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<title>tahamimiのブログ</title>
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<title>Ashley</title>
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<![CDATA[ <p align="left">&nbsp;</p><p>「・・・おまえが出た後、姫様が入ってきて、姉さんとだけで話をしたんだ、話が終わって姫様はすぐいなくなった、姉さんはケイトを連れてアケに帰ると言い出して・・・、私には何もわからない、でも姉さんの言うことは絶対だから仕方なくて・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>アマンダの話は、ケイト死後に移行する。</p><p align="left">悪魔対戦を放棄した形でアケ村に帰されたことを不服そうに話した。</p><p align="left">そしてその真相を何も知らない、・・・やっぱりおまえは、（俺もだけど）外されるんだなぁ、とまた思った。</p><p align="left">・・・ケイトをアケに連れ帰ってからの話はなかった。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">アマンダは宙の何かに気を取られたような眼で言った。</p><p align="left">「物心ついた時からケイトがいた。一番近くでずっと見てきたからケイトの戦いはよくわかっている、・・・納得いくまで光を出し尽くて終わったのならよかったんだ、これで。・・・後は繋ぐ、ケイトがたどり着けなかった場所は、私が行く。私たちは同じ使命を負う者だ。・・・だから私も自身の光を極限まで追い、戦う。」　</p><p align="left">「・・・・。」</p><p align="left">ケイトの想いは、俺にも繋がっている、だから今ここにいるんだ。</p><p align="left">でも・・・、アマンダは生かそうとしたんじゃないか？</p><p align="left">&nbsp;</p><p>「最後まで姉の真似はしなくていい、生きて戻れよ、男が待ってんだろ。ローレアはおまえにだけ石を取ってきたんだ、おまえには未来があるってことなんだ。」俺は言った。</p><p>アマンダはまたムキになりそうだったが、意外と冷静に言葉を返してきた。</p><p>「・・・姉さんじゃない、姫様なんだ、私とカイの石を取ってくるように命じたのは・・・、」</p><p>「・・・アシュリーが？」</p><p>「ありがたい話だけれど・・・。」</p><p align="left">みんな知ってたんだ、サングレ行きの本当の目的・・・、俺だけ踊らされていたって話。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">セスアシュリーに視線を移す、・・・ハッとして、油断してはいけない！</p><p align="left">「おい、アマンダ見ろ・・、」</p><p align="left">だらしなく崩れた寝顔が大変なことになった。その顔の一部分が溶けて、セス本来の顔が死人のように浮き出ている。</p><p align="left">アマンダは慌ててサッと手をセスの顔の前にあて、もとに戻した。</p><p align="left">「まだまだだな、未熟者。」遠慮なく言う。</p><p align="left">「おまえは、文句ばかりだ・・・。」アマンダはブスッとして背を向けた。</p><p align="left">・・・それから、少しだけ眠りについた。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">東の空の雲間から薄く仄かな青光が、帯状に浮かび上がる。</p><p align="left">そろそろか・・・？　　　眼を覚まし、気を引き締める。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">サングレの森は、朝の光が差しても薄暗く侘しい風景だろう。</p><p align="left">空を覆う黒雲が晴れることはないんだ・・・、</p><p align="left">それでも、僅かな光をたどり引き寄せる、　・・・勝つために！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">突然、静かな森の景色を映していた結界壁に、動物の顔を崩したような不気味で大きな顔がにゅっとのぞきこんで・・・！</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">・・・、結界がピシっと音を立てる！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・さらに、ピキピキッ・・と、立て続けに音が・・・、一匹ではない、数匹のそれが代わる代わるおぞましい顔を結界壁の上や横から覗かせている・・・！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「だいぶ集まったようだな・・・。」アマンダが呟いた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・・、そう、結界の外では無数の悪魔が・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「・・・いよいよ、か。」「ああ・・、」</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">壁にへばりつくように、・・・押し合い、蠢き・・・、</p><p align="left">「ヘッ、ヘッ、ヘッ・・・、」と謎の乱れ呼吸まで聴こえてきた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「気持ち悪いな・・・、」別の意味で寒気を感じ、ゾクッとする。</p><p align="left">「おとりの役目は十分だ。」アマンダがニヤリとした。</p><p align="left">「そうか、・・・意外に子供臭くてもよかったんだな・・、」</p><p align="left">俺も不敵に笑う。</p><p align="left">「・・・だったらさ、ローレアとケイトなら、この３倍はいくんじゃないか？」しつこく言い足す。</p><p align="left">「フン、言ってろ。」　「ま、頑張るか。」</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">二人がそれぞれ剣に手をかけ・・・、</p><p align="left">・・・そしてバシャンッ！　と不思議な音で結界が破れた！</p><p align="left">一瞬だけ、暁光が眩しさを増す・・・、　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">身構えた俺とアマンダの剣が、その光を受けて煌々と輝いた！</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">　　＜３の１＞</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">朝の薄明りの中、視界を埋める黒い影。</p><p align="left">それは千を超える種々の悪魔たち。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">結界破壊と同時に輝いた剣が、寄ってきたソレらを数十メートル向こうまで吹っ飛ばした。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">抱えたセスアシュリーが眼を覚ます。</p><p align="left">・・・おお、これがこの状況にパニックを起こして自分が何者になったかなんて忘れて、「ワァァーッ！！」と地声で悲鳴を上げたら？　眠らせた方がいい！　</p><p align="left">と焦ったら、声を出さず地面に降りて俺の背後に回った。・・・よしっ！！</p><p align="left">「アシュリー、俺から離れるなよ、・・。」</p><p align="left">普段のように声掛けしてチラッと見れば、グッと眼を開けて、鼻穴を大きく広げピックピックさせてる気張った顔・・・、</p><p align="left">こんな顔、絶対アシュリーじゃないし、本当にやめてもらいたい。　</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">飛ばされた悪魔が、ジワリジワリ寄ってきた・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・ヒカリノ、オンナ、ダ、・・・オンナヲ、トラエヨ、・・・主サマガ、マチカネテイル。</p><p align="left">・・・オンナヲトラエヨ、ト・・・、トラエヨ、ト、・・エヨ・・ト・・。</p><p align="left">束になって悪魔が迫った！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">　アマンダは飛び上がり空から・・、俺は地から・・、</p><p align="left">　　</p><p align="left">・・・まとめて悪魔を斬る！！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">俺の剣も４，５人単位で悪魔を捉える。</p><p align="left">アマンダの斬った１００近い悪魔は、雲散霧消し跡形もなくなるが、俺が斬ったソレは今まで通り元に戻った姿で息絶えていた。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">地に降りたアマンダと俺は背中合わせになる・・、セスアシュリーを間に挟んで、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・ついに、戦闘開始だ！！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">王の剣は光ったりしない。ただの鉄のブロードソードだ。見た目よりずっと重かった。・・・それが俺の気力が剣にのり、敵を斃していくうちに軽くなってスイスイと振れてくる。</p><p align="left">光らない俺の方に大量の悪魔が寄ってくるので、そこをズバズバッと斬ってやった。</p><p align="left">その斬りやすさは、柔らかい骨なし動物を斬っているような感覚だった。</p><p align="left">しかし斬り損ねた悪魔が捨て身で俺に体当たりしてくるので、それで服は溶け皮膚に黒い傷がつく。</p><p align="left">セスアシュリーは何とか守るが、おのれェ、俺の美肌を！　と怒りを爆発、剣の動きを速めて何度も連続１０斬りを成功させる。・・辺りはその死骸に埋め尽くされた。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">鳥や野獣・・、人もいた。　　・・しかし、後ろは見ず前に向く！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">この剣には強い意志がある。・・・悪魔を完全消滅させる・・！　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">その重みを抱え、戦う・・・！！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">ピンチが来る！　木々に隠れていた悪魔が大量の悪魔突如現れ俺とセスアシュリーに飛びついた！　</p><p align="left">大剣が間に合わず視界が真っ黒になる。・・・しかしアマンダだ、咄嗟に閃光を悪魔に向けて投げた！・・・や、助かったが・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">「自分のことは何とかする、・・・無駄に魔法は使うな！」</p><p align="left">「偉そうにいうな！・・・憑依されかけたくせに！」</p><p align="left">「心配いらん！　俺は強くなったんだ、マヒナ島の時と違う！」</p><p align="left">「・・・少しは認めてやるけど。」</p><p align="left">「・・・う～、とにかく目上の者の言うことは聞け！」</p><p align="left">「戦いに関しては私が上だ！」</p><p align="left">「・・・・。」</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">しかし毎度ながら、弱輩悪魔の群れがその数だけには恐れ入る、斬っても斬っても地の底から湧いてくる感じが果てしない。</p><p align="left">全滅は無理かも・・、どこかで切らなければ・・・、</p><p align="left">「ジクトこっちだ・・！」</p><p align="left">アマンダが気配を察知して走る。「ヤツの息遣いを感じる・・・、近いぞ・・・！」</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">セスアシュリーは俺の背で服をがっちり握りしめ、俺の動きに振り回されながらもついていたが、俺が走り出すと手が離れ地面に倒れそうになった、そこを左腕で拾い上げ前で抱える。</p><p align="left">まだ怖いのか、俺の首に手を回しギュとした。意外な女の動きに体の反応は、・・ない。　</p><p align="left">猿を抱えている気分で、アマンダの後を追いかける！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">走りながら吸い付くように襲い掛かかってくる悪魔を、・・・斬って、斬って、斬りまくった！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">もっと使いこなせたら、その威力はさらに上がる、・・・もっと速く、もっと強く・・・！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">　　　俺も極限を・・・、追う！！</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">アマンダもブレスレットなしとは思えない神業剣を見せ敵を凪倒していく、金と赤を混ぜたような強い光を体からずっと出していた。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">お互い息を切らしながら、声をかけ合うが・・・、</p><p align="left">「だから魔法の使い過ぎだ、もっと押さえろ・・！」</p><p align="left">「だから、うるさい！私に命令するな！」　・・こんな調子だ。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・・突然嵐のような強い雨と風が起こった。</p><p align="left">周りの悪魔が飛ばされ、流され、見えなくなった。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「アマンダ、おまえか？」</p><p align="left">「いいや、・・・。」</p><p align="left">不気味な悪天候に悪感と緊張が、じんわり来る・・・。</p><p align="left">俺たちはその場に立ち尽くし、辺りをソワソワと見渡し始めた。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">「おまえはここにいろ！」　急に声を出しアマンダは一人走る。</p><p align="left">「どこへ・・・？」　俺はセスアシュリーと残され、・・・？</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">雨が止んだら今度は、地震か？と思うような強い揺れだ！　</p><p align="left">地面の土がゴボッゴボッと勝手に混ぜ掘り起こされ、その動きで立っていられなくなった！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">そしてくる、大きな巻き込む風！　・・・竜巻！！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「・・うわッ・・！！」</p><p align="left">俺とセスアシュリーはその風に巻き込まれる！　円を描きながら吹き荒れる風に足元を取られ、地から体が浮き上がった！</p><p align="left">・・・竜巻の中で俺たちは離され、俺だけ風の外側に弾かれ、セスアシュリーは風にのって舞い上がる！</p><p align="left">地面に落とされた俺、すぐさまその腕を誰が引っぱって・・・？</p><p align="left">「立て！　ジクト！」　「・・・アマンダ！」　「こっちだ！」</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">竜巻から逃れ、一緒に走り出した！</p><p align="left">大きな木の裏側に回って隠れるように座り込んだ。アマンダはそこで結界をかける。</p><p align="left">透明の薄い膜に包まれた、そして二人で竜巻を見上げた。</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">「アマンダ、セスが・・・！」</p><p align="left">「わかってる、今わざと離れたんだ、仕掛ける為だ、・・セス様には頑張ってもらう！」</p><p align="left">「・・・って、あの竜巻は？」　・・・あああ、遂に・・？</p><p align="left">アマンダは少し首を傾げた。</p><p align="left">「よく分からないが、凄いエネルギーを出すヤツが現れた、そいつの意識が空の雲一面にある。」</p><p align="left">「・・・・？」　雲がディーゴか・・・？</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・とにかく、ディーゴが復活した！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">竜巻の上の部分は空の黒雲と混ざるようになってそこで渦を作っていた。セスアシュリーの姿は全く見えない。</p><p align="left">「悪魔に喰われたんじゃないか？」　「姫様を悪魔は喰えん・・・。」</p><p align="left">「セスだろ、喰えるさ！」　「・・・そこが狙いだ。」</p><p align="left">アマンダはキリッと俺を見た。</p><p align="left">「姫様が人間になられたと勘違いさせて、油断したところを狙う！」</p><p align="left">「ヤツは千の眼を持つと聞いた、・・・うまくいくか・・？」</p><p align="left">「その千の眼全部を姫様に集中させる！　見ろジクト、ヤツが徐々に姿を変えてくるぞ・・。」</p><p align="left">「・・・・なッ？！」</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">竜巻の激しい風がおさまり、モコモコとした黒雲が地上に降りてきた。</p><p align="left">そこから、大きな手の形をした雲がもわっと出てきた、その手の平に・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">あ、いた、セスアシュリー！　その中で倒れている！・・と思ったら、</p><p align="left">不自然な早い動きでピクッと顔を上げた？！</p><p align="left">そしてスクッと立ち上がる。そこで、黒雲から出る巨大な眼が２つ・・・！！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・もう、手の汗握ってこれを見る・・・、頑張れッセス！！　これはおまえの一世一代の大仕事だ・・！！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">雲から目だけを伸ばして悪魔がギョギョッと、セスアシュリーに近づいた、</p><p align="left">セスアシュリーは立ったまま微動だにしない。・・・と思ったら、</p><p align="left">スーッと両腕広げて悪魔を招き入れるような仕草をした？！</p><p align="left">やっ、やるじゃないか、セス・・・！　と感心している場合じゃない、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「おお、アンジェリーナ姫よ・・・、」</p><p align="left">野太い声が響いてきて、そう言った、・・・確かに聞こえた！　　　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・イカン、気持ち悪すぎる、これだけで十分アシュリーが穢された。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">その黒雲にも変化が・・・、雲の表面が剥がされるように消えて、徐々に顔や手足の部分がはっきりしてきた。８メートルぐらいの黒い大男がモワッと現れる。</p><p align="left">悪魔は地に座り込んだ。手の平にいたセスアシュリーは滑るように落ちてこのあぐらの中に小さく座った。</p><p align="left">これにうっとり表情の悪魔！　</p><p align="left">胸で手を組んで悪魔を見つめ返すセスアシュリー、・・・さらに驚くべき行動に出る！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">悪魔に向けた顔の、その唇を・・、尖がらせた！　って、おおっ・・・？　何を？　セス！　そんなスキルをどこに？　いや、ゼロなんだ、ゼロなのにそこまでやるのかっ？！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">俺は目を背ける、アレはアシュリーじゃない、セスだから、・・・ああ、悪魔の荒い息づかいが聞こえ出すと、・・・もう、ホントにイカン、イカン、・・・いやらしくて・・・、</p><p align="left">どうあってもアシュリーが穢されている・・・。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">「悪魔が興奮してるぞ！　完全に姫様だと思い込んでいる、・・やっぱり匂いをつけたのが正解だったな！」　アマンダが興奮して言う。</p><p align="left">なんとかしてこの光景に目を戻した、・・・さすれば！</p><p align="left">悪魔は体をグググーッと縮めてきた、そして口の辺りから大きな長い舌を出す。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">「・・・ぶェッ！」　もう、ヒドい・・・、</p><p align="left">舌なめずりしながら頭を揺らした、・・・躊躇しているようにも見えたが、アシュリーとどうしたい？　キスか？　はたまた食べるのか？　・・・あーあ、ダメだ・・・！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">悪魔の正体がはっきりする、ロ○コ○傾向のアシュリーにイケナイ気持ち↑↑のエロ悪魔だった！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「ジクト、落ち着けよ・・、」　「おまえもな・・・、」</p><p align="left">　</p><p align="left">悪魔はもっと体を小さくさせてきた。３メートルほどになった。</p><p align="left">ふと、セスアシュリーの目線と悪魔と顔の向きがズレていることに気付く。悪魔は小さくなったのに、悪魔を見るセスアシュリーの顎の角度は変わらないんだ、　　それって・・・？</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・・失神している、ナウ？！　</p><p align="left">いつから？！　いや、セスは本当に偉かった！</p><p align="left">もう最初からだった、その行動すべてに意識がなかったとか・・・。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">俺とアマンダは、結界をかけたままゆっくり動いて、悪魔の背後に回った。</p><p align="left">いいところで、足を止める。</p><p align="left">「ジクト、おまえはここで私を見ていろ・・！」「ン・・、」</p><p align="left">アームファイトで決めた通りアマンダが先行する、魔法を制限しろとか、もう言わない。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・今や、悪魔がその黒くモコついた体でセスアシュリーに抱きつき、その舌が絡みつかんとしたその時に・・・！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「今だッ・・！」　　結界抜けて、アマンダが飛び出した！！</p><p align="left">すでにその体を戦いの色で、光輝かせ・・・、　　勝負にいくッ！！</p><p align="left">俺は結界内に留まりその動きを見守った。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・ああアシュリー、君は無事ミアに着いたか？　　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">ミアの景色はやっぱり美しいだろう？　君をやさしく包んでくれるはずだ。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">俺は今から戦うよ、真実を守り、導くために・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・君はただ、そこにいてくれ。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">アマンダは剣を抜かなかった、素手で悪魔の肩の辺りに飛びついた、そこでグッとしがみ付き力を出す！　・・・アマンダの力は光の炎になり、悪魔の体を混ぜるよう焼き始めた！</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">完全に隙をつかれ、アナンダの攻撃を許してしまった悪魔・・・！</p><p align="left">「グォーッッ・・、」獣が叫ぶような声でもがき始めた！！</p><p align="left">おお、体の焼けたところから黒い溶液が流れ出ている・・・！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">セスアシュリーは、腕を広げ、唇を尖がらせた姿勢のまま地面に倒れた、・・・その緊張がとれれば、一瞬に顔がセスに戻る。</p><p align="left">「・・・おのれェ、騙したか・・・！」　苦し紛れに悪魔が言った。</p><p align="left">「騙される方が悪いんだよッ！　このドスケベ悪魔めッ！！」</p><p align="left">アマンダが更にググッと力を入れて自身の光を強くする。まさに人体凶器だ！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">「・・・・・！！」</p><p align="left">悪魔が、地を揺るがすほどの絶叫を・・・！！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">異常なまでに興奮！！　いけるんじゃないか！？　アマンダ、やれるぞッ！　このまま行けェーッ！！</p><p align="left">確実にアマンダの光が悪魔をむしばんでいくように見えた、が・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・しかし苦しんで、体からとめどなく溶液が流れ出ても、悪魔の体自体変化がなくその状態を延々続くだけで、・・・これは？！　致命的なダメージになっていないのでは？！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">悪魔の呻き声が、笑い声にも聞こえてきたら・・・？！！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">やがて悪魔はその体を膨らませ始めた・・・、アマンダは離れないよう必死に食らいつくが・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">ボッ、ボボボッ・・・、ボボボボボーッ　と不思議な音が聴こえ始めた、何が・・？と茫然としていると、悪魔の姿は消えて代わりに黒く薄い煙が森中に広がっている、</p><p align="left">・・・いつの間にやらアマンダも見えなくなって・・・。</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">わわわッ・・・！！！</p><p align="left">いきなり真っ暗だ、黒い煙が濃くなって一瞬に闇の世界に包まれる・・・！</p><p align="left">同時にほのかに漂う不思議な香り・・・、イヤな匂いじゃなく、甘く芳しい香りがしだいに鼻についてきた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">これは悪魔の攻撃だ、まともに受ければ絶対ヤバいことだ・・・、でも俺は結界の中だから、大丈・・ブ・・・、と思って・・、ここまではまともだった、俺・・、しかし・・、　</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">頭がぼんやりする・・・、　ここは、夢の中か・・？　　何かをしていた・・・、何を？</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・結界って何だっけ？　　　・・・悪魔って・・・？　　　　　ああ・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・女だ、女を探してる・・・、</p><p align="left">暫くご無沙汰の俺・・・、気が遠くなるほどお預け状態・・・、もう、そろそろいいだろう・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・アマンダ・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">そう彼女だ、・・俺の新しい女、</p><p align="left">彼女、どこ行った？　　　どこにいるのか、わからない。　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">アマンダの名を呼びながら、闇の中を彷徨った。・・・、おや、人が倒れている・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・アマンダ？　　　　・・いや男だ、おじさんだ、汚い顔だ、　・・・こんな男に用はない。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">ほったらかして・・・・、　　また、一人歩き出す・・・。　　　　どこへ・・・？</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">俺、何をしてたんだっけ・・・？</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・・！！！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・また、ハッとする！　声が聞こえて・・・、誰・・？</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">誰だ、女の声・・・、</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">（・・・ジクト、・・・ジクト！！）</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">横から顔を出した女が、・・可愛い！　これが俺の探している女、名前は・・？　何で武装？　　　脱がしにくいんですけど、　ま、誰でも、・・何でもいいや！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">咄嗟に抱き着いてキスしようとしたら・・・、顔面パンチと腹に膝蹴りをくらう！</p><p align="left">・・・イテーよ、なんて乱暴な女だ・・・、しかしこの痛みに憶えあり・・・、懐かしい感じがする？</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">（ジクト！！　・・しっかり私を見ろ！）　　　・・・ん？</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・・ハッとする！</p><p align="left">見れば女の体が光っている・・・、「アマンダ！！」</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">（悪魔の仕返しだ！　異臭で混乱させてきた！）　・・・へっ？！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">（エロ返しだ、こんな罠にまんまと嵌るのはおまえぐらいだ！　今、匂いはブロックしたが、長く吸うと本当に頭の中が溶けて本物のバカになるんだ！）</p><p align="left">・・・？　ええっと、何々・・？？</p><p align="left">アマンダの光で、ここが洞窟のようなところだとはわかったが・・、徐々に現状がはっきりする。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・しかし、だ、　「・・俺はどうなっていた？！」</p><p align="left">（どうもなっていない、まんまのおまえだ。）　呆れた声で、冷たく言われた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「アマンダ、・・・おまえは・・、」　俺の横にいては不自然なような・・・？</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">そう、確か・・・？　　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">（まだ頭が混乱していやがる、上を見ろ、・・。）アマンダに言われ、見上げると、真っ黒な空。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">（悪魔の尻だ。）</p><p align="left">・・・？　　何が、どうして、こうなった？？！</p><p align="left">「ここは土の中だ、悪魔の死角にいる。」</p><p align="left">（いきなり巨大化してきたから、隠れたんだ・・、）</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">さらにアマンダが魔法をかけると、悪魔の尻らしきところが透けてきて、地上の荒廃した森の景色が見えてきた。手前から枯れた木々が押し倒されている・・・、そこに巨大化した悪魔が座っていて周囲では黒い溶岩が怒涛のように流れていた。・・・地獄景色が更に悪化している。</p><p align="left">ずっと見ていると気分が悪くなった。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">（大きくなって死角を作ってしまった、バカめ。）</p><p align="left">済まし顔でアマンダは言う。</p><p align="left">「そうか、今、俺たちがネズミレベルに小さいのか。」</p><p align="left">（そうだ。）「やったな・・、ハハハ・・。」</p><p align="left">適当に答えて、笑って、頭がスッキリして・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「・・・！！　アマンダ、おまえは戦っていた！」　やっとすべてが頭に甦った。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">「おい、何を呑気に・・、悪魔は・・？　そう、ディーゴだ・・！！　早く殺らなきゃ・・！」</p><p align="left">突然俺が焦ったように言っても、アマンダは静かに頷くだけだった。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">（これがディーゴという悪魔か？）いや、このセリフにびっくりするだろ。</p><p align="left">「それが、分からず・・・？」</p><p align="left">（私に分かることは、こいつがこの森の悪魔らを支配する頭領のような存在で、膨大なエネルギーを持っているということだ。）</p><p align="left">「それがディーゴだろ？」</p><p align="left">（姫様への執着は凄かったな・・・。）</p><p align="left">「絶対ディーゴだ！　おまえバカなのか・・？」</p><p align="left">（・・・うるさい、おまえこそ聞いてばかりのバカだ、少しは自分で考えろ！）</p><p align="left">「質問するのは一般人の特権だ、おまえは答える側だろ、この魔法族の劣等生めが・・・！」</p><p align="left">（おまえが言うな！）</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">「喧嘩している場合じゃない！　おまえここで何をしているんだ？　なぜ戦いに行かん？」</p><p align="left">（・・・、それがデカくなり過ぎて・・、魔法が思うようにならん・・・、光が足りない・・。）</p><p align="left">「・・・えっ？」</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">（結界はとっくに壊されているから・・・、気をつけろよ・・・、）</p><p align="left">ドッと不安が押し寄せて・・・、青くなる俺。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">アマンダは腰から剣を引き抜く。</p><p align="left">（でも心配するな、悪魔は殺る。）</p><p align="left">「・・・・大丈夫か・・？」</p><p align="left">（今が本番だ・・・、）アマンダは笑っていた。そして悪魔を見上げた。</p><p align="left">（外からはもう無理だ、中に入らないと・・・、それしか方法がない・・・、まだ成功させたことないけど。）</p><p align="left">「・・・！　おい・・？」</p><p align="left">（おまえは私が仕留め損ねたら出ろ、合図は送る。）</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">この時のアマンダの顔が自信なさそうに見えたら、・・・それはやっぱり、間違いだ。</p><p align="left">この女の底から湧いてくる力は、そんな半端なものではない・・・。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">『・・クソッ、どうしてできないんだ！』</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">夜通し何かの練習していたアマンダ。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">何かなんて知らないが、・・・でもそれは、ケイトには出来ていたこと・・・。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・越えられなかった壁が、今・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">「・・・アマンダ！！」</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">アマンダは俺の傍にいなかった。・・・随分高いところにいた。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">ずっと悪魔の肩の辺りにしがみ付いた状態で・・・、光を出し続けていた・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">悪魔は・・・、<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">20</font></font>メートルはある巨大猛獣と化している・・・。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">今や俺の体は地にあった。そこから５０メートほど離れ、眠っているセスと木の影に隠れていた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">幻になって、おかしくなりかけた俺を助けてくれたのか・・？　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・・もう精も根も尽き果てようとしている・・・、ああ、これはマズいことだ、・・・、</p><p align="left">サングレの寂しい日の光では足りない・・・、光力が増えない、このままだとケイトと同じことに・・！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・ああ日の光よ、もっとアマンダに射してくれ・・、お願いだ・・！！</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">ここで祈ることに意味なんてない！　俺は木の陰から一歩出る、途端に、（・・・まだ出るな！！）</p><p align="left">と、強い言葉が胸にきた！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">アマンダは己の剣を天にかざす・・！　剣はアマンダの気迫を受けて激しく光った！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">その光が剣より放たれ天に上がり、厚い黒雲の一部を吹き飛ばす！</p><p align="left">そしてそこにできる丸い穴・・・、</p><p align="left">そこから差す光は、一直線にアマンダに落ちた！　</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">「ウオオォーッ！！」</p><p align="left">再び輝きを得たアマンダが雄叫びを・・・、　ああ、この時に・・・・！　　　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">俺は思い出していた・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">部下が悪魔になり俺を襲った時に、ケイトが巨大化した敵の中に入り込んで戦ったことを・・・！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">まさに今、それが起こった！・・・大きな悪魔の体に小さな神々しい光の渦ができて、アマンダの体はそこからめり込んでいく・・・、</p><p align="left">完全にアマンダが悪魔の中に消えた、・・・！</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">直後、悪魔が猛烈に苦しみ始める・・・、これにアマンダの術が成功したことを実感！</p><p align="left">もがき苦しみながら悪魔はその巨大化した体をどんどん縮めていった。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・よしッ、俺も・・・！　</p><p align="left">また木の陰から飛び出そうとして、　（・・・待て！）　また、制止だ。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">（無理だ、おまえはこの中に入れない・・・。）</p><p align="left">俺は入ったことあるんだよ、ケイトの時にだ、・・・加勢するさ！</p><p align="left">（ケイトがどうした？　そんなことできるかっ！　私一人でいっぱいだ・・・、）</p><p align="left">・・・そうなのか、やっぱりあれはケイトの力か・・？　いや、・・、</p><p align="left">（・・とにかく！　私の合図を待てと言ったろ・・、）</p><p align="left">・・・おまえ、一人で殺るつもりだろ・・・！</p><p align="left">（ああ、私一人で殺るッ！）</p><p align="left">・・・クソッ、意地っ張りめ・・！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">時折固まるように悪魔がその動きを止めた・・、また鈍い声を出して蠢く・・、確実に弱らせている・・、体の大きさも俺の視野で捉えられるぐらいにまで小さくなった。</p><p align="left">もう少しで・・、後、もう少しで・・・、殺れる、アマンダ！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">悪魔を斃してもケイトと同じ運命をたどるかもしれなかった、でもこの時それを考えない。</p><p align="left">グッと眼を閉じて勝利を強く願う！　</p><p align="left">アマンダの渾身の光パワーを瞼の裏で感じ、・・・ひたすら想いを送る！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">自分は活躍できなくてもいい、・・ここでアマンダが悪魔を仕留めたら、それはきっと自分のことのように嬉しくて誇らしい気持ちになるから・・・！</p><p align="left">・・俺には、わかるんだ・・・、おまえの苦しみが、だから！　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">（・・・おまえ、ごちゃごちゃうるさいぞ、・・・そろそろ準備しろ・・・、）</p><p align="left">・・え、俺の出番あった？</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">（・・・どうしてもわからないんだ、命の核が、・・・体を小さくさせることは出来るんだが・・・、）</p><p align="left">アマンダが苦しそうだ・・・、</p><p align="left">（人の大きさにまでなったら、・・・おまえが外から刺してくれ・・。）</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">『・・・悪魔を狙う時は、人の姿の時・・・、急所は背中から刺せ！！』</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">人の姿になればはっきりする急所・・・、首か・・、左胸！</p><p align="left">にわかに緊張！　アマンダが、最後のおいしいところを俺にくれるという・・！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">背中のそれをグッと握り締め・・！</p><p align="left">おう！　任せろ！　その気でムラムラしてたからな、俺は・・！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">（いちいちイヤらしい言い方しなくていい・・、）</p><p align="left">ハハハ・・、で、今さらながら、どうして離れているおまえと会話してるんだろう？</p><p align="left">（別に、心の臨時開通だ。）</p><p align="left">・・・ははっ、そうだ、奇妙な縁で仲間になった。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">悪魔の、老婆が嘆くような力ない声が響いた・・・、その姿ももうすっかり小さくなって人間ぐらいで、ただの老人が屈んでいるようだった、　　・・・今なら・・・！</p><p align="left">気力は最大限までに上がるッ・・！！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">（今だ、行け！！）</p><p align="left">　合図とともに俺は剣を引き抜く・・・、そして走る！　　　・・・それの真後ろについたッ！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">首は伸びたり縮んだり、時々消えたように見えて狙いにくかった、・・・なら、剣先は左胸に定まる。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">上手くいくか？　いくさ・・・、絶対！！　今の俺は絶好調だ！</p><p align="left">・・・アシュリー、今度こそ終わらせる、・・すべてを！</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">「アマンダ、おまえは早く悪魔から出ろ！　間違えて刺しちまうぞ・・！」</p><p align="left">（・・・今、私が離れたら、一気に悪魔が膨張する・・・、）</p><p align="left">・・・・！　ん、それは・・・？！</p><p align="left">（・・大丈夫だ、避けている、・・早く刺せ！）</p><p align="left">・・・俺は躊躇する、本当に？　・・・大丈夫だろうか・・・？</p><p align="left">（・・・どうしても消せない悪魔のエネルギーが私を押し出そうとするんだ・・、もう、もたない・・・、早く！！）</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・この時だ、悪魔の体から黒く焦げた剣が落ちてきて・・・、悪魔の背中からもう一人の影が浮き上がる・・・、おお、その影は悪魔の背に甲羅のようにがっしりと覆いかぶさっていて・・・？</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">悪魔がもがき暴れても、・・・・必死で背に食らいつく影・・・、自身の光のオレンジを辛うじて残しつつも髪のリボンは落ちて、服はボロボロ、身は焦げて茶色く見えた・・・。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・あ、ああ、アマンダが・・・、</p><p align="left">悪魔の急所の前に・・、アマンダが、・・・重なっている・・・？！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">（ジクト、迷う間はない、今のこの好機を逃したらすべてが終わるんだ、・・・だから早く、刺せ！）</p><p align="left">「アマンダ、離れろ！！　でないと刺せん！」</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">いけない、王の剣先が細かく震え出す・・・、どうしていいかわからなくなった・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">一気にテイション急降下・・・・、　　そして、その意思を失くす？！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">おお、何やってんだ・・？　　　悪魔退治・・？！　　誰が・・？　　</p><p align="left">バカッ、・・・ンなコトできるわけないだろッ・・・、　　</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">同時に変な記憶が甦り、ますます俺はおかしくなった。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">兄アロイス、あの男は義理父であった大海賊の剣を全く使いこなせなかった。</p><p align="left">当然さ、そんな器の人間じゃないからな・・、</p><p align="left">じゃ俺は？　　・・・同じだ、あの男と・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">おお、なんてだいそれたこと・・・！　俺じゃない、アシュリーの父親ヴァルディー王の剣で、悪魔を刺す男は・・・！！</p><p align="left">もう、体がガタガタ震え出して・・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">（・・・おっ、おい、・・ジクト？？　どうした・・？！）</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">　　　　　・・・・、　ムリだ・・。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">（・・・・！）</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">アマンダは、俺の弱気に逆上するかと思ったが・・・・、</p><p align="left">予想とは裏腹に、沈んだような声が胸に染み込んできた。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">（私も無理だったんだ・・・、ケイトなら光を切らすことなく中心核に入り込みそこを刺す！　鮮やかに決めて悪魔から脱出するだろう・・・、そうじゃなかったか？）</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・・、ケイトの最後の戦い・・・、　</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・いや、そんなに鮮やかじゃ、なかった、・・・あいつも必死だった・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">悪魔が、荒れ狂うようにもがきだす・・・！　　それを全精力をもって、抑え込み・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">（・・・ああジクト，殺れ！・・私ごと・・、悪魔を、刺せ・・・！！）</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・俺の息が、一瞬止まった。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">そうか、そういうことか・・・、　　　悪かった、子供子供とバカにして・・・、</p><p align="left">本当に悪かった、甘ちゃんコンビだなんて言って・・・！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">おまえは違う、俺なんかとは、・・・・その尊いプライドは、妹だからという枠では自分を許さなかった、常にその者と対等であるべく努力し続けた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・その志はまるで同じで、間違いなくケイトを継ぐ者だ。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">いや、おまえが相手にしている敵は、ディーゴだから・・・、ケイトを超えたさ。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・・！　　　ああ、アマンダ、俺もおまえに追いつきたい・・・！！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">俺は決意する。落ちかけた剣の柄を握り返し、・・・目前のそれに剣先を向ける。</p><p align="left">震えは止まっていた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">アマンダ、おまえと俺でディーゴを殺ろう、ローレアをびっくりさせてやろう！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">（・・・私たちは二人で一人前だ・・・。）　　　　</p><p align="left">ああ、俺たちは最高のコンビだよ！</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">アマンダの光が煌々と輝いた！　ケイトの最後の光も艶やかで美しいものだったが、それ以上だと思った。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・しっかり、抑え込んでくれよ、・・・外さないから、・・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">おまえの魔法戦士としての気高い誇りと覚悟は・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">　</p><p align="left">　　その最後は・・・、　　　俺が見届けてやるッ！！！　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">実際この時の俺に選択の余地はなかった、アマンダごと悪魔を刺さなければ、悪魔の生を許すことになり、もっと最悪なことになる、・・・。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">しかし、最後の最後で俺に沸いた心は、アマンダをただ、殺したくない気持ちだけだったのか・・・？</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・常に甘い感情を持ち続け、厳しさに耐えかねない惰弱な心はいつの時も俺から離れない、</p><p align="left">この時も・・・・！　　　悲しきかな、だ・・・。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">勢いよく駆け出た！　アマンダ目がけて一気に剣を、ああ・・確かに・・・だ、が、ピタリと止まる、その背中直前・・・、あと、数ミリのところで剣は・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・・寸止め・・・、　　これからは、俺を寸止め大将とでも呼んでくれ。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・１，２，３秒経過した。・・・アマンダが力尽きるように、光の色を失くした。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">俯いて動けない俺に悪魔がニタリと笑って覗き込んだ。その醜悪な眼を見た時、強い恐怖を感じ頭の中が激しく混乱し始める。</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">その瞬間に・・・、悪魔の物凄い力が・・・、　疾風が起こった！！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">・・その体をググーッと膨らませ、その高さは空に届くほどのとてつもなく大きな怪物になった。　</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">怪物悪魔が起こした大風に巻き込まれる・・・、</p><p align="left">体が浮き上がって、アマンダとともにその風に吹き飛ばされた！　セスも・・・。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">何が何だかわからない状態になって、意識も飛んだ・・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・・王の剣も俺から離れ、遠いどこかへ飛んでいってしまった。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・ああ、アマンダ、許してくれ・・・。</p><p align="center">&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/tahamimi/entry-12280852808.html</link>
<pubDate>Sun, 04 Jun 2017 23:15:25 +0900</pubDate>
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<title>Ashley</title>
