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<title>yamineko24のブログ</title>
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<title>第１９話「絶叫」</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/o0640042713437103093.jpg"><img border="0" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/t02200147_0640042713437103093.jpg" alt=""></a><br><br>第１９話「絶叫」(投稿者：宮城県・A.Tさん)<br><br><pre>今から20年前、ある女性が大阪の企業に勤めていた毎日続く激務に疲れ果て、そろそろ転職しようかと思っていた頃の話であるその企業の社宅の女子寮というのが、山奥の骨董品のようなボロアパートだったかろうじてユニットバスをつけただけの古アパートを嫌い、その社宅に住んでいるのはその人だけだった会社が家賃の大半を払ってくれていることと、静かで環境が良かったためだというある日、激務を終えて夜中にへとへとになって帰ってくると、自分の部屋に明かりが点いているおかしいな、消し忘れたのか……と思っていたが、それからもしばし消したはずの部屋の電気が家に帰って来ると点いていることがあった。会社の総務部に言って点検してもらったが、異常はなかったというそのアパートには通常の階段の他に非常階段があり、その人の部屋は正面から見て左端にあったそんなわけで、彼女は疲れ果てて帰ってくるとアパートの左端にある非常階段を使って部屋に帰っていたその日の仕事も深夜になった。くたびれて非常階段を登り、非常扉を開けると、人がいたその人を見た瞬間、体験者はぞくっと寒気を感じたというそこにいたのは女性だった。しかし、知り合いではなかった見たこともないような物凄い長身の女性で、白い、フリル付きのワンピースを着ていたというしかもそのワンピースは汚れており、あちこちに枯れ葉がついている有様であった汚れた白い靴に穴の開いたストッキング、パサパサになった長髪には、すり切れかかったリボンが結ばれていたというこのアパートに私以外の住人はいない、ホームレスだろうか……と、そんなことを考え、部屋に入ろうとバッグから鍵を取り出した瞬間だったひーぃぃいいいいーーー悲鳴とも笑い声ともつかない絶叫が廊下に響き渡った体験者は肝を潰してその女を見たという。するとワンピースの女は、一歩一歩こちらに歩み寄ってきたのだという薄暗い廊下の中で、そのワンピースの女をよく見ると、肌が異様に白く、目の周りは汚れて落ち窪んでいたその瞬間、体験者はこの女がこの世の者ではないとわかって、背筋が凍りついたひーぃぃいいいいーーーまた甲高い声が女から発し、身の危険を感じた体験者は非常扉の外に飛び出たゆらゆらと揺れるワンピースの女の影が非常扉の窓に映しだされた瞬間――バン！ひーぃぃいいいいーーーワンピースの女が非常扉にぶつかる物凄い音が非常階段に響き渡り、同時にあの絶叫が耳を劈いた（あっちに行って！　あっちに行って！）祈るような気持ちで非常扉のドアノブを握っていると、女の影が窓から離れ、あの絶叫が徐々に遠ざかっていったというしばらくして、体験者は恐る恐る非常扉を開け、廊下の向こうを見たまだあのワンピースの女はそこにいたが、こちらに背を向け、廊下の向こうにゆらゆらと歩いてゆくそのとき、この女の目をかすめるには今しかないという直感が体験者を貫いたのだという体験者は非常扉から飛び出るや、急いで部屋の鍵をドアノブに差し込み、自分の部屋に入って鍵を掛けた部屋の電気はまた点いていたという。だが、この時だけはその奇妙な事態に感謝したというしばらく部屋で息を殺していると、やがて廊下から物音が聞こえなくなったもういいだろうと、体験者はそっと台所横の窓に近づき、窓から廊下を覗いてみた女は、まだそこにいたうわっと思った瞬間、こちらに背を向けていた女がこちらを振り向いたひーぃぃいいいいーーーまたあの絶叫が廊下に響き渡った。見つかった、と思ったという体験者は部屋に逃げ込んだことを後悔したという。鍵を掛けたはいいが、あの女に見つかったら逃げ場がないのである体験者は押入れから布団を引っ張り出し、頭から布団をひっかぶってガタガタ震えるしかなかったその隙間から台所の窓を覗くと、その白い女の肩の部分が窓から見えたというバン！あの女が、先ほどと同じように非常扉に激突する音が聞こえたあまりの恐怖に、体験者は（なんで私がこんな目に……）とボロボロと涙を流しながら震えていたというひーぃぃいいいいーーーまたあの声だ。体験者は布団の隙間から窓を覗いた。女の薄汚れたワンピースを見て、体験者はぎょっとしたというさっき窓に映った時は、確かに女の肩が窓に写っていただが、今は肩が見えない。ただでさえ化物のように身長が高い女の肩が、まるで急に伸びたかのように見えたのだというどういうことだ、女の身長が伸びているとでも言うのか――そう思った瞬間、あの女の姿が窓のところで止まったひーぃぃいいいいーーー一分、五分、十分……例えようもなく長い時間が過ぎ、体験者は布団から顔を出し、窓を見てみたその瞬間、気絶しそうになったというあの女の顔が、廊下の窓にべったりと張り付いていたのだというひーぃぃいいいいーーーついに見つかった女の両手が窓枠に掛けられ、（もうだめだ……）と体験者が絶望した瞬間だったドン！　シャーーーン！！物凄い音と金属音が聞こえ、その音に頭を蹴飛ばされるようにして、体験者の体に自由が戻ったのだという同時に、窓に張り付いたワンピースの女でさえもが、ビクッと見を震わせたのがはっきりと見えたドン！　シャーーーン！！またもう一度あの金属音が聞こえた瞬間、今度は低い男性の声で読経が響き始めたというふと気がつくと、さっきは見えなかったはずのあの女の肩が見えて、体験者は目を剥いた（縮んでる……）体験者はそう思ったというワンピースの女が窓から離れ、再びフラフラと非常扉の方に歩き出すのが見えた誰かが助けに来てくれた。そう思うと急に力が湧いてきて、体験者は布団から飛び出し、廊下を覗いてみたそこに立っていたのは、半円形の笠を被ったお坊さんだったという顔は笠で見えず、身なりこそ女と同じように汚れていたが、手には立派な錫杖を持っていたそのお坊さんが錫杖の先を床に振り下ろすたび、ドン！　シャーーーン！！　と凄い金属音が鳴るのだというすると、あの女がそのお坊さんに引き寄せられるようにしてフラフラと歩き出した逃げ出すなら今しかない。体験者は慌てて荷物をまとめたバッグを持ち、ドアをそっと開けて廊下に出た見ると、あのお坊さんを見下ろすようにして、あの白いワンピースの女がこちらに背を向けて立っていた化物のように巨大な見下ろされているお坊さんは、それでも唱える読経には全く乱れがなかったという（このお坊さんは強い、あの女をきっと退治してくれる――）急に勇気と安心感が湧いてきた女性は、部屋を飛び出して非常階段に走ったという最後に体験者が背後を振り返ると、そのお坊さんに射すくめられ、微動だにしないあの白い女の姿があったドン！　シャーーーン！！ひーぃぃいいいいーーー……お坊さんが錫杖を床に叩き付けるたびに、女の方がビクッと震え、その度に見上げるように高かった女の身長が縮んでゆく間違いなかった。お坊さんが錫杖を鳴らす度、女は小さく小さく、どんどんと縮んでいっていたのだもういい、これは最後まで見てはいけないと、体験者はアパートを飛び出したアパートを離れ、必死に走っていると、不意に体が軽くなり、もう大丈夫だという安心感が全身を弛緩させたというドン！　シャーーーン！！ふとアパートを振り返ると、あのお坊さんの錫杖の音が小さく聞こえたというひーぃぃーー……もう悲鳴とも言えないほど小さくなったあの女の声が最後に聞こえた瞬間、何故か点いていたアパートの電気がフッと消えるのが見えたというそのまま体験者は友人の家に転がり込み、今しがた起こったことを説明したという「怖いからやめて！」と途中で友人に話を遮られたが、それが却って、体験者に奇妙な安心を覚えさせたというそのおかげでその会社をやめる決心がついた体験者は、ほどなくして会社を退職し、今は東京で暮らしているという以上だ。最初こそノリコシ入道のような怪物なのかと思ったが、読んでいる内にこれは正しく八尺様だと思い当たったので書いてみた八尺様の「ぽぽぽ……」ではないが、「ひーぃぃいいいいーーー」と繰り返される絶叫が気になったさらに、白いワンピース、八尺ほどもある天を衝く長身というところに八尺様との共通点を見た八尺様は封印されていたというが、もしこの女が八尺様だとすると、八尺様は結界に閉じ込められたのではなく、こういう強力な存在をくっつけられて封印されたのではないかとも思う。</pre><br>
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<link>https://ameblo.jp/yamineko24/entry-12078537689.html</link>
<pubDate>Tue, 29 Sep 2015 12:33:34 +0900</pubDate>
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<title>第１８話「今日でお別れ」</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/o0640042713437103093.jpg"><img border="0" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/t02200147_0640042713437103093.jpg" alt=""></a><br><br>第１８話「今日でお別れ」(投稿者：大分県・S.Mさん)<br><br><pre>20歳頃付き合ってた5歳年上の女がすごい生意気だった。最初は俺が惚れて1年ぐらいかけてやっと付き合えたのだが俺が下手に出すぎたのか俺はペット状態。口ぐせは「○○（俺）のくせに生意気」こんな女でも好きだったので2年ほど付き合ってたが彼女の傲慢さは増す一方。何回か喧嘩したけど改善されず。自分は俺に内緒でコンパとか行きまくってるくせに俺が妹から電話かかってきただけでもブチ切れ。女友達も全部いなくなって自分でもなんでこんな女と付き合ってんのかわからなくなった頃相手の浮気が発覚。もうさすがに我慢できずに大喧嘩になったがこの女言うに事欠いて「私と○○なら私は5回ぐらいは浮気してもいいはず。それぐらいで釣り合えるんだよ」とか開き直って反省の色なし。もう俺の中で何かが弾けて復讐開始。「うん。わかった。俺なんか付き合ってもらってるだけで幸せやのになんか勘違いしてたかも。ごめん。」「わかればよろしい。肩揉んで？」こんなやりとりでその日は終了。それから5年、彼女が33歳になるまで付き合って、もちろんお互いの親も公認で、俺はそこそこの収入を得る仕事に就き彼女のまわりはみんなこんないい彼氏はいない、と言われ結婚はいつ？な状態に。プライドの高い彼女からは絶対結婚を匂わすようなことは言ってこず、女の友達から呼び出しをくらい早く結婚しろとつつかれて翌日に、「大事な話がある」と彼女を呼び出して観覧車に乗って「これを受け取ってほしい」と指輪の箱を渡す。必死で嬉しさを噛み殺しながら「え？なに？」と冷静を装って箱を開ける彼女。中には「今日でお別れ。バイバイ」と書いた紙が1枚。「・・・・・は？・・・・・・え？」という彼女に「別れようぜ。お前みたいな女もう無理」というとハァハァうめきだして「ちょ・・・ちょとま・・・・待って・・・え・・・」と苦しそう。それをニヤニヤして見つめながら「誰がお前みたいな女と結婚するかよ。俺はお前のペットじゃねーんだよ。この観覧車が下に着いたらもう俺に話しかけるなよ」そう言うと一層息切れ（？）が激しくなり座ってさえいられないのか床にズルズルと倒れこむ。俺のひざに手をかけて起こしてほしそうにするその手をすぐに払いのけるとバタっと倒れこむ彼女。観覧車が1周する間に7年間溜まった文句を全部吐き出し下に着いたときに彼女を抱えて観覧車を降りフラフラの彼女を降りてすぐの柵のところに放置して帰った。気分爽快だった。</pre><br>
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<link>https://ameblo.jp/yamineko24/entry-12078536812.html</link>
<pubDate>Tue, 29 Sep 2015 12:30:24 +0900</pubDate>
