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<title>テトラポッドに座る人魚姫</title>
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<description>Trouble Maker－自称シャーロック・ホームズの事件簿－</description>
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<title>Dress up Girl</title>
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<![CDATA[ 　空から零れ落ちる水滴。<br>　人は何故、それを雨と呼ぶのだろうか。デパートの屋上で、灰色めいた雲にそう問い掛けた。答えは返って来ないが、雨に降られているこの退屈な時間が、私は何となく好きだ。<br><br>　雨宿りのひと時。<br><br>　私とベンチを共有する椎名は、紙コップの紅茶に自らの顔を浮かべて、憂鬱な溜め息を漏らした。漆黒の巻髪の向こうに覗く憂いを帯びた彼女の横顔が、ほんの少しだけ色っぽい。彼女は黙っていれば、モテるタイプだろう。そういえば、間宮もそんなタイプだ。これは私の偏見のような気もするが……。<br>　二人とも大人しくしていれば、可愛いのだ。大人しくしていれば。<br><br><br>「斎藤」<br><br>「何？」<br><br>「間宮京子のこと、お話してあげましょうか」<br><br>「別に。興味ない」<br><br>「い……、いいからお聞きなさい。この私自らが、教えて差し上げると言っているのですよ、斎藤咲枝」<br><br><br>　それは君が退屈なだけだろう。その一言を呑み込んで、時間を持て余していた私は彼女に無言を傾けた。<br>　それにしても、彼女は間宮京子という人間を何処まで知っているのだろう。確かに、間宮と同じクラスになるまで、私は彼女のことを全く知らなかった。それまでクラスが違ったとは言え、あれだけのトラブルメイカーの存在を知らなかったなんて、今から考えれば不思議な話だ。<br><br><br>「間宮京子がああなったのは、進級してからですの。それまでの彼女はクラスでも目立たない方で、正直、浮いてましたわ」<br><br>「今でも浮いてると思うけど」<br><br>「それは……。そうですわね。ですけど、今とは別人みたいでしたの。私も苦労しましたわ。何を聞いても、別に……って無愛想で」<br><br>「何で間宮と？　椎名なら話し相手くらいで苦労しないだろ」<br><br>「私は、喧嘩相手が欲しかったのです。私に寄ってくる方々は甘い蜜にしか興味のない方が大半ですの。確かに、財閥の令嬢なのですから当然の悩みではあるのですけれど」<br><br><br>　幸福のカタチはどれも似通っているが、千の不幸には千のカタチが存在するという。<br>　どんな境遇にあっても、不幸を持たない人間はいない。そう考えれば、神という存在は本当に意地悪だ。しかし、幸福でありたいという心が不幸を生むのであって、幸福という概念が存在しなければ不幸だって存在しない。<br>　結局、欲望を断ち切れない私たちの中には、幸福と不幸が常に混沌と渦巻いている。<br><br><br>「間宮京子なら何でも言い合えると思いましたの」<br><br>「何で間宮なんだ？」<br><br>「私の目を見て話すのは彼女くらいですわ」<br><br><br>　そう言えば間宮京子は、誰に対しても間宮京子だった。<br><br><br>「おい。昔話はそこまでにしてくれ」<br><br>「あら、いいじゃございませんこと。あなたは謎が多すぎますのよ」<br><br>「名探偵には何かしらの秘密があるものだ。いや、そうあるべきなのだ。そうじゃないか？」<br><br>「行くって何処に？」<br><br>「答えてくれてもいいじゃないか……。まあ、情報提供者が見つかったんだ」<br><br>「この雨の中、私を歩かせるつもりですか？　間宮京子。あなた、夜道に注意しなさいよ」<br><br>「物騒なこと言わないでくれ。それに私は歩いて行くとは言ってないぞ」<br><br><br>　彼女の言葉の意味はすぐに理解できた。エントランスの脇で暫く待っていると、轟音と共に一台のレトロなスポーツカーがエントランスに乗りつけ、女性が颯爽と降り立った。<br><br>　神楽坂唯。<br>　淵神署の刑事。肩書きはそれなりに威風があるのだが。<br><br><br>「あ、京子ちゃーん！　迎えに来ましたよー。あ、咲枝ちゃんもいたんですね、お久しぶりですぅー」<br><br><br>　目一杯の笑顔で無邪気に彼女は手を振る。完全に名前負けしている点は否めない。<br>　彼女が情報提供者か。<br>　小雨へと変わり始めた夕立の中をを切り裂き、私たちを載せた白いフェアレディは更に加速していく。<br><br><br><br><br><br>　Dress up Girl<br>　自称シャーロック・ホームズの事件簿<br><br><br><br><br><br>　To be continue...
