<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<rss version="2.0" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom">
<channel>
<title>ぶーさーのつやつやブログ</title>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/</link>
<atom:link href="https://rssblog.ameba.jp/taison-sasuke/rss20.xml" rel="self" type="application/rss+xml" />
<atom:link rel="hub" href="http://pubsubhubbub.appspot.com" />
<description>艶が２次小説と薄桜鬼ドラマCD風小説かいてます。</description>
<language>ja</language>
<item>
<title>淫魔と8人の天使</title>
<description>
<![CDATA[ 淫魔=主人公、8人の天使=艶旦那さまたち　です。<br><br>ずいぶんと前にほぼ書き終えていたお話があったので、ホストあっきーの合間に仕上げてみました。<br>今読むと、なんでこんなん書こうと思った？的なｗｗｗ<br><br>どうやら悪魔とか天使とかのネタが大好きらしいです、自分。<br>気づいてたけどね。<br><br>最近「魔界王子」を読み始めてから余計にそういうのに興味が出て、天使や悪魔の本を買って読んでますが、面白い！<br><br>元々宗教や密教、インド哲学だとかに興味があった学生時代にも色々読んだなぁ。<br><br>天使の階級の事や、悪魔との関係だったり。<br>楽器を持っている天使の事や、金の弓矢を持っている天使(キューピッド)の事だったり。<br><br>宗教によって7大天使のうちのミカエル・ガブリエル・ウリエル・ラファエルの4大天使以外の3名はそれぞれ違っていたり。<br><br>勉強すればするほどわからなくなりますｗ<br><br>んで、実際には諸説ありますが、この話の中では大魔王サタン=ルシファー（堕天使ルシフェル）にしてます。（そもそも大魔王サタンとルシファーは別だとか、そういった説は置いといて、とｗ）<br>ま、別に掘り下げてないんですけど出て来るので一応解説まで。<br><br><br>めんどそうだけど、ちょっと興味あるという方はどぞ。<br><br>↓↓<br><br><br><br>主人公・・・L<br>沖田・・・ソウ<br>土方・・・トシ<br>翔太・・・ショウ<br>慶喜・・・ケイ<br>秋斉・・・アキ<br>高杉・・・シン<br>龍馬・・・リョウ<br>俊太郎・・・シュン<br><br><br>このお話は、悪魔の国に住む1人の悪魔と、天使の国に住む8人の天使のお話―――<br><br><br><br>ある日、大魔王サタンから用事を言い渡されたLはふらふらと空を飛びながらぶつくさと文句を垂れていた。<br><br>「もう、なんでいつも私ばっかりパシリにすんのよ、ルシファーったら。堕天使のくせに、頭きちゃう」<br><br>用事の内容は、天使界を越えた向こう側に住んでいる魔族種の大長老に古くから伝わる書物とやらを借りて来いというものだった。<br>「行けば分かる、早く行け」と命じられたLは、気だるそうに真っ黒な翼を動かして先を目指した。<br><br>久しぶりに横断する天使界の上空は空気も美しく澄みきっていて、眼下に広がる木々の緑や湖の蒼に目を奪われる。<br><br>天使界を横切って行かずとも他にもルートはあるのだが、大魔王サタンの城から大長老の住処は天使界を横切るのが一番の近道だったのだ。<br><br>Lは、やっぱり天使界は綺麗だなぁなどと呑気な事を考えながら飛んでいた。<br><br><br><br>視線を前方に向けると、遥か向こうにどんよりと暗雲立ち込めた空が見え始める。<br>いかにも禍々しく邪悪な空気を含んだ色。<br>僅かに見える小さく蠢く黒い影は蝙蝠たちだ。<br><br><br>もう少しで天使界上空を通り過ぎるという頃―――<br><br><br>「痛っ！」<br><br>突然左の太ももに激痛が走り、自分の身に何が起こったか分からぬまま、意識を朦朧とさせて地上へと落下してゆく・・・。<br><br><br><br><br><br>ドサッ<br><br>「えっ！？」<br><br>湖のほとりでまどろんでいたショウの近くの茂みに、何か物音が聞こえた。<br>恐る恐る近寄っていくと<br><br>「うわっ！！」<br><br>真っ黒く艶やかな翼を生やした女が意識を失って倒れており、腿には光り輝く金の矢が刺さっていた。<br><br>「この矢・・・」<br><br>すぐに持ち主の顔を思い浮かべると<br><br>「どうした？ショウ」<br><br>ショウよりも上級にあたる天使、ソウとトシとケイがやって来た。<br>トシの呼ぶ声で振り向いたショウは<br><br>「これ、いきなり空から降ってきたんです」<br><br>女を指さして3人を見回す。<br><br>「この翼は・・・悪魔じゃないかい？」<br><br>ケイが前かがみの体勢で、物珍しそうにしげしげと女を眺める。<br><br>「どうやらそのようですね・・・しかもこの尻尾は」<br>「サキュバスの種族、だな」<br><br>ソウの言葉にトシが頷いて言った。<br><br>「サキュバスって、あの？」<br><br>仲間の中でも一番年下のショウは少し顔を赤らめてケイを見る。<br><br>「そうだね、あの、サキュバスだね」<br>「どうしてこんなところに？」<br><br>ソウがショウに尋ねると、黙ったまま太ももに深く刺さった金の矢に視線を飛ばす。<br><br>「この矢は・・・」<br>「ああ、シンの矢だろうな」<br><br>ふん、とトシが鼻を鳴らすと<br><br>「おーい、おまんらー」<br><br>今度はショウとここで待ち合わせをしていたリョウがやって来た。<br>4人が茂みを囲んで見降ろしているのを見つけ、<br><br>「なにやら楽しそうな事をしちゅうが？混ぜちくれ」<br><br>バサっと翼をはためかせて茂みの傍へ飛んで来た。<br><br>「おわっ！」<br><br>意識を失い横たわっている女を見て、リョウは驚きの声を上げる。<br><br>「悪魔やないが？そ、それに・・・ちっ、血がっ！」<br><br>大きな身体をショウの背後に隠し、肩越しに茂みを覗き込む。<br><br>「そうなんです、降って来たんです」<br><br>そう言って、天を指す。<br>すると同じタイミングで突如、トシ達の顔に影がかかった。<br><br>「んん？」<br><br>皆揃って影を作り出した方向を見上げると、そこには上級天使のアキとシュンの姿があった。<br><br>真下に集まっている5人を見つけた2人は大きく広げていた翼を少し狭めながらゆっくりと舞い降りて来た。<br><br>「どうかしはったん？」<br><br>そう尋ねたアキはケイの目線を追い、すぐに茂みの女に気がついた。<br><br>「こ、れは・・・」<br>「すぐにどこかに運んで手当せんと」<br><br>常識的なシュンの発言に皆が一斉に振り返る。<br><br>「しかし、尻尾を見ろ」<br><br>トシが難しそうな顔をして顎をしゃくりあげる。<br><br>「ああ、淫魔の種族のようどすなぁ」<br><br>すると突然、ショウの背中に隠れていたリョウの足元の地面にドスっという音が聞こえ、目をやるとそこには金の矢が突き刺さっていた。<br><br>「おわぁっ！」<br><br>リョウの大声で全員が矢が降って来た方向を見上げると<br><br>「おやおや、全員お揃いで」<br><br>矢の持ち主、シンがニヤニヤ笑いながら舞い降りて来る。<br><br>「お揃いで、じゃねえよ」<br>「そうですよ。それに今、ここに矢が降ってきましたよ？」<br><br>猛抗議の視線でシンを睨みつける。<br><br>「そう怖い顔すんなって、刺さったわけじゃねんだろ？」<br><br>シンは笑いながら青ざめたままのリョウを見る。<br><br>「ところが、刺さっちゃったんだよね・・・これに」<br><br>ケイは溜息混じりで茂みを指した。<br><br>「ん？・・・これ、は」<br><br>シンの顔から笑顔が消えて、やがて表情を凍りつかせた。<br><br>「知りまへんで、わては用がおますんで」<br><br>アキはきっぱりと言うと、そのまま垂直に飛び上がってあっという間に西の方角へと消えた。<br><br>「あー、わしもショウを呼びに来たんじゃ」<br><br>リョウは、ほれ行くぞとショウの手を掴んで、2人はアキが飛んで行った方向とは逆の上空へと飛び上がった。<br><br><br>「まったく、みんな冷たいねえ」<br><br>まだ地面に目を向けているトシとソウの背後で言いながら、ケイもその場から少しずつ遠ざかっていった。<br><br>「あ、何を自然にフェイドアウトしようとしてるんですかっ！？」<br><br>気付いたソウがケイに詰め寄り、2人は何かを言い合うようにしていたが、結局いつの間にかいなくなってしまった。<br><br>「・・・マジかよ」<br><br>まだ女に視線を注いだままのシンが呟いた一言に、はぁっと大きな溜息を漏らしたトシは<br><br>「ったく、いまさら落ち込んだって遅いってんだ」<br><br>じろりと横目で睨みをきかせた。<br><br>しかし、シンは落ち込んでいるどころかランランと目を輝かせて矢が刺さった太股をじっくりと眺めていたのだった。<br><br><br>「あぁーあ、どうしようもねえな・・・お前は」<br><br>シンに呆れたトシは出来るだけ動かさない様にしながら、女の身体を抱きあげた。<br><br>「どないしはりますの？」<br><br>シュンの問いかけに<br><br>「どうって、とりあえず連れて帰って手当してやんねえとな」<br>「手当って・・・その女は」<br>「わぁってるよ。でもよ、悪魔だろうが・・・その、い、淫魔だろうが、このまま放っちゃおけねえだろうが」<br>「あ、トシずるいぞ。お持ち帰りしてどうするつもりだ？」<br>「アホか・・・元はと言えばお前がだなぁ・・・おい、じゃあお前が連れて帰って責任取るか？」<br><br>胸元に抱えた女を前に突き出すようにして、シンに一歩近づくと。<br><br>「ん～、それはちょっと遠慮するわ」<br><br>くくくっと笑って、シンは首を左右に振った。<br><br>「ったく・・・はいはい、わかったよ」<br><br>やっぱりか、と思いながらがっくりと項垂れてから、シュンとシンに背を向けて<br><br>「じゃあな」<br><br>完全に気を失っているLをしっかりと胸の中で抱えたまま、自分の住処のある東の空へ向けて飛び立った。<br><br><br><br><br><br><br><br>放っておけなくて自分の家に連れ帰って来たものの、ベッドに寝かせたLを見下ろして大きな溜息をつく。<br><br>「はぁっ・・・こうして眺めていても仕方ない・・・まずは手当て、しねえとな」<br><br>今は幸い刺さった矢が止血している状態になっているが、これを一気に引き抜くと大量の血が出るかもしれない、そう考えてベッドの近くに掛けてあった自分のローブの腰紐を取った。<br>そして、脚の付け根に巻きつけてきつく縛る。<br><br><br>「・・・痛みで起き上がるかもなっ、と！」<br><br>矢を掴み、ぐっと一気に引き抜いた。