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<title>【別室】☆本気狩る　未来繰る☆【書庫】</title>
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<description>BLテイスト容赦なし。読み物とか妄想とか。取扱いジャンルとCPはプロフに。</description>
<language>ja</language>
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<title>Destroy false “EDEN”～Phase05-2～</title>
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<![CDATA[ <br><br>《Phase05-2》<br><br>（コーテックスがこんだけの人数投入するってからにはどんだけかと思ってたが……随分と呆気ねぇな）<br><br>赤羽が葉柱との一戦を終えた頃とほぼ同時刻、筧もまたクレストのACを打破し姉崎への報告を終えた所だった。<br>モニターに映された、両腕を斬り飛ばされた状態で行動不能になっている相手のACを目にしながら、筧はそこに感じた違和感に眉根を寄せる。<br>赤羽同様、筧もこの掃討作戦に加担し、彼とは別のルートで侵攻してきていた。<br>これまでに十数機のMT（ACとは異なり組み換え不能の人型作業機械及び兵器）をことごとく退け、その後クレスト側のACと遭遇し交戦、これを殲滅し今に至る。<br>今ここで感じている違和感は、実のところ作戦開始時から既に筧の内にまとわりついていた。<br><br>（姉崎さんはここがクレストの主要施設のひとつだって言ってたが……）<br><br>事前に聞かされ予測していたものと余りにかけ離れた現状に、筧は疑念を抱かずにはいられなかった。<br><br>ここ数カ月で《管理者》による武力行使は目に見えて無差別化し、それは《管理者》たるAIの異常を臭わせていた。<br>中立を貫いてきたグローバル・コーテックスですら、その状況を最早看過できないものと判断し手始めとして今回の作戦は発案されたのである。<br>クレスト・インダストリアルは《管理者》肯定派の企業であり、その“狂い”すらも定められた秩序として受け入れ、反する思想を持つ者たちとは敵対するというスタンスを取っている。<br>そのため少なからず《管理者》と繋がりがあり、彼らは最早《管理者》の尖兵と言い換えても過言ではない存在だ。<br>この作戦の目的は、その脅威を少しでも軽減させるべくクレストの主要施設のひとつを制圧し、あわよくば《管理者》に繋がる手掛かりを手に入れるというものだが、しかし筧にはここが主要施設と名打たれているとは思えないほどに戦力が脆弱に思えたのだ。<br><br>（仮にもクレストの拠点ならこの程度じゃねぇはずなんだが……）<br><br>この作戦に大袈裟なまでの人数を割いたのは、クレストがこの地下世界レイヤードにおける企業勢力第二位という力を持っていることから、その主要施設となればそれ相応の兵力を擁していると睨んでのことだろうし、現に筧も同様の予測を立てていた。<br>しかし実際には殆ど実戦経験もないと思われるMTの小隊が各所に散りばめられているのに加え、確認されたAC数機ですら贔屓目に見たとしてもランカー中位以下相当でしかないという有様だ。<br><br>（このバカでかい施設はブラフか？それとも“アレ”みてぇなのがバックに控えてて雑魚は大していらねぇってことなのか……いや、それはねぇな）<br><br>一度立てた後者の仮説を筧はあっさりと否定した。<br><br>（前に見た“アレ”はキサラギのヤツだった筈だ、それにもし仮にクレストが抱えてたとしてもそれならもうとっくに出て来てる）<br><br>筧が“アレ”と称したのは、以前特殊実験区でのミッションで遭遇した異様なまでの硬度を持った巨大な昆虫を思わせる生体兵器のことなのだが、ただしそこはキサラギという別企業の施設であり、同じ区域にクレストの施設も確認されているが生体兵器についての報告は現時点ではされていない。<br><br>（諜報部がガセネタ掴まされるとは思えねぇ、ここはクレストの拠点に間違いねぇんだ……ならこの“矛盾”は何を意味してる……？）<br><br>知らず筧は額を押さえるようにして、思考回路をフル回転させる。<br>だが合わないパズルのピースが散乱するかのように、“矛盾”に対する答えは見えてこない。<br>行き詰まった思考に更なる追い打ちをかけるかのように、通信の呼び出し音が筧の耳に響く。<br>回線を開くと同時に飛び込んで来たのは、緊迫した様子の姉崎の叫びにも似た声だった。<br><br>[筧君、そこに赤羽君居る！？]<br><br>「……いや、いねぇけど……待てよ、隼人がどうかしたのか？」<br><br>姉崎の言葉に、筧の鼓動は急激に早まり息苦しさすら感じていた。<br>彼女のその様子から、それが朗報でないことだけは否応なしに断定できてしまう。<br><br>[今みんなのルートを見直してたの、そしたら……]<br><br>自らが見落としていた事を悔やむように、姉崎は声を震わせる。<br>もしかしたら、泣いているのかもしれない。<br><br>[他のみんなはまるで足止めされてるみたいに殆ど奥へは行ってないんだけど、その中で赤羽君だけが奥へ向かって進んで行ってるの……]<br><br>「……何だって……！？」<br><br>その瞬間、それまで散らかっていたパズルのピースが一気に形を為し始めた。<br>確かに個々の戦力は脅威ではなかったが、今にして思えばこれまでの相手は皆時間を稼ぐようにやたらと距離を取ろうとしていた気がする。<br><br>[これに気付いてすぐ赤羽君と連絡取ろうとしたんだけど……少し前に報告受けたばかりなのに繋がらないのよ！ACの反応もロストしてるの……ねえ筧君、これって……]<br><br>「ハメられたってことだろ…っ……どこで反応消失した！？」<br><br>[一番奥……第八区画を出た辺りよ。合流地点に向かってる筈だからそこから逆を辿れば……]<br><br>「それだけわかれば充分だ、一旦切るぞ！」<br><br>答えを待たず通信を切ると同時に、筧はACのブーストを全開にして一路合流地点を目指す。<br><br>（全部繋がった……そういうことかよ……!!）<br><br>僅かな反応も見逃さぬよう意識を辺りへ向けながら、筧の胸中は不安と焦燥に満ちていた。<br>クレストは《管理者》と繋がっている、つまり《管理者》がクレストを利用するという事も当然有り得る事だ。<br>そして《管理者》が今最も優先すべきとしていることは何なのか。<br><br>（考えてみれば簡単なことだったんだ……何でこんな簡単な事に気付かなかったんだ……！）<br><br>《管理者》は赤羽を使って何かを目論んでいた。<br>しかしその謀略は不測の事態によって赤羽の記憶ごと吹き飛んでしまった。<br>その後何事もなくここまで来たが――それで終わるはずも、なかったのだ。<br><br>（こっちの作戦を逆手に取られた……奴等の狙いは、隼人の奪還だ……！）<br><br>奪われたら奪い返す、それはごく当たり前の一種の報復行動だ。<br>失敗して切り捨てる程度の事ならば、あれほど厳重な仕掛けを赤羽に施したりはしないだろう。<br>常に念頭に入れておくべきだったのだ、この地下世界を完全掌握している《管理者》があらゆる手段を用いて赤羽を奪い返しに来ることを。<br>《管理者》は主要施設という強力な戦力を臭わせることでまんまと赤羽を作戦に引きずり出し、思惑通りに孤立させることに成功したというわけだ。<br><br>（二度も三度も……奪われてたまるかよ……!!）<br><br>姉崎は繋がらないと言っていたが、それでも筧は赤羽のACへとチャンネルを合わせて通信を試みる。<br>しかしノイズが酷く、繋がる気配は全くない。<br><br>（ジャミングされてやがる…！反応のロストもコイツのせいってわけか）<br><br>こうなるともう完全にACのレーダーは使い物にならない、まだ人影のない合流地点のフロアで筧はACの足を止める。<br>逆走すれば辿り着くとは言え、消失地点へ至るルートはひとつではない。<br>無闇に探し回る方がタイムロスになると筧は判断したのだ。<br><br>（何処に居んだよ、隼人……！）<br><br>逸る気持ちを無理矢理押さえつけ、集中力を極限まで研ぎ澄ませる。<br>辺りへと放たれた意識はまるで水面の波紋のようにどこまでも拡がっていく。<br><br>（どういう、ことだよ……これ……）<br><br>その波紋が“何か”を捉えた。<br>しかしそれは筧に更なる困惑と言い知れぬ心悪さをもたらす事になる。<br>ここより距離にして数百メートル先、そこに捉えたのは二つの反応。<br>ひとつは紛う方なき赤羽の気配、依然移動し続けているのはここへと向かっているのだろう。<br>そしてもうひとつ、自分と赤羽の間に在って、まるで赤羽を待ち構えているかのように静止した気配。<br>それこそが困惑と不気味さの原因だった。<br><br>（……なんだ、コイツ……！？）<br><br>筧は一瞬己の感知を疑ったが、やはり間違いはないらしかった。<br>にわかには信じ難いことではあったが、先程から不穏さを禁じえないその反応体からも赤羽の気配が感じ取れるのだ。<br>正確には、赤羽の気配であろうという認識はできるのだが断定するにはあまりに不鮮明かつ不安定なものであり“赤羽と思われる気配”と表現すべきなのだろう。<br><br>（冗談じゃねぇぞ…これじゃまるで……）<br><br>そこから導き出される答えはあまりにも簡単だったが、それを到底受け入れられる筈もなく胸中で言葉にすることすら躊躇われた。<br>しかし信じようが信じまいが、現実はそこに確かに在る。<br><br>息苦しい程に鼓動が早まる。<br>コンソールが軋む程に十指が強張る。<br>ACの駆動音すらも意識の外に弾かれる。<br>ただ頭にあるのは――一秒でも早く、辿り着くことだけだった。<br><br>直後、筧は勢い良くハッチを開き、自らの身体ひとつで赤羽の元へと駆け出した。<br>ただしその速度は、常人の目には姿を捉えることもできぬ程の神速。<br>形容するならば、さながらそれは弾丸のように。<br>ACの加速より遥かに速く、それでいてブースターのような甲高い音もない。<br>接近を勘付かれれば強硬手段に出られる可能性も否定できないとなれば、生身で向かう方が筧にとってリスクはゼロにも等しい。<br>彼の『血』の力なればこそ可能な、何ものにも勝る最善策だ。<br><br>（それでも……遠い……ッ……）<br><br>捉えているのに届かない、近付いているのに掴めない、その歯痒さは筧にたった数百メートルの距離を何万キロもの隔たりに思わせる。<br><br>ここへ来るまでに漠然と浮かべていた“赤羽が《管理者》の手に落ちた経緯の真相”への疑問も<br>今となってはもう彼方へと吹き飛んでしまっていた。<br><br><br>《続》<br><br>＊＊＊＊＊＊＊＊＊<br><br>【後記】<br><br>今回、アップするにあたって初期稿から大幅に修正しました。<br>前のは相当不親切な組立だと自他共に一致したので←<br><br>あと今の時点では不必要であり、かつ修正した上で差し込むタイミングがなくなったのでごっそり削った部分も実はあります。<br>それは以降に持ち越しにする形にしました。<br><br>筧はACを降りて生身で赤羽の元へ向かっていますが、普通に考えれば正気の沙汰じゃない行為なわけですが、筧に限ってはACに乗ることが逆に自分の力をセーブすることに繋がっているので、ACを降りたということは筧は本気モードに突入したということです（笑）<br>普段はACという制御装置を介することで使い道を制限して秩序に多大な影響を及ぼさないようにしているわけですね。<br>言い換えれば生身の筧はACなんか敵じゃないです、ぶっちゃけ（笑）<br><br>次回はこのストーリーにおける最大のターニングポイントになります。<br>……上手く書けるといいんだけどなぁ（笑）<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/yenxi/entry-10659025842.html</link>
<pubDate>Sat, 25 Sep 2010 21:48:22 +0900</pubDate>
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<title>Destroy false “EDEN”～Phase05-1～</title>
