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<title>おしっこギャング</title>
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<description>これは、マーキングで世界征服を目論む２匹のチワワの物語です。</description>
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<title>第２章　＜第10話＞　ハロルドとワッチミー</title>
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<![CDATA[ <a href="http://stat.ameba.jp/user_images/9e/e1/10088236485.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/9e/e1/10088236485_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>猛烈な腹痛がおさまり、ワッチが目を開けると、そこはちほちゃんの部屋ではなく、天も地もない、まっくらやみでした。ワッチの体中には、赤くてなまあたたかくて細いひもがぐるぐる巻きついていて、あばれてちぎってほどこうとしましたが、宙吊りになっているので、思うように体が動かせません。<br><br><br><br><font size="6"><font color="#FF0000">『きさま、またおれにさからったな！』</font></font><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/a7/72/10088236000.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/a7/72/10088236000_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><br>どこからともなく突然に、ハロルドの怒鳴り声がして、その音がやみの空間に響き渡り、ワッチの小さな体を震わせました。<br><br><br><font size="6"><font color="#FF0000">『なぜおれのいうことをきかない！』</font></font><br><br><br>ハロルドの語気が強くなるにつれて、なぞの赤いひもがワッチの体をぎゅうっと締めつけます。<br><br><br>「うぅっ…！　ど、どうして、そんなに、ハロルドさんはにんげんがきらいなの…？」<br><br><font color="#FA8072">『なぜだと!?　おまえはあんなひどいめにあっていながら、おまえはにんげんがにくくないのかっ!?』</font><br><br>「だ、だって…、あれはもう…」<br><br><font color="#FA8072">『うまれたばかりのおまえを、おやきょうだいからひきはなして、かってにうりとばし、ふあんになきさけぶおまえを、やかましくてうれやしないだろうといって、うみになげすてたのはにんげんだぞ！』</font><br><br>「そうだけど…、そのあと、しんせつなイワシさんたちにたすけてもらったし、イシザキやちほちゃんだって、やさしくしてくれたよ…。ひどいにんげんもいるけれど、ひどいにんげんばかりじゃないよ…」<br><br><font color="#FA8072">『そんなことはない！　にんげんはこのよでいちばんみにくいいきものだ！　じぶんにじゅうじゅんなものはかわいがり、さからうとつきはなす！　おまえがしんせつなにんげんにであえたのは、おまえがチワワだからだ！　ちいさくてあいらしい、おもちゃのようなそんざいだからだ！　にんげんなんてしょせんそんなものだ！　おまえはにんげんのうわべのかおにだまされているだけだ！』</font><br><br>「うぅ…。そ、そんなことはないよ…」<br><br><font color="#FA8072">『まだわからんようだな。ようし、にんげんというものが、どれだけざんこくないきものかわからせてやる！』</font><br><br><br>ハロルドが言葉を吐き捨てるように言い放った次の瞬間のことでした。<br>どこからか地鳴りのようなゴゴゴゴという、低くて重たい音がして、やみ全体がまるで地震のようにぐらぐらと大きく揺れ始めました。空間がたてに、よこに、ななめに、非常に激しく震えています。その強烈な音や震動は赤いひもを揺らし、そのたゆみでワッチの小さな体はあっちこっちへ振り回されてしまいます。<br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/aa/46/10088238582.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/aa/46/10088238582_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><font size="6">「うわあああああああ！」</font><br><br><br>ワッチはおそろしくなって、思わず目をぎゅっとつむりました。<br><br><br><font size="4"><font color="#FF0000">『みろ！　にんげんによってみにくくくずされた、おれのかおをみろ、<font size="6">ワッチミー!!</font>』</font></font><br><br><br>ハロルドがワッチのソールコードを叫ぶと、ワッチミーの瞳がぱちっと開きました。<br>ワッチミーの眼前には、いつの間にかハロルドの顔が大きく浮かび上がっていました。<br>その、あまりのみにくさに、ワッチミーははっと息をのみました。<br><br>ハロルドの左耳は、人間の暴力によってひきちぎられてしまい、半分くらいなくなっています。<br>右目は、人間が振り回した刃物によって切られたもので、傷あとが真横に走っています。<br>左目は、人間の子供の悪質ないたずらによってくりぬかれてしまい、目玉が飛び出したままです。<br>口も同じく、人間の子供の悪質ないたずらによって大きく引き裂かれてしまい、長い舌がだらしなくたれています。<br><br><br><font size="4"><font color="#FF0000">『まいにちなぐられたり、けられたりして、ときにはかわやふろばでおぼれさせられたりもした！　じめんにたたきつけられたり、けをむしられたり、つめをはがされたり、いいだしたらきりがないほどのごうもんをうけた！　そしてさいごはぜんしんをひでやかれたんだ！』</font></font><br><br><br>ハロルドがしゃべるたび、やみの空間が強く震えます。<br><br><br><font color="#FF0000">『もやされて、もがき、のたうちまわるおれをみてあいつらは、ゆびさしてげらげらわらっていた。おれがいったいなにをしたんだ！　かみついたことだっていちどもない！　なのにあいつらはわけもなくおれをせめたてる！　たすかったところで、またあのまいにちがくりかえされるぐらいなら、おれはこのまましんでしまいたいとほんきでおもった！　だがおれはしねなかった！　…おまえのことばをかりていうなら、しんせつなにんげんがひをけしてくれたんだ。<br><br><font size="4">だがおれはそのしゅんかん、もうれつないかりをおぼえた!!<br>どうしてしなせてくれなかったんだと!!<br>おれにふたたび、あのあくむのようなひびをおくれというのかと!!<br>だからおれはそいつをかみころしてやった!!<br>ついでに、くるしむおれをみてわらっていた、いままでおれをいたぶってきたやつらもかみころしてやったんだ!!</font>』<br></font><br><br>ハロルドの壮絶な過去を聞いたワッチミーは、体をわなわなと震わせていました。<br><br><br><font color="#FF0000">『おれが、あいつらのからだにかみついたしゅんかんから、くいちぎるまで、あいつらはなきわめくだけでなにもできなかった！　<font size="4">わかるかワッチミー！　にんげんとは、おろかでむりょくないきものだということが！</font>』</font><br><br><br>ワッチミーは、ぎりぎりと歯をくいしばっていました。<br>ハロルドの怒れる心に反応するように、ワッチミーの犬歯はぐんぐん伸びて、鋭い剣のようになりました。<br><br><br><font size="4"><font color="#FF0000">『いいかワッチミー！　おれのいかりをわすれるな！　にんげんにひどいめにあわされたのはおれだけじゃない！　こうしているいまも、おれとおなじ、いや、おれよりひどいめにあっているいぬがごまんといるのだ！』</font></font><br><br><br>ワッチミーの肩とももの筋肉が、もりもりと盛り上がってきました。<br><br><br><font size="6"><font color="#FF0000">『もどれワッチミー！　そしてデッチランドとともにたたかうのだ!!』</font></font><br><br><br>ハロルドがひときわ大きな声で叫ぶと、ワッチミーの体にからみついていた赤いひもがするりととけて、ワッチミーの体は、ハロルドの声に押されるように、おそろしいスピードで天高く舞い上がりました。<br><br><br><font size="7"><font color="#FF0000">『おれのうらみをわかつものよ！　ゆけーっ!!』</font><br></font><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/af/9e/10086677811.