辻斬り書評  https://ameblo.jp/tujigiri/ 小説・新書を背後から斬り付ける書評ブログ ja-jp test https://ameblo.jp/tujigiri/entry-11571794999.html test 2015-07-13T16:36:47+09:00 「妖奇切断譜」貫井徳朗 / ほどほど、ほどほど。 https://ameblo.jp/tujigiri/entry-10268672890.html と、いうわけで 第2弾である。もう少し付き合ってみようと思わせたのは、著者の安定した筆力のおかげ。ヘタな小説をとつおいつ消化するより、やっぱり読みやすさに流れてしまうモンなのです。本読みの端くれとしては、楽ばかりしててはイカンのですけどねえ。さて。ご一新以降の世の流れに違和感を抱き、いくばくかの反感をこめて遊び人を続ける青年公家がワトソン役を演じ、その友でどこか凄愴な色を帯びた元大名の子息が安楽椅子探偵の役回りを担うという、いささか貫井徳郎らしからぬ本シリーズだが、ずいぶんこなれてきたように思う 2009-05-27T00:52:16+09:00 「鬼流殺生祭」貫井徳郎 / 遊び心の頓挫? https://ameblo.jp/tujigiri/entry-10264171272.html 貫井徳郎には、東野圭吾や宮部みゆき、真保裕一などに次いで、質の高いミステリを書く現代作家という印象がある。その貫井が、明治を舞台にしたものを書いているという。もっぱらエンタメ領域を主戦場にしているとはいえ、一定のレベルに達している作家が近代日本の手相をどう読み、どう再構築するのかにいくらかの興味を覚え、本書を読むことにした。というのは後付けで、たまたま家族の本棚にあったからである(笑)。以前に読んだ小説がまずまずだったので、今回もそれなりの期待感はあった。あった。うん。さすがに読みやすさは折り紙 2009-05-26T22:17:01+09:00 「三国志6・7」北方謙三 / ようやく。 https://ameblo.jp/tujigiri/entry-10260954905.html 袁紹だの孫策だの、これまで多角的な視点を提供してきた主要人物が順々に表舞台を去っていき、以降物語は周瑜を一方の軸に置き、かの「赤壁の戦い」へと収斂していく。分散から集中へ、視点が絞られたおかげで小説の密度もグッと高まり、ようやく楽しめるレベルに到達した。我ながら、ずいぶんと耐えたものだ。また、こちらも有名なエピソードである「三顧の礼」が描かれ、いよいよ劉備陣営に諸葛亮孔明が合流する。ナイーブに描かれる孔明の浮世離れした姿と屈折は、なかなかに妙味があってよい。特に逡巡を振り捨て、俗世に身を投じるこ 2009-05-14T20:21:58+09:00 これは燃える……! https://ameblo.jp/tujigiri/entry-10254655466.html 待望の勝利なので、たまにはこういうのも。チャンスわっしょい (PC限定、音楽が流れます) 2009-05-04T22:18:40+09:00 「三国志2・3・4・5」北方謙三 / スルスル読んでしまおう https://ameblo.jp/tujigiri/entry-10253829896.html あいかわらず 、つまらない。結局、北方謙三には群像劇が向いていないということなんだろう。なんといっても、著者が神の視座に立ちすぎていて戦国の脈動が感じられないのが致命的。劉備陣営の行動なんて、巨視的すぎてほとんど予言者のレベルだしねえ。対照的に、機能集団たる曹操陣営が非効率的な他陣営を見下しつつ撃破していく流れが浮かび上がってくるのは、おそらく著者自らへのブラックユーモアなんでしょう(笑)。ただ、五斗米道の張衛のくだりだけは、読ませるものがある。特に第5巻で黒山の張燕と夜話を交わすシーンがあるが 2009-05-03T15:59:15+09:00 「姑獲鳥の夏」京極夏彦 / これ、ミステリ的にはどうなのよ? https://ameblo.jp/tujigiri/entry-10243787073.html 基本的に売れてるものは売れてるときに読まない質なので、今頃になって読んでみました。もはや読者も一巡しているはずなので、既読者を念頭に置いていきたいと思います。さて。本書のように一見SFの顔をしていない小説にロゴス論や量子力学を盛り込もうとすると、どうしてもケレンに流れるのか、あるいはこの作家の特質として衒学的な筆致になるのか、ちょっと判断がつきにくいところがある。ずいぶん前に読んだ「嗤う伊右衛門」の印象を反芻するかぎりではおそらくは後者なのだろうが、いささか読みにくい代物になっているのは否めない 2009-05-02T22:32:25+09:00 「新艦長、孤独の海路」ジュリアン・ストックウィン / 縦横無尽の快作! https://ameblo.jp/tujigiri/entry-10252315900.html 夜っぴいて読み耽ったあと未だ興奮冷めやらぬまま、半ば呆然とした状態でこれを書いている。これほど魅了される物語は、僕にとってやはりトマス・キッド・シリーズをおいて他には考えられないことだけははっきりしている。それ以外なにも考えたくないくらいの満足感に包まれているのだ……。前作の刊行から13ヶ月、待ちに待った最新作は、予想をはるかに超えるおもしろさでもって僕に報いてくれたのだった。改めて思う。このシリーズとともに歩んできてよかったと。これほど胸を沸き立たせ、物語の持つ力を感得させてくれる冒険小説は2 2009-05-01T05:40:59+09:00 「三国志1」北方謙三 / 画竜に点睛を満たせず https://ameblo.jp/tujigiri/entry-10238028967.html 長らく借り放しで少しばつが悪いので、なんとなしに読破することにした。北方謙三は借りてきたような外面描写だけで話を進める作家なので好きではないのだが、このシリーズはかなり版を重ねているらしい。これだけつまらない内容でも読者が付いていく理由がわからなかったのだが、それだけ「三国志」自体の需要が大きいということなのだろう。然様、歴史は汲めども尽きせぬ源泉なのだ。三国志といえば最近ではマンガ「蒼天航路」が斬新な人物描写で人気を博したのが記憶に新しく、また古代中国の専門家である宮城谷昌光が実に骨がらみで描 2009-04-07T01:32:33+09:00 「検校の首」向谷匡史 / お江戸のダークヒーロー https://ameblo.jp/tujigiri/entry-10193641673.html 検校というと知らない人が多いかもしれないが、座頭というと途端にわかる人が増えるだろう。そう、映画「座頭市」の座頭だ。座頭というのは江戸時代の盲人官位のひとつである。え、と思うかもしれないけれど、座頭とは幕府に裏づけされた立派な位のひとつで、盲人の組合的組織である「当道座」における官位のこと。といっても幕府から直接禄を得ていたわけではなく、彼らはもっぱら琵琶などの音曲や鍼灸をこととして生活を営んでいた。幕府は当道座を庇護する立場にあり、その系譜は室町時代にまでさかのぼる。座頭のうえには勾当(こうと 2009-01-17T01:17:28+09:00