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<title>エリュシオン　ファンサイト</title>
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<description>株式会社クラウドゲート様が運営しているＷＴＲＰＧのファンサイト</description>
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<title>４２．ひとまずの終焉</title>
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<![CDATA[ 「京介、さん？」<br>「ほのかちゃん、無事戻ったみたいだね」<br>「無事、かどうかわからないですけど」<br><br>ほのかは自分の指をマジマジと見つめた。<br><br>「よくわからないけど、桜ちゃんから薬を預かった」<br>「あ、ええ。ありがとう」<br>「すぐに飲んだ方がいい」<br>「うん、ありがとう」<br><br>素直に薬を手にしたほのかを見て、京介は安堵する。<br>（杞憂だったか）<br><br>しかし、口元まで運んだ薬を持つ手がピタリと止まったかと思<br>うと、キョロキョロと部屋を見渡し始めた。<br><br>「どうしたの？」<br>「いえ、近くに…これは何だろう。天使かな…いや…」<br>「まさか、天魔が？」<br>「ああ…これはカリエかな」<br>「カリエ？」<br>「シュトラッサーです。この前の航空機救出依頼の元凶で、桜<br>　の実験を失敗させた諸悪の根源ですね」<br>「うわ、今は嬉しくないな。急いで元に戻って態勢を…」<br><br>アウルも使い尽くしたし、天使級の相手に１人２人でどうにか<br>なるものでもない。学園の増援がくるまで撤退するのが妥当だ。<br>しかし、ほのかは首を振る。<br><br>「あれは消しておかないとダメなんです」<br>「ほのかちゃん？」<br>「今なら、多分いけると思うの」<br>「ちょっと、ほのかちゃん！？」<br>「いやぁ、使えるものは何でも使わないとね」<br><br>ほのかの指から滑り落ちた薬の瓶が、パシャンと音を立てて床<br>に飛び散った。<br><br>「ばっ、何を…」<br>「だって、人の力じゃもう無理だってわかっちゃったんです」<br>「それでも、撃退士が力を合わせたら…」<br>「私怨ですし<br>「俺や部長は手伝うさ」<br>「１００人くらいいないと」<br>「かき集めるさ」<br>「嬉しいですけど…」<br><br>あはは、と寂しげに笑って答える。<br>「そんなに人望ないんで」<br><br>そしてほのかが地上へと続く扉へ足を向けた直後。<br>「行くな！」<br>「え？う、うわっ！？ぎゃー！」<br><br>予想外のタックルにほのかの体は床へと叩きつけられる。丁度<br>京介が馬乗りになった形だ。<br>「ちょっと、京介さん！何するんですか！えっち！バカ！」<br>「いや、そういう事じゃなくて」<br>「変態、エロス大魔王！場所を考えて下さい！」<br>「ん、場所が問題なのか」<br>「そ、そうじゃなくて…」<br><br>一瞬顔が真っ赤になるほのかだが、すぐに元へと戻る。<br>「そうじゃないですけど、とりあえずどいて下さい」<br>「ああ、悪い子に注射してからな」<br>「無理ですよ」<br><br>ほのかが指を少し振れば、京介の体など横薙ぎにされる。あま<br>り痛い目にあわせたくないが、時間もないし仕方ないとため息<br>ついた時だった。<br><br>「そうでもないかもよ」<br>「え？」<br><br>京介が左手に持っているのは見覚えのある懐中時計。<br>そう、あれは時を…<br><br>「あーっ！！」<br>「えーと、これを開くんだっけ」<br>「だめっ、返して！」<br>「遅い」<br><br>『お姉さま、どうせ無茶するだろうから…２本渡しておきます。<br>　暴走するようだったら、右のポケットに入ってる懐中時計を<br>　なんとか奪って、蓋を開けて下さい。時を止める魔法が使え<br>　ます。それでなんとか…お姉さんを助けて』<br><br>そして、時が止まり―気がつけば腕に注射が刺さっていた。<br><br>「いたっ」<br>「自業自得です、我慢しなさい」<br>「うう…京介さんヒドイ」<br>「今回ばかりは大目に見ないよ」<br>「鬼」<br><br>京介がほのかを背負い、地下を脱出したのはギリギリのタイミ<br>ングだったようだ。学園の増援組とシュトラッサーらしき者が<br>交戦している所を足早に走り去り、救出部隊のトラックへとほ<br>のか共々乗り込んだ時には、さすがに大きなため息が漏れた。<br><br>「あー、なんつう大学生活だよ。もう二度と来たくないね」<br>「出会いもなかったですしねー」<br>「え、ナンパすごかったじゃないか」<br>「ははは、ああいうのは出会いとは言いません」<br>「そうなんだ」<br>「そうなんです」<br><br>乗り心地の悪いトラックに揺られながらも、なんとなく上機嫌<br>な京介であった。<br><br>「なにをニヤニヤしてるんですか」<br>「そぉ？」<br>「変なの」<br>「そういえばさ、なぜだか無性に鰹節が食べたいんだけど、ど<br>　うしてなんだろう？？」<br><br>首を傾げる京介の横で、ほのかは頬に指をあてて思案顔だ。<br>真剣そうなその顔は、しかし付き合いの長いものならすぐに判<br>る。そう、悪戯をする時のそれだった。<br><br>「さあ？どうしてかしら」<br>「あ、何か知ってるだろ！」<br>「いえ、全然」<br>「嘘だ、その顔は絶対に何か知ってる顔だ」<br>「知らないですよぉ」<br>「てめ！」<br>「きゃー♪」<br><br>その時トラックを運転していた救援部隊の学生、山田君は抑え<br>きれない衝動から、つい呟きを漏らしたという。<br><br>「爆ぜろ」と
