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<title>夕空小説</title>
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<description>小説を書いていきます｡自作ですので優しい目で見てください</description>
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<title>Ghost～僕と君との365日～</title>
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<![CDATA[ 三日遅れの投稿となりました<br><br>まずはすみませんでした<br><br>試験が迫ってきて､余裕がなくなってしまったのが原因だと自分では思っています｡<br>なので試験の終わる当分のあいだ､小説の更新は控えたいと思います<br><br>なかには楽しみにしていてくれた人もいると思います｡その人たちには本当に申し訳ない気持ちがあります｡<br><br><br><br>え……?そんな人はいない<br><br>それでも見てくれてる人には突然ですがお休みさせてもらいます<br><br>本当に申し訳ありません<br><br>それでは今回の『Ghost』をよろしくお願いします。<br><br><br><br>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<br><br><br>『Ghost～僕と君との365日～』<br><br><br>chapter12    吊り橋効果?<br><br><br><br><br><br>「柚葉､そんなにくっつくと歩きにくい」<br>「う､うるさいわね｡怖がりのあんたのため､わざわざこうしてあげてるんだから､感謝しなさい」<br>「べつに俺は怖くなんかないんだけど………」<br><br>先程からずっと俺の腕にしがみつく柚葉｡正直歩きにくかったし､色々なものが当たって､耐えるのが大変だった｡<br><br>「それにしても､さっきからなんにも出てこないな?」<br>「出てこなくていいもん」<br><br>俺の腕にしがみつく柚葉の力が強くなる｡本当に柚葉はお化けとかが怖いらしい｡<br>だけどここまで来て､なににも出くわさないのは､別の意味で恐怖が芽生えてくる｡<br><br>「柚葉、怖いんだろ」<br>「こ､怖くないもん」<br>「ほれ､あそこの茂みになにか……」<br>「きゃぁぁぁ!!」<br>「あがぁぁぁ!!」<br><br>しがみつかれていた腕が､あまりの力にあれえない方向へと曲がりそうになる｡<br><br>「ごめん､柚葉!!それ以上力を入れられると､本当に折れる」<br>「幽が驚かすからでしょ!!」<br><br>森にこだまするのは二つの悲鳴｡お互い(俺は暴力によって……)驚かしあっただけになってしまった｡<br>それにしても､本当に叶のやつが出てこないのは､おかしい｡前の二組はしっかりと驚かされていた｡それも早い段階で｡<br><br>「本当になんにもないなぁ………」<br>「幽くん『吊り橋効果』って知ってますか?」<br>「わぁ!!」<br><br>突然耳元で叶の声｡それも耳に息を吹き込むかのようにして囁いてきた｡<br><br>「ゆ､幽!?いきなりどうしたの?」<br><br>よりいっそう強く腕を抱き込む柚葉｡それ以上捕まれると､俺の理性がぶっ飛びかねないほどに､柚葉の胸が俺の腕をおおっていた｡<br><br>「そんなことがあるから驚かしたくないんですよ!!」<br>「いや､なんでもない｡ちょっと突然風が耳をくすぐったから驚いただけだよ｡」<br><br>このままでは叶のわがままのせいで､肝試しがつまらないものになってしまう｡しかし､叶を説得するにも､柚葉の前で叶と話すのはむずかしい｡<br>それなら……<br><br>「おい柚葉､なんか聞こえないか?」<br>「な､なんかって､なによ!?」<br>「俺たちの名前を呼んでる?」<br>「な、なにも聞こえないんだから!!」<br><br>俺の腕を抱え込んだまま両の耳を塞ぐ柚葉｡作戦が思いの外成功した｡<br><br>「どうせ私は幽霊ですから､驚かすことしか能がありませんよ」<br>「叶｡あとで一緒にまわってやるから､今は仕事してくれよ」<br>「それって､デートのお誘いですか?」<br>「それでいいよ」<br>「わかりました｡全力で驚かさしていただきます」<br><br>いじけていた姿から一転して､笑顔で敬礼する叶｡全力になってくれたのは嬉しいけど､突然全力で襲いかかられても逆に怖い｡<br><br>「ほどほどにしてくれよ……」<br>「まずはこれです」<br><br>叶は俺の言葉を無視して､俺の腕をを抱え込む柚葉の側までいき､<br><br>「えい」<br><br>ぺた<br>っという音と一緒に<br><br>「きゃぁぁぁ!!」<br>「うぎゃぁぁぁ!!」<br><br>二つの悲鳴が森のなかをこだまする｡ <br><br>「幽!!なんかぬるっとしたのが!!」<br>「おちつけ柚葉!!俺の腕は､そっちには曲がらない!!」<br><br>叶の手に持っていたものが､ちらりと見える｡灰色の胴体に､ところどころにある黒い染み｡そしてぷるぷると揺れ動くそれ｡痛みに堪えながら至った結論｡それは……<br><br>「おちつけ柚葉!!あれはただのこんにゃくだ」<br>「こんにゃくが浮いてるわけないもん!!」<br><br>すでに視覚を閉ざした柚葉には､叶の持つ(柚葉の視点からは浮いている)こんにゃくは､確認できない｡<br><br>「いっかい深呼吸しよ｡それで落ち着くかもしれない」<br><br>とにかく今は､叶のアナログな驚かし方にツッコミを入れるよりも､柚葉の落ち着きを取り戻すのが先だ｡俺は柚葉に深呼吸を促した｡<br>柚葉は俺に言われるがままに『すー……』『はぁ……』と深呼吸をする｡<br>そんな美味しいタイミングを見逃すはずもない叶は､すかさず柚葉の耳元までいき､小さな声で一言囁く｡<br><br>「きゃぁぁぁ!!」<br><br>盛大な悲鳴とともに､俺の腕の関節を逆方向に曲げようとする柚葉｡しかし､その攻撃は突如として止んだ｡<br><br>「たすかったぁ……」<br><br>止まった理由は簡単｡腕にしがみついていた柚葉が俺の腕を離して､その場に座り込んでしまったからだ｡<br><br>「柚葉?」<br>「幽､腰抜けたかも」<br><br>どうやら柚葉は､あまりの怖さに腰が抜けて､立てなくなってしまったようだ｡<br><br>「大丈夫か?」<br>「大丈夫じゃないかも」<br>「はぁ……仕方がないか」<br><br>俺は柚葉の前で腰を下ろす｡<br><br>「乗れよ」<br>「い､いいわよべつに」<br>「いいから早くしろ｡どうせ動けないんだから」<br>「で､でも……」<br><br>口ごもる柚葉｡顔を覗くと､真っ赤になっていた｡<br><br>「乗らないなら､無理矢理お姫さまだっこするぞ」<br>「わかった!!乗るからそれだけはやめて」<br>「なら早くしろよ」<br>「重いよ……」<br>「気にしねぇよ」<br><br>真っ赤になった柚葉はゆっくりと俺の背中に手を添え､覆い被さり､体重をかける｡たったそれだけの行動がやたら長かった｡<br><br>「ちゃんと掴まれよ」<br>「……うん」<br><br>腕を首に巻き､柚葉の体重が完全に乗ったことを確認して､俺はゆっくりと立ち上がる｡<br><br>「重くない?」<br>「大丈夫だ｡おもったほどでもないから」<br><br>そう言ったとたん､叶に頭を叩かれた｡<br><br>「幽くん､ダメですよ!どんなに重くても､『軽い』って言わないと｡どんなに重くても」<br><br>ずいぶんと失礼なやつだというツッコミは置いといて､今は一刻も早くみんなのところに戻ることが必要だった｡<br><br>「無視するんですか幽くん｡それならもっと驚かしますよ」<br><br>そう言って柚葉の背後に引っ付き､また耳元で囁き始めた｡<br><br>「ゆ､幽!?またなにか聞こえるよ!?」<br>「気のせいだ」<br>「でも､『イチャイチャするなぁ』って言ってるよ!?」<br>「幽霊の嫉妬なんて無視しとけ」<br>「ひぃ!!」<br>「どうした!?」<br>「なんか､背中に手の感触が!?きゃぁ!!やめて」<br><br>背中で動く柚葉｡強く抱きつくためか､俺の背中には自然と柚葉の胸があたる｡それに加えて動き回るために､気になってしかたがない｡<br><br>「おちつけ柚葉｡そんなに動かれるといろいろとまずい」<br>「そんなこと言ったって……あ!!」<br><br>パチン､という音が背中で聞こえた｡<br><br>「うう……」<br>「柚葉どうした?」<br>「こっち見ないで!!背中を意識するも禁止!!」<br><br>無茶を言う｡ちゃんと掴まってるかを確認するのに､自然と背中を意識してしまう｡先程とはうって変わって､さらに柔らかいものが俺の背中を圧迫する｡<br><br>「柚葉もしかして……」<br>「それ以上言ったら殴るから!!」<br><br>なおも動き続ける柚葉｡そのせいで､自然と背中に意識が集中し始める｡男の子なんだからしかたがないのだか……<br><br>「あんまり動かれると､俺も男の子なんだから………」<br>「意識しなきゃいいのよ!!」<br>「幽くんから離れてください」<br><br>柚葉をおぶる俺｡赤面になりながら動き続ける柚葉｡それをイチャイチャしてると思って妨害しようと､柚葉を怖がらせる叶｡驚きまた動く柚葉｡<br>悪循環が続き､俺の理性も限界が近づいてくる｡<br><br>「幽、なにかまた声が聞こえる!?」<br>「落ち着け｡バランスが崩れたら怪我をするかもしれない」<br>「ご､ごめん……」<br>「幽くんごめんなさい」<br><br>今の言葉は叶に言ったつもりだったが､叶の存在を知らない柚葉には､俺の言葉は自分へと言われたと思ってしまっただろう｡<br>当然柚葉に言ったわけじゃない｡<br><br>「…………」<br>「…………」<br><br>しばらく沈黙のなか､俺たちは歩いていた｡それが周りの暗さをより強調しているようにも思えてならなかった｡<br><br>「ねぇ､幽｡なにか話なさいよ」<br>「突然どうしたんだよ?」<br>「なんか不気味だから……」<br>「やっぱり怖いんだろ」<br>「こ､怖くないわよ!!」<br><br>頭を何回も叩かれる｡<br><br>「あ､暴れるなって｡暗くてよく見えないんだから」<br>「電気つければいいじゃない!!」<br>「もう目が慣れたから､こっちのほうがいい｡