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<title>たまに適当創作</title>
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<description>たまに、趣味の創作作品をＵＰしています。普段は日記みたいな感じかもしれません。</description>
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<title>疾走する覆面女</title>
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<![CDATA[ <p target="_blank"><a href="http://archive.mag2.com/0000283989/index.html"><font size="3">☆★☆メルマガ配信中☆★☆</font></a></p><br><p>先日出会った覆面女、いったい何者だったんだろう。叶うことならもう二度と関わりたくない人物だなぁ・・・。 <br>ぼんやりとそう考えていた僕は、思わぬ再開を果たしてしまった。 <br>今回は、車道ではなく歩道を疾走する覆面女。歩道を徒歩する者を次々と轢き飛ばし、その滑走は止むことを知らないかの様子だった。 <br>僕は危険を察知し、車道へと足を移した。 <br>その刹那自転車も車道へと車輪を移した。 <br>次の瞬間、大きな音とともに僕の身体は弾き飛ばされた。 <br>しかし、相手の見立てが甘かった。 <br>ただで轢かれる僕じゃない。ぶつかった時に、咄嗟に掴んだ自転車のハンドル。相手も同じように、転倒した。 <br><br>「関係ない人をむやみに轢くなんて、許される行為ではありません。警察呼びますよ」 <br><br>すると覆面女は、奇怪な嗤い声を上げながら、こう言ってきた。 <br>「警察に通報しても意味がない。現場でない以上、捜査の余地もないだろう。頭の悪いやつだ・・・フハハハハ」 <br><br>警察も使えない、でもこの覆面女は捨て置けない。そう判断した僕は、ある提案をした。 <br>「じゃあ、自転車競走をしましょう。条件は、僕が勝てばあなたはその覆面の下を見せ、二度と迷惑事を起こさない。あなたが勝てば、・・・自分で考えて下さい」 <br><br>覆面女は答える。 <br>「じゃあ、私が勝てばお前の臓器を売買にかけ、東南アジアに売る。これで良いか、小僧」 <br><br>何やら、条件が割に合っていないような気もしたが、僕はその提案を受け入れた。急ぎ、マンションの駐輪場から自転車を出し、競争の準備をした。 <br><br>女の合図でスタートとなった自転車決戦。当然のごとく、女の自転車は速く、車道を走る自動車を次々に追い越していく。 <br>僕も負けじと、五段切り替えのギアを持つ愛車、疾風号を駆り、全速力で追随していった。 <br><br>やがて、両者の自転車は並走する形になった。 <br>すると、覆面女は流鏑馬のように、走りながらこちらへ吹き矢を飛ばしてきた。矢は僕の額に直撃し、右目に血が入って視界が浸食されていく。二つの自転車の距離は、再び離れてしまいそうだった。 <br><br>「こっちだって、負けませんよ～！」 <br>僕は一旦開けられた距離を元に戻すべく、本気を出して覆面女を追った。目の前にはマキビシがセットされている。どこまで卑怯な相手なのだろうと思いながら、障害物を避け、再び並走状態へと戻った。 <br>覆面女は今回も吹き矢を放ってきたが、僕は全て紙一重でかわす。 <br>「一度受けた技は、二度利かない法則を知らないんですか。こっちも反撃しますよ」 <br><br>僕は肩にかけていたショルダーバックを右手に持ちかえ、相手の顔面めがけて伸ばした。しかし、所詮は軽いショルダーバッグ、大した効果は期待できない。 <br><br>「フハハ、愚か者め。それに、小細工だけが技とは思わないことだ」 <br>覆面女は、今度は並走する僕に向かって、自転車でのタックルを仕掛けてきた。狙いは車輪下部。転倒させることが目的のようだった。 <br>攻撃を受ける直前、僕は自転車をジャンプさせ、何とかその場を凌いだ。かなりの強敵だ、このまま負ければ、僕は臓器を売られてしまう、というか死んでしまう。 <br><br>覆面女は再びタックルを仕掛けてくる様子だった。疲労が感じられ、何度もかわす余裕はない。それに、ゴール地点は最早目前に迫っていた。 <br>仕方がない、乾坤一擲、こちらも隠し技を使おうと決意した。 <br><br>「死ね小僧！！」 <br>「負けません。行きますよ。はあぁぁぁっ、車輪旋風撃！！」 <br><br>覆面女は再度タックルを仕掛けてきた。僕は前輪にだけ急ブレーキをかけ、後輪の浮いた状態の自転車を、高速回転させた。 <br>回転する後輪は、相手の自転車に連打を浴びせ、ついに覆面女の自転車は転倒した。 <br>それを後ろ目に見て、僕はゴールの栄冠を勝ち取った。 <br><br>起き上った覆面女に言葉をかける。 <br>「今回はピンチでした。でも、僕の勝ちですね。約束通り、その覆面を脱いで素顔を表わして下さい。そしてもう二度と、歩行者を轢くような真似はしないで下さい」 <br><br>覆面女は嗤う、何が可笑しいのかもしれず、嗤う。 <br>「ふん、よかろう、小僧。覆面は脱いでやるから、よく見ておくがいい」 <br><br>バサッという音とともに、覆面の下の素顔が・・・・・。 <br>そんなものは出てこなかった。覆面の下には他の覆面が装備されていたからだった。 <br>「ちょ、ちょっと待って下さいよ。それって反則じゃないですか～～」 <br>「小僧は言っただろ、『その覆面の下を見せろ』と。反則でも何でもない、私はただ敗北の約束通りに、さっきまでの『この』覆面を外した。そら見ろ、反則などではないな」 <br><br>唖然とする僕を余所に、謎の覆面女はその謎を残したまま、清々しそうに走り去って行くのだった。 <br>果たして、人間であったのか、怪異であったのか。そんな結論を嘲笑うかのようにして、幕は引かれてしまった。 <br>僕はただの骨折り損だったが、物語から放置された状態で茫然としていた。帰りの道が、いつもより長く感じた。 </p><br><p target="_blank"><a href="http://archive.mag2.com/0000283989/index.html"><font size="3">☆★☆メルマガ配信中☆★☆</font></a></p><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/wisteriater/entry-10581654549.html</link>
