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<title>yukoのブログ</title>
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<title>母に</title>
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<![CDATA[ 母の母が死んだ。<br>浮腫んで膨らみ、薬で浮腫みがとれて萎んだりと、<br>見るたびに大きくなり小さくなりを繰り返していた祖母は、<br>結局六寸の骨壺で余る程の骨だけになって戻って来た。<br><br>誰ともなく、お疲れ様と言い合って、母の実家を出た頃には、<br>もう辺りは暗く月がくっきりと見えていた。<br>明日、母と父だけを残して東京に戻ることに、後ろめたさを感じていた。<br>その他の捉えどころのないかさかさとした思いは、寂しさとも悲しさとも、安堵ともつかぬ、これから先も言い表すことのできないものだったのだと思う。<br><br>翌朝、浅草に向かう急行りょうもう号は、<br>相老を六時四分に出発した。<br>出発前にてきぱきと用意された簡単なお弁当は、<br>小ぶりな割にはずっしり詰まったおにぎり３つに、<br>祖母の畑を引き継いだ叔父が今年実らせた<br>ずいぶん大きなミニトマト３個、<br>昨日、朝の魚にと買った塩鯖の半身を焼いたものが詰められていた。<br>出来立てを時間まで何とか冷やしたため、<br>まだほのかにあたたかく、脂ののった鯖の身も<br>柔らかくほどけていく。<br><br>こうしてどんな状況の時でも、在り合わせのものだけの中で、<br>きちんとした食事を用意できる母のすごさを改めて感じるとともに、<br>34歳にもなって身をかためることもできずに、<br>正社員として定職につくこともなく、<br>還暦を過ぎた親に甘えて生きていることに<br>申し訳ない気持ちでいっぱいになる。<br><br>おそらくこんな風に私が甘えていられる時間もあと少しだろう。<br>いずれ弟が結婚し、子供が生まれたら、<br>甘えてよいのは孫たちだからと、ふと寂しさを覚える。<br>依存しているのは私のほうなのだろう。<br><br>私が孫の顔を見せてあげることはできないだろうから、<br>私が親にしてあげられることはその分、<br>程よく心配をかけて程よく甘えていることだろうか。<br><br>いや、自慢したくなるような生き方をして<br>親に楽をさせる、<br>当たり前の親孝行ができていたら、と思う。<br><br>無宗教で、お経もいらないといって簡単なお別れを済ませただけであったが、<br>結局祖母の遺骨は49日を待って田舎の墓地に埋葬した。<br>寺にも自治体にも管理されていない畑と山の境に作られた墓には、<br>親戚の叔父が墓石をどけて、骨壺から遺骨をまけただけだった。<br><br>自宅に戻ると、私と母は台所でお茶を飲みながら、<br>親戚や兄弟の近況などの話と祖母の話を<br>いったり来たりしながら話し続けた。<br>「おばあちゃんがいないことを忘れるんだよ、一緒に住んでいなかったからかも知れないけど。」<br>そういって母は、笑ったような寂しいような顔をした。<br><br>母がその母に寄せた思いは、いつか私の中にも現れて居座るのだろうか。
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<link>https://ameblo.jp/ykori/entry-12232231837.html</link>
<pubDate>Mon, 26 Dec 2016 19:47:33 +0900</pubDate>
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<title>百日紅の夢</title>
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<![CDATA[ 大きく開き、腐りかけた外側の葉に包まれたキャベツが、畑の畝に何個か残っていた。<br>隣の畝には黄色くなった大根の葉が威勢良く伸びきっている。<br>食べきれずに朽ちていく作物の一部と、これから選り分けて収穫されていくであろうもの達が、<br>風もなく無表情に降る雨に濡れていた。<br>さほど大きくない畑の横には、錆びたトタンで造られた小屋が修繕されることもなく少し傾いて建っている。<br>その奥には、物干し台と少しの樹木が植えられた庭を小屋との間に挟んで二階建の家が建っている。<br>外壁は少し燻んで少しヒビ割れが走り、所々雨跡が残っているが、窓枠は新しく、玄関の扉も新しく取り替えられていた。<br><br>時々、小さい頃に何の遠慮もなく通った私道に入り込みそうになり引き返すことになるが、<br>小さい頃気づかなかった畑や新しく建った家を通りすぎてゆっくりと歩く。<br><br>しばらく歩くと、線路沿いの道に出る。錆びたガードレールに沿って、<br>施工不良ではないかと思われるほどに、道路工事が繰り返されでこぼこしたアスファルトの道を黙々と歩く。<br>子供の頃の通学路の一つであった線路沿いの道は今も変わらず道であり、縦横無尽に絡み合う車道も小道も、<br>数十年前と変わらず道のままであった。<br><br>都会の喧騒とのどかな田舎の境であるこの町は、それなりに人口があり、それなりに財政が苦しく、それなりに子供と若者が残っている。<br>土地は緩やかに閉ざされていながら、本当は何も縛られているわけではない。<br>寂れているとまではいかず、外からの助けがなかれば立ち行かないわけでもない。<br>昔のままの道は、長い年月のうちに劣化し、今ではそこら中に<br>アスファルトの小さな陥没があり、横断歩道の白線は消えかけていた。<br><br>ここのところ頻繁に帰省していたせいか、郷愁にとらわれることもなく、ただ遠いところからぼんやりと町の様子を眺めていた。