だけど暗いから暴れないでくれよ｡危ないから」<br>「わ､わかってるわよ｡幽が変なことしなければ」<br>「これは不可抗力だろ!!」<br>「幽の変態!!」<br><br>再び暴れだす柚葉｡そんなに動かれると､また気になってしまう｡<br><br>「やめろ暴れるなって!!危ないから」<br>「幽が変態なのがいけないのよ!!」<br>「本当に落ち着け｡あぶっ……つめたっ!!」<br><br>ポチャンという水の音とともに、俺の足にはどんどん水が浸水していく｡<br><br>「なんだよこれ……小川?」<br><br>月明かりだけを頼りに､足元を見ると､幅が一メートルもない小さな小川に足を浸けていた｡<br><br>「幽､大丈夫?」<br>「靴の中が重症かな……」<br><br>足をあげてる｡それだけで靴のなかに入った水は､少しずつ漏れていく｡<br>靴下は､最悪の状態｡歩けば自分の体重で絞れるほどに浸水していた｡<br>しかし､幸運にも足を挫いたりしていなかった｡<br><br>「これくらいなら平気だよ｡もう少し我慢してくれよ｡柚葉」<br>「ねぇ幽。みて……」<br><br>背中にいる柚葉は肩越しから俺の前方を指差す｡俺もその指先を追いかけるようにして､指差す方をみる｡そこに広がっていたのは……<br><br>「もしかして､ホタルか!?」<br><br>夜空から差し込む月の光に負けじと光る､ホタルの群れ｡小川も木々も､幻想的な光が照らしていく｡<br><br>「キレイだな…」<br>「ほんとね……」<br><br>柚葉の頭が､自然と俺の肩へと乗る｡<br>言葉も出ないほどの幻想的な光景｡都会なら間違いなく見ることのない自然の光｡<br>俺も柚葉も言葉を奪われてしまう｡<br><br>しばらく幻想的な光景に目を奪われていると､不意に､ホタルの光が小川に沿って道を作る｡まるで俺たちの帰る道を教えているかのように｡<br><br>「そろそろ行くか……」<br>「そうね……」<br><br>俺たちは歩き出す｡ホタルの光が示す道を通り｡足元は月明かりとホタルの光でよく見える｡そして､道の先にも､二つの人工的な光が<br><br>『おぉーい』<br>「柚葉っち!!幽ちゃん!!」<br>「二人ともいるかぁ!!」<br>「こっちにいるのか?」<br>「大丈夫､みんなが教えてくれてるから」<br><br>戻るのが遅くなってしまったために､みんなが探しに来てくれたみたいだ｡迷子になったわけでもないのに､大袈裟な話だ｡<br><br>「もう少し楽しみたかったのに…」<br>「なにか言ったか?」<br>「なんでもない｡はやく行きなさい､バカ幽」<br><br>ぺしぺし……と､柚葉に頭を叩かれる｡<br><br>「わかったから､あんまし叩くな」<br>「なによ､バカ幽のくせに」<br>「振り落としても知らねぇからな」<br><br>こうして俺たちはみんなのもとへ戻ってきた｡迷子になったわけでもないのに､柚葉に泣きつく志乃｡必要以上になにがあったかを聞いてくる奏太｡叶の愚痴を聞く芙美｡周りをキョロキョロ見ている冬馬｡<br>なにもかもがいつも通り｡そんな俺たちの関係｡絶妙な距離で決して縮まらない距離｡誰も縮めることも､遠ざけることも望んでいない｡少なくとも俺はそうだった｡<br>他のみんながどう思ってるかはわからない｡だけど、少しの変化が､絶妙なバランスを崩す｡それだけは俺は望んでいない｡<br><br>「ねぇ柚葉っち……」<br><br>突然の志乃の声｡もちろん無視する理由もないから柚葉は自然と返事をする｡<br><br>「なんで柚葉っちのブラ外れてるの?」<br><br>空気が一瞬にして凍りついた｡<br><br>「幽!!柚葉ちゃんに何したんだ!!」<br>「場と空気をわきまえたほうがいいですよ!!幽」<br>「サイテー!!幽くん」<br>「……最低」<br>「まてって!!みんな誤解してるって!!なぁ柚葉」<br>「そう｡あれは事故よ!!べつになんにもなかったし」<br>「二人で誤魔化してるのがなお怪しいわね」<br>「だから誤解だって!!」<br>「誤解だってってば!!」<br><br>それぞれから罵倒の嵐｡そんな俺たちの関係。絶妙な関係｡それにも当然終わりがあることを､俺たちはこのとき､知っていても､見て見ぬふりをしていた｡<br><br><br><br>to be continued
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<link>https://ameblo.jp/uroborostats/entry-11884847757.html</link>
<pubDate>Fri, 27 Jun 2014 07:31:00 +0900</pubDate>
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<title>Ghost～僕と君との365日～</title>
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<![CDATA[ chapter11<br><br><br>肝だめし<br>そんな遊びをご存知だろうか?<br><br>日本古来から伝わる遊びの一種で､恐怖を感じる場所へと赴き､その人の度胸を試すというものだ｡<br>現在では夏の風物詩ともいえるほどに､多くの人がこの遊びを知っているだ｡<br><br><br>「きゃーっ!!」<br><br>先に入った志乃と奏太(おもに奏太)の悲鳴が森の中から響いてくる｡<br>俺たちは今､肝だめしの真っ最中だ｡ペアは､俺と柚葉､志乃と奏太､そして冬馬と芙美の3ペア｡トップを買って出た志乃と奏太が出発してからもうすぐ20分が経つ｡順調に進んでいれば､すでに10分前には戻ってきてもおかしくないはずだ｡<br><br>「さっきからずいぶんと悲鳴が聞こえてくるなぁ……奏太の」<br>「見ての通り､志乃はあんまり恐がらないからな｡その志乃が悲鳴をあげているってことは､相当恐いらしいな」<br><br>白々と俺は冬馬に言葉を返す｡俺と芙美だけは知っていたからだ｡驚かしているのが､本物の幽霊だということを｡<br><br>「まったく､化学的じゃないね」<br>「恐いのか?冬馬」<br>「だ､誰がだい!?」<br><br>ならしくもなくムキになって言い返してくる冬馬｡ <br><br>「ただいまぁ……」<br><br>疲れはてて､戻ってきた奏太と志乃｡<br><br>「どうしたんだよ二人とも?そんなに疲れた顔をして」<br>「俺は確信したぜ……幽霊は本当にいる」<br><br>奏太の一言で､俺のシャツを掴んでいた柚葉の手から､震えが伝わってきた｡<br><br>「奏太、なにを言ってるんだい｡幽霊なんて非化学的なものがいるはずがないだろ」<br>「冬馬くん｡そろそろ時間」<br>「わ､わかってるよ｡べつに怖いわけじゃないからな」<br><br>虚勢を張りながら冬馬と芙美は森の中へと消えていった｡その瞬間､この世のものとは思えない冬馬の悲鳴が聞こえてきた｡その悲鳴で､再び柚葉が強くシャツを掴む｡<br><br>「そんなに怖かったのか?」<br>「寿命が半分になったくらいに」<br><br>度々聞こえる冬馬の悲鳴｡それに呼応するようにうしろの柚葉も体を震わす｡それにくらべて､芙美のほうの悲鳴はまったく聞こえない｡<br><br>「志乃はどうだった?」<br>「あそこまで怖いのは､生まれてはじめて経験したかも」<br><br>志乃にこれほどまで言わせるとは､叶はかなり本気のようだ｡俺自身も志乃と同じで怖いものは､ある程度は平気だった｡だけど､志乃にここまで言わせて､冬馬の悲鳴が聞こえるほどだ｡俺自身も不安になってきた｡<br><br>「柚葉､お前大丈夫か?」<br><br>無言で震えたまま､首を縦にふり､俺の背中に頭突きをする｡<br>あまりの怖さに､パニックになっているのが､すぐにわかった｡<br><br>「そんなに怖いなら､やめとくか?」<br><br>首を横にふる柚葉｡そして小さく震えた声で「行く」とひとこと言うと､再び目を閉じて俺の背中に顔を埋めた｡<br><br>それから30分して､ようやく冬馬たちが戻ってきた｡<br><br>「冬馬､何してるんだ?」<br><br>戻ってきた冬馬は芙美をお姫様抱っこしていた｡<br><br>「開始早々彼女は気絶したのさ」<br><br>冬馬が言うには､最初の(叶の)仕掛けで､芙美は無言のまま気絶したらしい｡そこからは､芙美を介抱しながら悲鳴をあげて､戻ってきたということらしい｡<br><br>「あの､ふみふみまでもが気絶するなんて…」<br>「志乃､呼び方は統一しとけ」<br><br>志乃のボケにツッコミを入れつつも､俺の体は不自然に震えていた｡正確には俺の背中にくっついている柚葉が､だ｡<br><br>「そろそろ行こっか､柚葉」<br><br>柚葉はよりいっそう強く俺のシャツを掴んだ｡<br><br>そして暗い森へと入っていった｡<br><br><br><br>to be continued
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<link>https://ameblo.jp/uroborostats/entry-11879701826.html</link>
<pubDate>Tue, 17 Jun 2014 19:50:00 +0900</pubDate>
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<title>Ghost～僕と君との365日～</title>
