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<title>紫苑の扉</title>
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<description>主にストーリーと詩を書いています。あるがままに、そのままに・・・。徒然に気ままに</description>
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<title>偶然に</title>
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<![CDATA[ <p>　久しぶりに更新してみましたが、お昼を食べるためいったん投稿を中断しました。</p><p>　お腹が減っては戦はできない、で、食べてきました。　</p><p>&nbsp;</p><p>　先週の土曜日、マイナンバーカード申請する場所を見に行ったのですが、</p><p>土曜日はお休みでした。ので、場所を確認するだけとなりました。</p><p>（なんかめんどくさい、予約しないと更新したカードがもらえないものだから）</p><p>スマフォで予約してあるので、まだ日にちはあります。普段仕事しているので、平日はお休みできない。</p><p>今は忙しいのもあるし、なんていっても人手が足りないという弱小な職場ゆえに・・・。</p><p>　平日以外で、第二第・第四日曜日だけ受け取りはできるというので、予約しています。</p><p>カード、郵送してくれたらいいんだけど、やはりそういうわけにもいかないようです。（本当にめんどくさい）</p><p>　場所を確認した後、デパートの中の本屋さんに行こうとしました。</p><p>そんな時、歌声が聞こえて、途中足を止めると、</p><p>「下でライブやってますので聞いていってください」と一人の女性がビラを差し出してきました。</p><p>　デパートの四階にいた私は、一階の方を見下ろしてみると、心地よい歌声の主の男性がいました。</p><p>　本当は素通りしていくつもりでした。でも、これも何かの廻り合わせか？と思いしばらくそこからライブを見ることにしました。</p><p>　ピアノの弾き語りなんて、なかなか出会わないものです。聞いて損はないとよね。耳を澄ませて聞き入りました。</p><p>　恋愛の歌だろうかと思いきや、メッセージ的な歌詞だったんです。</p><p>　とても暖かいメロディーと優しい歌声・・・・。</p><p>　チラシを見る限りシンガーソングライターのようです。</p><p>　学生時代に、あるテレビ局のネプチュンのハモネプコーナーに主演していたとか</p><p>　あら？アイドルに楽曲を提供もしているとか・・・。ヘエ～</p><p>　彼のことは私は知りませんでしたが、堂々と歌い上げる姿に好感が持てました。</p><p>　途中からでしたから三曲ほど聞くことができました。</p><p>　デパートの中でライブするなんて、場所を借りたりするのもお金がかかるでしょうねえ。</p><p>　人ごとながらだけど、ちょっと気になります。</p><p>　</p><p>　途中、トークがあり、私はいったん離れることにしました。</p><p>　ちょっと、(-。-)y-゜゜゜です。aha!</p><p>&nbsp;</p><p>ちょいと休憩して、四階から三階へ移動</p><p>チラシを配っている人に声を掛けられ、一階へどうぞと誘われましたが、さすがに目の前で聞くのは気恥ずかしいので</p><p>そこでふたたび観賞することにして…。</p><p>聞いている人もまばらで、椅子に座って聞いている人もいました。</p><p>そこにいると、ライブの主から「三階から聞いてくださっている方もいらっしゃいます」と言われてしまいました。</p><p>　なんとなく、自然に手を振ってしまいましたよ。思わず手拍子までしたし・・・・。</p><p>　偶然にも同じ時間同じ場所に居合わせただけの出会いでした。</p><p>　短い時間でしたが、これも何かの縁、思いほか心がほっこりしました。　</p><p>　</p><p>　ライブをしていたピアノ弾き語りシンガーソングライター</p><p>　北九州出身、主に神戸で活動している人だそうです</p><p>　その方の名前は松永啓憲さんです</p><p>アメブロもしている方なので検索すればするわかると思います。</p><p>　</p><p>　歌を聞いたというだけで、何のかかわりもないけれど、</p><p>　この偶然に、ちょっぴりいい気分</p><p>&nbsp;</p>
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<pubDate>Sun, 13 Jul 2025 14:39:41 +0900</pubDate>
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<title>新しいパソコン買いました</title>
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<![CDATA[ <p>もう何年も書いていない。</p><p>前のパソコンは、もうすぐ使えなくなるので、新しく購入することにしました。</p><p>新しく買ったのはいいけれど、セキュリティだのロングインだの手続きもままならず、わけわかんない・・・・。</p><p>とりあえずアメーバーブログへロングインしておきます。</p><p>もうすでに年金をいただく年になったものですから、新しいことをやるのもだんだん難しくなってきました。</p><p>ブログを更新するのは久しぶり、もう何年になるでしょうか？</p><p>ストーリーも停滞したままですから、開いてくれる人はいないかもしれないですけどね。</p><p>近況報告とまではいかないかもしれないけれど、</p><p>仕事もまだ続けています。私よりもまだ上の人も働いていますし、体力的にもかなりの負担がかかりますがどうにか働いています。</p><p>仕事は水産関係で、一応老舗なんですけど名前はは伏せておきます。（笑）</p><p>あれ？もうお昼です。食べてくるのでひとまず。終了です。</p>
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<link>https://ameblo.jp/sumflow3456/entry-12916195284.html</link>
<pubDate>Sun, 13 Jul 2025 12:35:51 +0900</pubDate>
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<title>生きること</title>
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<![CDATA[ <p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">ウイルスの猛威が世界中を揺るがしている</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">こんな状況だからこそ世界が一つになるべきなのに</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">貧しい人たちが苦しんでいるのに</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">表向きだけ救済だとか言いながら</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">今も助けを求めている人は救われないし</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">命が軽んじられているという事実は消えない</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">でも世界中がウイルスに振り回されて</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">今までにない脅威が人々の心を狂わせているから</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">混乱して戸惑っているのは仕方ない</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">すぐに解決できる問題でもない</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">テレビでデモが行われているニュースを見た</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">警察とデモ隊の人たちが争う姿は</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">どちらが正当であろうと争う姿は醜く映った</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">悲しいことだけど差別は無くならない</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">いま私たちに必要なのは何か</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">人を思いやることだけではなく</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">神に祈るだけでもなく</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">目の前にあるものに感謝すること</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">自分自身を大切にすること</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">それは人を大切にすることと同じ</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">自分が幸せだと思うこと</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">全てには意味があり存在価値がある</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">無関心ではいけない</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">生きる意欲を無くすこと</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">セルフネグレクト（自己放任）</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">どうか、生きることをあきらめないで</span></p><p style="text-indent:12.15pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:315.4pt;mso-char-indent-count:26.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">―　紫苑　―</span></p>
