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<title>スーツを着たクラブ・ガール / It suit the It girl</title>
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<description>昼間はお堅い外資系、夜はクラブ（発音は語尾を上げて読んで）で働くワタシの日記。名前はスタジェ、22歳。&quot;楽しく、刹那的に&quot;生きることがモットー！ …なんだけど、それだけじゃダメとも思ったり……。</description>
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<title>秘密にならない！―The Secret, Secretly</title>
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<![CDATA[ <p><font color="#006600">そんなわけで、一昨日の私は気が気じゃなかった。</font></p><p><font color="#006600"><br></font></p><p><font color="#669900">（正直、休むことも考えたけど、今月はクラブ自体もいつもに増して忙しいし、もし不用意に欠勤なんかしようものならボスからどんなお小言を言われるか分かったものじゃない。そして、それ以上に、あの日、ファーナンダとした約束が、ビリヤードのキューのようにこの身を突き動かしてた。）</font></p><p><font color="#669900"><br></font></p><p><font color="#339900">そうは言っても、昼間あんなことがあってからロクに考える暇もなく出勤したフロアの片隅で、実際には口ほどにもなく身を縮めてビクついていたんだけど。心の中で<font color="#ff6699">「ヤバい」</font>を連呼し続ける私に、エリザベスが声を掛けてくれなかったら、それは『ヴェクサシオン』にも匹敵するエンドレスになっていたかも。きっと、今でも。</font></p><p><font color="#339900"><br></font></p><p><font color="#339900">いつもとテンションの違う私を見取って、<font color="#9370db">“大丈夫？”</font>って訊いて来るカノジョに、いい加減もう全部ぶちまけちゃいたくなってる私がコトの次第を話すと、その薄い口角をニコリともせずに、死神は私に不躾に死亡宣告を告げて来る。<font color="#9370db">“大丈夫。昼間の仕事をクビになったくらいで、ボスはあんたを見限ったりしないから”</font>って―それって、私にとっては全然大丈夫じゃないどころか、一番危惧してることなんですけど？</font></p><p><font color="#339900"><br></font></p><p><font color="#339900">そんな私の態度に半ば呆れたような声で、カノジョは急かす。<font color="#9370db">“とりあえず、今は行って。コリアン系の女のコをご所望の客が、向こうのテーブルで待ってる”</font>。私がカノジョたちをスゴいって思うのは、何もアフターだけのことじゃない。反論するスキも与えずに、ほぼ強制的にＺＩＭＡを二本握らされて、カウンターを後にした。</font></p><p><font color="#339900"><br></font></p><p><font color="#339900"><br></font></p><p><font color="#339900"><br></font></p><p><font color="#006600">このクラブに勤めはじめてから、分かったことがひとつある。</font></p><p><font color="#006600"><br></font></p><p><font color="#339900">それは、日本人の女の子は、意外とクラブじゃあ［ありがたがられる］ってこと。私には到底理解し得ないことだけど、中国人や朝鮮系、そして、カノジョたちがなりすましてる偽者の日本人。</font></p><p><font color="#339900">この業界でのアジア系のマジョリティは、このみっつがほとんどらしい。だから、「普通の日本人」ってだけで、スゴく珍しがられたりすることも少なくない。</font></p><p><font color="#339900"><br></font></p><p><font color="#339900">なかには、本当の日本人か疑って何度も確かめて来るような人もいる。それでもボスが私のほかに日系人を雇い入れない理由は、ここが［そういう場所］だからなんだろうけど。</font></p><p><font color="#339900">でも、私がここまでやって来れたのは、ただ単に私が日本国籍保持者だからだと思う。その私に、コリアン・ガールを気取れとは…世界には、まだまだ私の見知らぬ人がたくさんいるものだ。</font></p><p><font color="#006600"><br></font></p><p><font color="#006600"><br></font></p><p><font color="#006600"><br></font></p><p><font color="#006600">注文通りに、エリザベスの言う“向こう”まで来たけど、それらしい客は見付からない。</font></p><p><font color="#006600"><br></font></p><p><font color="#339900">カレに見られていることを考慮に入れて、自分が作り得る一番可愛い仕草でキョロキョロしていると、すぐ目の前からお呼びが掛かった。ああ、そういうコトね。</font></p><p><font color="#339900">その了解をとってからテーブルを挟んだ相向かいに腰掛ける間に、無礼を指摘されても仕方ないくらいまじまじと見つめたカレの黒髪も涼しげな目許も、どう見ても極東系特有の特徴を捉え過ぎていて、私が勝手に築いていたロリータ・フェティッシュのプア・ホワイト像は見事にぶち破られた。</font></p><p><font color="#339900"><br></font></p><p><font color="#339900">カレは…きっと、母国語で話をしたかったのかも。その甘い幻想を崩すにしても、なるべく大きな音立てないようにするのが、私に出来る唯一のことかな。まだカレが口を開くどころか、こちらをきちんと向き直ってさえいないうちに真実を告げた。</font></p><font color="#339900"><p><br></p><p><font color="#339900"><font color="#006600"><font color="#ff6699">「ええと、あなたは話が分かりそうだから先に言うけど、実は私、朝鮮語は話せないの」</font></font></font></p><p><font color="#ff6699"><br></font></p><p><font color="#339900">見知らぬ誰かと話す第一声が、こんなに重大なカミング･アウトだったことってないかも。しかも、こんなにごく当たり前の出自に胸を張ったことなんて。</font></p><p><font color="#339900">別段驚いた素振りもなく微笑み合ったカレと、何度も同じ会話を繰り返し合って、お互いが日本人であることを確認し合ったのは、大きな相槌とともに行った合点のあと。</font></p><p><font color="#339900"><br></font></p><p><font color="#339900">その個性的な感動詞―<font color="#3333cc">「んーね」</font>―が、実は、カレ自身も気付かないカレのクセだってことを私が見抜くに至るのは、ちょっと遅めの自己紹介が済んで、しばらくしてからで。しかも、それを私が気に入ってしまうのは、すべての悩みを話し切ったあと。カレからの［挨拶］を、この耳に受けているほんの一瞬のことだ。</font></p></font>
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<pubDate>Wed, 07 Dec 2005 04:25:40 +0900</pubDate>
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<title>［一夜限り］は甘い罠―Damn it, I love these jobs much...</title>
