<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<rss version="2.0" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom">
<channel>
<title>ブログ連載小説☆異世界ファンタジー小説　「滅びの雅歌」</title>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/</link>
<atom:link href="https://rssblog.ameba.jp/sugaralice/rss20.xml" rel="self" type="application/rss+xml" />
<atom:link rel="hub" href="http://pubsubhubbub.appspot.com" />
<description>中学時代から書き溜めた自作の異世界ものの小説です。大変長いですが、どうか気長にお楽しみ下さい。</description>
<language>ja</language>
<item>
<title>160 退却 -6</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　ふっと太陽のように暖かなクリューガーの顔が脳裏をよぎった。</p><p>困ったことがあればいつでも俺のところに来いと、あの男気のある将軍は、</p><p>何度も言いはしなかったか？</p><p>　クリューガーの元に行けば、大船に乗ったも同然だった。</p><p>力も財力もあるトラキネ伯。</p><p>必ずやロマンダルの追っ手から、上手くバルセロナを隠してくれるだろう。</p><p>（クリューガー将軍のところへ行こう。）</p><p>我ながら打算的だな、と思いながら、バルセロナはその好意に</p><p>甘えることに心を決めた。</p><p>（私はもう…耐えられない。</p><p>あなたの生き方と私の生き方とは…違いすぎる。）</p><p>（この子はロマンダル王家とは何のかかわりもない、</p><p>私一人の子として育てます…。その方がいい。）</p><p>　心が決まると表情さえすっきりと晴れやかになって、</p><p>バルセロナはてきぱきとわずかな身の回りの品をまとめ始めた。</p><p>（出て行くのは、夜。気付かれないように。</p><p>どこかで馬を調達できるだろうか…？）</p><p>ふいっとテュアレスから貰った愛剣に目をやる。</p><p>（これだけは…いただいていってもいいですよね？　テュアレス王子。）</p><p>かつてロマンダルを去った日の思い出が心に蘇り、</p><p>バルセロナの目頭を熱くした。</p><p>（どうして…こんな日が来るのだろう…？）</p><p>バルセロナの顔が苦痛に歪んだ。</p><br><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/entry-10119236515.html</link>
<pubDate>Sun, 27 Jul 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>160 退却 -5</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　当のバルセロナは、そのようなクリューガーの想いなどつゆ知らなかった。</p><p>彼女はテュアレスが去った衝撃からようやくわが身を立て直すと、</p><p>この先の身の振り方についてある決心を固めていた。</p><p>曰く、このまま私はもうこの王宮にはいられない…。</p><p>　元来から丈夫なたちのせいか、それとも女騎士として鍛え上げられた</p><p>体のせいか、悪阻も思ったほどではなくすぐ終わり、体調的には</p><p>すこぶる良かった。</p><p>今ならばロマンダルの王宮を去るにも何の困難もないであろう。</p><p>おなかが本格的に膨れだす前に安心して出産できる居場所へ</p><p>辿り着かねばならない。</p><p>（でも、どこへ…？）</p><p>思えばバルセロナの顔は暗かった。</p><p>もう自分には行き場もない。居所も…。</p><p>　両親のところへ戻るわけにはいかなかった。</p><p>すぐに連れ戻されてしまうだろう。兄エリオットの所も同様である。</p><p>かといって、もはやイリアネス様に庇護を求めることも出来なかった。</p><p>もう喜んでは迎えてくださらないだろう。</p><p>その懐に飛び込めば、国と国の問題になる。</p><p>ましてや暗殺者の凶刃にかかり病床にあるイリアネスである。</p><p>バルセロナが思慮なく舞い戻れば、いかほどの負担になろう。</p><p>（ここには、テュアレス王子のもとには、もういられない。</p><p>でも私にどこに行き場があるというのだろう。</p><p>どこにもない。行き先なんて…。）</p>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/entry-10119234095.html</link>