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<pubDate>Mon, 01 Jun 2020 12:51:51 +0900</pubDate>
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<title>開き直り？</title>
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<![CDATA[ <p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">何を書こうかと、悩んでしまう。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">何も浮かばないなんて…。支離滅裂でどうしようもない。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">書けなくなって戸惑ってしまう。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">とりあえず、浮かんだことを書いてみよう。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">何か月も離れていたせいか、書くことへの意欲や情熱が薄れていく。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">あれほど書くことが楽しかったころのあの気持ち</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">いったいどうしたというの？</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">音楽をかけてみても一向に進まない。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">物語の登場人物が勝手に動いて、物語の世界が広がっていく</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">そんな感覚を忘れてしまったみたいで…</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">テレビの声が煩わしく感じて思わず消してしまった。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">パソコンの画面をただ見つめているだけで</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">心はそこには無くて、ただ茫然として放心状態になってしまう。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">大好きな音楽さえも、ただリフレインしているだけ</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">無理して何かやろうとしても意味はないけれど</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">やってみなければ何も始まらない</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">自然に浮かんでくることあるかも…と期待したりして…。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">書くことは私の仕事ではない。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">書いてお金を稼ぐわけでもないから</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">あくせくして働くわけでもないのに・・・</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">何やってんだか！</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">私はもう若くないから</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">昔ほどの体力がないから</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">カメのような速度で歩けばなんとなるさ</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">あきらめのような開き直りが必要なのかもしれない</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">わ～！と、思わず叫びたくなることあるでしょう</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">でも、そんな気持ちを飲み込んでしまおう</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">そうしないと近所の人に誤解される</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">近所の人が聞いたら、この人…気でも狂った？</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">誤魔化して、思わず顔が赤くなる…のが関の山である。</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span lang="EN-US" style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">&nbsp;</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-size:12.0pt;font-family:AR丸ゴシック体M">書いてみてなんだか気持ちが楽になった</span></p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0">　　　　　　　　　　　　</p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0">　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　－紫苑ー</p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0">&nbsp;</p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0">&nbsp;</p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0">&nbsp;</p><p style="text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0">&nbsp;</p>
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<pubDate>Mon, 01 Jun 2020 12:46:27 +0900</pubDate>
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<title>彼女が空を飛んだわけ　31</title>
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<![CDATA[ <p><span lang="EN-US">&nbsp;</span></p><p><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　珍しく里中から食事に誘われた高藤。会長の決まりきったお小言を聞くより、美人と美味しい食事を楽しむ方がましだ。しかし、会長のお気に入りである彼女だから、もしかして…。</span></p><p><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「プライベートで私を食事に誘うなんて珍しいな」高藤は探るように里中を見る。</span></p><p><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「あら、何か魂胆があると思っているの？」わずかに眉を上げからかうように笑う。</span></p><p><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「会長があんな簡単に、あっさりと引き下がるのは変だと思ってね。何かと呼び出してはお小言を食らう私には、会長が何か企んでいるんじゃないかと疑ってしまうんだ」</span></p><p><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「あら、ずいぶんなこと、私が会長のスパイだと言いたいの晧さん？」</span></p><p><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「君が私を名前で呼ぶのは珍しいな…」</span></p><p><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「いいじゃない、今はプライベートな時間だもの…。幼馴染として食事に誘ったのよ。ここの所お互いに忙しくて、ゆっくり話す余裕なんてなかったし、帰国してからいろいろあったから、あなたも落ち着かなかったでしょ？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「私はこの業界では新参者に過ぎない。会長の孫だからと優遇されることに不満を持つ者もいる。海外で事業家として成功したからと言って通用するわけではない」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「会長の孫だから専務になれたと思っているの？あの会長がそんなことすると思う？身内には特に厳しい人だってことは誰もが知っているわよ。貴方の父親である社長が高藤デパートに入社した時は、地下の食品売り場に配属されたと聞いたわ。誰もあなたのお父様が会長の息子だなんて知らなかった。会長の息子だなんて微塵も見せなかった。実際のところ下積み時代が長かったと聞いているわ。どんな仕事も手を抜かない自分に厳しい人だから、上司にも信頼されていろいろな仕事を任されるようになった。思慮深くて人望があったから部下にも慕われていた。今の社長を見ているとよくわかるわ。だからこそ、誰もがその息子ならと期待していたのよ」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「そうは思えない。甘やかされたドラ息子が、親の七光りで今の立場にいられると、陰口をたたかれている。そういうものだ」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「あなたって昔からそういうふうにすねたような言い方していた。別に親の七光りでもいいじゃない？そういうのも大いに利用すべきよ。それも実力のうちよ」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph;text-indent:11.