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<title>小説</title>
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<description>小説なんて書いたことのない初心者がチャレンジします。温かく見守ってあげてください( •ω•ฅ)コメントとかもらえると嬉しいです。見づらいなーってとことか、読みにくい！ってとこ教えてくださいｗ</description>
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<title>かわうそあどべんちゃーｚ　1-3　‘‘蛇の骸‘‘　後編</title>
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<![CDATA[ ---　首都クウォルツェン　　南西商業区　---<br><br>　満月が首都クウォルツェンの街を照らす夜。<br>&nbsp;&nbsp;エニグマは一人、高い建物の屋根の上に立ち、視線の先にある‘‘モノ‘‘を見つめていた。<br>　それが今回の標的だと言われた。<br>　たとえそれがモンスターでなく同族のカワウソであろうと関係ない。<br>　だって、今までも同じような手段で同じような標的を三回殺してきたのだから。<br><br>---　---　---<br><br>　エニグマは物心ついた時から一人だった。<br>　周りには自分を守ってくれる大人はいなかった。<br>　大人の代わりにいたのはモンスターだけ。<br>　だからエニグマは自分の身を守るためだけに強くなった。<br>　最初は、森の中に育つ木から果物をとって食べたり、餌を探してそこら辺をうろつくウルフとかを素手で倒していた。<br>　その回数をこなしていくうちに、倒したモンスターから自分の武器や防具を作るようになった。<br>　そんなことを繰り返しているうちに自分の強さを求め始めて、数年経てば自分の周りには‘‘強いやつ‘‘がいなくなった。<br>　自分の住んでいた木と葉っぱで作った粗末な家をでてエニグマは旅に出た。<br>　自分よりも強い奴を探して。<br>　言葉も文字も知らないエニグマが知っていたのは、自分の名前と‘‘うなずく‘‘ことと‘‘首を横に振る‘‘こと。<br>　その二つの動作が賛成と否定を意味することを知っていた。<br>　だが、物心がつく前の記憶はどうやっても思い出すことが出来ない。<br>　自分が何者なのかわからないまま、長らく放浪を続けていたある日、深い森の中にある遺跡にたどり着いた。<br>　遺跡の中は広かったが所々に松明（ﾀｲﾏﾂ）の火が灯っていたので、薄暗い部屋の様子がよくわかった。<br>　部屋の中央に不気味なモンスターが‘‘浮いて‘‘いた。<br>　文字通り浮遊(ﾌﾕｳ)しながら、こちらを見ていたのだ。<br>　なんの飾りもない漆黒(ｼｯｺｸ)のローブをはためかせ、そのフードからは紅い眼をした骸骨(ｶﾞｲｺﾂ)の頭が見えた。<br>　相手は巨大な鎌と強力な闇の魔法を使って攻撃してきた。<br>　対して自分の装備は自作の骨のダガーとモンスターの革鎧(ｶﾜﾖﾛｲ)だけだったため、勝ち目などゼロに等しかった。<br>　挑戦したり退いたりを繰り返して、傷だらけになりながらも相手を次第に弱めていき、3ヶ月の間戦い続けてようやく勝つことができた。<br>　強敵を倒せたのは良かったが、遺跡には財宝やら金貨やらめぼしいものは何一つなかった。<br>「お前強いな」<br>　探索を諦めて帰ろうとしたエニグマの背中に声がかかる。<br>　エニグマは立ち止まって、声の出処を探した。<br>　が、目を凝らしてみても人影は見えない。<br>「こっちさ、こっち」<br>　声がしたほうを向くと先ほどのモンスターが持っていた鎌が、部屋の中でぼうっと光っているのが見えた。<br>「どうだい？俺も一緒に連れて行ってくれないか？」　<br>　言葉も文字も知らないエニグマでも、相手がなにを言っているのかはなんとなくわかる。<br>　うなずくエニグマに‘‘そいつ‘‘は自分を持つよう言った。<br>　エニグマが鎌に触れた途端、巨大だった鎌は自分が振り回すのにちょうど良い大きさに変わり、いつの間にか漆黒のローブも身体に纏っていた。<br>「そうか、お前言葉も文字も知らないんだな」<br>　どうやらこいつは心が読めるらしい。<br>「それと、俺はコイツって名前じゃない。ディオスだ。‘‘ディオス・デ・ラ・ムエルテ‘‘それが俺の名前」<br>　先程と同じようにうなずくエニグマに<br>「・・・・・・全く、面白みのないやつだな」<br>「しょうがねえな・・・・・・俺がこれからいろいろ教えてやるよ」<br>「まずはあれだな---」<br><br>---　---　---<br><br>（おい。いつまで思い出巡りしてるつもりだ。標的が過ぎちまうぞ）<br>　頭の中に響いてきたディオスの声で我に返る。<br>（すまない。今からやる）<br>　ディオスのおかげで普通に言葉も話せるようになってきた。<br>　コイツには本当に感謝している。<br>　だが、今はそんなことを考えている暇はない。<br>　気持ちを落ち着かせて雑念を振り払い、目前の標的に集中する。<br>（いくぞディオス）<br>　闇の中から鎌を取り出し、ディオスの返事を聞く前に屋根から飛び降りる---<br><br><br><br>---2時間前。<br>　夕陽を受けて輝く王宮の前で二人の鋼の鎧を着た騎士がレンの前に立っていた。<br>　レンは先程まで来ていた礼服とは違い、青く染められた鎧を着ている。<br>「自分は‘‘秩序の鋼鎧（ｵﾙﾄﾞﾇﾝｸﾞ)‘‘所属のユリウスと申します。<br>　得意なのは弓、魔法適性は雷です」<br>「同じく、‘‘秩序の鋼鎧‘‘所属のマルセルです。<br>　得意なのは剣、魔法適性はありません！」<br>　なかったら言わなくてもいい！と小声で言うユリウスに小突かれる。<br>　この二人の仲がいいのは誰が見ても一目瞭然（ｲﾁﾓｸﾘｮｳｾﾞﾝ）である。<br>　わざとらしく咳をする王子もみて、二人はすぐに姿勢を正す。<br>「二人の仲がいいのは十分わかった。<br>　だが、いまは作戦会議中だから静かにな」<br>「はい！」<br>　二人揃って返事をする。<br>「よし、では今回の作戦だが・・・・・・大体分かっているな？」<br>「はい。たしか、囮(ｵﾄﾘ)作戦と聞いていますが」<br>　返事をするユリウスにレンは頷く。<br>「そうだ。私が御者の役をやるから、二人には馬車の中で待機してもらいたい」<br>「了解です・・・・・・ってええ？