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<![CDATA[ <br>《Phase05-1》<br><br>“鋼鉄の毒蜘蛛”の記憶を回帰させた赤羽の機体操術は、その覚醒の日を境に劇的な変化を遂げる。<br>驚嘆たるその動きは、見る者に生命を持たない金属の塊である筈のACを命宿る人間の姿に錯覚させた。<br>それまでもコータローの手引きを受け、赤羽は身体に刻まれた記憶を徐々に目醒めさせていきながら脅威的な速度でその戦闘技術を伸ばしてきたが、それはあくまで『人間の為しえることのできる範疇』と断言できるクオリティに過ぎない。<br>だが、今は違う。<br><br>「大人しく降伏するなら君のACを破壊せずに済むんだが……君も余計な負傷はしたくないだろう？」<br><br>[カッ、ぬかしやがれ!!コーテックスのAC一機落としゃ莫大な褒賞が手に入るんだよ、テメェのACは俺が貰う！]<br><br>「フー……ならば仕方がないな。病院送りくらいは覚悟してもらおうか」<br><br>赤羽が向けた忠告という名の警告を、目の前にいるレイヴンが聞き入れる様子は微塵もないようだった。<br>この日決行されたクレスト・インダストリアル傘下施設の掃討作戦、グローバル・コーテックスはこの作戦に十数人のレイヴンを投入し、赤羽もこれに参加していた。<br>彼と今対するはクレストの擁するAC、姉崎が事前に通知してきた眼前のレイヴン―――葉柱ルイの情報を見れば決して楽観できる相手ではないことがわかる。<br><br>（相手のスタイルに合わせてアセンブリィを変えてくる、か……だが見たところ僕に合わせて組んだようには見えないな……）<br><br>葉柱のAC“シフティング・キャプチャー”は中量タンク型、赤羽の持ち味である機動性と狙撃力に対抗するには分が悪いように思える。<br><br>（まあ、突入ルートが判明してからではアセンブリィも間に合わないだろうしね）<br><br>向こうもこちらの戦力はある程度把握できていても、各々がどのルートで来るかまでは完全にランダムだ。<br>個々の侵攻ルートが判明した時には迎撃態勢になくてはならない、つまり相手を特定して合わせることはほぼ不可能だということだ。<br><br>（初めから対峙する相手が確定しているアリーナであればそれも生かせるんだろうが……）<br><br>その刹那、不意打ちとも言えるプラズマキャノンの閃きが赤羽の思考を奪取した。<br>不意に加速し、死角へと回り込もうとする動作の最中で放たれた“シフティング・キャプチャー”からの宣戦布告とも取れる砲撃だったが、赤羽はその異質さを見逃さなかった。<br>それは『本来必要な動作』をキャンセルしての最速射撃。<br><br>（強化人間……さっきの自信の理由はそれか）<br><br>本来両肩武器は射撃の際に“構え”と呼ばれる予備動作が必要であり、そのために相手に先を読まれやすく非常に扱いにくい。<br>しかしこのリスクを打破できる手段が、この時代には存在していた。<br>そう、今相手がしてみせたように。<br><br>（だが、相手が悪かったな）<br><br>余裕すら窺える呟きを胸中に秘めて。<br>直線的な軌道と凄まじいスピードで迫りくるプラズマのラインがまさに被弾しようかというその瞬間、赤羽はブーストを最大出力で掛けると同時に地を蹴るようにして真横へと一気にACを回避させた。<br><br>「な……ッ……！？」<br><br>それを目にした葉柱は、思わず呻くような声をコアシートの中で身を乗り出すような形で上げていた。<br>AC戦においてレイヴンはある程度弾道を予測し、それを前提としてACを動かす。<br>余程相手との距離が離れでもしていない限り、軌道を見て動いたのではもう遅いからだ。<br>しかし赤羽は明らかに、自らを撃ち抜こうとしているその軌道を“見ていた”。<br><br>（なんなんだ、あのAC……今……『何』やりやがった…！？）<br><br>強さを追求し続けた葉柱の行き着いた先が強化人間だった。<br>腕を上げれば上げるほど増していく機動力、それに伴う激しい衝撃、それらに耐えるために自らをサイボーグ化する事で更なる強さの高みへの道が開ける。<br>葉柱に躊躇いはなかった。<br>このことで彼は以前の自分とは比にならぬ性能を手に入れたと自負していたし、実際アリーナランクの上位に食い込む事も出来た。<br>だが今目の前で起きている事は、天才だ強化人間だというだけでは説明がつかない。<br><br>（あんなことが……）<br><br>葉柱は完全に“スパイダーポイズン”を捉えたと確信していた。<br>彼だけではない、もしこの様子を見ている第三者がいたとしたならば間違いなく同様の事を思っていただろう。<br>しかし現実は違っていた。<br>脳裏に描いていた相手ACの被弾するヴィジョンは霧散し、代わりにACの動作原理を完全に無視した動きが鮮烈に焼きつけられた。<br>普通に考えればAC自体が操作側の動きについていけず、膨大な負荷が掛かって機体が悲鳴を上げる。<br>そのことだけでも戦慄に値するには充分だというのに、こともあろうか『それ』はその信じられない回避行動の直後、反動など全くないかのように今度は真っ直ぐ葉柱の方へと一気に距離を詰めて来たのだ。<br>先程と同じ甲高いブーストの音を響かせ、まるでたったの一歩で踏み込んで来たかのように、一瞬で。<br><br>（――ッ！？）<br><br>「こんな状況で考え事とは感心しないな……その続きは治療室のベッドの上でゆっくりやるといい」<br><br>接近と同時に“シフティング・キャプチャー”の動力源へピタリと据えられたエネルギーライフルの銃口。<br>葉柱はそれに反応することはできなかったが、本能は最速でその意味を理解していた。<br>確実に急所を撃ち貫く為の、ゼロ距離射撃。<br>そしてそれを葉柱の脳が把握した時には、もう動力源に風穴が開いていた。<br>数センチでもずれていたならば、今葉柱が座しているコクピットごと破壊されていたことだろう。<br>それほどに精密かつ繊細な動作を、赤羽はこの瞬きするほどの合間でやってみせたのだ。<br><br>（だが……軽傷では済まないだろうね、きっと）<br><br>半融解した銃創から火花を散らしながら崩れ落ちていく白と緑色に包まれたそのACを見下ろして、赤羽は自らの行いによって相手の身にもたらされたであろう災いを思い目を伏せた。<br>超至近距離から攻撃を受けた衝撃は相当なものだったはずだ、おそらく身体のあちこちがその衝撃で折れ、あるいは砕けたことだろう。<br>加えて足元を突き抜けて行ったプラズマは、攻撃が加わっていないコクピットにも相当な熱を伝えている。<br>そうなれば身体に火傷も少なからず負っただろうし、モニターがそのことで損傷するようなことにでもなっていれば、そこを凝視していたであろう彼はその顔面に手酷いダメージを受けている可能性すらあった。<br>そこまで予測して、赤羽の脳裏にベッドに横たわり顔をミイラ男のように包帯で覆われた葉柱の姿が浮かんだところで、彼は深く深く嘆息した。<br><br>（少し……やりすぎたかも、しれないな）<br><br>取り戻した感覚にまだ身体がついていけず、そのせいで予測を超過したダメージを与えてしまう事を赤羽は仕方のないことだと看過することはできなかった。<br>しかしそれは決して表に出すことはなく、本部に待機しているオペレーターへと通信を入れる。<br><br>「こちら赤羽、辺りに敵機の反応はゼロだ。通常モードに移行し、交流地点に向かう」<br><br>[お疲れ様、こちらも周囲に反応は確認されないわ。念の為哨戒を続けながら向かって貰えるかしら]<br><br>「了解した」<br><br>筧への担当と兼任する形で赤羽のオペレーションも担った姉崎へと必要最低限の報告を淡々と済ませ、レーダーの様子に注意しながらあらかじめ指定されている合流地点へとACを向かわせた。<br><br>（やはり……不完全なままの総譜&lt;スコア&gt;は正しい音色を奏でられる筈もない、か……）<br><br>赤羽は彼特有の感性で、まだ記憶の欠落している自らをページの欠けた楽譜に例える。<br>確かにレイヴンとしての、ACを駆る術は取り戻した。<br>しかしその記憶の再現を試みようとしても、どうもどこかズレているような感覚が常に付き纏う。<br>それが先程のような予測ダメージ超過であったり、ほんの僅かな反応の遅延だったりするわけだが、その原因はやはり未だ戻らぬ大元の記憶にあるのだろうと赤羽は漠然とだが感じていた。<br>だが例の記憶回帰を遮断するシステムのせいで、それ以上思考は前には進まない。<br><br>常人には決して不可能な、生体的な動作をACへとフィードバックさせる自分と筧だけの異才。<br>その答えは己の内に在る筈なのに、どれだけ問いかけてもそれは沈黙を保ったままだ。<br>そして赤羽は、その幾度となく繰り返した問いをまた胸中に呟く。<br><br>（僕は一体……“何”なんだ………）<br><br><br><br>《続》<br><br>＊＊＊＊＊＊＊＊＊<br><br>【後記】<br><br>実は今回の話、修正前は赤羽の相手は単なる「敵レイヴンA」という名もない存在でした。<br>今回アップする為に書き直すにあたって、折角アイシ使ってんのにこれはもったいないと今更ながらに気付き、<br>誰にしようかと悩んだ挙句、ルイに決めました。<br>原作知ってる方は気付いたかもしれませんが、赤羽の攻撃によって重傷を負い包帯まみれになる、というくだりは、原作でルイが正体を包帯で隠していた、というエピソードから引用しました（笑）<br><br>AC３には『OP-INTENSIFY』という、オプションスロットを全て使うというとんでもない容量のパーツがあり、それに能力を付加していくことで強化人間と同等の能力を得られるという特殊な性能を持っているのですが、最初ルイはそれを装備した状態ということになっていました。<br>しかし前述の通りこれをつけてしまうとオプションスロットが全て塞がり他のオプショナルパーツは使えなくなってしまいます。<br>強さを求めるという設定にあるルイならば、保身の為に他を削ってパーツに頼るのではなく、ACの性能を損ねず自らの性能を上げる、という道を選ぶのではないかと思い、強化手術によるものへ変更しました。<br>完全に裏話だな、これ（笑）<br><br>それと何度か出てきていますが、赤羽は自分や筧の事を問う時に「何者なのか」とは言わず「“何”なのか」と言いますが、これは意図的なものです。<br>記憶がない赤羽にとっては自分たちが「化物」みたいな感覚という雰囲気を出したかったんですが……はてさて。<br><br>次回は同時刻の筧サイドの話になります。<br>僅かな違和感を見逃さなかった筧が気付いた、隠された敵の意図とは……<br><br>更新をお待ちください（笑）<br><br>
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<link>https://ameblo.jp/yenxi/entry-10655945241.html</link>
<pubDate>Wed, 22 Sep 2010 18:27:51 +0900</pubDate>
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<title>Destroy false “EDEN”～Phase04-4～</title>
