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<title>きぬぎぬ川の河童玉</title>
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<description>金沢市浅野川沿いに転々と住んでいた男の妄想御伽話です。途中R15＋の部分が話の流れで出て来るかもです。w</description>
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<title>きぬぎぬ川の〜横山家の異変Ⅲ</title>
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<![CDATA[ <p></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220422/16/satoru1107-2021/4b/0e/j/o0313037815106624683.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220422/16/satoru1107-2021/4b/0e/j/o0313037815106624683.jpg" border="0" width="400" height="483" alt=""></a></div>【横山家の異変Ⅲ】<br>「失礼します。お茶をお持ちしました」現れたのは三十を過ぎたと思われる女中だった。<br>「ありがと、あんたは？」<br>「当家で女中頭を勤めさして貰っている富美代と申します」思っていた以上の上品な所作で三つ指をついて深々と礼をする富美代に光太郎はボ〜っとしている。<br>「光太郎！」慶三が声をかけた。<br>「あっ、富美代さんも宗次郎さんと一緒に美里さんが亡くなった時に付きっ切りでいたとか？」「はい。美里ちゃん一生懸命働いていたんですよ…可愛い娘で私も、あの娘が…」<br>そこまで口にした時、大粒の涙を流して泣き出した。「あまりにも不憫で不憫で…何で、あんな元気だった娘が…」先程までの凛とした態度は思いを堪えていたのだろう。富美代は畳に泣き伏せてしまった。光太郎も慶三も和尚も黙っていた。静かな離れ座敷の中、富美代の泣き声だけが響いていた。<br>「富美代さん、どうしたんですか？」<br>宗次郎が半紙と筆、墨などを持って来た。<br>「あっ、宗次郎さんありがと。富美代さんも可愛がっていた美里さんが亡くなって辛かったんや。俺がそれを思い出させてしもた。悪い事したな…」優しい声で光太郎が言うと、<br>「し、失礼しました…はしたない事を…」懸命に震える声を抑えて話す富美代に光太郎は「いや、俺が無神経なんや、ごめんな。宗次郎さん、ほんなら順番に皆んなここに顔出すように伝えてな。〝何故？〟って聞かれたら偉い僧侶のご祈祷やからって言うといて」<br>「あっ、はい…」宗次郎はチラッと、和尚を見て富美代を連れて出て行こうとした時に、「富美代さんはもう良いしな、宗次郎さんを手伝ってあげて」光太郎が優しく良った。<br>「は、はい…失礼致しました」深く礼をして離れを後にした。<br>「光太郎！」和尚と慶三がほぼ同時に声を発した。「和尚は今から床の間の香炉に向かって…不動明王の真言を唱えてもらえるか？」<br>「お願いしますじゃろ！ずっとか？」<br>「一〇八〇回。それやったら屋敷の人間は二十人そこそこやと思うし、皆が座敷に来ている間や…」「せっかく儂が来ているんじゃ。<br>それなら孔雀経法を唱えたいんじゃが。拝み屋のお主を助ける意味も含めて」「おう、良いのか和尚？」「お主の為にも新たな智恵を授けよう…」和尚はそう言ったかと思うと、床の間の前に移動して、くるりと背中を見せ、懐から小さな金色の孔雀明王像を真言を床の間に置き、真言を唱え始めた。光太郎は幼い頃から聞いていた慧果和尚の声が好きだった。孔雀経法…大きくなって聞くのは初めてだ。古くは役の小角も唱えていたと言う…「光太郎、僕は何をすれば良い？」一瞬、幼い頃の記憶の中いた光太郎は慶三の言葉に己れを取り戻し、「お、おう、慶三は来た人間に隆平さんの回復を祈って生年月日と氏名を半紙に書く様に伝えてもらえるか？一枚で四、五人は書けるやろう…」「僕が言うの？」「そや。誰が見たって俺より慶三の方が顔が良いしな」当たり前の様に光太郎は言う。「何それ？」慶三は呆れた様に光太郎に言った。「人なんて、そんなもんや。俺のふざけた顔より慶三凛々しい顔の方が言葉に重みがあるんや。俺、その間にちょっと隆平さんとこに行ったり色々して来るからな」「光太郎さん、屋敷の中で呪にかかっている人…睦美さん時の佳月さんみたいな人探すんでしょ？」「おう、慶三は見たら判るやろ？和尚も気で感じるはずや。だから任すな」光太郎が真剣な面持ちで慶三に言う。「分かった…無茶しないでよ」「誰に言っとるんや？とにかく頼んだぞ」「分かったよ」慶三が返事をすると光太郎は念を込めて墨を磨り始めた。たっぷりと硯に墨が溜まった頃に一人目人間が座敷に入って来た。十三代当主隆平の妻、恒である。<br>「祈祷と伺いましたが…」そう言って慶三の前に座った恒は和尚が真言を唱え、香が焚かれる中で凜然とした態度で言葉を発した。<br>「こちらに隆平様のご回復を祈って奥様の氏名と生年月日をお願い致します」慶三が惚れぼれする様な物言いで柔和な笑みを浮かべながら頭を下げた。嫌味な笑みでは無い、誰もが安心する笑みだ。恒も引き込まれる様に躊躇なく筆を取った。「改めて申しますが奥様の念を…隆平様のご回復を祈りながら、一筆一筆念を込めてお書き下さい」慶三の言葉にも素直に頷き、筆を淀み無く進めて行く。慶三はと言うと恒の動き、纏っている気を見つめていた。光太郎は和尚の孔雀教法、その抑揚も含めて聴き入っている。<br>「はい、ありがとうございます」筆を置いた恒に慶三は礼を言い頭を下げた。恒が軽く会釈して離れを出て行くと光太郎は立ち上がり部屋を出て行こうとした。<br>「光太郎、どこへ行くの？」和尚の真言が続く中、慶三が声をかけると「うん？さっき言ったろ？途中、出入りするって」「もう？」<br>「あぁ、広い言うても屋敷の結界ぐらい直ぐに張れるしな…」まるで庭に水を撒いて来るぐらいの気安さで言う光太郎に「まだ向こうに気づかれ無い方が…」と、慶三は言いかけたが、そんな事も分かった上での行動だと口を噤んだ。廊下から「あっ、こんにちは！中で待っていますよ〜」光太郎の軽い声がしたと同時に十四代隆俊の妻、彰が部屋に入って来た。<p></p>
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<link>https://ameblo.jp/satoru1107-2021/entry-12738825675.html</link>
<pubDate>Fri, 22 Apr 2022 16:17:36 +0900</pubDate>
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<title>きぬぎぬ川の〜横山家の異変Ⅱ</title>
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<![CDATA[ <p></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220420/18/satoru1107-2021/6a/19/j/o0340027315105765920.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220420/18/satoru1107-2021/6a/19/j/o0340027315105765920.jpg" border="0" width="400" height="321" alt=""></a></div>【横山家の異変Ⅱ】<br>「おう、光太郎！お前の事も探し回っていたんだぞ、何してたんだ？茶屋街には顔を見せて無いと言うじゃないか！」「若先生、とにかく中へ…」若い書生が隆俊を静める。「君は？」光太郎の問いに「二年前から書生をやらして貰ってます。五日前に亡くなった女中の美里とは同郷で…」暗い影を落としながらも、気丈に話す書生の青年は自身の名を宗次郎と告げた。「とにかく、いきさつ話してもらえるか？俺、丁度隆平さんの宴席が取りやめになったと今朝、聞いたばっかりやったんや。隆平さん自身はいつから寝込んだん？」