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<![CDATA[ chapter10   バーベキュー<br><br><br>8月1日  お昼過ぎ<br><br><br><br>どうしてかもわからない罰ゲームも､ほとんど意味をなさなかった｡<br>俺たちはみんなで砂浜でビーチバレーをしている｡<br>チームは俺と柚葉､冬馬と芙美､志乃と奏太の３チーム｡ほのぼのとした空気の中､俺と奏太だけはかなり真面目にやっていた｡<br><br>事の発端は俺と奏太との賭けだ｡<br>突然奏太が昼飯のおかずをかけて勝負に挑んできた｡育ち盛りの俺たちにとっては､最高の提案だった｡当然俺もその話にのった｡<br><br>「空､覚悟してもらうからな｡お前には焼きそばの紅しょうがだけを残してやるよ」<br>「お前も泣くなよ｡焼きとうもろこしの芯だけを残してもらってるんだからな」<br>「それは食えねぇよ!!」<br><br>もっともなツッコミだった｡しかし口を動かしているからといって､体の動きを止めたら､間違いなく負けてしまう｡<br><br>「二人とも盛り上がってるねぇ」<br><br>試合をしながらも､平然と話しかけてくる志乃｡こいつの運動神経は俺たちにも勝る高さだ｡そのために､俺たちが必死の中でも､余裕の表情で柚葉とビーチバレーをやっている｡<br><br>「話しかけるな志乃。男にはやらなくちゃいけない戦いがあるんだ」<br>「そうだぜ志乃っちゃん｡いまここでこいつの息の根を止めてやる……あぁ!!」<br><br>よそ見をした奏太の横をボールが通過していく｡<br><br>「これで､俺の勝ちだな」<br>「せこいぞ幽!!正々堂々勝負しろよ」<br>「ふふふ､負け惜しみは聞かないぜ｡さぁ､俺に焼きとうもろこしを渡せ」<br>「なんで､小鳥遊くんと向かい合って､ボールを拾ってただけの幽がそんな大きな態度なの?」<br><br>これで少しは食費が浮いた｡<br><br>「ねえねえ､せっかくだから今度はお昼の買い出しの勝負しない?」<br><br>とんでもないことを志乃は口にした｡また罰ゲーム｡このままでは体がもたないのは明らかだ｡流れができるまでにいまの罰ゲームをなかったことに……<br><br>「それはいい考えだよ､志乃っちゃん｡もちろんチームの罰ゲームだろ｡な､冬馬たちもいいだろ?」<br>「せっかくのゲームなんだから､罰ゲームがあってもいいかもしれないね」<br>「罰ゲーム､楽しみ」<br><br>間に合わなかった……<br><br>こうして行われた再試合｡３チームで奇数なので､総当たり戦となった｡再試合ということで､奏太は俺に賭けは無効だと言ってきたが､世の中そんなに甘くない｡当然､却下してやった｡<br><br>試合は白熱した｡最下位の予想だった冬馬のチームはなんと優勝｡俺と奏太のチームは拮抗した試合で､何度もデュースした｡<br>そして志乃たちの作戦で納得のいかないかたちで幕を閉じた｡<br><br>「柚葉､あいまに何を吹き込まれたんだ?志乃に」<br>「な､なにも吹き込まれてなんかないわよ!!」<br><br>決着の最後､奏太と志乃のチームが一点リードしていたとき､柚葉のレシーブミスで負けてしまった｡その時の柚葉の顔は真っ赤になっていたから､もしかしたら志乃になにかを吹き込まれたのかと考えたのだが……<br><br>「なに怒ってるんだよ」<br>「怒ってないわよ!!」<br><br>明らかに怒っていた｡<br><br>「………言えるわけないじゃい」<br>「なにか言ったか?」<br>「なにも言ってないわよ!!」<br><br>ふくらはぎを蹴られて<br>どうして真っ赤になりながら蹴るのか､俺にはわからなかった｡<br><br>「それで､どこまで買い出しにいくの?」<br>「志乃のおばさんの家に取りに行くだけらしい」<br>「なぁんだ､すぐ近くじゃない」<br>「量は多いいらしいけど」<br>「げっ!!」<br>「だいじょうぶたよ｡俺と柚葉で三対七で持てばぁぁぁ」<br>「なんで私のほうが多いのよ!!!」<br><br>強烈な蹴りが俺の脛を蹴り抜いた｡<br><br>「痛い!!これはもう荷物は持てない」<br>「我慢しなさい」<br>「我慢!?」<br>「なにか文句でも」<br>「いいえ……」<br><br>柚葉の圧力に負けてしまった俺｡俺と柚葉は同時に黙ったが､突然お互いに笑いだした。<br><br>「ははは､なに笑ってるんだよ柚葉」<br>「あははは､幽こそ」<br>「いやぁ､なんか柚葉と二人でこんな会話するとは思わなかったから」<br>「私もよ｡志乃と同じように話すとは思ってなかったから」<br><br>しばらく笑いあった俺たちは､志乃のおばさんの家へと着き､食材を持って､来た道を戻る｡もちろん荷物の配分は､三対七なんかじゃない｡俺が八､柚葉が二｡男の子なのだからこれくらいは俺でもする｡<br>重いよりも嬉しいの気持ちが大きかったからか､あまり苦にもならなかった｡べつに俺がMってわけじゃない｡柚葉との関係が深まったことが嬉しかったのだ｡<br><br>「なんだかんだ男の子ですね」<br><br>今まで黙っていた叶が突然話しかけてきた｡俺は返事をすることもできずに､目だけで『ふざけるな』<br>とだけ表現した｡そんな曖昧な表現で叶に伝わることもなく､当然誤解も生じる｡<br><br>「当然だろ｡みたいなどや顔されても……」<br>「してねぇよ!!」<br>「どうしたの幽?」<br><br>俺の声に反応した柚葉｡当然、俺の答えは決まっている｡<br><br>「なんでもねぇよ｡それよりも急がなきゃ､あいつらにまた文句言われるぞ」<br><br>そう言って､俺は先を急ぐ｡<br>知られるわけにはいかない｡知られたら状況は必ず変化する｡いい方なのか､悪い方にかは誰にもわからない｡<br><br>俺たちが再びビーチに戻るときには､すでにバーベキューの準備はできていた｡あとは持ってきた野菜や肉を焼くだけ｡<br><br>あれだけたくさん動いたのだ､みんなよほどお腹が空いていたのか､動き出した手は止まることを知らずに､次々と食材が消えていく｡<br><br>「そういえばさぁ…」<br><br>ふと奏太が食べる手を止めた｡<br><br>「このビーチ､俺ら以外に誰もいないけど､なんでなんだ?」<br><br>その奏太の質問に､志乃以外の全員の手も止まった｡<br>言われるまで気がつかなかった｡たしかにこんなにきれいなビーチに誰も近寄らないのはおかしな話だった｡<br>しかし志乃はその答えをあたかも当然のように答えていく｡<br><br>「それねぇ､ここも私のおばあちゃんの敷地になるからかな」<br>「「はいぃ!?」」<br><br>俺たち全員の声が大空に響く｡<br><br>「し､志乃ちゃん｡どういう意味なのかな?」<br>「どういう意味って聞かれても､そのままの意味としか言えないかな」<br>「なんでこんないいビーチを持ってるのよ!?」<br>「それはねぇ……聞かないほうがいいと思うよ」<br>「どうして?」<br>「わけありだから」<br><br>俺たちは同時にあまつばを飲む｡<br>わけあり?いったいどんな理由があるのだというのか｡<br><br>「そんなわけだから､夜には肝だめししようよ」<br><br>どんなわけで肝だめしになるのかは想像したくなかった｡<br><br>「な､なんで肝だめしなんかするのよ」<br>「あれれ､柚葉っち｡もしかして怖いの?」<br>「そんなわけないじゃない!!」<br>「なら決まりだね｡チーム分けは適当でいいよね」<br><br>フリーズする柚葉｡これでは見栄を張っているのがまるわかりだ｡<br><br>そのあとも昼食は続き､全員がお腹一杯になる頃には､食材は底を尽きていた｡<br>満足する男子｡頭を抱える女子｡<br>それぞれがなにを思ったのかはいうまでもない｡ただ俺のうしろの幽霊は一人だけ､頬を膨らませていた｡<br>結論は明確｡一人だけ食事にたどりつけなかったからだ｡たどりつけなかったというのは適切じゃないかもしれないが､叶だけがバーベキューに参加できなかったからだ｡<br>そもそも幽霊が食べれるとは思っていない｡しかし､人が目の前で､美味しそうに食べているのを､ただただ見ているのは､拷問としてとられてもおかしくない｡<br><br>「幽くんずるいです｡私の分は?私の分はどこにあるんですか!!」<br><br>俺の肩を撞かんで前後へと揺らす叶。この光景を第三者から見ると､俺一人が前後に揺れているようにしか見えない｡<br><br>「幽くん聞いてますか!!私も食べたいです」<br><br>叶の言葉を聞き流す俺｡そしてさりげなく芙美を呼ぶ｡<br><br>「お腹空きました｡なにか食べさせてください幽くん」<br>「こんなときで悪いんだけど芙美｡うしろのやつを成仏させてくれないか」<br>「……わかった」<br><br>そう言って､芙美はポケットから自分の背丈ほどある数珠を取り出した｡<br><br>「そんな長いもの､どこにしまってたんだよ」<br>「企業秘密……」<br>「ゆ､幽くん｡あの人なんか怖いです」<br><br>俺のうしろに姿を隠す叶｡<br><br>「さようなら叶｡少しは楽しかったぜ」<br>「ごめんなさい｡謝るから許してください」<br>「幽…意地悪」<br>「お前もノリノリだったろ……」<br>「……てへ」<br>「てへ…じゃないですよ!!私はそのおふざけで消えるところだったんですよ!!」<br>「あとで買い物くらいには連れてってやるから､今は我慢しろよな｡食べれたらの話だけど」<br>「なめちゃいけませんよ､幽くん｡人間は欲求のためなら奇跡を起こす生き物なんですから」<br><br>自慢げに胸をはる叶｡<br><br><br>こうして初日のお昼がようやく終わった｡<br>すでに俺は二日分くらいの疲労が溜まっている｡夜には再びイベント?がある｡<br>俺たちには休息なんてない｡それは就寝時にもかわらない不変のルール｡それを俺は知っていたのにも関わらず､甘くみていた｡<br><br><br>to be continued
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<pubDate>Wed, 11 Jun 2014 07:47:00 +0900</pubDate>
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<title>Ghost～僕と君との365日～</title>