<pubDate>Sun, 04 Jul 2010 22:18:35 +0900</pubDate>
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<title>深夜の襲撃</title>
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<![CDATA[ <p>家の鍵が開いていた。寝る前に閉め忘れたのだろう。 <br>扉が開く。ここはオートロックのマンション、しかも最上階。 <br>侵入できる人間と言えば、同じマンションの住民ぐらいしかいない筈だが。 <br><br>警戒感と恐怖心から、僕はナイフを取り出し、玄関へ向かう。 <br>人間の気配がする。しかも、一人ではない。四人、いや、五人はいるか。 <br><br>不意に、右膝が動かなくなった。その直前、乾いた金属的な音を聞いた。 <br>小銃で撃ち抜かれたのだった。 <br>片足で立ちながら、相手の出方を見た。 <br>逃げ出すには、窓から飛び降りるしかないが、ここは九階。飛び下りれば確実に死ぬ。 <br>しかし、このまま待機していても、待つのは死しかないのではないか。 <br>いきなり銃を撃ってきたところから察するに、交渉の通じる相手ではなさそうだった。 <br><br>逡巡するのも束の間、僕は黒い覆面をした集団に囲まれた。 <br>見れば、銃に刀、槍、戟。無茶苦茶だ。勝てる筈もない。 <br>逃げ場は、なかった。数秒、睨み合いが続く。 <br><br>「お前たち、何者だ？　それに、目的は？」 <br>問いかけるが、返事は、ない。 <br>集団が一斉に動いた。無駄だと分かっていても、抵抗を試みた。 <br>身体に違和感があったのは、数秒後のことだった。 <br>頭が胴体から切り離されていた。 <br>「奇妙だ・・・」 <br>そう、確かに僕は言葉を発していた。 <br>いや、既に僕ではなくなった、『切り離された頭に付いた口』が喋った。 <br><br>首を刎ねられた時点で、絶命していなければ、おかしいのだ。 <br>何故、今僕の口から言葉が出てきたというのか・・・。 <br>いや、これすら奇妙だ。 <br>命がなくなった脳で、何かを考えている。 <br>それに、まだ周りの風景が見えるのだった。 <br>なくなった首の付け根から大量の血液を吹き出し、膝から崩れ落ちる胴体。 <br>そこに群がる、黒い群れ。 <br>群れの一人が、離れた頭を掴んだ。 <br>それは、これから起こる様を、全て見せつけようとする意図だったのかも知れない。 <br><br>群れは、動かなくなった身体を切り刻んだ。 <br>一人は台所で何かを用意している。 <br>少しずつ、剥ぎ取られる肉片。 <br>やがて、露になる骨。 <br>「やめろ、やめてくれ！」 <br>必死に叫ぶが、振り向いた一人が、冷たい視線を放つ。冷笑している。 <br>もはや、なす術もなく、ただ自分だったモノが肉片と骨になるのを見ていることしか出来なかった。あまりの凄惨さに、涙も出ない。 <br><br>何時間が過ぎただろう。 <br>全ての肉は、骨から剥ぎ取られていた。 <br>台所から、何かの合図が聞こえる。 <br>一人が、既に命がない筈の頭を持った。 <br>全員が、台所へ移動した。 <br><br>用意されていたのは、大鍋だった。 <br>黒い群れは、骨を鍋に入れ、煮込み始めた。 <br>流された血と、刻まれた臓器も、一緒だ。 <br>何やら、会話をしているようだが、明らかに日本語ではなかった。 <br>いや、日本語でも何語でもなく、耳障りな雑音にしか聞こえない。 <br>それは、明らかに、人間の言語ではなかった。 <br><br>鍋が煮立つ。 <br>群れは、次に、肉片を入れた。 <br>もう、見ていたくなかった。気が狂いそうだ。 <br>眼を閉じようとしたが、無理矢理こじ開けられた。 <br>瞼が切り落とされる。 <br>これでもう、瞬きも出来ず、ただ目の前の惨状を凝視する他なかった。 <br><br>肉が煮えると、群れは漆黒の覆面を外し、思い思いに口に運んでは、笑い声とも呻き声とも取れない、奇怪な音を立て始めた。 <br>やがて、全員がこちらを向く。 <br>「・・・そんな、馬鹿な・・・」 <br>思わず言葉が零れていた。 <br>群れは全て、同じ顔。 <br>そう、それは、僕の顔をしていたのだった。 <br></p><br><br><br><p>～～編集後記～～</p><br><p>僕はちょっと変わってるので、こういう夢をホントに見たりしますよ。</p><p>夢診断とか、しないでくださいね。</p><p>ちなみに、僕はメルマガをチェックするのが割と好きなんですが、「これが面白いよ」というのを一個紹介しますね。</p><p><a href="http://archive.mag2.com/0000283989/20090315002638000.html">http://archive.mag2.com/0000283989/20090315002638000.html</a></p><br><p>これは、書いてる人は「オタク」って言ってますけど、心理学を勉強したんじゃないかなっていうぐらい内容がしっかりしています。</p><p>記事の更新が遅いのが難点ですね。</p><p>でも、一個一個の内容がしっかりしてるから、勉強にも参考にもなったりします。</p><p>趣味の創作でちょっとだけパクってたりしますからね＾＾；</p><p>そんなこんなで、興味のある方は是非ご一読をｂ</p>