<br>ずっと中途半端な何もない町と思っていた。おそらく今もそう思っている。<br>幼馴染が住んでいた近くの工業団地も、そこら中に点在し放題の公共施設も、<br>朽ち果てたボロ家も若い家族が住んでいる新しい家も何もかも。<br>何もないのではないのかもしれない。ただ坦坦と人々の営みが繰り返されて、<br>世代が交代し、古いもの、朽ちていくものを残しながら、<br>僅かながらの新しいものを少しずつ取り込みながら、それでも<br>全てが緩やかにじわじわと老いていく様に収束していく気がした。<br><br>実家の隣は父方の祖母の家で、そこには私が小さい頃に住んで居た時の家族の荷物がまだ残っていた。<br>母の実家からの品もあったが、数年前に祖母がそれらを、今は車庫になっている工場に出してしまったという。<br>返す言葉に困り、私はふらふらと散歩に出かけた。こういう時にどう行動したらよいか分からない父と私は良く似ている。<br><br>小さい頃からの癖で、つい足元を見ながら歩いてしまうが、足元に落ちてくる花びらにふと顔をあげると、<br>今月に入り何度目かの春の嵐と温かな日を迎え、通り沿いの梅の花はすっかり散りかけていた。<br><br>昨晩、夜の雨に濡れて一層散っていく庭の梅の木を見ながら、母が言った。<br>庭の杉の木を切ったら、椿が良く見えるでしょ。<br>子供の頃には頭を上げて歩けないくらい生い茂っていた木々がほとんど切られ、<br>花壇や低い木々が残るだけになって、庭の地べたに光が差す様になった。<br>母はそこに今度百日紅の木を植えるという。<br><br>母の実家にあった小さな百日紅の木を思い出した。<br>幼い頃、母方の祖母の家に預けられていた私は、５歳上の従兄弟の後を追って<br>何度も落ちかけながら、玄関横で濃いピンクの花をつけた百日紅の細い枝に掴まっていた。
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<link>https://ameblo.jp/ykori/entry-12137028304.html</link>
<pubDate>Tue, 08 Mar 2016 16:02:39 +0900</pubDate>
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<title>父の記憶</title>
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<![CDATA[ 父は決して自己中心的な人ではない、<br>ただ皆が自分と同じ様に感じ、同じ様に考えるものだと思っている。<br>同じ様に考えない、自分と異なる考え方をする人なのであれば、<br>それは良識的、一般的な人ではなく、社会の一部になりきれない人と考えている。<br>それは社会の中心となり世の中を回しているのは、<br>自分と同じ考え方をする人たち（常識のある人たち）ということであり、<br>それが反抗期を数十年前に終えた私にも未だに理解できない父の一部。<br><br>父は還暦を迎え、長く勤めた地方公務員の仕事を定年退職し、一日中家に居る。<br>今は家を出た弟の部屋にパソコンを持ち込み、食事と少しの用事を除いてずっと自分の世界に生きている。<br>ほぼ引きこもりの生活を送っている父に、母は半分冗談に半分本気でうんざりした顔を送っている。<br><br>父は昔から着るものに頓着しない。母が買ってきたものの中から、<br>彼なりのお気に入りを見つけると、そればかりを着続ける。<br>母にいい加減にしてくれと言われるまで着続ける。<br>いつもちぐはぐな上下を選び、いつも母に取り合わせの悪さをなじられる。<br><br>本日の父は幾何学模様のセーターを着ている。<br>大きな十字の黒い線が左胸の辺りで交差し、交差部分が菱形になっているもので、<br>ずいぶん昔に買ったものなのに、退職して家で過ごす様になるまで、全く袖を通さずにきていた。<br>標的になるから、それが父なりの理由だった。彼をどんな暗殺者が狙うというのだろう。<br><br>父は、子供時代に給食で出た肉の脂身の記憶がトラウマとなり、未だに肉の脂身が食べられない。<br>そのくせトンカツはロースを注文し、肉の脂身を苦労しながら切り離して残す。<br>食べ終えた皿に汚く残る脂身を気にして、パセリなどで隠そうとする。<br><br>昔、朝食で出たあじの開きを前に、無意識でモールス信号を送っていたりする。<br>最近は近くにできた自家焙煎のコーヒーを甚く気に入り、それ以外のコーヒーを飲まなくなる。<br><br>父はバイキング、ビュッフェというものが嫌いだ。<br>彼はコンチネンタルスタイルとなったらホテルの朝食を一人で食べることができない。<br>父は目の前に自分の膳が出てこないと食べることができない。<br>自ら皆が取り分けている大皿から惣菜を取ることができない。<br><br>父は、目の前で切り分けられる肉の皿だけを手に持ち、<br>テーブルに戻ってくるが、いらない肉まで皿に盛られていることに愚痴をこぼす。<br>母はいらない肉を伝え、オーダー通りに肉を盛られることができるのに、<br>なぜか父は断られ、イライラすることになる。<br>料理の前に並ぶ人々は、自分と同じく皆どうしていいか分からずに戸惑っていると父は思っている。<br>どれも美味しそうでどれを取るか悩んでいる人が居るとは考えない。
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<link>https://ameblo.jp/ykori/entry-12136972317.html</link>
<pubDate>Tue, 08 Mar 2016 14:12:20 +0900</pubDate>
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<title>夢の外</title>