<pubDate>Sat, 26 Jul 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>160 退却 -4</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　ナザレア公がなんと言おうと…</p><p>無傷のロマンダルと戦端をひらくには分が悪すぎる。</p><p>最大の目的であったカレルを陥落させ、事実上グランゴワールを</p><p>滅亡させた以上、これ以上はここに留まる意味もない。</p><p>グランゴワールの残党に気をつけながら見事に撤退することだ。</p><p>ロマンダル軍の来る前に…！</p><p>　クリューガーは、もしもう一度あいまみみえることがあるならば、</p><p>唾を吐きかけてやりたいような腹立ちをロマンダルの王太子テュアレスに</p><p>感じながら、密かに撤退の準備をさせはじめた。</p><p>なにがグランゴワールの盟邦だ、まさに漁夫の利というやつだ、</p><p>汚い野郎だな…と毒づきながら。</p><p>　一時でも彼を信じてバルセロナを託した自分の浅はかさが</p><p>恨めしくも呪わしくもあった。</p><p>　バルセロナは…あの一途な女は、自分が愛し夫と定めた</p><p>このロマンダルの王太子のやり口をどう思っているのだろう。</p><p>クリューガーは心底バルセロナが心配だった。</p><p>ロマンダルの王太子の立場ゆえに仕方のない…戦略だと割り切れるのか？</p><p>潔癖な彼女にそんなことは到底不可能だと思われた。</p><p>もとよりロマンダルの王太子妃など…務まるわけもない。</p><p>バルセロナをロマンダルへやるなどと、自分はどうかしていたのだ。</p><p>（早まるなよ…。）</p><p>と彼は思った。</p><p>（頼むから、早まるなよ、バルセロナ…。）</p><p>眉間の皺が深くなった。</p><br><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/entry-10119231791.html</link>
<pubDate>Fri, 25 Jul 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>160 退却 -3</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　その頃、カレルに向かっているロマンダルの軍隊はいかほどであったろう。</p><p>　テュアレスの率いる海路軍に一部を割かれているとはいえ、</p><p>主力は陸路に廻されていたはずだから…推定でも八万は下らなかった</p><p>と思われる。</p><p>ドラローシュ軍五万五千と合流したクリューガー軍一万三千の面々を</p><p>震撼させたくらいであるから、もしかすると十万ほどの大軍だったのだろうか。</p><p>　率いる将軍の名も今ではつまびらかでない。</p><p>　ロマンダルは、リュブディアスやグランゴワールのように傑出した将軍の</p><p>いる国ではなく、王太子テュアレスを除いては特筆されるべき者のない、</p><p>即ちは個人の能力に頼らぬ総合力の高い国であったから、無味乾燥な</p><p>記録の束を繰ればその時々の将軍の名を知ることも可能だろうが、</p><p>少なくとも歴史書を彩るほどの人物ではなかったろう。</p><p>　その迫り来る無傷の大軍に対して、歴戦で疲れ切ったリュブディアス軍は</p><p>有効な術（すべ）を知らなかった。</p><br><p>（ならば、退却か？</p><p>カレルをようやく陥落させたというのに？</p><p>グランゴワールは…もはや潰（つい）えたのだ。）</p><p>　</p><p>　リュブディアスにはまだ、アルカージェフより退いてカレルに向かっている</p><p>はずの、いまだ到着をみないメンデレス軍八千が残されていたが、</p><p>現六万八千に八千を加えたところで到底勝ち目はないように思われた。</p><p>クリューガーは心のうちですばやく計算し、兵をひく決意を固めていた。</p><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/entry-10118541383.html</link>