我々が御者役ではなくて殿がやるのですか？」<br>　驚くマルセルを落ち着かせて説明を続ける。<br>「それは単にいち早く自分の目で見て相手の情報を得たいという思いからだ」<br>「ですが、その作戦は危険なのでは？相手が万が一飛び道具や魔法を使ってきたら真っ先に危険なのは殿下です」<br>「だが、同じ馬車に乗っている以上外にいようがいまいが危険度は変わらん。<br>　それに、相手は今までと同じように斬技の一撃で仕留めようとするはず。<br>　私が君たちをアドルフ将軍から預かったのは、私がもし死ぬようなことがあればすぐに撤退し敵の情報を皆に伝えて欲しいからだ」<br>「そ、それは・・・・・・分かりました。我々は御者の中で待機します」<br>「ユリウス！お前---」<br>　何か言おうとするマルセルをユリウスは手で制する。<br>「殿下を信じよう。いざとなれば・・・・・・な」<br>　相方が言わんとしていることはマルセルにもわかった。<br>「殿。くれぐれもお体をお大事にしてください」<br>「ああ、ありがとう。今回の作戦で死者が出ないことを祈ろう」<br>「そうですね」<br><br>---2時間後。<br>　陽も完全に落ちた夜の商業区は人通りもなく静寂(ｾｲｼﾞｬｸ)に包まれ、ランタンで照らされた馬車を引く馬の足音がはっきりと聞こえる。<br>　出発してから一度も警戒を緩めずに、辺りを見回しながらこの一本道を進んでいるが相手が襲って来る気配はない。<br>　御者席の側面には自分の愛槍を布にくるんで取り付けてある。<br>　敵が来れば槍で戦うつもりだ。<br>　いざとなれば魔法も使用するしかないだろう。<br>　ヴァルシオン王の血統は魔法に秀でた才能をもつ者が多い。<br>　レンもまた秀でた魔法の才能を持っており、中級魔法くらいまでなら使える。<br>　魔法はその威力や能力によって下級～超級というように位置づけられる。<br>　しかし、たいていの魔導師が使える魔法は中級までであり、才のあるものが鍛錬をすれば上級まで覚えることはできない。<br>　超級魔法は簡単に覚えられるものではなく、それゆえ教えられる者も使える者もいないのが現状である。<br>　リヴァイアサンを倒した六大英雄の一人が唯一超級魔法を使っていたとされるが定かではない。<br>　そのため、使えるものがいない超級魔法の存在は、人々の中では伝説となっている。<br>　ひとくちに魔法といっても様々な種類や系統に分類され、それぞれがほかとは違う特徴を持つ。<br>　レンが今習得している魔法は水系統の魔法が主体であり、水系統は攻撃や治癒といった攻守のバランスの良さに長ける。<br>　一行が乗っている馬車にも防御魔法が施されており、ちょっとやそっとの攻撃では破壊されないようになっている。<br>「商業区1-2通過。これまで何もなしか」<br>　そうつぶやき馬車の中にいる二人の状態を聞こうと振り返ったとき、馬車に黒い影が写っているのが見えた。<br>「きたかっ！」<br>　見上げた視線の先に敵の姿を確認する。<br>　漆黒のローブをはためかせて顔をフードで隠している敵が、その身長よりやや大きく禍々しい鎌を振りかぶるのが見えた。<br>「&lt;&lt;<i>シャドウブレイド</i>&gt;&gt;」<br>　（子供の声？）<br>　レンがそう思ったのと同時に、馬車に向かって黒い斬撃が放たれる。<br>「全員退避！」<br>　咄嗟(ﾄｯｻ)に身の危険を感じ取ったレンは指令を出し、槍を取り自分も馬車から飛び降りる。<br>　斬撃が馬車の防御魔法に当たった瞬間に防御魔法の方が砕け散り、斬撃はそのままの勢いでに馬車に直撃しそれを破壊した。<br>「ほう」<br>　あの一撃で、防御魔法を突破した上に馬車まで破壊するとは。<br>　レンは感心しながらも敵を見る目は離さない。<br>　愛槍の布を振り払い臨戦態勢を整える。<br>　後ろでもがちゃがちゃと鎧の音がしたので、二人とも無事なようだ。<br>「ユリウス、マルセル。最初は私一人に任せてくれ」<br>「了解」<br>　<br><br><br>　エニグマは苛立ちを覚えていた。<br>　戦い始めて一時間は経つこの戦闘に。<br>　あの斬撃の一撃を回避したことには少し驚いたが、まぁ当たらないこともたまにはあるだろうと思った。<br>　だが、戦闘の始めにやつの脇腹を狙って不意に蹴りを入れてみたものの槍ではじかれてしまった。<br>　実力が互角・・・・・・向こうもどうせ気づいているのだろう。<br>　この場所で長期戦に持ち込とこちらが不利になる。<br>　それゆえに今まで奇襲という形で対象を消してきた。<br>　後ろに控えている騎士たちはじっと待機しているが、俺が逃げるとなれば即座に手を出してくるだろう。<br>　特にアーチャーの弓矢は危険だ。<br>　なんの魔力も持たない騎士が放つ弓は簡単によけれるが、あるとなれば話は違う。<br>　複数の矢を放ち対象を追尾する魔法を騎士が習得している場合、ほぼ100％の確率で傷を負うことになる。<br>　この状況を打開するには範囲魔法で攻撃し、相手が怯んだすきに離脱するしかない。<br>　ディオスの魔法を使うしかない・・・・・・か。<br>　手を前にだし呪文を唱え始める。<br><br><br><br>　任せてくれとは言ったものの、戦闘は一向に決着がつかない。<br>　戦闘の合間に質問を投げかけてみるが答える素振りは見せない。<br>　戦技&lt;&lt;<i>アイシクル・ランス</i>&gt;&gt;で攻撃した際には、向こうも戦技を発動して二つの戦技は相殺された。<br>　誰がどう見ても実力は互角で、長期戦になることは明確。<br>　この場所はレンにとっては有利だが、敵にとってはその逆だ。<br>　3対１というこの状況において、この戦闘を終わらそうとするのなら、敵は何かしらの範囲攻撃を使って撤退しようと考えてくるだろう。<br>「常闇(ﾄｺﾔﾐ)に住みし漆黒の精霊よ---」<br>（闇の攻撃魔法・・・・・・ときたか。ならばこちらも）<br>　相手と同じように手を前にだし、自分の最も得意なあの魔法の詠唱を始める。<br>「調和と真愛を司りし水の精霊よ---」<br>　魔法詠唱はその強さによって長さが変わる。<br>　二人が魔法詠唱を終えたのはほぼ同時だった。<br>「---全ての光を消し去る闇となりて敵を貫け」<br>「---その力を持ちて愛する者たちを守り給え」<br><br>「&lt;&lt;<i>ダークネス・クラスター</i>&gt;&gt;」「&lt;&lt;<i>リフレクション・ミラー</i>&gt;&gt;」<br><br>　エニグマの背後には詠唱によって出現した5本の漆黒の剣が整列し、レンの前には水のような煌(ｷﾗ)めきを持つ鏡が構成される。