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/af/9e/10086677811_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><font color="#CC6600"><font size="6">「きゃああああああっ!!」</font></font><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/bf/8f/10088239759.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/bf/8f/10088239759_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><font size="4"><font color="#CC6600">「いきなり何すんだワッチ!!」</font><br><br><font color="#FFD700">「ハロルドの恨み！」</font></font><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/e3/29/10088239761.jpg"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/e3/29/10088239761_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><font size="4"><font color="#CC6600">「ばかっ！　俺は人間じゃないっ！　痛いっ！」</font></font><br><br><br>ワッチミーとして現実の世界に戻ったワッチは、勢い余ってデッチにかみついてしまいました。<br>人間の味方であったワッチは、本当にハロルドの呪いに洗脳されてしまったのでしょうか。<br>いずれにせよ、これからワッチミーとデッチランドの戦いがいよいよ始まります。<br>しかし、ワッチがワッチミーとして、デッチがデッチランドとして戦うことができる時間が非常に限られたものだということを、ふたりはまだ知りませんでした。
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<link>https://ameblo.jp/wachidechi/entry-10131663797.html</link>
<pubDate>Tue, 26 Aug 2008 01:46:28 +0900</pubDate>
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<title>第２章　＜第９話＞　デッチランドとワッチ</title>
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<![CDATA[ <a href="http://stat.ameba.jp/user_images/8d/2b/10087222224.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/8d/2b/10087222224_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>デッチがデッチランドとして現実世界で目を覚ましたのは、午前１時ちょうどでした。<br>あたりは暗くて、ちほちゃんもワッチも眠っています。<br>デッチランドは、しんと静まり返った部屋の片隅で、黒い瞳をギラギラと輝かせています。<br>股間の底から、ハロルドの呪いによる悪魔の力がどくどくとみなぎってくるのを感じました。<br><br><br><font color="#CC6600">「ワッチ。…ワッチ！　起きろ！」</font><br><br><br>デッチランドは、ワフワフと低くうなって、ワッチを目覚めさせました。<br><br><br>「…うーん。あれ、デッちゃん！　気がついたんだね！」<br><br><font color="#CC6600">「今の俺はデッチでもデッちゃんでもない。デッチランドだ」</font><br><br>「……？」<br><br><font color="#CC6600">「お前より早く目覚めたんだよ。ハロルドの呪いの化身としてな」</font><br><br>「……！」<br><br><font color="#CC6600">「お前は俺たちの運命を、俺より先に知っていながら、どうして黙っていたんだ」</font><br><br>「ハロルドさんの言っていたことが、よくわからなかったんだよ。ぼくがハロルドさんと会ったときは、ぼくはイシザキをたすけることでせいいっぱいだったものだから、ハロルドさんがなにを言っていたのかよくきこえなかったし、あんまりおぼえていないんだ。デッちゃんはわかった？」<br><br><font color="#CC6600">「ああ。…しかし、ひとつだけわからない事がある」</font><br><br>「なに？」<br><br><font color="#CC6600">「………マーキングって何だ？」</font><br><br>「まーきんぐ？　…あ、おしっこのことかな。ぼく、よくするよ。それでよくちほちゃんにおこられちゃうんだけど、なぜだかどうしてもやめられないんだよ。かどっことか見ると、ついしたくなっちゃうんだもん。でもしかたがないらしいよ。おすのいぬはしちゃうもんなんだって。ちほちゃんのともだちが言ってた」<br><br><font color="#CC6600">「お前、人間の言葉がわかるのか？」</font><br><br>「だいたいね。ぼくははなせないけど」<br><br><font color="#CC6600">「それで、マーキングについて他に何か言ってなかったか？」</font><br><br>「なわばりのしるしらしいよ。おしっこかけたところはぼくのなわばりになるみたい」<br><br><font color="#CC6600">「じゃあ、この部屋はお前のなわばりになるのか。…ところで、なわばりって何だ」</font><br><br>「うーん。よくわからないんだけど、おしっこかけたところはぼくのものになるっていみかしら」<br><br><font color="#CC6600">「なるほど。なるほどな。そうやって世界を征服していくわけか」</font><br><br>「…デッちゃん、ずいぶんむずかしいことばをはなすようになったね。それに、こえがひくくなってるし、からだも大きくなってるね。デッちゃんは、ハロルドさんの言うことをきくの？」<br><br><font color="#CC6600">「それが俺の運命だ。それに俺だけじゃない。お前の運命でもある。この世から人間を消すために、俺たちは戦うんだ」</font><br><br>「…ぼくはそんなことしたくない」<br><br><font color="#CC6600">「運命には逆らえない。現にお前の股間には、ハロルドの呪いが埋め込まれているし、なぜだかわからないけどマーキングをしてしまうというのも、ハロルドに体を乗っ取られているからしてしまうんだろう」</font><br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/d6/5d/10087222273.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/d6/5d/10087222273_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「……うぅ…」<br><br><font color="#CC6600">「ワッチどうした。腹が痛いのか」</font><br><br>「うぅ…。ハ、ハロルドさんがよんでる…。うぅぅ…いやだ、いきたくない…っ！」<br><br><font color="#CC6600">「ワッチ！」</font><br><br>「うぐっ、ぐぐぐぐぐ…っ！」<br><br><font size="4"><font color="#CC6600">「ワッチ！　……うぅっ！　うお…！　は、はらが…っ！」</font></font><br><br><font size="4">「はっ！　デ…デッちゃん!?」</font><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/8e/5a/10087222368.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/8e/5a/10087222368_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><font size="5"><font color="#FF0000">『きさまがさからえば、デッチランドもおなじくるしみをあじわうことになる！　さぁ！　おれのうらみをわかつものよ！　おれとともにたたかうことを、いますぐちかうのだ!!』</font></font><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/a5/76/10087222519.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/a5/76/10087222519_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><font size="4">「うぐぐぐぐぐっ！　そ、そんな…っ！　そんなこと…っ!!」</font><br><br><br><br>はたしてワッチは、このままハロルドの呪いに屈してしまうのでしょうか。<br>人間を憎むハロルドと、人間を慕うワッチとの直接対決の行方は、次回に続きます。