<pubDate>Thu, 24 Jul 2008 00:01:21 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>160 退却 -2</title>
<description>
<![CDATA[ <p>「ご報告申し上げますっ！　ロマンダルが…参戦しました！</p><p>参戦してカレルを目指していると、たった今、本国よりの報せが！」</p><p>「何っ！」</p><p>「ロマンダル…！？」</p><p>リヴィウスたちは色めきたった。</p><p>「して、軍はいかほど？　いつ頃カレルへ？」</p><p>間髪いれずベリサリウスが問い返す。</p><p>「く、詳しくはこの書状を…。」</p><p>差し出されたものがざっと読み下され、主だった者たちの手から手へと</p><p>渡されると、一同の顔色は走りこんできた部下のものと、</p><p>もはや大差なくなっていた。</p><p>「…死力を尽くしてグランゴワール軍を打ち破った後で…</p><p>この大軍を迎え討たねばならんのか…！」</p><p>「しかも無傷の…。」</p><p>「おのれ、ロマンダルめ…。」</p><p>「ナザレア公はなんと言っている？」</p><p>苛立ったように問うクリューガーに部下が慌てて答える。</p><p>「書状を持って参りました『風』は追ってすぐ沙汰ある…と。</p><p>緊急会議中ゆえ、と申しておりました。</p><p>当面のことはクリューガー将軍にお任せするとのことです。」</p><p>「ふん、都合が悪くなると、すぐそれだ。ナザレア公め…！</p><p>リヴィウス、とにかく急ぎ防衛線を。</p><p>ドラローシュ殿もお疲れだろうがご協力いただきたい。</p><p>ベリサリウス、早速仕事だ。兵の配置を。」</p><p>大股で歩き始めるクリューガーの顔は険しかった。</p><p>（テュアレス王子…！）</p><p>誰にも伺わせないが、その内心は敵国の王子のもとにある</p><p>彼の愛しい女のことを案じているのに違いなかった。</p><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/entry-10118537408.html</link>
<pubDate>Wed, 23 Jul 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>160 退却 -1</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　その頃、カレルにあったリヴィウスとクリューガーとは、</p><p>敵将シルヴァヌスがそのような非業の死を遂げたことなど露知らず、</p><p>ようようにしてギィーナス軍を打ち破りカレルまで辿り着いた</p><p>ドラローシュたちをねぎらうのに忙しかった。</p><p>　腕に巻いた包帯は痛々しかったが、リヴィウスは久方ぶりに</p><p>明るく笑い、よく喋った。</p><p>クリューガーはそんなリヴィウスをまるで父親のように見守っていた。</p><p>「で、ギィーナス将軍は捕虜となっているのだな？」</p><p>と、クリューガーは軍師ベリサリウスに確認した。</p><p>「いかにも。</p><p>投降された時も、敵将ながらあっぱれなお方でした。」</p><p>「そうだろうとも。</p><p>グランゴワールにギィーナス、シルヴァヌスありと唄われた</p><p>名将だからな。」</p><p>「シルヴァヌス将軍の方は、まだ見つかっていないんですよね？」</p><p>リヴィウスが口を挟む。</p><p>「そうだ。　まだまだ油断できんぞ。」</p><p>そちらの方へ歯を見せて笑いかけながらクリューガーは言った。</p><p>「早く捕えてしまわんと、ゆっくり眠れんからな。</p><p>捜させてはいるんだが…なかなか、な。</p><p>　なに、グランゴワールには、あとはたいした武人はいない。</p><p>まあ、ゆっくり休んでくれ、ベリサリウス、ドラローシュ殿。」</p><p>「そう願いたいものですな…。」</p><p>さしものベリサリウスも安心したのであろう。</p><p>滅多に見せぬ笑みの形に唇の端を吊り上げかけた時、</p><p>そのことは起こった。</p><p>「将軍っ！　大変です！！」</p><p>クリューガーの前に青ざめた部下がまろび入って膝をつく。</p><p>「何事だ！？」</p><p>一気に空気は緊迫した。</p>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/entry-10117839028.html</link>