<br><br><br>「ぅうっ・・・」<br><br>やはり相当の痛みだったのだろうか、くぐもった声を上げてLが目を覚ました。<br><br>「・・・っつぅ・・・あ、こ、ここは？」<br><br>きつく縛った紐のおかげで大した出血はなかったが、じわりと血が滲んだ太ももを押さえながらベッドの上から部屋の中を見回す。<br><br>「おう、大丈夫か？」<br>「え、あ、あなたは？」<br>「この矢が刺さったときの事、覚えてねえか？」<br><br>トシは引き抜いた金の矢を持ち上げてLの目の前に差し出す。<br><br>「・・・確か、天使界を通過してる時に・・・っ！！！」<br>「思い出したか。あんたの脚にこの矢が刺さり、意識を失って俺たちの居た場所へと落ちてきたんだ」<br>「あ、そう・・・だっ！大長老のところへ・・・痛っっ！」<br><br>Lは起き上がろうと手をついて身を起こしたが、あまりの痛みで再びベッドへと寝転がってしまった。<br><br>「ど、どうしよう・・・サタンのお小言はもうウンザリなのにぃ・・・」<br><br>仰向けの状態で左腿を押さえなら、Lは涙声で呟いた。<br><br>「あ、あんた、どこかへ向かってる途中だったのか？」<br><br>8人の天使の中でも女の涙に1番弱いトシは、Lの目尻に光った涙粒を見た途端に狼狽えだした。<br><br>「ぅ・・・ぐすっ・・・サタンの遣いで大長老のところへ行かなきゃいけなかったの」<br>「そ、そうなのか・・・弱ったな・・・」<br><br>トシはぼりぼりと頭を掻いて、無駄にベッドの横を行ったり来たりする。<br>こいつがやりましたってシンを連れてきたところでどうしようもない。<br>とりあえずは治療をする事が最優先なのだろうと思い、薬草の入った瓶を棚からつかみ取った。<br><br>「少ししみるかもしれんが、この薬草を擦り込めば多少は早く治るだろう」<br><br>そう言い、ベッド横の椅子に座り、瓶の蓋をねじって開けた。<br><br>「薬草・・・？そんなものではすぐ治らないわ」<br>「えっ？じゃ、じゃあ」<br>「あなた、私の種族、わかってる・・・わよね？」<br><br>痛みに表情を歪めてはいたが、明らかに薄笑いを口元に浮かべたLがなんとか起き上がり、言った。<br><br>「しゅ、しゅ、しゅ・・・種族って、そりゃおめぇ・・・あれだろ？あれ・・・」<br>「そうよ、サキュバス・・・淫魔よ」<br><br>弓状に吊り上がったLの唇の両端から、小さな牙が2本覗いた。<br><br>「わ、わかってるよ・・・なんだ、お前らの種族は薬草が効かないのか？」<br><br>じわっと背中に嫌な汗が浮かぶのを感じながらも、瓶から取り出した薬草を右手ですり潰しながら尋ねる。<br><br>「いいえ、効かない訳じゃないけど」<br>「だったら」<br>「もっと早く治る方法があるの」<br><br><br>くすっと小さく笑って、Lはトシの右手を掴んで引き寄せた。<br>薬草はトシの掌から床へと落ちた。<br><br>トシの右手を掴んだまま、反対の手を首の後ろに回して<br><br>「あなたの精気を分けて頂戴・・・」<br><br>耳元でねっとりと囁いた。<br><br>まるで麻薬のような甘い囁き声に、頭の奥が痺れたようにくらくらとして、今度は持っていた瓶を丸ごと床に落としてしまった。<br><br>ゴトリ、とガラスがフローリングにぶつかる重い音がして、呪文をかけられたようにふらっとLの上に被さりベッドへと雪崩れ込んだ―――<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>「ありがとう、おかげでもうすっかり飛べるわ」<br><br>左腿の傷口はまだ塞がりきってなかったけれど、もう痛みを感じないのか、小さ目に黒い翼を羽ばたかせて床からふわりと浮き上がってみせた。<br><br>トシはというと、すっかり疲労困憊の様相で、ベッドの上で胸を上下させて浅く早く呼吸を繰り返していた。<br><br>「じゃあねっ、また何かあったらヨロシクね！」<br><br>Lはひらひらと掌を振って、玄関の扉を開けて去って行った。<br><br><br>その直後、やっぱり様子が気になったのか、シンが果物を両手いっぱいに抱えてトシの家を訪ねてきた。<br><br><br>「邪魔するぜ・・・って、おっ、おいっ！」<br><br>ベッドの上で裸のまま横たわっているトシを見つけたシンは、果物を放り投げて駆け寄った。<br><br>「大丈夫か？」<br>「ん・・・あ、なんだ・・・お前かよ」<br>「お前かよって、どうしたんだよその恰好は？そ、それに、あの魔族の女は？」<br>「は、はははっ・・・このザマだよ」<br>「えっ？まさか、お前」<br>「精気を吸い取るほうが、薬草よりも数倍も早く傷が治るんだってよ」<br><br>床に転がったままの瓶と、無残に散らかった薬草を指さした。<br><br>「うわぁ・・・マジか？じゃあ俺が連れて帰れば良かったぜ」<br>「ったく、お前はどうしようもねえ奴だな。大体こうなったのだってな」<br>「はいはい、さっきも聞いたよ。俺のせいだって言うんでしょ？」<br>「そうだろーがっ！」<br>「あぁーあ、またこの矢で脚を撃ち抜いた時は俺が連れて帰るからな」<br><br>シンは腰にぶら下げた弓と矢視線を落としてくっくと笑った。<br><br>「勝手にしろっ！このっ、バカ野郎！」<br><br><br><br><br><br><br>≪end≫<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11581118311.html</link>
<pubDate>Sat, 27 Jul 2013 16:46:30 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>平助日記5</title>
<description>
<![CDATA[ <br><br>俺たちが南雲の口から聞かされたのは、世にも恐ろしい驚愕の事実だった―――<br><br><br><br>「ですからね、元々、風間さんが狙っていたのは僕だったみたいなんですよ。それがある時、ストーカー被害にあっている雪村さんを見かけて、僕と勘違いして助けたみたいなんです」<br>「はぁぁあああああんん？」<br>「な・・・んだっ？そりゃ？？？」<br><br>俺と新八っつぁんは顔を見合わせ、そしてまた南雲を見た。<br>すると南雲は、外国人がよくやる感じで目を閉じて両手を腰あたりで広げて首を左右に振った。<br><br>てか、なんで「ふぅ、どうしてわからないんですかねぇ？」みてぇな顔すんだよ！<br>そりゃどー考えたって理解しろっつー方が無理だろ！<br>こんな事に踊らされてた俺たちや雪村千鶴がバカみてーじゃねーかっ！！！！<br><br>「じゃあなんだ？あいつはお前ぇを嬢ちゃんだって思ってたって事か？ん？あれ、違うな・・・なんかこんがらがって、わかんなくなっちまったぞ？」<br><br>ほらー、新八っつぁんが頭を抱え込んじまったじゃねーかよー。<br><br>「えっと、風間さんは最初僕の名前も何も知らなかったんですよ。そんな頃に雪村さんを助けて、そのストーカー行為っていうか・・・かなり積極的なアプローチっていうか」<br>「いやいやいやいやいや、かんっぜんに、やってる事はストーカーで変態だろ」<br>「ま、まぁ、要するに僕の名前が雪村千鶴だって思い込んでたみたいなんです。だから手紙とかを郵便受けに入れるのも、疑問を持たなかったみたいです」<br><br>つーかさ、お前は俺たちが雪村の部屋に行ってる間に風間に遭遇して、そこで謎は解けたかもしんねえけど、んな説明を受けてそれですんなり「はいそーですか」ってなっちまう訳ぇ？<br>うっわー、ムリムリムリムリ、理解できねぇぇぇー！！！<br>それにお前、やっぱ普段からガッツリ女装とかしてんだ？<br>しかもさ、なんかちょいちょい南雲が風間をかばってる的な感じ出して来てねえか？<br>え、なに？そういうこと？<br><br>そろそろ俺もパニックになりそうになった時。<br><br>「おい、お前たち我が妻と何をコソコソしておるのだ」<br><br>あ、一番のバカ野郎がこっちに近づいて来た。<br><br>「お、俺はもう帰るからなっ！」<br><br>怒り疲れた土方さんは、それでもまだプンスカしながら運転席に乗り込んで、俺たちを置き去りにしてさっさと発進しちまった。<br><br>「ちょっ、おいっ！土方さんっ！」<br>「待ってくれよ、おいって！」<br><br>50ｍほど全力で走って追いかけたが、車は停車する気配もなく、とっとと曲がり角を曲がって行った。<br><br><br>「はっ、はぁっ、はぁっ・・・ふ、ふざけんなよー、歳三っ！陰険！」<br>「はぁ、はぁ・・・バーカバーカ！あんたの俳句、へたくそなんだよーっ！」<br><br>完全に聞こえないのを良い事に、俺も新八っつぁんも息を切らしながら大声で思う存分土方さんを罵った。<br><br><br>さて・・・。<br><br>「はぁっ、はぁっ・・・おい、どうする？新八っつぁん」<br>「はぁ、はぁ・・・どうするったって、おめぇ・・・どうしよ？」<br><br>はぁぁ・・・と、あがった息に混じらせて溜息を吐いた俺たちは、とぼとぼと南雲と風間の方へと歩き出した。<br><br><br><br>「で、この風間って野郎がとんでもなく阿保で変態だってのは分かったぜ」<br><br>しかし、雪村の家に不法侵入した事は許されない。<br>被害者である彼女にも事情を説明して、警察へ通報してもらうのが最善かと思われた。<br>が、しかし―――<br><br><br><br>事の成り行きを電話で伝えると、彼女は風間を警察に突き出すつもりはないと言ったのだった。<br>どうしてだよっ？って、何故か憤りを感じた俺は雪村にきつく言っちまったけど、勘違いでストーカー行為されたけど最初に助けてくれたのは事実だし、それにもう自分に被害が及ぶ心配がないと分かったから、という事だった。<br><br>腑に落ちないけど、本人がそう言うんなら俺たちが訴える事もできねえし、仕方ないかって事になった。<br>なんか人が良すぎんだよなー、この依頼者。<br>南雲も南雲でなーんか風間に対してまんざらでもねぇって感じだしよ。<br>風間もこいつが実は男子高校生だって知ったみてぇだけど、なんかあんま関係ねぇみたいだしな・・・。<br><br><br>「あぁーあ、アホらし。帰ろうぜ、新八っつぁん」<br><br>俺は、まだこんがらがった頭をぐしゃぐしゃと掻きむしってる新八っつぁんの腕を掴み、駅の方へと歩き出した。<br>背後から、南雲が俺たちに向かって何か言ってた気がするけど、怒りで昂った俺の耳には何も届かなかった。<br><br><br>最寄り駅へ向かう商店街を歩きながら、おさまりきらないモヤモヤを新八っつぁんにぶつけた。<br><br>「なぁ、これって依頼料は誰から取ったらいいんだよ？」<br>「さぁーな」<br>「さぁーな、じゃねえよ！雪村千鶴に払わせるのはあんまりにも酷じゃんかよ」<br>「んじゃあ、南雲か風間にでも払わせるか」<br>「そーだよ、そーするべきだ！」<br>「しっかしよ、とんでもねえ結末だったな」<br>「ほんとだぜ、ありえねーっつーの」<br><br>そんな会話をちょうど居酒屋の前を通りかかった時にしてたもんだから、新八っつぁんの提案で酒でも飲んで憂さ晴らしてから帰ろうぜって事になった。<br><br>そんで俺たちは相当ぐでんぐでんになるまで酒を飲んだ。<br>俺が呼んだのか、新八っつぁんが呼んだのか覚えてねえけど、何故か左之さんと総司も居酒屋に集まっていた。