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<![CDATA[ <br><br>《Phase04-4》<br><br><br>「……揃ってそんな顔をして……喧嘩でもしていたのかい？」<br><br>金属の床が奏でる特有の硬質かつ乱れのない靴音の主は、階下の悲痛さに満ちた空気にその端正な顔立ちが作り出す完成された表情を曇らせた。<br>早めに切り上げて来たのか、やや湿り気が残っているように見える。<br><br>「いや、そんなんじゃねぇよ。もう少し依頼の報酬が上がらねぇかなって話だ、そうだよな佐々木」<br><br>「お、おう。こき使われてる割にはしょっぼいギャラだよなーってな」<br><br>機転を利かせた筧の咄嗟の出任せに、コータローも突然の事に一瞬の戸惑いを見せながらも反射的に口裏を合わせる。<br>そのやりとりに違和感を感じなかった訳ではないが、敢えてそれ以上の言及は避け赤羽は話を切り出した。<br><br>「そうか……それで、さっき僕に渡したいものがあると言っていたのは？」<br><br>改めて問うように向けられた言葉に、筧は数十分前に自分が赤羽に向けた台詞と共にその目的を思い出す。<br><br>「ああ、そういやそうだったな……佐々木、悪いが二人にさせてくれねぇか、『隣』に行って来る。隼人、ついて来てくれ」<br><br>何の変哲もない一言、しかしコータローには既に筧の意図が読めていた。<br>筧の示す『隣』にあるもの、彼はそれが何なのかを知っているからだ。<br><br>「随分と大勝負に出るじゃねーか、筧。勝算はあんのか？」<br><br>「さあな」<br><br>「……お前のことだからわかってんだろーが、ヘタしたら赤羽は……」<br><br>「わかってる」<br><br>「んならもう言うこたぁねーな……スマートにキメてこいよ」<br><br>親指を立てて見せるコータローに、筧は口元にだけ僅かな笑みを浮かべ背を向けた。<br><br>・<br>・<br>・<br><br>筧が赤羽を屋外へと連れ出し向かった先は、自宅兼格納庫である巨大な倉庫の隣に併設された小さな建物だった。<br>まだ真新しく見えるそれは確かに倉庫のようではあったが、他の物との決定的な違いはその佇まいにあった。<br>まず目に付くのは、中を窺えるようなもの……窓や格子の類が一切ないことだ。<br>そして出入口の扉は重厚さを極め、外壁も堅固であろう事がひと目でわかる。<br>そこだけがまるで切り取られてきたかのように、他者の接近を拒んでいるかのようにすら思える。<br>赤羽はまるでその異質さに魅入られたかのように、真っ直ぐにそこへと目を向けていた。<br><br>「……ここは……？」<br><br>「……アンタにとっての“パンドラの箱”だ。ここを開けて待ってるのは……希望か、絶望か。もし絶望だとしたら……」<br><br>そこまで言って、筧は扉に手を掛ける。<br>彼の“血”に反応し、全ての干渉を受け付けなかった扉はいとも容易く枷を外して主を迎え入れた。<br>そして。<br><br>「俺の全存在を賭けてでも、アンタを護ってみせる」<br><br>筧は先程の言葉の続きを静かに、毅然と呟いた。<br>それは赤羽へと言うより、寧ろ自らに強く誓うかのように。<br>入口を入ってすぐに筧は足を止め、赤羽に先へと進むよう促す。<br>それに従って緩慢により中へと足を向けるが、当然外からの光はなく開いた出入口から僅かに差し込む光だけが不明瞭に内部の輪郭を浮かび上がらせているだけで、その様子は判然としない。<br>それが何なのかを見極めようと、赤羽が目を凝らしたその瞬間。<br>ガシャンッという音と共に一気に全ての照明が灯り、そのまばゆさに一瞬赤羽は目を閉じる。<br>そして程なくして再び開かれた赤い瞳は、その光景に釘付けになっていた。<br>内部の中央を貫く通路、それを境にした左右の空間にそれぞれハンガーに固定されている物体。<br>その用途を赤羽は知っていた。<br><br>「これは……ACの装備…か……？」<br><br>赤羽の言葉が確信のないことを示す疑問符を含んでいるのには理由があった。<br>それは外見こそは確かに出回っている型と変わらぬAC用の武器ではあったが、その仕様は明らかに常軌を逸しているのが赤羽には感じ取れていたからだ。<br><br>「やっぱりアンタにはわかるんだな。普通の奴ならどこが規格品と変わらねぇのかもわからない」<br><br>ゆっくりと赤羽の側へと歩み寄り、筧はその反応へと一縷の望みを託して“パンドラの箱”の奥底を引きずり出すことを決意する。<br><br>「けどコイツの中身は全くの別物だ。右にあんのが両肩武器『CWX-LIC-INF/ES－D－FSAT』、左が右腕武器『MWG-KARASAWA/EB』……両方ともアンタ自身がカスタムした、アンタのACにしか扱えない代物だ」<br><br>「僕…が……？」<br><br>己の手によるものだと言われたものの、赤羽にはその記憶は全くない。<br>そのため希薄な返答だけが零れたが、次に続いた筧の言葉にそれは一転することになる。<br><br>「そうだ、これを作り上げたのは……“鋼鉄の毒蜘蛛”アトラク・ナクアの名前で知られた、正真正銘アンタ自身だ」<br><br>筧が口にした、レイヴンとしての赤羽の名前。<br>それは極限に制限された現況で出すことの出来る、最大の切り札。<br><br>「鋼鉄の毒蜘蛛、か……」<br><br>そう呟く赤羽の双眸が一瞬何かに驚愕したように見開かれ、やがて視線は漠然と見上げていたものから懐かしく見つめるものへと変わっていった。<br>だが、その表情は先よりも憂いに満ちているようにすら思える。<br><br>「随分物騒な二つ名を付けられたものだな。自らが名乗っていた筈なのに、随分と懐かしく感じる……その名の事も、どうやって自分がACを動かし、どういう戦い方をしていたかも……まるで大河の奔流のように一気に記憶が流れ込んで来たよ。けれど……」<br><br>徐々に視線を伏せ、やや俯く形になる頃にはその瞳は切なげに閉じられて。<br><br>「理屈ではわかるのに、見えているのに……確かに記憶の中では僕がそうしている筈なのに、その動きを再現する方法がわからない……そしてまだ、自分が“何”なのか…君が誰なのか……それも、思い出せない……」<br><br>「上出来だろ」<br><br>心中システムが作動している様子はない、その上でレイヴンとしての記憶をほぼ完全に覚醒させたことは大きな収穫と言える。<br>動きを再現できないのは赤羽の“力”の存在がそれに関わっているからであり、そこに未だロックが掛かっている状態だということは筧にもわかっていた。<br>しかしその肝心の“力”に関する記憶の蓋は全くと言っていいほど揺いだ気配もなく、そう簡単なことではないとわかっていたとは云え、やはり落胆の色は隠しきれない。<br>それを見せまいとするかのように、筧は赤羽の肩を引き込むようにして抱き寄せた。<br><br><br><br>《Phase04・END》<br><br>＊＊＊＊＊＊＊＊＊<br><br>【後記】<br><br>今回の筧の“賭け”は、彼に取って文字通り現時点で考えられる最大の効力を持つ切り札でした。<br><br>心中システムが作動してしまう“力”に関わる言葉を言わず、視覚と感覚で“力”の存在を感じさせようとした結果がこれです。<br>赤羽の専用パーツは本編にもあった通り、仕様が既製品とは全く異なっています。<br>これは筧の専用パーツにも同様のことが言えるのですが、これらはACのエネルギーに依らず、彼らの“力”を糧として動くように設計されています。<br>ですが、通常の状態、つまりACのエネルギーを糧としても動かすことは出来るので、使用自体は現時点でも可能です。<br>しかしその出力は“力”に依った場合に比べれば微々たるもので、エネルギーを一度に使い切ってしまえば再充填のタイムロスが発生してしまいます。<br>赤羽はレイヴンとしては覚醒したものの、自らの“力”には未だ到達できていないので依然ACの範疇でしか動くことはできない、つまりそれが、記憶にはあるはずの最高の動きを再現する方法を知らない、ということになるわけです。<br><br>結果として収穫はあったものの、肝心の本質の記憶はやはり頑なに閉ざされたままです。<br>枷を壊すには、“もっと強い過去の記憶”が必要なのですが……<br><br>それはまたのお話。<br>
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<link>https://ameblo.jp/yenxi/entry-10630893331.html</link>
<pubDate>Thu, 26 Aug 2010 21:07:28 +0900</pubDate>
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<title>Destroy false “EDEN”～Phase04-3～</title>
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<![CDATA[ 《Phase04-3》<br><br><br>「できなかったって…お前に“できない事”なんてあるのかよ？」<br><br>双眸を非対称に歪め、怪訝そうにコータローが問う。<br>それに対して筧は暫し言葉を躊躇ったが、やがて静かに、押し殺した声でそれに応えた。<br><br>「壊すだけなら確かに出来た、だがそれをやったら……隼人ごと壊しちまう事になる。だから、出来なかった」<br><br>「ちょ、ちょっと待て、話が見えねぇ。元凶のナノマシンぶっ壊して解決なんじゃねーのか？」<br><br>「そんな単純な構造じゃねぇよ」<br><br>もしそうならばどれだけ救われたことか、という言葉が聞こえてきそうな表情で、筧は一度大きく息をついて椅子の背もたれに身を預ける。<br><br>「こんなタチの悪い代物、見たことがねぇ……通常は命令中枢からの指令を受けて作動する、これはどこにでもあるシステムと変わらねぇ。問題なのは…ひとつは命令が途切れても一番重要なシステムはそのまま稼動し続ける事」<br><br>組み込まれたプログラムの核となる動作――今回で言えば「不必要な記憶を遮断する」「記憶を取り戻す意思を奪う」この二点となる。<br>命令中枢からはこれの実行に加えて、更に細やかな行動指令や標的に関する指令が出されるわけだが、この命令中枢が何らかの理由で動作しなくなった場合、前述した核であるプログラムだけは独自に動作し続けるというのだ。<br><br>「最悪それさえ動いてれば後から命令中枢を復元してどうとでもなるからだろうけどな」<br><br>「確かにそれも相当エグいけどよ…けどそれだけじゃ赤羽ごと壊れるってことには……」<br><br>「その理由は問題の二つ目だ」<br><br>今ひとつ腑に落ちない様子のコータローの言葉を半ば遮るようにして、筧は更に言葉を連ねていく。<br><br>「《管理者》への敵対行動になるのを覚悟の上で、俺はナノマシンを壊すつもりだった。けどその直前に、予想通り防護プログラムが仕掛けられてるのが見えたんだ、いや…あれは防護なんて生易しいもんじゃねぇ、敢えて言うなら………心中だ」<br><br>心中という不穏極まりない単語に、コータローは思わず絶句した。<br>その反応は至極当然のものと判断し、筧は先を続ける。<br><br>「何らかの排除プロセスを察知された瞬間、その心中プログラムが作動してナノマシンは消滅する……隼人の脳神経を破壊しながら、な」<br><br>「ちょっ…んなことしたら赤羽は……！」<br><br>「ああ、“遷延性意識障害”……いわゆる植物状態になる、確実に」<br><br>思わず椅子を弾き飛ばすような勢いで立ち上がってコータローは愕然と血を吐くような声を搾り出し、筧は口に出すことすら苦痛であるかのように視線を伏せて。<br><br>「多分《管理者》はこの仕掛けに俺が気付く事は想定済みなんだろう、だからこそ隼人を間接的な人質にすることで俺が手出しして目論見が破綻するのを防ごうとしてんだ……だから今は、エンブレムを消して《管理者》との繋がりを断つことくらいしかできなかった」<br><br>「そういう…ことかよ………」<br><br>筧が先に“破壊できなかった”と言い表した意味をようやく理解したコータローは、崩れるように再び椅子に座り崩れかけた前髪を整える事も忘れて右手でそれをぐしゃりと掴んで俯いた。<br><br>「………マジでどうにもならねぇのかよ、筧……ッ…！」<br><br>「手が…ないわけじゃない」<br><br>思いもよらぬ返答にコータローは一縷の望みを見出したように顔を上げたが、目にした筧の表情は決して晴れやかではなく、寧ろ歯痒さに満ちていた。<br><br>「方法はただひとつ……隼人が自力で記憶を取り戻して内側からナノマシンを消滅させるしかねぇ、心中システムが作動する前に。俺じゃ外から仕掛ける分僅かに間に合わねぇ、けど自発行為っていう『最速』のアタックなら…隼人なら、システムの先を行けるんだが……」<br><br>「結局そいつが思い出すのを邪魔してんだろ？」<br><br>「ああ……だからこれはもう、奇跡に等しい可能性だ、でも……これしか、手はねぇ」<br><br>「…待てよ、だったらよ……！」<br><br>不意にコータローが妙案を思いついたという様子で筧に向けて身を乗り出してきた。<br><br>「赤羽のこと、教えてやりゃあいいんじゃねーかよ！アイツ自身に！いくら意思をそがれちまってるっても何かひとつくらいには反応するかもしれね……」<br><br>「そんな簡単なこと、《管理者》が気付かないわけがねぇだろ」<br><br>昂りを抑えきれない様子のコータローの言葉を、筧は容赦なく遮った。<br><br>「自発回帰を誘発させる可能性のあるキーワードを隼人が認識した時にも同じ事が起こるようになってる、具体的に言うなら“隼人の力の存在を連想させる言葉”だ。