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<title>shu-novels21の小説部屋</title>
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<description>不定期で小説のようなものを書いています。まだまだ文章等未熟ですが暖かく見守っていただけると嬉しいです。</description>
<language>ja</language>
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<title>お知らせ</title>
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<![CDATA[ お久しぶりです。まだ覚えていただけているでしょうか。<div>四か月ぶりくらいの投稿となってしまいました（汗</div><div>楽しみに待っていてくれた方（いてくれるといいな）なかなか更新できず、ごめんなさい！</div><div>&nbsp;</div><div>学校の方もテストが立て込んでいてなかなか更新できないと思いますが、更新されているのを見かけたら読んでいただけると嬉しいです！</div><div>&nbsp;</div><div>それではこれからも「見上げた空には」をよろしくお願いいたしますm(__)m<div>&nbsp;</div></div>
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<link>https://ameblo.jp/shu-novels21/entry-12242423000.html</link>
<pubDate>Sat, 28 Jan 2017 23:43:17 +0900</pubDate>
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<title>「見上げた空には」1章‐10</title>
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<![CDATA[ 　結局あれから一睡もできないまま夜が明けてしまった。<div>　もちろん夜中ずっと舞の言葉が頭の中をぐるぐる回っていたのは言うまでもなく。そして舞のあたたかな感触もずっと俺の背中に残っていた。さらに舞の告白にすっかり舞い上がった俺の頭からはその直前に舞が見せた涙のことなどすっかり消え去っていた―――のちにそれが大きな意味を持つことだったということが分かるとも知らずに。</div><div>　</div><div>　翌朝結局一睡もできないままベッドから這い出し赤い目をこすりながら朝食をとって学校に向かうべく家を出た。すると家の前には舞が待っていて。</div><div>「一緒に登校しよ？」</div><div>といってこちらに微笑みかけてきた。その色っぽい姿に俺は昨晩のことを思い出しどぎまぎしてしまう。だがなんとか平静を装って</div><div>「ああ」</div><div>とだけ返事をする。しかし、やけに舞の顔色がいい。俺が悪すぎなのもあるが舞はどうやらあのあとしっかり眠れたようだった。</div><div>「舞はやけに今日顔色がいいな」</div><div>と言ってみると</div><div>「うん」</div><div>とやけに元気のいい返事が返ってきた。それから舞は聞こえないくらいの小さな声で</div><div>「……それに昨日は久しぶりに安心して眠れたんだもん、」</div><div>と言った。俺の耳にはしっかり聞こえていたがまあいいか、と思って聞き流してしまった。</div><div>「悠は昨日眠れなかったの？目が真っ赤だよ」</div><div>そう言って舞はにやにやしながらこちらを見てくる。そこで俺が</div><div>「眠れなかったよ。だって舞から昨日…その…まあ気持ちを伝えられちゃったからね」</div><div>というと舞は頬を染めてもう、やめてよと言って鞄を持ってないほうの手で俺の二の腕をぽかぽかと殴ってくる。</div><div>「わ、悪かったよ」</div><div>というと舞は笑ってそれから俺の手を引っ張って</div><div>「そろそろ学校に行かないと遅刻しちゃう」</div><div>と言い、それから俺の手を掴んだまま走り出した。</div><div>自分より一回り小さい手のひらはとてもあたたかく、そして心地よかった。</div><div>&nbsp;</div><div>授業が終わり俺は部活へと向かう。</div><div>パスの段階からとても調子が良く最近フォームを変えたばかりのサーブも面白いように狙ったところへと入った。練習が終わって着替えていると同期でライトのスパイカーである鈴木が声をかけてきた。</div><div>「悠、今日調子いいねー。なんかきっかけでも掴んだ？なんかあったなら俺にも教えてよー」</div><div>きっかけと言われて真っ先に思い浮かんだのは昨夜の俺の部屋だったが俺は慌ててそれを打ち消し、返事をした。</div><div>「なんもないよー。きょうはたまたま」</div><div>「まじかー。なんかあったら教えてもらおうと思ったのにー」</div><div>そう言って鈴木は帰り支度に戻った。</div><div>それから体育館を出て家へと帰る。</div><div>家に帰って飯を食うと徹夜と部活の疲れからそのまま眠ってしまった。</div><div>眠っている途中に窓が開いて舞が部屋に来て眠っている俺をしばらく見てから「おやすみ……悠」とつぶやいて戻っていったのは現実なのか、それともただの俺の夢だったのかはよく分からない。ただ俺はそれに対して「おやすみ、舞」と言った―――そんな気がする。</div><div>&nbsp;</div><div>&nbsp;</div><div>　</div>
