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<title>愛渇望症候群　【ブログ小説】</title>
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<description>愛されなかった故に愛に飢えた少女は、やがて愛に盲目な女になる。</description>
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<title>晃司との恋愛８</title>
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<![CDATA[ <p>晃司の暴力は終わりを見せることはなかった。</p><br><br><p>明け方強制的に行われる性行為に、愛良は不眠症になっていた。</p><p>例え嫌でも、拒めば責められ、怒られる。</p><p>腕を無理に押さえつけられ、晃司の腕と身体に組み敷かれ</p><p>愛の欠片もない性欲処理の為だけの挿入。</p><p>身体の痛みは変わらずだったが、心の痛みはもはや感じなかった。</p><br><br><p>不思議なことに、この頃になると愛良の感覚は麻痺していた。</p><p>晃司のいうことを聞いてさえいれば晃司は怒らない。</p><p>いいこでいれば晃司は優しい。</p><p>怒られたくない防衛本能からか</p><p>折角の家族を手放したくない気持ちからか</p><p>愛良は自分の気持ちを偽り人形になることを覚えてしまった。</p><p>もうそこには愛良が望んだ幸せな結婚生活は存在しなかった。</p><br><br><p>晃司の暴力は日増しに悪化していた。</p><p>買い物に出かけるまでは機嫌がよかったのに</p><p>ちょっとしたことで外出先でも怒りを爆発させるようになる。</p><p>その結果、たくさんの人が見ている中で罵倒され</p><p>鞄を投げられ、置き去りにされることも珍しくなかった。</p><p>人々の哀れみと好奇の目に愛良は耐えるしかなかった。</p><p>またある日にはこんなこともあった。</p><p>車で出かけている途中に晃司と口論になり</p><p>じゃあ死ねよと赤信号に猛スピードで突入されたこともあった。</p><p>あの瞬間愛良は確かに死を予感したが</p><p>運良くも怪我一つ負うことはなく家路に着いた。</p><br><br><p>もっとも嫌な思い出として愛良の心に残る旅行がある。</p><p>東京ディズニーランド。</p><p>拓の２歳の記念日の思い出の旅行になるはずだった。</p><p>だがそれは最悪なものに変わり果てた。</p><p>方向音痴の愛良はよく道に迷う。</p><p>視力の悪い愛良はよく人を見失う。</p><p>それは親しい人間ならば誰でも知っている周知の事実。</p><p>そしてこの時も愛良はトイレにいった後道に迷ったのだ。</p><p>やっとの思いで合流した時、晃司は愛良を罵倒した。</p><p>「なんで俺の傍を離れた！離れるなといっただろう！」</p><p>そう叫んだあと、晃司は愛良の髪を力強く引っ張った。</p><p>あまりの痛みと、周囲の視線に晒された羞恥に涙が出た。</p><p>どうしてこんなことをされなければならないのだろう。</p><p>悔しくて、恥ずかしくて、怖くて、涙が止まらなかった。</p><br><br><p>晃司と共にいることが、どんどん怖くなっていった。</p>
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<pubDate>Mon, 12 Jun 2006 10:54:34 +0900</pubDate>
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<title>晃司との恋愛７</title>
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<![CDATA[ <p>月日は流れ、拓は１歳になった。</p><p>片言だけど言葉を覚え、ふらふらと自分の足で歩き出し</p><p>子供でいえば可愛い盛りだ。</p><br><br><p>夫婦生活は既に冷え切っていた。</p><p>いや、その言い方は正しくないかもしれない。</p><p>冷え切っていたわけではなく、悪化していた。</p><p>晃司は日に日に暴力的になりつつあった。</p><p>そこにはきっといろんな鬱憤があったのだろう。</p><p>婿のような形で入り込んでしまった姑へのストレス。</p><p>夜勤へと変わった仕事へのストレス。</p><p>妻としての義務を果たせずにいる愛良へのストレス。</p><p>いうことを聞かない盛りの拓へのストレス。</p><p>いろんなストレスを抱えた結果、晃司は暴力でそれを発散した。</p><p>暴力に訴える先は愛良であり、拓であり、弱気者だった。</p><br><br><p>ある日愛良は仕事から帰宅して拓の異変に気付いた。</p><p>愛良の顔を見た途端、拓は泣いて抱きついてきたのだ。</p><p>「どうしたの？拓」</p><p>ただ泣くだけで拓は何も言わない。</p><p>「どこか痛いの？怖いの？」</p><p>愛良の胸に顔を埋め、それでも拓は泣き叫ぶだけ。</p><p>そして愛良は気付いた。</p><p>抱きついてきたのに拓の右手はぶらりと下がったままなことに。</p><p>「・・・・拓？」</p><p>恐る恐る、嫌な予感を打ち消しながら、愛良は拓の右腕を掴む。</p><p>そのとき発した拓の悲鳴はすさまじいものだった。</p><p>泣き叫ぶ拓はそれでも痛いとは言わない。</p><p>泣き叫ぶ拓を抱え、愛良は急いで夜間病院に向かった。</p><br><br><p>「脱臼してますね」</p><p>拓のレントゲンを取り終えた医者は愛良をみてそういった。</p><p>「脱臼するようなことをなにかされましたか」</p><p>脳裏に浮かぶのは出かける直前の母親の言葉。</p><p>･･････晃司君が、拓を叱る時に腕を引っ張っていたよ。</p><p>虐待？</p><p>嫌な言葉が頭に浮かんだ。</p><p>「強く引っ張られたような抜け方をしています」</p><p>医者の目は人為的におきた脱臼ですよと物語っていた。</p><p>愛良は父親が腕を少し強く引いてしまったのだと説明した。</p><p>「児童保護センターに連絡を取らせてもらいますね」</p><p>児童保護センター。</p><p>虐待。</p><p>ニュースの中のような単語が脳裏に浮かんでは消えていく。</p><p>怪しい患者が来た場合記録として残すことが医者の義務だ。</p><p>そう医者は言った。</p><p>一度目は連絡だけですむが、二度目はそうはすまないとも。</p><p>腕をはめてもらい痛みがなくなった拓が腕の中で眠っている。</p><p>(虐待されたのね、拓。</p><p>それは見過ごせない現実だった。</p><p>小さな小さな命が、鬱憤の為に力を受けている。</p><p>それは許せない現実だった。</p><br><br><p>晃司はもう優しいあの頃の晃司ではない。</p><p>その現実が愛良の心に深く突き刺さっていた。</p><br>