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<title>第１７話「黒い門」</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/o0640042713437103093.jpg"><img border="0" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/t02200147_0640042713437103093.jpg" alt=""></a><br><br>第１７話「黒い門」(投稿者：鳥取県・M.Yさん)<br><br><pre>目の前には肉。白い大きな皿に盛られたステーキ用の肉がある。ジュウジュウと肉の焼ける匂いが食欲を刺激する。あり合せのポテトやニンジンはない。僕はあの妙に甘いニンジンは嫌いなので、嬉しく感じている。お腹すいた。ニンジンは嫌い。飲み物はワインかな。ステーキ食べたい。ああ、美味しそうだ。もう食べてもいいのかな。さあ食べようというときにテーブルを挟んで同席している女が口を開く。「　　　　　　　　」僕はそういうものかと思い、ステーキ用のナイフを掴む。そしてゆっくり押し当てる。切味の悪いナイフは中々進んでいかない。早くステーキ食べたい。「　　　　　　　　」それはそうだ。その言葉に納得し、力を込め前後に動かすと、刃が食い込んだ。肉を切る感触が手に伝わろうとする。目が覚めると駅のホームだった。――・――・――・――・――学生時代に僕はとあるアルバイトをしていた。アルバイトの性質上、僕のシフトは夜が通常勤務する時間だ。完全に夜型の人間になるのにそうは時間がかからなかった。もう少しで区役所の気の抜けたメロディーが聞こえる時間になってしまう。出掛けるまでそうは時間がなさそうだ。起きぬけの頭で何通かのメールを返し、何通かのメールを新たに送る。シャワーを浴び戦闘服に着替え、バイト先へと向かう。「ずーっと続くんだよ、怖くない？」そのお客様はモエさんと言う新規の方だった。モエという名前からは連想がつかないほど彫りのはっきりした顔立ち。だが決して不美人というわけではない。寧ろ、顔だけで言うならばその辺の女性など相手にはならないだろう。切長の目。肌の質感。スタイル。髪のつや。艶やかさ。どれをとっても本物以上の美しさ。彼らは「本物」以上だ。そういったプライドも手伝ってか、男が想像する女性観に非常に近い。仕草やしゃべり方、そして魅せ方。「怖いと思うから、怖いんだよ」「でも終りがないのに歩き続けるんだよ、怖い」彼は両手を顔の前で握り締め、このところ多くみる悪夢の話をする。自分がみる悪夢はとてつもなく怖く感じる。しかし、人に聞かせても怖いと思われないことはざらにある。それは主に夢を見るシステム上のものだと僕は思っている。夢はもっとも日常的な幻覚の一つだ。脳が怖いと錯覚しながら見る夢は、怖いのだ。視覚、聴覚、触覚、嗅覚それのどれともリンクが曖昧なことが寝ている状態を指す。全くリンクが無いとは呼べないが、それを意識することはほとんど無いだろう。ということは、夢は脳内で処理されていると言っても良いだろう。ほぼスタンドアローンの状態で脳が見せる幻覚。それが夢だ。感情がダイレクトに流れ込んでその現象に後付けの影響を与えても何らおかしなことではない。「何でこの怖さが伝わらないかなあ」「夢ってそういうものだよね。僕の友達の話なんだけど――」僕は、バイトを斡旋してくれた先輩が見た夢の話をした。巨大なモヤシ畑で一人立ち尽くす、というシュールな夢だ。モヤシ畑なるものが本当にあるかどうかは分からない。だが彼は非常に怖い夢として僕にこれを語った。モヤシが凄い勢いで伸びるんだよ怖いだろ、と僕にその夢を語るのだ。先輩は僕のリアクションが気に入らなかったのか、怖いと言わせたいようだ。変な夢だとは思うが、怖くはない。彼の幼少期にモヤシにまつわるトラウマを持っているという類の話も聞いたことがない。怖いと感じる脳の部位が、そういう指令を出したんだろう。「なにそれ、全然怖くないじゃん」「でしょ？　本人は怖いらしいんだけど、聞いたほうはそんなに怖くないんだよ」「あぁ、じゃあ私の夢も怖くないのかもね」「そうそう気のせいなんだよ」「でもね、悪い夢を追い払うお守り使ってから、怖いの見るようになったんだよね」「ドリームキャッチャー？」「それそれ。昔流行ったヤツ」彼は元々夢を見ない方だったらしい。夢を見ないということを友達に酒の席で語った。同じ職場で働くホステス（？）同士の飲み会だ。酒の席でのことだったので、さして気にも留めていなかった。しかし、数日後に友達の一人からそのドリームキャッチャーを貰ったという。クルマや部屋の装飾目的で一時期流行ったアレだ。テレビドラマで使われたことにより爆発的に人気が広がり、今ではほとんど見る事は無い。流行などそういうものだ。友達によると、一週間連続で使うと幸福になるアイテム、という触れ込みだった。夢を見ないならこれで試してみてよ、と強引に押し付けられたらしい。今まで夢を見たことがほとんどない為、その効力は信用していない。だが、せっかく友達から貰ったものを試さないのも申し訳ない。そこで使い始めたところ、夢どころかむしろ悪夢を見るようになってしまったのだという。彼はたった三日で根をあげてしまった。悪夢は連続した夢であるらしい。まず一日目に見た夢は、大きな門を開けることだったという。門を開けたところで夢から覚めたようだ。二日目にはその門から中に入り、道を歩いている夢。そして、三日目も道を歩く夢だという。この長い道をずうっと歩き続けるのが彼にとって非常に大きな恐怖を感じるのだという。僕には道を歩き続けることのどこが怖いのかが分からない。終わらない道を歩き続けるのに不安を感じるならまだ分かる。彼は、歩く行為が怖いのだという。「友達に事情を話せばいいじゃない」「うぅん。貰った次の日から連絡取れないんだよね」あの子忙しいから、といい訳のように続ける。「捨てちゃえば？」「それがね――」捨てても捨てても、手元に戻ってくるんだよね。僕は得体の知れない恐怖に駆られた。それではまるで呪いの人形ではないか。軽はずみな言葉を出したことを僕は後悔した。この後の流れは恐らく容易に想像できるだろう。誰か貰ってくれないかな、と言いながら僕を見つめる彼。客商売である以上、ここで断る選択肢は無いと言っても過言ではない。じゃあ僕が貰ってあげようか、と言ってしまった。その日の内に彼の家に赴いた。正確には翌日の早朝になるのだが。ソファーに座り待っていると、部屋着に着替えた彼が僕の隣に座る。これ、と言って僕に件のドリームキャッチャーを渡してきた。一見すると、普通のドリームキャッチャーに見える。手のひらよりひとまわり程大きい物体。だがその完成度は、ほいほいと人に譲渡するような代物でないことは分かる。ドリームキャッチャーの通常の形は木で出来た円状の枠にクモの巣の形状を模した網が張られている。そして、その周りを羽根や石またはビーズで装飾する。石はターコイズかそれに似せた模造石が一般的だ。枠の上部には、吊るし用の紐がついている。現物が見たいのであれば、ドリームキャッチャーの画像検索をすれば簡単に見ることが出来る。だが、それは少し変わった形をしていた。おかしい所を挙げるとすれば、その飾りだろう。羽根ではなく、葉のようなヒラメ状のモノがヒラヒラと垂れ下がる。葉のような、というのは中心部の支柱から細かい枝が無数に生えているからだ。飾りに使われている石は紫がかってくすんでいる半透明な石だ。枠である輪は木ではない素材で出来ている。白いゴツゴツしたモノが編みこまれるように輪を作っている。子供のころに女の子が作る草花で作った王冠の作りのようだ。さらに吊るし用の紐がない。そして、特筆すべきは網が黒いことだ。ドリームキャッチャーに詳しいわけではないが、大体は色が白い薄い糸またはヒモが使われている。しかし、その網は非常に緻密で、シルクのような細い糸が細かく網目を作っている。一言で言えば、高そう、だ。これをモエさんにあげた友達も、僕に引き取って欲しいというモエさんももったいないとは思わないのだろうか。「ちょっと説明するね」そうモエさんは言い、僕に語り始めた。友達からこれだけは守るように言われたんだけど。あのね、これは吊るして使うものじゃないんだ。これは枕の下に入れて使うんだって。わたしもそれ聞いて壊れないか心配したけど、結構丈夫だから安心して。それで、絶対に守らなきゃいけないのが、太陽と月の光に当てないことなんだって。枕の下にあるなら当たるわけないんだけど、これは絶対守って欲しいことだってさ。それで夢を見るから一週間頑張れだってさ。そういう使い方もあるのだろう。僕はむしろ説明が簡単であることに安堵した。長々続くようでは僕のハードディスクでは覚えきれない。枕の下に置いて寝る。太陽光・月光に当てない。これだけだ。説明が終わり、僕に渡し終わると安心した表情のモエさんは僕を誘惑してきた。もちろん、僕にはそっちの気はない。早々にその部屋を後にした。太陽が眩しい時間。僕にとっては就寝時間だ。枕の下に置き、期待も不安も無く眠りについた。昔、母親と一緒に上野に遊びに行った。動物園は僕にとって最も行きたくない場所の一つだ。動物が嫌いなわけではない。あの匂いがダメなのだ。夏の暑い時期に行ったのも問題があったようだ。とにかく僕は初めての動物園で二度と行きたくなくなってしまった。そして今。あの匂いが僕を包んだ。嫌な気分だ。目の前にある見上げるような大きさの門。Per me si va ne la citta` dolenteper me si va ne letterno doloreper me si va tra la perduta gente.Giustizia mosse il mio alto fattorefecemi la divina podestatela somma sapi"enza e l primo amore.Dinanzi a me non fuor cose createse non etterne e io etterno duro.Lasciate ogne speranza voi chintrate門にはそう刻まれてあった。はっきり言ってさっぱり意味が分からない。日本語でも英語でもないことぐらいが辛うじて分かる程度だ。パル？　メ　シ　バ　ネ　ラ？何だか良く分からない文章を読むことほど苦痛なことは無い。当然のように無視した。真っ黒な巨大な門は細かい彫刻がいくつもあり、手の込んだものと一目で分かるものだ。だが、周りにはその門以外には何も見当たらない。文字通り、何もだ。周りは白い空間が延々と広がり、その黒い門の存在感が際立つ。門というのは通常は入り口か出口であるはずだから、その入り口たる建物があってしかるべきだ。白い空間にぽつんとその大きな門以外は、ない。してはいけないことだが、僕は裏手に周り込んだ。どうやら裏表がないらしい。例の長い文章が刻まれ、先ほどまで見ていた光景と全く同じものがそこにはあった。さて、どうやって開けるか。試しにその門を思い切り押してみた。意外なことにその門は見た目と違い、非常に軽い音を立てて、簡単に開いた。ピリピリとアラーム音が鳴る。携帯を掴み、停止ボタンを押す。携帯電話を目覚まし時計にしている人は多いだろう。僕もその一人だ。今まで見たものは間違いなくモエさんの言っていた悪夢なのだろう。珍しいことではないが、夢を見ているときにそれには気付かなかった。あの現実感は脳が夢を見ている証拠にもなる。起きて初めて夢を見ていたことに気付かされた。早速モエさんにメールを送り、先ほどまで見ていた夢の内容と共に感想を言った。次は歩く夢か。そう考えながら、バイトに行く準備を始めた。その日眠りに着こうとすると、バイトを斡旋してくれた先輩に食事に誘われた。先輩に誘われるということは、それは決定事項に等しい。選択肢は、はい又はイエスのみ。徹夜で飲み明かし、しかも財布をなくすという不幸に会った。僕は次の日に一睡も出来ないままバイトに行くと言う苦行を行う羽目にもなった。慣れているからどうと言うこともないが、眠くて仕方が無い。巨大な門が後ろにある。ああそういえばさっき門を開けたな、と一人ごちる。前には道が続いていた。たしか裏手に周った時は裏面がなかったはずだが、今は目の前に道が広がっている。幅十メートル程の広い道だが、橋と言ってもいいだろう。その道幅の両端には暗闇があり、道ということが分かる。もし後ろに門が無ければどちらが進行方向かすら分からない。それほど何もない道が続いていた。前に進まなくてはならないという不思議な義務感が僕を包む。門とは逆方向に歩き始めた。先が続き、道の終わりが見えない。ただ道の外側は深い深い闇が広がっているのが分かる。これに落ちたら助からないだろうな、と想像する。ただ黙々と歩き続ける。終わりが無い。時間感覚も無い。さっき歩き始めたばかりのような気もするが、何日も歩いているような気もする。終わりの無い恐怖か。確かにぞっとする。足を踏み出すのを躊躇する。歩き続けるのが怖い。ピリピリとアラーム音が鳴る。あれ？　ここは？僕は自分が今起きたことに気がついた。だが場所はベッドの上ではない。何故か公園のベンチの上で寝ていた。バイトの帰りに力尽きて仮眠をしたのだろうか。覚えていない。何時間寝ていたのか検討もつかないが、アラームが鳴っているならばそろそろ行く準備をしなければならないのだろう。そういえば一週間連続で見るんだよな、この夢は。面倒な夢だな。面倒なことは嫌いだ。歩くことが怖いという意味も分かった。確かに一週間もあの夢を見たくない。僕の中で黒い行動原理が働き始める。家に帰り、枕の下にあるドリームキャッチャーをゴミ袋に入れて、捨てた。お客様からのプレゼントを捨てるなど、言語道断だ。だがこれは譲ってもらったものだからプレゼントじゃない。僕はそう自分に言い聞かせ、罪悪感も一緒に捨てる努力をした。次の日にはモエさんが言ったことは正しかったということが分かった。捨てたところで、それは戻ってきていた。正確には枕の下にあるのに気付いた。何故か外で起きて、家に帰り、ベッドで寝る。起きたらまた別の場所。家に帰り、枕をめくるとそこにはドリームキャッチャーがあるのだ。またも僕は歩き続けた。依然として道に終わりは見えない。一歩一歩が恐怖に変換される。歩きたくない。だが歩かないといけないという強い気持ちが働き、足を止めることはできない。ピリピリとアラーム音が鳴る。またか。今度はクルマの中にいた。初日以外はいつも起きる場所はベッドではない。一体どういうことなんだろう。今回は確かにベッドの中で寝たはずだ。気付いたら、クルマの中。モエさんにメールを送る。返事は返ってこない。最早作業と化した一日を無難にこなす。アルバイトに労働基準法が立法趣旨通りに適用されることは少ない。僕は週七日毎日働いている。はっきり言って、こんなペースでは体が持たないだろう。後に、予想通り僕は体を壊してしまう。今となっては後悔している。だが当時の僕は全く根拠の無い自信と、生活費のための必要性があった。歩き続けると五日程前に見た巨大な門があった。あの意味不明な文字が羅列してある黒い門だ。ここが終点ってことか。入った時と同じように門を開け、中に入る。今度は階段。下に向かって階段が伸びていた。例によって終わりが見えない。疲労はない。下り続ける。依然として恐怖感がある。この恐怖感の源泉が分からない。ただ何となく怖いというものだ。そして、それがとてつもなく怖いだけだ。一体何段の階段を踏みしめたのだろう。時間の基準となるものはない。だが遂に終わりが見えた。巨大な円形のホールに辿り着く。そこの中心にテーブルと椅子がある。テーブルの正面には女が座っている。女は薄い布を羽織っている。髪が長く、体形から女と称するが、正直人間とは思えない。そして顔がない。あるべきパーツが一つも無い。白と灰色に紫を少し足すとあんな血の気の無い顔色が出来るんだろう。足を進ませる度に訪れた恐怖は、目の前の女にコンバートしたようだ。この女を見るのは苦痛を感じるほど怖い。異常な恐怖感。ドーパミンが頭の中で沸騰し、ノルアドレナリンが全速で体中を駆け巡っているのが分かる。席に着くと、女は身を出して僕にグラスを差し出す。グラスを持つ手には爪が無い。腕では血管らしきものが皮膚の下でのた打ち回っている。千匹のミミズを細長い風船に入れるとあんな感じになるのだろうか。顔の無いのっぺりとした丸い部分の中央がミチミチと音を立てて裂ける。口なのか？赤黒い泡をブクブクと出しながらその裂け目から音を出した。「……どウぞ」声が響く。彼女は一杯のグラスに注がれたモノを勧める。何故かそのグラスにすら恐怖を感じる。