<br>　エニグマが前に出していた手を振り、鏡に向かって漆黒が降り注ぐ---<br>　と誰もが思った時、エニグマの声ともレンの声とも似つかない第三者の歌うような言葉が聞こえる。<br>「&lt;&lt;<i>失われし理</i>&gt;&gt;」<br>　何かが弾ける音ともに、レンとエニグマの魔法が両方とも消え去る。<br>「殿下！」<br>　後ろに居た二人が慌ててレンのまえに出る。<br>　驚愕に目を見開いていたレンは瞬時に冷静になり、声のしたほうを向く。<br>「初めましてレン王子。わたくし、‘‘蛇の骸‘‘に所属するバルドと申します」<br>　何事もなかったかのように平然と話す男は、一見執事服にも見える奇妙な服を着て立っていた。<br>「バルドだと？」<br>　そんな名前は聞いたこともない。<br>　そして先ほどバルドが使った魔法は・・・・・・。<br>「はい。<br>　この度は我が同胞（ﾄﾞｳﾎｳ）のエニグマがご迷惑をおかけしました。<br>　すぐに連れて帰りますのでお許しを」<br>　妙に嘲（）りが含まれているような口調で話してくる男はレンと戦闘をしている敵をエニグマと呼び、その所属が‘‘蛇の骸‘‘だとも明かした。<br>「まて、この度の迷惑というのはどういうことだ。<br>　この首都における今までの暗殺活動には‘‘蛇の骸‘‘は関わっていないというのか？」<br>「いえいえ、そういうことを申しているのではありません。<br>　わたくしたちはレン王子に危害を加えてはならないと、主より命じられているだけ。<br>　今までの事件は全て私たちの手によるものです」<br>　ニヤリと笑いながら説明してくる男に腹が立ったが、それよりも‘‘自分に危害を加えるなという命令‘‘が心に引っかかる。<br>「私に危害を加えるなとはどういうことだ」<br>「申し訳ございませんがそれに答えることは私にはできません。<br>　わたくしたちもいろいろとすることが残っておりましてね。<br>　これで失礼させてもらいますよ」<br>「待て！」<br>　バルドはレンの止める声を無視して一礼し、闇に溶けるように消えていく。<br>　前を向くといつのまにかエニグマもいなくなっていた。<br>「殿下、奴らは・・・・・・」<br>「二人とも‘‘蛇の骸‘‘だと言っていたな」<br>「新しく出てきたバルドとかいいう野郎も厄介そうなやつでしたね。<br>　あいつの魔法は俺も見たことないです」<br>「おそらく私の姉にならばわかるだろう」<br>「殿下の姉といえば・・・・・・クレセミア殿ですね」<br>「こうしてはいられない。<br>　急いで宮殿へ向かうぞ！」<br>　戦闘で馬車が壊れたため走ることになったがそんなことを気にしている余裕はない。<br>　バルドはまだすることが残っていると言っていた。<br>　‘‘まだ‘‘ということは、奴らの計画のほとんどはもうすでに完了しているのだろう。<br>　<br>　ようやく太陽の光が差し込み始め、まだまだ薄暗さの残る明け方の首都の大通り。<br>　首都クォルツェンを走る三人の姿は、巨大な迷路をせわしなく動く黒い点のように見えた。<br><br><br>--- 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<pubDate>Wed, 05 Nov 2014 18:00:00 +0900</pubDate>
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<title>かわうそあどべんちゃーｚ　1-3　‘‘蛇の骸‘‘　前編</title>
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<![CDATA[ ---　名陰暦378年　白月　レヴィア海域<br><br><br>　ひたひたと無限に波打つ大海原。<br>　ここはプルーヌス大陸の北東にひろがるレヴィア海。<br>　その昔、巨大な体と硬い鱗を持ちあらゆる武器も通用しない、世界の海を支配していた最強の生物がいたとされる海。<br>　それはリヴァイアサンと呼ばれ、神がつくりだした創造物であるという話が伝わっている。<br>　リヴァイアサンは今から二百年前に現れた英雄たちによって倒されて、今となっては存在しない。<br>　そうして、危険が去ったこの海に国を作ったのが今のメフィラス王国の初代国王であるナナコウ・ヴァルシオンだ。<br>　レヴィア海のある特定の海域、リヴァイアサンの倒されたとされる場所に王国の首都クウォルツェンはある。<br>　首都は作られたその時から海底に沈んでいる。<br>　いや、正確に言えば沈んでいるのではなく海底にそのまま建てられたという方が正しいのかもしれない。<br>　首都は魔法の力によって出来たドーム型の空気に覆われ、深海の中でもその圧倒されるような存在感が消えることはない。<br>　遠目から見ると宮殿のような様相をしている首都全体の壁は、アクアマイトという青く澄んだ鉱石で作られたでできている。<br>　あまりにも深い海底に首都があるため、ふつうは陸に住んでいるものが首都に行くことはできない。<br>　それを可能にするのが「海馬」である。頭は馬に似ているが、蹄は水かきに変わり体も馬よりは滑らかな曲線を描いている。<br>　陸の馬のようなふさふさとした尻尾は魚と同じヒレとなっていて、水中を最大時速60キロの速さで進むことができる。<br>　海馬には上位種である「鎧馬（ガイマ）」が存在しており、この大陸において唯一王国の水迅騎馬部隊のみが運用している。<br>　鎧馬は龍に似た硬い皮膚を持ち、移動速度においても海馬を遥かにしのぎ最大で時速150キロは出せる。<br>　しかしその繁殖力は弱いためその数は、現在においても1000匹程度しかいない。<br>　海馬は鎧馬よりも運搬能力に優れ、地上の馬３頭分の馬力を持つため陸から首都へ来るために重用されている。<br>　来る際には水中でも息ができるように魔法の泡で口を包み、海馬の背中に乗って首都クウォルツェンへと向かうのである。<br>　この世界では魔法が誰しも使えるわけではないため、個人で魔法使いを雇おうとすると莫大な費用がかかってしまう。そのため首都に一番近い海岸には海馬常留所が設置されている。<br>　常留所は関所のような役目を兼ねていて、そこを通る者に不審者がいないかの監視・通行料の徴収を行っている。<br>　そこを通って初めて首都にたどり着けるのだ。