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<![CDATA[ <p><font color="#006600" size="2">どう言い繕っても後出しジャンケンにしかならない。でも、その日は、朝からどうしようもなく悪い予感が頭から離れなかった。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">そう、所謂「悪寒」ってヤツ。もしも辞書で引いたなら、恐らくは「何となく嫌な感じ」としか書いてないような自力ではどうしようもない胸騒ぎ。そういう何の輪郭もない漠然とした不安の前では、私の願うどんなことも「お祈り」レベルの効果しかない。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">交通量の多い横断歩道を渡るときにも、昨日の夜にうっかり充電し忘れたケイタイ電話のサブ画面を見返すたびにもただ‘祈って’いた。『ここを渡ってる間にパンプスの頼りないヒールが折れちゃったりしませんように』とか、『嗚呼、神様！　どうかあのギャザリング・キャンプみたいに不自由な臨時充電器を買う羽目になりませんように』って。</font></p><p><font color="#339900" size="2">こういうときにだけ決まって都合よく登場させられる神様は、にも関わらず現金な私の欲求をちゃんとお聞き届けくださる。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">だったら、最初から、［あのこと］をお願いしておくべきだった。パンプスのどうしようもないヒールなんて、折れちゃったっていい。この際、ケイタイが壊れる不自由にだって我慢するから後生ですから、「あの人にだけは出逢わせないでください」。</font></p><br><br><p><br><font color="#006600" size="2">よりにもよって、昨日は最悪なジャックポットの揃う要素にあふれていた。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">（毎週月曜日には会議があるんだけど、昨日は特に朝が早かったし…年明けすぐに開催を控えたイヴェント準備の進捗率が小康状態を続けていたせいで、スタッフ全体がピリピリ来ていた。そんな針のむしろを脱ぎ捨てて行き着いたはずの中華風酒家で上司の軽口を肴に水餃子を頬張りながら、ようやく朝からの悪寒を払拭して楽園に滑り込めたと思ったんだけど。でも、それも、たったの二口と続かなかった。彼のあの視線と遭った瞬間に。</font></p><p><font color="#669900" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">最初のうちは、別に何も思わなかった―そりゃそうよ、街中で誰かと目が合うたびに背筋を凍らせてなんていたら、それこそどんな人だって身が持たない―。私には、その顔に見覚えがない。それでもカレがこの胸騒ぎを蘇らせるに至ったのは―その何色だったかも思い出せない瞳が、何度となくこちらを見遣っては真剣なまなざしを送って来たからだ。</font></p><p><font color="#669900" size="2">［ナンパ］の三文字で片付けるにはあまりにも無表情なソレが朝からの頭痛のタネだってことに気付いたのは、それから何分も掛からないうちだったと思うけど…。）</font></p><p><font color="#669900" size="2"><br></font></p><p><font color="#666600" size="2"><font color="#339900">実際のところは、あまりよく覚えてない。正直、いくらでもダウトを交わすことは出来たと思う。今日がいつもの月曜日で、一緒にいる相手が別の―例えば、本社勤務の同期の男の子とかだったら。ここはオフィス街じゃないし、場所が場所だから、クラブの常連客との店外デートを気取ることはたやすい。たやすかった。</font></font></p><p><font color="#666600" size="2"><font color="#339900">でも、このときの私が一緒に居たのは、友だちと呼ぶにはあまりに不自然な、かと言って親子を装うのは到底不可能な同性の先輩で、さらに運の悪いことに、繁忙月初の会議ってことで、お互いカタいスーツを着込んでしまっていた。</font></font></p><p><font color="#666600" size="2"><font color="#006600"><br></font></font></p><p><font color="#666600" size="2"><font color="#006600"><br></font></font></p><p><font color="#666600" size="2"><font color="#006600"><br></font></font></p><p><font color="#666600" size="2"><font color="#006600">「カレだ」と分かった瞬間、すぐにでもそうするべきだったのかも知れないけど、「もし追い駆けられたら」と思うと怖くて、レスト・ルームには逃げ込めなかった。</font></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#666600" size="2"><font color="#006600"><font color="#339900">そのときの私に出来たことと言ったら―ただ目の前のおしゃべりに夢中になってるフリをして、決して会話を途切れさせないこと。そして、金輪際、何があろうと、絶対にカレの方を向かないこと―嗚呼！　それからはカレのことを知らん振りしたせいで様子を探れなかったけど、私の勘違いじゃなければ、カレはずっとこっちを見続けてて…去り際に、私の座ってる椅子の背もたれを軽く叩いた。そんな状態で、午後からの仕事に身が入るワケないじゃない！</font></font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#666600" size="2"><font color="#006600"><font color="#339900">昨日は、「いつカレが再び現れちゃうんじゃないか」って、フロアにいても気が気じゃなかったわよ！　もっとも、カレがこの店に来たのは私の知る限りたった一度きりで、ほぼ毎日皆勤賞で頑張る私の知り得る限りってことは、それはもう「絶対」と言い換えたって差し支えないはずで、私は昼間と夜で当然のことながらメイクを変えてるわけだし、それより何より、こんなくらいフロアで一度唇を合わせただけの相手のことをいつまでだって覚えてなんかいないことはもう自明なんだから。</font></font></font></p><p><font color="#666600" size="2"><font color="#006600"><font color="#339900">大丈夫、大丈夫。私がカレのことを、すっかり忘れちゃってたみたいに。ホンモノのカレだって、今頃は別のお店の常連になって、別のクラブ・ガールと楽しくやってるに決まってる。</font></font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#666600" size="2"><font color="#006600"><font color="#339900">これだけの論理的な要素が否定してるんだから、それでもなお悩むのはどう考えたって建設的じゃない。…さっき、カレが来た日の日記を読み返したら、カオから火を噴くくらい恥ずかしくて、もう二度と自分の日記なんて読み返さないことを神にさえ誓ったけど、おかげで安心材料はさらに増えたし。あれはカレ本人なんかじゃなくて、例の、デリカ・メゾンのＣＭに出てる人かも知れないって。</font></font></font></p>
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<pubDate>Tue, 06 Dec 2005 03:46:49 +0900</pubDate>
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<title>ヤバい、ヤバい、超ヤバい！―Glower that pinch my mind!</title>