理由は分からないが怖い。だが、勧めを断るのも怖い。目の前の女を見るだけでも怖い。ここに居たくない。グラスを手に取るかどうか悩む。ピリピリとアラーム音が鳴る。起きて愕然とする。僕の今の状態だ。後二日で終わってくれるのだろうか。夢の内容からして幸せになれるとはとても思えない。恐怖心が頭に纏わりつく。ただ飲み物を勧められただけに過ぎないが、それが恐ろしい。単に道を歩き、階段を上り、そして席に着く。何が怖いのかが分からない。だが確実に恐怖が僕を支配する。動悸が治まらない。今の夢は見てはいけないものだという後悔。怖さは具体的に二種類あった。一つはカオス過ぎる夢の展開に、先が読めないという状況からくるもの。このままどうなってしまうのかと言う恐怖。それに抗えない恐怖。そしてもう一つは、夢から起きた時の恐怖。何故僕は今、ビルの屋上にいるのだ。フェンスに足をかけているのだ。起きるのがあと少し遅かったら……。もうあの夢を見たくない。僕は椅子に座っている。目の前の女からしきりにグラスを勧められているのだ。――先ほどからずっと。いつからだっけ。考えた末にグラスを取り、一気にあおった。腹の底から叫びたいほどの恐怖心が全身を駆け巡るが、僕は席を立つことも拒否することも出来ない。――美味しいなこれ。美味しい？どういう仕掛けかは分からないが、目の前に料理が現れる。体は拒否反応を示すが、言うことをきかない。もっと飲みたい、食べたい。――何を考えているんだ？――僕は一体？目の前には肉。白い大きな皿に盛られたステーキ用の肉がある。――何故？　そんな物食べてる場合じゃない！ジュウジュウと肉の焼ける匂いが食欲を刺激する。――臭い、あの動物園のニオイだ。あり合せのポテトやニンジンはない。――席を立たなくては。僕はあの妙に甘いニンジンは嫌いなので、嬉しく感じている。――ここから逃げ出さないと。――僕に自由意志がないことも自覚する。お腹すいた。――僕の体は僕の意思に反して、動き出す。――徐々に意識も薄れ、混濁してくる。ニンジンは嫌い。――この展開は何なのだという恐怖。――相反する思考が駆け巡る。――どうして料理が出てくるのか。飲み物はワインかな。――女が何者で、僕をどうしようというのか。ステーキ食べたい。――僕が僕でなくなっている。――何を考えていたのか、何を考えているのか分からない。ああ、美味しそうだ。もう食べてもいいのかな。――食べちゃダメだ。さあ食べようというときにテーブルを挟んで同席している女が口を開く。「ｺﾞ　ハん食　ﾍﾞﾃも　い　ｲよ。代ヮ　りにち ょう　ﾀﾞい、首」僕はそういうものかと思い、ステーキ用のナイフを掴む。――嫌だ。そして自分の首にゆっくり押し当てる。――やめろ、何やってるんだ。切味の悪いナイフは中々進んでいかない。力を込めるが皮膚に傷がつく程度だ。早くステーキたべたい。「前　後 ﾆ 引かﾅきゃ、ノ　ｺギリみﾀ い　に。ｷﾞ こぎ　ｺギ　こぎコｷﾞｺｷ　ﾞ　ｺ」それはそうだ。その言葉に納得し、力を込め前後に動かすと、刃が食い込んだ。肉を切る感触が手に伝わろうとする。誰かが叫ぶ声がする。目が覚めると駅のホームだった。地面が目の前にある。苦しい。駅員が僕を押さえつけている。「何やってるんですか！！？？　危ないですよ！！！」押さえつけられて、目の前に電車が走り抜けていることに気がつく。……危うく轢かれるところだった。「また訳わかんねえ話持ってきたなぁ」先輩は夢の内容を否定する。僕だって分からない。だが怖いのだ。恐怖に駆られた僕は先輩に助けを求めた。案の定先輩は否定的な意見だ。僕が持ってきたドリームキャッチャーをいじくり回しながら、悪態をつく。意識的に連続した夢を見るのは、意識的に心臓を止めるのと一緒で不可能だ、と。フロイトに言わせれば性欲、ユングならコンプレックス。好きなほうを選べ。それがお前の夢の正体だ。先輩はいつでも手厳しい。「信じていないんなら、このドリームキャッチャー貰って下さいよ」「いいのか？　結構高そうだけど」「いいですよ、貰ってくれるんですか！？」「病気以外なら何でもウエルカムだ、俺は」笑いながらカバンにそれをしまう。あらかたの説明をした後に、くれぐれも気をつけてください、と先輩に言った。先輩は、分かった分かった、と少しも分かっていない返事をした。先輩と別れた後、モエさんに電話をした。僕はこの件は降りるということをはっきり伝えるためだ。ドリームキャッチャーを返してくれと言われるかもしれないことは考えていなかった。正直に言うべきかどうか。だが、それは電話越しに声が聞こえた時点で杞憂に終わった。『お客様のお掛けになった電話番号は――』機械的な返事が聞こえたあと、彼にゴミ箱代わりに使われたことを、僕は理解した。きっと彼もあれを使うことよりも、処分したかったのだろう。気持ちは分かる。僕だって同じことを先輩にしたのだ。ベッドの上で目が覚めたのは一週間ぶりだ。あのまま最終日を迎えていたら、僕はどうなっていたのだろうか。確かめたくも無いが。先輩が気になったので、早速電話をする。「おお、今掛けようとしてたんだわ。見たぞ、夢。すげえな、どうなってんだ」先輩は上機嫌だ。興奮しているとも浮かれている風とも聞こえる。外にいるのか、クルマや雑音が聞こえた。「黒い大きい門出ましたか？」「おお。ロダンか、洒落てんなぁ。いいモン見れたわ。あ、いい門か」「え？　なんて書いてあったか分かったんですか？」「はぁ？　……教えてやらん。ホントに学生かお前？　パンキョーだ、パンキョウ」「勘弁してくださいよ。僕もう少しで死に掛けたんですよ」「あのなあ、端折るけど、悪いことしたのはお前の方だ」「え？　だって僕、殺されかけたんですよ？」「住居不法侵入だ。警告文がガッツリ書いてあったんだよ」夢の世界で不法行為も無いものだと思うが。大体、僕は英語の単位を去年落とした。日本語だって怪しい僕が、英語以外の言語を理解できるわけが無い。「何言ってるんですか？　先輩も入ったんでしょ？」「入るわけねえだろ。周りウロウロして、しばらくしたら起きたわ」何と。単純なことを見落としていた。それが答えだったのだ。目から鱗とはこのことだ。そんなことよりも、と先輩は続けた。「このドリームキャッチャーの網、何か分かるか？」「知りませんよ」「髪の毛。枠は骨だな」「はぁ！？」「薄気味悪いもの作るよなあ。まあ、もうどうでもいいけど」「いや、先輩。それ捨てても戻ってきますよ？　どうするんですか？」「月と太陽に当てちゃいけないんだろ？」「はい。絶対ダメらしいです」先輩はわははと豪快に笑う。電話越しで笑わないで下さい、耳が痛いです。絶対ダメなのかあ困ったなあ、と先輩は言ってこう続けた。「今俺はコイツと日光浴中です。あ、石にヒビはいった。うは、煙出てきた。何だコレくっさぁ。野良犬みたいなニオイがするぞ」簡単なことだったのだ。危険に飛び込まなければいい。門に入らなければ夢から覚めて、おかしなことは起きない。絶対やってはいけないことを、やればいい。先輩のことだ、念入りに月光浴もさせたのだろう。とんちみたいな答えだった。僕があの夢を見始めてから先輩に渡すまでは六日間。残り一日で先輩にバトンタッチ出来た。もう一日経っていたらどうなっていたのだろう。あの顔の無い女は僕をどうしていたのだろう。恐らく僕の想像は当たっている。新聞の片隅に僕の名前が載っておしまいだ。自殺者など日本には年で三万二千人以上いる。ざっと考えても一日で九〇人近くだ。九〇分の一にならなかった事を今は喜ぶとしよう。その後、少なくとも先輩や僕が悪夢にうなされるようなことは無くなった。あの門の文字、長く続く道に下に続く階段、のっぺらぼうの女。先輩は、本を読めそうすれば大体見当がつくぞ、と言って僕を突き放した。……実は未だに僕はその本を読んでいない。だが先輩はそんな謎などに初めから興味が無かったのだ。最短ルートで攻略してしまった。初めから幸福になりたいと思わない人間に幸福になれるアイテムなど必要ないのだ。全くバチ当たりだな、先輩は。僕は感謝と共にそう呟いた。</pre><br>
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<link>https://ameblo.jp/yamineko24/entry-12078535496.html</link>
<pubDate>Tue, 29 Sep 2015 12:25:30 +0900</pubDate>
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<title>第１６話「留守電」</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/o0640042713437103093.jpg"><img border="0" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/t02200147_0640042713437103093.jpg" alt=""></a><br><br>第１６話「留守電」(投稿者：福井県・M.Dさん)<br><br><pre>今から２０年ほど前。俺が小６の頃だったか。父親が海上保安庁に勤めてて、舞鶴に単身赴任してる間は島根県に住んでいた。（現在は両親も俺もそこに住んでいない）そんな事情だったから、家には俺と母、そして妹だけで住んでいた。学校が平日の午後から休校になったため（理由は忘れた）、俺は家でゴロゴロしていた。同じ学校に通っていた妹は、友達の家に遊びに行っていない。母は晩飯の買い物に行って留守。つまり家には俺１人という状況だった。最初の内は「俺の天下！」とばかりに菓子とかジュースを飲み食いしたり普段は見れない時間帯のテレビを見たりして満喫していたが、次第に飽きてきた。（ワイドショーや時代劇の再放送ばかりで面白くなかったからだ）で、寝そべりながら漫画（当時の週刊少年漫画に連載されてた、少しエッチなファンタジー漫画）を読んで母が帰ってくるのを待つ事にしたんだ。その時、電話がかかってきた。一度は出るのが面倒だったので無視した。１０回ほどコールして電話は切れた。そしたら間を置かず再び電話。無視しても、今度はコールし続けてくる。うるさいので出る事にした。「もしもし？　○○ですけど。いまお母さんは留守で」最後まで言い終わらないうちに、電話口の向こうで男の人が喋り始める。早口ではあったけど、ハキハキした口調で声は聞き取りやすかった。でも最初は何を言ってるのか理解できなかった。なんか１人芝居のようなことを電話口でやってるのだ。ただ、ところどころで聞きなれた単語が耳に飛び込んでくる。「ダムド」「まじんけん」「アンセム」「よーこさん」「ダークシュナイダー」……そして、段々と男の人が喋ってる内容が理解できてきた。というよりも、ついさっきまで、その内容が頭の中にあったからだ。電話に出るまで読んでた「バスタード」という漫画を朗読してたんだ。しかも、ちょうど俺が読んでた部分を。 俺がそれに気付いて動揺したのを電話口で悟ったのか、朗読が止まった。そして妙に湿ったような声で「小学生なのに、こんなエッチな漫画を読んだらダメだねぇ？」「早く続きが読みたいのかなぁ？」「だったらお仕置きしないといけないなぁ？」みたいな事を話しかけてきた。ブワッと鳥肌が立って、そこで初めて「怖さ」を感じた。受話器を叩きつけて電話を切り、部屋を見渡した。窓に誰かが覗いてる人影はない。詳しい間取りや家周辺の説明は省くが、俺が寝転がって漫画を読んでた位置は窓から覗いても死角になるような場所だったんだ。俺は心底震え上がって、慌ててトイレに駆け込んで鍵をかけた。そのあと母が帰ってくるまで何度も何度も電話が鳴ったが、もちろん出なかった。母が帰ってくると、俺はトイレから飛び出し泣きながら事情を説明した。信じてはもらえなかったが、同級生の何人かにも似たような事があったらしい。そんな訳で２０年経った今でも電話はトラウマ。携帯電話すら持てないでいる。 </pre><br>
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<pubDate>Tue, 29 Sep 2015 12:21:53 +0900</pubDate>
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<title>第１５話「八尺様」</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/o0640042713437103093.jpg"><img border="0" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/t02200147_0640042713437103093.jpg" alt=""></a><br><br>第１５話「八尺様」(投稿者：大分県・M.Tさん)<br><br><pre>親父の実家は自宅から車で二時間弱くらいのところにある。農家なんだけど、何かそういった雰囲気が好きで、高校になってバイクに乗るようになると、夏休みとか冬休みなんかにはよく一人で遊びに行ってた。じいちゃんとばあちゃんも「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。でも、最後に行ったのが高校三年にあがる直前だから、もう十年以上も行っていないことになる。決して「行かなかった」んじゃなくて「行けなかった」んだけど、その訳はこんなことだ。春休みに入ったばかりのこと、いい天気に誘われてじいちゃんの家にバイクで行った。まだ寒かったけど、広縁はぽかぽかと気持ちよく、そこでしばらく寛いでいた。そうしたら、「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…」と変な音が聞こえてきた。機械的な音じゃなくて、人が発してるような感じがした。それも濁音とも半濁音とも、どちらにも取れるような感じだった。何だろうと思っていると、庭の生垣の上に帽子があるのを見つけた。生垣の上に置いてあったわけじゃない。帽子はそのまま横に移動し、垣根の切れ目まで来ると、一人女性が見えた。まあ、帽子はその女性が被っていたわけだ。女性は白っぽいワンピースを着ていた。<br><br>でも生垣の高さは二メートルくらいある。その生垣から頭を出せるってどれだけ背の高い女なんだ…驚いていると、女はまた移動して視界から消えた。帽子も消えていた。また、いつのまにか「ぽぽぽ」という音も無くなっていた。そのときは、もともと背が高い女が超厚底のブーツを履いていたか、踵の高い靴を履いた背の高い男が女装したかくらいにしか思わなかった。その後、居間でお茶を飲みながら、じいちゃんとばあちゃんにさっきのことを話した。