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<link>https://ameblo.jp/tenmame/entry-11423529671.html</link>
<pubDate>Sun, 09 Dec 2012 17:19:47 +0900</pubDate>
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<title>４１．サル語の勉強</title>
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<![CDATA[ 「こんなものかな」<br><br>桜が薬を手に、京介へと近づいてくる。<br><br>「なあ、一つ聞いて良いかな」<br>「私サル語は苦手なのだけど」<br>「…君はほのかちゃんの中にいるのか？」<br>「平易な言葉で説明するのは無理。正確には中にいるわけじゃ<br>　ないし、存在するのかもわからない」<br>「君に変わったとたん、体の変質がなくなったのは？」<br>「そもそも存在が違うからでしょ。わたしはお姉さまじゃない<br>　し、見た目がお姉さまなだけじゃないかしら」<br>「よくわからん」<br>「だからサル語は苦手だと」<br>「…」<br><br>これ以上は無意味な会話となりそうだったので、早々に切り上<br>げる。<br>「で、飲まないの？」<br>「何を？」<br>「いや、薬。せっかく出来上がったんだろ」<br>「よく経口摂取だってわかったわね、注射じゃなくて」<br>「そういえば、まあなんとなく」<br>「さっきも話したけど、私はお姉さまと別の存在なわけで、今<br>　の私が飲んでも意味が無いわね。お姉さまに戻ってから飲ま<br>　ないと」<br>「なるほどね」<br>「そこで、京平君の出番というわけ」<br>「京介だよ～」<br>「お姉さまに戻ったら、すぐにこの薬を飲ませて。もしかする<br>　と暴れたり、拒絶したりするかもしれないから…」<br>「どうして？」<br><br>ほのかは戻りたくて桜に薬の作成を託したのではなかったのか。<br><br>「ほのかちゃん、戻りたいんだろう？」<br>「悪魔の力ってどのくらい凄いかわかる？」<br>「ま、戦ってきたからな」<br>「その力が手に入るとなったら…目的のためには手段を選ばな<br>　い人だったら、どうすると思う？」<br>「使うだろうな」<br>「お姉さま、天使に復讐するつもりかもしれないから…」<br>「天使に、なんで？」<br>「うるさいわね、いいのよ。詳しい事情は。とにかく、お姉さ<br>　まの気が変わっても、なんとかして飲ませるのよ」<br>「んな無茶な」<br>「私には出来ないんだから…。そうそう、大事な事を言い忘れ<br>　たわ…」<br>「ん？」<br><br>京介の耳元で何かを囁く。<br><br>「頼んだわよ、京介君」<br>「え？あ、ああ」<br><br>ニコリと微笑み、そして桜の意識は消えたようだった。<br><br>「にゃろ、名前ちゃんと言えるじゃないか」<br><br>寂しげな桜の微笑みが脳裏に浮かんだ時、ほのかのうめき声が<br>聞こえてきた。<br><br>「京介…さん？」
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<link>https://ameblo.jp/tenmame/entry-11421974938.html</link>
<pubDate>Fri, 07 Dec 2012 11:58:43 +0900</pubDate>
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<title>４０．ひとときの桜</title>
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<![CDATA[ 「で、君は誰？」<br>「だーから、何度も言ってるでしょう。頭悪いわね」<br>「すまん、話について行けてない」<br>「まったく、よくそれでお姉さまとコンビなんて組めるわね」<br>「ほのかちゃんは、もっと判りやすく話してくれるからな」<br>「失礼ね、私の話のどこがわかりにくいっていうのよ！」<br>「全部だよ」<br><br>京介の前で話をしているのは、ほのかだ。<br>いや、外見はほのかなのだが、中身が違った。<br><br>柏原に注射を打って直後、ふらりと京介のほうへ歩いてきた<br>かと思うと、糸が切れたようにふっつりと倒れ込んだのだ。<br>京介の胸の中で喘ぐように残した言葉は『あとは桜に任せる<br>から』だった。