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<link>https://ameblo.jp/wachidechi/entry-10131207818.html</link>
<pubDate>Sun, 24 Aug 2008 22:51:00 +0900</pubDate>
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<title>第２章　＜第８話＞　ハロルドとデッチランド</title>
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<![CDATA[ 原因不明の頭痛に襲われて、ワッチにとどめをさされて気絶していたデッチが意識を取り戻しました。<br>デッチはすっくと立ち上がりました。さきほどの頭痛はすっかりなおっていました。<br>デッチはまずゆっくりと背伸びをしてから、体をぶるぶるとふるわせました。<br>その時、床がふかふかとやわらかいうえに、あぶらっこくぬるぬるとすべったので、デッチはすてんと転んでしまいました。<br><br>デッチはさっきから、まるで耳元に心臓があるような、どくっどくっという音が気になっていましたが、その音は自分の心臓の音などではないことにきづきました。<br>どこからともなく聞こえるこのどくっどくっという音に合わせて、床だけでなく、この空間自体が、ぽこんぽこんと波打っています。<br><br>デッチは気味が悪くなって、ふたたびすくっと立ち上がりました。<br>そしてあたりを見回してみると、牛の肝臓のなまなましい血の色に似た、赤黒い光景が広がっていました。<br>この部屋は非常に狭くて、てらてらとあやしく光りながら波打つ赤黒い壁が、角を作らずなめらかに一面をおおっているようです。<br>さらにここはやたら蒸し暑くて、デッチは舌を出してはっはと息を切らせました。<br>いったいここはどこなのか、そして入り口も窓もないこの部屋にどうして入ることができたのか、デッチにはさっぱりわかりませんでした。<br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/7a/bb/10086785022.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/7a/bb/10086785022_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「…もしかしておれは死んでしまったのか…？　すると…ここは、じごくというところなのか…？」<br><br><br>はたしてここは、デッチの言うとおり、本当に地獄なのでしょうか。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><font color="#FF0000"><font size="5">『おれがよんだのだ。ここはおれのとりでだ』</font></font><br><br><br><br>デッチは、急に話しかけられたので驚きました。<br>どこから誰が話しかけているのか知りたくて、あたりをきょときょとせわしなく見回します。<br><br><br><font color="#FA8072">『おれのすがたはもうない。さがしてもむだだ』</font><br><br>「おまえはだれだ！」<br><br><font color="#FA8072">『おれはハロルドという。おまえは、おれにとって、とてもたいせつな、とうといこどもだ』</font><br><br>「おれはハロルドなんてしらない！　ここはどこだ！」<br><br><font color="#FA8072">『おまえは、にんげんにきずのてあてをしてもらったな。おまえは、あのにんげんとくらすつもりか？』</font><br><br>「あれはワッチがかってにしたことだ。おれはにんげんがだいきらいなんだ」<br><br><font color="#FA8072">『……そうだ。おれもにんげんがにくい。おれは、せかいじゅうのにんげんをころすためにいきてきた。しかしおれは、ふくしゅうのとちゅうで死んでしまった。だが、おれのうらみのねんはあまりにもつよすぎた。だからこうしてたましいだけいかされている』</font><br><br>「そんなことおれにはかんけいない。はやくここからだしてくれ！」<br><br><font color="#FA8072">『たましいだけいかされても、にくたいがないのでは、おれはなにもできない。そこで、おまえのからだをかりて、おれはふたたびにんげんにふくしゅうをしてやるときめた。おまえがおれのいうことをきくとおれにちかうなら、いますぐここからだしてやる』</font><br><br>「おれはじぶんのちからでやってやる。おまえとはかんけいない」<br><br><font color="#FA8072">『じゃあ、おまえはどうやってにんげんにふくしゅうするつもりだ？』</font><br><br>「……それは、まだわからない」<br><br><font color="#FA8072">『おれは、にんげんにふくしゅうするほうほうをしっている。それはマーキングというやりかただ。マーキングでなわばりをひろげ、なかまをふやし、さいしゅうてきにはせかいじゅうのいぬとともに、せかいじゅうのにんげんをこのよからまっさつする』</font><br><br>「…そんなことができるのか？」<br><br><font color="#FA8072">『できる。おれとおまえならできる。おまえのからだはすでにおれのもの。おれのいうことにはおまえはさからえない。そのしょうこをいまからみせてやる、デッチランドよ』</font><br><br><font size="7">「……！」</font><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/bf/4b/10086785024.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/bf/4b/10086785024_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>ハロルドは、初めてソールコードを使いました。<br>その瞬間デッチは、強烈な耳鳴りに襲われて、首の筋肉がむくむくとふくれるのを感じました。<br>しっぽが鋼のようにするどくぴんとのびて、肉球は岩のようにかたくなりました。<br><br>しだいにハロルドのたましいが埋め込まれたデッチの股間に、黒いハートのマークがくっきりと浮き出ました。これはデッチが、デッチランドとして完全に変体をとげたあかしです。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/a5/1c/10086785025.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/a5/1c/10086785025_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><br><font color="#FF0000"><font size="5">『おれのうらみをわかつもの、デッチランドよ！　まずは、おまえのあいぼうのたいないにねむる、おれのもうひとつのたましいをめざめさせるのだ！』</font></font><br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/b3/86/10086785023.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/b3/86/10086785023_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>ハロルドの命令を受けたデッチは、デッチランドとして下界に戻っていきました。<br><br>運命に目覚めたデッチは、ワッチの股間に眠るハロルドのもうひとつのたましいを蘇らせることができるでしょうか。それは、まもなくわかることです。
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<link>https://ameblo.jp/wachidechi/entry-10130629873.html</link>
<pubDate>Sat, 23 Aug 2008 13:05:40 +0900</pubDate>
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<title>第２章　＜第７話＞　頭痛</title>