「さっき、大きな女を見たよ。男が女装してたのかなあ」と言っても「へぇ～」くらいしか言わなかったけど、「垣根より背が高かった。帽子を被っていて『ぽぽぽ』とか変な声出してたし」と言ったとたん、二人の動きが止ったんだよね。いや、本当にぴたりと止った。その後、「いつ見た」「どこで見た」「垣根よりどのくらい高かった」と、じいちゃんが怒ったような顔で質問を浴びせてきた。じいちゃんの気迫に押されながらもそれに答えると、急に黙り込んで廊下にある電話まで行き、どこかに電話をかけだした。引き戸が閉じられていたため、何を話しているのかは良く分からなかった。ばあちゃんは心なしか震えているように見えた。じいちゃんは電話を終えたのか、戻ってくると、「今日は泊まっていけ。いや、今日は帰すわけには行かなくなった」と言った。――何かとんでもなく悪いことをしてしまったんだろうか。と必死に考えたが、何も思い当たらない。あの女だって、自分から見に行ったわけじゃなく、あちらから現れたわけだし。そして、「ばあさん、後頼む。俺はＫさんを迎えに行って来る」と言い残し、軽トラックでどこかに出かけて行った。 ばあちゃんに恐る恐る尋ねてみると、「八尺様に魅入られてしまったようだよ。じいちゃんが何とかしてくれる。何にも心配しなくていいから」と震えた声で言った。それからばあちゃんは、じいちゃんが戻って来るまでぽつりぽつりと話してくれた。この辺りには「八尺様」という厄介なものがいる。八尺様は大きな女の姿をしている。名前の通り八尺ほどの背丈があり、「ぼぼぼぼ」と男のような声で変な笑い方をする。人によって、喪服を着た若い女だったり、留袖の老婆だったり、野良着姿の年増だったりと見え方が違うが、女性で異常に背が高いことと頭に何か載せていること、それに気味悪い笑い声は共通している。昔、旅人に憑いて来たという噂もあるが、定かではない。この地区（今は○市の一部であるが、昔は×村、今で言う「大字」にあたる区分）に地蔵によって封印されていて、よそへは行くことが無い。八尺様に魅入られると、数日のうちに取り殺されてしまう。最後に八尺様の被害が出たのは十五年ほど前。これは後から聞いたことではあるが、地蔵によって封印されているというのは、八尺様がよそへ移動できる道というのは理由は分からないが限られていて、その道の村境に地蔵を祀ったそうだ。八尺様の移動を防ぐためだが、それは東西南北の境界に全部で四ヶ所あるらしい。もっとも、何でそんなものを留めておくことになったかというと、周辺の村と何らかの協定があったらしい。例えば水利権を優先するとか。八尺様の被害は数年から十数年に一度くらいなので、昔の人はそこそこ有利な協定を結べれば良しと思ったのだろうか。 そんなことを聞いても、全然リアルに思えなかった。当然だよね。そのうち、じいちゃんが一人の老婆を連れて戻ってきた。「えらいことになったのう。今はこれを持ってなさい」Ｋさんという老婆はそう言って、お札をくれた。それから、じいちゃんと一緒に二階へ上がり、何やらやっていた。ばあちゃんはそのまま一緒にいて、トイレに行くときも付いてきて、トイレのドアを完全に閉めさせてくれなかった。ここにきてはじめて、「なんだかヤバイんじゃ…」と思うようになってきた。しばらくして二階に上がらされ、一室に入れられた。そこは窓が全部新聞紙で目張りされ、その上にお札が貼られており、四隅には盛塩が置かれていた。また、木でできた箱状のものがあり（祭壇などと呼べるものではない）、その上に小さな仏像が乗っていた。あと、どこから持ってきたのか「おまる」が二つも用意されていた。これで用を済ませろってことか・・・「もうすぐ日が暮れる。いいか、明日の朝までここから出てはいかん。俺もばあさんもな、お前を呼ぶこともなければ、お前に話しかけることもない。そうだな、明日朝の七時になるまでは絶対ここから出るな。七時になったらお前から出ろ。家には連絡しておく」と、じいちゃんが真顔で言うものだから、黙って頷く以外なかった。「今言われたことは良く守りなさい。お札も肌身離さずな。何かおきたら仏様の前でお願いしなさい」とＫさんにも言われた。 テレビは見てもいいと言われていたので点けたが、見ていても上の空で気も紛れない。部屋に閉じ込められるときにばあちゃんがくれたおにぎりやお菓子も食べる気が全くおこらず、放置したまま布団に包まってひたすらガクブルしていた。そんな状態でもいつのまにか眠っていたようで、目が覚めたときには、何だか忘れたが深夜番組が映っていて、自分の時計を見たら、午前一時すぎだった。（この頃は携帯を持ってなかった）なんか嫌な時間に起きたなあなんて思っていると、窓ガラスをコツコツと叩く音が聞こえた。小石なんかをぶつけているんじゃなくて、手で軽く叩くような音だったと思う。風のせいでそんな音がでているのか、誰かが本当に叩いているのかは判断がつかなかったが、必死に風のせいだ、と思い込もうとした。落ち着こうとお茶を一口飲んだが、やっぱり怖くて、テレビの音を大きくして無理やりテレビを見ていた。そんなとき、じいちゃんの声が聞こえた。「おーい、大丈夫か。怖けりゃ無理せんでいいぞ」思わずドアに近づいたが、じいちゃんの言葉をすぐに思い出した。また声がする。「どうした、こっちに来てもええぞ」じいちゃんの声に限りなく似ているけど、あれはじいちゃんの声じゃない。どうしてか分からんけど、そんな気がして、そしてそう思ったと同時に全身に鳥肌が立った。ふと、隅の盛り塩を見ると、それは上のほうが黒く変色していた。 一目散に仏像の前に座ると、お札を握り締め「助けてください」と必死にお祈りをはじめた。そのとき、「ぽぽっぽ、ぽ、ぽぽ…」あの声が聞こえ、窓ガラスがトントン、トントンと鳴り出した。そこまで背が高くないことは分かっていたが、アレが下から手を伸ばして窓ガラスを叩いている光景が浮かんで仕方が無かった。もうできることは、仏像に祈ることだけだった。とてつもなく長い一夜に感じたが、それでも朝は来るもので、つけっぱなしのテレビがいつの間にか朝のニュースをやっていた。画面隅に表示される時間は確か七時十三分となっていた。ガラスを叩く音も、あの声も気づかないうちに止んでいた。どうやら眠ってしまったか気を失ってしまったかしたらしい。盛り塩はさらに黒く変色していた。念のため、自分の時計を見たところはぼ同じ時刻だったので、恐る恐るドアを開けると、そこには心配そうな顔をしたばあちゃんとＫさんがいた。ばあちゃんが、よかった、よかったと涙を流してくれた。下に降りると、親父も来ていた。じいちゃんが外から顔を出して「早く車に乗れ」と促し、庭に出てみると、どこから持ってきたのか、ワンボックスのバンが一台あった。そして、庭に何人かの男たちがいた。 ワンボックスは九人乗りで、中列の真ん中に座らされ、助手席にＫさんが座り、庭にいた男たちもすべて乗り込んだ。全部で九人が乗り込んでおり、八方すべてを囲まれた形になった。「大変なことになったな。気になるかもしれないが、これからは目を閉じて下を向いていろ。俺たちには何も見えんが、お前には見えてしまうだろうからな。いいと言うまで我慢して目を開けるなよ」右隣に座った五十歳くらいのオジさんがそう言った。そして、じいちゃんの運転する軽トラが先頭、次が自分が乗っているバン、後に親父が運転する乗用車という車列で走り出した。車列はかなりゆっくりとしたスピードで進んだ。おそらく二十キロも出ていなかったんじゃあるまいか。間もなくＫさんが、「ここがふんばりどころだ」と呟くと、何やら念仏のようなものを唱え始めた。「ぽっぽぽ、ぽ、ぽっ、ぽぽぽ…」またあの声が聞こえてきた。Ｋさんからもらったお札を握り締め、言われたとおりに目を閉じ、下を向いていたが、なぜか薄目をあけて外を少しだけ見てしまった。目に入ったのは白っぽいワンピース。それが車に合わせ移動していた。あの大股で付いてきているのか。頭はウインドウの外にあって見えない。しかし、車内を覗き込もうとしたのか、頭を下げる仕草を始めた。無意識に「ヒッ」と声を出す。「見るな」と隣が声を荒げる。慌てて目をぎゅっとつぶり、さらに強くお札を握り締めた。コツ、コツ、コツガラスを叩く音が始まる。周りに乗っている人も短く「エッ」とか「ンン」とか声を出す。アレは見えなくても、声は聞こえなくても、音は聞こえてしまうようだ。Ｋさんの念仏に力が入る。やがて、声と音が途切れたと思ったとき、Ｋさんが「うまく抜けた」と声をあげた。それまで黙っていた周りを囲む男たちも「よかったなあ」と安堵の声を出した。やがて車は道の広い所で止り、親父の車に移された。親父とじいちゃんが他の男たちに頭を下げているとき、Ｋさんが「お札を見せてみろ」と近寄ってきた。無意識にまだ握り締めていたお札を見ると、全体が黒っぽくなっていた。Ｋさんは「もう大丈夫だと思うがな、念のためしばらくの間はこれを持っていなさい」と新しいお札をくれた。その後は親父と二人で自宅へ戻った。バイクは後日じいちゃんと近所の人が届けてくれた。親父も八尺様のことは知っていたようで、子供の頃、友達のひとりが魅入られて命を落としたということを話してくれた。魅入られたため、他の土地に移った人も知っているという。バンに乗った男たちは、すべてじいちゃんの一族に関係がある人で、つまりは極々薄いながらも自分と血縁関係にある人たちだそうだ。前を走ったじいちゃん、後ろを走った親父も当然血のつながりはあるわけで、少しでも八尺様の目をごまかそうと、あのようなことをしたという。親父の兄弟（伯父）は一晩でこちらに来られなかったため、血縁は薄くてもすぐに集まる人に来てもらったようだ。 それでも流石に七人もの男が今の今、というわけにはいかなく、また夜より昼のほうが安全と思われたため、一晩部屋に閉じ込められたのである。道中、最悪ならじいちゃんか親父が身代わりになる覚悟だったとか。そして、先に書いたようなことを説明され、もうあそこには行かないようにと念を押された。家に戻ってから、じいちゃんと電話で話したとき、あの夜に声をかけたかと聞いたが、そんなことはしていないと断言された。――やっぱりあれは…と思ったら、改めて背筋が寒くなった。八尺様の被害には成人前の若い人間、それも子供が遭うことが多いということだ。まだ子供や若年の人間が極度の不安な状態にあるとき、身内の声であのようなことを言われれば、つい心を許してしまうのだろう。それから十年経って、あのことも忘れがちになったとき、洒落にならない後日談ができてしまった。「八尺様を封じている地蔵様が誰かに壊されてしまった。それもお前の家に通じる道のものがな」と、ばあちゃんから電話があった。（じいちゃんは二年前に亡くなっていて、当然ながら葬式にも行かせてもらえなかった。じいちゃんも起き上がれなくなってからは絶対来させるなと言っていたという）今となっては迷信だろうと自分に言い聞かせつつも、かなり心配な自分がいる。「ぽぽぽ…」という、あの声が聞こえてきたらと思うと… <br></pre><br>
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<pubDate>Tue, 29 Sep 2015 12:17:27 +0900</pubDate>
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<title>第１４話「白い服を着た人」</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/o0640042713437103093.jpg"><img border="0" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/t02200147_0640042713437103093.jpg" alt=""></a><br><br>第１４話「白い服を着た人」(投稿者：長野県・O.Tさん)<br><br><pre>友人と遊んだ後、雨降ってるし時間も遅いからって友人を家に送った帰り、今週のマンガ読んでないなと思いだして、コンビニへ行った。店内に客は自分だけ。一冊目を手にとってふと顔をあげると、コンビニの前の道を白い傘を差し白い服を着た人が歩いてた。こんな時間に何してんだ（自分も出歩いてるけど）、と思いつつ本に目を落とした。一冊目を読み終え、次に読もうと思っていた本を手に取り顔をあげると、さっきの人が前の道を歩いてた。歩道とコンビニの間には駐車スペースがあるから、至近距離で見たわけじゃないけど、見た目も歩き方も同じだったから一目でわかった。変だなとは思ったけど、いろんな人がいると思ってそんなに気にしなかった。二冊目も読み終え、次に先ほど店員さんが並べてくれた今日発売の雑誌を手に取り、読む前に同じ姿勢で疲れた肩を回す。すると、また前の道を歩いてる人が。さっきと同じ白い傘をさした人。さすがに薄気味悪かったので、そのあとは窓の外へ眼を向けず漫画に集中した。さらに二冊ほど読み終え、顔なじみの店員さんと少し会話し、ご飯を買って外へ。雨は小雨になっていたけれど、また強く降ってくると嫌だし早く帰ろうと歩道へ出た瞬間、ドキッとした。20メートルほど先を歩く、白い傘を差した人の姿。田舎だから、そんな時間に走ってる車はほとんどなく、街灯も少ないので、コンビニから離れると辺りはものすごく暗い。そのせいで余計不気味に思えた。なんか嫌だな…とわざとゆっくり歩いているのに、それでもどんどん距離が縮まっていく。どんだけ歩くの遅いんだよって思った。前を歩く白い傘の人との距離が3ｍくらいになって、なんとなくこれ以上近づきたくなかったし、追い抜く気にもなれなかったので、だいぶ早いけどあの路地曲がるかーと思っていると、その人がその路地を曲がっていった。よかった！って気持ちもあったが、何もされてないのに勝手に想像してごめんなさいって気持ちもあったので、その人の後ろ姿に向かって軽くお辞儀をした。その瞬間、その人がなにか言ってるのが聞こえた。えって思ったけど、こっち向いてないし独り言だと思うことにした。そのまま歩いて、次の路地を横切ろうとして、なんとなく右を見た。見慣れた住宅街が見えた。白い傘をさして歩く人も見えた。ありきたりに背筋がぞっとしたとしか言えないけれど、嫌な感じがした。だってさっきまでは、こっちがゆっくり歩いていても距離が近づくくらい、あの人はものすごくゆっくり歩いていたはず。でも今は、どちらかと言えば早足。いつもよりほんの少し大股で歩いてる。なのに相手も、一本奥の道を平行して歩いてる。なにか嫌な感じがして、それを振り払おうと、偶然か、それともこっちを意識して歩く速度を変えて遊んでいる障害者かなにかだろう、と思うことにした。でも、何度路地を横切っても、白い傘を差した人が一本奥の道を歩いてる。