光太郎が宗次郎に尋ねると、美里が亡くなった二日後、つまり三日前の夜だと言う。可愛く、一生懸命働いていた娘が突然熱を出して寝込んだ事に隆平氏も娘の両親に申し訳ないと、直ぐに医者を呼んで診てもらったが原因が分からないと言われ、熱覚ましの薬だけを与えて安静にさせていたと言う。横山家の担当医の医者なので腕は確かだ。「お医者様が二、三日様子を見てみましょうと言われて、お薬を飲んで実際熱は下がったのですが…」「下がったんか？」<br><p>「はい、それで安心していたら…明け方急に苦しみ出して…あっと言う間に…」そこまで話した時に嗚咽を堪えて唇を噛みしめたが、その目からは涙が溢れ出て来た。光太郎は睦美を失ったと思っていた自分と、書生の宗次郎と女中の美里の関係に想いを重ね思わず両手の拳を握っていた。客間に着くと隆俊がソファーに深く座って和尚、光太郎、慶三をそれぞれ座る様に促した。宗次郎は直ぐに動けるように隆俊の後ろで立ったままだ。</p><p>「本当に美里は倒れるまで、元気に働いていたんだ。十三代…親父も、孫の様に可愛がっていた。担当医も美里以外、屋敷にも近隣にも同じような病人が出ていない為、感染症などでは無いと言い、解熱剤を置いて様子を見ようとしたんだ。宗次郎が言った通り一度熱が下がったんだよ。美里は目を覚さなかったが…富美代と言う女中頭と、この宗次郎が寝ずに美里に付いていたんだ。それが朝方突然美里の容体が悪化して…苦しんだ後、息を引き取った…親父は直ぐ鶴来に居る美里の両親に連絡した。担当医が遺体を金沢病院に運んで調べたんだが死因は分からないままだ。両親の病歴や親戚の病気歴まで聞いていたんだが…両親の意向で美里は鶴来に返してやりたいとの事で、そのまま親父も一緒に鶴来まで行ったよ。それで、通夜を済ませて帰って来た次の日、色々雑用をこなしていた。普段なら人に任せるような事までな。少しでも動いて居たかったんだろう。それほど、あの親父が滅入ってた」</p><p>「その日の午後、倒れたのじゃな？」和尚が確かめる様に口を挟んだ。</p><p>「ええ、昼食後に珍しく部屋に閉じこもっていたんです。美里の事もあったし疲れが出ていたとも思っていたんですが…光太郎が言っていた宴席…会合なんですが、その打ち合わせをしようと声をかけたら返事も無く…嫌な予感がして部屋に入ると倒れた状態だったんです。直ぐ医者を呼ぶと同時に私が光太郎を探す様に人を手配しました」隆俊は光太郎を見ながら言った。「拝み屋としての光太郎じゃな？」「ええ、思った通り医者は美里の時と同様、原因が分からないとの事でした。念の為に医者一人と看護婦二人、屋敷に滞在してもらってます。私は親父の状態を伏せて会合を取り消したりしています」ここ数日、隆俊自身もかなり無理をしているのだろう。その顔は憔悴しきっている。</p><p>「隆俊さん、隆平さん今は大丈夫なん？」</p><p>「あぁ、熱は薬で少し下がったが…夜になると上がるんだ。一応、脈や呼吸に乱れは無いんだが…」光太郎はそれを聞いて和尚と慶三の顔を見た。二人共、無言の光太郎の視線に応えるように頷いた。</p><p>「隆俊さん、今からこの屋敷に居る家族、女中、書生、運転手全員に合わせて欲しい」「全員に⁈」「全員や。そうやなぁ…離れの茶室が良いかな？俺と和尚と慶三…俺の友人やけど、茶室におるから順番に茶室に顔出させてや」「光太郎が必要とならばそうするが俺や宗次郎もか？」「いや、二人は大丈夫。どちらかが〝ソレ〟ならもう全員を見るまでも無い。なぁ慶三？」「あぁ、隆俊さんや宗次郎さんは違うよ」慶三が自信を持って言い切った。和尚は光太郎とヒコが扮した慶三のやりとりを頼もしく見ている。</p><p>「光太郎、今言った〝ソレ〟とはなんだ？」「隆俊さん、今はそんな事より宗次郎さんと全員を順番に茶室まで来る様に手配してくれるか？後、お香と香炉も有れば用意して欲しいんや」</p><p>「そうだな。その為に、お前を探し回っていたんだったからな…お香も香炉も離れにあるぞ。親父は聞香や組香もやっているからな。茶室じゃ無くて離れ座敷の方だ」</p><p>「それじゃ離れ座敷の方に来る様にしてや。和尚、慶三、直ぐ行こ！」光太郎は言うが早く客間を出て言った。「彼奴は離れ座敷を知ってるのか？」和尚が隆俊に尋ねる。「いや、知らないはずだが…宗次郎、光太郎を案内して来てくれるか？」</p><p>「はい、では和尚様も慶三様もこちらへ…」宗次郎は和尚と慶三を離れ座敷へと連れて行った。座敷に着いた時にはもう香は焚かれいた。「おう、遅かったな！」「お前がせっかちなんじゃ。さて、どうするよ光太郎…」</p><p>「先に聞いて置くけど宗次郎さん、俺等来た時、隆俊さんが〝今は大事な時〟って言うてたけど、どう言う事や？」「街鉄の市電を引くにあたり道路拡張の件で県議会や市議会が割れているそうで…隆俊さんや十三代は繊維関係に力を注いでいるので仲介役として…」「ふ〜ん…欲のぶつかり合いに巻き込まれているんやな」「何もそんな風に…」「いや、分かった。後、半紙と墨、筆も貸して貰いたいんやけど」「分かりました直ぐに…」宗次郎はそう言うと直ぐに離れ座敷から出て行った。</p><p>「ようするに利権の取り合いから隆平さんが邪魔になって来る側の仕業ちゅうことか…」光太郎が簡単に言うと和尚も「まぁ、結局は欲じゃのう。欲の為に何も関係の無い娘が命を奪われたと言う事か…」「そして隆平さんも…」「嫌な世の中じゃ。それも呪術を操る才にたけた人間と、それを利用するのを少しも悔やむ事の無い人間が出会ったからか…」</p><p>「間近にそう言う人間がいたら周りもそれに染まって行くさ」悲しそうな顔をして光太郎が呟いた。頭の中にはゴリ屋や深山にいた県会議員の山田隆と言う男がちらついていた。その後にいる堀金の顔も。</p><br><p></p>
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<link>https://ameblo.jp/satoru1107-2021/entry-12738494022.html</link>
<pubDate>Wed, 20 Apr 2022 18:57:07 +0900</pubDate>
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<title>きぬぎぬ川の〜横山家の異変 Ⅰ</title>
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<![CDATA[ <p></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220418/18/satoru1107-2021/4b/e6/j/o0076007615104817324.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220418/18/satoru1107-2021/4b/e6/j/o0076007615104817324.jpg" border="0" width="400" height="400" alt=""></a></div>【横山家の異変 Ⅰ 】<br>「呪…か⁈」光太郎が絞り出す様な声で和尚に聞いた。光太郎自身、せめて今は〝呪〟から離れたいと思っていた。けれども…今寝込んでいる十三代はもとより、亡くなったと言う住み込みの手伝いの事を思うと憐みの気持ちが上回った。〝病ならまだしも…呪だとしたら許せない〟和尚と一緒に行って自分で見てやると思った。「ヒコはどう感じた？」<br>「僕は〝呪〟だと思う。お手伝いの人は試されたと思うんだ。長年続く加賀八家の横山家に〝呪〟が通じるのかと、封じられている事は無いのかと…」ヒコが正確に判断した。<br><p>「じゃあ、このまま行くが良いか？」和尚が言った。「待って、聖美さんは今日帰る方が良いさけ、小太郎にちゃんと送るように言って来るわ」「僕も顔出して来る」そう言って光太郎とヒコは台所の中に入って行った。「聖美さん、俺等、和尚と一緒に出かけて来るわ。直ぐ帰れんやろうし…今度の事本当にありがとうな。また来てな！」「聖美さん、今度は僕とも遊んでね」</p><p>「光太郎さん、ヒコさん、また必ず来るからね。それまで睦美の事は宜しくお願いします」「任せてくれ。ほな小太郎！聖美さんは夕方に兼六園下から出る乗り合い自動車に乗るから、ちゃんと送っていけや！」「分かったけど…睦美さんはどうするん？」「睦美は窮屈やろけど寺に居ってくれ！まだ睦美と聖美さんが二人いる所を見られたく無いんや」「分かったわ。