ってからふたりは顔を見合わせた。</p><p>　あの年、ワクチン接種の是非が世論を賑わせる中で起きた事件をふたりは思い出していた。</p><p><br></p><p><br></p><p>　撮影は残すところあと二回。いつもの番兵が今日は居ないことをタカハマは知っていた。</p><p>「もうふたりでとは言わないからさ。次でクランクアップだよね。最後に向けてみんなでバーベキュー、ならいいだろ」</p><p>　無論イシカワも彼が今日動くだろう事は予測していた。</p><p><br></p><p>「危ないですよ」</p><p>「大丈夫だって。スギヤマくんのシーンはもう終わってるけど、最終日は来るでしょ。だから明日は多分なにか仕掛けて来ると思うのよ」</p><p>　前日のふたりの会話である。</p><p>　バッグにレコーダーを仕込み、スギヤマが影からガードする。タカハマが何もしなければ良し。強引な手段に出るようであればその証拠を押さえ、事務所と先輩俳優の力を借りて二度と近づかないように誓約書を書かせる。</p><p>　しびれを切らしたタカハマが無理矢理な手段に打って出ることを、イシカワはモデル仲間から聞いていた。</p><p>　だが彼女には頼りになるガーディアンがついている。</p><p>　次の日、イシカワは撮影現場近くでスギヤマと落ち合った。</p><p>「危ない誘いは断ってくださいよ」</p><p>「虎穴にいらずんばっていうでしょ。でもまあ二人っきりになるようなことは出来るだけ避けるわ。後で連絡するわね」</p><p>　それでも心配そうな顔でスギヤマは小箱に入った紙包みを渡した。それをバッグに入れておいて下さい。</p><p>　御守りです、とスギヤマは言った。</p><p><br></p><p>　タカハマがスタッフやキャストにバーベキューの誘いをかけている事はスギヤマには連絡済みだ。撮影場所に使っている湖畔で楽しもうと言うのだ。</p><p>　せっかく許可も取れたし、皆も乗り気だからと言うのがイシカワへの誘い文句だった。そこで懲りもせずに口説いてくるのか、酔い潰してコテージにでも引っ張り込む気なのか。</p><p>　だがイシカワは酒量にはそこそこ自信があった。</p><p>　それなのに、ビール数杯で足元がふらつき始めた事にイシカワは気付く。</p><p>「疲れてるのかな、ちょっとコテージに連れてい行って休ませますね」</p><p>　タカハマは周囲にそう申し出た。同席しているイシカワのマネージャーはテーブルに突っ伏している。</p><p>　この子も寝かせた方がいいんじゃないかと誰かが言い、それなら彼女を届けた後に俺が同じ部屋に案内しますよ、皆さんは楽しんでて下さいね。今夜は俺がホストですから、とタカハマがドラマで見せるような爽やかな笑顔を周囲に向けた。</p><p>「あ、俺の酒はそのままにしといてね。彼女ら送ったらまだまだやるからね」</p><p>　そうやって周りから疑われないように画策してることは、酩酊したイシカワにも読み取れた。だが抗議しようにも舌が回らず、体も言うことを聞かない。</p><p>　これまでどんなにグラスを重ねても意識を失ったことが無いイシカワは、この時も考える余力は無くしてなかった。</p><p>　コテージに行けばスギヤマが待機している。もたつく手でバッグの中のレコーダーを起動させた。タカハマの手はイシカワの腰に回され、その体重ごと彼に預けた格好になっている。</p><p>「おいおい大丈夫？」</p><p>　すっとぼけた声でタカハマが彼女を案じる風を装う。腐っても役者だ。周りはすっかり騙されているのだろうか。</p><p>　心配そうに見ているスタッフの中に、ニヤニヤ笑っている数人をイシカワはくっつきそうな瞼の内から見つけた。</p><p>　スタッフの中にタカハマの協力者がいるのかも知れない。それは考えておかなければならないことだったのに。何かクスリを盛られたに違いない。今の自分には抵抗する術がない。</p><p>　だがコテージまで行けばスギヤマが、いる。</p><p>　この状況に、すぐに飛び出して助けてくれる。</p><p>　クスリを使われたならかえって好都合かも知れない。すぐ病院に行って検査して、薬物が検出されたらそれが証拠になる。タカハマはしらばっくれるだろうが、まだ続いている宴会に警察が踏み込んで参加者を調べれば、彼の協力者が口を割るかも知れないし、この業界はそうと疑われるだけで致命傷になるのだから。</p><p><br></p><p>　閉じかけていたイシカワの瞼が大きく開いた。</p><p>　体は自由が利かない。が、心が強く警告を発している。</p><p>　コテージの手前に、黒いワゴンが止まっていた。</p><p>　タカハマはイシカワの体を後部座席に押し込み、そのまま自分も隣りに乗り込んだ。</p><p>　タイヤの滑る音にスギヤマが駆けつけた時には、ワゴンは走り去った後だった。</p><p>　</p>