見えないところで歩く速度を早くしたり遅くしたりしても、自分が横切るときに向こうの人も横切っていく。すごく怖くなって、脇目もふらず大通りまで走った。頭の中では自分に向かって、これはただ雨が少し強くなってきたから、濡れたくないから走ってるだけって言い聞かせた。大通りまで出ると、さすがに数台の車が走っていて、すこしホッとした。大通りを渡るときに右を見たけど人影はなく、それ以前に、向こうの路地から大通りへ出ても、横断歩道がないのだから渡れるはずもない。それでももしかしてと、大通りを渡ってひとつめの路地を横切るときに、勇気を振り絞って右を見てみた。誰も居なかった。その後の路地を横切るときも、誰も見えなかった。当たり前だよなーと落ち着きを取り戻して歩き続け、この路地を曲がればさぁもうすぐ家だと、いつものところで右へ曲がった。奥の路地から、白い傘を差した人が出てきた。え？って思ったときには、白い傘を差した人は路地を曲がってこちらへ歩いてきた。鳥肌がたった。やばって思ったときには、もう元きた道を走ってた。見られないように全力で走って、ひとつ前の路地を曲がった。なのに、曲がった路地の奥の道から白い傘をさした人が歩いてきた。道の真ん中まで出てきて、その体勢のまま不自然な感じでグルンッとこちらに向き直って、歩を進めてきた。寝静まって真っ暗な住宅街のど真ん中で、道が交差する付近には街灯があるものだから、白い傘と白い服はものすごくはっきり目に映った。深夜だっていうのに大声が出た。うわぁああ！って感じの。持ってた傘もコンビニの袋も放り投げて、一目散にその場から走った。走りながら友人に電話をかけて、寝てるところ起こして、「今から行くから家に入れてくれ」とお願いした。数時間前に送ったばかりだっていうのに友人はOKしてくれて、助かったと急いで走って向かったのだけれど、大通りを越えて、コンビニを過ぎ、道路を横断して曲がろうとした先で、白い傘を差した人が立っているのが見えた。もうこの時には、何で？としか考えられなくて、曲がるのをやめてそのまま次の路地を目指したんだけど、そこでも白い傘を差した人が奥の路地から出てきた。もう嫌だと思いながら道を先に進んでいると、携帯が鳴った。けれどおかしなことに、着信ではなく不在着信の表示。しかも3件。時間を確認するともう4時を回っていて、自分の中での時間はまだ10分程度だと思っていたのに、既に1時間近く経っていた町から出ていないし、それ以前に、曲がれないからこの通りを抜けていないのに。住んでるはずの町が知らない町のようで、すごく怖くなった。友人に電話をすると、『まだ？今どこ？こないの？』と、眠そうな声が電話から聞こえてきた。「行きたいけど無理。曲がれない。曲がった先に白い傘を差した何かが先回りしてる」って、きちんと言えたかわからないけど伝えると、友人は、『何言ってるかわかんないけど、先回りされるなら追わせればいいんじゃない？』って返してきた。でも、言われても何も考えられなくて、「え？え？なにいってんの？意味わかんねー！！」って返すのが精一杯。語気を強めて意味不明なこという自分に、友人は怒ることなくゆっくり丁寧に、『一度曲がりたい方向と逆に曲がるでしょ？そしたら前に先回りされてるんだよね？　それから後ろ向いて、追われる形でまっすぐ道を進めば、行きたい方向にいけない？』もう何でもいいから縋りたい一心で「わかった」って言って、友人の言うとおりにしてみた。もう何も考えられなかった。すると、本当に曲がった先に白い傘をさした人は現れるけれど、後ろを向いて逃げても追いかけてはこない。正確には、こちらにむかって歩いては来るけれど、ソレは自分が曲がった角のところまで来たら戻っていく。でも、また別の角を曲がったり、路地へ入ろうとしたりすると、その先の道から出てくる。行ける！と思ったとたん、周囲に誰もいないのに「ボオオ、オ、ア、」と、声なんだけど言葉じゃないとわかる音が、後ろから聞こえてきた。感覚的に、あぁアレが喋ってると思い、より一層足に力を入れて走った。ようやく友人の家の近くまで来ることができ、電話で伝えると、家の前まで出て待ってると言ってくれた。ホントに家の前で待っててくれた友人のもとへ行くと、「びしょびしょｗｗ傘どうしたのｗｗｗ」なんて言って笑ってて、ちょっと安心したけれど、見たこと説明して、走ってきた道の先を一緒に見てもらった。暗いし遠いのに、でもはっきりと向こうの十字路に、白い傘と白い服を着た人の姿があった。驚いた顔の友人と慌てて家に入ったあと、少し遠くから低音の人の声のような音がずっと聞こえていて、友人が飼ってる猫が、窓やら玄関やらを行ったり来たりしてた。明るくなって車の音がうるさくなってきたころには、いつのまにか声のような音や嫌な感じはなくなっていた。その日のうちに県内のお祓いで有名な神社に二人で行き、お祓いをしてもらったのだけれど、よぼよぼの神主さんは、「忘れたほうがいい。理解出来ない者は数多くいて、それがなにかは私にもわからない」とだけ説明してくれた。誤字脱字だらけな上に文才ないから、もっと要約できるだろ！とか、産業で！って思うかもしれないけど、今思い出しても寒気が止まらない経験で、冷静に書けないんだ。コレを読んだ誰かが同じようなことに遭遇したときは、友人の言葉を思い出して欲しい。</pre><br>
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<link>https://ameblo.jp/yamineko24/entry-12078532221.html</link>
<pubDate>Tue, 29 Sep 2015 12:13:11 +0900</pubDate>
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<title>第１３話「地下の丸穴」</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/o0640042713437103093.jpg"><img border="0" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/t02200147_0640042713437103093.jpg" alt=""></a><br><br>第１３話「地下の丸穴」(投稿者：青森県・H.Aさん)<br><br><pre>これは17年前の高校３年の冬の出来事です。あまりに多くの記憶が失われている中で、この17年間、わずかに残った記憶を頼りに残し続けてきたメモを読みながら書いたので、細かい部分や会話などは勝手に補足や修正をしていますが、できるだけ誇張はせずに書いていきます。私の住んでいた故郷は、すごく田舎でした。思い出す限り、たんぼや山に囲まれた地域で、遊ぶ場所といえば、原つきバイクを１時間ほど飛ばして市街に出てカラオケくらいしかなかったように思います。そんな片田舎の地域に1991年突如、某新興宗教施設が建設されたのです。建設予定計画の段階で地元住民の猛反発が起こり、私の親もたびたび反対集会に出席していたような気がします。市長や県知事に嘆願書を提出したり、地元メディアに訴えかけようとしたらしいのですが、宗教団体側が「ある条件」を提示し、建設が強行されたそうです。条件については地元でも様々な憶測や噂が飛び交いましたが、おそらく過疎化が進む市に多額の寄付金を寄与する事で、自治体が住民の声を見て見ぬふりをした、という説が濃厚でした。宗教施設は私たちが住んでいる地域の端に建てられましたが、その敷地面積は東京ドームに換算すると２～３個ぶん程度の広さだったと思います。過疎化が進む片田舎の土地は安かったのでしょう。高校２年の秋頃に施設が完成し、親や学校の担任からは「あそこには近づくな」「あそこの信者には関わるな」と言われていました。私たちはクラスの同級生８人くらいで見に行ったのですが、周りがすべて高い壁で囲われ、正面には巨大な門があり、門の両端の上の部分に、恐ろしい顔をした般若みたいなものが彫られていました。それを見た同級生たちは「やばい！悪魔教じゃ悪魔教じゃ」と楽しそうに騒いでいましたが、そういう経緯から学校ではあの宗教を「悪魔教」や「般若団体」などと、わけのわからないアダ名で呼ぶようになりました。たまにヒマな時などは、同級生ら数人で好奇心と興味と暇潰しに施設周辺を自転車でグルグルしていましたが、不思議な事に信者や関係者を見た事は一度もありませんでした。あまりに人の気配がなく、特に問題も起きなかったので、しだいに皆の関心も薄れていきました。高校３年になり、宗教施設の事は話題にもならなくなっていたのですが、ある日同級生のＡが「あそこに肝だめしに行かんか」と言いはじめました。Ａが言うには「親から聞いたけど、悪魔教の建物に可愛い女が出入りしとるらしい。毎日店に買い物に来とるらしいで」Ａの実家は、地域内で唯一そこそこ大きいスーパーを経営していました。Ａの両親は毎日２万円～３万円ぶんも買い物をしていく「悪魔教」にすっかり感謝しているようでした。Ａは「俺の親は、あそこの信者はおとなしくて良い人ばかりって言いよったよ。怖くないし、行ってみようや」私やその他の同級生も遊ぶ場所がなく毎日退屈していましたので、「じゃあ行くか！」という事になり、肝だめしが決定しました。メンバーは私とＡとＢとＣとＤの同じクラスの５人と、後輩のＥとＦの全員男の７人になりました。７人もいれば怖くないでしょう。皆も軽い気持ちで行く雰囲気でした。待ち合わせは施設にほど近い、廃郵便局の前になりました。私が到着するとＡＢＣとＥは来ていたのですが、ＤとＦが30分近く待っても来なかったので、５人で行く事になりました。施設の近くに自転車を停車させ、徒歩で施設の門へ。「うわ～夜中はやっぱ怖いわ」や「懐中電灯をもう一つ持ってくりゃ良かったね」などと話していました。巨大な門の前まで来ると門からかなり離れた敷地内の建物の一ヶ所に電気がついていました。「うわぁ信者まだ起きとんじゃね」「悪魔呼んだりしとんかね(笑)」などと軽口を叩いていましたが、Ｃが「これ、中に入れんじゃん」と言いました。するとＡが「俺が知っとるよ。横を曲がったとこに小さい門があってそっから入れる」と言いました。「Ａ、なんで早く言わんのんや」とか言いながら、壁づたいを歩き、突き当たりを横に曲がり、少し歩くと壁に小さな扉がありました。Ａが手で押すと、向こう側に開きました。人ひとりようやく通れる扉を５人で順番に通って中に侵入しました。その後は懐中電灯をつけたり消したりしながら更地の敷地内をグルグルしていました。「なんもないじゃん」「建物に近づいたらさすがにヤバイよの」など小さな声で雑談していたのですが、あまりにも何もなくつまらないので施設に近付いてみる事にしたんです。敷地内は正面の門からは長々とした100メートルくらいの完全な更地で、その先に大きな施設が三棟並んでいました。よく覚えていませんが、とても奇妙な外観をしたデザインの建物でした。施設周辺をコソコソ歩いていると、施設と施設の間に、灯りのついたキレイな公衆トイレの建物がぽつんとあり、トイレがある場所一帯は白いキレイなコンクリートで舗装されていて、ベンチまでありました。Ａが「ちょっと休憩しようや」と言い出し、周りの同級生らは「はぁ？見つかったらさすがにヤバイだろ」「さっさと一周して帰ろうや」と言いました。私も「見つかったら警察呼ばれるかもしれんし、卒業まであと少しじゃし、問題起こしたらヤバイ、はよう帰ろうや」と言いました。しかしＡはベンチに座ると煙草を吸い始めました。「じゃ一服だけして帰るか」という事で、全員でその場に座って煙草を吸いました。するとＡが「俺ちょっとトイレ行ってくるわ」とその公衆トイレの中に入っていきました。ＢやＣは「アイツ勝手に入った建物のトイレでよくションベンなんか出せるなぁ」「ウ○コなら悪魔に呪われるんじゃないか」とか冗談を言いながら煙草を吸っていたんですが、しばらくするとＡがトイレの中から「お～い。ちょっと来て。面白いもんがあるよ」と小さな声で言いました。ゾロゾロと行ってみるとＡは「ほら、ここなんだと思う？」と便所の個室を指さしました。Ｂが「トイレじゃん」と言うと「ドア開けてみてや」と言い、Ｂが「なんや」と言いながら扉を開けました。扉を開けてみると、なぜか中には地下に降りる階段がありました。Ａは「おかしいじゃろ。便器便器と並んで、ここだけ階段なんよ」と言いました。いよいよ、この状況がおかしな事に気づきました。第一Ａの言動がずっと不可解でした。Ａが急に肝だめしを提案した事、横の扉の位置を把握していた事、トイレの扉をわざわざ開いた事などです。私はＡに「お前まさかココでウ○コするつもりだったん？」と聞きました。Ａは「いや、うん、そうじゃ」と曖昧に答えた後「ちょっと降りてみんか？」と皆に聞き始めました。私は当然断りました。「お前おかしな事言うなや。はよ帰ろう。ここでグズグズしよったら見つかるじゃろ」と言うと、「はは～お前怖いんじゃろ？ちょっと降りるだけなのに怖いんじゃろ」と馬鹿にした感じで言い出しました。私はこれはＡの挑発だと思いました。下に誘導しようとしているとしか思えなかったのです。Ｂも「ワシもいかんわ。帰ろうで」と言ってくれたのですが、他の二人は「なんか面白そう。ちょっとだけ降りようか」みたいな感じでＡに同調したのです。Ａは「お前らは勇気あるの～」とか言いながら、私やＢを更に挑発していましたが、Ｂは「ワシ行かんで。勝手に行けや」と吐き捨てるように言いました。Ａは「ならまず３人で降りるわ。お前らはとりあえずココで待っといてや」と言いました。そして３人は下へと降りて行ったのです。私とＢの二人はトイレの外には出ず、中で待っていました。トイレの周辺は施設に挟まれた形で、窓も多数あったため、「どこの窓から見つかるか分からない」と思い、トイレ内で待機していました。Ｂは「おい、Ａってなんか変じゃないか？」と聞いてきました。私は「今日のＡはおかしい。なんか最初っから俺らをココに連れてきたみたいな感じがする」と答えると、Ｂも「ワシもそう思いよった」と言いました。その後はＢと一緒に今夜の事や見つかってしまった時の対処法などを話していました。５分近く経った頃、「ちょっと遅くないか？！」と私もＢもイライラし始めました。Ｂは「もう二人で帰るか」と言い出したのですが、二つあった懐中電灯のうち二つともＡたちが持って降りてしまったので、暗闇の中あの小さな横の扉を発見するのは時間がかかると判断し、しぶしぶ待っていました。すると、遠くのほうから足音が聞こえてきたんです。ザッザッザッという複数の足音が遠くから聞こえてきました。私もＢも、一瞬で緊張しました。私たちは小声で「ヤバイ…人がきた。マズイで…」と囁きあいました。場が張りつめた雰囲気に変わりました。