光太郎はいつぐらいにお寺に帰って来るの？」</p><p>「まだ分からんけど〜時間かかるかもしれんからな…」「危ないの？」</p><p>「危ない所やったら和尚みたいな爺さんと行かんわい」光太郎がそう言った瞬間〝ペシン〟と、背後から頭を叩かれた。</p><p>「痛え〜」と頭を押さえて振り向くと和尚の姿。「痛えな！何するんや」「何するんやじゃない！遅いからと思って見に来たら、人の悪口をペチャクチャと…」「悪口や無いやろ！爺さんを爺さんと言って何が悪いんや！だいたい気配も無く俺の後に居るって爺さん通り越して幽霊や！」</p><p>「ほんでも光太郎さん、幽霊の気配も判るんやろ？」小太郎が不思議そうに尋ねると「煩い！とにかく聖美さんを無事に乗り合い自動車に乗せるまでしっかりと見届けろや！聖美さんまたな！ヒコ行くぞ！」口から泡を飛ばしてそう言うと玄関の方へと去って行きました。ヒコは聖美にペコリと頭を下げて付いて行き和尚も「小太郎、聖美を頼んだぞ。睦美は坊守と留守番頼むな…」と言って行きました。残った聖美と睦美に小太郎は「僕、何か光太郎さんを怒らせる事言った？」と、尋ねます。「あれ、光太郎の照れ隠しやし、気にする事無いんや。聖美にちゃんとした挨拶あれ以上出来ないから…」「本当に？」「そうや。あいつ子供の頃からあんなんやから。小太郎君も長い付き合いなんだし分かってあげなきゃ」「そうか…そうなんやな…」</p><p>「それと和尚が後に居たのを光太郎ちゃん、気付かずにいたのが悔しかったのよ」坊守がポツリと言った。「そんな事で？」睦美が言うと「光太郎ちゃん、ああ見えて柔術の達人なの知ってる？」坊守の言葉に思い出した様に睦美が叫んだ。「知ってる！合気柔術の偉い先生と一番弟子の人が光太郎の事を言ってたわ。一番弟子の人、光太郎が勝ち逃げしたって」「あの光太郎さんが？」不思議そうに聖美が聞くと「光太郎、その先生に言われて私の簪を取ってずっと前にある将棋盤の真ん中に投げて突き差したの。それを見てビックリしてたら、その先生お膳のお箸を一本投げて同じ将棋盤に突き差したの。木の箸よ⁈」睦美が目を丸くして聖美に話すと坊守が「光太郎ちゃん、どんどん不思議な事する様になるの。この前も和尚の大腰、手を当てただけで治したもの」と言ってニッコリと笑った。「光太郎ちゃんは、和尚にビックリしたのと悔しさとで小太郎ちゃんを怒る事で誤魔化したのよ。だから小太郎ちゃんは睦美ちゃんが言う様に気にしないで良いのよ」慰める坊守に「僕…損な役回りやなぁ〜」と、ぼやく様に呟く小太郎だった。</p><br><p>「和尚、足は達者やなぁ…何や、その歩き方は…」「忍歩や。お主に言った事、無かったかな？」「しのびあるき⁈初めて聞いたわ」</p><p>「この方が腰に負担かけないで長い距離あるけるんや。このまま走ればナンバ走りと言うけどな」「和尚は忍びにも詳しいんか？ある意味、恵光並の不気味さやな」「阿保！理にかなっている事は実践する。人が生き死にの為に編み出したモノを無駄にする事無いじゃろうよ」涼しい顔で和尚は光太郎達の前を風の様に進む。やがて長い土塀が現れ来た。</p><p>「横山さんのお屋敷や」光太郎がヒコに教える。ヒコはもう瓜生慶三の姿になっていた。</p><p>「本当にお屋敷だ…」瓜生慶三の物言いで呟いた言葉通り、門の中には素晴らしい庭園が広がっていた。「慧果和尚！」そう言って十四代、隆俊が屋敷から飛び出して来た。</p><p>「おう、何やら大変な事になっておると…」和尚がそう言いかけた時、すがる様に和尚の手を取り、頭を下げて「先代をお願いします。今大事な時なんです」いつもは陽気な隆俊が悲痛な物言いで言葉をかけて来た。「隆俊さん、まるで藁をも縋るみたいやん。隆平さんの具合、そんな酷いんか？」隆俊が顔をあげると和尚の後から光太郎が覗き込んでいた。</p><p></p>
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<link>https://ameblo.jp/satoru1107-2021/entry-12738138324.html</link>
<pubDate>Mon, 18 Apr 2022 18:29:47 +0900</pubDate>
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<title>きぬぎぬ川の〜モッコ刺しの御守り袋</title>
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<![CDATA[ <p></p><p><br></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220413/18/satoru1107-2021/d4/a0/j/o0439057915102402804.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220413/18/satoru1107-2021/d4/a0/j/o0439057915102402804.jpg" border="0" width="400" height="527" alt=""></a></div><p><br></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220413/18/satoru1107-2021/29/9e/j/o0386057415102402515.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220413/18/satoru1107-2021/29/9e/j/o0386057415102402515.jpg" border="0" width="400" height="594" alt=""></a></div>【モッコ刺しの御守り袋】<br>「まだ昼飯、食っとらんかったん？」<br>「光太郎ちゃん達が帰ってからって聞かないのよ。和尚と私は済ませたけど、小太郎ちゃんまで睦美ちゃん達と一緒に後で良いって」<br>「小太郎が？ありゃ〜雨でも降って来るんや無いか⁈」「オホホ、ホホ…本当にね〜。じゃあ光太郎ちゃん達帰って来たって、伝えて来るわね」坊守はそう言って客殿の方に向かって行った。「直ぐ、恵光の耳にも入るぞ。睦美が無事じゃと言う事が…」和尚が庭の植木を観ながら呟いた。「ほやな…けど二度と俺の大事な者に手を出させたりせん」<br>「光太郎…お主何を考えておる？」<br>「う〜ん…世界平和かな？」「ぬかせ！さっさと昼飯食って来い！」和尚の一喝でヒコと顔を合わせ、苦笑いしながら立ち上がった光太郎でした。「光太郎！」振り返ると、睦美が呼びかけ、聖美も笑顔で並んでいる。<br>「今呼んだの睦美や無い、聖美さんやろ？」<br>「わぁ〜、やっぱり判るのね？さっき聖美と相談して光太郎を騙してみようって…」少女の様に笑う睦美に慈愛の笑みで応える光太郎に「あ〜っ…今私達の事、バカにしたでしょう？」「ダラ⁈くだらん事言っとらんと飯いだくぞ！」大きく足音をたてて本堂を横切る光太郎。睦美と聖美はキャッキャと、騒ぎながら後を行く。「なんや寺やと思えんほど賑やかじゃのう…」「良いじゃない。菩薩様も賑やかで喜んでいるわ」和尚と坊守の会話の後を追うようにヒコと小太郎が続いた。<br>「それじゃあ葉月のみんなには伝えてくれたのね」「あぁ、みんな喜んでいた。あと乾物屋のおっちゃんもな。干し芋くれたわ。葉月に置いて来たし、戻ったら食べれば良いよ。おっちゃんが、わざわざ〝睦月ちゃんに…〟って言うてくれたんやし」「うん、みんなに心配かけたね」「睦美、悪いんは俺やしな。それだけは忘れんと、自分を責めるような考えは駄目やぞ」「アホ！悪いんは、あの恵光って言うお爺さんと堀金やろ⁈光太郎こそ自分を責めたら駄目やん」「そうよ。とにかく私達は光太郎さんに貰ったお札、肌身離さず持っているから」聖美もそう言って御守り袋を見せた。「その袋どうしたん？」光太郎が尋ねると坊守に貰ったと言う。煮物や焼魚を小太郎と運んで来た坊守に礼を言うと「前に光太郎ちゃんがお札描いていた時から思っていたの。桃色と空色の糸があったので、どっちが良いのか判らなかったから二つ、作ったのがちょうど良かったのよ」見ると聖美が空色の糸の袋で睦美が桃色の糸の袋を首から下げていた。「光太郎ちゃんや和尚じゃ無いけど一生懸命、願いを込めて縫ったからね」坊守はいつも通り柔らかく笑った。<br>「坊守さんは簡単に言うけど、これ刺し子だから大変だったと思うわ」「刺し子？」