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<![CDATA[ ワッチは、傷だらけの子犬をほうっておけなくて、なんだかんだ言っていやがる子犬をちほちゃんの家へ連れて行きました。<br>ちほちゃんは、突然のことに驚きながらも、子犬を病院へ連れて行って、お医者さんに傷をみてもらいました。そして家に帰ってから、お医者さんにもらった薬をぬったり、飲ませてあげたりして、てあつく看病をしてあげました。<br>子犬はちほちゃんに、お医者さんに、看護師さんにと、たくさんの人間に体を触られたりしたせいか、今までの疲れがどっと出てしまって、いつの間にか深い眠りについていました。<br>ワッチは、ぐったり眠る子犬を心配して、子犬が起きるまでずっとそばについていました。<br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/0f/88/10086675763.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/0f/88/10086675763_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><br><br><br><br><br>子犬がやってきた翌日からちほちゃんは、仕事が終わると警察や保健所や市役所などを回りました。<br>しかし、子犬の飼い主は見つかるはずがありません。子犬は心ない人間に捨てられた犬なのです。<br><br>「…きみみたいな小さな子犬を捨てるようなひどい人がいるなんて考えたくないけど…。とにかく、今日から一緒に暮らそうね。待っていれば飼い主さんが来てくれるかもしれないしね」<br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/7a/94/10086676689.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/7a/94/10086676689_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br>子犬がちほちゃんの家に来てから、もう３日たっていました。<br>子犬はそうとう疲れてしまったのか、いまだに眠ったままです。<br><br>「かといって、このままきみのことをきみって呼び続けるのもへんだから、名前をつけようね」<br><br>ワッチは、どんな名前をつけてもらえるのか、自分のことのようにどきどきしていました。<br><br>「…そうだ！　デッチにしよう！」<br><br>ワッチは、どうしてデッチなのかわからず、首をかしげました。<br><br>「丁稚どんみたいだからデッチ！　はちまきとか竹ぼうきが似合いそうだし！」<br><br>ワッチにはさっぱりわかりませんでしたが、自分の名前と少し似ているのでちょっと嬉しくなりました。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/f3/c1/10086676848.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/f3/c1/10086676848_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br>「デッチだって。ぼくのなまえとにてるね。きょうだいみたいだね。よかったね」<br><br><br><br><br><br><br><br>「…デッチ？」<br><br><br>ワッチがささやいてからすぐに、デッチと名づけられた子犬がぱちっと目を覚ましました。<br><br><br>「デッチ！　おきたの？　からだはだいじょうぶ？」<br><br>「……!????」<br><br>「あっ！　デッチ！」<br><br><br>デッチは、おきぬけにいきなり部屋中を全力で駆けだしました。<br>まるで何かにとりつかれたように、ばたばたと、そこらに置いてある物を蹴散らしながら走ります。<br>ワッチは、突然のことにあっけにとられてしまい、走り回るデッチをぼーっと見ていましたが、しばらくするとデッチは急に走るのをやめて、くりっとワッチをにらみました。<br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/a4/06/10086677701.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/a4/06/10086677701_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br>「ワッチ!!　デッチってなんだっ!!??」<br><br>「…えっ？　なんだって…きみのなまえだよ？」<br><br>「なまえ!?　なまえ…、なまえ…」<br><br>「デッチ？」<br><br>「やっ！　やめろ！　それをいわれると、あたまがいたいっ!!」<br><br>「あたまがいたい？　だいじょうぶ？　デッチ」<br><br>「うわー！　やめろってばー！」<br><br>「あ、ご、ごめん！　ちょっとちほちゃんよんでくる！<br>ちほちゃーん！　ちほちゃーん！　デッチがあたまいたいってー！」<br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/af/9e/10086677811.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/af/9e/10086677811_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br>「ぐわあああああああっ！」<br><br><br>デッチは苦悶のおたけびをあげると、そのまま気絶してしまいました。<br><br><br>ハロルドのお告げがないうちに、デッチの脳の中で何かが目覚めようとしています。<br>デッチが、この原因不明の苦しみから抜け出せるのは、もう少し先のお話になります。<br>そしてデッチが、この苦しみから抜け出すことができた時に、今度はワッチが苦しむことになるのです。
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<link>https://ameblo.jp/wachidechi/entry-10113633280.html</link>
<pubDate>Mon, 07 Jul 2008 00:24:19 +0900</pubDate>
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<title>第２章　＜第６話＞　合流</title>
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<![CDATA[ よく晴れた日の午後のことです。<br>あの嵐の事故から奇跡的な生還を果たしたワッチが、海岸をひとり散歩していました。<br>柔らかい砂が、歩くたびにふかふかと肉球にやさしくて気持ちがいいです。<br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/1f/bc/10075155302.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/1f/bc/10075155302_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><br>ワッチは、ほどよい湿気をふくんだあたたかい風に吹かれながら、岩場の方へ歩いていきます。<br>岩場にあがると、岩と岩の間から小さなカニ出てきました。<br>ワッチが鼻を近づけると、カニはすっとハサミをふりあげます。<br><br><br>「これ。らんぼうはやめなさい」<br><br><br>どこからか、カニをさとす声が聞こえました。<br>ワッチはキョロキョロとあたりを見回しました。<br>ワッチは、岩場の先に、こちらに背を向けてチョコンと座っている１匹の犬を見つけました。<br>犬は、静かに釣りをしているところでした。<br><br><br>「ワッチ。ちょっと、こっちへいらっしゃい」<br><br>「…きみは、だれ？」<br><br><br>ワッチが犬にたずねると、犬はゆっくりとふりむきました。<br>犬はしばらくワッチをながめたあと、急にフハハと笑いだしました。<br><br><br>「アタシのことを知らぬ犬は、おまえさんくらいのものだよ。まぁ、いいから、こっちへいらっしゃい」<br><br><br>ワッチは首をかしげながら、謎の犬のもとへ歩みよりました。<br><br><br>「おまえさんの手柄は聞いた。アタシよりも小さいそのからだで、よくやった」<br><br>「てがら？」<br><br>「嵐の日に人間を助けたろう。ま、その人間は死んでしまったがな」<br><br>「………」<br><br>「そんなことより、おまえ、魚と話ができるそうじゃないか。ちょっと呼んできてくれないか。さっきからちっともひっかからない。アタシは今日なんにも食べていない。おなかがすいてたまらん」<br><br>「そんなことできないよ」<br><br>「ウフワハハハ！　命を２度も助けてくれた魚に恩がある。そんなことわかってる。アタシは何でもわかってる。おまえの新しいご主人となった人間が、もうすぐこの町を出て行こうとしていることも、まだおまえも知らない、おまえの未来もな」<br><br>「…ぼくのみらい？？」<br><br>「おまえのご主人はこの町を出て行かないこと。そしてじきにおまえの仲間があらわれること」<br><br>「？？？　…きみはなにもの？？」<br><br>「ウフフフ…。みんなアタシのことを“あめさま”と呼ぶ。しかし、おまえには“あめちゃん”と呼んでほしいなぁ」<br><br>「あめちゃん」<br><br>「ワッチ。アタシはそろそろここを立ち去らねばならぬ。アタシの姿が見えなくなったら、すぐ後ろを見ろ。あっ。あと、アタシはだいたいここにいる。アタシを見かけたら、あめちゃ～んとひとこえかけろ」<br><br><br>あめさまは早口でこう言うと、一目散にどこかへ走り去ってしまいました。<br>ワッチはわけがわからないまま、とにかく姿が見えなくなるまであめさまを見送って、見えなくなった瞬間に後ろをふりかえりました。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/6c/2e/10075155306.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/6c/2e/10075155306_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/cc/6d/10075155301.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/cc/6d/10075155301_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>ワッチがふりむいた先にある防波堤の上に、１匹の子犬があらわれました。