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<![CDATA[ chapter9  夏の海水浴<br><br><br><br>「やっほー!!」<br><br>声とともに､水しぶきが飛び散る｡<br><br>僕たちは海に来ていた｡<br>周りを見渡せば､一面の青｡空と海との境界がわからないほど､青が埋めつくしていた｡<br>どこかの誰かが､空の青は海の青と言っていたのを思い出した｡<br><br>「騒ぎすぎだろ……なぁ冬馬」<br><br>目の前では豪快にクロールをする奏太｡ばた足で跳ね上げられる水しぶきは俺たちの身長を軽々と越えていた｡<br><br>「いつも通りだろ｡奏太があんなのなんて」<br><br>海水浴｡着替えの早い男子が待たされるという､どこにでもあるような構図が完成していた｡<br><br>そして､待つこと10分｡<br><br>「そろそろ来る頃だろ」<br><br>そう言って､先に海を堪能していた奏太が上がってくると同時に､うしろから「おまたせー」の声が響く｡<br>俺たちは揃ってうしろを振り返る｡そこには､<br><br>「おぉ｡絶景かな絶景かな」<br><br>オヤジのような台詞にも納得がいくような水着姿の志乃たちがいた｡<br><br>「ごめんね｡待たせちゃって｡幽くんどう?」<br><br>そう言って、見せびらかすようにして､その場でくるりと回る志乃｡青色のパーカーの下から､黄色い水着が､回ったことではっきりと見えた｡<br><br>「今朝とほとんど同じだな」<br><br>そう｡俺は今朝､玄関前で同じような光景を目にしていた｡よって新鮮味はなかった｡たとえ海をバックにしたとしても｡<br><br>「幽｡じろじろ志乃を見すぎよ」<br><br>不機嫌なのが､言葉から読み取れるほど低い声で声をかけてきたのは柚葉だった｡赤のビギニだか､腰には布を巻いている｡あれは､何て言うんだっけ……<br><br>「幽｡お前の考えてるのはパレオっていって､腰に巻く布みたいなものだ｡ちなみに女性がつければ『pareo』でいいが､男性がつけるなら､『pareo』ではなく『maro』となるのだよ」<br>「へぇー……って､詳しいなお前」<br>「この日のために調べあげたぜ」<br><br>親指を立ててウインクする奏太｡正直そんなにかっこよくない｡<br><br>「幽……なんで変態も連れてきたのよ」<br><br>冷ややかな柚葉の声｡<br><br>「幽が調べろって」<br><br>俺に押し付ける奏太｡<br><br>「ゆ､幽の変態!!」<br><br>胸を左腕で隠しながら右ストレート｡<br>俺はとっさに奏太を盾として使用して､弁解をする｡<br>納得してくれた柚葉は､奏太から距離をとるようにして､志乃のうしろに隠れていった｡<br><br>「仲いいわね」<br>「うぉ!?」<br><br>突然の背後からの声｡思わず飛び退いてしまった｡<br>振り返り､そこにいたのは､ワンピースタイプの水着を着た芙美がいた｡<br><br>「いきなりどうしたんだ……」<br>「あの幽霊がいないわ…」<br><br>俺にだけ聞こえる声で､呟く芙美｡言われてみれば､いつのまにか叶の姿が見あたらなかった｡<br><br>「どこ行ったんだろうな?」<br>「ゆ～う～くん」<br><br>再び声が聞こえる｡この声は毎日聞いてるあいつの声だった｡<br><br>「叶､どこいって…!?」<br><br>思わず言葉が止まる｡そこにいた叶は､いつもの白い死装束ではなく､おなじ白でもビギニだった｡<br><br>「な､な､なんだよその格好!?」<br><br>周りの志乃たちなんか､頭の中から吹き飛んでしまった｡<br><br>「なにって､水着ですよ｡水着」<br>「そんなことはわかってる…むぐ!?」<br><br>うしろから芙美にがっちり口を押さえられ､四人から離れた位置まで引きずられた｡<br><br>「声が大きい!!バレたらどうするの!?」<br><br>いつもの芙美とは違い､今回は本気で怒っていた｡<br><br>「わるかった……」<br>「幽ちゃん……芙美っち……」<br><br>離れたところから志乃の声が耳へと届く｡<br><br>「どんなことされても､冷静でいて｡バレたら大変なんだから」<br>「わかった……で､どうやって言い訳する?」<br>「わたしの水着が大変なことになってたってことで……」<br>「わかった」<br><br>俺と芙美は声のする､みんなのもとへと戻っていっく｡<br><br>「二人ともどうしたの?」<br><br>一番始めに聞いてきたのは､案の定志乃だった｡<br><br>「ちょっと､芙美の水着に変なところがあったから､驚いたんだ」<br>「幽｡なぜそれを先に俺に言わなかっぷぺ!!」<br><br>奏太の発言にたいして､柚葉の渾身の回し蹴りが奏太を海へと帰した｡<br>遠心力で持ち上がったパレオは隠していたであろう､柚葉のすらっと伸びた脚を大胆にみせる｡<br><br>「………」<br><br>無言で眼鏡を持ち上げた冬馬も､奏太と同じコースをたどり､海へと帰っていた｡<br><br>「ゆ､柚葉さん……」<br>「なに?」<br><br>冷たい声｡明らかに怒っていた｡それは誰がみてもわかるほどに……<br><br>「なんで怒ってるからわからないけど､とりあえずわるかった｡謝るから機嫌を直してくれ」<br><br>俺は頭を下げる｡下げる瞬間､柚葉の隣にいた志乃の顔が不気味にも笑ったようにみえた｡<br><br>「なんであやま……」<br>「まあまあ､柚葉っち｡幽も謝ってるんだから､今日一日付き合ってもらって､それで許してあげようよ」<br>「な!?」<br><br>とんでもないことを言う志乃に､一瞬驚いた｡そのあとになって､自分の過ちに気がついた｡しかしその時には､すべてが遅かった｡<br><br>「そ､それもいいわね」<br>「柚葉さん!?」<br>「そういうことだから幽､よろしくね」<br><br>夏の誘惑<br>それは人を簡単に変え､人をおとしいれる｡<br><br>頭を抱える俺に､叶は……<br><br>「自業自得ですね」<br><br>お前のせいだ!!<br><br>そう叫びたくなるところを､芙美がおもいっきり足を踏むことで､<br><br>「いったぁぁぁ!!」<br><br>別の言葉で上書きした｡<br><br>始まる地獄｡はたして幽はこの地獄から無事に生還できるのか｡<br><br><br>to be continued
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<pubDate>Tue, 03 Jun 2014 09:24:00 +0900</pubDate>
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<title>Ghost～僕と君との365日～</title>
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<![CDATA[ chapter8  夏休みの始まり<br><br><br><br><br><br>8月1日   朝<br><br><br>「夏だぁぁ!!俺の時だ………」<br><br>俺はスマホの電源を落とした｡<br>旅行の旅に､同じことを叫ぶ奏太｡分かっているなら通話にでなければいいじゃないかと思うだろう｡しかし､『急に行けなくなった』などの緊急の連絡かもしれないため､出ないわけにはいかない｡<br>俺は荷物を持って､家を出た｡<br><br>「おはよ｡幽ちゃん」<br><br>玄関前には捨てられた子猫のような姿で座っている､志乃がそこにはいた｡<br><br>「なにしてんだ?」<br>「幽ちゃんをまってたの」<br><br>それはわかる｡俺が聞きたかったのは……<br><br>「その格好だ」<br><br>志乃の姿は､見た人から見ればパーカー一枚の露出狂に見間違えるような姿だった｡<br>玄関前に座っていたから､パーカーの中に黄色い水着が顔を覗かせていた｡<br><br>「水着にパーカー」<br>「下を履け!!下を!!」<br>「幽ちゃん何言ってるの?履いてるに決まってるじゃん｡ほら」<br><br>太ももも隠しきれてないような短いパーカーを少し持ち上げる｡そこに隠れていたのは､さっき確認した､黄色い水着だった｡<br><br>「ね」<br>「ね……じゃねぇよ!!!ただの変態に見えるから､短パンだけでも履いていけ!!」<br><br>「えぇー」と文句を言う志乃を他所に､志乃のカバンからバスパンを見つけ出し､勢いよく投げつけた｡<br>もちろん他のものには目を向けていない｡<br><br>「恥ずかしがっちゃって｡かわい」<br>「それでいいから､はやくいくぞ!!お前のせいで無駄な時間を使っちまったじゃねぇかよ!!」<br>「幽ちゃんのせいだよ」<br>「むこうついたら､あとで話があるから､とりあえず行くぞ」<br><br>俺は志乃の手を掴み､駅へと走った｡<br>駅に着いたときには､すでに4人の姿があった｡<br><br>「ごめん｡遅れた」<br>「幽ちゃんがわがまま言って遅れちゃった」<br>「違うだろ!!」<br>「朝からイチャイチャしてんじゃねえよ!!」<br><br>豪快なツッコミ?を入れる奏太｡白のTシャツに黒と赤のバスパン｡体格がいいぶん､シンプルながらよくにあっていた｡<br><br>「幽｡あとで説明してもらうからね」<br><br>眼鏡を光らせて言った冬馬は白のポロシャツに青のジーンズ｡細身のぶん大きい身長が､さらに大きく見えた｡<br><br>「幽｡あなたまた志乃とイチャイチャしてるの!!」<br><br>怒った勢いでトレードマークのツインテールが立ち上がる､錯覚がみえた｡茅野さん……柚葉は白のワンピースだった。肩のあたりから覗く赤い水着がやけに目をひく｡<br><br>「あんた……どこみてんのよ」<br>「いやぁ……もう着てるものとか､気合い入ってるなぁ､と思って」<br>「へんたい!!」<br><br>柚葉の渾身の右ストレートがみぞおちに飛んできた｡<br>渾身というのは違うかもしれないが､当たり所が悪かったせいか､とても痛かった｡<br><br>「ほら､見なよ幽ちゃん｡みんな水着を着てるんだよ」<br>「お前のは､どう見ても砂浜にだけ生息できる格好だったぞ……志乃」<br>「朝から元気……」<br><br>あくびをしながら俺たちを見ていた芙美｡夏だというのに､長袖の白いシャツに､肌色のチノを履いていた｡<br><br>「暑そうだな……」<br>「日焼けやだ……」<br><br>会話は終了｡<br>芙美は俺を見続けていた｡正確には､俺のうしろにふわふわとしている､幽霊を見ていた｡<br><br>「そんなことよりも､幽たちが来たんだから､はやく海に行こうぜ」<br><br>誰も文句は言わなかった｡誰もが､海に行くことを楽しみにしている｡俺自身も､正直なところ楽しみにしている｡<br><br>俺は事前に買っておいた切符を全員に渡す｡<br>ここからは新幹線に乗り､志乃の実家に向かう｡毎年､夏は志乃の実家に行き､近くの海水浴場にほぼ毎日行き､宿題を終わらせて帰ってくる｡<br><br>「それじゃあ出発だぁー!!」<br>「…………」<br><br>奏太の号令に､誰も反応はしなかった｡<br><br><br>こうして始まる夏休み｡全員が成長し､時には大胆になる｡これから先の俺たちの関係も少なくとも変わっていくに違いない｡<br>変化の波に乗るのか､置き去られるのかは､まだわからない………<br><br><br><br>to be continued<br>
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<pubDate>Wed, 28 May 2014 08:13:00 +0900</pubDate>