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">自ら望んだことではないが、これが最善の選択だと言えるだろう。結局は流れには逆らえないのならばこの道を進むしかない。すべては会長の思惑通りというわけか。高藤は苦々しい思いで自分自身を嘲る。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph;text-indent:11.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「爺さんには参るよ。何が何でも自分の思い通りに事を進めようとする。頭にくるが結果的にはその通りになってしまう。会長がいろいろ計略を仕掛けてくる。それをかわすのも疲れたよ」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「あなたらしくないわね。会長の思い通りにさせてたまるかって、そういう勢いだったくせに、何があなたを変えたのかしら。さんざん逃げ回ってきたくせに、なぜ戻ろうと思ったの？あちらで事業家として成功したのに…」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「戻ってくることに決めたのは会長とは関係ない。戻ってきたのは大切なものを取り戻すためだった。会長が云々というわけではないよ」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「大切なものを取り戻すって、何を取り戻そうとしたの？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「人生を取り戻そうとしたのさ、大切な人ともう一度やり直すつもりだった。だが、手遅れだった。私が高藤デパートの会長の孫だと知った彼女は、恐れをなして私を見捨てた。彼女は高藤デパートの社員だったから恐れをなしてね…」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「会長のことが恨めしくないの？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　高藤は里中を不思議そうに見つめた。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「どういう意味だい？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「え？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　里中は思わずしまったと思った。後悔したがすでに遅すぎた。高藤がどこまで知っているのか確かめるはずが、ついそれを忘れて口を滑らせてしまった。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「君のその慌てぶりは相当な秘密らしいね。会長が一体何をしたのか知りたいね…。遠藤美紗子を私の秘書にしたのも、槙野を高藤に引き込んだのも会長の差し金ということか。何か後ろめたいことでもしたのか？遠藤美紗子を秘書にすることを簡単に承諾したのも、会長の考えということかな…。そして君もそれに絡んでいる。君は何のために私が戻ってきたのか知っているんだ」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「そ、それは…」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「会長がそう簡単には許したりしない。何かあると思っていたけれど…。さあ、話してもらおうか」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span lang="EN-US">&nbsp;</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　あっという間に黒い雲が広がり空を覆いつくし、激しい雨が降り出した。本格的な梅雨の始まりだ。むっとした空気がさっと引いたかと思うと冷たい風が吹き出す。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　美紗子は窓辺に立つ高藤を見つめた。今日の彼はいつもと何かが違っていた。どことなくよそよそしい。美紗子の思い違いではなさそうだ。一時、書類を見ていたが、ページはそのままで一項も進んでいる様子はなくただ一点を見つめているだけだった。不意に立ち上がって窓辺に近づいた。それが合図のように激しい雨が降り出した。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　槙野もそれを感じ取っていた。いつものハイテンションはまるで風船がしぼんでしまったかのように、ジョークもジョークにならず不発に終わった。気まずさに二人は顔を強張らせるしかなかった。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　槙野は高藤の背中を見つめながら溜息を吐いた。彼がいったい何を考えているのか分からない。仕事に集中できないほど彼を悩ませているのはいったい何なのか…。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「書類にサインをお願いします」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　高藤はまだ窓の方を見て黙り込んでいる。槙野が声を掛けても気づきもしない。槙野はもう一度声を掛ける。それでも答えようとしない高藤に近づいて横に立つ。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「なあ、槙野…」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「なんだ？黙り込んで、私たちにしかとか？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「私は本当にバカだよ。私一人何も知らずに能天気に会長に乗せられて、踊らされていたのか？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「なんだ、いきなり」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「君もそう思っているのだろう？遠藤美紗子さん」高藤は振り向いて美紗子を見た。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「会長が幸子さんにしたことを許せと？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　美紗子も槙野も凍り付いたように体を強張らせる。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「黙っていたのは、私が傷つくからとかいう、甘ちょろい同情か？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「本当にそう思うか？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「別れさせるために手切れ金を渡した。彼女はそれを受け取った。彼女が裏切ったと思わせるために…。彼女は結婚しようとした。私とは別の男と…。そして自ら命を絶った。滅裂なことを言っているとわかっている。何が真実で何が嘘なんだかわからない。混乱している」高藤はゆっくりと美紗子の方へと歩き出す。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　美紗子の胸は張り裂けそうなほど大きな鼓動を打ち続ける。彼の激しい怒りに美紗子は体を震わせる。それでも、美紗子の口から飛び出した声は冷たかった。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「そうです、すべて本当のことです。嘘を言っても仕方がないことです。事実は事実だから、言いつくろうなんてことはしません。でも、それだけじゃありません。幸子さんは、自ら命を絶ちました。だからと言って会長のせいではないのは確かです。それにあなたへの思いは嘘じゃありません。手切れ金の入っていた通帳は、今は会長の手元にあります。それが何を意味するのか分かりますよね」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　槙野は美紗子の腕を掴んで、高藤と彼女の間に割って入る。槙野は高藤をにらんだ。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「今は、仕事中です。今やるべきことをしてもらえますか？」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「槙野、君は知っていたのか、なぜ黙っていたんだ。彼女が自殺したわけを知ったところで死んだ彼女が戻ってこない。そんなことぐらい私でもわかっている。だからと言ってここまで隠す必要はないだろう」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「そうやって誰かを責めて、自分の気が済めばいいのか？ようやく彼女の死を受け止めて前に進もうとしている君に、過去を引きずって生きてほしくはないと思うのは余計なことか？それとも、私たちの方が彼女を知っていたと、それが気に食わないわけだ」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「やめてください。彼女が亡くなったのは会長のせいなんかじゃなかった。それだけはわかってください。会長がしたことは許せないけれど、彼女の自殺は会長とは関係ありません。それに…」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　高藤は必死に怒りを抑えようとしていた。会長が無関係だという美紗子の言葉を簡単には受け入れられなかった。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「どうしてそう言える…」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「彼女は病魔に蝕まれていたからです」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　高藤の顔から血の気が失せていくのを見ながら、自分が彼に対して最も残酷な真実を告げなければならないのかと思うと胸が痛たんだ。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「槙野さんは幸子さんが亡くなった理由については最近知ったばかりで、隠していたのはこの私です」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「君はなぜ彼女が自殺した理由を知っているんだ」高藤は動揺を隠しきれない様子。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「高藤さんにお話ししていないことは他にもあります。高藤さんには本当のことは知らない方が幸せじゃないかと思ったのも確かです」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「君がこのことを知ったら、苦しむのはわかっていた」槙野の声には怒りが滲んでいた。