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<link>https://ameblo.jp/tetra54/entry-10568704672.html</link>
<pubDate>Sun, 20 Jun 2010 20:29:15 +0900</pubDate>
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<title>Drop ghost</title>
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<![CDATA[ 「君たちは“繰り返す霊”を知っているか？」<br><br>「何ですの？　それ」<br><br>「自殺した人間の幽霊が死の瞬間を繰り返すってやつだろ。飛び降り自殺した人間が死して尚、何度も飛び降り自殺を繰り返すっていう……」<br><br>「そう。ドロップゴーストだ」<br><br>「でも、何故ですの？　肉体が無くなれば、もう死ぬことはないでしょう？　自殺は死ぬことが目的なのですから」<br><br>「情報を記録するのは、私たちの脳やメディアだけと限らないじゃないか」<br><br><br>　四ツ葉デパートの屋上。<br>　ブラウスの襟が風に揺れる。ふわり、と薄ら笑いを浮かべた間宮が振り返った。熱気を纏ったビル風が、私たちの間を擦り抜けていく。間宮は何が言いたいのだろうか。まさか、肉体は朽ちても魂は存在し続けるなんて、眉唾なことを言うつもりか。<br>　確かに、古代ギリシアでは“息”と“蝶”を指す言葉としてプシュケーが存在する。そして、それは“魂”の意味も持っているのだ。死者の口から吐息のように吐き出されたプシュケーが、ヘルメスに導かれ、ひらひらと蝶の様に冥界へと出向く……。そんな伝説を聞いたことがあった。<br>　間宮が手摺りを指指す。<br>　“物も時間を記録する”<br><br><br>「これはこの手摺りがどれくらいこの場所に存在したのかを記録しているんだ」<br><br>「は？」<br><br>「錆だ。この錆。これは鉄が酸化したことを示している。ということは、こうなるまで、この手摺りは此処にあったという証明じゃないか？」<br><br>「確かにそうだが、それは記録じゃないだろ」<br><br>「いや、記録だよ。私たちは気が付いていないだけで、何気なく見てこれは古いものだと解る。では、それがもっと大規模な中で起きたらどうなると思う？」<br><br>「大規模ですか？　間宮京子。それはどのようなことでしょう？」<br><br>「空間だよ。このデパート全体、土地、時間、人間……。それら全てがある一定の状況で共通の記録をフラッシュバックさせたとしたら？」<br><br>「有り得ない」<br><br>「では、何故、雨の日や夜に怪奇現象が多いのか」<br><br><br>　単純な先入観。そう答えることもできた。すべては、精神が見せる幻想だと。しかし、それで片付けてしまったら、何か重要なものを見失ってしまう気がする。それこそが先入観なのかもしれない。<br>　もっと純粋な目で世界を見つめたら、この世界というシステムは簡単に崩れてしまうだろう。そうして、崩れ去ったら、また前の世界と同じようにシステムを再構築して新しい世界となる。全く変わらない、進歩のない世界に。それが人間と云う存在だから。<br>　見上げた空が、少しだけ近くに在った。空を青いと言うのも、先入観かもしれない。青い雲で白い空。そんな発想も存在していいのではないだろうか。<br><br><br>「まあ、それはさておき。彼女は此処から空へ向かって歩き出したということらしいんだが」<br><br>「高さは十分ですわね。でも、本当に死ぬかどうか、ちょっと飛んでみなさい、間宮京子」<br><br>「拒否権を行使する」<br><br>「あら、意気地無し」<br><br>「そう言えば間宮。彼女は自殺じゃないと言っていたな」<br><br>「お？　まあ、彼女の人物像をプロファイリングした結果だ。何か新しい情報があれば結果は変わってくる。ん？　情報……」<br><br><br>　間宮が携帯を手に取る。すると、そのまま彼女は屋上を出た。<br>　偶然にも、私は椎名苺と二人きりにされてしまった。これは、気まずい。一対一になって、初めて、彼女の威圧感が伝わってくる。あの間宮からも、彼女が姫と呼ばれている理由が何となく解った。<br><br><br>「斎藤。私、喉が渇きましたわ。ちょっと何か買ってきなさい。そうね、冷たい紅茶がいいわ。でも、甘いものはやめて頂戴」<br><br>「拒否権を行使する」<br><br>「却下」<br><br><br><br><br><br>　Drop ghost<br>　自称シャーロック・ホームズの事件簿<br><br><br><br><br><br>　To be continue...
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<link>https://ameblo.jp/tetra54/entry-10513736079.html</link>
<pubDate>Wed, 21 Apr 2010 00:03:52 +0900</pubDate>
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<title>Full metal horse-man</title>
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<![CDATA[ 　街を灼く太陽を恨めしく睨んだ。アスファルトの上の陽炎は、地平線までも歪めてしまっている。足から溶けてしまいそうだ。そして、アスファルトに染み込んだら、人間は何処へ行くのだろう。有り得ないことなのだが、そんなことを考えてしまう。それはは、この暑さがそうさせているかもしれない。<br>　私の前を行く間宮は、棒から剥がれ落ち、無惨にもアスファルトに溶けて染み込んだアイスを無表情で見つめている。先程まで幸せそうにアイスを食べていた顔が、今は完全な無表情。<br>　そんなことより、この暑さは何なのだろうか。四ツ葉デパートまでは、あと二十分程……。このままだと本当に溶けそうだ。まだアイスとの邂逅を嘆いている間宮を追い抜くと、煩いくらいの重厚なエンジン音を響かせた一台の高級外車が、間宮の目の前で停車した。<br>　後部座席の窓が開く。<br><br><br>「ごきげんよう、間宮京子。それに……、斎藤、だったかしら？」<br><br>「何か？」<br><br>「大したことじゃありませんの。ただ、このクソ暑い中、そこの庶民は何していらっしゃるかなと思いまして。わざわざこの私が足を止めたのですわ」<br><br>「そうですか」<br><br>「ちょっと。私は間宮京子と話しているのです。