光太郎が尋ねると坊守が「私ね、母方が福井の安島って所の出なの。雄島の漁師が旦那の安全を願ってひと針ひと針縫うのよ。防寒対策もあるけどね昔、今よりもっと布が貴重だった時、一枚の布を大事に大事に使う為に丈夫にする理由もあるの。安島でずっと、続いているモッコ刺しと言う刺し子よ。模様も綺麗でしょう？全国では、その土地、土地の刺し子があるわ。その土地の、女の想いが込もった刺し子がね」坊守が言った模様とは文様の事であろう。幾何学的で意味のあるものは、文様と言って良いと思うほど素晴らしい物だった。「坊守も色々と出来るんやなぁ〜そんな技、若い子にも教えて行かんな」「ホホホ、光太郎ちゃんの言う通りやね。教わった人は次の世代に教えなきゃ行けないわね」「私、教わりたい！」突然、睦美が声を上げた。「お前、縫物出来るんか？」「三味線も太鼓も踊りも習ったもの。私、光太郎の為のモッコ刺、する！」「はいはい、じゃ適当な半纏でも用意して来れば良いわ。何より丈夫になるし…」「私も手伝う！睦美、坊守さんに教わったら私にも教えて。これからは必ず月に一度…お寺に来るから。少しでも手伝わせてよ」聖美も声をあげた。「何で聖美さんまでなんや？」光太郎が呆れたように呟く。「半纏の大きさの刺し子は時間がかかるわ。それに、より多くの人の気持ちがこもっている方が良いかもね」坊守が言うと「それじゃ僕も手伝うわ〜」と、小太郎が話の流れに割って入って来たので「それは違うんだよ！」と、ヒコに強く言われた。「何が違うんや？」意味が分からず呟く小太郎に、場は笑いに包まれまれ、そのまま楽しい食事が進んだ。<br>「和尚さん！和尚さんいるけ〜ぇ」光太郎達の遅い昼食が終った頃、庫裏の玄関から大きな声が聞こえて来た。坊守が慌てて出て行くと、そのまま玄関で話しいる様子。やがて、和尚も加わって話し込んでいた。聖美と睦美は小太郎と共に昼食の後片付けを三人でやり出した。「お茶でも煎れて来るね」そうヒコが光太郎に言うと「う、うん…ちょっと待たんか…何や嫌な感じするな」光太郎が聞き耳を立てている。それを察してヒコも聞き耳を立てる。光太郎よりも数十倍、耳が良い事からこう言う時には、進んで役に立とうとします。数分間、集中していると和尚と坊守の足音が近づいて来た。来客は帰ったようだ。<br>「あら〜、聖美ちゃん睦美ちゃん、ごめんなさいね。お客様に洗い物までさせて…」<br>「坊守さん、お客扱いしないで。」「そう、孫だと思って下さい！」二人が同じ声で坊守に応える。和尚はと言うと厳しい面持ちで光太郎とヒコの前にいた。「ヒコ、聞いていたか？」和尚がヒコを見てそう尋ねた。ヒコが頷くと「まだ俺、教えてもらって無いんや。何や和尚に頼み事してたみたいやけど…」<br>「光太郎、お主にも力を貸して貰う事になるやもしれん…横山家に関わる事じゃ」<br>「隆俊さん所にか？」「おう、今隆平さんが寝込んでいる」「十三代が？」「あぁ。この後、横山家に行く。お主もついてこんか？もとより隆俊君もお主の事を探しておったようじゃ」「隆俊さんが⁈」「おうよ。横山家としたらあまり外に漏らしたく無い話しもあろう…今来たのは植木屋の秀造じゃ」「秀造さんって寺の木の剪定に来とる秀さんか？」「おうよ。秀造は横山家にも出入りしとる。あのお庭はこの寺と比べられん位大きいからの。秀造の親父の代から横山家に出入りしとる」「秀造さんはなんやて？」「隆平さんは医者にも診てもらったらしいが…判らぬらしい。熱冷ましの薬だけは処方されたらしいが一向に下がらんと…」「…」光太郎は黙り込む。「実は隆俊君がお主を探していたのも隆平さんが寝込んで直ぐらしい」「何でや？」<br>「隆平さんが倒れる前、同じ様に住み込みの手伝いが倒れ、熱を出して…そのまま逝ったとの事じゃ。それで隆俊君はお主の事を探しておったらしい。拝み屋のお主をな…」<p></p>
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<pubDate>Wed, 13 Apr 2022 18:31:48 +0900</pubDate>
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<title>きぬぎぬ川の〜平常心</title>
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<![CDATA[ <div><p><br></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220409/23/satoru1107-2021/59/33/j/o1080097615100477661.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220409/23/satoru1107-2021/59/33/j/o1080097615100477661.jpg" border="0" width="400" height="361" alt=""></a></div><p><br></p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220409/23/satoru1107-2021/a2/78/j/o1024132715100477676.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220409/23/satoru1107-2021/a2/78/j/o1024132715100477676.jpg" border="0" width="400" height="518" alt=""></a></div><p>思い出した！２０年以上前に当時、男ばかりの親子３人で連休を利用して青森まで下道でドライブした折、弘前の桜祭りで観た桜の数に〝凄えな〜〟と、感じていた😆その時、きぬぎぬ川〜の記事で写真を使った次男が〝鯉釣りした〜い〟と、夜店前で泣き出したのを後ろから蹴飛ばして、ぎゃん泣きさせた事も思い出した😓一人親で常に息子を喜ばしたいと思っていた自分の未熟さに落ち込んでしまう💦💦💦長男にも酷い事したなぁ…スーパー銭湯で風呂上がりでビール呑んでる時、俺を指差して間違いを指摘していた指に苛ついて吸っていたタバコの火を押しつけた💦酷い人間や〜虐待の何者でも無い…今の自分は当たり前の結果やね。<br>🌸閑話休題…【平常心】<br><br>「そんでなぁ〜」「きゃは、ははは〜」「もう、もう止めてよ小太郎ちゃん…」聡慧寺の庭に足を踏み込んだ途端、客殿の方から騒がしく、はしゃいだ声が漏れて来ている。「何や？騒がしいなぁ〜」「騒がしいね…」木戸をくぐったと同時に元の姿に戻ったヒコが、〝多分小太郎君だ…〟と、思いながら光太郎の後を行く。突然、庭の灯台躑躅、人の丈以上の満天星の向こうから〝ヒョイ〟と言う感じで和尚が出て来て「本当にのう〜睦美には休んどれって言うてたんのに、小太郎の奴が部屋に入り込んでから、あの調子じゃ」<br>「和尚、ビックリするがいや！何、気配消して出て来るんや！」珍しく本気で光太郎がムキになって怒鳴りました。<br>「何を怒っているんじゃ光太郎。儂はいつも通り庭を掃除しているだけじゃろうが！」<br>「いや、和尚さん…今のは僕もビックリしたよ。置屋の女将さん達に睦美さんの無事を報告してホッとしていたから…それに、恵光和尚の事も頭の中にあるんだから」ヒコが二人の間に入って言いました。<br>「そ、そうか…そうじゃのう〜」バツの悪そうな顔をして和尚が植え込みを回って縁側へと行く。「ホンマに和尚は…ちょっとは気を使ってくれよ」光太郎も縁側に座りぼやくと<br>「光太郎よ、お主の言う事も判るんじゃが、気がまた張り詰めてるぞ。お主の良さが台無しじゃ」「う、うん…分かっとるんやけど」<br>ヒコは二人の会話を聞きながら〝今は仕方ないよ。睦美さんが戻ったばかりだし…〟と思ったが、恵光や堀金は呪術をかけた睦美が無事だった事をまだ知らないと思うと、和尚の言うように光太郎がピリピリしていたら逆に良くないと言う事は理解出来た。<br>今まで拝み屋としての光太郎と過ごして来て<br>いて、何が人間にとって良くないかと言う事をよく話していたのだ。怨みや妬み、憎しみや畏れなどの負の感情はもちろんだが、過剰の怒りや悲しみ、好意までもが〝呪〟が入り込む隙にとなると言う。ピリピリと過剰に警戒している事自体が、良く無い状態だと和尚が言っている事だと光太郎も分かっているだろう…〝平常心〟を心がけるようとする事自体が〝平常心〟では無いと言う事もかって光太郎は言っていた。