<br>子犬はひどく息を荒げていて、うす汚れた体は傷だらけでした。<br>子犬はワッチの顔を見つめながら、ゆっくりと近づいてきました。<br>そしてワッチの目の前までやってきた子犬は、荒々しくこうたずねました。<br><br><br>「おまえはだれだ!?」<br><br>「ぼくはワッチ。きみは？」<br><br>「おれに名前はない。おまえが気になって来たんだ」<br><br>「あ。ぼくの仲間って、きみのことかしら」<br><br>「なかま？　なかまってなんだ!?」<br><br>「ともだちのことだよ」<br><br>「おれはおまえとともだちになったおぼえばない。おれのともだちはたすくだけだ」<br><br>「これからなるんじゃない？　よろしく」<br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/fb/1b/10075155299.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/fb/1b/10075155299_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「なんでおまえとともだちになるんだ」<br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/e9/fe/10075155300.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/e9/fe/10075155300_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「さぁ」<br><br><br><br><br><br>本当はここでハロルドがワッチと子犬にお互いの運命を教えるはずだったのですが、<br>ちょうどこの時に神様と話し合いをしていたので、ワッチと子犬はわけのわからない出会いを果たしてしまいました。<br><br>ということで、ワッチと子犬がお互いの呪われた運命を知ることになるのは、もう少し先のお話です。
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<link>https://ameblo.jp/wachidechi/entry-10111954077.html</link>
<pubDate>Wed, 02 Jul 2008 01:22:54 +0900</pubDate>
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<title>第１章　＜第５話＞　かみさまのわすれもの</title>
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<![CDATA[ 「ちきしょう！　おまえにまかせたらこのザマだっ！　どうしてくれるんだ！」<br><br>「ハロルドくん、きみだけだよ。この世でわたしをおまえなどと呼ぶのは。わたしは神様だぞ」<br><br><br>天国では、ハロルドと神様がもめていました。<br>先日ハロルドがワッチミーを殺そうとして呪いをかけたところ、なぜかデッチランドにもその呪いがかかってしまったことをハロルドは怒っています。<br><br><br>「しかたがなかろう。２匹とも同じ魂を埋めこんであるんだから」<br><br>「だからどうしてそんなことをしたんだ！　おれの魂がおさまるくらいでっかい犬ができるまで待っててくれたらよかったんだ！」<br><br>「それはできん。魂は鮮度が命じゃ。出したらすぐ別のものに埋めなければならない」<br><br>「なにが鮮度だ！　おれの魂はもともと腐ってんだから関係ないだろう！」<br><br>「あははは。うまいことを言うのう、ハロルドくん」<br><br>「わらうなくそじいい！」<br><br>「おっと。わたしは神様だよハロルドくん。神様は男でも女でもないのだ」<br><br><br>ハロルドは、マイペースな神様と話しているのがだんだんバカらしくなってきました。<br><br><br>「あ、そうだ、ハロルドくん。ひとつ言い忘れたことがあったのを思い出したよ。実は２匹にはソールコードというものを持たせてある。そのソールコードで名前を呼べば、ハロルドくんの思うままに２匹を動かせることができるのだ」<br><br>「…なんでそんな大事なことを忘れていたんだ！」<br><br>「思い出したんだからいいじゃないか。いいかねハロルドくん。わたしは一度しか言わないからね。よく覚えておくんだよ。まず、人間界で“ワッチ”と呼ばれているチワワが“ワッチミー”だ。そしてきみのお気に入りのチワワが“デッチランド”というんだ」<br><br>「そのソールコードをおれが呼ぶと、おれの言いなりになるんだな？」<br><br>「……んまぁ、ハロルドくん以外の者が呼んでも反応しちゃうんだけどね」<br><br>「おまえ！　ワッチミーなんて、人間がつけた名前にめちゃめちゃかすってるじゃないか！　うっかり人間がソールコード呼んだらどうするんだよ！」<br><br>「大丈夫じゃよ、ハロルドくん。少しはおちつきたまえ。ソールコードだけ呼んだってしかたないじゃないか。何をしてほしいのか命令をしなければ、肉体は機動しないのだよ」<br><br>「…ふん！　まぁいい。わかったよ」<br><br><br><br><br><br>ワッチミーとデッチランドの肉体に隠された秘密の仕組みを、２匹が知るのはまだまだ先のお話です。
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<link>https://ameblo.jp/wachidechi/entry-10111177591.html</link>
<pubDate>Sun, 29 Jun 2008 19:53:21 +0900</pubDate>
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<title>第１章　＜第４話＞　連体</title>
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<![CDATA[ 人間不信におちいった子犬は、町から町へとあてのない旅を続けていました。<br>子犬は朝起きてから夜眠るまで、ほとんど歩いて過ごしています。<br>よく歩くので、途中で何度もおなかがすいてしまいます。<br>子犬はおなかがすくと、ゴミ箱をあさることを覚えました。<br>敏感な鼻をきかせて、食べて良い物といけない物をちゃんとかぎわけているので、今のところおなかをこわしたことはありません。<br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/10/12/10073637098.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/10/12/10073637098_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>しかしある日の夜、子犬は突然猛烈な腹痛に襲われました。<br>何がいけなかったのか子犬にはまったくわかりません。<br>あまりの痛さに眠ることもできません。<br>子犬は暗い路地裏の片隅でうずくまっていました。<br><br><br>「おっ！　でっかいネズミが死んでいる！」<br><br><br>子犬がうずくまっていた場所は、ちょうどレストランの勝手口の前でした。<br>ゴミを捨てに来たコックさんが、子犬をネズミと見間違えて騒ぎはじめました。<br>こんなに大きなネズミは見たことがないと言って、わざわざ他のスタッフを呼び出しています。<br><br><br>「…うるさいなぁ…ちくしょう。あうぅ…おなかがいたいよ…」<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/b7/b9/10073637118.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/b7/b9/10073637118_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>しばらくすると、先ほどのコックさんが数人連れて勝手口から出てきました。<br><br><br>「…あれ？　いないや。おかしいな。ここにでっかいネズミが死んでたんだけどな…」<br>「何かと見間違えたんじゃないんですか？」<br>「そんなことはない！　…くそぅ、あいつ死んだふりして逃げやがったな。あんなでっかいネズミに厨房でも荒らされたらことだからな。おい、そのへん探してみろ！　やっつけとかないと！」<br>「絶対いないと思いますよ、そんなでっかいネズミ自体」<br><br><br>わずかの間に、子犬はどこへ行ってしまったのでしょうか。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/ca/5c/10074254609.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/ca/5c/10074254609_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「う。…うぅ…。く、くさい…」<br><br><br>子犬は、やたら鼻につく異常なにおいで目を覚ましました。<br>あれからいつの間にかすっかり眠ってしまったようです。<br>おなかの痛みはとうにひいていました。<br>子犬はすばやく立ち上がって、あたりを見回しました。<br>そこは昨日倒れこんだ路地裏ではありませんでした。<br>建物はおろか、なんにもない原っぱです。<br>少し遠くに大きな川が流れています。<br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/ae/f5/10073637182.