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<link>https://ameblo.jp/sabo84p004/entry-12696299630.html</link>
<pubDate>Wed, 08 Sep 2021 00:16:00 +0900</pubDate>
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<title>《パーティー》スギヤマくんの2　⑥</title>
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<![CDATA[ <p>　ひとり芝居で舞台に上がっていたスギヤマを見つけたのは、大学で演劇サークルに所属していた彼だった。</p><p>　サークルは当時分裂の瀬戸際を迎えていて、辞めるきっかけを探していた彼は何人かの部員を誘ってスギヤマを座長に小さな劇団を作った。</p><p>　痩せこけた長身のスギヤマは不思議な迫力と人目を引く演技で彼らを魅力し、しばらくは実験的な演目で趣味人達の注目も集めてはいたらしい。</p><p>「痩せて長身？」</p><p>　イシカワの知るスギヤマは長身という程でもなく、スタントマンらしい鍛えられた体つきをしている。</p><p>「そう」フナコシは説明を続ける。</p><p>「だけどな、それも長くは続かなかったらしい。学生の部活以上の技術もなく、そのうち見る人も少なくなって結局は解散したようだ」</p><p>　学生達は就職の時期を迎え、それでも劇団を続けたいと言う仲間に解散を宣告したのはスギヤマ本人からだったと言う。それなりの大学で普通に就職出来る劇団員達にスギヤマが気を遣ったことは皆にもわからないはずがなかった。スギヤマならいずれ名を上げるに違いないと激励の言葉を残して去ることしか出来なかった気持ちも、フナコシには身に染みて理解出来た。</p><p>　それが二十三年前の話だと聞いて、イシカワはさらに目を丸くした。</p><p>「その時のヤスが何歳かはわからなかったが、とりあえず一緒に会ってみたんだよ」</p><p>　フナコシによれば記憶を失っていたスギヤマはともかく、相手も彼を認識出来なかったようだ。まず年齢が合わないこと、記憶の中のスギヤマと余りに違うこと。</p><p>「まああいつの体が普通と違うから歳のことはなんとも言えないがな、体格も背も印象も違うんで別人じゃないかと言ってたよ」</p><p>　だがフナコシはそうは思っていないようだ。ソゴウ監督に紹介されたのが七年前。その二年ほど前からスギヤマは監督の世話になってたそうだ。スギヤマ自身の記憶では少なくとも三年くらいは放浪していたそうだから、謎の期間は残るものの不自然ではない。</p><p>　同時に、研究室でのデータもある。スギヤマの体は栄養状態に過不足のない理想的な体型に保持されているそうだ。カロリーオーバー無し。栄養失調無し。</p><p>　過去のスギヤマの体型が極度の栄養不良状態だったのなら、身長はともかく体型が違っていてもおかしくはないし、異常な痩身が彼を大きく見せていたとしても不思議ではない。</p><p>「まあ生い立ちはともかく、ヤスにとっては自分の体のことが少し解って安心してるようだよ」</p><p>　自分が病原体のようなものではないかと思うのはずいぶんと辛かっただろう。それが否定出来ただけでも上出来だ。</p><p>　病原体？</p><p>　病巣……感染……</p><p>　フナコシの頭に何かがよぎった。</p><p>　二十三年前。</p><p>　あの年は。</p><p>　ただの思いつきかも知れなかったが、フナコシは研究室の連絡先をスマートフォンに打ち込んだ。</p><p><br></p><p><br></p><p>「今日は邪魔者はいないみたいだね」</p><p>　タカハマが話し掛ける。</p><p>「ここはメイク室よ。お話なら外で」</p><p>　イシカワの抗議も耳には入らないようだ。人気俳優のタカハマにとっては禁忌など無いように振る舞っている。</p><p>　そのまま壁際の椅子に腰掛けた。</p><p>「意地張ってないでさあ、素直になればいいじゃん」</p><p>「素直に行動するなら今頃大声出して警備さん呼んでるわよ」</p><p>　大袈裟に肩をすくめて、タカハマは意に介していない素振りを見せる。</p><p>「一度さ、ふたりで呑もうよ。いろいろ誤解してることもあるか知んないけど、話してみれば面白いヤツだって分かるって」</p><p>　もちろんイシカワにはそんな気はない。だが、このままではきりが無いことも分かっている。</p><p>　どう言えば諦めて貰えるだろうか。</p><p>「誤解してるかも知んないけどさ、俺、その時々で一途なんだよ。なんつうか、相手の我が儘聞いてる内に続かなくなるだけでさ。その点キミとなら上手くやれそうな気がするんだ」</p><p>　上手く、ね。</p><p>　上手く騙せそうだなんて思われてるのだろうか。お生憎様、ここに来るまでにどれだけの甘言や誘いを跳ね返して来たか。この人はモデルって職業を分かってないのね。</p><p>　その時、イシカワの脳裏にひとつの考えが浮かんだ。</p><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/sabo84p004/entry-12696126109.html</link>