本来は別のキーワードだったみてぇだが、隼人に記憶障害っていう予期してなかったエラーが発生したせいでナノマシンが勝手にキーワードを現状に適したものに書き換えてる」<br><br>当初は制御している部分の記憶を回帰させない為のキーワードだったものが、全ての記憶を失い力の使い方も、その存在すらも赤羽の意識の中から消えてしまった今、回帰回避の対象はその失われたもの全てへと誤認され、その“失われている状態”を保つ為にキーワードも再設定されてしまったというのだ。<br><br>「こいつに気付けなかったら正直ヤバかった、流石に簡単すぎると思って疑ったのが正解だった……元々はいきなり核心をついて急激な回帰反応が出ちまったら隼人の負担になると思ってアンタにも口止めしてたんだが、まさかこんなことになってるなんてな」<br><br>「で…レイヴンやACは赤羽の力とは無関係にこの世界に存在してる…だから今まで何も起きなかったってことか？」<br><br>「そういうことになるな。ACっていう間接的な要素を使ってできるだけ負担をかけずに何とか出来ねぇかと思ってたんだけどな……どうもこの状況だとその望みはゼロに等しい」<br><br>「そんな……」<br><br>希望の糸を完全に断たれたかのような表情と声音で、コータローはその場に力なく項垂れた。<br>同時に筧が最初の対処を違えていたら赤羽がどうなっていたかを考えると、震えが止まらず二の腕を押さえつけるように強く掴む。<br><br…」><br>「そんなの…じゃあどうしろってんだよ……」<br><br>「俺が訊きてぇよ…でも…それしかねぇんだ……」<br><br>遠くに聞こえてきた硬い靴音に二人が同時に上げた視線の先には、こちらへ降りてくる赤羽の姿。<br>コータローは泣くのではないかと言うほどに表情を歪めて。<br>筧は彼のその内側、未だ息づく《管理者》の“爆弾”に向けて、強く鋭い怒りを渦巻かせていた。<br><br>《続》<br><br><br>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊<br><br>【後記】<br><br>赤羽に仕掛けられた“細工”の全貌が、ここに来てようやく明らかになった感じです。<br>ただでさえ厄介なものが、事故という予測不可能な要素を含めた事で更に悪化してしまっていたわけです。<br><br>たった一つの方法も、先手を打たれる形で阻まれてまさに八方塞がりといったところですが…<br><br>筧りコータローの方が強く嘆きを見せているように見えますが、これは筧が必死で自分の感情を抑え込んでいるせいもあります。<br>今の赤羽を前にして、務めて平静であり続けることが、自分の今出来る最大限の事だと思っているからです。<br>なので、決して平気でいるというわけではないのですよ（笑）<br>コータローが真っ直ぐに感情を露にするタイプなので余計にそう見えてしまうかもしれませんね。<br><br>そんなことない？←<br><br><br></br…」>
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<link>https://ameblo.jp/yenxi/entry-10614842619.html</link>
<pubDate>Mon, 09 Aug 2010 21:02:51 +0900</pubDate>
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<title>Destroy false “EDEN”～Phase04-2～</title>
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<![CDATA[ <br><p><br>《Phase04-2》<br><br>「オイこら筧、訳わかんねーよ！テメちょっと止まれっての！！」<br><br>長身故の大きいストロークで前を歩く筧の背中に向けて、コータローが早足で付いて行きながらがなり立てる。<br>そこへ不意に筧が振り返ったかと思うと、ばしんっと大きな掌底でコータローの口を塞いだ。<br><br>「んごっ！？」<br><br>「声がでけぇよ。何のためにわざわざアンタ連れて下に降りてきてると思ってんだ…」<br><br>窘めるような筧の言葉にようやく血圧が下がったか、コータローの目がその理由を問うように瞬かれた。<br><br>「思ったよりややこしいことになってんだ…隼人にはまだ聞かせたくねぇんだよ」<br><br>無意識に小声になりながらそっと手を離してやり、筧はハンガーエリアの一角に備え付けられた金属製の椅子に腰をおろす。<br>コータローもその斜向かいに並んだ椅子に落ち着いた。<br>逸る気持ちを抑えているかのように、低いトーンで最初に切り出したのはコータローだった。<br><br>「…昨日、あれから…お前、『何』した？」<br><br>「順を追って話す…アンタが帰って隼人を部屋に運んで行った後……」<br><br>視線を伏せるようにして、筧は昨夜の記憶を語り始めた。<br><br>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊<br><br>時は約13時間前に遡る。<br>赤羽に刻まれた《管理者》の刻印を目にした筧は、そこから漂う悪質な気配に嫌悪感を強めていた。<br><br>（ただの所有記号なんかじゃねぇ、この気配の意味は何なんだ……）<br><br>エンブレムから絶えず感じる虫唾の走るような気配、それはつまり筧にとって非常に好ましくない事象がそこに存在している事の象徴であり、彼は本能的に気配という形で感じ取っているのである。<br><br>（本当はアンタの許可なく踏み込むのは気が進まねぇんだけどな……けど、今はそうも言ってられねぇか）<br><br>その理由を突き止めるため、筧は暫し逡巡するも、赤羽に対して『ハッキングダイヴ』すなわち自分の意識を赤羽の身体に介入させる事を決めた。<br>静かに目を閉じ、まずはエンブレムに翳した掌に意識を集中させる。<br>そこから筧の脳裏に次々とイメージ化された情報が流れ込み、彼の閉じた双眸の奥には今まさに赤羽の内で起きている事態が『視えて』いた。<br><br>（エンブレム自体が端末かよ……ナノクラスの端子が神経系に刺さってやがる……）<br><br>それから感じるのは、筧の力を拒絶しようとする不快な感覚。<br>どうやらこのエンブレムから出されている信号が赤羽に“拒絶反応”を起こさせていたようだ。<br>しかしそれだけではやはり終わらないようで。<br><br>（これ……別の信号が出てるのか…？ってことはその先にまだ他の仕掛けがあるってことか）<br><br>今度はその信号を辿り、いよいよ意識を赤羽の身体へと侵入させていく。<br>まるで信号をレールに見立てたジェットコースターのように過ぎ去る『視界』は迷わずその行き先を目指す。<br>程なくして判明した到達地点は、筧の予測していた中でも最も忌避すべき場所……生命の要のひとつ、脊髄だった。<br><br>（何てとこに…！！信号が影響してんのは…脊髄自体じゃねぇのか……？）<br><br>脊髄へと信号が送られているということが判明した時点では、筧はそれ自体が脊髄そのものに何らかの作用をしているのだと思っていた。<br>だが信号は分散しておらず、一点へと集中しているのだ。<br><br>（まさか……ナノマシンかよ………！）<br><br>辿り着いた意識の先、体内という場において明らかに天然の生成物ではない物質が確かにそこにあった。<br>高度な電子顕微鏡を用いなければ視認することのできない、最小の端末ナノマシン。<br>それがここに存在しているということは、これに何らかのプログラムが組まれエンブレムからの信号を受けてそれを実行しているということを意味していた。<br>それこそが隠された真実の鍵であると確信すれば、仕組まれたプログラムを読み取ろうと更に意識を潜行させようとした、その瞬間。<br><br>（ッ、…ぐ…っ…）<br><br>一瞬、筧の前頭葉付近に鋭い痛みが走る。<br><br>（く、っそ……“反動[バックラッシュ]”がヤバい…っ……どんだけ固めてんだよ……ッ…）<br><br>この種のプログラムにはプロテクトが掛けられていて然るべきなのだが、これにおいてはその強固さは筧がこれまで経験してきたものの中でも群を抜き、しかもシステム自体に突破を悟らせず突破しようとすればやはり相当の負荷を伴う。<br>これ程に慎重になるのは赤羽の身体であるからという事もあったが、それ以上にハッキングを察知された瞬間、もしこれに防衛システムが搭載されていたら、それが赤羽に悪影響を及ぼしかねないからだ。<br>その壮絶さを物語るように、筧の顔には苦悶の色が浮かび額には薄く汗が滲み始めていたが、決して意識を切り離そうとはしなかった。<br>この苦痛は赤羽の内に展開されている事態の深刻さそのものに他ならないからだ。<br><br>（エンブレムを命令中枢とするなら、こいつは作用中枢ってとこか……ったく…いい加減通しやがれ……！）<br><br>何重にも張り巡らされた防壁の、最後の一つを突破すると同時に難解な数字や記号の羅列は“単語”に姿を変えて筧の脳裏に流れ込んで来た。<br><br>『不要』<br><br>『取捨』<br><br>『記憶』<br><br>『遮断』<br><br>（やっぱりそうか……特定情報体限定遮断…不必要な記憶をシャットアウトさせてるってことは、やっぱ元々記憶弄られてた部分があるって……）<br><br>そこまで巡らせた筧の思考は、最後に飛び込んできた“単語”による驚愕に四散した。<br><br><br>『相互作用』<br><br><br>（……相互……！？…まさか……）<br><br>思わぬ“単語”の出現に筧は緊張を高める。<br>相互と言うからには作用し合う“相手”がいるということだ。<br>彼の予感は的中、プログラムは―――ひとつでは、なかった。<br><br>（まだある、その先……この上一体どんな網を張ってる……？）<br><br>見えたプログラムの更に奥へと、筧は意識の根を張り巡らせていく。<br>やがて先程のように、再び単語化された新たな情報が流れ込んできた。<br><br>『記憶』<br><br>『回帰』<br><br>『意思』<br><br>『剥奪』<br><br>（何だよ…これ……！！）<br><br>それらから導き出された答え、それは“自発性特定回帰行動剥奪”。<br>プログラムに定められたものに対する自発的な回帰行動の一切をその意思から剥奪するというものだが、問題なのはその定められたものというのが“失われている記憶”だという事だ。<br><br>（そうか……だから隼人は記憶を取り戻そうという意志を見せなかったんだ……）<br><br>元々は《管理者》側が制御した記憶に赤羽が気付いてブロックを外そうとしないようにするための防護策だったのだろう。<br>ところがそれは不測の事態によって失われた記憶をも同様のものとみなされ、このプログラムの適用により赤羽は自発的に記憶を取り戻そうとする意思を奪われてしまったのだ。<br><br>（……隼人…それでもアンタは……）<br><br>愕然とする中、筧はゆっくりと閉じていた双眸を開いて眠っている赤羽を真っ直ぐに見つめる。<br>周到なまでに何重にも掛けられた《管理者》の防壁、記憶の制御は目的をより円滑に遂行するために、自発性の剥奪はその記憶の制御を維持するために。<br>しかし赤羽は全てを奪われたわけではなかった、残されたのは“自我”。<br>筧は目を開ける刹那、赤羽の最も深い場所から強い“拒絶反応”を感じていた。<br>だがそれは今まで赤羽が見せていた筧へのものではなく、己の体内で作用しているナノマシンに対しての精一杯の抵抗―――すなわち、この高熱の真相だった。<br><br>（戦ってたんだな、ずっと……）<br><br>強制的に引き起こされていた、作られた拒絶ではない……レイヴンとしての感覚を取り戻す事でほんの僅かに緩んだ記憶の蓋、その隙間から枷を打ち破ろうとするかのように赤羽の潜在意識が《管理者》の干渉に抗っていた。<br><br>（……よく、頑張ったな）<br><br>抑えていた想いは、ここに来て最早限界だった。<br>横たわったままの赤羽を、筧は包み込むように抱き締めてその額に唇を寄せる。<br>もう何百年も触れていなかったかのような錯覚すら覚えるほどに、身体から、唇から伝わる赤羽の体温は筧のそれまで空虚だった胸の内を一気に満たしていった。<br>それと同時に、筧は自らの為すべき事を決意する。<br>平穏のため、これまでは敢えて《管理者》を受け入れて来た―――だが、赤羽を犠牲にして手に入れる平穏など、一切の価値もなければ必要もない。<br><br><br>それが、この世界を敵に回す事になったとしても。<br><br><br>腕を解いた筧の青い双眸は強い意志が満ちていた。<br>最初と同じように、エンブレムに右手を翳して再び目を閉じる。<br>が、意識を集中させたところで筧は目を開けて、その表情に強い苦渋を滲ませた。