間宮京子、地面なんかと見つめ合ってないで私を見なさい」<br><br><br>　これは、面倒臭い奴が来た。<br>　椎名苺。その可愛らしい名前と性格が正反対な椎名家の令嬢。典型的なお嬢様だ。その財力にものを言わせた暴虐によって、取り巻き達からは苺姫と呼ばれている。<br>　そして、何故かいつも間宮に突っ掛かる。それこそ顔を合わせる度にだ。一度、椎名と間宮は同じクラスだったらしいが、その時に何かあったのだろうか。間宮と椎名の二人が揃っていて、何も起きない方が奇跡なのだが……。<br><br><br>「それで、間宮京子。私は何をしているか聞いておりますの。答えなさい」<br><br>「私はこちらの斎藤と、四ツ葉デパートの飛び降り事件に関する噂の検証に向かうところです、姫」<br><br>「何ですの、それ。詳しい説明よこしなさい、間宮京子」<br><br>「相変わらず財力はあっても情報収集能力は無いな。姫、端から見ると滑稽だぞ」<br><br>「ですから、こうして庶民からお話を聞いてやろうとしていますの、この私自らが。お分かり？」<br><br>「四ツ葉デパートに幽霊が出るって噂」<br><br>「あら？　それ、楽しそうですわね」<br><br><br>　あんな説明でいいのか。否、あれ説明じゃないだろう。そして、それで興味を持つのか。今の会話は何だ。何だこの二人は。<br>　やはり、奇跡が起きていたのだろうか。椎名苺。彼女はもう一人のトラブルメイカーかもしれない。こんなにも暑いのに、何故か背筋が寒くなった。トラブルメイカーという存在に、本能が反応しているのだろうか。地平線の向こうでは、肥大化した積乱雲がその姿を覗かせていた。どうやら、雲行きも怪しいらしい。<br>異次元の二人を見て、呆気に取られていると、突然後部席のドアが開いた。巻髪のお嬢様が奥へと移る。<br><br><br>「さっさと乗りなさい。庶民共」<br><br>「いいのか？」<br><br>「この椎名苺が、協力を申し出ておりますのよ、間宮京子とその愉快な仲間。あなた方に拒否する理由はありませんでしょう？」<br><br>「そういうことらしい、斎藤。ここは乗るべきじゃないか？」<br><br>「愉快な仲間は気に入らないが、まあ、干からびるよりはマシだな」<br><br><br>　想像はしていたが、冷房が効いた車内は、天国だった。先程までの砂漠のような、灼熱の国は何処だったのだろうか。<br><br><br>「出しなさい。久藤。四ツ葉デパートへ」<br><br>「承知しました」<br><br><br>　そうして、黒い鉄馬は街を滑走していく。<br><br><br><br><br><br>　Full metal horse-man<br>　自称シャーロック・ホームズの事件簿<br><br><br><br><br><br>　To be continue...<br><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/tetra54/entry-10512318835.html</link>
<pubDate>Mon, 19 Apr 2010 10:16:22 +0900</pubDate>
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<title>Between the sheets</title>
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<![CDATA[ 「おい。斎藤……。起きてくれないか。事件だ。大事件だ」<br><br>「……ん？」<br><br><br>　長い人生というものの中では、時として信じられないようなハプニングに見舞われることがある。否、この場合はトラブルと言った方が私は正しい気がする。何にせよ、私はそれに直面したのだ。いつもの様に朝起きたら、目の前にそれがあって、その非現実さが私の脳の中に疑問符を撒き散らしたのだった。そう、言うまでもなく、現在、私は困惑している。<br><br><br>「何なんだこの状況はっ！」<br><br><br>　私は裸で見知らぬベッドに寝かせられ、両手には手錠がかけられ、その両手はベッドの縁に縛り付けられている。下着さえしていない。顔の横にはボールギャグ。少し汗ばんだ身体が、嫌にリアルだった。シーツの中の、私の隣では、同じく裸の斎藤が横たわっている。<br>　斎藤が拘束されていないところを見ると、どうやら彼女の仕業らしい。しかし、それにしても此処は何処なんだ。斎藤がこんな水玉模様のポップな布団カバーなんて使うはずもない。使っていたら私は斎藤咲枝の人格について大きな誤算をしていたことになる。花柄のカーテンの隙間から流れ込む陽光が、眩しい。<br><br><br>「何って、京子。昨日のこと忘れたの？」<br><br>「いや知らん。知らんぞ私は。それより斎藤。これを何とかしてくれないか」<br><br>「それより、ベッドの中では意外と大人しいんだね、京子」<br><br>「は？」<br><br><br>　京子って……。<br>　何だこのメルヘンな斎藤は。<br>　彼女は私を見つめながら妖しく微笑んでいる。何これ気持ち悪い。非日常の、異常の中、頭が破裂しそうだった。斎藤はこんなことをする人間ではないはずだ。否、人は見かけによらないものである。普通に話していた近所の奥さんが実は殺人犯だったなんて、よく聞く話である。<br>　だから、斎藤咲枝という人物の中に、こういうことをする加虐的な人格が存在したとしても不思議ではない。が、いざ目の当たりにすると、それは信じがたいものである。<br><br><br>「ねえ、京子。またキスしようよ」<br><br>「は？　おい。斎藤、お前一体何を。いいからこの状況を説明しろ。場合によっては君を人知れず何処かの山奥に埋めに行かなきゃならない」<br><br>「もう、物騒なこと言わないの。それより、私のことは咲枝って呼んでくれないかな？」<br><br>「断る。気持ち悪い。断固拒否する」<br><br>「照れないでよ。京子。ほら、目綴じて？　昨日みたいに」<br><br><br>　いつの間にか、斎藤の口調が女っぽくなっていた。眼前に艶めいた彼女の顔がある。身体の自由を奪われ、上に乗られてしまうと抵抗できないのが、人というものだ。<br>　これは悪い夢なんだ。暫くすれば、嫌な寝汗をかいた私が目を覚まして、いつも通りの憂鬱な朝を迎えるはずだ。無理矢理そう言い聞かせ、私は目を綴じた。闇の中、触れてもいないのに、彼女の体温が身体に伝わる。心臓は早鐘のように血液を押し出し続けていた。<br><br><br>　――カシャ。<br><br>　シャッター音が響いた。<br>　驚いて目を開けると、デジカメを構えた堪らなく憎たらしい笑顔の斎藤がいる。<br><br><br>「おはよう、間宮。楽しい夢は見れたか？」