<br>　首都は深い海底にあるため通常は陽の光が差し込まないのだが、この国の発展した魔法技術により空気のドームと海面を魔法的につなげることで、地上の空気や陽の光を首都全体に行き渡らせている。<br>　夜になれば首都の周りは闇と静寂に包まれ、首都のところどころにある公園や大通りにある街灯に明かりが灯る。<br><br>　首都北西居住区の大通りを貴族のものと思われる大きな馬車が大通りを行く。<br>　御者は表情を引き締めてまっすぐ前を向き、自分の主を乗せた馬車を引き屋敷へと向かっている。<br>　そろそろ屋敷の一部が見えてきたことで安堵の表情を浮かべていた御者は、ふと上を見上げた。<br>　すると、頭上のはるか向こうから黒いものが落ちてくるのが見えた。<br>　一度は気のせいかと思ったがその黒いものが徐々に大きく見えてくることから、落ちてきているのは間違いない。<br>　しかし、海中との境界にある空気のドームから物が落ちてきたといいう話は誰も聞いたことがない。<br>　馬の歩を進めながらも上を見ていた御者はかなり近づいてきた‘‘ソレ‘‘が何かを知り驚愕（ｷｮｳｶﾞｸ）の表情を浮かべた。<br>　その御者が言葉を発することはなかった。いや、発っそうとしなかったわけではない。<br>　言葉を発する前に真っ二つにされたのだ。<br>　御者も馬車もそれに乗っていた貴族もまとめて。<br><br>---　クウォルツェン　王宮内部　　---<br><br>　アクアマイトでできた床の上に赤と金糸で編まれた絨毯（ｼﾞｭｳﾀﾝ）が敷いてある通路をふたりの男が歩いていく。<br>　一人は鋼のプレートメイルに身を包んだ体格の良い騎士、もう一人は青を基調として所々に白い刺繍の入った礼服を着ている、背のすらっとした若者。<br>「・・・・・・殿下。ご報告がございます」<br>　騎士が若者に話しかける。<br>「聞こう。話してくれ」<br>　若者の名はレン・ヴァルシオン。<br>　この王国の王子である。<br>　その後ろを警護する形で歩いている騎士はアドルフ・ドゥレガー将軍。<br>　アドルフは17歳という異例の若さで将軍まで昇格した人物で、22歳の今も王国内では一騎当千として有名なハルバード使いとして知られている。<br>「今朝、北西居住区の大通りにてトント公爵がお供の者と一緒に殺害されているのが見つかりました」<br>「・・・・・・これで３人目か」<br>「フーリッシュ伯爵、アンサンセ男爵、トント公爵。いずれの三名も場所は違えど同じ方法で殺されています」<br>「斬技による一撃死・・・・・・か。いくら夜だったとはいえ巡回に回っている警備の者が気づかないとはな」<br>「公爵が死体で発見された場所の大通りの地面には、斬技によって出来たと思われる２メートルほどの裂け目がありました」<br>「・・・・・・‘‘蛇の骸（ﾍﾋﾞﾉﾑｸﾛ）‘‘。奴らの仕業だと思うか？」<br>「間違いないかと。魔導調査局の者に透視系魔法を使用させて調べたところによると、公爵を襲ったのは一人のみでそいつは腕に蛇を象った紋章を刻んでいるとの調査結果が出ましたので」<br>「・・・・・・何か対策を講じないと被害は広まるばかりかもしれんな」<br>　そう言って顎に手を当て考え込む。<br>　その横顔は、この状況に困っているというよりも楽しげに見えるものだった。<br>　<br>　‘‘蛇の骸‘‘とは2,3年ほど前に現れ、その規模も実態もまだ詳しいことは分かっていない謎の組織である。<br>　現在わかっているのは、殺人依頼を主な稼業（ｶｷﾞｮｳ）とし体のどこかに蛇を象った紋章があるということだけだ。<br>「アドルフ将軍、貴殿の部隊の中で腕の立つものを2名ほど選んで私にあずけてもらえないだろうか」<br>「畏まりました。こちらの方で騎士を選出しておきます。ですが、一体何に使われるおつもりで？」<br>　王子を合わせてもたった3名で一体何をするのか気になったアドルフは一応聞いてみた。<br>「それはもちろん---するのさ」<br>「・・・・・・いささか危険ではないでしょうか？」<br>「だが、この手段の方が手っ取り早く相手の情報を得ることができる」<br>　アドルフはそれでも危険なことはやめておいたほうが良いと忠告するのをやめた。<br>　たとえ言ったところで王子の考えが変わることはないと考えたからだ。<br><br><br>--- 前へ →<a href="http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11934118414.html">http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11934118414.html</a><br><br>--- 次へ →<a href="http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11945076452.html">http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11945076452.html</a>
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<pubDate>Sat, 25 Oct 2014 20:00:00 +0900</pubDate>
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<title>かわうそあどべんちゃーｚ　1-2　‘‘決意‘‘</title>
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<![CDATA[ ---　明陰暦　378年　白月　　アメス村北部の大森林　---<br>「誰か助けて・・・・・・」<br>　少女は樹の根元に空いた穴に隠れ、肩を震わせて怯えている。<br>「グルルルルルルルゥ・・・・・・」<br>「ひっ」<br>　慌てて、口から出そうになった悲鳴を押し殺す。<br>　もうすぐ見つかって殺されてしまうのではという恐怖で涙が溢れて前---穴の外が見えない。<br>「こんなとこ来ちゃいけなかったのに・・・・・・」<br>「お母さんごめんなさい・・・・・・」<br>　消え入りそうな声でそうつぶやく。　<br>「グオオオオオオオオオオオオオオオオ！！」<br>　そのモンスターは白くもっさりとしたタテガミと紫色の皮膚をし、口の両側からは鋭い牙がむき出しになっている。<br>　---フェンリル。そう呼ばれるこのモンスターは本来、森の奥でしか見かけることがない巨大な狼型のモンスターだ。