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<link>https://ameblo.jp/shu-novels21/entry-12242420469.html</link>
<pubDate>Sat, 28 Jan 2017 23:35:02 +0900</pubDate>
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<title>お知らせ</title>
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<![CDATA[ <p>テスト終わりました～！</p><p>またゆっくり更新していきます!</p><p>これからも温かく見守っていただけると嬉しいですm(__)m</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>追記</p><p>&nbsp;</p><p>今まで使っていた端末が壊れてしまいました…</p><p>書き溜めていたデータが吹き飛んだ&amp;パソコンからの更新になるので頻度が落ちると思います。</p><p>ごめんなさい(&gt;_&lt;)</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/shu-novels21/entry-12217031268.html</link>
<pubDate>Sun, 06 Nov 2016 22:41:52 +0900</pubDate>
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<title>お知らせ</title>
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<![CDATA[ 今日から3週間は中の人がテスト期間なので更新できません…<div>ごめんなさいっ(&gt;_&lt;)</div>
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<link>https://ameblo.jp/shu-novels21/entry-12209073298.html</link>
<pubDate>Wed, 12 Oct 2016 22:08:22 +0900</pubDate>
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<title>「見上げた空には」1章-9</title>
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<![CDATA[ <div>心臓が止まるかと思った。舞の発した言葉がきちんと言語中枢に届いたのは数秒後だった。</div><div><br></div><div>舞が、俺のことを好き—————？</div><div><br></div><div>小さい頃から舞と二人過ごした日々が蘇る。二人で山へ行ったり、川へ行ったりしたこと。それからお互いの家でたわいのないことをしては遊んだこと。</div><div>二人でキャッチボールをしていて家の窓を割ってしまい二人で散々謝った末に許して貰えたこと、そしてその時舞が良かったね、と言って見せた笑顔。</div><div>もちろんこちらに対しての好意が無ければ舞もあんなには俺と一緒に遊びはしなかったと思う。ただ、その俺に向けられていた好意はあくまでも友人、親友に向けられるものだと思っていた。</div><div>だと思っていたのだが。</div><div>今の舞の言葉は声音、表情などからしても明らかに異性に向けての好意を表していたと思う。</div><div>ただ、本当にそうなのかという質問を返すのは舞に失礼な気がした。</div><div>俺が何も言えずただおどおどしてるように見えたのか舞は</div><div>「ごめんね驚かせちゃって。けどはっきりと言えるのは私が悠のことが一人の異性として好きということ」</div><div>「別に今すぐ返事をしなくても大丈夫。そうだね——————また明日来るからその時、ちゃんとした返事をちょうだい」</div><div>「今日はいきなり押しかけちゃってごめんね」</div><div>そう言う舞を見てまたあの感情が頭をもたげる。</div><div><br></div><div>またこの感情だ。最近、舞を見ると、特に弱ってる舞を見ると思う守りたいという気持ちとともに抱くこの感情は何だ？</div><div>ただ単に守りたいというだけじゃないもっと大切に思う気持ち。</div><div>そう考えた時俺の体に電流が走る。</div><div>ああ、この感情は、この心臓を破裂させ、脳髄の奥まで痺れさせるようなこの感情は——————</div><div>「それじゃあ、また明日。おやすみ」</div><div>そう言うと舞は開けっ放しの窓のふちに手をかけて外に出ようとする。</div><div>その時口が勝手に動いた。</div><div>「待って！舞」</div><div>「どうしたの？」</div><div>舞は窓枠から手を離しこちらへ向き直る。</div><div>「あ……えっと…………」</div><div>待て、今俺は何故舞を呼び止めた？何が何だか分からなかった。</div><div>しかし、俺の口は俺の意識とは無関係に言葉を紡ぎ出す。</div><div>「俺は……」</div><div>待て、俺は一体何を口走る気だ。落ち着けと思うたびに俺の口は止まらなくなってくる。</div><div>「俺も…」</div><div>「俺も舞のことが好きだ」</div><div>そう言ってしまってから俺は我に帰る。