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<title>強い光と深い闇</title>
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<description>小説を載せています。</description>
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<title>笑ってください。</title>
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<![CDATA[ 君たちの笑顔はまぶしくて。<br><br>まるで太陽のようでした。<br><br>罪を犯して穢れた私は。<br><br>決して太陽にはなれません。<br><br>それならば。<br><br>どうか。<br><br>あの月になれますように。<br><br>君たちが立ち止まったとき。<br><br>ただ静かに優しく包み込むような。<br><br>そんな月になれますように。<br><br><br>泣かないでとは言いません。<br><br>泣いてください。<br><br>泣いてください。<br><br>それから。<br><br>もう一度笑ってください。
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<pubDate>Tue, 13 Feb 2007 20:55:22 +0900</pubDate>
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<title>永久に捧ぐ12</title>
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<![CDATA[ 光り輝く大広間に、響く男の声。<br>アルバス・ダンブルドアの前に校長をやっていた、ディペットのものだ。<br>例年通りなら、一年生の組み分けを終わらせた後、諸注意に入る。<br><br>そう、例年通りなら。<br><br>「さて、ここで１つ皆に知らせがある。今年、ホグワーツは1人の編入生を迎える事になった。」<br><br>—— ザワッ…<br><br><br>ディペットの話はいつも長い。<br>またか、と思った在校生、寮が決まってやや緊張がほぐれた新入生。<br>その両者の期待を裏切る知らせが、大広間にざわめきをもたらした。<br><br><br>「家庭の事情で今まで自国から出られなかったらしい。<br>彼女は4年生への編入となるので、周りの者は彼女を助けてやるように。——— さぁ、入りなさい。」<br><br><br>ホグワーツ編入。嘗てそれを許可された人間は一人もいなかった。<br>なぜなら、魔力を持つ人間はあらかじめ11歳の時に入学許可証が届けられる上に、<br>7年間を一環としている授業は、途中参加で追いつけるような代物ではないからだ。<br><br><br>—— バタンッ<br><br><br>ざわめきが未だ収まらぬ中、大広間の扉が再び開く。<br>そこから現われたのは、しなやかで美しい黒髪を靡かせ歩く、一人の少女。<br>同年代の女子と比べ、その背丈は大分小さい。<br>しかし足取りは確かながらも優雅で、同年代以上の品格を感じさせる。<br><br><br>少女が一歩歩く度に、ざわめきが静寂へと変わっていった。<br><br><br>「初めまして。ユウ・カトリです。どうぞよろしく。」<br><br><br>寸分の迷いも無く、教員テーブルの数歩手前で止まり生徒の方へ向きを変える少女。<br>彫りは浅く、赤子のような象牙色の肌と黒真珠の大きな瞳が、より彼女を幼く見せる。<br>エキゾチックな雰囲気が漂う少女のからは、淀みのない英国英語が発せられた。<br>ほんの少し小首をを傾げ、にっこりと微笑む様は、まるでそこに花が咲いたかのよう。<br><br><br>「では、組み分けを行おう。」<br><br><br>現時点で、彼女の笑顔におとされた人間は、数知れない。<br><br>------------------------------------------------------------------------<br>Pledge　012　　　［　　　Welcome !　②　　　］<br><br>------------------------------------------------------------------------<br><br>　「さぁ、ミス・カトリ。ここにお座りなさい。」<br><br><br>　　　ディペットが宣言して直ぐ、マクゴナガル女史と思われる女性が、一つの椅子を指す。<br>　　私が知っているよりも随分と若かったが、服のセンスは昔から変わっていないらしい。<br>　　彼女の手には、先程見たばかりのボロ帽子が握られている。<br><br><br>　「はい。」<br><br><br>　　　短く返事をして座れば、その帽子は直ぐに被せられた。<br><br><br>　——　おお！貴女はやはりスリザリン殿の生まれ変わりですな？！<br><br><br>　　　頭に被った瞬間、待ってましたと言わんばかりに響く声。<br>　　私の頭の中にだけ聞こえるこの声は、間違いなく帽子の声だ。<br>　　彼の声が嬉しそうに聞こえるのは、やはり己の親に会えたが故か。<br><br><br>　——　まぁね。<br>　——　そうなれば最早貴女にはスリザリンしかありますまい。<br>　　　　　魂、血筋、性格。どれを取っても申し分ない！！<br><br><br>　　　……おや？<br><br><br>　　　どうやら、この帽子はほんの僅かな時間で私の内に流れるものまで分かってしまったらしい。<br>　　此方がガードしていないとはいえ、全く、侮れない奴だな……。<br>　　まぁ彼に他言する気は無いのだし、他言する事もできないのだから、気にする事でも無いか。<br>　　性格は……自他共に認めているのだから、何も言わないでおこう。<br><br><br>　——　ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ。<br>　　　　　記憶体だけどサラ本人もいるから、後でゆっくり昔話でもすると良い。<br><br>　　　本人と同一視されるのは腹が立つけど、彼の転生者として認められるのは、嬉しい。<br>　　何てったって、彼は私が尊敬している人物なのだから。<br>　　……本人には口が裂けても言ってやらないけどね。<br><br><br>　　　帽子も帽子で、積る話もあるだろうから、後でサラに会いに行かせよう。<br>　　サラは私と似て面倒くさがりな所があるから、こっちが言わなきゃきっと会いに行かないだろうし。<br><br><br>　——　何と！スリザリン殿も記憶を残されたか！<br>　　　　 やはりあの4人の絆は素晴らしい！！<br>　　　　 ここホグワーツにもグリフィンドール殿達の記憶が封印してあります故に 、<br>　　　　 ユウ殿も是非会われてみては如何かな？<br><br><br>　　　ふぅん。どうやら記憶を残したのはサラだけじゃなかったんだね。<br>　　っていうかそれって昔から禁術の域に入ってたと思うんだけど………？<br>　　創設者が揃いも揃って掟破りとは……<br>　　これは、思ったよりも面白い人達かもしれない。<br><br><br>　　　敢えてホグワーツの何処、って言わない辺りが帽子らしい。<br>　　いや。むしろ他の3人が帽子に口止めしてる可能性の方が高いな。<br>　　探してみろってか？よし。乗ってやろうじゃないか、その勝負。<br>　　まずは最初に、3人の記憶探索だね。<br><br>　——　そうだね。そうしてみるよ。ついでに私も秘密の部屋、作ろうかなぁ。<br><br><br>　　　そうそう。2巻読んでて思ったんだけど、秘密の部屋って、何かと便利そうだよね。<br>　　此処ホグワーツなら、多少荒っぽく改造なんてしちゃっても全然平気そうだし。<br>　　寮で割り振られる部屋だど、大して広いスペース無いし。<br>　　その点自分の部屋を作っちゃえば、好きなだけ本もおけるし？魔法も使いたい放題だし？<br>　　あ。キッチンとか檜風呂とかあっても良いかも。<br>　　やっぱ最初に部屋作んないと。<br><br>　——　ホグワーツの母である貴女なら難無くできるでしょう。<br>　　　 　　さて、ちと長話をしすぎましたかな。また是非貴女とは話をしたいものです。<br>　　 　　　ようこそ、ホグワーツへ。おかえり、ユウ・カトリ。貴女の寮は　——　<br><br>　　　確かに、少し長話をしたようだ。<br>　　ちらりと広間に視線をやれば、数人の生徒達が訝しがり始めてる。<br>　　まぁ多少好奇の目で見られたとしても、痛くも痒くもないが。<br><br>　　　脳内から帽子の気配が消え、代わりに頭上で何やらモゾモゾと動いている。<br>　　そして帽子の口（と思われる縫い目）が開き、呼吸器官も無いのに息を吸い込んだ。<br>　　彼が発する言葉は、もう決まっている。<br><br>　「スリザリンッ！！」<br><br><br>　——　ワッ！<br><br>　　　途端、大広間に響き渡る歓喜と落胆の声。<br>　　どうやら、私は思ったよりも生徒達に歓迎されているようだ。<br>　　今後どうなるかは、分かったものじゃないけれど。<br><br>　　　……にしても、<br><br>　「…作ったのは私じゃないんだけどなぁ……。」<br><br>　　　椅子から降り、スリザリンのテーブルに向かう際、ぼそりと零す。<br>　　私はサラの生まれ変わりではあるけど、サラではない。<br>　　確かに家族の一員と認められるのは、嬉しい。<br><br>　　だけど、なんだろう。<br><br>　　あの帽子の言った「ホグワーツの母」というのは、<br>　　只単に家族のひとりと言うより、何だか特別なものを表すように思えてならない。<br><br><br>　　　ホグワーツにとって、私はそんな大層な人間じゃ無かったと思うのだけど……。<br>　　何だか知らない内に自分が大きな者とされてるようで、居心地が悪い。<br>　　そんな私の心境を知ってか知らずか、窓も開いてない大広間に風が吹いた。<br>　　湿気のない、さらりと快い風が、ゆるりと私の頬を撫でる。<br><br><br>　“おかえり、サラザール・スリザリン。おかえり、ユウ・カトリ”<br><br><br>　　　通り抜ける時に、私の背後で確かに聞いた。<br>　　サラだけでなく、私の名前も呼んでくれたその声。<br>　　喜びに溢れたそれは、耳を通して全身に緩やかに染み渡る。<br>　　人ではないものに迎えられたこの感覚。<br>　　随分と、懐かしい。<br><br>　「…ま、悪くはないか。」<br><br><br>　　　とりあえず、私が楽しめればそれで良い。
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<pubDate>Tue, 13 Feb 2007 20:46:31 +0900</pubDate>
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<title>永久に捧ぐ11</title>