<pubDate>Tue, 22 Jul 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>159 道 -8</title>
<description>
<![CDATA[ <p>「君は…狂っているのか、スミルナ？」</p><p>「どうして…。愛しているだけだわ、シルヴァヌス様、あなたを。</p><p>逃げないで。私から逃げないで…！」</p><p>じりじりとあとじさっていくシルヴァヌスとの間をさらに詰めようと</p><p>両腕をひらいてスミルナが歩み寄っていく。</p><p>「スミルナ…</p><p>悪いが、私は君を愛していない。</p><p>私は行かなくては。愛する姫のもとへ。」</p><p>恐怖に駆られて口走ったシルヴァヌスの言葉に、</p><p>スミルナは奇妙な表情になった。</p><p>「愛して…いない？」</p><p>「そう…だ。」</p><p>「私を置いて…どこかへ行ってしまう？」</p><p>「そうだ、私はリュブディアスへ行かなくては！」</p><p>「リュブディアス…！　あの女王のところへ…。」</p><p>鬼気迫るスミルナに、シルヴァヌスはもう蒼白だった。</p><p>「行かせはしない！　行かせはしないわっ！」</p><p>どこにそんなものを携えていたのか、</p><p>スミルナの火ぶくれした手には白い短剣が掲げられていた。</p><p>シルヴァヌスは恐怖に捕らわれながらさらにあとじさった。</p><p>「やめろ…、やめるんだ、スミルナ。」</p><p>「私を置いていくのなら…あなたを殺す！」</p><p>歴戦の将として名高いはずのシルヴァヌスが、恐怖に足を取られ、</p><p>尻餅をつくように倒れこんだ。</p><p>スミルナが振りかぶる。きらめく刃。</p><p>「やめ…ろ！」</p><p>現実のものとも思えぬままにシルヴァヌスは絶叫し、</p><p>そしてその意識は白くなり、消えていった。</p>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/entry-10117835258.html</link>
<pubDate>Mon, 21 Jul 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>159 道 -7</title>
<description>
<![CDATA[ <p>「来てくださるって…信じてたわ。ずっとずっと待っていたの。</p><p>シルヴァヌス様…会いたかった…。」</p><p>「どういうことだ？　スミルナ…なぜ君みたいな人がこんな所に？」</p><p>ボロの塊に抱きすくめられて、シルヴァヌスは仰天したまま口にした。</p><p>「この格好は…どうして？　スミルナ、いったい…？」</p><p>「私、シルヴァヌス様が助けに来て下さるのを、待っていたのよ…。」</p><p>　シルヴァヌスは心底ぞっとし、慌ててスミルナの腕をもぎ放した。</p><p>スミルナの表情を正面からとらえる。</p><p>異様な光を目に宿し、薄い笑いを口元に漂わせたスミルナは、</p><p>シルヴァヌスの血を凍らせるのに十分だった。</p><p>「スミルナ…君は…。」</p><p>「炎が見えた？</p><p>私、シルヴァヌス様にすぐ見つけていただけるように火をつけたのよ…。</p><p>たくさん、たくさん、燃やしたわ。</p><p>だからスミルナの居場所がわかったんでしょう？</p><p>嬉しいわ、やっと会えた。</p><p>もう離れないわ。放さない…。」</p><p>　もう一度抱きつこうとした手を振り払われて、</p><p>スミルナの顔から笑みが消える。</p><p>「シルヴァヌス…様？」</p><p>思わずあとじさったシルヴァヌスに、スミルナは一歩間合いを詰めた。</p><p>「何を怖がっているの？　どうして…？」</p><p>「…火をつけた？　君が？」</p><p>「そうよ、よく燃えたわ。</p><p>あなたのためよ。あなたに会いたかったから…。</p><p>シルヴァヌス様、嫌よ、そんな顔なさらないで。」</p>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/entry-10116820586.html</link>
<pubDate>Sun, 20 Jul 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>159 道 -6</title>