当時ヒコでさえ理解出来なかった。慧果和尚が言っていたのは、禅で言う〝びょうじょうしん〟だと言う。それが幼い頃から光太郎に備わっていたのだと言っていた。知識をつけながらも〝びょうじょうしん〟で育つ人間など、稀じゃろうと…。<br>「まぁ、あれが良いんかな？」光太郎が柔らかく呟いた。「そうじゃのう〜、睦美にとって、いや、生きて行く上で笑っている事が一番の良薬じゃの」和尚も柔かに言った。<br>「光太郎さんも昔から、初めて会った時から僕に〝笑え〟って言っていたね。小太郎君を救いに行く時から」「あは、ははは…そうやったなぁ〜」光太郎がそう言って笑うと和尚もヒコも一緒になって笑った。<br>「あらあら、こっちも賑やかねぇ〜光太郎ちゃん達いつ帰って来ていたの？」坊守が本堂の方からやって来た。<br>「つい、さっきや。葉月の皆んな喜んでいたわ、本当に心から…」しみじみと言うと和尚が「当たり前じゃ！じゃが…しばらく葉月も大変じゃろう」と言う。「あら、何故？」坊守が聞くと和尚が「菜乃葉に続き睦月と言う葉月に居る娘が身投げしたんじゃ。世間ではそう思っとる。本当は違うのじゃがの…」「だから睦美は無事だとわかれば」坊守がわからないと言う風に尋ねると「だから、そんな直ぐには噂は消えんと言う事じゃ。一つ一つ、説明して歩く事も出来ないじゃろ？」「それでしばらく葉月も大変だと…」坊守が納得したように呟くと光太郎が「二、三日すれば東茶屋街は大丈夫や。葉月行く前に、乾物屋のおっちゃんに話して来た」朝早くから店を開いている乾物屋は、話し好きで良い話しなら喜んで来店客に話すと言うのを見越して、光太郎は寄って行ったのだ。おそらく今日、光太郎達が訪れた後から直ぐにしゃべりまくっていただろう。他の置屋の娘達も、客も含めて乾物屋に顔を出した人間全員に…。<br>「お前も…策士じゃのう〜」呆れたように和尚が呟いた。「おう、そのぐらいは考えて生きとるわ！」当然のように光太郎が呟く。<br></p>
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<pubDate>Sat, 09 Apr 2022 23:36:27 +0900</pubDate>
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<title>閑話…もう４年になるんや｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡</title>
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<![CDATA[ <p></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220408/06/satoru1107-2021/c0/84/j/o1011151415099556811.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220408/06/satoru1107-2021/c0/84/j/o1011151415099556811.jpg" border="0" width="400" height="599" alt=""></a></div>初めて心から感動した花(o^^o)<br>奥能登で大きく育った能登キリシマツツジの燃えるような紅を観た時と花桃に囲まれて立っていた時。みょ〜うに花が好きになって福寿草や雪割草、カタクリの花etc…近県を休みの度、走り回っていた時。もう二度と行けないんかなぁ〜この時期になると待ち遠しかった気持ちと裏腹に二度と行けないかもと思う気持ちが交錯して普通に春を喜べ無い(TT)スマホの中は何も変わらず花桃に感動している自分が居るのになぁ…<p></p>
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<pubDate>Fri, 08 Apr 2022 06:53:00 +0900</pubDate>
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<title>きぬぎぬ川の〜バナナと干し芋と丸干し</title>
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<![CDATA[ <p></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220408/05/satoru1107-2021/b8/41/j/o0342040415099545993.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220408/05/satoru1107-2021/b8/41/j/o0342040415099545993.jpg" border="0" width="400" height="472" alt=""></a></div>【バナナと干し芋と丸干し】<br><p>「こんちは〜」光太郎にとって久しぶりの葉月だ。「は〜い、どちら様…ですか？」お勝手から暗い顔をした佳月が出て来た。</p><br><p>「おう、佳月久しぶり！」思いがけない訪問者に口に手を当てたまま固まる佳月。その目から瞬く間に涙が溢れ出て来た。</p><br><p>「何や！どうした⁈」慌てて光太郎が近寄ると「ご、ごめんなさい光太郎さん…」そう言って泣き崩れた。その声を聞いて水月と男衆の源さんが奥から顔を出した。</p><p>「光太郎さん！」「光太郎さん！」源さんも水月も驚いて駆け寄って来て光太郎の顔をまじまじと見ている。「大丈夫なんか？」と、心配そうに源さんが聞いて来た。「おう、ごめん…もう大丈夫なんや。なんや俺まで心配かけてもうて」「光太郎さん…何回か家の方へ行ったんやけど…」そう言って水月も泣き出した。</p><p>葉月ではまだ睦月が大橋から落ちた時から時間が止まったままになっていた事に、光太郎も改めて申し訳無い気持ちにいっぱいになった。「ごめんな、水月姉さんも…何回も藤丸姉さんと代わりばんこに来てくれてたん、小太郎からも聞いとったんや。心配かけたな。佳月ちゃんも泣かんでくれ、睦月は無事やったんや。それを伝えに来たんや。女将は？」光太郎の言った一言に佳月も水月、源さんも揃って息を飲み込み「ほ、ほんま⁈」「ほんまか？」「本当なん⁈」と大声で叫んだ。「ほんまや。って言うか、こんな嘘、言う訳無いやろ？睦月は無事や。昨日分かってん。今、念のために俺も睦月も知っとる所で休ませてるんや。源さん、女将さんは？」</p><p>「それが…〝あの日〟から二、三日は気丈に動いていたんやけど…寝込んでしもうて…」</p><p>源さんが苦いものを吐き出す様に伝えた。</p><p>「ほやから…こんな時間に源さんも水月姉さんも居るんか…」まだ午前の時間、源さんが置屋に居る事も無く、水月も藤丸同様、置屋を出て近くで寝泊りしているのを知った上で光太郎は言ったのだ。「ちょっと上がらせてな、」光太郎は上がり框を跨ぐと奥の女将が横になっている小部屋へと大股で進んで行った。慶三もその後に続くと水月、源さん、佳月と続けて追って行った。水月達が女将の部屋に行くと光太郎は布団の横に座って女将の額に手を当てている所だった。口を開くのも躊躇う様子だったので、そのまま黙って布団に横たわる女将と光太郎を眺めていた。しばらくして光太郎が、〝ふ〜ぅ〟っと、長い息を吐き「こんで大丈夫やぞ。後はちゃんと飯食べれば直ぐ元気になるしな！」そう言う光太郎の言葉に水月達も安心して座り込んだ。「光太郎…さん、ほんまに睦美は無事やったんやなぁ。あんたが元気な姿見せてくれただけで睦美の無事が分かったわ…」</p><p>「女将、光太郎で良いよ、昔のままやからな、俺も睦美も」光太郎がそう言うと女将は柔らかく笑った。「光太郎、これを…」慶三が後ろから新聞紙に包まれたバナナを差し出すと「ほうやった、これ手土産や。後、女将も好きな烏賊の丸干しもあるさけな。これで飯いっぱい食べてな。干し芋は睦美の好物やし、睦美の分残してやってな。明日、明後日にはここに戻って来るからな。女将も元気にならんと睦美、心配するぞ」「そうやね、ありがとね光太郎…」女将は泣きながら声を絞り出した。「ダラ、女将が泣いてどうするんや。昔みたい俺を怒鳴ってた女将のままで居れまん！」光太郎はそう言って女将の胸の辺りを布団の上から、優しくポンポンと叩いた。