<br><br><br><br>「くっくっく・・・さずが南雲薫」<br>「バァロォォ、笑いごとじゃねえぞ、総司ぃ」<br>「っんとだよ、1週間なんらったんらっつーの！」<br>「まぁまぁ、落ち着けって二人とも。結果的に無事解決したから良かったじゃねぇか」<br><br>今回の依頼の結末を話すと、他人事だからって総司はずーっと笑ってるし、左之さんだって俺たちが荒れてるのが面白いらしく、さっきっからニヤニヤしてやがるし。<br><br>「そんなことよりも、ら」<br>「おう、どうした平助。そんな事より、なんだぁ？」<br><br>どんっ！と勢いよくテーブルを叩きつけて俺が立ち上がると、煽るような口調で左之さんがたきつける。<br><br>「あの土方の歳三めぇー、おれぁ、許さねえぞぉぉ」<br>「そーだっ！俺たちを置いてけぼりにしやがってよぉ」<br>「こんな事になるんらったら、伊東さん作戦でいきゃぁ良かったじゃねえかよー」<br>「そーだそーだーっ！」<br>「そしたら、あの冷血土方が伊東さんの餌食になってよぉ」<br>「そーだそーだーーーっ！」<br>「おい、新八・・・お前さっきからそーだそーだしか言ってねえじゃねえか」<br>「るっせえ、左之」<br>「はいはいはいはい、新八さーん、ほら、ぐぐっと飲んで飲んでー」<br>「おぉう、総司ぃ、悪ぃな」<br><br><br><br><br>こんな調子で飲み続けた俺たちは、いい加減うるさいからと店を追い出されてしまった。<br><br><br>俺のこの日の記憶はここまでで、こっから後はぜんっぜん覚えてねえ。<br><br>次の日の朝、目が覚めたら俺と新八っつぁんは事務所のソファ（から転げ落ちた状態）で寝てたんだけど、そこには左之さんと総司の姿はなかったんだ。<br><br>んで、こっからが最悪なんだけど、泥酔した俺と新八っつぁんで土方さんのデスクにあった色んなもんに落書きしちまったみたいで・・・。<br>調査資料とか、土方さんの私物のあちこちに「ナルシスト野郎」とか「女たらし」とか「バカ」とか「うんこ」とか書いちまったんだ。<br><br>被害は土方さんだけでなく、一くんが事務所に置いてる常備薬は全部「石田散薬」って書き換えてあったり。<br>これはどう見ても新八っつぁんの字だったんだけど、土方さんの悪口のうちのいくつかはどう見ても総司の書いた文字の気がしてならねえものもあった。<br>つーか、ほとんど総司の仕業じゃねぇの？<br><br>けど結局、酷い二日酔いで使い物になんねえ俺と新八っつぁんはこの惨劇を片付ける事も出来ないまま、出社してきた土方さんにこってりとお説教を食らった挙句、今回の一連の依頼料を二人が肩代わりするっていう信じらんねえおまけ付きだった訳で。<br><br><br><br><br><br>―――と、まぁこれが俺のとある日の出来事。<br><br>あ、勘違いしないでくれよな、こんな奇妙な依頼や残念な結末がいつもって訳じゃねえから。<br><br>だからさ、なんか困った事あったらいつでも電話してきてくれよ。<br>まずはぶっきらぼうな一くんが電話に出るけどな。<br><br><br><br>-追記-<br>ちなみに後日、風間と痴話喧嘩したっつー南雲が依頼相談に来たけど、ふざけんなっつって断ってやったぜ。<br>ざまーみろってんだ。<br><br><br><br><br><br><br><br>≪平助日記　end≫<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11580514932.html</link>
<pubDate>Fri, 26 Jul 2013 16:48:20 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>平助日記4</title>
<description>
<![CDATA[ <br>「で、嬢ちゃん」<br><br>新八っつぁんは依頼人・雪村千鶴の事をそう呼ぶ。<br>10代ならまだしも、20代の女性に向かって嬢ちゃんはないと俺は思うんだけどな。<br><br>「部屋に侵入された痕跡、とは具体的にどういった事だ？」<br><br>新八っつぁんの言葉の続きを土方さんが尋ねた。<br><br>「あ、はい・・・それ、なんですけど」<br><br>彼女はテーブルの上にあるティーカップセットを指さした。<br><br>「ん？これがどうしたってんだよ？」<br>「私、今朝きちんとテーブルの上を片付けてから出勤しました」<br><br>几帳面な性格なのか、女子の部屋ってのは大体そうなのか。<br><br>俺たちは10畳ほどのリビングの真ん中に置かれたソファとテーブル辺りに集まっていたから、顔を左右に動かして部屋の全体を改めて見てみた。<br><br>俺なんて出かける前にテーブルの上を片付けるどころか、シンクの洗い物だって何日もほったらかしにしてるけどなぁ。<br>左之さんだって俺と似たようなもんだし、新八っつぁんの部屋なんかもっとヒドイもんだぜ。<br>ま、一くんに関しちゃこの部屋と同じぐらい、いや、もっと整理整頓された部屋に住んでるけどな・・・。<br><br>だから、彼女の記憶違いってことはないんだろうな。<br><br>「じゃあ明らかに嬢ちゃん以外の誰かが居たっつー事だな？しかも勝手に茶ぁ飲んでいくたぁ、図々しいにもほどがあるぜ全く」<br>「合鍵を渡している誰か、という事はないのか？」<br>「はい、私が持っているマスターキー以外、合鍵は土方さんにお預けした1本のみです」<br><br>彼女はカップから目を逸らすようにして言った。<br><br>しかもよく見ると、勝手に紅茶だかコーヒーだかを飲んだだけではなく、持参したのか何なのか、茶菓子の残骸までありやがる。<br><br>この段階で風間と決めつけるのはあれだけど、まぁ間違いないだろうな。<br>だとしても、ほんっとに意味不明な事しやがるな。<br><br>「あんた、もう大丈夫なのか？」<br><br>見る限り、さっきまで震えていた身体はすっかり元通りになっていた。<br>しかしこんなことがあっては精神的ダメージは相当なもんだろうな。<br><br>「はい、大丈夫です。みなさんが帰ったらしっかりチェーンロックしますから」<br><br>気丈に俺の目を見て答えた。<br><br>「そうか、じゃ俺たちは行くぜ。また何かあったら時間は気にしなくていい、いつでも電話してくれ。平助、新八、行くぞ」<br><br>土方さんに続いて俺も新八っつぁんも立ち上がった。<br><br>「じゃあな、嬢ちゃん」<br>「気をつけろよ」<br>「はい、ありがとうございました」<br><br>俺たちを玄関先まで見送って、雪村は深々と頭を下げた。<br>靴を履き、外に出てドアが閉まると、ちゃんと施錠する音とチェーンロックをかける音が聞こえた。<br><br>「あ、南雲を置き去りにしたまま・・・だったな」<br><br>土方さんがポンと手を叩いてそう言うまでは、俺も新八っつぁんもすっかりそのことを忘れてしまっていた。<br>けどまぁ、別に30分ぐらいだし、携帯でもいじって待ってるんじゃねえの？現代っ子だし。<br><br>誰もが急ぐ様子もない歩調で車まで戻ると。<br><br>「あ、れ・・・？南雲、いねえな」<br><br>土方さんが最初に気づいた。<br><br>「ホントだ、どこいったんだ？」<br>「俺たちが遅ぇから勝手に帰っちまったとか？」<br><br>俺と新八っつぁんが車内を覗き込んだ時、背後から間抜けな台詞が聞こえた。<br><br>「あれぇ？もう戻って来たんですか？」<br><br>振り向くと、南雲と一緒にあの風間が立っていた。<br>写真で見たふてぶてしい顔。<br>ちょっとはイケメンだけど、まぁ俺ほどじゃねえっつーか。<br>・・・とにかく、あの風間に間違いなかった。<br><br><br>「どわぁぁぁっ！！」<br>「お、おまっ・・・風間っ！？」<br>「どっ、どうして南雲と一緒に？」<br><br>俺たちは驚きを隠せずに思わずそれぞれが大声を出しちまった。<br>でもすぐに、土方さんが風間の襟元を掴んで詰め寄った。<br>こういう時、さすがに俺たちのリーダーになるだけはあるなって思うぜ。<br>びっくりしすぎた俺と新八っつぁんはただ口をパクパクさせて固まるしかできなかったんだ。<br><br>「てんめぇー、風間っ！雪村千鶴へのストーカー行為で警察に突き出してやる！来やがれっ！」<br><br>土方さんの唾が盛大にかかる距離で怒鳴られても、風間って野郎は全く怯む様子もなく、それどころかフン、と鼻を鳴らしてその手を簡単に払いのけた。<br><br>「無礼な奴らだ、ストーカー行為とか訳の分からんことを言うな」<br><br>はぁぁ？こいつ、やっぱヤバイって！<br>さすがの土方さんも思いっきり面食らった顔してギリっと歯ぎしりした。<br><br>「俺の嫁だとか何だとか言ったり、写真入りの手紙を送り付けたり、挙句の果てには勝手に住居に侵入したりしやがっただろうが！？まさか知らんとは言わせねぇぞっ！」<br><br>今度は鼻先が触れそうな近さまで顔を寄せて怒鳴りつけた。<br>あの眼光で睨まれても狼狽えもしない風間って、どんだけ肝すわってんだよ？って俺はこんな時にそんな事を考えてしまっていた。<br><br>「おい、何か勘違いしておらんか？」<br><br>なんだろう、こいつさっきから妙に口調が上からっつーか、時代錯誤っぽいっつーか。<br>お前は公家か！？と俺は心の中で一人で突っ込む。<br><br>「な、何が勘違いだっていうんだよ？」<br><br>何故か逆に土方さんが狼狽えてるじゃねえかよ、大丈夫か？<br><br>「ふん・・・〝俺の嫁″ではなく〝我が妻″と言ったのだ」<br>「・・・・・・っだぁーーーーーーーーっ！んな違い、関係ねぇだろーがっ！」<br><br>完全に風間って野郎のがウワテだ・・・。<br>沸騰しきった土方さんの脳天から湯気が上がるのが見える気がするぜ。<br><br><br>「ちょ、ちょっと待って下さい」<br><br>そこにいきなり南雲が割って入り、土方さんの腕と俺、新八っつぁんの腕を掴んで風間とは逆の方へと引っ張った。<br><br>「お、おいおいおい。邪魔すんじゃねえよ」<br>「そうだよ、あいつ捕まえねえと」<br><br>俺たちが口々に南雲を責めると。<br><br>「勘違い、だったんですよ」<br>「だーーーーーーーかーーーーーーーーーらーーーーーーーーー、嫁だろうが妻だろうが、そこはあんまし重要じゃねえだろうが？」<br><br>土方さんは南雲に対してまでもキレ出してしまった・・・。<br>いや、でもまぁ、この状況のそこの部分を今更指摘されてもねぇ。<br><br>「そうじゃなくて、勘違いだったというのは・・・」<br><br><br>なんだよ、南雲。<br>土方さんにだけ耳打ちして。<br>俺だって気になるじゃねえかよ。<br>俺と同じように思ったのか、横の新八っつぁんを見上げるとイラついた表情で2人のやりとりを見ていた。<br><br>「・・・というわけです」<br><br>説明を終えた南雲が土方さんの耳元から口を離すと。<br><br>「っっだぁーーーーーーーーーーーっ！！！！ふざけんなっ！なんなんだっ！？」<br><br>とうとうぶっ壊れちまったのか、土方さんがダンダン！と地団駄を踏みながら叫んだ。<br><br>「なんなんだよ、どうしたんだよっ？」<br>「そうだよ、俺たちにも説明してくれよ！」<br><br>新八っつぁんと抗議すると、南雲が小声で説明を始めた。<br><br><br><br><br><br><br><br>≪平助日記5へ続く・・・≫<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11579466807.html</link>