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<![CDATA[ <p align="left">・・・急に吹く強い風に、ハッとする。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">突如、森の炎上がおさまる。</p><p>周りの火が風の流れに吸い込まれて、消えていった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>その変化に不審を感じたギルが振り仰ぐ、その時に・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>木々の間から一直線に飛んできた女！ 　　その神速の動きにこの男も反応できず・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ギルの眉の間に女の足が、・・入ったッ？！</p><p>&nbsp;</p><p>ギルの体が浮き上がって、馬から、・・・落ちた？</p><p>・・・あ、ああ・・、なんて無様な・・・、ありえない光景だ。</p><p>いや、いい様だ、俺もおまえの部下に足蹴りくらったからな！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>・・・ギルはそのまま気を失った。</p><p>&nbsp;</p><p align="right">&nbsp;</p><p>女の方は足蹴りの後、宙で一回転し着地した、軽やかなアクションでポーズを決める。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「アマンダ・・・！」</p><p>&nbsp;</p><p>奥の木々から人が４，５人落ちてきた。皆、弓と小さな石の瓶に矢を刺したものを持っていて、</p><p>それが落下で横倒しとなった時、ドロッと煮えたぎった赤い液が漏れ出る。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・クソッ！」</p><p>アマンダがまた飛んで、それに魔法をかけて一度に闇に消した。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>アマンダの活躍をただ見ているだけの人になっていたら、後ろから小突かれた。</p><p>「ボケッとするな、ジクト。」</p><p>振り返ればローレアだ、アシュリーを抱きかかえていた。</p><p>&nbsp;</p><p>いつの間にか家も、家の向こうの森の火炎も消えようとしていた。</p><p>ローレアからアシュリーを受け取る。　彼女の衣服は俺が斬った男の返り血で汚れていた。</p><p>&nbsp;</p><p>「今、やっとみんなを眠らせた。」ローレアが言った。</p><p>「遅いぞ・・・、どうしてもっと早く・・・、」言いかけた言葉はとまる。</p><p>ローレアが黙ってジーッと俺を見る。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>ああ、ごまかせない。</p><p>「・・・あ、ええっと、おまえのブレスレットは・・・、」</p><p>頑張って最後まで言おうとすると、</p><p>「もういい、その運命だった、おまえに余計な負担をかけさせた。」とローレア。</p><p align="left">知っていたことはもとより、返す言葉に迷っていると、</p><p>「それより・・、」とすぐさま話を変えてきた。</p><p>「私の頭上に落ちてきた。」と言って、俺の目の前にそれを差し出す。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>・・・王の剣だ。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「その意志を失えば、剣も失う。・・・言うのは２度目だ。」</p><p>何も言わずローレアに背を向ける、アシュリーで塞がっている両手に代わり、彼女が背中に剣をはめてくれるが、非常にバツが悪かった。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ああ、やっと済んだ。」とぼやきながら、アマンダも帰って来た。</p><p>ローレアが、仰向けに倒れているギルに近づく。</p><p>いきなり彼のコートをはぐった。</p><p>その内ポケットからこぼれ出る灰色の握りこぶし大の石２個。・・・魔法封じの石！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「火矢を放つヤツラは、これを全員持っていた。眠り魔法が効かないはずだ。」</p><p>ため息まじりにローレアが言った。</p><p>「隠れた身を探すのも人苦労だ。いくら火を消しても埒が明かない、しつこく飛ばしてくるからな、いい加減にしろって思った。」アマンダも疲れきっていた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「用意周到な男だ、ギルは・・、」</p><p>ジオカルらは持っていなかった、これはギル自身の判断ような気がする。</p><p>「人によって、操りやすい者とそうでないのがいる、・・こいつは悪魔にとって思うようにならない人種だったようだ、その場合は他の者を操る手段をとるだろう。」</p><p>ローレアが言ったことは、ギルとジオカルの目的は同じでも、その過程に違いがあったことを指す、操られた王にギルは動かされたか？　だとしたら・・・。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>いつか、すべてが終わって一度だけギルにこの時の話をしたことがある。</p><p>『君と真剣対決？　誰がそんな疲れるコトを・・、夢話ならお付き合いしましょう。』</p><p>彼はそう言って笑ったが・・・。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>ローレアは俺に片腕を切られたザルガを魔法で癒していた。</p><p>「助かる命だ・・。」と言うが、必要あるか？　・・・それよりおまえたちの・・、</p><p>「今一歩遅かった。」アマンダがこう言えば、ハッとしてこの女を見て・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「アマンダ、おまえ！」　左腕にブレスレットがなかった！</p><p>&nbsp;</p><p>「最初にやられた、コイツらは石を壊してから我らを捕獲することを命じられていたんだ。・・・なに石がなくても魔法は使える、戦うことは出来る、関係ない。」</p><p>強気な発言をしたが・・、真っ先に外に出たアマンダ、あの時の悲鳴、・・おお、なんてことだ！</p><p>&nbsp;</p><p>そしてアシュリーに視線を向ける、　　　・・・沈黙した。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ああ、取りかえしのつかないことがおきたんだ・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>今や、誰一人としてその事を口にするものはいない。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・うっ、うう・・、」セスが呻いた。</p><p>&nbsp;</p><p>「立てよ、セス。」俺は近づき声をかけた。セスは地面にうっ潰れたまま、動かなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>「どうして、あんなことを・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>セスの呻く声は、泣き声だった、・・・何も答えずただ泣いていた。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーが、眠ったまま魔法を使った、・・父を助けた、・・そう思っていたが・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>この時、急にアシュリーが眼を覚ます。</p><p>アシュリー！と声をかけたが、あの時のように視線が合わず、夢から覚めないような顔で話をした。</p><p>「布がお父さんを守ったの、だって、私とともにお父さんの唄を聞いて育った布ですもの、当然でしょ・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・苦しい時も、悲しい時も、・・・楽しい時、嬉しい時・・・、いつも一緒に過ごしたのよ・・。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>それだけ言うと、また眠りに落ちる・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>「セス様があの行動をとらなっかたら、おまえは斬られ、姫は連れ去られていた。・・セス様は姫とおまえを見事守ったのだ。」</p><p>ローレアにそう言われて、初めて気がついた。</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、そうだ・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>アマンダがセスに手をかして、セスは立ち上がる。</p><p>&nbsp;</p><p>煤けた顔のセスと向き合った・・・、なかなか出ない言葉がある。</p><p>「・・・無事でよかったな。」</p><p>やっとそう言った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　＜２の７＞</p><p>&nbsp;</p><p>火炎が消えた後の森は、再び闇で静まりかえる。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>アシュリーの着替えを女たちに頼んだ。</p><p>女たちの体は石がなくても微光を保っていた。</p><p>先にアマンダが半分焼けた家に入って確認する。ゾーイの衣裳部屋は無事だったようで、アシュリーを抱え女たちとセスは中へ入った。</p><p>&nbsp;</p><p>俺だけアシュリーの着替えが済んでから中に入ったが、この時アマンダが変な顔して俺に声をかけてくる。</p><p>「・・・癒してやろうか？」</p><p>「・・はっ？」</p><p>確かに、俺の体はさっきのギルとの闘いで傷だらけなんだ、それをキレイ好きな俺自身が気にしないわけがない、・・・でも、</p><p>「・・いや、いいよ、これくらいの傷なら自分で治せるさ、それより無駄に魔法は使うな。」</p><p>アマンダを注意した。アマンダはびっくりするが、・・ああ、もう面倒なんだ、アシュリーだけじゃなく、こいつらにも言わなくちゃならなくなった。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>背中の切り傷はセスが処置した。</p><p>セスは着替えの服も持ってきたが、セスの服・・・。</p><p>「どうも。」抵抗せず着た。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>サングレ城では、悪魔らの祝いの宴が始まっていた。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">崩れた屋根の上にテーブルが置かれ、並べられた肉とワイン。</p><p>不安定な場所に１０代の小生意気な少年が椅子に座ってくつろいだ。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「ググールのヤツは参加させないんデ？」気の悪魔が言った。</p><p>ディーゴは肉とワインを指す。</p><p>「これがググールだ、主役は一番目立つところだ。」</p><p>「功労者を・・、未成年の突発的凶行カ。」</p><p>「酔狂かな・・フフ、おまえも食べろよ、マズいけど。」</p><p>「遠慮するヨ。」</p><p>気の悪魔シラケた様子で、そのまま消えた。</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴは、一人食事を嗜みながら笑う・・、「・・・フフフ、やった、遂に、・・・、」</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="right">&nbsp;</p><p>女の石が、・・・壊れた！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p align="left">「・・フフ、女たちは、我が庭サングレの森の中だ、すでに僕の手の中となった。」</p><p align="left">ディーゴはいつもの三角水晶を出してきた。</p><p>「女たちの影だ、３人いる。・・・一人消えていた、死んだのかな？・・フフ、わかる、すべてわかるぞ！」</p><p>グッと覗けば、水晶の奥の光がディーゴの眼を刺す。</p><p>「う″っ・・！」　目が痛くなった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ふん、まだ抵抗するか？　ウフフ、それも間もなくだ、遂に僕は光を超える初めての悪魔になるっ！」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴは、テーブルもイスも蹴散らかして、凛と立つ、・・声を張り上げた！</p><p>&nbsp;</p><p>「集え、我が地に・・、集え、我が同士たち！　この地に侵入者だ、探し出せ！　我が手によって裁きを与えよう・・・、フフフ、早く、急ぐのだ！！」</p><p>&nbsp;</p><p>不穏なモノたちが眼を覚ます・・・、サングレの森に大きな騒めきが起こった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>セスの家で女たちの顔はますます厳しくなった。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>「これからどうするんだ・・？」</p><p>俺が問えば、誰からも返事はなく沈黙する。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「ここを出よう。」ローレアが立ち上がった。</p><p>皆も立ち上がる。俺はずっとアシュリーを抱えたままだったが、</p><p>「ローレア、アシュリーは・・？」起こした方がいいかどうか迷う。</p><p>ローレアは目を細めてこれに答えた。</p><p>「姫はそのまま、寝ておられた方がよい・・・。」</p><p>「そう、だな。」</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアはセスに言った。</p><p>「あなた様はここに残られても大丈夫です。中で寝ている人間は外に出します。・・・すべてが片付くまで、是非そうなさいませ。」</p><p>「そうだ、セス、おまえはここにいろ！」俺も賛同した。</p><p>セスは首を横に振った、「足手まといは分かっとります、しかし、こんな俺でもアシュリーの為に何か出来ることがあれば・・・、共に行かせてほしい。」</p><p>「わかりました、・・ありがとうございます、セス様。」</p><p>反対するどころか、ローレアは絶対足手まといにしかならない男にお礼まで言った。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>そんなこんなで全員でセスの家をあとにする。殆ど荷物らしい荷物は持たなかった。食料品も置いていくことになった。</p><p>俺はアシュリーをシーツに包みその先を肩と胴に通して背中でくくり前で抱え、背中にも王の大剣を持つという大荷物だ。・・・すっかり定番スタイルなった。</p><p align="center">&nbsp;</p><p>それから皆がバラバラになって暗い道を南に歩いた。</p><p>・・・南といえば、ミア村だ。ただ歩けば、どのくらいかかるのか・・・。</p><p>セスがもう、寒さと疲れで止まり勝ちとなる。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「もちろん、ずっと歩くわけない。」</p><p>アマンダが言った。</p><p>「飛ぶことは・・・、」俺がいつものセリフを言おうとしたら、ローレアが立ち止まる、・・・皆もつられて止まった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ここより別れる、私は姫を連れてミアに行く、・・・ジクトおまえは・・・、」</p><p>一度言葉を切った。</p><p align="center">&nbsp;</p><p>・・・俺は？</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアは目を閉じた。・・・開けた時はセスを見ていた。</p><p>「・・・誠に申し訳ございません、セス様を連れて飛ぶことができません。しかしながらセス様もそのお覚悟でここまで来られた、・・ジクト、これより先はおまえがセス様と行動を共にしろ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・！　　　まさかの、投げやりィ？</p><p>&nbsp;</p><p>「ローレア、そりゃ無責任だ、こいつを連れてどこへ・・・？」</p><p>「ジクト、私もおまえと行く。」</p><p>アマンダが、突如言った。</p><p>・・なんて？　俺は振り返る。</p><p>&nbsp;</p><p>その女の微笑した瞳の奥の燃え滾る闘志・・・、戦う眼！</p><p>&nbsp;</p><p>「ここで、悪魔を迎え打つんだ。」</p><p>「・・・・。」</p><p align="right">&nbsp;</p><p>俺とアマンダ二人で・・・、　ああ、そういう事か・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーとは別れる・・・、彼女はミアへ・・・、ローレアが付くんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は２，３度頷く。</p><p>「ローレア分かったよ、特に問題なしだ、セスは・・、アマンダもまとめて俺が面倒みよう。」</p><p>「何で、私がおまえに面倒みてもらわにゃならんのだ、・・・逆だろ！」</p><p>アマンダが大仰に怒ったが、子供うるせーと思って無視。</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリーを頼むよ。」彼女をローレアに渡した。</p><p>しっかり抱きしめローレアは頷いた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>俺は眼を閉じる、・・・眼を開けた時には、背中に手をかけていた・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>引き抜いた剣を宙で一振りする！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「おまえ何か言えよ、私がせっかく・・、」子供がブツブツうるさい。</p><p>&nbsp;</p><p>剣をしまって、くるっとこいつ見る。</p><p>「アマンダ、よろしくな！」軽く笑ってサラっと言うと、</p><p>「あ、ああ、そうな・・。」アマンダは済ました顔になって黙った。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「・・・悪魔が結界を解いた、我らを探し森を彷徨っている。一刻も早くここを出てミア村に行き、そこで新たに結界をかけて守り体制に入る。・・・朝までには着きたいのだ、よって・・、」</p><p>ローレアが、この判断に至った経緯の説明を始める。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「全員が逃げることは時間的に厳しい。やはり石がない影響は大きいんだ。」</p><p>「俺とセスが重いからな、わかるよ。でもミアに行けば、おまえの新しい石があるのだろう？」</p><p>その石でまた戦えると思ったが・・・、</p><p>「・・・、ない、あるのはアマンダと、夫となるカイの石だけだ、しかもそれは戦う石ではない。」</p><p>「・・・どういうことだ？」ローレアの返事は耳を疑うものだ。</p><p>「我らに与えられた石は、今日の為、悪魔と戦うために与えられた石だ、もし失くせば代わりはない、・・・そういうコトだ。」</p><p>「何の為にあの時、石取りに行ったんだ？」</p><p>「おまえの為だと言った、おまえの剣修行だ、・・ケイトが考えた。」</p><p>「・・・・。」</p><p>「今はもう、こんな話はしなくていい、おまえはここでアマンダと悪魔を食い止めてくれ、・・・いいな。」</p><p align="left">&nbsp;</p><p>この言葉に黙った。・・・“悪魔を斃せ”ではなかった。</p><p>ローレアの出した指示は最悪の事態を想定した、切羽詰まったもの。</p><p>かなり状況は不利だ、俺たちは追い込まれている・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「屍になっても、悪魔に食らいつけってことか・・、」</p><p>「重く考えるな、姫の回復を信じよ、・・・時期が来れば必ず我らに勝利は向く。」</p><p>&nbsp;</p><p>アマンダは姉の言葉に唇を噛む、・・・悔しそうな顔をした。・・姉は俺たちでは悪魔は殺せないかもしれないと言ったんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は？　　俺はそうでもない、冷静にこの事態を受け止められる。一度悪魔と戦っている経験もあるし、勝てないかもしれないという考えは普通にあるさ。・・・なら、どうするんだ？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・俺は？　　俯いてジッと考える、・・・・悪魔を引き留める方法。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ふと、何かひらめいて顔を上げた時、「ここは・・・？」アシュリーの声だ。</p><p>ローレアの腕から降りて、辺りを見渡していた。</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリー・・・、」</p><p>俺が呼ぶ前に、セスが声を出していた。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・お父さん・・、」アシュリーも父を見る。</p><p>&nbsp;</p><p>「ああ、アシュリー、俺は・・・、」セスは何かを言いかける、・・いや、わかっている。</p><p>アシュリーとセスは近づいて、たがいの腕を押さえ合った。</p><p>&nbsp;</p><p>表情を歪め俯くセスに、アシュリーは優しく声をかけた。</p><p>「お父さん、・・布が、役目を終えたのね、・・・ありがとう。」</p><p>&nbsp;</p><p>俯いたままのセスの顔から雫がボタボタと落ちている。</p><p>「もう、大丈夫だって・・・、」困った顔でアシュリーは父を抱きしめる。</p><p>「ああ、ごめんよォー、アシュリー・・・っ！」セスはさらに泣いた。</p><p>&nbsp;</p><p>これを見ていた俺、・・・不覚にも涙が・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは顔を上げた、俺と視線が合う・・、俺は彼女に歩みを寄せるが・・・、</p><p>「ジクト、姫には私から説明する、おまえとセス様は少し離れていてほしい。」</p><p>この時のローレアの顔が表情なさすぎで怖い。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は黙って頷いて、半ベソのセスの手を取ってここを離れる。遠くから見守ることに。</p><p>&nbsp;</p><p>横でアマンダが立っていたが、こいつもよく外されるな、と、ちょっぴり気の毒な眼で見た。</p><p>&nbsp;</p><p>いつもはどうでもいいアシュリー、ローレア密談。今回は神経を集中させてジッと見る。</p><p>アシュリーの表情は背中を向けていて見えなかったが、ローレアは見えた。会話は聞こえない距離だが・・。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>この二人は考えが合わない・・・、戦うことで結果を出したいローレアと、戦わずして丸く収めたいアシュリー。</p><p>&nbsp;</p><p>言い争いになるのではないか・・・？</p><p>・・・アシュリーがこう切り出す、“ジクトをここに残して、悪魔さんと戦わせるのは反対よ。”</p><p>そしたらローレアが、“姫、これはもう決まったことです。すべてはあなた様を守る為、我らの考えに従ってもらいます。”　ときつく言う。見ろ、あの顔だ。</p><p>&nbsp;</p><p>“私が眠っている間に勝手に決めたことでしょ、認めないわよ・・・。どうしてもっていうんだったら私は彼と一緒にここに残るから。”とアシュリーは負けない、食い下がるんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>“ダメです、姫は私と共ににミアに行くのです！”ローレアも折れない、女同士がガチでぶつかり合う。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>“ロレーア、あなた私が、悪魔さんを殺さなかったのを根に持っているのでしょう？”</p><p>おお、アシュリーが・・・！　話が今の危機的状況の原因に迫った！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>ロ「その通りです。ここまでこじれたのは姫のせいなのです、これ以上のわがままは、もう許されません。」</p><p>ァㇱュ「わがままじゃないわ、私は信念を通しただけよ、あなたは意地悪よローレア。あなたはジクトを悪魔さん退治に扱き使っているだけの人よ。」</p><p>ロ「ンま、人聞きの悪い。」</p><p>ァㇱュ「これ以上ジクトをいじめるなら、あなたの秘密をばらしちゃうわよ。」</p><p>ロ「・・・私に秘密などありません。」</p><p>ァㇱュ「ウフフ、私知ってるのよ、あなたの背中に大きなイボがあることを、一緒に拭き湯した時見たわ。」</p><p>ロ「おお、姫、それは困ります、結婚出来なくなります！」</p><p>ァㇱュ「・・・！　あなた、結婚する気あったの？！」</p><p>ロ「悪いですか？」　　・・・ホントかい？</p><p>&nbsp;</p><p align="center">&nbsp;</p><p>「おまえ、なにやってんだ？」</p><p>アマンダが、聞いてきた。</p><p>「一人二役の演技さ、・・・それっぽかっただろ、女の声色も出来るんだ、アシュリーはともかくローレアは上手かっただろう、ま、こんな事は得意さ。」</p><p align="left">&nbsp;</p><p>「おまえ、悪魔の餌にしてやろうか？」・・・やっぱ、まずかったね？　「・・・どうも。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト、アマンダと何を楽しそうに話しているの？」</p><p>ローレアとの話が終わって、アシュリーが俺によって来た。</p><p>「いや、別に、・・・おまえ、歩いて大丈夫か？」</p><p>「ええ、ごめんなさい、心配かけて・・・。」彼女は穏やかな顔だ。</p><p>俺は、アシュリーの体を支える。・・・自然に抱き合う形になった。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>アマンダとセスがそっと後退する。・・・アシュリーの後ろからローレアが近づいた。</p><p>&nbsp;</p><p>「今、姫も我らの考えに賛同した、計画通り事を進める・・・。」</p><p>ローレアが淡々と言う。</p><p>「アシュリー・・・、」俺は彼女を見る。</p><p>「ローレアには、叱られたわ、・・・あなたにもたくさんの迷惑を・・・、」</p><p>「・・・・！　ローレア、アシュリーに何言ったんだ？　まさか、責めたのか？」</p><p>俺の演技がジョークにならなかった？</p><p>これにローレアの一言が、「ジクト、私は結婚する気はない。」</p><p>・・・ゲッ！　　聴いていやがった。・・・アシュリーはこらえきれないように笑い出す。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・しかし、和んでいる場合じゃないよな？</p><p>ローレアは笑わない。俺も真顔になった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ローレア、一つ考えが浮かんだのだが・・・。」</p><p>ローレアは眉をひそめた。「なんだ？」</p><p>&nbsp;</p><p>「悪魔を騙す方法だ。おまえたちに魔法を使わせることになるのだが・・、ここに残る俺たちの中で一人、アシュリーに化けるんだ、それで本当のアシュリーは、変えたその者にする・・・、すなわち代替作戦だ、・・・悪魔はアシュリーをまた狙ってくると思うから・・、」</p><p>俺は語尾を強める！</p><p>「何もしないより、確実に時間を稼げるさ！」</p><p>&nbsp;</p><p>これに、全員、顔を見合わす。</p><p>&nbsp;</p><p>「うまくいけば、偽アシュリーに惹きつけられた悪魔を刺すこともできる、その間にローレアは本物のアシュリーを連れて逃げてくれればいい。」</p><p align="right">&nbsp;</p><p>ローレアはずっと難しそうな顔をしている。</p><p>「・・・無駄か？」</p><p>「・・・いや、そんなことはない、やってみよう。」ローレアがその気になって顔を上げた。</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえにしてはいい考えだ、ジクト。」さらに俺を褒めた・・？　ありえないことだ・・・、</p><p>いや浮かれない、俺は真剣だ！</p><p>&nbsp;</p><p>「誰が、姫様になるんだ？」アマンダが聞いた。</p><p>「それだけど、おまえが・・・、」俺は言いかける、・・ま、ここはアシュリーとアマンダが代わるのが無難だろと思った。・・・するとセスが、</p><p>「性別が違っててもできるのだろうか？　男が女の・・、アシュリーの姿になれるのか？」と聞く。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「出来ます。同性じゃなくても、術に差はありません。」ローレアが答える。</p><p>&nbsp;</p><p>これに俺は考えた。・・・アマンダが主戦力なるんだったら、俺がアシュリーになった方がいいんじゃないか？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・！　俺がアシュリーになる？！　思いつかなかったことだけど、・・・いいかもしんない！</p><p>&nbsp;</p><p>「どれだけその、アシュリーに近づけるんだろうか？　どうしても魔法でも変えられないところもあるんじゃないか？」　さらにセスが聞いた。</p><p>「近づける？　・・いいえ、そんなレベルではありません、我らの複製魔法はどんな個体からでも寸分違わず、その形に再現できます、もう、どっからどう見ても姫になります、・・・細部まで・・。」ローレアは答えた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・細部まで・・・、　おお、そりゃ！</p><p>&nbsp;</p><p>何を想像したかは、言わないけど、もう、俺がアシュリーになるわ、・・・女の体になるチャンスなんて、そうない、よな・・・。</p><p>「ロ、ローレア、俺が、・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>「俺が、アシュリーになるよ！」セスが割り込んだ。</p><p>いけない男の小さな声はかき消されて・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・！　セス様これは危険です、お任せできません。」とローレア。</p><p>「そうだ、セス、・・・俺が・・、」また、かき消されて・・、</p><p>ロ「アマンダ、おまえがやれ。」アマ「・・はい。」</p><p>&nbsp;</p><p>「いや、待ってくれ、ぜひ俺にやらせてほしい・・、こんなデブっちょでも完璧にアシュリーになれるんだったら・・・、役に立ちたいんだ！」</p><p>セスが食らいつく！</p><p>「お父さん！」アシュリーが、声を上げた。</p><p>&nbsp;</p><p>「セス、アシュリーが心配するさ、・・・俺が・・、」</p><p>喋ろうとする俺の体をアマンダが押し退けて前に出た。</p><p>「セス様、私が責任を持ちまして、この任務お受けいたします。」</p><p>&nbsp;</p><p>撃沈するいけない男、でもこれで負けないさ・・・、また起き上がって、「だから、俺が・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>「いや、アマンダ、やっぱりセス様にお願いしょう。」</p><p>ローレアが翻った。「おまえと、ジクトで徹底的にセス様をお守りするんだ。」</p><p>・・・ど、どうしてそうなった・・？</p><p>「セス様の方が悪魔を惑わせられるかもしれぬ。戦力も多い方がいい、セス様にも参戦していただき、効率よく攻めよ。」　「わかりました、姉さん。」</p><p>「・・・・。」</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「お父さん、大丈夫なの？」アシュリーが父に声をかけた。</p><p>「嬉しいよ、少しでもおまえの役に立てる！」セスが鼻息荒く言うと、</p><p>「無理しないでね。」娘は父をいたわった。</p><p>&nbsp;</p><p>俺以外の満場一致で、セスがアシュリーになることが決まる。・・・って、おーい、俺を無視しずぎだろっ！</p><p align="left">&nbsp;</p><p>「どうした、ジクト、何か言いたいことがあったのか・・・？」ローレアがわざとらしく言ったが、・・ああ意図的な行為か、もう、いい。「別に、それでいいよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ジクト・・、」アシュリーが俺を呼んだ。</p><p>「アシュリー・・・。」俺は彼女の傍へいく。</p><p>&nbsp;</p><p>俺たちは・・・、ここで離れ離れになる。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの言葉を待ったけど・・、先に俺が言った。</p><p>「ちゃんと、ミアまで行けよ。」</p><p>「・・・うん、大丈夫、お父さんになって行くから・・・。」</p><p>「・・・！　おい、ローレア！」</p><p>カッとして振り返る！</p><p>「・・・おまえが提案したことだが。」　そうでした。</p><p>「ごめんアシュリー、変なことさせるけど・・・、」</p><p>「・・ふふ、全然。」首を横に振って笑った。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は背中から鞘ごと剣を引き抜いた。</p><p>「これは、・・・おまえのお父上の剣だ、立派な剣だろ、力が湧くよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは剣の鞘の部分をそっと撫でたが、剣については何も言わなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ごめんなさい・・・、そばにいられなくて。」そう言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「これで悪魔を斬って、おまえをミアへ迎えにいく。・・・この剣なら今度こそ絶対いける、大丈夫だ。」</p><p>彼女は悲しい顔して俯いて・・、</p><p>「俺がおまえの国を取り戻すよ・・・。」</p><p>俯いたまま小さく頷いた。・・・もう、その頬にそっと手を添えて・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、濡れている・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリー、　君は、なんてローレアから説得された？</p><p>&nbsp;</p><p>あんなに俺と一緒にいることを望んだのに・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>誰が見ていてもかまわないと思った、想いが止まらなくなって彼女の体を引き寄せ、強く抱きしめる・・・！</p><p>「・・・ジクト・・・。」</p><p>時間はもうない、でも・・、「今暫くは・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>君とこうさせてくれ・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>少し離せば、アシュリーの顔がこんなにも近くて・・、紅潮させた頬にまた涙が流れる・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>そして・・・黙って眼を閉じた。・・・ああこれは・・・、待っている。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>俺は躊躇する、・・・一瞬にいろんなことが頭を駆け巡った。</p><p>&nbsp;</p><p>最終的に、『やるべきか、やらざるべきか？』・・・それが問題だ！</p><p>&nbsp;</p><p>いいのか？・・・いいんだ、ここにいるヤツラ全員の公認の仲だ、俺とアシュリーは、・・・だからシテいいだよ！</p><p>&nbsp;</p><p>この一瞬に訪れた恋人たちの時間を、大切にしたい！　・・・みんな見てるけど・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>決心して彼女に顔を寄せて・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>この時、ローレアが、「悪いが本当に時間がない、早くしてくれ。」と言った。・・・、早々にアシュリーから離れた。</p><p>&nbsp;</p><p>数えてみる、・・・色々と、６回目の寸止めだった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>石のない女たちは仕事を分担する、アシュリーをローレアが、セスをアマンダが担当することになった。</p><p>ローレアのかけた魔法は、アシュリーを瞬く間にセスに変えたようだった。・・俺はこれを見ないようにした。</p><p>セスに変わったアシュリーに黒い頭巾が被せられた。</p><p>&nbsp;</p><p>さて、こちらはアマンダがセスを座らせ、その前に立つ。</p><p>「アマンダ、慎重にやれよ。」俺はハラハラする、こいつは時々失敗するから・・・。</p><p>「うるさい、気が散る！」不機嫌に言い返した後、アマンダは集中する、眉を寄せ厳しい表情をした。</p><p>しかし握りしめた両手には光が集まって・・、その光をパーッとセスにかける。・・・！</p><p>さすれば、おお・・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>もう、髪の毛一本から足の爪の先まで、寸分違わぬ・・、</p><p>「アシュリーだ！　やったな、アマンダ！」</p><p>「フン、オーバーな、これぐらいは普通だ。」済まして言うが、軽く息が切れているぞ。</p><p>&nbsp;</p><p>俺はアシュリーになったセスに触ろうと、恐る恐る・・、おや？　</p><p>&nbsp;</p><p>この違和感は・・、すぐわかった。</p><p>&nbsp;</p><p>「アマンダ、失敗だ・・、アシュリーからオッサンの加齢臭がする・・。」</p><p>俺の指摘にアマンダは顔色を変えた。「それは・・・、」</p><p>これに姉も、</p><p>「そうだ、匂いは変えた方がいい、姫もそうしよう。」と言う。</p><p>「そうか。」アマンダも頷いた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・匂いもつけた方が、よりその本人に近づく・・・、納得だ。</p><p>&nbsp;</p><p>早速アシュリーに、オッサンの匂いが付けられた。</p><p>&nbsp;</p><p>アマンダもセスのアシュリーに魔法をかけ直す。・・・すると、今度はアシュリーの香りが、ここまで漂ってきて・・・、一瞬セスのアシュリーにフラッとなりそうに・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「どうした、私の完璧な出来にうっとりしたか？　抱きしめたくなったか？・・・さっきの続きしていいんだぞ！」</p><p>子供がしたり顔で大人をからかう。</p><p>「おまえが作ったアシュリーなど、すぐボロがでそうで心配だ。」「なんだとっ！」</p><p>&nbsp;</p><p>「我らは行くぞ。」</p><p>ローレアが、セスになった本物のアシュリ―を連れて行こうとしていた。</p><p>俺は去り際の背に、咄嗟に言う。</p><p>「あ、ローレア、アシュ、・・セスを頼むよ！」</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアは振り向かず立ち止まる。そして言うことは、</p><p>「悪魔を剣で狙うなら、それは人の姿の時だ。・・・そして急所は必ず背中から刺せ、真正面は操られる。」</p><p align="left">&nbsp;</p><p>・・・忠告だ。　　真正面は操られる・・・、ハハ、自嘲するさ、「経験済みだよ。」</p><p>「そうだったな。・・・おまえこそ頼むぞ。」</p><p align="center">&nbsp;</p><p>・・・二人は闇に消えた・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>こっちは俺とアマンダ、偽アシュリーが残る。</p><p>&nbsp;</p><p>アマンダはサングレ城の方を指さした。「歩こう。」</p><p>&nbsp;</p><p>行き先が決まったので、俺はアシュリーに、「行こうか。」と声をかけ手をとった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクトさん、手はやさしく握ってね。」　・・・・・。　俺の動きがフリーズする。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「おい、アマンダ。」　「なんだ。」</p><p>&nbsp;</p><p>「声が、違う。」　「声までは難しかった。」　シラっと言った。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・、おまえはやっぱり半人前だ、アマンダ・・・、</p><p align="center">&nbsp;</p><p>「こんな、オッサン声、すぐバレるだろーがっ！！」</p><p>「しょうがない、顔がこれだけ完成されているんだから、いいんだ！」</p><p>アマンダがむくれたように言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「やっぱりダメだったか？　頑張ってアシュリーの声っぽくしてみたんだが・・・。」　</p><p>おお、一度ならず二度までも、アシュリーの顔から男のダミ声が・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p>「・・ふざけるな・・、セス！　おまえの声でどう頑張れば、アシュリーになるんだよッ！！」</p><p>「無理か、アハハハ・・、」</p><p>・・・アハハハ、ではすまない。アシュリーの清らかな顔が・・・、禁忌行為、冒涜だッ！！</p><p>&nbsp;</p><p>「喋るな・・、ああ、絶対喋るな、セス、今度喋ったら、俺が殺すっ！」</p><p>「ああ、わかったよ、もう絶対喋らん、おまえもな、ちゃんと俺をアシュリーと呼べよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ああ俺は、この男の胸ぐら掴んで、「・・・だからっ！わかってない！　おまえの声で悪魔にバレたら、すべておしまいなんだ、・・俺との応答は首降りだけでいい、・・・わかったら頷け！！」</p><p align="right">&nbsp;</p><p>この時にやっと、セスが無言で頷いた、・・・ったく、どこまで頭が悪いのか・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト、遅れるな！」アマンダが先を急ぐ。</p><p>俺はこのアシュリーもどきの手を振り払う、袖を人さし指と中指でつまみ引っ張った。</p><p>もう、これでいいさッ！</p><p>&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">枯れ木の風に揺さぶられる音が、ザワザワと耳に迫ってきた。</p><p align="left">不気味な空気は増していく。</p><p>&nbsp;</p><p>遠くから悪魔の呻き声のような地響きが聞こえているのは気のせいか？</p><p>&nbsp;</p><p align="right">&nbsp;</p><p>・・・俺たちを探している・・・、　　その存在を確信する。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">アマンダの体から放たれる光のおかげで、１０メートル先なら景色は見渡せた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>ふと、アマンダは立ち止まってキョロキョロする。</p><p>「なんだ？」と問うと、</p><p>「５００メートル先に悪魔の群れが見えるんだ。でも出来るだけ今は戦いたくない。闇の戦いはどう考えても不利だ、だから結界を作って待機しよう。」　</p><p>アマンダがこんなこと言った。先ほどの夜戦でよっぽど疲れたらしい。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">「姿は消して姫様と私の香りだけ残せば、悪魔たちは寄るだけ寄ってくるだろう・・・、戦わずして時間を稼ぐんだ。」</p><p align="left">子供たちの匂いで、色悪魔らをどれだけおびき寄せれるかは別として、俺も、</p><p align="left">「うん、それで朝までいけたらいいな。」と言った。・・・朝になれば逃げ切れる。</p><p>&nbsp;</p><p>「それに朝になれば多少は空の光も出るから、エネルギーの足しにもなる、戦いに有利だ。」</p><p>&nbsp;</p><p>無鉄砲な女が慎重になった。　・・・窮地が、人を成長させる。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>セスアシュリーは顔を伏せて体を震わせる、近くで不穏な音が出れば、飛び出すんじゃないかと思うほど目を見開き腰を浮かせ驚いた。そんな様子は全くアシュリーじゃない、間違えてキスしてしまうような事故はない、絶対。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>黄緑の葉が土から生えている空気のよいところを見つけ、アマンダは結界をかけるが・・・、</p><p>「あまり邪気が強いと、うまくかからないことがある・・・、」</p><p>不安な様子をみせる、いつになく弱気だ。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「自信持てよ。」俺がこいつを励ますような事を言うなんて。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>３人で身を寄せて座り込んだ。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="center">&nbsp;</p><p>中にいれば少し暖かい。今までの緊張が和らいできた。とりえずアマンダの作った結界は合格だ。</p><p>セスアシュリーも安心したのか、落ちようとする重い瞼を懸命に上げる仕草が・・・、</p><p>「・・・朝まで少し間があるから休め・・。」</p><p>っと言ってやると、</p><p align="right">&nbsp;</p><p>グッ…、グワォーッ　ブ、・・・・グッ・・バォー、ブッ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>不規則なイビキが聞こえて・・・、即行寝始める。</p><p>&nbsp;</p><p>せめて寝ている時ぐらいは、アシュリーでいてくれと思うが、・・・、そんなこと思う方がバカだった。</p><p>汚くヨダレも出す、・・やがてその顔は地面に衝突しそうになり・・・、</p><p>俺が体を支え肩を貸した。</p><p>こんな時によく寝れるよなと思う・・、気が小さいかと思えば大胆な行動に出る人騒がせ能天気おじさんなんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>ただ、その髪の香りだけは・・・、少し我慢が必要だった。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえ、なんか面白い話しろよ。」俺がアマンダに声をかけた。</p><p>「随分落ち着いているな、おまえ・・・。」アマンダが言葉を返す。</p><p>「おまえの結界が案外丈夫だからな、安心した。」</p><p>「うるさいな、それにしても気の乱れを感じない、・・・、おまえ、やっぱ変わった？」</p><p>「・・えっ？」</p><p>言われてそうだなぁ、・・と思う。確かに今までの俺とは違う、この状況で殆ど怖さがなかった。</p><p>それはきっと、背中の王の剣のせいだ、この剣を抱えているから、・・・それだけだよ。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>でもまともに答えない。</p><p>「俺はもとよりストイックな人間だ。・・・それでちょっといい男だ。」</p><p>「・・・ハア？　何言ってんだ？」</p><p>「俺の魅力がわかんないのは、おまえとおまえのあの姉だけだったさ、俺は城ではモテるんだよ。」</p><p>「知るか！　今の言葉は撤回だ、やっぱりおまえはうぬぼれやのクソ男だ！」</p><p>アハハ・・・、と笑って俺は木にもたれた。なんだかこんなやり取りは楽しい・・・、</p><p>アマンダの顔をチラッと見る。・・・あの女もこう言うんだろうな。</p><p>こうしていると、一緒にいる気になる。</p><p>&nbsp;</p><p>「ケイトがさ・・・、」とアマンダが話をきって・・、ドキっとなった！</p><p>「今何で、ケイトの話が出る？！」</p><p>「・・・変か？　おまえにわかる話で他に思いつかなかっただけだ、・・・イヤならやめる。」</p><p>「い、いいや、やめなくていい、・・・かまわん。」</p><p>&nbsp;</p><p>「ケイトって、なぜかあれで男に人気があったんだ、それがくやしくてさ、張り合ったな、今思うとおかしいけど・・・。」</p><p>アマンダは悪気ない様子で話を始める。</p><p>&nbsp;</p><p>「いっつも村の若い男たちにつきまとわれて、しつこいヤツから順番に湖に沈めていた。それを男たちはバカみたいに喜ぶんだ。ホントバカな話さ。それが５年前に他の村から異民族の男衆が流れ入ってきてその中にカナロアがいた、やっぱりケイトに目を付けていたな。」</p><p>カナロア・・、ケイトの夫。　</p><p>「カナロアはリーダ格の男だ、腕っぷしもよくって、子ども１０人腕にぶら下げて歩いていた。喧嘩も強くてさ、アームファイトではケイトに勝ったんだ・・・、」</p><p>「・・・ふん、」俺の相づちに意味はない。</p><p>「前の村で戦争に駆り出されていたらしい、１０人散らしのカナロアと異名が付くほどの強者だったらしいけど、農作業する姿しか知らない、黙々と異国のアクセサリーを木で彫って作ってた、『戦は飽きた。』とはよく言ってたな。」</p><p align="center">&nbsp;</p><p>カナロアは想像した男と違った、俺とは真逆のマッチョな男だった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ケイトは相手にしないと思っていたんだけど、いつの間にかお腹にオルマが・・・、大婆様バレて慌てて結婚したんだ、・・・イメージと違うだろ。」</p><p>アマンダは笑ったが、俺は笑えなかった。</p><p>「もういい、話題かえろ。」</p><p>「やっぱ、つまんなかったな。」</p><p>「・・・、おまえはどうなんだ、いるんだろ？」</p><p>「・・・カイか？」アマンダはサラリ自分の男の話も始める。</p><p>&nbsp;</p><p>「カイは、ヘタレだ・・・、」もう笑った。「どこがよかったんだ？」</p><p>「いいところは一途なとこだけだ。子供の時からよく一緒に遊んだ幼馴馴染みで、１７になっても子供っぽさが抜けないどうしようもないヤツさ。」</p><p>・・・ハハ、似た者同士の子供カップルだ。「でも、好きなんだろ？」</p><p>「さあな、カナロアに憧れていてさ、今回の旅に出る時、カナロアがケイトに手作りの髪飾りあげているのをあいつ見て、自分でパンツ縫って私に『これをオレだと思ってはけ！』って言って持ってきたんだ。まあ、おかしなヤツなんだ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・、なんてダルい。こいつの男の話ももういいと思った。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・で今、はいてんのか？　そのパンツ。」なにげなく視線はそこに向けて問えば・・・、</p><p>「どこ見てんだよ、このクソエロ男が！！」　頭小突かれた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>それから俺も黙って眠りに着こうとしたが、ふと、アマンダが話かけてきて、</p><p>「おい、ジクト・・、」</p><p>この呼び方が、もうそっくりだ。・・・「なんだ？」</p><p>「大悪魔が出たら、先私だ。」</p><p>「いや、俺が先に行く、おまえは切り札だろ。」</p><p>「大悪魔は私だけで仕留める、おまえは予備だ。」</p><p>「・・はァ？　俺がいらないと？　よく言ったな。」</p><p>アマンダは切り株の台を魔法で出してきて、腕をめくり上げた。</p><p>「納得いかないなら、アームファイトで決めよう！」出た、庶民のお楽しみゲーム！</p><p>「めんどいけど・・、」と、俺も袖をめくった。台の上で互いの利き腕を握り合い・・・、</p><p>「ファイト！」アマンダの掛け声で、腕に力をいれた。</p><p>が・・・、あっさり負けて、先攻はアマンダだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえの出番がないわけじゃない、姉さんに言われたこと忘れんなよ？」</p><p>「・・わかってるよ。」</p><p>調子に乗りやがって・・、もう言ってしまう。</p><p>「おまえ、無駄にケイトに似てくるな・・・。」</p><p align="left">&nbsp;</p><p>アマンダは俺を見下すような変な目つきになって、「ふん、気になるか？」と言った。</p><p>「・・・いや、」視線をそらす。</p><p>「おまえがチョッカイ出したから、ケイトは姉さんに叱られたんだ・・！」</p><p>「・・・エッ？」　いきなり話はどっちだ？！</p><p>「おまえとの関わりを禁止されて、・・・あいつと何もないのにどうしてと、怒っていたけど・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・あっ、あの時、と思った。　　・・ケイトが俺を無視した、あの時・・・。</p><p>「だけど、本当に何もないんだけど・・・。」俺も言う。</p><p>「知るかよ、どうしてケイトばかりがモテるんだ、・・もう！」やっぱりどっか反応が子供で、・・いや、助かるよ。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・でも俺とおまえが戦うって、ちょっと笑えないか？」</p><p>「どういうことだ？」</p><p>「俺とおまえで、甘ちゃんコンビだ。」　「・・はぁ、・・？」</p><p>「兄弟３番目の、何か足りないコンビだ。」「・・・おい！」</p><p>俺は笑う、アマンダは笑っていなかった。</p><p>「クソーッ、おまえェ、どういうつもりだッ！？　大事な戦いの前になんてコトを！！」</p><p>眼を見開いて大憤慨した。</p><p>「私には覚悟がある、おまえとは違う！」</p><p>「そうだ、３番目のクソ意地と気迫を見せつけようじゃないか。」</p><p>「おまえに言われなくても、そのつもりだ、・・・クソッ、覚えてろよ！　悪魔を殺った後、次はおまえだからな・・・！」</p><p>「いい調子だ、・・ハハハ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・夜明けまで、もうすぐだ。</p>
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<link>https://ameblo.jp/tahamimi/entry-12271707723.html</link>
<pubDate>Thu, 04 May 2017 23:45:27 +0900</pubDate>
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<title>Ashley</title>
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<![CDATA[ <p align="center">&nbsp;</p><p>　　＜２の６＞</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアは東の方角をジッと見た。</p><p>「結界をかけた中にいれば、外の様子を感じにくいんだ、・・いずれにしても、囲まれている・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>悪魔・・？　　唖然とした、　もう、そんな事に？</p><p>&nbsp;</p><p>高鳴る鼓動の中、気を集中させる、手中の王の剣を強く握りしめた。</p><p>&nbsp;</p><p>「結界をかけていれば、悪魔にこの家は見えないのだろう？」</p><p>自分に言い聞かせるように問えば、</p><p>「・・・悪魔なら、そうだ。」と、少し間を置いてローレアは答えた。</p><p>&nbsp;</p><p>「私が見てくる！」</p><p>アマンダが走って外に出る！</p><p>左二の腕のブレスレットの石がスカーフを通して光ったのが見えた。</p><p>「待て！　アマンダ！」</p><p>ローレアがこれを止めようした？</p><p>しかしアマンダには聞こえなかったか？　・・・戻ってこない。</p><p>&nbsp;</p><p>その直後・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「・・キャアーッッ！！」</p><p align="center">&nbsp;</p><p>女の悲鳴が・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・！？？　　何かが、起こった？！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「アマンダ！！」</p><p>咄嗟に俺も外へ走ろうとしたら、ローレアに腕を取られた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「私が行く、おまえはここにいろ、姫とセス様を守れ。」</p><p>そう言って、なぜかローレアは左二の腕から自分のブレスレットを外した。</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえが持っていてくれ！」</p><p>「はっ・・？」</p><p>なぜに？　見ればいつもの冷静な顔に余裕なし。</p><p>&nbsp;</p><p>俺に渡したブレスレット、・・・ローレアも闇に走った！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="right">&nbsp;</p><p>・・・ローレアの守り石、これなしで戦うって・・・、？？</p><p>&nbsp;</p><p>訳がわからないまま、アシュリーを寝かせている部屋へ。</p><p>俺を見ると、セスは顔を上げた、・・・アシュリーは眠ったままだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「セス、明かりは手元だけにして後は消せ！」「どうした？」</p><p>「敵だ、身を隠そう。」</p><p>「おお！」セスは慄き、バタバタ動き出した。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は窓から外を覗くが、夜の闇だけで何もわからない。</p><p>&nbsp;</p><p>鞘に収めた王の剣をしっかりと握る、・・・ローレアのブレスレットはどうするべきか？</p><p>上着の内ポケットに入れたら、また悪魔に奪われるかもしれぬ。</p><p>&nbsp;</p><p>ランタン掲げてセスが戻ってきた。そのセスの腕をグワッと掴む、「痛い！・・何を・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>袖をめくり上げて、無理やりローレアのブレスレットをこの男の左の二の腕にはめ込んだ。</p><p>&nbsp;</p><p>やっぱり思った通り、太っていても小さい男だ、俺の腕よりは細いんだ、その殆どが柔らかい油肉だから、くい込みながらもはめたさ。</p><p>&nbsp;</p><p>「なんだ、これは？」　セスが素っ頓狂な声を上げる。</p><p>「ローレアの大事な預かりものだ、おまえが持っててくれ、・・・、」</p><p>「そんなもの預かれん、おまえが持てよ！」</p><p>「おまえが持てばカモフラージュになるんだ、いいから俺の言う通りにしてくれ。」</p><p>&nbsp;</p><p>「悪魔なのか、ジクト・・。」</p><p>「おそらく、な・・・。」</p><p>俺が頷けば、セスは諦めた様子でブレスレットを隠すように袖を直した。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>俺はベッドで眠るアシュリーに向く。</p><p>・・・ブランケットで顔まですっぽり隠すように彼女を包み込み、スッと抱き上げた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「セス、俺とおまえでアシュリーを守ろう！」と俺が言えば、</p><p>&nbsp;</p><p>セスはハッとした、「おお、そうだ！」</p><p>&nbsp;</p><p>どういう星の巡りかは知らないが、俺たちの運命が一つの目的で繋がっているのなら、それはやっぱりアシュリーだから・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・ガタンッ・・、</p><p>&nbsp;</p><p>戸口で音が・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「セス、どこか隠れるところは・・？！」</p><p>「ジクト、こっちだ！」</p><p>&nbsp;</p><p>入った部屋の土壁の一面がまとまってはずれ、子供一人が通れる穴が開いた。</p><p>奥を覗けば、こじんまりとした一つの隠し部屋が・・・。</p><p>「おかァが、事あるごとに隠れていた部屋だ、こんな時に役に立つ。」　　</p><p>&nbsp;</p><p>間違いなく徴税を逃れだ、どうでもいい想像がもう悲しいさ。</p><p>&nbsp;</p><p>セスが先に中に入り、俺はアシュリーをセスに渡した。・・・「さ、ジクトも。」</p><p>「俺は入らん、・・アシュリーを頼む。」迷わずそう言った。</p><p>「ジク・・、」セスが言いかける途中でその顔を壁で覆う、カッチリはめ込んだ。・・・セス側の明かりが途絶え、真っ暗になった。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は聞く、その複数の足音を、・・・剣を鞘から抜いて、ジッと待つ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>まず、戸口がバンッ！と開いて、明かりが見えた、・・・暗闇が好きな悪魔が松明を掲げているのは変じゃないか？</p><p>&nbsp;</p><p>不思議に思うや否や、あっという間に俺の目の前に６，７人の武装した兵士・・・、</p><p>その一人、一人を見て、改めて驚く。</p><p>&nbsp;</p><p>全員顔見知りだ・・・、だって、こいつらトルエノ軍の兵士、・・・？</p><p>こと真ん中にいる男は、幼い頃から親しくしている貴族仲間、ジオカルだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「やあ、ジクト。」気軽に声をかけてきた。</p><p>「なぜ、・・おまえがここに？」さりげない態度で俺も応じる、剣は向けたままだけど。</p><p>「おう、よく聞いてくれたな、僕たち第３部隊はガラタイル戦から今日突如、引き戻されて、今度は逃げたお尋ね者の追跡を命じられたのさ、・・全く昼夜問わず働かされて、酷いもんだと思わないか？」</p><p>「お尋ね者・・・、」</p><p>「・・・知らなかったのか？　おまえは今、ウォンデッドなんだよ。」</p><p>「それは知ってる。でもなぜ俺が狙われているんだ？」</p><p>「・・・、はァ？　自分の罪を知らないなんて、どこまでめでたいんだ。おまえは戦争が嫌でトルエノから逃げたんだ、複数の女を連れて・・・、でもホントよくやるよな、おまえ、・・で、女はどこだ？」</p><p>&nbsp;</p><p>俺の罪ってそんなんだったの？</p><p>しかしジオカルはこんな下品な話し方をする男じゃない、顔つきも別人だ。</p><p>ガラタイルから、サングレまで馬足で丸３日はかかる距離を、１日で来られるはずもなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>操られている、　・・・ディーゴ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・あの赤ちゃんお化け、もうアシュリーの結界を解いたのか・・？</p><p align="right">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ここは俺一人だが。」</p><p>「嘘だろ？　男のおまえがこんなところで一人何やってんだ？　外では二人の女戦士みたいなのいるし、　僕の部隊１００人の相手になかなかの戦いぶりだが、おまえのナニか？　あんな激しいのがいいのか？　変わった趣味だ。」</p><p>「・・・退屈しないぜ。」</p><p>「ハハア、僕のタイプじゃないけど、・・・二人とも殺さないでトルエノに連れていくよ。」　</p><p>「・・どうぞ。」</p><p align="left">&nbsp;</p><p>・・・そういや、こいつ、あの姉妹を抜けてここまできたのか・・・？！</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="right">&nbsp;</p><p>『・・・ただの人間が、我らの弱点だ、・・・殺せないから・・。』</p><p>&nbsp;</p><p>ジオカルは悪魔化していない、人間のままだったから結界を抜けてここまで来た。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>人間に結界は関係ないし光の恐怖もない。</p><p>&nbsp;</p><p align="right">&nbsp;</p><p>・・・襲ってきたのは、悪魔じゃなく人間だった、・・・これは？</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p>「今は真夜中だ、気持ちよく寝ていたのに起こしやがって、闇討ちなんて卑怯な策は、一流軍人の戦法じゃないな。」</p><p>一度、剣の柄を上下、持ち替える、敵の松明の明かりで刃がキラリと光った。</p><p>「戦争を知っている軍人なら、このくらいは常識だと思けど。おまえの方も起きたばかりにしちゃ、随分と準備が整っているんじゃないのか、ジクト。」</p><p>&nbsp;</p><p>「悪いことは言わない、俺は仲間と戦いたくない、このまま退け。」</p><p>「相変わらず甘いヤツだ。だから、いつまでもへっぴり大将って呼ばれるんだよ。」</p><p>「なに・・・？」</p><p>「もう一度言ってやろう、へっぴりクソ大将！　・・・ウフフ、今度ははっきり聞こえたか？」</p><p>&nbsp;</p><p>こいつは、ジオカルじゃ、ない、・・・と思うことにする！</p><p>&nbsp;</p><p>俺はその大剣を大きく振りかざす、・・・ジオカルの方も動いた！　　</p><p>この男を筆頭に４，５人が同時に剣を掲げて迫れば、四方八方からの攻撃となって俺に襲い掛かってくるッ！</p><p>&nbsp;</p><p>「ジオカル、おまえだって・・・、」</p><p>こいつは俺のへっぴり友達なんだ、・・・戦争嫌いだって同じ、俺たちは・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>一瞬に・・・！　　王剣は標的を逃がさない、真っすぐ振り下ろせば、斬れないものない！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ああなのに、ジオカルの頭寸前で、剣は止まる・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>弱気が出れば、複数の剣が眼の前で交差し、男たちが束になって・・・、何も見えなくなった。　　　　　逆に境地に立たされ、・・・、死か。</p><p align="center">&nbsp;</p><p>・・・いや、まだ死んでない！</p><p>俺は刺されず、体は仰向きに倒された。そのまま数人の兵士に抑え込まれ、腹にジオカルが乗る、この男の剣刃が首にあたった。・・・俺の剣は・・？　あそこだ、・・・届かない。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「おまえの剣、随分派手だね。似合ってないし、使えないなら持つなよ、・・ハハハ、でも心配するな、僕も刺さないから。」</p><p>首擦れ擦れの剣をチラチラさせ、薄気味悪い笑みを浮かべた。</p><p>「おまえの女を全員出せよ、出せばおまえの罪を無くしてやるよ。」</p><p>「別に。女は外にいるヤツラで終わり、だ。」顔を背けて言った。</p><p>&nbsp;</p><p>ジオカルは残りの兵士にも女を探すよう指示を出した。「他にいるだろう？　この家に女が・・・、女は全部で４人と聞いているんだ！」</p><p>ハッとして、この男を睨む。</p><p>「指名手配犯の俺より女か？」</p><p>「フッ、まあね、おまえの脱国の罪など、どうっだっていい。」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ディーゴか？」その名を口にすれば、ジオカルは顔色を変えた。</p><p>「元帥様を呼びきりにするなッ、・・ディーゴ大元帥様は、今や王を越えるお方だ！」</p><p>・・・やっぱり操られている。トルエノ軍名に元帥なんてないし・・・、</p><p>したり顔になってジオカルは、言い続けた。</p><p>「本当の事を教えてやるよ、おまえの連れている女はサングレの魔女さ・・・、すっかり騙されたなぁ？　フフン、魔女はどんな夢を見せてくれたんだ？・・別に聞きたくもないが。」</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「・・・・。」　俺、真剣に考える。いや、マジで、魔女だった。　　</p><p align="center">&nbsp;</p><p>女たちは天然の色気を無防備に放出すれど、何も出来ず、・・それは前に人参ぶら下げて走る調教馬の生活、決して食べられない人参、ひたすら我慢する禁欲の日々。</p><p>「楽しかったけど・・・、ハハ。」　馬鹿のように答えてやるさ。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>「はあ・・？　完全にイカれていやがる、残念だが、おまえはもうダメだ・・・、ジクト、これは魔女狩りだから・・、」</p><p>ジオカルがそう言いかけた時、だった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ジオカル様、この壁がズレています、・・・怪しいですな！」　家の中を探り回っていた兵士が声を上げる！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・！！　　あっさりだ！</p><p>暗闇の作業はダメだ、完璧じゃなかった・・・、</p><p align="left">&nbsp;</p><p>「よし、そこを開けろ。」</p><p>&nbsp;</p><p>あ、いや、待て・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「どうした？　焦っているようだが・・・、」ジオカルがニヤつく。</p><p>&nbsp;</p><p>俺の体を抑え込んでいた松明係の兵士一人が、その壁に明かりを近づけようとして、俺の体から離れた。</p><p>それでも俺は動けないが、・・・ああ、俺の王の剣が、一寸先の床に落ちている・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>（手を伸ばせ・・・、届くから。）</p><p align="right">&nbsp;</p><p>俺は体をバタつかせる、「・・・無駄な抵抗はよせ！」　いやいや、こうすることによって体が少しずれて・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・王の剣に触れた。）</p><p>&nbsp;</p><p>「やはり、隠し部屋が・・！！」兵士二人が、もう懸命になってズレた壁の縁を持って引こうとする、・・・徐々に手前に壁がズズッと動き、</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・それを、指で引き寄せ・・・、）</p><p>&nbsp;</p><p>ジオカルをはじめ、トルエノ兵士がそこに釘付けとなる、　　　・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>今、壁が・・、（剣を・・、）　開く！　（・・・握る！）</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・おおっ！！」兵士の歓声が沸くや否や・・、</p><p>一気に俺も立ち上がる・・・！　</p><p>「へっ・・？」　不意をつかれたジオカルは飛ぶようにひっくり返った！　間髪容れず、俺の剣がこいつに向かうッ！！</p><p>&nbsp;</p><p>この世界は出遅れた方が負けだ・・・、「お！？　ジクッ・・・！」</p><p>その恐怖に歪んだ彼の顔を幻影のように見て・・・、どうして迷うことがあろう、俺の剣こそが正義なのだ！</p><p>&nbsp;</p><p>さよなら、ジオカル、　　・・・死ね！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・と、このタイミングで、光だ。</p><p>・・・？　　俺の剣はまたハタッと止まった。</p><p>&nbsp;</p><p>せっかくその気になったのに、アシュリーが目覚めたか？　・・って思う瞬間だった。</p><p>&nbsp;</p><p>突然辺りはオレンジ色の閃光で目を開けていられないほどの明るさに満たされた。</p><p>それが、その開けられた隠し部屋からの光だったから・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p>しかし、よく見ればセスに抱えられたアシュリーはまだ眠ったままだ。・・・光は、セスの腕のブレスレットから出ていた！</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト！！」</p><p>背後から声がすれば、・・・ローレア！</p><p>&nbsp;</p><p>「やっと届いたな・・・、」</p><p>ローレアの力？　　　遠隔操作・・・？！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>床には眠りこけたジオカルら、トルエノ兵士のだらしない姿が散らばる、そこにローレアが来た。</p><p align="left">「殺せないが、眠らせることは可能だ。」　アシュリーもよくやることだ、俺は頷く。</p><p align="left">「敵は人か・・？」</p><p>「ああ、そうだ、・・・悪魔はいるが、眼に付くところではない。」「・・・そうか。」</p><p>&nbsp;</p><p>「すまなかった、誰一人中へ入れるつもりはなかったが・・・、人相手はかえって面倒だ、時間がかかり隙を作ってしまう。」</p><p>なんか、ローレアが言い訳めいたこといっている。</p><p>「１００人相手に随分手こずってる・・？」さりげなく聞くと、</p><p>「敵は１００人ではない。」と答えた。</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアは天井を仰ぎ、そこを透かし見るような遠い眼をした。</p><p>「今の光で、半径１００メートルの敵兵はほぼ眠ったであろう、・・・が、」</p><p>・・・が？</p><p>「まだ敵が残っている。」</p><p>「・・・・。」</p><p align="right">&nbsp;</p><p>俺は隠し部屋に入った。不覚にも魔法にかかって寝てしまったセスを揺り起こしアシュリーを受け取る。</p><p>&nbsp;</p><p>それからローレアは家の中の出入り口や窓に向かって、呪文を唱え回った。その度にセスの腕のブレスレットがピカピカ光った。</p><p>「結界をかけ直した・・・、これで人間も入って来れまい。」</p><p>「外はどうなっている？　窓からは真っ暗で何も見えん。」</p><p>ローレアは険しい表情になって言った。</p><p>「まだ危険だから、ここにいろ・・、絶対外に出るな！　窓も開けてはならん。」</p><p>&nbsp;</p><p>そしてローレアだけがまた外へ・・・、「おい、石を・・、」と俺は言いかけるが、一気に駆け出た、・・・どうして、守り石を持たないんだ？</p><p>&nbsp;</p><p>まだ、何かある、と思った。・・・アマンダはなぜ姿を出さなかった？　　・・・不安は一掃されない。</p><p>&nbsp;</p><p>出るなと言われたら、気になる外。・・・また、暗い窓に視線がいく。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">アシュリーを一度小さなソファに寝かせた。王の剣は背中に固定させ、いつでも戦えるように身構える。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>部屋はセスのブレスレットの光で明るかったが・・、セスが部屋を出ると、当然暗くなってきて・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「セス、ランタン持ってこい！」</p><p>と、声をかけたが、聞こえないのか返事がなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>「おい、セス！！」大きな声で呼んだが、やっぱり返事がない。</p><p>&nbsp;</p><p>しょうがないので、自分で隠し部屋に置いたままのランタンを取ってきて、部屋全体を明るくした。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「セス・・、セスッ・・・！」</p><p>気になったので、キッチンに行ってまた呼ぶが、いない。・・・どこにもいない？！　</p><p>&nbsp;</p><p>そういえば、起こした時セスは、寝ぼけてモジモジしていた・・・、</p><p>もし俺とローレアの話を聞いていなければ・・・！？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・マズい！！</p><p>&nbsp;</p><p>セスは、｟チョット（トイレ）｠にいったんじゃ・・・、こんな家の｟チョット｠は、外だ！</p><p>&nbsp;</p><p>慌てた！　　　　表の出入り口は、閉まったままだ・・・、裏口は・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>おお！　僅かながら開いている！　　　馬鹿なセス！　　ここから出たか・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>俺も飛び出た！