俺は本当に何を言っているんだ。</div><div>ただ不思議なことに、いま言った言葉を取り消そうという思いは微塵も湧いてこない。</div><div>そこでやっと思い至る。</div><div>最近の舞にしばしば抱く感情は恋というものだったのだと。</div><div>今まではどこか昔の関係を意識しすぎていて気がついていなかったけれど俺は確かに舞のことが好きだ。</div><div>そう思うと何か熱いものが頭のてっぺんまで上がってきた。</div><div>さっきは勝手に心が言葉を紡いだが今度は違う。今度は確信を持って言える、舞が好きだと。</div><div>「舞、俺は本当に、本当に心から舞のことが好きだ」</div><div>改めてそう告げると舞はこちらをじっと見つめて硬直した後顔を赤らめ何も言えずただ立ち尽くしていた。</div><div>俺もそれ以上重ねる言葉が見つからず、二人きりの部屋の夜の底に俺と舞のふたりだけがぽつんと漂っていた。</div><div>ただその沈黙はお互いにとって心地よいものであったのは確かだ。</div><div>その沈黙を舞の言葉が破る。</div><div>「それじゃあ、私たちはもう友達は卒業だね」</div><div>「ああそうだな」</div><div>「これからはもう私たちは幼馴染じゃなくて、世間的に言うと…」</div><div>舞はそこで言葉を区切ってこちらを見上げる。</div><div>「…………」</div><div>「………………」</div><div>「世間的に言うと？」</div><div>俺は続きを促す。</div><div>「………………ここまで言っても分からない……？」</div><div>「うん…………」</div><div>「えっと…その、私たちは……もう友達じゃなくて、彼氏と………………」</div><div>「彼女だね…………！」</div><div>そう言うと舞は真っ赤になって俯く。</div><div>舞に言われて俺は初めてこの状況を理解する。冷静に考えると今舞は俺に告白し、俺はそれを受け入れた。ということはつまり舞と俺は恋人同士ということになるのだろう。</div><div>舞と俺はもう幼馴染ではなく恋人同士。</div><div>舞と俺は彼女と彼氏—————</div><div>その心地よい響きを舌の上で転がしてから口を開く。</div><div>「ああ、そうだね。今日から舞と俺は恋人同士だ」</div><div>そう言うと舞も俯いていた顔を上げこちらを見上げる。</div><div>そして、俺は背を屈め、舞は顔を上に向けて、そのまま————————唇を重ねた。</div><div>ふたりとも驚いて一瞬で離してしまったが唇には確かに舞のそれの柔らかな感触が残っていた。</div><div>向かいを見ると舞も目を丸くして立ち尽くしている。</div><div>「いきなりごめん」</div><div>「ううん、いいの。ずっと前からこうして欲しかったの」</div><div>「覚えてないかな？私ずっと前に言ったの、悠のお嫁さんになりたいって。</div><div>もちろんそれはただの幼児の戯言かもしれないけど。それでも確かに私はね、悠。その頃から悠の事がずっと好きだったんだ」</div><div>「俺のことを…」</div><div>「うん」</div><div>「それは……嬉しいよ。ありがとう」</div><div>「………………」</div><div>「……………………」</div><div>しばしの沈黙。</div><div>「えっと、それじゃあ今日は寝るね。</div><div>おやすみ、悠」</div><div>ぎこちなく舞は告げる。</div><div>「うん。おやすみ」</div><div>そう返すと舞は再び窓枠に手を掛け身を持ち上げそのまま屋根に乗った。</div><div>そして屋根を飛び越え自分の部屋に戻る。</div><div>窓を閉めようと窓際に行くと舞がこちらを見て何か言っていた。俺は目を凝らす。</div><div><br></div><div>お、や、す、み。</div><div><br></div><div>それを見て俺も返事をする。</div><div>舞は微笑み、胸の前で小さく手を振ってからカーテンを閉めた。</div><div>それを確認してから俺も再び布団に潜った。</div><div>だが、眠ろうとしても舞の告白の言葉が脳内を駆け巡って眠れなかった。</div><div>もしかしたらこれが夢で朝起きたらいつも通りの舞が現れるのかななどと思う。だが、あの暖かな感触は確かに夢ではなかったと断言できる。</div><div><br></div><div>私は悠のことが、好き——————</div><div><br></div><div>その言葉が脳内に反響する。</div>
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<link>https://ameblo.jp/shu-novels21/entry-12207170783.html</link>
<pubDate>Thu, 06 Oct 2016 22:56:43 +0900</pubDate>
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<title>「見上げた空には」1章-8</title>