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<title>Ghost～僕と君との365日～</title>
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<![CDATA[ <br><br><br>chapter7  夏休みにむけて<br><br><br><br><br><br>7月10日  お昼休み<br><br><br><br>夏休みまで､あと一週間をきったこのころ｡去年同様に､騒ぐアホがいた｡<br><br>「ゆうぅぅぅ!!夏休み海行こうぜ!!」<br><br>教室の中では､それぞれがお互いの予定を確認して､遊びに行くための計画を建てているなかで､誰よりも大声ではしゃいでいるのが､親友の奏太だった｡<br><br>「『どうした?』なんて聞かねぇからな｡どうせ､『女子の水着がみたーい』とか『女子の浴衣がみたーい』とかだろ｡それで､『みんなを誘っておいてくれ』って言いたいんだろ」<br>「わかってるならよろしくな｡幽」<br><br>「よっしゃー!!」と叫びながら､教室を走り回る高校生｡見ていて少しだらしがない｡<br><br>「冬馬もいくよな?」<br>「僕だけはぶくつもりか?」<br>「奏太は､はぶこうかなぁ……と思って」<br>「なんで!!!?」<br><br>不純な心しかもたない友人を連れていって､間違いでも起こったら､冗談ではすまないことになるから｡<br>前もっての保険ということを､どう奏太に伝えたものか?<br><br>「女子陣から､『変態は連れてこないでね』って言われてるから……」<br>「俺が変態だと!?」<br>「周りに聞いてみ」<br><br>奏太は周りのクラスメートらに顔を向ける｡クラスメート全員､さらには次の授業のために来た教師までもが､一斉に首をたてに振った｡<br><br>「別に変態じゃねぇよ!!男子高校生として普通の感情だろ」<br>「その男子高校生として感情が､問題を起こさないか心配なんだよ!!」<br><br>そのあとも､永遠と俺と奏太の闘いは続いた｡午後の授業が始まるとともに､終戦した｡結論として､『仕方がなく奏太も連れていく』ことに決まった｡<br>俺と冬馬はお互いを見て覚悟を固めた｡<br><br>『間違いが起きないように､奏太の手綱は俺たちが……』<br><br>午後の最初の授業……俺たちは国語の授業だった｡<br>教師が朗読している内容を長々と聞く､退屈な授業だった｡<br><br>「海って楽しそうですね」<br><br>背中越しから声をかけてきた叶｡叶がそばにいることに､すっかりなれてしまった俺は､『もう好きにしてくれ』と言ったのが､引き金となり､学校までにも憑いてくるようになってしまった｡<br>授業でも､独り言を言っているやつは､世間一般からは『変なやつ』でみられる｡当然俺も､ずっと独り言を言ってるやつを､『変なやつ』と見てしまうだろう｡<br>だから､人がいるときは､叶との会話を筆談で行うようにしていた｡<br><br>『奏太が独り､騒いでるがな』<br>「私も海に入りたいです」<br><br>背中に体を押し付ける感覚が突然やって来た｡<br>ゴールデン・ウィーク以来､叶は俺に触れるようになった｡ほかにも軽いものならある程度は触れる｡<br>一男子高校生としては､やめてほしい｡誰も見えないからといって､ここでイチャつかれるのは､どうしても気持ちが許さない｡<br><br>『とりあえず､離れてくれ』<br>「どうしてですか?嬉しいんじゃないんですか?」<br><br>嬉しいか嬉しくないかと聞かれたら､嬉しいと答えるだろう｡しかし､そんなことを言えば､叶は間違いなく調子にのる｡<br><br>『お前のなんか､嬉しくないわぁ』<br>「ひどいです!!」<br>『興味さえわかない』<br>「目の前で､脱ぎだしますよ」<br>『ごめんなさい』<br><br>簡単に降伏した｡<br><br>「素直な感想教えてください」<br>『もう少しあれば､嬉しかった』<br>「芙美ちゃんに言いつけますよ｡私を無理矢理脱がしたって」<br>『やめてくれ!!』<br><br>こいつとの会話のおかげで､書くスピードが前に比べて速くなった｡かわりに､ノートの消費が激しくなってしまった｡<br><br>「それに､幽くんはわかってないです｡私､脱いだらすごいんですよ」<br>『はいはい｡そうですね』<br>「信じてないですよね」<br>『もちろん』<br>「なら､夏休み見ててくださいね!!私の水着で悩殺してあげますから」<br>『はいはい』<br><br>うん?ちょっと待てよ。<br><br>『お前着替えられるのか?』<br>「幽くんはなにか着て欲しいんですか?」<br>『そんなんどうでもいいんだよ!!出来るか出来ないか』<br>「内緒です」<br><br>俺は頭を抱えた｡<br><br>「………じゃあ､羽川｡ここのところの続きから読んでみろ」<br><br>突然当てられた｡叶との会話でまったく教師の話を聞いていなかった｡周りは俺を助けてくれない｡そこに唯一の救いの手が背中から伸びてきた｡<br><br>「ここからですよ」<br><br>叶は教科書の一文を指差す｡わざとらしく､背中に胸を押し付けながら……<br><br>「い､いい加減にしてくれぇぇ!!」<br><br><br><br>授業が終わると､教師から賛美を受け取った｡主人公の台詞に､ずいぶんと感情が込もっていたかららしい｡<br>あのときの俺は､自分の感情をそのままに出しただけだった｡<br>クラスメートからも「よかったよ」と､笑いながら言われた｡俺は彼らの言葉に軽く相槌を打ちながら､志乃にメールを送った｡<br><br><br>『夏休み､みんなでどこかに行こう』<br><br><br><br>to be continued
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<link>https://ameblo.jp/uroborostats/entry-11855544756.html</link>
<pubDate>Tue, 20 May 2014 08:45:00 +0900</pubDate>
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<title>Ghost～僕と君との365日～</title>
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<![CDATA[ chapter6  旅行の夜に<br><br><br><br><br>5月3日 夜<br><br><br><br>部屋は静寂｡しかし部屋の中は散らかった状態｡<br><br>事情を知らない人から見れば､間違いなく警察沙汰になってもおかしくないように､部屋には倒れた人影が6つ｡<br><br>それぞれが無造作に倒れているが､必ずその周囲には枕が落ちていた｡<br><br>ここまで言えばある程度予想がつくと思う｡<br><br>結論を言えば……<br><br><br>『枕投げ』だ!!<br><br><br>ことの発端は奏太の一投が茅野さんに当たったことが始まりだ｡<br><br>ノリノリだった奏太と志乃｡そして遠くから参加していた俺｡傍観を決め込んでいた茅野さんと冬馬と丹沢さん｡運動神経のいい志乃の独壇場に俺と奏太が二人がかりで崩しにかかっていた｡<br><br><br>「ハハハ｡そんなんじゃ勝てないよ」<br><br>「二人がかりでダメってどうなってるんだよ……」<br><br>「諦めるな幽!!ここは俺に任せておけ」<br><br><br>そう言って投げた枕を志乃は軽やかに避け､うしろにいた茅野さんの顔に『パスン』と可愛らしい音とともにぶつかった｡<br>奏太の投げた枕は､確実に全力を込めた一投｡それを志乃は威力を殺しながら､うしろに受け流していた｡<br><br>俺自身も､ここ最近になってようやく目で追えるようになったのだが､見慣れていない奏太にはなにが起きたのかわかっていなかった｡<br><br><br>「奏太くんひどーい」<br><br><br>棒読みの言葉にも耳を向けずに茅野さんは顔にぶつかった枕を握りながら､肩を震わせていた｡<br><br><br>「奏太!!いますぐ謝れ」<br><br>「ご､ごめん柚葉っちぃぃ!!!!」<br><br><br>奏太沈黙<br><br><br>おでこから煙をあげながら奏太は枕に沈んだまま､うしろに倒れた｡<br><br>あまりの枕の速さに､自分の顔の横を通ったことさえわからなかった｡<br><br><br>「さぁさぁ､冬馬くんも芙美っちも一緒にやろうよ」<br><br><br>傍観していた二人を無理矢理たたせる志乃｡<br><br><br>「男子と女子でいいよね」<br><br>「ちょっと待ってくれ茅野さん」<br><br>「いいよね」<br><br><br>いまの彼女には逆らえなかった｡<br><br><br>「対抗戦か｡面白そうだね｡ついでに罰ゲームをつけようよ」<br><br><br>余計なことを言ってくれやがって!!<br><br><br>心のなかで志乃に向かって叫ぶ｡<br><br>丹沢さんはそこまで運動が得意ではなかったはずだが､あの『鬼神』茅野さんと『武神』志乃を相手にするのは無理がある｡そもそもこっちはすでに一人脱落者がいる｡<br><br><br>「それじゃあ始め!!」<br><br><br>志乃の掛け声とともに枕投げスタート｡<br>男子チームはひたすら避ける｡枕を投げれば相手に弾を渡すのと変わらない｡だからひたすら溜める｡<br><br>対する女子チームは怒りに我を忘れた茅野さんの高速枕で､避けさせたところを､志乃が狙い撃つ｡丹沢さんは二人に枕を渡す係りに徹していた｡<br><br><br>そしてようやく女子チームの弾薬が切れたところで一回戦いが止んだ｡<br><br><br>「フフン……覚悟して､殺られろ」<br><br><br>奏太の声で､俺たちは一斉に枕を投げた｡両手から放たれる枕｡それは､散弾と形容するかのように弾幕を張って､女子チームに襲いかかる｡<br><br><br>「ぶぺー!!」<br><br><br>奇声をあげたのは､となりにいる奏太｡<br><br><br>「なぜ!?」<br><br><br>奏太の顔には枕が6つ重なるようにして､めり込んでいた｡<br><br>そして､投てきフォームの志乃が女子チームに｡<br><br><br>「志乃!!お前､何しやがった!!」<br><br>「簡単なこと､飛んできた枕をすべて投げ返しただけです｡てへ…」<br><br>「てへ…っじゃねぇぇ!!」<br><br><br>その間に､実験といわんばかりに､冬馬が枕をひとつ投げた。