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　高藤はこめかみに手を押さえると目を閉じた。そして力なく崩れるようにしてその場に座り込んだ。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「あなたと別れる決心をして、彼女は新しい人生を歩み始めました。そして、学生時代に付き合っていた男性と結婚することになったのです」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　槙野は高藤の姿をまともに見ることができずに、そこから逃れるように窓の方へ眼をやった。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「私のところへ電話をかけてきたのは亡くなる前日の事でした。もうすぐ結婚すると彼女は言いました。とても嬉しそうに言っていました。私はそう聞こえたんです。微塵も疑っていなかった。彼女は私に招待状を送るから、ぜひ出席してほしいと…」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　今でも、彼女の幸せそうな声が忘れられない。あれが偽りだったとは今でさえ信じられない。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「でも、結婚間近で彼女は自ら命を絶ってしまった。彼女が自殺したと聞いた時は、本当に耳を疑いました。彼女と親しくしていたのはずいぶん前の事ですから、それ以降付き合いはありませんでしたけど、自殺するような弱い人には見えなかった」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　よろよろと立ち上がる高藤を槙野は支えて立たせた。高藤は俯いたまま項垂れている。槙野はそれをしっかりと支える。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「畜生…」高藤は歯を食いしばりながら罵る。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「お前の気持ちはよくわかる。だが、お前以上に彼女の自殺にショックを受けているのは遠藤なんだぞ。彼女が河内幸子の自殺にこだわるのには理由がある」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「どういうことなんだ」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「聞いていなかったのか？自殺する前日に幸子さんから電話がかかってきたと…」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「聞こえたよ。幸子が自殺するつもりだなんて微塵も感じさせなかったと」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「その電話がかかってこなかったら、同期として葬儀に出席して冥福を祈るだけで済むだろう。それだけでは終わるはずだった…」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　美紗子はどこから話をしていいのかわからなかったが、槙野がそのきっかけを作ってくれたおかげで、少し気持ちが落ち着いた。しかし、まだ高藤にどこまで話すべきか整理がつかなかった。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「少し、外の空気を吸ってきてもよろしいですか？専務も少し落ち着く時間が必要ではないかと思うのですが…」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">「その方がいいだろう。私もまだ聞かされていないこともあるようだ。そうだね・・・」</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　美紗子はうなずいた。確かにすべてを槙野に伝えたわけではなかった。それに、槙野にもまだ自分の知らない事実を隠している気がしていた。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　美紗子はドアの前へ行くと一度振り返ってみた。高藤は机の上の書類に目を通し始めていた。槙野は何か考え事をしているのかのようで窓の方を見つめている。激しく振っていた雨もやんでいたが、空には幾つもの灰色の雲が筋を引くように伸びていた。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　高藤はいつこのことを知ったのだろう。昨日は会長と会食の予定だったはずだが、このことを会長が話すとは思えない。自ら罪を認めるような人ではないし、この話を知っている人は数えるほどしかいないはずだ。その中の一人に倉田がいるが、その可能性は</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">まず考えられない。そうなると考えられるのはただ一人、美紗子は溜息を吐いた。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph;text-indent:11.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">美紗子は時々一人で考えたい時に行く場所がある。資料室のそばにあるベンチに座ってコーヒーを飲むのだ。ベンチの横には自動販売機があってそこでコーヒーを買う。ここへ来る人はほとんどいない。だからちょうどいい指定席というわけだ。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph;text-indent:11.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">もうあれこれと悩んでいる場合ではなさそうだ。だからと言ってすべてを話すというわけにもいかない。言葉は慎重に選ばなければ、誤解を招くようなうっかりしたことは言えないし、場合によっては知らない方が、相手にとっても自分にとってもいいこともあると思った。そして、美紗子は自分がやるべきことがまだあることに気づいた。まだ幸子の手紙を読んでいない。彼女からの最後のメッセージを読まなければならない。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph;text-indent:11.0pt;mso-char-indent-count:1.0"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">彼女が妹に託した私に宛てたあの手紙を読めば、私と高藤が納得できる答えが見つかるのではないかしら…。まだ時期ではないと引き延ばしにしていたけれど、それでは何の解決にもならないし、私も前には進めない気がする。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span style="font-family:&quot;ＭＳ 明朝&quot;,serif;mso-ascii-font-family:Century;mso-ascii-theme-font:minor-latin;mso-fareast-theme-font:minor-fareast;mso-hansi-font-family:Century;mso-hansi-theme-font:minor-latin">　美紗子はコーヒーを飲んでゆっくり考えるつもりが、コーヒーを買うのも忘れたことに気が付いた。ふっと笑って、溜息を吐きゆっくりと立ち上がった。</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span lang="EN-US">&nbsp;</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span lang="EN-US">&nbsp;</span></p><p style="background-color: inherit; color: rgb(68, 68, 68); font-family: &amp;quot;ヒラギノ角ゴ pro w3&amp;quot;,&amp;quot;hiragino kaku gothic pro&amp;quot;,&amp;quot;ｍｓ ｐゴシック&amp;quot;,&amp;quot;ms pgothic&amp;quot;,sans-serif,メイリオ,meiryo; font-size: 16px; font-style: normal; font-variant: normal; font-weight: 400; letter-spacing: normal; margin-bottom: 0px; margin-left: 0px; margin-right: 0px; margin-top: 0px; orphans: 2; padding-bottom: 0px; padding-left: 0px; padding-right: 0px; padding-top: 0px; text-align: left; text-decoration: none; text-indent: 0px; text-transform: none; -webkit-text-stroke-width: 0px; white-space: normal; word-spacing: 0px;">&nbsp;</p><div class="wiki" style="background-color: inherit; color: rgb(68, 68, 68); font-family: &amp;quot;ヒラギノ角ゴ pro w3&amp;quot;,&amp;quot;hiragino kaku gothic pro&amp;quot;,&amp;quot;ｍｓ ｐゴシック&amp;quot;,&amp;quot;ms pgothic&amp;quot;,sans-serif,メイリオ,meiryo; font-size: 16px; font-style: normal; font-variant: normal; font-weight: 400; letter-spacing: normal; orphans: 2; text-align: left; text-decoration: none; text-indent: 0px; text-transform: none; -webkit-text-stroke-width: 0px; white-space: normal; word-spacing: 0px;"><a href="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" style="background-color: inherit; color: rgb(0, 102, 204);" target="_blank"><img alt="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" border="0" src="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" style="background-color: inherit; border-bottom-color: currentColor; border-bottom-style: none; border-bottom-width: medium; border-image-outset: 0; border-image-repeat: stretch; border-image-slice: 100%; border-image-source: none; border-image-width: 1; border-left-color: currentColor; border-left-style: none; border-left-width: medium; border-right-color: currentColor; border-right-style: none; border-right-width: medium; border-top-color: currentColor; border-top-style: none; border-top-width: medium; cursor: default; max-width: 99%;"></a><br style="background-color: inherit;"><a href="https://novel.blogmura.com/" style="background-color: inherit; color: rgb(0, 102, 204);" target="_blank">にほんブログ村 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gothic pro&amp;quot;,&amp;quot;ｍｓ ｐゴシック&amp;quot;,&amp;quot;ms pgothic&amp;quot;,sans-serif,メイリオ,meiryo; font-size: 16px; font-style: normal; font-variant: normal; font-weight: 400; letter-spacing: normal; margin-bottom: 0px; margin-left: 0px; margin-right: 0px; margin-top: 0px; orphans: 2; padding-bottom: 0px; padding-left: 0px; padding-right: 0px; padding-top: 0px; text-align: left; text-decoration: none; text-indent: 0px; text-transform: none; -webkit-text-stroke-width: 0px; white-space: normal; word-spacing: 0px;"><a href="https://novel.blogmura.com/novel_long/" style="background-color: inherit; color: rgb(0, 102, 204);" target="_blank">長編小説ブログランキング</a></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph"><span lang="EN-US">&nbsp;</span></p><p style="text-align:justify;text-justify:inter-ideograph">&nbsp;</p>
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<pubDate>Tue, 11 Feb 2020 18:50:31 +0900</pubDate>
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<title>いつかまた・・・。</title>
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<![CDATA[ 陽だまりの中でそっとつぶやく<br><br>もう二度と会えないかもしれない<br><br>でも、<br><br>思い出があるから大丈夫<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>中途半端なままでごめんなさい。<br><br>続きは新しいブログで<br><br><br><br>紫苑の扉を静かに閉めることにします。
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<pubDate>Sun, 07 Jul 2019 16:24:09 +0900</pubDate>
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<title>彼女が空を飛んだわけ　30</title>
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<![CDATA[ <p>　美紗子は横を向いたまま、じっと座っている。槙野は彼女が落ち着くのを待っている。槙野は辛抱強い方だが、なぜか美紗子のことになると焦りを感じてしまう。仕事では全く普段と変わらないように見えるが、最近はずっと自分を避けているような気がしていた。高藤と話している間も、彼女のことが気にかかって集中できなかった。高藤に自分の話をちゃんと聞いているのかと言われる始末だ。<br>「怒ったり泣いたり、今度は私を無視している。人間不信になったのは、私のせいなのか？君が困ったことがあったら、助けたいと思っているというのに…。私を信じられないとは、とんだお笑い草だな…」横を見たまま黙り込んでいる美紗子を見て溜息を吐く。「余計なお世話か…。時間の無駄だな、引き留めて悪かった。久しぶりにデートができたと勘違いするとは…。いや、デートではないな、嫌がる相手と食事するのはデートとは言わないからな…」<br>　槙野は車から降り、彼女のためにドアを開けた。美紗子は前に立っている槙野を見上げて目を細めた。美紗子の視線を避けるように、槙野は横を向いて彼女が車から出るのを待っている。美紗子は何か言わなければと焦った。その拍子につい言ってしまった。<br>「あの…。コーヒーでもどうですか？」<br>「こーひー？」槙野は意味もなくつぶやくように言った。突拍子もない美紗子の言葉に驚き困惑する。どう受け止めたらいいのか…。<br>「駄目ですか？」<br>「自…自販機で買って来よう」<br>　槙野はドアを閉めようとするが…。<br>　美紗子はそれを遮るように、槙野の腕に手を伸ばす。<br>「いえ、そうじゃなくて。私の部屋で飲みませんか？」<br>　槙野は混乱したままで、思考はストップし、崩壊寸前だった。だが、どうにか答える。<br>「いや、やめておこう。今日はもう遅いし…」<br>　美紗子は顔を赤らめ、それを隠すために両手で口を覆った。これでは槙野に、男を簡単に部屋へ連れ込む、軽い女だと思われてしまう。<br>「そうですよね。もう遅いですし…」美紗子は慌てて車から出た。しどろもどろになりながらわけもなく早口に言う。「今日は…どうも・・・ご、ごちそうさまです…。それに、あの…」<br>「美紗子さん落ち着いて…」槙野は美紗子の両肩に手を置く。<br>「私、今日はどうかしているんです。ごめんなさい」<br>美紗子は怯えたように槙野を見上げた。槙野はいつになく落ち着きをなくした美紗子が、自分が発した言葉に戸惑い焦っている様子、その表情や仕草がとても愛おしく思えて仕方なかった。<br>「おかしいのは君じゃなくて、この私だよ。驚かせて悪かった。すまないが許してほしい」<br>変なのはわかっているが、この気持ちだけはどうしようもない。ただ、彼女を抱きしめたいだけだ。槙野は美紗子を引き寄せて抱きしめた。<br>「槙野…さん？」美紗子は槙野に抱きしめられて呆然とする。<br>「君といるとおかしくなる。どうしたらいいのかわからなくなるんだ。でも、はっきりしていることがある。僕は君が好きなんだ、どうしようもなくね」<br>　これって、もしかして告白…？<br>　この人がこの私を好きだって言っているの？<br>　聞き間違い？それとも本気？<br>　美紗子は両腕の力が抜け、そのまま槙野に寄り掛かった。美紗子は二人の胸の鼓動が、激しく波打つのをはっきりと感じ取っていた。<br><br>　次の朝、いつもより一時間も早く目が覚めた。<br>&nbsp;早く目が覚めても、前日の出来事はまるで現実ではなく、夢を見ていたにすぎないと思えてくる。ぼんやりして顔を洗うのも、歯を磨くのも時間がかかってしまった。髪を梳く手を止めては、我に返って髪を梳く。そんな状態ではやたらと時間がかかってしまう。<br>「あ！もうこんな時間。もう行かなきゃ…」美紗子は慌てて部屋を飛び出す。<br>&nbsp;確かに、告白された。槙野に抱きしめられたこともはっきり覚えているのに…。でも、それ以上のことは何もされていない。あの後、彼はあっさりと抱擁を解いてしまった。<br>そして、また明日と言ってさっさと車に乗り込み、私を置き去りにして行ってしまった。自分が言いたいことだけ言って、さっさと帰るなんて酷くない？<br>　昨夜のことは忘れて仕事しなくては…。だけど、槙野とどう接すればいいのかしら…。美紗子は息を吸い込んでドアを開けた。本当に嫌だわ…。<br>「おはようございます」<br>「おはよう…」<br>　槙野はすでに仕事を始めていた。パソコンを覗き込んで熱心に仕事をしている。昨夜の事などなかったかのように、ただいつものように淡々と働いている。<br>「おはよう、お二人さん」<br>　高藤もいつもと変わらない様子で入ってくると、すぐさま槙野の方へ向かった。美紗子は高藤を目で追った。槙野は相変わらずパソコンと向き合っている。あれこれと気をもんでいるのは私だけだ。<br>「そうそう、今日の接待は君たち二人で頼むよ。先方は営業部の部長は抜きになるから、まあ、商談はすでに成立しているし気楽にやってくれよ。お二人さん、後のことは頼むよ。私は会長に呼ばれて会食に出るから…」<br>　高藤は暢気にそう言うと、書類に目を通し始めた。槙野は高藤の方に目を走らせたが、すぐさまパソコンの画面に視線を戻した。美紗子は立ち上がると、二人の為にコーヒーを用意する。<br>　高藤は美味しそうにコーヒーを飲んで満足げだ。槙野はコーヒーを口にすることなく仕事を続けている。美紗子に対しては心ここにあらずで、コーヒーを差し出した時も、美紗子など眼中にないかのように目を合わせなかった。いつもならありがとうと言って笑みを浮かべるのに、今日は何の反応も見せない。<br>　美紗子は資料室へ向かった。もう溜息しか出ない。槙野の沈黙が美紗子のイライラを募らせる。資料室の前に来ると、ジュース販売機でコーヒーを買い、すぐそばの椅子に座った。コーヒーを掌で包むと再び溜息が出る。コーヒーを飲んでいると資料室から里中が出てきた。<br>「あら、遠藤さんじゃない。こんなところで何しているの？」<br>　里中は女性秘書の中で最も優秀で、一番の美人と有名だ。美紗子は彼女の横にいると、いつも自分が貧弱で、彼女の引き立て役のような気分になる。<br>「ちょっと、息抜きです」<br>「あら、珍しいわね。でも、わかるわ。我儘な上司を相手にしていると、確かに疲れるわね」里中は美紗子の横に座った。<br>「私は秘書には向いてないとつくづく思うの…」<br>「ずいぶんと弱気になっているわね」<br>「また以前の部署に戻ることはできないのかしら…」<br>「本気で言っているの？そりゃ、秘書って世間が思っている以上に大変な仕事だけど、その分やりがいもあるでしょう」<br>「それはあなたのような優秀な秘書だから言えることでしょう。