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・さすれば、だ、そこは、・・・ヤバい・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p>暗闇に炎だ・・！！　　</p><p>所々、枯れ木に火が立ち上がる、それが奥の景色まで広がってた・・・！</p><p>振り返り見る、反対側の表出入り口の方・・、ローレアとアマンダが戦っているはずの場所は、ああ、すべての木々が轟轟と音を立てながらの大炎上となっていた。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>・・・まさに、灼熱地獄・・・、　　　あいつら、大丈夫なのかっ？！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・俺、セスが出たことによって、結界が破られる・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「やはり、見えましたな、・・・家が。」</p><p>よもや俺の目前に、３頭の馬上の男。・・唐突に現るその姿。</p><p>&nbsp;</p><p>「家が見えたり、消えたり・・・、まさにアンビリバボーです。」</p><p>第一部隊、総隊長のガナシュと、・・・副隊長ギルバート・・・、その部下一名。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ギルが来た！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「ジクト君、ですか？」寄って来た！　俺は後ずさり、なぜか首を横に振る。</p><p>&nbsp;</p><p>「突然いなくなって心配しましたよ、僕は君と３日会わないと、寂しくてたまらなくなるのです。」</p><p>ギルは俺に微笑みかけているが、・・・怖い！！</p><p>&nbsp;</p><p>この男は、俺が入隊した時の先輩軍人で、その容姿と身のこなしの美しさ優雅さはトルエノ貴公子の中でもトップクラスの男。昔は俺も憧れて色々真似たさ。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・おっ、俺は何も悪いことはしていない！」</p><p>咄嗟にそんな言葉が出る。</p><p>「わかっていますよ、・・ジクト君。」</p><p align="right">&nbsp;</p><p>・・・そして、ギルはそれを握った手を前に出す。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・・・。」　ああああッ・・・！　絶望の心の声が、胸から飛び出しそうに・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアのブレスレットが、この男に渡っている・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「これは、この男の物ですか？」</p><p>ギルの落とした視線の先、馬の足元にセスが倒れていた。「・・！！　セッ・・、」</p><p>声をかけるまでもない、セスの体は馬の前脚に蹴られ俺の前まで転がった、その様子はどっからどう見ても死体。</p><p>「・・・うッ、」　呻いて起き上がろうとした、・・・生きていた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>ローレアの石はもう光ってなかった。周りに上がった火の明るさでその場の出来事を認識する。</p><p>セスは全身に打撲痕がついており、左腕からは血が滲み出ている。酷い乱暴で奪われたのが一目瞭然だった。</p><p>その腕を抱えて、起きるのを手伝うが・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・早くしなければ、火がここまで来るぞ、ギルバート。」</p><p>ガナシュが、ギルの耳元で言った。</p><p>この場は火煙で息が苦しかった。</p><p>&nbsp;</p><p>俺はセスに小声で耳打ちした。</p><p>「歩けるなら、このまま家に戻れ、・・・アシュリーが・・、」</p><p>死にかけのセスの眼が、蘇る・・・、「う、うん！」</p><p>&nbsp;</p><p>「俺が注意を引いてる間に、早く・・・！」</p><p>急かせば、セスはさりげなく俺の背後に回った。</p><p>&nbsp;</p><p>俺はすぐ剣は抜かない。セスが裏口から家に入ったことを確認して、ギルと向き合った。</p><p>&nbsp;</p><p>「ブレスレット返してくれ、それは預かりものだ。」</p><p>ギルがまともでないかもしれないことは、あまり考えなかった。</p><p>「ただの女の飾り物だ、おまえにとったら、何の価値もないものだろう、・・・。」</p><p>「・・でしょうね、あの男の物では、僕も納得できないところでした。」</p><p>「・・・えっ？」</p><p>「家の中に女がいますね？　これはその女の物、・・？」　　・・・・！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「・・あ、いや・・・、違う、女はいない！」一瞬、狼狽してしまう。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「いない？　本当ですか？」</p><p>ギルは嘲るような顔をした。</p><p>&nbsp;</p><p>「君は嘘をつくと、左右の眉がちぐはぐに動きます、・・・わかるんです、だから本当の事を言ってください。君の悪いようにはしません、後のことは僕に任せてくれたら・・・、」</p><p>「おまえは人を騙す時、上唇をなめる癖がある・・・、おまえの目的を聞こうか？」</p><p>「ははは、これはやられました、でも騙してませんよ、ただの魔女狩りです。」</p><p>ここはジオカルと同じだ。</p><p>「おまえも、ディーゴの命でここへ来たのか？」</p><p>&nbsp;</p><p>ギルはフッと笑って、眼を閉じる。</p><p>「見くびらないでください。僕はあの男の命令は聞きません、あくまで王だけです。王は心配しておられる、君のことを・・・、君が行動を共にしている女たちはサングレの魔女です。恐らくディーゴの一味でしょう、君は彼女らに取り込まれた、・・・より怪しく危険なものほど、美しい姿をしているのです。」</p><p>「・・・・。」</p><p>ギルの言葉はジオカルと微妙に違う、魔女のアシュリーたちに騙されているって事は共通するが、俺を擁護しようとする。　　</p><p>『助けて・・、』と訴えれば、俺は受け入れられ、あっち側の人間か・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「よってこれは、まぎれもないサングレの呪いの石です。持つだけで悪魔が寄ってきて、いつの間にか喰い殺されるか、憑りつかれ自信も悪魔になります。」</p><p>「・・・そんな石を持って、おまえは大丈夫なのか？」</p><p>「僕は大丈夫ですよ、それなりの構えがあります。」</p><p>&nbsp;</p><p>ギルの口調には親しみがあった。「僕は君を救いに来たのだ、・・・信じてくれますよね？」</p><p>「サングレじゃない、・・・ヴァルディーなんだこの石は・・・、」俺も訴えた。</p><p>「ヴァルディー？　伝説の国です、実在しません・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・どうするって？　別に悩んじゃいないよ、・・・俺は、こうするだけだ！</p><p>&nbsp;</p><p>背の剣を抜いた。</p><p>「そのブレスレットを渡せ。」</p><p>&nbsp;</p><p>ギルの表情は動かなかった、そのポーカーフェイスに心は読めない。</p><p>この男が悪魔に憑依されていたとしてもわからない、っていうか、意味がない、こいつこそ美しい顔の裏で悪魔の心を持つ男だから！</p><p>&nbsp;</p><p>・・ギルも腰の柄に手が・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ここでギルと剣を交えれば初めてだ。俺はこの男の実力を知らない。練習でも本気をみせたことがない、いつも涼しい顔で、『剣はきらいです、君とは気が合う。』なんて言っている男だ。</p><p>・・・でも、本当は横に出る者がいない程の剣の名手との噂もあって、・・・予測不能だ。</p><p align="center">&nbsp;</p><p>周囲の木に火が移り激しく燃え出した、火が付いたままの枝がギルらの頭にも落ちてきた。</p><p>それを彼らは避けたが、ガナシュが、</p><p>「ギルバート、ここはもう危ないぞ、この石だけでよい、戻ろう！」</p><p>と、早口でギルに訴えた。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>ギルは、何も答えず俺の方を見る、・・と他の２人もギルと同じ方向に視線を合わせた。</p><p>抜きかけた剣を、パチンと戻すギル。</p><p>「・・フフ。」口元が微かに笑った。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・、えっ？　　となるも束の間、３人が見ているのが俺じゃなく、俺の後方の、裏口より出てきた・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>俺も横目でこれを見た！</p><p>&nbsp;</p><p>セスと、・・・セスの背には、まだ寝ているアシュリーだ！　</p><p>ヤツラはこれに釘付けになった！</p><p>&nbsp;</p><p>「セス・・？！」</p><p>おお、出てくるなんて！　　　</p><p align="right">&nbsp;</p><p>さすれば、裏口から黒煙が、・・・！</p><p>よく見れば、セスらの体も煤か何かで黒ずんでいる。</p><p>「駆け付けた時には、もう部屋に火が回ってきていた、俺は何とかアシュリーを抱えて・・、ゴホッ、ゴホッ・・、」涙声でせき込んで、これ以上言葉にならない。</p><p>&nbsp;</p><p>裏口から２，３歩出たところでセスは背のアシュリ―に潰される形で膝をつく。</p><p>俺はセスとアシュリーに擦り寄った。</p><p>「・・・・、なぜ家に火が・・・？　あいつら何やってんだ？！」</p><p>これはローレアとアマンダの、・・・失態だろッ！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「ジクト君、彼女は・・・、」ギルの声に、注意を彼らに戻す。</p><p>「あの女を連れて行こう、この石はあの女のモノだ！」ギルの言葉を切って、ガナシュが言う。</p><p>「ザルガ、（部下に向かって）今より家の中を捜索しろ、まだ魔女が残っているかも知れぬ、全員引き出し連れてくるのだ。ギルバート、我らだけでここを出るぞ！」</p><p>ガナシュの命令は、俺も無視する短絡的なものだ。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>そしてこの男、ブレスレットを持つギルの肩を掴み、もう片方の手を広げこう言った。</p><p>「それは、私に渡せ！」</p><p>&nbsp;</p><p>ギルが鋭い眼をこの男に向ける。</p><p>「今暫くお待ちください、総監督殿。そう慌てずともまだ時はあります。ここは僕の考えにお任せください。」</p><p>その態度はいたって冷静だ。しかしガナシュは、もう我慢しきれない様子で声を震わせ言った。</p><p>「急がねば我らの身が危険なのだ、魔の国で火に焼かれて死ぬなどと、ごめん被る、・・・石は私が預かる、貸せ・・！」</p><p>がっちりとブレスレットの下の方を掴んだ、・・・ギルと取り合いのようになる。</p><p>&nbsp;</p><p>「欲を出してはいけません、総監督殿・・・、」</p><p>ポーカーフェイスが、少し歪んだように見えた、・・っと思ったら、ニッと笑う。そしておもむろにブレスレットから手を離す。</p><p>ガナシュの方はローレアのブレスレットをグッと掴んだままだったので、拍子抜けしたように身をのけ反らせるが、すぐさま姿勢を直し「したり！」と大声を上げてそのまま馬の手綱をグイっと引き馬を反転させて、走り去ろうとした。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>俺が青くなって、待て！・・・と思った、その瞬間・・、</p><p>ギルも慌てて追いかけるか？・・と思ったら、逆に馬を後退させ、ガナシュから離れる・・？　</p><p>そしてこの男は右手を高く上げた。・・・？　　　</p><p>&nbsp;</p><p align="center">&nbsp;</p><p>　・・・なんの合図か？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>どこからわからないが、一瞬に、・・・４，５本の矢が飛んできて、ガナシュに刺さったッ！</p><p>&nbsp;</p><p>そして、なんてことか、・・・これはただの偶然か。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>矢の一つが、ローレアのブレスレットの、真ん中の石に・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p>・・・・・・、グサリ、突き刺さるッッ！！</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「・・・！！！」</p><p align="center">&nbsp;</p><p>ガナシュの体が矢が刺さったところから燃え出した、ローレアの石も・・、やがて、落馬する。</p><p>馬にも火がついた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・なぜ、火がでた？？　　　矢の先の鉄刃が赤かったから・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ああ・・・、</p><p>それをただ、息をのんでみてるしかなかった、</p><p align="right">&nbsp;</p><p>斃れたガナシュの体から、その火が消えるまで・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>今のはなんだ？　石を独り占めしようとしたガナシュの処刑か？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ああああッッ・・・、ローレアの石が・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ギルが、俺に近づいた。</p><p>「改めて聞きます、石の持ち主はその女ですか？　ジクト君。」</p><p>&nbsp;</p><p>もう、声が出なくなって・・・・、この男を茫然と眺めるだけだった。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・女の弱点は・・・、</p><p>&nbsp;</p><p align="left">「石ダ。」　・・・なんて？　　「息子から奪った石ダ！」</p><p align="right">&nbsp;</p><p>「・・ビヒ・・？」「・・・違う、石だって！！」</p><p>「イヒ・・・、」　「・・・・・。」</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">気の悪魔はイライラする。</p><p align="right">&nbsp;</p><p>・・・ん？　ボクは、バカか・・・？</p><p>いいや、ボクはアタマいいはずだ・・・、ゆうしゅうなアクマのディーゴクンだもの！</p><p>&nbsp;</p><p>さぁ、もう一回、　せーのっ！　　「イシ！！」</p><p>&nbsp;</p><p>「おお、やっと言えたナ。」</p><p>この言葉と同時に膨張した体は小さくなって、３歳ぐらいの幼児になった。アシュリーが作った魔法の透明膜の中を楽しそうにクルクル舞い始めた。</p><p>&nbsp;</p><p>膜の壁に顔を近づけ、気の悪魔が言った。</p><p>「少しだけ呪いが解けたカ、・・女たちの光の力の秘密、それは石。これが弱点、これが正解。光の力の根源ダ。」</p><p>「・・・いや、しってたよ、おにいちゃ・・、バカむすこは女たちのイシをゆずりうけていたってコトさ。」　</p><p>ディーゴがもっと喋った。「女たちのもってる、イシ・・・、」</p><p>どんどん悪い顔になって・・・、「さぁ、　キシカイセイのいっぱつぎゃくてんのかちに出る！！」</p><p align="right">&nbsp;</p><p>ああ、いきなり・・・、その膜を破って出る、　　　・・・ディーゴが蘇った。</p><p>ディーゴは体はまた少し成長する、５歳ぐらいの子供が黒い衣装を身にまとった。</p><p>「・・・フフフ。」</p><p align="right">&nbsp;</p><p>ディーゴは歌い出す、・・・ノイズ音を出して不調和なリズムで踊り出した、サングレ城の中を走ったり、宙をまったり・・・、調子にのって窓から飛び出そうとしたが、窓は開かなかった。</p><p align="left">&nbsp;</p><p>そのうちまた成長し少年の姿になる。焼けた右眼から新しい眼球が生えてきた。</p><p>「働けよ、子供ヨ。」気の悪魔がダルそうに言った。</p><p align="left">「さっきのは準備体操だ、仕事は今からだ、サッサと済ませる。」</p><p>ディーゴの言葉使いがすっかり滑らかになる。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「どうするサ？」　「当然壊すさ、石を。」</p><p align="left">「どうやって？」　「魔法は使えないから、物理的にやる。」</p><p>「怪力で、バンッ！・・ってカ？」　「まさか、」</p><p>ディーゴはニヤリと笑った。</p><p>「ボクの同士に火山下のマグマ溜まりに住んでるヤツがいる、そいつに火泥を鍋いっぱいに持って来させよう・・・。」</p><p>「お、いい感じだゾ！」</p><p align="center">&nbsp;</p><p>城から出れないディーゴは人間の部下を一人呼んだ。そして小さな木箱を出してきて、その中に何やらブツブツ言葉を吐いた。そして蓋をしっかりと閉め、部下に言った。</p><p>「これを門番のググールのところへ持っていけ、ボクの意志だ。」</p><p>部下は木箱を懐に入れて城を出た。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">気の悪魔は聞いた。</p><p align="left">「ググールのクソ魔力に頼るのカ？　ヤツも女の石には触れられないゼ。」</p><p align="left">「低能なヤツの仕事は火の同士への呼びかけと、トルエノ兵、１００人ほどの運搬だけだ。」　</p><p align="left">「・・・ってことは、石を取るのは・・・、」</p><p align="left">「トルエノ兵。」</p><p align="left">「なるほど、人間カ、でも女たちはどこにいるかわかっているのカ？」</p><p align="left">「後はすべてトルエノ兵の仕事、バカと魔力は使いようだ。ググールに伝えろ！」</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">すると人間の部下がディーゴのところに報告に来た。</p><p align="left">「ググールどのが、思うようにならない男がいると・・、」</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">「やっぱり低能だ、トルエノのおバカ兵士を操れないのか、・・誰だそれは？」</p><p align="left">「ギルバート＝へデル＝アドリオン、という男です。」</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">・・・、ディーゴは思案する。</p><p align="left">「・・いや、そういう男が使えるんだ、頭を使え！　そういう奴はアレのいう事なら聞くんだよ。」</p><p align="left">「アレというのは・・・？」</p><p>「バカ、城で寝たきりのアレだよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>アレって？　・・王？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「そこまで怯えなくてもいいです、ジクト君。」</p><p>ギルに笑顔はないが、威圧感もなかった、・・・雑談している時と同じテイションで彼は俺に接する。</p><p>俺の方で、友達を見る眼じゃなくなった。</p><p>「どうして仲間を・・？　そこまですることかっ？！」</p><p>「狙ったのは石です、彼が石に操られた為やむを得ない処置でした。」</p><p>「・・・石・・？」</p><p>「サングレの呪いの石ですよ、魔女がその石を使って魔力を使うと王が怯えているのです、見つけたらその場で焼き壊さなければなりません。・・・石の美しさに惑わされば、不幸なコトになる、・・・さっきのはいい例です。」</p><p>「・・・。」</p><p>「サングレの石の強度はダイヤ以上で叩き壊せないないと聞いています、しかし熱に弱く<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">700</font></font>度ぐらいで変色します、あの矢の先の鉄は溶岩の熱でその温度まで上げられていたのです。人を刺し殺すだけならそこまでする事はないでしょうね。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・狙いは、石って？！</p><p align="center">&nbsp;</p><p>いけない、・・・これは、非常事態だ！！</p><p>&nbsp;</p><p>「その命中率は群を抜く、君も知っている我が軍の秀逸な弓部隊です、・・闇に隠れていますよ。」</p><p>「・・・おまえの考えじゃない・・！」</p><p>「いいえ、僕がすべて考えました・・・、でもどうして？」</p><p>「おまえだって、悪魔に操らている・・、」</p><p>「僕が悪魔のように見えるだけです、・・自覚はあります。」</p><p>「そうだ、おまえは悪魔だ、・・ああ、ギル聞いてくれ、彼女は魔女じゃない、石だってただのサファイヤだった、だからッ・・！」</p><p>「そうやって、女にのめり込んでいる君はけなげで痛々しい、僕はほっとけない、救いたくなってしまう。」</p><p>「そんな話じゃない！」</p><p>「そう、石の話だ、・・・で誰の石だったんですか？」</p><p>「外で戦っている女の物だ！」　つい、本当の事をいってしまったら・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>会話が止まった。</p><p>「・・・そういうコトですか。」</p><p>暫くしてそう言ったギルの口元から、笑みがこぼれた。</p><p>「では、その女の石はまだ、あるってことですね。」</p><p>・・・・エッ？　しまった？！</p><p>「いや、・・違う、この女は、石は持っていない・・、魔女じゃないって言っているだろう？」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・君は嘘はすぐわかる、言ったばかりでしょう？」</p><p>「・・・！！」</p><p>&nbsp;</p><p>俺は油断した、剣を持つ手が緩んでいた・・・、そこに動きがあった！</p><p>&nbsp;</p><p>動いたのは、ギルの後ろに控えていたザルガという部下だ、ギルの護衛を務めている・・、出来る男だ！！</p><p>&nbsp;</p><p>・・速かった！　一目散にこちらに向かって馬を走らせ、その右足が鐙から浮いているのを見て、更にグッと上げてきたら、・・・この俺の頭に？　足蹴りか・・・？</p><p align="right">&nbsp;</p><p>まさか、本当にやりやがった・・・、この男、身分もわきまえず・・・、何たることッ！！</p><p align="left">&nbsp;</p><p>・・ああ、セスといえば、地面にアシュリーを抱えてしゃがみ込んでいたが、さっきのガナシュ襲撃場面にショックを受け、気を失いかける・・・、そこへ、ザルガが来た！！</p><p>&nbsp;</p><p>俺はこの男に真正面から頭を蹴られ、後ろへ倒れそうになり・・、剣も落としてしまう・・・、ああ、そのまま倒れたら、向こうの思うツボだった。</p><p>&nbsp;</p><p>だけど俺は踏ん張った、のけ反った姿勢から落とした剣に手を伸ばす、体のバランスは崩れていたが、・・・そこで、「セス・・ッ！　アシュリーを・・・！！」そう言いながら剣を片手で拾って・・・、もう飛びつくように、その行動に出るッ・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ザルガは、どうしたかったか？　　いや、単純なこと、・・・石とアシュリーを奪い取ろうとしたんだ！</p><p>&nbsp;</p><p>セスは朦朧としながらもでザルガに背を向け、アシュリーを守るように抱え込んだ、・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>セスの抵抗でザルガの動きは少しもたつく、２秒ほどセスを引っ張る時間を要した。セスの体をアシュリーから引き離し、そこですくい上げようと姿勢を屈めて、素早く彼女の胴に左腕を回し・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・その時に！・・・俺の剣が、この男の左肩と腕の境を・・・、セスが顔を上げた時、それは彼の顔面直前で起きる・・・、この２秒で決めた！</p><p>&nbsp;</p><p>俺は、ザルガの左腕を剣で落とすッ・・！！　　</p><p align="left">&nbsp;</p><p>・・セスの顔に、サッと線を描いたような血しぶきが・・・、</p><p align="right">&nbsp;</p><p>下から斜めに入った剣は、それは骨ごときれいスッパリで全く抵抗を感じなかった、その切れ口の美しさはまさに我ながら神業だった。</p><p>&nbsp;</p><p>さらにザルガがアシュリーに倒れかかりそうになったので、咄嗟にもぐり込み、自信の背中を壁にしてこれを阻止した。俺が立ち上がるとザルガは反対側へ馬から転落した。</p><p>腕がなくなった肩を押さえ、呻きながら転がった。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの服に引っかかったこの男の腕は、俺が遠くに放り投げる。・・・そして顔を向ける、</p><p>・・・もう一人の男がいる方へ、</p><p>&nbsp;</p><p>よもや馬から降りてきた、剣をその手に掲げて・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト君、君は女を渡さなければなりません。」</p><p>「断る。」俺もこの男を剣で指す。</p><p>「君は美しいモノにすぐ惑わされてしまう、・・・僕の言う通りにしていればいいのに。」</p><p>&nbsp;</p><p>俺は、先ほどの衝撃でまた昇天しかけているセスに往復ビンタをくらわせて起こす。</p><p>「必ずアシュリーを守れ！」これだけ言って、ギルに向かって歩いた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>それから、ギルと激しい剣の打ち合いが始まった。</p><p>&nbsp;</p><p>ギルが本気を出していたかどうかは分からないが、噂は本当だと思った。</p><p>&nbsp;</p><p>ギルの剣は重く速かった。彼のほうでもぶつかった剣をキリキリ云わせながら、</p><p>「ジクト君、君は本当に、君ですか・・・？」と言ってきた。</p><p>&nbsp;</p><p>「俺は、俺だ、・・他の誰でもない・・・、」他に答えようはない！</p><p>&nbsp;</p><p>お互い３か所づつ、切り傷を負う、・・・息が上がって、苦しくなってきた。</p><p>周りの火の勢いがここまできていた、火の粉が微風に舞う・・、その熱と煙でいっそう息苦しさが増した。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・いよいよ、決着つけねば、ならない・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>俺の剣をギルは俊敏な動きで避けていたが、いつか捕まる、俺の王の剣に・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>それがこの男との別れになる・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>どんなきつく、辛い事もこの男に話せば、すべてどうでもいいことになった。</p><p>フォローできないくらいの俺の悪事も責めることはなかった。・・・『他者の罪も君以上に重いのです。それでのうのうと生きているんです。悩むだけ損ですよ。』と淡々と話した。</p><p>&nbsp;</p><p>仕事をしても、女と遊んでも、いいことなんて一つもなかった俺の登城生活、この男といる事で少しは楽しいと思えた・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト君、顔を狙わないでくださいね、僕だって気を付けていますから・・・。」</p><p>真剣勝負にこんなこと言ってきたら、思わず失笑して力が抜けるだろう。</p><p>&nbsp;</p><p>もし、俺に迷いがあるなら、・・・この男もまた、俺の兄だということ・・・。</p><p>&nbsp;</p><p align="right">&nbsp;</p><p>アロイスを刺せなかった、・・・・、なら・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、一つの剣が夜空に舞う・・・、それは俺の王の剣の方だった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>弾かれる・・、ギルの勢いに押された・・・、もう何度目かの絶体絶命。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>背後からおっさんが俺を呼ぶ・・・、ああ、アシュリーだけは、何とか守ってくれ・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ハッ？</p><p>&nbsp;</p><p>ギルの動きが止まった、　　　・・俺じゃなく、その向こうを見て固まっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>俺も振り返る・・・、オオっ！　　セスが立ってる・・、　</p><p>&nbsp;</p><p>おもむろに白い布を広げて・・・、それをこちらに見せていた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・ありゃ、アシュリーの石布だ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「男！　これがこの娘の石の布だ！　今俺が持った・・・！」</p><p>「セス・・・？！」　気が狂ったか？？</p><p>&nbsp;</p><p>「欲しくば、俺について来い！！」こう言うや否や、石布を持ったままアシュリーをその場に置いて走り出す！</p><p>&nbsp;</p><p>これが、この男のアシュリーの守り方？　・・・なっ、なんて無謀なッ！！</p><p>「・・セスッッ！！」</p><p>俺がセスを追いかけようとしたら、ギルが腕を出して俺の動きを止めた。・・・そして、</p><p>&nbsp;</p><p>右手を上げる、さっきのように・・・、「おい、ギル・・、」　や、それは・・・、</p><p>「・・・止めろっ！！」</p><p>&nbsp;</p><p>セスは走る！　出来るだけアシュリーから、離れようと・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ギルの狙いはあくまで石の方だった。倒れているアシュリ―には目もくれず、</p><p>「あの布の輝きは、まさに石が散りばめられたモノ！」</p><p>と、興奮して叫ぶ！　そしてニヤリと笑った。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ギル、ダメだ！！　止めてくれ・・、」俺の叫びは、もはや何の意味もなさない、</p><p>６本ほどの火矢が、無情にもセスに向かって放たれた・・・・、あああっ・・、</p><p>&nbsp;</p><p>石布を丸め胸に抱え込んでいたセス、それも守ろうとしたのか？・・・、しかし、だ。</p><p>&nbsp;</p><p>すべては一瞬のうちに。</p><p>セスは何かにつまずいてこけそうになる、直後、彼の胸から白い精光が・・・！</p><p>それがセスを抜けてフワリ浮かび上がる・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>セスが地面にうっ潰した時、セスから離れ、ビュンッ！と高く上がった、そこで一枚の広がる光る布になった。</p><p>セスに向かった矢は方向を変えた、全部が宙に浮いたその布に引き込まれた。・・・６本の火矢がブスブスッ・・、と、石布に刺さって、そこでぼうぼうと火がついて燃え出す・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>最後は、うつ伏せに倒れたセスの上に、その燃えカスがパラパラ落ちた・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>セスの家の窓からは炎が上がっていた、バチチッと音を立てて一部焼け崩れ出す。一刻の猶予のない状態だったが、・・・焼け死ぬ恐怖を忘れた、・・ただ、呆然とした。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ああ、アシュリーの守り石布までもが、焼けてしまったんだ。</p><p align="right">&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">この夜に・・・、サングレ城の結界が完全に解かれた。</p><p align="left">&nbsp;</p><p align="left">勢い余った悪魔の力は、城の塔の屋根を破壊する。漆黒の空にモヤのような煙が渦を巻き始める、その中に黒影が踊り上がった。</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="left">・・・地鳴りのような低い笑い声が、いつまでも森の奥深くまで響き渡っていた。</p><p align="center">&nbsp;</p><p align="right">&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/tahamimi/entry-12271408839.html</link>
<pubDate>Thu, 04 May 2017 00:04:11 +0900</pubDate>
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<title>Ashley</title>
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<![CDATA[ <p>ゴ・・、ゴゴゴオ・・・ッ</p><p>&nbsp;</p><p>不気味な騒音をたて塔の石の外壁が崩落していく、　まさに一刻の猶予なしだ！　　　</p><p>&nbsp;</p><p>「私のせいで、ごめ・・、」　</p><p>走ろうとして、アシュリーがいつものセリフをまた言いそうになったので、</p><p>「言うな！おまえの　“ごめんなさい”　は不適切だ、悪いのはディーゴだろ！」と、訂正してやる。</p><p>アシュリーは迷ったような顔をして、首を横に振り、</p><p>「いいえ、私よ、･･･でも、これ以上被害が広がらないようにするから！」</p><p>彼女は胸を光らせた。　手がまた白くフサフサしたものに変化しようとした。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は急いで、羽になる一歩手前でその腕を掴む。</p><p>「・・・やめろ、　もう魔法は使うな！」</p><p>やっと、その言葉が出た。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーはその動きを止め、なんとも複雑な表情で振り返る。</p><p>&nbsp;</p><p>「俺が走るよ、またおまえを抱えるから・・・。」</p><p>「・・・それは、」</p><p>アシュリーは俺の手を振り払って前に向いた、すぐ横の階段を上がろうとして、「痛ッ！」・・・一段目でこける。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・見たことか、おまえの鈍くさいのは俺以下だろ、俺の方が数段ましさ。」　アシュリーに手を差し出すと、</p><p>半泣きのアシュリーの顔がゆっくり俺を見て、</p><p>「いつか私、あなたにヒドイ事言った、覚えているわ。・・・ごめんなさい。」　</p><p>いつだったかな、・・・忘れたけど。</p><p>「その　“ごめんなさい”　は、適切だ。」　そう言って、彼女の足をすくい抱き上げた。</p><p>勢いつけて一気に階段を登り始める！</p><p>&nbsp;</p><p>しかし、なんて重い・・・、これは、やはりペンダントを持っていないからで、意識しないところでもホント助けられていたんだなと、この時思うが、・・・もうどうしょうもない。</p><p>&nbsp;</p><p>今の俺は、役立たずなんだ。・・・だから、どんなにアシュリーが重く、階段は辛くても・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「・・ディーゴとの戦いは、おまえに任せなければいけないだろう、・・・それでも、俺のできることをするよ。」</p><p>「・・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、やっぱきつい・・・、どれくらい上がれば、最上階だ？　　それまでに腕と腰がもつのか？　すでに膝はガクガクするし、・・・でも、立ち止まらない、体は砕けても、心で走り抜く！！</p><p>&nbsp;</p><p>この苦しさにアシュリーの心の重圧が覆い重なってきた。</p><p>抱けば、伝わってくるんだ、その想いが・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ジクト・・、私・・・、」</p><p>胸の奥から、消えかかりそうな声。</p><p>&nbsp;</p><p>もう、いい、分かった、・・・おまえの迷い・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・アシュリー、殺していいんだ。」</p><p>それだけを言った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・・。」　黙ったままで・・・・、</p><p>不安な心がしがみ付く、・・・その様子はただの娘で、こんなか細い体で何の勝負をするんだって思う。</p><p>&nbsp;</p><p>でも、・・・こんな女が３千個の魔法封じの石が塗り固められた銅鐘を砕き、その光でディーゴを死に追い込む・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの魔法にできないことはない・・・。　　　</p><p>その力は、天地万物のすべての動きを意のままにできるんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・もし、アシュリーが本当にただの娘だったら？　・・・いつか話したように、旅の途中で見染めた町娘を、父上に認めてもらうべく連れ帰るんだ・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>その身分と、異国の女だという事で、絶対反対されるのは目にみえているが、･･・もしかしたらアシュリーの見た目の美しさだけでない、心の清らかさ、やさしさがわかってくれるかもしれない・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>許してくれるかも、しれない・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・はァ、・・・はァ、・・・、　　　あと、どのくらいか？　　　１００段も、上がれば、・・・足と腕の疲れは、・・、限界に・・・・、　　　　　　　　　フツーに死ねるだろう・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト・・、私、走るわ…、もう、下ろして・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>「いいや、もう少し・・だッ！」</p><p>&nbsp;</p><p>俺のアシュリーだから、・・・俺が・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>魔法は使えても体力はない、針と布以上の重いモノは持たないからな。それにセスに育てられたせいか、常識も今一つで、・・・俺がいないと、ダメなんだ・・、だから・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>あと２年教育すれば、素晴らしいレディになる・・・、きっと、　　　　・・・母上のような・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>結婚が叶えば、式は今世紀類を見ない華やかなものになる。</p><p>俺とアシュリーが並べば、誰もがその美しさに感嘆の声を上げ、うっとりするだろうから・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>･･･って、結婚？！　　いや、照れてるって！！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・は・・、ァ、　　・・・は・・ァ、　　　　　　は、ァァ・・・・・、　　　　もう、体の感覚は、ない・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>それでも動くなら、誰の力か・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ジクト、風よ・・。」</p><p>「ああ、やっと最上階だ、、・・・外だ！」</p><p>門から外に続く通路から、一気に走り出た！・・・そこは、まばらに光る星だけが空を彩る真っ暗な風景。</p><p>&nbsp;</p><p>ドドーンッッ！！　　　遂に、向かいの塔のてっぺんが総崩れ！！　　</p><p>中から光る巨大な物体が現われた。　　あれがディーゴか？！　へっ？　　いや、・・・赤ちゃんお化けだ！！</p><p>&nbsp;</p><p>フワフワと浮遊するソレにくぎ付けになる。</p><p>アシュリーの魔法の透明袋の中にハチキレンばかりに膨んで、今にも破裂しそうだった！</p><p>&nbsp;</p><p>頼まれてアシュリーを足からそっと下ろす。</p><p>彼女は小さな声でお礼を言った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ああ、俺とアシュリーは、・・・幸せになれるはずなんだ、・・・はずなのに・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは、どこかへ飛んでいこうとするディーゴの方に手を伸ばした・・・。</p><p>さすれば上空する動きは止まって・・・、アシュリーに引き付けられていく・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト・・、下がって・・・、」</p><p>アシュリーが低い声を出した。伸ばした手には力が溜まり出す。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は走ってその場から離れた。</p><p>アシュリーが呪文のような言葉を呟き始めた・・・、その時の顔がもう、俺の知っているアシュリーではない・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　・・・魔法の国の女王だ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>その全身が魔力でみなぎった・・・、体が見えないほどに輝いて・・・、ディーゴを自分のすぐ真上まで寄せる・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・突然に、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・もう少し・・ッ！　・・・サングレのお城で反省しなさーいッッ！！」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　・・・？？　　　　　　・・・アシュリーは何をした・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・ただ、その腕を下から上に振り上げ、半回転させただけだった。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの腕の動きに合わせディーゴの球体が大きく振られたかと思うと・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・ヒュィアァーッッ！！</p><p>&nbsp;</p><p>おかしな風の音がして、それが飛んだ！</p><p>一直線に高スピードを出して、サングレ方向の西の空へ・・・、吸われるがごとく・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・！　　　　夜空の星の一つになった？　　　　・・・やがて見えなくなった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ひと風吹く。・・・・そこは、静かな夜の景色に戻った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>光の中で、空を見上げる影・・・、やがて俺を見た、・・・また、笑う。</p><p>&nbsp;</p><p>よく知っている天然娘の顔が、「ごめんなさい。」　と言った。</p><p>・・・しつこいよ。</p><p>&nbsp;</p><p>ともすれば、・・・光が崩れて・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「・・アシュリー！！」</p><p>&nbsp;</p><p>俺がその光の薄れた体を抱きかかえた時、彼女にもう意識はなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・またもや、後悔ばかりが残ってしまった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　＜２の４＞</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>城の中は、複雑な迷路だ。</p><p>&nbsp;</p><p>知らない者なら必ず迷ってしまうだろう。・・・だが俺は、幼い頃よりその出入りが許され、今や自分の家と同じ感覚でその内部にくわしい。</p><p>&nbsp;</p><p>時間をかけず、誰にも見つからないように城の中を動き、目的の一室にアシュリーを連れて寝かせることは容易いことだ。</p><p>&nbsp;</p><p>そこは、王の間じゃなかった。</p><p>こんなアシュリーを王の元に連れていく選択肢、俺にはない。</p><p>&nbsp;</p><p>一度外へ出た。牢から抜け出したホフヌング家の者たちが、本邸まで逃げ帰っていた。</p><p>その家臣の一人を捕まえ父上の事を報告し、出来るだけ早く迎えに行くよう伝える。</p><p>&nbsp;</p><p>そして明朝、日が昇る前に大きめの馬車を一台城につけるよう命令する。</p><p>アシュリーを連れて、トルエノから出るつもりだった。・・・長居は危険と判断。</p><p>&nbsp;</p><p>謎の塔の破壊騒動でざわついていた侍女たちも、やっと静かになった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーを寝かせている部屋は、俺がプライベートルームとして借りている部屋だ。・・・主に使っている用途は、省略。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ここに戻って、小さな明かりをひとつだけつける。・・・窓からその存在を知られないように。</p><p>&nbsp;</p><p>薄明りの中、アシュリーのベッドの横に座る。・・・眠らず、彼女を見守る。</p><p>&nbsp;</p><p>疲れて眠るその顔にかかる髪を、手でそっと直す。</p><p>・・・もう心配でしょうがなかった、・・・ケイトと姿が重なって・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>ふと、彼女のその長いまつ毛をピクリと動かした、・・やがて瞼が開く・・・、ぼんやり俺を見つめた。</p><p>&nbsp;</p><p>「ああ、気がついたか・・・、よかった。」</p><p>心から嬉しくてそう言ったら、アシュリーは何を思ったか、ニコリともしないでその視線を天井に向け、ポツリ。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・あの時も、悪かったのは私だったの・・・。」　</p><p>&nbsp;</p><p>あの時・・？</p><p>「おまえは悪くないよ、あんなに頑張ったんだ。」</p><p>俺は出来るだけ優しく言った。彼女は全く表情を変えず天井を見つめたままだった。</p><p>&nbsp;</p><p>「自分が、正しいと思った、・・・けど違っていたのね・・・。」　</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・・、ディーゴをサングレに送ったんだろう、城に閉じ込めたのか？　・・・ヤツの魔力も封印したのか？」</p><p>問えど、アシュリー答えず。</p><p>&nbsp;</p><p>「しかし、ヤツをサングレに送って、どれ程の力を使った？　俺はそれが心配だよ。」</p><p>やはり黙ったままで・・・、いや、わかっている。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは、『サングレで反省しろ・・、』　と言って、ディーゴを飛ばした。</p><p>&nbsp;</p><p>彼女の選択は、『殺さない』　だ。　・・・自分の意志を貫いたんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>それは結果を、先延ばしにしただけ、　　すなわち、・・・保留。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは突如喋り出す。</p><p>「彼を救うのは、私の役目なの、・・・他の誰にも、してほしくなかったの・・・。」</p><p>「・・・えっ？」</p><p>「・・もう私、間違っていた。」</p><p>彼女はやはり無表情だった。・・・なんか様子が変で？</p><p>&nbsp;</p><p>「子供たちを守って大鷹の爪の犠牲になっていた彼を、私が助けなきゃって思って、・・・飛んだわ、彼のところへ・・・、そして彼女の中に入った・・・、一つの体に二つの意識があって・・・、彼を救った・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴの話じゃない・・・？</p><p>「・・・・？　何の話だ？」</p><p>&nbsp;</p><p>「彼女たちに任せなきゃいけなかったのに・・・・、いつだって自分は正しいと思っていた。そうであるべき立場だったから・・・、でも違うのよ・・・、そんなことなかったの、・・・だってそれが、今回の悲劇になったんだもの・・・。」</p><p>アシュリーは、泣きそうな顔になった、その顔を両手で覆った。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・、どうしたんだろう、・・・ディーゴとの戦いで、頭が変になった？</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリー、おまえ疲れているんだ、まだ真夜中だから、ゆっくり休め。」</p><p>俺は彼女に、ブランケットをかけ直す。・・・が、やがて、アシュリーの顔にかかる手の隙間から涙が・・・。</p><p>「どうした？・・泣くな、・・・明日はミアに帰ろう、・・・一緒に。」</p><p>彼女の両手をそっと顔から外す･･･、涙を自分の指でぬぐった。</p><p>アシュリーの手は俺の手から滑り抜けるようブランケットの上に落ちた、その布を強く握りしめる。</p><p>&nbsp;</p><p>「彼女が苦しんだのは、私が原因なのよ、・・・私の想いが彼女に残ったの、・・彼女をいたずらに悩ませて、・・・それで・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>･･･夢の話か？　・・・わかるはずない。</p><p>&nbsp;</p><p>「もう寝ろ、明日は早いから。」</p><p>&nbsp;</p><p>「ああ、許して・・・！」　急に、ヒックヒックっと大泣きだ。・・・びっくりして慌てて棚からスカーフを探し、その涙を拭く。</p><p>&nbsp;</p><p>それでも泣き止まなくなって・・・、おお、どうしようか？俺もベット横に腰をかけ、彼女の体を両肩から支え起こし抱きかかえる。</p><p>「おい、しっかりしろ！」　涙拭きつつ、声をかけた。</p><p>&nbsp;</p><p>･･･やがて、泣き止んで静かになる。俺にもたれかかり、スーッと引き込まれるように眠りについた。</p><p>&nbsp;</p><p>彼女をベッドに寝かせて・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>また、パチリと眼を開けた！　　　また、びっくりして・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「ああ、私･･･、」　確かに俺に顔を向けた。</p><p>「どうして、ここに？　ああジクト、あなたね、ありがとう。」　はっきりとした口調だ。・・・しかしこの後、表情を曇らせて視線をそらす。</p><p>&nbsp;</p><p>「どうした？」　恐る恐る問う。</p><p>&nbsp;</p><p>「ごめんなさい、私あなたの言う通りにしなかったわ・・・。」</p><p>「・・・何の話だ？」</p><p>「・・・彼のコトよ、決まっているわ、・・・サングレ城に閉じ込めて・・、暫くは出てこないと思う、・・・けど・・、」</p><p>さっきの答えが今、返ってきた。・・・謎の“　彼、彼女　”の話は出なかった。</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリー、これでよかったんだ、おまえのおかげでトルエノが静かになった。・・・これからのことは、後で考えるとして、今は休むことだ、･･･さ、おやすみ。」</p><p>「・・・ええ、ジクト。」</p><p>アシュリーは安心した顔になって、目を閉じた。</p><p>&nbsp;</p><p>彼女の手をしっかり握って・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>それから、俺も少し眠った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・・。　　アシュリーは何を言っていたのだろう？</p><p>&nbsp;</p><p>何も知らなかった、・・・知ろうとはしなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>そんなことが、罪になるってことを俺が知ったのは、もう、だいぶ後の事だった・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>約束通り、早朝、ホフヌング邸より馬車が来る。</p><p>&nbsp;</p><p>朝になってもアシュリーは目覚めない。そんな彼女の全身を隠すようにブランケットで包んで抱え、即座に馬車に乗り込む。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・直ちにトルエノ城を出る！　　</p><p>&nbsp;</p><p>「父上は？」　</p><p>中から馭者に声をかけた。</p><p>「・・はい、・・・それが不思議なことに、・・杖なしでお歩きになりました、それはそれは以前よりお元気になられたのでございます。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・馭者はシノヤという男だ。サラと同じく俺の身の回りの雑用を務めとし、歳は５つばかり年上で昔から主従関係にある男。剣稽古の相手にもなる気馴れた家臣だ。</p><p>俺のことはよくわかっているので、一緒にいるのが女だという事がわかっても何も聞いてこない。</p><p>&nbsp;</p><p>「そうか。」</p><p>父の杖なしで歩いた話を、俺は聞き流す。・・・アシュリーが癒したのだから当然だ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・アシュリーは、俺の肩にもたれ眠る。時々うつらうつら、眼を覚ますが、・・すぐ眠りに引き込まれる。</p><p>&nbsp;</p><p>その様子は、俺を不安にさせていた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>どのくらい走っただろう？　窓の景色はトルエノを離れた、木々がうっそうとする森の中に入る。</p><p>&nbsp;</p><p>体がきしむ、・・・かなりの疲労感あり。睡眠不足でもあるのに、眠れない、・・・ずっと心と体の緊張が取れない。</p><p>&nbsp;</p><p>ミアまでの時間を考える、・・・夕方までには着くだろう。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・突如、馬車が止まる。</p><p>「どうした？」</p><p>&nbsp;</p><p>シノヤが境の窓を開けて、「・・・行き道が塞がれています。前方に馬上の女の兵士が二人。」　と不審気に言う。</p><p>「・・・女？」</p><p>「ゆっくり、近づいてきます、どうしましょうか？」　</p><p>&nbsp;</p><p>俺も窓から身を出す。視線を前に向けた。</p><p>確かに馬に乗った二人の武装姿の影が・・・、　　二人の背中には剣のようなものが見えていた。</p><p>&nbsp;</p><p>一人は、肩までのウェーブを一つに紐でまとめていて、もう一人は、長い黒髪を二つに分けてリボンで括り付けている・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・おお・・・、」　</p><p>&nbsp;</p><p>俺の中で、張っていた力の糸が緩んだ瞬間だった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ローレアとアマンダが、来たのね・・。」　アシュリーが眼を覚まして言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「ああ、分かるんだな。」　俺は答える。　アシュリーは微笑して、「・・・話がしたいわ。」　と。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>女たちが馬車の直前まで来る。</p><p>馬から降りた二人は、深々と頭を下げた。・・・ずっと下げていた、上げようとしなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>俺が馬車から降り、ローレアとアマンダに会う。彼女らにアシュリーの意を伝えた。</p><p>ローレアだけが馬車に乗った。</p><p>&nbsp;</p><p>暫く、中で二人で話をする、その会話は全く聞こえなかった。</p><p>俺とシノヤ、アマンダは無言で待つ。時折馬らの嘶く声が、この静まり返る森林の空気に響いていた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>やがて、ローレアが外に出て来た。俺の方から詰め寄った。</p><p>「アシュリーは、どうなんだ？　大丈夫なのか・・・？！」　</p><p>「おまえが心配するようなことはない、安心しろ。」</p><p>「・・・そうか。」　この女のこの答えを、ずっと待っていた。</p><p>&nbsp;</p><p>「さて、・・・今後のおまえの考えを聞こうか。」　</p><p>改めて、ローレアから質問だ。</p><p>&nbsp;</p><p>今までの戦いの事は・・・、こいつのことだから、知っているんだろうな。</p><p>「ああ、知っている。」</p><p>「思ったことに、相づちはいい。」　「そうか。」　「ま、なら話は早いが・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>俺は待っている間に考えたことを、ローレアに話し出した。</p><p>「アシュリーを連れてミアに向かっていたが、・・・考えが変わった。」</p><p>ひと息ついて、続ける。</p><p>「詳しい話は省略するが、今、剣がないんだ・・・、」　「見ればわかる。」　「あ、そう。」</p><p>気にせず、続ける。</p><p>「家臣に剣の調達を頼んでいるから、一度トルエノまで戻って、剣を受け取って・・・、」　少し間を置いた。</p><p>&nbsp;</p><p>「それから、サングレに向かう、・・・今度こそ、ディーゴを刺し殺す。」</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアがそのキリッとした眉を上げる、俺は言葉を続けた。</p><p>&nbsp;</p><p>「俺は行かないが、アシュリーは予定通りミアまで行く。」</p><p>「ん・・・？」</p><p>「魔法を使い過ぎて疲れているんだ、休ませないと、・・・アマンダおまえ、俺がいない間ミアでアシュリーを守ってほしい。」　</p><p>アマンダが、ヘッ、となってこっち見た。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・私はどうする？」　ローレアが真面目な顔で聞く。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・いや、そこでなんだけど・・・、これも詳しく話したくないが、・・・ペンダントがないんだ。」　「知っている。」</p><p>大きくため息ついて、続ける。</p><p>「・・・で、ディーゴと戦う為の新しい石がいる。･･･ロ―レア、おまえは俺と一緒にサングレに行ってくれ！」</p><p>一気に言い切る、都合良すぎるか？・・・ペンダントを失くしたことは、叱られると思った。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・おい、姉さんとだけで悪魔と戦う気か！？」　アマンダが顔を青くして、俺に迫ってきた。　</p><p>「・・・あ、いや、そこまでは決めていない・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアはフッと表情を緩め、微笑する。</p><p>「我らに指示するまでに、えらくなったな、・・・少し詰めが甘いところもあるが・・・。」</p><p>「･･･なんだ、悪いか？」　やっぱり。</p><p>「悪くない。」　「・・・はっ？」　聞き返して、</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアは考え込むように、ボソッと言った。</p><p>「おまえがサングレに行くなら、姫はミアには行かないだろう。」　</p><p>「・・・・・。」</p><p>アシュリーの考えは分かるつもりだ・・・、でも、</p><p>「・・・俺はもう、アシュリーを戦わせる気はない、金輪際、全くもってディーゴに会わせない、・・・行くのは、俺だけでいい。」</p><p>ちょっとカッコ良過ぎかな？　これは女たちが恍惚と俺を見るんじゃないかと思ったが、</p><p>&nbsp;</p><p>「ただし、石はいるんだろ。」　しらっと、ローレア。</p><p>「変わったようで、やっぱり変わってない。」　呆れ顔でアマンダ。</p><p>「・・何がだ？」　聞き返せば、知らん顔でそっぽ向いた。・・・ふん、言いたいことはわかるが、うるせ―よ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「今よりミアには行かず、みんなでサングレに向かう、･･･姫もな。」</p><p>ローレアが、決断した。</p><p>「・・・おい、ローレア、それは・・・！」</p><p>意義ありだ、俺の意見を無視し過ぎだろ。</p><p>&nbsp;</p><p>「姫に誓ったのだろう？　ずっと一緒だと・・・、」</p><p>「・・・！」　それは・・・、バカ！　　アマンダやシノヤがいる前で・・・、恥ずかしい！</p><p>「いすれにしろ、おまえは片時も姫から離れてはいけない、常に守らなくてはいけない、その使命を抱える者だ。」</p><p>「・・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>「無理にミアにお連れしても、落ち着かれないだろう、魔法を使って抜け出すかもしれんし・・・、」</p><p>それは、ありうる・・・。</p><p>「ミアが安全とも限らない、悪魔にかけた結界が早く破られる可能性もある。そうなればどこにいても同じだ。」</p><p>「早く・・？」</p><p>「・・・我らの魔法もいずれは切れる。姫のかけた魔法でも４，５日が限界だ。　それに、もう王妃様の守り魔法の効果は消えつつあるのだ、後２，３日で完全に解ける。」</p><p>「・・・！　えっ？　時間がないじゃないか！」</p><p>「心配しなくていい、我らの力が減るわけじゃない、守ってくださっていた光が弱くなるだけだ、・・・しかしそれによって、悪魔の勢いが増す可能性がある、完全に安全な状態からは抜けるんだ。」</p><p>「もう魔法に頼れなくなるって話か。」</p><p>「具体的に言えば、我らの体が悪魔に見え出すだけだ、後は変わらん。真っ向勝負でも負ける気はしない。」</p><p>勇ましいローレアの言葉に、心の芯から安堵するが、「次の戦いは、すぐだな。」と、俺は言った。</p><p>&nbsp;</p><p>二人の女戦士も頷いた。</p><p>「細かい今後の計画は、セス様の家で行う、・・・直ちに行こう！」</p><p>&nbsp;</p><p>そう、次の目的地は、サングレのセスの家に変更する。</p><p>「・・・って、待て、先にトルエノに・・・、」</p><p>「トルエノに行く必要はない、おまえの悩みをすべて解決する方法がある。」　「・・・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>ここでシノヤとは別れることになった。</p><p>「ここでの事は他言無用だ、分かっているな。」と言ったら、「はい、承知しております。」と言った。</p><p>過去何度かの俺の修羅場の目撃者であるこの男の口から、主人の秘密が漏れたことはない。</p><p>ローレアの馬にまたがって、シノヤはトルエノに引き返した。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>代わりに俺が馭者の席に座ろうとしたら、ローレアが、「おまえは中へ・・、姫といろ。」　と。</p><p>ローレアが馬車の手綱を取った。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ふと、アマンダが馬車の横を通り過ぎて、見る、その背中に剣二つ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「アマンダ、しっかりついて来るよう！」　「はいッ！」　威勢のよい二人の掛け声に・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、飛ぶんだな、･･･と思った。</p><p>&nbsp;</p><p>揺れないようアシュリーを強く抱きかかえ、眼を閉じる・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ちゃんと弔ってきたんだろうか・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ケイトのことは、吹っ切ったような二人の態度だった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　＜２の５＞</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>考えてみれば、セスの家だ、・・・アシュリーには、うってつけの場所だ。</p><p>&nbsp;</p><p>時間差なく一瞬に着いたように思ったが、真昼間でも夕方か、日の出前か分からないぐらいの薄暗さだ。・・・その景色を見ただけで十分落ち込める、それが今のサングレ。</p><p>それが、セスの家の前までくると、そこだけ暖かな光が見えていて、明るいんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「まだ、魔法が残っているんだな。」　と、窓からのぞきながら俺。</p><p>「誰がかけた魔法だと。」　と、横で馬上から得意そうにアマンダ。・・・なぜそう、おまえが偉そうに言う？</p><p>&nbsp;</p><p>家の中から、肌の血色がよい、まるまると太った男がニコニコして出て来た。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・が、俺がアシュリーを抱えて馬車から降りてきたのを見て、顔色を変えた。</p><p>&nbsp;</p><p>「何があった？　ジクト！」</p><p>セスの第一声だった。・・・まだ、アシュリーは起きないんだ。</p><p>すぐに答えられなくて・・・、</p><p>「とにかく寝かせたい、ベッドを構えてくれ。」　</p><p>まずそう言うとセスは慌てて引き返す、バタバタとベッドを作り始めた。</p><p>そこに、アシュリーを寝かせる。</p><p>&nbsp;</p><p>「こんなに、やつれて・・・、体も冷え切っているじゃないか・・・、」　セスはアシュリーの手を握り言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリーは、悪魔と戦ったんだ・・・、でも、悪魔を殺せなかった。」</p><p>&nbsp;</p><p>真実を正直に伝える、・・・セスはアシュリーから眼を逸らさず聞いていたが、</p><p>&nbsp;</p><p>「戦うなど、それは剣を持つおまえのする事じゃないのか、ジクト。」</p><p>一瞬グッとなった、･･･いきなり、的当たりな事を。</p><p>&nbsp;</p><p>セスの背中が俺を責めている。</p><p>&nbsp;</p><p>「殺せなかったのは当たり前だ、アシュリーの魔法は、戦う魔法じゃない、その者を守り助け、蘇らせる魔法だ、生きる喜びを教えてくれる魔法なんだ。」</p><p>&nbsp;</p><p>　　わかっている。　　　　　「俺が・・・、」　　不甲斐ないから・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリーは何か食べているのか？　