足音は遠くからでしたが、どの方角からの足音か分からなかったですし、いま外に出ても私たちは施設内の方向や構造が分からないので、見つかってしまう可能性がありました。Ｂが「ヤバイ…近づいて来とるで…どうする？」とかなり慌てた感じで言っていました。私も内心は心臓がバクバクしながら「コッチに来るとは限らんし、来そうなら隠れよう」と言いました。しかし確実に足音は私たちのいるトイレに近づいてきていました。その時Ｂがいきなり階段ではない他の大便の個室の扉に手をかけました。しかし開きません。隣の個室もなぜか開きませんでした。Ｂは「クソッ！閉まっとる。あ～クソッ」と小さな声で叫びました。足音はおそらく15ｍくらいまで近づいてきています。直感的ですが、私はその時、足音の連中は間違いなくトイレに来ると確信していました。Ｂもきっと同じ予感がしていたのだと思います。私もＢもジッと立ち尽したままでした。Ｂは「…仕方ないわ。降りよう」と言い出しました。私は「えっマジで…？」と返事をしました。あの得体の知れない階段を降りるのはすごく嫌でしたがトイレ内にはもはや隠れる場所もなく、走り出したところで、暗闇の中でしかも場所がよく分からないので捕まるだろうと思いました。深夜の宗教施設という特殊な状況下で判断力も鈍っていたのかもしれません。足音がもうすぐトイレ付近に差しかかる中、私とＢは個室の扉を開き足音を忍ばせながら下への階段を降りました。階段はコンクリート造りの階段で、長い階段なのかと思っていましたが、意外にも10段くらいで下に着きました。真っ暗闇なので何も見えないのですが、前を歩いていたＢが、降りた突き当たりの目の前にあったのだろう扉を開きました。中には部屋がありました。部屋の天井にはオレンジ色の豆電球がいくつかぶら下がり、部屋全体は淡いオレンジ色に包まれていました。私とＢはその部屋に入ると、扉をそっと静かに閉めました。部屋を見渡すと、15畳くらい(よく覚えていません)の何もないコンクリート造りの部屋で、真ん中には大きく円状のものがぶら下がっていました。説明しにくいですが、巨大な鉄製のフラフープみたいなものが縦にぶら下がっている感じです。そのフラフープは部屋の両隅の壁に付くくらい巨大なものでした。私とＢはそんなのを気にせずに、扉の前で硬直していましたが、私が「Ａたちは？おらんじゃん…」と小さな声で言うと、Ｂは「わからん、わからん…」とひきつった表情で言っていました。そして、私たちが聞いていた足音が予感通りトイレの中に入ってきたのが分かりました。真上から足音がコンクリートを伝って響いてきました。その足音は３人～４人くらい。私たちはジッと動けないまま、扉の前で立ち尽していました。なにやらブツブツ話し声が聞こえてきましたが、内容まで聞きとれません。話し合うような声に聞こえましたし、それぞれがなにかをブツブツ呟いているようにも聞こえました。Ｂは下をうつむいたまま、目を閉じていました。どのくらい時間が経ったのか分かりません。私はなにか楽しい事を思い出そうとして、当時流行っていたお笑い番組「爆SHOW☆プレステージ」を必死に思い出していました。いつのまにか、トイレ内のブツブツ呟く声は、３～４人から10人くらいに増えている事に気づきました。上にいる連中は私たちがココに隠れている事を知っているのではと思いました。怖くてガタガタ震えてきました。ブツブツブツブツと気味の悪い話し声に気が遠くなりそうでした。突然ブツブツ呟く声が消えると、ガタンッと扉が二つ連続して開く音が聞こえた後、さらにガタンッと音がしました。そのガタンッはトイレの個室を開く音だとすぐに分かり、鳥肌が立ちました。「他の個室には最初から人が入っていたんじゃないか」私と同じようにＢがその可能性に気づいたのかどうかは分かりませんが、さっきは鍵が閉まっていたのですから、外から開けたのではなく、個室から誰かが出てきたんだと思ったのです。そして階段を降りる足音が聞こえてきました。限界でした。階段を降りきるまで15秒とかからないでしょう。私はＢの腕をギュッと掴みました。階段を降りる足音が中間地点くらいになった時、Ｂは「うわぁぁぁ～」と情けない悲鳴をあげながら私の手を振り払い、部屋の奥に走り出しました。その時です。Ｂがあの丸い輪をピョンとジャンプした瞬間、一瞬でＢの姿がなくなったのです。私はただただ唖然としました。フラフープ状の丸い輪の向こう側に飛び越えるはずなのに、Ｂが忽然と姿を消してしまった事に、恐怖よりも放心状態になりました。私は扉から少し離れ、扉とフラフープの間に立っていました。「謝ろう！」と思いました。「すみません。勝手に入ってしまいました。本当にすみません」そう言おうと思いました。扉がゆっくり開きました。開いた扉の隙間から、わざとらしく、ひょいっと顔だけが現れました。王冠のようなものをかぶった老人が顔だけ覗かせこちらを見ていました。満面の笑みでした。おじいさんかおばあさんかは分かりませんでしたが、長い白髪に王冠をかぶった、しわくちゃの老人が満面の笑みで私を見ていました。それは見た事もない悪意に満ちた笑顔で、私は一目見て「これはまともな人間ではない」と思いました。話が通じる相手ではないと思ったのです。その老人の無機質な笑顔に一瞬でも見られたくないと思い、「はうひゃっ！」と情けない悲鳴が喉の奥から勝手に出てきて、私もまたＢと同じようにフラフープ状の輪に飛びこみました。目を開くと病室にいました。頭がボーッとしていました。腕には注射針が刺さり、私は仰向けに寝ていました。上半身を起きあがらせるのに３分近くかかりました。窓を見ると綺麗な夕焼けでした。部屋には人はおらず、個室の病室でした。何も考えられずただボーッとしていました。どのくらいの時間ボーッとしていたか分かりません。しばらくすると、ガチャとドアが開き看護婦さんが現れました。看護婦さんは、かなり驚いた表情で目を見開くと、そのままどこかに駆け出しました。私はそれでもボーッとしていました。その後は担当医や他の医師たち数人が来て、私に何かを話しかけているようでしたが、私はボーッとしたままだったらしいです。その後時間が経ち意識もだんだんと鮮明になってきました。医師からは「さっき○○君の家族呼んだからね。○○君は長い時間寝ていたんだよ。でも心配しなくていい。もう大丈夫だよ」と意味不明な事を言われました。起きてからも時間の感覚がよく分からなかったのですが、やがて母らしき人と若い女の子が泣きながら病室に入ってきました。それは母ではありませんでした。それに私の名前は○○でもありません。母を名乗る女性は「よかった…よかった」と泣いて喜んでいました。若い女の子は私に「お兄ちゃん、おかえり…」と言いながら泣き崩れてしまいました。しかし私に妹はいません。３つ離れた大学生の兄ならいましたが、妹などいません。私は「誰ですか？誰ですか？」と何度も聞きました。医師は「後遺症でしょうが時間が経てば大丈夫だと…」みたいな事を母らしき女性や妹らしき女の子に励ますように言っていました。「今夜は母さんずっといるからね」と言われました。私は寝たままいろいろ検査を受け、その際医師に「僕は○○でもないし、母も違うし妹もいません」と言いました。しかし医師は「う～ん…記憶にちょっと…う～ん…」と首を傾げていました。「○○君はね、二年近く寝たきりだったんだよ。だから記憶がまだ完全ではないんだと思うよ」と言われました。そう言われても、私はショックな感情すらありませんでした。現実にいま起きている事が飲み込めなかったのでショックを受ける事さえできなかったのです。医師は言葉を選びながら、私を必死に励ましていました。母らしき人は記憶喪失にショックを受けて号泣していました。私は「トイレに行く」とトイレに行きました。立ち上がる際に足が異常に重く、なかなか立ち上がれずにいると、医師や看護婦や妹らしき人が手伝ってくれました。トイレに行くと、初めてあの夜の事を思い出しました。不思議ですが、目覚めてからの数時間一度もあの肝だめしの事は思い出さずにいました。トイレがすごく怖かったのですが、肩をかしてくれた医師や付いてきた母や妹がいたので、中に入りました。用を足したあと、鏡を見て悲鳴をあげました。顔が私ではありませんでした。まったくの別人でした。覚えていないのですが、その時私は激しいパニックを起こしたらしく、大変だったらしいです。その後は一ヶ月近く入院しました。私は両親と名乗る男女や、妹を名乗る女の子や、見舞いに来た自称友達や、自称担任の先生だったという男性らに「僕は○○じゃないし、あなたを知らない」と言い続けました。ＡやＢの事や、自分の過去や記憶を覚えている範囲で話し続けましたが、すべて記憶障害、記憶喪失で片付けられました。Ａなど存在しない、Ｂもいない、そんな人間は存在しないと説得されました。しかし、みんな私にとても優しく接してくれました。医師や周りの話だと、私は学校帰りに自転車のそばで倒れているところを通行人に発見され、そのまま病室に担ぎ込まれたそうです。私に入ってくるこの世界の情報はどれも聞いた事がないものばかりでした。例えば、「ここは神奈川県だよ」と言われた時は、私は神奈川県など知らないし、そんな県はなかったはずでした。通貨単位も円など聞いた事もない。東京など知らない。日本など知らない…という感じです。そのつど医師からは「じゃあ、なんだったの？」と聞かれるのですが、どうしても思い出せないのです。Ａの名前も思い出せず、「同級生の友達」と何度も説明しましたが周りからは「そんな子はいないよ」と言われました。あの施設に入り、あのフラフープに入った話を医師に何度も必死に説明しましたが、「それは眠っていた時の夢なんだよ」という感じで流され続けました。しかし恐ろしい事に、私自身「自分は記憶喪失なんだ。前の人生や世界は全部寝ていた時の夢だったんだ」と真剣に思い始めていたのです。「記憶喪失な上に、別人格・別世界の記憶が上書きされている」と信じはじめていたのです。どちらにせよ私には別人としての人生を生きていく事しか選択肢はありませんでした。退院後に父や母や妹に連れられ自宅に戻りました。「思い出せない？」と両親から聞かれましたが、それは初めて見る家に初めて見る街並みでした。私はカウンセリングに通いながら、必死にこの新しい人生に順応しようと思いました。私に入ってくる単語や情報には違和感のあるものとないものに分かれました。都道府県名や国名はどれも初めて聞いたものばかりですし、昔の歴史や歴史上の人物も初耳でしたが、大部分の日常単語については、違和感はありませんでした。テレビや新聞、椅子やリモコンなどの日常会話はまったく違和感ありません。最初は家族に馴染めず、敬語で話したり、パンツや下着を洗われるのが嫌で自分で洗濯などしていましたが、不思議な事に、本物の家族なんだと思えるようになり、前の人生は前世か夢だと思うようになりました。そう思えてくると、前の人生での記憶が少しずつ失われていきました。唯一鮮明に覚えていた両親の顔や兄の顔や友人の顔や田舎の街並みも思い出すのに時間がかかるようになりました。しかし、あの最後の一夜、宗教施設での記憶だけはハッキリ覚えていました。特にあの満面の笑みの老人の顔は忘れられませんでした。新しい生活にも慣れ、カウンセリングの回数も減り、半年後には高校にも復帰しました。二十歳で高校３年生からやり直したのですが、友人もでき、楽しさを感じていました。テレビ番組も観た事がない番組ばかりでとても新鮮でした。神奈川県の都市でしたので都会の生活もすごく楽しかったのを覚えています。しかし、高校復帰から４ヶ月ほど経った後に意外な形で、あの世界とこの世界とをつなぐ共通点が現れました。ちょうど夏休みに、私は宿題の課題のため、本屋で本を探していました。すると並べてある本の中で「○○○○」という文字が目に入りました。宗教関連本でした。「○○○○」というのは、紛れもなく、私が最後の夜に侵入した新興宗教の名前でした。私は驚愕しました。そして本を手にとり、必死に読みました。「○○○○」はこの世界では、かなり巨大な宗教団体というのが分かりました。私のいた世界では名前も聞いた事がない無名の新興宗教団体だったのに、こちらでは世界的な宗教団体だったのです。それから私はその宗教の関連本を何冊も買い読みあさりましたが、それは意味がない行為でした。読んだからといって何も変わりません。戻れるわけでもなければ、誰かに私の過去を証明できるような事実でもありません。周りに話したところで「それは意識がなかった時に○○○○が夢に出てきただけだ」と言われるだろうと思ったからです。それに、親切にしてくれる新しい家族や友人たちに迷惑や心配をかけたくなかったのです。せっかく高校にも復学し、過去の話をしなくなった私に対して安心感を感じてくれている周囲に対しての申し訳なさ、またカウンセリングに通う苦痛を考え、私は見て見ぬふりをする事にし普通に人生を送ってきました。17年が経ち、私も今は都内で働くごく普通のサラリーマンです。ではなぜ今さらこんな事を書き記そうと思ったかと言うと、先月、私の自宅に封書の手紙が届きました。匿名で書かれた手紙の内容は「突然で申し訳ありません。私はあなたをよく知っています。あなたも私をよく知っているはずです。あなたを見つけるのにとても長い時間と手間がかかりました。あなたは○○という名前ですが、覚えていますか？また必ず手紙を送ります。この手紙の内容は誰にも言わないでください。あなたの婚約者にも。よろしくお願いします」という内容でした。○○○と呼ばれても、私にはもはや全くピンときませんが、以前そんな名前だったような気もします。手紙が送られてきた事に対しては不思議と恐怖も期待もなく、どちらかというと人ごとのように感じました。そして、その手紙の相手は先週二通目を送ってきました。要約すると「あなたが知っている私の名前は○○です。あなたは覚えていませんよね？どうやらここにはあなたと私しか来ていないようです。」と書かれ「今月25日の19時に○○駅前の○○にいるので、必ず来てください。あなたに早急に伝えなければならない事があります。必ず一人で来てください」と書かれていました。私には○○の名前が誰なのか一切覚えていませんが会いに行くつもりです。行かなければならない気がしています。誰がそこに立っていたとしても思い出せないと思いますが、あの夜のメンバーなら話せば誰なのか分かります。できればＢであってほしいです。なにが起こるか分からないので、こういう形で書き残そうと思いました。同じような文面を婚約者と唯一の身内になった妹には残しておこうと思います。長々と読んで頂いてありがとうございました。</pre><br>
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<link>https://ameblo.jp/yamineko24/entry-12078531164.html</link>