<br><br>「説明してもらおうか、斎藤」<br><br>「時に名探偵君。今日は何月何日だったかな」<br><br>「えーと、四月一日……。ぬわっ！　斎藤……」<br><br>「なあに？　京子ちゃん」<br><br>「貴様そこに直れっ！　速やかに葬ってやる！」<br><br>「あれ？　二人とも、もう起きたんですかー？」<br><br><br>　呑気な声をあげてパジャマ姿の唯さんがドアを開けた。この時、すべてを悟った気がする。絶望の色が脳裏にちらついた。<br>　確か、昨日……。鍋パーティーをしようと誘われて唯さんの部屋に来た。その時からか。その先は思い出せない。もしかして、一服盛られたのか……。そういうことなのだろう。まんまとしてやられた訳だ。この私が。<br>　唯さんがいるなら、この手錠も説明がつく。それに加えて、大それた小道具まで用意するとは……。ましてやエイプリルフールに引っ掛かるとは……。<br><br><br>「いつもの仕返しだよ、間宮」<br><br>「何……だと？」<br><br>「そうですよー？　京子ちゃんにはいつも振り回されてばっかりですからね。たまには焼き入れてあげないと、ですぜ。うふふ」<br><br>「焼きってあんた……。その前に手錠を外してくれ」<br><br>「あー……、私、コーヒー煎れてきますー」<br><br>「待て。外していけ。その前に私は紅茶だ。アールグレイだ」<br><br>「そんなものはありませーん」<br><br>「この万年金欠病っ！」<br><br>「……にしても、いいキス顔だったぞ、間宮。後でプリントしてあげようか」<br><br>「うるさいっ」<br><br><br>　来年は気をつけようと思う。<br><br><br><br><br><br>　Between the sheets<br>　自称シャーロック・ホームズの事件簿<br>　Mamiya's Side story<br><br><br><br><br><br>　 to be continued...?
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<link>https://ameblo.jp/tetra54/entry-10510235821.html</link>
<pubDate>Fri, 16 Apr 2010 22:41:10 +0900</pubDate>
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<title>In the Sunset</title>
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<![CDATA[ 「一体、どういうことですか？　唯さん」<br><br><br>　二十四時間の内で、最も影が世界を支配している時間。<br>　彼女は窓の外を睨んでいる。夕闇に溶けいく街の中を走る一台のセダン。黒いボディに夕日を宿して、それは様々な変化を遂げた影を跨いでいった。その車窓に薄く浮かび上がる、随分と不機嫌そうな顔。私たちの身に降り懸かった災難を知れば、彼女が不機嫌になるのも解る。<br>　彼女らしいと言えば、彼女らしいミスなのだが……。<br><br><br>「ごめんなさいっ！　ほんっとにごめんなさい！」<br><br>「肝心の部屋の鍵を忘れるなんて、あなたそれでも刑事ですか？　つーか、よくそんなんで警察官になれましたね。間宮じゃないですけど、警察の体質を疑いたくなります」<br><br>「これでも、一応、刑事ですぅ……。まだ一年生ですけど……」<br><br>「そもそも。何で極平凡な高校生の私たちに頼るんですか？　いいですか？　もっと自分たちで努力というも」<br><br>「おい。斎藤。間宮じゃないですけどって何だ。それに私たちは平凡じゃないだろう。少なくともそこらの高校生よりはす」<br><br>「ちょっと君は黙ってて」<br><br>「ほ、ほらぁ、また明日。改めて行きましょう？　ね？　咲枝ちゃんも京子ちゃんも夏休みなんですから」<br><br>「は？　夏休みですけど、それ関係あります？　あー……、もういいです。この件、二度と私は付き合いませんからね」<br><br>「そんなぁ……」<br><br><br>　結局、徒労だった訳だ。<br>　むすっとした、呆れたような顔で彼女はシートに体を埋めた。<br>　そういえば、前にもこんな光景を見た気がする。いつだったか。もう忘れてしまったが……。変わらないな。この二人は。珍しく、そんな感慨に耽ってしまうのは夕日のせいだろうか。影とは、そういうものを少なからず孕んでいるのかもしれない。<br>　唐突に静寂を迎えた車内。<br>　エンジン音だけが耳に留まる。窓の外、建ち並ぶマンションの間に、陰りゆく太陽が窺えた。<br>　斜陽。まるで溶けてゆくようだ。視界の、全てがオレンジ色に染まるこの瞬間が、太陽の存在を最も身近に感じられる時間ではないだろうか。キラキラ、と水溜まりがその光を乱反射している。それは、まるで、街が夕日を纏っている様だった。<br><br>　夕立の後の空は、いつになく澄んでいる。このドアを隔てた向こう側の世界は、ちょうど過ごしやすい頃だろう。結局、夜は蒸し暑い熱帯夜になってしまうのだが……。眠れない夜を瞼に描き、溜め息をついてしまった。<br>　自分でも悪い癖だと思う。<br>　もがき苦しむ様を悲観的に想像していたそんな時、太股に何かが乗った。ひょい、と視線を下げると、私の膝の上で斎藤が寝息を立てている。気持ち良さそうな彼女の寝顔に、思わず顔が緩んでしまった。<br><br><br>「あれ、咲枝ちゃん寝ちゃいました？」<br><br>「怒り疲れたんじゃないか。私の膝の上で眠るとは、ふてぶてしい奴だ」<br><br>「あ、あのー……。京子ちゃん。今日は本当にごめんなさい……。明日は頑張りますから！　……許してくださいぃ」<br><br>「いや、別に構わないよ。斎藤には私の方から言っておく。性格はキツいがこれでもいい奴なんだ。ああ、それと、後で霧生についての資料をメールしてくれ」<br><br>「あ、はい……。ごめんなさい。またお願いします」<br><br>「じゃあ、明日もドロセラで」<br><br>「そそ、それって……。京子ちゃん、まさか、……また？」<br><br>「まあ、今日の埋め合わせってところだな。当然じゃないか」<br><br>「あはは……。はーい……」<br><br><br>　この私が柄にもなく、斎藤の頭を撫でてしまった。<br>　ふわふわと唇を歪めて、彼女が微かに笑った気がする。その寝顔を見て、また柄にもなく、くすり、と嗤ってしまった。この夕陽がそうさせたのかもしれない。<br><br><br><br><br><br>　In the Sunset<br>　自称シャーロック・ホームズの事件簿<br><br><br><br><br><br>　to be continued...