<br><br>何のことかわからず、戸惑う京介だったが、すぐにむくりと<br>起き出したほのかに突然質問されたのだ。<br>「あなた、お姉さまの何なの？」<br>それから噛み合わない会話が暫く続き、冒頭のやりとりへと<br>続くわけだった。<br><br><br>「ようするに、君はイリーナ・桜・マクダネルという名前で、<br>　ゲート研究の第一人者で、ほのかちゃんの後輩という事か」<br>「ちがうわ！」<br>「は？」<br>「後輩じゃないわ、愛する人よ」<br>「はぁ？」<br>「…その馬鹿面やめてくださらない？」<br>「ほのかちゃんの体で、その台詞やめてくれない？」<br><br>体が真っ二つになった柏原の遺体の横で、京介と桜（ほのか）<br>は睨み合いを続けた。<br><br>「まあ、いいわ。時間も無い事だしすぐに調合するから入り口<br>　見張ってて頂戴、京平くん」<br>「京介だ！調合って何するんだ」<br>「低脳なあなたには理解不能ね。ま、サルにもわかるように説<br>　明すると、お姉さまを元に戻す薬を作るって事ね」<br>「じゃあ、最初からそう言えよ」<br>「なんで私がサル語を話さないといけないのよ」<br>「…」<br><br>なんだかほのかの顔で言われると、傷つくなぁと思いつつ京介<br>は黙って入り口を見張った。<br>彼女がイリーナ姓を名乗った時は、ほのかが錯乱したのかと思<br>ったが、どうも二重人格とか精神錯乱の類ではなさそうだと、<br>すぐに思い直した。<br><br>（そういえば、凄い押しの強い後輩がいるって言ってたな。確<br>　か母国の実験で亡くなったって聞いたけど…まさか）<br><br>ちらり、と桜の方に目を向ける。<br><br>「…っかじゃないの、こんな幼稚な…」<br><br>ぶつぶつと文句をタレながら、凄まじい速度でキーを叩いたり<br>画面をスライドさせたりしている。もちろん、何をしているか<br>なんて京介には全く不明だ。<br><br>「で、どのくらいかかるんだい？桜ちゃん」<br>「馴れ馴れしいわね、京平くん」<br>「京介だ！」<br>「どっちでもいいわよ。ま、３０分もあればいいんじゃない？」<br>「マジかよ」<br>「なによ、こんなちゃっちい設備でこれ以上早くなんて…」<br>「いや、凄いなってさ」<br>「は？」<br>「だって柏原が何ヶ月もかかってできなかった事を３０分でや<br>　っちまおうっていうんだから…凄いよ。本当に」<br>「べ、別に…これくらい普通よ」<br><br>ふん、と赤い顔でモニターに向き直る。<br><br>（ほのかちゃんの顔で、それをされると弱い）<br>３０分間、妄想に浸る京介であった。
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<link>https://ameblo.jp/tenmame/entry-11421974808.html</link>
<pubDate>Fri, 07 Dec 2012 11:58:24 +0900</pubDate>
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<title>３９．因果応報、かな？</title>
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<![CDATA[ 『死亡を確認』<br>コンバットスーツの男が末永の脇に腰を落とし、冷たい声で誰<br>かに報告していた。<br><br>「誰だよ、あんたら」<br>柏原が、震える声でリーダーらしき男に話しかけたが、マスク<br>の奥から返事が返ってくることは無かった。彼らの注意はすで<br>にほのかに向けられていたからだ。<br><br>すっと二本指をほのかに向け、何かの合図をすると、慎重に銃<br>を構える。<br>「やめろ！」<br>京介が叫び、そして同時に発砲音が鳴り響いた。<br><br>肉塊と化したほのかの姿を想像した京介だったが、鳴り止んだ<br>銃声の後から聞こえてきたのは、歌うようなほのかの声だった。<br><br>『なぁるほど』<br><br>全身に銃弾を受けたのに、平然と立っている。<br>見た目は人間と変わらない。<br>しかし、まとったアウルの量が尋常ではなかった。撃退士であ<br>る京介にはそれが見えるが、はたしてコンバットスーツの連中<br>には見えているだろうかと見回した時だった。<br><br>『凄い力。これじゃ、人間に勝ち目なんて全くないわね』<br><br>ふんふん、と上機嫌に指を振る。<br>ただそれだけで、コンバットスーツの男達が一人、また一人と<br>爆ぜていった。<br><br>「う、ば、化け物…」<br>「逃げるな反撃しろ、グレネードを使え！」<br>「バカ、自殺する気か！」<br>「冗談じゃない、俺は逃げるぜ」<br><br>京介は、見事に統制のとれていた部隊が一瞬で崩壊する瞬間を<br>ただぼうっと眺めていた。<br>そうしてコンバットスーツを着た最後の男が飛び散ると、ほの<br>かがゆっくりと柏原の方を向いた。<br><br>『よかったわね、おおむね成功みたいよ』<br>「ひっ、ひ？」<br>『なによ、自分の実験が成功したんだから喜んだら？』<br>「ア…ひ」<br><br>失禁し、口から泡を吐いている柏原にほのかの声は届いている<br>のだろうか。<br>しかしそんなことはお構いなしに、ほのかの話は続いた。