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/ae/f5/10073637182_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「ここはどこなんだろう…。それにしても…このにおいはいったい…？」<br><br><br>子犬は鼻をきかせて、においのもとを探しはじめました。<br>するとどうやら、自分の首からにおいがただよってきているようです。<br><br><br>「…ごめんなさい。わたし、くちがくさいの」<br><br><br>子犬の後ろに、１匹の少し大きな犬が立っていました。<br>全身の毛が長く伸びていて、両耳は子犬と違って下にたれ下がっています。<br>両目はどんぐりのように大きいのですが、なんとなく子犬をにらんでいるようにも見えました。<br><br><br>「…おまえはだれだ」<br><br>「おなかいたいのはなおったの？」<br><br>「なおった」<br><br>「よかった。あなた、もうすこしで人間につかまるところだったのよ。しかもネズミとまちがわれてね」<br><br>「おれはネズミじゃない」<br><br>「でも、そういわれてみればにてるわよね」<br><br><br>犬はそう言ってクスリと笑いました。<br>その笑顔が、意外なほど穏やかな顔つきだったので、子犬はつい心を奪われました。<br><br><br>「…おまえがたすけてくれたのか？」<br><br>「運んできただけよ」<br><br>「おまえ、家はないのか？」<br><br>「あったけど、追い出されちゃったの。ほら、わたし、くさいでしょ？」<br><br>「くさいから、捨てられたのか？」<br><br>「…たぶんね。でも、わたし、頭も良くないし…。原因は他にもあるかもしれないけど…」<br><br><br>子犬は、この犬の話を聞いて、また人間が憎くなりました。<br>まるで自分のことのように腹が立ってきました。<br>くいしばった奥歯が、ぎりぎりと音を立てます。<br><br><br>「あなた、人間がきらいなの？」<br><br><br>犬が子犬の心を読んだようにたずねます。<br><br><br>「きらいだ。だいっきらいだ。おれも捨てられたんだ。おまえだってきらいになっただろう？」<br><br><br>「わたしは……。きゃっ！」<br><br><br>その時ちょうど強い風が吹いてきて、一緒に飛んできた新聞紙が犬の顔にバサリとぶつかりました。<br>犬は驚いてジタバタして、やっとのことで新聞紙を前足でおさえつけました。<br><br><br>「大丈夫か？」<br><br><br>子犬が犬のそばまでかけよりました。<br><br><br>「あーびっくりした！　大丈夫よ！」<br><br><br>犬はてれくさそうに笑ってごまかしました。<br><br><br>「あははは…。…なに？　どうしたの？」<br><br><br>子犬が、犬の足下の新聞紙を凝視したまま動かなくなりました。<br>犬が声をかけても、子犬は返事もしません。<br><br><br>犬の足下の新聞紙には、次のような記事が大きく載せられていたのでした。<br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/23/a7/10074254603.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/23/a7/10074254603_s.jpg" alt="" width="220" height="180" border="0"></a><br><br>“チワワが前代未聞の人命救助！”<br><br>“お手柄犬が救助したのは成人男性！”<br><br>“しかし、どちらも未だ意識不明の重体”<br><br><br><br>子犬は人間の文字が読めないので、何を書いているかはわかりませんでした。<br>子犬は、写真のワッチに目を奪われているのでした。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/78/2b/10073637184.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/78/2b/10073637184_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「こ…っ、こいつ…、こいつが気になるっ！」<br><br>「あら、おともだち？」<br><br>「ちがう！　こんなやつ知らない！　でも気になる！　こいつのところへ行かなきゃ！」<br><br><br>子犬はたまらず走り出しました。<br><br><br>「まって！　どこへ行くの!?」<br><br><br>もはや子犬の耳には誰の声も届きません。<br>生身の犬の声はおろか、ハロルドの声も届きませんでした。<br><br><br><font color="#FF0000"><font size="3">『おれのうらみをはらすゆいいつのしもべよ！　おれのうらみをわかつものをときふせろ！』</font></font><br><br>ハロルドの叫びは、いつもより迫力がなくて、どこか頼りない感じです。<br>子犬ことデッチランドや、ワッチことワッチミーが、複雑なハロルドの心境を知るのは、もう少し先のお話です。
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<link>https://ameblo.jp/wachidechi/entry-10110328937.html</link>
<pubDate>Fri, 27 Jun 2008 01:00:12 +0900</pubDate>
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<title>第１章　＜第３話＞　受難</title>
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<![CDATA[ <a href="http://stat.ameba.jp/user_images/8f/11/10073032133.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/8f/11/10073032133_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>漁師の若者・イシザキに拾われたワッチは、毎日イシザキと一緒に漁港へ出勤しています。<br>ワッチはイシザキが漁から帰ってくるまで、事務所で過ごしています。<br>ここにはいろんな人が出入りして、いろんな人がワッチに話しかけてきます。<br>最初は落ち着かなくて疲れましたが、今ではみんなに会えない休日の方が苦痛でなりません。<br>人間だらけの環境で過ごしているうちに、ワッチは人間の言葉がわかるようになりました。<br>もちろん人間の言葉が聞き取れるだけで、話すことはできません。<br><br><br>「ワッチは私たちが何を言っているのか絶対わかってるよね。かしこいね、ワッチ」<br><br><br>ワッチの耳が敏感に反応するのは、どちらかというと女性の方です。<br>その女性の中でも、ワッチにとってちほちゃんという女性の言葉は特別でした。<br>ちほちゃんは、この事務所の中でワッチの面倒を一番よくみてくれる、やさしい人です。<br>ワッチは、ちほちゃんが大好きです。<br>ワッチが最初に覚えた人間の言葉は“ちほちゃん”でした。<br><br><br>「ワッチ。そのぬいぐるみかしてごらん。毛がいっぱいついてるよ。取ってあげるね」<br><br>「ありがとう、ちほちゃん！」<br><br><br>ワッチのシッポは、相手がちほちゃんだと激しく反応します。<br>ワッチがちほちゃんと幸せのひとときを過ごしている時、ちょうどイシザキが戻ってきました。<br>ワッチは嬉しくなって、ますますシッポを振りました。<br><br><br>「あ、お帰りなさいイシザキさん」<br>「ただいまー！　…あれ!?　ちほちゃんひとり!?」<br>「みんなご飯に行ってるよ。私はワッチと留守番中」<br>「そうか！　ワッチ～！　おりこうにしてたか～!?」<br><br><br>イシザキがワッチを軽々と抱き上げました。<br>はしゃぐワッチを見て、ちほちゃんもほほえんでいます。<br>ワッチは、おしゃべりして笑い合っているイシザキとちほちゃんを見ていると、また嬉しくなりました。<br>ワッチは、実は２人が相思相愛なのを知っていました。<br>ワッチが人間の言葉を理解できないと思って、２人とも独り言のように本音をうちあけていくからです。<br><br><br>「ワッチよ。おれの代わりにおまえがちほちゃんに伝えてくれよ」<br><br><br>ちほちゃんがちょっと席を外したスキに、イシザキがワッチにぽつりとつぶやきました。<br>ワッチはこのお願いをほとんど毎日聞いているので、すいぶん前からワッチなりになんとかしてあげてるつもりなのですが、今のところ２人には何の進展もありません。<br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20/de/10073032192.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20/de/10073032192_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「イシザキもちほちゃんも、恥ずかしがり屋さんだからなぁ。むずかしいよこれは…」<br><br><br>ワッチがやきもきしている間にもさらに時は流れて、数週間たったある日のことでした。<br>その日は、朝から雨が激しく降っていて、風も強く吹いていました。<br>ワッチは、何となく落ち着かなくて、少しイライラしていました。<br>原因はよくわかりませんが、なんとなく悪い予感がするのです。