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<link>https://ameblo.jp/wisteriater/entry-10578985253.html</link>
<pubDate>Thu, 01 Jul 2010 23:26:23 +0900</pubDate>
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<title>夢幻ハーレム</title>
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<![CDATA[ <div class="FANCYURL_EMBED" id="diary_body">丑三つ時。 <br>目覚めの悪い夢を見て、気分が悪くなり、トイレでしばし吐いた。 <br>それでも、襲う眠気。 <br>再び僕は、眠りについた。。。 <br><br>夜明け前。 <br>目が覚めた。 <br>何かが可笑しい。 <br>自室のベッドは、シングルの筈。 <br>ベッドが広く感じたのは、気のせいではなかった。 <br><br>横を見た僕は、再び驚くことになる。 <br>一人の少女が、横で寝息を立てていたのだ。しかも、服を着ていない。 <br>「まさか」 <br>そう思って自分の体を確かめる。 <br>僕もまた、服を着ていなかった。 <br>「わけが分からない・・・」 <br>そう呟いてみても、どうにもならない。 <br>「・・・どうでもいい」 <br>半ば投げやりになって、眼を閉じた。 <br><br>朝になった。 <br>眼を覚ますと、横に寝ていた少女の姿はない。 <br>やがて、部屋に侵入してくる人影、寝たふりをしながら、警戒してみた。 <br>「ほら、起きなさい。いつまで寝てんのよ。脳みそ腐るわよ」 <br>そう言って、声の主は、フライパンをオタマで叩くような音を出した。 <br>古典的な・・、というか、意味が分からない。 <br>「あ～もう、分かったよ、うるさいな」 <br>そういって、勢いよく起きてみた。 <br>目の前には、夜明け前とは違う少女の姿。気が強そうな印象だ。 <br>「やっと起きた？　ちゃんと朝ご飯食べなさいよ。学校、遅刻するよ」 <br>「が、学校？？？」 <br>僕は思わず、素っ頓狂な声を上げてしまった。 <br>学校なんて、とっくに卒業している筈。 <br>夢か、幻か。そう、願いたかった。 <br><br>部屋を出た。何故か廊下がある。 <br>僕はワンルームマンションで生活をしているはずだ。 <br>それは間違いない。 <br>なのに、部屋を出ると廊下があった。 <br>冗談もいい加減にして欲しいと思ったが、傍らにいる少女が何やら怒っていたので、仕方なくついて行く。 <br><br>階段を降り、しばらく歩くと、大広間に出た。 <br>既に食事を始めている少女が七人。 <br>悪い冗談はやめて欲しい。 <br>「あ、おはよう。風邪ひかなかった？」 <br>一人が声をかけてきた。隣で寝ていた子だ。 <br>「ああ、おはよう。で、どんなドッキリなんだ、これは？」 <br>「ドッキリ？　あれ、シュウ君どうかしたの？　まさか、記憶喪失？」 <br>『シュウ？』僕はそんな名前ではないし、記憶喪失でも何でもない。 <br>「風邪ぇ？　まさか、あんた昨夜・・・」 <br>他の一人が明らかに不満そうな声を発していた。 <br>いったい何なんだここは。 <br>「えへへ、そうだよ～」 <br>「あ～、ずるい。今夜は私だからね」 <br>「いえ、今夜は私です」 <br>あまり穏やかではなさそうな言い争いが始まった。 <br>思わず遮って、僕は疑問だったことを尋ねてみる。 <br>「あの、さ。君たちは誰？　それに、学校はとっくに卒業してるんだけど・・・？」 <br>「はぁ？　アンタ、何言ってんの？　寝ぼけるのもいい加減にしなさいよね。一か月前、大怪我してて身寄りのないアンタをこの女子寮に収容したの、忘れたの？　理事長の許可を取るのに必死だったんだから」 <br>「じょ、女子寮～～～！？」 <br><br>眩暈がした、気が遠くなる。もう、何が何だか分かったものではない。 <br><br><br><br><br>。。。目が覚めた。 <br>いつもと変わらぬ、自宅だった。 <br>パッとしない部屋で、なんとなく所在無げな気分になった。 <br></div>
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<link>https://ameblo.jp/wisteriater/entry-10578830197.html</link>
<pubDate>Thu, 01 Jul 2010 21:16:03 +0900</pubDate>
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<title>教師と生徒</title>