</p><br>四半刻後、女将の部屋まで聞こえるような、喜びに満ちた黄色い声が大部屋の方から聞こえて来た。「久しぶりやなぁ〜あんな明るい声…」沁み沁みと源さんが呟く。「ほんま、お母さん、これで元気になれるね。睦月が帰るまでに元に戻らんと…」水月も横になっている女将にバナナを食べさせながら言った。源さんも一緒に食べている。「儂初めて食べたわ…何かほっぺが落ちるってこんな感じなんやな〜」それを聞いて女将も嬉しそうに笑った。大部屋では光太郎と慶三、佳月が葉月に居る舞妓達に睦月の無事の報告おバナナを振る舞って歓談している。葉月に久しぶりの爽やかな風が吹いていた。昼を過ぎ置屋を後にした光太郎と慶三。<br>「良かったね、皆んな明るくなって…」慶三が横を歩く光太郎に言った。<br>「おう、俺も改めて皆んなに申し訳無いと思ったわ…ヒコ、長い事ごめんな。抜け殻みたいになっとって」<br>「まだ慶三だよ、ヒコじゃ無いでしょ？」そう笑って、「僕も小太郎君が頑張ってたから叔母さんとかにも普通に話せていたんだよ」<br>「それも分かっとるよ。小太郎にも感謝や。まだまだ俺も精進せんないかんなぁ…」<br>「でも光太郎さんは、それで良いんだと思うよ。当たり前に。悲しんだり、怒ったり、笑ったり…そう言う所があるから光太郎さんなんだよ。だから僕や小太郎君も側に居られるだと思う」「そうかなぁ〜」<br>「そうだよ。僕や小太郎君って、そんな光太郎さんの当たり前の所を助ける為に居るんだと思う」昼下がりのきぬぎぬ川沿いを歩きながら話す光太郎とヒコ。もうすぐ聡慧寺が見えて来ます。<p></p>
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<link>https://ameblo.jp/satoru1107-2021/entry-12736238900.html</link>
<pubDate>Fri, 08 Apr 2022 05:51:32 +0900</pubDate>
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<title>きぬぎぬ川の〜加賀八家</title>
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<![CDATA[ <p></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220407/00/satoru1107-2021/5a/e2/j/o0177017715099042921.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220407/00/satoru1107-2021/5a/e2/j/o0177017715099042921.jpg" border="0" width="400" height="400" alt=""></a></div>【加賀八家】<br>茶屋街を歩く光太郎とヒコ。ヒコは寺を出た途端、瓜生慶三の姿に変わっていた。<br>「茶屋街も久しぶりな感じするな」<br>「光太郎さん、二週間は来なかったからね」<br>「光太郎さんは止めとけな〝慶三〟」<br>「そうだね、光太郎…慶三になるのも久しぶりだから」「毎日茶屋街彷徨いてたもんな」光太郎はそう言いながら葉月へ曲がる辻を真っ直ぐ歩いて行った。「光太郎⁈置屋はこっちだよ？」慶三が光太郎を促すと「その前にちょっと寄って行こうか」そう言ってスタスタと先へと行く。「どこ行くの？」「どこ行くんだ？…やな。慶三、まだ変やぞ」光太郎が振り返る。「二人の時は良いでしょ？」<br>「二人の時から慣れとらんと。睦美や聖美さんに正体教えたからって、油断したらいかんからな！」「うん、分かってる…で、どこに行くんだ？」「ちょっとな、久しぶりやし、手ぶらで行くんもなって、思ってな…」「葉月に？別に良いんじゃ無いかなぁ〜」「睦美の事もあるしな。偉い辛い思いをさせたさかい」そう言って左手にある乾物屋に目をやると、突然大声を出して店に飛び込んだ。「おっちゃん！どうしたんや⁈」「うわぁ！ビックリするがいや！光太郎さんか？」店で中腰になって品を出していた親父さんが飛び上がるように立ち上がった。「おっちゃん、何でバナナがあるんや？」「あぁ、朝方に鍔福の九兵衛さんが来てな。急に予約が取り消しになったと。出来たら一房買って貰えんか？ってな…」「九兵衛さんが？わざわざ？」「なんかな、今日に合わせて仕入れたから、天気にもよるけど二、三日したら鍔福で出せんようになると。鍔福、高級料亭やしな」「ほんでもわざわざ九兵衛さんが売り歩くような真似せんでも…」「取り消しの客が昔から九兵衛さんを応援しとった人なんやて。光太郎さんも知っとるやろ？横山さま…」「横山様？隆俊さんやったら、そんな理不尽な事せんやろ？取り消したんやったら相応の代金も九兵衛さんに渡すやろうし」横山隆俊、後に男爵貴族院議員となる加賀八家の十四代当主だ。<br>違う、隆俊さんや無い、男爵の隆平様や！」十三代の当主か？そりゃ九兵衛さんも頂けんわ…」横山家と言えば同じ八家の本多家、奥村家…などとも親戚関係を保ちつつ三代目当主などは正室を高山右近の娘を迎えた程の名家である。明治当初、長崎から政府によって流されて来たキリシタン住民が卯辰山養生所で幽閉されていた時、その後開放された後も影で力添えして来たとも言われている。泥鰌の蒲焼きが大好きな光太郎は以前、その筋から拝み屋をしたのをきっかけに隆平、隆俊と知り合いになり、悪霊を払ったりしていたのだ。十四代隆俊などは〝ちょっと年上のあんちゃん〟としか意識していない光太郎を隆平などは面白がっていた。以前ゴリ屋に来ていた議員とは雲泥の人間であった。光太郎もまた、色々な情報を聞かされていたのだ。<br>「そんでな、九兵衛さん無駄にしてもと思ったらしく仕入れ値で付き合いのある連中に話し持っていってるんや。儂ん所来た時、二房だけ残っている言うし、喜んで買ったんや」<br>「ほんでもこんな高いもん売れるんか？乾物屋なんに」光太郎が尋ねると「それがな、売れるんや。茶屋遊びするお大尽は喜んで芸妓衆の手土産にな…」「なるほど！おっちゃん流石やなぁ〜」ヒコ、いや慶三は黙って二人のやりとりを聴いていた。「おっちゃん、それ一房買っても良いか？十五、六本付いてるやろ？」「一房も？分けても、売っとるんやぞ」「良いんや。一房…葉月に持って行くんや。迷惑かけたし、ちょうど良い本数や」「葉月か…光太郎ちゃんは大丈夫なんか？睦月ちゃん…」言いにくそうに親父さんが言うと「おっちゃん、睦月は大丈夫なんや。ちゃんと生きとる！悪いな、心配かけて…」<br>「ホンマか⁈もう何日も経っとるし、葉月なんか火が消えたようになっとるぞ！」<br>「ホンマや。ずっと川下の年寄りの夫婦の所にいたんやて。人付き合いの無い家で睦月も間違って川に落ちたんと、用心の為に体やすめていたんや。それを葉月の女将にも伝えに今から行くんや」「そうか〜そりゃ良かった良かった、ホンマに良かった…」親父さんは今にも泣きそうな顔で光太郎の手を握った。「ならお祝いや！持って行けや」「駄目や！おっちゃんにも迷惑やし、ただの手土産って俺が嫌や。ちゃんとおっちゃん所も儲かるよに値段言ってくれ！」「ダラ！いくら光太郎さん言う事でも儂、そんなんで儲けた無い」<br>親父さんが見た事無い頑固な顔をして光太郎に怒鳴った。「ほんなら、責めて九兵衛さんから買った値段だけでも払わしてくれや。俺何でこの店に来たかわからんやろ？」光太郎も引き下がらない。「ほんなら、仕入れ値で良いわ！その代わりこれとこれ、儂からの付け届け、贈り物やと思ってくれや」そう言って睦月が小さい頃から好きな干し芋と光太郎が好きな烏賊の丸干しを渡してくれた。光太郎黙って受け取り「ほんならおっちゃん、また来るしな！」と言って慶三にバナナを持たして干し芋と丸干しを自分で持って店を出ようとした時、「睦月ちゃんに顔見せてって伝えて置いてな！」と親父さんが満願の笑みで送り出してくれた。「おう！ありがとな！」光太郎はそのまま葉月へと歩き出した。<p></p>
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<pubDate>Thu, 07 Apr 2022 00:21:26 +0900</pubDate>
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<title>きぬぎぬ川の〜聖美と睦美と小太郎</title>