<pubDate>Tue, 29 Sep 2015 12:08:55 +0900</pubDate>
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<title>第１２話「初雪の山」</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/o0640042713437103093.jpg"><img border="0" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/t02200147_0640042713437103093.jpg" alt=""></a><br><br>第１２話「初雪の山」(投稿者：福島県・K.Sさん)<br><br><pre>初雪の山は登ってはいけない、そういう話しを仲間内でよく聞いたが、滑りやすくなるからだろうと思いバカにしてた知り合いは命の危険に晒された。彼は登山歴３年くらいの経験の少ないアマだったが勝気な性格で人に頼ったりする事が嫌いだなんでも１人でするタイプで、そのときも一人で冬山を登っていたが、初雪が降り始めていた。積もったのは数センチだったので彼は当初の計画通り登り続けた。雪のせいで登山道が分かりづらくなった彼は慎重に登り始めたが不安になりだした。道を探しながら歩いていると、足跡があることに気づいた。 彼は喜んで胸をなでおろした、「この道で間違いないんだ」またいい調子で歩き始めた。 だが、その足跡に気になる点があった靴の足跡ではない気がする、少なくとも登山ブーツではない。明らかに細すぎるし小さい。そのまま足跡を頼りに登り始めた、周りの景色が少し違うなと３年の経験で感づき始めた。登山道というより獣道に近く、岩もごろごろして雑林も増えてきて歩きづらくなってきた。彼は、その足跡の不気味さも気にかかっていたので、引き返すことにした。かなり辺りも暗くなってきて、彼は焦りはじめた。急いで自分の足跡を頼りに下山していると、異変に気づいた。あの細い足跡が増えている。。。登っているときは１人だけの足跡だったが今は数人ある。少なくとも今は３人の足跡が見える。しかも、よおく観察してみると裸足の足跡のように見えた。それに気づくと背筋がゾクゾクして恐怖に襲われた。自分を裸足のなにかが後をつけて来てた。しかも登山道ではない。その時、彼は知り合いのベテラン登山家の言葉を思い出していた「初雪の日は登山してはいけないよ。見てはいけないものが見えちまう。普段は見えないものが、雪のおかげで見えることがあるんだ、それは命取りになるから」彼はパニックになりつつあった、暗くなり始め、得体の知れない裸足の足跡、確実に迷ってる。彼は足早に足跡を頼りに下山を始めたしかしいくら歩いても登山道には戻れなかった、もう完全に日は落ち足跡も見分けがつかなくなった。遭難頭にその言葉が浮かんだが、今日中の下山をあきらめ野宿すると決断した。野宿の準備をしていなかったので装備の中で使えそうなのは、アルミ箔のような保温カバーとマッチくらいしかなかった。彼は風がしのげる大きな岩の下で野宿をする事にした。かなり冷えるが雪の降った後で穏やかな夜だったので凍死の心配はなさそうだったが念のため眠らない事にした。おちついたところで足跡の事がふと頭に浮かんできた。「あの足跡はだれのものだろうか。。他のシカやウサギ、イノシシだろうきっと。。」彼は自分の気をごまかすように、小動物の足跡だと解釈するようにしていたが。。眠らないように頑張っていた彼はついうとうとして、眠ってしまった。彼は物音で目がさめた、それは何かが雪の上を歩く音だった、ザクッ。。。ザクッ。。。ザクッ。。。その音は岩の後ろから聞こえていた、 勝気な彼は小動物だと思い追い払おうと大声を出した「コラッ！！」 怒鳴っると足跡は遠くえ逃げていった。「やっぱり、イノシシか。。」数十分後また足跡が遠くから聞こえてきた、ザクッ・・・ザクッ。。。ザクッザクッ。。ザクッザクッザクッ。。 今度の足音は違った１人の足音じゃない。。。仲間を連れてきたんだ。。。。 さすがの彼も恐怖を感じた。「コラッ！！」もう一度おもっきり怒鳴った。足音は止まったが、少しするとまた進み始めた、こっちに向かってきてるもうココまで来ると、奴らが人間だと思わずに入られなくなった。数人の人間がこっちに向かってきてる。。 彼は今までにないほどの恐怖に襲われた。体育座りをして目を瞑って祈り始めた、特に宗教には入っていなかったが子供のころ祖父や祖母が念仏を唱えていたのをかすかに思い出しながら保温カバーに顔も入れて外を見ないようにしながらひたすら、めちゃくちゃな念仏を唱えた。足音はまだ聞こえてる。どんどん近くなってきてる。 ザクッザクッザクッ。ザクッ夜中その足音は続き、まるで彼のまわりをグルグル回ってるかのようだった彼は一睡もできず半狂乱で念仏をとなえていた、朝が近くなり徐々に明るくなってきたのが分かった。足音は次第に遠くになってきていた、彼は安堵した。 日が昇ったのがわかった、足音も完全に聞こえなくなり、彼はおそるおそる保温カバーから顔を出してあたりを見回すと愕然とした。<br><br>周りには何十もの足跡が残っていた、しかも裸足の足跡が、彼は疲労困憊でその足跡を眺めていたあまりの恐怖に何も考えられなかったが、荷造りを初めて下山を始めた。３０分も歩くとその足跡は途中で消えたが、少し歩くと登山道の標識がすぐに見え無事に下山した。精神ともに衰弱しきった彼はこれを最後に登山を止めた。</pre><br>
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<link>https://ameblo.jp/yamineko24/entry-12078530098.html</link>
<pubDate>Tue, 29 Sep 2015 11:59:34 +0900</pubDate>
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<title>第１1話「邪視」</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/o0640042713437103093.jpg"><img border="0" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/t02200147_0640042713437103093.jpg" alt=""></a><br><br>第１1話「邪視」(投稿者：群馬県・M.Mさん)<br><br><pre>これは俺が14歳の時の話だ。冬休みに、N県にある叔父（と言ってもまだ当時30代）の別荘に遊びに行く事になった。本当は彼女と行きたかったらしいが、最近別れたので俺を誘ったらしい。小さい頃から仲良くしてもらっていたので、俺は喜んで遊びに行く事になった。叔父も俺と同じ街に住んでおり、早朝に叔父が家まで車で迎えに来てくれて、そのまま車で出発した。叔父は中々お洒落な人で、昔から色んな遊びやアウトドア、音楽、等等教えてもらっており、尊敬していた。車で片道8時間はかかる長旅だったが、車内で話をしたり音楽を聞いたり、途中で休憩がてら寄り道したり、本当に楽しかった。やがて目的地近辺に到着し、スーパーで夕食の食材を買った。そして、かなりの山道を登り、別荘へ。それほど大きくはないが、木造ロッジのお洒落な隠れ家的な印象だった。少し下がった土地の所に、2～3他の別荘が見える。人は来ていない様子だった。夕食は庭でバーベキューだった。普通に安い肉だったが、やっぱり炭火で焼くと美味く感じる。ホルモンとか魚介類・野菜も焼き、ホントにたらふく食べた。白飯も飯盒で炊き、最高の夕食だった。食後は、暖炉のある部屋に行き、TVを見たりプレステ・スーファミ・ファミコンで遊んだり。裏ビデオなんかも見せてもらって、当時童貞だったので衝撃を受けたもんだった。深夜になると、怖い話でも盛り上がった。叔父はこういう方面も得意で、本当に怖かった。機会があればその話も書きたいが…ふと、叔父が思い出した様に｢裏山には絶対に入るなよ｣と呟いた。何でも、地元の人でも滅多に入らないらしい。マツタケとか取れるらしいが。関係ないかもしれないが、近くの別荘の社長も、昔、裏山で首吊ってる、と言った。いや、そんな気味悪い事聞いたら絶対入らないし、とその時は思った。そんなこんなで、早朝の5時ごろまで遊び倒して、やっとそれぞれ寝ることになった。部屋に差し込む日光で目が覚めた。時刻はもう12時を回っている。喉の渇きを覚え、1階に水を飲みに行く。途中で叔父の部屋を覗くと、イビキをかいてまだ寝ている。寒いが、本当に気持ちの良い朝だ。やはり山の空気は都会と全然違う。自分の部屋に戻り、ベランダに出て、椅子に座る。景色は、丁度裏山に面していた。別になんて事はない普通の山に見えた。ふと、部屋の中に望遠鏡がある事を思い出した。自然の景色が見たくなり、望遠鏡をベランダに持ってくる。高性能で高い物だけあって、ホントに遠くの景色でも綺麗に見える。町ははるか遠くに見えるが、周囲の山は木に留ってる鳥まで見えて感動した。30分くらい夢中で覗いていただろうか？丁度裏山の木々を見ている時、視界に動くものが入った。人？の様に見えた。背中が見える。頭はツルツルだ。しきりに全身を揺らしている。地元の人？踊り？手には鎌を持っている。だが異様なのは、この真冬なのに真っ裸と言う事。そういう祭り？だが、1人しかいない。思考が混乱して、様々な事が頭に浮かんだ。背中をこちらに向けているので、顔は見えない。その動きを見て、何故か山海塾を思い出した。｢これ以上見てはいけない｣と本能的にそう感じた。人間だろうけど、ちょっとオカシな人だろう。気持ち悪い。だが、好奇心が勝ってしまった。望遠鏡のズームを最大にする。ツルツルの後頭部。色が白い。ゾクッ、としたその時、ソイツが踊りながらゆっくりと振り向いた。恐らくは、人間と思える顔の造形はしていた。鼻も口もある。ただ、眉毛がなく、目が眉間の所に1つだけついている。縦に。体が震えた。1つ目。奇形のアブナイ人。ソイツと、望遠鏡のレンズ越しに目が合った。口を歪ませている。笑っている。｢うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ｣目が合った瞬間、叫んでいた。涙が止まらない。とにかく、死にたい。異常なまでの鬱の様な感情が襲ってきた。死にたい死にたい…半狂乱で部屋を駆け回っていると、叔父が飛び込んで来た。｢どうした！？｣｢バケモン！！｣｢は？｣｢望遠鏡！！裏山！！｣叔父が望遠鏡を覗きこむ。｢～～～～～～ッ｣声にならない唸りを上げ、頭を抱え込む。鼻水を垂らしながら泣いている。さっきよりは、少し気持ちの落ち着いた俺が聞いた。｢アレ何だよ！！｣｢00子～　00子～｣別れた彼女の名前を叫びながら、泣きじゃくる叔父。流石にヤバイと思い、生まれて初めて平手で思いっきり、人の顔をはたいた。体を小刻みに揺らす叔父。10秒、20秒…叔父が俺を見つめてきた。｢邪視｣｢じゃし？｣｢いいか、俺の部屋の机の引き出しに、サングラスがあるから持ってこい。お前の分も｣｢なんで（ｒｙ｣｢いいから持ってこい!!｣俺は言われるままに、サングラスを叔父に渡した。震える手で叔父はサングラスをかけ、望遠鏡を覗く。しばらく、望遠鏡を動かしている。｢ウッ｣と呻き、俺に手招きをする。｢グラサンかけて見てみろ｣。恐る恐る、サングラスをかけ、覗き込む。グラサン越しにぼやけてはいるが、木々の中のソイツと目が合った。言い様の無い不安がまた襲ってきたが、さっきほどでは無い。だが心臓の鼓動が異常に早い。と言うか、さっきの場所では無い…ソイツはふにゃふにゃと奇妙な踊り？をしながら動いている。目線だけはしっかりこちらに向けたまま…山を降りている！？まさかこっちに来ている…！？｢００、お前しょんべん出るか？｣｢は？こんな時に何を…｣｢出るなら、食堂に空きのペットボトルあるから、それにしょんべん入れて来い｣そう言うと、叔父は1階に降りていった。こんな時に出るわけないので、呆然としていたら数分後、叔父がペットボトルに黄色のしょんべんを入れて戻ってきた。｢したくなったら、これに入れろ｣と言い、叔父がもう1つの空のペットボトルを俺に差し出した。｢いや、だからアイツ何？｣｢山の物…山子…分からん。ただ、俺がガキの頃、よく親父と山にキャンプとか行ってたが、　あぁ、あそこの裏山じゃないぞ？山は色んな奇妙な事が起こるからな…　夜でも、テントの外で人の話し声がするが、誰もいない。そんな時に、しょんべんとか　撒いたら、不思議にピタッと止んだもんさ…｣そう言うと叔父は、もう一度望遠鏡を覗き込んだ。｢グウッ｣と苦しそうに呻きながらも、アイツを観察している様子だ。｢アイツな。時速何Kmか知らんが、本当にゆっくりゆっくり移動している。途中で見えなくなったが…　間違いなく、このロッジに向かってるんじゃないのか｣｢じゃあ、早く車で戻ろうよ｣｢多分、無駄だ…アイツの興味を俺たちから逸らさない限りは…多分どこまでも追ってくる。　これは一種の呪いだ。邪悪な視線、と書いて邪視と読むんだが…｣｢さっき言ってたヤツか…でも何でそんなに詳しいの？｣｢俺が仕事で北欧のある街に一時滞在してた時…イヤ、俺らが助かったら話そう｣｢助かったらって…アイツが来るまでここにいるの？｣｢いいや、迎え撃つんだよ｣俺は絶対にここに篭っていた方が良いと思ったが、叔父の意見はロッジに来られる前に、どうにかした方が良い、と言う物だった。あんな恐ろしいヤツの所にいくなら、よっぽど逃げた方がマシだと思ったが、叔父さんは昔からいつだって頼りになる人だった。俺は叔父を尊敬しているし、従う事に決めた。それぞれ、グラサン・ペットボトル・軽目の食料が入ったリュック・手持ちの双眼鏡・木製のバット・懐中電灯等を持って、裏山に入っていった。暗くなる前にどうにかしたい、と言う叔父の考えだった。果たしてアイツの視線に耐えられるのか？望遠鏡越しではなく、グラサンがあるとはいえ、間近でアイツに耐えられるのか？様々な不安が頭の中を駆け巡った。裏山と言っても、結構広大だ。双眼鏡を駆使しながら、アイツを探しまわった。叔父いわく、アイツは俺らを目標に移動しているはずだから、いつか鉢合わせになると言う考えだ。あまり深入りして日が暮れるのは危険なので、ロッジから500mほど進んだ、やや開けた場所で待ち伏せする事になった。｢興味さえ逸らせば良いんだよ。興味さえ…｣｢どうやって？｣｢俺の考えでは、まずどうしてもアイツに近づかなければならない。だが直視は絶対にするな。　斜めに見ろ。言ってる事分かるな？目線を外し、視線の外で場所を捉えろ。　そして、溜めたしょんべんをぶっかける。