<br>暫しの沈黙。<br>残された手段は、たったひとつだけだった。<br><br>瞼を閉じて視界を闇に閉ざす。<br>翳した掌に己の全神経を集中させる。<br>その場に第三者がいたならばこう表現しただろう、肌が切り裂かれそうなほどの緊張感が部屋を支配していた、と。<br>そして高まる緊張と共に筧の身体が淡い青の光に包まれ、彼は自らの持つ異能の力を使い、まるで外科手術のようにシステム同士を切り離していく。<br><br>（命令中枢からの全信号伝達…遮断成功、受信端末の継続動作確認……思った通り、信号停止だけなら『牙』は動かねぇか。これなら…いける……！）<br><br>翳していた手を、今度はエンブレムを覆い隠すように赤羽へと押し当てた。<br>ただ一点、その貼り付いた忌まわしき図形へと研ぎ澄ませた意識を注ぎ込む。<br>その時間は刹那のようにも永遠のようにも思えたが、やがて力を抜いて退けた手の下……あのエンブレムはもう跡形も無く消えていた。<br><br>（鍵はこじ開けた…後は……）<br><br>ここから先、コータローが怒鳴り込んで来るまでの記憶が筧にはない。<br>恐らく疲労がピークに達した事と、ひとつの安心感が得られたからだろう、筧はそのままぱったりと赤羽の横に倒れ込み、深い眠りの中へ落ちていったのである。<br><br><br>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊<br><br><br>「何だよ、俺はてっきりお前の我慢が遂に利かなくなったのかと思ってたぜ」<br><br>「アンタ俺を何だと…まあいいけどよ。でもまだ話は終わりじゃねぇんだ、さっき隼人にも言ったが『頭』は潰したが『爪』は…ナノマシンはまだ隼人の中にある」<br><br>その言葉自体にはコータローに驚きはなかった。<br>確かに聞いていた限りでは、除去したのはあくまで命令中枢であったエンブレムだけであり、肝心のナノマシンを排除したようなプロセスはなかったからだ。<br>だから当然その疑念は言葉になって表れた。<br><br>「…なんで、消さなかった？」<br><br>その問いに、筧はその眉間を深く深く寄せて。<br><br>「消さなかったんじゃねぇよ……消せなかったんだ」<br><br>《続》</p><p><br></p><p><br></p><p>＊＊＊＊＊＊＊＊＊</p><p><br></p><p>【後記】</p><p><br></p><p>宣言通り、今回はハッキングのシーンをお届けしました。</p><p>イメージはメンタル的な電脳戦みたいな？</p><p>頭では映像が浮かんでるんですが、それを他の人にも伝わるようにするにはどう書けばいいかが非常に難しかったです…というか実際これ、伝わってるんだろうか（汗）</p><p><br></p><p>気付いた方もいたかもしれませんが、筧は最初はナノマシンまで全破壊するつもりでいました。</p><p>ところがそれを止めて、最終的にはエンブレムの除去に留まったわけですが…</p><p>全破壊実行の直前で、筧は何かに気付いたんです、それで手段を変更せざるを得なかったわけで。</p><p><br></p><p>それは次回明かされることになります。</p><p>なんかもうここ、後記というより次回予告だなぁ（笑）<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/yenxi/entry-10593610116.html</link>
<pubDate>Sun, 18 Jul 2010 00:32:57 +0900</pubDate>
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<title>Destroy false “EDEN”～Phase04-1～</title>
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<![CDATA[ <br><p>《Phase04-1》<br></p><p><br></p><p><br>「…………」<br><br>翌日、ああは言われたもののやはり居ても立ってもいられなくなったコータローは、筧からの叱責のひとつやふたつは覚悟しながら倉庫を訪れたのだが。<br>今彼は、赤羽の部屋の前でそのドアを開けた動作のまま、まるで映像が一時停止されているかのように微動だにせず、目の当たりにした室内の有様に呆然としていた。<br>視線の先にはひとつのベッドに寄り添うようにして横たわる筧と赤羽の姿。<br>しかも赤羽の着ているシャツは大胆に肌蹴ていて、嫌が応にも目についてしまう。<br><br>コータローの頭は激しく混乱していた。<br><br>触れるどころか間近に近寄ることすら拒絶されていた筈の筧が、扇情的な寝姿の赤羽の横で何故か完全熟睡している。<br>様々な憶測が、邪推がコータローの脳内を一気に駆け巡り、遂には思わず叫んでいた。<br><br>「なっ……何しやがったんだ筧ーーーーッ！！」<br><br>「おわっ！？」<br><br>「！？」<br><br>その絶叫に弾かれるように二人は同時に起き上がり、唖然と声の主を見つめる。<br><br>「コータロー…？」<br><br>「な…なんでアンタがここに居るんだ？」<br><br>横から聞こえた筧の声に、驚いた表情のままに赤羽は今度はそちらを振り返る。<br><br>「君も…何故ここに居るんだい？」<br><br>「覚えてねぇのか？アンタ昨日高熱出してACの中で気ィ失ってたんだぜ……具合はどうだ？」<br><br>当然の反応だろうと特に気圧されるようなこともなく、筧は問われた事を淀みなく答える。<br>その言葉と同時にごく自然な動作で、体温を確かめるように赤羽の額に触れた。<br><br>「……そういえば…アリーナを出た後の記憶が…ない、な……だが今は特に不調な感じはしないよ」<br><br>額に充てられた大きな手を振り払うようなこともなく、向けられた言葉に赤羽は記憶を辿る。<br>思い当たる節はあったが、本人も言うように今は顔色も戻って別段問題も見受けられない。<br><br>「あ、赤羽…お前……」<br><br>その“ごく当たり前”のやり取りを遠巻きに見ていたコータローが、思わず呻くような声を上げた。<br><br>「筧のこと…平気なのか？」<br><br>「え…？」<br><br>言われ赤羽は、そこで初めて今筧が自分に触れていることを意識して、思わず筧の顔を食い入るように真っ直ぐに見つめた。<br><br>「そう言えば……あのざわつきが、ない……」<br><br>それを耳にした筧は安堵したように僅かに目を穏やかに細めて、赤羽の額に触れていた手で一度真紅の髪を撫でやってから静かに離す。<br><br>「アンタに悪さしてた小賢しい“頭”は俺が潰した、けどまだがっちり食い込んだ“爪”は残ってる…迂闊に手出しすればあっという間に獲物を引き裂こうと暴れる“爪”がな。そいつを始末できるかどうかは隼人…アンタ次第だ」<br><br>ベッドから降り、大きく伸びをしながら筧は振り返ることもなく、敢えて比喩的な言葉に代えて理由を述べる。<br><br>「シャワー使うんだろ？全部済ませたら下に降りて来いよ、アンタに渡したいものがある。佐々木、下行くぜ」<br><br>それだけ言えば、コータローの横をすり抜けるようにして筧は赤羽の部屋を立ち去っていった。<br>その後を追いながらいつものやかましさで経緯を問うコータローの声を音としてだけで聞きながら、赤羽は先程まで筧が触れていた額に、そっと自分の指先で触れていた。<br><br>《続》<br></p><p><br></p><p><br></p><p>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊</p><p><br></p><p>【後記】</p><p><br></p><p>あれ、ハッキングの内容ないの！？と思われた方（いるのか）</p><p>あります、大丈夫です（笑）</p><p>この後、筧とコータローの会話における回想で明らかになる予定になってます。</p><p><br></p><p>赤羽が筧解禁（笑）になったので、今後BL要素が急激に濃くなるかもしれません、あくまでこれも予定なんですが。</p><p><br></p><p>まあほぼ半裸でいる赤羽の横で筧がくっついて寝てたらコータローじゃなくても邪推するわな…着衣のまんまとかどんだけ切羽詰まってんのとか思う←</p><p><br></p><p>筧が比喩したものは多分分かりにくかったと思いますが、これについては例のハッキングの回想がある時に補足説明……いるのかな。</p><p>書いてから考えます（笑）<br></p>
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<link>https://ameblo.jp/yenxi/entry-10588039596.html</link>
<pubDate>Sun, 11 Jul 2010 22:01:26 +0900</pubDate>
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<title>Destroy false “EDEN”～Phase03-2～</title>
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<![CDATA[ <p>《Phase03-2》<br><br>一方その頃、筧は自室のベッドに仰向けに転がりながら、一人自問を繰り返していた。<br><br>（“管理者”は隼人に何をした…？記憶が事故で失われただけなら、普通はそれを取り戻してぇと思う筈なのに……)<br><br>しかし赤羽は記憶がないという認識はあっても、それを重要視しているようには見えなかった。<br>つまり記憶が失われていることに疑問を抱いていないのである。<br><br>(レイヴンとしての腕は確実に戻りつつある、それなのにまるで記憶だけが強力なロックを掛けられたように………)<br><br>何気ない例えだったが、次の瞬間にはそれがまさに行き着くべき答えであることに気付いて、筧は勢い良く身体を起こした。<br><br>(まさか、それか……！？）<br><br>そう、レイブンとしての感覚は容易に蘇ってきたというのに、間接的とはいえ彼に関わるキーワードをどれだけ示してもその記憶だけは一片たりとも蘇る兆しもない。<br>それならば答えはひとつ、あの事故で失われる以前に記憶は既に“管理者”によって制御されていたということだ。<br><br>(そうか……利用するなら余計な記憶や感情は必要ねぇ、イレギュラーレイヴンとしての腕さえ残ればいいんだからな…)<br><br>だから事故で全ての記憶をなくしても、元の制御が生きて失われている部分を復元させないのではと筧は仮説を立てる。<br><br>（ようやく《管理者》の“尻尾”の先を捉えられた……けど、それがわかったところで制御部分を突き止めて外さねぇことには……）<br><br>新たにぶつかった壁に頭を悩ませる筧の耳に、二機分のACの駆動音が届く。<br>筧はそのチューニング音で誰のACかを判別できるが、ここに来るACとなれば判別の必要もない。<br>言わずと知れた赤羽とコータローのものだが、赤羽はアリーナへ出向いていた筈なので大方コータローが手合の終了を見計らって出迎えに行ったのだろう。<br>つくづく律儀な奴だなと思いながら、筧は再びベッドに身体を横たえた。<br>恐らくあと数分と経たずに、コータローが自分のことのように赤羽の結果を伝えに来るだろう。<br>赤羽の背負う“枷”の片鱗を認識してしまった今、きっと彼の顔を見たら反射的に抱き締めてしまうだろう。<br>そうすればまた手痛い目に遭うのは必至、ならば敢えて出向かずコータローの報告を待とうと目を閉じる……が。<br><br>(……何だ……？)<br><br>しかしコータローは一向に姿を現さない。<br>それどころか、ピリピリとした感覚が筧の首筋を取り巻いている。<br><br>(空気が…張り詰めてる………？)<br><br>何か様子がおかしいと即座に直感した。<br>その直後、騒々しく金属製の階段を駆け上がり通路を全力疾走する足音が筧の耳に届く。<br>そして。<br><br>「筧ッ！！！」<br><br>ノックもなしに、まさに転がり込むようにしてコータローが部屋へと飛び込んできた。<br><br>「ヤバイって！！赤羽が……！」<br><br>その言葉を耳にした刹那、筧はコータローの言葉を最後まで聞かずベッドを飛び降りて床をひと蹴りして部屋を飛び出す。<br>そのまま二階の通路の手摺りから身を乗り出すようにして階下のハンガーに意識を向けた。<br>そこから視界に映ったのは、ハッチの開いたコクピットのシートで微動だにしない赤羽の姿だった。