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<![CDATA[ <p></p><p><br></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220403/15/satoru1107-2021/b9/98/j/o0490044615097267161.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220403/15/satoru1107-2021/b9/98/j/o0490044615097267161.jpg" border="0" width="400" height="364" alt=""></a></div><p><br></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220403/15/satoru1107-2021/93/93/j/o0167017315097266903.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220403/15/satoru1107-2021/93/93/j/o0167017315097266903.jpg" border="0" width="400" height="414" alt=""></a></div>聖美と睦美と小太郎<br>「ところで聖美はどうするんじゃ？睦美はもう一、二日寺で休んで行くが良いが…」<br>「和尚さん、ありがとう。でも葉月のお母さんも心配してると思うし…」睦美が心配そうに呟くと「心配すんな。後から俺置屋に行って女将に説明してくる。まぁ恵光の事も知っとるし分かってくれるやろ。いくらヨシノさんに守られていたからって丸七日は何も口にしとらんしな。和尚の言う通りにしな。聖美さんも、その間は睦美と一緒に居て欲しいんや。ただ、聖美さんの家でも心配しとるやろうけど…」「それは大丈夫じゃ。聖美と儂が昨日お主の家に行っている間に、母さんが聖美の家に電報を打って心配せぬよう伝えてある」「さすが、無駄に歳とっとらんなぁ〜」<br>「黙れ！お主も小太郎も言葉の使い方がズレとるんじゃ。せめて年の功とか言えんのか」<br>「僕？ヒコさん僕何も言っとらん…」小太郎が驚いてヒコに尋ねた。「良いんだよ、だんだん慣れて行くから…」「慣れて行くって僕もヒコさんも同じやんか。何で僕だけ…」小太郎が理不尽だと言わんばかりにヒコに言います。「小太郎ちゃん、大丈夫よ。みんな小太郎ちゃんの事好きだからね。ヒコちゃんとここが違う？って、思ったら考えたら良いのよ。少しずつ、少しずつで良いのよ」坊守が優しく言って〝おかわりは？〟と言うと喜んで小太郎は茶碗を差し出す。<br>聖美も睦美も笑いながら、小太郎を見て「そう、慌てずに少しずつで良いよ。小太郎君は小太郎君で…」と睦美が言い「和尚さん、今睦美に〝小太郎っていつもこんな奴じゃ〟って言ってたのに、もう自分が怒っている…」と聖美が言って二人揃って笑い続けた。<br>　食後、客殿に睦美と聖美を光太郎が連れて行き護符を与えた。「光太郎、これって…」<br>睦美が言うと「おう、夜中に作って置いた。前のは駄目やからな。睦美が生きとるって知ったら…そんな事無いと思うけど何しでかすか判らんからな。あとこれは聖美さんのや」<br>聖美が恐る恐る自分の手にある折り畳んだ半紙を見た。「聖美さん、お守りや。聖美さんの事、恵光達が知る由も無いやろうけど、もしもの場合の事考えて…誰にも見られん様にしてな。睦美にもやぞ」「睦美にも？」<br>「あぁ、お守りの効き目無くなるからな」<br>それから丁寧に刀印の切りかたを教え、自分の念を半紙に込める事を伝えた。「光太郎、もしかして昨日寝ていないんじゃ無い？」心配そうに睦美が聞くと光太郎は笑いながら、<br>「大丈夫や。俺も睦美がヨシノさんところで寝とった間、ずっと寝とった様なもんやし。それに絹太郎が作った薬飲んだし元気いっぱいや。糞不味いけどな！」と言って大笑いした。「ほんじゃ念の為に今日は睦美は身体休めてな、刀印は後からで良いし。聖美さん、お願いします。俺、ヒコ連れて出てくるし小太郎は置いて行くから用事あったら何でも言ってな！」そう言って部屋を出て行った。　<br>「睦美、光太郎さんって良い人ね」聖美が部屋の窓を開けながら言った。<br>「な、何を急に…」「まだ会って、二日しかたって無いけど、ずっと前から知っていた気がする…睦美とも年に一、二度会うぐらいだけど睦美が好きになったのは分かるわ」聖美が窓から入って来る微風を体に受け〝気持ち良い風…〟ポツリと呟いた。「聖美に嘘は通じないね…私の気持ち、分かるんだもの」<br>「睦美も私の気持ち分かるんでしょ？」<br>「光太郎に好意を持っている事？」<br>「何か…そう、春風のような人ね。爽やかで暖かい…」「聖美⁈…」「分かっているよ。貴方が光太郎さんと同じ時間を居られるだけで良いって思っている事も」「うん…私ね、置屋のお母さんの後を継ぐって頑張っていたから光太郎の事、ずっと悩んでいたんだ。でも今度の事があって光太郎と同じ空気を吸って同じ時を過ごせたら、それで充分だと思ったの」湯涌の湯宿に嫁いだ二人の母、里美が実家の菩提寺である聡慧寺の慧果住職に睦美の事を頼んだ時から十四才の時、置屋の葉月と養子縁組をした時に睦美が一つだけ悩みがあったとしたら光太郎への淡い恋心だった。聖美もその心は睦美と十四才で初めて会った時から聞かされている。会った瞬間聖美と睦美はお互いの心が解き放された様に分かり合えたのだ。会う度に二人は、一晩中語り明かす事が何よりもの楽しみとなった。<br>「私が呪をかけられる前の日、光太郎がずっと側にいるって、ずっと守ってくれるって言ってくれたの。それ以上何も望まないよ…」<br>「うん、睦美その夜幸せでいっぱいだったでしょ？私、分かったもの」「えへへ…」<br>「聖美さん、睦美さん、入って良い？」襖の向こうから突然小太郎の声が聞こえて来た。<br>「小太郎君？良いよ！」聖美が返事をする。<br>「今、光太郎さんとヒコさん出て行ったわ。二人とも、何か欲しい物あるかと思って…」<br>とぼけた顔をして小太郎が入って来た。<br>「どうしたの？元気無いけど」睦美が言うと「何かな〜、光太郎さんいつもヒコさんばかり外に連れて行くんや。僕じゃ駄目なんかと思って…」小太郎が本当に悩んでるみたいに二人に告げた。「小太郎君、それが良いの」<br>「えっ？」「だから、そんな風に悩む事が良いのよ。光太郎さんはヒコ君を連れて行った方が何かしらの役に立つし、小太郎君がお寺に残った方が私達や坊守さんが喜ぶと思っているのよ」聖美が幼い子供を諭す様に優しく言った。「そうよ。もちろんヒコ君と居ても安心出来るけど私は小太郎君といると弟みたいで楽しいわ」睦美も続けて小太郎に言うと小太郎は顔を真っ赤にして喜んだ。<br>「そ、そうかな？僕も役に立っているん？」<br>「もちろんよ。ヒコ君も小太郎君も光太郎の役に立っているし、それぞれに合った役の立ち方ってあるのよ。ヒコ君も側に小太郎君が居て助かっている事は間違い無いよ。ねっ？聖美」「そうよ。だからションボリする事は無いよ。でも悩む事は良いのよ、そうして人は成長して行くんだもの」「ふ〜ん…そうなんや…」小太郎が腕を組んで眉間にシワを寄せます。その顔が可笑しくて聖美も睦美も吹き出してしまいました。「何や？なんか可笑しいん？」不思議そうに小太郎が尋ねると、<br>「違う、違う。小太郎君時間あるなら絹太郎さんの事やヒコ君と初めて会った頃の事、お話して。ヒコ君や小太郎君が人じゃ無いって知った上で色々聴きたいわ」「昨日、坊守さん光太郎さんの話聞いて、本当の御伽話って言っとった。それやな？」「そう、御伽話。お願い！」「よっしゃ！分かった。ほんなら僕、お茶とお菓子貰って来るね！昨日、羊羹僕がほとんど食べたし、何か無いか聞いて来るわ！」小太郎はそう言って庫裏の方へ走って行った。聖美と睦美は顔を見合って同時に吹き出した。<p></p>
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<pubDate>Sun, 03 Apr 2022 15:00:13 +0900</pubDate>
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<title>きぬぎぬ川の〜宝達葛</title>