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<![CDATA[ <div>舞が目を開けたことにより俺と舞は見つめ合うような感じになってしまう。</div><div>どきっとした俺は慌てて目を逸らそうとする。が、その瞬間舞の目を見てしまい目線を動かせなくなってしまった。</div><div>その瞬間、絡み合う二人の視線が時を止める——————</div><div><br></div><div>深く、綺麗な黒い宝石のようで、見つめているとこちらの体ごと引き込まれそうな瞳。その瞳が帯びるどこか憂いを秘めたような色に俺の目は釘付けとなってしまった。刹那、舞の視線がこちらの目を射抜き、時を止めた。その視線は視覚野に留まらず細胞の一つ一つまでを刺激し、脳内に未知の感情を結実させ、体には雷に打たれたかのような衝撃を迸らさせた。</div><div>だが俺は目を逸らさなかった。</div><div><br></div><div>逸らせなかった。</div><div>舞も目をそらすことなく美しい宝石のような瞳でこちらを真っ直ぐに見つめ続ける。</div><div>それは一瞬だったのかもしれないし、あるいは永遠に等しい時間だったのかもしれない。</div><div>そんな時間が続くうちにいつしか暗がりでもはっきりと分かるほどに舞の顔は真っ赤になっていた。</div><div>「………………」</div><div>「…………………………」</div><div>二人きりの部屋の空気を静寂が包む。</div><div>だが、その時俺の頭に浮かんでいたのは舞の瞳はこんなに美しかったのだな、という思いだけだった。舞の瞳に映る自分の顔はガラスケースに入っている芸術作品を覗き込んだ時に見た自分の顔そっくりで、何かいっそ神秘的なものでも見るような表情を浮かべていた。一方、舞は右から見れば喜び、左から見れば怒り、上から見れば哀しみ、下から見れば楽しみ、そんなあらゆる感情がないまぜになった複雑な顔をしていた。ただその芸術作品のような顔のみがは時を経るごとに赤くなっていく。</div><div>「………………」</div><div>「……………………」</div><div>「ごめんね、急にこんなことしちゃって」</div><div>先にこの沈黙を破ったのは舞だった。</div><div>普段だったら俺は茶化すのだろうが、その時の舞の目は真剣そのものだったので俺はおとなしく話を聞くことにし、舞が発する次の言葉に耳を澄ませる。</div><div>「最近いろいろあり過ぎてどうしたらいいのか分からなかったの。だから、今夜こうやってここに来て、さっきみたいなこと、しちゃったんだ」</div><div>「ちょっと待て」</div><div>「なあに？」</div><div>「この前からずっとお前は"ちょっと"だの"いろいろ"だの言っているけどそれは何なんだ？」</div><div>本当は俺は舞に何が起こっているのかをほぼ知っていたが、一応本人の口から事情を話させることにする。</div><div>「私が悠にさえ事情を話さないんだ。だいたい察しはついてると思うからそれで了承してよ」</div><div>「そんなわけには行くか！舞がこんな時間に部屋に来てさっきみたいなことをするなんてよっぽどのことがあったに決まってる！」</div><div>思わず語尾が強くなる。</div><div>舞は口を開かないでただ哀しそうな顔をしている。</div><div>ちょっと言い過ぎたか。</div><div>謝罪の言葉を紡ぎかけたとき、舞が口を開いた。</div><div>「心配……かけたくなかったんだ」</div><div>舞が俯向く。</div><div>「心配？そんなもん幾らでもする。けどそれが俺にとって重石になることは絶対ない。ましては舞のことについてはなおさらだ」</div><div>「だから、安心して事情を話してよ。俺が少しでも力になるからさ」</div><div>そう告げると舞が顔を上げる。</div><div>「うん分かった。悠になら事情を話してもいい気がする」</div><div>「ああ、どんとこいだ」</div><div>そう言うと舞は笑った。</div><div>まるで朝露に濡れる白百合のような可憐な笑み。</div><div>舞の笑顔を見るのは思えば久しぶりだ。そう思った途端また自分の心の奥底で未知の感情が鳴動するのを感じた。ただ、その時俺の頭に浮かんだのはただこの笑顔を守りたいという思いだけだった。その感情が何を意味するのかはその時の俺はまだ気づいていなかった。</div><div>「実はね」</div><div>「私はいじめを受けてるんだ」</div><div>やはりきたか。</div><div>「今まで言わなかったけど俺は舞がいじめられている現場を見たことがあるんだ。顔を知らない女子が舞の筆箱からシャーペンを取り出して捨てるのを」</div><div>「そっかぁ……できれば悠には見られたくなかったな……」</div><div>「ごめん」</div><div>「ううん、大丈夫」</div><div>「ただね、悠が見たそれは多分ほんの一部、氷山の一角なのかもしれない」</div><div>「別に不幸自慢をするわけじゃないけど、他にも靴底に画鋲を仕込まれたり、トイレに押し込められて上からモップを洗った水をかけられたり、ひどいときなんか強制的に吐かせられたりもした」</div><div>「どうして…………どうしてそんなことをされたんだ……？」</div><div>「別によくある話だよ。いじめてくる先輩の好きな人が私を好きで、それで揉めたの」</div><div>なるほど。だからシャーペンを捨てた女子の顔に見覚えがなかったのか。</div><div>「女の嫉妬はほんと怖いよ……」</div><div>「ま、舞はその先輩のこと、好きじゃないの？」</div><div>自分でも何を言ったのかが分からなかった。何で舞の話を聞いている途中で俺はこんなことを口走ってしまったのだろうか。まるで言葉が意志を持って俺の口から出てきたみたいだった。</div><div>「ううん、全然。確かに顔も良くて、成績も優秀、スポーツも万能だけどあの人には何ていうか——誠実さが足りないと思うんだ」</div><div>「……とは違って」</div><div>「え？