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<link>https://ameblo.jp/tetra54/entry-10504043020.html</link>
<pubDate>Fri, 09 Apr 2010 14:22:30 +0900</pubDate>
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<title>Rain coat</title>
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<![CDATA[ 　酷く、雨が降っていた。<br>　フロントガラスの上を忙しくワイパーが行き来している。そうして、そこは透明な世界と、不透明な世界に分け隔てられていくのだった。<br>　ふと、考えた。<br>　自分はどちら側の人間だろうか、と。ちらり、と左を見る。外気を遮る窓には、無数の水滴が纏わり付いていた。<br>ああ、不透明か。短い溜め息をついて、窓の外を眺める。視界の中、街は灰色、空も灰色。カラフルなのは、灰色のアスファルトの上を走る車だけだ。<br><br><br>「それで？　どこに連れていく気ですか？」<br><br>「え？　霧生さんの部屋ですよー。ほら、何か見つかるかもしれませんから」<br><br>「散々、警察の方で調べたんでしょう？　今更何も……」<br><br>「まあ、いいじゃないか、斎藤。日本警察の捜査なんて子供の探偵ごっこ以下だ。私は何か見つかると思うね」<br><br>「京子ちゃん。そんなに言わなくても……」<br><br>「すまない。癖だ」<br><br><br>　はあ、と溜め息をつく。<br>　いつもこの調子だ。間宮京子。彼女の言うことも解らなくはないが、わざわざ行くことはないだろう。それもこんな雨の中。晴れた日に行くだとか、まずは資料を漁るだとか、そういうことから始めるのがセオリーだと思うのだが。<br>　それにこの雨。<br>　今日も、つくづくツイていない。ぼんやり、と頬杖をつく。<br>　別に雨が嫌いな訳じゃない。中途半端に濡れるのが嫌なのだ。ソックスの踵だけとか、スカートの裾だけとか、堪らなく憂鬱にさせられる。<br>　だから私は傘をささない。<br><br><br>「ま、まあ……、ちゃんと働いてもらいますよー？　パフェ高かったんですから！」<br><br>「依頼してきて、そんな注文までとは……。まったく、図々しい奴だな。てゆーか、どうせ使わない水着を買う金があるんだからいいじゃないか。それくらい」<br><br>「ききき、京子ちゃん、何故にそれを！？」<br><br>「依頼者の身辺調査は基本だぞ。それに事件が事件だからな。尚更という訳さ」<br><br>「そ、そう……。すごいんだね。あはは……」<br><br><br>　こいつは……。<br>　そんなことに使う暇があるなら私からの電話に出ろ、と言いたい。折角、シャーロック・ホームズの映画に誘ってやろうと思っていたのに……。<br>　再び、溜め息をついた。<br>　窓の外は見慣れない街並み。普段は行かない南区だった。高層マンションや、住宅街で溢れるベッドタウン。こんなところに住んでいるとは……。公務員とやらは、随分と良い身分らしい。<br><br><br>「なあ、おかしいと思わないか？」<br><br>「何が？」<br><br>「刑事と言っても収入は高が知れてる。それに独身なんだから、少なくとも、こんな高級住宅街に住めるような状態じゃないだろう。唯さんはいつも金欠だしな」<br><br>「唯さんと違って、しっかりしてるんじゃないか。比べるには正反対過ぎて何とも言えないと思う」<br><br>「あのー……、咲枝ちゃんも京子ちゃんも、まるで私がだらしないような言い方なんですが……」<br><br>「実際、間違ってないじゃないか」<br><br>「同感。そこは正しい」<br><br>「ちょ、ちょっと二人ともぉ……。酷くないですか？」<br><br>「すまない。癖だ」<br><br><br>　くすり、と間宮が笑った。<br>　どうやら、雨足も弱まったようだ。もうじき晴れるな、と窓の外を見て思った。暫くすれば、虹が出そうな気がする。雲の裂け目を目指して、アスファルトの上を走っていた。<br>　ふわふわ、と。<br>　間宮が大欠伸する。<br>　ほんの数分後に聞こえて来るであろう微かな寝息を想像して、くすり、と笑ってしまった。<br><br><br><br><br><br>　Rain coat<br>　自称シャーロック・ホームズの事件簿<br><br><br><br><br><br>　to be continued...<br>
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<link>https://ameblo.jp/tetra54/entry-10503071823.html</link>
<pubDate>Thu, 08 Apr 2010 10:42:05 +0900</pubDate>
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<title>Strawberry ice</title>