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<![CDATA[ <p></p><p><br></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220330/16/satoru1107-2021/9b/0e/j/o0728051015095258585.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220330/16/satoru1107-2021/9b/0e/j/o0728051015095258585.jpg" border="0" width="400" height="280" alt=""></a></div><p><br></p><div><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20220330/16/satoru1107-2021/e0/b6/j/o0360036015095258224.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20220330/16/satoru1107-2021/e0/b6/j/o0360036015095258224.jpg" border="0" width="400" height="400" alt=""></a></div>【宝達葛】<br>「何しとるんや〜二人して朝っぱらから」開いていた寺の木戸から光太郎が突然庭に入って来た。「なに、ヒコがお主の事を心配しての…迎えに行った方が良いか？と言うじゃ」<br>スラスラと口から出任せを言う和尚にヒコはいつもの事だし…と思いながらも〝やっぱり和尚と光太郎さん、似てるよ…〟と、改めて思ってしまいます。<br>「何を心配しとるんや？言ったやろ？直ぐに戻って来るって。ヒコはちょっと心配しすぎやて。言っとるやろ？小太郎を見習えって」<br>「まぁ、小太郎は特別じゃがのう」和尚がそう言って大笑いした。光太郎もヒコもつられて笑っていると、庫裏から小太郎がやって来た。「何みんなで笑っとるん？光太郎さん帰って来てたんや！朝ご飯出来たからって坊守が…」「なに、久しぶりに良い朝を迎えられて喜んでいたんじゃ。小太郎、聖美達は？」<br>「うん、今から呼びに行くんや」そう言って客殿の方に歩き出した時、本堂の方から「光太郎〜」と、睦美が走って来て、まだ庭に立っている光太郎に縁側から飛び付いた。光太郎は驚きとも喜びとも取れない、何とも言えない表情で抱きとめた。「睦美ぃ…」光太郎は呟き抱きしめる。ヒコも小太郎も涙ぐんで見ている。「睦美か？本当に睦美か？」和尚も涙ぐんでいる。「何言っとるん！睦美や、睦美に決まっとるやろ！」光太郎が叫ぶ。<br>「そや。聖美さんやったら、こんなはしたない真似せんよ…」何気なく小太郎が呟く。<br>「⁈こ、小太郎君…何言ってるの？」ヒコが驚いて小太郎を見る。光太郎に抱きついていた睦美が手を離し縁側から上がって小太郎に近付き「貴方が小太郎君ね？」「う、うん」<br>「聖美だったらはしたない真似しないって？睦美だったらするって意味？」睦美の問いに小太郎は別の意味で涙ぐんでいます。「睦美さん、小太郎君、悪気があって言ってるんじゃ無いんだ。言葉知らずで…」慌ててヒコが間に入った。「貴方がヒコ君ね？」「は、はい…」「そして瓜生慶三さん」「ええっ⁈」<br>「そして小太郎！貴方は信楽小太郎君ね？」<br>「ヒッ！」小太郎は耳と尻尾を同時に出して飛び上がります。「睦美？何でお前知っとるんや？」光太郎も驚いて尋ねた。「ぜ〜んぶヨシノさんに聞いたよ。光太郎水臭いぞ！」<br>「えっ⁈あっ、あぁ…」ポカンとした顔で光太郎は答えて和尚の顔をチラッと見る。和尚も困った顔をしている。ヒコや小太郎の正体を知っているのは和尚と坊守だけだった。<br>「睦美、水臭いとかでは無いんじゃ。光太郎はお主に要らぬ危険が及ばぬように…」和尚が話すと「和尚〜」と言って睦美が和尚に抱きついた。「な、何じゃ⁈」驚き後退る和尚に「ごめんなさい、心配かけて…」そう言って睦美はしばらく黙って抱きついていた。<br>「本当に無事で良かったのう…」そう言って和尚は睦美の頭を撫でている。「あのね、ヨシノさんにみんな聞いたの。何があったか…私、あの日の記憶が無くて混乱していたら、<br>ヨシノさんが語ってくれたよ。光太郎とヒコさん、小太郎君の事。和尚さんと坊守さんも光太郎に全て聞いて支えている事。だから私もこれからは支えるよ。だから隠し事しないでください」そう言ってヒコと小太郎に深く頭を下げて「ヒコ、小太郎！ありがとうね。私の事ずっと探してくれていたんでしょ？これからは私も二人の力になれる事あったら協力するね！」「睦美さん…」ヒコも小太郎も静かに感激していた。「でも無茶はしないでね。睦美さんに何かあったら…」「大丈夫、光太郎も、これから無理に嘘をつかなくても良いでしょ？ヨシノさんもその方が良いって言っていたの。それから安心して私、ずっと寝てたの」そう言って睦美は光太郎に再び抱きついた。「なっ、どうしたんや〜睦美、何かおかしないか？」光太郎がたじろいでいると聖美が部屋に入って来た。「どうしたの？坊守さん待ってるよ？」睦美と別れて庫裏の方に行った聖美は坊守から小太郎がみんなを呼びに行ったと聞いて待っていたと言う。<br>「おう、聖美さん…ありがとな、睦美見ててくれて」光太郎が睦美を体から離し、聖美に<br>礼をいう。「本当に光太郎は判るんやなぁ〜<br>儂は駄目じゃ。今聖美が出て来ても〝睦美が来た⁈〟と思うてしもう」そう和尚が言うと<br>「光太郎さんは、ちゃんと分かってるんや、<br>聖美さんは睦美さんより綺麗やろ！って言ってたさかい…顔赤くしてなっ、光太郎さん」また小太郎が口を挟んだ。途端、睦美の目がつり上がった。「飯、食いに行こ！」大きく光太郎が叫んだ。和尚も睦美の肩を抱いて庫裏へと進む。聖美も睦美の手を取り並んで歩き出す。睦美は何も言えず振り返り光太郎を〝キッ〟と、睨んだだけで庫裏に向かった。和尚、睦美と聖美が部屋を出て行った瞬間、光太郎は小太郎を力一杯蹴飛ばして、後に続いた。ヒコは小太郎に呆れつつも、ちゃんと言って良い事と悪い事を話しながら庫裏に向かった。「あら⁈小太郎ちゃんどうしたの？ションボリして…」味噌汁を注ぎながら坊守が言った。「…僕、手伝う事は？」小太郎が言うと「じゃあ、配膳してくれる？」と坊守が言って炊きたてのご飯を茶碗によそう。<br>楽しい朝食だった。坊守が睦美に葛湯を出した。「しばらく食べて無いから胃腸を慣らしてね。栄養あるから」そう言い勧めると光太郎が「宝達葛や！贅沢品やぞ」と叫んだ。<br>「宝達葛って？」小太郎が聞くと「加賀藩御用達や。小太郎の好きな和菓子でも使われているわ。風邪とかにも良いんや」「ふ〜ん」<br>「私、夏に食べる葛まんじゅう大好き！」<br>「私も！」同じ顔をして同じ声で睦美と聖美が言った。「まぁ！不思議ね〜離れて育ったのに同じ食べ物好きで」坊守が柔和な顔で言った。「ほしたら、同じ人を好きになるんかなぁ？」小太郎がまた可笑しな事を言った。<br>「だら！お前、いい加減考えて喋れや！」<br>光太郎が持っている箸を小太郎に向けて怒鳴った。「光太郎も小太郎君の事言えないよ！変な事よく言うじゃない！」睦美が隣りに座っている光太郎を叱った。<br>「前にもゴリ屋さんで〝考えて喋れ！〟って睦美さん、光太郎さんの事怒っていたね」ヒコがご飯を食べながら言うと「ヒコさん、さすが<br>ちゃんと覚えているのね。どこかの鶏頭さんとは違うわ〜」睦美が光太郎を見ながら言った。「ちょっと睦美、光太郎さんに失礼よ」<br>聖美がちょっと驚くように口を挟んだ。<br>「な〜ん聖美さん、良いんや。睦美はいつもこんなんやし」「光太郎！こんなんとは何よこんなんとは⁈」睦美がまた目を吊り上げて怒った。「まあまぁ、睦美怒るな。それこそ光太郎も、いつもこんな奴じゃろ？良かった良かった。前の通りじゃ」和尚がそう言って坊守と揃って笑い、寺の朝はいつになく明るく賑やかだった。<p></p>
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<link>https://ameblo.jp/satoru1107-2021/entry-12734696630.html</link>
<pubDate>Wed, 30 Mar 2022 16:19:58 +0900</pubDate>
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