<br><br><br>ダン<br><br><br>その音が聞こえる直前､自分の顔の真横をなにかが通過した｡うしろを振り返れば､答えの枕が､木の柱に張り付いていた｡<br><br><br>「ほんとっぽいぞ……どうする冬馬」<br><br>「どうするもこうするも､倒れてる奏太に生け贄になってもらう他……」<br><br>「「ないか」」<br><br><br>現実逃避の作戦会議の末､俺が枕を投げ､返ってきた枕を奏太で受け止める｡これが俺と冬馬の出した答えだ｡<br><br>もしも彼女たちに人の心があるなら､傷ついた人に本気で投げたりしないはずだ｡<br><br><br>「罰ゲームだけは免れなければ」<br><br><br>俺は渾身の枕を志乃と丹沢さんへと投げた｡<br><br><br>ヒュン……<br><br><br>ドス<br><br><br>奏太(盾)をもった冬馬の体が少しだが､うしろに飛んだ｡奏太はくの字に体が折れ曲がり､今度こそ先頭不能に｡<br><br><br>「やろうと思えば出来るものね」<br><br>「やるじゃん柚葉っち」<br><br><br>丹沢さんへと投げた枕は､横から入ってきた茅野さんによって､投げ返された｡当然､志乃への枕もきれいに奏太の腹へと吸い込まれていた｡<br><br><br>「やけくそだ!!投げまくれ!!」<br><br>「おぉぉ!!」<br><br><br>冬馬の号令で俺たち二人はがむしゃらに投げた｡当然当たらない枕もある｡しかし､それぞれ少なくともひとつの枕がそれぞれに向かって飛んでいた｡<br><br><br>ヒュン……ドス<br><br>ヒュン……ドス<br><br>ヒュン……ドス<br><br><br>三人が倒れる｡丹沢さんと志乃に冬馬｡<br><br>志乃の返した枕が冬馬に当たり､丹沢さんは来た枕にだだ､ぶつかりノックアウト｡志乃は茅野さんが返し損ねた枕が顔に当たった｡<br><br>残された俺と茅野さんは唖然｡<br><br><br>「………まだ､罰ゲームやるつもりなの?」<br><br>「当然でしょ!!絶対に罰ゲーム受けてもらうんだから!!」<br><br><br>枕は男子チームに二個｡女子チームに三個｡<br>茅野さんの投げる枕は､破壊力があるものの､細かい狙いがつけられない｡そうすると必然的に､俺が投げた枕を投げ返すのが確実に勝利する方法｡<br><br>罰ゲームから逃れるためには時間切れまで待つか､投げ返されずに茅野さんを倒すかの二択｡そして奥の手がひとつだけ……<br><br>当然、時間切れなど生易しいことは起きない｡片方でも倒れないかぎり決着は着くことはない｡<br><br><br>すると､俺のとる手段はひとつしかない｡<br><br><br>「覚悟はいいよな……」<br><br>「当然でしょ!!あんたも覚悟しなさいよ!!」<br><br><br>茅野さんが腰を落とす｡そして俺は渾身の一撃のために､足をあげる｡まるでそのポーズは､野球のピッチャーのような構え｡<br><br>そして枕を投げた｡<br><br><br>このとき俺はあることをしていた｡<br><br>邪道と言われてもいい｡ここは負けないことが大事なのだから､どんな汚いことだってやってやる｡<br><br>足をあげるタイミングで枕を上に蹴りあげた｡<br><br>そう……今､茅野さんに向かって､二つの枕がほぼ同時に襲いかかっているのだ｡<br><br><br>上空と正面<br><br><br>二方向からの枕｡死角からの一撃｡それ以外は囮｡<br><br><br>「私がわかってないと思う」<br><br><br>先に飛来した上空の枕が向きを変えられ､俺へと襲いかかってきた｡<br><br><br>「幽のことらわかってるんだから!!」<br><br><br>しかし､茅野さんの顔には勝利の余裕はなかった｡<br><br>俺の投げた枕は確実に当たる｡はじめての試みなのに､うまい具合にタイミングが合わさった｡<br><br>避けることも返すことも不可能｡<br><br>それでも茅野さんの顔には負けの悲しみもなかった｡<br><br>それはまるで､やりきったかのような満足感｡達成感｡<br><br><br>そして………<br><br><br>「なに笑ってるんだよ」<br><br>「近づいたから」<br><br><br>よろこびの顔｡<br><br><br>その顔に枕がぶつかり､俺も枕によって倒れた｡<br><br><br><br>そして、戦いが終わった俺たちは､誰ともなく起き上がりだした｡<br><br><br>「これって引き分けか?」<br><br>「そうなっちゃうね……あぁ､罰ゲームさせたかったなぁ」<br><br>「怖いこと言わないでよ､志乃っちゃん」<br><br>「冗談冗談｡でも､ずいぶんと幸せそうな顔してるね?柚葉っち」<br><br>「そ､そんな顔してないわよ!!」<br><br><br>盛り上がる奏太､志乃茅野さん｡それを遠目から眺める､傍観者の丹沢さんと冬馬｡俺だけが寝転がったままだった｡<br><br><br>「そろそろ起きた方がいいんじゃないですか」<br><br>「最後の……お前だろ｡叶」<br><br><br>叶は答えずに笑顔だけを返す｡やはり最後のは叶のおかげだった｡偶然にもタイミングが合わさったわけじゃない｡蹴りあげ､投げた俺だからわかる｡明らかにタイミングは違った｡それを叶がずらして､絶妙なタイミングにしたのだ｡<br><br><br>「ものにも触れるようになったのか?」<br><br>「軌道を変えたりする程度なら｡なにかを握っての作業は無理みたいですけど」<br><br><br>ぺしぺしと俺の頭を叩く叶｡よほどなにかに触れることが嬉しいのだろう｡昼間もそうだった｡<br><br>「叶……」<br><br>「なんですか?」<br><br>「最後の茅野さんの顔｡なんであんな顔してたんだと思う?」<br><br><br>ハァーとため息をつく叶｡まるでわかってないといわんばかりに首を横にふる｡<br><br><br>「幽くんは､もっと女心を理解した方がいいですよ」<br><br><br>なにを言っているのか､理解できなかった｡しかし､そんなことを聞くわけにはいかない事態が起きた｡<br><br><br>「枕を足で使った､幽ちゃんだけが罰ゲームね」<br><br>「なんでだよ!!!」<br><br><br>飛び起きみんなの輪の中に加わる｡<br><br><br>「柚葉っちが決めていいよ｡功労者は柚葉っちだから」<br><br>「勝手にきめるなぁ!!」<br><br>「それじゃぁね……私と芙美もちゃんと名前で呼んで｡それからなんと呼ばれてもOKってことで」<br><br>「ひとつじゃねぇのかよ!!」<br><br><br>こうして俺たちの闘い(枕投げ)は終わった｡<br><br><br>結局あのときの茅野さんのあの顔の理由はわからなかった｡<br><br><br>今このときは………<br><br><br><br>to be continued
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<pubDate>Tue, 13 May 2014 08:51:00 +0900</pubDate>
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<title>Ghost～僕と君との365日～</title>
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<![CDATA[ chapter5  初日にして<br><br><br><br><br>5月3日  正午<br><br><br><br>キャンプと言えばカレー<br><br><br>王道にして不変と言っても過言ではないカレー作り｡<br><br>俺たちも川岸でカレー作りの準備をしていた｡<br><br><br>俺たちは今､B県の霧ノ町へとやって来ていた｡ここは俺のお祖母ちゃんが暮らす町｡俺たち6人が旅行によく行く場所だ｡今もお祖母ちゃんの家のそばを流れる霧の川の川岸で6人が昼食の準備をしている｡<br><br><br>今日の昼食の当番は男子が米を炊き｡女子がルーを作る｡<br><br>キャンプと言えばカレーだが､あいにく今回はキャンプではなかった｡俺のお祖母ちゃんの家で寝泊まりするからだ｡<br><br><br>「はぁ……女子の手料理とか萌えますなぁ」<br><br><br>いつもとは違う口調の奏太｡俺たちは火をおこすための枝木を集めていた｡自炊をするのだからここまでやって､はじめて実感がわくものだ｡<br><br><br>「その発言変態に聞こえるぞ」<br><br>「奏太は元々変態だったじゃないか」<br><br><br>俺と冬馬は枝を拾う作業のまま奏太にツッコミを入れた｡<br><br><br>「いつも幼なじみに飯作ってもらってる勝ち組は黙っとけ」<br><br>「いつもじゃねぇよ」<br><br>「僕には幼なじみはいないぞ」<br><br>「冬馬はあの美人な姉貴に作ってもらってるからいいじゃねぇかよ!!俺なんか母親だぜ」<br><br>「母親も立派な女だぞ」<br><br>「女性でなければ奏太はいったいなにから生まれてきたんだ?」<br><br>「うるさい勝ち組!!!」<br><br><br>涙目になりながら拾った木の枝を投げてくる奏太｡これで罰ゲームは奏太に決まりだ｡<br>罰ゲームとは『誰が一番多く拾ってくるか』という女子たちが勝手に始めたゲームだ(参加は男子のみ)｡<br><br>負ければ罰ゲーム｡勝てばご褒美｡<br><br>聞いてるだけでは楽しそうだが､ご褒美はあまり期待できないのにたいして､罰ゲームは本当に洒落にならない｡それは過去の記憶が証明している｡<br><br><br>「そろそろ戻らないと､あいつらになんか言われそうだな」<br><br>「そうだね｡奏太戻りますよ」<br><br>「あぁ……って!?やべー罰ゲーム忘れてた」<br><br><br>遅くなれば女子の機嫌が悪くなり､比例して罰ゲームの難易度も高くなる｡適度に集めて､早く戻ってくるのが定石だ｡<br><br>俺と冬馬は奏太をおいてはや歩きで戻った｡うしろで奏太が慌ててるが巻き込まれれば罰ゲームの可能性が出てくるので完璧に無視した｡<br><br><br>戻ってくると､女子たちの機嫌はよかったらしく､そこまでひどい罰ゲームではなかった｡<br><br><br>そしてそれぞれが準備にかかる｡<br><br><br>「ねぇ幽くんは料理できないんですよね?」<br><br><br>うしろにいる叶が話しかけてくる｡まわりには奏太も冬馬もいる｡だから小さくうなずいた｡