<br><br>『でもせっかく成功したのに、怪物になった彼女さんは討伐さ<br>　れちゃったみたいよ。どうするの？』<br>「あ…う」<br>『煮え切らないわねぇ…もう。あ、そうだせっかくだし自分で<br>　試してみる？』<br><br>傍らに転がる注射器を手に、ほのかがニッコリと微笑む。ブン<br>ブンと首を振る柏原だったが、腰が抜けてその場から逃げ出す<br>事ができなかった。<br><br>『心配性ね、私で実験して成功したんだから大丈夫よ。ふふ』<br>「たす、たすけ…」<br>『だーめ』<br><br>ぶすりと注射器が刺され、柏原の悲鳴が地下室に響き渡った。<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/tenmame/entry-11421974655.html</link>
<pubDate>Fri, 07 Dec 2012 11:57:49 +0900</pubDate>
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<title>３８．それぞれの実験</title>
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<![CDATA[ 頬にあたる冷たい感触で目を覚ますと、椅子に縛られていた。<br>ご丁寧にも、鎖と皮の拘束具を使って。<br><br>「な…んだこれは」<br><br>呻きながらなんとか発した京介の声は、ぼんやりと霞む視界の<br>先にいた男を振り返らせた。<br><br>「おや、気が付いたのか」<br>「お前、確か―」<br><br>目の前で注射を手に振り返った茶髪の男は、水泳部の部長で、<br>ここまで案内した男だった。名前は確か、末松だか末北だか、<br>そんなような名前だ。<br><br>「末永だよ」<br>「何も言ってないぞ」<br>「お前の目線が左上に行ったからな、思い出そうとしただろ」<br>「ああ、した」<br>「その後、まあいいかって顔しやがった」<br>「ああ、その通り」<br>「てことは、思い出そうとしたのは俺の名前あたりだろ」<br>「へぇ、最近の水泳部は心理学でも学んでるのか」<br>「紳士の嗜みってやつだ」<br><br>京介の軽口に乗ってくる様子もなく、末永は薄笑いを浮かべな<br>がら近づいてくる。注射器の中で、紫色の液体が揺れる。<br><br>「そう不安がるなって。お前に射つ方は完成版なんだから」<br>「完成版？…俺の方だと？」<br><br>その言葉を聞いた瞬間に、隣のカーテンからうめき声が漏れ聞<br>こえてきた。<br><br>「てめぇ、ほのかちゃんに何をした」<br>「うわ、怖っ！俺は何もしてないよ、俺は」<br>「なんだと」<br>「睨むなよ、そっちは俺の担当じゃないし。なあ？」<br><br>末永が話しかけながらカーテンを横に引き開けた。そこにはい<br>つかキャンパスで見かけたボサボサ頭の男がいた。<br>名前は知らない、が危なそうな男だったことは覚えている。<br>そして、前にはほのかがいた。<br><br>「ほのかちゃん！」<br><br>叫ぶ京介を無視して、男は末永に不機嫌そうな顔を向ける。<br>「なんだよ末永、邪魔するな」<br>「うっせ、絶望してからのほうが堕震しやすいんだよ」<br>「見世物じゃないんだぞ」<br><br>ほのかの口から吼えるような声が漏れ聞こえる。<br>「てめぇら、彼女に何をした！」<br><br>同じように椅子に拘束されているほのかの顔からは、大量の汗<br>が滴り落ちている、口に咥えさせられた布の意味する所は自殺<br>防止だろうか。見開いた目が、狂気の扉を開けようとしている。<br><br>「あっちはキツイぜ。何しろ柏原は変態だからな」<br>「失礼な事をいうな。お前よりマシだろ末永、人に戻すだけ」<br>「戻るもんかよ」<br>「黙れ」<br>「ま、せいぜい頑張れよ」<br>「大きなお世話だ。どうせお前の方だってまた出来損ないだ」<br>「んだと」<br><br>仲間割れしそうになった時、部屋を揺さぶるような大きな振動<br>があった。地上で何か大きな爆発か、もしくは破壊行為があっ<br>たようだ。何事かと末永と柏原が上をみあげた時、京介の頬が<br>ほんの少しだけ緩んだのだが、二人が気付く事はなかった。<br><br>「おお、怖い。柏原の大切な彼女が暴れてる」<br>「ちっ、バカの相手をしてる時間はないな」<br><br>京介には、その音の主が誰だか想像がついていただけに、彼女<br>という台詞に驚いた。<br><br>「彼女、だと？扉を壊そうとしてるのは…あの怪物だろ」<br>「あ、バカ。そんな事言ったら柏原が激怒するぞ。気持ち悪い<br>　化け物とか、そんなヒドイ事」<br>「末永、てめぇが元凶だろうが！」<br>「そうだっけ～？」<br><br>どうやら、地上で会ったあの巨大なディアボロはこの柏原とい<br>う男の元彼女らしい。問題は何故ディアボロになったか、であ<br>るが…まあ周囲の機材と目の前の注射を見れば大体の想像はで<br>きる。<br><br>「自分の彼女を実験体にしたのか」<br>「俺じゃない！俺はそんなことしていない！」<br>「そうだよ、いくら変態柏原だってそんな鬼畜な事はしないさ」<br>「じゃあ、お前か」<br>「いや事故だよ。たまたま他の実験…女の子にモニターしても<br>　らおうとしてたんだけど、ドタキャンしてさ。