私は接客の仕事をしている時の方がやりがいを感じてたわ…」<br>「槙野さんと何かあったの？」里中は探るような眼差しを向けた。<br>「どうしてそう思うのですか？」<br>「専務は自分の気持ちを隠すような人ではないし、あなたを本気で傷つけるようなことはしないと思うわ。特に心を許した相手には、真正面から向き合うような人よ。真っ直ぐで…」<br>　里中は気づいていないかもしれないが、高藤のことを話す時はとてもやさしい眼差しになるのだ。<br>「でもねえ。ただ一人の人を思い続けるような一途な人なのよ」<br>「思い続けるのは勝手だけど、そろそろ別の恋をしてもいい頃じゃないですか？」<br>「大丈夫よ。女の方がほっとかないでしょう。見かけも悪くないし…。それに、あの会長がこのまま黙って見ていると思う？自分が気に入った女性を押し付けようと躍起になっているみたいだし…」里中は溜息を吐いて立ち上がる。<br>「そうでしょうね」あの会長ならやりかねない。悪い人ではないのだけれど…。<br>　里中は同意するように頷いた。そして、思い出したかのように、美紗子を軽く睨んで言った。<br>「ねえ、あなたにはぐらかされたような気がするけど…」里中は軽く肩を竦める。「まあいいわ。それじゃあお先に…」里中は美紗子に手を振った。その表情は華やかなでぱっと花が咲くようだ。<br>　美紗子は里中の後姿を眩しげに見つめた。女である私でさえ、彼女ほどの美人が前から歩いてきたら、羨望の眼差しを向けることだろう。<br>　<br>　商談はすでに成立しており、細かなことを打ち合わせが行われ無事終了した。その直後、取引先の男子社員の一人から声を掛けられた。その男性は、美紗子の中学時代の同級生であることが分かった。特に親しかったわけではないが、彼は同じクラスの女子生徒から人気があった。懐かしさもあって、十分ほど話をする。彼からいつか同窓会をしようと名刺を渡された　同級生と話をしている間、槙野も取引先の社員と話をしていた。美紗子は話が終わるまで槙野を待っていた。槙野は仕事に徹しており、商談が始まる前にも後にも美紗子にほとんど声を掛けなかった。必要以上のことは一切話さないのはいつもこのことだが、今日はいつにも増して無口だった。そんな槙野の態度に美紗子は困惑するばかりだった。<br>　槙野は美紗子に近づくと軽く頷いた。そして、駐車場まで来ると、助手席のドアを開けた。美紗子は少しためらってから車に乗り込んだ。槙野はドアを閉めると運転席に乗り込んだ。<br>　「無事に打ち合わせも終わったようだな、相手の男子社員と話をしていたようだけど、君の知り合いだったのか？」<br>「ええ、中学時代の同級生でした。初めは気が付きませんでしたけど、打ち合わせが終わった時に話しかけられて…」<br>「そういうこともあるんだな…」<br>　美紗子は急に話しかけられて驚いてしまった。いつもと変わらない槙野の口調に美紗子は戸惑った。<br>「社に戻って報告書を書くことにしよう。君は明日の予定を確認して、その準備をしておいてくれ…」<br>「はい、わかりました」<br>「今日、仕事が終わったら何か予定があるかい？」<br>「え？…。別にありませんけど…」<br>「それなら、食事でも…。良かったら…だけど」<br>　美紗子は思わず槙野を見返す。槙野は真っ直ぐに前を見ている。その横顔はどこか緊張しているように見えた。<br>「もしかしたら、また倉田さんが待ち伏せしているかもしれないし…」<br>「冗談はやめてください」<br>「冗談？」槙野は思わず大きな声を上げた。<br>「私、倉田さんのような既婚者と付き合う気はありません。あんな人と食事するなんてとんでもないわ・・・」美紗子の声は震えていた。<br>「美紗子さん？何を考えている。ん？」<br>　美紗子は口元を抑えて笑いをこらえていたが、思わず噴き出して笑い出した。ずっと不機嫌だった槙野が、急にあらたまって自分を食事に誘った。急に態度を変え不安そうに自分を見る槙野を見て、ついからかってみたくなったのだ。<br>「笑いすぎだ。私をからかったんだな…」<br>「ごめんなさい。朝から槙野さんの態度が変だったから、私は不安だったんです。昨日の事だって…」<br>「悪かったと思っている。あの時の言葉は嘘ではないが、焦りすぎて君を驚かせてしまった」<br>「ええ、とても驚きました。でもうれしかった。槙野さんのような人に好きだって言われて悪い気はしませんから…」<br>「ありがとう。今日も食事に付き合ってくれるかい？」<br>「ええ、喜んで…」</p>
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<pubDate>Sun, 18 Nov 2018 16:46:05 +0900</pubDate>
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<title>彼女が空を飛んだわけ　29</title>
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<![CDATA[ <div class="wiki">　この状況をうまく切り抜けるには槙野に頼るしかない。美紗子は思い切って顔を槙野に向けてぎこちない笑みを送った。<br>「槙野さん、いつもいいところに来てくれるのね。専務と熱心に話し込んでいたので、声を掛けずに出てきたのよ」<br>「待っていればよかったじゃないか。食事に行く約束を忘れていたわけではないだろうな」槙野は不満そうな表情を浮かべて美紗子を見た。<br>「え？」美紗子は思いもよらない言葉に驚いて槙野を見返した。<br>「え？じゃないだろう。また上の空で聞いていたのか？しょうがないな…」<br>「ごめんなさい」<br>　倉田は二人の会話を聞きながら、険悪な視線を槙野に向けて投げかける。<br>「槙野、邪魔しないでくれないか。彼女は私と話をしているところだ」<br>「悪い、倉田さん。今日は彼女と食事をする約束をしている」槙野は美紗子を引き寄せると、勝ち誇ったように倉田を見返す。<br>「倉田さん、せっかく誘ってくださったのに…。すみませんが失礼します」<br>美紗子は槙野と腕を組んで歩きだすと、間の抜けたような表情の倉田の横をすり抜ける。美紗子はただ少しでも早く倉田から離れたかった。<br>「一体どういうことだ。倉田さんが君を食事に誘うとはね」槙野は歩きながら怒ったように言った。<br>「まあ、ひどい言い方だわ」<br>「何がひどいって？」<br>「私が男の人と食事をするのが、そんなに不思議？とても失礼だと思いませんか？」<br>「何を言っている。倉田さんは君が高藤の秘書に選ばれて面白く思っていない。そんな男が君を食事に誘うのには、何か魂胆があるに違いない。君はそう思わなかったのかい？」<br>　美紗子は顔を赤らめながら槙野の腕を振り払った。<br>「そのくらいわかります。槙野さんが来なくても私はちゃんと倉田さんをうまくあしらうことはできました。余計なお世話だわ」<br>「そうは思えない。あの男を見くびるとひどい目にあうぞ。君は知らないかもしれないが…」<br>「それは、それはどうも、助けていただいて感謝します。さようなら・・・」<br>「その態度は何だ。とても感謝しているという態度には見えない。人が心配して…」<br>　美紗子はむっとしながら槙野から顔をそむけた。腹を立てながらも、自分が槙野に対して何かを期待している自分が許せなかった。<br>「心配していただかなくても結構です。私もバカではありません。私一人でもちゃんと対処できます」<br>「私は別に君を馬鹿になどしていない。君は確かにしっかりした女性だが、感情的になりすぎて突っ走る傾向がある。それを心配しているだけだ」<br>　自分は何をそんなに腹を立てているのかと、美紗子は自分でもわからなくなっている。いや、気付かないふりをして自分の感情を槙野に知られたくなかっただけだ。<br>「ごめんなさい。でも心配しないでください。倉田さんと食事するつもりはありませんでした。今日はなんだかとても疲れて…」<br>「大丈夫かい？車で送るよ」槙野は美紗子の腕をつかんだ。<br>「いえ、大丈夫です。バスはすぐに来るから…」<br>「黙って、君はすぐに反抗的になる。人の親切は素直に聞くものだよ」<br></div><br><div class="wiki">「ごちそうさまでした」<br>「どういたしまして」<br>　結局のところ槙野に押し切られる形で一緒に食事をすることになった。槙野と二人だけで食事をするのは久しぶりだ。<br>「一人で食事するよりいいだろう。それに君とゆっくり食事をするのは久しぶりだ。何度か君に食事に誘おうと思っていたが、いつもタイミングが悪くて、その機会を逃してしまったから…」槙野は苦笑いを浮かべた。「今日は倉田さんのおかげで君と食事して話ができて良かったよ」<br>　確かに槙野が何度かそういう素振りを見せていたが、美紗子はわざと気付かぬふりをして避けていた。高藤の秘書として一緒に働き、ただ同僚として同じ時を過ごしているだけで、それ以上の関係になることはできないと思っていた。<br>　河内幸子のことがなければ、二人は出会うことはなかったし、高藤の秘書になることもなかった。いたずらか偶然かわからないが美紗子は槙野に出会った。そして、知らず知らずのうちに槙野に惹かれ始めていた。叶うことはないとわかっていながら…。<br>「何か私に話したいことがあるんじゃないのかい？」<br>　美紗子は察しのいい槙野のことだから気付くだろうと思っていた。もう少し時間が欲しかった。槙野と一緒に過ごす時間を引き延ばすことができたなら…。どんなに良かっただろうか…。<br>「あなたは知りたかったのよね。河内幸子がなぜ高藤のもとを去ったのか、なぜ彼女は自殺したのか…」<br>「君はその答えを知っているんだね」槙野は目を細めて鋭い視線を投げかける。<br>　美紗子はゆっくりと頷いた。なぜなんだろう、こんなに胸が痛むのか…。もうすぐ私の役目は終わるのだ。<br>「そうか、君は知ってしまったんだね。河内幸子が自殺した本当のわけを…」<br>「それはどういう意味？彼女が自殺した本当のわけって…」<br>「彼女は自分の心が壊れていくのを恐れ、人としての感情さえも失くしてしまう。そうなる前に彼女は自ら命を絶った…」<br>「あなたはそれを知っていたの？なぜ？」<br>「君が河内幸子のことを調べていたのは知っている。私に何も言わず…」<br>「わかっていて、ずっと…」<br>「そうだよ。君と同じように色々調べていた」<br>「そんな…」<br>「なぜ、私に黙って調べていたんだ。なぜ私に手を貸してほしいと言わなかった」<br>　美紗子は呆然とした。槙野は自分よりも先にその事実を知っていたのだ。美紗子は顔を覆った。<br>「すべては高藤のためなんだろう？そこまで彼を思っていたんだね」<br>　美紗子はゆっくりと顔を上げた。湧き上がってくる激しい感情は何だろうか、怒りかそれとも…。<br>「君は優しい人だから、彼がそれを知ってさらに苦しむと思っていた。だから…」<br>「褒めていただいてうれしいわ…。確かに高藤さんの為に調べていたわ。でも、それだけではないわ。私が知りたかったのは、彼女がなぜ私に謎めいたメッセージを残したのか、その疑問を解くために色々調べてきた。それなのに、知りたくもないことまで色々わかって、人間不信にもなった。あなたは高藤さんの為に私に近づき私を試したのね。あなたの言う通り、私は本当にバカだったわ。あなたを信じたなんて…」<br>「美紗子さん、君…」<br>「あなたがどこまで知っているのかはわからないけど、私はこれ以上話すことは何もないわ」<br>美紗子はシートベルトを外し、ドアを開けようとする。槙野は美紗子の腕を掴んで引き留めようと手を伸ばし、かろうじて美紗子の腕を捉える。<br>「君は何か誤解しているみたいだが、少し落ち着いてくれないか？」<br>「その手を放してくださらない？言ったでしょう。私はあなたに話すことは何もないって…」美紗子は槙野の手を振り払おうとする。<br>「君になくても、私にはある」槙野は美紗子の腕を掴んで放さない。「君はなんでそんなに怒っているんだ。最後まで私の話を…。なんで泣くんだ」<br>「泣いてなんか…」美紗子は左手で涙を拭う。<br>「泣くことはないだろう。困ったな…。君を泣かせるほど、私は酷い男なのか？」<br>「手を放して…」<br>「君が泣くのをやめるなら・・・」<br></div><br><br><br><br><br><div class="wiki"><a href="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" target="_blank"><img src="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" alt="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" border="0"></a><br><a href="https://novel.blogmura.com/" target="_blank">にほんブログ村 小説ブログへ(文字をクリック)</a><br>にほんブログ村　ランキングに参加しています。<br>小説ブログ・長編小説ブログ<br>もしよければクリックをお願いいたします。<br></div><br><div class="wiki"><a href="https://novel.blogmura.com/novel_long/" target="_blank">長編小説ブログランキング</a><br></div>