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<![CDATA[ <p><font color="#006600" size="2">人間生きていれば、いろんなピンチがある。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">それは、失恋みたいなだんだん小さくなって行く悩みから、「死」っていう大きな命題まで様々だけど、みんながそれを乗り越えたり、あるいは折り合いを着けながら、その問題と向き合ってる。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">クラブ・ガールのおシゴトにも、当然ピンチはある。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">彼女たちにとっての恐怖は、［バレる］ってこと。お客とのレンアイやホントの年齢、この化粧を落としたところを誰かに見られでもしたら、簡単には沈んだ心は浮き上がれない。</font></p><p><font color="#339900" size="2">もちろん、この私にとってもそれは同じ。昼間にも仕事を持っていることをあちこちに吹聴するのはいいことじゃないし、ほかの常客たちとの店外デートを隠さないのは、あまり得策とは言えない。もしもそれらが［周知の事実］になってしまったら、私がクラブ・ガールの座を追われる日は近いかも。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">クラブ・ガールになってからずっと怖れてたピンチが、いまになって来ちゃうなんて…どうしよう！</font></p><br><p><font color="#339900" size="2">これまでの７ヶ月間―特に最初の３ヶ月は―どうしようもなく警戒してたこと。「起こらなければいいな」って思ってたことが、ついに私に襲い掛かって来た。それは、これまでのクラブ・ガール生活のなかでたくさんのものにへこたれて来た私が、最も避けたいと神にも縋る思いで祈っていたことだった。</font></p><p><font color="#339900" size="2">そうするべくもないって分かってるけど、それ以外に出来ないから、疑っちゃいたい。「あれって、本当にカレなの！？」。万が一違ったなら、この杞憂は笑って酒の肴にしよう。これが本当にそうなら…それって、自分史上最大にピンチ！　私は、昼間の仕事と夜のシゴトの両方を失職するハメにもなりかねない。ヤバい、ヤバい、超ヤバい！</font></p>
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<link>https://ameblo.jp/star-jet/entry-10179165475.html</link>
<pubDate>Mon, 05 Dec 2005 14:46:57 +0900</pubDate>
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<title>粗削りに、粗削りに―One again, Off again</title>
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<![CDATA[ <p><font color="#006600" size="2">そういうわけで、昨日の［酒の上での戯言］…もとい、［窮策の尻拭い］を果たしに、カレとデートして来た。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font size="2"><font color="#669900">（テンションの昇降の激しいカレに付き合うのは、ホントにタイヘンだった！　</font><font color="#669900">待ち合わせは、11：00amに初台駅の南口。</font></font></p><p><font size="2"><font color="#669900">あのあと、何回かのメールのやり取りで、どうしてもうちまで迎えに来るってごねるカレをなんとかなだめて、‘うちの最寄り駅前’のドトールに集合ってことで折り合いが着いた。辛うじて歩けないこともないその距離までを徒歩で目指したら迷って、休日の午前早々に靴擦れを起こしちゃった。</font></font></p><p><font color="#669900" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">私が目的地に着くと、デートの相手はかなり前からそこにいたみたいで、辺りに煙を撒き散らしてた。カレの運転してる車から。それって、都下に住んでる私的にはかなり予想外の出来ごとだったけど、考えてみれば、うちまで迎えに来てくれるっていう申し出にもそれなら納得が行く。</font></p><p><font color="#669900" size="2"><br></font></p><p><font size="2"><font color="#669900">乗り込んだ助手席のすぐ隣にいるカレは、まさかのスーツに腕時計。やっぱり地毛を疑っちゃいそうなサンディ・ブロンドに、青いピン・ストライプのシャツが映えてる。</font></font></p><p><font size="2"><font color="#ff6666">「おはようございます」</font><font color="#669900">って声にも返事をせずに車を滑り出させるカレは、もしかしなくても、機嫌が悪かったかも。そのあと、近くのダイニングでブランチして、江ノ島を目指す頃にはもうすっかり気分上々、って感じだったけど。）</font></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">いろいろ話しているうちに、カレについても分かって来た。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font size="2"><font color="#339900">カレ自身―私より７歳年上のフィンランド系で、鎌倉に住んでて、本当は生物の教師の資格を持ってるけど、いまは市内の中学校で英語を教えていることとか。少なくとも、昨日まではこのうちのふたつくらいしか知らなかった―のこととか、好きなこと―寝る、飲む、ヤる―や嫌いなこと―寝られない、飲めない、ヤれない―についてを。</font></font></p><p><font size="2"><font color="#339900">カレの日本語は、いままでに私が知っているお客の誰よりも流暢だってことに気付いた。それから、意外と常識人だってことも。私にシートベルトや座席の座りかたについてをうるさく指南するくせに、運転は全然荒々しくない。そのことを茶化すと、</font><font color="#009999">「助手席に君が居るからね」</font><font color="#339900">と真面目な顔で答えてた。</font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">昨日からは考えられないくらいに、会話は弾んでた。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">あまりにも弾み過ぎて、目的地に着いた頃には二人してハイ・テンションを抑えられなかった。いままでに私が聞いたこともないカレの国の民謡を一緒に歌って、馬鹿笑いした。何やってんだか！　きっと、お互いにあんまり寝てないのが原因かも。</font></p><p><font color="#339900" size="2">冬の七里ヶ浜にも泳いでる人はいる。でも、そのすべてがサーファーで、活動的な人たちだ。「ただそこにいる」のは、私たちくらいだった。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「寒くない？」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">車に積んであったらしいカーキっぽいマフラーを差し出しながら、カレが訊いて来る。私が左右に首を振ると、それを自分の首に巻き出した。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「そうか。僕は寒い」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「ねえ、日本って寒いの？」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「寒いよ」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「北欧生まれなのに？」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「寒いよ。僕は寒くないところの生まれだから」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「寒がりなんだ」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「うん。