ごめん聞こえなかった」</div><div>「ううん、何でもない」</div><div>「なるほど、ありがとう。事情は分かった俺もそれを何とかするのに協力するよ」</div><div>「ありがとう、私一人じゃできないことも悠と二人なら出来る気がする」</div><div>「うん俺も舞と二人ならきっと出来る、そんな気がする」</div><div>その時の俺たちは確かに二人なら何とかできると思っていた。</div><div>「ところで何で、舞は俺の布団に来たんだ？」</div><div>「それはね、安心たかったからだと思う。誰かがちゃんと私のそばにいてくれる、そんな温もりが欲しかったんだよ」</div><div>「だったら別に俺の所じゃなくても良かったんじゃないか？」</div><div>「そうだけど………………それでも悠の所に来たかったの」</div><div>「だから何故？」</div><div>「もう……ここまで言っても分からないなんて鈍いね…………」</div><div>「じゃあ、改めてちゃんと言葉にして伝えるね」</div><div><br></div><div>開けっ放しの窓から吹き込む風がカーテンを揺らし舞の紅潮した頬を撫でる。舞は体を上にずらし目線の高さを揃え、二人で見つめ合うような体勢になった。</div><div>「えっとね、悠」</div><div><br></div><div><br></div><div>「私は悠が……好き—————————」</div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/shu-novels21/entry-12204883414.html</link>
<pubDate>Thu, 29 Sep 2016 23:14:48 +0900</pubDate>
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<title>「見上げた空には」1章-7</title>
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<![CDATA[ <div>「……………」</div><div>俺の頭の中は驚きともう一つ自分では何が何だか分からない感情が渦巻いていた。</div><div>もしかして俺は夢を見ているんじゃないかと思う。都合よく舞が現実にこんな時間に俺の部屋に来るはずがない。そう、これは夢。たまたま見た夢にたまたま舞が出てきただけだ。そう言い聞かせることによって辛うじて自分自身を落ち着かせる。</div><div><br></div><div>だが—————</div><div>背中に感じる温もり、柚子のような香り。それら全てが俺にこれは夢などではなくはっきりとした現実であることを理解させた。そう考えた途端先程から徐々に覚醒しつつあった俺の意識が完全に目覚める感覚があった。</div><div>取り敢えず事情を聞かなくてはと思い開きかけた口を舞の言葉が遮った。</div><div><br></div><div>「何も言わないで—————ただ今だけはこのままでいさせて」</div><div><br></div><div>そう言う舞の声はとても頼りなくて、まるで触っただけで折れてしまう霜柱のようだった。</div><div>一瞬俺はそれでも問い質す口を開こうかと思ったがそれは余計な事だと思ったのでこのまま舞と二人きりの時間を共有する事にする。そして何より俺は心を芯から温めるような感情に身を任せていたかった。舞は何がしたいのかは分からなかったがこの時間が続くならそんな事はどうでも良い事のように思われた。</div><div>と、思った瞬間、背中から泣き声のようなものが聞こえてきた。初めは押し殺した微かな泣き声。それがだんだん大きくなってくる。泣き声が完全な音として俺の耳に届くようになる頃には俺の背中は舞が流す温かい液体でかなり濡れていた。堪らず後ろを振り返ろうとすると舞の声が飛んでくる。</div><div>「見ないで——————けどこのままでいさせて」</div><div>「ああ。分かった。取り敢えず泣くといいと思う。涙が涸れて出なくなるくらいまで」</div><div>その後も俺は舞が背中で泣き声をあげているのを感じながら心の底からなにか温かいものが泉のようにこんこんと湧き出てくる感覚を他人事のように傍観していた。背中が濡れる事など構わなかった。ただ、舞の苦しみを和らげるのの役に立てている事がとても嬉しかった。舞が悲しむと俺も悲しむ。舞が笑うと俺も笑う。今までもずっとそうだった。なぜなら俺たちはお互いの魂を半分ずつ分け合っているようなものだったから。</div><div><br></div><div>どれくらい経っただろうか。</div><div>いつの間にか舞の泣き声が聞こえなくなっていた。だが背中には先程よりも温度を増した温もりが確かに感じられた。相変わらず舞の手は俺の腰に回されたままだった。</div><div>舞は寝てしまったのか。</div><div>返事は返ってこないと知りつつも声をかける。とにかく無性に舞の名を呼びたかった。</div><div>「舞？」</div><div>案の定返事はない。</div><div>舞を刺激しないようゆっくりと手を解き、後ろを振り返る。</div><div>振り返った舞は寝息を立てていた。</div><div>その時の舞の顔はなんと形容したらいいのか分からないようなものだった。</div><div>無理に例えるなら子供が大嫌いなセロリを頑張って食べ、その後にハンバーグを幸せそうに食べているような、そんな顔だった。</div><div>そんな舞の顔を見ているうちにこっちも幸せな気分になってくる。</div><div>今まであまり意識した事が無かったが舞は結構整った顔立ちをしている。ほんのり朱の差した頬、切れ長の目、すっと通った鼻梁、そして艶やかな唇。それらを見ていた俺は自分の頬が熱くなるのを感じた。だが俺は舞の顔の一つ一つのパーツを見続けた。豆電球一つという明かりの少なさ、そしてこのシュチュエーションが俺をいつもより大胆にさせたのかもしれない。</div><div>そしてちょうど閉じた瞼に視線をやった時。</div><div><br></div><div>舞が目を覚ました。</div>