その時運悪く<br>　柏原の彼女が弁当の差し入れに来てたらしいんだ。まあ、俺<br>　には代わりのモニターとしか見えなかったわけで…」<br>「つまり、人違いだったと」<br>「ブラボー、その通り」<br>「人違いで済むか、末永！写真見せてただろうが！」<br>「そんなもん、覚えてないよ。実物と違ったし」<br><br>つまり、この二人は人を怪物変える、とんでもない実験をして<br>いたらしい。その途中人違で柏原の彼女がディアボロにされた<br>という事だ。<br><br>「で、その事と俺達のこの状況はどうつながる？」<br>「うん、つまりだね。柏原は化け物を人間に戻したい、俺は完<br>　全な怪物を作り上げたい。そういうこと」<br>「ほのかちゃんを、一度あの姿にして戻すのか」<br>「まあ、低脳の柏原が作った薬じゃ無理だろうけどね」<br>「俺はどうなる？」<br>「うん、怪物の完全体になるかな。きちんと意識を保ってて、<br>　俺の命令には服従して…無敵じゃん」<br>「何で俺達を狙った？」<br>「撃退士とかいうヤツでしょ。普通の人間じゃ失敗ばかりでね。<br>　それなら特別なサンプルを入手するしかないだろ」<br>「なるほどね」<br><br>京介のため息を諦めと判断したのか、末永があらためて注射器<br>を握り直す。<br><br>「そういうことで、運が悪かったね」<br>「お前さんの運がな」<br>「は？」<br>「撃退士敵に回して無事で済むと思ってんの？」<br>「何を強がり―」<br><br>末永が言い終える前に、背後の扉でショットガンの音が鳴り響<br>く。タイミングもバッチリだ。京介は、先程の振動を増援部隊<br>が上の怪物と戦闘したときの音だろうと踏んでいた。<br><br>ただし、予想と違ってなだれ込んで来たのは黒ずくめのコンバ<br>ットスーツの男達だった。<br><br>「な、なんだお前ら！」<br>慌てた末永が脇のテーブルの乗せてあるメスへと手を伸ばす。<br><br>「馬鹿―」<br>京介が制止する間もなく、無数の弾丸が降り注ぐ。恐らく、痛<br>いと思う暇もなかっただろう。そのくらい一瞬で全身穴だらけ<br>の男が出来上がっていた。<br><br>そして呆然と両手を挙げる柏原の横では、ほのかが限界を迎え<br>ようとしていた。
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<link>https://ameblo.jp/tenmame/entry-11368097921.html</link>
<pubDate>Sun, 30 Sep 2012 22:23:37 +0900</pubDate>
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<title>３７．信用</title>
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<![CDATA[ 薄暗く、かび臭い階段をゆっくりと下りていく。一人がやっと<br>通れる程度の幅しかない一本道は、逃げ道の無い不安をかき立<br>てる。<br>たとえば、目の前のこの肩をちょっとつつくだけで、ドミノ倒<br>しのように転がり落ちていくだろう。<br>ほんの少し、押すだけで。<br><br>「ほのかちゃん、変な事考えてないだろうね」<br>「へ？」<br>「肩越しに、悪戯したくて堪らないんですぅオーラがビリビリ<br>　伝わってくるんだよね」<br>「そ、そんなわけないじゃないですか、あはは」<br>「ほんとに？」<br>「もちろん、こんな狭いところで背中を押そうものならっ。奈<br>　落の底まで若い男子が２人、絡み合ったままゴロゴロと転が<br>　っ…」<br><br>ふと気がつくと、前を歩く男性２人が立ち止まってほのかを見<br>つめていた。<br><br>「あ、あれ？どうしましたか？」<br>「ほのかちゃん、先頭お願いできるかな」<br>「え、いやいやいや。だって私道知らないし」<br>「前衛職でしょ」<br>「あ、先頭と戦闘をかけたんですね、おもしろーい、うふ」<br>「…」<br><br>最後尾を譲る気など微塵も無いようだ。<br>こめかみを押さえつつ、京介はほのかの前方から半身ずらして<br>慎重に歩を進めていった。<br><br>「ここですよ」<br>「ここ？行き止まりじゃ無いか」<br><br>男が指さした先には、ただ壁があるだけだ。首を傾げる京介の<br>横で男が壁の一部を押すと、ゴリッという音と共に四角形の穴<br>が空いた。<br><br>「おお、ベタだな」<br>「大きなお世話です」<br>「ねぇねぇ、京介さん。巨大鉄球はいつ落ちてくるの？」<br>「マジで怖いからやめて」<br><br>目を煌めかせているほのかを横目で見る。<br><br>（そういえばほのかちゃんは冒険モノが好きだったよなぁ。女<br>性のトレジャーハンターっていえばあれか、トゥーム…あ、で<br>も胸のあたりのダイナマイト感が少し足りない気も）<br><br>ゆっくりと動く岩の扉を眺めながら京介はぼんやりとそんな事<br>を考えていた。そのせいで、男が脇腹に何かを押し当ててきた<br>時、わずかに反応が遅れてしまったのだ。<br><br>「！？」<br><br>突然の暗闇、通路の電球が切れたと思ったがすぐに自分の回路<br>がショートしたのだとわかる。<br><br>（スタンガンか、しくじった…）<br><br>そう思ったのは、意識が戻った時であったが。