<br><br><br>「この中で料理ができる人は?」<br><br><br>俺は目だけで冬馬を見た｡冬馬は文武両道の優等生｡家庭科の授業でも上手だったのを覚えている｡<br><br><br>「ごはんを炊く作業が料理かは疑問が残りますが､料理できる人がいれば安心です」<br><br><br>お前は食べないだろ<br><br><br>と心のなかだけでツッコミを入れた｡<br><br><br>着々と作業を終え料理が完成する｡我ながら上手にできたと思う｡しかし女子三人と冬馬だけが不安を残しているようだった｡<br><br><br>「どうしたんだ四人とも」<br><br>「幽ちゃん｡ちょっと失敗しちゃったみたい｡思った通りの味が出なかったの」<br><br>「そうか?十分美味しいぜ｡四人ともありがとうな」<br><br><br>思ったことをそのまま伝えた｡するとみんなの顔に少し笑顔がもどった｡<br><br><br>「べつに慰めてほしかったわけじゃないんだから､勘違いしないでね」<br><br><br>ツンデレの異名を持つ茅野さん｡<br><br>美味しいと言った奏太は簡単にスルーされた｡<br><br>奏太が茅野さんに気があるのは知っている｡しかしこれは誰がどうみても､脈がないのはまるわかりだ｡<br><br>もちろん本人も気がついているだろう｡しかし彼は挫けずにアプローチを続ける｡その姿はなぜだかとてもカッコいいものだった｡<br><br><br>そのあとは片付けをして､みんなで川で遊んだ｡<br><br>奏太と水切りで勝負をしたりして､久しぶりに童心に帰った気がした｡<br><br><br>「ふう……」<br><br>「おつかれ」<br><br><br>川から出ると石の上に座ってみんなをみている丹沢さんを見つけた｡<br><br><br>「遊ばないのか?」<br><br><br>丹沢のみている先にはお互いに水を掛け合ってはしゃぐ四人の姿があった｡<br><br><br>「疲れたから休憩」<br><br>「そっか」<br><br><br>俺は丹沢さんのとなりに腰を下ろし､川ではしゃぐ四人を丹沢さん同様に眺める｡<br><br><br>「その幽霊､名前はなんていうの?」<br><br><br>丹沢さんは四人を眺めながら質問してきた｡<br><br>突然のことに驚いた｡心の準備はまだできていなかったが､丹沢さんのほうから聞いてきてくれて助かった｡自分からではどう切り出していいものか悩んでしまうから｡<br><br><br>「幽くん､幽くん｡あの人私が見えてるみたいですね｡わかりましたか､これで私が本当の幽霊だって」<br><br><br>得意気に胸をそる叶｡小さくない胸が強調され､男の本能が少しうずいた｡すぐに四人に視線を移す｡<br><br><br>「叶っていうんだ」<br><br>「よろしくね､叶さん」<br><br>「叶でいいわよ､芙美ちゃん」<br><br><br>女の子同士の会話｡しかしそれは成り立たないことをすぐ知った｡<br><br><br>「ごめんなさい｡姿は見えても､声は聞こえないの」<br><br>「そうなのか?」<br><br><br>意外と思った｡丹沢さんでも叶の声は聞こえないのに､自分には当たり前のように聞こえる｡そのことが不思議だった｡<br><br><br>「それよりも丹沢さん｡俺はこれからどうしたらいいんだ?」<br><br><br>俺の抱えていた大きな問題｡このまま叶と一緒にいるのか?一緒にいるなら､どうやって生活していけばいいのか?<br><br>わからないことだらけの俺にはこんな曖昧な疑問しか丹沢さんにぶつけることしか出来なかった｡<br><br><br>「叶さんと一緒にいたくない?」<br><br>「そういうわけじゃないんだけど……」<br><br>「叶さんを成仏させることはできる」<br><br>「え!?」<br><br>「でもわたしはやりたくない｡その顔を見てしまったから」<br><br><br>俺のうしろを指差す丹沢さん｡その指を追ってうしろを振り返ると､そこにいたのは幽霊の叶｡<br><br><br>「なんて顔してるんだよ」<br><br><br>叶の顔には笑顔があった｡しかしそれが表面だけの薄っぺらな笑顔だってことは誰が見てもわかることだった｡<br><br><br>「安心しろって､まだそんなつもりじゃねぇから」<br><br>「ほんと……ですか?」<br><br>「まぁ､今の生活に満足してるからな､少なくとも成仏するのは今じゃない」<br><br>「幽くん……」<br><br><br>飛びかかってくる叶｡しかし叶は俺をすり抜けて地面に転がった｡<br><br><br>「うう…忘れてました」<br><br>「情けない幽霊だな」<br><br><br>そう｡今の叶のいる生活に､俺は満足している｡手放したいとは思わない｡壊したいとも､もちろん思わない｡叶がいるおかげで､楽しい時間がある｡それだけはけして忘れない｡<br><br><br>「というわけだから､仕事はまた今度な」<br><br><br>丹沢さんは首を縦にふる｡<br><br>その間も､叶は必死になって俺に抱きつこうと､前から飛びついては後ろに通り抜け､後ろから飛びついては前へと通り抜けることが続く｡<br><br>しかし彼女の思いは届いたのか､何百回めかの前からの飛びつきは俺を通り抜けることはなく､俺の体は叶を受け止めていた｡<br><br><br>「ようやくわたしの愛が届いた」<br><br><br>胸に顔を埋めなが呟く叶｡もう彼女は幽霊のはずなのに､そこには不思議と温かさがあった。<br><br><br><br><br>to be continued
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<link>https://ameblo.jp/uroborostats/entry-11844082480.html</link>
<pubDate>Wed, 07 May 2014 18:31:00 +0900</pubDate>
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<title>Ghost～僕と君との365日～</title>
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<![CDATA[ chapter4-旅の始まり-<br><br><br><br><br><br><br>「……羽川くん……その子……幽霊?」<br><br><br>今なんと言った!?丹沢さんは俺の隣を見てなんて言った!?<br><br><br>「丹沢……お前…見えるのか?」<br><br><br>丹沢さんにしか聞こえない声で俺は問いかける｡周りに聞かれて混乱をもたらしてもいいことはないと判断したんだろう｡<br><br><br>冷静に物事をみてられる｡<br><br><br>しかし俺の言葉はどこからでも動揺を感じ取れてしまう｡<br><br><br>目の前の丹沢さんは察してくれたのか､小さくうなずき俺にだけ聞こえるように耳元でささやく｡<br><br><br>「……いったいどうしたの?」<br><br><br>耳元から丹沢さんの顔が離れる｡俺は丹沢さんの耳に､ないしょ話をするようにささやき返した｡<br><br><br>「気がついたら見えるようになっていたんだ」<br><br><br>「あぁぁぁ､幽ちゃんがフミっちとイチャついてる」<br><br><br>大きな声で俺を指差す志乃｡<br><br><br>「ち､ちがうぞ｡最近なにかの視線を感じるから丹沢さんに相談してただけだよ｡なぁ丹沢さん」<br><br><br>理由は述べた｡あとは丹沢さんがこの嘘に乗っかればどうにかなる｡<br><br>となりにいる丹沢さんに同意を求める｡相変わらずポーカーフェイスだったが､ほんの少しだけ頬が赤くなっていた｡これは一年共に旅行に行ったりした成果だろう｡それは一年以上学校生活を共にした志乃や茅野さんだって､その小さな変化に気づかないわけがない｡<br><br><br>「フミっち照れてる､かわい」<br><br><br>茶化す志乃｡その横で茅野さんの顔に怒りのマークがみえた｡彼女はあまり不純異性交友に対してよろしく思ってないらしい(本人説)｡だから､耳元でささやく行為は彼女にとって不快な気持ちをあたえてしまったに違いない｡<br><br><br>「悪かったよ茅野さん｡だからそんなに怒らないでくれよ」<br><br>「べつに怒ってないし…」<br><br><br>トゲトゲとした言い方が俺の心に突き刺さる｡男子の中では茅野さんとは仲のいい方なのに､どうしても距離を感じてしまう｡<br><br><br>「怒ってるとしたら…………してくれないこと」<br><br>「なんだって?」<br><br>「だから､さん付けで呼ぶのやめて!!」<br><br>「なら俺も呼んでいいよね柚葉っち」<br><br>「あんたは馴れ馴れしく呼ばないで!!」<br><br><br>茅野さんが放ったローキックが奏太の向こう脛へと吸い込まれていき､奏太を刈り取った｡<br><br>奏太の声にならない悲鳴｡彼女はまた怒っている｡となりにいる志乃はというと､「柚葉っちデレてる」とか言って茅野さんをおちょくっている｡そのたびに茅野さんは「デレてない!!」と叫びながら志乃を追い回す｡<br><br><br>「ほらほら､予定が狂っちゃうから早く電車に乗るよ」<br><br><br>手を叩いて好き勝手やっている志乃たちを大人しくさせた冬馬｡<br><br>こういう時､冬馬はすごいと思う｡人をまとめられる力を持った人間はそんなにいない｡その人をまとめる力を持ったのが冬馬だった｡<br><br>事前に今回の旅先を教えておくと､旅のしおりのような予定表を当日に配ってくれる｡もちろん俺も行き方を調べたりしている｡しかし冬馬のほうがどうしても丁寧にまとめられ､誰もが見易い予定表を作ってくれる｡<br><br><br>「あと､10分もしないうちに電車が来るから､乗り過ごしたら遊ぶ時間が二時間もカットされちゃうよ」<br><br><br>俺たちは慌てて券売機へ向かう｡しかし冬馬はそれを手で制止する｡<br><br><br>「時間がないんじゃないのかよ?」<br><br>「切符はここにあるから持っていって」<br><br><br>冬馬の手には4枚の切符､すでに丹沢さんは改札の中にいた｡いつのまに切符を受け取り改札をくぐったのだろうか?<br><br><br>「悪い冬馬｡あとでちゃんと返すわぁ」<br><br>「当たり前だろ」<br><br><br>俺たちは切符を受け取り改札をくぐる｡そして､冬馬を先頭にホームへとむかった｡<br><br><br>こらから始まる春の旅行｡その先にどんな答えが待っているのかは誰もわからない｡しかし手がかりは手に入れた｡<br><br>それに､この仲間なら問題ない｡絶対に楽しい旅行になる｡俺は祈るんじゃない｡その答えを知っている｡だから不安が全くない｡<br><br><br><br>すべての物語は春から始まっていく<br><br><br><br><br>to be continued