口も随分渇いているが・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、最後に口にしたのはいつだ・・・？　　もう、セスに殺される気で、「・・・暫く何も・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・おお・・、」　セスの嘆きに近い声がもれると、そこでアシュリーが気がついて・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリー！」　セスが大きな声で呼びかけた。</p><p>「お父さん・・・！」　アシュリーも目を見開いてセスを見た。　</p><p>&nbsp;</p><p>「今から温かいスープを作ってあげよう、おまえの好きなはちみつとリンゴのジャムもあるよ、焼いたパンに付けて食べたら元気が出る。」　娘の頬を撫でながら言う。</p><p>アシュリーは俺を見る、そして父に訴えた。</p><p>「ジクトは、ずっとそばにいて、・・懸命に私を守って戦ってくれたの・・・、」</p><p>セスは振り返って俺を見た、穏やかな表情になって、</p><p>「そうか、ジクトありがとう。」　と、言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクトも何も食べてないわ。」　さらにアシュリーがセスに言う。</p><p>「もちろん、ジクトにも作ろう、・・・ちょっと持っていろ。」　</p><p>セスは、奥のキッチンに走っていった。　</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーがまた、静かになってまどろむ。</p><p>&nbsp;</p><p>外にいた女二人が中に入ってきた。セスにアシュリーの着替えを頼んでいたが、それを持ってきたようだった。</p><p>見れば悪趣味な派手な衣装だった。「セス様の御母堂ゾーイ様の物だ。」とローレアが説明する。</p><p>「老女の服など、他になかったのか？」　「姫様の服は、ミアに置いたままだ。」・・あっそう、しょうがなかった。</p><p>「裁縫が趣味だったそうだ、姫と同じなのだ。」　いや、どうでもいいし、一体いくつでこんな服を着ていたのか。</p><p>しかも、このゾーイの部屋がピンクの中心のカラフルな布で覆われる乙女チックな部屋だったので、アシュリ―ならいいが、こんな部屋で老婆が楽しく服を縫っている姿はどうだろうと、思わず想像しまった自分は殴られるべきだ。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの着替えが終わって、また部屋に入り、ローレアに問う。</p><p>「寝たり起きたりを繰り返しているが・・・、大丈夫だろうか？　やっぱり心配だ。」　</p><p>「体が回復するまでには、時間がかかりそうだ、・・暫くはこの状態が続く。」</p><p>「・・・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>セスに呼ばれ、キッチンを覗く。</p><p>「おお、ジクト、カマドの薪が足らないんだ、取りにいってくれないか？」</p><p>･･･なに？　</p><p>「かけてくれた魔法の外に出なければ枯れ木はない、恐ろしくていけなんだ・・・。」</p><p>今までなら、俺が、『おまえに命令されて、動く道理がない、自分でやれ。』と、突っぱねたところで女たちが出てきて、・・・その中の約二名から刃物を突き付けられ、過剰な脅迫で強制労働を強いられるという理不尽な結果になるが・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・・・、ああ、わかったよ。」</p><p>「すまないな、ジクト。」</p><p>すんなり、二つ返事ってやつだ。　・・・しかし、</p><p>&nbsp;</p><p>俺にも、剣もペンダントもないから、結界外は恐ろしい。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの傍に、二人の剣を持つ女。</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアは椅子の上に足を組んで座り、瞑想している。・・・これはスルーして・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ボケッと、剣を拭いているもう一人に言う。</p><p>「おい、アマンダ、今から薪を取りに行くぞ、ついて来い！」</p><p>&nbsp;</p><p>ここもいつもなら、『なんで私が、おまえの言うことを聞かねばならんのだ！』　と反抗するのが、いつものパターン。　が・・・、ムクッと顔を上げ、「ああ、行こう。」　と剣を背中にしまって、立ち上がった。</p><p>&nbsp;</p><p>･･･何かが変わり始めているのか・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>外に出て、セスの家の裏山に登る。</p><p>着くなりアマンダが魔法で斧を出して、それを使い早い動きでバッサバッサ次々と枯れ木を伐り倒していった。</p><p>&nbsp;</p><p>さらにその斧を宙で振り下ろしただけで、伐った幹が細かく縦に割れて、薪として使うほどよい大きさになる。・・・たちまち、薪が山のように出来上がった。</p><p>&nbsp;</p><p>それを仕分けて、紐でまとめて大きな袋に詰めれば、あっという間に作業は終了だ。</p><p>&nbsp;</p><p>「急ごう、魔法で作った薪は長くはもたないんだ。」</p><p>アマンダが薪袋を担ぎながら言った。</p><p>「・・・いや、おまえって便利だな、今知ったよ。」　</p><p>もう一つの薪袋もアマンダに渡そうとしたが、これはつっ返ってくる。</p><p>「うるさい、早くしろ！　ここの日暮れは早い、あっという間に暗くなるぞ。」　</p><p>しょうがないから俺も薪袋を担ぎ、早々に山を下りた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>薪を持って帰れば、大鍋のカマドの火が、ちょうど消えかかっているところで、中に薪を突っ込むところまではしてやったが、この後セスに筒を持たされ、「ジクト、すまん、これで火を吹いてくれ。」　</p><p>・・・・、また、扱き使われる。</p><p>&nbsp;</p><p>袖をめくって、筒からカマドに向かって息吐けば、煤が舞って顔に・・・、</p><p>それでも文句を言わない俺は下々の働くおじさんと同じ、・・・セスか。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>早い日暮れを迎えた頃、・・・セスの料理が出来上がった。</p><p>&nbsp;</p><p>まさに１日半ぶりの食事となった。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーが目をさまして起き上がる。歩けるというのでテーブルで食事をとることになった。</p><p>俺はアシュリーの体を支え、歩くのを手伝う。</p><p>姉妹によって引かれた椅子に座る。　深く礼をした後、それで姉妹は部屋を出ようとした。</p><p>&nbsp;</p><p>「あなたたちも、一緒にたべましょう。」</p><p>「たくさん作ったんだ、あなた方にも食べていただきたい。」</p><p>と、アシュリーやセスの声掛けに最初は遠慮したが、「それでは・・・、」と、テーブルに並んだ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>会話を忘れ、皆が食べる事に集中した。誰もが本当に空腹だった。</p><p>この静かな晩餐に、いつものごとくセスの食事をとる音が、無遠慮に耳につく。</p><p>俺が、「いい加減静かに食え！」　と、剣に手をかけて怒鳴りかねない場面で、もうそんな気がおきないのは、疲れていたから・・・、他に何かある？</p><p>&nbsp;</p><p>「やっぱり、おいしいね。」</p><p>アシュリーが俺に耳打ちすれば、俺も微笑して頷く。・・・昨日までのハードな出来事を、一瞬夢だと思える穏やかな時間となった。</p><p>&nbsp;</p><p>しかし、隣で姉妹の会話が聞こえてきて、俺は暗くなる。</p><p>&nbsp;</p><p>「アマンダ、次の食事はいつになるか、わからん。」　</p><p>「・・・はい。」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは、いつも半分ぐらい食べて、また眠った。・・・ベッドに寝かせて、後はセスに任せるが・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は女たちと別室で、話し合いを始める。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「満足に食事もとれなかった、・・・アシュリーはいつまで、こんな状態なんだ？」　</p><p>また心配になった。</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリーは、魔法封じの石で塗り固められた大鐘を割って出たのだ・・・、それに、ディーゴの過去を一緒に見て、戦って・・・最後は、ヤツをサングレまで飛ばした。」</p><p>「我らには到底無理なことだ・・・。」</p><p>「そうだろ！その石２個で魔法は使えなくなると、おまえは言った。アシュリーの使った魔法は・・・・、」</p><p>「今回の姫様の使われたお力は、一般の魔法族なら致死量に達するレベルだ、命がいくつあっても足りない。」</p><p>「おお、ローレア！！」　</p><p>眼の前が真っ暗に・・・、倒れる寸前となる。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ああ、アシュリーも、ケイトのようになるの、か・・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>「しかしジクト、姫の持つ光の力は一般魔法族数十倍、数百倍とも言われている、けた違いなのだ。やがて国を治められるお方となる。使命に応じた力が与えられているのだ。」</p><p>「・・・・・。」</p><p>「島一つ飛ばしても、ケロリとされているであろう・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・、それは？</p><p>&nbsp;</p><p>「だから今回の事で姫の命が奪われることは、断じてない。」</p><p>「・・・本当に？」</p><p>「姫の死は見えていない。時を待て、元気になられよう。」</p><p>&nbsp;</p><p>俺はグイッと腰を上げて、ローレアに詰め寄った。俺の顔を見てローレアは困惑した表情をした。</p><p>「ああローレア、おまえを抱きしめてもいいか？」</p><p>「なぜだ。」　</p><p>「俺が今どれほどにおまえを信じようとしているか、感じてもらいたい。」</p><p>「よせ、意味ない。」　眼を逸らされた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・時戻り、サングレ城。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ここは、どこ？　</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、ここは、ボクのおシロだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ブ、ブビッ、ブブ・・・、」　手を広げようとしたけど、できなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>このへや、とてもせまくて、みうごきがとれないの。「ブブブ・・・、」　　こんなに、せまかったっけ・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ふと、むねのあたりに、かたいものがふれて・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>そうそう、オモチャがあるんだ、おにいちゃんから、もらったやつ、・・・うふふ、なんだろう？</p><p>&nbsp;</p><p>その木ばこを、あけると・・・、　　　ピカーッ！ってヒカリがでて・・・・、あわてて、しめたけど・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>右の目がやけちゃった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・うわ～んッ・・！　　　　いたいよう・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「なんて、様だ。」　</p><p>ダレだ、ボクに話しかけているのは・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>「随分若くなったようだが、もしかして気に入っているとか・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>「バブ、ボブ・・・。」　あれ、コトバもしゃべれない、なんてアワれなボク。</p><p>&nbsp;</p><p>「そうだ、おまえは哀れな悪魔だヨ、ヴァルディーのお姫様にいいようにやられちまったナ・・・・、アホ！しっかりしろヨ、世界を制覇するんじゃなかったのか？」</p><p>&nbsp;</p><p>「ベブブ・・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>「ベブブ、・・・じゃねェ！　・・・それと、ヨダレ垂らしている場合かっ！」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ボク、何をしょうとしてたっけ？</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ヴァルディーの危険な女たちを捕えて、闇に葬ることでショ、・・・全部忘れやがって！」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・？」　ヴァルディーの・・・、あのきれーなおねえちゃん？　・・・トモダチになったよ。</p><p>&nbsp;</p><p>悪いこと、ハンセイしたら、またあそんでくれるって・・・、楽しみだなぁ・・！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・どこまで腑抜けになっていやがる・・・、まだ、勝負は決まっていないゼ、・・・おまえがその気になりゃ、またやれるゼ・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・その木？　　「・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>「思い出せヨ、悪魔の嗜みを・・サ。」</p><p>&nbsp;</p><p>「バブバブ・・・？」　なにそれ？　楽しそうだけど。　</p><p>&nbsp;</p><p>「やる気ないんなら、オレ、帰るワ。」　</p><p>「ブッ？！」　　あ、待って、やる木ある、あるよ。　　「・・・・。」</p><p>「じゃ、一つだけ言ってやるゼ、・・・。」　うんうん、それは・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「女たちにも必ず、弱みがあるってことだ。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・セスの家。</p><p>「ジクト、一つ言っておくが、我らにも欠点がある。それを分かっていたほうがいいだろう。」</p><p>「・・・、おまえらにそんなものが、あったのか？」</p><p>不思議な気になって、ローレアを見た。</p><p>&nbsp;</p><p>「我らは、悪魔相手には思い存分魔力を出して戦えるが、・・・相手がただの人であるならば、そうはいかなくなる。」</p><p>「ただの・・、人間？」　</p><p>「悪魔は殺していいものだ、・・・しかし人は殺せん、それに魔法は禁じられている。」</p><p>「・・・？　海賊戦の時使わなかった？」　「使ってない。」　</p><p>そうだっけ？　　</p><p>&nbsp;</p><p>「使おうと思えば使えるが、使えば罪になる。自然のそのままの姿を壊すは魔法の暴挙だ。元々ヴァルディーの光の魔法は愛でて、育むためのものだしな。」</p><p>&nbsp;</p><p>「魔法が使えないとなると・・・、」　俺の言葉をローレアが継ぐ。　「時間がかかるってことだな。」　</p><p>&nbsp;</p><p>ふーん。</p><p>&nbsp;</p><p>「アマンダ、あれを。」　おもむろに、ローレアが妹に声をかけた。　</p><p>「はい。」　姉の陰に隠れていたアマンダが前に出る。</p><p>&nbsp;</p><p>両手に袋に入った大剣を大事に抱えていた。</p><p>&nbsp;</p><p>「初めてでは、ないな。」　ローレアが言った。</p><p>「これは・・？」</p><p>そうだ、ケイトに剣の塩抜きを頼まれて、・・・アマンダが確か・・・、アマンダに向けば、額に穴が開きそうなくらいの眼力で俺を凝視する。</p><p>「おまえが俺に持てと言ったあのゴージャスな剣だろ、これ？　確かおまえたちの家宝の剣だったよな？」</p><p>&nbsp;</p><p>ずっとケイトが背に抱えていたんだ。　今日はアマンダが持っている。</p><p>&nbsp;</p><p>「今より、おまえがこの剣を持て、ジクト。」</p><p>アマンダが言った、　　・・・はっ？　となった時、さらにアマンダは、言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「これで、我らと戦おうぞ、悪魔を斃すんだ！」</p><p>&nbsp;</p><p>「待て、アマンダ、この剣は・・・、」</p><p>恐る恐る、手を出して剣を受け取ろうとしたが、</p><p>&nbsp;</p><p>「これはヴァルディー国王、ヴェルアス様が、最後に悪魔と戦われた時の剣だ。」</p><p>アマンダのこの言葉に、俺の手はダランと宙を切るように落ちた。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・なんと？」</p><p>&nbsp;</p><p>「あえなく王は悪魔の呪いにかかり、命を落とされることになったが、その時の王の無念の想いがこの剣に残っておられる。」</p><p>話がローレアに交代する。</p><p>「・・・おお・・・、」　返す言葉が見つからないが・・・。</p><p>「この剣は、王の御身に突き刺ささっていたものだ、悪魔が王妃様を追いかけているうちに、城に残っていた我が母がその御身より抜いた。そして悪魔の隙をみて、剣とともに逃れた。」</p><p>「なぜ、そんな剣を、俺が・・・、」</p><p>「その剣は我らには使えんのだ、王はただの人であった、よって使うはただの人、　姫の“　導く人　”の運命を受け、剣を持つ若い男、・・もうおまえでいい。」</p><p>ローレアの言葉に、アマンダも真剣な面持ちで頷いた。</p><p>&nbsp;</p><p>ヴァルディー王、・・・アシュリーの父親、・・・の剣、アマンダに持たされた時、腕に重かったその煌びやかな重厚さ・・・・、それは、そこまでの人間が持つものだった、・・納得する、・・・・でも、</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・、いや、この剣は、俺には、ちょっと・・・、」　気が引けた。</p><p>「剣が欲しかったのだろう？」　「そりゃ、そうだが、・・・、」　頭をぐったり下ろしてしまった。</p><p>&nbsp;</p><p>「それなら、おまえは悪魔を斬ることを、諦めるんだな？」</p><p>ハッと顔を上げた。・・・アマンダの声だった。</p><p>「おまえも実感したはずだ、悪魔がなかなか斬れないことを、・・この剣は、ただ人が悪魔を斬れるただ一つの剣なんだ。」　・・この声、本当、ケイトによく似ている。</p><p>&nbsp;</p><p>暫く考え込むように沈黙したが、</p><p>・・・俺は手を出した、袋の上から剣を握った。アマンダがその手を離せば、俺だけにその重みは伝わった。自分の手元に寄せ、袋の紐を緩める、サッと剣を出す。</p><p>&nbsp;</p><p>ヴァルディーの紋章模様と黄色い石の柄、・・・月のように冴えた輝きを放つ鞘。</p><p>&nbsp;</p><p>鞘から剣を抜く、・・・蝋火の光を映した鉄刃が眩しかった。やっぱり力強い剣だと思った。</p><p>&nbsp;</p><p>王の剣、・・・それは、戦う為の男の剣。</p><p>&nbsp;</p><p>ヴァルディー国を蘇らせる・・・・、今こそ、その想いを果たす時・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>この剣で、悪魔を・・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「どうだ？」　　「重いな。」　と言ったが、明らかに、この間握った時と違った感覚が俺にあった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ケイトがいつ、おまえに渡そうか、迷っていた。」</p><p>アマンダが、ポツリと言った。・・・それはいつだ？　そんな気があったのか。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は、「確かに受け取った。」　と、呟くように言った、そしてアマンダをケイトのように見た。</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアが静かに言った。</p><p>「王妃のペンダントはおまえを守ったが、その剣はおまえを守らない、ただ戦うだけの剣だ、おまえがその意気を失えば、剣はおまえから離れていこう・・・。心して、持つがいい。」</p><p>&nbsp;</p><p>力強く両手で握った。　徐々に湧き上がる闘志を感じた、・・・いけるんじゃないか？・・・この剣なら・・、</p><p>・・・石はもう、いらない。</p><p>&nbsp;</p><p>そうだ、この剣で、俺が悪魔を斬る！！　　　　</p><p>パチンと、鞘に収めれば、・・・どう、決まった？　　・・・ま、調子いいか。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・と、この時・・・ローレアが立ち上がる！　　「どうした？」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・早い！」　　</p><p>「姉さん！！」　アマンダも続けて立つ。</p><p>突如、二人の女が緊迫した表情を見合わせる。</p><p>&nbsp;</p><p>「何が・・？」</p><p>ローレアが声を上ずらせた。　「ジクト、敵だ！」　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・！！　　　　えっ、マジか・・・？！</p>
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<link>https://ameblo.jp/tahamimi/entry-12258990944.html</link>
<pubDate>Thu, 23 Mar 2017 16:45:48 +0900</pubDate>
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<title>Ashley</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p>ディーゴには、４人の姉がいた。・・別段変わったところもない、普通の娘たちだった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・雨に濡れる石墓・・・。　　黒いレインコートの人だかり。　</p><p>&nbsp;</p><p>遠くの窓に少年の影あり。　　　　悪魔の成長の陰に、・・・姉の死。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・、ボクのせいかって？　人聞きの悪い・・・、真実は、誰も知らないけどね。</p><p>&nbsp;</p><p>想っただけで願いはかなうんだ、それだけだよ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>この子供が・・・？　いや、・・・悪魔といえど元人間だ。</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・・、アシュリー、今度はディーゴが幼い子供・・・？）　</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・・・、ごめんなさい・・・、もう少し辛抱して・・、もっと深く彼の過去を知る必要があるのよ！）</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・・・・。）　これ以上、アシュリーに何も聞けなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>『私たちの偉大な神サーランは、どの人の心にお住みになる。静かに自分の心に耳を傾ければ、自然に神の御心が伝わるようになっている。だから人の心は美しいのだ。私たち神に感謝の意を示し、祈りを捧げよう。』</p><p>『はい、お父さま！』</p><p>&nbsp;</p><p>神主と、それを取り囲む４人の娘たち。城下にある白い大きな邸宅いっぱいに幸せそうな元気な声が響いていた。</p><p>ただの神主ではない、その煌びやかな服装、身のこなしは上流貴族並みだ。</p><p>&nbsp;</p><p>そこに母親が顔を出した。品のよいマタニティードレス姿で・・・、身重だった。</p><p>娘たちは、母を気遣い、５人目の命の誕生を心待ちにしている。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・５人目の子供って？　　・・・・おおっ、ここが悪魔の家族？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・時と、場所変わり、田舎のお産所。ここで母親が<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">5</font></font>人目の出産を迎える。</p><p>&nbsp;</p><p>父はこっそり男禁制のこの場所に来ていた。・・・<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">35</font></font>歳を過ぎた妻の出産が心配だったのか？　何やら落ち着かない様子で神に必死で祈っている・・・、実は別に、とても気になっている事があった。</p><p>&nbsp;</p><p>妻の出産は、これが最後となろう、・・・ならば、生れてくる子は、是が非でも男子でなければならぬ！</p><p>&nbsp;</p><p>国王お抱えの神主としての最高の地位は、今やこの父にあった。</p><p>代々神主一族の第一男子に受け継がれてきた特権である。</p><p>その暮らしは貴族と同様で、優雅を極めていたが、次男より下は平民扱いとなり、その格差が激しかった。</p><p>&nbsp;</p><p>一昨年、父の弟の妻が男子を出産する、・・・これを機に弟が兄に言った。</p><p>『兄さんのところには男子がない、神主一族のしきたりに従って、男子が生まれた私の方が正当な後継者となる。』　　『・・・・！』</p><p>&nbsp;</p><p>だいたいどの国も男第一主義の社会である。上に立つ者は必ず男でなければならない。跡を取る男子がいない家は衰退していく。</p><p>&nbsp;</p><p>おお、男子を産んで、弟より最高神主の地位を守らねば。・・・でないと、ただの神主として田舎巡りに落ちてしまう。　　・・・・・冗談じゃない、　そんな悪夢はみるものか！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・また、一心腐乱に祈り出した・・・、神よ、どうか、どうか、今度こそ男子でありますよう・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>産声がして、駆け付けた・・・、産婆を呼んで抱かれた赤ん坊をみる。</p><p>&nbsp;</p><p>『・・・どっちだ？！』　『女の子でございます。』　</p><p>『・・・・おお！！』　明らかに落胆した声を出す。事もあろうか赤ん坊のそれを確かめた・・・、ない。</p><p>奥で、妻もがっかりして涙を流していた。</p><p>&nbsp;</p><p>元気に生まれたのに、それを喜ばない神主夫妻、・・・産婆は呆れたという。</p><p>&nbsp;</p><p>この災いは必ずくると、彼女は思った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・この時だった、この場所に旅の一行が訪れる。</p><p>異国の黒い衣装の集団だった。・・・中にかなり大きなお腹をした女性がいた。</p><p>『産声が聞こえたものですから、ここは産所ですよね、・・・私の妻も今にも生まれそうなのです。どうか取り上げていただきたい。もちろん礼金はあります。』</p><p>金貨<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">500</font></font>枚・・・、献金一年分に相当する金額を袋に入れて差し出した。</p><p>&nbsp;</p><p>父と産婆は驚いた、・・・一息ついて、父は言う、『やっておあげなさい、これも神の導きです。』</p><p>礼金の<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">7</font></font>割は神への献金として、神主の父の手に渡ることに。</p><p>&nbsp;</p><p>やがてその女性のお産も始まった。・・・夕闇迫るころ、産声が上がる。</p><p>&nbsp;</p><p>男の子であった。</p><p>&nbsp;</p><p>『・・・男とは、・・・主（ぬし）が喜ばない、困った。』</p><p>男のぼやき声が聞こえる。父はこれを聞き逃さなかった。</p><p>『何をお悩みですか？・・・私は神に仕える身、よければ話を聞きましょう。』　</p><p>&nbsp;</p><p>男はため息をついた。</p><p>『神とは、ワレラにとっては主です。主の使いとして奉仕させるのは女なのです、・・・女でなければ、連れ帰ってもしょうがない・・・・。』</p><p>娘を結婚させずに神殿を守る女官することは、異国ではよくあることだった。</p><p>&nbsp;</p><p>その男の赤子を見る、・・・我が子とさほど変わらない気がした。</p><p>・・・この時この神主なる父に囁いたのは、どんな神だったのか？</p><p>&nbsp;</p><p>男に提案してしまう・・・、『私の子供とあなたの子供を交換しましょう、あなたにとっても、私にとってもよいことがある、ぜひそうしましょう。』</p><p>&nbsp;</p><p>男も頷いた。『ワレラだけの、秘密ですな。』　</p><p>子供は速やかに交換された。</p><p>&nbsp;</p><p>お産をした女は顔色一つ変えず身支度を整え、神主の女の赤子を抱く。</p><p>集団は朝になるのを待たず、闇の中を去って行った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>眠っていた母が起きた時、我が子にそれがついていてびっくりした。『・・女の子じゃなかったかしら？』</p><p>&nbsp;</p><p>乳母は声が震えそうになるのを堪えながら言った。『夢でも見られたのでしょう、・・・、男の子です、奥様。』　</p><p>&nbsp;</p><p>母はこれを聞いて、</p><p>『あら？そうね、よかったわ。』　と、ニッコリ微笑んだ。</p><p>&nbsp;</p><p>すべてを知る産婆はこの先、二度と子供を取り上げることはなかった。黙秘を守り、一年後死んだ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ただ、神主は我が子を手放す時、異国の女官として立派になることを祈っていたことが、唯一の救いだったかもしれない。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・しかし、この娘がどこかの国で、神に仕える姿はどこにもない・・・、彼女はあれからすぐ、赤子のまま火の中に入れられる・・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・これは、いけにえ・・・？　　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>黒衣の集団・・・、彼らは何者だ？　　　主とは・・・？　　　　アシュリーは首を横に振る。</p><p>&nbsp;</p><p>（人の弱い心を使って、目的をはたす者たち・・・・、どうしても女の子が欲しかった、人以上の力を得るために・・・。）</p><p>&nbsp;</p><p>・・・女の子供の身を“　主　”　に差し出し、代わりにその“　主　”からこの一族が力を得るという、・・・その儀式だという。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・主とは悪魔だ・・・、こいつらは、悪魔信仰する集団だ・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>神主が、我が子と引き換えに、もらった男の赤子こそ、ディーゴ。</p><p>&nbsp;</p><p>悪魔一族の落とし子、かつ先天性、悪魔気質を持って生まれた人間、・・・それがディーゴ。</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・この世には、私の考えでは説明できないことが沢山あるんだわ・・・。）　</p><p>アシュリーは、表情を僅かに歪め、目を閉じた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>神主は己の欲を利用され、娘を一人、死なせた。</p><p>&nbsp;</p><p>これより、得体の知れない<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">5</font></font>人目の子供を迎えてはじまる、・・・報い。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴは、どこにでもいる赤子のようだったが、初めて笑った顔が老婆のようで、家族を不気味がらせた。</p><p>&nbsp;</p><p>１歳で初めて発した言葉は、《　死　》　だった。</p><p>&nbsp;</p><p>それでも神主夫妻はディーゴに物心がつかぬうちから、次期最高神主としての英才教育を始めるのだった。</p><p>そして、４人の姉たちも、代わる代わるディーゴの遊び相手になり、可愛がっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・いつの頃からか、よくディーゴの遊び相手をしていたすぐ上の４番目の姉が、ディーゴのことを　《　妹　》と呼ぶようになった。</p><p>&nbsp;</p><p>何度訂正しても、『わたしのかわいい妹ちゃん。』と、呼ぶことをやめない。</p><p>&nbsp;</p><p>父にはそれが嫌がらせに見えてきた。大人げなく本気で怒ることもあった。</p><p>&nbsp;</p><p>ある日、気分がイライラしていて、この娘の　『妹ちゃん、』を聞いて我慢できなくなり、飛ぶほどに娘の顔を平手打ちした。・・・娘は柱に頭を激しく打ち付けて、そのまま死んでしまった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>父はまともに仕事ができなくなった・・・、そのうち大失態を犯し、王の怒りに触れて最高神主の座を弟に奪われてしまう。</p><p>&nbsp;</p><p>失意のどん底の中、質素な家に移り変わったが、もう神主の仕事をすることはなく、・・・飲んだくれの日々となった。</p><p>&nbsp;</p><p>そんな中<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">3</font></font>番目の姉が，不慮の事故に巻き込まれ、命を落とす、・・・ディーゴ３歳の時だった。</p><p>&nbsp;</p><p>８歳だったこの姉は、弟のディーゴを連れ、森の中で友達とよく遊んでいたが、その日は、いつの間にかその弟が迷子になってしまい、みんなで探すことになる。いつもと違うざわついた空気になった。</p><p>&nbsp;</p><p>やっと枯れた大木の根っこの大きな穴に弟を見つけホッとしたが、弟はいつもより増してぼんやりしている様子。森の悪魔に呪われたのでは、と、姉と友達は冗談交じりに脅かし合うが・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>やがて帰る時間となり、友達と別れて二人になった時、弟が湖の方を指して舟に乗りたいと言い出す。</p><p>&nbsp;</p><p>たまたま、小舟が岸沿いに浮いていたので、日暮れまではまだ時間があると思い、弟と二人で舟に乗った。</p><p>少しだけ岸から離れた。　湖の水面に触れ弟と二人、水のかけ合いなどして楽しむ。</p><p>&nbsp;</p><p>日が暮れかけたところで戻ろとしたら、弟はイヤだ、まだ遊びたいと言う。・・・夜になれば、森の中は魔物でいっぱいになるから、絶対日暮れまでに戻るように母親から言われていた。それを弟に言い聞かせ、無理にでも岸に向かいオールを漕ぎ出そうとする、・・が、ふと姉はオールの手を止めた、向こうの景色を憑りつかれたように見る。</p><p>&nbsp;</p><p>いつからか、もう一艘の舟があった、・・・その舟に自分と弟によく似た二人が乗っていた。</p><p>&nbsp;</p><p>その舟は岸に向かって進んでいて、やがて岸につくと弟に似た子供だけ水辺に降りた。姉に似た子供は、そのまま舟に残ってまた、一人オールを漕ぎ始める・・・・・、どんどんこちらに近づいてきた。</p><p>&nbsp;</p><p>すれ違いざまに、その子供の顔をみる、・・・自分そのものであった。</p><p>&nbsp;</p><p>姉は震え上がった！・・・・、ものすごく恐くなって、死にもの狂いでオールを岸に向かって漕ぎ出した！！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・が、漕げども漕げども、いっこうに岸に舟がつかない・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>それどころか、どんどん岸から離れ、湖の深く暗いところへ・・・、引き込まれるようになった。</p><p>&nbsp;</p><p>声を出して泣き始めた、しかし、すべてが遅かった。・・・かすかな夕映えの光に岸からこちらを見つめる男の子の顔がはっきりと見えた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・その寂しそうとも、笑っているとも見える顔が、まぎれもない自分の弟だと分かった時、眼の前の舟に乗っている弟の姿が人でなくなって、鉛のような黒い塊に変わり、舟にのしかかる。</p><p>&nbsp;</p><p>闇の時刻となった時、舟は沈んだ・・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>姉がいなくなったと、泣きながら戻ったディーゴ。　捜索に走った家族が朝方、見たものは、・・・水面に浮かぶ娘の姿だった・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>父は、思う、すべての不幸は我にありと、その心は神から完全に離れたものであったと自覚する。全部を家族にぶちまけ懺悔しようと決めた。・・・しかし、酔った足で家に帰る途中、崖から転落し、帰らぬ人となる。</p><p>・・・これで、ディーゴ出生の秘密は闇に葬られた。</p><p>&nbsp;</p><p>次々と死者が出る中、・・・これに母は負けなかった、何としても夫の無念を晴らし、最高神主を座を奪還すべく二人の娘と奮闘する。ディーゴを立派な神主にすることを誓うのである。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・女の底力は、いざとなったら恐ろしいほどに強い、不幸の運気を吹き飛ばす！</p><p>母は異例の女神主になった。少しずつ一般平民の信者を増やし、その献金で生活をたてていく・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴは、やっぱり、一人妄想してはブツブツ独り言を言う、暗い子供だった。　　</p><p>物心ついた頃より、誰も喋ってないのに聞こえてくる声は・・、人の裏の心、・・妬み、恨み、憎しみ・・・・・、不幸な言葉ばかりが、胸に響く。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・、この頃より、この男の悪魔的要因が、徐々に見え隠れする。</p><p>&nbsp;</p><p>ただ、幼いディーゴは、これらの声は物語の中の悪魔が出て来ているのだと、思っていたから、絵本を閉じて怯える様子は、そこら辺りの子供と何の変わりもなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>そんな弟のオドオドした様子を２番目の姉が𠮟責する。</p><p>『何をそんなに怯えるの？　そんなことでは立派な神主はなれません、男ならしっかりしなさい！』</p><p>&nbsp;</p><p>勝気なこの姉・・・、母と長女と共に、たくさんの不幸に耐え、この弟を立派にせねばと責任感を熱くする。</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴの学習指導を担当、分からなければ分かるまでキツイ言葉で徹底的に叩き込む。・・・ディーゴにとって、この姉は間違いなく悪魔だった。</p><p>&nbsp;</p><p>神の話を繰り返し何度も話す母も、悪の大魔王だったとか。</p><p>&nbsp;</p><p>唯一、食事を作ってくれる一番上の姉といる時は少し安心できた。気が小さくて余裕のなかったこの姉とは、考えが近いものを感じていた。</p><p>&nbsp;</p><p>いよいよ、１２歳の頃、田舎の児童学校出て、離れた隣町の神官学校入学する事になる。</p><p>&nbsp;</p><p>この頃になれば、散々聞かされる神の慈悲だの、愛だの・・・、が、ますますわからなくなり、聞こえてくる裏の声との矛盾で混乱する、・・・自分がここにあること自体も不思議に感じて、気鬱になっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>『おい、おまえ、神官学校の進学が決まったんだって？　おめでとう。』</p><p>同級生のキルクがディーゴに声をかけた。しかし、ディーゴにはこう聞こえていた。</p><p>｟何が神様だ、おまえらは人の金で飯を食う輩だ、・・・うちの母ちゃんも言ってたさ、寄生虫だとね！｠</p><p>献金暮らしを妬んでの本音だった。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・キルクも、学校の先生も、役場のおじさんも、肉を売ってくるおばさんも、お母さまも、姉さまも・・・・・、みんな悪いことばっかり考えているのに、どうしてそれを隠して、いい人ぶるんだ？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・全員、嘘つきで、悪魔だ！！　　　　・・・そして今日も走る、・・・森へ！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴには、その土地に宿る黒い存在との交流が、あった。</p><p>３歳のあの日に、森で迷ったことがきっかけだった。</p><p>仲良しになる条件に、姉を差し出すように言ってきた、・・・３番目の姉が犠牲になったアレである。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・それからはいつでも、森の奥深い暗い場所に行けば、そのモノに会えた。・・・母や姉が教えないことを、教えてくれる、妬み、恨み、憎しみ・・・、これらをそのモノたちは肯定し、賛美した、・・・気分がスッキリした。</p><p>&nbsp;</p><p>『神とやらの学校へ行かなくてはいけなくなった、・・・どうするか？』</p><p>いつものように、そのモノたちに相談する。</p><p>｟行けばいい、イヤになったら、学校を焼いてしまえ！｠　　それらは言った。</p><p>『火をおこすのが面倒だ。』</p><p>｟力を貸してやろうか、・・・火よ、つけと、思っただけで、火事になる力だ、めちゃくちゃ簡単だろ。・・・代わりにおまえの大事にしているモノを一つくれ。｠</p><p>『また、姉さまを一人やるよ、食事係の方、あの人がいなくなったら、少し困るんだ、・・・それでどうだ？』</p><p>｟<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">OK</font></font>。｠</p><p>そのモノたちとの交渉が成立する。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>キルクを人気のない、森の奥の湖近くにおびき寄せた。</p><p>ターゲットをこいつに決める。・・・ほんとうに火がおこせるか、人を使って実験する。</p><p>&nbsp;</p><p>『どこにいるんだ？　その未知の発光生物は？　・・・って、おい、』　キルクはディーゴがいなくなっていることに気付いて、ディーゴの幼名を呼び始める。　</p><p>&nbsp;</p><p>突然キルクの胸から火が出た。　『・・・・なッ？！』</p><p>&nbsp;</p><p>瞬時にキルクの体全体に火は広がった・・・！　湖があるのに、気が動転してその場で、もがき始める。</p><p>&nbsp;</p><p>この時にディーゴの上の姉が、この場所にくるのである。</p><p>&nbsp;</p><p>帰ってくる時間が遅い弟を心配して探しにきたのだった。・・・弟がよく来る森の中へ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>湖まで来て、目が飛び出す程驚くことに！・・・慌てて駆け付けた！！</p><p>&nbsp;</p><p>火に包まれているのは、弟だと思った、・・・助けなければと、思った！</p><p>&nbsp;</p><p>咄嗟に自分が湖に飛び込んで、すぐ上がる！　　・・・濡れた自分の体で、火がついて苦しむ弟に飛びついたッ！！</p><p>&nbsp;</p><p>一瞬、火は弱まったかのように見えたが、再び勢いを戻して、姉の体も巻き込んで、燃え始める・・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・、ディーゴは息を飲む・・・、しかし、火つけの念をやめなかった。・・・予想通りの展開だった。</p><p>&nbsp;</p><p>燃えていく姉の姿を、恍惚と見つめた・・・・、この姉の体が動かなくなって崩れるのをただ、見つめる。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・徐々に、興奮してきた、・・・姉が美しいと思った。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・火が消えた後も、暫くその場に佇んだ。　籠とサンドイッチがその場に散乱する・・・、</p><p>お腹を空かせているだろうと、弟に姉が作ってきた物だ。・・・一つ拾って食べた。</p><p>&nbsp;</p><p>「おいし。」　その顔は微笑していた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>また繰り返された不幸に、母と二番目の姉は、涙も忘れて呆然とした。</p><p>&nbsp;</p><p>１２歳と２２歳の不自然な死は様々な憶測を呼んだが、心中ではないかとも騒がれる。母と姉は心痛めた。</p><p>&nbsp;</p><p>結局、解決には至らない・・・、葬儀が済んでも慌ただしさが抜けない中、ディーゴは新しい学校へ行く為に、家を出た。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・そして、最後に残った姉も、・・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・いけないものを見る。　　　　　　アシュリーは、何も喋らない。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴは、７年の神官学校を卒業し、故郷に帰ってきた。</p><p>誰もいなくなった質素な借宿で、母が一人ディーゴを待っていた。</p><p>&nbsp;</p><p>帰ってくるなり、王様に自己アピールして来いと、母に強制的に城に行かされた。</p><p>父が奪われた神主の座を取り返すべく、父の弟と、その息子に戦線布告して来いと言うのである。</p><p>&nbsp;</p><p>『私はさほどに、優秀ではありません。・・・やっと卒業できたバカです、諦めて下さい。』</p><p>一度抵抗したが、倍返しで反論された。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>地方の神主を集めて、サーマン神賛美の宴が、王主催で行われる。</p><p>&nbsp;</p><p>母の代わりに出席する事に。</p><p>&nbsp;</p><p>父の弟と初顔合わせする。・・・向こうの方がディーゴを見るなり気分を悪くした。胸を押さえてその場に跪いた。</p><p>ディーゴは怪訝な気になる、別に具合が悪くなる念をかけたわけでもなかったから。</p><p>&nbsp;</p><p>その弟は、父が亡くなってから悪い夢にうなされるようになっていた、いずれ災いと共にその地位から引きずり落とされるだろうと、夢の告知があったのだ。・・・今がその時だと思った。</p><p>&nbsp;</p><p>父の弟が登城しなくなった。・・・代わりにその息子が、跡を引き継ぐことになる。</p><p>&nbsp;</p><p>若い最高神主に、３人のサポート神主をつけることを、王が提案する、・・・その中にディーゴが選ばれる。</p><p>７０歳を超える王は、１８年前の父失脚時のことを覚えていなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・取りあえず、城での神主勤めが始まる。母が納得するかと思いきや、</p><p>『父の弟の子供から、最高神主の任を奪いなさい、そうでないと本当の目的は果たされません。』</p><p>『本当の目的？』</p><p>『私たちの本当の幸せは、あの白い家を取り戻すことです！』</p><p>母は眼を充血させながら、ディーゴに強く言った。</p><p>&nbsp;</p><p>久しぶりに、森の悪魔に会いに行った。</p><p>｟おまえ、大人になったな。｠　と悪魔。</p><p>『望んだわけではない。』　沈んだ様子で言うと、</p><p>｟・・フフハ・・、どうだい、寄生虫生活は？｠　悪魔がおかしなことを聞いてくる。</p><p>&nbsp;</p><p>『なんだ？』</p><p>｟教えてやるよ、おまえはあの家の子ではない、黒い血を受け継ぐ一族より産み落とされた・・・、悪魔の子だ。｠</p><p>『・・・えっ、嘘でしょ？』　</p><p>｟ウソだったらよかったか？　おまえは悪魔の分際で、それに相反する神に仕えている家を借宿とし育っていた。その家の人間の血を吸い潰しながら・・・、心あたりあるだろう？｠</p><p>『納得だ、私の不幸はそのコトを知らない事にあった。あの人たちと血の繋がりがないのなら、私があの家の為にすることは何もなかった、・・・悩みがスッキリしたよ。』</p><p>&nbsp;</p><p>そして、ディーゴは森の悪魔に言った。</p><p>『本当の兄弟よ、これからもよろしく。』</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・その国の王が崩御する・・・・。　時代が変わる。</p><p>&nbsp;</p><p>新しい王は信心深くなかった。国を通じての一神教が崩壊する。神を敬う行為は省略され、ただの祭り事として、残されるだけになった。</p><p>&nbsp;</p><p>国費削減政策を行い、城で無駄に働く者のリストラが始まる。神主は４人もいらぬと、３人の首を切ることに。</p><p>&nbsp;</p><p>その残りの一人に、ディーゴが抜擢される。この中で一番その地位に固執していないのがディーゴだった。そのあっさりした態度が王の眼に止まる。</p><p>&nbsp;</p><p>それを母に告げると、大喜びで荷をまとめだす。・・・あの白い家に押しかけようとした。</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴが、母に兵を貸した。・・・さすれば弟家族は速やかに家を出た。</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴと母の二人でこの家の門をくぐる。懐かしい家の匂いを嗅いだ。</p><p>母は以前父が座っていた椅子に、父の形見のサーマン神の偶像ネックレスをそっと置いた。</p><p>『やっと、この日を迎えることができたのね、おお、よくやりました。』　</p><p>ディーゴの頭を２度なでて、嬉しさに涙を流した。</p><p>&nbsp;</p><p>夜は二人で、祝いの晩餐となった。・・・母が今は亡き、父や姉たちの話をする、・・・また泣いた。</p><p>母にワインを注いで乾杯する。母だけ飲んで、ディーゴは飲まなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>『お母さま、神とは何ですか？　私は生まれてこの方、それが全くわかりませんでした。』</p><p>『・・・おまえは７年間も何を学んだのです？』</p><p>『学校で、神官になる者は結婚しないものだと習いました、なぜお父さまはお母さまと結婚なされたのでしょう？』</p><p>『結婚しなければ、子は生まれません、・・・父の意志を継ぐ者を育てる為です。神もお認めです。』</p><p>『そのお考えは、人間のエゴイズムです。神の心に逆らっている。あなたや父の信仰は間違っているのです、穢れている。これからは私の考えで、やることにします。』</p><p>『それは、どういうことですか？』</p><p>『・・・今まで、ありがとうごさいました。私がこうしてこの世界に生きて来られたのは、あなたがいたから、あなたが鈍感で、何も気づかず私を本当の息子として育ててくれたこと、これに尽きるのです。』</p><p>『何を言っているの？』</p><p>『・・・私が誰だか、分かりますか？』</p><p>部屋のろうそくがすべて、一気に消えた。</p><p>・・・と思ったら、目の前で火がつく、ディーゴの指からだった。</p><p>『おまえは、私の息子ではない、・・・誰なの？！』　母が声を震わせて言った。</p><p>『あなたが育ててきた息子ですよ。あなたがずっと怖かった、でも、これからは愛したい、・・・教えてください、神の真実を・・！　あなたの姿で・・・。』</p><p>ディーゴは、火のついた指をテーブルクロスに置いた。火は一気に食卓を囲んだ。</p><p>『・・・姉さまたちは、とても美しい姿を私に見せてくれました、・・・彼女たちは女神でしたよ、私にとって。』</p><p>『・・・おお、おまえは・・・？！！』</p><p>母は何か強い力に押さえつけられたようになって、全く椅子から動けなかった。・・・火が母に移るまでにそう時間はかからなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>燃えていく、最後の家族・・・・。　　ディーゴは最初から、お別れの晩餐にするつもりだった。</p><p>&nbsp;</p><p>その奇声を上げて、もがく姿を見ながら、ワインを飲む。・・・至福の時間となる。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>この後、ディーゴはその広い家に一人で住むことになった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・突然、アシュリーに引っ張られた！　（ジクト、いくわよ・・・・！）</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・って、どこへ・・・？）</p><p>&nbsp;</p><p>（もう、これ以上、彼の想いを野放しにしては、いけない・・、止めるわっ！）</p><p>&nbsp;</p><p>　</p><p>・・・・、なに・・・・？　　　いい加減、ディーゴの過去を見せられてきたが、・・・これからどうするってんだ？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>（私、思い違いしてたの、・・・彼の不幸は、後で付いてきたものだと思ったのだけれど、・・・もっと根本的な問題だったわ・・・、ちょっと、難しいけど、・・・私頑張るから！）</p><p>&nbsp;</p><p>（待て、アシュリー、今ディーゴはどこに・・！？）</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・私の中よ。）</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・？！　　　（ずっと、彼は、ここだったの。）</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>また、景色が変わった・・・、今度は、またあの元王妃のいるシーンだ、・・・ついに元王妃は、その身を拘束される・・・、丸木に括られていた。</p><p>&nbsp;</p><p>『王妃様、日記にはあなたへの想いしか綴っていなかった、<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">4</font></font>年間の・・・、私の人としての最後の・・・、ああ、それがこれで終わるのです！』</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ディーゴが、火付けの術を、かけようとする！</p><p>&nbsp;</p><p>それを王妃に向かって・・・？　いや、城に・・・？　　いや、国全体に火を投げる・・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>（もう、させないわ！！）</p><p>アシュリーが、悲鳴に近い声を上げて、光をかけた！</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴの炎と、アシュリーの光が、激突・・・・？？！　　　</p><p>&nbsp;</p><p>周りの景色が目まぐるしく変わる・・・、城の内でのディーゴと元王妃の場面から、・・・死刑場・・・、その国の町全体へ・・・、　</p><p>そして、赤と白の・・・、両方の魔力の色が入り乱れる世界へ！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・同時に、その不思議な色に染まった景色にヒビが・・、空が割れる？！・・・周囲の景色にも細かい割れ目が生じて、ガタガタと岩石が落ちるように、全体が崩れ始めて、　　　・・・・・？！　</p><p>&nbsp;</p><p>景色が岩となって、落ちるーっ！！！</p><p>&nbsp;</p><p>今やアシュリーは、光だけの存在だ。</p><p>俺は彼女を落下物から守ろうとして、・・光にしか見えない彼女を包み込むように抱く！</p><p>&nbsp;</p><p>覚悟する、・・・岩に押しつぶされることを！　・・・けど、実際には、何も落ちて来なかった。</p><p>&nbsp;</p><p>（大丈夫よ、今まで見てきたものは、私が見せた映像なの、・・・彼の頭の中をスクリーンに出したのよ、・・・だから、何も起こらないわ！）</p><p>&nbsp;</p><p>（アシュリー、おまえは大丈夫なのか・・・？　俺は、これから、どうすれ、ば・・・、）</p><p>話しかけている途中で強い風が吹いてきた・・・！　バラバラに砕けた景気が流れていく・・・、俺も吹き飛ばされそうになった。咄嗟にアシュリーの光っている腕にしがみ付く！</p><p>・・・やっぱり、この情けないスタイルから抜けられない！</p><p>&nbsp;</p><p>光の中からアシュリーの顔が・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>（あなたは絶対私から離れないで！しっかり捕まっていて！！）　逞しい女のかけ声に、</p><p>（・・はい！）　と、従う。・・・もう、男のプライドはどこにもない。</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴの闇の世界が一掃された。</p><p>アシュリーの魔法の色だけになる。・・・、美しく光る白が、・・アシュリーの石布を見た時のあの白い星の世界が、降るように空から落ちてきた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・四方八方、白一色だ、そこにアシュリーといた。　　・・・風は落ち着いた、頬をなでる程度になった。</p><p>&nbsp;</p><p>俺はアシュリーと肩を組み合い、フワフワ浮く感じで飛んでいた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・そして、白の景色の深い底に、黒い小さな老人を見た・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>（彼よ。）　　　・・・・・ディーゴ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>透明の膜に包まれて、死んでいるように見えた。</p><p>&nbsp;</p><p>（生きてるわ、保護してるの。）</p><p>&nbsp;</p><p>足が地に着いたようになった、・・・・透明のガラスのような階段が上下に伸びた。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーが、ゆっくりその階段を降りていく・・・、ディーゴに向かって・・・・、</p><p>アシュリーの肩にかけた手を離し彼女と手を繋ぐ、引っ張られるように俺も後をついて行った。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・アシュリーが止まる。　　　・・・聞こえた？　　　　　　　小さな虫がなくような、か細い・・・声。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・コロセ・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・いいえ、殺さない。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ナニガ、モクテキダ・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・あなたを、自由にすること。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・あなたの罪を流します。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ワタシヲユルスト、イウカ？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・私は裁く人ではない、・・・寄り添う人よ。あなたの話を聴くわ。心安らかになんでも話してほしい。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ドウシテ、アナタノ光ノ中デ心安ラカ二ナル・・・？　アナタノ光ハ私ヲ焼殺ス、ソノ後モ、１０００年ノ苦シミガ、私ヲ、待ツ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・その恐れは不要よ、私の光は決してあなたを焼かない、あなたを平穏な場所へ導くことを約束します。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・フフフ、ヴァルディーノ女ハ、悪魔ノ相談役モ、受ケ合ウアウノカ・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・あなたが犯した罪は、すべてがあなた自身に責任があることではない・・・、あなたが生まれる前から仕組まれていたことだとわかったの、これは、もう古い歴史から続くことで、あなたもその渦に引き込まれたに過ぎないのよ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・私ハ、被害者カ？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・そうよ、でも悪い流れを断ち切る勇気が必要よ。この不幸を終わらせる為に、・・・まず、その一歩を私と一緒に、・・・協力させてほしいの。</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴが、アシュリーを見た、・・・黒く淀んだ目に白い光がきらめいた！　　彼女の光は、今やディーゴを脅かすものではなく、悪魔だった男をやさしく包み始めるのか？</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・・ん、んん？　もしかして、ディーゴがアシュリーに心を開く・・・？）</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴは一度眼を閉じる・・・、が、開いた時には、</p><p>「・・ファハハ、何のつもりか？！　小娘め！」</p><p>&nbsp;</p><p>突然ディーゴが息を吹き返したように、起き上がってこちらを睨んだ！</p><p>「私の罪とは何だ？　フフフ、悪魔がしたことにそれを言うのはなんだ？　ナンセンスを通り越えて、みんなシラケるだろう、ジョークにもならないな！」</p><p>悪魔が急に声を荒立てたのに対し、俺は率直に思う、・・・ああ、やはりうまくいくわけない。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・だが、アシュリーはこれを予想していたのか、怯むことなくディーゴに向き合う。</p><p>「あなたは自分の罪を恐れているわ、人の臆病さと、冷酷さが同時にあなたの中にある、二人の人間を心の中に抱えていた、そのアンバランスさがあなたの生きにくさになっていた。」</p><p>「・・・何の話だ？・・・何もわかってはいない。」</p><p>「わかろうと努力したの、そしてわかったことがあるわ、それはあなたがわたしと似ているという事。」</p><p>「・・・似ている？　対局している私とあなたが・・？、おかしなことだ。」</p><p>「いいえ、ちっともおかしくない、私もあなたも特別な力を生れながらに持っている、・・・その力に宿命を抱えた者同士よ。」</p><p>「・・・・！」</p><p>&nbsp;</p><p>「あなたは残酷なことを、望んだわけではないわ、・・・愛した人と一緒にいる事を望んだだけ、それは人なら誰でも持っているとても純粋な心よ。」</p><p>「私は人ではない、・・・あなたは私の何を見たのです？」</p><p>「・・・いいえ人よ、なぜなら、恋をしていたからよ。」　「・・・プッ、・・いや、失敬。」　</p><p>この時、ディーゴはバカにしたように笑ったんだ。</p><p>「　・・・あなたも私と同じなら、・・また人ではない。」</p><p>「・・・・！　いいえ、私は人よ！　そしてあなたも・・・、」　「･･･悪魔です。」</p><p>&nbsp;</p><p>「あなたは自身の生れに捉われ過ぎよ、・・・自由ではないわ。」</p><p>「では教えて下さい、自由とは、いかに？」</p><p>「閉じこもっている自分の世界から、心を解放すること。」</p><p>「それは、ごく一般的な考えだ、・・・しかしながら、皆がそれを望むコトだと考えるのは、若さゆえか？　浅はかです。」</p><p>「不幸を選択しそれを喜びとする生き方は真実でない。・・・本当にしたいコトが、見えていないのね。」</p><p>「では、あなたの自由はなんだ？　私を改心させてサングレから撤退させ、ヴァルディー国を取り戻すことか？･･･いいや違うな、あなたは望んでこの宿命を受けるのではない、・・・仕方なく、だ。」</p><p>「・・・・！」</p><p>「あなたこそ、したいコトが別にある、のでは？　・・・失礼、殆どはったりです。」</p><p>「・・・・・。」　アシュリーが黙ってしまう。</p><p>その横顔に浮かぶ疲労・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・アシュリー、よせ、もうこれ以上この男と話をするな、・・・よくない、おまえが・・・、</p><p>俺は、握った彼女の手を自分に引っ張ろうとしたが、アシュリーは抵抗する。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・もう、少しだから・・・、お願い待って・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>俺の方は見なかった。</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴにその信念を向ける。</p><p>「今日が初対面で、いきなり私を信じろっていう方がおかしいのかもしれないけど・・・、でも信じてほしい、あなたを必ずあなたを本当の居場所へ導きます、その時あなたがどう考えるか・・、それが私の目的よ！」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・本当の居場所？　不思議な事をいう。」</p><p>&nbsp;</p><p>「私も両親は知らないの、気配はわかっても、その身を肌で感じることはできなかった・・・、でも、私を育ててくれた義理の父が・・・、いっぱい抱きしめてくれたわ、寂しいと感じる間がないくらい幸せと愛情をくれたのよ・・・。」</p><p>「・・・・。」</p><p>「・・・ああ、なぜなの、・・・あなたは愛されていた、・・・あなたを取り囲んだ家族はみんなあなたを愛していた、本当の父母など知らなくても、その生れの現実など関係ないぐらいあなたの生活は愛に満ちていた・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・だからなんだ？　全く身に迫らない話だ、ちなみにあなたの両親は、私が・・・。」　</p><p>「そんな話ではないわ！」</p><p>彼女は強く言った後、その語尾は緩めた。「・・・期待しなくていいの・・、でも私はあなたを・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・もうよせ、アシュリー、意味がないことだ！・・・、これ以上の話しても、絶対よからん事になると思った。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・アシュリー！　　　　危険を感じて、自分に引き寄せようとする・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・、こんな私の為に、いや、感動しています、姫・・・、」</p><p>ディーゴがその表情に変化を示す、突然態度を変えて反省した少年のように俯いた。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・私も大人げないだろう、・・娘のようなあなたがここまで、私に心を尽くしてくださる、・・・ありがたい事なのだ、ただ、やはり、納得できないことはある。・・・まだ足りないのだ、あなたの歩み寄りが・・・。」</p><p>「・・・？」</p><p>「私の心に寄り添ってくれるというのなら、あなたが一方的に自分のやり方で私を説得するのではなく、私が馴染むやり方で話をしてくれたら、もっとあなたの話が、私に入ってくるだろう・・・・。」</p><p>「あなたのやり方？」</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴが、その顔を綻ばせた、・・・この男に不気味さが蘇ってきた瞬間だった。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・契約しましょう、姫･･･、悪魔を動かすにはそれしかありませんよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・契約！！　　アシュリーの顔が豹変する。その美しい顔が過去一番の険しさになった。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・この契約が成立すれば、私はトルエノからもヴァルディーからも撤退しましょう。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは、ディーゴから俺に視線を移す・・・、「ジクト、ここを離れて・・・、」</p><p>アシュリーから手が離された、・・・・、「あなたはお父様のところへ・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・へっ？　と思ったら、もう白い世界の外へ・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>塔のあの一室に戻された、石床に座り込んでいた。父が眠ったまま横たわる。・・・その頭上、天井ギリギリに人一人入れるほどの白い球体が浮かんでいて、・・・あれがアシュリーの作った魔法の世界？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>咄嗟に、立ち上がりその球体を睨みつけた。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・アシュリー・・！！」</p><p>&nbsp;</p><p>一度、その名を呼んだ。・・・不安になった、・・おお、なぜ、俺から離れた？</p><p>&nbsp;</p><p>もう何があっても離れないって決めていたのに・・・・、　　君の身に何かあれば、俺は・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>球体の中で、・・・何が起きている？　　何が・・・？　　知りたい・・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ジッと見上げるその球体・・・、神経を集中させて･･･強く想う、・・・アシュリー！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>（　・・・それは、出来ない、あなたの要求を受けることはしない！）　・・・アシュリーの声？</p><p>&nbsp;</p><p>（それならば、この契約は成立しない。）　・・・ディーゴが答えた。</p><p>&nbsp;</p><p>話声・・・、　　いきなり、白い世界が眼の前に広がった！</p><p>&nbsp;</p><p>そこで対峙するアシュリーとディーゴ。</p><p>&nbsp;</p><p>緊張、　沈黙・・・、　　　　静かな時間。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・この後だった。ディーゴの声が、　　・・・・（　あなたは、私を殺すことしか、できない・・・。）　と。</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・・・・！！）</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの心の悲鳴が聴こえて・・・、　　　　視界が悲しみの色に染まる・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは自分の想いを光の魔法にして、手中に集め出す・・・、それは徐々に膨らみ始めて・・・、彼女の上半身を隠すぐらいの大きさになったら、・・・、ディーゴに吸いつくように飛んでいった！</p><p>&nbsp;</p><p>悪魔の前で、はじけ散る白い光・・・、　　　おおオッ・・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>また外に放り出された俺、　　・・・上の球体はそのままだが・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>っと、突然その中から、光沢キラキラの白鳥が現れた・・・？！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>それは光の尾をなびかせ、一気に急降下！　俺と父をその羽に拾う。</p><p>同時に出口の石の扉が、ドンッと開いて、そこへ一直線に向かった！</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリーか？！」　咄嗟に聞けば、</p><p>「ジクト、しっかりこの羽に捕まって！」　アシュリーの声で鳥が喋った。</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、動物に姿を変えてきやがった・・・、ショックでも、その感情に浸っている間はない。羽の上にうつ伏せで父に覆いかぶさり、その羽を掴む。</p><p>&nbsp;</p><p>一気に部屋を飛び出る！　　その直後ドンッ・・、と大きな音を立て、勝手に閉まる石の扉。</p><p>&nbsp;</p><p>さらに、　・・・廊下側の窓が物凄い勢いで、開いて・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>開かないはずの城の窓が・・・、鳥の体毛に輝きが増すと、それを誘導するがごとく、　</p><p>&nbsp;</p><p>バンッ、バンッ、　　・・・バンッ！！　　　</p><p>&nbsp;</p><p>廊下の手前から次々と開いていく。</p><p>&nbsp;</p><p>「窓が開けば、魔法が使えるの！」</p><p>説明ながら、光る羽をしぼめて床すれすれに低空飛行する白鳥。</p><p>「別棟に行くわ、お父様を休ませる部屋を教えて、ジクト！」</p><p>&nbsp;</p><p>「次の角を左に曲がれ・・・、」　</p><p>「ええ！」</p><p>狭い渡り廊下は、ややスピードを落とし通り抜ける。</p><p>&nbsp;</p><p>･･･階段を下り飛んで、また角を曲がろうとしたところで、女たちの話声だ。</p><p>眠らせていた甲冑の侍女たちが起きていて、今は城内にいた。</p><p>「何の音？　これ・・・？」</p><p>窓が開く音を不思議がって言っているようだった。</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリー、上に戻れ！」</p><p>俺は指示を出す、見つかれば厄介だ。</p><p>&nbsp;</p><p>鳥のアシュリーは、音を立てず速やかに方向転換し、スイーッと階段を上がり始めた。</p><p>&nbsp;</p><p>誰もいない別の塔内に入る、・・・その一室へアシュリーを誘導した。</p><p>&nbsp;</p><p>彼女の魔法の力で部屋の扉が開いた。部屋に入った途端、白鳥は女の姿に戻った。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は父を抱きかかえ、ベッドに寝かせる。</p><p>&nbsp;</p><p>横からアシュリーが覗くように出てきて、「失礼します・・・。」と、言って父の手を握った。</p><p>&nbsp;</p><p>胸の七色の光が流れるように輝き始めると、父の顔色がもっとよくなって、穏やかな眠りになった。</p><p>&nbsp;</p><p>「お父様はもう、大丈夫よ。」　優しくそう言った。</p><p>&nbsp;</p><p>そして、部屋を出ようとする。・・・後を追う。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリー、・・・ディーゴは？」　思い切って俺は聞く。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・閉じ込めているの、言うコトを聞かない駄々っ子よ、仕方ないわ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・駄々っ子？</p><p>&nbsp;</p><p>殺さなかったのか？　　　</p><p>&nbsp;</p><p>「彼の年齢を下げて、素直にしょうとしたけれど、・・・・・。もう赤ん坊になっちゃったわ、それでも思うようにならなくて・・・、難しいわね。」</p><p>困ったように笑っている。</p><p>&nbsp;</p><p>「ディーゴを赤ん坊にして、・・・どうなる？」　</p><p>「・・・それが、もうもたないの、抵抗する彼のエネルギーで体が膨満して大きくなってしまって、・・・いずれ・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>「キャーッ！　見て！！」</p><p>また、侍女の悲鳴！　二人で廊下に出て窓から外を見れば、夜の暗さでわからなかったが、ディーゴを閉じ込めた塔の上部が轟音とともに、崩れ始めていた・・・。　</p><p>&nbsp;</p><p>ギョッとしてそれを見る！</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト、行くわ！」</p><p>「どこへ？」</p><p>「城の最上まで上がって外へ出るわ！このままだと、塔が完全に崩れてしまう、彼が逃げ出す前に捕らえなくっちゃ！」</p><p>&nbsp;</p><p>「おお、早く、アシュリー！！」</p>