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<pubDate>Sat, 10 Nov 2018 23:21:58 +0900</pubDate>
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<title>彼女が空を飛んだわけ　２８</title>
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<![CDATA[ <div class="wiki">　やわらかい日差しが降り注いでいた。風もほとんどなく、公園のベンチにでもじっと座っていたい気分だ。五月も終わりに近づこうとしているのに、煩わしい汗に滲むような暑さは感じられない。さわやかな風がそれを忘れさせてしまう。<br>　河内幸子の自殺から始まって、自分の周りで様々な出来事、自分が望んだわけではない変化が、美紗子の生活を振り回していく。同期入社であるという理由だけで、私をこんなことに巻き込んだ彼女が恨めしく思う。<br>　幸子は自分の命が長くないという理由だけでなく、自分自身が壊れていくことを恐れて自らの命を絶った。幸子の妹から事実を聞かされたことで、彼女の自殺の動機が分かったことで一つの疑問が解けた。<br>　しかし、パソコンをわざわざ送り付けてきたり、謎めいたメッセージや、黒いバックを持っていてほしいと頼んだりしたのだろう。そのうえ最後の止めとばかりに私へ宛てた手紙を妹に託したのか・・・。自分が死んだ後に起きる出来事さえも予期していたとはどうしても思えない。美紗子の頭の中で様々な疑問が渦巻いていた。<br></div><br><div class="wiki">　もうすぐ梅雨がやってくる。そのせいだけではない。心が晴れないのは…。<br>　仕事にも慣れた気がしているのに、日々忙しくしていても、少しも気が晴れない。なぜなら、いまだに幸子からの手紙をバックに入れたままにしているからだ。黒いバックの時のように美紗子はためらってしまうのだ。このまま今の仕事を続けて、幸子が同期入社だったこと以外、自分の人生にかかわりのない存在であったと、ずるいことを考えてしまう。そうすれば高藤の心を乱すこともないではないかとも…。<br></div><br><div class="wiki">　会議室では重々しい空気が漂っていた。美紗子は一番後ろからそれを見守る。役員たちの表情は硬く険しい。このような場所に居合わせることになるとは思いもよらなかった。<br>　高藤デパートの支店は一桁を超えているが、建物が古くなり改装を繰り返す支店も増えているが、最も問題なのが本店による建物の老朽化であった。そこで、改装か移転かのどちらかを選択することで、それを打破しようとするある案が持ち上がった。それを提案したのは専務である高藤であった。<br>「倒産の噂が流れたことは遺憾なことではありますが、考え方を変えれば起死回生のチャンスと捉えた方が得策と思われます」<br>「しかし、移転となるとそれなりのリスクを抱えることになるのでは？」<br>「仮に移転するとなると、どこか候補があるのか？」<br>「移転という方向に向かっているようですが、本社を壊して新しく立て直すという提案は？」<br>　会議は長引きそうであるが、今回はおそらく結論は出ないだろうと、高藤会長を見つめながら美紗子は考えた。厳しい表情を浮かべるのはいつものことだが、いつになく疲れを滲ませている。高藤デパートをここまでにした会長である、これまでも何度となく危機を乗り超えてきた人でもある。しかしながら噂とはいえ、最悪な倒産という言葉など会長には信じられないことだろう。こうなった経緯はもはや問題ではなく、この現状を打破する方法を模索するのが先だ。<br></div><br><div class="wiki">　河内京子が美紗子を訪ねてきた日、高藤と槙野が顔を突き合わせて話していた。戻ってきた時、二人は何事もなかったような顔で、美紗子が遅れてきたことに対しても何も言わなかった。だが、その時にはすでに問題が持ち上がっていたのだ。<br>　ある大手メーカーの店舗が引き上げるという情報が高藤たちの耳に入ってきた。それが現実味を帯び始め、さらに別のメーカーもその動きがみられた。事の発端は高藤デパートが倒産するという噂だった。その噂を聞きつけた大手メーカーが引き上げる検討を始めた。<br>　昨今、デパート業界にもとどまらず、どの業界も競争が激しく、事業縮小や合併吸収という現実を抱えている。消費者のニーズも多様化し流行も移ろい易く冷めやすい、その流れに遅れまいと必死なのだ。<br></div><br><div class="wiki">　美紗子は驚くことを聞かされた。秘書の一人である倉田が、支店に移動させられるというものであった。まだ、そのことは一部のものしか知らされておらず、本人にもまだ辞令を受けていないらしい。それを話してくれたのは、最も口が堅いと言われている社長秘書だった。おそらくそれは事実に違いない。<br>「彼は首になるべきなのよ。本当のことを言えば、移動で済ませるなんて上もどうかしているわ…」<br>「里中さんがそんなに興奮するなんて驚きです。でも、私は彼がどんなことをして移動させられるのか知りませんし…」<br>「何を言っているのよ。彼が首同然になったのはあなたのせいなのに…」<br>「私が元凶ですか？」美紗子はわざと驚いて見せた。<br>「会長まで味方につけてよく言うわね。でも、ずいぶんと長い間騙されてきたなんて信じられる？あの男に、この私がよ」<br>「初めから人を騙すことに罪悪感を抱かない人間ないと思いますけど、どこかで歯車が狂ってしまったのかもしれませんね。それに河内幸子さんのことがなければ、私もあの人をただいい人だと信じていたかもしれません」<br>「あなた、それで私を慰めているつもりなの？」<br>「そんな恐れ多いこと、私にはできませんよ。それにしても、自分が左遷されるとは夢にも思っていないでしょうね」<br>「愚かな男よね。でも、秘密裏に調べていたとはいえ、実力があっても槙野さんとあなたに専務秘書付きを取られて。おかしいと思っているでしょう。専務秘書には自分がなると確信していたみたいだから・・・。すでにぼろが出ているのに、本人は全く気づいていない。まあ、今はそれどころじゃないけど」<br>「それにしても、高藤デパートが倒産するなんていう情報を、誰が何処から仕入れたのかしら…」<br>「それなのよね。でも、三年前に本社を移転するという噂が立ったことがあったわ」<br>「そうなんですか？」<br>「これは秘書の間での噂にとどまったみたいだから…。実際には会議でも何度かそんな話が持ち上がっていたわね。でも、会長が許さなかったから、それで立ち消えしたと思うけど」<br>「今回は噂では終われませんね。今回はいくら会長でも反対はできないでしょうし…」<br>「それが最上の打開策になるわね」<br></div><br><div class="wiki">　里中は会長の命令である男について調べていた。その男は男性社員の中で最も人気があり、仕事も良くできるうえルックスについても定評がある秘書の倉田という男だった。　　<br>資産家の女性と結婚をして、公私ともに順風満帆な人生を歩いているかのように思われていた。実際には女にはだらしなく何人もの女性と関係を持ち、お金を騙し取っていたのだ。どんな女性も頭が良くてハンサムなその男に簡単に騙されてしまう。しかし、ある女性だけはその男の正体を見抜いていた。その女性こそが河内幸子だった。<br>河内幸子は特別美人というわけではなかったが、彼女が意識していなくても男を引き寄せる魅力が備わっていた。入社当時も何人もの男性から声をかけられ、その為に同期入社の女性たちには反感をかっていた。別に彼女から誘惑したわけではないのに、妬みからか女性たちから誤解されてしまう。どんな男性であっても誘いには乗らなかった。それは同性からの妬みをかわないようにするための手段だった。<br>　しかし、男たち中で誰が彼女を誘うことに成功するかという賭けを始めた。誰が彼女を落とせるかという興味本位な男たちがいるために、彼女はますます女性たちの反感を買うことに…。中には振られたことへの腹いせに嫌がらせをする者も少なくなかった。彼女はそのことで誰に対しても、よそよそしい態度をとるようになってしまった。<br>　本来の彼女はとても温和な性格だった。美紗子が知る彼女は静かな雰囲気で、いつも微笑みを浮かべて嫌な顔を一つも見せずに話を聞くような女性だった。屈託のない笑い方で、人を穏やかな気持ちにしてしまう力がある女性でもあった。<br>　入社当時は美紗子と彼女は研修で同じ班で、気も合う仲間の一人だった。研修が終わって部署が別々になってしまったが、同じ売り場で仕事をしていたなら、もしかしたら彼女とはもっと親しくできたのではないだろうか…。<br>　美紗子が考えるように、幸子も同じことを思っていたのかもしれない。同期というだけでなく友人として、友情を分かち合えることができたのではないかと…。彼女がそれを望んでいたと思えば、謎めいたメッセージを送ってきた理由も納得できる気がする美紗子だった。<br></div><br><div class="wiki">高藤会長はいつ高藤と幸子の関係を知ったのだろうか…。<br>高藤は小さい頃から恵まれた環境の中で何不自由なく育った。すでに高藤デパートはその業界で名を知られていた。高藤会長は社長を息子に引き継ぎ、会長職に就いた後も強い影響力を持っていた。そして、同時に孫に期待をかけるようになった。周囲もまた、孫である高藤がいずれ高藤デパートを引き継ぐのは当然と思っていた。<br>だが、高藤は家業を継ぐ気はなかったようでアメリカへ留学をする。大学卒業するとそのままアメリカの企業に就職、そののち独立して会社を立ち上げた。<br>高藤は仕事だけに没頭し、寝る間も惜しんで必死で働いた。そして、会社が軌道に乗ったころに高藤は運命的な出会いをする。それが河内幸子だった。<br>　しかし、高藤は自分が勤める会社の社長の息子であることを幸子は知る。お互いに惹かれあいながらも、幸子はやがて高藤と距離を置くようになる。