君こそよく寒くないね」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「これ？」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">私は、自分の穿いてるスカートの裾を掴んで見せた。レザーのロング・コートは前をはだけさせてて、そこから覗く黒いベルベット素材のレトロなワンピースは、今日のカレの服装と結構マッチしてると思うんだけど。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「だって、前を閉めたら一面レザーよ。私は殺し屋じゃないんだし」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「いいじゃない、殺し屋で。風邪引いちゃうよりは」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「風邪のほうがましよ、ダサいより」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「看病してくれる人が居るならね」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">終始、他愛もない会話は続いた。私たちが話していることは、本気で‘どうでもいい’ことだったけど、昨日の夜から散々な［失敗未満］を繰り返して来た私には、天国みたいに居心地がよかった。カレのほうでもそう思ってくれてるはず、その証拠にそれは夕食のときまで続いた。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「よく間違えずに読めるね」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「なに？」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「誘惑とか。スゴい」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「ああ、メニューね。読むのは読めるよ。書くのは難しいけど」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">眉毛のあたりを擦りながら言う。ちょっとの不機嫌を疑ったけど、そのことを勘付いたカレがすぐに笑顔を見せてくれて、私に有り得ないくらいの安堵感を促してた。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「でも、上手じゃない？　日本語。どれくらい勉強してるの？」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「もうすぐ三年半くらいかな？　日本に来る一年前くらいだから、だいたいそんな感じ」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「それでそんなに流暢なんだ？　スゴいね」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「君だって日本語上手だから。『スゴい』」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">私が日本人だって、知ってるくせに！　でも、昨晩からほぼ一緒に居るけど、カレが冗談を言ったのははじめてだった。こういうのはきっと、「心を開いてくれた」とは言わない。それでも、私にはちょっと嬉しいサプライズだ。お酒の力を借りても心を近付けられなかった人と、こうしてシラフのままで楽しく話せるなんて。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">サーモンのスープもニシンの包み焼きも、はじめて食べた。昨日の約束だったカクテルが飲めなかったことをカレはしきりに心配してたけど、あれはもともと口実だし構わない。それより、グロッギ？　ってはじめて飲んだけど、おいしかったな。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">食事は滞りなく進んで、ゲーム・センターではプリクラを撮った。私にプロレス技―スリーパー・ホールド―を掛けられてるカレがモンゼツしてる写真を選んでケイタイに送って、お互いにそれを待ち受けにする。また一週間後に、新しい待ち受けを一緒に‘作る’約束も。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">カレのたっての申し出通りに私は家まで送ってもらうことにして、今日のデートは終了。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">たぶん鎌倉に帰るには回り道だし、ナビも付いてないのに親切なカレに、私はもう住所を偽らないことに決めた。車を降りるとき、キスしたがってるっぽい視線を避けてシートベルトを外した私にも、カレは不機嫌になったりしなかった。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「じゃあ、土曜日に。また」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「来てくれるの？」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「行くよ。日曜までは待てない」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「じゃあ、楽しみにしてるね」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">「ねえ、君ってさ、あー…」</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「？」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">何かを言い澱んだらしいカレはさっきみたいに眉毛のあたりを引っ掻いてたけど、昨日の晩からいままでに見たこともない気まずそうな顔をしてた。と思う。実際には、車内灯の暗過ぎる光では、そこまでよく見えなかったけど。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999" size="2">“何人くらいのヤツとこういうことしてるの？”</font></p><p><font color="#009999" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「あなただけよ」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">…トラヴィス以外はね。</font></p><p><font color="#339900" size="2">あまりに早口でアンニュイな英語、‘聞き取らせるためじゃない’その質問に間髪入れずにパーフェクトな答えを言えた自分に自分で驚いたけど、カレはたぶん、もっとだったかも。それもやっぱり、確かめる術はないんだけど。そのまま放っとけばいつまでもそこに居そうなカレを見送って、私はセキュリティ・カードを取り出した。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600">おうちに帰って、件の‘殺し屋’コートを脱いで、半身欲で我を忘れ掛けてたところに、カレからメール。</font></p><p><font color="#006600"><br></font></p><p><font color="#009999">「件名：（無題）　本文：今日寒くなかった？　もしそうなら、ごめん。あと、カクテルを飲ませてあげられなかったから、それも。今度は一緒に飲もう。俺に恋人はいないよ」</font></p><p><font color="#009999"><br></font></p><p><font color="#339900">…いつ私が恋人の有無を訊いたっけ？　っていうか、律儀なこと！</font></p>
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<pubDate>Sun, 04 Dec 2005 23:14:52 +0900</pubDate>
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<title>自分自身を彫刻すること―Like A Virgin</title>