<pubDate>Thu, 25 Jul 2013 00:05:21 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>平助日記3</title>
<description>
<![CDATA[ <br><br><br>総司の話によると、依頼者の雪村千鶴にそーーーーーーーーーーっくりだと言う男子は「南雲薫」という名前で、現在男子校に通っている18歳だそうだ。<br><br>それはもう、瓜二つだと写真を見ながら総司は言ってたけどさ。<br>そうは言っても、男子高校生と20代の女性がそっくりだなんて・・・実はどっかで血が繋がってたりして、なんて思っちまう。<br><br>総司が一体その子にどんな貸しがあるのかはさておき、女装が趣味だというその男子に雪村千鶴を装わせるっていう作戦で行く事になった。<br><br>土方さんはあからさまに胸を撫で下ろしていたけど、何故か山南さんはちょっと残念そうな顔をしてた。<br>そんなにも伊東さん作戦でいきたかったのかよ？<br><br><br><br><br>いろいろ話し合って、結局は総司が提案した「南雲薫女装作戦」を決行する事になった。<br>その作戦の中身はこうだ。<br><br>これから2日に1回、決まった時間に依頼者の雪村千鶴がこの事務所を訪ねて来る。<br>そこで、先に待っていた南雲薫と洋服を交換してなりすましてもらい、事務所からマンションに帰宅するまでの間に風間って野郎がコンタクトをしてくるのを待って、後をつけた俺たちが取り押さえるって算段だ。<br><br>事務所に来る日以外は、できるだけ電車や徒歩での外出を避けてもらい、会社へもタクシーで通勤してもらう事になった。<br>幸い、依頼者が職場から2駅ほどの場所に住んでいたこともあり、出費の面でもあまり負担がかからない。<br><br><br>雪村千鶴の住むマンションは、正面入り口から2度オートロックを解除して奥へと進み、突き当りのエレベーターで地下1階に降りると駐車場へつながっているらしいので、何もなければその地下駐車場で南雲薫と合流してから雪村千鶴は自宅階へと戻ることになる。<br>そして南雲薫は俺たちの車に乗せて地下駐車場から脱出するのだ。<br><br><br>そして、この作戦で俺と土方さんが事務所から出た後の南雲薫の行動を追う事に、新八っつぁんが車で雪村千鶴を駐車場まで乗せてくる役目に配属された。<br><br>作戦を開始して1週間、何事もなく過ぎていった――――<br><br><br><br>「なぁ、その風間ってやつ・・・依頼者の勘違いじゃねえのか？」<br><br>俺は南雲の後を、土方さんと追っている最中にそう切り出した。<br><br>「んん・・・そうだなぁ。まさか、俺たちの存在に気づいてるって訳でもないなら、ここまで何のアクションもねえとな・・・」<br>「だろぉ？大体さー」<br>「平助っ！」<br><br>何かに気づいた土方さんが、潜めた声で俺の言葉を遮った。<br>視線の先を追うと、駅の改札を出た南雲に近寄る男の姿が見えた。<br><br>まさか、あれが風間かっ！？<br><br>俺たちは少し急ぎ足で、それでいて南雲に近づきすぎないように改札を出た。<br><br>すると、近づいた男は南雲に向かって小さく会釈してその場を立ち去って行った。<br>その時に手元に地図らしきものを持っているのが見えたので、どうやら道を尋ねただけらしいことが分かった。<br><br><br>「なぁんだ、道聞かれただけか」<br>「あぁ、そうみたいだな」<br><br>南雲はチラっとこちらを見て、すぐにマンションのある方角の商店街に向けて歩き出した。<br>口元に笑みなんか浮かべやがって、気味の悪りぃ奴だぜ、まったく。<br><br><br>10メートルぐらい、南雲の後を歩きながら、今までずっと気になっていたことを土方さんに聞いてみる事にした。<br><br>「なぁ、そういえばあの依頼者さ、なんで風間ってやつの写真なんか持ってたんだ？」<br>「あぁ、それか」<br>「だってよ、普通ストーカーつったら被害者の写真を勝手に撮るとかなら考えられるけど、その逆だろ？」<br>「いや、なんかな郵便受けに手紙が毎日投函されているらしいんだ。しかも切手も貼ってなければ当然消印もない。てことは、だ」<br>「うわぁー、実際に風間って野郎が投函してるって訳かぁ」<br><br>考えただけでもげんなりしちまうぜ。<br><br>「って事だろうな。で、その手紙の中に自分の写真を毎回入れて来るらしいんだな」<br><br>土方さんも妙な表情でポツポツ語った。<br>なんかストーカーっていうより、単なるアブナイ奴じゃねのか？それって。<br><br>話してるうちに、今日も何事もなく依頼者雪村のマンションに到着した。<br><br>マンション前を通り過ぎるふりをしながら、エントランスに消えてゆく南雲の後ろ姿を確認した。<br><br>「今日もなんもなかったな」<br>「そうだな、手紙も最近は投函されなくなったらしいからな」<br>「一過性のものだったのかな？」<br>「どうだろうな・・・まだ安心はできんと思うが、俺たちがこうやっている事で依頼者が安心できるのならそれでいいのかもしれんな」<br>「どーせ駐車場の方も、大丈夫だろうしな」<br><br>俺はそう言って、マンションの角を曲がった場所にある駐車場出入り口から南雲を乗せた新八っつぁんの車が出て来るのを待っていた。<br><br>1、2分して新八っつぁんの運転する車が出てきた。<br><br>出口でいったん停止して、俺と土方さんが後部座席に乗り込むと車は南雲の自宅方面へと向けて走り出した。<br><br><br>「今日も無事で何よりだぜーっと」<br><br>新八っつぁんが呑気な口調で言って運転席の窓を全開にすると、初夏の生ぬるい風が車内を駆け抜けた。<br>乗り込むなりすぐに土方さんが吸い始めたタバコの煙が、俺にめがけて流れて来る。<br><br>おっと、すまんと土方さんは自分の横の窓を開け、煙が外に流れるように煙草を右手に持ち替えた。<br><br><br>「南雲、今日もすまなかったな」<br><br>土方さんが声をかけると助手席の南雲は振り返って微笑んだ。<br><br>「いいえ、趣味の女装が堂々とできるんですから・・・僕は何日続いたって構いません」<br>「そ、そうか・・・は、ははっ、ははは・・・」<br><br>予想外の答えに土方さんが苦笑した。<br>俺も新八っつぁんもつられて苦笑していると、<br><br>『ピリリリリリ　ピリリリリリ』<br><br>誰かの携帯の呼び出し音が鳴った。<br><br>「俺だな」<br><br>土方さんがポケットから携帯を取り出して画面を見るなり、<br><br>「新八！引き返せっ！」<br><br>大きな声でそう言って、電話に出た。<br><br>「へっ？」<br><br>運転しているから、顔は前に向けたままで新八っつぁんが聞き返す。<br><br>「雪村さんかっ！？どうした？何があった？」<br><br>慌てた土方さんの声で悟ったのか、新八っつぁんは国道の信号でUターンして雪村のマンション目がけてアクセルを踏み込んだ。<br><br>エンジン音が唸りを上げて、隣で会話している土方さんの声もよく聞き取れなかった。<br><br>「わかった、すぐに部屋に行くからそこから動くなよ！」<br><br>電話を切ってすぐに、チっと舌うちをした後<br><br>「誰かが部屋に侵入した形跡があるっぽいんだ」<br><br>苦々しい顔で窓の外を睨みつけた。<br><br>「げっ！マジかよ？」<br>「彼女はトイレに入って鍵をかけて、そこから電話してきたらしい」<br><br>今度は新八っつぁんにも聞こえるぐらいの大きい声で言った。<br><br>「風間、なのか？」<br><br>すさまじいエンジン音に負けないようにと新八っつぁんも大声で問い返す。<br><br>「いや、風間かどうかはわからんが、間違いないだろう」<br>「でもま、気づいてトイレに逃げ込んだんなら安心だな」<br>「あぁ、しかしまだ部屋の何処かにいるならとっ捕まえてやる！」<br><br>雪村のマンションからはまだそんなに離れてはいなかったから、俺たちはすぐに戻って、念のためにと土方さんが預かっていた部屋の鍵で彼女の居住階へと上がって行った。<br><br>マンションの10階に位置する部屋だから、窓から逃げられるという心配もないので、俺たちは勢いよく部屋へと駆け込んだ。<br><br>まずは俺が入り口付近のトイレのドア越しに雪村千鶴に話しかける。<br><br>「俺だ、藤堂だ、大丈夫か？」<br>「・・・は、はい・・・大丈夫です」<br>「部屋の中に誰もいないか確認出来るまで出てくるんじゃねえぞ！もうしばらく待っててくれ！」<br>「わ、わかりました」<br><br>返事を聞いて、俺も土方さんたちが入って行ったリビングへと向かった。<br>すでにリビング、キッチン、ベッドルーム、ベランダ、バスルームを土方さんと新八っつぁんが見て回った後だったが、誰も居なかったらしかった。<br><br>俺はまたトイレの前へ行ってドアをノックする。<br><br>「おい、出てきても大丈夫だぜ」<br><br>ゆっくりとドアが開くと、小刻みに震えながら半泣き状態の雪村千鶴が出てきた。<br><br>「あ、ありがとうございました・・・」<br><br><br><br><br><br>南雲薫をマンション前に停めた車に残したままだったが、俺たちは彼女が落ち着くまで一緒にいる事にした。<br><br><br><br><br><br><br><br><br>≪平助日記4へ続く・・・≫<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11578638127.html</link>
<pubDate>Tue, 23 Jul 2013 18:49:28 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>お話ではなく、自分の事なので興味ない方スルーしてねっ</title>
<description>