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<![CDATA[ 安堂宏樹には、分かっていた。 <br>伊田朋美とは、生徒と教師の仲であって、それ以上進まない方が良いと。 <br><br>出会いは、安堂が高校二年生、伊田が齢二十九の春だった。 <br>英語教師であり、英語で日記を毎日書くことが、生徒に与えた課題だった。 <br><br>英語で日記を書くということは、それぞれの生徒が『何を考え、感じ、今を生きているのか』を如実に表すだろう。また、その結果生徒の英作文能力も、成長するのだろう。しかし、本当に真面目に書く生徒が少数派になる可能性もある。 <br>安堂は、やや危惧を抱きながらも、効果を期待しようと思っていた。 <br><br>しかし、 期待は外れ、危惧が実現されてしまった。 <br>生徒たちは、趣味や好きなタレントの話などしか、書いていない様子だった。教師である伊田は、やや落胆しているようだった。 <br><br>安堂は、社会問題や地域の特徴、また思春期にありがちな思想じみた物事が好きだったので、その方向で書くようにしていた。 <br>自分の趣味をさらけ出すのも無粋と思い、また、タレントの話も然りだった。 <br>安堂が選んだ題材は、社会情勢、地域による習慣の違い、また、個人を表わす色の話や、アジアンユニオン構想などについて、日記で感想や意見、または疑問を書き連ねた。 <br><br>読めば分かるだろう。 <br>英語で日記を書くために、年度初めに配布された和英辞典や英英辞典を駆使しての代物だった。元となる話題は、新聞や書物から得て、また、読み手である伊田に対して、少しでも考えて読んでもらえるように、心がけていた。 <br><br>ある日、授業後に伊田から呼び出しがかかり、日記の件についての良心的な感想を受けた。 <br>「毎日、面白い日記を書いているね。ＮＨＫ受信料の話と色の話が面白かったよ」 <br>そして、安堂は答える。 <br>「どうも、皆趣味の日記しか書かないらしく、たまには自分のような異種がいても面白いと考えています。楽しんで頂けたなら、毎日夜中までかけて書いている甲斐があるというものです」 <br><br>クラスの中では、安堂はある程度孤立していたが、自分の価値観はしっかり持ち、一人でいることをさして気にする様子もなかった。いや、むしろ、煩わしい人間関係を、敢えて回避していたと言った方が正しいのかも知れない。考え事をしている時は特に、険しい顔をして、同級生を寄せつけないようにしていた。 思考の邪魔をされるのは、嫌いだった。そんな自分はまだまだ子供だと、自嘲する心もまた、同時に存在した。 <br><br>ある日、伊田から、ある依頼が舞い込んだ。それは、下級生のために、日記ノートを貸してほしいというものだった。自分などが書く代物が参考になるなら、喜んで貸し出すと答えた。しかし、そこには悲運が待っていた。 <br><br>手元に戻った日記ノートには、下級生によって、「死ね」「カッコつけんな」「学校辞めろ」などの落書きが、拭いても消えぬ油性インキで書かれていたのだった。落書きは、ほぼ全てのページにわたり、建設的な感想や評論の類は一切なかった。下らない。そう、一人で呟いた。しかし、次回も同じ被害者が出ることも考えられたため、職員室へ足を運び、伊田に報告をした。聞いた伊田は激昂し、当該のクラスへと、安堂を伴って向かい始めた。 <br><br>伊田は、怒鳴っていた。最後には、涙を流しながら、必死に何かを訴えていた。それは、先輩が快く貸してくれたものに対して、悪辣な落書きを書くことの罪深さだった。安堂は、別段重大なことでもなく、一部の愚かな生徒がやっただけだろうと思っていたので、最後に与えられた発言の場で、こう言った。 <br>「落書きをしたのは、一部の輩だろう。他の生徒には、時間の無駄だったな。下らない」 <br><br>職員室へ戻る途中、伊田は涙を流し続けていた。何がそんなに悔しいのだろうか。たかが一生徒のノートに落書きがされただけのことだ。常軌を逸した類のものではない。それでも、伊田は泣いていた。安堂は何度も謝られた挙句、お詫びとして、万年筆を受け取った。おそらくは、気持があるのだろう。やや、複雑な学校生活になったものだと、思った。 <br><br>生徒と教師の関係。それは覆すことのできない事実。それでも、伊田は他に発覚しない程度に、アプローチを続けてきた。安堂にしてみても、暑苦しい男子校生活における、ささやかな安らぎのようなものを感じていた。放課後に喫茶店で、煙草を吸いながら語る機会もあった。 <br><br>十二月になり、修業式当日、安堂は伊田から、少し早めのクリスマスカードを受け取った。そこには「いつも優しい気持ちをありがとう」と、銀のインクで書かれていた。安堂は反応に困ったが、自分が未だ半人前で不出来な人間と思っていたので「この言葉は今の僕には早いと思う」とだけ答え、お礼の言葉代わりに、深く頭を垂れた。 <br><br>年末、学校は休みに入った。 <br>安堂は、伊田と会わない時間が長くなることに対して、少し寂しさに似た感情を覚えたことに気付いた。学校では、事務作業があり、伊田が出勤する日もあることは想像できたが、他の教師に見られれば、互いに校内での生活に支障をきたすだろうと考え、冬休み中に学校を訪れることはなかった。 <br><br>新学期に入った。相変わらず、安堂はクラスから浮いていた。別段、虐めに合っているわけではなく、他の生徒の発言は「違う人種」程度がせいぜいだったので、今までそうしてきたように、無視を続けた。 <br><br>英語日記が再開した。 <br>殆どの生徒は、相変わらず趣味の話や芸能ゴシップ等を書いている中、安堂は哲学的な考察や悩みを書くようになっていた。何に悩んでいるのか心配になったのだろう。伊田が書くコメント欄には「悩みがあれば相談に乗るから」と記されていたが、相談を持ちかけることは、なかった。毎日ただ淡々と、日記で考察を書いては、「いや、違うな」「この程度では・・・」等と独り言を呟く毎日だった。クリスマスカードの一件から、気持ちが揺れていたのだ。そんな自分を、嗤う自分もまた、存在した。 <br><br>二月が訪れた。ある日の授業で、伊田は安堂の日記ノートの最終ページに付箋を貼り、渡してきた。そこには「バレンタインデーの放課後にデパートの屋上で」とだけ記されていた。 <br><br>目的、というよりは想いだろう。既に薄々は感じていたし、こちらにも気持がないわけではない。しかし、あくまで生徒と教師である。現状では、つき合うわけにはいかない。しかも、安堂は大学受験を機に、育った街を出ようと決心していた。未練や心残りは、全て消化してから卒業したいという心もあった。となれば、とるべき行動は決まっていた。仕舞にすること、それだけは確かだったが、言葉が思いつかなかった。考えれば考えるほど、それはまとまりのないものになっていく。結論として、その場で浮かんだ言葉を返そうと判断した。 <br><br>当日、放課後になった。 <br>放課後になれば既に暗く、安堂はしばらく図書室で読書をしながら、約束の時間が迫るのを待っていた。もう、覚悟はできていた。あとは、相手を傷つけなければ良いのだが、そう、考えていた。読書には身に入らず、「離れたくない」という台詞だけがやけに浮かんで見えた。 <br><br>デパートの屋上には、少し早めに到着した。雪が降り始めている。舞い落ちる雪の結晶が、いつもより冷たく、また儚く感じられる。 <br>やがて、事務作業を終えた伊田がやってきて、後ろから声をかけてきた。もう、心に迷いはなく、結論は用意してあった。 <br><br>「安堂君、待たせてゴメンね。でも、約束通り来てくれてありがとう」という言葉が、伊田の口から出た。そして、駆け足で近付いてきた。手にはひとつの箱がある。チョコレートだった。顔色を窺えば、目の下に隈ができている。徹夜で作ったのだろう。嬉しい気持ちが溢れたが、今日の目的は、安堂にとっては別だった。 <br><br>二人で会うのは最後になるだろう。ならば、笑顔で別れたいと思った。しかし、無表情な形相では、どこかぎこちなく笑顔を作ることしかできない。この期に及んで、情けのないものだと、心の中で呟いた。深呼吸をし、言葉を発した。 <br><br>「先生、気持は嬉しいです。それに、前から薄々は気付いていました。だけど、先生と僕は、教師と生徒であって、それ以上には、きっとなれない」 <br><br>伊田の表情が変わる。涙を流し始めた。その涙をぬぐいながら、安堂は言う。 <br><br>「僕は、大学受験でこの街を出るよ。一度、過去を清算して、新しい世界を感じたいから。僕にも気持がないわけじゃない。けれど、先に言っておくね。告白は、断るから言わないで。お互い、気まずいでしょう」 <br><br>結局、その日は夕食を共にして、別れた。 <br>その後も、学校では普通に会話をし、深い話をする仲が続いたが、それ以上の関係になることは、決してなかった。お互いを意識する日もあったが、そこから踏み込むことは、しなかった。 <br><br><br>安堂宏樹には、分かっていた。 <br>伊田朋美とは、生徒と教師の仲であって、それ以上進まない方が良かったと。 <br>
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<link>https://ameblo.jp/wisteriater/entry-10578137372.html</link>
<pubDate>Thu, 01 Jul 2010 00:30:20 +0900</pubDate>
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<title>教師と生徒</title>
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<![CDATA[ 伊田朋美には、分かっていた。 <br>安堂宏樹とは、教師と生徒の仲であって、それ以上深入りしてはいけないことを。 <br><br>出会いは、安堂が高校二年生、伊田が齢二十九の頃だった。 <br>英語の授業を担当し、毎日生徒に英語で日記を書くことを課題として指示していた。 <br><br>日記を書くということは、それぞれの生徒が『今、何を考え、感じ、生きているのか』が如実に表れるだろう。また、その結果生徒の英作文能力も、成長するのだろう。まだ若手教師の伊田は、そう思っていた。 <br><br>しかし、期待は無惨にも裏切られていく。 <br>生徒たちは、趣味や好きなタレントの話等しか、書いてこなかったのだった。当初の目論見が結果を示さず、やや落胆した伊田だったが、ある日、その期待以上の日記を書く生徒が現れた。 <br><br>それが、安堂だった。 <br>彼は、社会情勢の話や、地域による習慣の違い、また、個人を表わす色の話や、アジアンユニオン構想などについて、熱く語っていた。 <br>読めば分かる。たかが日記を書くために、年度初めに配布した和英辞典や英英辞典を駆使してのことだったのだろう。本人に確認をとったところ、元となる話題は新聞や書物から得ていること、また、読み手である伊田に対して、どうせ皆趣味の日記しか書かないだろうし、たまには自分のような異種がいても面白いと考えていること等を、語ってくれたのだった。その洞察と、読み手を慮る姿勢を、伊田は好もしく思っていた。 <br><br>クラスの中では、安堂はある程度孤立していたが、自分の価値観はしっかり持ち、一人でいることをさして気にする様子もなかった。いや、むしろ、煩わしい人間関係を、敢えて回避していたようにも映った。機嫌が悪く見える日もあったが、それは、考え事をしている証拠。少し観察すれば、判読できる表情ではあった。「やはり、まだ高校生か・・・」そう一人ごちたが、大人な部分と高校生特有の悩みを持つ安堂を、人間として面白く感じた。 <br><br>教師と生徒の関係。それは覆すことのできない事実。それでも、心の動きは止められないのだった。 <br>十二月になれば、伊田は思い切って安堂に、少し早めのクリスマスカードをプレゼントした。そこには「いつも優しい気持ちをありがとう」と、銀のインクで書いた。安堂の反応と言えば、嬉しいのか迷惑なのか分からない表情をしていたが、「この言葉は今の僕には早いと思う」とだけ答え、お礼の言葉代わりに、深く頭を垂れた。 <br><br>年末、学校は休みに入った。 <br>事務作業があるので、出勤する日もあったが、生徒はいない。そしてもちろん、安堂もまた、いなかった。二人とも、携帯電話を持たなかったので、気楽にメールというわけにもいかない。やや、悶々とした気持ちで、冬休みは過ぎていき、新学期を迎えた。 <br><br>相変わらず、安堂はクラスから浮いていた。そしてまた、相変わらず孤独を楽しむ姿勢が見て取れた。 <br><br>英語日記が再開した。 <br>殆どの生徒は、今も趣味の話や芸能ゴシップ等を書いている中、安堂は哲学的な考察や悩みを書くようになっていた。何かに悩んでいるのだろう。そう思い、日記ノートのコメント欄に「悩みがあれば相談するから」と記したが、相談をしてくることは、なかった。毎日ただ淡々と、日記で考察を書いては、「いや、違うな」「この程度では・・・」等と独り言を呟いていた。 <br><br>二月になり、雪が降るある日の授業で、伊田は安堂の日記ノートの最終ページに付箋を貼り、そこには「バレンタインデーの放課後にデパートの屋上で」とだけ記した。 <br><br>当日、放課後になった。 <br>伊田は事務作業を早めに終え、デパートの屋上へと向かう。 <br>到着すると、一つの影があった。黒のデニムに黒いコートを着ている。見間違えるはずはなかった。そして、声をかける。 <br><br>「安堂君、待たせてゴメンね。でも、約束通り来てくれてありがとう」という言葉が、刹那に出てきた。そして、駆け足で近付き、チョコレートを渡す。嬉しい気持ちでいっぱいだった。今日は他に人はいない。機会があるなら、今しかない。そう、思っていた。 <br><br>振り返った安堂は、普段の無表情を少しだけ崩し、気まずそうに少し笑った。ところが、次の瞬間、思いもしない言葉を発したのだった。 <br><br>「先生、気持は嬉しいです。それに、前から薄々は気付いていました。だけど、先生と僕は、教師と生徒であって、それ以上には、きっとなれない」 <br><br>伊田は動揺した。気付かれていたことよりも、安堂が悲しそうで、それでも相手を想うような表情をしていたからだった。そして続ける。 <br><br>「僕は、大学受験でこの街を出るよ。一度、過去を清算して、新しい世界を感じたいから。僕にも気持がないわけじゃないけれど、先に言っておくね。告白は、断るから言わないで。お互い、気まずいでしょう」 <br><br>結局、チョコレートは受け取ってもらえたものの、夕食を共にして別れた。学校では普通に会話をし、深い話をする仲も続いたが、それ以上の関係になることは、決してなかった。 <br><br><br>伊田朋美には、分かっていた。 <br>安堂宏樹とは、教師と生徒の仲であって、それ以上深入りしてはいけなかったことを。
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<link>https://ameblo.jp/wisteriater/entry-10572607128.html</link>
<pubDate>Fri, 25 Jun 2010 01:27:46 +0900</pubDate>
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<title>時間の調律師</title>
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<![CDATA[ <p>「おっと、寝坊したか・・・」</p><p>目を覚ました私は、冷蔵庫からトマトジュースを取り出し、缶を片手で開けながら、もう片方の手でテレビをつけた。</p><br><p>今日は１１月２２日。三連休の二日目。<br>生憎の雨だけれど、街の空気は穏やかなものだった。</p><p>そう、ここは・・・。<br>「あれ？　部屋の景色が違う。ここは・・・。まさか！？」</p><br><p>ありえない光景に、しばし目を疑った。<br>私が目を覚ました場所。そこは、以前住んでいたアパートだった。<br>とある事件から、引っ越しを余儀なくされた場所。<br>もう、二度とは思い出したくもない場所。</p><br><p>『おはようございます。本日は１２月２６日・・・』<br>テレビが日付を告げる。<br>１２月２６日・・・。<br>これが悪夢の類であれば、恐らくは２００６年なのだろう。<br>玄関へ向かい、新聞を手に取った。</p><br><p>「やっぱり・・・。」<br>私は、底知れぬ落胆と恐怖に、震えを感じた。<br>２００６年１２月２６日。<br>それは、『私であった者』が消えて、『今の私』が現れた日。</p><p>慌てて時計を見る。<br></p><p>８時５７分。<br>確か、事件があったのは９時２０分頃の筈。<br>ならば、今から急いで出かければ、あの出来事は起こらないということになるのだろうか。</p><p>「あんなこと・・・。とにかく、繰り返しはごめんだ。さっさと出かけよう」<br>大雑把に顔を洗い、乱雑に着替えをして、家の外に出る。<br></p><p>時間は９時６分。<br>外に出た瞬間、足がもつれた。<br>そして躓く。<br>目の前には鉄製の螺旋階段。<br>激突する、頭部。<br>痛みを感じる暇もなかった。</p><br><br><p>薄れる意識の中、考えてみた。<br>「あの日、こうやって死んでいた方が、もしかすると楽だったのかもしれないな・・・」<br>転げ落ちる身体。<br>落下する記憶。<br>そして、聴こえる声。。。</p><br><p>『時間は不可逆。君が望んだ過去、そんなものは、有り得ないのだよ。いくら嘆いても、いくら悔やんでも、巻き戻しは出来ない。ここは夢の中。潜在意識が、時間を戻したがっていたのだろうが、戻ったところで別の悲劇が待っていたとは。君も因果な生き物だな。