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<link>https://ameblo.jp/tahamimi/entry-12258933648.html</link>
<pubDate>Thu, 23 Mar 2017 12:43:53 +0900</pubDate>
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<title>Ashley</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p>　　＜２の２＞</p><p>&nbsp;</p><p>部屋が一変する。</p><p>悪魔の色が一掃され、アシュリーの光が部屋の隅々まで行き届く、・・・穏やかで明るい色が広がった。</p><p>&nbsp;</p><p>二人でゆっくり立ち上がったが、アシュリーはまた足をふらつかせる。</p><p>「もう少し休もう、でないと俺が不安だ。」　彼女の肩を支えて言った。</p><p>&nbsp;</p><p>どれだけの力を使ったのだろう？　・・・取り返しのつかないことになれば、後悔だけでは済まされない。</p><p>&nbsp;</p><p>「同じ姿勢でずっと力を入れていたから、・・めまいがしただけ・・、大丈夫、歩けるわ・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・！」</p><p>&nbsp;</p><p>急に銅鐘の中でのアシュリーの姿が頭の中に想像となって出た。・・・真っ暗な中ただ、壁に自分の体を押し当て祈っている、・・それがアシュリーの戦い・・・。</p><p>「苦しかったろうに、長い時間よく頑張ったな。」　</p><p>気がつくと、こんな事を言っている・・・？　これって何？</p><p>&nbsp;</p><p>「大したことないの・・、あなたからの声は届いていたわ、あなたの頑張っている姿が見えたの、だから私も頑張れたのよ・・、でもこちらからの声は届かなかったわね・・・。」　と、アシュリーは言った。</p><p>&nbsp;</p><p>一息ついて、これに答える。</p><p>「・・・いや、そうでもなかった、・・。」　ディーゴの罠にはまりそうになった時・・・、</p><p>君を感じることができた、・・・俺の励みになったんだ。　　</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの顔がふわっと綻んだ・・、目から涙がにじんでる・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト・・・、おまえ・・、おお、その御方は・・・、」</p><p>や・・！　背中から、その声が！</p><p>&nbsp;</p><p>「王女です、父上！」　咄嗟に振り返ってキリッと言った。</p><p>そうだ、父上がいるのだ、しかも・・・、</p><p>「・・おお、紛れもない・・・、でかした、ジクトよ。」　その口調がいつもの父のテイションだ。</p><p>起き上がろうと手と腕で上半身を上げ、気を張った顔でこちらを見ていた。</p><p>&nbsp;</p><p>しかし、不思議だろう。</p><p>「父上、急に元気になられました、何故に？　瀕死の状態だったはず・・？」</p><p>すぐさまそばに寄って父に手を貸す。</p><p>「・・・・。そうだとも、私も死んだ気になっていたが、・・・何故だ？」</p><p>父は俺の手を取ってゆっくり居直った。立ち上がることは出来ず、俺に寄りかかる。</p><p>&nbsp;</p><p>ついて来たアシュリーが俺の後ろから、笑って答えた。</p><p>「お父様は、あなたの光で元気を取り戻されたのよ。」　「・・・・！」</p><p>ずっと粘って出していた光・・・、ディ―ゴは追い詰めれなかったが、父の体を回復させていた？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・いや、本当か・・・？　　　ああ、・・なんて、俺は・・・、　　　　少しは、報えたのか・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・父上・・、」　</p><p>父に言うべき言葉が、そこまで出かかって言えない・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>父は体を支える俺の手を払い、何とか自分の力で上半身を立たせ緊張した顔をアシュリーに向ける。</p><p>彼女の体が光っているのをまじまじと見た。</p><p>「なんという・・、姿、・・・まこと恐れ多い・・・、」</p><p>呟くように言って、頭を下げた、・・・・その肩は震える。</p><p>&nbsp;</p><p>光る女を見て、驚き慄いているだけではなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・俺を待ち続け、この日が来るのをただ、ひたすら信じて待った父。</p><p>&nbsp;</p><p>胸に去来した特別な想いは・・・、　　父上、・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「よくぞ・・、ジクト・・、」と言いかけたが、俺は父の言葉をあえて切った。</p><p>「・・・父上、ディーゴが、行方をくらましました！」　</p><p>「うむ、・・先ほどの光がかなりのダメージを与えたようだ・・、もしや、」　</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの光が出た時から、その気配が完全に消える。</p><p>俺は辺りを見渡す。　　　・・・死んだか・・？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・光輝く天使が現れた途端、悪魔はその光に焼かれ、跡形もなく消えてしまいました。・・・おしまい。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>もう、これでいいんじゃないか？　結局アシュリーで・・・、別に、俺プライドないし。</p><p>&nbsp;</p><p>安心したのか、父が俺に寄りかかる。・・・静かな寝息をたて始めた。</p><p>「まだ、お疲れよ。」　「そうだ。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「彼は生きているわ。」　アシュリーが言った。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・やっぱり？　・・・まぁね、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>生きていたとしても、これほどまでの光の中では、まともに息は出来まい、身悶えして苦しんでいると思われるが・・・、　　　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ああ、まだ終わらない・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　どこだ？　・・・ディーゴ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ヤツは、人以外のものに姿を変えるんだ、・・またネズミになって、どこかに隠れているかも。」</p><p>「彼はこの部屋から出られないわ。」　</p><p>アシュリーがサラッと言う。</p><p>「光もダメだけど、魔法が使えない空間もダメみたいね・・。」</p><p>「えっ、それって・・？」　</p><p>彼女は頭を振った。</p><p>「・・・、まだよくわからなくて・・。」</p><p>「・・・・・。」　</p><p>「・・・あの時彼は、あなたが自身の光で彼を斃せることに気が付いたから、焦ってあなたを部屋から出そうとしてパフォーマンスをみせたわ、・・・確実にあなたは彼を追い詰めていたのよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・パフォーマンス・・・、　ああ、なるほど。</p><p>惜しかったんだ、俺。　　　もう少し粘れていたら・・・、気が小さすぎるんだ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>反省点多し。</p><p>&nbsp;</p><p>スクッとアシュリーは立ち上がる、元気な様子だ。「さぁ、これからね！」</p><p>「どうする？」　アシュリーを見上げた。</p><p>「・・・彼はまた人以外の生物だわ・・、」</p><p>「やっぱり、ネズミか？」</p><p>「分からないけど・・、姿が小さければ受けるダメージも小さいのよ、だから・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは。ネズミ捕りの網かごをどっからか出してきた。</p><p>「取りあえず、捕まえましょうか・・・！」</p><p>「・・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>緊張感がなくなった。</p><p>アシュリの光が出れば、どんな場所でも穏やかで平和になるんだ、・・・この部屋のどこかにヤツはいても・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>戦意はもういらない・・・、俺にはその道具もない。　　　　　　ペンダントも、剣も・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>この時、隅で半分に割れた己の剣刃に気がついた。　</p><p>&nbsp;</p><p>横でアシュリーが、「ごめんなさい・・。」　と。</p><p>「どうしてそう、謝る・・・？」</p><p>命を救ってもらって・・・、俺の方がまだ、ちゃんと礼も言えてなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>俺は父を壁に寝かせ、落ちている剣に近寄る、割れた半分を拾おうとした。</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、剣は軍人の命だ、・・・戦うことが、生きてる証だ。</p><p>この旅で俺にもその実感があった。せめて腰に戻したい・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>様々な想いが俺の中で交錯した。・・・もしアシュリーに、魔法で剣を直してくれって言ったら、俺は何者だ。</p><p>&nbsp;</p><p>いや、何を考えて・・？　と首を振って剣刃を拾った時、俺は、・・・ああ俺は・・・、恥ずかしいんだけど、部屋の高い天井まで轟かす悲鳴が、出る・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>それは、拾った剣刃の裏に推定６センチの楕円形の黒く薄い、・・・虫・・？！　　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>『サラ！　また出たぞ、俺の机の下からだ、・・・二度とでないよう言いつけていただろっ・・！』</p><p>『おぼっちゃま、無理でございます、その生き物は図太いのでございます！』</p><p>サラはそう言いながら、その黒い物体を懸命に虫叩きで追いかける！・・・が捕まらない。</p><p>『それを貸せ、俺がやる！」</p><p>サラの鈍臭い動きに見かねて、虫叩きを奪ったが、持って思う、庶民ならではの虫叩き。</p><p>『もっと、高価な虫叩きはないのか？』　『虫叩きは、虫叩きでございます。』</p><p>仕方ないから、これで追いかけるが、・・・、『難しいでございましょ？』　と、サラの嫌味。</p><p>&nbsp;</p><p>『サラ、叩けば虫の体液が出て俺の部屋が穢れる、捕らえて外で刺すから、虫かごを持ってこい！』　</p><p>方法を変えることにした。</p><p>『そんなものでは、捕まえれませんよ。』　</p><p>『いいから、早く！』　と、言ってる間にそれが見えなくなった。</p><p>『アッ、おぼっちゃま、あそこです、あの壁に・・！』　</p><p>『よし！』　と俺もそれを確認。ソファに上がって、それにかごを被せようとしたところ・・・、</p><p>それは這っているイメージしかないのに、たまにとんでもない行動にでるんだ！</p><p>『ギャー、飛んだ？！』　と突如サラの悲鳴が・・・、</p><p>『・・・えっ、何・・？！』　振り仰いだ俺の鼻に・・・、とまったぁ・・？？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・おお、これはまさに・・・、それだ、・・・口にするのもおぞましい・・・、○○○○虫！！</p><p>&nbsp;</p><p>慌てて、剣を払うっ！・・、さすれば・・・、飛んだッ！　　　そして、とまるは俺の鼻の上・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「・・う”あああ～ッ！！」</p><p>&nbsp;</p><p>常に、繰り返される悲劇・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクトッ・・！！　彼よ！！　捕まえるわっ！！」</p><p>「・・・は、？　　・・・？？！」</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーが、魔法で網かごを大きいのに変えたかと思うと、俺にそれを被せてくる・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>「なっ、何するんだ？！」</p><p>「・・・あっ、逃げられたわ・・・、　あなたの鼻にいたのよっ！」</p><p>・・・・・！！</p><p>被せられた時、その黒の物体は即座に俺の鼻からすり抜けた、素早く床に落ちた剣の裏に隠れる・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「俺の鼻にいたって、それは？！」</p><p>「彼は、ネズミじゃない・・！　　ゴ○ブ○よッ！！」</p><p>「・・・！！」</p><p>&nbsp;</p><p>そんな汚いものに・・・、いや、それはアシュリーの光の盲点をつく、悪魔の苦肉の策。</p><p>&nbsp;</p><p>そうか、おまえは今、ゴ○ブ○か・・・、フフフ、ディーゴ・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・なら、俺は、俺は・・・、俺は殺れる！</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリー、そんなかごでは、捕らえられない！」　やっぱり、「虫叩きを出せ！！」　　　　　</p><p>一瞬のうちに俺の手にそれが握られる、・・・黄金の虫叩き！</p><p>剣の代わりに、キラリと輝いた！</p><p>&nbsp;</p><p>やはりこれで、叩き潰すのみ、だ！悪魔退治、ならぬ害虫駆除。</p><p>汁が出たってかまわないさ、俺の部屋じゃないし、・・・さっさと済ませてやるっ！</p><p>&nbsp;</p><p>虫叩きでトルエノを、・・・世界を救う！　　</p><p>&nbsp;</p><p>こんなことで英雄になったなんて、城の連中のいい笑い話だな。</p><p>&nbsp;</p><p>えっ・・・、　なに？　　結局それか？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・なんだっていいや！　　　今度こそ本当に死ね・・ッ！　　ディーゴ！！</p><p>&nbsp;</p><p>・・と、それが隠れているはずの剣刃をひっくり返すッ・・・、　　　　いない？！</p><p>&nbsp;</p><p>クソッ！・・、と思った後だった、　　自分の胸の辺りで、何かが、ゴソリ・・・、うごめいたら・・・・、</p><p>イカン、これは・・・・、胸元の襟を空かせて覗こうもんなら・・・、もうその髭が一本立って出てて・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、アシュリー、俺をみっともない男だと思わないでくれよ・・・、やっぱりこれ、ダメだ、・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>アロイスから受けたイジメのせいにはしたくないが、・・・トラウマなんだ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、自分の悲鳴を聞く前に、もう真っ白になった・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・えっ、・・ジクト・・・？！」　　　・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・あれ、どうなった？」</p><p>気がつくと、アシュリーと寝ている父と３人、天井も床も区別がつかない丸く狭い球体の中にいる。・・彼女の魔法の部屋だ。</p><p>&nbsp;</p><p>「あなた、一瞬気を失ったわ。」　　「・・・・・。」　やっぱり。</p><p>「でも・・・、見て、」　と、アシュリーは水晶のようなガラス玉の容器を俺に見せる。　　・・・・「捕まえたわ！」</p><p>&nbsp;</p><p>中に、○キ○リが・・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>俺は面食らって顔を背け、横目で見た。</p><p>「・・・それ、本当にディーゴか？」　恥ずかしさをごまかす意味も含め、まず、疑う。</p><p>「・・えーっ、そんなコト言うの？」　</p><p>アシュリーが顔色を変えた。　・・・嘘だよ。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・おっ、おお、・・やったな、アシュリー。」　今度はニッと笑って言った。</p><p>「ええ！」　彼女も得意そうな笑顔を見せる。</p><p>「あなたの体に隠れたのが、チャンスだったわ、・・彼は逃げようとして、・・その、あなたの・・、その、胸の、ケに足が引っかかって、タイミングが遅れて、私の魔法に引っかかったわ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・その言いにくかったところは、「これに引っかかったのか？」</p><p>衣服を緩めて少し胸毛を見せると、彼女は顔をそむけた。・・・いや、可愛いと思っている場合ではない。</p><p>&nbsp;</p><p>「気持ちが悪い話だ、汚い虫のディーゴが俺の肌に触っていたんだ、何度洗っても落ちそうにない穢れだろ、どうしてくれるんだ、・・・・まぁ、で、ここはどこだ？」</p><p>「・・・今までいた部屋を小さくさせただけよ、・・・ここで始めるために。」</p><p>「何を？」</p><p>「・・・説得よ、・・・彼を解放するわ。」　アシュリーは容器の中のそれを見ながら言った。</p><p>&nbsp;</p><p>俺もすぐ言葉を返さなかった。少し考えて言った。</p><p>「殺さないんだな。」　アシュリーはコクリと頷いた。</p><p>&nbsp;</p><p>「彼を救うわ。」</p><p>失った彼の光を蘇らせる・・・。　　　　はっきりとした意志を示す。</p><p>&nbsp;</p><p>「チャンスはあったのに、俺は殺せなかった。」　感情を出来るだけ出さないよう、言った。</p><p>「彼は体に百の眼を持つわ、逃げることに自信をもっている、・・・直接、手をかけることは難しいわ。」</p><p>・・・・、慰められている気もしたが、スッキリしなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>こんな虫叩き振り回しても意味なかった、・・・アシュリーはそれを知っていて俺に渡した。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ジクト？」</p><p>「俺が反対しても、おまえはそれを救うというのだろ、・・・それがおまえの考えだ、いいモノ、悪いモノ区別なくすべてが同じでその対象になる・・・、究極の平等論だ。」</p><p>&nbsp;</p><p>天の光は、その地に住むモノすべて、平等に降り注ぐ・・・、与えられる量は同じ。</p><p>&nbsp;</p><p>この時アシュリーは、今まであまり見たことがないような暗い顔をした。</p><p>「・・・、私も自分の感情が・・・、さっきまで少し迷ったの。　・・・でも、ここは冷静になって自分の考えでいくわ。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・彼女の心の迷い・・・？　　　　俺は何も言わず、頷いた。</p><p>&nbsp;</p><p>「お父様に危害があってはいけないから、安全な場所に移すわ、・・・。」</p><p>アシュリーは魔法を使って父をこの部屋から外した、・・・そして・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・俺はどうすれば、いい？</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは手を伸ばしてきた、　「あなたは、私のそばにいて、離れず・・、」</p><p>「わかった。」　彼女の手をしっかりと握った。</p><p>&nbsp;</p><p>おまえがどんな考えでも、俺はついて行くさ、・・・もうずっと一緒だと、言っただろ。</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト、・・・ありがとう！」</p><p>とても爽やかにアシュリーは言った。・・・「じゃ、始めるわよ！」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・って、何が始まる？</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは、ただじーっと容器の中のそれを見ていた・・・、するとその物体は徐々に虫の姿をぼやかして、黒い煙のようなモクモクしたものになって、容器の中で充満し始めた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・それからが、長かった。・・・ただ黙って、アシュリーは黒い煙が立ち込めるのを見つめる。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は、緊張しながら恐怖半分、好奇心半分の子供のようになってそれを見た。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・、と容器がガタガタと揺れ出す、・・・おっ！</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・・ジクト、私の手をしっかり握っていて、・・・絶対離さないで！」</p><p>なんか、今までと逆になったような、・・・細かいことはいいとして、「どうなる、アシュリー！」</p><p>&nbsp;</p><p>「彼が、爆発するわ！」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・！！」</p><p>&nbsp;</p><p>爆発は分からなかった。</p><p>・・・・・？？　　　・・・音もなく、容器が消えて、黒い煙に部屋全体が包まれた・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・と、同時に球体がなくなって、上と下も分からなくなる・・・・・、この感覚はアシュリーと一緒に飛んだあの空体験だ、あの時は楽しくて気持ちよかったが・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>今はそんなんじゃない！　　強い風が吹いてきた・・・！　　　わっ、落ちる！！</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリー・・・！」　もう、呼んでしまう！</p><p>&nbsp;</p><p>たよりはアシュリーの手だけで・・・・、しがみついているのは、俺の方だ。　　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト、いい、これから彼の中に入るわ、私と一緒に来て！」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・えっ？！</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴの中に入る？？！　　　・・・・イヤだ！　　「アシュリー、穢れる、やめろ！」</p><p>&nbsp;</p><p>「大丈夫、なんともないから。」</p><p>&nbsp;</p><p>俺に拒否権はない、・・・もう飛んでるような感じだ。アシュリーに導かれるまま、彼女の魔法の世界に誘われる・・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　<font face="Liberation Serif, serif"><font size="3">&lt;</font></font>２の３＞</p><p>&nbsp;</p><p>目をつぶらせてくれ、せめて・・・。　決して開けてはいけない、開けたら大変だ、そこは地獄の風景だから、おお、絶対見たくない！</p><p>&nbsp;</p><p>死んでも報われないものが、そこで蠢く世界、悪魔がその者らを支配する。</p><p>『正しく生きねば、悪魔の誘いを受けることになるのです、そこへ行ってしまえば、二度と戻ってこれません、ご注意を。』</p><p>『・・・正しく生きるとは、どういうことですか？』</p><p>『分からないのなら、お父様にお聞きなさってください。』</p><p>あの小難しい女家庭教師が、事あるごとにまだ幼い俺を脅した。・・・後に俺は、酷い行いばかりする人間になったので、地獄は免れないと思っていた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・いずれ見ることになる地獄・・・、今、見ることになろうとは・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>（おおげさだから・・・、見ても大丈夫よ。）　</p><p>・・・おまえはよく、“大丈夫”　を言うけれど、・・・今度ばかりは・・・、（　もう、とにかく目を開けて！）</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・、微かに瞼を開いて見る、・・・その景色は、・・・・城、・・の中？</p><p>&nbsp;</p><p>トルエノ城じゃなかった。・・・どこか異国の城の中の広間一室。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>中央階段上部に高価な椅子が置いてあり、そこに座るドレス姿の、高貴な女。　・・・顔はぼやけてわからない。</p><p>&nbsp;</p><p>俺の視線は女から移って、赤い絨毯まで下がる。　　　　　ジッと見る絨毯の赤・・・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>顔を上げた時、椅子に女はいなくて、部屋から退場する後ろ姿、・・・そのドレスが大きく開いて半分素肌が見える背中を一瞬チラリと見た。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・アシュリー、なんだ、この苦しさは・・・・、寂寥感とも、孤独とも、言い難い・・・、絶望・・・、虚無感・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>泣こうにも泣けなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>（彼は失恋したのよ、お相手は王妃様・・・、叶うはずのない恋だった・・・。）</p><p>・・・・はあ？　ディーゴが恋？　それは、えらくおセンチな・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>（この体験が、彼の心を弱らせているわ、今の姿の直接原因になっているかも。）</p><p>&nbsp;</p><p>・・・おい、ってことは、俺たちは今、・・・、（ディーゴの中か？！）</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・見ているのは彼の過去よ、・・・今の姿になる前・・・、）</p><p>（・・・・・！）　ディーゴの過去・・・、何の因果でそんなものを見ることに？</p><p>&nbsp;</p><p>（少し彼から離れましょう、あまり体感すると、自分の心も巻き込まれるわ。）</p><p>アシュリーと二人で、男の中から出る、・・・その男が床にうずくまって動けなくなっている後ろ姿を見た。</p><p>&nbsp;</p><p>（しかし、失恋だけで悪魔になられちゃ、世の中悪魔だらけだ。）</p><p>&nbsp;</p><p>（すべては、心の中でどう捉えるかで決まるわ、彼にとってこれは一生をかけた恋だったのよ、・・・もとより結ばれるはずのない、ただいるだけの存在を覚悟していた・・・。）</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>（彼女に裏切られた気持ちが、・・・・悲しみを越えたわ・・・。）</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・どうするんだ？）　　（また彼の中へ・・・。）　</p><p>（・・・・。）　俺は首を横に振る。（・・・いやだ、やめよう！）　</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーだけが、素早くディーゴの中に入った。　俺はすぐ動けない、彼女の手は離さなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・っと、急に恐ろしい力で腕を引っ張られて・・・！</p><p>光景がモノトーンの色のないものになって、・・・歪んでいく・・。</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・アシュリー？！）</p><p>（・・・・ジクト、もっと飛ぶわよ！）　　（・・・・へっ？）</p><p>&nbsp;</p><p>ゴゴゴッ・・・・！　意味不明の騒音がして、俺もディーゴの中に入っていった。　</p><p>&nbsp;</p><p>（予想はしていたけど、彼の心の闇は深いわ、・・・もっと昔に行くわよ！）</p><p>&nbsp;</p><p>・・・はっ？　おい！　　　問答無用に、また飛ぶ・・・、　　　　時間の旅・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ここは？　ここも城だ。　　・・・中庭の渡り廊下。</p><p>・・・前から中流貴族っぽい、装飾品キラキラの太った男。</p><p>&nbsp;</p><p>（少し彼から離れるわ・・・。）　アシュリーに引っ張り出された。外からこの男を見ることに、・・・取り立てて何の特徴もない、ディーゴはどこにでもいる地味系の痩せた男だ。・・神官のような格をしている？</p><p>&nbsp;</p><p>『祭司どの、昨日の第一王子アラーシャ様の１４歳の誕生の祝いの儀での、そなたの服装はなんぞ？　袖のボタンは取れていたし、コートの裾は２か所破れていた・・・、いつでもみすぼらしい男よ、それで祝辞を述べられても王子もさぞかし、気持ち悪かったであろう。』</p><p>『昨日は、王妃様が具合が宜しくないと聞き及んで、山まで薬草を取りに・・・、時間がなくそのままに・・・、』</p><p>『言い訳はよい、しかし王妃といえば、王子の誕生の祝いも欠席であった。どこか具合が悪いのか？・・・何かよくないモノが憑いているのではないか？』</p><p>『いえ、そのようなことは。王家に嫁いでまだ日が浅く、気苦労が絶えないのではないかと・・・、２３の歳で、３人の母にもなられたがゆえに。』</p><p>『今王妃に、王は夢中なのだ、何かあれば我らの首が飛ぶ、そこらあたりもよくよく注意しておくように、祭司どの？』　</p><p>『・・・承知いたしております。』</p><p>キラキラデブ男の威圧的態度に対し、低姿勢で受け答えするディーゴ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・祭司殿って、・・・こいつ聖職者だったのか？</p><p>&nbsp;</p><p>しかも、随分腰が低い祭司だな。・・・あの恐ろしい姿からは想像できん。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>（・・もう少し、彼を詳しく追うわ！）　（・・・、おい、待て、）</p><p>&nbsp;</p><p>今の景色がたたまれるように小さくなって、新しい場面が広がった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>『誰か、・・だれか来て！　王太后様が・・！』　侍女が、王の御母様の倒れているのを見る。</p><p>&nbsp;</p><p>王の御母様の死に、暗殺の匂い・・・。</p><p>『お飲みになられた、ジュースに毒が・・・、』　</p><p>『滅多なことを申すな！』　城の官史の𠮟責をうける侍女。</p><p>&nbsp;</p><p>この事件の真相を知る男、それがディーゴ。</p><p>&nbsp;</p><p>たまたま見ていた王妃の裏の顔、・・・初めて見た時から、美しい女だとずっと目で追っていた。</p><p>&nbsp;</p><p>その彼女が、御母様の飲み物にそれらしい粉を・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>その後のこの騒動だった。</p><p>&nbsp;</p><p>『あなた、なぜこんなところにいるの・・・？』　</p><p>その声に凍り付くディーゴ。</p><p>ストーカーまがいのことをしていたら、とんでもないことに巻き込まれた？</p><p>&nbsp;</p><p>『・・・あっ、いや・・・、その、・・・・たっ、たまたま、・・・おっ・・、』</p><p>・・・・、俺以上にオドオドする男。</p><p>&nbsp;</p><p>『見てたのね・・・、』　</p><p>『・・・・、何をでしょう？　いや、わかっています。あなたはやってはいけないことをしてしまった、・・・神は知るのです、何も隠せません。』</p><p>&nbsp;</p><p>『あなた、本当に神様の使いなの？　なんか頼りないわ。』</p><p>『・・・見くびってはいけません。私は正式に神より任を受けて、この国の祭り事を任されている者です。』</p><p>『いいえ、あなたは嘘をついているわ、私が怖いのでしょ・・・、フフ、本当に神の使いというのなら、証拠を見せてよ。』</p><p>『私は人の心を読みます、あなたは、・・・王の新しい妃に、あなた以外の女性を押していた王の母様を邪魔で恨んでいた、・・・だから、殺した・・・、』</p><p>『・・・ウフフ、そんなの、誰でも考えられる動機じゃないの、それで心が読めると私に言うの・・・？バカでしょ。』</p><p>はぐらかそうとする女に、ディーゴは表情を糺す。</p><p>『あなたは、この城に復讐にきた、・・・３年前、夫を殺された、・・・王に。・・彼は政治の闇に消されたのです。・・・当たりですか？』</p><p>『・・・・・・。アハハハ、どうかしら？　想像にしては面白いわね。』　女は認めななかったが、その顔は完全に肯定する。</p><p>&nbsp;</p><p>『あなたをかばってもいいです、この国の政治は汚い、私にもそぐわない。・・・このことは黙っていましょう。』</p><p>&nbsp;</p><p>『・・・・、あなたの力って心を読むことだけ？　他には何かできないの？』</p><p>&nbsp;</p><p>『・・・いいえ、できます、思ったことを現実にできますよ、願っただけで想いを叶える術を持っています。』</p><p>『・・・・・、それなら、簡単に王を殺すことができるわね・・・。』　『・・・・・・。』</p><p>&nbsp;</p><p>悪い女がいた。・・・この女に人間ディーゴは、惹かれた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>走った、・・・闇の森へ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>森の奥深く・・・・・、そこに棲みつく悪魔と交渉する・・・・。</p><p>『おお，どうか私に、おまえの力を貸してくれ・・・、』</p><p>&nbsp;</p><p>｟また、来たンかい？　代わりのモノをオレに差し出せるのかい？　おまえの大切な・・・イヒヒヒ、わかっているだろうな？｠</p><p>『ああ、今度こそ私の体をおまえに貸してやる、夜だけならおまえの好きにしていいだろう。』</p><p>悪魔は姿を持たない黒い泡のような存在だ、だから実体に憧れていた。</p><p>｟おまえ不細工、屁が臭い、いらねー。｠</p><p>ディーゴは顔をしかめる。『・・・・・。　じゃ、何が欲しいんだ？』　｟フフ～ン、女。｠</p><p>もう諦めた顔になった。</p><p>『いずれ私の、・・・・持っていくがいい、だが、４年間は私のモノだ、・・・その後だ。』　</p><p>&nbsp;</p><p>｟・・・後払いか、ウププ、まあいい、じゃオレの黒い力の一部を４年の期限限定で貸してやろう。・・・、いつだってギブアンドテイクだぜ、　ウヒョヒョ・・。｠</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴは頷いた。</p><p>&nbsp;</p><p>悪魔との取引きが成立した。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・それから、王が突然死した。　　次に王妃に猜疑の眼を向けていた大臣が謎の死を遂げた。・・・・、その後も官職の死者が続出する、・・・ギラギラ男も、死んだ。</p><p>呪われた宮殿・・・、　　皆、怯えきっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>狙った人間の死を想うだけ、それで人が死ぬ。・・・祭司が得た闇の力だった。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・公の場で二人の接点は、殆どなかった。　　王妃は誰にも疑われることなく、目的を果たしていった。</p><p>やがて、国の権力をその手に収めていく。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>闇で落ち合う二人・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>『祭司様、どうしてここまで、私の為にしてくださるの？』　</p><p>『そうではない、この城の体制が腐っているのです、粛清が必要なのです。』</p><p>『フフ、わかっているわ。・・王が死んだら、私もこのお城ともおさらばかと思ったんだけど、新王の為に、その母として残ってくれと頼まれたわ、・・・子供の相手は、面倒なのだけれど・・・、もう少しこの城にいるわ。』</p><p>『それで、いいのです。』</p><p>『あなたとも、いられるし・・・。』</p><p>『・・・・・・。』</p><p>『私はうぬぼれていたのかしら、てっきりあなたは・・・、フフ、もっとこっちに来る・・？』</p><p>『・・・！　いいえ、・・・わっ、私は、聖職の身、・・・女人との接触は、・・・あってはならないのです。』</p><p>『あなたが望めば、不可能はないのでしょう、・・・でも望まないのね、そんなあなたのそういう潔癖なところ尊敬するわ。私の知っている男は、みーんないやらしいんですもの。』</p><p>『・・・・。わかっていますよ。』</p><p>ディーゴの顔が変わった、気弱な男が、強気な悪魔顔になった。</p><p>『あなたは、夫も愛していなかった、・・・関係した男たち全員を憎んでいる、・・・強欲で不潔な男たちを・・・、当たりましたね？』</p><p>『・・・なんて顔をするのかしら？　あなたはハンサムではないけれど、魅力的よ、私とあなたは物凄く気が合うわ。とてもステキな関係ね、・・・汚らわしい男の相手は、もう止めたの、あなた以外の男は信じないコトにするわ。』</p><p>『・・・もったいなく。』</p><p>『・・・そう、いずれこの城を離れて、・・・ふたりで暮らさない？・・・、もう、私は・・・何もしたくないわ、ただ一日穏やかに話をするの、あなたとふたりで、ずっと・・・、いつか、ね。』</p><p>&nbsp;</p><p>俯いたディーゴの顔に歓喜が満ち溢れる。</p><p>&nbsp;</p><p>女の言葉に、夢を見たか・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>（ディーゴのような男でも、女にこんな顔するんだな。・・・しかしどう見ても利用されているとしか見えないが？）</p><p>&nbsp;</p><p>（相手にのめり込んでいくほど、心は見えない・・・、魔法は関係ない・・・。）</p><p>&nbsp;</p><p>（ふーん、そうか、・・・。）</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・・・・、ジクト、よそ見しないで、彼を見て、・・・また、景色が変わるわ・・・。）</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・えっ・・・！）</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>元王妃はディーゴの悪魔の力で、この国のトップの座に君臨する、・・・王太后と呼ばれるようになった。</p><p>そして、いつまでたっても城から出ようとしなかった。やがて、新王が王妃を迎える時が来る・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>やっと、丸４年がたち、悪魔との取引きが終了する。ディーゴは心身共に疲れ果て元王妃に訴えた。</p><p>『もう、城から引退したく考えております、・・・願わくば、これから先の人生は、いつかの約束通りに・・・、』</p><p>『いつかの約束？　何？　それは？』</p><p>『・・・・・、この先あなた様がここに居座っては、新王妃と対立、・・・また消すつもりですか？・・・私はもう、この事より退くつもりです。・・・余りの人生は穏やかに過ごしたい、・・・あなたといつか話しましたね。』</p><p>『ああ思い出したわ、いつかの・・・話。　ごめんなさい、いつかは、来ないわ、あなたが祭司の位を引退したいのなら止めません、・・・私はここに残るけど。』</p><p>『・・・・・・！　あなたも私と同じこの城、いや、国にとっても災いでしかない。退くべきです。』</p><p>『自分の進退は自分で決めます、あなたの指図は受けないわ、・・・あなたは辞めていいのよ。』</p><p>『そんな事をおっしゃってよいのですか？　私の力をお忘れになったか？』</p><p>『それは、・・・本当に感謝しています。でもあなたが辞めるのなら一人でやるわ。・・あなたにはささやかなお礼として金貨１００枚を差し上げるから、それで余生を穏やかに暮らしてね、一人で。』</p><p>『・・・・・・。』</p><p>『・・・あら、そのお顔怖い・・・・、』</p><p>ディーゴには、この女の顔がぼやけてはっきり見えない、・・・いつからか、どんな顔の女だったか、わからなくなった。</p><p>&nbsp;</p><p>『あなたは、王と・・・・、また男と汚らわしい関係を続けている・・・。』</p><p>『・・・！　やっぱり隠せないわね、・・王はもう１８よ、子供ではないわ、王の方からどうしても、ってお願いがあったのよ。受けてやっただけよ。』</p><p>『仮にも母と子だ、・・醜聞、極まりない！』</p><p>『・・・仮だからいいじゃない、もちろん、この関係を公にするつもりはないわ、私は母のまま、王は結婚するわ。』</p><p>『・・・結局、男と血にまみれた生き方から逃れられない・・・、哀れだ。』</p><p>『おかしいわね、・・ウフフ、あなたは、こんな私に・・・、かけてもよかったのよ呪いを・・・フフフ、ありがとう、ね。４年間あなたが大好きだったわ。いずれこの冒険を懐かしく思い出す時もくるわ、ね、・・フフ。』</p><p>『・・・待ってください、私はあなたを・・・、』</p><p>『終わりよ、あなたはもう何もできない・・。私すべて知っているの、律儀に日記なんてつけるから。』　</p><p>『・・・・・！』</p><p>王妃は椅子から立ち上がる。</p><p>『・・・さようなら。』</p><p>&nbsp;</p><p>戻った・・・、最初のあの場面に・・・、女に去られ、一人残され男の悲しむ姿・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>（大体、わかったわ・・・、また、行ってくるわ！）</p><p>（おい、アシュリー・・・・、どこへ・・・って、）</p><p>ああ、また入ったディーゴの中に・・・・、俺は彼女の手を離さないように必死で握っているんだけど・・・・って！</p><p>&nbsp;</p><p>また引っ張られた！　　転がるように、ディーゴの中に・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>（おい、どうした？　アシュリー・・！　ディーゴは・・？）</p><p>（・・・また、彼が逃げようとするわ、・・・・なかなか、思うようにいかない、・・・追いかけるわよ！！）</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーが高スピードで飛び出した・・・！　　俺は落ちないよう彼女の胴に片腕回してガッシリ押さえるが・・・、正直怖い！</p><p>&nbsp;</p><p>なっ、なんだ？　よく分からんが、超高速の旅に突入だッ・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>（彼にはまだ、根っからの不幸な想いがあるわ、・・・もっと奥を探らなきゃ、わからないわ！）</p><p>（・・・俺は、ディーゴといえど、こうも人の・・、いや悪魔でも、その過去を探るのはどうかと思うが・・・。）</p><p>（好奇心ではないの、・・・これは、私の使命なのよ、・・・この為に私があるのよっ！）</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・・・・。）</p><p>&nbsp;</p><p>（あっ、彼よ・・・！）</p><p>行く手の先に黒い足を発見、飛んで逃げていた。・・・・アシュリーが更にスピードを上げて、ディーゴに迫る！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・追いつき、アシュリーがその足を捕まえようとしたところで、・・・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>景色が変わった。・・・さらに過去へ・・・、（ここは？）　（彼をもう少し、見るわ。）　（・・・・。）</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>陰鬱な若者がいた、・・・ディーゴだ。</p><p>&nbsp;</p><p>神官学校に通うディーゴ。</p><p>学校からクラスメイトらしき者たちと出てくるが、そのまま店に入って、全員のミルクパイを買わされた。・・・その後、一人で寄宿所に戻る。・・・悩んでいる。</p><p>故郷から、手紙が届いていた。・・・母からだった。</p><p>&nbsp;</p><p>≪今年のサーラン神の誕生祭の長期休暇は必ず帰ってきなさい。おまえにサーラン神への誓いの言葉を述べてもらう予定。亡きお父様も見守っておいでです。分からない事はしっかり学んでおくように、・・・・云々。≫</p><p>母の期待は大きい。ただの重圧でしかない。・・・・人前で話すのもイヤだし、ああ困った。</p><p>&nbsp;</p><p>《友達》と称する者たちから、カツアゲされる日々。</p><p>母からの仕送りは、授業料と寄宿代、それと故郷までの往復の馬車代のみでかっちり計算され、余分なし。・・・あっという間に金が底をつく。</p><p>&nbsp;</p><p>馬車代はない・・・、帰れない。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・はぁ、しょうがないないので、また嘘の返信をする。</p><p>&nbsp;</p><p>≪尊敬するお母様へ。・・・体術の授業で、仲間からの強い体当たりを受け右足がひどく張れています。歩くのに困難極めております。骨にヒビが入っているかもしれないと、医術師の見解でした。よって今回帰れません。早く次の月の仕送りをお願いします。立派な祭司になれるよう日々努力致しますこと、お約束します。≫</p><p>&nbsp;</p><p>・・・一か月前は、試験で酷い点を取った。</p><p>結果をきいてくる親にこう返信する。≪満点の答案用紙をクラスメイトに貸しています。彼は、僕と友達であることを誇りに思ってくれています。・・・あしからず。≫</p><p>&nbsp;</p><p>いつかはバレる嘘だった、・・・自己嫌悪に陥る。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・世の真実はなんだ？　嘘がないと生きていけないじゃないか。　愛なんて虚像だ。あるとするならば全く分からない、・・・素質がないだけって？　　じゃなぜ、あの家の子として生まれたのだろう？　</p><p>&nbsp;</p><p>もう、学校にも行きたくない。　・・・すべて出来ない、やりたくない、・・・・自分を消したい、・・・死を、思う。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>（彼の両親は神に仕えていたわ。代々そのお家柄で厳しく育てられている、・・・でも、神さまを身近に感じられず、悩んでいるみたい。）</p><p>&nbsp;</p><p>（・・・・・。）</p><p>なんか、俺に似てないか、　『君に、親しみを感じている・・・。』　　　</p><p>・・・おおっ！　激しく首を横に振る！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>『・・・自分で自分の命を絶つのは罪で、神の罰を受けることになるらしいが、なぜそんなことまでに神が関わるのだろう。個人のコトなのに理不尽だ。私が私で死ぬんだ、誰の指図も受けたくない！』</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴは走る、闇の森へ・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>『もう、死ぬ・・・。』</p><p>&nbsp;</p><p>｟・・・なんだ、報告か？オレはとめねェよ。｠</p><p>答えているのは、暗く深い穴の中から出て来た、実態のない黒い煙状の悪魔である。</p><p>&nbsp;</p><p>『私は、自分から死んではいけない者なのだ、だからおまえが殺してくれよ。』</p><p>&nbsp;</p><p>｟・・・手も足も持たないオレがどうやっておまえを殺す？　無理だよ、・・・こうやっておまえにまとわり憑くだけよ。｠</p><p>煙がディーゴの体に巻き付いた、・・・でも何も起こらない。</p><p>&nbsp;</p><p>『悪魔だろ、殺しは得意だろ。』</p><p>｟イメージだけで言うなよ、オレは直接何も出来ない悪魔なんだ・・・、ただ想うだけだ。｠</p><p>『私を呪い殺してくれ、・・・それならできるだろ。』</p><p>｟・・・おまえをそんなに恨んじゃいないし・・・、オレの力はちっちゃいんだ、おまえを想いで殺すには、１０００日かかる。・・・これホント。｠</p><p>『・・・そんなに待ってたら、お母さまにすべてバレてしまう・・・・、』</p><p>&nbsp;</p><p>｟それなら、おまえの体をオレに貸せよ、おまえの手を動かして首を絞めてやるよ。｠</p><p>&nbsp;</p><p>『・・・、それは、自分の手で絞めることと同じだ。それに私は神の使いの血族だ、悪魔に体は貸せない。』</p><p>｟・・・・・、何しにここへ？、もう二度と来るな・・。｠</p><p>&nbsp;</p><p>『・・・なぜだろう、ここに来れば、本音で話ができるんだ、・・心が落ち着く・・・、友達でいてほしい。』</p><p>&nbsp;</p><p>｟・・・これ、やるよ、｠　と、渡された小瓶。</p><p>｟一口飲んだら、気が強くなって、二口飲んだら、気が狂う。・・・そして三口飲んだら、死ねるよ。・・・おまえが気の済むように使いな。・・・でも、ただじゃやれない、おまえの大事なモノ何かくれよ、ギブアンドテイクだ。｠</p><p>『そんなものはない。』　ディーゴは言った。</p><p>&nbsp;</p><p>悪魔は言った。</p><p>｟あるさ、フフ、これを持っていけば、後で貰うよ。｠</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>宿に戻る。手には瓶を持っていた。・・・その顔は異様な興奮に包まれていた。</p><p>暫く瓶を見つめるが、飲む事はせず、そのまま棚に置いた。</p><p>&nbsp;</p><p>１日に３回、瓶をジッと見つめ、３日に１回、飲みかける・・・、という習慣ができた。</p><p>&nbsp;</p><p>なんて暗い青春なんだ！　と俺は思う。</p><p>&nbsp;</p><p>（私は引っ越し先の土地で、精霊たちと話をしたけれど、彼も同じようなことをしていたのね。）</p><p>アシュリーが眼を丸くする。・・・いや、全然違うと思う。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ある日、クラスメイトに精神的屈辱を受け、我慢できなくなって、その勢いで瓶を一口飲んでしまう。</p><p>・・・途端に悩んでいたこと、全部馬鹿らしくなった。</p><p>&nbsp;</p><p>この後、ディーゴの姉が寄宿所を訪ねてきた。</p><p>『足を怪我したってどんなことなの？　足を見せなさい。』</p><p>姉のいつもの命令口調に、ディーゴは、</p><p>『一体、いつの事故だと思っている、３か月も前の事だ、治っているに決まってんだろ、バカが！』</p><p>きつく言い返す。初めての口答えだった。　</p><p>ショックを受けている姉を、『うるせ―っ！帰れ！！』　と追い返す。</p><p>&nbsp;</p><p>不思議と気分が爽快になる。・・・くせになって、事あるごとに一口ずつ飲み始めた。</p><p>&nbsp;</p><p>クラスメイトをボコボコに殴っているところで、教師に捕まった。</p><p>&nbsp;</p><p>家族が来るまで反省室に。忙しい母に変わって来たのはまた姉だった。</p><p>『おおなんて、絶望的だわ、説明しなさい！』　ディーゴを見るなり姉は叱った。</p><p>『私は、神の意に従えない者です。・・・お母さまや姉さまの期待に応えることが出来ません。お見捨てください。』</p><p>この時ディーゴは涙を流し、自分の本当の気持ちを率直に姉に伝えた。</p><p>&nbsp;</p><p>これを聞いて厳しかった姉が、初めて優しい声を出した。『・・・では、おまえは何がしたいの？』</p><p>&nbsp;</p><p>『死にたいです。』</p><p>『おお！』　姉は家族の名を上げ始めた・・・、皆、不幸な死を遂げた者たちだった。</p><p>『残った私と、お母さまと、おまえと３人で頑張り抜くと誓ったのに、・・・肝心のおまえまで・・・、なんてことでしょう、呪われているとしか思えないわ・・・！』</p><p>&nbsp;</p><p>姉は懐から、あの瓶を出してきた。　　　　・・・・！！</p><p>『おまえの部屋から、見つけました、・・・怪しいと思ったのです、やはり毒なのでしょう？　自殺は罪よ！』</p><p>『返してください、姉さまには関係ない！』</p><p>『いいえ、これは捨てます！』　と姉は窓から、残りの液を捨てようとした、・・・ところが、</p><p>&nbsp;</p><p>瓶を持つ姉の手が、黒くなって溶け始めた。『・・・！キャアーッ！！』</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴは姉から瓶を取り上げようとしたが、姉の強い力に押し返された！</p><p>床に腰をついて、また起き上がろうとする間に、姉は何かに操られるごとくその瓶口を自分の口に当て液を流し込んでいた。</p><p>姉の喉が二回動く。・・・・そのまま正気を失った、奇声を上げて、突然笑い出した。・・・かと思ったら、苦しみ始める・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴはそれを夢の中の出来事のように見た。・・・この姉に対して、今までになかった感情が湧き上がる、・・・ドキドキした。</p><p>&nbsp;</p><p>姉に近寄って、瓶から離れなくなった姉の黒い手の上に自分の手を重ねると、不思議なことに一つの黒い手になった。</p><p>姉を後ろから抱きしめる。そして瓶に残った最後の一口を、姉の口に流し込んだ・・・、姉はそのまま静かになって息絶えた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・教師が来て、姉の死体を見て驚いた。</p><p>ディーゴは瓶をポケットに隠して、泣きながら言った。</p><p>『急に発作が起きた・・・、興奮させたから・・、私がいけなかったんです、胸が悪かったのに・・・・。』</p><p>&nbsp;</p><p>森の悪魔がディーゴに言った。</p><p>｟おまえの姉を貰ったぜ。｠</p><p>『・・・そう。』</p><p>否定もしなければ、肯定もしない。・・・ただこの日より、鬱鬱としていた気分がスッキリした。死ぬことなどどうでもよくなった。</p><p>淡々と日々をこなし、無難に卒業までこぎつける。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・これは？</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーが今までにない、厳しい表情をした。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/tahamimi/entry-12257804220.html</link>
<pubDate>Sun, 19 Mar 2017 16:45:32 +0900</pubDate>
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<title>Ashley</title>