<![CDATA[ 最近なんとなくモヤモヤしちゃって、あまり人に相談できる内容でないのでここで吐き出してみよう。<br><br>表題の通り、個人的な事なので読者様で興味ない人はごめんなさい。<br><br><br><br>もう出会ってから10数年の男性がいる。<br><br>彼が未婚の時代から私たちは「恋人」というよりはもっとライトな関係だった。<br>なんちゃらフレンド、みたいな。<br><br>当時、4年間同棲した男に一方的に捨てられてかなり傷心だった私を慰めてくれたのが彼だった。<br><br>その同棲した男は、ハッキリ言って私からの一目惚れ。<br>すっごく押しまくった末、略奪っぽい感じで付き合う事になった9歳上の男。<br><br>ワイルドで筋肉質で、焼けた肌に背中・腕・脚と、全身にトライバルタトゥーを入れてて、バンドやってる人だった。<br>フィギュアとかお笑いとかが大好きで、大人なのに少年っぽさがたまらなかった。<br><br>別れた当時はボロボロになってやさぐれて、毎晩とんでもなく遊び歩いて、例え夜中の3時に仕事が終わっても知り合いのバーに飲みに行って、そこのオーナーと一晩を共にして・・・とか、そのバーのオーナーの知り合いで別のバーのバーテンを持ち帰ったりとか。<br><br>ほんと、とんでもなく荒れてたｗ<br>でも、今思い返しても・・・その食い散らかしてた頃の自分って面食いだったなぁって。<br><br><br>で、その同棲してた男は今でもたまーーに仕事で偶然会ってしまうことがあるけど、もう未練はなくて、一緒に過ごした楽しかった思い出しかない。<br><br><br><br>んで、最初の男性の話に戻る。<br><br>傷心を慰められてるうちになんとなく恋心が芽生えてしまった。<br><br>当時は相手の男性には同棲している年上の女性がいて、まわりの誰もがその2人は結婚するんだと思ってた。<br><br>だけど、お互いがバツいちだったことなどもあり、色々あった末に2人は別れることに。<br><br>そんなバタバタしている最中にも、私とこの男性のライトな関係は続いてて、まだ恋心も淡いうちだったので、この男性が別の女性と結婚したって聞いてもそれほどショックではなかった。<br>（結婚する、じゃなく、結婚した、と周りの人間から聞いたというｗｗｗ）<br><br>割とモテる人で、同じ会社の女子社員で彼の事が好きだって子が実は2人いた。<br><br>1人はめっちゃ「好き好き付き合って！」と押しまくってた。<br>1人はその子の相談に乗るふりしながらこっそり隙を狙ってた。<br><br>私はというと、その2人を傍観しながらその男性と週1ぐらいで会っていた。<br><br><br>お互いの誕生日を一緒に過ごしたり、夏には一緒に海へ行ったり、色んなところにドライブデートしたり、食事しに出かけたり、うちに泊まりに来たり。<br><br>普通に付き合ってるみたいな、そんな関係が数年続いた。<br><br>で、ある時彼がパパになった。<br><br>誰よりも最初に、と授かったことがわかってすぐに私に報告してくれた。<br><br>そん時、とてもおめでたい事なのになんだか凄く切なくなって、その人の事がめちゃくちゃ好きなんだって実感した。<br><br>子供が産まれてからもどちらかが会いたいといえば、お互いに都合を調整して会ってた。<br><br>だけど、数年前の私の誕生日。<br>「帰らなきゃ」と食事の後、私を家まで送ってくれてすぐ去って行った時に関係を終わらせようって決めた。<br><br>こちらから誘いの連絡をすることをやめたら、それ以来そういう関係はぱったりと途切れた。<br><br>別に嫌いになった訳じゃなかったけど、世間に堂々とできる関係でもなかったし、いい引き際だったと思う。<br><br><br>セックスしなくなれば、不思議と気持ちも冷めていった。<br><br>少し前に酔っぱらった彼に昔みたいなキスをされたけど、もう何とも思わなかった自分がいた。<br><br>壁に押し付けられてキスしてる間も、心の中では「あー、キスとか久しぶりじゃね？」ぐらいの感じ。<br><br>（どんだけご無沙汰なんだ？ってねｗｗｗ）<br><br><br>で。<br>この男性が最近また、食事のお誘い連絡を猛烈にしてくるようになった。<br><br>その後の何かを期待して、なのかはわからないけど。<br><br>すっかり身近な男性に興味をなくした（←腐発言ｗｗｗ）私は、なんだかんだ言い訳して逃げ回ってる。<br><br>昔、あんなに好きだったのに。<br>苦しくて何度も泣いたのに。<br><br>こうもあっさり気持ちってなくなるもんなのね、と思う。<br><br>ま、それだけの月日は過ぎ去っているのだけど。<br><br>相手に対してなんの気持ちもないセックスが、どれだけつまらないか知ってるし。<br>（そういうの関係なく楽しめる人もいるかもしれないし、自分も若いころはそうだった）<br><br>なのに、自分が超ー流されやすいのも自覚してる。<br>だから、逃げてる。<br><br>また優しくされたくない。<br>暖かさを少しでも感じてしまったら、また自分だけが泣くような関係になってしまうかもしれない。<br><br><br><br>って、何が言いたいんだ？って記事だけど、「似た経験あるわー」って共感するひとが少なからずいるかもしれないし、リアで仲良くして下さってる人の中には「お前そんな奴だったの？」って嫌悪感抱く人もいるかも。<br><br><br>でも、なんか最近こんなことをため込むのも嫌で、「えーい、書いてスッキリしちゃお」的なノリです。<br><br>数日経ってすぐに記事を削除するかもしれない。<br><br><br><br>・・・うん、少しだけスッキリした。<br><br><br><br>はぁ・・・今年はリア充したいな、と。<br><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11574537452.html</link>
<pubDate>Wed, 17 Jul 2013 15:28:09 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>秋斉編11</title>
<description>
<![CDATA[ 今夜、彼女と逢う約束を取り付けて、俺は電話を切った。<br><br>突然だが、今日は店を休もう。<br><br>そう決めてVIPルームを出ると、まるで立ち聞きしていたかのような格好の慶喜がドアの前に立っていた。<br><br>「ちょ、あんさん・・・聞いてはったんどすか・・・えらいお行儀のよろしいことで」<br>「いや、なぁんにも聞こえなかったよ」<br>「はっ、しょうがないお人や、まったく」<br><br>後ろ手で重厚なドアを閉め、ホールの方へ向かおうとして慶喜とすれ違った時。<br><br>「で・・・今日は休むのかい？」<br><br>ボソっと俺の耳元で言った。<br><br>「っ！！やっぱり聞いてはったんやな！？」<br><br>かっと顔に熱が集まり、つい声を荒げる。<br><br>「あはっ。いいよ、休んで」<br><br>慶喜は背を向けて、右手をひらひらと振りながらホールの方へ消えて行った。<br><br>「・・・ったく・・・おおきに」<br><br>俺はその背中に向かって、聞こえないぐらいの小声で礼を言った。<br><br><br>そして俺は、自分の顧客達に「本日は急遽お休みをいただく事になりました」という旨を知らせるメールを送ってから店を出た。<br><br><br>暗い店内から外に出ると、昼間の歌舞伎町の景色が「さっき」とは、いや、「東京に出て来てからずっと」の今までとは全く景色にさえ見えた。<br><br>この街で働く事を決めて京都から引っ越してきて、慶喜と同じ店で働いて。<br>そして彼の独立に付き合って一緒に店を辞めた。<br>特にこれと言って、個人的な目標や野望があった訳では無かった。<br>いつからかなんとなく、慶喜が目指しているものをバックアップする、というポジションを自然と選んでいたようにも思う。<br><br>まるで、そうする為に自分がここに居るかのように、何の疑問も抱く事もなく。<br><br>小さい頃から社会や学校のルールだけでなく、反対を押し切ってホストになった事以外は家の規律も破る事なく暮らして来た自分が、仕事を個人的な理由で休むという自分勝手な行動をとった事が原因か。<br>見慣れた景色も色も匂いも音も、空気すら、まるで違うものに感じている。<br><br>店の前に立ったまま、視界が外の明るさに順応するまで待って、歩きだした。<br><br><br>（なんだか、初恋を知った少女、みたいだな・・・）<br><br><br>自虐的な例えと己の単純さに思わず苦笑しながら、ふわふわと雲の上を歩く様な軽い足取りで通りに出て、拾ったタクシーに乗って帰路へついた。<br><br><br><br>マンションについて、すぐにバスルームへ向かう。<br><br>出勤する前にも浴びたばかりだったが、いつも帰宅してすぐシャワーを浴びるのが習慣になっているせいか、そのままでいるのも居心地が悪いというか気持ちが悪い気がしていた。<br><br>さっと汗と埃を流すだけの水浴び程度で済ませて、バスローブをはおってリビングに戻った。<br><br><br>約束した時間まではまだ5時間近くもあった。<br><br>（あ、そうか・・・そうしようか・・・）<br><br>ふと思い立って、キッチンの戸棚にしまってあったものを取り出した。<br>しばらく手入れもしていなかったそれらを丁寧に洗う。<br><br>一通り洗い終えると、コートスタンドに掛けたままのジャケットから携帯を取り出した。<br>彼女に待ち合わせ場所を変更する連絡をするためだ。<br><br>≪今夜、22時に近くの○○○公園の正面入り口まで迎えに行きます。それから・・・≫<br><br><br>メールを打って、送信完了の表示を見届けて携帯をテーブルに置いた。<br><br><br><br><br><br><br>（あ、秋斉さんからだっ！！）<br><br>私は母に頼まれた通り、家に尋ねて来ていたおばあちゃんと近所の和食屋へ夕飯を食べに来ていた。<br>テーブルの上に置いた携帯画面にメール受信の表示。<br>数秒間「秋斉さん」と出ていた文字は、画面のブラックアウトと同時に消えた。<br><br>食事中に携帯をいじるのはマナーが悪いと怒られそうだから、すぐに内容を確認したい衝動を抑えて、黒い画面になった携帯電話からおばあちゃんの方へと視線を戻す。<br><br>「ふふふ、いいよ、別に。気になるんだろう？」<br><br>おばあちゃんは私の気持ちを察したのか、笑ってそう言った。<br><br>「えっ？・・・う、ううん・・・後で平気」<br><br>にっこりと笑い返すと<br><br>「そんなにも名残惜しそうな顔で画面見てたくせして。いいのよ」<br><br>と、上品な所作でくすくすと笑う。<br>70歳をとうに超えているのに嚇灼としていて、いつもきちんと身だしなみに気をつけていて、凛としていて、小さいころから甘やかすだけでなく悪い事もちゃんと叱ってくれるおばあちゃん。<br>この場にお父さんやお母さんが居たら、きっと今みたいに言ってはくれなかっただろうなと思うと胸がじん、と熱くなった。<br><br>「おばあちゃん・・・ありがとう」<br><br>私は持っていたお箸を丁寧に箸置きに乗せて、傍らの携帯電話を取った。<br><br>秋斉さんからのメールは、約束の時間に近くの公園まで迎えに行くという内容のものだった。<br>当然、顔文字どころか絵文字もない簡素な文面。<br>それでも、最後の一文に胸が強くしめつけられる。<br><br>≪・・・それから、今夜は少し冷えそうです、温かい格好で出て来て下さい≫<br><br>「・・・好きな人から、かい？」<br><br>不意におばあちゃんに聞かれて、視線を彷徨わせつつ返す言葉を探していると<br><br>「ふふふっ、いいねぇ。いつか、ちゃあんとおばあちゃんに紹介するんだよ？」<br><br>そう言って小鉢の中のおひたしを少し摘まんで、小さな口へと運んだ。<br><br><br><br><br><br><br><br>21時少し前、そろそろ準備をして彼女を迎えに行こうかとウォークインクローゼットの扉を開ける。<br><br>壁一面、パズルの様にぴったりとはまった桐箪笥から着物を取り出しながら、昼間洋服姿の自分を見て驚いた彼女の顔を思い出した。<br><br>（ひょっとして、洋服の方が良いか・・・？）<br><br>一瞬そう思って引き出しを戻しかける。<br><br>でも、和装は自分の中での勝負服のようなものだったし、その後の流れも考えてやはり着物の方が良いだろうと考え直して畳紙（たとうし）を両手で持ち上げる。<br><br>綺麗な藤色の着物を取り出して、香炉のすぐそばに置いてある衣桁（いこう）に掛ける。<br>香炉からは薄く細い煙が立ち上り、藤色の着物にうっすらと侍従の香りを浸みこませていく。