<br>　フェンリルは出て来いと言わんばかりに巨大な雄叫びを森中に轟かせる。<br>「だれか・・・・・・だれか助けて・・・・・・お願い・・・・・・」<br><br><br>---　アメス村　---<br><br>　いつもはのどかで平和なこの村も今日という日は違った。<br>　村は陽気な音楽で包まれ、赤い羽根や派手な装飾のついた服や、色とりどりの綺麗なドレスなどを着た若いかわうそ達で賑わっていた。<br>　そう、今日はこの村の成人式の日なのだ。この村で成人式を終えた若者たちの大抵は、首都エンテレンの方へと旅立ちそこで職を探す。<br>　あるものはモンスターなど侵入から国境を守る衛士になり、あるものは鍛冶屋や道具屋といった店で修行をつもうとしたり、また極小数ではあるがギルドに入ったりする者もいる。<br>　そのため、村のあちらこちらでは若者同士がお互いにどのような職に就くのかを聞きあっている光景を目にする。<br>　そんな村の中にあるそれほど大きいとは言えない二階建てのこの家でも、今日の成人式に出席しようとしている若者の一人が朝早くから荷物をまとめていた。<br>　カイ・グレーデン。少年は布でできた赤の服を着て、村に流れる音楽に合わせて鼻歌を歌いながら自分のバックに一人旅に必要なものを詰め込んでいた。<br>　食料、水筒、外套・・・・・・必要と思われるものを詰め込んでもそれほど荷物は大きくならない。<br>　まあ、必要になったら他の街によった時に買えばいいとカイは考えていた。<br>　他の人達は自分の目標があってそれに向かって進んでいた。<br>　自分には特になりたいと思うものがなかったから、適当に世界を見てまわろうと思っていた。<br>　太陽がまだ完全に登りきっていない様子を見ると、まだまだ成人式まで時間はあるようだ。<br>　少し寝ていこう。<br>　ベッドに寝転んだカイの意識を眠気がゆっくりと包み込み侵していく。<br><br><br>---　噴水広場　---<br><br>　太陽も真上に登り少し暖かくなってきた。そろそろ成人式が始まる時間になってきたのかぞくぞくと人が集まってくる。<br>「どうしよ・・・・・・どこにいるのかな・・・・・・？」<br>　アメジスト色の透き通った瞳をもち、おどおどとした様子で辺りをしきりに見回す一人のカワウソがいる。<br>　そのあまりに愛らしい様子を見て、周りの女性からは黄色い声が、一部の男たちの瞳には危ない光が灯る。<br>　そんな中、噴水の手前に備え付けられた台の上に、この村の村長が二人の体格の良い男達に付き添われてヨロヨロとしながら現れた。<br>　そのあとに続いて四人の武装をしたカワウソが続く。<br>　銀色に輝く鉄の鎧、革の素材で作られた軽そうな戦闘服、風にはためく蒼い魔導服、陽の光を受けて純白に輝くローブ。<br>　ギルド「疾速の翼」から派遣されてきた戦闘要員である。<br>　主要人物の登場によって、その場の若者たちが互いに話をやめ、村長が話し出すのを待つ。<br>「えーー、本日成人なさるそなたたちは------」<br>　村長の話が始まったと同時に、広場に集まった集団の後ろの方にこそこそとやって来たものがいた。<br>　もちろんカイである。<br>　家で寝ていたカイがもうそろそろかなと思い起きた時にはほとんど陽は登りきっていた。<br>　寝坊したと即座に知り、心の中で自分に舌打ちをしながら準備していた荷物を背負い家を飛び出してきた。<br>　しかし村長はというと、気にしてない様子で話を続ける。というのも村長はかなりの高齢で眼と耳の両方が悪いのだ。<br>　それに加えて真っ白なヒゲとふさふさの眉毛により、視界などほとんど全く見えていない。<br>　にも関わらず村長がこれまで元気でいるのはそばに控える二人の介護役のおかげである。<br>　こそこそとやってきたカイを見て、怪訝そうに眉をひそめて見るものもいれば、不思議そうに見る者もいる。<br>　それは遅れたからという理由からではなかった。<br>　カイは生まれた時から、右の瞼に傷を持って生まれてきた。<br>　その傷のせいで右目は全くと言っていいほど開けられなかったし、その傷を怖がる者や、気味が悪いなどと言ってちょっかいを出してくる者がたいていだった。<br>　だが、カイはそういった言葉を気にはしなかった。<br>　ただそういった者の相手をするのがめんどくさいというのが本心だった。<br>「まだ始まったばっかだから大丈夫そうだな」<br>　そう言ってしばらくは、村長の話す言葉に耳を傾けていたが、聞いているうちにだんだんと退屈になってきたので周りを見回していた。<br>　ほかの人が前を向いて村長の話を聞いている中、カイの方をじっと見てくる視線があることに気づいた。<br>　それが誰なのかを確認しようと、その場所に目を向けてみるがそこには誰もいなく、さっきまでそこに誰かがいたかのような空間が空いていた。<br>「ま、いっか」<br>　そう呟いたあと、遠くの方からモンスターと思わしき咆哮が聞こえてくる。<br>　と、少し遅れて警告の鐘の音が村全体に鳴り響く。<br>「森林の方にモンスターがいるぞーーーー！」<br>「急いで安全なとこに避難するんだ！」<br>　誰かがそう叫んだのを皮切りに、広場に集まった者たちは一斉に蜘蛛の子を散らすように逃げ始める。<br>　それも当たり前である、モンスターと戦える手段をもつのはギルドに所属するものくらいだからだ。<br>　戦闘力のない市民が戦おうとしても力の差により蹂躙されるのは目に見えている。<br>　自ら望んで死にに行こうとするものなどいない。<br>　モンスターに襲われた場合、ギルドのチームがここに来るまで生き延びることが一般人の必然的な運命である。<br>　さっきまでそこにいたギルドの戦闘員達の姿はなく、既にモンスターを退治しに行った後なのだとわかった。<br>　生まれてこのかた、カイは戦闘を見たことがない。<br>　ゆえに恐怖よりも未知に対する好奇心のほうが勝る。<br>　何も考えず気づいたときには走りだしていた。<br>　村はそれほど大きいというわけではないが、北側には大森林の樹が密集しその中で道が迷路のように入り組んでいる。<br>　そのため森林に入り込めばモンスターがどこにいるか確認することはできない。<br>　森への入口の印である門をくぐろうとしたときだった。<br>「グォォォォォォォォォォォォ！」<br>　突然、林の向こうからモンスターの咆哮が聞こえてきた。<br>　その声が聞こえたということはかなり近い距離にいるのだということが分かる。<br>　その証拠に、木々の間からモンスターとギルド員による戦闘が、森の中にある開けた場所で行われているのが伺える。