<br><br>「隼人！！」<br><br>名を叫ぶと同時に筧はそこから十メートルはあろうかという高さを、手摺りを蹴って一気に飛び降りた。<br>そのまま直接“スパイダーポイズン”に横付けされたリフトへと降り立ち、上体を乗り出させるようにして中を覗き込む。<br><br>「隼人、返事をしろ、隼人！」<br><br>しかし返答はなく、それどころかどこか苦し気にも見える。<br>どうやら赤羽は何らかの理由で昏睡状態に陥っているようで、咄嗟に筧は彼を抱き上げていた。<br>無意識下においても拒絶反応が起こるか否かは定かではなかったが、今の筧にはそんなことはどうでもよかった。<br>幸いにもこの状態では拒絶反応は起こらなかったようだが。<br><br>（すげぇ熱……）<br><br>腕に収めた赤羽の身体はまるでその髪に宿る火の色を体現するかのような熱を帯びていた。<br>これほどの高熱は元より体調を崩すようなことなどこれまで見たことがなかっただけに、筧は内心動揺を抑えきれなかった。<br>しかしそれが表面化するより先に、コータローの声が割り込んで来る。<br><br>「さっきまでは何ともなかったんだぜ！？アリーナでも絶好調だったしよ……今だってハンガーインしてクールダウンオペレーションしてんのかと思ってたんだって、けどいつまでも出て来ねーし返事もねぇし、だから外から開けたらよ……!」<br><br>どうやら筧の後を追うようにして来たのだろう、上から階段を駆け下りてACの足元まで来ていた彼の声にははっきりと狼狽が窺えた。<br>それを目の当たりにして、筧は我に返る。<br><br>「…毎日のように何時間も訓練してたんだ、疲れが出たのかもしれねぇだろ。アンタのせいとかじゃねぇんだからそんな顔するなよ」<br><br>ここで自分までもが狼狽えるような事があっては余計にコータローの不安を煽ると即座に判断し、言葉を選んで務めて冷静に応じる。<br><br>「けどよ、気付いてやれなかった俺にだって落ち度が……」<br><br>「そんなの今に始まったことじゃねぇだろ。この人が自分のこと隠したがるのは昔からだ……ほら、今なら俺のことも平気みてぇだし……落ち着いたら連絡する、隼人が目ェ覚ましたらまたアンタの協力が必要だからよ」<br><br>「……わかった、必ずだからな」<br><br>本当は自分も側についていてやりたかった、だがその言葉は胸の内に収めコータローは小さく頷いて自分のACに乗り込み倉庫を後にする。<br>今あの二人の間に割って入ることは、あまりにも無粋に思われたからだ。<br>遠ざかっていく駆動音は、まるで慟哭のように辺りに響いていた。<br><br>その音も完全に聴覚から消えて静寂が戻った頃、筧は赤羽を抱えたまま僅かに上体を沈める。<br>次の瞬間にはリフトの床を蹴り、綺麗な放物線を描くようにして再び部屋の前の通路へと静かに降り立った。<br>そのまま自室の隣にある赤羽の部屋へと向かい、元より開け放された扉をくぐる。<br>未だ目を覚さない赤羽をベッドに横たえ、ひとまず汗で貼りついたシャツを脱がせてやろうとボタンを外していき、肩を肌蹴させたところで筧の手と、自ずと手元に向けられていた視線とがある一点でぴたりと止まった。<br>剥き出しになった赤羽の左肩、そこに見えた一連の関与を確定させる動かぬ“証拠”がそこにあった。<br>無機質な四角形をSの字に象らせ、その下には刻まれた『DOVE』の文字。<br><br>（…これで“主犯”は確定したわけだ……）<br><br>それは間違いなく、“管理者”のエンブレムだった。<br>再会の際マルコの“スクリューバイト”が放ったミサイルによって外装の大破したあの装置、その側面に刻まれていた物とは形状こそ違っていたが、双方《管理者》を示す証に相違なかった。<br>それが今タトゥーのようにくっきりと、赤羽の肌に刻み込まれているのだ。<br><br>（このエンブレム…ただのペイントじゃねぇ……何だ、この気配……）<br><br>筧には、そのエンブレムそのものから言い知れぬ嫌悪感が感じ取れていた。<br>それについて暫し思案を巡らせてみたが答えは浮かばず、逡巡するも意を決したか赤羽のシャツから手を離してエンブレムに右手を翳す。<br>そのままゆっくりと目を閉じ、意識を“見る”ことから“感じる”ことへシフトさせる。<br>傍目には筧に何の変化もない、だがその内においては常人の理解を超えた“ハッキング”が展開され始めていた。<br><br><br>《Phase03・End》</p><p><br></p><p><br></p><p>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊</p><p><br></p><p>【後記】</p><p><br></p><p>さて、ターニングポイントです。</p><p>この先から少しずつ赤羽に掛けられた制御の本当の意味、そして《管理者》の意図が明らかになっていきます。</p><p>今回のラストに出てきた赤羽につけられた《管理者》のエンブレムですが、筧も感じていた通り、ただの所有物的な意味を表すようなものではありません。</p><p>そしてこのエンブレムの役割は物語の非常に重要なファクターでもあります。</p><p><br></p><p>……とか言って期待外れだったらすみません（…）<br></p><p><br></p><p>うーん……コータローがちょっと可哀想になってきたな←</p><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/yenxi/entry-10577148319.html</link>
<pubDate>Tue, 29 Jun 2010 23:06:20 +0900</pubDate>
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<title>Destroy false “EDEN”～Phase03-1～</title>
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<![CDATA[ <p><br>《Phase03-1》<br><br>「…マジかよ……まだ一週間も経ってねーんだぞ……」<br><br>コータローの絞り出すような声は、驚愕を通り越して最早戦慄に近かった。<br>筧から事情を聞き、その様子も目の当たりにして、その上で引き受けた赤羽のいわゆるレイヴンとしてのリハビリのパートナー。<br>最初は共に赤羽のACに乗り込み、それこそ操作のイロハから懇切丁寧に教えていった。<br>今の自分にしてみれば何もかもが未知の世界のACに、当初の赤羽からは戸惑いとぎこちなさが感じられていたのだが、それも日を追うごとに消えていき、数日後にはランカー上位のレイヴンと遜色ない動きまでも可能にしてしまった。<br>その驚くほどの吸収力と適応能力にコータローは自分との“種としての絶対的な差”を見せつけられることになり、その劣等感にも似た畏怖は今目の前に映る光景を前に、より一層その色を濃くしていた。<br><br>コータローは今自らのACのシートで、外部モニターに映し出されているアリーナのライブ映像の一部始終に息をするのも忘れるほど釘付けになっていた。<br>画面に映し出されているのは黒煙を上げて機能停止している“ロデオ・ドライブ”と表示された鈍い銀色に鮮やかなオレンジのアクセントが施されたAC。<br>そしてそれを睥睨するように悠然と立つ見慣れた赤と紫の、深淵の蜘蛛を宿したAC……“スパイダーポイズン”。<br>後者の搭乗者は言わずと知れたあの赤羽隼人である。<br>そして前者の搭乗者はアリーナランカー4位のレイヴン、甲斐谷陸。<br>ずば抜けた機動性を誇る軽量ACで、ブレードを用いた接近戦を得意とする、上位ランカーに相応しい実力者だ。<br>だが今そのACはブレードを有する左腕の肩から先が吹き飛ばされており、更にラジエーターを狙い撃ちにされ機体が熱暴走を起こし行動不能に陥っていた。<br><br>(アリーナの実戦がいい訓練になりゃあと思ってたのによ……)<br><br>これ程に力量差がはっきりしてしまっては、訓練としての意味がない。<br>今回の“ロデオ・ドライブ”の敗北は甲斐谷の降格を意味し、同時に赤羽の昇格を確定させたことになる。<br>すなわちアリーナにおいて赤羽の上に立つのは最早上位三人のランカーのみということになる。<br>そのこと自体も充分驚愕に値するのだが、それ以上に驚くべきはその勝利を収めた赤羽のACがほぼ無傷に近い状態であったことだ。<br>記憶を失う前の彼であればそれが寧ろ正常なのだが、全てを失い再びスタートラインから始めたという事とここへ至るまでの日数を考えれば、コータローの戦慄も当然と言えよう。<br><br>（ついこないだまでレイヴンもACも、それが何の事なのかもわからなかったってのに……）<br><br>筧が口にしていた『記憶が失われていても身体が覚えている筈だ』という事の意味を、コータローはこうしてまざまざと見せつけられる結果となった。<br>ACの中でも屈指の反応速度を誇ると言われる“ロデオ・ドライブ”の動きを捉え、相手の斬撃の全てを回避しながら正確に急所を狙撃するという圧倒的なACコントロールは、あたかもACが自らの肉体そのものであるかのようにすら見える。<br>だがそれですらもコータローの知る赤羽の本来の動きには程遠く、目覚めつつあるレイヴンとしての記憶とは対照的に、彼自身の記憶は一向に蘇る気配を見せていなかった。<br>まるで失われている記憶などというものは存在していないのではないかと錯覚してしまいそうになる程に。<br><br>（何で……何で記憶だけが戻らねーんだよ…何で……!！）<br><br>やるせなさに表情を歪め、コータローはコンソールを拳で殴りつける。<br>記憶が戻らなければ赤羽が筧に対して起こす拒絶反応の意味も打開策も見出せない。<br>記憶が戻らなければ赤羽が筧を、そして筧が赤羽を……どれ程に互いが互いを必要としていたかを赤羽だけが再認識できない。<br><br>（全部思い出さなきゃよ……アイツのマジに幸せっつー顔をよ……ずっと見れねーじゃねぇかよ…っ……）<br><br>赤羽に対して特別な想いはあれど、しかしそれは赤羽自身の想いを踏みにじってまで得たいというものでは決してなかった。<br><br>（アイツが幸せじゃなきゃ、何の意味ねーんだよ…！）<br><br>筧と赤羽の関係も知っている、自分が太刀打ち出来る余地もないことも知っている、その上で、だからこそ、筧を知らない赤羽を、赤羽に拒絶される筧を見るのがコータローには辛くて仕方がなかった。<br><br>（でもよ……）<br><br>コンソールに打ち付けた拳を更に強く握り締めて。<br><br>（本当に泣きたいほど辛いのは…お前なんだよな、筧……）<br><br><br><br>《続》<br></p><p><br></p><p><br></p><p><br></p><p>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊</p><p><br></p><p>【後記】</p><p><br></p><p>コータローいいヤツだよなぁ……なかなかいないぞ、こんな男!</p><p>まあそれはいいとして。</p><p><br></p><p>赤羽は一週間足らずでランカー4位まで上り詰めてしまったわけですが。</p><p>現時点でほぼ初心者と同様の彼がこの驚異的な強さを昇格を実現しているのは、筧やコータローが言うように、身体に染み付いた幾多の実戦経験の賜物であり、赤羽の“力”がその経験に基づいて身体の記憶を表面化させているわけです。</p><p><br></p><p>が…自分が何であるかを未だに思い出せない赤羽は“力”を自発的に使うことができないので、まだこの程度に留まっているのです。</p><p>“力”は消えたわけではないので作用はしますが、“力”の存在自体を赤羽が知らないのでそれを最大限に発揮するということができないということです。</p><p><br></p><p>しかしこれだけのことがあっても未だに赤羽は肝心の記憶を取り戻す事も、取り戻したいと思うこともありません。</p><p>いい加減しつこいというか引っ張りすぎかもしれませんが、その理由についてはもう少しお待ちください(笑)</p><p><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/yenxi/entry-10572846134.html</link>
<pubDate>Fri, 25 Jun 2010 07:40:41 +0900</pubDate>
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<title>Destroy false “EDEN”～Phase02-3～</title>