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<![CDATA[ <p><font color="#006600" size="2">今日は朝から、昼間の仕事の休日出勤。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">（実は昨日の夜から決めてたことだけど、誰にも言ってなかったから、現場のスタッフたちは相当驚いてたみたいだった。そりゃ、そうよね。私がここに来たのは別に誰の指示ってわけじゃない、まるで思いつきのようなものだもの。</font></p><p><font color="#669900" size="2">本当は、一人の部屋でじっとしていたくなかった。でも、誰かと居るっていうのもその「誰か」に悪いような気がして、とりあえずこんなときはどっちかの仕事に打ち込むべきかなって思ったんだけど。果たして、私のヨミは当たった。こんなにポジティヴに仕事してる彼女たちの働き振りが見られたんだもの。私も負けてらんない、って感じ。外語学習、頑張らなくちゃ。</font></p><p><font color="#669900" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">それから、早番の女の子と一緒にその場を離れて―お土産に持って来たモチ・クリームは、ドライ・アイスが切れ掛かる寸前にその存在を思い出して、強引に手渡した。これって、セーフ？　よね！―、彼女と軽くお茶してから、いつもの土曜日よりちょっと遅めに夜の仕事に向かった。）</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">さっきまでと反比例してちょっと濃くなり過ぎちゃったメイクを気にしながら入り口の扉を開けると、掃除のためだけに来ていたファーナンダが、こっちに気付いた。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">私と目が合うと、思いっきり口角を上げて笑って見せる。よかった、ちゃんと元気そう。そうだよね、いつまでも落ち込んでるなんて馬鹿げてる。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">今日の私がボスから言い付けられた［使命］は、毎週土曜日に来る常客の連絡先を聞き出すこと。ほぼ皆勤賞で土曜日のカウンターを飾ってるカレの名前や素性を、この店中の誰も知らないし、訊かない。ただ、その外見から恐らくは北欧系の生まれであることと、いつも変わらずにそこにいることだけをみんなは分かっていて、それを気にしている風だった。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">幸い、トラヴィスはいま出張中で日本を離れてるし、私にはほかに何のしがらみもない。任された［おシゴト］を遂行するには、バッチリのタイミングだった。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">開店の時間を過ぎて軽く一時間、時計の針が鋭く直線を示した頃に、カレはやって来た。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">その雪みたいな肌に外の空気は相当寒かったのか、頬を赤くして、鎧みたいに重量感たっぷりのダウン・ジャケットをエースに預けてる。北欧系のはずじゃなかった？　ちょっとオーバー過ぎる！　快くそれに応じてるエースとの会話が完全に弾んじゃう前に、すかさず背後からカレに並んで声を掛けた。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">“ハイ、あー、コンバンハ。何飲む？”</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><font color="#339900">“ハイ、あー、コンバンハ”？　</font><font color="#339900">私って、こういうの全然向いてない！　野暮った過ぎ。しかも、声かすれてるし。</font></font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><font color="#339900">内心の焦りを隠して、‘とりあえず’笑った私のそれに気付いたのか、カレはニコリともせずにじっと私を見つめて来る。青い瞳。もしかして、ロシア系？　金色の髪は根元が見えないけど、地毛だったりするのかな。そんなことを考えていたら、カレと私のあいだにあった椅子が引かれて、隣に座るように促された。よかった、なんとかなったみたい。</font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">カレは、エースに向かって英語でオーダーを済ませると、私を振り返って、<font color="#009999">「同じものでいい？」</font>と訊いて来た。さっき得たばかりの安堵感に浸ってたせいで何を頼んだのか知らずに頷いた私にスミノフ・アイスを手渡すときにさえ、<font color="#009999">「ほら」</font>と日本語を使ってくれる。</font></p><p><font color="#339900" size="2">どうやら、［スピーチレス］だと思われちゃってるみたい？　それなら、それで構わない。いつもの無理でなり切れてもいないイット・ガールを気取るより、ずっと容易いもの。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">（そう思って、絵に描いたみたいに純朴で口下手な女の子を振舞おうとしたけど…これって、会話が成り立たない！　どんな話題を持ち掛けても、例えば、お互いの名前の由来や最近読んだ雑誌の話をしても、それらのすべては一言とか二言、長くても三言で終わってしまって、全然長く続かない。</font></p><p><font color="#669900" size="2">本当ならキャッチ・ボールされるはずの会話は、まるで重い鉛玉っぽくそこに置き去りになってる。たぶん二時間くらいはそれでも頑張ったけど、心のなかでは何度も「ギヴ！」って叫んでた。</font></p><p><font color="#669900" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">そもそも、無口なカレに純情キャラで迫ろうとする計画自体に無理があったのよ。カレは、私のするどんな質問にもちゃんと答えてくれたけど、自分からは決して口を開こうとはしなかったもの。それどころか、会話を盛り上げようと必死な私を楽しんでいる風ですらある。もう…［練り直し］だってば！）</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">私が何か共通の話題を探れないかと躍起になっているあいだにも、カレは顔色ひとつ変えずに、何本もの瓶を機械的に空にし続けてる。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">こんな量を平らげてるのに全然陽気にもならずに、その素振りさえ感じさせないところを見ると、本当に機械なのかも。でも、カレ自身に変化はなくても、確実に止まらないものはある。時間！</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">そろそろこの辺りの「健全な」カフェやリストランテの閉店時間が来る。お給料後のここぞとばかりに、そこで働いてる豪快なフォーリナーたちが来たら、カレが喧騒を嫌って帰ってしまうのは目に見えていた。いま、レスト・ルームに行ってしまってるのが何よりの証拠じゃない！　</font></p><p><font color="#339900" size="2">何とかしてカレの連絡先を聞かなくちゃ。私には、もう時間がなかった。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「ねえ、カクテルを飲みたいの」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">カウンターに戻って来たカレが何かを話し出す前に、すかさずその手を取っておねだりした。…つもりだったんだけど、焦り過ぎて、結局はぐだぐだになっちゃった。その手の握りかただって、なんだか腕相撲でもはじめてしまいそうな体勢だし。あーあ、私ってホントにキまらない！</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「いいでしょ？」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#009999">「いや、もう帰るよ。そろそろ電車も空いて来ただろうし」</font></p><p><font color="#009999"><br></font></p><p><font color="#ff6666">「全然酔ってないのに？」