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<link>https://ameblo.jp/tenmame/entry-11355963153.html</link>
<pubDate>Sun, 16 Sep 2012 10:01:33 +0900</pubDate>
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<title>３６．煙の中で</title>
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<![CDATA[ そのディアボロは一度大きく吠えると、羽根をバサリと広げた。<br>何をしているのか音だけでは十分にわからないが、重圧と恐怖<br>は十分に伝わってきた。<br><br>「あいつが司令塔なんだよなぁ」<br>「親玉って事ですが。グールを操ってるとか？」<br>「まあ、そんなとこ」<br>「じゃ、集中攻撃しましょう」<br>「ところが、頭も良いみたいでね」<br><br>くいっと京介の親指が十字架の方を指した。そこに映っていた<br>のは、ディアボロを取り巻くように護衛しているグール達だ。<br>壊れた正面扉から続々と侵入し始めている。<br><br>「なに…あれ」<br>「自分の身を守りつつ、攻撃するつもりなんだろうね」<br><br>ディアボロの手に巨大な鎌のが光っていた。死神が持つような<br>それを軽く一閃しただけで、十字架ごと壁が粉砕された。<br>ほのか達の隠れるテーブルなど紙のように切り裂かれるだろう。<br><br>「わぁ…当たったら痛そう」<br>「痛みなんて感じないよ、たぶん」<br>「逃げられるかしら」<br><br>お互い顔を見合わせ、脱出経路を探った。ほのかは『天狗落』<br>というスキルを使えば天井の穴まで跳躍できそうだ。京介には<br>無理だから、ほのかが八神で時間を稼いでその隙に横の壁から<br>外に…とわずかな時間で考えをまとめた所で、突然ディアボロ<br>が吠えた。<br><br>「な、何？」<br>「マズイ」<br><br>京介が舌打ちしながら上を見上げる。天井の穴から次々と羽根<br>を持った女性の顔をした鳥、ハーピーらしきものが侵入してく<br>るのが見えた。これでほのかの脱出経路は潰された。<br><br>（最悪、京介さんだけでも）<br><br>ほのかが、蛍丸を低く構えなおした時だった。<br><br>カン、カンと前方で硬質なものが転がる音がしたかと思うと、<br>突然ピンク色の煙が周囲を覆い始めた。<br><br>「なんだこれ！」<br>「わからな…げほっ」<br><br>咳き込みながら口元を押さえ、必死に京介の服の裾を掴む。視<br>界ゼロではぐれるのだけは避けたかった。グール達も含め、一<br>時的な恐慌状態に陥ったその場で、二人の腕を掴む者がいた。<br><br>「こっちだ！」<br><br>ほのかが、あやうく斬り捨てるところだった。ギリギリで思い<br>とどまったのは、その声をどこかで聞いた事があるような気が<br>したからだ。誰だったかは覚えていないが。<br><br>「早くしろ、煙幕が切れるまで時間がない」<br><br>男が二人を引っ張っていく。<br><br><br>そうして、ゆっくりとピンクの煙が薄れていき、後にはキョロ<br>キョロと周りを見回すグールと、恐ろしい形相で仁王立ちして<br>いるディアボロだけが残った。
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<link>https://ameblo.jp/tenmame/entry-11340180428.html</link>
<pubDate>Tue, 28 Aug 2012 19:46:37 +0900</pubDate>
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<title>３５．侵入する悪魔</title>
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<![CDATA[ 重要な内臓器官は傷ついていないようだとわかり、ほのかは少<br>し安心した。学園のライフエイドはとても優秀で、大まかな怪<br>我の状態ならば把握できるのだ。<br><br>（あとは包帯で固定すればいいだけなんだけど…）<br><br>チラリと後ろを振り返るが、京介は後ろを向いたままだ。ああ<br>見えて約束は守る人だから大丈夫だろうとは思っていたが、や<br>はりこの距離で素肌を晒すのは躊躇われる。<br><br>水着と下着じゃ大して露出部分は変わらないって？<br>断じて違う。それに今日は山吹色なのだ、色つきを見られるの<br>は何故か恥ずかしい気がする。<br><br>「ふぅ」<br><br>深呼吸を１回した後、パサリと着物を落とした。<br>なんか妙に緊張するなぁ、と思いつつ手早く腹部に巻いた包帯<br>を肩口へと回していく。<br>そこでふと疑問が頭をよぎる。<br><br>（あれ？）