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<![CDATA[ あの後列車を降りたら、やたらと髭の長い、半月眼鏡を掛けた老人がいた。<br>　　老人とは言っても、恐らく年齢的にはそうであろうだけで……<br>　　彼が瞳から見せる気配は、まだまだ若い人間のそれだった。<br><br><br>　「ようそこ、ホグワーツへ。列車は楽しかったかの？ユウ。」<br><br><br>　　そういえば、この時代はまだ彼が校長じゃなかったっけ。<br>　　彼がこんな所に一生徒を迎えに来るなんて、何だか新鮮な感じがする。<br><br><br>　「似非笑顔が素敵な人に遭いました☆お招きありがとうダンブルドア先生。」<br><br><br>　　にっこり笑顔で軽くお辞儀（勿論西洋式）をすれば、彼もにっこりと笑顔で返してくれる。<br>　　此方は似非なんかじゃなくて、本当に心から笑っているようだ。<br><br>　　——ただそれに、やや黒いものが含まれているかと訊かれたら、NOとは言い切れないけど。<br><br>　　似非笑顔っていうだけでもう誰のことを言ってるのか分かった辺りは、流石ダンブルドアか。<br>　　…これで私まで目を付けられなきゃいいんだけど。<br>　　この人を敵に回すと、後々面倒だろうし。<br><br><br>　「魔力を持つ者が選ばれるのは当然の定めじゃ。<br>　さて、時間が無いのでいきなり本題に入らせてもらうがの。——ユウ、」<br><br><br>　　その表情は穏やかながらも、碧い眼光は鋭く突き刺さる。<br>　　やっぱり、しょっぱなから来たか。<br><br><br>　「——— お主一体、何者じゃ？」<br><br><br>　　さて、最初の峠……かしらね？<br><br><br>------------------------------------------------------------------------<br>Pledge　011　　　［　　　Welcome !　①　　　］<br><br>------------------------------------------------------------------------<br><br><br>　「……知らないのに、編入OKしたんですか？」<br><br><br>　　　まさか、彼一人の独断で編入させられる訳ではないだろう。<br>　　あの頭の固い現校長を、一体どうやって納得させたのか。<br><br><br>　　　（……大方、魔力のある子供を放っておくのはまずい、とでも言ったんだろう。）<br><br><br>　　　このダンブルドアなら、その理由一つで彼の校長を説き伏せる事が出来るはず。<br>　　むしろ、今後闇の帝王と対を張る程の人物とされるのだから、これくらい出来なくては拍子抜けだ。<br><br><br>　「んー、まぁ悪い感じはしなかったからのう……して、教えてくれんか？」<br><br><br>　　　私が知っている彼よりも５０年も前の世界であるせいか、彼の行動は随分若々しく見える。<br>　　軽く小首を傾げて問う様は、いい歳こいたジジイがするにはキモイが…彼には何故か似合っていた。<br>　　何とも微妙、ではあるが。<br><br>　　　……校長のいない校長室。<br>　　壁に掛けられた歴代の校長達さえ、今は何処かに消えている。<br>　　これもダンブルドアの配慮だろうか。<br>　　何にせよ、彼には初めからある程度教えるつもりだったし、まぁ問題ないだろう。<br><br>　　　———　彼が何をもって、“悪い感じはしなかった”と言ったのかは分からないが。<br><br><br>　「私が何なのか、は。……そこの帽子が知っている。急に現れた理由は、彼に呼ばれたから。<br>　 彼曰く私は本来此方に生まれるべき存在だったようよ。まぁ要するに、異世界の人間。」<br><br><br>　　　ダンブルドア程の魔法使いが、魔力のある人間を取りこぼすとは考えづらい。<br>　　それは私がこの世界に来た直後に、ホグワーツ編入の手紙が来た事からも明らかだ。<br>　　彼自身もそれを十分承知しているし、きっと彼は私が急に現れたのも知っている。<br><br><br>　　　それは以前からあった存在ではなく、その時其処に顕われたのだ(・・・・・・・・・・・・)と。<br><br><br>　「何にしろ、とりあえずホグワーツに敵対するつもりは無いから安心して。<br>　 私と彼は一緒と言っても、彼は彼、私は私。<br>　 だけど、私はなるべく彼の意思を尊重したいと思ってるの。」<br><br><br>　　　突飛な発言をしようとも彼ならさして驚きはしないだろうと思ったが、<br>　　案の定ダンブルドアは一分の動揺も見せず、私を凝視している。<br>　　さぁ、これで私が“彼”の生まれ変わりである事は判明した。<br>　　問題は、“彼”とは一体誰の事なのか…でしょう？<br><br><br>　「彼はマグルを憎んではいるけど、何よりもホグワーツが大事だろうから。」<br><br><br>　　　ここにきて、初めて見開かれた蒼い瞳。<br>　　それは何か触れてはいけないものに触れてしまったような——<br><br>　　——　歓喜と、悲しみに満ちた驚愕だった。<br><br><br>　　　部屋の隅に待機していた帽子に訊かずとも、私が何者であるか分かったのだろう。<br>　　「帽子」、「マグル」……そして「ホグワーツ」。<br>　　この三つのキーワードが、意味するものは………<br><br><br>　「あとはまぁ、勝手に調べて。説明面倒だから。」<br><br><br>　　　と。今までの雰囲気を霧散させて、軽く言い放ってみる。<br>　　するとダンブルドアの纏うものも同じように、普通の生徒に対するそれとなった。<br>　　私の表情に、何か見出したのだろうか。先程見せた悲しみは、一瞬にして消え去った。<br>　　否、消え去ったと言うには語弊がある。<br><br>　　ほんの少しを残して、消え去った。<br><br>　　　私が過去を引き摺ってはいないと、分かったのだろうか。<br>　　そして彼自身も自分の選択を後悔してはいないのだと、分かったのだろうか。<br>　　……きっとダンブルドアは、分かっているだろう。<br>　　そういう所には、特に聡い人だから。<br><br>　「…うむ。それだけ分かれば十分じゃ。では、行くかの。」<br>　「ええ。案内宜しくお願いしますね、ダンブルドア先生。」<br>　「む……何だかムズ痒いのぅ。…アルバスと呼んではくれんか。」<br><br><br>　　　私が敬語に直せば、眉間に皺を寄せて本気でムズ痒そうにしているダンブルドア。<br>　　他人から見れば、フレンドリーな先生なんだろうけど……。<br>　　……どうも私には、それ以外の何かを含んでいるように見える。<br><br><br>　「二人きりの時は構いませんけど、他人がいる時は遠慮させて頂きます。」<br>　「……敬語も痒いのぅ…。」<br>　「それはアレですか？私に傲慢無礼な女になれと？」<br><br>　　　あれか？私は仮にも自分の学校教員に敬語を使わない程高飛車だと？<br>　　よし、ちょっと表出てゆっくり話そうかそこのジジイ。<br>　　——　おっとイケナイ。ついポロッと、ね…？<br><br><br>　　　別に口に出した訳では無いが、そこはダンブルドア。<br>　　私の言いたい事を察したのか、どもりながらもきっちり否定する。<br>　　……半月眼鏡の奥にある目線も、何処か明後日の方向を向いていた。<br><br><br>　「いや、そういう訳ではなくての……。」<br>　「…まぁ、良いですけど。」<br><br><br>　　　もうご老体だし、あまり苛めても可哀相だから、勘弁してやるか。<br>　　静かに睨み付けていた視線を前に向け、ダンブルドアから目を離す。<br>　　視界の端で、ほっと胸を撫で下ろす姿が映った。<br><br>　　　あ、顔に冷や汗発見。<br><br><br>　　　別にそんなに怖いものでも無いと思うけどなぁ。<br>　　……ブラックジョークの分からん奴らめ。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>　『——…懐かしい？』<br><br>　　　そっと辺りを見回しながら、私の隣で漂っているサラに問いかける。<br>　　自分の身体を通しての会話なので、横にいるダンブルドアにも聞かれる事もない。<br>　　しかも彼は式神といえど元は記憶体なので、私以外の人間に見えなくさせる事も簡単にできる。<br>　　二人の間で使っているものは、所謂テレパシーのようなものだ。<br><br><br>　『ああ。…ぱっと見は殆ど変わっていない。絵画とゴーストが増えたくらいだな。』<br>　『……そう。私も心なし、落ち着く感じがするわね…。』<br><br><br>　　　此処ホグワーツの、温かく包み込むような雰囲気は、まさに嘗て私が欲した「理想の家」そのまま。<br>　　今ではすっかり諦めてしまった、「家族」の家……。<br>　　きっと彼等の優しい心が、1000年たった今でもこの学校を包んでいるのだろう。<br><br><br>　『当たり前だ。私達が創設したのだからな。』<br><br><br>　　　優は私の生まれ変わりなのだから、優が作ったとも言えるのだ、と。<br>　　そう彼は、他の誰にも見えないけれど、私だけに見える姿で———……<br><br><br>　『…そうね。そうだった。』<br><br><br>　　　———　なんて、あたたかいのだろう。<br><br><br>　　　不思議な事に、彼だけではなくて……この建物自体も、そう言ってるかのように思えた。<br>　　私もまた、「母」なのだと。——　家族の、ひとりなのだと。<br><br><br>　「…私、ホグワーツに来れて良かったよ。」 <br><br><br>　　　今更だけど、じわりと染みた。
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<pubDate>Tue, 13 Feb 2007 20:45:48 +0900</pubDate>
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<title>永久に捧ぐ10</title>
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<![CDATA[ 結局数分してから後、彼はコンパートメントの中に戻って来ることになった。<br>相変わらず素っ気ない雰囲気を出して、軽い拒絶を示す。<br>彼ならばそれに気付いているだろうに、それでも彼は尚話しかけてくる。<br><br>……作り笑いを、継続させたまま。<br><br><br>「…それにしても、ユウってちょっと変わってるって言われない？」<br><br><br>——— ああしつこい。どうせしつこいなら、早く本性を見せてくれれば良いのに。<br>その方が何倍も面白いだろうよ。<br><br><br>「何故？」<br><br><br>まぁしつこいと分かってて彼の相手をしている私も私か。<br>何だかんだで私自身も彼への期待を捨てきれないでいるらしい。<br><br><br>「だってペットは蛇だし、制服の着方も変わってるよ。」<br><br><br>制服……ああ、スカートね。<br>在校生の高学年にもスカートが短い人間はいたけど、私はその中でも特に短い。<br>確実に編入という、在学年数では新入生と変わらない人間がする長さでは無い。<br>変わっていると言ったあたり、配慮のつもりなのか。<br><br><br>「……。」<br><br><br>返事を返さずとも、尚も目の前の人間は口を開く。<br>どうしてこんなに私と喋りたがるのか。<br>……陰陽師の力がそんなに欲しいのか？<br><br><br>「それにホグワーツに行くのに、荷物は有り得ないぐらい小さいし。」<br><br><br>—— 全く、お前は小姑か。