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<![CDATA[ <span style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">祖母は赤城駅から数百メートル程の所にある病院の個室に居て、同時に近くにあるというお寺に居た。</span><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;"><span style="background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">そのお寺は新里町山上にある山の上のお寺だったから近くにあるはずではないのだけれど、祖母はまるで近所のお寺のように話す。</span></div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;"><span style="background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">お寺には、私が嘗て通った付属幼稚園があり、檀家にもなっていたが、なぜそのお寺が今出てくるのか分からなかった。</span></div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;"><span style="background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;"><div>祖母は「お寺から<span style="background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">病院に早く行かないと行けない」といい、腹部に圧力がかかるから起き上がってはいけないのに</span>隙あらば起きようとした。</div><div><span style="background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「ならばここは何処」と母に尋ねられると、祖母は「病院」と答え、「なら行かなくていいよね」といわれると「わかった」といって、母と反対側の足をベットから降ろし立ち上がろうとした。</span></div><div><div><br></div><div>祖母は終始喋りながら空間を移動し続け、母は泣いているような顔で明るい声で答え続け、時たま泣き笑いのような顔で笑った。</div><div><br></div><div><br></div><div>駅から病院までの道のりは思ったより早くて、</div><div>心の準備をするには足りなかった。</div><div>病院の入り口を入ってまず自動販売機で水を買う。</div><div>胃のあたりが重く吐き気がしてくる。</div><div>いつものおばあちゃん家に行った時のように振る舞うのだ、そうイメージして何とか階段を上り病室までたどり着く。</div><div>個室の扉をノックしようとして、一瞬、先日の母を思い出し、躊躇する。</div><div>「もしできたらおばあちゃんに会わせてください」と科白を用意してから、</div><div>意を決してノックする。</div><div>少しして母が顔を出してきた。母は一瞬険しい顔をして、<span style="background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">病室の外に出た。</span></div><div>すぐに泣いたような諦めたような何もかも押し込めたような表情になった母は、「今混乱してるから、分からなくなってるから」といって私を部屋の中に招いてくれた。</div><div>一瞬の険しい表情は、きっと私への怒り、それが一瞬で消えたのは、そんなことより自分の母親のことでいっぱいだったからだろう。</div><div>母の泣いたような顔を見た途端、私は病室に入れなくなった。祖母の姿を見るのが怖かった。そのまま祖母の前で泣き崩れてしまうのではないかと怖かった。</div><div>母にちょっと待ってと手で伝え、目を見開いて上を向いて何度も瞬きした。</div><div>何度も深呼吸してから病室に入ると、母は泣いたような顔のまま、半オクターブ高い声で話し続けていた。</div><div><br></div><div>弟は普段からあまり話さない。普段あまり話さない父が少し多く喋り、私も少し多く喋り、母はいつもより明るい声で喋る。</div><div>普段と違う祖母の前で、弟だけがいつもの通りに、を実践できている気がした。</div><div>私は祖母の一番ではないと、ずっと思っていた。何にでも興味深々で動き回る子供ではなく、一人遊びに慣れていた私は、弟よりも面白みのない子供だったろう。油絵や、うどん打ち、鍋で作るケーキ作りなど、祖母と弟はよく2人で色々なものを生み出していた。私は2人に混じってモノづくりに参加することもあったが、<span style="background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">よく一人でいたような気がする。遠い記憶だから忘れているだけで、単に私が飽きっぽい性格だったからかもしれない。</span></div><div>母は姑と仲の悪かったが、私はその父方の祖母とよく一緒に居たから、何となく父方の人間という意識があった。そんなこともあって、心のどこかで母方の祖母には本当は嫌われているのではないかと思っていた。だから、意識のはっきりしない祖母の中にはたして私が居るのか、それを知るのが一番怖かった。</div><div>部屋に入って私の名前を呼ぶ祖母に泣きそうになり、手を握って「なかなか来れなくて本当にごめんね」と言うのが精一杯だった。