悲劇に泣いた昔の君は、喜劇を嗤う今の君に取って代わった。それすら、不可逆なのだと、何故分かろうとしない？』</p><br><p>「ああ、分かりたくもない。私は私であって、他の誰でもない。お前、時間の調律師だろう？　また、悪趣味な夢をプレゼントしてくれたものだな。何が楽しくて・・・」</p><p>私の言葉をさえぎるように、声は話に割り込む。</p><br><p>『認めたくない、か。愉快な登場人物だな、君は。過去を忘れたつもりが、その実いつも囚われている。見えるのだよ、君の周りには、消えない鎖が。普段笑っている君の中には、いつも泣いている君の影が存在する。どちらが実で、どちらが虚か、未だ知らぬ様子だな』</p><p>「そんなものは、自分で決める。そろそろ、消えたらどうだ？　休日の眠りを邪魔するなんて、悪趣味にも程がある」</p><br><p>『これは失礼。では、消えぬ涙と永遠の眠りにある君は私が持ち帰って、可能性を生きる今の君は、現実世界に戻るがいい。いずれ、半身を取り戻すことが出来るなら、それは君がこの呪縛を克服した時、ということになるな。楽しみに、待つとしよう』</p><br><br><p>気がつくと、自宅のベッドの上だった。<br>汗とともに身体に纏わりつく衣服が、いつもより邪魔に感じる。</p><br><p>「今日は用事があったのに・・・。出かける気もなくなったな。着替えたらもう一眠りしよう」<br>そうして、私は誰にも邪魔されない安息へと落ちて行った。</p><br><p><br></p><p><a href="http://www.infotop.jp/click.php?aid=168290&amp;iid=11302" target="_blank"><font size="3">ベストセラー作家になる方法</font></a> </p><br><p>たまに、公募ガイドを見て、年に二回ぐらい投稿してるんですが、まだ第二次選考までですね。</p><p>まだまだ、努力が足りないところです。</p><br><p>売れる人はなぜ売れるのか。</p><p>その仕組みを、少し解析してみたいと思います。</p><p>僕は趣味の範囲ですが、中には本業で目指す方もいると思います。</p><br><p>書籍作家からケータイ作家まで、幅広くカバーした教材があります。</p><p>デビューを急ぐ方、早くメジャーになりたい方。</p><p>参考までに試してみても、無駄なことはないと思います。</p><p>廉価版もあるようですね。</p><br><br><p><a href="http://www.infotop.jp/click.php?aid=168290&amp;iid=11302" target="_blank"><font size="3">☆これでベストセラー作家になれる☆</font></a> </p>
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<link>https://ameblo.jp/wisteriater/entry-10564277783.html</link>
<pubDate>Tue, 15 Jun 2010 23:04:33 +0900</pubDate>
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<title>無題（奇譚）～後編～</title>
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<![CDATA[ <p>いわば、「公認カップル」である。 <br>容姿にも性格にも、お互い不満なところはなかった。 <br>それでも、別れる理由というものは存在する。 <br>別れの前日、僕は彼女に、結婚する上での相談を持ちかけた。主観も入ってはいたろうが、概ね客観的な意見を言ったつもりだ。 <br>彼女は激昂し、「もう一緒にいる意味がない」と言い始めた。あまりの取り乱しように、僕は二時間ほど「頭を冷やす」と称して近所の酒場で時間を潰していた。 <br></p><p><br>帰宅し、別れる前夜である。 <br>彼女は不意に、避妊具を外した。意図は、こちらにもわかっていた。 <br>確率論の問題でもないが、別段影響もないだろうと思った自分が、甘かったのだ。 <br>「あなたとの間に子供ができたら、私の思うような道を最初に敷いて、復讐をする」 <br>たしかに、そう言っていた。事の後の明け方である。 <br>僕は、また妄想の類を吐いているのかと思い、何も言わなかった。 <br><br></p><p><br>その結果が、四年の時を経たこの街である。 <br>土を踏むにはあまりに足が重く、帽子を脱ぐにはあまりに太陽が冷たく感じる。 <br>この地の怨念じみた何かに吸い込まれないよう、僕は間抜けにも爪先立ちで歩を進めた。 <br>向かう先は、言うまでもない。 <br></p><p><br>足が、止まった。 <br>到着したのでは、ない。 <br>見失ったのだ。 <br></p><p><br>かつて過ごした家は跡形もなく、なぜか竹林に変わっていた。 <br>あまりの奇妙さに、近隣の住人を呼び止めて詳細を聞く。 <br>「ここは最初から竹林だったのだが、何か悪い夢でも見ているのではないか」 <br>そういった答えが、返ってきた。 <br></p><p><br>四年ぶりに、僕はこの街の地面を踏んだ。 <br>この瞬間、初めて足全体で踏んでみた。 <br>眼下には、子どもをあやすような歌声が聞こえる。 <br>聞き覚えのある、声だった。 <br>はたして、何の憎しみもなしに、「懐かしい」と思ったのだろうか。 <br>考える暇もなく、地面が足を引っ張り始める。 <br>身体は吸い込まれ、二度と地上に戻ることはなかった。 <br></p>