<br><br>------------------------------------------------------------------------<br>Pledge　010　　　［　　　To Hogwarts　③　　　］<br><br>------------------------------------------------------------------------<br><br><br>　「ホグワーツの手紙には『蛇を連れてきてはいけない』とは書かれてなかったし、<br>　　制服はどう着ようと私の勝手でしょ。」<br><br><br>　　　あの後彼女が着替えている間に出した答えは、“演技を続ける事”だった。<br>　　彼女が僕に対して良い感情を持ってないのは分かったけど、<br>　　それがイコール僕の演技を見抜いているとは限らない。<br>　　もしかしたら、元々人と馴れ合わない人種なのかもしれないし。<br><br>　　　相も変わらず素っ気なく答えた彼女に、内心で密かに溜息を漏らす。<br>　　まぁ答えてくれただけマシ、という感じかな。<br>　　彼女に興味があったは良いが、中々距離が縮められない。<br>　　これでも、人に好かれる事には長けていると自負しているのだが。<br>　　——— 特に女子には。<br><br><br>　　　（……稀に僕の顔に興味を示さない子もいるけど、それでも此処まで反応悪くは無いんだけどなぁ。）<br><br><br>　　　本当に、変わっている。<br><br><br>　「それはそうだけど……スカート、ちょっと短くないかい？」<br>　「日本じゃこれが普通かむしろ長い方。」<br><br><br>　　　生憎日本の事は陰陽師以外に興味はなく、<br>　　服の事にも全く頓着しなかった為、彼女の言葉が本当かどうかは分からない。<br><br><br>　　　彼女のスカート丈は太股の半分程度までしかない。<br>　　黒いオーヴァニーソックスをはいている為、総合的な露出度は低いが、<br>　　その隙間から見える脚は色々な意味で際どい。<br><br><br>　　　確か日本人は消極的で控えめな性格と記憶していたが、それは間違いだったのだろうか。<br><br><br>　「……それは随分と刺激的だね。」<br><br>　　　正直、この僕でさえも少しどうかと思ったほどだ。<br>　　普段他人の服装がどうであろうと全く気にしないのだが、<br>　　この彼女のスカートはまるで男を誘っているとしか思えない。<br>　　本人に悪気は無くとも、これは目の毒だろう。<br><br>　　　これでは何時襲われても、文句は言えない。<br>　　分かっていないでやっている、ただの馬鹿な女か。<br>　　……それとも対抗できるほどの、自信があるのだろうか。<br>　　彼女の今までの言動からして、前者であるとは考え難い。<br>　　僅かな時間ではあるが、彼女がそこまでの馬鹿ではない事は十分に分かった。<br><br><br>　　　思考に沈みかけた僕に、彼女は更に口を開く。<br><br>　「荷物は小さくしてもらったの。運び難いから。」<br>　「へぇ、便利な魔法だね。今度僕にも教えて欲しいな。」<br>　「あの人、人見知りするから。」<br><br>　　　ああ、やっぱり僕は嫌われているようだ。<br>　　あまりにもバッサリと迷うことなく即答された返事。<br>　　それには多分に拒否の意味が混じっている。<br><br>　　　名前どころか、立場名でさえ出さないのは、計算してか否か。<br>　　これでは父か母か、あるいはそれ以外の人物かも分からない。<br>　　普通“あの人”と言われたら、身内以外を指すものと思われがちだが、<br>　　彼女を“普通”で縛るのは危険だと、僕の本能が警告を告げている。<br><br>　　　僕が心の裡で彼女を考察している事は顔に出さずに、当たり障りのない答えを返す。<br><br>　「そうなの？残念だなぁ。」<br><br>　　　不機嫌な顔になる事は無く、終始笑顔で通す。<br>　　それにどうやら彼女は更に機嫌を悪くしたようで。<br><br>　　彼女の眉間にくっきりとした溝が刻み込まれた。<br><br><br>　　　（……なんだろう）<br><br><br>　　　背中が、ざわついている。<br>　　良い予感とも、悪い予感ともとれるような、微妙な予感。<br>　　…いや、これは確信か。<br><br>　「……どうやら着いたみたいね。」<br><br>　　　外を見遣って答える彼女の視線を追えば、そこには見慣れた駅。<br>　　その直ぐ近くには森と湖が広がっている。——— ホグワーツだ。<br>　　夏休みの間、憎たらしいマグルの孤児院で待ちわびた学校の姿。<br>　　それが、今年も始まる。<br><br>　　　学校に着いたと言うことは、彼女との別れも来たということ。<br>　　一緒に行けば問題ないのだろうが、きっと彼女はそれをしないだろう。<br>　　僕が誘ったって難無く断ると、予想ではなく断言できる。<br><br>　「あ、ホントだ。もうちょっとユウと話したかったな。」<br>　「そう。私はもうできればその顔の貴方とは話したくないわね。」<br><br><br><br>　　　………本当に、どうして此処まで嫌われなければならないんだろう。<br><br><br>　　　流石の僕でも、少し腹が立ってきて。<br>　　表面上には残念そうな顔を浮かべつつも、その目には僅かに苛立ちの感情を見せる。<br><br>　　　これで彼女が気付くかどうか、試してみようか。<br><br><br>　「…つれないなぁ。」<br><br>　　　これで彼女が全く反応を見せないようなら、只嫌われているだけ。<br>　　きっと彼女が僕の脅威になる事はないし、僕の彼女に対する興味も消え失せる。<br><br><br>　　　—— けれど、これで何らかのモノが返ってくるなら。<br><br><br>　　　彼女は僕の演技に気付いていて、尚かつその演技を嫌悪しているのだろう。<br>　　そして僕のそれを嫌っているにも拘わらず、僕の言葉に返事を返すという事は。<br>　　……彼女は演技をしてない僕を望んでいるという事。<br><br>　「私とまともに話したくばまずその胡散臭いものを全部引っぺがしてくる事ね。」<br><br>　　　彼女がその言葉を口にした途端、全身に衝撃が奔った。<br><br><br>　　　それは警告か、歓喜か。<br>　　どちらなのかは、僕にも分からない。<br>　　ただ何か大きなモノが僕の中を駆け巡った、としか。<br><br>　「……僕の何処が胡散臭いって？」<br><br>　　　何か分からないものが自分の中を占めているという不快感。<br>　　そして出逢ったばかりの少女に、“自分”を見破られたという焦り。<br>　　普段保っていた仮面に、ヒビが入った。<br><br><br>　　　今の僕はかなり危険なオーラを出していると、自覚がある。<br>　　それでも尚彼女は態度を崩す事なく、寧ろようやっと口元に笑みを浮かべた。<br><br><br>　　　それは仮面が剥がれかけた事を知った、決して爽やかとは言えない笑みだったけれども。<br><br>　「全部よ。まぁ今は少し剥がれたようだけどね。<br>　　…貴方はスリザリン生としては最上級だと思うわ。でもそれを私に向けられるのは嫌なのよ。」<br><br>　　　———　ひらりと舞い遊ぶ、クロアゲハ。<br><br>　　　西洋には見られない美しい黒髪を靡かせ、席を立った少女。<br>　　少女の見せたシニカルな笑みは、少女のそれではなかった。<br>　　まるで妖艶さを備えた大人の女のような、表情。<br><br><br>　　　脇に置いてあったローブを羽織り、荷物を手に取りドアへと歩く様も、<br>　　何故か少女の姿とは不釣り合いな程に大きく見える。<br><br>　　　何て、自分勝手な言い分。<br>　　しかし彼女には、それが許されている。<br>　　何故だろう。この少女には、自由がある気がした。<br><br>　「———　じゃあね、リドル。」<br><br>　　　そう言ってドア越しに振り返り、笑みを濃くして僕の名前を呼んだ少女。<br>　　サラリと煌めく黒髪が、美しい黒蝶の羽を思わせる。<br><br>　　　この瞬間、僕はきっと既にどうしようもなく彼女に惹かれていたんだと思う。
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<link>https://ameblo.jp/tennryuu20032003/entry-10025637472.html</link>
<pubDate>Tue, 13 Feb 2007 20:44:51 +0900</pubDate>
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<title>永久に捧ぐ09</title>
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<![CDATA[ 列車に乗り込んで暫くした後。<br>サラは蛇型になり優の鞄の中で大人しく寝ている。<br>よって、今このコンパートメントの中には優一人。<br><br>そんな部屋の扉が、突如開く。<br><br><br>「——　此処、君一人？」<br><br><br>佇んでいたのは、一人の男子生徒。<br>ネクタイカラーは、緑。<br><br>———— 優の、良く知る人物だった。<br><br><br>「ええ、正確には一人と一匹。」<br><br><br>しかし彼とは実際初対面。こちらが一方的に認識しているだけ。<br>ここで怪しまれるのは面倒だと、表情に一切出さず受け答える。<br><br><br>「一緒に入れてもらっても良いかい？」<br><br><br>運が良いのか、悪いのか。<br>この時代、学校一の人気者であろう彼が、今このコンパートメントに居座ろうとしている。<br><br><br>「蛇が平気ならどうぞ。」<br><br><br>個人的には、彼には多大な興味があった。<br>だから、受け入れた。しかし———<br><br><br>「あぁ、ありがとう。蛇は好きだから大丈夫だよ。」<br><br><br>——あの張り付いた笑みが、気に入らない。<br><br><br>------------------------------------------------------------------------<br>Pledge　009　　　［　　　To Hogwarts　②　　　］<br><br>------------------------------------------------------------------------<br><br><br>　「本当にありがとう。空いてる部屋が無くて困ってたんだ。」<br><br><br><br>　　　嘘吐き。貴方相手ならいくらでも空けてくれるでしょうに。<br>　　彼—トム・リドル—は監督生だったはず。それならば監督生用のコンパートメントを使えばいいと思う。<br>　　しかし彼は此処に居る。つまり、彼はまだ監督生ではない。顔つきからいって、５年以上にも見えないし。<br><br><br>　　　（———ああ、一体何を企んでいるんだか。）<br><br><br>　　　初っ端から、悪い予感がヒシヒシと感じられる。<br><br><br>　　　その程度の思考を数秒で終わらせ、一応マナーとして目線は合わせてから口を開く。<br>　　顔には彼と同じ——それでも彼よりは数段分かり難い作り笑いを浮かべて。<br><br><br>　「どういたしまして。」 <br>　「僕はトム・マールヴォロ・リドル。君は？」 <br><br><br>　　　相変わらずの嘘くさい笑顔を貼り付けたまま、彼は目の前に座った。<br>　　小首を傾げて、問いかける。