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<![CDATA[ 　じりじりと照りつける太陽を恨めしく睨んだ。<br>　春には賑やかな花吹雪を散らす並木道。今は青い葉を纏った桜が両脇に並ぶ下り坂。私たちの通う学舎はこの坂を上った先にある。前を行く間宮の後ろ髪が風に棚引いた。蒸し暑い風にスカートの裾が揺れる。<br>　真夏。こんな日に外を歩いている私の不運さに、悲観的な溜め息が出た。<br><br><br>「間宮。四ツ葉デパートの飛び降りが自殺じゃないってどういうことなんだ？」<br><br>「そういうことだ」<br><br>「は？」<br><br>「あれは自殺じゃない。確かに死亡した葛原千夏は精神科への通院歴があったし、不安定になることも多かった。ついでに自殺未遂も繰り返していたらしい。だが、それは構ってほしかっただけとも思える。もし、彼女に自殺するつもりがなかったとしたら、誰かが突き落としたとも考えられるじゃないか？」<br><br>「事故かもしれないだろ」<br><br>「それはない」<br><br><br>　トン、と間宮は縁石に跳び乗った。<br>　ふわふわと腕を伸ばしてバランスを取りながら、ふわりと私の方へと振り向いた。<br><br><br>「転落防止用の柵が取り付けられた屋上から高校生が落ちるなんて馬鹿げてる。柵を乗り越えて自殺ごっこでもしていたなら別だけどな」<br><br>「してたんじゃないのか？　そういうのが趣味だったんだろ」<br><br>「誰もいない屋上で、か？　そういう趣味だったとしても、それは滑稽だな。誰かに突き落とされたと考える方が妥当だろう？」<br><br>「そうか……」<br><br><br>　いつの間にか事件のことを真剣に考えていた。まんまと間宮に捕まってしまったようだ。<br>　再び、悲観的な溜め息をつく。<br><br>　くるり、と彼女は向きを変える。その向こうに、飛行機雲が窺えた。お、と間宮が声をあげる。どうやら、彼女もそれに気がついたようだった。足を止め、空を見上げている。否、見つめていると言った方が正しいかもしれない。彼女にも自然に対するそう言った感受性があるのだな、と感心した。<br><br><br>「なあ、斎藤」<br><br>「何だ？」<br><br>「ちょっと、アイス買っていかないか？」<br><br><br>　ビシッと彼女は飛行機雲の手間にあるコンビニの看板を指差した。思わす、溜め息をついてしまった。こういうところが彼女らしさでもあるとも言えるのだが……。間宮京子。彼女はいつも私の期待を裏切る。良い意味でも、悪い意味でも。<br><br>　消えかかる飛行機雲を横目に私たちは束の間の涼を求めた。<br><br><br><br><br><br>　Strawberry ice<br>　自称シャーロック・ホームズの事件簿<br><br><br><br><br> to be continue....<br>
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<link>https://ameblo.jp/tetra54/entry-10476838275.html</link>
<pubDate>Mon, 08 Mar 2010 20:43:39 +0900</pubDate>
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<title>CLIMAX CLIMAX</title>
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<![CDATA[ 「間宮、あのさ」<br><br><br>　水滴の纏わり付いたコーヒーのパックを両手に抱え、何か言いにくそうに彼女は私から目を逸らす。その時、私は半ば諦めにも似た、ある種の達成感のようなものを味わっていた。紙パック入りのココアのストローを噛む。夕立の後の人気のない公園。長かった夏が終りを告げようとしていた。<br><br>　恐らく、彼女はすべて解っているのだろう。本来の私と、私という人間を演じてきた私を。だが、ようやく気が付いたか、と彼女に対して少々の落胆も覚えた。確かに予想外の結末だが、彼女ならばもっと早くに気が付ける要素はあったはずだ、と思う。ようするに複雑な心境というわけだ。<br>　しかし、見事、真実に辿り着いた彼女にはかく言うべきか。<br><br><br>「おめでとう」<br><br>「は？」<br><br>「君こそシャーロック・ホームズだよ、ワトソン君」<br><br>「間宮……」<br><br><br>　すべて彼女の犯行だった。<br>　間宮京子。彼女が持ってくるトラブルの原因は彼女がつくっていたということだ。四ツ葉デパート事件から遡ればその件数は想像もつかない数である。人とは、恐ろしいものだ。<br>　しかし、賞賛すべきか。自らの起こした事件を自ら推理し、意図的に自分が犯人だとに知られないよう私を誘導していたのだから。<br><br>　否、私には最初から彼女を疑う余地はなかったのだから、それは少し違うかもしれない。彼女の提示した情報の中には、その当事者しか知り得ない情報もあったはずだ。それを私は見抜けなかった。彼女にとって、私は間抜けなマリオネットだったわけだ。ということは、やはり、賞賛すべきか。<br>　間宮京子という他人を演じきった、間宮京子という役者を。<br><br><br>「ところで、いつ気が付いた？」<br><br>「いつ、と言うより、容姿かな。間宮、君はいつも間宮京子だった。服装、髪型、顔……。ひとつの乱れもなく完璧に。その違和感がいつも引っ掛かっていた」<br><br>「なるほど。役に徹しすぎていたのか」<br><br>「それから君が私と調べた事件をもう一度調べ直した。それまで、シャーロック・ホームズ宜しく事件を調べたのは君で、私はそのことから事件を考察していたにすぎない。今考えれば可笑しな噺だ」<br><br>「そう……。それが君のミスだった。どんな名探偵でも事件に興味がなければ事件を解決できない。そうじゃないか？」<br><br><br>　あの時のように、颯爽と人差し指を突き出した。