母より大柄な印象だった祖母が本当に小さく小さくなっていた。弟も後からすぐに来ると伝えると、祖母は嬉しそうに笑った。「皆新里に寄って行きなね、帰って来たらいいよ、群馬に帰ったらいいよ。」血圧が上がってしまって息遣いが荒くなっている中で、声だけは穏やかに何度もそういう祖母に、私も声だけは明るく答えるしかできなかった。</div><div><span style="background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div><span style="background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">お腹の中はいつ死んでもおかしくない状態なのだというが、祖母は絶えず動こうとして、喋り続けていた。</span></div><div>ちょろちょろと消えそうに揺れるロウソクの炎ではなく、祖母はまるで花火のようだった。</div><div>元気な時は太陽のような熱の塊で絶えず周りにエネルギーを与え、燃え続けていた祖母。今は花火くらいになってしまったのかもしれないけれど、私なんかより余程たくさんの熱量を放ち続けていた。</div></div></div>
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<link>https://ameblo.jp/ykori/entry-12067605669.html</link>
<pubDate>Sun, 30 Aug 2015 22:01:46 +0900</pubDate>
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<title>アマガエルの夢</title>
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<![CDATA[ <div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">突き当たりに高校のグラウンドが見える長い砂利道は、突き当たりで二手に分かれ、グラウンドを囲むように道が続いていく。</div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">グラウンドは一段高い所にあるため、突き当たりはベース型のブロックが積まれてまるで城壁の様だった。</div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">二手に分かれた道の手前には、盛土の後しばらく放置されたような、造成された土地があった。</div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">幼い頃のわたしはいつかこの小高い丘を一気に駆け上ることを夢見て日々助走をつけて立ち向かっていた。</div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;"><br></div><div style="text-decoration: -webkit-letterpress;"><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">砂利道の両サイドは、蓬やホトケノザが群生した土手になっており、徐々に坂道に変わっていた。</span><br></div><div style="text-decoration: -webkit-letterpress;"><span style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392);">左側は田畑で小型のトラクターが土を耕していた。その向こうには道路がはしっており、時折車が通り過ぎていくのが見える。</span></div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">右側は祖母の家の塀と砂利道の間に用水路があり、水際まで1メートル程の傾斜の急な土手が、田畑の途切れるところまで続いていた。</div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">砂利道から塀沿いの用水路を渡って裏木戸をくぐると祖母の家に小道が続く。</div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;"><span style="background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">ただ、用水路から裏木戸までの橋は幅1メートルもない心許無いものだった。用水路の中に土管が沈められて、その直径の3分の２くらいが水面から顔を出しており、その上に土が盛られて土手の続きの様になっていた。</span></div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;"><br></div><span style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">幼いわたしは、先ほどから土手の上でじっと身構えている。</span><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">雑草が揺れるのを見つけると、素早くその揺れた草ごと両手の中に閉じ込める。<div>葉に付いた水滴以外に、吸い付く様な湿っぽい小さな生き物の感触がある。</div><div>親指と親指の隙間から覗くと体長２センチもないくらいのアマガエルが手の中に収まっているのが分かる。</div><div><br></div><div>立ち上がって裏木戸のほうを見ると、背中に弟をおぶった母がジャムの空き瓶を持って歩いてくる。