今までその仕種で何人のオネエサマを落としてきたのやら。<br>　　普通の女子なら、ここで頬を染めるぐらいはしても良いだろうけど、生憎と私にそんな趣味は無い。<br>　　しかも作り物だと分かっているのだから尚更。<br>　　今度は目線を彼が来るまで読んでいた本に戻し、やや素っ気なく、無表情で答える。<br><br><br>　「ユウ・カトリ。こっちの蛇がサラ。一応言っておくと、編入生。」<br>　「へぇ、珍しいね。編入生なんて初めてなんじゃない？」<br>　「さぁ。こちらの事情にはあまり詳しくないから。」 <br><br><br>　　　私そう言った瞬間、彼の周りの雰囲気が一変した。<br>　　それは、普通の人間ならまず気付かないであろう、些細なもの。<br>　　しかし彼は確かに先程とは違う何かを纏っている。<br><br>　　　どこか険悪な、それでいて値踏みするかのような視線。<br>　　表面上穏やかを装ってはいるが、その紅い瞳の奥にあるものまでは隠しきれていない。<br>　　彼がマグル嫌いだという事を知っていれば、彼が何を思っているかは手に取るように分かる。<br><br><br>　「…君、マグル？」<br><br><br>　　　———　ほら来た。<br><br><br>　「違うわ。産まれてからずっと家の方にいたの。国外よ。」<br>　「何処に？」<br><br><br><br>　　　即答した事で、幾分か険悪さは和らいだものの、その目には未だに懐疑が色濃い。<br>　　言おうか言うまいか、少し迷う。これを言うと確実に目をつけられそうだ。<br>　　だがどうせ……編入の紹介の時に言われてしまうだろう。<br>　　それならば、別に今教えても大差はない。<br><br><br>　　　（…何より、彼の反応も気になるしね。）<br><br><br>　「…………日本。」 <br><br>　　　刹那、空間が止まった。<br><br><br>　　　先程までの険悪や懐疑は完全に吹き飛び、その目に映るのはただ驚愕のみ。<br>　　彼の瞳はこれでもかと言うほど見開かれている、ある意味貴重な顔。<br>　　私自身も彼の反応を見つつ読書を続けている為、今この場で動いているのは窓の外の景色だけ。<br>　　外で穏やかな景色が移りゆく事で、殊更奇妙な感覚を覚える。<br><br>　「……へぇ。」<br>　「…何か問題でも？」<br><br>　　　その歪めた瞳があまりにも……何て言うか…腹に一物抱えてそうな笑みだったので、問い返す。<br>　　こいつ実はもしかして、私よりも腹黒いんじゃないだろうか。<br>　　上げたくないと思いつつも、あの返事では顔を上げざるをえない。<br><br><br>　「問題……まぁ、問題かもね。」<br>　「何故？」<br>　「日本は、魔法省が唯一介入できない国であり、どんな魔法使いも日本に介入できないからだよ。」<br><br><br>　　　やはりこちらでも、陰陽連は存在するようだ。<br>　　この世界の魔法族は絶滅しなかったようだが、どうやら日本に介入するまでには至ってないらしい。<br>　　つまり魔法界より陰陽連の力の方が強力……であるとは言い切れないが、大方そうだな。<br>　　まぁ少なくとも私が居た世界の術師たちよりは強い奴らが揃っているようだ。<br><br>　　　陰陽師の秘密主義は、どちらの世界でも変わらないらしい。<br><br><br>　「どうやら“陰陽師”という集団が原因らしいけど、魔法使いで彼らを見た者は、いない。<br>　魔法界では、有名な話だよ。もしかしてユウ、君は陰陽師？」 <br><br><br>　　　ふぅん。魔法界では、陰陽師の事は殆ど知られてないのか。<br>　　好都合っちゃあ、好都合だね。まぁ知られても別にどうって事ないけど。<br>　　にしてもやっぱり、面倒な事になったなぁ。<br>　　とりあえず此処ははぐらかしておこうかな。<br>　　まだこっちの世界では正式な陰陽師じゃないし、色々説明するのも面倒だし。<br><br><br>　「さぁ？どうだろうね。実は静かに暮らしてた魔法族かもよ。というか、初対面の人間に対して不躾じゃないかしら 。」<br><br><br>　　　彼の人を見下したような…自分より格下であると思っているその態度がムカツク。<br>　　本人に自覚はない……のかもしれないけど、素顔を見せないって事は、そういう事でしょう？<br><br>　　“本音を言わなくても、自分を偽っても、気付かれないだろう。”<br>　　“別に、騙してたって問題ない。上手くやれる。”<br><br>　　　そういうふうに、思ってるって事だし。<br>　　何より、気付かれてないと思ってるのがムカつく。<br>　　私も随分甘く見られたものだわね。<br><br><br>　「あ、気分悪くした？ごめんね？」<br>　「ええ、かなり。」<br><br><br><br>　　　悪びれず謝る彼に、遠慮無く告げる。<br>　　つか、その顔は全然反省してないだろテメェ……おっといけない、口調が…。<br><br>　　　私が素っ気なくそう言った事で、彼の顔が再び驚きに染まる。<br>　　今度は先程の驚き具合ではないものの、かなり意外そうだ。<br>　　何だ。今までの女共と一緒にしないで欲しいな。<br>　　謝れば済むと思ったら大間違いだ。しかも謝る気が無いなら尚更。<br><br><br>　「はは…本当にごめん。ユウって周りの人達と反応違うから興味沸いちゃって。 」<br>　「そう。それはそうと私制服に着替えたいんだけど、良いかしら？」<br><br><br>　　　うーん…さっきよりはすまなそうに見えるけど、まだ内心では態度を変える気はなさそうね。<br>　　興味、ねぇ。別に仲良くなりたくない訳じゃないんだけど……<br>　　まずはその態度から出直してこい、ってところかしら。<br><br>　「あ。勿論どうぞ。…じゃあ僕は外に出てるよ。」<br><br>　　　それで彼が荷物を持っていく様子は無く、単身でコンパートメントの外に出た。<br>　　対私用の作戦を考えるのに丁度良い、ってか？<br><br><br>　　　（………はぁ…）<br><br><br>　　　まだまだ災難は続きそうだ。
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<link>https://ameblo.jp/tennryuu20032003/entry-10025637393.html</link>
<pubDate>Tue, 13 Feb 2007 20:44:09 +0900</pubDate>
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<title>永久に捧ぐ08</title>
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<![CDATA[ 「本気で7年分覚えやがった……。」<br><br>溜息を吐き、呆れが半分。妙な疲れが半分。<br>驚きは無い。この優が、そういう人種だとは分かっていたから。<br>所謂、「頭の良い人」。<br><br>「プラスαね。まぁ私は元々こっちで生まれるはずだったらしいし？<br>流石、サラに呼ばれただけあるわよね。」<br>「自分で言うか。」<br><br>自画自賛。そんな言葉も、彼女には似合ってしまう。<br>しかも。快い、自画自賛。彼女の天性の気質が垣間見えた。<br><br>「でも大半はサラのおかげよ？色々見てくれたし…ありがとね。」<br><br>かと思えば、こんな控えめな一面も。<br>少し気恥ずかしそうにはにかむ——外面的には——少女が、とても愛らしい。<br>それも、ほんの少しで消えてしまったが。<br><br>「あぁ…私も優がここまで賢い魔女だとは思わなかった……人は見掛けによらないな。」<br>「それは言わない約束よ。じゃあ3日振りに寝るとするか。…サラ、一緒に寝よ。 」<br>「はぁ？」<br><br>突然問題発言をかます優に、目をかっ開くサラ。<br>片眉は器用に吊り上がっていて、まさに「正気か？」といった表情。<br>それに優は笑って、否定する。<br><br><br>「あ、やだなぁ。変な意味じゃないよ？————魂の歴史を見せてあげるって事 。」<br><br>…そんな会話をしたのが、昨日の夜。<br><br>------------------------------------------------------------------------<br>Pledge　008　　　［　　　To Hogwarts　①　　　］<br><br>------------------------------------------------------------------------<br><br><br>　　駅のプラットホームで、中型のトランクケースをガラガラと転がしながら、周りを見渡す少女。<br>　　本当の所、彼女の歳は二十歳を超えているのだが……そこは外見のせいという事で。<br>　　黒く長い髪は左サイドで一括りに纏め、頭には焦げ茶のキャスケット。<br>　　ターコイズのキャミソールに、白いカーディガン。<br>　　そしてデニムのジーンズの上から黒いオーバースカートを履いている。<br>　　足下は白のパンプス。と、彼女は完全に周りのマグルにとけ込んでいた。<br>　　まさに「今からちょっとお祖母ちゃんの家に行ってきます」という感じである。<br><br><br>「えーっと、9と3/4、9と3/4……ここかな？」<br><br><br>　　しかし彼女が発した言葉は、間違いなくマグルが知らない場所の名前で。<br>　　周りの人間に聞こえて無かったから良かったものの、彼女は今かなり注目されている。<br>　　なんせ、綺麗とはまだ言えなくとも、優は中々に可愛い顔をしているのだから。<br>　　それに加えて、日本人。彼ら欧米人にとって、日本人のアーモンド型の瞳、<br>　　髪質の違う柔らかな黒髪、そして象牙のような肌は、日本人が感じるよりも更に愛らしく思えるらしい。<br>　　彼女、優は元々日本においても、かなり可愛い方に入る人間。<br>　　ならば、欧米人にとっては、まさに「万人が振り返る人間」なのだろう。<br><br>　　またきょろり、と辺りを見回して、一本の柱の前に佇む。<br>　　零れた問いは、誰にも聞かれる事なく消えていくはずだったのだが、<br>　　そこに姿無き声が微かに届く。<br><br><br>『そうだろう。先程一家が入って行くのが見えたからな……それにしても、』<br>「うん？」<br>『随分と小さく纏めたな。』<br><br><br>　　答えたのは白い蛇、で。<br>　　しかもその蛇は少女が肩に掛けていたバックから出てきたので、<br>　　彼女に視線を向けていた通行人はぎょっとする。<br>　　そして次々と視線を逸らしていき、後から彼女に気付いた人間も、それを見て慌てて逸らす。<br>　　この瞬間、優は不特定多数の人に「変な少女」と思われているのだが、当人は全く意に介していない。<br><br>　　周りには「シュー」としか聞こえない声でも、彼女にはそれが伝わる。<br>　　これまた周りに聞かれない程度の音量で、またその白い蛇に返事を返す。<br>　　その白い蛇とは、いわずもがな…サラザール・スリザリン。<br>　　どうやら彼は人型と蛇型両方になれるようだ。<br>　　蛇の元であるバジリスクはもっと巨大であったから、きっとあっちの姿にもなれるのだろう。<br><br><br>「子供一人であんな大荷物抱えてたら可笑しいでしょ。ちょっとした小旅行に見えるくらいが丁度良いのよ。」<br><br><br>　　たしかに、欧米人にとって日本人は実年齢より幼く見える。<br>　　今優の外見年齢は14だが、他から見たら10歳辺りだろう。