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<![CDATA[ <p>&nbsp;</p><p>　　＜２の１＞</p><p>&nbsp;</p><p>ダンダンダン・・・・！</p><p>「アシュリー！　おい、・・アシュリー、返事しろ！　アシュリー、・・・アシュリー！」</p><p>ダンダンダン・・・・・！</p><p>俺とアシュリーの間に落ちた壁・・・、その真っ暗な壁を探り、・・・叩く！　　</p><p>&nbsp;</p><p>「・・アシュリーッッ！！」　　狂ったように叫ぶ！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>この時、カーテンがサッと引かれる音がして、たちまち部屋に明かりがついた。</p><p>&nbsp;</p><p>高い窓から眩しいオレンジの光が差し込まれる・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>そして目前の壁の正体を見る・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>それは、大きな銅鐘だ・・・。　丸みを帯びた鉄か銅の硬い壁だと思ったが、これはあの霊廟堂の、超デカい鐘・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>なぜ、こんなところに・・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>いや、わかった、・・・・この銅鐘の中に、　</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは・・・、　アシュリーは・・・・、　　おお、なんてことだ・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　・・・閉じ込められた・・！　　閉じ込められてしまったんだ！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>鐘の周りをグルグル走って、鐘壁を激しく叩いて、何度も彼女の名を呼んだ・・が・・・、鐘側の彼女からの反応はない！　　　　　　　　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・俺は、どうしょうもないバカだ、何があっても彼女から離れないつもりだったのに・・・、</p><p>・・・また、後悔か？　　　　永遠、懲りないさ！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「うるさいな・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・姿なく、声だけだった。　　・・・不気味に塔内に響く。</p><p>&nbsp;</p><p>ホント、いけない声だ・・・、この声を聞くくらいなら、地獄でセス顔の女とデートする方を選ぶよ。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・フフフ、君は本当に面白い男だ・・・、こんな時によくそんな事考えるな？　・・ファハハ・・・、」</p><p>低く笑う声がもう・・・、本当に悪いヤツ。</p><p>「いや、あしからず、心など自然に読めるのだ。」　・・・だから、何だ？</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリーを出せ・・・、」　うわごとのように言った。</p><p>「・・・・、アシュリー？　君の恋人の名か・・？　いや、まさかな、この中にいるのは・・・、いや、それとも・・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリーを出せ！」　恐怖を押してはっきり言った！</p><p>後に俺は、“　アシュリー”　の名を連呼してしまったことを後悔することに・・・、</p><p>この男に覚えさせるべきではなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリーもいいが、お父上のことは、いいのか？」</p><p>ハッとして振り返って、この時いなくなっていることに気付いた。</p><p>&nbsp;</p><p>ぶざまに辺りをキョトキョトする。</p><p>&nbsp;</p><p>「ファハハハハ・・・！　お父上は、ここだよ。」　今度は真上から声が、咄嗟に振り仰げば・・・・、</p><p>天井の高いところに青白い光が出た。</p><p>塔のてっぺんの屋根裏の奥深いところに、ぶら下がっている椅子と、・・・人。</p><p>&nbsp;</p><p>父の体は椅子に括り付けられていたから、そのロープがかろうじて父の足と手首に残り、椅子と共にひっくり返った状態で、ブラブラしていた、・・・それを目の当たりにする。</p><p>&nbsp;</p><p>その上向いた椅子の足に括られたロープは、一番高い石の横柱に引っかかり、そこを支点にロープが下りて銅鐘の頭の頂点に繋がっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>すなわち、椅子と銅鐘が連動するように仕掛けられていた。</p><p>&nbsp;</p><p>銅鐘が落ちると同時に父は舞い上がった・・・、これは魔法でもなんでもない、人の手による作業で作られたものだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「少し乱暴だったか、トルエノ国の大臣にこんなことを・・・、全く酷いねェ、・・フフ、君が約束を守れなかったらいけないので仕方なかった。覚えていたか？　一か月後の日暮れまでだったな、王女を連れてここに戻るようにと、君に命じていた。」</p><p>&nbsp;</p><p>悪魔の独説がはじまる。　　　　　　　</p><p>&nbsp;</p><p>「まさか、丸一か月かけるとは思わなくて、任務を忘れて観光でもしているのかと思ったよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>「でもおめでとう、君はギリギリ間に合った。」</p><p>「・・・！」</p><p>&nbsp;</p><p>「フフフ・・・、ここから見れば、すでにセトイン山に日は沈んで見えないが、場所によって日はまだ残っている、・・・よってここは公平にマルラン広野の地平線への日没をそのラインと決めた、いや、私の勝手な判断だったが、でもよかっただろう？　今、使いの者が戻って来て、それを知らせに来た。・・・君たちの到着のほうが一歩早かった。・・・フフフ、私はよく人から甘いと言われるのだ・・・、それが君の幸運だった、・・・君も父上も救われた・・・、」</p><p>「・・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>「私もホッとしたよ。もう少しで君の眼の前でバッサリ首落としという、悪趣味なことをやらなくてはいけないところだった、・・・フフフ、父上は返そう。」</p><p>&nbsp;</p><p>「ああ、君の大任達成の祝辞がまだだったな、・・・見事であった、君の仕事ぶりに感心したよ、やればできる。確かに王女は預かった、後は父上よりお褒めの言葉をもらうといい、・・・初めてだろ、フフ、・・・まだ、息が残っているうちにな。」</p><p>言葉が終わるか、否や・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・父が、落ちてきた・・・！　　椅子ごと・・・、　　酷いことだ、あの高さから落ちれば、それで十分死ねる。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は父を受けようと両手を広げ咄嗟に構えた。なんとか父を守ろうとした。　　・・・が、落ちてくる加速でまともに受けれるものでない。父と共に崩れ、その下敷きになる。顔や体に傷を負うことに・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>打ち身と、砕けた木椅子の割れ口で衣服や顔を斬ってしまう・・、口からは血の味がした。でもそんな痛みよりも父で、すぐさま剣を出してロープを切る、椅子と父を斬り離した。</p><p>&nbsp;</p><p>抱き上げれば、びっくりするほど軽く、その尋常でない痩せ方に息をのむ。</p><p>骨だけを抱いている感覚しかなかった。</p><p>頬はこけ、透き通るまでに顔が白い。・・・肩を揺らしながらする息は、今にも止まりそうだ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・ああ父上！</p><p>&nbsp;</p><p>おのれ・・・、よくも・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>今や、ゆっくりと歩みを寄せ、俺の前に立つ黒衣の男、・・・・いや悪魔、・・・・・！</p><p>遂に現すその姿。俺はその顔を、・・眼を見据えた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・おのれェ・・・、　ディーゴ、　許さん！！</p><p>&nbsp;</p><p>「君はそんな顔で私を見る男だったか？　ジクムント君。」</p><p>不気味な顔に笑みを浮かべ、俺を見下ろしている。</p><p>「・・・おまえなど、もう恐くない！」　声が震えないように、気負っていた。</p><p>悪魔は一瞬眼を見開いて、俺を見る。</p><p>「人はそう簡単に変れるものではないがな。」</p><p>また、ニタリと笑った。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・残酷だ、・・・なぜ、父上をこんなにした・・・！　って言いたい顔だな？」　悪魔は勝手に喋り出す。</p><p>「君は誤解している、お父上のその状態は私のせいではない、自分から食べなかったのだ、・・・私も初めて見た、断食ってやつだ、君の任務達成祈願に命を懸けていた。・・・偉い、君のような息子に・・・、でも感心はしない、・・フフ・・・。」　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・！！　　　　　これは俺の責任・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・意識が遠のく・・、自責と後悔の念に押しつぶされそうになった・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>呑気にゆっくり船旅して、・・・酒も飲んで・・・、　アシュリーや、・・女にトキメいて・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ああ・・・、お許しください、父上！！</p><p>&nbsp;</p><p>もっと早く、戻って来れた・・・、来られたんだ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>早く戻れば・・・、　　　　なんて・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「悔やまなくていい、目的はすべて果されたのだ、君は期限を守って王女を連れ帰った。父上の願いも叶った、とりあえず生きて君と対面もできた、・・・何の問題もない。」</p><p>「・・・・・・。」</p><p>俺は父をそっと、床へ寝かせた、・・・・そして立ち上がる、一瞬何も考えない。</p><p>「父は間もなく死ぬだろう、・・・。」　呟くように言った。　「・・・しかし、だ。」</p><p>&nbsp;</p><p>今までとは違う・・・、俺には、想いがある、・・・その為にここにいるんだ！</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリーだけは渡さない、ディーゴ覚悟しろ！！」　</p><p>一気に剣を抜く！　同時に光るペンダントと剣！！　・・・・俺の熱い想いが、伝わった？！</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・・！！」　　光った剣に自分でびっくりする！　　ここでは、魔法が使える・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>俺の光は、正義だ！　　すべては俺に味方した！　　　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・今まで自分と完全に決別しよう、今日から俺は生れ変わるんだ・・・、悪魔を斬って・・・、それで、・・・・、</p><p>おお、今こそ悪魔を斬る！！</p><p>&nbsp;</p><p>さらに強い輝きを放つ！　悪魔の顔が、光の中で恐怖に慄く・・・！　それをはっきり、見る！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>一気に、その黒い影に剣を振り降ろした！　　　　　死ね！　　ディーゴ！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・！　　　　　手ごたえが、ない、　　　　逃したか・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・その姿は消えて見えなくなった。　・・・しまった！　</p><p>「どこだ？　どこへ行った・・・、ディーゴ！！」　</p><p>&nbsp;</p><p>焦れば、さっきの勢いが下がりはじめて・・・、やり損ねてしまった・・・？　　　たちまち、光は小さくなって・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>代わりに窓の青みがかった薄いオレンジ色の光が、部屋を満たし出す。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・惜しかった、ジクムント君、・・・ファハハ。」</p><p>また悪魔が声だけになった。</p><p>&nbsp;</p><p>「あと０，５秒早ければ、私は君の剣に落ちていた、・・・残念！」</p><p>「・・・・クソッ・・！」</p><p>「悔しがるのはいいことだ、まだ君に伸びる素質があるってことだ、今後も剣の修行に励みたまえ。」</p><p>「・・・馬鹿にするな！」</p><p>まだ、やれる！　俺の光は消えていない！</p><p>&nbsp;</p><p>「無理だよ、君に私は斃せない。・・・これは本当だ。」</p><p>「どういうことだ？」　</p><p>「・・・・そんなキラキラ剣を振り回したところで、私には子供が魔法ごっこしているようにしか見えないよ。」</p><p>「言ってくれるな、なら出て来い、子供相手なら勝負できるだろ！」</p><p>「フフフ・・・、」</p><p>ディーゴは出てこない。このままでは埒が明かないが・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「もっと賢くなりたまえ、その光がある限り私が出ないことぐらいわかるだろう？・・・じゃどうするか？　一度光を消して私をもう一度おびき出す？それとも・・・？　フフ、早くしないと夜になる、不利になるの君の方だ。」</p><p>「・・・・・！」</p><p>&nbsp;</p><p>「何も浮かばない君にアドバイスをやろう、私は親切だ。敵の君にアドバイス？　こんな敵役、他にいない、・・フフ・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>「王女を助け出すことが先じゃないのか？　もっと考えろ、私がこの銅鐘の中に人の命を奪う有毒の香水でも入れていたら、・・・・、悠長に構えている場合ではないな。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・！！！</p><p>&nbsp;</p><p>俺は、銅鐘を見る・・・、　　　　　ああ、アシュリー！！</p><p>・・・・・、眼を閉じた、彼女を深く想った、　　・・・いや・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえの言葉に惑わされないよ、おまえは彼女を殺せない。・・・こんな銅の塊で彼女の動きは封じられない、彼女はいつでも出てこられるさ。おまえとはケタ違いの魔力を操る、神の意志を持つ聖女なのだから。」</p><p>自分でも驚くほどの落ち着いた言葉が出た。</p><p>「・・・フォ・・・・、ファハハ・・・、」</p><p>悪魔の笑い声が乱れた気がしたのは、気のせいか？</p><p>&nbsp;</p><p>「本当の事を教えてやろう、確かに私は王女を殺すなんてことは考えていない、だが彼女の持つ光が苦手だ、だからまず彼女の光を封じなければならん・・・、この鐘の内壁は魔法封じの石を溶かし練ったものが厚さ５センチで塗り固めたられている・・・。数にして３千個、私でも魔法封じの石を２個持てば、ほぼ魔力が使えなくなる、きっとこの中に入れば、赤ん坊のようになるだろう・・・いや、すべて魔法なしの人の手作業だ、トルエノ人の雑務の根気には感心させられた、・・・フフフ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>「恐らく王女も君の名を呼んで、壁を叩いていることだ、それが届かないのは、彼女の気を石がすべて吸っているからだ、・・・フフ、この話はどうだ？」</p><p>「・・・・・・、」</p><p>「間もなく、ヴァルディーの呪いが解ける、私は知っているのだ、・・・。」</p><p>「・・・・・・！」</p><p>「・・・フフ、その時が来るまで、彼女はここだ、危険な光を除去できれば、後は私の思うようになる。、・・・フフフ。」</p><p>&nbsp;</p><p>ローレアの話と一致する・・・、　　　</p><p>銅の内壁の魔法封じ固めの話は本当かもしれない、・・・なら、いくらアシュリ―でも無理だ、・・・絶対出られない！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・俺は剣を持ったまま、戦闘態勢で闇を見据えていたが、　　　　　それならば・・・・、　</p><p>&nbsp;</p><p>銅鐘に寄った。剣を鞘にしまってこれの下方を腕を広げて抱えているように持った。　</p><p>&nbsp;</p><p>俺は念をかける、・・・胸の光が増す・・・、　一気に腕に力をいれる！　　　　銅鐘を動かす！！</p><p>&nbsp;</p><p>俺の力で、直接アシュリーを助けるんだ！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・フフフ、どうだろうか？　君も知っての通り、それは霊廟堂の大鐘だ。ここまで運ぶのに力自慢の男たち１８人を要した。・・・君一人の力では到底浮かすことすら・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>できないね、普段なら・・・、でも光持ちの俺なら違う、</p><p>&nbsp;</p><p>俺は踏ん張って、渾身の力を込めた・・・、さすれば、鐘がズズ・・ッと動いた、・・・確かに！　</p><p>&nbsp;</p><p>おお、もう少しだ、更に光を強めて・・・、ウウンッ！　　・・・　そう簡単にはいかないか？</p><p>&nbsp;</p><p>「いや、ひょっとして・・・、」</p><p>悪魔がうわずった声を上げた。</p><p>&nbsp;</p><p>「フフフ、まぁ、見てろよ！」　踏ん張りながら、俺が悪魔のように笑った。</p><p>&nbsp;</p><p>踏ん張って！！　踏ん張って！　　・・・踏ん張って・・・、</p><p>でも、上がらない・・のは・・、　なぜ・・？　　だんだん腰が痛くなって・・・、</p><p>いよいよ疲れてきた・・・、俺って、なんだかんだ踏ん張ってばかりだ、　この旅が始まってから、もうずっと・・・、　　　　　　　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・あの時もアシュリーを助ける為に、力いっぱい剥がそうとして・・・、扉の鉄板を・・・、剥がせると思ったのに・・・、結局出来なくて、・・・力尽きたんだ・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>いけない！　海賊救出時のよろしくないイメージが、出た。</p><p>&nbsp;</p><p>俺の光が一瞬弱まる、・・・部屋が急速に暗くなる・・・、思いのほか時間が経っていた。　・・・もう夜だった。</p><p>&nbsp;</p><p>いッ、いいや、まだだ、まだ頑張れる・・・・、弱気が出れば負けなのだ！</p><p>光りを取り戻そうと、気合いを入れ直そうした、　　　・・・その時だった！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・急に銅の大壁が薄い木板のようなモノに変わった感じになって、フワッと底が浮いた、そのままあっさり開く・・・？　　　オオッ？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　　・・・・やった？　　遂に・・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト！！」</p><p>呆気にとられていると、鐘の中の女が、俺に飛びついて、・・・？？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・いや、アシュリーじゃない・・・！　　女はいたが、その女は・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「うふっ、もう離さないわよ、ジクト！」</p><p>「・・・・・・！！」　赤と緑の下品なドレスを着た、・・・セス顔の女！　　　</p><p>「どこに連れて行ってくれるのォ、・・あたし、ドキドキだわ！」</p><p>「うわぁーアアァ、ああッ！！」</p><p>&nbsp;</p><p>悲鳴が出て、咄嗟に逃げようとしたが・・・、尻もちをついてしまい、よけい女に絡まれた！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ウフフ、君の望みどおりの女だろ？　私は失礼するから、その女と楽しむがいい。」</p><p>&nbsp;</p><p>まさか・・・、　　　嵌められた・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>「やっぱり、君は愉快だ、気の毒なくらい、・・・ホフヌングがいつも頭を悩ませていたよ、アハハハハ！！」</p><p>&nbsp;</p><p>悪魔の痛快な笑い声が響き渡る中、・・・・脱力半端ない。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・、ガッチリ抱きついて、女が鉛のようにのしかかってきた、・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>光も消えそうになって・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>　　</p><p>・・・やばい、このまま、落ちてゆく・・・・。　　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・瞼も重くなった。　　それでもなんとか見ようと、女の向こうの、・・・鐘の壁。</p><p>あれ、開けたはずなのに、閉まっている・・・・？　　ああ、そうか。</p><p>&nbsp;</p><p>開いたと思ったのは、幻、・・・・なら、この女も・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・でも？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・あの海賊船の牢屋で、アシュリー、君を助けようと必死で頑張った。俺の想いはあの時からもうずっとで、今だって、君を、・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>鐘の下から光の筋が見えた。</p><p>身動きが取れなくない体をなんとか起こし、手を光へ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・すべて、嘘でも、　　　　・・・幻でも・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>鐘の中に君がいることは、確かで・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・アシュリー、　　俺はここだ。　　　　　</p><p>&nbsp;</p><p>伸ばした俺の手の先に、・・君の手が、　　･･･触れる。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・あっ！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>突然、部屋が明るくなった、・・・・俺の胸の光が眩しさを取り戻す！</p><p>&nbsp;</p><p>「いやァ～ん！」　光をあびたセス女が変な声を上げて消えた。</p><p>銅鐘に手を伸ばしているだけの俺。・・・何も変わらない、アシュリーは閉じ込められたままで不通状態だ。</p><p>&nbsp;</p><p>「チ、もう少しだったのに・・・。」</p><p>・・・・？　　　誰の声だ？</p><p>&nbsp;</p><p>かわいい、甲高い幼子の声が、足元から、・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>「わたしだよ、ディーゴだよ。・・・やめてくれよ、わたしは光がキライなんだ、もう、不意打ちくらっちまったよ・・・・。」　　　・・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・？？　　俺は周りをキョロキョロと見渡す・・・、</p><p>「どこを見てるんだ、わたしはここだよ。」</p><p>足の指をチクッと噛まれる・・・？！</p><p>俺は飛び跳ねた！　　　足もとにいたのは、・・ネズミ！！</p><p>&nbsp;</p><p>「やあ、ジクムント君、こんな姿でこんにちは、君と王女はいい仲だ、チュ。」</p><p>「・・・・！？」</p><p>「彼女はトルエノ王の妃になるから、せつない恋だね、チュ。」　・・・・？　なに？このおセンチネズミは・・？</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ディーゴか？」</p><p>「ああ、レキッとした悪魔さ。」</p><p>&nbsp;</p><p>キャラが・・、完全に変わる、変わり過ぎだ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「わたしは知っていたよ、君の想い。手紙でもアドバイスしてやっただろ、味方になろうとしたんだよ。」</p><p>「嘘つけ、アシュリーを捕らえようとしていたくせに！」</p><p>あっという間に俺の口調もため口に。</p><p>「知らないよ、チュチュ、・・・アシュリー、可愛い名前、わたしもそう呼んでいいかな？」</p><p>この時、しまったと初めて気が付く、・・・・俺は鈍感だ、後悔ばかりが人生だ。</p><p>「ダメだ、おまえは禁止！」　</p><p>「ケチ、それは嫉妬だろ、独占欲が強いヤツ、チュチュ・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>なんだ、こいつ、・・・・目的はなんだ？</p><p>&nbsp;</p><p>「他にも女がいただろ？　戦い専門の気の強そうな女が３人、そいつらはどうした？　なぜこない？」　とネズミ。</p><p>「・・・それは、」</p><p>「まとめて、捕らえようとしたのに・・・、チュチュ。」</p><p>「ネズミが、あいつらを捕らえられるか、踏みつぶされるだけだぞ・・・、」　あっと思う、・・・・。</p><p>今、殺れる・・・、</p><p>「おまえ、ヴァルディーの女たちを捕らえてどうするつもりなんだ？」</p><p>聞きながら、ネズミの動きをジッと見た・・・。</p><p>（俺は貴族の子でこんな有害小動物処理は初めてだが・・、）</p><p>・・・みてろ、これはチャンスなんだ！</p><p>&nbsp;</p><p>「どうすうるって、・・・コレクションかなァ、見て楽しいよ、きっと。」</p><p>「それは・・・、」</p><p>静かに上げた足で、ネズミを狙う・・・、</p><p>「気持ちの悪い趣味だな！」　　　力いっぱい下ろした！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・、が、手ごたえなかった、・・・・逃げられる！</p><p>&nbsp;</p><p>「わたしを誰だと思っているんだ、ディーゴだよ、君の攻撃などお見通しだ、チュチュ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・クソッ！</p><p>&nbsp;</p><p>こんなネズミ、恐怖心ゼロだ！・・鞘に収まった剣を出す、こうなったら叩き潰してやる！　　　　　</p><p>・・・・「無駄だよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>俺はネズミを鞘で追い回したが、小さな敵のチョロチョロした機敏な動きを捕えられない。</p><p>俺の鞘を踊るようにかわし、その様子は楽しそうだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「あの女たちって、怖かったけど美人だったよね、中でもわたしは髪を二つに分けくくっていた一番若いのが好みだったんだ、・・・可愛いかったな、チュ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・アマンダ？　・・・ざけんな！　「おのれ、ロリコンめ！」　</p><p>もう、渾身の力で鞘を振り下ろす！　・・くーっ、当たらない！。　</p><p>&nbsp;</p><p>「君は、もっとアダルト派だねェ、髪は長くてアップにしているのがいいんだ、・・・そこから見えるうなじが好きだろ、おじさんは知ってるよ、君が女のそこばかり見ていたのを、ずばり、君はうなじフェチ、チュ。」</p><p>「・・・・チョロチョロと、スケベなことを・・・、」</p><p>「だったら、あの女だね、長い黒髪を上げていた女。森で野獣と戦っている時来た女、私は近くにいて、君の胸のトキメキを感じたよ、チュチュ、・・・あの女のうなじにもキスしたのかい？　」</p><p>「うっ・・！」</p><p>「図星チュチュ、君は女極楽旅をしてたんでしょう？　王女にスキっと抱きついてチュ、その女にもチュ！・・・おお、リアチュ、チュ。」</p><p>「・・・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>取りあえず、こんなセリフを元の悪魔姿で聞かないで済んだことで、よしとする。</p><p>ネズミでもディーゴだ。気を付けなければならない。</p><p>&nbsp;</p><p>「誰がキスなど、・・・あいつらは仲間だ、おまえのいやらしい話にはのらないよ、もう絶対殺す！」</p><p>もう一回、ネズミに向かって、ブンッ！　　</p><p>「無理だって、」　・・クソッ！</p><p>&nbsp;</p><p>しかし、この時にふと、俺は気付いてしまった。・・・ネズミの大きさが小さくなっているんじゃないか？</p><p>これはもしや・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>俺は頑張って、胸の光を強くする、・・・さすればネズミは俺の足もとに逃げた。（俺の足もとは光の死角になっている。）　　　・・・見ればまた少し小さくなっている。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・確実に、ディーゴは光にやられているのではないか。</p><p>なら、このまま光り続ければ、どんどん小さくなって、最後は消えてしまうってこと・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>確信を持つ！</p><p>ディーゴは俺の光の影響を受けている！</p><p>当たらなくても、・・・殺せる。</p><p>&nbsp;</p><p>これは・・・、持久戦だ！</p><p>&nbsp;</p><p>こう思った直後だった、一瞬ネズミが消えて、見つけた時には石の大扉横の壁をガリガリと、かじっていた。</p><p>・・・逃げるつもりだ、　させるか！</p><p>&nbsp;</p><p>最初は鞘でそれを突こうとしたが、削り作業中でも避ける動きはすばしっこく、それなら俺も小さく屈んで、穴の中のネズミを捕まえるべく、直接穴の中へ手を入れるが、その手が入り切らず、ネズミの尻をかするだけで、なかなか捕まえられない。</p><p>&nbsp;</p><p>だったらもう、部屋外の廊下で待ち構えてやる！と、立ち上がって、石の扉を開けようと押し始めると・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・なにかが引っかかって、また俺の動きが止まった。</p><p>&nbsp;</p><p>なぜ、俺は止まった？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>『城の中は魔法封じの石が埋め込まれているわ。』　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・アシュリーはそう言った。　　　　・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>ヤツの目的はそれだ、俺を部屋の外に出して・・・、光を失わせる・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>俺は部屋の父を寝かせているその横に居座った。暫くして、ネズミが戻ってきた。</p><p>&nbsp;</p><p>「おいかけごっこしてるのに、追って来ないのは寂し過ぎるチュ。」</p><p>「・・・おまえの負けだよ、ディーゴ。」　俺は平然と言う。「おまえだけ、逃げていいのに・・、」　</p><p>「わたしは出ないよ。君といる方を選ぶよ。」　・・・へ？　光のある部屋にいる方がいいのか？</p><p>いや、魔法の使えない場所は、ディーゴにも都合が悪いというコトだ。</p><p>&nbsp;</p><p>石柱の影からネズミ。</p><p>「夜が来たね、お腹空かない、何か食べる？」</p><p>「いらない。」と俺。　チーズでも出す気かよ。「はい、どうぞ。」本当に出してきた。</p><p>・・・無視すると自分の口に放り込んだ。口をモグつかせながらまた喋る。</p><p>「君のウォンデットの似顔絵はわたしが描いたんだ、上手だった？」</p><p>「ふざけるなよ、王女探しに出させて、捕まえるってどういうつもりだったのか？　ディーゴ、おまえが、トルエノを破滅させようとしている大罪人その者だ。」</p><p>「チュ？　濡れ衣だよ。わたしはこの国に良かれと思うことしかしていない。」</p><p>「・・・・・・、城の男を全員戦争に出して、全員戦死させる気だったのだろう？」</p><p>「まさか、そんなめんどくさい、わたしがその気になったらトルエノは一分で消滅するよ、いや、一秒かな？・・・仲間の戦力を信用しろよ、凱旋帰国をゆっくり待とうぜ、チュチュ。」</p><p>「その前にトルエノに取憑いた悪魔祓いだ、我が国の栄華と誇りを取り戻す。」　</p><p>「ほう、どうでもいいけど、いつからそんな愛国家に？」</p><p>ネズミが何言っても響かない俺は、・・・勝利間違いなし！ただ頑張って光を出すのみだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「戦争と言えば、だけど、・・・その鐘の塗装作業をした中に、ラルニカという男がいて、力自慢１８人の一人だったけどねェ、」</p><p>おもむろに始まったどうでもいい話。・・・ラルニカ、どっかで聞いた名だが。</p><p>「面白くないだろうけど、退屈だしチュ、せっかくだから、わたしの話相手にでもなってくれよ・・・。」</p><p>「冥土話か、勝手にどうぞ。」</p><p>・・・あと、もう少しだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「その男がね、ホフヌングの人間をウンと嫌っていてねェ、・・・ホフヌング家を貶める為に、わたしの命令以外でも率先して働くんだ、魔法封じの石を鐘に塗り込む仕事だけ出したのに、城中魔法封じの石を埋め込んでね、一言えば、十動く人間、そんな家臣はどの城でも引っ張りだこだろうねェ、ジクムント君。」</p><p>何のつもりか知らないが、そんな話は腐るほどだ、別に気にならない。</p><p>「俺は一言えば、一しかやらない人間だ。」　「知ってる。」　「何が言いたいんだ？」</p><p>&nbsp;</p><p>「彼が優れていると褒めている話ではない、おかげでわたしまで魔法がこの部屋以外使えないからねェ、まァ、やり過ぎなのさ、わたしは君の方がいい、自分はデキるってアピールする人間はキライ。」</p><p>・・・取り敢えず勝手に話させる。</p><p>「・・・でもね、その男が君をキライだってわかった時、ちょっといたずらしたくなって、その男を使って森をウロウロする君の所へ送った・・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・！　俺を少佐と呼んだあの男の名前、そうだ、ラルニカだ、・・・ケイトが殺った。</p><p>「そうそう、彼は君を斃すつもりで、・・斃しかけたのに、女に殺られたね、さぞかし悔しい想いだったろう。」</p><p>「待て、それは俺の旅の動きを追っていたということか？　ああそれで、船に手紙を送ってきたり、・・・船の到着時には待ち伏せしてたな！　チョロチョロと小悪魔出してきて、旅の妨害してたんだろう！」</p><p>「・・・全部じゃないけどね、でも魔法の使える人間ならそれっくらいするよ、もし王女でも君を好きなら、君の行動ずっと追いかけるだろう・・・、チュチュ。」</p><p>「アシュ・・・、王女はそんな暇じゃない、おまえと一緒にするな。」</p><p>「そう・・、どうでもいいね、話がズレた。」　</p><p>&nbsp;</p><p>ネズミは話を続ける。</p><p>「・・・でさ、そのラルニカがさ、どうしてそこまでホフヌングの人間を嫌っているかっていう話なんだ、」</p><p>「それは、ヤツの出身が平民だから、どんなに有能でも、俺たち貴族は越えられない、そのやっかみだ、分かっている話だよ。」</p><p>「そんな話でもないんだ、君をキライだと言い切った彼の心の中が見えてね、もうどうでもいいのに、見たくなかったのに見えて、・・・せっかくだから教えてあげるよ。」</p><p>「いいよ、聞きたくない。」</p><p>「でも、彼は君に知ってもらいたかったようだよ、・・わたしもちょっとお節介だな、・・・・。」</p><p>ネズミの話し方が元のディーゴに戻った？</p><p>&nbsp;</p><p>俺はすっかり油断していたかもしれない、ネズミのディーゴに・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクムント君、君は戦争に行ってどんな負け戦でも、君は生きて戻ってきた、それを自分では逃げ上手だからと思っていたんじゃないのか？　もし君だけの力ならおそらく君はもう、この世の人ではないよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・・、」　　　　　この時にこの話はやめさせるべきだった。</p><p>&nbsp;</p><p>「わかっているさ、・・・悪運が強かったんだ。」</p><p>「まさか、君ほど運のない人間もいない・・・・、戦いたくない人間なのに、いつも戦いに出される。もしかしたら今だって・・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>「君のお父上も君の素質を見抜いた上で戦争に出していた。・・・戦死は免れないだろうとも思っていただろうが・・・、やはり、２人の息子を失くして、君までも・・・、というわけにはいかなかったようだねェ、戦の勝ち負けに関わらず君だけは守るようにと家臣に言いつけていたんだ。・・だから、何をさておき君を守る為だけの従軍がいたんだ、・・それを知ってた？」</p><p>俺は答えなかった、・・・だがもう、心が穏やかではない・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「ラルニカはその一人ではなかったが、彼には弟がいて、兄と同じく第２軍隊所属していた。弟はまだ新人で、剣の腕も大したことない雑兵だったが、その彼が君のお供の兵に加えられて、フフ、随分喜んだようだよ・・・、何が何でも君を守ろうと決心したらしい、剣の腕は未熟だったのに・・・。そんな者が君を守るとするならどうなるだろう、フフ、もう言わなくてもわかるだろう。・・・彼だけじゃなかったよ、自分の体を盾にしたものは・・、でも弟がそんな死に方をしても、のうのうと生きている君を、彼は疑問に感じて、・・・恨みを持ったようだね、・・・ろくに戦えない貴族男の為に死んで逝く者たちはさぞかし浮かばれないことだろうと、・・・・フフフ。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・、　　俺は話の途中で立ち上がっていた、　『やめろ！』　と言おうと思って、・・・言えなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>言えずに・・・・、光が消えていく・・・・・、</p><p>もうどうにもならないんだ、心が落ちていくってこんな感じだ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・アシュリー、俺は頑張っただろうか？　でも何かが足りないんだ、だからいつも、こんなことになる、んだ。</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴよ、少し言わさせてもらうが、知っていたからな、その話は、・・・俺だってバカじゃない、目の前で味方の兵が斬られたら、少しは思うから・・・・、でも誰も、俺に言わないんだ、・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・専門の従軍がいた事は、知らなかった・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>ダメだ、俺はもう・・・・・、　　　　　戦えない。</p><p>&nbsp;</p><p>すまない、　　　　　・・・アシュリー。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>部屋が真っ暗になる。</p><p>「随分、手こずったな、・・・どのくらいかかった？」　「１時間と４７分です。」　</p><p>「・・・ほう。」</p><p>&nbsp;</p><p>窓から闇に青白い光が流れるように出た、・・・・ディーゴが元の姿に戻って俺の前にぼんやり浮かぶ。・・その肩に真っ黒いカラスがとまっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>部屋は悪魔の棲みかに変貌、・・・異様な雰囲気を漂わせる。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴが一人勝手に喋り出す、・・・また悪魔の一人舞台になった。</p><p>「君の光ごときに、やられる私ではない・・・。ウフフフ、私のネズミはどうだった？君の光は完全でなかった、ムラがあった、あの小さな姿なら君の光の死角がよくわかったのさ。君も親しんでくれた。」　</p><p>&nbsp;</p><p>「女の話をした時、思ったほど効果がなくつまらなかったが、でも思い出してねェ、彼のことを・・・、思い出せた事が功を奏した。」</p><p>&nbsp;</p><p>「何か話してくれ、ジクムント君、声だけは出せるようにしてあげるよ、・・・あれ、おかしいな、なぜ喋れない？　ああそうだね、恐くなれば君は声帯が壊れるんだね・・・、アハハ、やっぱり君は変わらない。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・暗くなると同時に俺は、ディーゴに支配される。・・・体が全く動かなくなった。</p><p>立ったまま、瞬きもせず、・・・泣くことも、笑うことも、怒ることもできず、・・・絶望することもできない・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>無表情のまま、無意味な自分でいるしか、なかった。</p><p>&nbsp;</p><p>「実はあの男に命じていたことがあって、・・・わからないことが一つはっきりしたのだ・・、おかげ様だ、フフフ・・、」</p><p>・・・と言って悪魔は俺の胸にしまっている、・・・・ああ、それを、・・・待って、くれ、それは・・・、</p><p>ラルニカが俺の胸に手を伸ばした、あの時の事・・・、まったく気づかなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>王妃のペンダントが、スルッと出てきて、宙に浮いた。</p><p>小さなオルゴールのような木箱がディーゴの頭上の闇中から現れた。・・・ディーゴの妖しい手の動きでその蓋が、開く、・・・・ペンダントが一気に吸い込まれた。</p><p>&nbsp;</p><p>そのまま蓋が閉まる。・・・木箱は、ディーゴの広げる両手に落ちた。</p><p>そして一瞬に、悪魔の黒い衣服の中に隠れた。　　　　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・終わった。</p><p>&nbsp;</p><p>「君のオモチャにしては、少し高価すぎた、こんな物騒なものは没収だ。ほしければ私が君に合うオモチャをいくらでも与えてあげるよ、・・・フフフ、代わりに欲しい物はあるかい？」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・何もいらない。」</p><p>「おや、喋ったね。・・・諦めは早い方だ、君の特徴だ。」</p><p>&nbsp;</p><p>悪魔が指を鳴らすと、体の中の硬い芯のようなものが取れた。「もう、君は自由だ。」</p><p>体は動くようになる。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・しかし・・・、どうにもならない、　　　もはや立つだけが、やっとの男だ。</p><p>&nbsp;</p><p>「もっと嬉しそうな顔をしたらいい、・・・君はこれを持つのが嫌だったはずだ、お父上に無理やり持たされて、その期待を背負うのが苦痛だっただろう？　私は知っている。」</p><p>&nbsp;</p><p>「いい方に取ればいい、背負う物がなくなったのだ、このままあの時と同じように部屋を飛び出してもいいんだよ、誰かが君を情けないヤツだと責めたら、私が君の味方になってその者を消してやろう。」</p><p>&nbsp;</p><p>「これから、どうしょうか？　二人でこれからのトルエノの未来について、話し合おうか？　・・・それとも・・・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>「死にたい？」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・殺せとは、頼まなかった、まだ何とかなるのではないか、と考えた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>こんな、・・こんな男が、まだ、やれるするならば、・・・それはどっちだ？　</p><p>&nbsp;</p><p>もう光は奪われたのだ、それでどこに向かえばいいんだッ！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「何をしても、悪あがきだ。」</p><p>&nbsp;</p><p>「君の負けだ。」</p><p>&nbsp;</p><p>「私は君を殺すことに積極的でない、・・・なぜなら・・・、君に親しみを感じているからね。」</p><p>&nbsp;</p><p>「一つ、君に取憑いて離れない心を抜いてやろうか？」　悪魔は銅鐘をチラッと見た。</p><p>「その心が消えたら、君は楽になる・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・やめろ、　　どこまで落ちたって、悪魔の同情は、ごめんだ・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・フフフ、君の気持ちが手に取るように分かって、楽しいが・・・、まだ君に引き出しは残っているのか？」</p><p>&nbsp;</p><p>あとは・・・、そうだな、悪あがきか・・・。</p><p>俺の最後の・・・、そこまで考えて、・・・思考を止めた。</p><p>&nbsp;</p><p>一瞬だけ、頭の中を真っ白にした。</p><p>そして呟く。</p><p>「俺だって剣士だ、・・・一矢報いるさ。」</p><p>&nbsp;</p><p>これに悪魔が甲高い声を上げる。</p><p>「まさかの剣士気どり？！　君は逃げてきたのに。」</p><p>うるさい！　グワッと顔を上げた。</p><p>「・・・おまえは、トルエノや俺の大切なモノを全部奪った・・・、そんなおまえを俺は本当に憎い、殺したいと願う・・・、だから・・・ッ！」</p><p>&nbsp;</p><p>「だから・・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>「死んでくれ、・・ディーゴ！」</p><p>&nbsp;</p><p>剣を抜いた、想いのままに。</p><p>&nbsp;</p><p>剣刃の向こうで、ギョウギョウしく眼を見開いた悪魔の顔を見た。</p><p>どんな顔をしても醜いヤツだと思った。</p><p>&nbsp;</p><p>悪魔は急に気が抜けた顔になって、あくびをした。</p><p>「君は本当に都合良い人間だ。軍人にあるべく美しく散りたいと思ったようだね、でも君は何も出来はしない、ただ死ぬのだ、君を守って死んでいった兵士のように・・・。フフフ、君はその者たちのことをうすうす知りながら、あえて心の中で伏せていた、・・・今もまた、甘美なものにすり替えようとする・・・、フフ、どうも君の心は恥ずかしくて。」</p><p>&nbsp;</p><p>「何とでも言え、おまえを殺す、確実に。」　　「・・・無理だ。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・アシュリー、</p><p>&nbsp;</p><p>俺はやれるはずだ・・・・、　　おまえへの想いがある限り・・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ロマンチシズムは、何の役にも立たんよ。」　</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴが、薄気味悪い息を吐く。　　　　「・・・終わり。」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・この時だった、俺はまさかの声を聴く・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>しかし遅かった・・・、　　　ああ、父上！　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・ジクトッ！　剣を収めよ・・ッ！！・・この男の前で剣を抜いてはならん、・・・早くッ、収めるんだッ！！」</p><p>&nbsp;</p><p>俺がこの声を聞いた時はもう、体が動かなくなって、声も出ない、・・・腕が、・・手がガタガタと震え出した・・、</p><p>&nbsp;</p><p>しっかりと剣を握っていたはずの手が、勝手に緩んで、剣だけが俺の体から離れていった、・・・まるで剣にその意志が入ったようだった。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ジクトーッ！！」</p><p>悲痛な父の声が飛ぶ！</p><p>&nbsp;</p><p>何が・・、何が起きる？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ゆっくりと剣が天井高く舞い上がった・・・、悪魔が左右の眼玉を目尻に離しおかしな目つきをした。首をカクカクとあらぬ方向に動かし視線を泳がす。口は耳まで裂けた。醜悪な恐ろしい表情でケタケタと笑い出した。</p><p>&nbsp;</p><p>その笑い声に合わせて、剣が宙でクルクルと回転を始める。</p><p>&nbsp;</p><p>ピタッと笑うのを止めた。</p><p>&nbsp;</p><p>剣も止まった。・・・その矛先を決めて・・、　　俺に、・・俺の胸の急所に向く。</p><p>・・・ああ、そうか、とやっと分かる。</p><p>&nbsp;</p><p>「その剣は君の殺意を吸って、意志を持った、・・・残念だが、君は自分の殺意を自分で受けなければならん。」</p><p>悪魔が言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「や・・・、やめてくれェ、ディーゴ！！」　生れて初めて懇願するような、かすれた父の声を聴く・・・、</p><p>これが最後に、なる・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・なら、何を祈る・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ああ・・、」　　誰の声だ？　父？　いや・・、俺かもしれない・・・・・、　　何もできなかった・・・、ぶざまだ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>自分の命を惜しいと思えば・・・、なおさらで・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>剣が俺に迫り、その鋭い刃が刺さるその一瞬まで・・・・・、　　　　　　　　　なにを、おもう？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・きた！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>いつものように、記憶がぶっ飛ぶ出来事だろう・・・・、実際その瞬間は、憶えていない。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・この時にそれが、おきた。</p><p>後から、何度も父から聞かされることになる、奇跡の瞬間だった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・銅鐘が割れたのである。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>それは、凄まじい勢いだったと、父は語る。</p><p>&nbsp;</p><p>剣が俺を襲ってきた時とほぼ同時にピキンと不思議な音を聞く。・・が、分厚い銅の壁にヒビが入ったのは分からなかった、・・・何もないところから、突然光線が出現・・、と思うか否や、一気に部屋が真っ白になり、ガラスが割れるような音で、それらが飛び散ってきた、・・という。</p><p>&nbsp;</p><p>銅鐘がバラバラに砕け散ったのだと分かったのは、その後で・・・、</p><p>その光の速さがごとく飛んできた一つの破片が、俺の胸に突き刺さる寸前の剣に追いつき、・・・当たるッ！！</p><p>&nbsp;</p><p>剣は弾かれ、消えた！　　・・・瞬きをしていたら見逃す出来事で、　　　・・・・・！。</p><p>&nbsp;</p><p>気付いた時には、半分に割れて落ちていた。・・・鉄の剣が、・・・、想像に絶する力だった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>割れた銅の中には、光る女が立っていた。　あまりに眩しくて直視できなかったと・・・、父は語る。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>そう、父は見た、その１秒に満たないこの瞬間を・・・・、思い出したという、１８年前のあの光景を・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>奇跡の光で自分を救った王妃のことを・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>今ここで、再現される・・・、あの奇跡の光が・・・、　　　　ああ、息子を救ったのだ！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「な、・・なんて、ことだ・・、おお、これが、ヴァルディーの、力・・・、」</p><p>父の茫然とした声を耳にした。</p><p>&nbsp;</p><p>俺はわからない、・・・何が、起きた、んだ？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・アシュリー！」　　　その名を呼んだ！　　</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・よかった、」　光の中で口元が僅かに動き、そう聞こえた。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの体から発せられた強い光は、徐々に収まって、・・・俺の目にやっとその姿がはっきりする。</p><p>&nbsp;</p><p>そのまま、崩れるように坐り込もうとする・・、俺は反射的に彼女のもとに駆けた！</p><p>必死でその細い体を抱きかかえた・・・、「大丈夫かッ！」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・間に合ったわ・・・、」　アシュリーは微笑んだ、しかしその表情に力はなかった。体の芯からの疲労が見て取れた。</p><p>&nbsp;</p><p>何があったか、わかってきて・・・、</p><p>「・・・強い力をつかわせてしまった、悪かった・・・・。」　</p><p>想いのままに、彼女を抱きしめた。　　</p><p>&nbsp;</p><p>彼女は何の迷いもない、澄んだ目を向ける。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・大丈夫よ、私の魔法はあなたの為なら、自由自在だもの。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ああ、やっぱり、それ言うんだな。</p>
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<link>https://ameblo.jp/tahamimi/entry-12249865141.html</link>
<pubDate>Tue, 21 Feb 2017 13:45:06 +0900</pubDate>
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<title>Ashley</title>
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<![CDATA[ <p>アシュリーはすぐ話そうとはしなかった。</p><p>俯いた横顔に迷いが浮かぶ、・・・やがて顔を上げ、言葉を選ぶようゆっくり話を始めた。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ローレアは、悪魔になった者は時間が経てば経つほど、人間には戻りにくくなるって・・・、ディーゴ、彼は古い悪魔で元に戻らないから、目的は排除だと彼女たちは言うの。でも私にはそう思えなかった・・・。」</p><p>「おまえは悪魔だろうが、なんでもすべてを助けたいって考えるんだな？」</p><p>「まぁ、そう、悪には形がないから、・・・排除は形だけしかできない。本当のそれを消す方法はないのよ、また出てくるわ、この世に人の心がある限り。」</p><p>「・・・・？」</p><p>「それはすぐそこにあるモノよ、みんな戦っているわ、心の中で・・・。初めからいい人と悪い人を分ける線なんてない、人の本質に悪い人はいないわ、・・ただ迷ってしまうだけ・・・。」</p><p>「・・・それは確かなのか？」　「お父さんの仕事を手伝った経験で、わかったことよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの万人いい人説・・・、　　　「じゃ、ディーゴもいい人なんだ。」　「・・・うん。」　・・・頭を抱える。</p><p>&nbsp;</p><p>「あいつらが闘争本能に任せて、悪だと定められたものに攻撃していただけか？　悪魔を見たら新しいも古いもない、全部バッサリだったからな。」</p><p>「私の為にしていてくれたことよ・・・。」　</p><p>「・・・じゃ、ディーゴを殺さないとするなら、どうするんだ？」　</p><p>「説得よ、彼と話して理解してもらう、・・・理解を得れば、彼は人間に戻れるはずよ。」</p><p>「・・・・？！　出来るのか？　そんなこと・・・、」</p><p>アシュリーは、コクリと頷いた。</p><p>「私に見えている彼はあなたと同じで、お城に仕えていた人よ。」</p><p>「・・・ローレアが、女を恨んでいるって言ってたが・・・、」</p><p>「・・・、そのあたりは私には分からないわ、・・・原因は憑依よ、人に悪魔がのり移ったのよ。だから納得して心のリニューアルチェンジすれば、悪魔と想いのリズムがズレて離れられるのよ。これに関して私は慣れているの、だから、やれると思う。」</p><p>「・・・うまくいくのか？　失敗すれば危険だ、　ローレアは言っていた、ディーゴはおまえを狙っていると、俺はおまえと悪魔の接触は避けたいんだ。」</p><p>「彼に私は見えないから大丈夫よ。」　</p><p>「その見えないようにした魔法も、１８年経った今、終わる時なのだとローレアが・・・、」</p><p>「・・・・・。」</p><p>アシュリーが困ったように笑う。・・・ジクトはローレアばかりね。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・別に悪いことは言っていない。」</p><p>俺が俯いた。</p><p>「あなたの仲間は、今はわたしよ。」</p><p>「おまえは仲間じゃない、・・・おまえは守られる者、俺は守る者。同格にはならないんだ。」</p><p>アシュリーはますます寂しい顔になって、目を閉じた。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は立ち上がった。「そろそろ行こう。」</p><p>馬を引いて、彼女を乗せる。</p><p>その前に俺も乗る、手綱を握って馬を走らせようとした。</p><p>&nbsp;</p><p>ふと、後ろのアシュリーの息づかいが、変わったコトに気付く。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「私も戦うのよ・・・、」</p><p>「・・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・その腕はもう、俺を抱きしめていた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・、あなたを守りたいと思った、　あなたを守るために強い魔法も覚えたの・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「これから先は、私も分からないの、・・・でも二人で戦えば何とかなるわ。ここはどうしても乗り越えなきゃいけない分岐点だから頑張るつもりよ。・・・ここを乗り切れば、私とあなたの未来に繋がるから・・・、だから・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・俺とアシュリーの未来・・・、　　　　　　　王は・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>　　　　・・・・アシュリー、　　それは、つらいことだ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>走りかけた馬を止める。　手綱から手を離さず、後ろも振り向かなかった。、・・・それで言う！</p><p>&nbsp;</p><p>「このままトルエノ城に入ったら、おまえは王に会え。王は病気だ、ずっとベッドに伏せている。その時は魔法を使って王を癒すんだ、勝手なことだが、・・・おまえがすることは、それだ。」</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの腕と体が俺から離れた・・・、　</p><p>俺の背中は少し震えていたかもしれない。　・・・目も潤んで。</p><p>&nbsp;</p><p>これに、彼女、「・・・でも彼を説得しなければ・・・、」　と言いかけ、</p><p>&nbsp;</p><p>ハッとして、後ろを振り返る、さすればキョトンとしたアシュリーと眼があった。。</p><p>&nbsp;</p><p>「じゃないと、王様もお父様も助からないわ、王様に会うのはその後ね。」　サラッと言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「説得・・・、」　またその話、調子が狂う。</p><p>&nbsp;</p><p>「二人で頑張れば、なんとかなるわ、ね！」</p><p>また、ギュっと抱きしめられた・・・。否定できない温度差あり、・・・・なんだ？　そうか、まだ１８才の娘だ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>街に入った。・・・いつも賑わっている午後の繁華街に人を見なかった。</p><p>馬足を緩め、ここを通過するが・・・、</p><p>どこの店も戸を閉めていて、商売を休んでいる。</p><p>明らかに一か月前とは違う寂寞とした空気が辺りに漂う。</p><p>&nbsp;</p><p>「ここまでとは・・・、なぜだ？　これもディーゴのせいなのか？」</p><p>「・・・・・・。」</p><p>アシュリーは何も言わず、無表情で周囲を見ていた。</p><p>&nbsp;</p><p>馬の歩みがおかしくなった、足がグラついて止まり勝ちになる。</p><p>「さっき食べ物を与えたばかりなのに、・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>前方に家の戸口が開く、そこからから老婆が出て来た。・・・思わず声をかける。</p><p>「おい、そこの女、ちょっと。」　</p><p>老婆は動きを止めて顔を上げた。</p><p>&nbsp;</p><p>「まぁ、若い男がまだいたとは・・・？」</p><p>疲れきった顔が、少しパッとする。</p><p>「・・・なぜ、ここまで人がいないのだ？」　率直に問う。</p><p>「皆、戦争に出たんだよ、・・・・この街には今、老いぼれしかいない。」　老婆はぶっきらぼうに言った。</p><p>「・・・戦争って、なんの戦争だ？」　そう言えば、さっきの盗賊も・・・。</p><p>「知らないよ・・・、東のなんとか大国と戦うとかでねぇ・・・、無謀なこった、息子も孫もみんな連れて行かれちったよ・・・。」</p><p>「・・・どうして・・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・東の大国といえば、ガラタイル・・・、今まで戦わず小康状態を保ってきた国、今のトルエノの軍事力でかなう相手じゃないとみんな、わかっていたから、・・・なのに？</p><p>「トルエノ軍隊総出動さ、・・・みんなで戦えば勝てるってさ、だけどさぁ、今ここに攻められたらどうするんだい？」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・・・。」　　これもディーゴなのか・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>「あんだ、外国の人だね？　トルエノに何の用だい？」　老婆は何も知らない俺を勝手にそう決めつけた。</p><p>「城に急用だ。」　否定せず、答える。</p><p>「誰に会う気だい？　今、城は空っぽだよ、いるのは病気の王様と女だけだよ。」</p><p>「・・・・・。」</p><p>「ああ、王様が不甲斐ないからこんなことになるんだ、・・・情けない・・・！」</p><p>独り言のように言って裏の畑に行こうとするので、それを止める。</p><p>「食べ物を分けてくれないか？　馬が空腹だ。」　</p><p>「・・・やれないよ、悪天候続きで、野菜も細っていくらもないよ。」</p><p>大金見せたら、顔色を変えた。</p><p>それでも僅かしか野菜を分けてもらえなかった。　直ちにそこからは離れ野原で馬を休ませた。</p><p>&nbsp;</p><p>馬が食事をしている間、俺とアシュリーは静かに水を飲む。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・その直後だった、馬が奇妙な嘶き声を発してバタンと倒れたのは！　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・口から泡を出し・・・、即死だった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「毒か・・？！」　あのババァ！　踵を返そうとしたら、</p><p>「待って、ジクト！」　アシュリーが止める。</p><p>「あの方は関係ないわ・・・、これは仕方がないことよ・・・。」</p><p>「アシュリー、おまえは気が付かなかったのか・・・？　それに馬がなかったら・・・！」</p><p>&nbsp;</p><p>「今までよく頑張ってくれたわ・・・。」</p><p>草むらに横たわる息のない馬に手を合わせ、祈る姿勢になった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ここは彼の領域よ、魔力に馬が敏感だったのよ。」</p><p>「・・・だったら、どうするんだ？」</p><p>空を見た、日は大きく西に傾いている・・・、そう時間はない！</p><p>&nbsp;</p><p>いや、落ち着け、馬がないなら出せばいいじゃないか、・・・、そう魔法だ！　</p><p>「出でよ、馬！」　　　・・・石は光れど何も起こらなかった。</p><p>アシュリーが、「・・なら私が、」　と言いかけ、相手にしない。</p><p>&nbsp;</p><p>改めて考えて答えた。・・・もう、それしかなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・走れるか？　アシュリー。」　</p><p>「・・・ええ。」　アシュリーが戸惑ったように頷いた。</p><p>「よし！」</p><p>俺は彼女の手を引いて走り出す。　　そう、走るんだ！</p><p>&nbsp;</p><p>まず、馬屋へ走る、・・・当然馬を買う事を考えるだろう、でも馬小屋に人も馬も無かった。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・本当に走るしかない！　気だけが焦った、アシュリーも足をもたつかせながら、必死で俺について走る！</p><p>&nbsp;</p><p>霊廟堂の前にさしかかった時、ヘッとなった！</p><p>その建物は壊されていた・・・・、おお、ない！　我が街シンボルの大銅鐘が・・・、すっぽりとその部分が空洞になっている。</p><p>１００年前に建てられた歴史ある荘厳な霊廟堂だった。・・・人の身長の２倍あるドデカい銅鐘が有名で、作られた時２８人が中に入ったとかいう、どうでもいい逸話が残っている。</p><p>&nbsp;</p><p>これじゃ、戦死者の魂をどうやって鎮めるのか・・・、いや、今までそんなに関心なかった。</p><p>なのに今、それを見て、とても悲しくなる・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・更に、もうすぐ完成するはずだった大図書館が丸ごと姿を消していた。</p><p>あの大量の本は？</p><p>我が国の知識的文化の大資産だったのに。・・・それまで興味なかったが、無くなった建造物を目の当たりにして、これはとんでもないとだと大憤慨に陥った！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>無謀な戦争も、馬の死も・・・、建造物の崩壊も・・・、農民のジャンキー化も、・・・・上司の奇畜化も、全部が、・・・、</p><p>ああ、・・・・ディーゴだ、すべてディーゴの仕業だ、・・・ディーゴがトルエノをめちゃくちゃにしている！</p><p>&nbsp;</p><p>俺は走る、・・・、もうすぐで城が立つ山の登りだ！</p><p>アシュリーも頑張って俺について来きたが、・・・この辺りより、ペースがどんどん落ちていった。</p><p>･･･体力の限界・・・。</p><p>完全な足手まといとなる、このままでは間に合わないかもしれない・・・、どうなる？！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・あっ！　アシュリーがこけた、　・・・「おい、大丈夫か？！」</p><p>&nbsp;</p><p>抱き起こそうとして、足がすぐ立たなかった・・・、今度は膝に大きな擦り傷を作ってしまう・・・、アシュリーの美しい足に、なんて！</p><p>しかも足をひねっていた。</p><p>&nbsp;</p><p>「ああ、わたし・・・、」</p><p>泣きそうな顔になった。</p><p>「魔法は自分には使えないの、癒せないのよ。」</p><p>・・・えっ？　　意外だった。</p><p>&nbsp;</p><p>「それなら俺が・・、」　と傷に手を当ててウンッと祈ってみた。</p><p>胸のペンダントは一瞬光るが、アシュリーの傷は治らなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>「ごめんなさい・・・。」</p><p>「謝らなくていい、でも俺じゃ力になれない。」</p><p>「走れるから。」</p><p>「・・・でも、今すぐは・・・、」</p><p>アシュリーは何とか自力で立ち上がる、・・・でもビッコをひいて歩くのがやっとの状態だった。</p><p>&nbsp;</p><p>「無理するな・・、」　ため息ついて、アシュリーを座らせる。</p><p>俺は偶然、派手な赤と青色の布切れを自分の衣服の内側から見つける、持っていた水で彼女の膝の汚れを流しその布で拭いた、そして、それをそのまま傷に巻き付けた。</p><p>&nbsp;</p><p>「その布？」　アシュリーが反応する、・・・・んっ？</p><p>「私があなたにあげた手作りのスカーフね。」　「・・・・？！」</p><p>・・・すっかり忘れていた、船でもらったやつ、・・胸のポケットに入れたままだったが、・・・よくあったなぁ。</p><p>&nbsp;</p><p>「あなた、何度も失くしかけて・・・最後に私がその服の中に入れていたの。」