<br>　あわてて側にあった樹に隠れ、戦闘の様子を伺う。<br>　そこには白いローブを着た女性に保護されている小さな女の子の姿が見えた。<br>　そのカワウソとを中心に球形で薄緑色の膜が見える。<br>　おそらくあの白いローブのカワウソが防御結界魔法をはっているのだろう。<br>　その数十メートル先で、三人が巨大な狼型のモンスターと戦っているのが見えた。<br>「シルビアは右側面から冷撃魔法をっ！エンライは左側面から物理攻撃を！」<br>　青い魔導服を着た一人は、残りの二人に指示を出し、モンスターから離れた位置で炎の弾を打ち続けている。<br>　指示を受けている鉄の鎧と身軽そうな戦闘服を着た二人は、慣れた立ち回りでモンスターを撹乱させながら、手に持った剣や魔法による攻撃を加え続けている。<br>「そろそろ範囲魔法を使う！」<br>「了解！」「あいよっ」<br>　二人は同時に返事を返しサッと後ろに飛び退いた。<br>「&lt;&lt;<i>グルート・カノン</i>&gt;&gt;！」<br>　そう叫んだ青い服の魔導師の前に、紅い紋章の描かれた魔法陣が現れその中心が炎の渦を巻いたかと思うと、モンスターに向けて大岩のような炎弾が放たれた。<br>　その弾が放たれた瞬間、凄まじい衝撃とともに熱風が周りに吹き荒れ木々がざわめく。<br>「うっ」<br>　顔を腕で隠さなければ目も開けていられないほどに風が凄まじい。<br>　戦闘をしている三人を腕と腕の隙間から見たが、魔法を放ったカワウソとさっきまで攻撃していた二人はキッと前を見据えてその場に立っていた。<br>　熱風も次第に収まり、上げていた腕をおろしたカイが、先程までモンスターのいた方向を見るとひとつの卵が落ちていた。<br>「うっし、これでもう大丈夫っすね」<br>　そういいながら鉄の鎧を着たカワウソが落ちている卵を回収する。　<br>「そうだな、だが油断は禁物だ。この周辺をもう一度探索して安全を確認したあと村へ戻ろう」<br>　青い服の魔導師は白いローブの魔導師に向き直り尋ねた。<br>「ユース、その女の子の状態はどうだ？」<br>　ユースと呼ばれた魔導師はニッコリと笑って<br>「ええ、先程よりは比較的落ち着いてきましたわ。この調子であれば村へ戻しても大丈夫でしょう」<br>　女の子は瞳から大粒の涙をこぼして嗚咽しながら感謝の言葉を言い続けている。<br>「君の両親は村の方に居るのかい？」<br>　優しい口調で女の子に尋ねている。<br>　流れてくる涙を服の袖で拭いながら少女は首を縦に振る。<br>「そうか、なら村に一緒に戻ろうか」<br>　そう言って、ウンと頷いた少女の手を引いて村に帰っていく。<br>「かっけぇ・・・・・・」<br>　その後ろ姿を見ておもわずそんな言葉が出る。<br>　だがその言葉以外に当てはまる言葉なんてカイは知らなかった。<br>「俺・・・・・・あの人のギルドに入りたい」<br>「そんでもって、あの人みたいに強くなる！」<br>　そう叫んだカイの声は森の中に吸い込まれていった。<br><br>　ここからがスタートだ。<br><br><br>--- 前へ → <a href="http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11932668806.html">http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11932668806.html</a><br><br>--- 次へ →<a href="http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11943082066.html">http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11943082066.html</a>
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<pubDate>Wed, 08 Oct 2014 20:00:00 +0900</pubDate>
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<title>かわうそあどべんちゃーｚ　1-1 ‘‘幼き夢の狭間で‘‘</title>
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<![CDATA[ <br><br><p>---　明陰暦　３６４年　---</p><br><br><br><br><br><p>--闇。闇。闇。</p><br><p>　まわりを見渡しても木が生い茂り、暗く先の見えない闇が広がるばかり。そんな木々の間をぬうように駆けていく一匹がいた。</p><br><p>　黒褐色の体毛と、腹のほうに近づくにつれ薄い褐色の毛で覆われている長い胴と短い足。よく見ると手や足には水かきがついていて、つけ根が胴体とおなじほど大きな尻尾もある。耳は小さく目は頭の先端に近い位置にある　--大人のかわうそだ。</p><br><p>　その一匹は走りつかれたのか、まわりを警戒しながらもすぐそばにあった大きな岩に座った。いや、座ろうとした瞬間だった。ｶﾝｯと何か硬いものがぶつかる音がした。だが、そこには何もいなかった。先ほどまでそこにいた者も。</p><br><br><br><p>---　<font color="#006600">グルームプート</font>　<font color="#000000">アメス村</font>　---</p><br><br><br><p>「はい。おしまい」</p><br><br><br><p>　やさしそうなお婆さんの声が、幼稚園の中に張り詰めていた空気をふっと柔らかくし、</p><br><br><br><p>「うわーん。こわーいよー」</p><br><br><br><p>　さきほどまでこのおばあさんは、ある２，３匹のかわうそが森の奥に入ってしまい、そこで野獣に追い掛け回されるという話をしていた。それまで、静かに聴いていた子供たちも怖さからきていた緊張がなくなり、いっせいに口を開き始める。おばあさんはそれを静かにさせてから<br><br></p><br><p>「だ・か・らぜーったい。森の奥には入っちゃだめよ～？」</p><br><br><br><p>　と慣れた口調で言う。<br><br></p><br><p>「はーい」</p><br><br><br><p>　子供たちは今にも泣き出しそうな顔をして自分の寝床に入っていく。まだそこに座っている一匹を除いて。