<br><br><br>“小説や映画の主人公というのはトラブルメイカーでなければならない。何故なら、トラブルが無ければ物語は生まれないからだ。”<br><br><br>　無言で応える。<br>　真実が暴かれた今もなお、彼女は間宮京子を演じている。彼女の背後に佇む外灯の光が少し眩しい。ステージを照らすスポットライトにも似ている。彼女は何故そこまで間宮京子という役にこだわるのだろうか。問い詰めたところで、彼女には上手くはぐらかされてしまう気がする。<br><br><br>「斎藤」<br><br>「間宮」<br><br>「どうするつもりだ？」<br><br><br>　どうもするつもりはないと言ったら、彼女はどう思うだろうか。私の予想が正しいなら、彼女は何もしないだろう。きっと、そういう人間なのだ。そこには正義なんてない.。ずっと彼女には告げずにいたが、出会った時から思っていたことがあった。<br>　私たちは似ている。<br><br>　まさに瓜二つだ。たまたま立場が正反対なだけで、私たちは対称なのだ。だからこそ、互いに引き合うのかもしれない。それこそ、シャーロック・ホームズとワトソン助手のように。<br>　これからも今まで通り、私たちはその役を演じていればいい。物語なんて、そんなものだ。<br><br><br>「くだらないな」<br><br>「そう？　意外と楽しかったじゃないか。まあ、最初から主人公は君だったけど」<br><br>「それは君が望んだことじゃないか」<br><br>「そうかもしれないね」<br><br><br>　闇夜に浮かぶ月だけが唯一の観客だった。とんだ喜劇になってしまいましたが、お楽しみいただけただろうか。黒い海の上に浮かぶ月は何も応えない。どうやら、オーケストラが足りなかったらしい。随分と贅沢な観客だ。しかし、スタンドオベーションも、歓声もない舞台。それこそ、私たちには相応しい舞台だったのかもしれない。この病的で異常なステージこそが……。<br><br>　私の、唯一の共演者である彼女に、心からの敬意と賛美を込め、あえてこの言葉を贈ろう。<br>　――シャーロック・ホームズは君だ。<br><br><br>　そして、君に問う。<br><br><br>　トラブルメイカーは、誰だ？<br><br><br><br><br><br>　CLIMAX CLIMAX<br>　自称シャーロック・ホームズの事件簿
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<link>https://ameblo.jp/tetra54/entry-10475415827.html</link>
<pubDate>Sun, 07 Mar 2010 00:18:45 +0900</pubDate>
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<title>Scarlet report</title>
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<![CDATA[ 　午後の科学室。<br>　開け放たれた窓から吹き込む風が清々しい。夏休みの校舎は、不思議な静寂の中にあった。耳を澄ませば、いつかの喧騒が聞こえてくるようだ。窓際の席。机に突っ伏し、隣で静かな寝息を立てる間宮の寝顔がクスッと笑った。普段は厄介者の彼女も、こうして見ると可愛らしく思えてしまうのだから余計に自分が憎らしい。<br>　少しだけ鼻を抓んでみる。すると、苦しそうに彼女は眉をしかめた。指を離す。また元の憎たらしい寝顔に戻った。<br>　思わずニヤッとしてしまった。<br><br>　間宮京子。<br>　変な奴だ。ある種、哲学的で科学的。それでいて非合理的。そのギャプが私を捕えているのかもしれない。尤も、彼女という人物を私もよく理解できていないのだが……。だからこそ、間宮京子なのだろう。<br>　カーテンが翻る。窓の外に目を移した。<br><br>　紫陽花の花が日陰に遊ぶ。<br>　少しだけ目線をあげれば、校庭の、地平線の、空の向こう。巨大化を始めた積乱雲があった。茹だるような灼熱の季節。この日の夕立に僅かな涼を期待してしまう。そんなことを考えながら、水滴を纏ったテトラパックのカフェ・オ・レを額にあててみた。<br>　ポタリ。一滴、ブラウスの襟を濡らした。<br><br>　雨と踊る。噎せ返るような雨の匂いの中、足を止めて後ろを振り返った。<br>　間宮が息を切らして走ってくる。<br><br><br>「間宮。急げ！」<br><br>「もうびしょびしょなんだから急いでも変わらないじゃないか」<br><br>「乾くまでの時間が違うだろ」<br><br>「そういうの屁理屈っていうんだよ」<br><br>「君に言われたくないな。それ」<br><br><br>　ふと、空を覆う雨雲を見上げた。<br>　この黒い雲が喜ばしいのは、夏くらいだろうか。髪も、ブラウスも、スカートも、靴下も、ローファーもびしょ濡れだけど、この時間が何だか楽しかったり、気持ちがよかったりする。溜め息に混ざって、乾いた笑いが漏れた。<br><br><br>「君もそんな顔するんだな。かわいらしいとこあるじゃないか」<br><br>「は？」<br><br>「いや、何でもない。それより急ごう。乾くまでの時間が違うんだろう？」<br><br><br>　ニヤリ、といつの間にか私を追い抜いていた彼女は笑った。　<br>　どうやら見られていたらしい。それにしても、癪に障る言い草だ。赤らむ顔を隠すように私は俯き。アスファルトに打ち付ける雨粒を見る。そして、私は彼女を追いかけた。<br>　曇り空の向こうの、青空を目指して。<br><br><br><br><br>　Scarlet report<br>　自称シャーロック・ホームズの事件簿<br><br><br><br>　to be continue....<br>