</p><p>「・・・あ、そう。」　こんな女の細かさは、男にはホントどうでもよくて。</p><p>「これがあなたの魔法ね。」　</p><p>「無理やりだな。」　俺は立ち上がった。</p><p>&nbsp;</p><p>さて、だ。・・・次をどうする？</p><p>&nbsp;</p><p>「時間がないわ、私が魔法で・・、」　</p><p>「いいから。」　また止めて。</p><p>&nbsp;</p><p>独り言のように俺は言う。</p><p>「馬は出なかったが、飛ぶことは出来るんじゃないだろうか？・・・俺が城まで飛べたら・・・、」</p><p>「・・・！　ジクトが飛ぶの？」</p><p>これにはアシュリーもびっくりした。</p><p>「おまえをさらった賊を追いかけた時、俺は早く走ろうとして飛んだんだ！」</p><p>「本当・・・？」</p><p>「嘘つくか！　今飛ばないで、いつ飛ぶんだ！　さぁ、つかまれ！」</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーが俺の体にしがみ付いた。「これでいい？」　</p><p>「ああ！アシュリー、なんかアドバイスがあれば頼む！」</p><p>「・・・何か、飛べるものをイメージすればいいと思うわ！」　</p><p>「・・よしッ！」</p><p>ピリピリとした緊張だけが、体を襲った、・・・その想いでペンダントに念を込める・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・飛ぶんだ、　　そう俺は、・・・飛ぶ！　　　　必ず、・・・・飛んでみせる！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>体の中の熱量のようなものがグングンに上がって体内で爆発ッ！　その勢いで俺の体は舞い上がって飛んでいったぁーっ！！　・・・って、そんなドラスティックなイメージが出た・・・。　　　</p><p>&nbsp;</p><p>　・・ともすれば、　ペンダントが光って・・・！　　　　　　・・・・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・ところがである、もう一息というところで、・・・そのボルテージは下がってしまう。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・で結局、何も起こらなかった、光も消えて・・・、　　　　　「う～ん・・・、」　唸ってごまかしても仕方なかった。　　</p><p>&nbsp;</p><p>『イメージが悪かったわ、鳥が大空に舞い上がるっていったソフトな感じでいけばよかったのに・・・、』</p><p>アシュリーにそう突っ込まれそうだった。</p><p>&nbsp;</p><p>「すまない、やっぱり無理だった。」　俺は言った。</p><p>アシュリーは無言で首を横に何度も振る。・・・そして俺から離れようとしなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>日の光が隠れていた雲の間からその姿をみせる・・・、その光に虚しく照らされた。</p><p>なぜか、抱き合ったままで・・・・、途方にくれた。</p><p>&nbsp;</p><p>彼女の手と肩を軽く押さえ、自分の体からそっと離そうとした。</p><p>顔を上げたアシュリーは泣いていた。　　　　・・・？　　そこまで？</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・いいえ、嬉しかったの・・・。」　飛べないことが？　「でも悲しくもなってしまって・・・。」</p><p>「・・・・？」</p><p>女とは、難解な生き物・・・、なんど触れてもわかるものではない。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは濡れた瞳のまま、俺を見る。</p><p>「・・・私たち、これからずっと一緒なのよね・・、二人でいられるのよね・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、見えた、俺にも、・・・俺とアシュリーの未来・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>いずれおまえは俺の手の届かないところに行ってしまう女だ、・・・それなら、それでも一緒にいるのなら・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>キスできなくても、・・・抱けなくても、そばにいておまえを愛し守っていく男になる・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>なんだ、簡単なことだった・・・、光に必要なのは、影だったんだ・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>俺はアシュリーを抱え上げた。</p><p>「えっ？」</p><p>「このまま走る。」</p><p>「・・・それは、・・重いわ、私・・・、降ろして・・・。」</p><p>大きく息を吐いて、吸った・・・、気合いを入れた。</p><p>アシュリーはためらいながらも俺の背中に手を回す、「しっかり押さえていろよ！」</p><p>&nbsp;</p><p>今から、猛ダッシュだ！！</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト、無理は・・、」</p><p>「・・してないよ、ここから城まではそう距離はないんだ、登り坂だっていけるよ！」</p><p>そしてアシュリーを見ずに、前を向いて言った。</p><p>「これからも一緒だ、アシュリー、・・・行くぞ！！」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・走ろう、アシュリーを抱いて・・・、不思議と苦しさはない。・・・、どこまでも走れる気がした。</p><p>&nbsp;</p><p>こうして抱いて走れば馬で後ろにいる時より、もっとアシュリーを感じられた、・・・彼女の想いがすべて伝わってくるようだった。</p><p>&nbsp;</p><p>俺にかかる彼女の重みは、丸ごと全部俺が受ける。・・・その想いは全部俺のものなんだ！</p><p>&nbsp;</p><p>さあ、急ごう、　日が暮れる前に！</p><p>&nbsp;</p><p>山道に入る。夕方の黄色い薄明りを感じるだけとなり、日の位置は分からなくなった。</p><p>「アシュリー、日暮れまであと、どのくらいだ？」</p><p>「一時間余よ！」　</p><p>&nbsp;</p><p>落ちつけ・・・大丈夫、確実に城には近づいているんだ、　　　　　・・・あと少し・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーを支える自分の手を熱く感じる、　　　止まっては、抱き直し・・・、走り・・、また止まって・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト、降りようか？」</p><p>「大丈夫だって！」</p><p>&nbsp;</p><p>また、走る！！　　　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・走れば、走るほどに足の動きが軽くなった、登り坂がグングン進んだ。　　</p><p>規則的な呼吸と、足の動きが保てれば・・・、逆に疲れが取れていく感じさえあった。　　　　</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、走れることが、嬉しい。</p><p>&nbsp;</p><p>急ごう、・・・もっと急ごう、・・・俺はもっと頑張れる男だ、　おまえの為なら・・・、　　　</p><p>&nbsp;</p><p>だって・・・そうだろ？　　アシュリー！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ええ、ジクト。・・・着いたわ。」</p><p>「・・・・えっ、どこに・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・って、トルエノの城だ！　　いつの間にかトルエノ城の外門の前だ、　おお・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>「だいぶ速かったな・・・、」</p><p>「ええ、無事着いたわね。」　</p><p>&nbsp;</p><p>二人で感慨にふけて、ハッとする。・・・そんな時間あるか？　　</p><p>やっぱりここも、いるはずの鎧姿の門番が不在だった。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリー降ろして、施錠されていない木門を開く。</p><p>城中に一歩踏み込めば、それまでと景色変わって上級貴族たちの高級な館が立ち並ぶ領域になる。</p><p>&nbsp;</p><p>やっぱり、人の気配がなかった。代わりに、やたら鳥や獣の鳴き声がガヤガヤ耳につく。また畜生臭さが気になった。</p><p>石畳の通路にガチョウの群れが飛び出した？　その後を鶏３羽とアヒル５羽・・・、更にその後を牛や豚がついて歩く。空では５０羽ぐらいのカラスの大群がで出てきて、突然ガーガーと喧嘩を始めた。・・・・？　　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・なぜ家畜が放し飼い？　城の敷地内で・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーはそれらをじいっと凝視する。彼女に声をかけるとハッとして笑顔をみせた。</p><p>何か見えたのかもしれないが、・・・いや余計な事は後だ、アシュリー抱き上げて、また走り出した。</p><p>&nbsp;</p><p>中門に到着、吊り橋は降りたままで、鎧戸も空きっぱなしだった。</p><p>&nbsp;</p><p>そのまま突っ走ったら・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>前方に、やっと人の姿が、・・・それは甲冑集団、　　　・・・？！</p><p>・・・２０人程いるだろうか、規則正しく並列し城壁の前に立つ。</p><p>こいつらは・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>おお！女だ、・・・、城の女給係の、下流貴族女子による武装集団だ！</p><p>&nbsp;</p><p>「お待ち申し上げておりました、ジクト様！」</p><p>高く響かせる第一声は、・・・おっ、聞いたことある！</p><p>「我ら、城の留守を預かる者、ジクト様、あなた様を国を脅かす大罪人として捕えます。お覚悟を！」</p><p>強気な威勢のよいこの声は間違いない、・・・だ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・、俺がウォンデットされていたのは事実だった。しかし・・・、なんと、面倒くさいことに・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「ここは何とか、俺一人で片づける、・・・ここで待ってて。」</p><p>咄嗟に女たちの動きに注意しながら、彼女を石柱に下ろした。</p><p>「目と耳と、・・・心の扉も閉めていろ、俺がいいと言うまで、何も見るな、聴くなよ。」</p><p>「わかったわ。」</p><p>どうして？とは聞かなかった、アシュリーは俺が言うままに目を閉じて、両手で耳を塞ぎ頭を下げた。</p><p>&nbsp;</p><p>大きく息を吐いて、女たちに向いて訴えた。</p><p>「俺は何もしていない、逆に国の大任果たし戻って来たところだ、わかったらそこを通せ、急ぐ、時間がないんだ！」　</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・もう、騙されませんわよ、ジクト様、」　「私たち、今日は本気ですもの！」</p><p>「・・・なっ、なんの本気だ？」</p><p>「抵抗するなら、斬りますっ！」　・・・・わっ！　マジか？</p><p>&nbsp;</p><p>みんなが腰から剣を抜き両手で握る、ジリジリと寄ってきた。</p><p>仕方ないから俺も剣を抜くが、　　・・・なんなの、こいつら・・？　</p><p>&nbsp;</p><p>「今、こんな事してる場合ではない、細かい事情は後だ、俺は・・・、」</p><p>聞いてもらえそうになかった、一人目が剣を振りかざし走り出す！　数人がこの後に続いた。・・・間違いなく全員刺客である、しかし女らの剣は一夜漬け訓練がバレバレのド素人そのもので、すべて剣でかわせば、女らは、なすすべなく倒れていった。</p><p>&nbsp;</p><p>「もうよせ、意味ないことだ。」　俺は剣を下ろし、戦う意志がないことを示す。</p><p>女に剣を向けることなどという野蛮で無粋なことは、できるだけしたくないんだよ。・・・女は別モノだ。</p><p>&nbsp;</p><p>懲りずに一人の女がまた迫まった！　剣と剣とが互いの顔面でぶつかった・・・！</p><p>「今度は逃がしませんよ・・、」　甲冑越しに女がそう言った。</p><p>俺は手を出して、女の頭全体を覆う兜の留め金の部分を跳ね上げた。・・・長いまつ毛の、潤んだ大きな瞳の目と対面する。</p><p>&nbsp;</p><p>「やっぱりおまえか・・・、」</p><p>「・・・私より、ラナシャの方がよかったんでしょう・・・！」　　「・・・・！」　</p><p>「愛しさ余って、憎さ１００倍ですわ、私の味わった苦しみをそのままお返しします・・！」</p><p>「・・待て、誤解だ、・・おまえは勘違いしている、ラナシャとは付き合っていない！」　</p><p>・・・これは嘘か。</p><p>&nbsp;</p><p>「じゃ、わたくしの時はどうでしたの？！」</p><p>・・・後ろから別の女の剣が！　それは弾き返すが、言葉の攻撃からは逃れられなかった。</p><p>「アリサと２股かけていたのでしょ？・・・今こそ真実を！」</p><p>&nbsp;</p><p>「知らない、・・・俺は何も・・・、」　シーナも入れて３股だった･･･と思う。</p><p>&nbsp;</p><p>もう、・・・ヤバい、なんとかここから出たい！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・と、さすれば、また別の女の甲冑の手が伸びてきて、・・・直接、首を絞めてきた！</p><p>「ジクト様、死んでください、私の為に・・・！」　わっ、なんだ？！</p><p>「離せ・・・、落ち着け、・・・まずは話を・・・、」</p><p>「いいえ、お話しすることは何もありません、・・・、あなたを殺して私も死にます！」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・？！　待て、早まるな・・・！　って、・・・おまえ誰っ？！</p><p>&nbsp;</p><p>「・・さ、早く。今のうちです、皆さま、男の体に飛びついて・・・！」　「はい！」</p><p>&nbsp;</p><p>「イアナ様、お気持ちは分かるけど、殺してしまってはダメよ。」</p><p>「わかっていますわ、すべては、ディーゴ様の命通りに。」　</p><p>「ユミラ様、後ろにいるのは？」</p><p>「当然、女でしょ、今の・・・です、捕えなさい！」　・・・アシュリー？</p><p>「・・はい！」</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、いけない！女たちが妖しい会話を始めたと思ったら、・・・・・！</p><p>１０人以上の甲冑女たちが，ドヤッと俺に覆いかぶさるように倒れ込んできて・・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・全部演技か？　　　</p><p>と、思うかいなや、・・・何層にもなった甲冑がギシギシと俺の体にめり込んでいく・・・・、視界は真っ暗になって、何も見えなくなった。</p><p>&nbsp;</p><p>ほぼ生き埋め状態・・・・。ここから逃れようにも重すぎて、力を入れようとすればするほど、力が抜けていく・・・、意識が遠くなってきた・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>重りとなった女たちは動きはなく・・・、たっ、助けて・・・、アシュ・・、　　死、ぬ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>そのうち鉄鋼の山が自然に崩れた・・・・、　　生じた隙間から、光が・・・、　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ああ、天使の来光が差す・・、　アシュリーの笑顔だ！　　</p><p>&nbsp;</p><p>俺が隙間に手を伸ばし掻き分けると、女たちは滑るように俺の体から離れていく。・・・全員、眠りに落ちていた。</p><p>&nbsp;</p><p>「大丈夫？」　すました顔でアシュリーが聞く。　</p><p>「なんともない・・・。」　スクッと立ち上がる。　「油断した・・・、危なかった。」</p><p>&nbsp;</p><p>「彼に操られていたようよ・・・、」　眠った甲冑女たちを見下ろしてアシュリーが言った。</p><p>「ここにいるんだな、・・・ヤツは・・、やっぱり。」</p><p>アシュリーは小さく頷く。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ああ、ディーゴがもう、そこにいる。</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえ、足は？」　彼女は普通に歩いていた。　「もう大丈夫よ、走れるわ、ありがと。」</p><p>「そうか！　じゃ、急ごう！」　「ええ！」</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーの手を引いた、・・・当然魔法を使ったことは叱らない、バツの悪いのは俺の方だ。</p><p>&nbsp;</p><p>しかし、本当に、今の女たちとの会話を聞かなかっただろうか・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>「何も聞いていないわ、あなたから言われたことは守るもの、私。」　しれっと言う。</p><p>「そう。」　何事もなかったように、二人走り出した。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>辺りが、オレンジ色の淡い光に包まれた・・・、いよいよ、日没だ。</p><p>&nbsp;</p><p>それはもう、眼の前にある、　・・・・　トルエノ城。</p><p>　</p><p>&nbsp;</p><p>「どこから、入るの？」</p><p>「裏にまわって、西塔に出入り口があるそこから行こう・・・・。」</p><p>実はその党の地下室は牢屋になっていて、罪人が収容されていた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・咄嗟に脳裏にでる、　　　　・・・・父上！　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>胸がつぶれそうになった、・・・・どうなっていることか？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「大丈夫よ、生きてるわ。」</p><p>「・・・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>塔の入り口も開け放されていた。・・・入ってすぐは家畜小屋のはずだった・・・、</p><p>「・・・うっ！」</p><p>咄嗟に鼻と口を押さえたが意味なく、悪臭が全身を回る・・・、　　これは、　家畜の匂いじゃない？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・微かな光に影がうごめく、　　　　　　・・・ここにいるのは、・・・人？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>そうだ、この匂いは、人の腐敗した・・・、死体の匂いと、・・・汚物の臭みと混ざる・・・、　　　　もう強烈だった。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・すでに、ここにも人が、・・・押し込められていた？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・みず・・、　水を・・くれ・・、」</p><p>かすれた男の声がした、・・・若い男のようだったが・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>これを無視し、俺は声を出した。</p><p>「父上、・・父上・・・！　いますか？！　ジクトです、　戻ってまいりました・・・！」</p><p>​</p><p>・・・返事はない・・・、罪人たちが、力なくざわつき始めるが・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>俺は左右の鉄格子を交互に懸命に覗く、暗闇に少しずつ目が慣れて、顔の判別が少し見分けが付くようになってはきたが、・・・こんなゴミだまりのようにされている人の塊の中で父を見つけても、かなりショックで辛いことだった。</p><p>&nbsp;</p><p>ここにいなければ、後は地下か？　　　・・・それとも・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>「待って、ジクト・・、誰かあなたを呼んでいるわ・・。」　</p><p>アシュリーの声にビクッとして振り返る。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・に・・うえ・・、兄、うえ・・！」　　　　・・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>「ここです、兄上！」</p><p>今度は、はっきりと聞いた。・・・俺は声のする檻の中を身を乗り出すように見た！</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・フィリップ？！」</p><p>「・・・ああ、本当に、兄上、ですか・・・？　幻ではないの・・・？」</p><p>俺を兄と呼び、檻の中で這うように近づく男・・・、まだ１５歳の俺の義弟の、フィリップだった。</p><p>「ああ、兄上、よくぞ戻ってきてくれました・・・、ああ、皆待っていましたぁ、本当に、よかったぁ・・・、」</p><p>檻から手を出して俺に伸ばしてきたが、俺の方で避けた、・・・とにかく汚かった。</p><p>「待て、フィリップ、何があった？　なぜおまえがここにいる？！」</p><p>&nbsp;</p><p>「兄上が行った後、ホフヌング家の関係者全員、捕まったのです、兄のカーフィもいます・・・！」</p><p>フィリップの後ろに倒れた半死の男が、カーフィか？・・・こいつも義弟、１９歳。</p><p>「生きています、みんな生きて・・・、兄上の帰りを待っていました！　あ、死んでいるのは、前からの他人です。」　ケロリとフィリップは言う。</p><p>&nbsp;</p><p>おお、なんてことになっていた、・・・ディーゴはホフヌング家そのものを崩壊させる気だったのだ！</p><p>「・・・！　サラ、サラは・・？！」</p><p>咄嗟に叫んだ。フィリップが見た視線の方向で、そこで隆起した腹部を天向けて寝ている汚れた老女を見る・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>「サラッ・・、サラッ！　俺だ、起きろ、サラッ！！」</p><p>「・・・ああ、おぼっちゃま、の声がきこえます・・・、ああ、夢ですね、これは・・・・、でも夢で逢えただけでも・・、」</p><p>寝ぼけたサラの声が、・・・・！</p><p>「バカ！　俺だ、帰ってきたんだ！」</p><p>ムクッとサラが起きた。「・・・・・！！　おお、まさか・・、」　その目から大粒の雫が・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「・・おぼっちゃま！！」　鉄格子にかきついてくる、「おお、今まで一体どこへ？　共もつけずにお一人で行かれたことに後で気がついて、ああ、サラは・・・、でもよかった、よくぞご無事でした！」</p><p>俺もサラにつられてもらい泣きしそうだ。</p><p>「俺は元気だ、なんともない。おまえも元気そうだ。」　</p><p>「・・・サラなど死んでもよいのに、体の中の蓄えで、意外と生きててしまって・・・。」</p><p>「それはなにより、で、・・・サラ、父上は？」</p><p>「旦那様はこちらではありません、一度も会っておりません、おぼっちゃまが知っているのではなかったのですか？」</p><p>・・・やっぱり、ここではなかったか。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・サラ、今はゆっくりできない、鍵を開けるから、皆と一緒に逃げよ・・、」</p><p>と言いながら、その辺りを見渡し門番探すが、・・誰もいない・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「３日前から門番はここにいませんよ、牢の鍵は門番が首にかけていましたが。」</p><p>奥から男の声・・・、カーフィがいつの間にか、起き上がっていた。</p><p>弱った小さな声だったが、俺はこの男の声をあんまり知らない。</p><p>&nbsp;</p><p>それなら魔法を使って開けてやれと思って、「サラ、びっくりするなよ！」　と南京錠持って念を込めるが、・・・ペンダントも光らなければ何も起きない。サラは俺の動きを見て不思議そうにした。</p><p>「おぼっちゃまでも、それを壊すのは無理でしょう・・。」　　　</p><p>・・・？　何か変だ・・・、念で、石だけでも光るのに・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「兄上、水を・・・！　僕たちは３日前から、水すら飲めなくなったのです・・。」　フィリップが訴える。</p><p>&nbsp;</p><p>「酷いことだ・・・、」と言いつつ、自分の水をサラに渡す。サラは戸惑って義弟たちを見るが、「おまえが先に飲め。」　と俺はサラだけに平然と言った。</p><p>&nbsp;</p><p>昔から俺は弟たちに冷たいのさ、　　・・・認めてないから、弟だと・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「今はどうにもならん、父上を探してまた後で助けに来よう、暫し待て！」　と言い、「アシュリー、先に行こう！」と後ろ振り返り、ギョッとなる。・・・アシュリーがいなかった！</p><p>&nbsp;</p><p>「お供の人なら、今、出て行ったよ。」</p><p>フィリップ、言う、・・・早く言え！！　俺は一目散で戸口に戻る！　</p><p>・・出たところで、アシュリーとバッタリ出くわした・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえ・・・、勝手に動くなよ・・、」</p><p>怒るやら、ホッとするやら・・、ああ、・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ごめんなさい、ふと、思い出したことがあって、・・、これ・・、」</p><p>と言って、見せてきたのは、牢屋の南京錠のカギ。</p><p>「さっき、首に鍵をぶら下げて歩いてたアヒルがいたから、・・・それが、ここの番人さんだったのね、彼から預かってきたわ。」</p><p>「・・・・。」　俺は気が付かなかった・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「これで、魔法を使わずにみんなを助けられるわ。」</p><p>アシュリーは涼しい顔で、各牢屋のカギを開け始める。</p><p>皆、自由になった。</p><p>「・・・ああ、ありがとう・・・、」　サラもフィリップも感激し喜んだ。</p><p>「おぼっちゃま、この方は・・・？」</p><p>サラがアシュリーを見て問うが、答えられない。・・・「後で、わかる、今は急ぐんだ！」</p><p>&nbsp;</p><p>後は、弟たちや元気な者たちにまかせると、アシュリーを抱え、俺はまた走り出す。</p><p>&nbsp;</p><p>階段前まで来て問う、　・・・上がるか、降りるか・・？</p><p>「アシュリー、父の居場所は、どっちだ？」　・・・間違えば、絶対に間に合わない！</p><p>「・・・お父様は上だわ！」</p><p>「よし・・！」</p><p>&nbsp;</p><p>この塔の上といえば・・・、俺が父から王女探しの命を受けたところ、・・・父がディーゴに取り押さえられたところでもあった。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・そうだ、父はあの部屋から出してもらえなかったのだ、・・・あのままでずっといるんだ！</p><p>&nbsp;</p><p>確信を持つ、・・・上で間違いない！</p><p>&nbsp;</p><p>階段を駆け上がる時も、ずっとアシュリーの手を引いていたが・・、</p><p>ふと、彼女が、「・・ジクト、・・それが・・、」と、不安な顔を見せて言った・・・。　</p><p>&nbsp;</p><p>「階段きついだろが、　もう少しだから、・・走ってくれ！」</p><p>魔法は使えても体力に自信がないアシュリーだ、心配になるが、</p><p>「いいえ、そうじゃなくて、このお城、変なの・・・、」　と。</p><p>「・・・なに？」</p><p>「魔法が、反応しない、みたい・・・、これって・・・、</p><p>「・・・えっ？　あっ、さっき俺のペンダントも光らなかった！」</p><p>「このお城には魔法の力を吸収する何かがあるような・・・、例えば、壁の中に魔法封じの石を埋め込んでいるとか・・・、」</p><p>「・・・・・！！」</p><p>足が止まった、・・・魔法封じの石？！　おお、ディーゴが魔法の力を抑え込む為の細工を城中にしたって？！</p><p>&nbsp;</p><p>「じゃ、ペンダントを使えないわけだ。」</p><p>「私もよ、・・・！」　　</p><p>&nbsp;</p><p>魔法がなかったら、戦えない・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>「思いっきり、ピンチじゃないか、・・・どうするんだ？」</p><p>&nbsp;</p><p>「でも待って、ジクト、彼も魔法の人よ。この城の中で力を使えなくなることは同じだわ、彼だって困るはず・・・、」</p><p>　そうか、それなら・・・、　</p><p>「魔法なしの剣の対決だ、剣士の腕がなるさ！」・・・初めてこんなセリフ言ってみる。</p><p>「いいえ、彼は剣は使わない人、・・・魔力なしでは戦うことはしない、魔法は絶対必要よ・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>このセリフに引っかかった。</p><p>「おまえ、結局ディーゴと魔法で戦う気じゃないのか？・・・！俺がどんなに口酸っぱく言ったところで、意味ないな！」</p><p>これにアシュリーも顔色変えて反論。</p><p>「違う！・・・私言ったわ、説得だって、・・彼と話をするのよ、話をする戦いよ、そこに魔法はないわ！人の心を動かすことに魔法を使ったら罪になるし！」</p><p>「・・・・。」</p><p>何か違うと思う自分がいる。　やはりアシュリーの悪魔説得戦法は腑に落ちないんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>「戦ったことないのに何がわかる？・・・やはりローレアたちが必要だったな、アシュリー・・・、」　</p><p>&nbsp;</p><p>「なんて・・・？　あなたにそんなこと言われたら、私どうしていいか分からなくなるわ・・・、」</p><p>大きな目が潤んで、ちょっと慌てる。</p><p>「いや、おまえを責めているわけじゃない、・・・俺はおまえに魔法使ってほしくないし、ディーゴに会わせたくもないんだ、だから俺が戦うと何度も、・・・・、」</p><p>言葉に詰まって、・・・矛盾に気がついた。</p><p>&nbsp;</p><p>俺にはディーゴと戦うプランがない・・・、ザックリ、剣で戦うと言っているだけ・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、問題はアシュリーじゃなくて、俺なんだ・・・、どっかアシュリーに頼っている自分なんだ！</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ちょっと待て、アシュ・・、」　と言いかけて、会話が切れた。</p><p>&nbsp;</p><p>急に城の中に光が差し込まれ、俺とアシュリーの立つ場所も明るく照らされた。</p><p>階段途中の踊り場の窓がその瞬間を映しだすスクリーンとなる。・・・・俺が見たその景色は・・・、西の空の雲がゆっくり流れていくところで・・・・、雲の隙間から覗く大きな赤い太陽・・・、　　それはもう向かいのセトイン山の先端と接近して、・・・いや、接触した・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>いけない！　俺たちはゆっくりし過ぎである。いろんなことに巻き込まれ過ぎたし、・・ともすれば、あれよあれよと、日は沈み、もう山と日の欠片があと数ミリになった、・・・アッと見ている間に、　　　・・・・沈んだ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・！！　　　「おおっ・・・！！」</p><p>二人でまた走った、・・・もう無言でただ走る！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>そして、着く。・・・一か月前、父に連れて来られ、・・・すべての始まりの場所・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>今、その扉の前に立っていた。　　　　　・・・逃げるように飛び出した、あの時、</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、父上！　戻りました！！</p><p>&nbsp;</p><p>その部屋の重い石の扉を引けば、動いて・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>俺はアシュリーの肩に手をかけ力を込めた、自分にしっかり引き寄せる。</p><p>「絶対離れるな・・・、何があっても・・！」</p><p>「ええ、絶対に！」　アシュリーも俺の胸に必死でしがみ付いた。</p><p>&nbsp;</p><p>ピタリと、くっ付く、・・・もう何があっても二人だ！</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーも手を出した。意を決して伸ばした互いの手を重ね取っ手を握る、グッと引いた、・・・重い音を立てて扉が徐々に開き出し、中の真っ暗な様子が見え始める。</p><p>アシュリーと足の動きを合わせて、その暗い部屋にゆっくりと入る。・・・お互いの胸の音だけを聴く・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>一歩、二歩、進めた・・・、開け放した扉から光が入って、部屋の様子が明らかになろうとする前に・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>　　　・・・ズンッ！！　　　　・・・・急に後ろで閉まる戸。　　・・・勝手に石の扉が、閉まった・・・？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>これに、胸の大事な部分が飛び出す・・・？　息と拍動が同時に止まる！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・声も出なかった、・・・本当に怖いと、「ぎゃ～っ」　が出ない。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>おお、誰かの手によって、閉められた・・・、視界も真っ暗だ。</p><p>何も見えなくなったら、ただ、パニックだ・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ジクト落ち着いて・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーが、いた。　　　俺は一人では、なかった。　　・・・震える息を吐く・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、アシュリー、俺はまた、情けない男に戻ってしまいそうだ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ジクト、見て・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>俺の隣が明るくなった・・・、ああ、アシュリーに光が、　・・・そうだ、暗いところではおまえの体は光るんだ。おまえの不思議な力の一つで・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>ハッとする、・・俺のペンダントも光っていた。　「・・・どうして？」</p><p>&nbsp;</p><p>「この部屋は・・・、」と、アシュリーが言いかける。</p><p>&nbsp;</p><p>彼女はこの後、『魔法が使える部屋だわ・・！』　って言おうとする。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・でも、その声を聞くことはなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>部屋が暗闇から青、黄色・・・、そしてオレンジへと、明るい色に変貌して・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>俺は見ることになる。　　　　目の前の地獄を・・・！　　　　　　　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>そこに簡素な木椅子に手足を縛られ、顔を見えないくらいカックリとうなだれて座る、・・・男。</p><p>&nbsp;</p><p>それが誰か認知するまでに、数秒を要する・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>決め手はその服装だった。一か月前に別れた時と同じだったから・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・色がくすんで薄汚れた貴族衣がだらしなくその身にあった。</p><p>ボタンはとれて、所々ほころんでいた、・・・そこから見えるは白い枯れ木のようにやせ細った手や足。束ねた髪はほつれ乱れ、俯いた顔からは無精ひげがまだらに伸び放題だった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ち、ち、　ちち・・・、」　その名を呼ぼうとして、声が震える。</p><p>&nbsp;</p><p>いつでも凛として立派だったお姿が・・・、　　こんな哀れな罪人のように、なり果てて・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>　　　・・・よくも、よくもここまで・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>一気に押し寄せる後悔。　　こんなになると分かっていたら、もっと早く帰ってきた、・・・なのに・・・ッ！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、・・・父上！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>この後、俺は、何か言いかけたアシュリーと離れるんだ・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>離したのは俺の方、・・・彼女の肩から手を離し、彼女の手を払って、父のもとに駆けるのである・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・父上！！」</p><p>はっきりと呼んだが、父からは返事がない、・・・もしや、もう・・・・、ああ、あ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>父の肩に触れようとした時だった、更に追い打ちをかけるような衝撃に出くわした。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・ドドドンッッ！！！</p><p>&nbsp;</p><p>先ほど石の扉が閉まった時の１０倍程の音がした。</p><p>城が崩れたのかと思うぐらいの地響きで、俺のすぐ後ろで何かが落ちた！</p><p>&nbsp;</p><p>急に後ろからの光が消えて、・・・・何っ？！</p><p>目まぐるしい変化に俺はもう、ついていけない、・・・気が狂いそうだった。</p><p>自身のペンダントの光も急速に弱まり、また闇になろうとした。　</p><p>&nbsp;</p><p>って、・・・いや、これは？　　振り返れば、いつの間にか大きな壁。　　　ええっ、何これ？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・、　　　　アシュリーは、・・・・？？</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリー？　アシュリー・・・？！」</p><p>&nbsp;</p><p>彼女から俺に返る言葉はない、　　　　　・・・・！！！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>何があったかなんて、・・・そろそろ俺も気付かなければならない・・・、すべては罠だった。</p><p>&nbsp;</p><p>この後、父も姿を消してしまう、・・・俺は同時に二人を見失う・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・ああ、</p><p>&nbsp;</p><p>このタイミングで、俺を恐怖のどん底に突き落として、あの男が登場する。</p>
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<link>https://ameblo.jp/tahamimi/entry-12245183005.html</link>
<pubDate>Mon, 06 Feb 2017 14:24:55 +0900</pubDate>
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<title>Ashley</title>
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<![CDATA[ <p>「それは麻草だな、向こうはケシの花でいっぱいだ。こんなものを育ててどうするつもりか？」</p><p>「・・どなたか？」</p><p>腰の曲がった中年の農夫が振り返った。</p><p>「城の役人だ。」　</p><p>「でしたら、ご存じでしょう？」　「・・・んっ？」</p><p>「花を作るように命じられたのは、あなた方、お国のえらもんですからの。」</p><p>「・・・・！」</p><p>「何の悪いことしておりません、決められた仕事はやっとります。・・・余った土地は、村人で分けてよいとの仰せでした、何を作ってもよい、わしらの勝手にしてよいと・・・、お忘れですか？」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・・・、バカな、そんな指示などあるはずない。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・麦はどうした？　麦を作るのがおまえたちの仕事だ、余った土地でも麻薬栽培って、どうなっている？」</p><p>訝しみながら問えば、農夫は胡散臭い顔を向けて、ヘヘッと笑った。</p><p>「こっちのほうが儲かるのですよ、当然じゃないですか。しかもここで作った物は売らずに自分たちで使ってもよいのです・・・、へへ、　皆喜んで体の疲れを癒しております、ほら、あそこにも・・・、」</p><p>農夫が指した方角に、土手に座った二人の若い男がパイプをふかしていた。・・・その表情を見て愕然とする。</p><p>&nbsp;</p><p>次第に疑惑が決定的となり、憤りに変わる！</p><p>&nbsp;</p><p>「作業は中止だ！　この畑は没収とする、・・・このまま全員、家で待機しろ！」</p><p>「・・・突然何を？！・・・困ります。」</p><p>農夫の言葉を遮って言った。</p><p>「うるさい！　とにかくやめろ！俺は城の上級役人だ、指示に従え！！」</p><p>何か言いたげな農夫を振り切って、今度はパイプをふかす男たちに向かった。</p><p>&nbsp;</p><p>「やめろッ！　吸うなッ、変になるぞ！」</p><p>土手にだらしなく座る男二人から強引にパイプを取り上げる、・・・突然の事に男たちはハッとはしたが、やがて魚が腐ったようなドロンとした目を向けてきた。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・何、なさるんでェ、・・・返してくださいォ・・・、ヘヘ・・、返して・・・、」</p><p>「ほしいンなら言いなよ、やるから、・・・なぁ・・・、アハハ・・、」</p><p>男たちは怒るどころか、ゲラゲラ笑い始めた。</p><p>&nbsp;</p><p>俺はパイプを持ちながらその手を震わせる。自分の持ち物を見知らぬ男に奪い取られたのに、反応がまともではない。</p><p>そのうち二人はゴロンとその場に寝転がって、また二人でクックッ・・と笑い出した。</p><p>&nbsp;</p><p>「何が、そんなにおかしいか・・？」　悲しくなった、・・・もう手遅れだ。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は気を落ち着かせ言った。</p><p>「・・・もう２度と吸ってはならん、おまえたちはまだ若い、国の為に働くべき者だ。」</p><p>男たちは焦点の合わないボケた表情で答えた。</p><p>「・・・、ヤダね、　今までバカのように働いた、・・・ホント、バカだったんよなぁ、俺たち・・、それがやっと自由になったんだ・・・、邪魔すんなよ・・・。」</p><p>「・・・、自由って、麻薬におぼれて何が自由だ！　・・・直ちに麻薬作りは禁止する、畑は封鎖だ、いっさい手を出すな！　・・・いいか、これは国の命令だ！」</p><p>「・・・あんた誰？　何をそんなに偉そうなの？　」</p><p>「ここの領土を管理する受領主だ。」　すなわち貴族を意味する。・・・適当に言ったまでだが。</p><p>男たちは、一瞬、ヘッ・・？っと、真顔になったが、</p><p>「・・・・？　何言ってんの？　わはは・・・、こいつ頭おかしいや、（俺が持っているパイプを指して）　それ使いな、頭すっきりするから・・・・。」</p><p>と、ふざけた顔になってまた、大笑いした。</p><p>「・・・・・・！」</p><p>これに体の芯から煮えたぎるものを感じて爆発寸前となる。パイプを地面に叩きつけて、２本とも足で踏み割った！</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ああ、もったいない・・・、」</p><p>これを見てますます情けない表情になる男らに本当に我慢できなくなった、二人の胸元をそれぞれ左右同時にグッと締め付けた。</p><p>「頭を冷やせ！トルエノの農夫がこんなことでどうするんだ！　いいか、おまえたちがすべきことは麻薬を作る事でも、使う事でもない、麦を作る事だ！　酔ってる場合か、真面目に働け！！」</p><p>言ってもしょうがないのに、感情任せに怒鳴った。</p><p>&nbsp;</p><p>怒鳴られようが、絞められようが二人の男たちは、無気力な顔でヘラヘラ笑うだけ・・・、</p><p>「どうしてこれ吸っちゃダメなの？　今が楽しければ・・・、楽しいと思う事だけして生きていけばいいでしょ、・・・もう働くのはまっぴらごめんよ。」　</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・男たちの笑う顔に冷たいものを感じた、・・一瞬、二人の顔と自分の顔が重なる・・・！</p><p>最悪までに気分を落とす、・・・男たちから手を離した。</p><p>&nbsp;</p><p>黙っていると、男の一人が俺の顔を意味ありげに覗いてきた。</p><p>「・・・どうでもいいけどォ・・、あんたの連れが囲まれているよ、・・・ひょっとして女とか？」</p><p>「・・・・！！」</p><p>&nbsp;</p><p>慌てて振り返れば、馬に乗せたままのアシュリーが１０人ぐらいの村人に取り囲まれていた！　</p><p>おお、アシュリー！！　踵を返し飛ぶように走る！</p><p>&nbsp;</p><p>「えらくキレイな顔をしとるが、・・・どこのモンぞ？」</p><p>「・・・・ええ、と・・・、」</p><p>「・・・馬から降りてこい、その顔よく見せんしゃい、おなごじゃろ？　うちの嫁じゃ・・。」　</p><p>「・・・まあ、・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>剣を抜く！　馬のアシュリーと村人の間に割り込み声を上げた！</p><p>「・・・この者より、離れよ！！」　</p><p>剣を宙で２回振り回し、村人の群れを蹴散らかした！</p><p>&nbsp;</p><p>「お役人様、どうかこのままお立ち退き下さい、・・・女を置いて。」　「は・・？」　</p><p>空気を読まない老婆が出てきた。「うちの嫁にします、息子が気に入ったと・・・。」</p><p>「・・・・・・。」　もう、説明するのが面倒だ。</p><p>「随分無謀な話だが、ちなに息子はどんな男だ？」　</p><p>あえて興味本位で聞けば、出て来た男は見た目４０歳のセス似で、　・・・恥ずかしくなったのは俺の方だった。</p><p>&nbsp;</p><p>「あいにくこの者は男だ、・・・残念だったな。」　つかさず馬に飛び乗って俺は言う。</p><p>そのまま、走り出そうとした。</p><p>「アシュリー、すまない、無駄な寄り道だった・・・、行こう！」　一気にスピードを上げる！</p><p>「・・・ええ。」　</p><p>この村から出ようとしたが・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「それは女ぞ、誰が見てもそうだ！」　そう言って、老婆とその息子が追いかけてきた！　　</p><p>「・・・そうだ、そうだ、女だ・・・！」　後から他の村人も皆一様に頷きながら、男らに続いて走ってくる？　</p><p>後から後から人がどんどん増えて、大人数が全力疾走で追いかけてきた・・・？？</p><p>&nbsp;</p><p>それが、なぜか年寄りも若者も同じスピードで、・・・馬より早い！　今にも追いつかれそうになった。</p><p>「みんな妖しい魔法にかかっているわ・・。」</p><p>「そうだな・・。」　</p><p>&nbsp;</p><p>そのうちに息子が飛び込んできて、馬に乗りかかろうとした！　</p><p>この男に尾を引っ張られ、馬が悲鳴を上げる！</p><p>&nbsp;</p><p>うっとうしい！　後ろのアシュリーに「屈め！」と言って、身をくねせて後ろを向く！</p><p>抜くとすぐさま光った剣で、馬の尻を掴んだ息子の顔を突き刺そうとした！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ジクト！　俺にしがみ付くアシュリーの腕に力が入る！　それに体がピクついて剣先が顔面寸前で止まる・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>息子は後方へ倒れ落ちた。</p><p>そして地面に転がりながら、「嫁ェ～！」　と言った、　　　　・・・哀れ、・・男には共通するせつない想いがある。</p><p>&nbsp;</p><p>他の者たちも俺の光る剣を見て立ち止まった。</p><p>俺も馬を止め向きを変えた。・・・村人らと対峙する。</p><p>「・・・くそッ・・・！」　訳の分からない執念である。</p><p>&nbsp;</p><p>息子は俺を睨みながら立ち上がった。</p><p>「・・・女は、俺の、・・嫁だ・・。」　寒気がした。</p><p>&nbsp;</p><p>「城に着けば、おまえたちの事は報告する、次の指示がくるまで何もせずに待て、私からは以上だ。」</p><p>村人に向かって俺は言う。官僚の冷静さを装った。</p><p>&nbsp;</p><p>「わしらの畑はわしらのモンだ、今さら役人の勝手にはさせん、・・・取り上げようもんなら、こっちにも考えがある・・・、」</p><p>村の長老っぽい男が前に出た。</p><p>「ここは、わしらの楽園じゃからの・・・、みんなで力ずくで守るんじゃ。」</p><p>この男の掛け声に、集まる村人全員がドロンとした妖しい顔つきになって、じわじわと寄ってきた。</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえたちに俺は斃せん、この剣には刃向かえまい。」</p><p>容赦なく光る剣で威嚇する。・・・来れば斬る気でいた。</p><p>&nbsp;</p><p>一人男が俺に襲いかかろうとしたが、急にその動きが止まって、勝手にもがいて倒れた。</p><p>剣の光に反応するってことは、こいつ悪魔か、と思ったが・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>この男だけじゃなく、大衆の中にも何もしないのに喘ぎ、もがく者が出始めて・・・、ああ、光のせいではなかった・・・、それを求めて苦しんでいるんだ。</p><p>瞬く間に、全員が同じようになった。</p><p>これを見て、冷や汗が出て呆然とする。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・・、おまえらぁ、全員ジャンキーか・・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>村ごと、・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>呻き声を上げ、しゃがみ込み、寝っ転がり・・・、誰一人動けなくなる。</p><p>ほぼ全員が人の色を失くした、・・・悪魔の真っ黒い姿と変わっていった・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・まただ・・・、　　　　もう、いたたまれない気持ちでいっぱいになった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>数年前、農耕視察で見たこの村の光景は、村人みんなで陽気な日差しの中、汗を拭きつつ懸命に働く姿だった。</p><p>&nbsp;</p><p>『今年も豊作だ。』　共に来たパライというトルエノ官僚と麦について話をする。</p><p>『我が国の麦はヴァルム一です、酒作りも順調、他国への売り上げも年々伸びています。いずれブランド酒として定着するでしょう。』　</p><p>『うむ、それはいい事だ。ならばもっと畑を広げてはどうか？　麦は沢山あったほうがいいだろう。』</p><p>酒の関わる仕事に積極的な俺。</p><p>『麦にあった風土探しから大変です。土地を開拓し畑にするだけでもかなりの労動力を必要とします。今のところは現状を守ることに力を入れるべきです。農夫不足の問題は今日明日では解決しませんよ。』</p><p>『人が足らないのなら、他国の戦争難民がいるだろう、・・・引き入れてやらせたよい。』　</p><p>『わが国の農業をあなどってはいけません・・、その農耕技術は古来よりの風習を忠実に受け継いだ特殊なもの、異族民がそう簡単に真似できません。』　『そうか…、』</p><p>麦酒造りの責任者、パライにとって、ただの酒好きの１０歳年下の上官の考えは単純で浅かったか。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・いや、何も分かってはいない若干２０の俺ではあったが、この村の麦作りを見ているうちに、この農民の姿が国を作っているという実感が湧いてきた。</p><p>&nbsp;</p><p>麦は酒だけじゃなく、パンや小麦粉など主食として我が国を支える大事な穀物なんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>健全な農民の労働が土台にあるからこそ、国は豊かでいられるんだ。</p><p>その農民が麦を作らなくなったらどうなる・・・？　</p><p>トルエノから農夫がいなくなったら・・・？</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・！　元々トルエノの民は善良であった・・、トルエノに忠義を尽くし真面目に働く性を持つ民なんだ、　・・・それを・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>この国の民を、・・・トルエノをどうする気だ！　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　ディーゴ・・・！！　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーはずっと黙っている。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は馬から降りて、悪魔化した民の前に出る。</p><p>&nbsp;</p><p>どす黒い雲が渦巻くように空全体に立ち込める。</p><p>一瞬にして、辺りは灰色の景色と変わった。</p><p>&nbsp;</p><p>どこからか、あのパイプが出て来た、・・・籠の中に山と積まれていた。</p><p>&nbsp;</p><p>一人一人がむさぼるようにそれを取って火をつける。</p><p>&nbsp;</p><p>一口吸う、・・・煙が立ち込める・・・、更に吸って・・・、次第に生気が戻る・・・・、</p><p>それを茫然と見つめるが・・・、ゾッとするだけでは収まらない。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・蘇った悪魔が、俺を睨んで、・・襲い掛かかってきた！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>俺はこの者たちの憎悪を断ち切るべく剣を握る。　　・・・ペンダントから剣に、光が繋がる・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>これに悪魔らの動きが止まった。</p><p>&nbsp;</p><p>俺はこの光剣を悪魔に向けず、柄と光剣の先を握って、頭上高々、水平に置いた。</p><p>剣刃からいっそう眩く激しい光を出た、・・・天に向かって流れていく・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>この光は空の雲をかき混ぜた・・・、雲が筋のように薄くなって、次第に消えていく、　　・・・煌々と空に光が出た！</p><p>&nbsp;</p><p>光に照らされた悪魔らは、また、もがき苦しんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・そして、背の首下から不気味な黒い影が浮かび出した。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・何を見ても俺は動じない、水平の剣を天にかざしたまま、光を放つだけの人だった。</p><p>不思議な感覚に包まれていた。・・・自分であって、自分でないような・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>黒い影は村人一人一人の体から完全に分離した・・・、抜かれた者から気を失いバタバタと倒れ始めた。</p><p>&nbsp;</p><p>そして数十個の小さな悪魔の黒い本体だけが、そこに漂い残る・・・。</p><p>それぞれが光に操られるがごとくぶつかったり離れたりと、宙を右往左往していたのが、やがて一つにまとまって、大きな邪気の球塊となった。</p><p>&nbsp;</p><p>俺はこれを見据える。</p><p>よもや斬るのは、これのみ！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・静かな気だけが、あった。　　　</p><p>&nbsp;</p><p>何も遮るものがなくなって千差万別、透明となる、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・浮遊する黒い力・・・・、　　その真実だけを見た・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　剣がそれに向かって光線を描く。　　　・・・・光が、斬る！　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>それは黒い小さな破片が光の粒子となって、はじけ飛んだ。</p><p>&nbsp;</p><p>その光は拡散する・・・、どんどん広がって、何も見えないくらい眩しくなる。</p><p>&nbsp;</p><p>瞬きどころか、息さえしなかった。・・・意識も、存在もなかった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　一瞬世界が、真っ白な光の無に包まれる・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・ハッとして、その景色を見た。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>青い稲穂の絨毯が、眼の前にどこまでも広がった。</p><p>&nbsp;</p><p>風が吹けば、稲穂に乗った光がキラキラと揺れる。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>少し離れたところに、作業をする４，５人の農民の姿を見る。</p><p>馬に乗る俺は、その足で傍に寄る。</p><p>「今日も日差しが強いな・・・。」　上から声をかけた。</p><p>&nbsp;</p><p>「これは、お役人様・・、」　一人の農夫が俺に気付く。「今年も豊作です、神様のお恵みです。」　</p><p>そう言って深々と頭を下げた。</p><p>他の者も一礼し、穏やかな顔を向ける。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・ああ、これが真実だ。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・こみ上げてきたものが、頬をつたう。</p><p>純粋に嬉しくて・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーが、俺の背に寄りかかる。　</p><p>&nbsp;</p><p>ぬれた顔を袖でぬぐった。</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえ、また力使ったな・・？」　確信持って、アシュリーに問う。</p><p>「違うわ。」　即答で返ってきた。</p><p>&nbsp;</p><p>「これは、あなたの力よ、・・・あなたの想いが、光を出したわ。」</p><p>「何の想いだ？」</p><p>「・・・トルエノが大好きなのね。」</p><p>「・・・・・。」</p><p>&nbsp;</p><p>否定はしなかった。・・・トルエノなどどうでもいいと思っていたはずなのに・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「ペンダントは、戦う時だけ力を貸してくれると思っていたが・・・、」</p><p>「・・・母はそのペンダントで、自然の精霊たちと会話をして国を守ってきたわ、・・・本来は戦うためじゃない、守るためだけに使われた石よ。」</p><p>「・・・そうなのか？」</p><p>「あなたの国を想う正しい心と共鳴したわ、とても美しい光だったわ・・・。」</p><p>「・・・自分でもよく分からないんだが・・・、何があった？」</p><p>「あなたは誰一人消すことなく、剣の光で人々の心に宿った悪魔を浄化させたわ、・・・そして、時間さえも動かした・・・。」</p><p>「・・・なんだって？　俺にそんなことができたのか・・・？」</p><p>「ええ、この場所は魔法で時間が進められていたの、植物が早く育っていたわ。それをあなたは正しい時間に戻した。」</p><p>「・・・うわっ、マジで？」　</p><p>興奮してきた、にわかには信じられないが・・・。</p><p>だから、もう一回聞く。</p><p>「おまえ、本当に力使ってないんだな？」　</p><p>「・・・しつこいんだけど。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・それじゃ、これはまるでアシュリーだ。・・・俺が悪魔を鳥に戻したアシュリーみたいなことをしたっていう・・・、そういう事だろ？</p><p>&nbsp;</p><p>いや、それは・・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>俺にそんなことできるんだったら、本当にアシュリーに魔法をつかわせることなく、目的が果たせるだろう。</p><p>&nbsp;</p><p>俺の力（本当はペンダント）だけで、悪魔を殺れる！</p><p>&nbsp;</p><p>いやまったく、・・・・物凄い自信となる！</p><p>&nbsp;</p><p>もう一度、麦畑を見渡した、・・・・もう、この景色を汚されたくないと思った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・そうだ、俺が守るんだ！</p><p>&nbsp;</p><p>この地を後にしながら、更に決意は固まった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>馬が風にのった、・・・ズンズンスピードを上げて、かけていく・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>このトルエノの地を・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>もう気分は絶好調だ！　誰にも負ける気がしなかった！</p><p>&nbsp;</p><p>「アシュリー見ろ！　あれがトルエノ城だ。」</p><p>山の下りの中腹地点で、向かいの山の森林から抜き出て立つ目的の城が見えた。</p><p>その姿は堂々とした存在感に満ちていて、素直に立派だと思えた。</p><p>&nbsp;</p><p>ああ、遂に来た。　　　</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーを、・・・・ヴァルディーの王女を連れて、俺は戻ったんだ。</p><p>&nbsp;</p><p>城壁の上から旗が翻る。それは青地に赤と白の星３つ、それを緑の２つの三角ラインが囲むようにクロスする・・・！</p><p>・・・トルエノの国旗だ！！　</p><p>&nbsp;</p><p>ディーゴが旗を変えていたらどうしょうかと思ったが、・・・よかった、俺の帰る場所は守られている。　　　</p><p>・・・ああ、父上！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「ジクト、大きな川が見えるわ。」</p><p>「マッティオ川だ、あの川を隔てて向こう側がトルエノの街だ、今から行く！」</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>　　　＜１の４＞</p><p>&nbsp;</p><p>そのまま一気に城まで突っ走る気でいたが、また邪魔がはいった。</p><p>&nbsp;</p><p>その川にかかる石の大橋の真ん中を過ぎたところで、それは現れる。</p><p>・</p><p>「おい、待ちな・・、」</p><p>橋の向こう側から、７人ぐらいの男の馬上集団が立ちはだかる。　</p><p>「何だ？」　俺も馬を止めるが。・・・すると、こいつらは、　</p><p>「何か金目の物があったら置いていきな、でないとここは通せねェな。」　と言う、・・・行く手を阻まれた。</p><p>&nbsp;</p><p>７人の内５人が足の短い馬に乗り、全員が派手な色の衣装を着て成金商人のような恰好をしている。　推定年齢３５～５０までの・・・、　どう見ても、ただの盗賊だった。　</p><p>&nbsp;</p><p>「センスよくないわ・・、」　後ろから天然女の声。「しっ、黙ってろ！」</p><p>&nbsp;</p><p>この恐喝に、俺は怖じなかった。</p><p>「城に早急の用がある。道を開けろ。でないと、どうにかなるのはおまえたちの方だ。」</p><p>これに男たちは眉をひそめる。</p><p>「・・・、随分お高い物言いだな、・・貴族か？　城の連中は皆、戦争に出されたってんのに、置いてけぼりのマヌケおぼっちゃまかな？　ははは・・・、（後ろの仲間に向かって）　どうする？貴族だってさ、こいつさらっちゃう？」</p><p>「・・・いや、今は貴族つったって何の価値もねェーよ、誘拐したって金にはならん。」</p><p>&nbsp;</p><p>何やらみんなで集まって相談した後、おもむろにこっちに向き直って、「何か持っているだろうが、出せや！！」　と凄んできた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・なんか、全然怖くないし。（戦争云々・・、なに？気になるけど、まぁ、後だ。）</p><p>今の俺はキャラが図太いんだ、・・・気をつけろよ。</p><p>&nbsp;</p><p>「同じことは何度も言わない。でも頭悪そうだからもう一回だけ言ってやる、・・道を開けろ。」</p><p>「・・・・、こいつゥ・・、なめやがって・・・、」</p><p>センターの、いかにもステレオタイプの盗賊って感じの男が、腰の物に手をかけながら、眼をひんむいて俺を見た。</p><p>ふと、斜め後ろの別の賊が、この男にそっと耳うちする。</p><p>&nbsp;</p><p>これにセンターの賊が表情を一変させた。</p><p>「まぁいいだろう、じゃ・・、後ろに乗ってる女を前に出せ！」　ゲスい顔をニヤッとさせて言った。</p><p>これに怯む俺。「何を言っている？男だ、勘違いするな。」</p><p>&nbsp;</p><p>男の恰好をしているのに、みんな女、女とどうかしている。・・・俺はすぐ女だとはわからなかったのに。</p><p>&nbsp;</p><p>「おかしいのは、ジクトの方かも。」　</p><p>「頼むから、黙っていてくれ！」</p><p>&nbsp;</p><p>「男か女かは、俺たちで調べるさ、さ、命が惜しかったら、俺たちの言う通りにしな、貴族のおぼっちゃまサンよ。」</p><p>少しヤバいコトことになる。　やはり、こいつらをどうにかしないと、先に進めないようだ・・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・めんどくさいけど、・・しょうがないか？」　腰の剣に手を置いた。</p><p>「ジクト、やめよう、・・・この人たちはただの人よ、うまくごまかせるわ・・・、」</p><p>アシュリーは、やはり俺を止めようとするが・・・。</p><p>「いや、こいつらはただの人間でも、元から根性を腐らせたどうしょうもない部類のクズだ、・・・なに、剣を光らせなくても戦える、すぐ片付けてやるさ。」</p><p>「いいえ、それなら魔法を使って逃げましょう！」</p><p>「それはダメだ！」</p><p>&nbsp;</p><p>「何、ごちゃごちゃ言っていやがる！」</p><p>小声で話していたつもりだったが、会話が少し漏れていた。