<br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/ad/dc/10073032261.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/ad/dc/10073032261_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>「大変だ！　船が波にさらわれちまった！　連絡が取れない！」<br><br><br>船と連絡を取り合っていた係の人が、慌ただしく事務所に駆け込んできました。<br>事務所の中が一気に騒がしくなります。<br>ちほちゃんは驚きのあまり、呆然と立ちすくんでいます。<br><br><br>「イシザキがあぶない！　イシザキ！」<br><br><br>ワッチが突然ワンと吠えました。<br>その声にちほちゃんが振り向いた時には、ワッチの姿はもうありませんでした。<br>ワッチは、開けっ放しになったドアから事務所を出て、暴風雨の中に飛び出しました。<br>後ろの方からちほちゃんがワッチの名前を叫ぶ声が聞こえます。<br><br><br>「ちほちゃん！　待っててね！」<br><br><br>ワッチは心の中でそうつぶやくと、足に力を込めて、海に向かって思いっきりジャンプしました。<br>ワッチの小さな体は、一瞬にして荒波にかき消されました。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>「…うぅ…。おれは…もう…だめだ……。ワッチ……ちほちゃん……」<br><br><br>イシザキは、冷たくて暗い海中にひとり漂っていました。<br>全身の感覚がなくなってしまい、泳ぐこともできません。<br>どんどん意識が遠のいてゆきます。<br>イシザキは、いよいよ死んでしまうのかと覚悟を決めました。<br><br><br>「…イシ…ザ…キ…！　……イシザキ!!」<br><br><br>イシザキは、薄れゆく意識の中でワッチの声を聞いたような気がしました。<br>しかも、犬の吠える声ではなく、人の言葉で呼んでいるのがはっきり聞こえます。<br>これは死ぬ直前の幻聴なのだと、イシザキは思いました。<br>その直後に、何かが服のエリに引っかかったような衝撃を感じました。<br>そして次の瞬間、イシザキの体がものすごい勢いでぐいぐいと引っ張られていきます。<br>イシザキは不思議に思いながらも、気を失ってしまいました。<br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/36/96/10073032429.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/36/96/10073032429_s.jpg" alt="" width="220" height="165" border="0"></a><br><br>瀕死のイシザキを引っ張っているのは、なんとワッチでした。<br>イシザキの服のエリを口でくわえて、急いで海面に向かって上がっていきます。<br>ワッチは必死で足を動かします。<br>あともう少しのところでしたが、急に肺が苦しくなりました。<br><br><br><font color="#FF0000"><font size="4">『きさま！　なにをしている！　おれのうらみをわすれたかっ！』</font></font><br><br><br>突然、ものすごく低くて大きな誰かの声が、ワッチの脳に直接響いてきました。<br>それと同時にワッチのおなかにズキンと激痛がはしりました。<br>それはまるで刃物で何度も刺されているような痛みで、しだいに下半身がしびれてきました。<br>それでもワッチは、イシザキを放してなるものかと歯をくいしばり、痛みに耐えながら海面を目指します。<br><br><br><font color="#FF0000"><font size="4">『にんげんはてきだ！　うらぎりものはころしてやるっ！』</font></font><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br>そのころ漁港は、事件を知って駆けつけたマスコミたちと、奇跡的に生還した乗組員たちの家族や、彼らの救護にあたる救急隊員、行方不明になったイシザキを探すためにやってきたレスキュー隊や自衛隊などでごったがえしていました。<br>イシザキの家族やちほちゃんは、人ごみの中でイシザキとワッチが生きて帰って来るよう必死に願っていました。<br>でも、時間がたつにつれて絶望感が濃くなってゆきます。<br>イシザキのお母さんは、その緊張に耐えられなくなって、座り込んでしまいました。<br>ちほちゃんは、お母さんを励ましながら海をみつめていました。<br><br><br>「…あれ？　なにか浮かんでる…。あれ、こっちにきてる。お母さん、あれ、なんでしょう…？」<br><br><br>ちほちゃんが、海面に浮かぶ何かを発見しました。<br>小さなボールのようなものが、どんどんこちらに近づいてきます。<br><br><br>「お母さん！　ワッチ！　あれ、ワッチですよ！」<br><br><br>それはワッチの頭でした。<br>口に何かくわえて、波の動きに合わせて上下しながら、ワッチが泳いでこちらへ向かっています。<br>ちほちゃんたちの騒ぎを聞きつけて、状況を察したレスキュー隊員がただちにワッチの方へ向かいました。<br><br><br>現場にたどり着いた隊員は、急いでボートにワッチを引き上げました。<br>その時、ワッチが人間をくわえていることに気がついて、その人間も一緒に引き上げました。<br><br><br>「おい、これイシザキさんじゃないか!?　こんな小さな犬が人間をくわえてここまで…!?」<br>「えー、イシザキさんと思われる男性１名救助！　意識、呼吸ともになし！　あと犬が１匹！」<br><br><br>隊員が港の隊員に無線で状況をそくざに伝えました。<br>イシザキとワッチの体はすっかり冷たくなっていました。<br><br><br>はたしてふたりは助かるのかどうか、それはもうじきわかることです。
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<link>https://ameblo.jp/wachidechi/entry-10109698430.html</link>
<pubDate>Tue, 24 Jun 2008 22:33:26 +0900</pubDate>
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<title>第１章　＜第２話＞　怨恨</title>
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<![CDATA[ ここは、日本の都内のどこかのペットショップです。<br>今日は日曜日のお昼なので、お客さんがいっぱいです。<br>店員さんは大忙しです。<br><br>そこへ、宅配便が届きました。<br>たまたま入り口の近くにいた店員さんがそれを受け取りましたが、差出人に見覚えがないので、他の店員さんにたずねました。ところが、みんな知らないと言うのです。よく見ると、伝票の受取人の欄にはここのお店の名前が書かれてあるだけで、個人名はありませんでした。<br>厳重に梱包されたＡ４サイズのダンボールが、だんだん気味の悪い物に見えてきました。<br>しかしこうしてみんなで眺めていてもしかたがないので、店長さんが開けてみることにしました。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/85/58/10072295763.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/85/58/10072295763_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>すると…なんと、中には１匹の子犬が入っていました。<br>しかもこの子犬は、先月までこのお店にいた子犬です。<br>裕福な感じの女の人が、ひと目ぼれしたと言って買っていったのです。<br>なのにこうして送り返されたのは、きっと子犬に飽きてしまったのでしょう。<br>それにしても、トイレットペーパーだけを敷き詰めた中に子犬を入れて、宅配便で送るなんてとんでもないことです。<br>店長は憤慨して、送り主にさっそく電話をしました。<br>その間に他の店員さんたちは、子犬を箱から出して、汚れた体を洗ったり、ご飯を用意したりしました。<br><br><br>問題の女の人と電話をすませた店長が、プンプン怒りながら子犬のいるところに戻ってきました。<br><br><br>「子犬が２週間前に家を飛び出して行方不明になっていたから、見つけた人が勝手にお店に送ったんだろうと言うから、だったら迎えに来てくれと言っても来ないと言うんだ。しかも、言うことを聞かない犬なんていらないし、お宅の犬は二度と買わないとまで言ってきた。なんてひどい女なんだっ」<br><br><br>店長と店員さんがあーだこーだと女の人を批判しはじめました。<br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/27/af/10072296186.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/27/af/10072296186_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「…そうか。“たすく”がいなくなったわけが今わかった…」<br><br><br>子犬の言うたすくとは、子犬が住んでいた家の先住犬のことです。<br>たすくは、子犬と同じ黒毛で、パグという種類の犬でした。<br>たすくは、初めて会った時からとてもやさしくしてくれたので、すぐに仲良しになりました。