<br><br>「京介さん」<br>「な、なになに、どうしたの、振り返ってないよ」<br>「そうじゃなくて」<br><br>ほのかは苦笑しながら、疑問を口にする。<br><br>「明るいのは治療に楽で良いんですけど」<br>「うん、よく見えるからね」<br>「…何が？」<br>「傷口とかでしょ」<br>「まあ、うん。そうですね。で、窓はどちらも塞いだのに何故<br>　明るいんでしょう。電気付いてないですよ」<br><br>（なんで明るいって？そりゃ、今日は満月で…外の明かりが…<br>　部屋全体に？て、おいおいまさか―）<br><br>ほのかが包帯を巻き終え、着物を羽織るのと同時に京介が天井<br>を見上げた。そして着物ごとほのかを抱えて横っ飛びに転がっ<br>た。<br><br>ガシャン！<br><br>天井につけられた大きなステングラスが割れる音がすると、続<br>いて重そうな物体がドチャリと落下してくる振動が続いた。<br>２・３・４…中央テーブルの陰で舌打ちをしながら数える。<br><br>「天井に余計なモンつけやがって！」<br>「京介さんマズイ、閉じ込められたかも」<br>「ちぇ…裏目に出たかな」<br>「どのくらい降りてきたのかしら」<br>「見える範囲で６体いるね」<br>「え、見えるんですか？」<br><br>言ってから、京介はしまったという顔をする。ポーカーフェイ<br>スの彼にしては珍しく。<br>そしてほのかは、慌てて逸らした京介の視線の先にあった物を<br>確認して目を細める。<br><br>「まあ素敵、あんな所に都合良くピッカピカな十字架が」<br>「だ、だよね。運良く、あれで敵の数と動きを知る事が出来そ<br>　うだなあ、うん」<br>「本当に角度といい、高さといい、運が良いわぁ」<br>「…」<br>「京介さん、後でお話があります」<br>「ま、まずはこの場を切り抜けないとね」<br><br>言うが早いか、上半身を捻って敵に５発を叩き込むと、見事に<br>３体のグールが崩れ落ちた。これならなんとかなるかなと思い<br>始めた時だった。<br><br>正面の扉が、激しい破裂音と共に吹き飛び、あの巨大なディア<br>ボロが姿を現した。
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<link>https://ameblo.jp/tenmame/entry-11325953387.html</link>
<pubDate>Sat, 11 Aug 2012 19:08:22 +0900</pubDate>
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<title>３４．十字架に映るもの</title>
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<![CDATA[ 幸運なことに中央講堂の鍵はかかっておらず、グールの姿も見<br>当たらなかった。大げさな装飾が施された両開きの扉を押し開<br>け、転がり込むように中へ入る。<br><br>「少しは耐えられそうだ。ベンチでバリケードを作るからもう<br>　ちょっとだけ我慢して」<br>「京介さん」<br>「喋らないで横になった方がいい、大丈夫俺のヒヒイロカネは<br>　応急処置キット満載だからね。科学室の誰かさんと違って失<br>　敗したりしない」<br>「あはは…」<br><br>講堂は、礼拝堂としても使われているようだった。今はベンチ<br>が整然と並べられ、中央に演台と磨き上げられた十字架が乗っ<br>た木台が天窓に照らされている。<br>京介は手際よくベンチを扉に積み上げる。演台を右の窓に押し<br>当て、十字架の台で左の窓をふさぐと、ほのかの脇へ滑るよう<br>に飛び込んできた。<br><br>「お待たせ、傷口見せて」<br>「や、大丈夫」<br>「なわけないでしょ」<br>「自分で出来ますから、ほんと、キットだけ貸して下さい」<br>「そんなこと言ってる場合じゃ―」<br>「着物なんですってば！」<br>「え？」<br><br>きょとん、とする京介の頭がようやくゆるゆると回転し出した。<br>貫通した刀を抜いて傷口にライフエイドを貼り付けて、包帯し<br>て…と手順は頭に浮かんでいたのだが、大前提として服を脱が<br>さなくてはならない。そして着物というものは上下セパレート<br>では無いのだ。<br><br>「な、なるほど」<br>「なので後ろ向いてて下さい」<br>「でも、刀は自分で処理できる？」<br>「私の刀だし、ヒヒイロカネに戻しますよ」<br>「映画みたいに刀折って、ズブズブおりゃーみたいな事は？」<br>「私に死ねと？」<br>「はは…冗談だよ。じゃ、見張ってるよ」<br>「あ、振り向いたら大変な事が起こりますから」<br>「た、大変って、どんな？」<br>「それはもう」<br>「…」<br><br>ゴクリ、とつばを飲み込む音を残して京介は正面扉へと向き直<br>った。シュルリと聞こえてくる衣擦れの音が艶めかしい。<br><br>（無論、振り向きませんとも）<br><br>京介は左の窓を塞ぐ十字架にむかって、そっと眼球を動かした。<br>ピカピカに磨き上げられたそれは、鏡の如く逆さの世界を映し<br>出してくれる。<br><br>逆さの世界で、ほのかは『うぅ』とか『はぁ』とか目を瞑って<br>いれば勘違いしそうなほど色っぽい声を発しながら治療をして<br>いた。大丈夫だろうかと心配になる。その出血量は相当なもの<br>だし、止血剤やライフエイド程度で効果があるのか疑問だ。<br><br>「やっぱり、手伝おうか？」<br>「はは、殺しますよ」<br><br>冗談とも思えない口調で返事が返ってきた。一通り治療が終わ<br>って包帯を巻くだけとなった時、ほのかは少し躊躇した。肩か<br>ら腹にかけてきちんと巻くには一度着物を全て脱ぎ捨てなけれ<br>ばならないからだ。<br><br>下着をつけているとはいえ、男の近くで裸をさらすのは年頃の<br>女子として抵抗がある。<br><br>（ど、どうしよう）<br><br>２～３秒迷った後、思い切って脱ぎ捨てた。