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<![CDATA[ <p>《Phase02-3》<br><br>産業区の外れ、立ち並ぶ倉庫群のひとつに筧の住居はあった。<br>内部はひとつの大きな空間となっており、ハンガーとして機能している。<br>内壁の上部を囲むようにして二階部分が作られていて、通路のどの位置からもハンガーが見おろせた。<br>そのハンガーの中央、到着し収められた筧のAC“ハイウィーブ”の隣にもう一機、別の機体が並んでいる。<br>赤と紫のコントラストが印象的な、左肩の部分に糸を張り巡らせた蜘蛛を模したエンブレムを象った軽量二脚型AC。<br>今赤羽はその目の前に立ち、筧はその後方に控えるようにしていた。<br><br>「覚えてねぇだろうが……こいつがアンタの相棒“スパイダーポイズン”だ」<br><br>「僕の…？」<br><br>自らの物と示されるも、それが理解できないというような素振りで、赤羽は問い返して筧へと振り返る。<br><br>「…これに……僕が、乗っていた…のか…？」<br><br>所有物と聞かされれば、自分がそれに乗っていたのであろうことは容易に察しはついた。<br>しかしそれはあくまで連想でしかなく、肝心の記憶は欠片たりとも浮かび上がってはこない。<br><br>（…コイツも今の隼人にはただの一ACでしかないってことなのか……）<br><br>実際に搭乗していた機体を見せれば或いはと思っていた筧だったが、その淡い期待は脆くも崩れ去る結果となった。<br>しかしその落胆は自らの胸の奥底にしまい込み、決して表には出すことはなく。<br><br>「ああ、アンタはこれに乗って自在にコイツを操ってた……けど今のアンタじゃこのアセンブリの機体を動かすのは不可能だからな…後で俺が練習用に組み直しておくから。取り敢えず今日のところは自由にしててもらっていい、部屋は……」<br><br>そこまで言って、筧はその先を口にすることを逡巡する。<br>赤羽の部屋は元よりここにある、しかしそれを伝えて果たしていいものなのかと。<br>部屋が既にあるということは、即ち共に暮らしていたであろう相手を、今は拒むような反応を見せてしまっていることに赤羽が自己嫌悪を抱かないか。<br>しかし思考を巡らせたのは時間にすればほんの僅かで。<br><br>「…部屋は用意してある、上の二つ並んだ部屋のうち左側だ。好きに使ってくれて構わねぇから」<br><br>「あ、ありがとう……それにしても随分と手回しがいいんだね、いつの間に…？」<br><br>「アンタとマルコは先に戻ってただろ、俺はこっちに寄ってお膳立て済ませてたってだけさ」<br><br>言ってから筧は内心に嘆息していた。<br>嘘をつくのはどうにも性に合わない、それが赤羽が相手であれば罪悪感も相まって尚更だ。<br>しかし赤羽はそんな筧の内面の苦悩にも気付くことなく再度礼を言えば、しかし立ち去ろうとはぜずに再び向き直って自らのACを見上げていた。<br><br>一方コータローは倉庫内の別室、アセンブルシステム（機体組み立て管理システム）のコンソールの前に物憂げな表情で座り込んでいた。<br>モニターには“ハイウェーブ”と“スパイダーポイズン”の現在のアセンブリ状態が映し出されている。<br><br>「…相変わらずどっからどう見てもスマートすぎるカスタムパーツだぜ…どうやったらこんなん作れるんだっての」<br><br>従来品と外見はほぼ変わらない、だがその性能はオリジナルを遥かに凌駕したものばかりだ。<br>しかしそれは誰でも扱えると言うわけではなく、操縦者の“特別な因子”の干渉があって初めて全てが成立する。<br>つまり常人には到底扱える代物ではないということだが筧のACは言うに及ばず、赤羽のACも細かな数値やバランスの違いはあれど、同様の強化が為されている。<br>それの意味するところを、多少なりとも知り得ているコータローは複雑な面持ちで独りごちた。<br><br>「……勝てるわけねーよなぁ…だったら惚れた腫れたくらいフェアだっていいじゃねーかってんだ…」<br><br>「こんなところに居たのか、何ひとりで腐ってんだ？」<br><br>「うぉわぁあああッ！？」<br><br>予想だにしていなかった背後からの突如掛かった声に、コータローはまともに動揺して弾かれたように振り返った。<br>見れば筧が入り口に腕をつっかえるようにして、不思議そうにこちらを見ている。<br><br>「なっ、なんだよ悪ィかってんだ！」<br><br>「誰も言ってねぇだろ、そんなこと……」<br><br>「な、何か用かよ！？つか赤羽はどうしたんだ！？」<br><br>気の毒なほどわかりやすいコータローの狼狽ぶりに筧は怪訝そうに眉を寄せる。<br>コータローの半ば無理矢理な話題転換に、背後を親指で示して見せた。<br><br>「好きにしてていいって言ったんだが…あそこでずっと自分のAC見てる。いや……あれは見てるんじゃなくて“映して”んだな……」<br><br>「……？」<br><br>最後の方は独り言のようにも聞こえた筧の呟きの意味が解らず、コータローは立ちあがればその横をすり抜けるようにしてハンガーが見える位置に立つ。<br>そこで目にした光景に、彼は一瞬にしてその意味を理解し茫然となった。<br>一人残されてた赤羽は微動だにせず未だに機体を見上げている、しかしその様相には何の感慨もなく、例えるならば巨大な金属の塊をただ漠然と瞳というレンズに映している撮影機のようだった。<br><br>（マジかよ…あれがあの赤羽なのか…？冗談にしちゃ悪質過ぎだろ……）<br><br>コータローの胸中に痛みにも似た切なさがよぎる。<br>彼に課せられたのは赤羽をレイヴンとして覚醒させることだ、だが。<br><br>（こんなんで本当に……）<br><br>ACに対して何らかの意識が向いていれば向上の促進にもなるのだろうが。<br><br>（本当に動かせんのかよ……あんな……記憶どころかまるごとカラッポになっちまってるみてーなアイツに……）<br><br>赤羽は意欲を見せるどころか記憶を取り戻そうとしている気配すら全くといっていいほど感じられない。<br>今にも泣き出すのではないかというような顔で、コータローはその光景から目を背ける。<br>視界の横に見えたコータローの表情の意味が筧には手に取るようで、彼もまた苦悩を堪えるように押し黙って目を伏せた。<br><br><br><br>《Phase02・END》<br><br></p><br><p>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊</p><br><p>【後記】</p><br><p>短かったですが、Phase02終了です。</p><br><p>赤羽のACのカラーリングは先に出てきたピックと同じもので、アニメのスパイダーズのユニフォームカラーです。</p><p>筧のが中量なのはラインマンのイメージからなんですが、流石に重量ACとかにはしたくなかったので中量に。</p><p>見た目大事なので（笑)</p><p>赤羽のが軽量なのは彼自身のスレンダーなイメージからです。</p><p>機能性完全無視ですね←</p><br><p>筧と赤羽のACがとんでもないパーツで構成されていて、なおかつそれが“特別な因子”の干渉が必要だというのは、筧の場合は前回出てきた『絶対血種』の力のことで、その力そのものを糧にして彼のACは動いているということです。</p><p>なので厳密にはAC自体のエネルギーは必要ないし、使用することもないのです。</p><br><p>しかし今の赤羽は記憶がないので“特別な因子”を引き出すことができず、そのためこのパーツでのアセンブリでは彼に動かすことができない、と筧は暗に言っているわけです。</p><p>なので赤羽は完全に記憶を取り戻すまで、他のレイヴン同様AC自体のエネルギーに依存することになります。</p><p>つまり、筧と違って“エネルギー切れ”を起こす可能性がある、というわけですが…それはまたの機会に。</p><br><p>今回のキーワードは『本来であれば当然であることが起こらない』ことです。</p><p>本来人間が記憶を失っていると認識したら、当の本人はその失われた記憶を多少なりとも取り戻したいと思い、その努力をするでしょう。</p><p>しかし赤羽にはその兆候が全くと言っていいほど見られない、というのが重要な部分です。</p><br><p>その理由も、後に明かされることでしょう。</p>
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<link>https://ameblo.jp/yenxi/entry-10557719989.html</link>
<pubDate>Tue, 08 Jun 2010 21:27:58 +0900</pubDate>
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<title>Destroy false “EDEN”～Phase02-2～</title>
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<![CDATA[ <p>《Phase02-2》<br><br>それからどれ程時間が過ぎたか…不意にハンガーの硬い床を緩やかな間隔で規則的に鳴らす靴音が響き渡る。<br>その優雅とも思える硬質の音の連続を耳にした筧は、それまで黙して待たんと閉じていた双眸をゆっくりと開いた。<br><br>「……来た」<br><br>「マジで！？」<br><br>独りごちるかのような筧の囁くような呟きに殆ど脊髄反射で立ち上がり、コータローは音のする方を弾かれるような動作で振り返る。<br>二人の視界の先には、確かにこちらへ向かってゆっくりと歩いてくる痩躯にして洗練された姿。<br>遠目にも鮮やかな、真紅をした少年―――赤羽隼人その人である。<br><br>「赤羽ーーーっ！！」<br><br>「！？」<br><br>突然反響凄まじく辺りに響く大音量の声に名を呼ばれ、赤羽の表情に僅かではあったが狼狽が浮かんだ。<br>自分の名を示されたとは言え、さっきの今ではまだそれを自らの物として完全に認識できてはいなかった、つまり名を呼ばれて驚いたというよりは、純粋に自分に向けられた声の大きさに戸惑っているというのが正しいのだろう。<br>加えて記憶のない赤羽にとってはコータローも今は“同年代の見知らぬ男”であり……事もあろうかその男が満面の笑みでこちらへ全力疾走して来るのを目の当たりにしてはその動揺も当然だろう。<br><br>「な……っ……」<br><br>どうにか何者かを当人に問おうと赤羽がようやく上げかけた声は、しかしそのまま飛び込むようにしてがっしりと抱き締めるというコータローの思い切った行動によって敢無く掻き消えた。<br><br>「ったく何処行ってたんだよ!テメェめっちゃくちゃ心配したんだぞ！ああ、俺が誰かって？そりゃ言わずと知れた、お前のスマートでクールなダーリン佐々木コータローだっての！」<br><br>一方的に畳み掛けるような勢いで、しかも何の臆面もなく戯言を言ってのけるコータローに、筧は言葉もないといった様子で盛大な溜め息をつく。<br><br>「ちょっ……離れてくれ、佐々木…っ…笑えない冗談はよさないか……」<br><br>いきなり現れてしかも恋人だと言われては、赤羽の反応は非常に正しいものと言えよう。<br>しかしコータローには全く意に介している様子はない。<br><br>「何だよ、そんな他人行儀な呼び方すんなよ～!コータローっていつも言ってたろ～」<br><br>その様子は、まるでじゃれ付く大型犬だ。<br>しっかりと正面から抱き締めたまま、コータローはそれこそ久しかった相手との再会を待ち焦がれていたかのように全身で赤羽に擦り寄っている。<br>最初は今回くらいはと大目に見ていた筧だったが、一向に離れようとしないコータローを流石にいい加減引き剥がそうと立ち上がる。<br>と、そこへ狙い済ましたかのように、ハッチが開いたままのコクピットから着信を告げる音が筧の耳に届いた。<br><br>（……なんだこのタイミング…）<br><br>胸中に思わず毒づくもそちらを後回しにするわけにもいかず、取り敢えず向こうの喧騒は極力気にかけぬよう善処しつつ携帯を取り出し通信をこちらへ転送させる。<br>確認せずとも相手は容易に察しがつく、着信を報せる音が通常回線の物とは微妙に違っていたのがその理由だ。<br>今その特務回線を用いて自分にコンタクトを取ってくる人間はひとりしかいなかった。<br><br>「こちら筧、随分時間掛かったな」<br><br>[これでも結構急がせたみたいだがな。