</div></div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">わたしは駆け寄ってジャムの瓶を受け取ると、雑草ごとアマガエルを瓶の中に入れる。</div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">瓶の側面を小さな生き物がペタペタと動くのをひとしきり眺める。瓶のガラス越しにすやすやと眠る弟とゆっくり揺れながら遠ざかる母の後ろ姿が見える。</div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;"><br></div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">二人が坂道にさしかかるのを見て、わたしは二人の後を追って走り出す。</div><div style="color: rgba(0, 0, 0, 0.701961); font-family: UICTFontTextStyleBody; font-size: 17px; -webkit-composition-fill-color: rgba(130, 98, 83, 0.0980392); text-decoration: -webkit-letterpress;">左手に瓶を抱えてじゃみじゃみと小さな石ころを踏みしめて、たまにひっそりと生えたタンポポを避けながら。見失うはずのない後ろ姿を、それでも不意に消えてしまう様な気がして右手を伸ばす。</div>
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<pubDate>Fri, 08 May 2015 01:58:26 +0900</pubDate>
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<title>手を繋ぐ夢</title>
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<![CDATA[ 歩いて、笑って、廻って、走って<div>起きて、食べて、踊って、泣いて、</div><div>顔を洗って、眠って。</div><div><br></div><div>洗濯して、掃除をして、おめかしをして</div><div>服を選んで、帽子をとって、靴下を探して</div><div>くしゃみをして、震えて、</div><div>上を向いて、斜面を駆け上がり、</div><div>空を仰いで、深海に潜る。</div><div><br></div><div>歩きはじめた頃の記憶が、思いが、白い砂になって掌から絶えず零れおちる。</div><div>握りしめても、手袋をしても、止まらない。</div><div>とめどなく流れ出て、風に吹かれて空気の中に消えていくものだから、</div><div>とても寒いのだけど、あかぎれの掌が痛むのだけど、わたしは必至に手を繋ぐ。</div>
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<link>https://ameblo.jp/ykori/entry-11988724343.html</link>
<pubDate>Wed, 11 Feb 2015 23:38:25 +0900</pubDate>
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<title>渡り廊下の夢</title>
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<![CDATA[ ガラス張りの天井を通して、冬晴れの空から太陽の光が渡り廊下いっぱいに降り注ぐ。<div>まるで空中を歩いているような感じがした。<div><div>両側の窓から外を見ると、一方の窓では住宅と低いビルの向こうに小さく富士山が見える。</div><div>もう片方の窓からは、着ぶくれした人々が白い息を吐きながら、<span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">病院の正面玄関を絶えず出入りしている。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">私は病院のパジャマ姿で点滴を引きずりながら、遠くで因数分解の公式を思い出す。そして</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">まるでデジャヴのような錯覚を覚える。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">コンクリートの上に貼られたくすんだ橙色のビニル系の床材の上を走る。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">体育館用の紐履はそこがゴムになっていて、踏みしめるたびにキュッキュッと音がする。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">教室の暖房が効き過ぎて前の数学の授業は、いつもにましてぼんやりしてしまっていた。