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<link>https://ameblo.jp/tenmame/entry-11325002333.html</link>
<pubDate>Fri, 10 Aug 2012 17:05:39 +0900</pubDate>
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<title>３３．お姫様</title>
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<![CDATA[ （まだ５分かよ！）<br><br>京介は心の中で叫んだ。グールとの戦闘が始まってわずか５分、<br>こちらは満身創痍だというのに敵の数は増えるばかりだ。どう<br>やら学生を襲って『仲間』を増やしているらしい。<br><br>一向に進む気配がない時の流れに向かって、京介は考える。時<br>が万人に等しく流れるというの嘘だなと。応援がくるまであと<br>２５分、とても保ちそうに無い。<br><br>「おっと」<br><br>無策に突っ込んできたグールを半身で躱してＳＩＧの弾を４発<br>叩き込む。もうアサルトライフルの残弾心許ないのだ、脱出用<br>に節約する必要がある、そう判断したのが間違いだった。<br><br>「京介さんっ」<br>「え」<br><br>倒したと思ったグールが、むくりと起き上がる。打たれた腹部<br>からバサリと分厚い月刊誌が落ちる。そしてその手には折れた<br>日本刀が握られている。<br><br>「汚ね…」<br><br>京介の口角がひくりと持ち上がる。ＳＩＧを、いやこの距離で<br>は構える前に刺される、回避だ。体を捻ろうとした瞬間、ギク<br>リとした。足が上がらないのだ。<br><br>恐らくそのグールに感情があれば、ニヤリと笑っただろう。最<br>初の接触で足下に何か粘性のある液体を投げつけていたのだ。<br>この位置からの一撃は致命傷になる、京介はただ「ちくしょう」<br>とだけ呟き、目を瞑った。<br><br>＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊<br><br>（あれ？）<br><br>痛みも衝撃も無く、ただ現実だけが目の前に広がっていた。<br><br>（なんで俺、生きてる？）<br><br>目の前の光景が疑問に答えていたが、脳が認識を拒否していた<br>のだろう。間に合うはずの無いほのかがいて、ましてや背中か<br>ら折れた刀がにょっきり生えているなんて事を。<br><br>「いっ…た」<br><br>崩れ落ちるほのかの前方で、袈裟斬りにされたグールが二つに<br>裂かれて倒れていた。<br><br>「ほのかちゃん！？どうやって…って、大丈夫か、おい」<br>「こんな時にたった１秒とか…冗談キツイ」<br>「１秒？何の事―」<br>「京介さん、あと一回だけ八神撃てますから、先に脱出して」<br><br>『八神之太刀』は封砲と呼ばれる撃退士の技を独自に練り上げ<br>たもので、威力が桁違いに上がっている。近くの敵を一掃する<br>くらいは容易いが、隙も大きい。撃った後は一斉に襲われて終<br>わりだ。京介は一度だけ周りを見、そしてゆっくりと頷いた。<br><br>「わかった」<br>「次の波が来たら撃ちますね」<br>「いや、いい。もうわかったんだ」<br><br>そう言うと京介はアサルトライフルに残った弾を全て撃ち尽く<br>した。狙ったのは後方に控えていた、ひときわ大きな体躯を持<br>つディアボロだった。<br><br>グールよりも外見が綺麗で、背中には漆黒の羽根が生えており<br>一目で手強いとわかる。しかし、戦いにはずっと加わっていな<br>かったため、後回しにしていたのだ。そしてそのディアボロに<br>弾が当たった直後、激しい雄叫びと共に周りのグール達の動き<br>が止まった。<br><br>「よし、中央講堂まで走るぞ！」<br>「え、ちょ、えーっ！？」<br><br>京介はアサルトライフルを投げ捨てると、そのままほのかをお<br>姫様抱っこして走り出した。
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<link>https://ameblo.jp/tenmame/entry-11323171167.html</link>
<pubDate>Wed, 08 Aug 2012 12:37:32 +0900</pubDate>
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