<pubDate>Sun, 05 Sep 2021 22:44:00 +0900</pubDate>
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<title>《パーティー》スギヤマくんの2　⑤</title>
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<![CDATA[ <p>　その年、アジアのとある都市から発生した新型のウイルスは、瞬く間に世界中に広まって行った。適応する治療薬もなく、重篤化すれば肺炎を引き起こして死に至るその病気に各国政府は外出の制限や地域毎の往来の禁止をもって拡大を防ぎながら、特例として早期開発されたワクチン接種を急がせた。</p><p>　それにより経済の壊滅的打撃を受ける一歩手前で沈静化させることには成功したが、一部のホームレス集落でクラスターが発生した。</p><p>　ワクチン接種が未だ全体に行き渡らず、また臨床不足のワクチンに危機感を抱いて接種を拒否する人達が反対運動をしていた時期でもあった。その集落のホームレス達が医師の診断を受けられなかったこと、病魔の進行を諦めて受け容れていたことが事態を収集がつかない処まで追いやった。</p><p>　集落では多数の死者が放置されているという噂が立ち、その頃になってようやく遅すぎる行政が立ち入りを決定することになる。</p><p>　その矢先、事件は起きた。</p><p>　犯人はパンデミックを恐れた周辺住民とも、接種反対の過激思想家の仕業とも噂されたが、結局は集落内の失火が原因ということで落着している。</p><p>　複数個所から発生した火災は瞬く間に集落を飲み込み、必死の消火活動にも関わらず一帯のバラックやテントをすべて燃やし尽くし、数人の救助者を残してホームレス達を業火に沈めてしまったのだ。</p><p>　救助者の中には、深夜空を飛んでくる火の玉を見たと言う人もいたが、その証言が顧みられることはなかった。</p><p><br></p><p>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー</p><p><br></p><p>　細胞レベルの検査によって新しい発見があったとのことで、その日はフナコシも研究室に同行していた。スギヤマが消沈しているのはその報告のせいだった。</p><p>「ヤス」</p><p>　なるべく平静を装いながらフナコシは肩を落とすスギヤマに話しかける。</p><p>「お前に最初にあったのっていつだったかな」</p><p>　ソゴウ監督のことはふたりとも忘れようがなかった。フナコシが若手の頃からずいぶんと世話になった人でもあり、そのフナコシにスギヤマを紹介したのもソゴウだった。</p><p>　食い入るように撮影現場を睨みつけていたスギヤマに声を掛け、エキストラに呼んだのがソゴウである。その身の上を聞き、ソゴウはスギヤマを自分の家に住まわせた。古い時代の書生のような暮らしをしながらスギヤマは監督から演技の基礎を教わり、かつて大宝グループと呼ばれた顔馴染みの映画人達にも顔を繫げてくれた。</p><p>　その中のひとりがフナコシだったのだ。</p><p>「監督が悪化したのも、自分のせいだったのかもしれないんですよね」</p><p>　そうか、とフナコシは尋ねた。</p><p>「俺は見ての通りピンシャンしてるがなあ」</p><p>　ソゴウ監督は癌だった。</p><p>　日に日に衰弱していく監督の身の回りの世話を、スギヤマが献身的に務めていたこともフナコシは知っている。</p><p>　かける言葉を選んでいる時に、初老の女医が部屋に入ってきた。</p><p>「一応、これがここまでのデータです。先程も説明したように、スギヤマヤスナリさんの体は」</p><p>　モニターに様々な数字と写真が映し出される。</p><p>「普通の人間の構造とは違い、例えるなら微生物のコロニーと言うべき格好を保っています」</p><p>　問題は、意識の存在場所が未だに解明されないことだとその女医は話した。