</p><br><br><br><p>「どうしたの？カイ君ももうおねんねの時間ですよ？」</p><br><br><br><p>　それでも動こうとしない様子だったので、やれやれといった面持ちで抱っこしたおばあさんに、</p><br><br><br><p>「森の奥には何がいるの？」</p><br><br><br><p>　と、カイは尋ねた。</p><br><br><br><p>「こわーいこわーい怪物さんがいるのよ」</p><br><br><br><p>　そう言って、ニコニコしながらカイを寝床まで運んで寝かしつけた。</p><br><br><br><p>「おやすみ」</p><br><br><br><p>「おやすみなさい」</p><br><br><br><p>　返事を聞き届けたおばあさんは、扉をゆっくり閉めてどこかへ行ってしまった。カイも寝床に入って安心したのか、すぐに寝息をたてて夢の世界へと落ちていった・・・・・・</p><br><br><br><br><br><p><br><br></p><br><p>「・・・・・・ん？」</p><br><br><br><p>　気がつくとカイは森の中にいた。</p><br><br><br><p>「ここどこなんだろう？」</p><br><br><br><p>　まったく見たことの無い場所だったので、辺りを見回しながら歩いていくと、ひらけた場所にたどり着いた。ただ、ひらけているといっても普通の部屋ひとつ分くらいのスペースしかないし、周りを木が円を描くように立っている。途中で折れてしまったのだろう、手を置くのにちょうどよい高さの朽ちた木が円の中心にあった。そこまで足元のおぼつかないような様子で歩いていく。<br><br>　ふと、目の前のぽっかり空いた真っ暗な空間に、緑色の丸い光のようなものが浮かんでいるのに気づいた。</p><br><br><br><p>「なにこれ？」</p><br> <br><br><br><br><br><br><p>---　　---　　---</p><br><br><br><p>　さっきから自分の領域に入ってきたものがいることは、自分の知覚能力ですでに知っていた。が、木々の間から姿をあらわした者を見て疑問を抱いた。</p><br><br><br><p>（なぜこの場所にかわうその子どもがいるのだ。早々にでも追い出そうか）</p><br><br><br><p>　そう思ったが、あえて何をしようとするのか見てみることにした。だが、別段変わったことをするわけでもなく辺りをきょろきょろとしている。</p><br><br><br><p>（迷ったのだろうか。いや、だとしても普通の者がここに入れるわけが無い）</p><br><br><br><p>　と考えていると、かわうその子どもが自分に向かって手を伸ばそうとしているのに気づき、結局</p><br><br><br><p>（直接聞いたほうが早いか）</p><br><br><br><p>　という結論に達した。</p><br><br><br><p>---　　---　　---</p><br><br><br><br><br><p>「汝、何ゆえこの場所を訪れた？」</p><br><br><br><br><br><p>　いきなり声が聞こえたことに驚いて、カイは伸ばしかけた手を引っ込めた。</p><br><br><br><p>「わかんないよ。なんか、寝てたらいつの間にここに来てた」</p><br><p><br><br>　そう言った後、改めて緑の球をみると、ちょうど真ん中で螺旋を描くように回る何かが見えた気がした。なんだろうと思ったが、ちょうど話しかけられたのでそれ以上考えるのをやめた。</p><br><br><br><p>「ここは危険な場所である。汝はすぐに帰ったほうが賢明な選択である」</p><br><br><br><p>「えっ？どうして？」</p><br><br><br><p>「汝の住む場所では、森の奥は危険だという話が伝わってあるだろう？」</p><br><br><br><p>「うん。今日寝る前に園のおばあさんから聞いたよ」</p><br><br><br><p>「ここは、その森の中でも特に誰も寄ろうとしない場所である」</p><br><br><br><p>「汝もすぐに帰ったほうが良いだろう」</p><br><p>　</p><br><p>　と言われたが、どうやって自分がここに来たのかも分からないのだから、帰る方法なんて分かるわけが無い。それに少し眠たくなってきた。気づいたときにはもう、無意識に目をこすっていた。</p><br><br><br><p>「眠たいのか？」</p><br><p>　</p><br><p>　と聞かれたので</p><br><br><br><p>「うん。眠たい」</p><br><br><br><p>　と素直に答えた。</p><br><br><br><p>「そうか、それならばそこに寝床があるゆえ、そこで寝るといい」</p><br><br><br><p>　下を向くと、自分が手を置いていた朽ちた木が無くなって、代わりにふかふかの葉っぱで作られた寝床があった。こんなのあっただろうかという風に思いながらも、さっきから襲ってくる眠気には勝てず、すぐに横になってしまった。</p><br><p>　葉っぱの寝床はとてもふかふかしていて、カイの意識をゆっくりと眠りの淵へと引き込むには十分だった。</p><br><br><br><p>「汝にはまだまだするべきことがあるようだ。時期が来ればそのうちここにもまたくることになる」</p><br><br><br><p>「さあ、家へと帰るのだ・・・・・・」</p><br><br><br><p>　そんな言葉を眠りに落ちる寸前に聞いたような気がした。<br><br><br><br></p><br><p>---</p><br><br><br><p>　しばらくして、子どもがいなくなったのを確認した緑色の球は</p><br><br><br><p>「・・・・・・この世界に変革が訪れようとしている」</p><br><br><br><p>　そういった後、ゆらゆらと揺らめきながら消えていった。そしてひらけていた場所も、どこから沸いたのかわからない濃い霧に包まれて見えなくなっていった。</p><br><br><br><br><br><p>---　クウォルツェン宮殿内部　　---</p><br><br><br><br><br><p>　青く澄んだ壁は部屋の中にある水面からの光を受けてぼんやりと光っている。そこには水面からの光以外、光源は一切無い。そのキラキラときらめく水面をジッと、まるで何かを探すように目をしきりに左右に動かしながら見ている若いかわうそがいた。</p><br><p>　その者は、白いフードつきのローブに身を包み、手にはクリスタルのような形に加工された青い宝石を持っている。