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<link>https://ameblo.jp/shu-novels21/entry-12202567547.html</link>
<pubDate>Thu, 22 Sep 2016 20:54:12 +0900</pubDate>
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<title>「見上げた空には」1章-6</title>
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<![CDATA[ <div>「どうしたんだ！これは"ちょっと"のレベルを超えてるだろ」</div><div>「………………」</div><div>「おい、舞！」</div><div>俺の制止も聞かず舞は階段を駆け上がって行ってしまった。</div><div>「ったく、本当に舞のやつ何があったんだよ」</div><div>俺は独りごちる。</div><div><br></div><div>キーンコーンカーンコーン。</div><div>その時チャイムが鳴った。急がなければ、遅刻をつけられる、そう考えた俺は舞のことはHRの後に直接尋ねることにして取り敢えず駈け出す。</div><div>だが、最悪なことにその日のHRは長引いてしまった。三人で携帯ゲーム機をいじっているところを担任に見つかったやつらが担任にこってり絞られたからだ。HRが終わり開放された俺は腕時計を見る。文字盤には08:44の文字。慌てて立ち上がり教室の外へと駆け出そうとした俺の前に人影が立ちはだかる。</div><div>「どこ行くんだ、もう授業を始めるぞ」</div><div>見上げた俺の視線の先には数学教師の姿。</div><div>「はい、すみません……」</div><div>俺はそう呟き席へと戻った。</div><div>俺は1限の数学の授業をまともに受けられなかった。教師の言葉も数字も記号も脳味噌の上を滑っていくだけで、脳内には一つも取り込まれなかった。</div><div>脳内には立ち尽くしていた舞の姿と夜に見た舞の泣き顔、その二つがぐるぐると回っていた。</div><div>もうそろそろ終わる頃合いだろう、と思い時計を見るとまだ09:10だった。</div><div>それから1分くらいおきに時計を見るが、時計はただ与えられた使命のみを持って時を正確に刻み続けるだけだった。</div><div>09:31。09:32。だんだん終わりが近づいてくる。</div><div>そして——</div><div>キーンコーンカーンコーン。</div><div>チャイムが鳴りとてつもなく長く思えた50分間が終わる。</div><div>俺は礼もそこそこに教室を飛び出し、舞のいる1組へと向かった。</div><div>教室に着くと知人に声をかける。</div><div>「舞は？舞はいるか？」</div><div>「あぁ？霧島ならとっくに帰ったぞ」</div><div>「帰ったって！？」</div><div>思わず声が裏返る。</div><div>「ああ、霧島は1限の途中にいきなり倒れたと思ったらそのまま早退しちまったよ」</div><div>「板書当てられて真っ青な顔して黒板に向かったら次の瞬間いきなり倒れたんだ。そうそう、そういえば霧島が保健室に連れて行かれる前にお前の名前を呼んでたぞ」</div><div>「舞は、何て？」</div><div>「えっと、確か、ごめんって——」</div><div>「分かった、ありがとう」</div><div><br></div><div>俺は礼を言って駈け出す。舞に一刻も早く会うために。</div><div><br></div><div>俺はその後仮病を使い学校を早退した。</div><div>学校を出た後は舞の家に向かう。</div><div>ピーンポーン。</div><div><br></div><div>舞は出ない。</div><div><br></div><div>もう一度。</div><div><br></div><div>ピーンポーン。</div><div><br></div><div>やはり出ない。</div><div>ここにはいない、直感がそう囁く。</div><div>仕方ないので俺は手当たり次第舞の行きそうな場所を探すことにした。</div><div>まず舞が通っている五駅離れた塾の自習室に行ったがいなかった。</div><div>まあよく考えたら、平日の真昼間から学年章付きの制服姿で自習室に来ていたら目立つことこの上ない。</div><div>仕方ないので、俺は舞が行きそうなところを探した。</div><div>舞と二人で遊んだ公園、駅前の喫茶店、駅前のゲーセンなど。</div><div>当然平日の昼間に制服を着てゲーセンに来た俺を店員は訝しげな目で見つめてきた。だが俺はそんなことにはかまっていられなかった。</div><div>もしかして、と思い舞と夏祭りに来た山の上の神社まで登る。</div><div>だが、そこにも舞の姿はない。</div><div><br></div><div>どこに、どこに行ってしまったんだ、舞——————！</div><div><br></div><div>暗くなるまで心当たりを探し回ったが舞の姿はどこにも見当たらなかった。</div><div>やむなく、俺は家に帰ることにした。</div><div>家に着き舞の部屋を見る。