<br><br>着物をそのまま少し放置して、バスルームで髪を整えたり顧客からのメールに返信を送ったりして21時半頃、ようやく着替えて地下の駐車場へと降りた。<br><br><br><br><br><br><br><br>（わっ、ホントにちょっと寒いかも・・・）<br><br>秋斉さんに言われた通り、トレンチコートの襟元に大き目のストールをぐるっと巻き付けた格好で防寒対策をし、家を出た。<br><br>花冷えの季節だなぁ、とつくづくと思いながら待ち合わせ場所の公園へと足を向ける。<br><br>ふと、花冷えという言葉から秋斉さんを連想させて、緊張がさらに高まってきてしまった。<br><br>なんとなく、夜桜のような人。<br>第一印象からずっと彼に対して持っていたイメージだった。<br>春の月灯り中で、儚い刹那的な美しさを湛える桜のような、透き通る薄桃色の肌。<br><br>昼間に茶道教室でチラっと見えた彼の首筋を思い出して、今度は耳まで熱くなり始める。<br><br><br>（やだ・・・何考えてるんだろ、私・・・）<br><br>首を竦めながら、公園への道を小走りで進んだ。<br><br>すると、公園の正面入り口にあたる角に黒い車が停車していた。<br><br>このあたりは閑静な住宅街だから、こんな時間に停車している車を見ると、つい警戒してしまうのが癖だった。<br><br>避けるようにして距離を取り、歩調を早めて車を通り越そうとした時。<br><br><br>ガチャッ<br><br>運転席のドアが開いた。<br><br><br>「こんばんは」<br><br>車から出て来たのは、秋斉さんだった。<br><br><br>「きゃっ・・・あっ、秋斉さんっ！」<br>「あ、すんまへん・・・びっくりさせてしもたね」<br>「い、いえ・・・私こそ、変な声出してごめんなさい」<br>「そら、こないな場所で夜に車停まってたら、怪しいよなぁ」<br><br>秋斉さんはくすっと小さく笑って、どうぞと助手席のドアを開けた。<br><br>「ありがとうございます」<br><br><br>（あ、着物、だ・・・）<br><br>私が助手席のシートに座ると、近隣の迷惑にならないよう、極力音が大きくならない配慮をした動作でゆっくりとドアを閉めて自分も運転席に乗り込んだ。<br><br>バタンッ<br><br><br>秋斉さんがシートべルトを締めるのを見て、自分もそれに倣う。<br>エンジンは切られていたから、車内はしん、と静かだった。<br><br><br>「あっ、あの・・・着物、なんですね・・・運転、しづらくないですか？」<br><br>静寂に耐えきれずに言った後、すっごく間抜けな事を聞いてしまったと後悔する。<br>けれど秋斉さんは柔らかく微笑んで、<br><br>「そんな事あらしまへん、もう慣れたもんどす」<br><br>チラッと自分の足元に視線を落として、再び私の顔を見る。<br><br>「そ、そうですか・・・は、はは」<br><br>色んな意味で恥ずかしくなって、首元のストールに埋めるように顔を隠した。<br><br>「ほな、行きまひょか」<br><br>何処へ？<br><br>という私の返事も待つ事なく、エンジンを掛けられた車は静かに住宅街を後にした――――<br><br><br><br><br>≪秋斉編12へ続く・・・≫<br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11503243901.html</link>
<pubDate>Tue, 02 Apr 2013 13:01:22 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>秋斉編10</title>
<description>
<![CDATA[ <br>自宅の自室、小さなシングルベッドの上。<br>震える指でさっき電話したお店の番号をリダイヤルする。<br><br>数回呼び出し音が鳴って、電話に出たのは昼間も応対してくれた男性スタッフと同じ声だった。<br><br>「あ、あの・・・秋斉さん・・・戻ってらっしゃいますか？」<br><br>消えそうな声でなんとかそう言えた。<br><br>「はい、少々お待ち下さいませ」<br><br><br>保留になり、軽快なメロディが流れ始めた。<br><br>待っていたのはほんの数十秒だけれど、とてつもなく長く感じられて。<br>その間、心臓は爆発しそうにドクドクと伸縮を繰り返し、今にも口から飛び出しそうだった。<br><br><br>『あー、もしもし？お電話替わりました』<br><br>違和感を覚えて一瞬思考が停止した後。<br><br>（・・・この声、慶喜、さん・・・？）<br><br>そしてすぐ、向こう側で少しバタバタと人が動く音が聞こえて、慶喜さんと思われる声の主が話し始めた。<br><br>『ねえ、どうして急に居なくなったりしたんだい？』<br><br>（・・・えっ？えぇっ？ええええええええええええっ！？）<br><br>さっきの事を言ってるのだとすぐに分かったけれど、喉元で言葉がつかえてしまって上手く声に出せないままでいる私。<br><br>『秋斉の事、好きじゃなかったのかい？』<br>『それとも、何か事情があったのかい？』<br>『もしかして具合が悪くなったとか？』<br><br>矢継ぎ早に慶喜さんが質問を投げかけて来る。<br><br><br>（違う、違うんです！さっき、実は・・・）<br><br>口の中がカラカラになった状態で、慌てて喋ろうとした私はつい咳き込んでしまった。<br><br>「ゴホ、ゴホッ、ケホ・・・・」<br>『あっ、だ、大丈夫？やっぱり具合が』<br><br>それ以降、慶喜さんの話す声が急に遠ざかっていったと思ったら<br><br>『何してますのや、あんさんいう人はっ！』<br><br>彼らしくない、激しくて大きな声。<br>聞こえて来る微かなやり取りから想像するに、どうやら秋斉さんが慶喜さんから電話を取り上げたらしかった。<br><br>『なんだよ、いいじゃないかー』<br>『わてにかかってきた電話どす！ほら、出てった出てった』<br><br>秋斉さんが、室内から慶喜さんを追い出す様子が手に取るように分かった。<br><br>バタン、とドアの閉まる音が聞こえて、少しの間無音になった。<br><br><br>（あ、れ・・・？）<br><br>耳を澄ませていると<br><br>『・・・すんまへん』<br><br>すぐ耳元で囁かれたように、秋斉さんの落ち着いた低い声が聞こえて背中がゾクリとする。<br><br>「い、いえ・・・」<br><br>私はやっと声が出せた。<br>ほっとしたのもつかの間、秋斉さんに伝えなくてはいけない事があって電話したのを思い出す。<br>その場でさっと背を正して、小さく咳払いをし、唾を飲み込み喉を潤してから私は切り出した。<br><br>「あの、さっきは・・・その、突然帰ってしまって、ごめんなさい」<br>『・・・ん、あ、あぁ・・・』<br><br>なんだか気まずそうな返事に、ちゃんと事情を説明しなきゃと気が焦る。<br><br>「実は、あの、母・・・母から電話がかかって来て・・・話していたら教室に戻っている途中だって聞いたので・・・それで、わた、私っ・・・」<br><br><br><br><br><br>―――――さっき、唇が触れる直前で来客があって、秋斉さんが裏口へ向かって。<br>そして腰砕け状態になった私は、その場でヘタり込んで放心していたのだった。<br><br>すると携帯に母からの着信があり、びくっと身体を強張らせ、暫く画面を見つめたあと私は電話に出た。<br><br>「あ、ど、どうしたの？」<br><br>秋斉さんが立っていた地面を見つめながら、呼吸を整えているのが母に気づかれないようになるべく普通を装った。<br><br>「今日ね、お義母さんがお家にいらっしゃるの忘れててね」<br>「う、うん」<br>「私、今日も遅くなるからあなたお家にいるならお義母さんと一緒に外で夕食済ませてくれないかしら？」<br>「ん、わかった、適当に二人でどこか行くよ」<br>「お願いねー」<br>「あ、お母さんっ！今、どこにいるの？」<br><br>もしかして、教室の近くにいたら・・・そんな事が頭をよぎって、電話を切ろうとした母を引き止めて、慌てて尋ねる。<br><br>「ええ、さっきちょうど藍屋先生が来て下さって、お母さんちょっと用事で出かけてたんだけどね。でも、もうすぐ教室に戻るところよ」<br><br><br>（も、もうすぐっ！？）<br><br>「そ、そ、そうなんだ、わかった！じゃあね」<br><br>一方的に別れを告げて、私は電話を切った。<br><br><br>（・・・私、帰らなきゃ・・・）<br><br>ここに居る事の言い訳が思いつかなくて、気が動転した私はガクガクした足をなんとか立たせ、秋斉さんに何も言わずに教室から走り去ったのだった―――――<br><br><br><br><br><br>たどたどしく事情を説明し終えると、再び沈黙が訪れた。<br><br><br>（どうしよう、怒ってる、よね・・・？）<br><br><br>じっと秋斉さんの反応を待っていると、<br><br>『は、ははっ、はははははっ、あはははは』<br><br>突然、今までに聞いた事もない彼の笑い声が聞こえた。<br>まさかの反応に私はびっくりして携帯を落っことしそうになる。<br><br><br>（なんで笑って、る・・・の？）<br><br>少しして、ひとしきり笑い終えた様子の秋斉さんが<br><br>『あぁ・・・良かった・・・。わてはてっきり、実はあんさんに嫌われててそんで何も言わんと帰ってしもたんかと・・・』<br><br>柔らかな口調で言った。<br><br>（やっぱり誤解、されてたんだ・・・）<br><br>「ちがっ、違います！嫌うだなんて、そんな訳ありませんっ！」<br>『・・・っ』<br><br>心から否定するあまり、自分で思っているよりも大きな声が出ていたらしく、電話の向こう側で秋斉さんが驚いている顔が見える様な気がした。<br><br>「あの・・・すみませんでした。誤解されるような事・・・突然黙って居なくなったりして・・・ごめんなさい」<br>『もう、謝らんといて』<br>「あ、きなりさん」<br><br>ぽつりと名前を呟いて、ちょっとだけ恥ずかしさが襲う。<br>かぁっと頬が熱を持ち始めたのを感じていると。<br><br>『えっと、その・・・今夜、都合どうどすか？』<br>「今夜、ですか？」<br>『ちゃんと、もう一度、ちゃんと話がしたいんどすけど』<br>「・・・はい、わかりました」<br><br><br>それから、私達は22時に待ち合わせの約束をして電話を切った。<br><br><br>きっとその時間だったら、夕食を外で済ませてとっくに帰ってきている頃だ。<br><br><br>携帯を握りしめながらそんな事をぼんやり考えていると、無意識のうちに緩んでしまう頬に温かい涙が伝い落ちて行った―――<br><br><br><br><br><br><a href="http://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11503243901.html" target="_blank">≪秋斉編11へ続く・・・≫</a><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11502191251.html</link>
<pubDate>Sun, 31 Mar 2013 23:02:44 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>秋斉編9</title>