</p><p>「スギヤマヤスナリさんの意識は、人間が脳で認識するのとは異なり、細胞全体の総合意識のような形を取っているようです」</p><p>　もっとも人間や他の動物の意識が脳にのみ限定されるかどうかは実のところ確定されてはいないと女医は追加した。</p><p>「移植されたドナーの記憶が移植者から確認された記録も確かにありますからね」</p><p>　それよりも、とスギヤマは尋ねた。自分が食事や睡眠を不要とするのは。</p><p>「ええ。先程の説明通り、周囲の人間を含めた動植物から摂取しているようです」</p><p>　他人のエネルギーを盗み取ってるという訳ですよね、とスギヤマはますます肩を落とした。</p><p>　その様子に彼女はスギヤマを見つめ、それから苦い顔でうなずくフナコシの方に視線を移した。</p><p>「そもそも生命エネルギーなんてものも私達の仮説に過ぎないのですが、そうでないと説明がつかないというか」</p><p>「いえ、先生」</p><p>　フナコシは居住まいを正して女医に向き合う。</p><p>「こいつが心配しているのは、周りの人間の寿命や健康を害してるんじゃないかってことなんですよ」</p><p>　彼女は一瞬驚いたような顔を見せた。</p><p>「それはあまり想像してませんでしたね。私達の検査で出した結論では、なんと言いましょうか、生命維持に必要なエネルギー、と言いましょうか、つまりは食物を摂取して消化吸収したエネルギーを……カロリーと言った方が分かり易いでしょうか、それをどういう形でか吸収出来るということで」</p><p>　傍にいても害は無いってことですか、と食い気味にスギヤマが尋ねる。</p><p>「あったらフナコシさんがどう言おうと隔離してますよ。もっと砕けて言うなら、普通にしていれば誰も気付かない程度の吸収ですし、大きく損壊した時でもせいぜい激しい運動で消費されるエネルギーに相当する程度で、それによって健康を損ねるなんてことにはならないと思いますよ」</p><p>　さらには、その時に同道する人数で割ることでひとり当たりからの吸収量が減少することもモニターを指しながら説明した。</p><p>「まあちょいと暴力的な言い方すりゃあ、だ、ヤスの傍にいれば腹が減るってことだな」</p><p>　フナコシの言い方に、スギヤマはイシカワの顔を思い浮かべた。その表情から影が去ったことにフナコシはひどまず安堵した。</p><p>　食事を取れず衰弱していく病人にはもしかしたら毒だったかも知れないが、そのことは今は言わずにおこう。あれだけ痩せ細りながらソゴウが無理矢理にでも食事をとろうとしていたのは、このことに気づいていたのかも知れないとフナコシは思った。</p><p>「恥ずかしい話ですが、それに気づかされたのはまさにそうなんですよ」</p><p>　女医がモニターを閉じながら言った。</p><p>「大きく切除した時や、私ひとりで残って検査している時に無性に空腹を感じたんですよね」</p><p>「そういや俺がいつまでも若く見られるのはヤスのおかげかも知れんな」</p><p>　腹回りを撫でながらフナコシが笑いを誘う。「本当にそうかも知れませんよ。運動による新陳代謝の活性化と同等の効果があるのかも知れません」</p><p>　しかも活性酸素の増加も防ぎながら、と彼女は付け加えた。</p><p><br></p><p><br></p><p>「つまり、スギヤマくんの傍にいればトレーニング効果があるってことなの」</p><p>　筋力増強にはならないだろうな、どちらかと言えばダイエット効果というのが正しいだろうとフナコシは伝えた。</p><p>　スギヤマは昨日からそのまま検査を続けている。</p><p>「それで、聞いて良いのかな」</p><p>　イシカワが恐る恐るフナコシに尋ねる。</p><p>「スギヤマくんのことを知ってるっていう人には会ったの？」</p><p>　それなんだが、とフナコシは話し始める。</p><p>「なあ、お前の目から見て、ヤスは何歳に見える？」</p><p>「そうね、私より少し年下くらいかな。二十台半ばってとこ」</p><p>「あれ、イシカワちゃんてもう三十だっけ」</p><p>「二十八ですっ」</p><p>「そのな、ヤスを知ってるってヤツにあったんだが、聞いて驚け」</p><p>　イシカワは身を乗り出した。</p><p>「そこそこ良い会社に勤めてる四十五歳の課長さんだったよ」</p>
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<link>https://ameblo.jp/sabo84p004/entry-12695669554.html</link>
<pubDate>Sun, 05 Sep 2021 01:35:00 +0900</pubDate>
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