カーテンは閉めっぱなしで部屋の明かりも漏れていなかった。俺は制服を脱ぎ捨て横になり、しばらくお気に入りの音楽をヘッドホンで聴いた。</div><div>「ご飯よー！降りてきなさい！」</div><div>いつも通りの母の声が何故だがすごく癪なものに聞こえた。</div><div>「…………………」</div><div>「起きてるのー？」</div><div>「今、頭が痛いんだ。ご飯は後で食べるよ」</div><div>「分かったわ、お粥作ってあげようか？」</div><div>「いいよ、大丈夫」</div><div>「辛かったら言ってね」</div><div>母親の言葉に一つ返事を返し漫然と横たわる内に3時間ほど眠ってしまったようだ。</div><div>窓の外を見る。</div><div>まだ舞は帰ってこない。</div><div>こんな時でも肉体は正直なもので、俺の体はエネルギーを欲していたので、階下へ降り夕飯を食べ始めた。</div><div>だが半分も食べない内に食欲が失せ、残り半分は水で流しこんだ。</div><div>食事をやっとの思いで終え自室へ戻る途中の俺の頭は舞のことでいっぱいだった。</div><div>部屋に戻り舞の部屋を見るが電気は点いていない。</div><div>シャワーを浴びベットに入った俺は知らぬ間に寝てしまっていた。</div><div><br></div><div>夜中俺は、誰かが俺を抱きしめたような気がして目を覚ました。俺の背後には確かに人の気配。泥棒か？—いや違う。この髪の匂い、この温もりは。</div><div><br></div><div>「舞—————？」</div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/shu-novels21/entry-12201188684.html</link>
<pubDate>Sun, 18 Sep 2016 18:06:27 +0900</pubDate>
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<title>「見上げた空には」1章-5</title>
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<![CDATA[ <div>俺は一瞬目の前の光景が理解できなかった。</div><div>あの舞が泣いている？</div><div>だが何度見ても彼女の頬には光る滴が付いていた。</div><div>俺はとりあえず現状を把握することにする。</div><div>「どうしたんだ、舞？」</div><div>「何でも無いって」</div><div>「何があったんだ、舞！」</div><div>俺がさっきより強目の口調で言うと舞は一瞬怯えたような顔をしてから口を開いた。</div><div>「ちょっと学校でトラブっちゃってさぁ」</div><div><br></div><div>馬鹿だよね、あたしという舞の声は聞こえなかった。</div><div>「そんなはず無いだろ！」</div><div>「あんたに何がわかるって言うの！」</div><div>あ。まずい。止めなければ。</div><div>俺らは喧嘩も仲直りもたくさんしてきたが、こんな風な喧嘩は初めてのものだった。</div><div>「何だよその言い方！こっちは心配してるんだよ！」</div><div>一瞬舞が泣き出す一歩手前のような表情をしたがすぐさま言い返した。</div><div>「そっちこそ何よ、心配してるって保護者気取りですか！？」</div><div>まずい、止めなければ。そう思えば思う程俺の口は止まらなくなってくる。</div><div>「別にそんなつもりは無いって！」</div><div>「じゃあ何でそんな風な口の利き方をするの？」</div><div>まずい。これ以上は駄目だという叫びを聞いた俺は</div><div>「俺が悪かった、舞。今日は寝て明日また話そう」</div><div>と言った。</div><div>舞も</div><div>「そうだね、私も悪かったよ。今日はもう寝よう」</div><div>と返した。</div><div>「おやすみ」</div><div>「ああ、おやすみ」</div><div>俺たちは挨拶を交わし、お互いの時間へと帰っていった。</div><div><br></div><div><br></div><div>翌朝俺たちは家の前で出会った。</div><div>「おはよう、舞」</div><div>「お、おはよう」</div><div>俺たちはいつも通り登校する。</div><div>舞の声は最初はぎこちなかったが学校に着く頃にはいつも通りの感じになっていた。</div><div>校門を抜け下駄箱へと向かう。</div><div>俺たちは下駄箱の前でまた後でと言って別れた。</div><div>下駄箱から上履きを取り出し履き替える。扉を閉め、階段を上がろうとした俺は何気なく後ろを振り向いた。</div><div>その時俺の目に飛び込んできたのは立ち尽くす舞の姿だった。</div><div>「どうしたんだ、舞？」</div><div>呼びかけても返事はない。</div><div>慌てて駆け寄った俺は開きっぱなしの下駄箱に目をやる。</div><div><br></div><div>そこに、舞の上履きはなかった。</div><div><br></div>
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<link>https://ameblo.jp/shu-novels21/entry-12200309747.html</link>
<pubDate>Thu, 15 Sep 2016 21:45:25 +0900</pubDate>