</font></p><p><font color="#ff6666"><br></font></p><p><font color="#009999">「酔ってるよ、そう見えないだけ」</font></p><p><font color="#009999"><br></font></p><p><font color="#ff6666">「ホントに帰っちゃうの？　私はまだあなたと居たいんだけど」</font></p><p><font color="#ff6666"><br></font></p><p><font color="#009999">「来週飲ませてあげる、じゃあね」</font></p><p><font color="#009999"><br></font></p><p><font color="#339900">私の手をすり抜けて、エースにダウン・ジャケットを言い付けるカレの背中を見つめながら、私の心臓はこれ以上ないくらいに高鳴ってた。これがお酒のせいじゃないのは分かってる。次の一言で、私の今日が決まる。</font></p><p><font color="#339900"><br></font></p><p><font color="#ff6666">“明日じゃダメ？　ミスター・アイスマン”</font></p><br><p><font color="#339900">実際には、もっとどうしようもなくガウチェで格好悪かったと思う。でも、［お酒］と［焦り］のふたつが重なっちゃった私の胸には、ある格言しか浮かびようがなかった。「成功はしなくてもいい。でも、失敗は許されない」。それは、私がここで一番はじめに覚えた処世術だったんだけど。</font></p><p><font color="#339900">ゆっくり振り返ったカレが、私のところへ戻って来る。受け取ったばかりの鎧からカレ自身が凝縮されたみたいな真っ青なケイタイを見つめながら、私は、自分が唯一覚えている格言を繰り返し反芻した。</font></p>
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<pubDate>Sat, 03 Dec 2005 02:05:10 +0900</pubDate>
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<title>心の修繕に一番いいのは―Desert A Pebble By The Wayside</title>
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<![CDATA[ <p><font color="#006600" size="2">私は以前にも、お店の女のコを泣かせてしまったことがあった。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">あれは、まだ私がこの店に入って間もなくの、たぶん６月頃にあったパーティでのことだ。その日は、ボスの友人だっていう社長さんの誕生日で、８時から貸し切りの予定だった。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">（それまでの何時間かを、太っ腹なカレは、クラブ・ガールたちと自分の会社のお気に入りの従業員―って言っても、男だけど―を総出にして街を練り歩いた。昼間の仕事が忙しかった私は、それには加わらずに、いつもよりちょっと遅めに出勤して、パーティがはじまる８時を待ってた。</font></p><p><font color="#669900" size="2">前のマネージャと一緒に掃除をしたり、カレの好みを叶えるこの一晩のためだけにトクベツに用意されたコルギン・エステートを凝視したり、フラワー・アレンジメントを見直したりそれをサボって怒られたりしながら。そうしているあいだに何度か起こったロブスターからの誘惑にも負けずに。）</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">いまにして思えば、それらはすべてが、‘カノジョのため’だったのかも。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">約束の時間を少し過ぎて店にやって来た社長さんたちと一緒に戻って来たクラブ・ガールたちは、意外にも、バック・ヤードに入って私に悪口を垂れて来る時間を取らなかった。それどころか、積極的にカレらにスキン・シップを許してるようにすら見える。いつもなら、ゼッタイに考えられないことなのに。</font></p><p><font color="#339900" size="2">ボーっと不可解を掲げる私に、誰かがこのあたりの有名焼肉料理店の名前を挙げた。ナルホド、そういうわけね。早合点したところで既にどうにも入りがたい空気に躊躇を決め込む私を呼び寄せて、隣に座らせてくれた人のところへ行った。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><font color="#669900">（見るからに潔癖そうで、インテリっぽい男。寸分乱れのないスーツは、明らかにそれって分かるピンストライプのエルメネジルド・ゼニア製。カレは日本人である私にまず驚くと、試すような目を見せたあとで、その場にあったグラスを滑らせて寄越し、なけなしとは言えない高級酒を注いだ。</font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><font color="#669900"><br></font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><font color="#669900">そうしているあいだにもその唇は止まらずに、私の年齢を訊ねて来る。日本人にはされたくないこの質問。いつもなら、適当にはぐらかしたりするんだけど―だって、本当のことを言って驚かれたら癪じゃない！―、瞬きひとつせずに答えなくてはいけない。</font><font color="#ff6666">「22歳よ、あなたは？」</font><font color="#669900">。</font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><font color="#669900">カレは、私の問い掛けには応じずに、大学では何を専攻していたのかと訊ねて来た。私が英米文学だと嘘を吐くと、それを見抜いたように指図する。求められるがままに、シェイクスピアのなかから「ソネット十八番」の何節かを暗誦すると、私のこのセンスについては疑いながらも、やっと自分の年齢に対してだけは重い口を開いた。27歳だ。）</font></font></p><p><font color="#669900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">それから数時間のあいだ、ずっと私はカレの隣にいなければならなかった。長くひとつの場所にいれば、誰だってそれに飽きて来るものだけど、カレは私の知る前例からは外れた男性らしかった。</font></p><p><font color="#339900" size="2">パーティは盛り上がり、宴もたけなわになったけど、それはずっと変わらずに。結局、日付が変わって社長さんが運転手―という名の部下―を呼びつけるまで、私はカレの側を離れられなかった。だから、知らなかったのだ。女のコのうちの一人が、バック・ヤードに籠って泣いてたなんてこと。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">あのときに‘気付けなかった’自分をいくら呪っても、もう遅い。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">（</font><font color="#669900" size="2">パーティが跳ねたあとの店内は、いかにもそれっぽくて、散らかり放題に散らかったその場所を片付けようとしているのはマネージャだけ。あとの［援軍］は、期待出来そうにない。私は、午前12時を過ぎて「ゴミ」に変わってしまったこれらを、片っ端からやっつけて行くことに決めた。）</font></p><p><font color="#669900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">だから、かなりニブい私がそれに気付かなくても、全然不思議じゃなかった。でも、仮に気付けたとして、私に一体何が出来たって言うの？　そのとき、店中のほとんどの女のコたちはフロアの隅っこで優しい声を出して、一人の誰かを慰めてた。</font></p><p><font color="#339900" size="2">彼女―メキシコ系フィリピン人の―が嗚咽に絶叫をはじめて、やっとそのことに気付いた私が何があったのかを訊いても、誰も教えてくれないし何も話してくれない。ただ、そのときに私に、「スタジェ、あんたはもっといろんな世界を知っておくべきね」と言い放ったグロリアの冷たい眼だけがやけに印象に残ってるってだけで。