--　白魔導師　クレセミア　--それが彼女の通り名である。彼女は<font color="#0000ff">メフィラス</font>の中でも最上級のSSランクの白魔導師であり、この国唯一の預言者でもある。</p><br><p>「ついにあれが動き出すのね」</p><br><br><br><p>「こちらも早急に手を打たねばならないわ」</p><br><br><br><p>そういって彼女は立ち上がり、手にしていた宝石を持ち上げた。宝石は徐々に白い輝きを増していき、部屋全体を光で埋め尽くしていった・・・・・・</p><br><br><br><br><br><p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　---　１－１　ed ---</p><br><br><br><br><br>---"前へ"へ→<a href="http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11932493367.html">http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11932493367.html</a><br><br>---次へ →<a href="http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11934118414.html">http://s.ameblo.jp/wmawmdmw/entry-11934118414.html</a>---
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<pubDate>Wed, 01 Oct 2014 22:30:00 +0900</pubDate>
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<title>かわうそあどべんちゃーｚ　まえがき（改訂）</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20141013/02/wmawmdmw/a1/65/p/o0720032813096174223.png"><img src="https://stat.ameba.jp/user_images/20141013/02/wmawmdmw/a1/65/p/o0720032813096174223.png" width="400" height="182"></a><br><br><br><br><p>　海と大陸が、６：４の割合で構成されたアドランティア。そこでは多種多様な国がそれぞれの文化を発展させながら栄えている。</p><br>この世界にあるプルーヌス大陸には三つの国がそれぞれの文化を発展させていた。<br><p>　　　　　　　　　　　　火の帝国　<font color="#ff0000">ラギアノクス</font></p><br><p>　皇帝がすべての権力を握る国。有能なものを重用する官僚制度を制定しており、皇帝直属の部下たちの有能さは大陸に広く知れ渡っている。<br>また、活火山や鉱石がよく取れることで有名であり、それを売ることを生業として生活している者が多くいる国。<br>それいがいに、武術面において他国を凌いでおり、家族を守るために兵士となって国境を防衛する者や、凶悪なモンスターを狩るためのギルドに入るものもいる。<br>なお、ギルドの数は三国中もっともおおく存在している。<br>ここの住民は２ｍをゆうに超える身長を持つものが大抵であり、体格もかなりごつめである。</p><br><br><br><p>　　　　　　　　　　　　森の連合国　<font color="#009900">グルームプート</font></p><br><p>　うっそうとした大森林の中に大小さまざまな国が集まりひとつの国家を作っている。<br>そこでは農業や林業などが発達していて、比較的温厚な種族達がで暮らしている。<br>土地のほとんどが未開であり、さまざまな謎が残されている国でもある。<br>大森林の中には迷宮があり、そこを踏破できたものは永遠の富･名誉を得られると噂され、日々大森林を探索するものが絶えない。<br>だが、森林の中には凶悪な野獣やドラゴンなども住み着いており、迷宮にたどり着く前に命を落とすものが多いのもまた事実である。</p><br><br><br><p>　　　　　　　　　　　　　水の王国　<font color="#0000ff">メフィラス</font></p><br><p>　絶対王政制度を敷いており、何人も王に逆らうことは許されない。<br>また、昔からの貴族制度を未だ続けている国であり貧富の差が激しい。<br>特に魔法技術が進んでおり、魔法と密接に関わっている生活が主である。<br>首都全体がさんご礁や青く澄んだ鉱石であるアクアマイトで形成されていて、まるで宮殿のような様相をしている。<br>首都は水の底に沈んでいるため陸からはその姿を完全に認識することはできない。<br>アドランティアの海は塩を一切含んでおらず、調味料としての塩の補給はすべて宮殿内部にあるリーシャム<font color="#ff00ff">（*１）</font>養成場で収穫されている。<br>大陸周辺の海を完全に支配している国でありその軍事力･経済力はほかの国と比べても郡を抜いている。<br>漁業をメインとして栄えていて、この国でしかとることのできないアクアマイトの生産・加工も行っている。</p><br><br><br><p>　この世界ではマナという物質が豊富に存在し多様な魔法が存在する。<br>だが、魔法を使用することができるものは限られている。<br>そしてこの大陸には秘匿三源神と呼ばれるとてつもなく強力な御神体が存在するという伝承が伝わっている。<br>御神体の能力はそれぞれによって違うが、どれも使いようによっては世界を破壊できるほどの力を持っているという。</p><br><br><br><p>　　　　　　　　　　　　そんな世界の、ある小さなかわうその村から物語は始まってゆく・・・・・・</p><br><br>
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<pubDate>Tue, 30 Sep 2014 18:00:00 +0900</pubDate>
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