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<title>「見上げた空には」1章-4</title>
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<![CDATA[ <div>「多分これじゃない？マイの筆箱？」</div><div>「そうこれこれー、やっちゃおうよー」</div><div>そう言うが否や女子の内一人が教室に置いてあった舞のラケットバッグに入っていた筆箱からシャーペンを抜き取るとそれをゴミ箱へと投げ捨てた。</div><div>&nbsp; &nbsp; 高1の秋頃俺はいつも通りの委員会の定例会を終え気の合う友人と下校しようとしたところ、俺はこうして舞がいじめを受けているところをを目撃してしまった。</div><div>いじめと言っても舞が受けていたのは軽いもののようだった。</div><div>少なくとも俺はシャーペンを無くされたり朝の挨拶を無視されたりといった程度のものだと思っていた。俺はその手のいじめは何も考えずやり過ごすと2週間くらいでターゲットが他に移るということを知っていた。だから俺は特に女子二人に声をかけることもなくその場を立ち去った。</div><div>その日家に帰った俺はふと窓の外を見ると舞の部屋の窓にいつもなら掛かってないカーテンが引いてあるのに気がついた。どうしたのだろうかと考え出した俺の思考を</div><div>「ご飯よー、降りてきなさい」</div><div>という母親の言葉が遮った。</div><div>「分かった」</div><div>と返事をし俺は階段を降りた。</div><div>夕飯を食べ、贔屓の球団の試合をテレビで見た後の俺の頭からは舞の部屋のカーテンの事などすっかり消えてしまっていた。</div><div>次の日俺は目を覚ますと舞の部屋の方向は見ずにそのまま階下へ降りた。</div><div>いつもの食卓、いつもの朝の匂いを感じながら俺は飯を平らげ、着替えを済ませた。</div><div>ローファーを履き、ネクタイを直し、いつも通りの母親の</div><div>「行ってらっしゃい」</div><div>に</div><div>「行ってきます」</div><div>と返し俺は家を出た。</div><div>家を出たところで舞にばったり出くわし、そのまま登校した。</div><div>「この前の授業で教師が…」</div><div>「部活で…」</div><div>俺はいつものように話したが舞の様子が少し違うように思われた。</div><div>いつもなら彼女は俺の言葉に合わせて嬉しそうな顔や悲しそうな顔をする。</div><div>だがきょうは活発なはずの彼女の表情があまり変わらない。</div><div>気になったので俺は尋ねた。</div><div>「舞、調子悪いのか？」</div><div>「ううん、平気だよ」</div><div>としか舞は答えなかった。</div><div>その後も学校に着くまで舞は終始暗い顔をし続けていた。</div><div>教室の前まで来て</div><div>「じゃあな」</div><div>と一言言うと彼女は</div><div>「じゃあね」</div><div>と寂しげな表情で答え教室へと入っていった。</div><div>その日の放課後俺は部活へと向かった。</div><div>俺はバレー部でレフト、つまりエーススパイカーをやっている。だから当然練習をサボるなど許されなかったし、サボろうとも思わなかった。</div><div>今日も律儀に練習に出たが、調子が悪くスパイクはブロックされてばかりだった。スパイクを打とうとするたびに舞の別れ際の表情がちらついてちっとも集中できなかった。</div><div>「気をつけ！ありがとうございました！</div><div>「「「「「「ありがとうございました！！」」」」」</div><div>散々だった練習を終え俺は家路に着いた。</div><div>部屋に入って舞の部屋の方を見るとカーテンが引いてあった。</div><div>ここ2日間閉めっぱなしのカーテン、舞の寂しげな表情などが気になった俺は舞の部屋へと行くことにした。</div><div>コンコン。</div><div>窓を叩くが返事はない。</div><div>コンコン。</div><div>もう一度。</div><div>やはり返事はない。</div><div>明かりは漏れているからいるのは確かなのだが。</div><div>何か怒らせるようなことをしただろうか、と思いつつ引き返そうとした時。</div><div>不意にカーテンが開いた。</div><div>が、俺には舞の背中しか見えなかった。なぜなら彼女はこちらに背中を向けていたからだ。</div><div>「舞、何回もノックしてごめん」</div><div>「別に、大丈夫だよ」</div><div>大丈夫ではない。直感がそう囁いた。何年も一緒に過ごしていた俺にしかわからないような小さな変化だったが彼女の声は確実にいつものトーンとは違った。</div><div>「俺、なんか怒らせるようなことした？」</div><div>「ううん、全然」</div><div>「じゃあ、どうしたんだ？」</div><div>「なんでもない」</div><div>「なんでもないならこっちを向いてくれ」</div><div>そう言うと舞はしばしの逡巡のあと顔をこちらへ向けた。</div><div>俺は一瞬何が何だか分からなくなった。</div><div><br></div><div>舞は泣いていた—————</div>
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<pubDate>Tue, 13 Sep 2016 22:05:44 +0900</pubDate>
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