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">彼女を泣かせたのは、紛れもなく私だった。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600"><font size="2"><font color="#339900">それが分かったのはつい最近になってからだけど、彼女は「日本人」になりたかったのらしかった。つまりは、その横書きの苗字を漢字のそれに変えて、いずれ産むであろう子供たちの名前には彼女の母国であるフィリピンの伝統に則らないものを付けたかったのらしかった。</font></font></font><font color="#006600"><font size="2"><font color="#339900">単純に言えば、日本国籍の取得は急務だったのだ。</font></font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600"><font size="2"><font color="#339900">彼女には、本国にお父さんとお母さんと小さい兄弟が何人か、それにもうしゃべることの出来る年齢の自分の子供が居たことをあとになって聞かされた。まだ私とそう歳の変わらない、ときには10代の振りさえ完璧に演じてた彼女だったのに。</font><font color="#000000">&nbsp;</font></font></font></p><p><font color="#006600"><font color="#339900" size="2">よくイベントのときに使うセーラー服を引っ張り出して来ては、ボスの苦笑いも意に介さずに鏡の前でポーズを決めてた笑顔の裏に、そんな差し迫った事情があるなんて知らなかった。</font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">ほんの一ヶ月半前―"Cheers!"の近くのダンス・ホールにガサ入れがあったとき―に、カノジョの涙の理由にようやく私は気付いて、とても後悔したけれど、いまさらそれがどうだと言うんだろう。もうインテリ男はここにはいない。カノジョはとっくにこの店を辞めちゃったし、パーティは終わってしまった。</font></p><p><font color="#339900" size="2">それに、私はいまでも、あのときのことを反省したりしていない。もし、いまあの日に戻れたとしても、きっとカノジョを手助けしたりは出来ない。それは、例えそのことがキッカケになるのかも知れなくても、やっぱり、学歴や血統や国籍、職業の貴賎や経済状態ありきで相手に「選別」を点けることを、私は快く思わないからだ。</font></p><p><font color="#ff0066" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff0066" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff0066" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff0066" size="2">《ドン・フアン》に電話を掛けた。でも、掛けるべきじゃなかった。</font></p><p><font color="#ff6699" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6699" size="2">この携帯番号をもらったのは、今日から３日前。普通は、これくらいの時間って、レンアイの駆け引き上当然のテクニックだけど、カレにはきっと長過ぎたのかも。私が悪いって、思いたくない。そう思ったら、後悔してしまうから。絶対に、うしろを振り返らない。</font></p><p><font color="#ff6699"><font size="2"><br></font></font></p><p><font color="#ff6699" size="2">何が起ころうと、自分のしたことの責任は自分で取る。この仕事をはじめる以前、社会人になりたての頃に、そう強く誓った。だから、どんなことになっても私はその意志を反芻するだけ。もとに戻るだけだ。</font></p><p><font color="#ff6699" size="2">例えどんなことがあっても落ち込むことなく笑って、［お酒と夢］を運べるクラブ・ガールに。たくさんのお客の心を奪うことは願っても、それを奪われたりは決して有り得ないクラブ・ガールの［スタジェ］に。</font></p><br>
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<pubDate>Fri, 02 Dec 2005 00:01:10 +0900</pubDate>
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<title>ファーナンダの告白―I wanna be like other girls.</title>
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<![CDATA[ <p><font color="#006600" size="2">最近では珍しくいい調子で昼間のデスク・ワークに当たっていると、夜のおシゴト専用の黒電話に着信アリ。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">コッソリ履歴を見ると、ファーナンダからだった。これまでにカノジョが平日の昼間に電話して来たことなんて、一度だってない。それを考えると掛け直したいけど、カノジョと話す話題が何であれ、ゼッタイに大声で話していい類のことじゃない。それが分かっている以上、少なくともタイミングを読んで階下に逃げるくらいの配慮は必要そうだった。</font><font color="#339900" size="2">もう既にコッチを睨んでるっぽい上司の目をどうやって潜り抜けるかを思いめぐらせていると、続けてメールがバイブした。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#cc0066" size="2">“今日は何時に出勤するの？　少し早く来れない？　話したいの”</font></p><p><font color="#cc0066" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">（ファーナンダでも、こういうことあるんだな。ちょっとビックリ。</font></p><p><font color="#669900" size="2">もちろん例外の子もいるけど、私たちの多くは、店外でのベタベタした関係を重視しない。その理由はよく分からないけど…私に言わせるなら、みんなの個性の強さもその一因かも。</font></p><p><font color="#669900" size="2"><br></font></p><p><font color="#669900" size="2">どんなにおシゴトで仲良くしていてもそこを離れると何の共通点もないクラブ・ガールたちは、アフターで夜遊びに出掛けるバディとしては申し分ないけど、ショッピングや映画の相手ならものの５分で喧嘩別れしちゃう。みんながそれを、知っている。</font></p><p><font color="#669900" size="2">私は、ファーナンダも［コッチ側］だと思ってた。実際、そうだと思うし…。カノジョから、昼間の仕事の最中にメールを受信したのも、コレがはじめてのことだった。）</font></p><p><font color="#669900" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">“何かあったの？　すぐに行くから”</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">手早く返信しようとしたけど、久し振りの付け爪でうまく行かずに失敗して、上司の目を欺くことにも失敗して、結局、「反省した体」を示すことには成功した。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">定時キッカリに昼間の仕事を終えて、いつもより一時間以上も早く出勤した私を待っていたのは、まだほんのり薄暗い店内だった。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">ほかの女の子たちが出勤して来るまで、あと30分くらい。お店が混みはじめるまでには、一時間そこそこ。バック・ヤードでは、新しく入ったマネージャのエースが開店準備に勤しんでる。