<br>　　かろうじて、来ている服の趣味から、12歳辺りかと思える程。<br>　　そんな幼い人間が、一人で大荷物を抱えていたら、明らかに不自然だろう。<br>　　別にサラに人型で付き添ってもらっても良かったのだが、<br>　　如何せんサラもホグワーツに行くのだ。<br>　　この柱はほぼ一瞬で通り抜けてしまう為、この中でサラを蛇に戻す事もできない。<br>　　……そう結論づけて、結局ここに「人」の形でいるのは優のみ。<br><br>　　ならば、荷物は少なく、できるだけ近場に出かける風を装った方が良いだろう。<br><br><br>『確かに…アレは普通の5、6倍は軽くあった…』<br><br><br>　　優の荷物とはかなり多かったのか、随分と顔を歪める蛇。<br>　　蛇に表情なんてあるのか、とは思うが。そこは元人間。<br>　　何となく出ているのだろう。<br>　　そんな蛇に大して、少女は小さくくすり、と笑った。<br>　　どうやら彼女の荷物を詰めたのは、サラザールだったらしい。<br><br><br>「魔法薬の材料と読書用の本がね。まぁあれで一ヶ月ももつとは思えないけど。」<br>『……優の恐ろしい程の読書量と比べたら、だ。』<br><br><br>　　「普通の人間なら、あれで軽く1年はかかる。」<br>　　続けて蛇はそう零した。まぁ、かく言う彼も「普通」では無い為、そんなに時間は掛からないが。<br>　　<br>　　それでも彼が全て読むのには少なくとも二ヶ月は掛かろうというもの。<br>　　彼女がこれから読もうとしている本は、それ程までに厚く、多く、全てが難しい。<br>　　それをあろう事か、半分の時間で読めてしまうという。<br>　　否。寧ろ「もつとは思えない」と言っている所から、精々2，3週間か。<br>　　もしかしたら、もっと速いかもしれない。それぐらい、彼女の読書スピードは半端なかった。<br>　　その速さは、ページを捲るその手が5秒と開けずに絶えず動いている程。<br>　　本気になれば、パラ見でも平気らしい。<br>　　しかもその読んだ内容を全て覚えているというのだから、恐ろしいものだ。<br><br><br>「とりあえず持って来たの読んで、終わったらホグワーツの図書館でも読破しに行こうかな。」<br><br><br>　　　一応ホグワーツの図書館も、「人生が三回あっても読み切れない」と言われているのだが……。<br>　　まぁそれでもサラザール邸の蔵書数と比べたらかなり簡単なものばかりで、且つ少ない為、<br>　　優にとっては読み切れる量なのだろう。普通、考えられない事ではあるが。<br><br>　　　もしかして、前の世界でも同じようなペースで本を読み続けてきたのだろうか。<br>　　………昨日見た優自身の知識量を考えると、言うまでもない。<br><br><br>『…まるで生きる世界図書館だな。』<br>「前世達の記憶も入れたら“世界”以上ね。」<br><br><br>　　　確かに、優の(ひいては自分の)前世達は、それこそ「世界」を股に掛けているのだから、<br>　　彼らの記憶に刻まれている知識を引き出せば一世界以上の量になる。<br>　　既に世界図書館というよりも、多世界図書館。<br><br>　　　……一見何ともない、別に凄そうにも見えない、可憐な少女。<br>　　少女は、実はもう精神年齢は二十歳を越えていて、その年齢よりも遥かに多い知識を持っている。<br>　　そんな大量の知識を持ってるにも拘わらず、彼女がその知識を発揮する事は意外と少ない。<br>　　魔法に関しては、未だ自分の方が勝っているが、それ以外はどうだか。<br>　　恐らく十中八九、優の知識の方が上だろう。<br>　　多少、認め辛くはあるが。<br><br>　　　それも彼女自身を認めたくない訳ではなく、ただ、ほんの少し自分の性格が捻くれてるだけ。<br><br><br>『……まぁ何にしろ活用できなければ意味が無い。』<br>「え？何それ。ちょっとどういう意味かなぁ？ソコんところ詳しーく聞きたいんだけど。」<br><br><br>　　　ぼそりと小さく呟いた筈なのに、しっかりと聞き取っている優。<br>　　彼女は腹黒いだけでなく、地獄耳のようだ。ああ、恐ろしい。<br>　　本当に疑問的だったのは最初の二言までで、それ以降はとっても爽やかな笑顔で問い詰めてきた。<br>　　こういう時は、上手くはぐらかすに限る。<br><br><br>『ふっ、さぁな。…優、あのコンパートメントが空いてるぞ。』<br><br><br>　　　例え蛇の状態であっても、魔力は存在する。<br>　　よって魔法は使えないだろうが、他の魔法使いの魔力は感知できる。<br>　　それで人のいない空のコンパートメントをみつけ、優に入るよう促す。<br>　　優がそちらに視線を向けた所で、自分はさっさとバックの中に戻る。<br>　　このまま寝てしまえば、優は自分を起こしてまで怒りはすまい。<br><br>　　　優が腹黒く迫ってくる時は、大抵本気では怒ってない時。<br>　　だから此方が先に逃げてしまえば、それ以上は追求しない。<br>　　それをここ数日で、学び取った。<br><br><br>「……(この蛇っ…！)」<br><br><br><br>　　　そうと知っててわざと言い逃げしている蛇に、<br>　　　「いつか見てろよ」と優が小さく意気込んだのを知っているのは、一人佇む本人だけ。<br><br>　　　恨めしげな視線を向けられている当事者は、もう既にバックの中でスヤスヤと眠っていた。
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<pubDate>Tue, 13 Feb 2007 20:43:15 +0900</pubDate>
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<title>永久に捧ぐ07</title>
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<![CDATA[ ——お代はいりません。あんなに素晴らしいものを見せて頂いたのですから——<br><br><br>杖を買うためにお金を出そうとした時に、言われた言葉。<br><br>元々材料は殆ど用意して貰ったものだから、とも付け足していた。<br><br>それにしても、あの杖の出来ならば相当の金額を払っても良いと思うが……<br><br>まぁ、タダで貰える事に越した事はないので、ありがたく貰っておく事にした。<br><br><br>「…優。」<br><br>「何？サラ。」<br><br><br>オリバンダーの店を出て、ダイアゴン横丁の雑踏を歩く中、サラが問い掛ける。<br><br>どこか硬いサラに対して、優は至って普通。<br><br><br>「…アレは、何だ？」<br><br>「—…ずーっと前の、友達…かな。……サラよりもずっとずっと前の、ね。」<br><br><br>一瞬だけ、歩みを止めた優。<br><br>はぐらかすように答えたその表情は、何処か温かい。<br><br><br><br>「…そうか。」<br><br><br>それ以上は、何も訊かなかった。<br><br><br>「……サラには、一度見せておいても良いかもね。」<br><br><br>それが一体何を指すのか、まだサラには分からない。<br><br><br>------------------------------------------------------------------------<br>Pledge　007　　　［　　　Shopping　　③　　　］<br><br>------------------------------------------------------------------------<br><br><br>　　　あの後殆どの買い物を済ませ、フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店にやってきた二人。<br>　　書店を後回しにしたのは、両人共が無類の本好きであるという暗黙の了解の為だ。<br>　　優がサラと共に暮らしてから数日もたってないが、彼女が既に読み終えた本の冊数は優に20を越えている。<br>　　その驚異的な読書スピードをサラは身をもって理解しているし、<br>　　優もその邸にある膨大な本の数から、サラの読書が趣味以上であることを知っている。<br>　　そんな二人が初めに書店に入ろうものなら、後の買い物が出来なくなる事は明確で。<br>　　二人共その部分をきっちり理解していた為、書店は問答無用で最後に回されたのだった。<br><br><br><br>　「……うっわー…凄い量だね。」<br>　「この調子だと私も少し知識を補充する必要があるな……」<br><br><br><br>　　　見渡す限りの本、本、本。本の山。<br>　　流石魔法界。あちらこちらに不思議な本が積んである。<br>　　しかも、恐らくここにある殆どの本が、サラが死んだ後に刷られたもの。<br><br>　　　（これは、書庫を増やす必要があるかもしれないわね……）<br><br>　　　面倒だと思う反面、この中に自分の欲求を満たしてくれる本がどれ程あるのだろう、と期待を膨らませた。<br>　　ここは自分にとって全くと言って良い程未知に近い世界。きっと、読む本にはこと欠かないだろう。<br><br><br><br>　「じゃあとりあえず、ウチに無い本買ってく？」<br><br><br><br>　　　早く読みたい、漁りたいと思うのは優だけではなかったらしく、サラも直ぐさま頷く。<br>　　やはり自分たちにとって本の山とは、かなり食指が動かされるもののようだ。<br><br>　　　だがサラは頷いた後、ふと固まり……何かに気付いたように優の方を向く。<br>　　その動きがぎこちないのは、本に浮かれて直ぐに気付かなかったのが悔しかったのだろう。<br>　　なんせ、優の表情は…あきらかに分かって言ってる顔だ。<br><br>　　　優は知っていると分かりきってはいても、遠回しな嫌味を言うぐらいはしたい。<br><br><br><br>　「優…900年の間に新しい本がどれ程出されると思っている？」<br>　「冗談よ。まぁ私とサラが読みたい本…500ってトコ？サラは勿論魔法使えるよね？」<br><br><br><br>　　　意地悪く笑った優にしてやられた、と思いつつもあまりキツク言えないのは、<br>　　その笑みが何処か子供っぽくみえたからか。<br>　　本来、既に成人している彼女が見せる子供の表情は、ただ単に身体に合わせているだけには思えなかった。<br>　　もしかしたら、彼女は前の世界で奪われた子供の時間…を、取り戻そうとしているのではないだろうか。<br><br>　　　（……いや、考えすぎか。コレは、そんなしおらしい性格ではないしな。）<br><br><br><br>　　　———　きっと、これが彼女本来の性格なのだろう。<br><br><br><br>　「ああ。そのくらいの量が妥当だろうな。」<br><br><br><br>　　　笑う優に軽く返して、視線を本棚に移す。<br>　　さて、一体どうやって買う本の数を絞り込もうか。<br><br>　　　思考を巡らせれば、優はそれに心得たとでも言うように頷いて。<br>　　にっこりと可愛い——それにしてはやや大人びた——笑みを浮かべ、一方向を指差す。<br><br><br>　「じゃあそこの右端から見ていこうか。」<br><br><br>　　＊＊＊<br><br>　　　もの凄くホクホクとした、満足気な表情で書店を後にする二人。<br>　　彼女らの背後には、顔を青くしながらも必死に笑顔を貼り付ける店員が十数名。<br>　　十中八九、彼女たちの為に書店内を奔走させられたのだろう。<br>　　あの二人の事だ。