そして、別れを告げて高藤の前から姿を消した。<br>高藤は幸子との関係を修復するために帰国を決意した。だが、高藤の願いはついに叶えられることはなく、彼女はすでにこの世を去っていた。高藤は幸子が自分の前から姿を消した理由も理解していなかった。高藤会長によって二人が引き裂かれたとは思ってもいなかったのだ。<br>倉田は会長の指示で高藤の御曹司を監視することになり、幸子と高藤の関係を引き裂く役割を果たしたが、手切れ金を渡して高藤から幸子を遠ざけ、会長の信頼を得ることができた。しかし、欲を出して手切れ金の一部を横領し、会長の信頼を失い、槙野に専務秘書としての地位を奪われるだけでなく、美紗子にさえ追い越されてしまったのだ。<br>　倉田は以前になびかない幸子の代わりに、彼女の妹を誘惑したことがあった。幸子は倉田が卑怯な男だと見抜いていたが、まさか自分の代わりに妹が餌食になるとは夢にも思っていなかった。そして、さらに高藤との関係を利用され、別れる選択を迫られることになってしまった。<br>高藤と幸子が二人一緒にいるところへ、偶然にも里中と倉田に出会ったことがある。里中は高藤デパートで秘書をしており、高藤と里中は幼馴染でもある。美紗子が高藤と一緒に食事をしていた時に聞いた話だが、それは全くの偶然とはあまりにもできすぎた話のように思えてくる。会長の指示で倉田が二人を監視していたとしたら、偶然を装って二人に近づいたとも考えられる。<br>倉田は計算高い男だった。高藤会長が引退すれば息子に会長職を譲り、孫を社長に据えるつもりだろう。そう踏んだ倉田は会長に恩を売れば、自分の立場が有利になると考えたのだ。しかし、倉田は自分を過信し欲を出しすぎたのだ。<br>幸子はこうなることを予想していたのだろうか…。美紗子に残したメッセージの意図することがようやく見えてきたような気がするけれど…。でも、私はどう彼に伝えたらいいだろうか…。<br>二人は決して結ばれることはなかった。彼女の身体を蝕む病魔は誰にも止められなかったから・・・。だから彼女は残酷な運命を受け入れるしかなかった。<br>高藤はすでに彼女の死を受け入れて前を向いて生きている。今更真実を告げたところで、彼を苦しめるだけかもしれない。もし、高藤がもう少し早く戻ってきていたら、二人は会うことができたかしら…。幸子はそのことでもっと苦しむことになっていたかも知れない。それでも、たとえ束の間でも幸せな時間を過ごすことができたなら…。<br>　美紗子は自分がとても身勝手に思えてくる。幸子が残したメッセージに込められた意味を無視して、自分の気持ちを軽くしたいがために、このまま何もしないで逃げようとしている、そんな気がしてくるのだった。<br>　<br>　美紗子はドアを開けて振り返った。槙野と高藤は退社時間が過ぎてもまだ話し込んでいる。すでに自分の役割は終わっているのだ。幸子のことがあったから、高藤の秘書になっただけのことで、これ以上ここにいる必要はない。自分がやるべきことは、槙野の疑問に答えるだけだ。高藤に真実を話すべきか迷っていたが、幸子はそれを望んでいないような気がした。槙野が自分に近づいたのは、まさにその真実を知るためだった。いずれ近いうちに槙野と会って、幸子がなぜ自ら死を選んだか話そうと考えている。美紗子はゆっくりとドアを閉めた。<br>　従業員専用出入り口まで来ると美紗子は思わず足を止めた。できるならば避けたいと思っていたのに、最も会いたくない相手が待ち構えているなんて…。<br>「やあ、安藤美紗子さん。これから食事でもどうだい？約束を覚えているだろうね」<br>「約束…ですか？していましたっけ…」<br>「君に聞きたいことがあるしね。どうやって高藤専務に取り入った…とかね」<br>「どういう意味ですか。倉田さん」<br>　倉田は距離を保っているというのに、間近に立ちふさがっているような、耳元で息を吹きかけられたかのようにぞっとするものを感じた。美紗子は思わず身を引いたが、背後で人の気配を感じて振り向く。<br>「何をしている。声をかけもしないで帰ろうとする。おや？倉田さんじゃないですか…」<br>「槙野さん…」<br>　槙野は美紗子の肩に手をかけて横に立った。肩に力強い槙野の手がある。美紗子の胸に安堵感と不安が広がっていく。<br></div><br><br><br><br><br><br><div class="wiki">　<br></div><br><div class="wiki"><a href="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" target="_blank"><img src="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" alt="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" border="0"></a><br><a href="https://novel.blogmura.com/" target="_blank">にほんブログ村 小説ブログへ(文字をクリック)</a><br>にほんブログ村　ランキングに参加しています。<br>小説ブログ・長編小説ブログ<br>もしよければクリックをお願いいたします。<br></div><br><div class="wiki"><a href="https://novel.blogmura.com/novel_long/" target="_blank">長編小説ブログランキング</a><br></div>
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<pubDate>Sun, 05 Aug 2018 15:57:10 +0900</pubDate>
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<title>プラスα</title>
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<![CDATA[ <div class="wiki">久しぶりに投稿します。<br>この何年かは、ネットがうまいようにできないことが多くなりました。そして、私の人生において幾つかの変化が起こりました。本当に色々ありすぎて何から書いていいのかわからないほどです。<br>今回は一人暮らしを始めた時の話から…。<br>離婚してからは、十年以上一人暮らしを続けてきました。多少の将来への不安はありましたが、私は一人暮らしにも充実感を覚えるようになりました。<br>離婚する頃には子供たちもすでに独り立ちできる年齢になっていましたので、自分が子供たちの重荷にならないよう、ある程度の距離を保ちながら接してきました。<br>少ない給料ではありましたが、どうにかぎりぎりの生活を続けてきました。食生活においても贅沢はできない。時には、量を増やしておなかを満たす為に、おかゆに余った野菜を入れて食べたりもしました。<br>子供が「今日のご飯はなぁーに」と言うので、私はよく冗談のように、「塩ぱっぱご飯だよ」と言っていました。その私の返事に対して、子供は「え～○×△！」と必ず言って返します。<br>ご飯に塩をふりかけただけのなんとも侘しいもの・・・・。幾らなんでも育ち盛りの子供に、それだけでは物足りないでしょう。もちろん・・・それはほんの冗談です。　<br>実際には一人暮らしになって、それが現実になりそうなほど厳しい時期もありました。お弁当は冷凍食品を入れるくらいはしないと、いくらなんでもご飯に塩をかけただけのお弁当では恥ずかしかったので…。｟見栄だけはありましたから(笑)｠<br>給料日前には、いつも財布を見ては溜息を吐き、厳しい現実を突きつけられる。それでも私は、どんなに貧しくとも、どうにか生きていけるんだと、いつも自分に言い聞かせながら暮らしていました<br>もともと痩せていたので、私にはダイエットは必要ないし、これ以上痩せないと思っていました。でも、そうではありませんでした。だんだん肉が落ちていき、肋骨が見え始めて痩せていきました。<br>人から痩せたねえと言われながら、私は苦笑いを浮かべていました。それでも私は日常生活に支障なく生きていました。ある程度までは…。どんな状況でも、人間ってある程度はどうにか生きていられるものなんですね。それでも、全く問題がなかったわけではありません。<br>離婚する以前から体に異変が起きていました。気付かぬうちにその異変は進んでいたのでしょう。<br>離婚する一年ほど前のことです。ある時、突然に熱が出て、ベッドから起き上がれなくなってしまったのです。体がだるくて重たくて起き上がれない、それはとても苦痛でどうしようもない痛みでした。｟後にその原因となる理由が、ある程度理解できるようになりましたが…。｠<br>その時は病院で調べてもはっきりしません。整形外科では、熱を下げる薬とシップを処方されるだけでした。当時は、その症状はそれでどうにか治まりました。<br>離婚して一人暮らしを始めてから半年後、近くの整形外科へ行ってみました。首が痛くて肩がこるし、わずかに左足の方に、踝あたりが痺れるような感覚が起こっていたので、変だなぁと思って受診してみました。<br>首の骨が少し出ているような気がするし…。とは思っていたのでそれも医師に聞いてみました。すると、医師は頚椎症と診断しました。治療には首の牽引が必要だと言われました。痛みがあるなら痛み止めの注射を打ちましょうとも言われ…。（結構この注射は痛いですね）<br>しばらくその病院に通うことにしましたが、職場からの距離があり、就業時間の関係で長く続けることは無理でした。それで病院を変えることにしました。その病院は受付時間が六時半までだったので、余裕をもって仕事が終わってからでも通えることができました。残念ながら牽引はやっていないとのことでしたが、内心ではホッとしました。（笑）リハビリと薬をもらい帰ることにしました。<br>しかし、一向に痛みと痺れが取れないので、医師に相談してみることにしました。すると医師は即答でMRIにかけてみましょう。今日は予約を取って帰るようにと言われました。<br>診断の結果はこのブログにも書いていますが、頸椎ヘルニアでした。<br></div><br><br><br><br><br><br><br><br><div class="wiki"><a href="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" target="_blank"><img src="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" alt="https://novel.blogmura.com/img/novel88_31.gif" border="0"></a><br><a href="https://novel.blogmura.com/" target="_blank">にほんブログ村 小説ブログへ(文字をクリック)</a><br>にほんブログ村　ランキングに参加しています。<br>小説ブログ・長編小説ブログ<br>もしよければクリックをお願いいたします。<br></div><br><div class="wiki"><a href="https://novel.blogmura.com/novel_long/" target="_blank">長編小説ブログランキング</a><br></div>
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<pubDate>Sun, 06 May 2018 16:41:43 +0900</pubDate>
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