</p><p>「やっぱり女じゃねェか・・？」　「痴話げんかでっせ。」　イラついた賊らが勝手なことを言い始める。</p><p>&nbsp;</p><p>「女ならどーした？」</p><p>もう、開き直る。別にバレたって守る自信はある。</p><p>賊はドヤ顔をして答えた。</p><p>「女は金になる。貧乏貴族よりずっとな、・・女はおまえの、・・か？　ふふ、でもあきらめるよなぁ、おめェだけはここを通してやるよ、無傷でな。」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・・ゲス以下のこいつらに本当に吐き気がした。・・・もう完全に俺を怒らせる。</p><p>&nbsp;</p><p>遂に剣を抜く。</p><p>「男でも女でも、どっちでもいいだろう、・・・おまえたちはこの者に指一本触れることは出来ない、なぜなら・・、俺がいるから。　・・・相手になるよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>「なに、カッコつけやがって！　ヤロウども、このへなちょこ貴族を殺ってしまえ！　女を奪うんだ！！」</p><p>賊は鼻息を荒くしてありがちなセリフを吐いた、・・・このまま、乱闘になりそうだが・・・、</p><p>・・・と、突如、「待った！」と、この動きを止める者がいた。　</p><p>&nbsp;</p><p>「隊長、チョイお待ちを、さっきから気になってたんですが・・・、」　</p><p>一番後ろでつっ立っていた目立たない賊が手を上げて前にくる。センターの馬上の賊に一枚の紙きれを見せてきた。</p><p>「・・・似てます。」　隊長と呼ばれた賊も俺と紙切れを互いに見比べて、・・・最後は確信したように頷いた。</p><p>&nbsp;</p><p>他の仲間も覗いてきた。・・・全員で頷いた、「間違いない！！」</p><p>「・・・何が？」</p><p>俺とアシュリーはキョトンとする。</p><p>&nbsp;</p><p>「おめェーは悪党だな？」　「・・・？？」</p><p>悪党に悪党呼ばわりされる。</p><p>&nbsp;</p><p>「名が、・・エッ・・と、ジク、ウンコ・・・、ゼア・・、 ホッホフ・ヌ・・、？　・・・とにかくお尋ね者だ、その身に１０００ルフィーの懸賞金がかかっている、（パッと紙切れの似顔絵を俺に向けて、）　こりゃ、おめェーだ、そうだろ？　間違いないだろう・・・？」</p><p>&nbsp;</p><p>俺も剣を収め、近づき顔を寄せた。・・・もう、紙切れを奪い取って、描かれた人物の絵を食い入るように見た。</p><p>&nbsp;</p><p>それは貴族身なりの中年男の顔で・・・、　その下にこう書かれている。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>《上の者、大罪を犯した大悪党なり。よって指名手配（ウォンデット）　とする。</p><p>名はジクムント＝ゼファ＝ホフヌング</p><p>&nbsp;</p><p>城に生きたまま連行せよ、　任を果たした功労者に礼金１０００ルフィーを授ける。</p><p>&nbsp;</p><p>もし、その者が軍人でない場合、協力した者も全員、トルエノ軍入隊資格を与える。　　　　　トルエノ国王　》</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「似てないわ・・・、」　後ろからアシュリーが覗いて言う。</p><p>「実際のジクトより顔が長いわ、　髭なんかあるし、・・変だわ。」　</p><p>「男の似顔絵には全員髭がつくんだよ、・・っておまえ、ホントもう黙って・・、」　</p><p>ただの野次馬女を注意する。　　　　「・・・ごめんなさい。」　しょんぼりした。</p><p>&nbsp;</p><p>でも確かにこれはヒドイ。</p><p>似顔絵のクオリティーの低さとショボい懸賞金額にゲンナリだ。</p><p>そして極め付けが、こいつの俺の名を言い間違えたところ。（・・ていうか、かみやがった！）　</p><p>いやいや、そんなことより、どうして国の為に働いている俺がウォンデット、なんだ？</p><p>&nbsp;</p><p>賊たちはどっからか出してきたロープをビンビンにシゴいて、やる気を見せた。</p><p>「ヤロウども、この男は生け捕りに変更だ、殺しちゃならん！それで城へ連れていくぜェ、・・・男が金になるんだよ、しかも・・・！」</p><p>「おおやっと、トルエノ軍人への道が、開けた、・・・俺たちにやっと・・・！」</p><p>「隊長、やっと俺らぁ報われるんですねェ・・・！」</p><p>突然賊同士で寄り合い肩組んで、感涙にむせる。</p><p>&nbsp;</p><p>「はは・・、おまえたち軍人になりたいのか？」　と、俺。</p><p>「おめェら貴族に何がわかる？　苦節３０年、血と涙の剣一筋の人生を！　一般平民がゆえに貴族軍人らは、なかなか認めてくれねェ、延々軍人登用試験に落ち続け、気が付けばもうこんな歳に・・・、おお、それでも俺らは剣士だ、その誇りを失わず、今日まで生きてきた！」</p><p>「おう、そうよ。今が俺らの活躍の時だ、わりィーがおめェーをここから通すことはもうできねェ、お縄にかかってもらうぜ！」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・それがおじさん盗賊団の正体か・・・、痛い集団だった。</p><p>いい大人が剣ごっこにうつつを抜かし、仕事もしない、金に困れば窃盗して暮らしている・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>俺をお縄にしても、おまえたちに軍人の道は開かない、・・・クズはクズのまま、夢を見ていろ、下手に叶えば悪夢になるぜ！</p><p>&nbsp;</p><p>俺はゆっくり馬を下がらせ、こいつらから距離を取る。</p><p>そして平然と言った。</p><p>「城には自分の足で行くつもりだから、お構いなく。・・・ああ、それと、この（似顔絵を指して）　『ジクウンコ』さん　は俺じゃないから、・・もしこれが俺だったとしたら大変だ、この屈辱はただじゃ済まさないよ。俺の名はおまえらごときに間違えられるほど安くないからねェ。」　</p><p>俺はウォンデットの紙きれをビリビリに破いて川に捨てる。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・！　なめた口を・・！てめェ、なにモンだ？！」</p><p>「トルエノ第二軍部隊所属、少佐で副指揮官を務める者、おまえらの言う貴族軍人だ。」</p><p>「・・・名を言え！　やっぱり２，・・いや３流貴族・・、ふふ、おめェは軍人でも戦争に行かせてもらえない、へなちょこヤローだ。」</p><p>「戦争に行ってなくても、国の重大任務を担う者だ、・・・名は教えない、おまえたちには関係ない。最後にもう一度言う、そこを通せ。」</p><p>&nbsp;</p><p>誰一人、一歩も譲らなかった。賊全員が獲物を狙う野獣のような目で睨んできた。</p><p>&nbsp;</p><p>「お尋ね者のへなちょこ軍人さんよ、・・・その減らず口、二度ときけねェモンにしてやる・・・！」</p><p>&nbsp;</p><p>・・・避けられそうにない。</p><p>俺はアシュリーを守る体勢をとって更に後退する。・・・もちろん逆走して逃げるつもりもない。</p><p>逆に、「どっからでも、どうぞ。」　と挑発した、剣は抜かなかった。</p><p>・・・しかし、こいつらは・・、</p><p>&nbsp;</p><p>「ヤローッ、覚悟しやがれ！」</p><p>一気に賊７人全員が剣を振りかざし、もの凄い殺気で馬を飛ばし襲い掛かってきた！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・なんで、俺を刺す気かよ？　と思ったが、その気迫につっこむ間なし。</p><p>&nbsp;</p><p>俺は手綱を手荒くグッと引く、・・・！　さすれば、その刺激で馬が 、ヒヒィ～ンッ！と、高く嘶き、前肢を大きく上げ上体を起こす姿勢になった！</p><p>「アシュリー！　しっかりと俺に・・・！　絶対に離れるな！！」　「うん！」</p><p>&nbsp;</p><p>その動きで群がった賊らの馬の足並みを乱した、・・・よしっ！</p><p>&nbsp;</p><p>その後、俺の馬が上げた前肢を着地させようと、その長い首を下げて、・・その時、目前に迫る２人の敵！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>一人目は顔面髭ズラ、色黒の大男だ。おとぎ話の大魔神はこんな感じだろう。それが荒れ狂う野獣の形相で俺に襲いかかる！</p><p>&nbsp;</p><p>デカい図体をくねらせオーバーなパフォーマンスで剣を振りかざすが・・・、動きは遅く、完全に脇が開いて大事な胴体が丸見えだった。　</p><p>こいつの動きを捉える、咄嗟にこの賊の剣持つ方の腕を押さえ込み、自分の足を上げ・・・、足底でこいつの急所を狙い、・・・力いっぱい押し出す！！</p><p>&nbsp;</p><p>俺の足蹴りをまともに食らったこの賊は、剣を持ったまま馬ごと後ろへ崩れた。・・真後ろにいた別の賊は、この剣に刺されそうになり、慌てて馬ごと避けたはいいが、その後バランスを崩し落馬。</p><p>これにまた二人の賊が巻き込まれる。馬３体が激しくぶつかり合い、欄干まで押され、倒れ、落馬。</p><p>&nbsp;</p><p>この馬集団の中に、あの隊長もいた。こいつだけ川に落ちた。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・少し時間を戻して・・・、色黒に時間差で迫ってきた二人目の賊は、色白の軽薄そうな男で、城だったら要領はよくても人脈がない為、出世できないタイプだ、こいつの剣が俺の首のあたりを狙ってきた！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・この時、俺は色黒に蹴りを入れる寸前で、馬綱とこの男の腕を押さえ両手が塞がっていた為、この賊の剣は防ぎきれなかったかもしれないが、俺の馬が前肢を着地させた時、物凄い勢いで下がった首をグッと上げてきて・・・、　</p><p>その馬の頭と色白の顔面が激突する！　</p><p>俺は綱操作でなんとかバランスをとるが、　　色白の賊も落馬。・・・惜しかったけど。</p><p>&nbsp;</p><p>この後、空馬が勝手に興奮し始め、暴走する・・・！突如２，３頭が橋から走り出した。</p><p>更に不幸は続く、これに徒歩で追いかけて来た男が蹴られ、踏まれた。</p><p>&nbsp;</p><p>最後に、出遅れたバカっぽい若い賊が、馬に乗ったままこの惨状にぼんやりする・・。</p><p>空馬が走り去るのを見て、ハッとした。</p><p>「・・おい、大変だぁ・・！馬が逃げてます、オレ追いかけやすッ！！」　</p><p>スイッチが入ったように意気込んで空馬の後を追った。　暫く戻って来なかった（らしい）。</p><p>俺より馬優先・・・、おいおい、である。</p><p>&nbsp;</p><p>戦えるヤツがいなくなった。わずか３分でお粗末な馬上合戦が終了。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・あっ！」　俺は声を上げる。</p><p>欄干や束柱の石ブロックが割れて外れかかっている・・・！　賊がぶつかった時の衝撃で、橋が損傷していた。</p><p>&nbsp;</p><p>隊長が川から顔を出し、橋の下から怒鳴っていた。</p><p>「誰だぁーッ！　俺にぶつかってきたヤツは？！　出てこーいッ！！」</p><p>&nbsp;</p><p>橋の上の者は、打った頭を抱え込んだり、気を失っているヤツもいて、誰も返事しない。</p><p>代わりに俺が返事してやる。</p><p>「何がしたかったんだ？　なんか殺されそうだったけど、・・確か俺を捕獲するんだったよな、でも（両手を広げて）　この通りだから。・・・悪いが眼の前の敵に血の気を沸騰させ、すぐ目的を忘れてしまうおバカな連中は、うちの軍じゃ使えないから諦めてくれ。自覚しろ、おまえらは剣士じゃない、マヌケな盗賊だ。」</p><p>「・・・・くッ、そうッー！　てめェー、待ちやがれ、俺が捕まえてやるッ！！」</p><p>泳ぎ始めたが、下流のマッティオ川の幅は広い・・・、岸に着くまでに３０分はかかるだろう。</p><p>&nbsp;</p><p>「今度は俺がおまえたちをウォンデットだ！　まず公共の器物破損の罪で捕まえてやる。　橋の修理代払ってもらうからな。・・・２か月前の嵐で修理したばかりだったのに・・・！」</p><p>これを捨て台詞とし、俺も去る。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・軍人の中に商人も、農民だっている、・・・その力があればなれるんだよ、バカめ・・・、」</p><p>誰に話かけているわけでもなく、独り言のように言った。　　　・・・虚しかった。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>橋を渡り切ったところだった、・・・親柱の方からガサッと人が動く音がして、何かが出て来た・・・・？！　</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>不意のことに、馬を止める、・・・それが、いけない！　と思った時は遅く・・・、後ろで鈍い音がして・・、それは起きてしまった！</p><p>&nbsp;</p><p>悲痛に馬が嘶いて、いきなり後ろから崩れる、その後、横倒しになった！　</p><p>俺とアリュリーは地面に叩かれた！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・馬の両後肢から、血が流れ・・・、</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・！！　　肢を斬られた！　　まだ賊が残っていたんだ！　　</p><p>&nbsp;</p><p>俺は腰と右背部を強打する・・・、痛みをかばいながら立ち上がろうとして、ふと、細い足が馬の胴体に挟まれているのを見る！</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・おお、アシュリー？！」</p><p>痛みを忘れ大慌てで、横倒し馬の腹をウンショッ・・と抱え、力を振り絞り浮かせる！　アシュリーの細い足を夢中で引き出した。</p><p>「大丈夫か？！」　「・・おお、悪ィな、サンキュー！」</p><p>アシュリーが男の声でお礼を言った？？　　・・・・！！</p><p>&nbsp;</p><p>なんて、視野の狭い俺、　男と女の足の違いも分からない？　　　・・・一番マヌケだった・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・やっと事を理解し、振り返った時は、アシュリーがこの賊に引っ張られた後だった。　　・・・・・！　　　</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ジクト！」　「アシュリー！！」<br>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>俺がアシュリーの足と見間違えた足は、このひょろっと痩せた小さな男の賊の足で、・・・こいつは隊長に俺のウォンデットを見せたヤツだ！。</p><p>「馬を斬りつけた後、女を奪おうとして足を挟まれちまった、・・・おかげで助かったよ。」</p><p>&nbsp;</p><p>賊は、したり顔を見せる。</p><p>足の痛みを感じさせない機敏な動きでアシュリーを抱え、俺から離れた。。</p><p>目立たない地味な顔をニヤニヤさせながら、腰からロープを出してアシュリーの手足に巻き始める。</p><p>「一人、群れから離れて機会をうかがっていたのさ、・・・いや、この時を待っていました！」</p><p>賊７人で俺を襲ってきたんじゃなかった、６人の間違いだ。・・・描写がザックリだった。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・、このヤローッ・・・！」　賊の男をきつく睨む。</p><p>俺が全く動けないのは、・・・ずっと賊が馬を斬りつけた、その血のついた剣をアシュリーにつきつけていたから。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーは無抵抗だ、魔法を使わなければ、ただの、か弱い娘にしか過ぎない・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・アシュリー、こんな時は使ってもいいんだ、魔法を・・・、ああ、イヤ待て、やっぱり使うな！　使わなくていい、・・俺が、俺が絶対助ける・・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ジクト・・、」　俺の心の混乱をアシュリーは見たか？</p><p>&nbsp;</p><p>賊はロープにキュと括り目をつけて言った。「フフフ、女は貰っていくぜ、じゃあな！」　</p><p>「・・待て！　俺を城に突き出すじゃなかったのか？　女より金になる！」</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえなんか、どうでもいい、・・・俺は女を取る。俺より強いあんたを城へ引こずるのは無理だよ、俺は自分の能力に合わせたことしかやらないんだ、確実な方を選ぶんだ、・・・あっと、そこから動いたら女刺すよ、一番大事なのは自分だもんね、・・それじゃあ、な。」</p><p>ほんの少し頭を使うヤツだった、　少なくともこの中では・・・。</p><p>「おい、待て！　どこへ連れて行く気だ・・？！」</p><p>「なんで、そんなこと言わなくちゃいけないの？　俺の勝手さ、（後ろを振り返って、）トルエノにも、あの人たちにも愛想つきたから、俺は一人トルエノを出るんだ、・・・別に軍人に憧れたこともないし、・・・さ、お話はここまで、じゃあな。」</p><p>俺から視線を外さないようズリズリと後ろ下がりながら、残った馬の中で走れそうなのを探して、アシュリーを荷物のように乗せた。</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえは、逃げられない・・・。」　低い声で言った。</p><p>「なんで？すべて計画通りさ、・・ウォンデットを見せたら、軍の一員になった気になるんだ、バカでしょ、張り切って自滅するいつものパターンさ、・・・おっと喋り過ぎ、　　マジ・・・、じゃあな。」</p><p>この賊も馬に乗る。・・・本当にそのまま走り去った。</p><p>&nbsp;</p><p>・・・馬で逃げられたら人間の足では追いつかない、それで終わる、普通だったら・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>川を見下ろすと、隊長が必死で泳いでいる・・・、おーい、裏切り者がいますよ！って教えてあげてもよかったが・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>その賊は勝ち誇った顔で、意気揚々と馬を走らせていた、・・・その先に立つ俺の姿を見るまでは・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>俺が持つ光る剣を見て、度肝を抜かれた表情になって馬を急停止させる。「・・・あんた、魔法使いなの？」</p><p>&nbsp;</p><p>これはとんでもないモノに出くわしたと、後悔したか？　・・・全身でワナワナ震え出した。</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえごときにこんな事したくなかったが、・・・俺の一番大事なものを奪おうとしたから、俺もおまえの一番大事なものをもらう。」</p><p>もう賊の背後に俺はいて、耳元で囁くように言う。・・・クソヤローを馬から引きずり下ろした。</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえの大事なものはなんだった？」　「・・・・！！」</p><p>俺は笑う。光の剣を賊の首にあてた。</p><p>&nbsp;</p><p>「・・たっ、助けて、くれ・・！」</p><p>「・・・駄目だ。」</p><p>やはり、自分じゃないような感覚になった。</p><p>「俺は魔法使いではない、だがおまえは見なくていいものを見ることになった。すべては自分の不運だったと諦めろ・・・、じゃあな！」</p><p>&nbsp;</p><p>・・剣を握り返し、力を入れる・・・！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・・ダメ！　やめて！　ジクト！！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・・アシュリー、邪魔するな！</p><p>&nbsp;</p><p>・・いいえ、あなたは・・・、人を殺して後悔するのはあなたよ、・・・だから、やめて！</p><p>&nbsp;</p><p>・・・！　なんて、アシュリー？！</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>俺の剣は動かなかった、その意志が消えていく・・・。　　賊は恐怖で気を失った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>隊長が岸から上がってきた。・・・俺は、眠った賊を担いで運び、この男の前に置く。</p><p>「おめェ、・・・待ちやがれッ・・・！」　気付いた隊長が、ビショビショの体にゼ―ゼ―息を切らし言った。</p><p>&nbsp;</p><p>「俺を捕まえる前に、・・こいつを締めた方がいいだろう、最後のよりどころの盗賊団を守りたきゃな。」</p><p>&nbsp;</p><p>唖然とする隊長を残し、今度こそ本当にこの場を去った。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>馬の斬られた足をアシュリーが癒していた、それを慌てて止めたが、手遅れで馬が元気になった。・・・油断するとこれだ。</p><p>&nbsp;</p><p>アシュリーも傷も大したことなく、安心する。・・・また出発だ。</p><p>&nbsp;</p><p>　　＜１の５＞</p><p>&nbsp;</p><p>少し行くと、トルエノの下級から中級貴族の館が並ぶ、どの家もひっそりと静まりかえっていた。</p><p>さっきまでの俺のテイションもすっかり下がっている。</p><p>&nbsp;</p><p>まだ、日は西の空高くにあった、薄い雲の間を出たり入ったり、中途半端な天気だった。</p><p>&nbsp;</p><p>トルエノの街に入る手前の林の中で、少し休む事に。</p><p>ここから見えるマッティオ川は、美しいんだ。心の休養にもなるさ。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・ごめんなさい・・。」</p><p>・・また、だ。　　アシュリーはよく謝る女だ。「・・・何をした？」</p><p>&nbsp;</p><p>「あなたの気を挫いたわ、強気で私を助けようしてくれているのに・・・。」</p><p>さっきの賊の話か？</p><p>「別に、確かに殺す必要はなかった。生きていてもどうしようもない奴だが、・・・止めてくれてよかったよ。」</p><p>「・・・・、あなたに人を殺させたくないの・・・。」</p><p>「・・・どうして？　俺は軍人だ。人殺しが商売なんだ。」　悪魔を殺らなければならないのに、気が滅入ってくる。</p><p>「あなたの神は戦うことを好まない、優しい神よ。」</p><p>「ケイトや、兄上とは違うと言いたいのか？」</p><p>「・・・お兄様は、あなたを見て、とても哀しそうで・・、とても悔やんでいらっしゃった。」</p><p>「そう言えば、あの時、兄の幽霊を見たとか言っていたな、おまえ。」</p><p>「お兄様はとても若く命を落とされたわ、とても才能を持っていらっしゃた方なのに・・・、戦って死んでしまったことを後悔しているのよ。」</p><p>「兄上が・・？　戦死を悔やんでいるって？　名誉の死だ、そんなはずない。」</p><p>「お兄様は自分が死ぬなんて思っていらしゃらなかったの、・・・思い高ぶっていたと、自身の力を過信し過ぎていたと、反省しているのよ。」</p><p>「・・・・・。」</p><p>「お兄様は、あなたに自分とは違う道を生きてほしい願っているわ、あなたが本当に望む事をしてほしいと・・・、それは戦いの道ではない、と。」</p><p>「俺は、戦う事を望んだ、そして思うように戦える今の自分で満足しているが・・・。」</p><p>「・・・ジクト、それは・・・、」</p><p>&nbsp;</p><p>「・・・なんだ？　本当は俺の力じゃない、全部ペンダントの力だと？」</p><p>「・・・・・！」　アシュリーがハッとした。</p><p>&nbsp;</p><p>俺はさほど表情を変えなかった。少し間を置いてまた話す。</p><p>「わかっているさ、・・・少し話が逸れるが、セスが俺に聞かせた昔話の中で、唄を歌っただけでおまえを助けることができたと・・、助けたい、守りたいと想い歌えば、おくるみが光っておまえは自然に守られたと聞いたんだ。よくわからないが、俺にもこれと同じことが起きているんじゃないかと思ってる。・・・この際なんだっていいんだよ、俺は強くなったんだ。」</p><p>&nbsp;</p><p>　　　・・・“　導く者”　が持つ奇跡の光・・・。</p><p>&nbsp;</p><p>「あの光は、あなたの力よ、そして私との・・・、」</p><p>俺はアシュリーの話を聞かず、自分の話だけを続けた。</p><p>「・・・アシュリー、俺は、戦場に出れば、吐くほどに弱い男だったのだ。しかしそんな男でおまえを守れるか？　俺はローレアやケイトから戦う事を強いられた、そしてペンダントの力を知ることになるんだ、あいつらの俺への要求は　“強くなれ”　だった。・・・すべてはおまえを守るために・・・だ、これでいいんだ。」</p><p>「私はあなたを弱いと言っているのではないわ、・・最初の頃はちょっと思ったけど・・・。」</p><p>「もう、何言ってんの？　俺に戦うなと？　変だ、ローレアたちの言っている事とは逆だろ？　・・・そう言えば・・・、」</p><p>気になっていることが、浮かんだ。</p><p>そうだ、今がアシュリーと話し合う時かもしれない。</p><p>&nbsp;</p><p>「おまえは悪魔との戦いをどう考えているのか？　ローレアと話はしたのか？　ローレアたちの考えは戦いが中心だ、・・・おまえとは考えが合わないじゃなかったか？」</p><p>「・・・・・！」　アシュリーは目を丸くして俺を見た。</p><p>ローレアは俺と三姉妹らは姫を挟んで仲間で、想いは一つだと言っていたが・・・、まさかその姫の考えが違っていた？</p><p>「おまえは、肝心なことを全く俺に話さない、おまえの考えが分からない。」</p><p>思い切ってそう言うと、</p><p>「・・・そうね、ごめんなさい。」</p><p>アシュリーはまた謝って、考え込むように俯いた。</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p><p>&nbsp;</p>
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<link>https://ameblo.jp/tahamimi/entry-12213243732.html</link>
<pubDate>Tue, 25 Oct 2016 23:38:58 +0900</pubDate>
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<title>Ashley</title>
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<![CDATA[ <br>　　　　　　　＊＊＊　第４章　＊＊＊<br><br><br>　　　　＜１の１＞<br><br><br>・・・静寂は、馬の嘶きによって裂かれた。<br><br>闇雲から星々が、不安気な顔を覗かせた。<br><br>辺りを仄かな妖光が満たせば、時の鐘が厳かに鳴り響く。<br><br>男はただ一人、重い荷物を抱え馬屋に立つ。<br><br><br>天命は下りた。今より悪魔退治に出る。　<br><br>過酷な任務となるが、もう逃げたりしない。<br><br>決意の先にある光を信じて、その真実を見極める。<br><br>・・・すべては、ただ一人の女の為に。<br><br><br>俺はその威勢のよい馬を一頭選んだ。　<br>荷物を馬の背に括り付け、剣は自分の腰のベルトに差してしっかりと結わえる。<br><br>そっと馬をひいて、借宿の出入り口まで来た。<br><br>そこで待つアシュリー。　それにハッとして眼を細める。<br>・・・松明の明かりでぼんやり見えたのは、ちょっと懐かしい男姿だったから。<br><br>隣にはクロエもいた。俺にスッと頭を下げる。<br>「突然のことで驚きました、リアン様も女のお供の方々もいなくなって・・・、でもアシュリーから事情は聞きましたよ、大変なことになりましたねぇ、暗いですから、十分、気をつけていってらっしゃい。」<br>クロエから水と軽食が渡された。アシュリーはそれを肩にぶら下げたカバンに入れる。<br>「じゃ、行ってくるわ。」<br>アシュリーの慎重な声が耳に付く。　深夜の外出を一体どのようにクロエに説明したのかは知らない。<br>母が娘（息子？）に、急なお遣いを任せている様子にも見えたが、・・・本当にそうだったら・・・、いや、もう、そんなこと思わない。<br><br>アシュリーを馬鞍に座らせ、俺もその前に乗った、・・・いよいよ出発だ。<br><br>「眠たくないか？」　「うん、大丈夫。」　しっかり俺の胴に回ってきた彼女の手。<br>「絶対寝るなよ、落ちるからな。」　「うん、わかった。」<br>手綱を引く俺の手にも力が入る。速度は上がり、夜道を軽快に駆け始めた。<br><br>最も深い闇が支配する時刻・・・・、あっという間にミアの集落を過ぎて、周囲が木々ばかりの雑木林になる。道が細くなったため、この辺りはスピードを落とさざるを得なかった。<br><br>するとアシュリー、「もう松明はいらないわ。」　と言う。　　<br>えっ！　・・・慌てて馬を止める。<br>聞くまでもない、理由はすぐわかる。俺とアシュリーの胸から光が出たから・・・、<br><br>近づけば光り合う、俺のペンダントの石とアシュリーの石布。<br><br>「勝手なことするなよ、アシュリー、言っとくが、魔法は・・・、」<br>「いつもは、光らないようにと魔法をかけているわ、・・・だから解けばいいだけなのよ。」　<br><br>二つの光が重なって一つになり、俺とアシュリーを包み込むよう輝いた。<br>１０メートル向こうまで照らす明るさとなった。松明はどこかに消える。<br><br>「自然に使えるものは有効活用しなくっちゃ、片手は、危ないし・・・、ねっ、いいでしょ！」<br>アシュリーの声が不自然に明るく聞こえた。これに違和感が上昇する。<br>「・・・光はいいが、今のセリフ、バカが付くほどの能天気に聞こえる。」<br>「私、バカじゃないわ！」<br>「なら、まだ子供か。」<br>「違うって！　何でそうなるのよ！」<br><br>アシュリーとこんなやり取りしてたら、こっちもさっきまでの緊張感が行方不明に、・・もう、頭の中が緩くなった。<br><br>・・・これは、・・光のせいだ、この光が出ればいつだって・・・、けど・・・・、<br><br>・・・ああ、ダメだ！<br>今はそんな場合じゃないんだ、もっと、しっかりと前を向きたい！<br><br>再び馬を走らせれば、<br>距離と時間を追うほどに胸の石は鮮やかな七色の光を強く放って、景色全部を昼のように明るく照らした。<br><br>木々や花も神々しくキラキラと輝き出して、天上界を走っているかのようだった。<br><br>その美しさに見惚れ、飲み込まれそうになる！　　　　・・・困った。<br><br><br>・・・俺がトルエノを出てこの道を通った時、真っ黒な景色を一人で見た。究極の孤独と恐怖に苛まれ押しつぶされそうだった。・・・そして、これから見る景色はもっと暗く地獄なのだと思っていた。・・・でも、<br><br>・・・・そこにいたのは、アシュリーだ、　　・・・地獄なわけなかった。<br><br>今は、彼女の息遣いや温もりが、すぐ背中だ・・・、<br><br>だったら、こんなにも景色が違う・・・？<br><br>そう、アシュリーがいれば、いつでもそこは光の景色、・・・誰もが幸せを感じる場所だ。<br><br>・・・俺だけの・・、じゃない・・・。<br><br><br>「アシュリー、スピード出すぞっ・・！」<br>「・・・わかったわ！」<br><br>トルエノへ向かって、馬を飛ばす！<br>この延々と続く深い森の中を・・・、全力で突っ走る！！<br><br><br>・・・どのくらい走っただろう、ちょっとした異変に気付いた。<br>「そろそろ、夜が明ける時間だが・・・、おかしいな。」<br><br>そのうち、互いの石の光が弱くなった。<br>「・・・そうね、まだ暗いわね。」<br>「そろそろ、森も抜けてもいい頃だとも思うが・・・、」<br>嫌な予感は、外れない。<br>「ダメだわ、ジクト、石が思うように光らなくなったわ・・・・。」<br>アシュリーが独り言のように呟いた。・・・もう、これでストンッと不安に落とされる。<br><br>馬を止めて、周りを見渡せば、・・・・気の流れが変わった。<br><br>空気がひんやりとし、独特の異臭がどこからともなく漂う、・・・・そして悪感。<br><br>「・・・出る。」　間違いない、あの感じだ。<br>「・・・ジクト・・・？」<br>眼を閉じてわざと大きく息を吐く、・・・ここで恐怖に負けたら、いつもの自分。<br><br>眼を開けて、グッと顔を上げれば、木の陰から数体の黒い影が浮かんできた・・・。<br><br>・・・・腰の剣を抜く。<br><br>「アシュリー、絶対俺から離れるな、・・・それと、ひとつ言っておくが、魔法はいらない、絶対使うな、俺だけで殺れるから・・、わかったか？」<br>「・・はっ、はい・・！」<br><br>そのうち耳をキリキリと刺すような悪魔の声が聞こえて・・・・、アシュリーが俺の背中にしがみ付く。<br><br>・・・・・・コロセ、ヒカリ、・・コロセ、消滅ダ・・・・、<br><br>「消滅するのはそっちだ、もう、そんな脅しに意味ない・・・。」　<br>心を決めれば、こんな言葉は自然に出るさ。<br>その強い意志があれば、必ず勝てる・・・！<br><br>「アシュリー、これから凄いモン見せてやるよ・・・。」<br><br>俺は剣の柄をグッと握り締めた！<br><br><br>・・・・見てろ、アシュリー、剣におまえへの想いを込めて熱く握れば、・・・・胸のペンダントが光って・・・・、<br><br><br>来る！！　影３体ほどが細く伸びて、矢を放ったような速さだった・・・！！<br>　<br>それが俺とアシュリー狙って・・・、確実に、来た！！<br><br>・・・しかし、すでに金色に光り輝いていた俺の剣が、宙でその動きを止める・・、寸前で受けた！<br><br>・・・そして斬るッ・・・！！　<br><br><br>それらは、一瞬に雲散霧消だ！　３体一度にスッパリと仕留めた！！<br><br><br>・・・・・！！<br>俺は振り返る！　　　　見たか、アシュリー、・・・！！<br><br>「おお、・・・ジクト？！」<br>アシュリーの呆気に取られた表情を見る、「・・・すごい！」<br><br>光の剣を彼女に見せて言った。<br>「もう、何にも怖いものはないんだ、・・これで、おまえを守れるんだ！」<br>「・・・ジクト・・・、」<br>・・・見つめ合ってしまう・・・、もうアシュリーに安易な行動はとらないつもりでも、その意志は弱い。・・・つい、手が・・・、<br><br>ヒヒィ～ッン！！<br>馬が興奮し前足を蹴り上げのけ反った、いきなり馬から落とされそうになる！　・・・今回もこの展開で安心だ。<br><br>咄嗟にアシュリー抱えて、馬から飛び降りた！<br><br>それから、木々の間や地面、ありとあらゆるところから、不気味な黒い影がはっきりと浮き上がって、それはモヤ～と人のような形で立体化し、どんどん数を増やしていった。<br><br>１０や２０ではない、・・・・もう１００体以上は数えるだろうか・・・、それがドドッと襲い掛かってくるんだ・・・！<br><br>何がなんだか分からない内に一気にその集団が俺とアシュリーを飲み込もうとする・・・！<br>一瞬の油断が剣の光を鈍らせた、　・・・負の力が重くのしかかってくる。<br><br>やられる！！　　・・・と思った、その時に、<br><br>剣が光を取り戻す！　強く輝く力に悪魔が弾き飛ばされた！　・・・気づけば、アシュリーと俺の体からもまばゆい光が帯びていた。<br>「二人でいれば光るのよ。」<br>「・・どんな状況でもか？」　「そう。」<br>・・・本当に俺たちは二人いれば自然に光り合う特別な存在なんだということを改めて知る。<br>「私たちには触れられないわ、戦う必要はないのよ。」<br><br>悪魔らは皆、光にショックを起こし失神したように倒れた、起きている奴らもブルブルと怯え出す。<br><br>「ジクト、もういいわ。今なら逃げられるわ、ショックで我を忘れている間に行きましょう。」<br>アシュリーが言った。・・・しかし・・・、<br><br>「いや、斬ってしまおう。」<br>「・・・・！」<br>「どうせ、捨て身で追いかけてくるさ、そういう習性なんだ、うっとうしいだろ、今ここで殺ったほうがいい！」<br>一度ついた闘志が収まらなかった、・・・もう全部始末してやるさ！<br><br>倒れていた悪魔が徐々に意識を戻し頭を上げ始めた。怯えていた奴らも皆、青白く光る不気味な眼のような部分を光らせてこちらを睨みつけてくる。<br>早い復活を見せる悪魔たち、ゾクゾクと立ち上がり一気に俺たちを取り囲む・・・！<br><br>それを見て、異様な気分の高揚しか感じない。不敵な笑みまで出た。<br><br>今はただ自分の強気が嬉しい！　強く柄を握って敵を見据えた。<br><br>アシュリーが心配そうに俺を見る。・・咄嗟に言った。<br>「こんな類の敵は３回目なんだ、だから慣れている。しつこいようだけどアシュリー、おまえは絶対魔法を使うなよ、ただ俺から離れず、黙って見ていろ！」<br>「・・・ええ・・・、あの・・、」<br><br>アシュリーの返事を背中で聞き流しながら、剣に力を入れる、　　　　・・・光ったッ！<br><br><br>　　　始まる、・・・・俺一人　　ⅤＳ　　森の黒い悪魔、の対決だ！<br><br><br>再び闘志むき出しにした悪魔の集団がジリジリ寄って来る。<br>半径５メートルまで近づいてくると、黒い筋のようなものに姿を変え飛び上がった！<br><br>・・・動じず、落ち着いてこれらの動きを見る、　　　・・・一瞬、時が止まったような感覚がおきて、　　・・・・！！<br>気づけば、あっさり１０体ほどのまとめ斬りを成功させていた！<br><br>　俺、見事！！　<br>こいつら、弱いかもしれない、マヒナ島の悪魔を思い出した。あのレベルならチョロいんだ。<br><br><br>・・・・しかしである。<br><br>それから、敵を連続的に仕留めたが・・・、<br>斬れども、斬れども敵が減らない、・・・・次から次へと湧いてきているのは、確実で、・・・おおっ？！<br><br>・・・あいつらがいれば、１００体斬りなんてしちまうから、片付くんだろうが・・・、こっちはせいぜい１０体が限度で、しかも一人、・・・・体力と時間の問題が出てきた。<br><br>いつの間にか肩が動くほどの荒い息が出て、俺が倒れそうになった。・・・そこに４体が襲いかかってきて、何とか踏ん張った、・・・・そして斬る！<br><br>・・・また、襲ってきた！！　　<br><br>おい・・・っ！<br><br><br>・・・ハァ・・・、ハァ・・・、ハァ・・・・・、　　　きつい、　わ・・・。<br><br><br><br>・・・ギリギリからが、勝負なんだよな、　　　　・・・ケイト、・・・、<br><br>おまえが俺に見せた戦いって、そんなんだったよな・・・！<br><br><br>・・・・命をかけた、おまえの最後の戦いは・・・・・、　<br><br><br>バカ、バカと随分俺を罵ってくれたが、ホントにバカだったのはおまえだったさ、こんな俺に戦う事を教えようとして・・・、バカだろ。<br><br>・・・本当の望みは普通の幸せではなかったか・・・・？　<br><br>家族を愛しながら、戦うことの使命に生きた女、・・・俺に戦う事を教えることを、家族より選んだ・・・・、<br><br>その選択は、やっぱりバカだとしか言いようがない・・・・。<br><br><br>・・・でも、・・・でもだ、そんなおまえに応えてやるさ、おまえが命をかけて俺に伝えてきたこと・・・、俺なりに理解して答えを出す、自身のこれからの行動で。<br><br>見ててくれとは言わない、どうせ俺には冷たい背中しか見せないから、<br>『後はおまえの責任だ、私の知ることではない。』　・・・どうせこんなコトしか言わないさ。<br><br>俺もおまえの顔も姿も記憶に残さない、今思い返しても怒った顔しか浮かばないし、・・・よかった、笑った顔を見たことなくて・・・、本当に忘れられる。<br><br>ただ、おまえが俺につけた傷は残るかも、しれない、・・・・、史上最悪の暴力女め・・・！<br>直接受けた暴力の傷はいつかは癒えて消えるが、最後の最後におまえが胸の深いところにグッサリと斬り込んできた傷は・・、その傷は・・・、消えないだろう。<br><br>死をもって、己の生き様を見せつけてきた、・・・その暴力的強引なやり方、・・・もう、完全にやられたよ。<br>・・・俺も後に引けなくて・・・。<br><br>だから決めた、・・・これからの戦いには、自分の魂も命も全部ブッ込んでやるよ。<br><br><br>・・・・アシュリーのすべてを守る、・・・彼女こそが、俺の唯一の確かなものなんだ。<br><br><br>・・・・じゃあな、ケイト、　　　　いろいろ世話になったな、　　　これで本当にサヨナラ、だ・・・・。<br><br><br><br>・・・・とことん踏ん張る、踏ん張って斬る！・・・とにかく悪魔を斬る！！　　　　斬って、斬って、斬りまくって・・・・、<br><br><br>　・・・・もう何体斬ったかわからなくなった・・・、　　　　時間大丈夫か・・・？<br><br><br>　アシュリー・・・？！<br><br><br>・・・ジクト、そろそろ、終わらせましょう・・・。<br><br><br>・・・！！<br><br><br>・・・ハッとした！　いつの間にやら、悪魔がみんな、いなくなった・・・、<br><br>・・・全部殺れたのか・・・？<br><br>・・・暫し、放心状態に見舞われる・・・、<br><br>剣から光が引いた後、体全体の骨が砕かれたような脱力感を感じて、動けなくなった。<br>剣を地に立てて、それに寄りかかる。<br><br>・・・終わった。<br><br>アシュリーが走ってきた。両手をだして俺の体を支えようとした。<br><br>この時に彼女の手から光が・・・、<br><br>「・・・やめろ！」<br>アシュリーはいつものように癒し魔法を使おうとする、しかしこれをきつい口調で止めた。<br>「魔法は使うなと言ったはずだ、・・・俺は大丈夫だから。」<br>彼女の手を振りほどく、剣を腰に収めて歩き出した。・・・そしたら、今度は俺の胸が光り出す。<br>勝手にペンダントが光り、俺の疲れを癒し始めた。<br><br>「アシュリー・・・！」<br>だからぁ、俺はこれをよし、とはしないんだって！<br><br>またアシュリーに戻って一喝する。<br>「何度言ったら分かるんだ、魔法は・・・！」<br>彼女はこの言葉を遮った。<br>「違うわ、これはあなたの力よ、あなたが疲れていれば、自然に石が力を出すわ。」<br><br>「・・本当か？」　「もっ、もちろん！」<br><br><br>馬の綱に手をかけた時、東の方から、明るい日差しが木々の間から見えてきた。<br>突然、朝になる。<br><br>体の疲れも癒えて気分一転、アシュリーを馬に乗せ再び走り出す。<br>・・・間もなくして、森を抜け砂と土の荒野に出た。<br>暫くすると戦いで熱かった頭が冷めてきた、思考能力が正常値に戻って、また様々事を考え始める。<br><br>そしたらどうしても府に落ちないことが出てきて、スピードを緩め、後ろのアシュリーに問う。<br><br>「俺が斬れば悪魔は消えず、その死骸が残るんだが、今斬った悪魔すべて跡形もなく消えていた。それに最後、悪魔の数の減りが異常に早かったし、すべて変だった。・・・で、思うに、やっぱりおまえ力、使っただろう・・・？」<br>馬を止めて、後ろを振り返れば、アシュリーは緊張した顔をブンブンと２，３度横に振って、<br>「いいえ！」<br>と言ってきた、・・・が、<br><br>「嘘だろ・・？」　かなり恐い顔して睨んで聞いたら、彼女俯いて、<br>「・・・はい、嘘でした、ごめんなさいッ・・、」　謝ってきた。<br><br>・・・やっぱり・・・、<br><br>「・・でもね、たいした力ではないのよ、彼らを元いる場所に戻しただけよ、この辺りもディーゴさんの縄張りなのね・・、位置的にヴァルディーにも近いのよ、・・・色んな動物が我を忘れてしまって、・・迷っているわ・・・、だから、眠ってもらったの、彼らが目覚める頃には、世界すべてを元通りにするから・・・・。」<br><br>・・・・・・・・。<br><br>すぐ、言葉がでなかった。・・・このセリフの中に俺をイラつかせた言葉、いくつ出てきた？<br><br>「・・・なぁんだ、悪魔は死んでなかったのか？　おまえの魔法のおかげで・・・、」　<br>自分でも驚くほどの低い声が出た。<br>・・・アシュリーの顔が引きつった。さすがにこの空気は読めたか・・？<br><br>「・・・えっ、それは、・・・まぁ、・・・、ジクト怒っているの？　ああ、ごめんなさい、余計なことを・・、って思ったでしょう？」<br><br>「・・・使うな、って言った魔法は使っているし、ディーゴは　“さん”付けだし、・・・さっきの戦いは別になくてもよかったみたいな言い方だった？　はは・・、俺はピエロか？　・・・虚しすぎて、笑えない・・・。」<br>危うく震えそうになった声、どこまで抑えようか？<br>「・・・・おまえは、自分の　“偉大な”　魔法で　“なんとか”　するつもりなんだろ？・・・なら俺など・・・、」<br>もう抑える気ない、怒りの感情そのまま出す！<br>「ホンットにいらないよな、意味ないことだ！　俺のような王妃のペンダントの力を借りて強くなっただけの　“にわか戦士”　なんて、本当は役には立たなくて、おまえは俺に気を使って形だけでも守ってもらおうとしてるでけで、実は自分の事は自分で守れるわ、なんて思っているのだろ？・・・いや、それ正解だけど。」<br>最後は、笑ってしまう。<br><br>アシュリーは真っ青な顔で俺を見ていた。　そして激しく頭を振った。<br>「おおっ、ジクト・・、なんて・・・！　そんなふうに思ったこと一度もない！　あなたがいつだって私を守ってくれる、・・私の体の事を・・とても心配してくれる・・・、あなたの想いで、今の私がいる。・・あなたがいなければ、なんの意味もないわ・・・、でも、私の使命は元に戻すことで、消すことではないの、・・・そこにある命は動かさない、・・・それが私のやり方なの、・・・本当にごめんなさい、あなたにはイヤな思いをさせてしまった・・・。」<br>真剣な眼差しを向けての懸命な長ゼリフだった、・・・。ちょっと、調子が狂う。<br><br>少し間を置いて、自分の気持ちを整理する。・・・ため息をひとつ吐いて言葉を継いだ。<br><br>「俺だって、ディーゴを前にして、おまえの魔法なしでやれるのか正直不安だ、でも、あいつらが言ったように俺が戦うことに意味があるなら、それはおまえをケイトと同じようなことにさせないことだと考えている。・・・おまえはディーゴの恐ろしさを知らないだろ？　（俺も知らないけど、）　おまえがどんなに凄い力を持っていようが、どうなるか分からない、勝つとも言い切れないんだ、でも、もう今から何を言っても遅い、俺とおまえしかいないんだから、最悪なことも考えなくっちゃいけないが・・・、」<br>頭の中がかなりクリーンになった、邪念はなく、冷静だった。<br>「これから必要なのは、おまえの魔法ではなく、俺の剣の力だと思っている。」<br><br>そして・・・、<br>「俺が必ず悪魔を斃す。おまえは、・・だけは、必ず助けるつもりなんだ、だからもっと信じろよ、俺を・・・。」<br>カッコいい男のお決まりゼリフまで出た。<br><br>俺の『信じろ。』は、『信じるな、』の裏返しだ。中身よりパフォーマンスの男だから、・・・今までは。<br><br>・・・でも、<br>『　あなたは、信用できます。』　・・・・、クロエはあの時、俺をどう見た？　俺は変われたのか？<br><br><br>・・・自信は出たり、引っ込んだり・・・、アシュリーから眼を逸らす、　・・・彼女はそんな俺に答えた。<br><br>「私はあなたを疑わない、ずっと信じているのよ、出会った時からずっと・・・、私の魔法は彼女たちとは違う、単純で小さな守り魔法よ、あなたの為なら自然に出るの・・・、あなたの助けになりたいだけ・・、その為に魔法を使う・・・、それだけなの。」　<br><br>最後は、涙声になった。<br><br>「・・・・・・。」<br>・・・もう、胸がいっぱいになる。<br>「・・・ああ、もういいよ、わかったよ、アシュリー・・・、でも魔法はダメだ、使うな！おまえが魔法を使えば、俺の寿命も縮む。俺の為を想うなら、そこは守ってくれ。」<br>「ごめんなさい・・・。」<br>「話はここまでだ、さぁ、行こう！」　気持ちを切り替えて、馬を進めた。<br><br>ちなみに、『魔法を使うな。』　この頃から始まるこの言葉、うっとうしいぐらい俺の口から出ることに。・・・その時がくるまで、・・・ずっとだ。<br><br>馬を走らせながら、また考えた。・・・俺一人で悪魔の集団を殺れていたわけではなかった。（・・というか、全部アシュリーの魔法の方に操られ、死んでいなかった。）<br>・・・これに不安は隠せない。<br><br>・・・何か、大事なコトが食い違っている気がする、・・アシュリーは、悪魔に会いに行くことをどう考えているのだろう？<br>・・・このまま、トルエノに向かっていいのだろうか？<br><br>王に対しては・・・？　　　　　俺との、コトは、・・・？　　　　　アシュリー、・・・。<br><br><br>　　&lt;１の２＞<br><br>日がだいぶ高くなる。そろそろトルエノ入国だが・・・・、<br>「まともに関所を通るルートは、避けようと思う、少し遠回りになるが、関所で足止めくらう恐れがあるからな。」<br>「・・・ジクト、道わかるの？」<br>「バカにすんな、ここまで来れば、もう庭同然、任せろ！」<br><br><br>・・・・と、かっこよく言ったまでは、良かったが・・・、<br><br>もし、通り道を塞ぐ大きな障害物があったら、・・・これはおかしいだろう。<br>進行を止めて、呆然と見上げる。<br><br>・・・岩山？・・・・こんなところにあったっけ・・・？？　とにかく約１０メートルに及ぶ巨大な高い壁が今、目前に立ちはだかった。<br>岩肌には、不自然な薄黄色の草が生い茂り、微風になびいている。<br><br>おもむろに地図を広げて、確認、・・・やっぱ、ないよな、こんなもの。<br>方向間違ったか・・・？　いや、間違ってない！<br>「困った、ここを通らなければ、トルエノには入れない、・・・馬でこんな急斜面は無理だ、・・・どうするか？」<br><br>アシュリーは、このデカい岩山をジーっと見ていたが、ぽつりと・・・、言った。<br>「岩じゃ、ないわね・・・・。」<br>「じゃ、なんだ？」　と聞きながら、ふと、イヤな匂いが気になった。「・・・・ん、この匂いは・・・？」<br><br>「やっぱり、元は人で・・、今は・・・、」　アシュリーの目の焦点が合わない、遠い目になっていた。<br>「・・・あ、霊視するな、・・・人でも何でも登ればいい、行こう、アシュリー。」<br>・・・と馬から降りて言ったものの、人がよじ登るのが精いっぱいだろう、・・・ああ、馬をどうしよう？<br><br>アシュリーが笑い出した。<br>「大丈夫よ、私の視る力なんて日常よ、ひとりでに視えてくるの、その為のエネルギーなんて、殆ど使わないから。」<br><br>「・・・・・、本当か？」　半眼でジッと見た。<br>「本当だって。」　アシュリーは俺と同じ顔をして視線を返した。<br>・・・・完全に信用しちゃいないが・・・。<br>「わかった、じゃ聞くが、どうする？　どうやって、この障害物を越えていく？」<br><br>「とても大きいから分からないと思うけど、その実態は豚です。今見えているところは、背中よ、背を向けて座っている姿勢ね、・・・このまま登ったら気付かれて、叩き殺されるわ。」<br>「・・・・、豚・・・。」<br>呆気にとられた。・・・・そうだ、この臭さは畜生の匂いだ。　　　・・・うェ・・ッ・・！！<br>しかし、デカい、・・・じゃ、薄黄色の草は毛かぁ？　<br>今さら驚いてもしょうがない、（ケイトが最後に戦った悪魔も巨大化したし、過去には大鷹もいたよな。）　ディーゴの魔法は動物が大きくなる特徴なのか？　大迷惑なんだが・・・。<br><br>アシュリーはもっと化け物の核心に迫った。<br>「かかっている魔法は単純だけど、この方の持つ心の闇でややこしくなってしまったわ。ひたすら食べて、寝る生活で魔力増大、それでここまで大きくなったのね、・・・ああ、このままだとますます太って、もう少しで限界がきてしまう・・・、爆発するかも。」<br><br>俺は剣を抜く、・・・「今や臭くてたまらんだけの何の価値もない者だ、殺ってしまおう！」<br><br>「待って、ジクト・・、それは・・・！」<br>「分かっている、おまえは殺したくないだろうが、今、このまま登ってもこっちが殺されるって言ったよな、絶命させてからじゃないと、登れないってことだ。」<br>俺は畜生の背中を見据えた。<br><br>「急所は外さない、光る剣でえぐるように差し込んでいくさ！」<br>「・・・え、ええっと、ジクト、それは、どうかしら？　彼に敵意はないわ、ただそこにあるだけよ、無害よ。それに刺せばあなたの体も血だらけになってよけい臭くなるわよ、キレイ好きなのに・・・、」<br>「俺がキレイ好きって、なぜわかる？」<br>「そりゃ、わかるわ、一緒に旅をしてあなたを見てきたもの。船の中でも毎日の着替えと頭と体拭きは欠かさなかったし、歯も塩でよく洗っていたわ、・・・お父さんと二人で感心してたのよ。」<br><br>「・・・・・・・、最低の身だしなみだろ、当然だし・・・って、今そんな話か？　やっぱり空気読めよ、・・・殺さない考えなら、おまえはどうするつもりだ、魔法は使えないからな！」<br><br>「・・・・そうね、どうしょうかしら・・・、やっぱりここは私に任してほしいのだけれど・・・、」<br>「やっぱり魔法か、ダメだ・・・、俺が剣で殺す。」<br><br>「この大きな体から言えば、あなたの剣は針みたいなものよ、ただの刺激しかならなくて、かえって暴れ出して大変なコトになるわ、ここは、そっと通過するのが賢明なの。私が魔法でいくわ。」<br>「・・・おまえェ、どういうつもりだ・・？　俺がこれほどまでに言っているのに・・・！」<br>「魔法っていったって、これから使おうとする魔法は私が子供の頃から使っている可愛くて優しい魔法よ、元々私の魔法は自然に頼ったものが殆どで私自身のエネルギーはあまり使うことがないの、攻撃魔法とは違うのよ。だから大丈夫なの、・・・信じて！」<br>「そうやって、使っていい魔法と、そうでないのを分けるラインはどこで決める？　俺に魔法の事は分からないんだ、全部禁止するしかないんだよ！」<br>「ジクトは頭が硬過ぎよ！　さっきから私の魔法は簡単で優しいって説明しているのに、・・・もっと柔らかく考えてよ！」<br>アシュリーの顔つきが変わった、・・・なんと？<br>「・・・はぁ？！　おまえ、俺に喧嘩吹っかけてるのか？」<br>「うんっ、もう・・・、そんなこと言っている間に、どんどん時間が過ぎるわよ、・・・もう私がトルエノのお城まで　“　飛んで”　行くしか方法がなくなるわ、・・・それは、かなりのエネルギーを使うわね、大人の男のあなたを連れて飛ぶのは疲れるわ、・・・どうするの？」　<br>おお、怒っている・・・、俺を脅迫し始めた。<br>でも、アシュリーのこんな顔は滅多に見ることない、貴重な一瞬にドキッてなる。<br><br>「あなたは、自分を信じろって言うけれど、私のいう事は信じないのね・・・、」<br>「これに関しては、おまえは俺に嘘をつく。」<br>「もう、つかない、信じて。」<br>・・・・ため息をつく。アシュリーから一度眼を離し、また見た。<br><br>「・・・・・・・、その魔法はどういうものだ、言ってみろ。」<br>「私とあなたの気配を消すわ、・・・しいて言えば透明人間になるってことね。」<br>「・・・、あっ、また幽霊になるのか？」<br>「それは違うの、それは体を置いて意識だけが自由に動く術だから意味ないわ、・・でなくて、体が移動するの、とても簡単な術よ、・・・言葉での説明も難しいから、取りあえずやってみましょうか？」<br><br>「本当に大丈夫なんだろうな、・・・なんか、心配だな・・・。」<br>「やっぱり、信じられない？」<br>「・・・・・・、いや、信じるよ。」<br>もうアシュリーのペースだ、敢えてのってやる。<br><br>「じゃ、始めるわ・・！」<br>アシュリーが、俺と自分に魔法をかけた。・・・・みるみるうちに、どうなったかというと・・・、消えたんだ、俺たち。<br><br>アシュリー、どこだ？<br>（ジクト、私はここよ、あなたのすぐそばにいるわ。）<br>（おっ、ホントに透明人間か？　全く見えねェ、幽霊の時とは違うな、あの時は、俺にアシュリーは見えていたけど・・・？　で、ここは？）<br>（見えないってことは、うまくいったってことよ、私たち今、豚さんの中よ、彼の一部になったわ、皮と毛になったのよ。）　（・・・・？！）<br>（このまま、豚さんの体をつたって登るわ、・・・そっとよ、）<br>（・・・もう少し、まともな説明しろ、皮ってなんだ？　言われてみればもっと悪臭がきつくなったぞ・・・？）<br>（表の皮と毛に変身したの、それで彼の体にへばりついているの、・・・匂いは気にしないで、すぐ慣れるわ。）<br>（おまえェ、この俺を豚にしたのか？！）<br>（豚じゃなくて、豚の皮と毛だって、全然違うから、・・・ジクト、あんまり話すると気配でバレるわ、・・・黙っていきましょう。）　<br><br>（待て、アシュリー、・・！）<br>（大きな声は出さないで！　それと少しの間だから我慢して！　・・派手に動いたら絶対ダメよ、私たち人の姿は崩しているけど、ここに存在はあるんだから、・・・豚さんの皮色に同化して隠れているだけだから・・・、これが私のお得意の術、名付けてかくれんぼの術、私これで、昔からかくれんぼ強かったのね・・・。）<br><br>（おまえがうるさい、・・豚は我慢してやるから、それより馬はどうする気だ？）<br>（・・・・！　忘れていたわ、ちょっと待って！）<br>アシュリーは馬にも魔法をかけた。馬も姿を消して、俺たちと同じようになった。<br>（ついでに鳴かないよう眠ってもらったから、ジクト、これが綱よ、二人で引っ張りあげましょう。）<br>見えない綱を自分の見えない手で持つ、握った感触はあった。<br><br>（確かに重いな、見えなくてもいるんだ、馬が・・・・、）　<br>自分の手足の感覚もはっきりしていた。這うように手足をずらしながら少しずつ上がってみる・・。<br>なるほど、違和感なしだ。<br>好奇心で隣の方へも手を伸ばしてみた、・・・するとアシュリーに触れた感触があった。<br><br>（・・・・、ジクト・・、変なとこ触んないで・・・、）<br>（・・・！　俺、どこ触った？）　（・・・言わない。）<br>（・・・・！！）　もう一回、触った。（ここは？）<br><br>（・・・ひゃっ・・・！）　おかしな声をあげた。　　　　・・・あ、いや、ごめん。<br><br><br>てっぺんまで来る。丘のように見えるが豚の大肩で、ここが折り返し地点とのこと。斜め上には顔があるはずだが、絶対見ない。<br>体の向きを変えて、まず馬から降ろそうとしたら、「フンガァ～ッ！」って、突然低い騒音が真横から聞こえ、同時に大地震のような大揺れが起こった。<br>体が離されそうになる・・・！<br><br>（・・・なんだ？！）　（・・・大きな息をしたのよ。）<br>（おい、大丈夫か、アシュリー？！）<br>（ええ、大丈夫、このくらいの揺れなら剥がれ落ちたりはしないけど、滑ることはあるわ、気をつけて・・・、）<br>と、アシュリーが言っているところで・・・、（うわっ・・・！）　本当に滑りそうになった。<br>慌てて何かを必死で掴んで、何とかその場にとどまるが・・・、掴んだそれはアシュリーの何かで・・・、<br><br>（・・・俺、ナニ掴んだ？）<br>（・・・私のズボンよ、・・・膝まで落ちたわ・・・。）<br>（・・・・・・。）　<br>やんわりとその手を放す・・・・。<br><br>（ピンクの花柄レース付きだった。）　・・・眼力でそう見えた気がした。<br>（・・・もう、バカ！！）<br><br>・・・冗談だったけど、当たったな。<br><br>今度は慎重に肩を越え、大豚の胸の辺りを通ってゆっくりと下りる。<br>二人で抱えた馬は、実質の重さより軽く感じた為、何とか運べそうだ。<br>しかし、時折変な振動を断続的に感じて、何度か吐きそうな悪心には見舞われた。<br>アシュリーによればそれは貧乏ゆすりだそう、・・・、意外と神経質な豚だった。<br><br>横腹を通過中の時だ、　　・・・おっ？　　<br>ふと、辺りが暗くなって、空を見上げたら・・・、しまった、見てしまった！　空を隠すほどのドデカい畜生の顔を。なぜか下の俺たちの方に向けていた。<br>巨大化け物のその顔をもろに見る。・・・失神してもいいレベル。気分が悪くなるだけでは済まされない。<br><br><br>・・・この時だった、なぜか目まぐるしく記憶が戻って、・・・ハッとする。<br><br>・・・この化け物、知っている？！　　・・・ダグラス卿だ！！<br><br>旅立つ前に城で見た・・・、ディーゴに姿を変えられたと聞いた、あの・・・・、ぐーたら伯爵だ！<br><br>・・・なんて姿に・・・・、知っている人物だと分かった途端、急にたまらない気持ちになって・・・、<br>哀れとしかいいようがない。<br><br>憐れんでいる間に、また不自然な揺れをガクンッと感じた、体が大きくバウンドする！<br>（・・・・なっ、なんだ・・？！）　（ジクト、危ないわ・・・！！）<br><br>・・・・・！<br><br>もっと暗くなった！　頭上に大きな物体が影になって覆ってきた？！　それは大豚のデカい手・・、いや前足だった・・・！<br>それが俺たちのいる方を目がけて振り下ろされた！！<br><br>・・・・・やっ、やられるっ！！　・・・アシュリーと馬を抱え咄嗟に避けた！<br>そのデカい足はギリギリ俺たちの横をかすめて、自分の腹にいく・・・、そこを２，３回なでる、そして下ろす。<br><br>ただの腹を掻いただけの動作だった。何度か揺れたが、事なきを得る。　<br>一連の動きは思ったより遅いのに、デカいが故、勢いのある派手な動きに感じてしまう、<br>・・・これはまさに、動物の毛に寄生する小さな虫の気分か！<br><br>（大丈夫、バレてないわ・・・、私たちの動きで少し痒くなって、掻いたみたい・・・。）<br>（・・・・・・、とやかく言わず、急ごう。）　言いたいことは山ほどあるが、今は我慢する。<br><br>何とか無事に地面まで到達した。アシュリーが魔法を解くと、俺とアシュリーは人の姿に戻った。大豚から無事脱出する・・・が、<br><br>「・・・あっ、馬ッ・・・！」　悲鳴に近い声が！<br><br>・・・えっ！　びっくりして振り返れば、アシュリーが蒼白になっている・・・！　<br><br>「・・・いけない！　残ってたわ！」<br>魔法が馬に完全に届かなかったようで、馬の腹から上だけが元に戻って、下半分が大豚の皮のまま残って離れていない状態だった。<br><br>・・・アシュリーの魔法が失敗？　・・・あるある、異次元から戻る時もよくやらかしていたよな、思い出したわ。<br>でも一番の失敗は、慌てて無理やり馬綱を引っ張ったこと。<br><br>・・・この刺激に大豚が気付いた・・、　ギョロリとまた下を見た・・・、目に見える俺とアシュリー、・・視線がはっきりと合う！　　　・・・・・・！！<br><br><br>ヤバい！！　　・・・、大豚から見たら、もう俺たちは蟻か、ハエ・・・？<br>『痒いと思ったら、これかぁ？』　と鈍い頭でそう考えた？<br><br>おお、きた！！　今度は外れない！　その超デカい前足が猛スピードで、直下する！<br><br><br>風を切る大きな騒音を聞いたその時、体が恐怖で固まった。・・・・綱に手は残って、・・そこから動けず・・・・、　　<br><br>パンッ！！　<br><br>・・・叩かれた。<br><br>・・・・潰された・・・・、　　　　　　・・・死亡？？！　　　　これで人生終了？<br><br><br>ホフヌング家はトルエノ国の貴族階級の中でも頂点を極める誉高き家柄だ。<br>その正統継承者である俺が、豚に潰される最後だった。　<br><br>　・・・なんて、・・・おおお、恥だ、・・・面目失墜　！　　父上、兄上、お許しください！！<br><br><br>（・・・死んでないから、・・・死んだら泣くことも、考えることも出来なくなるでしょ？　・・あなたの考えで言えばだけど。）<br>（おお、そうだ、アシュリー！　・・生きてるぞ！　・・で、どうなった？）<br><br>（・・・土、になったわ、私たち。）<br>（・・・・つちィ・・・？）<br>（余裕なかったわりにナイスな判断だったわ、ちょっと泥臭いけど、・・・馬も無事だから、さぁ行きましょ。）<br>（・・・・・。）<br>アシュリーに付いて地に潜って這うように進み、大豚から遠ざかる。<br><br>・・・しかし土って、・・・、ありとあらゆるものに踏まれ、押しつぶされ、もみくちゃにされている、・・土。<br>・・・豚にされ、豚に叩き潰されそうになり、・・・その次が、土。<br><br>（アシュリー、他に方法はなかったのか？）　（土になったから、助かったのよ。）　（・・・・。）<br><br>俺はその優雅さゆえにトルエノ王宮で花と呼ばれた男だ、それが土なんて、・・・洒落にならん。<br>この瞬間だけとはいえ、地面の中を這ってる今の状態はまさに、・・・モグラ・・・。　<br><br>（貴重な体験ね。）<br>（こんな体験いらねェよ！　俺の経歴に傷がつくだけだ！）　<br>（大袈裟ね、　生きているだけでもよかったと思ってくれなきゃ・・。）<br>（・・・・早く元に戻せ。）<br>（・・・・はい、はい。）<br><br>豚現場から離れる。・・・やっとアシュリーの魔法から解放されるが・・・、<br>「なんて様だ、・・・。」<br>土から這い上がった姿は全身泥まみれで・・・、豚の匂いも消えてなかった。・・で、なによりイケなかったのが、アシュリーの・・・、<br><br>おお、俺の大好きな可憐なその顔が、・・・バカみたいに真っ黒で・・・、呆れて涙が出た。<br><br>「アシュリー、それはないだろう・・・・、」<br>「あなたも同じよ。」<br>開き直っている。・・・二人で濡れタオルで拭くしかなかった、・・・着替えもねェよ！<br><br>「キレイ好きなのに、ごめんね。」<br>「・・・俺はいいが、おまえは女で、しかもヴァルディー国の王女様だろう、そこはもうちょっと考えろよ、どこまで天然なんだ・・・、」<br>「魔法で風を吹かせて、汚れを飛ばせるけど・・・、」<br>「もういい、魔法は使うな、・・・このまま行く！」<br><br>馬に乗って・・・、再び出発だ！<br><br><br>＜１の３＞<br><br>暫くして小高い丘に出た。一度馬の足を止める。<br>そこは小さい山の頂上で、断崖に立てば見慣れた一国の風景が見渡せた。<br><br>「ここが、トルエノ・・・？」<br>「・・・そうだ。」<br>「あなたの国ね。」<br><br>風を受ければ、懐かしい匂いも漂ってくる。<br><br>ああ、やっと帰ってきた。・・・たった一か月を、とても長いものに感じた。<br>戦争で離れることは度々なのに、今回の帰郷は特別だ。<br><br>「城はずっと北だ、あの山の奥だ、まだ見えないけど・・。」<br>「・・・もうすぐね。」　「ああ・・。」<br>この場所で馬の足休めの休憩をとる。二人で軽食をとった。<br><br>アシュリーが西の方の空を見ながら言った。<br>「夕暮れ・・・、だったのね、」　<br>「なにが？　今は真昼間だ。」<br>「旅に出る前にあなたは、ここに立ち寄って、トルエノを眺めてる・・・。」<br>「・・・！　分かるか？」<br>「・・・今、風が教えてくれたわ、・・・、歌の練習もしたの？」<br>「・・・え”っ？」<br>「・・・　あなたの歌声も聴きこえてくるの・・・。」<br><br>俺は赤くなった、「聴くなよ、くだらない。」<br><br>「わたしには心地よい音よ・・・、気分が落ち着くわ。」<br>「おまえにとったら、セスの歌も美声だろう、変なんだよ。・・・さ、もう行くぞ！」<br><br><br>・・・あと、日暮れまで５時間、・・・・十分間に合うと思う、何も起こらなければ・・、<br>何も起こらないよう祈りながら、馬を速めた。<br><br>一帯に農場が広がるのどかな地域に入る。<br>この辺りは麦の栽培を中心とする農作物が盛んな村だ。<br><br>トルエノは、大麦酒の生産に力を入れていて、ここ数年で出荷量を倍増させた。<br>近年より貿易を開始する。他国にまで出向き作った酒を売りさばいていた。<br><br>その売り上げは、トルエノの財源アップに大きく貢献しつつあったのだが・・・・、<br><br>「・・・・んっ？」<br>ふと見れば、そにで栽培されているのは麦じゃなかった。<br><br>知らない鮮やかな花を付けた植物がそこら中、植え付けられていた。<br>そのカラフルな色合いの花畑を見れば、気分も和みそうだったが、・・・なんか、変な感じがする。<br>俺は馬の足を緩め、その植物畑に近寄った。<br><br>・・・イヤなにおいが漂ってくる。　よくよく花の形を見た、・・・あっ？！<br>　<br>馬も花に顔を寄せて、匂いを嗅ごうとする、・・・！<br>慌てて、綱を引き馬を花から離した！<br><br>「麻薬・・・？！」　思わず口にして、唖然とした。<br>「・・・なに？」　アシュリーが後ろから問う。「・・・まやくって？」<br>アシュリーには分からなかったようだ。<br>「知らなくていい、・・・しいて言えば、悪いやつらが山奥でその原料になる植物をこっそり育てて、金儲けに使われるものだ。」　<br>「・・・まぁ！」　彼女も驚いた。<br><br>「なぜだ？　旅立つ前、ここは麦畑だったのに・・・、」<br>俺が知るこの場所は、一面の黄金の稲穂の絨毯が、風に揺れている風景だ。<br>「それが一か月で、・・・普通じゃない・・・・、」<br><br>「ここも、よくない魔力が漂っているわ・・、」<br>「やはり、これはディーゴの仕業か・・？」<br>「・・・そう、ね・・・、」<br>「どうして・・・？　こんなもの作ってどうする気だ、こんなやり方で稼ぐ気か？」<br>「お金が目的じゃない、・・・ああ、私にもよく分からない・・・。」<br>アシュリーも不安げな声で言う。・・・俺も気持ちが悪くなっていた。<br><br>「離れよう。」<br>馬を急発進させた。<br><br>「・・・、こんなに美しいのに・・・、」　アシュリーが寂しそうに辺りを見渡した。<br>「私、知らなかったわ、そのまま置いとけばただの花なのに・・・。自然のものが人を脅かすものになるなんて。」<br>「人間が勝手にそういう使い方をしてるだけだ、結局恐ろしいのは人間だ。」<br>「ジクト、あなたは、人とこの花の悲しい繋がりを分かっているのね・・・。」<br>「誰もが知ってる事だ、おまえは幸せだ。」　「・・・・・。」<br>・・・誰しも知っているわけではない、知るのは一部の不幸な人間だけに決まってる。アシュリーは何かを感じたか？　そのまま黙った。<br><br><br>遠くに農夫を見た。男女４，５人で作業をしていた。<br>花のない別の種類の葉を刈って、まとめていた。・・・迷わず、その者たちのところに行く。<br><br>「ジクト・・やめよう。」　<br>アシュリーは俺が農夫たちに近づくのを止めようとしたが、やはり、そのままにはしておけなかった。<br>馬を降りて、草の束を抱えて歩く一人の農夫を呼び止めた。<br><br><br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/tahamimi/entry-12208304028.html</link>
<pubDate>Mon, 10 Oct 2016 15:47:09 +0900</pubDate>
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