ただ手を回すのが少々遅かったみてぇだが]<br><br>スピーカーの向こうから聞こえてきた男の声は、しかし雲水の物ではなかった。<br>しかし聞き覚えのある声に、筧は思わず声を上げる。<br><br>「武蔵…！？な、何でアンタが……」<br><br>[話は聞いてる。雲水は今取り込み中でな、すまんがこっちの収拾がつくまでは手が離せん]<br><br>そこで初めて武蔵の声以外に意識を向ければ、受話器の向こうが何やら慌ただしく、その喧騒の中に雲水の声が混ざっているのが聞こえた。<br>はっきりとは聞き取れなかったが、何やらひっきりなしに指示を飛ばしているようにも思える。<br><br>「……もしかしなくても、隼人のことか？」<br><br>[まあな。正確にはあの赤羽ってのは何も悪かないんだが……マルコの奴には何て言ってあった？]<br><br>「できるだけ公にはするなとは言ったが、絶対に口外するなとまでは……悪ィ、完全に俺の落ち度だ]<br><br>やはりコータローが耳にしたように、自発的ではないにしろマルコが他者に赤羽の事を問われ答えたことは確かなようだった。<br>しかしどうやらそのことが直接の原因ではないらしい。<br><br>[いや、マルコがどうこうってより、どちらかと言ったらこっち側でもっと隠密にやれりゃあ良かったんだが]<br><br>「……どういう意味だ？」<br><br>責を問われるかと思いきや、意外な切り返しをしてきた武蔵の言葉に筧は訝しげに眉を寄せる。<br><br>[事の重要性は把握していたが、存在自体があんなにヤバい奴だとまでは思ってなかったんでな。だから雲水も枢密機動隊は出さずに直接そのままこっちに来させたんだろうが]<br><br>武蔵の声を遮り、今度はマシンガンのような乱射される発砲音と誰かが声高に何かを叫んでいるのが聞こえた。<br>その銃声の主に筧はひどく心当たりがあり、相変わらずだなと呆れたような溜め息をつく。<br>それには武蔵も慣れた様子で、構わず言葉を続けてきた。<br><br>[筧、何であの赤羽という男が“アトラク・ナクア”だと最初に言わなかったんだ？それがわかってたら枢機隊使って誰の目にも触れさせずに来れただろうに]<br><br>武蔵の口にした名は、レイヴンに知らぬ者なしと謳われ『毒蜘蛛』と呼ばれたフリーランスのレイヴンのものだった。<br>筧に匹敵すると腕を持つと言われ、その名と存在は他のレイヴン達に浸透しているが、搭乗者自身がその姿を人目に晒すことは殆どないに等しく、様々な噂や憶測によって形成されたレイヴン……それがアトラク・ナクアである。<br><br>「そっちの名前は俺には馴染みねえんだって、隼人はあくまで隼人で……まあ、実際あの人がそっちの名前で動いてたのを忘れてたのは確かだけどよ……」<br><br>[こっちは誰も毒蜘蛛の本当の名を知らなかったからな、仕方ない。ただ施設の中を歩いてるとこを何人かに見られたのがマズかったな、“あんなもの”を見せられたら色めきだつのも無理はない]<br><br>赤羽の容姿は宿した鮮烈な真紅もさることながら、その佇まいは男性でありながら妖しくも艶やかであり目にした者を魅了し騒然とさせた。<br>そのことで彼の姿を追って群がった他のレイヴンや局員達で諜報部周辺が混乱状態になっているという。<br>それらを強制的かつ穏便に排除するために、雲水は早急に幾つもの作戦を作り上げ緊急出動を掛けている真っ最中だということだ。<br>赤羽は今度こそ枢機隊の手によってこのハンガーまで人目を避けて戻って来たが周りはそのことを当然知らない、既に居ないと告げて下手に捜し回られるよりは理由を作ってそこへ足を向けさせたほうがより安全だと践んだのだろう。<br>先程から聞こえている怒号にも似た彼の声の理由はこれらしい。<br><br>「悪かったって……」<br><br>[そんな叱られたガキみてえな声出すな、お前らしくない。それで、これからどうするつもりなんだ？]<br><br>珍しく意気消沈している筧の声に、辺りの緊張感や筧の心情を思えば不謹慎かとも思ったが、武蔵は思わず堪えたような笑みを洩らす。<br><br>「笑うなよな……ACの事に関しては佐々木コータローに話をつけた。他の事は雲水にも伝えてたが俺が全責任を持つ」<br><br>[“ハイパーコレクトネス”に乗ってるレイヴンか、確かにあいつならなら適役かもしれんな。だが生活するのにお前と一緒なのは拒むんじゃないのか？例の“拒絶”とやらがあるなら]<br><br>「その“拒絶”を逆手に取る。原因究明には一緒にいる方が都合がいいとでも言っておくさ」<br><br>その会話の最中（さなか）にも、背を向けている向こう側からコータローと赤羽の遣り取りしている声が絶えず聞こえている。<br>きっと武蔵にも全部聞こえているだろう。<br><br>[だいたいわかった。安心しろ、悪いようにはしねえし蛭魔も毒蜘蛛の戦力は欲しがってるみたいだしな]<br><br>「アンタ達には感謝してる。蛭魔と雲水によろしく…と、雲水にも謝ってたって言っておいてくれ」<br><br>[ああ、じゃあな]<br><br>通話が切れたのを確認して携帯をポケットに押し込みながら、筧は大股に二人の元へ歩み寄る。<br><br>「アンタなぁ…隼人の記憶ねぇのをいいことにやりたい放題してんじゃねぇよ」<br><br>その長身で赤羽からコータローを、まるで悪さをした犬を掴み上げるように背後から首根っこを引いて引き剥がす。<br>と、半ば無理矢理だったためか、赤羽も共にバランスを崩しかけてよろめいた。<br><br>（危ねぇ…っ…！）<br><br>咄嗟にコータローを掴んでいた手を離し、筧は赤羽へと腕を伸ばす。<br>その華奢な身体が腕に収まろうかという、その瞬間。<br><br>「……ッ！！」<br><br>赤羽の瞳に戦慄が走り、筧は物凄い力で突き飛ばされて後方に吹っ飛ばされた。<br>普段であれば堪える事も避ける事も筧にとっては至極容易なことではあったが、赤羽の事となるとやはりどうしても判断に隙ができてしまう。<br><br>「い…ッ…てぇ……」<br><br>「あ……す、済まない……大丈夫、かい……？」<br><br>背をしこたま床に打ちつけ、筧は痛みを堪えるように呻く。<br>即座に我に帰った赤羽は明らかな戸惑いを見せているようだった。<br>やはり彼自身が筧を嫌悪しているわけではないようだ。<br><br>「今のが例の“拒絶”ってやつか、何かアレルギー反応みてーじゃねぇ？」<br><br>「…アンタもそう思うか、俺も同感だ」<br><br>未だ起き上がらずにいる筧の傍にしゃがみこんで、コータローは今目にした光景を脳裏に幾度も再現して思ったままを口にする。<br>それは筧も感じていた事で、コータローの言葉で予想は確信に変わった。<br>このところの《管理者》の動向は、まるで完璧なプログラムがウイルスに侵されていくかのように常軌を逸し始めている。<br>それを《管理者》の暴走と囁く者も少なくないが、そのことから《管理者》がいかなる手段を用いようとも最早決して不思議ではない状況にあった。<br><br>「でもお前よ…いくら赤羽だからって《管理者》の端末にされてっかもしれねぇのをここに連れてきていいのかよ？はっきり言ってあまりスマートじゃねーぜ？」<br><br>一層声を顰めて、コータローが咎めるように囁く。<br><br>「その為に俺がついてんだろ。好都合なのは自分に課せられた目的もきれいさっぱり忘れてくれてることだ、ただし潜在的には命令が生きてる可能性は否定できねぇが」<br><br>ようやく身体を起こせば、心配いらないと筧は赤羽に向けて軽く手を上げて見せる。<br><br>「佐々木、隼人のこと乗っけて行ってくれ、ウチに移動する」<br><br>「了解。行こうぜ赤羽、俺のACあっちだからよ」<br><br>立ち上がり様に声を掛け、コータローは赤羽を伴って筧の元を離れる。<br>筧との距離が充分に離れたところで、不意に赤羽が口を開いた。<br><br>「…佐々…、…コータロー」<br><br>「ん？なんだよ？」<br><br>「君は…彼と親しいのかい？」<br><br>突然の問いにコータローは大きな瞳を更に大きく瞬かせる。<br><br>「なんだよいきなりだな。あー…親しいっつーか……」<br><br>赤羽に記憶がないことを改めて認識させられ、コータローは適した返答を模索し始める。<br><br>「まあアイツは俺の恋敵…ってのは置いといて。まあ腐れ縁みてーなもんかな」<br><br>「じゃあ……何者なんだ、彼は」<br><br>短い、だが鋭い一言。<br>理由のわからぬ嫌悪の、そのワケを求めるように。<br><br>「何者って……」<br><br>「彼との距離が一定以下になった途端、耐え難い不快感が襲い掛かってくるんだ…まるで僕の身体が彼の存在を拒むように…彼は一体何なんだい…？」<br><br>「……そうだなぁ」<br><br>足を止めて。<br>僅かな思案は赤羽の記憶を刺激し得るか否か。<br>しかしこれは筧のことであり赤羽自身のことではないと判断すれば、コータローは慎重に話し始めた。<br><br>「俺の知ってることなんざたかが知れてんだけどよ…アイツ普通の人間とちょっと…いや、ちょっとじゃねーか。かなり違うんだよ、その…アイツは…何ていったっけな、何か特殊な…体質？あれ、違ったか？前にアイツに聞いたのによー…まあそんなやつなんだとよ」<br><br>コータロー曰く、その“体質”故に筧のACの腕前は非の打ち所がないほどに“スマート”なのだと。<br>言葉はあたかも鼻持ちならないというような内容だったが、それとは裏腹に語るコータローの表情は親友を誇るかのようなニュアンスすら感じ取れる。<br>それでいて時折その端々に敵わぬ事へのジレンマが滲んでいるようにも。<br><br>「コータロー…強いんだな、君は」<br><br>「まあなっ、最高にスマートだろ？」<br><br>おおよそ本来の赤羽から向けられることなどないであろう真っ直ぐな賛辞の言葉に、コータローは熱くなる想いを隠すように屈託なく笑って見せた。<br>その刹那、コータローの記憶に先程まで思い出せなかった“筧の体質”の名が蘇る、が……敢えてそれは口には出さなかった。<br>それはまだ、歩き出したばかりの赤羽が知るべき事ではないと、彼の本能が制していた。<br><br><br>『Absolute Blood（絶対血種）』<br><br><br>筧という存在を示すその単語は<br>そうして再びコータローの記憶の奥に沈められていった。<br><br><br>《続》</p><br><p>＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊</p><br><p>【後記】</p><br><p>赤羽の名前は筧とコータローしか知らず、他の人間は全て彼をアトラク＝ナクアとして知っています。</p><p>なので雲水が赤羽の名を聞いてもアトラク＝ナクアには結びつかなかったのです。</p><br><p>今回初めて出てきた「絶対血種」という単語ですが、これが今後キーワードのひとつになっていきます。</p><p>筧はとある血筋の最後の一人であり、その血筋は気の遠くなるほど遥かな昔から脈々と継がれてきたものです。</p><p>これに関しては最後に真ネタバレとして公開します（笑）</p><br><p>赤羽はこの血筋が持つ『力』に対して拒絶反応を示していると筧はほぼ確信していますね。</p><br><p>念の為、ACには絶対血種なんてものはいません（笑）</p><p>しつこいようですが、当方仕様です。<br></p><p>あとムサシの口調に随分手こずりました…結構難しいんですよムサシー…</p><br><p>今回出てきたものの中にもうひとつ、当方仕様のものがありまして、ムサシの口から出た「枢密機動隊」です。</p><p>これも実際のACにはありません。</p><p>これはいわゆる隠密部隊であり、雲水の直属部隊でもあります。</p><p>簡単に言えば忍者みたいなものですわ（笑）</p><p>隠密行動のプロフェッショナルで構成されているので、諜報活動などで通常では困難な場合などに出撃要請が出されます。</p><br><p>おまけ。</p><p>赤羽が筧を思いっきり突き飛ばしたシーンがありますが、あれは原作の「スパイダーポイズン」を再現したものです。</p><p>が…こっちの赤羽は実際にももの凄いパワフルでもあるんですけどね（笑）<br><br></p>
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<link>https://ameblo.jp/yenxi/entry-10552348045.html</link>
<pubDate>Thu, 03 Jun 2010 00:17:50 +0900</pubDate>
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