</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">本当は渡り廊下では上履きを履かなければならないが、</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">次の体育の授業までにどうしても自動販売機でジュースが買いたかった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">がちゃんと落ちるジュースの缶を取り、顔を上げると、両側の窓から見える</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">空には雲一つなく、ずうっと上の方まで透き通るようだった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">外は木枯らしが吹いていたが、窓から差し込む日差しのおかげで渡り廊下は少し暖かかった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">ふと我にかえり、早くパーカーと紺のスカートから体操着に着替えなくてはと思いながら教室に急ぐ。</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">頭の奥でまだ因数分解の世界が繰り広げられるなか、なぜか</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">渡り廊下の端で走り回る子供の残像を見た気がした。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">途轍もなく懐かしい思いが溢れ、振り返ったが、すでに明るい廊下は静まりかえっていた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">給食の一時間くらい前にならないと、そのシャッターは開かなかった。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">いつもその頃になると、コンテナ車が駐車する外口と教室の廊下を繋ぐ渡り廊下には美味しそうな匂いが立ち込めて、前を通るたびにお腹がなる気がした。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">給食当番の誰かが、走り回ったり、廊下に座り込んでおしゃべりにいそしむ同級生たちの横を往復する。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">牛乳パックの詰まったラックを2人一組で歩いて通り過ぎる。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">私は上に上げられたシャッターのところで友達としゃがみこんでいた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">昨日のテレビドラマの話で盛り上がる2人の話をぼんやり聞きながら、コンテナ車が帰って行くのを眺めていた。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">ふと寝転ぶと、一階の日陰でいつも少し寒くてガランとした渡り廊下に、一瞬とても明るい光が満ちた気がした。</span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">とても暖かくてまるで廊下ごと空中に浮いているみたいに感じた。</span></div></div></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto;">光が消えてもなお、私は冷たい床に寝転んで、暖かい光の中に繋がる廊下の先を見つめ続ける。</span></div>
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<link>https://ameblo.jp/ykori/entry-11986621069.html</link>
<pubDate>Thu, 05 Feb 2015 14:19:19 +0900</pubDate>
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<title>老いの夢</title>
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<![CDATA[ まるでお菓子の家のような商店街だった。店々の壁面は色とりどりの飴細工みたいなタイルでできており、<div>道はドロップのようなキラキラとした小石が敷き詰められていた。</div><div>夕焼けに染められた小石の上を急足で走っていく。</div><div>帽子屋の前を通り過ぎ、雑貨屋を過ぎ、蜂蜜屋を過ぎ、鞄屋を過ぎ、パン屋を過ぎ、</div><div>小さなギャラリーの横道に入る。</div><div><br></div><div>おそらく少し前のこと。</div><div>屋台のような、ガード下に犇く飲み屋の集まりのような、雑多な飯屋が薄暗い照明のなかで建ち並ぶ。</div><div>どの店もほろ酔いの客たちが揺れる、まわる、叫ぶ。</div><div>沢山の言葉が入り乱れ、全てが別の国の言葉にきこえる。</div><div>黒と灰色の客たちの横をすり抜けて、走る。</div><div>遠くに見える高層ビルの明かりがまるでイルミネーションのようで、</div><div>吸い寄せられるようにそこに向かって走る。</div><div><br></div><div>おそらくさらに少し前のこと。</div><div>暗い。真っ暗だ。遠くに光の点が見える。</div><div>いや、とても眩しくて、本当は光の中なのかもしれない。</div><div>見える点は光源。その点に向かって手を伸ばす。</div><div>どこまでも届かない光源に向かう。</div><div><br></div><div>おそらくとっても先のこと。</div><div>目を開けるとよく晴れた暖かな空の下。</div><div>白い小さな花びらが舞う大きな木の下で、柔らかな風に揺れる淡い緑の草地で。</div><div>背もたれの大きな椅子にもたれてうつらうつらと夢を見る。</div><div>楽しいことも辛いことも悲しいことも幸せなことも。</div><div>長い長い月日のなかで蓄えた無数の記憶を深いシワと安らかな笑みの下に全て隠して、穏やかな眠りに浸る。</div>