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<pubDate>Mon, 28 Apr 2014 18:51:00 +0900</pubDate>
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<title>Ghost～僕と君との365日～</title>
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<![CDATA[ chapter3-ゴールデンウィーク-<br><br><br><br>5月3日  朝<br><br><br>「ついに俺にも春がーーープチ……」<br><br><br>目覚ましがわりの奏太のキモい声で目が覚めた｡<br><br>朝から奏太が電話してきたのは珍しくもないのだが､通話を始めたとたん大きな声で「春が来た」と叫ぶため､問答無用に通話を切った｡<br><br>朝そのものが苦手な俺からしてみれば､早朝のあのテンションだけはなくなってほしいと心の底から思う｡マジで<br><br><br>「朝から元気な人ですね」<br><br><br>俺の顔を覗き込むようにして(自称)幽霊の叶が間近に迫っていた｡<br><br><br>「……近い」<br><br>「いいじゃないですか､同棲してるわけなんですから」<br><br><br>同棲じゃない<br><br><br>即座に否定してやりたかったが､キモい声のモーニングコールが俺の貴重な睡眠時間を奪っていったため､頭があまり動いていない｡<br><br><br>「無反応ってことは…肯定?」<br><br>「……どこのマンガだよ」<br><br><br>寝ぼけた頭でツッコミを入れる｡<br><br><br>「テンション低くないですか!?」<br><br>「……時間になったら起こして」<br><br><br>俺は布団にくるまり､再度寝ることを試みる｡<br><br><br>ドタドタドタ<br><br><br>どうやったらあの狭い階段をそんな速さで上ってこれるんだ…<br><br><br>「おっはよーーー幽ちゃん起きてる?」<br><br>「……起きてない」<br><br>「起きてるじゃん｡早くしないと遅刻するよ」<br><br><br>隣に住んでいる志乃は毎朝俺を起こしてくれる｡<br><br>こんな風に…<br><br><br>「お､き､ろー!!」<br><br><br>そう言って志乃は俺の布団を剥ぎ取る｡<br><br>まだ暖かい5月だからいいが､1月になると､布団を剥ぎ取られるだけでも地獄｡さらに窓を全開にし､部屋の扉を開けて通気をよくする｡窓から容赦なく冷気が入ってきて､毎朝凍えて目が覚める｡(時々､逆に眠くなることがあるが…)<br><br><br>「わかったから布団を返せ」<br><br>「返したら､また寝るでしょ」<br><br><br>ごもっともだ｡<br><br><br>「今日はみんなで旅行行くんでしょ｡早くしないと遅刻するよ」<br><br><br>枕元の時計を見る｡昨日の夜のうちに準備は終わっているため､こんなにも早く起きる必要もなかった｡<br><br>しかし……<br><br><br>「朝食出来てるよ｡早く起きて」<br><br><br>すでにできているなら起きるしかない<br>俺は布団の奪取を諦めて､眠い目を擦りながら洗面所へとむかった｡うしろで叶が何か言っているが､寝ぼけた頭にはまったく入ってこない｡<br><br>顔を洗い終えた俺は､次にリビングへとむかった｡そこには見慣れたエプロンをつけた志乃がテーブルに朝食を並べていた｡<br>どうやら今日の朝食はパンとハムエッグの簡単なもののようだ｡<br><br>俺はそれらを自分で入れたインスタントの珈琲で流し込む｡珈琲だけは自分で入れるようにしている｡自分好みのタイミングがあるからだ｡<br><br><br>「それにしても､お前早起きだな?」<br><br><br>テーブルの向かいに座る志乃にいつも通り話しかける｡朝食を二人で過ごさない日はほとんどない｡それだけ聞けば羨ましいと感じる人間(おもに奏太)もいるだろう｡その事に関してはいまいちわからない｡小さいときからこの生活が当たり前となっていた｡むしろ目の前に志乃がいないことを想像することができない｡<br><br><br>「久々だからテンションが上がっちゃって､寝れなかったんだよね」<br><br>「小学生かよ!!」<br><br><br>俺は志乃の頭にチョップを決める｡そこまで強くやってないのにも関わらず､頭を押さえて涙ぐむ志乃｡<br><br><br>「幽ちゃんがいじめる」<br><br>「いじめてねぇよ!!…ったく､ちゃんと睡眠とらないと体に悪いぞ」<br><br>「幽ちゃんやさしっ」<br><br>「うるせえ」<br><br><br>俺は志乃のおでこをグーでグリグリと押しつける｡<br><br><br>「仲いいんですね」<br><br><br>うしろから叶が話しかけてくるが無視する｡今反応するとあとで面倒になりそうだから｡<br><br><br>「そんなことしてて､時間は大丈夫なんですか?」<br><br><br>叶の言葉が気になり､時計を見た｡<br>彼女の指摘通り､集合時間の30分前｡ここから集合場所まで10分｡ということは､準備片付けに20分｡<br><br><br>「ほら､片付けして行くぞ」<br><br>「幽ちゃん片付けてよ」<br><br>「わかったから､戸締まりとか見といてくれよ」<br><br><br>「わかった」そう言って､食器を流しに置き､部屋を出ていっく志乃を目で追ったあと､俺も食器を持って流しで洗い物を始めた｡<br><br><br>「ありがとな」<br><br>「いきなりどうしたんです?」<br><br>「いや､お前が教えてくれなきゃ遅刻してたかもしれなかったから」<br><br>「ふふ､べつにいいですよ」<br><br><br>こいつのいる生活にも随分と慣れた｡結局､「叶が何者なのか?」ということはわからないままゴールデンウイークの旅行を迎えた｡今日出会う友人の中には､お寺の娘がいる｡そいつに見せる前に､正体がわかれば良かったのだが､人生そううまくいかないものだ｡<br><br><br>「叶､今日お前に会わせたい奴がいるんだけど､大人しくしてないと成仏させられるからな」<br><br>「幽くんの交友関係って!?」<br><br><br>飛び退きなにやら警戒している叶｡これだけ念を押しておけば､変なことはしないだろう｡<br><br>叶の抑制と安全の両面で保険をかける｡<br><br>あいつもいきなり会って「悪霊退散!!」とか言って､叶を襲ったりはしないだろう｡それに､もしも俺の妄想の産物だった場合､霊感のある彼女にも見えないはずだ｡<br>どちらにせよ叶の正体がわかることにかわりはなかった｡<br><br><br>洗い物を終え､戸締まりを確認し終えた志乃と家を出る｡<br><br>久々の旅行に目の前の志乃は見てわかるが､俺自身も内心では楽しみにしている｡<br><br><br>集合場所に着いたときには､すでにみんな集まっていた｡<br><br><br>「おせぇーぞ､幽」<br><br>「わるい待たせて」<br><br>「本当に悪いと思ってるの?羽川くん」<br><br><br>白いワンピースの上に水色の上着を羽織るツインテールの少女｡見た目だけならどこかのお嬢様と言われても不思議じゃない｡彼女の名前は茅野 柚葉(ｶﾔﾉ ﾕｽﾞﾊ)｡志乃の学校､清蘭女学院の同級生にして親友の少女だ｡前回見たときはもう少し幼く見えていたが､これでも彼女は同い年だった｡はじめ見たときは年下と思って頭を撫でたら､溝をグーで殴られた｡<br><br><br>「なにを見てるのよ…」<br><br><br>冷ややかな声で質問してくる茅野｡<br><br><br>「いや､久々に見たからか､茅野が可愛くみえただけだよ」<br><br>「なっ!!変なこと言わないでよ!!べつに嬉しかったりしないから」<br><br><br>顔を真っ赤にして切り返してくる茅野｡そう､彼女は俗に言う『ツンデレ』の分類に含まれるのだ｡<br><br><br>「茅野さんがかわいいのはもとからだろ」<br><br>「あっそ」<br><br><br>追い討ちをかけようとした奏太は簡単にいなされてしまった｡<br><br>志乃の言うには､どういうわけか茅野がツンデレになるのは俺にたいしてだけだそうだ(デレを見たことはないが…)｡そもそも冬馬はそんなことを言うようなやつじゃない｡奏太は茅野に気があるため､ちょくちょくそういうことを言う｡彼女自身も奏太の流し方を熟知しているようだ｡<br><br>まぁ､回数を重ねれば嫌でも身につきそうだが…<br><br><br>「…羽川くん」<br><br><br>突然うしろから声をかけられた｡振り返るとそこには肌色の七分丈のチノパンに白の半袖のパーカー､パーカーの袖口からは黒い七分のシャツが覗いていた｡<br><br>彼女は丹沢 芙美(ｱｶｻﾜ ﾌﾐ)｡彼女が目的の人物､叶の正体を掴むための鍵だ｡こいつも志乃と同じ清蘭女学院の同級生にして親友｡あまり話さない大人しい感じの少女だが､お寺の娘のためか霊感がある｡それ以外はどこにでもいそうな普通の女の子だった｡<br><br><br>これでいつもの6人が揃った｡<br><br><br>「どうしたんだよ､丹沢」<br><br><br>ようやく今回の旅が始まる｡楽しみにしていたみんなでの旅行だ｡俺たちは高校生なんだから青春してもいいはずた｡<br><br>だから青春する｡<br><br>だけど､丹沢のその一言で俺の気持ちは変わってしまった｡<br><br><br>「その子…幽霊?」<br><br><br><br><br>to be continued
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<link>https://ameblo.jp/uroborostats/entry-11829727619.html</link>
<pubDate>Tue, 22 Apr 2014 08:53:00 +0900</pubDate>
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