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<link>https://ameblo.jp/wisteriater/entry-10562380160.html</link>
<pubDate>Sun, 13 Jun 2010 22:48:30 +0900</pubDate>
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<title>無題（奇譚）～前編～</title>
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<![CDATA[ <font size="2">四年ぶりに、僕はこの街の地面を踏んだ。 <br><br>ここは、とある山岳都市。 <br>僕がかつて、最大限の愛情と、最大限の裏切りを身に受けた街である。 <br><br>途中で六度、電車の乗り換えをした。 <br>いつもと変わらない風景が少しずつ、いつもと違う風景になっていく。 <br>その時間を楽しみながら、列車に揺られていた。 <br><br>道中、列車の客席で眠る間もなく考えていたこと。 <br>それが、今回呼び出された理由だった。 <br><br>『あなたとの間に子供が出来て、もうすぐ三歳になるから、そろそろ責任を取ってほしい』 <br>一か月前のメールだ。 <br>僕はもう彼女のメールアドレスは消去してしまっていたし、最初はイタヅラの類かと思っていた。しかし、どうにも事実のようだった。 <br><br>そして、この街である。 <br>実は、あまり良い思い出がない。 <br>最初に足を踏み入れたのは、当時勤めていた会社の営業車で休日にドライブをしていた時だ。 <br>休日らしい休日を過ごしたいという理由から、単純にこの街のアウトレットパークを選んだ。 <br>別段、どこでも良かったのだ。 <br><br>しかし、そこで出会った女と付き合うことになり、挙句実家に招聘されて同居まで指示されるとは、その時は思っていなかった。 <br><br>同居生活は、あまり気持ちの良いものではなかった。いつも家族に気を遣いながら、それでいて行動の全てを監視されているような気分。お世辞にも快適とは言えない環境だった。 <br><br>付き合ってほどなく、僕たちは身体を重ねるようになっていた。どちらが求めたわけでもなく、なし崩し的にそうなっていたのだろうと思う。 <br>同居するまで知らなかったことだが、彼女は親にことの次第を全て話していたらしい。初めて親に会った時、夜の営みについての具体的な話をされたので、正直困惑してしまったのを覚えている。 <br></font>
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<link>https://ameblo.jp/wisteriater/entry-10559133936.html</link>
<pubDate>Thu, 10 Jun 2010 12:48:59 +0900</pubDate>
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<title>失われた時間</title>
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<![CDATA[ <p>失われた時間。 <br>閉ざされた空間。 <br></p><p>私は一日中、締め切った家の中。 </p><p>朝には、二人分の朝餉と洗濯を。 </p><p>昼には、二人分の編み物を。 </p><p>夜には、待ちわびた顔で夕餉の支度を。 </p><br><p>そして夜更け。 <br>この包丁。その皿、あの壁。 <br>そして、朱（あか）、朱、朱。 </p><br><p>私は包丁を研ぎ、皿を洗い、壁を磨く。 <br>だけど決して消えない、あの色。 <br>刺した赤錆は消えず、受けた染みは拭えず、あの日のままの飛沫を描く白い壁。 </p><br><p>主は今は冷蔵庫の中。 <br>いつ消えたとも分からない命の、残滓。 <br>いや、いつかは知っている。 <br>あの日、あの時、確かに覚えている感触。 </p><br><p>毎日私は繰り返し。 <br>いつ終わるともない繰り返し。 <br>家には誰も入って来れない。 <br></p><p>食糧が尽きれば私も後を追う。 </p><p>失われた幸せな時間。 <br></p><p>あの笑顔、あの食卓、あの身体。 <br>虚ろに微笑み続ける私の笑顔。<br></p><br><p>永遠に、止まった時間。。。</p>
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<link>https://ameblo.jp/wisteriater/entry-10558621461.html</link>
<pubDate>Wed, 09 Jun 2010 21:53:07 +0900</pubDate>
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<title>ブログはじめました</title>
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<![CDATA[ <p>小崎侑希といいます。</p><p>趣味の創作をＵＰするブログをはじめました。</p><p>よろしくお願いしますm(_ _)m</p>
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<link>https://ameblo.jp/wisteriater/entry-10558616975.html</link>
<pubDate>Wed, 09 Jun 2010 21:49:05 +0900</pubDate>
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