ワザワザ本を会計まで運んで買うとは考えにくい。<br><br>　　…後日、フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店で二人組が5万ガリオン以上の本を買ったと噂になったのは言うまでもない。<br><br><br>　「あー楽しかった！また来ようね、サラ。」<br>　「ああ。実に有意義だった。」<br>　「———…あ。」<br>　「どうした？優。」<br>　「…ノクターン、行く？」<br><br><br>　　　突然足を止め、何を言い出すかと思えばこの始末。<br>　　ノクターンの事まで知っているとは、やはり侮れない。<br>　　まぁ優ならば平気だとは思うが、此処は彼女が対応できないであろう闇の魔法が蔓延る場所。<br>　　この間、陰陽術は使えても、魔法は使ったことが無いと言っていた。<br>　　それならば、優に魔法を覚えてからの方が安全だ。<br><br><br>　「いや。今回はやめておいた方が良いだろう。一応優も一通りの魔法を覚えてからの方が良い。」<br><br><br>　　　自分が守ってやれれば良いのだが、如何せん魔法は常に進化する。<br>　　眠っていた900年もの間には、確実に自分の知らない闇の魔法ができているはず。<br>　　それを考慮すれば、今ノクターンに入るのは避けた方が無難であると結論づけられる。<br>　　優もそれを理解したようで、止めた歩みを再開した。<br><br><br>　「んー、そだね。まぁ次回のお楽しみって事で。」<br>　「…それは次に来るまでに一通り覚えるという事か？」<br><br><br>　　　あえて、何をとは言わない。<br>　　現時点で、優が一通り覚えなければならないのは、魔法のみだからだ。<br>　　簡単に次回と括ってはいるが、魔法の数はそれこそ膨大。<br>　　学校の休みや、魔法薬の調達を考えると、次回までの期間は一年も無い。<br>　　ノクターン横町を安全に歩ける程の魔法は、そんな一朝一夕で身に付くものでは無いと思うが。<br><br><br>　「っていうか、ホグワーツに行くまでに。今日入れて後4日。」<br>　「4日で、3年分をやるのか？」<br>　「正確には4年分。目標的には7年分+α、みたいな？」<br>　「……。」<br><br><br>　　　さらに、爆弾発言。<br>　　今日買った本の中には、勿論優がホグワーツで使うべき教材も含まれている。<br>　　そしてそれ以前の3年分の教材も購入して……その量は優もしっかり見たはずなのだが。<br>　　只でさえ時間が無いというのに、何を言っているんだこの娘は。<br>　　しかもノクターンの件を考えると、+αがどれ程の量なのか……考えただけで恐ろしい。<br><br><br>　「ってワケで、宜しくねサラ♪」<br><br><br>　　　一切の邪気が感じられない純粋な期待と笑顔は、ある種最強の脅迫である。<br>　　そう、かの偉大なるサラザール・スリザリンは身をもって体感したと、後に語る。<br><br><br>　「……私が教えるのか。」<br><br><br>　　　疲れ切った…どこか諦めの入ったアンニュイな溜息を吐くサラ。<br>　　今の彼に、偉大なる魔法使いの威厳などは微塵も感じられなかった…………。
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<link>https://ameblo.jp/tennryuu20032003/entry-10025637272.html</link>
<pubDate>Tue, 13 Feb 2007 20:42:36 +0900</pubDate>
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<title>永久に捧ぐ06</title>
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<![CDATA[ 振った途端、激しい音を立てて裂けた杖。<br><br>持ち手部分の金具を残して、木製部分が箒のように枝分かれ。<br><br><br>「——…杖が…裂けた…？」<br><br><br>いくら他意は無いとは言え、歴とした売り物。<br><br>しかも、恐らくこの店で一番高価であろう杖。<br><br><br>「うっわ…ごめんなさい……」<br><br><br>店内に気まずい沈黙が流れる。<br><br>ただし<br><br>優は商品を破壊したので、気まずいだけであり、<br><br>他の二人は、彼女の魔力の巨大さに沈黙した。<br><br>という違いがあるのだが。<br><br><br>「これは…本気でどうしたものか…………。」 <br><br><br>重苦しく唸ったオリバンダー老。<br><br>此処にはもう、アレ以上魔力の強い杖は無い。<br><br><br>無い、筈だった—————<br><br><br>------------------------------------------------------------------------<br>Pledge　006　　　［　　　Shopping　　②　　　］<br><br>------------------------------------------------------------------------<br><br><br>　「…もしや、」<br><br><br>　　　首をかしげ、唸っていたオリバンダー老。<br>　　しかしその中央に寄っていた白い眉の皺が、突如消えた。<br>　　何か、思い当たる節があったのだろうか。<br><br><br>　「失礼ですが、ご出身は異世界の日本で？」<br>　「「！！？」」<br><br><br>　　　いきなり、爆弾発言をかますオリバンダー老。<br>　　一瞬、図星をつかれて驚くよりも、「頭可笑しいのか？」と思ってしまったのは、仕様がないだろう。<br>　　自分の事は完全に棚に上げてしまっているが…普通、異世界なんて言われて、疑わない方がおかしいのだ。<br><br>　　　そして彼は二人の図星を読み取り、更に爆弾発言を投下する。<br><br><br>　「やはり……貴女は純血の“龍族”でいらっしゃいますね。十中八九…“純徇龍華”でいらっしゃる。」<br>　「——何故、知っている？」<br><br>　　　———　純徇龍華　———<br><br>　　　それは陰陽連の中枢を担っている火鳥一族の中でも、特に稀にしか生まれないとされている存在。<br>　　火鳥一族の始祖は龍神｢應龍｣だと言われており、それ故に火鳥一族は別名龍の血を継ぐ者“龍族”と呼ばれる。<br>　　その應龍の血を完全に継いだ者——つまり純血の“龍族”——だけが龍に転変できるのだ。<br>　　純血の“龍族”は数世紀に一人しか生まれないと言われる為、火鳥一族は彼らを敬意と畏怖を込めて純徇龍華と呼ぶ。<br>　　彼らは転変できようとも始祖の力には及ばないが、それでも｢純徇龍華｣は最も“徇帝(始祖の別名)”に近しい者とされ、<br>　　数が少ない今尚絶大な力を誇っている———<br><br><br>　　　コレについて語る事は数多くあれど、それはどれも門外不出。<br>　　決して陰陽連と一族の者以外には口外してはならない情報の筈。<br>　　この魔法界には公に知られていると？———　まさか。あり得ない。<br>　　純徇龍華については、どんなに愚かであろうと口外を避ける。<br>　　なぜならば、それ程に純徇龍華の力は大きく、尊いからだ。<br>　　それが賢き者なら、尚更。<br><br><br>　　　一体、如何なる理由でその言葉を彼は知ったのか。<br><br><br>　「私はこの二代前…つまり初代が、同じく純血の“龍族”で“徇帝”を冠する方 にお会いしたのです。<br>　　その時その方はこう言われました。<br>　　“この材料で可能な限り強力な杖を作ってくれ。<br>　　いつか俺の子孫で強力な魔力を持った徇遥がここに来た時、きっとその杖が必要になる。”と。」<br><br><br>　　　“龍族”、というのは。龍に転変できる火鳥一族の別名。つまりその者は火鳥の一族であって…。<br>　　徇帝。それは確かに火鳥一族の始祖の名であり……そして、最古の前世の友人でもあった。<br><br><br>　「……その男は、本当に“徇帝”と名乗ったのか。」<br><br><br>　　　本当に、徇帝だとしたら、それは　——————<br><br><br>　「はい。初代は己の全てを注ぎ込み杖を作りましたが、とうとうその徇遥は現れなかった。<br>　　そしてその話だけが、代々伝えられたのです。」<br>　「そうか……。」<br><br><br>　　　何と、懐かしい話。…もう、逢うどころか、名前を聞く事も無いと思っていたのに。<br>　　しかも……こんな異世界で。…否。此処が、本来在るべき、世界。<br>　　彼は私とは違う。私の前世ではあるが、ただそれだけ。<br>　　しかしこの何とも言えない感覚……<br><br><br>　「——…本来杖は木で作りますが、それでは龍族の魔力は扱えない。<br>　　そこで特殊な石を使い杖を作り——— 完成したのが、この杖です。」<br>　「……これは…」<br><br><br>　　　一見、普通の木材で作られているかに見える杖。<br>　　しかしよく眼を凝らしてみると、それが石造りである事がうかがえる。<br>　　そう、黒檀のようでそれよりも高貴な輝きを放つこの杖。<br>　　曲がることなく真っ直ぐに、寸分の歪みもなく美しく形作られていた。<br>　　持ち手の部分はそのプライドを表すかの如き純銀。<br>　　両端に華美になりすぎない程度の彫刻が施してあるのも素晴らしい。<br>　　彫刻の柄が薔薇と茨である事が殊更この杖の価値を高めている。<br>　　<br>　　まさに溜息が漏れるほどの、高貴さ。<br><br>　「龍輝石にバジリスクの牙と“何か”の血。何の血を使ったのかは初代も知りませんでした。<br>　　32cmでよくしなる、間違いなく最高の魔力を誇る杖です。どうぞ、お振りください。」<br><br><br>　　　———　　　　ド　　　　ク　　ン <br><br><br>　　　優が握った途端、まるで生命を吹き込まれたかのように碧く光り出す杖。<br>　　その光は海とも空とも思える輝き。最上級のサファイヤ。<br>　　優とその杖の鼓動が重なり、間違いなくこの杖は生きているのだ(・・・・・・・)と確信する。<br><br><br>　「「！！」」<br>　「———…あぁ、やっぱりアンタか、貴煌。」<br><br><br>　　　杖が一層輝き店内を覆ったかと思うと、一瞬にして変わる風景。<br>　　彼女の前に現れた、一匹の巨大な有翼の龍。<br>　　そしてダイアゴン横町にある店の中ではなく……何処かの古い洋館のような周り。<br>　　辺りは暗いのに、何故か優とその龍の周辺だけが月光に照らされたかのように明るい。<br><br>　　　優は漆黒の眼を細めて、懐かしむように目の前の生き物を見つめる。<br>　　その視線に、龍もまた視線を返す。<br>　　龍の瞳は澄んだサファイアのように碧く、またその鱗は見事な白銀。<br>　　東洋の龍のような躰に、西洋の竜のような翼。<br>　　生態系の頂点と言っても良い程の、溢れる魔力。<br>　　その名に相応しく、貴く、煌めく存在。<br><br><br>　『随分と別嬪に生まれ変わったもんだな、主殿。』<br>　「よしてよ。私は私、彼は彼。今の私はアンタの主殿じゃない。」<br><br><br>　　　まるで級友にでも逢ったかの様な話し方。<br>　　こんな神掛った存在と気軽に話せる優にも驚きだが、<br>　　何よりも驚くべきは、その存在が優を『主』としている事。<br><br><br>　『いいんだ。分かってるから。アンタも俺を受け入れてくれた。それだけで主と して十分さ。<br>　　何より杖を介して主殿の魂を見せてもらったが……今の貴女も、気に入ったんだ。』<br><br><br>　　　そう言って優を大切そうに見る龍。頤を優に寄せ、優もその額の部分を大切そうに撫でる。<br>　　額と額をくっつけて、クスリと小さく微笑う。それは決して悪意のある物ではなく、純粋な、好意。<br><br><br>　「———　そう言ってくれると、嬉しいよ…凄くね。」<br>　『……じゃあ、名前を。』<br>　「優。…火鳥優よ。」<br><br><br>　　　今までの穏やかな雰囲気が霧散し、厳粛な沈黙が場を支配した。<br>　　優は額を離し、龍から数歩下がった所に凛と佇む。<br>　　その瞳には誇りと、意志と、力が宿っている。<br>　　彼女の身体が14歳のものになっていようと、その流れ出る気配は大人そのもの。<br>　　いや、大人でも滅多に持つ者はいないだろう。<br>　　そう思わせる程の、美しさだった。—— 誇 り (プライド)の、美。<br><br><br><br>　『汝、姓を火鳥、名を優。我が血を受け継ぎし正統なる“徇遥・純徇龍華”であり、“dominor”の魂魄を持つ者。<br>　　汝、我が真名を呼びて、我に汝を主と認めさせ給え。そして…御前を離れず、已に尽きし此の躯<br>　　残る精と霊、凡てを持って汝の生尽きるまでの忠誠を誓わん。——願わくば、許すと。』<br><br><br>　　　———人ならざるものが、人の仔に…頤を下げる。<br><br><br>　「——　許す、貴煌。」<br>