私に気付くと、ものも言わずにフロアの方向を指し示した―こういうのって映画とかではよく見るけど、実際にするのってどうかと思う―。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font size="2"><font color="#339900">ファーナンダはカウンターの陰に隠れていて、その顔はいつもと違って見えた。ううん、違って見えたんじゃない。「違った」。</font></font><font size="2"><font color="#339900">カノジョの左眼をしっかりと覆う白い眼帯、その下を走るように…引っ掻き傷が覗いている。これって、まさか―。</font></font></p><p><font size="2"><font color="#339900">信じられる人の誰もいない深い森に迷い込んだみたいな不安な気持ちがして、私はファーナンダの隣に座った。</font><font color="#339900">カノジョは私に気付くと、穴が開くかもって思うくらいにじっと私を見つめて、笑って、そして言った。</font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#cc0066" size="2">「《ドン・フアン》と付き合ってるの、オメデト」</font></p><p><font color="#cc0066" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">一瞬、何を言われてるのか分からなかった。こんなときに何言ってるの？　っていうか、どうして知ってるの！　私がよほど不可解な表情をしていたのが読めたのか、ファーナンダは笑いをこらえてた。まるで、涙を我慢するみたいに。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#cc0066" size="2">「昨日、カレ、ココに来たのよ」</font></p><p><font color="#cc0066" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">カレが、昨日、ココに…何だって？　カレが来たって、まさかココに？　それって、つまり、どういうこと！？　頭のなかで何かがはじけちゃいそうなくらいに動転して、ファーナンダを問い詰めようと左側へ向き直ると―カノジョは泣いていた。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font size="2"><br></font></p><p><font color="#006600" size="2">エクトルとファーナンダが、別れた。</font></p><p><font color="#006600" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">カノジョの眼帯に気付いたときから抱いてた悪い予感が、当たってしまった。それは、予感と呼ぶにはあまりにもしっかりとした傷跡を残し過ぎていた。そんなところを、自分でなんか痛めない。ましてや、事故だと思えるほど深いものでもない。…明らかな故意だった。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#ff6666" size="2">「どうして別れたの？　エクトルはなんでこんなこと！」</font></p><p><font color="#ff6666" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">ファーナンダを慰めようとするより先に怒りが湧いて、無粋な叫びを放った私の声は、逆にカノジョを脅えさせてしまったかも。カノジョは黄色いハンカチを握っていたけど、それはほとんどもう黄土色っぽくなってた。あふれ出る涙を止められないカノジョは、でも、私のどうしようもない質問に、嗚咽交じりに答えてくれる。<font color="#cc0066">“それが分かったら、別れてない”</font>。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">何処までも健気なカノジョの背中をさすりながら、私も一緒に泣いてた。エクトルのことがたまらなく憎いと思ったけど、私がカレの悪口を吐くたびに、そのときだけカノジョは顔を上げて、小さく私を諌める。恋心は、何処まで人を寛大に変えるんだろう。いまは泣いてるファーナンダにも、エクトルを忘れられるときが来るのかな。</font><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">こんなときなのに出来のいい言葉を見付けられない不甲斐ない私を励ますみたいに手を握ってくれるファーナンダ。<font color="#cc0066">「ごめんね」</font><font color="#339900">。それは、聞き取れないくらいに小さい声。告げられた用件は、誰にも頼めない休日出勤。</font></font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#cc0066" size="2">「ごめんね、せっかくもう出なくてもよくなったのに…。《ドン・フアン》と付き合えたのに…」</font></p><p><font color="#cc0066" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">胸が痛い。こんなにも思いやりがあって、心の優しいファーナンダが、どういう理由があってこんな目に遭わなくちゃいけないんだろう。</font></p><p><font color="#339900" size="2">エクトルは、もともと、ココのお客だったわけじゃない。私やほかの女の子たちのように、ファーナンダは、店外デートや擬似レンアイをしてなんかいなかったのに。</font></p><p><font color="#339900" size="2"><br></font></p><p><font color="#339900" size="2">いつもは明るくておおらかなカノジョの手を握り返して、言葉に出せない「大丈夫」を伝えた。カノジョに早く新しい素敵な恋人が出来るといいのに。その人がエクトルの分まで、カノジョを大切にしてくれるはずだから。握り返したこの手に力を込めながら、出来ることなら私が代わってあげたいと強く思った。</font></p>
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<link>https://ameblo.jp/star-jet/entry-10152678433.html</link>
<pubDate>Thu, 01 Dec 2005 05:25:51 +0900</pubDate>
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<title>女の子が守る恋の鉄則―Call him, but three days after!</title>
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アメンバー限定公開記事です。
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<pubDate>Wed, 30 Nov 2005 22:14:36 +0900</pubDate>
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<title>終わらないエンド・ロール―as Long as I Love You</title>
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アメンバー限定公開記事です。
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<pubDate>Tue, 29 Nov 2005 21:54:59 +0900</pubDate>
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<title>健全じゃナイ日曜日の過ごしかた―One more night with You.</title>
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アメンバー限定公開記事です。
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<pubDate>Mon, 28 Nov 2005 20:52:14 +0900</pubDate>
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