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<link>https://ameblo.jp/tetra54/entry-10474928890.html</link>
<pubDate>Sat, 06 Mar 2010 13:55:13 +0900</pubDate>
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<title>BAD DAY</title>
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<![CDATA[ 　雲を裂いて、光が降り注ぐ。<br>　雨上がりの、涼しげな風がカーテンを翻した。事あるごとに顔に覆いかぶさるそれを手で抑える。午後の科学室で、一人。紙パックのコーヒー片手に雲の裂け目を覗いていた。校舎の影たまりを泳ぐ紫陽花がみずみずしい。日陰に咲く花。自分勝手だが、少し惨めに見える。陽光が当たれば、もっと輝けるのに、と思いながら甘ったるいストローを噛んだ。<br><br>　そんな優雅な午後。<br>　こんな時は昼寝か読書にでも洒落込みたい。そう、ポール・オースター。雨上がりの憂鬱な午後にこそ、あの文章は相応しい。ついでにジャズもあれば最高なのだが……。否、このまま何もしないで、ぼんやりと風に吹かれているのもいいかな。<br>　ふわりと伸びをする。<br><br>　その時、せわしく廊下を走る足音が聞こえた。それは段々と私のいる科学室へと近付いて来る。嫌な予感が脳裏を過ぎった刹那、ガタンと勢いよく教室のドアが開いた。<br><br><br>「斉藤！　事件だ！」<br><br><br>　開口一番。意味不明。<br>　的中した。<br>　陽光も浴びていないのに、彼女の目は気色悪いくらい凛と輝いている。いつものことながら、こういう時は本当にロクなことがない。<br><br><br>「四ツ葉デパートの飛び降り、どうも自殺じゃないらしい。いくぞ！」<br><br>「は？」<br><br>「いーからいくぞ！」<br><br><br>　カツカツカツ……、と靴音高らかに歩み寄ってきて、彼女は私の腕を掴んで引っ張る。まるで強制連行されている気分だ。<br>　実に理不尽。<br><br><br>「何で？」<br><br>「助手の君がいてこそ私は事件を解決できるのだよ、ワトソン君」<br><br>「いや、私、斉藤だから。あんた、ホームズじゃないから」<br><br>「いーからいく！」<br><br><br>　こうして私は事件に巻き込まれていく。いつものことだ。しかしながら、コナン・ドイルはロクでもないキャラクターを生み出してくれたものだ。もし、彼が生きていたら文句の一つでも言ってやりたい。<br><br>　結局、私という人間は彼女のトラブルに付き合っている。そういう意味では不本意ながら、シャーロック・ホームズのワトソン助手役を買わされてしまっているのかもしれない。迷惑な話ながら、彼女は私だけのトラブルメイカーということだ。<br><br><br>　今回、彼女――間宮京子が目を着けた事件は、二ヶ月前、うちの高校の女子生徒が、草木も眠る丑三つ時に四ツ葉デパートの屋上から星空へと歩み出した、という悲惨なものだった。勿論、発生当初は大騒ぎ。学校にマスコミが殺到し、ワイドショーはイジメがあっただのとその事件を祭り上げた。<br><br>　警察の捜査の結果、突発的な精神不安による衝動的な自殺と断定された。遺書がなかったらしく、自殺の動機は不明だったのだが、当人に精神科への通院歴があったのが断定に至る決め手だった。それについて何とも浅はかな捜査だと一部のマスメディアからの批判もあったが、次第にその声も消えていった。<br>　かくいう私も、警察の見解には少々疑問を覚えていたが、日々の喧騒にその疑念は掻き消されていた。その当時、自称シャーロック・ホームズの彼女は、これは他殺だ、と根拠の無い難癖をつけ、私を伴って世間では首吊り自殺があったと噂されている廃屋に通い詰めていた。<br><br>　しかし、飛び降り事件発生から二ヶ月以上経過した現在では、生徒の間で誰々がイジメていただの、誰々と付き合えなかったからだのと陰で噂される程度になってしまっている。そのデパートの屋上に、その子の幽霊が出るなんて話もあるくらいだ。<br>　勿論、私たちの方も何もなかった。ただ蜘蛛の巣に引っ掛かりにいったようなものだ。<br>　実にくだらない。<br><br>　さて、今回、間宮はどの噂噺を信じたのか。その噺次第では、ワトソンも楽ではない。今日はついてないな、と空になったコーヒーのパックをゴミ箱に投げる。<br>　虚しく縁に弾かれた。<br>　まったく。ついていない。<br>　ゴミ箱の傍に転がるテトラパックを放って、私は鼻歌混じりで軽やかに歩く彼女の後ろ姿を追った。<br><br><br><br><br>　BAD DAY<br>　自称シャーロック・ホームズの事件簿<br><br><br><br><br>　To be continue...？
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<link>https://ameblo.jp/tetra54/entry-10474590387.html</link>
<pubDate>Sat, 06 Mar 2010 00:06:03 +0900</pubDate>
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