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<link>https://ameblo.jp/ykori/entry-11984072325.html</link>
<pubDate>Sat, 31 Jan 2015 22:34:40 +0900</pubDate>
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<title>冬の夢</title>
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<![CDATA[ <div>見上げれば雲ひとつない空色。</div><div><br></div>ピンと張った空気の中で、真っ直ぐに揺らぎなく、冬の光が身体を突き抜けていく。<div>透き通った混じりのない空気が、身体の内部を透過する。</div><div>夏の空気はじっとりとまとわりついて離れず、身体の中にどんどん吸収されて蓄積していくが、</div><div>冬のそれは一瞬も同化することなく真っ直ぐに突き抜けていく。</div><div><br></div><div>冬晴れのなかで深呼吸する。自分のかたちがくっきりとする。自分と世界の境目がはっきりとする。</div><div><br></div><div>どこまでも、どこまでも空色。</div>
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<link>https://ameblo.jp/ykori/entry-11970828791.html</link>
<pubDate>Tue, 30 Dec 2014 11:49:51 +0900</pubDate>
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<title>偽物の夢</title>
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<![CDATA[ 「ああ、よく分かりましたねぇ、実は偽物なんですよ。」<div>どこを見るでもなく、カウンター越しに目の前の男が言った。</div><div>年の頃は60歳前後だろうか、今時珍しい紐タイを締めて</div><div>くすんだ臙脂色をした薄手のニットベストを身につけている。</div><br><div>私は咄嗟に、「あぁ、そうなんですか。」と返事をした。</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">古道具屋の店内を見回す振りをしながら</span><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">、</span>私は半ば適当に答えた。</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">何が偽物でもかまわないと思っていた。なぜなら、</span>私は今日、</div><div>何かを買いに来たわけではなく、売りに来たのだ。</div><br><div>目の前の男に視線を戻すと、彼はずり落ちてくる丸眼鏡を</div><div>ぎこちなく持ち上げながら、伝票に買取金額を書き込んでいる。</div><div>先ほどまで私の持ち込んだ古い足踏みミシンの踏み具合やら、</div><div>手回し部分の回転具合などを確認していた。</div><div>彼はざっと確かめた後、予想より幾分高い値を付けてくれた。</div><div>やはりリサイクルショップやアンティークショップではなく</div><div>この古道具屋にして正解だったかもしれない。</div><br><div>私が金額に納得すると、彼は奥の部屋からまごつきながら伝票やお金を用意した。</div><div>休日だというのに店に客の姿はなく、私が久しぶりの客なのかもしれない。</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">店内はラジオの声だけがボソボソと聞こえて横領や詐欺のニュースを伝えている。</span></div><div>私のミシンも果たして売れる日が来るだろうか。</div><br><div>私の家のミシンは、私が実家を出るまでこの古い足踏みミシンのままだった。</div><div>母が使い、祖母が使い、曾祖母が使った。</div><br><div>彼は私にお金を渡すと、「毎度ありがとうございました。」と言った。</div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">ぼんやりとラジオの声を聞いていた私が目線を彼に戻すと、彼が言う。</span><br></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);"><br></span></div><div><span style="-webkit-text-size-adjust: auto; background-color: rgba(255, 255, 255, 0);">「ああ、よく分かりましたねぇ、実は偽物なんですよ。」</span><br></div><br>
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<link>https://ameblo.jp/ykori/entry-11967154592.html</link>
<pubDate>Sun, 14 Dec 2014 23:22:37 +0900</pubDate>
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