<description>
<![CDATA[ <p>　どうした巡り合わせであったろう。</p><p>　なぜ出会わなければならないのか。</p><br><p>　戦場を離脱し、落ち延びたはずのシルヴァヌスは、すぐにでも馬首を</p><p>リュブディアスへ、愛する女王のもとへと向けたかったところだったが、</p><p>後ろに乗せた部下のためにまずは身を隠しながらカレル市内へ戻った</p><p>ところだった。</p><p>　カレルが陥ちたとはいえ、数には限りのある遠征軍のリュブディアス軍が</p><p>全てを制圧できるわけではない。</p><p>要所要所に配されたリュブディアス兵の目を逃れながら、</p><p>部下を無事に家族のもとへ送り届け、シルヴァヌスは今度こそ</p><p>自分の望むところへ向けて出発できるはずであった。</p><p>なのに…出会ってしまった。</p><p>出会ってしまった以上、見なかったことにして立ち去るわけにもいかない…。</p><p>　最初はボロの塊かとも思ったその女が、こんなところにいるはずのない</p><p>幼馴染の姫ではないかと気付いた途端、シルヴァヌスはもう</p><p>馬を進めることが出来なくなった。</p><p>信じられない想いで馬を降りる。</p><p>「…シルヴァヌス様…。」</p><p>　乱れに乱れた髪を、彼のよく見知った薄色の髪を風になびかせて</p><p>薄汚れた顔で彼女が笑むのを目にすると、</p><p>シルヴァヌスは確信とともに、言いようのない戦慄に身を震わせた。</p><p>「シルヴァヌス様、やっと来て下さったのね…。」</p><p>「スミルナ…スミルナなのか、本当に？」</p><p>　とにかくにも馬をひいて歩み寄る。</p>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/entry-10116818188.html</link>
<pubDate>Sat, 19 Jul 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>159 道 -5</title>
<description>
<![CDATA[ 「…う…。」 <p>　全身を捕まえる痛みに呻き声をもらし、ようやくブランシュは気が付いた。</p><p>自らのごつい手がまず目に入り、</p><p>濡れた石畳に何が起こったのか記憶が戻る。</p><p>（流された…のだったな…。）</p><p>「つっ。」</p><p>片膝ついて身を起こそうとして、痛みにブランシュは顔を歪めた。</p><p>いろいろ打ち身をしているらしい。</p><p>「…くそっ！」</p><p>かすむ目を右手の甲でぐいっとこすり、ペッと唾を吐き捨てると</p><p>ブランシュはあたりを見回した。</p><p>「ここは…どこだ？」</p><p>（ともの者は…？）</p><p>　ブランシュが流れついたのは地下道の行き詰まりらしかった。</p><p>無論、周囲には誰もいない。</p><p>薄暗い中に濡れた壁と石畳とが続いているだけである。</p><p>「おのれ…。」</p><p>濡れそぼった全身にところどころ血が滲んでいるのを確認すると、</p><p>ブランシュは激しく毒づいた。</p><p>もちろんナザレア公イリアネスに対してである。</p><p>　とにかくにも立ち上がる。</p><p>（あれほどの水がなくなっている…ということは、</p><p>どこかに抜け穴があるということか…？）</p><p>　自分のいる場所が全くわからないので、ブランシュは先に続く暗闇の中、</p><p>地下道を進むべきか躊躇った。</p><p>とはいえ、進める道はそちらにしかない。</p><p>歩いてゆけば同じように流された者たちが倒れているかもしれない…。</p><p>　ブランシュは道案内が欲しかった。</p><p>（ニーブ・ボスレーを見つけねば、な。）</p><p>心を固めるとブランシュは歩き出した。</p><p>額に張り付いた前髪をかきやり、鋭い眼光で先を見据える。</p><p>まさかその通路こそが自分を運命へ導く道だとは露ほどにも気付かずに、</p><p>彼はひたすら歩き続けた。</p>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/sugaralice/entry-10115782128.html</link>
<pubDate>Fri, 18 Jul 2008 00:01:00 +0900</pubDate>
</item>
</channel>
</rss>