それでもダメなら…　良いか？真面目な話だぞ？俺らのチンコを見せる｣｢はぁ？｣｢邪視ってのはな、不浄な物を嫌うんだよ。糞尿だったり、性器だったり…　だから、殺せはしないが、それでアイツを逃げされる事が出来たのなら、俺らは助かると思う｣｢…それでもダメなら？｣｢…逃げるしかない。とっとと車で｣俺と叔父さんは、言い様のない恐怖と不安の中、ジッと岩に座って待っていた。交代で双眼鏡を見ながら。時刻は4時を回っていた。｢兄ちゃん、起きろ｣俺が10歳の時に事故で亡くなった、1歳下の弟の声が聞こえる。｢兄ちゃん、起きろ。学校遅刻するぞ｣うるさい。あと3分寝かせろ。｢兄ちゃん、起きないと　死　　ん　　じ　　ゃ　　う　　ぞ　　！　　！｣ハッ、とした。寝てた？？あり得ない、あの恐怖と緊張感の中で。眠らされた？？横の叔父を見る。寝ている。急いで起こす。叔父、飛び起きる。腕時計を見る、5時半。辺りはほとんど闇になりかけている。冷汗が流れる。｢００、聴こえるか？｣｢え？｣｢声…歌？｣神経を集中させて耳をすますと、右前方数m？の茂みから、声が聞こえる。だんだんこっちに近づいて来る。民謡の様な歌い回し、何言ってるかは分からないが不気味で高い声。恐怖感で頭がどうにかなりそうだった。声を聞いただけで世の中の、何もかもが嫌になってくる。｢いいか！足元だけを照らせ！！｣叔父が叫び、俺はヤツが出てこようとする、茂みの下方を懐中電灯で照らした。足が見えた。毛一つ無く、異様に白い。体全体をくねらせながら、近づいてくる。その歌のなんと不気味な事！！一瞬、思考が途切れた。｢あぁぁっ！！｣｢ひっ！！｣ヤツが腰を落とし、四つんばいになり、足を照らす懐中電灯の明かりの位置に、顔を持ってきた。直視してしまった。昼間と同じ感情が襲ってきた。死にたい死にたい死にたい！こんな顔を見るくらいなら、死んだ方がマシ！！叔父もペットボトルをひっくり返し、号泣している。落ちたライトがヤツの体を照らす。意味の分からないおぞましい歌を歌いながら、四つんばいで、生まれたての子馬の様な動きで近づいてくる。右手には錆びた鎌。よっぽど舌でも噛んで死のうか、と思ったその時、｢プルルルルッ｣叔父の携帯が鳴った。号泣していた叔父は、何故か放心状態の様になり、ダウンのポケットから携帯を取り出し、見る。こんな時に何してんだ…もうすぐ死ぬのに…と思い、薄闇の中、呆然と叔父を見つめていた。まだ携帯は鳴っている。プルルッ。叔父は携帯を見つめたまま。ヤツが俺の方に来た。恐怖で失禁していた。死ぬ。その時、叔父が凄まじい咆哮をあげて、地面に落ちた懐中電灯を取り上げ、素早く俺の元にかけより、俺のペットボトルを手に取った。｢こっちを見るなよ！！ヤツの顔を照らすから目を瞑れ！！｣俺は夢中で地面を転がり、グラサンもずり落ち、頭をかかえて目をつぶった。ここからは後で叔父に聞いた話。まずヤツの顔を照らし、視線の外で位置を見る。少々汚い話だが、俺のペットボトルに口をつけ、しょんべんを口に含み、ライトでヤツの顔を照らしたまま、しゃがんでヤツの顔にしょんべんを吹きかける瞬間、目を瞑る。霧の様に吹く。ヤツの馬の嘶きの様な悲鳴が聞こえた。さらに口に含み、吹く。吹く。ヤツの目に。目に。さっきのとはまた一段と高い、ヤツの悲鳴が聞こえる。だが、まだそこにいる！！焦った叔父は、ズボンも下着も脱ぎ、自分の股間をライトで照らしたらしい。恐らく、ヤツはそれを見たのだろう。言葉は分からないが、凄まじい呪詛の様な恨みの言葉を吐き、くるっと背中を向けたのだ。俺は、そこから顔を上げていた。叔父のライトがヤツの背中を照らす。何が恐ろしかったかと言うと、ヤツは退散する時までも、不気味な歌を歌い、体をくねらせ、ゆっくりゆっくりと移動していた！！それこそ杖をついた、高齢の老人の歩行速度の如く！！俺たちは、ヤツが見えなくなるまでじっとライトで背中を照らし、見つめていた。いつ振り返るか分からない恐怖に耐えながら…永遠とも思える苦痛と恐怖の時間が過ぎ、やがてヤツの姿は闇に消えた。俺たちはロッジに戻るまで何も会話を交わさず、黙々と歩いた。中に入ると、叔父は全てのドアの戸締りを確認し、コーヒーを入れた。飲みながら、やっと口を開く。｢あれで叔父さんの言う、興味はそれた、って事?｣｢うぅん…恐らくな。さすがに、チンコは惨めなほど縮み上がってたけどな｣苦笑する叔父。やがて、ぽつりぽつりと、邪視の事について語り始めてくれた…叔父は、仕事柄、船で海外に行く事が多い。詳しい事は言えないが、いわゆる技術士だ。叔父が北欧のとある街に滞在していた、ある日の事。現地で仲良くなった、通訳も出来る技術仲間の男が、面白い物を見せてくれると言う。叔父は人気の無い路地に連れて行かれた。ストリップとかの類かな、と思っていると、路地裏の薄汚い、小さな家に通された。叔父は中に入って驚いた。外見はみすぼらしいが、家の中はまるで違った。一目で高級品と分かる絨毯。壺。貴金属の類…香の良い香りも漂っている。わけが分からないまま、叔父が目を奪われていると、奥の小部屋に通された。そこには、蝋燭が灯る中、見た目は60代くらいの男が座っていた。ただ異様なのは、夜で家の中なのにサングラスをかけていた。現地の男によれば｢邪視｣の持ち主だと言う。邪視（じゃし）とは、世界の広範囲に分布する民間伝承、迷信の一つで、悪意を持って相手を睨みつける事によって、対象となった被害者に呪いを掛ける事が出来るという。イビルアイ(evil eye)、邪眼（じゃがん）、魔眼（まがん）とも言われる。邪視の力によっては、人が病気になり衰弱していき、ついには死に至る事さえあるという。叔父は、からかい半分で説明を聞いていた。この男も、そういう奇術・手品師の類であろうと。座っていた男が、現地の男に耳打ちした。男曰く、信じていない様子だから、少しだけ力を体験させてあげよう、と。叔父は、これも一興、と思い、承諾した。また男が現地の男に耳打ちする。男曰く、｢今から貴方を縛りあげる。誤解しないでもらいたいのは、それだけ私の力が強いからである。　貴方は暴れ回るだろう。私は、ほんの一瞬だけ、私の目で貴方の目を見つめる。やる事は、ただそれだけだ｣叔父は、恐らく何か目に恐ろしげな細工でもしているのだろう、と思ったという。本当に目が醜く潰れているのかもしれないし、カラーコンタクトかもしれない。もしくは、香に何か幻惑剤の様な効果が…と。縛られるのは抵抗があったが、友人の現地の男も、本当に信頼出来る人物だったので、応じた。椅子に縛られた叔父に、男が近づく。友人は後ろを向いている。静かに、サングラスを外す。叔父を見下ろす。｢ホントにな、今日のアイツを見た時の様になったんだ｣コーヒーをテーブルに置いて、叔父は呟いた。｢見た瞬間、死にたくなるんだよ。瞳はなんてことない普通の瞳なのにな。　とにかく、世の中の全てが嫌になる。見つめられたのはほんの、1～2秒だったけどな。　何かの暗示とか、催眠とか、そういうレベルの話じゃないと思う｣友人が言うには、その邪視の男は、金さえ積まれれば殺しもやるという。現地のマフィア達の抗争にも利用されている、とも聞いた。叔父が帰国する事になった1週間ほど前、邪視の男が死んだ、という。所属する組織のメンツを潰して仕事をしたとかで、抹殺されたのだという。男は娼婦小屋で椅子に縛りつけれれて死んでいた。床には糞尿がバラ巻かれていたと言う。男は、凄まじい力で縄を引きちぎり、自分の両眼球をくり抜いて死んでいたという。｢さっきも言った様に、邪視は不浄な物を嫌う。汚物にまみれながら、ストリップか性行為でも見せられたのかね｣俺は、一言も発する気力もなく、話を聞いていた。さっきの化け物も、邪視の持ち主だっという事だろうか。俺の考えを読み取ったかのように、叔父は続けた。｢アイツが本当に化け物だったのか、ああいう風に育てられた人間なのかは分からない。　ただ、アイツは逃げるだけじゃダメな気がしてな…だから死ぬ気で立ち向かった。　カッパも、人間の唾が嫌いとか言うじゃないか。案外、お経やお守りなんかよりも、　人間の体の方がああいうモノに有効なのかもしれないな｣俺は、話を聞きながら弟の夢の事を思い出して、話した。弟が助けてくれたんじゃないだろうか…と。俺は泣いていた。叔父は神妙に聞き、1分くらい無言のまま、やがて口を開いた。｢そういう事もあるかもしれないな…００はお前よりしっかりしてたしな。　俺の鳴った携帯の事、覚えてるか？あれな、別れた彼女からなんだよ。　でもな、この山の周辺で、携帯通じるわけねぇんだよ。見ろよ。今、アンテナ一本も立ってないだろ？　だから、そういう事もあるのかも知れないな…今すぐ、山下りて帰ろう。　このロッジも売るわ。早く彼女にも電話したいしな｣叔父は照れくさそうに笑うと、コーヒーを飲み干し立ち上がった。</pre><br>
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<link>https://ameblo.jp/yamineko24/entry-12078188609.html</link>
<pubDate>Mon, 28 Sep 2015 14:53:30 +0900</pubDate>
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<title>第１０話「好きだった叔父さん」</title>
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<![CDATA[ <br><a href="http://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/o0640042713437103093.jpg"><img border="0" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20150927/14/yamineko24/63/3e/j/t02200147_0640042713437103093.jpg" alt=""></a><br><br>第１０話「好きだった叔父さん」(投稿者：北海道・R.Tさん)<br><br><pre>叔父さんに殺されかけた時の話。小学生の頃、家に叔父さんが居候してた。叔父さんは工場の仕事をクビになり、家賃も払えなくなってアパートを追い出され、やることもなく、毎日俺んちでゴロゴロしていた。収入もなく、毎日安酒を飲んで寝てるだけの叔父さんだったけど、甥っ子の俺のことは可愛がってくれ、時々アイス買ってくれたり釣りやクワガタ採りに連れてってくれたりして俺はこの叔父さんのことを好きだった。叔父さんが居候しだして半年が過ぎた頃、ある土曜日の雨の深夜、親父と伯父さんが階下で言い争いをしてる声が聞こえた。かなり激しい怒鳴りあいだったので、聞いてたラジオを消し息を殺して聞いているとバタンとドアが閉まる音がして叔父さんがドカドカと階段を上がってきた。げっ、俺の部屋にくんの？とビビってると隣の仏間の障子がピシャっと閉まる音がした。俺はそっと布団に潜り込み暫くドキドキしてたがいつの間にか寝入ってしまった。翌日の日曜、俺の両親は店へ行き、家には俺と叔父さんの2人きりになった。俺は昨日のことは知らないふりで、日曜の昼のテレビを見ながら母ちゃんが用意してくれてた唐揚げで昼飯を食っていた。叔父さんが、仏間から出てくる音がして、階段を下りる音が続いた。俺はちょっと緊張しながら「おじさん、おはよ～」と言うと叔父さんも「おう、なんや、美味そうやな」と一緒にご飯を食べだした。「ツトム（仮名）、飯食ったら釣り行くか？」と誘われたので俺も子供心に叔父さんを慰めてやろうと「うん」と同意した。釣竿を２本持ち、仕掛けの詰まった箱をバケツに入れて、俺と叔父さんはいつも釣りに行く近所の滝つぼへ向かった。滝つぼは前日の雨で水位が増し、コーヒー牛乳色の濁流が厚い渦を巻いていた。「あんまり連れそうやないね」と俺が言うと叔父さんも「どうやろか、ちょっとやってみようか」と応えた。「こう言う時の方が帰って釣れるもんやけん。ウナギとか釣れるとぞ」と言い、叔父さんは滝壺の方まで進んだ。俺はこんな奥やら行かんでいいのにな～と思いながらも、言葉すくなにに早足で進む叔父さんの後をついて行った。「ここでいいか」叔父さんは滝壺手前の高い大岩の前で止まった。「ツトム、この上から釣ろうか。ちょっと上ってみ」と俺を持ち上げた。俺が脇を抱えられ岩の上に這い上がると、「どうや？水の具合は。釣れそうか？」と叔父さんが聞いてきた。俺は濁流が渦巻く水面を覗き込み、「魚やらいっちょん見えんよ」と魚影を探した。暫く水面を見てた俺は、叔父さんの返事の無いことに気付き「伯父さん？」と振り返った。岩ノ下にいたはずの叔父さんは、俺の直ぐ背後に立ち、俺を突き落とそうとするような格好で両手を自分の胸の前に上げていた。振り向きざまに叔父さんの姿を見た俺は固まった。叔父さんは無表情で力の無い目をしていた。せみの鳴き声をバックに時が止まった。俺は何も言えずに叔父さんの目をただ見つめ返すことしか出来なかった。汗が頬を伝い、身動きの出来ない体の中でただ心臓の鼓動だけが高鳴った。伯父さんも手を下ろそうとせずにただ無気力な目で俺を見つめていた。どれくらい見詰め合っただろう。不意に叔父さんの背後の藪ががさがさとなった。両者ともはっと我に返り、藪に目をやった。見るとこちらに気付く様子もなく近所の農家のおっさんらしき人が横切って行った。俺はおじさんのよこを通り過ぎて「今日は釣れそうにないけん俺先帰っとくね」とだけ言って歩き出した。滝から少し離れると、俺は弾かれたように全速ダッシュで逃げた。振り返るとあの目をした叔父さんがすぐ後にいるような気がして俺は前のめりになって全力で走った。 大分走ったころ、自分がボロボロ泣いていることに気付いた。俺は家に帰らず、両親のいる店へと向かった。当時定食屋をやってた両親の店で、俺は両親が店を終わるまで過ごした。伯父はその日帰ってこなかった。翌日の夜に親父が警察へ届け、数日後に水死体で見付かった。俺は滝壺であったことを一切語らず、伯父は一人で釣り中の事故で片付いた俺が持ち帰った仕掛け箱に叔父さんの字で書かれたメモがあった。それには”ツトムを連れて行く”とだけ書いてあった。</pre><br>
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<link>https://ameblo.jp/yamineko24/entry-12078187445.html</link>
<pubDate>Mon, 28 Sep 2015 14:49:13 +0900</pubDate>
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