<description>
<![CDATA[ 教材配達でやって来た業者さんに、事務所の方へ運んでくれるよう促す。<br>重そうな段ボールを持って、事務所と裏口に停めたトラックとを何度も往復する業者さんをぼんやりと目で追う。<br><br>運搬は10分~15分ぐらいだっただろうか、次々とテンポよく荷物を運び終えて、作業着の胸ポケットから伝票とボールペンを取り出した。<br><br>「終わりました！この伝票にサインお願いします」<br>「あ・・・はい」<br><br>言われた場所にサインをすると、複写になった紙を器用にはがして俺に1枚渡す。<br><br>「じゃ、失礼しまーす！」<br><br>小さく会釈して、裏口から出て行った。<br><br>見送って裏口のドアに鍵をかけ、教室の方へ戻ろうと向きを替えた時。<br><br>（・・・どう、しよう・・・）<br><br>急に彼女を置き去りにしていた事を思い出してしまい、足が止まった。<br><br>さっき彼女に「好きだ」と伝えた事。<br>言葉に出して、ようやく自覚した自分の気持ち。<br><br>（さっき、業者が来なかったら・・・俺は・・・）<br><br>彼女にキスをしようとしたのだ。<br><br>（どんな顔して戻ったらいいんだ・・・）<br><br>一歩踏み出した足がまた止まってしまう。<br><br>でも、だからと言ってずっとここでこうしている訳にもいかない。<br>彼女と、話しをしないと。<br>もっと、ちゃんと。<br>改めてもう一度、好きだと伝えなくては。<br><br>そんな風に考えて、ふぅと一息ついてからゆっくりと教室の正面へ続く廊下を進んだ。<br><br><br>「・・・あ、れ？」<br><br>しかし、戻ってみるとそこに彼女の姿は無く、かわりに入り口のドアを開けて中へ入って来た紫苑先生が見えた。<br><br>「あら、藍屋先生。ただいま戻りました、業者さん来たかしら？」<br>「え、っと・・・へえ、今しがた帰られました・・・その、お早いお帰りで・・・その」<br>「そうなの、意外とすんなり用事がすみましたの・・・嫌だわ、藍屋先生、そんな不思議な物を見るみたいな顔して。どうかしました？」<br><br>俺はそんなに変な顔で先生を見ていたのか？<br>慌てて笑顔を作る。<br><br>「べ、別に・・・なんもあらしません、けど・・・せんせ、戻って来はった時、ここには誰も・・・？」<br>「ええ、誰もいませんでしたよ？」<br><br>今度は先生が不思議そうな顔になる。<br><br><br>「そ、そうどすか」<br><br>と言う事は、彼女は俺が裏口に行って割とすぐにこの場を立ち去った、のだろうか。<br><br><br>「ほんなら、わては失礼させてもらいます」<br>「あら、そう？でも助かりました、有難うございます」<br><br>紫苑先生はお辞儀をしてにこっとほほ笑んだ。<br><br>俺も先生にお辞儀を返し、半ば逃げ出すような気持ちで教室を出た。<br><br><br><br><br>「結局、藍屋先生は何しにいらしたのかしらね？」<br><br><br><br><br><br><br>なんだか急に重い疲労感に襲われた俺は、教室を出て少し離れた場所にある公園に入り、ベンチに座った。<br><br>「はぁっ」<br><br>息を吐き出して空を見上げると、上着ポケットの中で携帯が振動している事に気づく。<br><br>取り出して表示を確認すると、着信は店からだった。<br><br><br>ピッ<br><br>「へえ」<br>「お、秋斉」<br><br>声の主は慶喜だった。<br><br>「・・・なんどす？」<br>「ちょっと、いきなりそれかい？」<br>「あぁ、おはようさん。で、なんどす？」<br>「ったく・・・ま、いいや、おはよう」<br><br>慶喜の電話は、さっき彼女からの電話に出たホストから俺が携帯電話を受け取りに行ったという伝言を聞いた為だった。<br><br>「悪かったね、秋斉にパシリみたいな事させちゃってさ」<br><br>どうも本当に悪いと思ってるような感じには聞こえない。<br>きっと向こう側でニヤニヤしてるんだろう？と思いながら、そっけなく返事を返す。<br><br>「別に」<br>「ふぅん・・・で、今どこにいるんだい？彼女も一緒、なのかな？それでこの電話が邪魔で不機嫌なのかな？」<br>「・・・一緒やないけど」<br>「えっ？なんで？どうして？」<br>「なんで？て・・・こっちが聞きたいわ」<br><br>なんで、どうして彼女は教室から姿を消してしまったのか。<br><br>「ちゃんと、言わなかったのかい？自分のキモチ」<br><br>まったく・・・どうして慶喜は、こうずけずけと何でも聞けるんだろうか？<br>こうまで自分と正反対の性格だと鬱陶しさを通り越して、羨ましくもある。<br><br>「いや・・・言った、けど・・・」<br>「まさか・・・フラレた、とか？」<br>「阿呆、そんなんやない・・・けど」<br>「なんだい、さっきから、けど、けどばっかり」<br>「・・・とにかく、今から店に戻りますよって」<br>「・・・わかった、じゃあ待ってる」<br>「・・・ほな」<br><br>ピッ<br><br>通話を終了させてから、突然はっとして顔を上げた。<br><br>昨日・今日のこの流れが慶喜の策だった事に今、気がつくなんて！！！<br><br>彼を責める為にこちらから店に電話をかけるのもなんだか面倒で、俺は無意識に口元を緩ませながらベンチから腰を上げた。<br><br><br><br><br>店に戻ると、一番広いテーブルのある場所で呑気そうに煙草をふかしている慶喜が居た。<br><br>　<br>俺が慶喜の仕込んだ「携帯騒動」一連の流れに怒っている事も、実はそれに少し感謝している事も、全部見透かした様な目をして、吸い込んだ煙をゆっくりと吐いてから、言った。<br><br>「やぁ、おかえりなさい」<br>「・・・ただいま」<br><br>わざとぶっきらぼうに言って、慶喜の向かい側に座る。<br><br><br>「でっ？でっ？」<br><br>短くなった煙草を灰皿でもみ消して、急にわくわくした表情になった慶喜は、テーブルに両肘をついてぐっと前に乗り出して俺の顔に近づいた。<br><br>「何どすの？」<br><br>こいつが聞きたい事は勿論、わかっている。<br>彼女に好きだと告げたその結果、何がどうなったのか？だろう。<br><br><br>俺がさらっと事の流れを話すと。<br><br><br>「えぇぇっ？居なくなっちゃったって」<br><br>慶喜は身体を大きく仰け反らせ、ソファの背もたれに身を預けてずるずると沈む様な格好になった。<br><br>ここまでオーバーリアクションされると、改めて不安が増してくる。<br><br>憐れむような顔で俺を見ながら、慶喜はさらに追い打ちをかける一言を放った。<br><br>「それってさぁ、逃げちゃった・・・てことかい？・・・やっぱり、フラレちゃったんだね、秋斉・・・」<br><br><br>返す言葉もない俺は、ただ黙ってテーブルの上に視線を飛ばした。<br><br>「・・・あ、これ」<br><br>ふと思い出して、ポケットから慶喜の派手すぎる携帯を取り出してテーブルの上に置いた。<br><br>するとその時、<br><br>「秋斉さん」<br><br>慶喜が座っているソファの背中側から呼ばれ、そちらに目を向けると<br><br>「お電話です」<br><br>先ほど彼女からかかってきた電話を受け取った時と同じホストが、両手で子機を持って立っていた。<br><br>「誰から？」<br><br>何故か俺の代わりに慶喜が尋ねる。<br><br>「はい、昼間にもお電話されてきたお客様ですけど・・・ミーティング中ならそうお伝えしますが」<br>「っ！！！」<br><br>俺が思わず立ち上がったと同時に、<br><br>「貸して」<br><br>慶喜が素早く子機を受け取った・・・というより、ホストの手から奪ったという方が正解か。<br><br>「あー、もしもし？お電話替わりました」<br><br><br>（ちょ、ちょっと何やってんだ！？俺にかかって来た電話だろうがっ！！）<br><br>口をぱくぱくさせてテーブル越しに手を伸ばすと、慶喜はひょいと身を翻して俺の手から逃れ、ソファの上を滑る様に移動して奥のVIPルームへと入って行った。<br><br><br><br><br><br><a href="http://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11502191251.html" target="_blank">≪秋斉編10へ続く・・・≫</a><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11501305302.html</link>
<pubDate>Sat, 30 Mar 2013 18:40:55 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>秋斉編8</title>
<description>
<![CDATA[ 秋斉さんの大きく綺麗な手が乗った肩から、じんと温かい熱が広がってゆく。<br><br>私の事を嫌っているのだったら、こんな風に触れてはくれないだろう。<br><br>そう考えると、不安で悲しかった思いが薄らぎ、消えて行った。<br><br><br>それに今秋斉さんは、私の事を前から気になっていたのだと照れくさそうに言って、何か決意を宿した目をしてこちらを見つめている。<br><br>肩に乗せた手はそのままで、彼がすっと目の前に近づいた。<br><br>顔の角度を変えて見上げたら、秋斉さんの薄くて綺麗な桜色した唇が私の額にあたってしまいそうな距離。<br><br>だから、顔の位置はできるだけそのままで、視線だけ動かして目を合わせる。<br><br><br>触れられているのは肩だけなのに、それなのに、全身が熱を帯びて来た。<br>それはだんだんと首から耳まで広がって、そしてすぐに顔が真っ赤になっているのを自覚できる程、熱を感じていた。<br><br><br>「わては・・・」<br><br>秋斉さんが口を開いた。<br><br>「自分がおもてる以上に不器用なんや・・・こんなに誰かの事が気になって仕方のない事や、ましてや嫉妬みたいな気持なんて・・・今まで知らんかった」<br><br>秋斉さんは時折り苦しそうに表情を歪め、話を続けた。<br><br>私はただ、黙って頷く。<br><br><br>「あんさんが最初店にきはった時、心臓が止まりそうやった」<br><br><br>初めてT・GIRLで会った時の事を思い出す。<br><br>涼しげな表情、悩ましい瞳。<br><br><br>（そんな動揺した様子なんて、微塵も感じられなかったのに・・・）<br><br><br>「自分でもやっかいな性格やなと思うんよ・・・そうやって相手に気取られん技なんて身につけてもうてね」<br><br>くすっと秋斉さんが笑って、その息が私の前髪を軽く揺らした。<br><br><br>「出逢う順番がちごたら良かったんか、と何度も思ったんや。ここで、ここだけであんさんと逢うてたら・・・って」<br><br>彼のシャツの襟元から見える白い首筋が、ほんのり赤く染まり始める。<br><br>「だから、あんな風に心にもない事言うてしもて・・・堪忍な」<br><br>私が瞬きだけで返事をすると、<br><br>「それに、あんさんに深入りしてもうたら・・・わてはきっと」<br><br>その先を言い淀んでいるのか、暫く秋斉さんは黙っていたけど、やがて肩に置いていた手をゆっくり私の背中へと回した。