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<pubDate>Tue, 13 Feb 2007 20:41:52 +0900</pubDate>
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<title>永久に捧ぐ05</title>
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<![CDATA[ 「いやー。沢山あったわねー♪」<br><br><br>グリンゴッツ銀行のトロッコも難無くクリアし、たんまりお金を引き出してきた優達。<br><br><br>「これで半年は持つな。」<br><br><br>・・・これだけあれば1年は余裕で暮らせると思ってたのだが。<br><br><br>「え？こんなあって半年？」<br><br>「魔法薬の材料や、新しい本を購入してれば直ぐに消える。」<br><br>「あ、そっか。」<br><br><br>確かに、言われてみれば、直ぐに消えそうだ。<br><br>魔法薬学なんて、私が特に好きそうな学科だし、薬品作りは儲かりそうだ。<br><br>それを考えると、足りないかもしれない。<br><br><br><br><br>「……それにしても、」<br><br><br><br><br>少し呆れを含んだような声音のサラザール。<br><br>彼は今私の隣でダイアゴン横町を歩いている。<br><br><br>「ん？」<br><br>「まさか、こんな事までできるとはな。」<br><br><br><br><br>そう。私の隣で　———　しかも、どう見ても生身の人間の姿で　。<br><br><br>------------------------------------------------------------------------<br>Pledge　005　　　［　　　Shopping　　①　　　］<br><br>------------------------------------------------------------------------<br><br><br>　　　あの後、優は屋敷内で巨大なバジリスクの白骨を見つけ、どうやらそれにサラの意識と記憶を移しかえたらしい。<br>　　優はバジリスクの白骨を見つけるやいなや、これ幸いとばかりにバジリスクの肉体を己の血を加えて復元させ、<br>　　それに記憶体であるサラを封じ込め——言い換えれば、サラに肉体を与えた。<br>　　優の血を与えた事で、サラは優の式神—使い魔のようなもの—となり、元のバジリスクより更に強力な力を得たのだった。<br>　　式神といえば、術者には絶対服従という掟があるのだが、優はただ単に買い物を一人でするのが嫌だっただけである。<br>　　加えて優にはサラと上下関係で結ばれる気等更々無いので、サラは式神であってそうで無い様なものになってしまっている。<br><br><br>　　（　陰陽術にこんな使い方があると知られれば、闇の魔法使いがこぞって狙って来るだろうな・・・・・・　）<br><br><br>　　　言うなれば半不老不死なのだから、闇の魔法使いではなくても、喉から手が出る程だろうが。<br>　　しかしこんな芸当が易々と出来るとは･･････陰陽師とは、本当に素晴らしいと同時に恐ろしくもある存在だな。<br><br><br><br>　「日本の陰陽師とやらは皆こんな事が易々とできるのか？」<br>　「出来、不出来はあるけどね。それに本来はそうそう出来るものじゃないよ。 特に元からある記憶を式にする場合は。<br>　　まぁ尤もこっちにも陰陽師はいるようだから、私以外にも居ると思うけどね 。」 <br>　「そうか……」 <br><br><br>　　　やはり人を式神として蘇生させるにはそれなりに大きな力と技術がいるようだ。<br>　　優はどうやら向こうの世界では日本屈指の陰陽師だったらしい。<br>　　実際陰陽術にはあまり詳しく無いが、それでも優がバジリスクを復元した ときに感じた「力」はかなり大きなものだった。<br><br><br><br>　「…それはそうと、まずは何処行く？」 <br><br><br><br>　　　歩いている足は止めずに横を向く優。 <br>　　優の足が淀みなく私の横で動いている事から、どうやら此処の地理はもう 既に把握済みのよう。<br>　　行き先も大方分かっているのだろう。一応確認、といった所か。<br><br><br><br>　「あぁ…此処だ。」 <br><br><br><br>　　　サラがそう言って目の前に見えたのは古い店。看板にはこう書いてある。<br><br><br>　　——オリバンダーの杖——　<br><br><br>　　　創立は紀元前にまで遡るらしい。何ともまぁ、歴史深い店である。<br>　　サラの杖も此処で見立ててもらったのだろうか。<br><br><br>　　チリリン <br><br><br><br>　「こんにちは。」 <br><br><br><br>　　　小さな、これも歴史を感じさせる来客を知らせる鈴が鳴った。 <br>　　こんな小さな音で店主は分かるのだろうかとは思うが、どうやら鈴にも魔法 が掛けてある様子。<br>　　先ほど扉を開けた時に、少しの魔力を感じた。<br><br>　　　誰もいないが、一応挨拶をして店内を見回す。<br>　　サラはやはり此処に来た事があるようで、「変わってないな」等とこぼしな がら同じように視線を巡らせる。<br>　　しかしそれも確認だけで済んでしまったらしく、直ぐに視線を店の奥へと移 してしまった。 <br>　　私はこの壁一面に積まれた杖の箱山が珍しく感じ、同時に何処か不思議な感 覚がして、まだキョロキョロしていた。<br><br><br><br>　「——いらっしゃいませ。」<br>　「この娘の杖を見て欲しいのだが。」 <br><br><br><br>　　　すると突然斜めから私の眼前に老人が出てきた。<br>　　「いらっしゃいませ」。彼の言葉からすると、どうやら彼が店主らしい。 <br>　　確かに、彼ならば人の魔力を見るのにも長けていそうだ。 <br>　　急に目の前に出てきたので多少驚きはしたが、人の気配が在るのは分かって いたので、まぁそれ程では無い。<br><br>　　　サラが早速とばかりに私を店主に突き出す。<br>　　しかし、その言葉で店主が目を向けたのは私では無く、サラ。<br>　　そしてその表情はみるみる内に驚愕で染められていった。<br><br><br><br>　「…あ、貴方様は…！！」 <br><br><br><br>　　　まるでサラを知っているような口振り。<br>　　いくら魔法使いが長生きだからといって、1000年近くも生きられるのだろう か？<br>　　それも顔と声を聞いただけで分かるとは……少なくともサラと面識が無いと 無理だと思うけど。<br><br><br><br>　「サラ。この人貴方の知り合い？」 <br>　「いや。私が杖を見てもらったのは此処の先代だ。」<br><br><br><br>　　　先代、か。果たしてそれは一つなのか、それとももっと大勢いるのか。<br>　　私としては、できれば後者で願いたいけど……まぁ陰陽師もそれなりに長生 きだから… <br>　　魔法使いにも同じような長命が居ても不思議ではないと思う、よ……？<br>　　けど流石に、私でも数千年が限度だから、それ以上生きられるとこう…………ね？<br>　　にしても知り合いでも無いのにサラの事が分かるなんて…。<br>　　やっぱり職業柄かな？うん。きっとそうだ。決定。 <br><br><br><br>　「じゃあ職業柄ね。」 <br>　「そんなものだろう。——…言っておくがオリバンダー翁。<br>　　私の本体はもう既に死んでこの娘——優に転生している。今の私はただの 記憶だ。」<br>　「初めまして、オリバンダーさん。ユウ・カトリです。この事は内緒にして下 さいね？」<br><br><br><br>　　　こんなに簡単にバラして良いのかとも思うが、この老人なら大丈夫だろう 。 <br>　　こういう職業に就いている人は、いらぬ事を知りやすい。<br>　　だからこそ、彼らは一切売った杖の事は話しても、その人物については殆ど 語らないのだとサラが言っていた。<br>　　実際彼の目を見ても、それは確かに感じられる。<br>　　それに知られてしまったのならば、こういう人種には隠すより口止めしてお いた方が確実だ。<br>　　一応英国人には日本人名の発音が難しいだろうから、英国的な発音で自己紹 介。<br><br><br><br>　「おぉ……おぉ！分かっておりますとも。勿論、他言など一切いたしませんぞ 。」 　<br>　「それなら良かった。」 <br><br><br><br>　　　ほっとしている様に見えるのは台詞だけ。<br>　　彼が他言するなんて初めから少しも思ってなかったから、実際表情に浮かべ たのは確信の笑み。<br>　　その後オリバンダーさんが「杖腕はどちらですかな？」って訊くから、「一 応左利きです」って答えておいた。<br>　　普段は右を使っているんだけど、私は本当は左利きだったりする。<br>　　本当の利き腕っていうのは、偽っていくと色々便利になる場面がある。 <br>　　特に戦いに身を置く者にとっては、相手を油断させる事ができるから。<br>　　まぁ、両方使えた方が便利だって事もあるけど。<br>　　杖腕っていうのは大事らしいから、やっぱり此処は本来の利き腕に合わせて おくべきでしょう。<br><br>　　　そうこう考え事をしてる内に、オリバンダーさんが測り終えたようだ。<br>　　直ぐに杖が決まるかと思いきや……目の前の人は眉間に皺を寄せて唸り込ん でしまう始末。<br>　　……何か問題でもあったのだろうか…？<br><br><br>　「しかし…これは難しいですな……果たして貴女の魔力に見合う杖があるかど うか…」 <br>　「え゛。」 <br><br><br>　　　まさか、そんな事を言われるとは思わなかった……。 <br>　　だって、あのサラザールだってそんな事は無かったと思う。<br>　　闇の帝王のヴォルデモートだって、その彼が唯一恐れたダンブルドアだって 、そんな事があったなんて聞いてない。<br>　　今まで魔力については殆ど自覚無かったけど……そんなに私の魔力って大き かったの…？<br>　　一度ちゃんと中まで調べておいた方が良さそうだ。<br><br><br>　「どうやら貴女は魂も血も、魔力が異常に強いようですなぁ…今までよく抑制 できた…否、<br>　　二つ揃っているが故に調和が取れているのでしょう。……どれ、これを。 <br>　　イチイの木にフェニックスの尾羽とドラゴンの琴線。35cmでやや硬め。<br>　　芯が二つと私の店でも1、2を争う程強い魔力を持っている。」 <br>　「……。」 <br><br><br>　　　いくら職業柄とは言え、そこまで分かるものなの…？<br>　　魂の魔力と、血の魔力は、まさに陰陽師の考え方そのもの。<br>　　魔力と霊力は違うものではあるが、その根底は同じ物。<br>　　血と魂の魔力の事は、サラでさえ死んで霊体になって初めて分かった理なの に、一魔法使いが…… <br>　　案外、魔法使いを舐めてかかるのは危険かもしれない。<br>　　現代の魔法使いは理を理解してない奴等ばかりだと思っていたけど……<br><br>　　　龍と鳳凰。相反する存在を杖の芯に使っている事によって、その杖の魔力 は倍増するのだと彼は言った。<br>　　どちらも私にとっては割と馴染み深い存在だったが……私に合うだろうか？<br>　　とりあえず、オリバンダーさんが差し出してくれた杖を握る。 <br><br><br>　　　杖を、振ってみた。