<br>しかしある日突然、家の中からたすくの姿が消えました。<br>子犬がいくらどこを探しても、たすくは見つかりませんでした。<br><br><br>「おれがあの家に来たから、たすくは捨てられたんだ…。そして今度はおれが…」<br><br><br>子犬が、たすくがいなくなったわけも知らずにさびしがっているうちに、女の人はまた新しい犬を連れてきました。子犬はその犬の種類を知りませんでしたが、その犬はとても意地が悪くて、女の人が見ていないところでなにかにつけケンカをふっかけてくるのです。売られたケンカは買う主義の子犬は、毎日その犬とわけのわからないケンカをするはめになって、なぜか子犬だけが女の人に叱られていました。<br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/d8/7f/10072296548.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/d8/7f/10072296548_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「あいつはおれがケンカしなくても、いずれおれを追い出すつもりだったに違いない」<br><br><br>真実が見えた子犬の心に、怒りがこみあげてきました。<br>目の前では店員さんたちが、まだあーだこーだと言い合っています。<br>それが子犬の怒りを妙にあおります。<br><br><br>「…ちくしょう。人間なんて勝手だ。人間なんて大嫌いだ」<br><br><br>子犬は、ここから逃げ出す決意をしました。<br>そして、店員さんたちがいなくなったスキに、あてもなくお店を飛び出しました。<br><br><br><br>子犬はなるべく人に気づかれないように、人通りの多い都会の道のはじっこを走って、路地から路地へと入っていきます。<br>自分がどこへ向かっているかもわかりませんでしたが、とにかく人気のないところまで出ようと、ひたすら走り続けました。<br><br><br>子犬が無我夢中で走り続けているうちに、太陽は沈んで、辺りは暗くなり、まもなく夜がおとずれました。<br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/a8/77/10072296831.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/a8/77/10072296831_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「うう…。足が痛い…。ここは人間があまり通らないみたいだし…。ここでちょっと休もう…」<br><br><br>子犬は小さな体をキュッと丸めて、眠りにつきました。<br>体はくたくたに疲れていても、心はまだ怒りで燃えていました。<br>子犬は人間を恨みながら寝たせいか、変な夢を見ました。<br><br><br><font color="#FF0000"><font size="3">『おれのうらみをわかつものよ！　いまこそたちあがれ！　そしてたたかえ！』</font></font><br><br><br>子犬は夢の中で、これは自分の心の叫びだと思いこんでいました。<br>しかしこの子犬・デッチランドが、これはハロルドの呪いの言葉だと知るのは、まだ先のお話です。
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<link>https://ameblo.jp/wachidechi/entry-10108871382.html</link>
<pubDate>Sun, 22 Jun 2008 14:18:27 +0900</pubDate>
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<title>第１章　＜第１話＞　生還</title>
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<![CDATA[ ここは、日本のどこかの漁港です。<br>漁師さんたちが、今日の仕事を終えて事務所に戻ってきました。<br>みんなタバコを吸ったり、お茶を飲んだり、おしゃべりをしたりしてくつろいでいました。<br>そこへ、ひとりの若者が血相を変えて飛び込んできました。<br><br><br>「大変だ！　イワシと一緒に犬がひっかかってた！」<br><br><br>漁師さんたちは、この若者の言っていることがわかりませんでした。<br>イワシと一緒に犬があがるなんていうことは、どう考えてもありえないことだからです。<br><br><br>「何をボーッとしてるんだ！　早く！　タオルとお湯を！」<br><br><br>若者の腕の中で震える小さな子犬を見てハッとした漁師さんたちは、慌てて子犬を介抱し始めました。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/c0/23/10072113161.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/c0/23/10072113161_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>漁師さんたちの手厚い応急処置のおかげで、子犬はまもなく意識を取り戻しました。<br><br><br>「おい！　おまえ、どうして網にひっかかっちゃったんだ!?」<br>「誰かの落とし物だろうか!?」<br>「ばかやろう！　こんなかわいい子犬をうっかり海に落とすやつがあるか！」<br>「小さいからつい…ってこともありそうじゃねぇか!?　ぎゃははは！」<br>「しかしよく生きかえったなぁ！　こいつぁ大物だぁ！」<br><br><br>気性の荒いここの漁師さんたちは、何でもない会話でもつい怒鳴り口調になってしまいます。<br>子犬はそんな漁師さんたちの顔を、大きな瞳でみつめながらシッポをふっていました。<br>誰かが子犬の空腹に気づいて、大急ぎで魚を焼いてきました。<br>のどに骨が刺さっては大変だと言って、誰かが身を丁寧にむしってくれました。<br>子犬はお皿に盛られた魚の身を、あっという間にたいらげました。<br>子犬は小さな舌で、小さな口のまわりを舐めながら、また大きな瞳で漁師さんたちを見つめてシッポをふっています。<br><br><br>「さぁて、問題はこいつをどうするかだなぁ！」<br>「おうち…っつったってなぁ！　首輪もしてねぇところをみると、飼い主はいねぇのかなぁ!?」<br>「保健所に連れて行くか！」<br>「そんなことしたら殺されてしまいますよ！　あの、ぼくが引き取ります！　ぼくが見つけたんだし！」<br><br><br>子犬の第１発見者である若者が名乗りをあげました。<br>誰も若者に反対する者はいなかったので、そのまま若者が子犬の飼い主となりました。<br><br><br>「名前は何にするんだ!?」<br>「イワシと一緒にあがってきたから、イワシにします！」<br>「それじゃあそのまんまじゃねぇかよ！　もっと頭使えよ！　イワ太郎とか！　イッちゃんとかさぁ！」<br>「それだってそのまんまじゃないすか！　イワシってかわいいと思うんだけどなぁ！」<br>「おう。そいつぁ確かチワワって犬じゃねぇのか？　ひねるならそこひねったらどうだ？」<br>「チワワかぁ！　……チワ、ワワ、ワチ……。そうだ！　ワッチにしよう！」<br>「おお！　いいじゃねぇか！　ワッチ！　おいワッチ！」<br>「しーっ！　寝ちまったよ！」<br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/8f/bb/10072113546.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/8f/bb/10072113546_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>ワッチと名付けられた子犬は、毛布の敷き詰められたダンボールの中で、いつの間にか眠ってしまっていました。漁師さんの大きな手なら両手で包めるほど小さな体が、静かな呼吸のリズムに合わせて上下しています。冷たい海の中をさまよい、あげくイワシ漁船で引き上げられたという過酷な現実を、もうすっかり忘れてしまったかのような、穏やかな寝顔をしています。<br><br><br>「ワッチ！　今日からはぼくが父ちゃんだぞ！」<br><br><br>若者がそう言いながら、愛おしそうに子犬の小さな体を優しくなでてやりました。<br><br><br><br><br><br><br><br><br><br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/1d/c9/10072113796.jpg" target="_blank"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/1d/c9/10072113796_s.jpg" alt="" width="220" height="293" border="0"></a><br><br>「…ワッチ。ぼくのなまえはワッチ…」<br><br><br>若者の言葉は、子犬の夢の中まで届いていました。<br>しかし、子犬の本当の名前は“ワッチミー”なのだと子犬が気づくのは、まだ先のお話です。
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<link>https://ameblo.jp/wachidechi/entry-10108618401.html</link>
<pubDate>Sat, 21 Jun 2008 20:02:09 +0900</pubDate>
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