<br>胸の中に閉じ込められる格好になって、秋斉さんの鼓動がどくどくと伝わって来る。<br><br>耳元に彼の唇が微かに触れ、閉じていた口を開く音が聞こえると、心臓をぎゅっと掴まれたような感覚に身体中が引きつった。<br><br><br>「そうなってしもたら、今だけじゃない・・・未来のあんさんまで欲しゅうなってしまう・・・それどころか、きっとあんさんの・・・」<br><br>低く話していた美しい声は、次第に掠れた囁きへと変わっていって<br><br>「過去にさえ嫉妬してしまう」<br><br>そう言って、私を抱きしめる腕に力が込められた。<br><br><br>「あ、き・・・なりさん・・・」<br><br><br>私は自然と彼の名を呼んでいた。<br><br><br>嘘、信じられない。<br>夢、じゃないよね？<br><br>あまりの衝撃に眩暈を起こして足元をふらつかせてしまったけど、秋斉さんがしっかりと抱きとめてくれたから、なんとかその場で立っていられた。<br><br>「すみません・・・大丈夫です・・・」<br><br>掴まるために、握り締めていた自分の両手を恐る恐る秋斉さんの背中に回してそう答えると、苦しい程に私を抱いていた腕の力がふっと緩んで、お互いの身体の間に少しだけ隙間ができた。<br><br><br><br><br>お互いの視線がぶつかると、秋斉さんは目元を和らげて<br><br>「な・・・わては、あんさんが・・・好きや・・・」<br><br>聞き取れないくらいの声で言ったその綺麗な唇が、ゆっくりと私の唇に近づいてくる。<br><br><br>唇が触れる直前で目を閉じたその時、<br><br>『ピンポーン♪』<br><br>裏口のチャイムが鳴って、我に返った秋斉さんはぴたりと動きを止めて<br><br>「はぁぁ・・・そうやった・・・しかしなんで今来るんや・・・」<br><br>がっくりと肩を落として溜息混じりで呟いた。<br><br>「紫苑せんせから、教材の運搬業者さんが来るって聞いてたんやった・・・ちょっと行って来ますんで、待ってておくれやす」<br><br>いつもの口調に戻った秋斉さんは指の背で私の頬をそっと撫で、くるりと踵を返して裏口へと向かった。<br><br><br><br><br>その後ろ姿が見えなくなると、膝の力が一気に抜けて私はその場にぺちゃんと座りこんでしまったのだった―――<br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://http://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11501305302.html" target="_blank">≪秋斉編9へ続く・・・≫</a><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11428196065.html</link>
<pubDate>Sun, 16 Dec 2012 12:45:56 +0900</pubDate>
</item>
<item>
<title>秋斉編7</title>
<description>
<![CDATA[ <br>電話を切ったすぐ後、俺は店を出て教室に向かった。<br><br>彼女には1時間後にと伝えたが、正体不明の焦りのようなものを感じていた俺は早めについてお茶を一服立て、平常心に戻ってから逢おうと思ったからだ。<br><br><br><br><br>「あら、藍屋先生・・・どうしたんですか？」<br><br>到着するなりすぐ、出かける準備をしている紫苑先生に出くわした。<br><br>「あ、せんせ・・・」<br>「今日はお休み、ですわよね？」<br>「へえ・・・」<br><br>何も考えていなかったが、ここで彼女と待ち合わせたのは間違いだったと今更ながら後悔する。<br><br>「私、急に出かけなくてはならなくて・・・幸い、今から17時まで生徒さん来ないから」<br>「そうどしたか、ほんならわては」<br><br>帰ります、と俺が言いかけると<br><br>「1時間ぐらいで戻れると思うから、それまで藍屋先生いらっしゃるならお願いしてもいいかしら？」<br>「・・・お願い、どすか？」<br>「ええ、ちょうど15時までにね、業者さんが来るはずなの。教材の配達でね」<br><br>紫苑先生はにこにこと朗らかな笑みで続けた。<br><br>「明日に配達変更してほしいってお電話しなきゃと思ってたんだけど、受け取りお願いできるかしら？」<br><br><br>（そういうことか）<br><br><br>「へえ、かましません。業者さんに事務所へ運んでもろたらええですか？」<br>「ええ、いいかしら？」<br><br>きっと断らない事を分かっていて、それでも申し訳なさそうに眉を下げる。<br>ずいぶんと年上の女性だが、こういうところが先生の可愛らしいところだなんて考えて、どことなく面影が似ている彼女の顔が頭に浮かんだ。<br><br>「もちろんどす、お気をつけて」<br><br>ゆったりとほほ笑み返すと<br><br>「じゃ、お願いしますね」<br><br>ぺこりと頭を下げて、紫苑先生は出かけて行った。<br><br><br>「・・・ふぅ」<br><br>ひとつ溜息をついて腕時計を見る。<br>約束の時間は14時10分だ。<br><br>あと20分ぐらいか、と思いながらロビーにあるソファに腰をおろす。<br><br>お茶を立てるのをあきらめて、このまま彼女を待つ事にした。<br><br><br><br>（たかが数回、しかもそのほとんどは一方的に面識のある彼女に対して何故こんな感情を覚えるのか・・・）<br><br><br>自分でも訳が分からなかった。<br><br><br>お世話になっている先生の娘さんだからか？<br>いや、きっと違う。<br><br>まだ言葉も交わした事もなく、「よく見かける女の子」という存在だった頃から惹かれていたのかもしれない。<br><br><br>（まさか、この俺がね・・・）<br><br><br>自分でも可笑しくなって、思わず自嘲気味に笑う。<br><br>そんな時入り口の方からカタン、と音がして、振り向くとそこに彼女が立っていた。<br><br><br>「あ・・・」<br><br>ちょっとだけ驚いた表情をして、そして俯きながら一歩一歩、こちらに近づいてくる。<br><br>「早かったどすな」<br><br>俺はソファから立ち上がって、近づいてくる彼女に歩み寄った。<br><br>彼女は、足元に落としていた視線を徐々に上げて俺と目が合うと、また驚いたような顔をしてから、ふっと視線を逸らした。<br><br>「何をそないびっくりした顔してますんや」<br>「きょ、今日は・・・着物、じゃないんですね・・・初めて見ました」<br><br><br>そうか、洋服の時に逢うのはこれが初めてだったんだな、と思い出す。<br><br><br>「年がら年中、着物って訳でもあらしません」<br>「そ、う・・・ですよね。あの、あきな・・・藍屋先生・・・」<br><br>名前を口に出しかけて、名字で呼び直された事に、心が焦れた。<br>そんな事を自覚して、思わず返答が遅れる。<br><br>「・・・へえ」<br><br>短く返事をすると、バッグの中から派手な携帯を取り出してそっと差し出す。<br><br>「これ、慶喜さんの携帯、です・・・」<br><br>一瞬だけ目があったが、またすぐに下を向いてしまう。<br><br>何をそんなに警戒されているんだろうか。<br>彼女の態度はまるで親に怒られている子供の様だった。<br><br><br>「・・・お手数かけてすんまへんどしたな」<br><br>さらっと言ってしまってから、違う、こんな風に怯えさせたい訳じゃないんだと続ける言葉を探しつつ携帯を受け取る。<br><br>軽く指先が触れて、彼女がさっと手を引いたので危うく携帯を落としそうになる。<br><br>「ご、ごめんなさいっ・・・」<br>「・・・どもないどす」<br><br>俺は受け取った慶喜の携帯をポケットにしまった。<br><br><br>「あのっ・・・」<br>「なぁ・・・」<br><br>数秒の沈黙の後に発した言葉は、ほぼ同時だった。<br><br>彼女は反射的に顔を上げて、丸く大きな目を一層見開いて俺を見つめた。<br><br>「い、いや・・・その・・・」<br><br>何を言えばいいのか。<br>口を開きかけたまま、俺はその目を見返して固まってしまった。<br><br>すると、彼女がゆっくりと瞬きと深呼吸をして。<br><br>「わ、私・・・何か失礼な事を言ったり、してたのならすみませんでした」<br><br>突然何を言い出すかと思ったら、俺に深々と頭を下げてそう言ったのだ。<br><br><br>「へっ？な、何を・・・」<br>「だって、お店に来るなって・・・急にそんな風におっしゃったから・・・本当は心当たり、ないんですけど・・・でも」<br>「ちょっと待って、それは違うから」<br><br><br>あまりにも不意を突かれた言動に、俺は標準語で話してしまっていた。<br><br>「誤解、誤解だから・・・」<br><br>今にも零れ落ちそうな大粒の涙を眼の端いっぱいに溜めて、彼女は俺を見上げていた。<br><br>細い両肩にそっと手を乗せると、ビクっと身体を強張らせてその手に視線を向けた。<br><br>「昨日言った事は、そういう理由じゃなくてだな」<br><br>ゴホン、と咳払いをして今度は俺が深呼吸をした。<br><br>慶喜に言われた『「ねえ、そうやって自分を偽る事に意味はあるのかい？」』という台詞を頭の中で反芻しながら。<br><br><br><br>「そうじゃなくて・・・ただ、いつからか・・・違うな、いつからかじゃない」<br><br>独りごとの様に言う俺を、彼女は不安そうな顔で見つめている。<br>落ち着け、と自分に言い聞かせてもう一度深く息を吸い込んでゆっくりと吐き出す。<br><br><br>「せ、せやから、その・・・出逢う前に何度かあんさんを見ていた時から・・・・きっと、気になって仕方なかったんや・・・と思う」<br><br>言葉が通じていないのか、眉根を寄せた不安そうな表情が、どんどん不思議なものを見ているみたいに変わってゆく。<br><br><br>今度は、いつぞや慶喜に言われた『秋斉はさ、言う事もやる事も、まわりくどいんだよ』という声がすぐ耳の横から聞こえて来るような気がする。<br>『ここぞ、時と言うはもっと思った事をストレートに表現した方が良いんじゃないのかい？』<br>いままでに、他にも似た様な進言を何度もされてきた。<br><br><br>（あぁ、そうだな・・・今こそがここぞと言う時、なのかもな）<br><br><br><br>俺は一歩踏み出して、彼女との距離を縮めた。<br>息がかかりそうな近さまで顔を寄せて。<br><br><br>「わては・・・」<br><br><br><br><br><br><a href="http://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11428196065.html" target="_blank">≪秋斉編8へ続く・・・≫</a><br>
]]>
</description>
<link>https://ameblo.jp/taison-sasuke/entry-11427623794.html</link>
<pubDate>Sat, 15 Dec 2012 16:41:34 +0900</pubDate>
</item>
</channel>
</rss>