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<link>https://ameblo.jp/tennryuu20032003/entry-10025637149.html</link>
<pubDate>Tue, 13 Feb 2007 20:40:51 +0900</pubDate>
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<title>永久に捧ぐ04</title>
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<![CDATA[ 「——つまり、世界を越えた事によって私の身体が幼くなったのは、これが本来のこちらでの年齢であるということ？」<br><br>大分話しが逸れてしまったが、優に一通りの説明をする。<br><br>まぁ、説明と言っても　　あくまで推測ではあるが。<br><br><br>『そうだ。』<br><br><br>優の手の中には、封が開けられた手紙。<br><br>其処には　『ユウ・カトリ殿　編入許可証』　としっかり書いてある。<br><br><br>「そして恐らく、ホグワーツの手紙が来た事、編入学年が4年な事からして、私の身体年齢は14。」<br><br>『ああ。ホグワーツの手紙に間違いは無い。十中八九、そうだろう。』<br><br><br>改めて手紙の内容をざっと見直してから、サラザールの方へと視線を向ける。<br><br>今度は、顔だけで無く　身体ごと。<br><br><br>「————で、サラとしてはホグワーツに行く事を進める、と。」<br><br>『無論。』<br><br><br>双方共お互いにソファに座り、向き合って全く同じポーズをしていた。<br><br>脚を組み、腕を組み………そして視線がしばしぶつかる。<br><br>視線を先に外したのは優で。　窓の外を見つめ、言葉を紡ぎ出す。<br><br><br>「…じゃあ行こうかな。どうせする事無いし。」<br><br>『……そんな簡単で良いのか？』<br><br><br>思考の間、わずか5秒。<br><br><br>------------------------------------------------------------------------<br>Pledge　004　　　［　　　The Begining　　④　　　］<br><br>------------------------------------------------------------------------<br><br><br>　「そういえばサラ。今日って何日？」<br><br><br><br>　　　お返事は8月30日までに、と書いてある。<br>　　確か原作では返事の締め切りは7月31日だったはず。<br>　　と、いう事はだ。もしかしなくても今はもう8月に入っているのだろう。<br>　　そうなると日数によってはホグワーツの予習や買い物等を見合わせなければならない。<br>　　ホグワーツに入学する事を決めた今、今後のスケジュールは早めに決めておきたい所。<br><br>　　　使いでやってきた梟には、既に水と食い物をやった。<br>　　少し休んだ梟が優からの返事を受け取り、この邸を去ったのを見届けたのは少し前の事。<br>　　その場で書いた「Yes」の手紙はきちんとホグワーツの校長に届く事だろう。<br>　　優は紅茶の横に置いてあったクッキーを囓りながらサラザールに訪ねた。<br><br>　　　優が彼に眼をやると、彼は瞼を伏せて紅茶のカップに口を付けていた。<br>　　…その様はまるで何処ぞの王族のように優雅。<br>　　カップを置いて静かに一息つき、そのルビーのような瞳をちらりと優に向けたが、<br>　　それは直ぐにフイ、と逸らされ何処か余所を見遣っている。<br>　　……見ようによっては拗ねているように見えなくもない。<br>　　そしてそのまま口を開く。<br><br><br><br>　『知らん。今まで私は封印されていたからな。』<br><br><br><br>　　　彼の事だから案外今でも新聞とか取ってるかと思ったが、思い違いのようだ。<br>　　サラザールが記憶を残して死んだ当時からずっといたのかと思ったが……。<br>　　どうやら封印その物が記憶体を眠らせる事だったらしい。<br><br>　　　彼の答えに短く「あ、そっか。」と返し暫し黙り込む優。<br>　　口には先程とは違うクッキーが咥えられている。<br><br><br>　　　（　…そういえば、こっちで陰陽術とかって使えるっけ？　）<br><br><br>　　　使えなくとも魔法があるのだが、如何せんこちらに関して優はほぼ素人同然。<br>　　やはり慣れている術系統が使えて損は無いだろうと思う。<br><br><br><br>　「…じゃあちょっと試しがてらに———“天網”」<br>　『！？』<br><br><br>　　　（　——　何だこの魔力は？！　）<br><br><br>　　　何とも言えぬ、不思議な魔力。否、恐らく此は魔力ではない。<br>　　過去ホグワーツの教師として数多くの魔法使いを見てきたが、こんな魔力など、見た事が無い。<br>　　<br>　　　——不自然なはずなのに、自然。<br><br>　　　言葉が矛盾していると分かってはいても、この表現が一番合っていると言い切れる自信がある。<br>　　膜のように広げられた「力」はそのまま拡張し続けているようだった。<br>　　…この得体の知れない不思議な「力」。其れを使っているのは勿論優で。<br><br><br>　　　（　——　…何かを、探している…？　）<br><br><br><br>　「うーわー結構遠いな此処。…あった。——げ。8月28日？！あと4日しかないし！！」<br>　『優、今のは何だ？』<br><br><br><br>　　　先程から眼を閉じている優に、やや問い詰める形で訪ねる。<br>　　捜し物は見つかったらしく、どうやら今日の日にちを調べていたようだが。<br><br>　　　私が訪ねると、優は少しの間を置いてから、瞳を開けた。<br>　　それと同時に、あの奇妙で不思議な感覚は無くなり、「力」を使うのを止めたのが分かった。<br>　　優は私のぶっきらぼうな質問に機嫌を損ねた様子はなく、むしろ少し面白そうに瞳が細められている。<br><br><br><br>　 「ああ、これは“天網(テンモウ)”っつってね、まぁぶっちゃけ遠視ができる。人探しに便利。<br>　　私の世界で言う“陰陽連”の一般術師が使うのが“遠視”や“透視”で、<br>　　半径1300kmを超えたら“地探(チタン)”、6500kmは“世渡(セト)”、9100kmは“空羅(クウラ)”って言うの。<br>　　で、更にその上の“天網”は20000km以上——— その気になれば地球上の陸地全部いけるわよ。」<br><br><br><br>　　　今の説明を聞いている限り、どうやら優が使った術は最高レベルのものの様だ。<br>　　しかし20000km以上とは……本気で世界全てが覗けそうだな。<br>　　魔法使いでも使えるなら、是非応用させて頂きたいものだ。<br><br><br><br>　『ほぉ…便利だな。』<br>　「結界張られちゃうと難しいけどね。サラにも今度教えたげようか？」<br>　『ああ。』<br><br><br><br>　　　「霊力ないと無理なんだけど、サラなら大丈夫ね」と何を根拠に言っているのか分からない優。<br>　　だがまぁ恐らく魔法使いが他人の魔力を感じ取れるように、霊力も然りなのだろう。<br>　　結界、というものは魔法でも陰陽術でもそうなのだろうか？<br>　　魔法で張った結界内も見れないとすると、情報収集力はやや落ちそうだな。<br>　　まぁ、時間は有り余る程あるのだから、学んでみて損は無い筈だ。<br><br><br><br>　「よし。じゃあとりあえず買い物に行きたいんだけど…お金どうしようか。」<br>　『それなら心配ない。私の金庫を使え。』<br>　「えっ？！あんの金庫？」<br><br><br><br>　　　小さめのクッキーを口に放り込んでグッと立ち上がる優。<br>　　背伸びをして骨を鳴らし、小首を傾げる。<br>　　最初に金銭問題が出る辺り、現実的というか…曲りなりにも成人している身なのだと実感させられる。<br><br>　　　金銭面を援助してやろうという私の申し出に対し、返ってきたのは失礼極まりない台詞。<br>　　本当に意外そうに驚いている優。身体が幼くなっている為に、顔の大きさと比率して大きめな瞳がクワッと見開かれる。<br>　　……そんなに浪費癖があるように見えるのか、私は。<br><br><br><br>　『失礼だな。自慢じゃないが私は大金持ちだ。』<br>　「いや、死ぬ時に子供とかに全部あげたのかと思った。」<br>　『ふん。“テメェの面倒はテメェで見ろ”が私の教えだ。』<br><br><br><br>　　　言い切った私を、大きな瞳を更に大きくして見つめる優。<br>　　驚きの表情は一瞬で、それは直ぐに何とも言えない表情に変わった。<br>　　そう。まさに、何とも言えない、表情。<br><br><br><br>　「……サラって意外と口悪いのね。」<br>　『優も顔の割には腹黒いだろう。』<br>　「まぁね。」<br><br><br><br>　　　悪びれも無く返した優。<br>　　彼女の表情は不敵な笑みに変わっている。<br>　　眼は楽しそうに細められ、口元は意地悪く弧を描いている。<br>　　しかし、それを不快には思わない。<br>　　自分も今、同じような表情をしているのだろうか。<br>　　——何となく、顔が弛んでいる気がする。<br><br><br><br>　　　私達は、案外似通っているのかもしれない。
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<pubDate>Tue, 13 Feb 2007 20:40:06 +0900</pubDate>
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