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<link>https://ameblo.jp/yuudai/entry-10013503915.html</link>
<pubDate>Sun, 11 Jun 2006 17:52:02 +0900</pubDate>
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<title>晃司との恋愛６</title>
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<![CDATA[ <p>最初の１年。愛良はとても幸せだった。</p><p>お金がないから結婚式も挙げず、指輪もなく、</p><p>愛良の実家に転がり込んだ新婚生活だったけれど</p><p>それでも愛良は幸せだった。</p><p>拓がいて、晃司がいて、かけがえのない家族がいるから。</p><p>だから愛良は幸せだった。</p><br><br><p>晃司の仕事が夜勤に変わり、２人の時間にすれ違いが出始めた。</p><p>会話を交わす機会も減り、触れ合う時間も減る。</p><p>拓はその頃夜鳴きが始まり、眠れない毎日に愛良は苛立っていた。</p><p>ままならない育児。</p><p>息苦しい毎日。</p><p>どうして自分だけがこんなに育児で苦しむのか。</p><p>愛良の精神状態はギリギリのところにいた。</p><p>それなのに晃司は毎晩のように身体を求めてくる。</p><p>そんな気持ちになれないのに、そんな体調じゃないのに。</p><p>説明しても晃司にはわからない。</p><p>女の苦しみも、母親の辛さも、男である晃司にはわからない。</p><p>義務のようなセックス。拒むことは許されない。</p><p>産後でまだ女として戻っていない身体は痛みに悲鳴を上げる。</p><p>ハヤクオワレ。ハヤクオワレ。</p><p>呪文のように呟く夜が続いた。</p><br><br><p>ある夜、愛良は耐え切れずやりたくないと晃司に告げた。</p><p>「身体が痛いの。だからまだそういうことはできない」</p><p>わかってくれるだろう、そんな期待があった。</p><p>だが返ってきた言葉は無情なものだった。</p><p>「ふざけるな。セックスは妻の義務だろう」</p><p>愛良の心が凍りついた。</p><p>義務？セックスは夫婦の義務？</p><p>セックスは愛の延長だと思っていた。</p><p>愛してくれているからこそセックスするのだと思ってた。</p><p>だからこそ、痛くても我慢して受け入れていた。</p><p>「入れたくないなら口で奉仕しろよ。女房だろ」</p><p>もう何もいう言葉はなかった。</p><p>晃司にとって妻は道具なのだ。</p><p>性欲を処理する為の道具。家事をさせるための道具。</p><p>そこに愛はない。私に対する愛はないのだ。</p><p>そのあとはもうされるがまま言いなりになった。</p><br><br><p>愛良が身体を拒むと、晃司は力に任せて行為を続けた。</p><p>深夜でも、朝方でも、したい時に晃司は力ずくでねじ伏せる。</p><br><p>その度に愛良の心は音を立てて壊れていくのだった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/yuudai/entry-10013497139.html</link>
<pubDate>Sun, 11 Jun 2006 13:43:35 +0900</pubDate>
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<title>晃司との恋愛５</title>
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<![CDATA[ <p>初めての産婦人科。</p><p>１８歳の愛良にとってはなんと敷居の高いものか。</p><p>不安と恐怖を抑えきれず、愛良は姉と同じ病院を選んだ。</p><p>妊娠かどうか明確にする初めての大事な診察なのに晃司は来ない。</p><p>妊娠というイベントは晃司の中では進行していないように思えた。</p><p>初めての診察。</p><p>初めての超音波。</p><p>モニターの画面に映る黒い小さな塊。</p><p>「おめでとう。これが貴方の赤ちゃんよ」</p><p>カーテン越しに先生の声がする。</p><p>自分の中に小さな命が宿っている。</p><p>その事実に、愛良は感動ではなく、恐怖を感じた。</p><p>「出産はこちらでなさいますか？」</p><p>診察を終えた先生が聞いて来る。</p><p>(おろす選択肢はないんだ)</p><p>どこかぼうっとした頭で愛良はそんなことを考えていた。</p><br><br><p>会社を辞めて、晃司と籍をいれて、晃司が愛良の家に引っ越してきて。</p><p>めまぐるしく毎日が過ぎていった。</p><p>夢見ていた結婚式もなく、披露宴もなく、記念の写真すらなく。</p><p>婚約指輪も、結婚指輪もない、２人の門出。</p><p>何もいらないと思っていた。</p><p>晃司がいてくれて、子供が居てくれたら、それだけでいいんだと。</p><p>きっと幸せになれる。そう信じていた。</p><br><br><p>季節は巡り、やがておなかも脹らみ、訪れた出産の日。</p><p>晃司は陣痛に苦しむ愛良の手をずっと握り締めてくれていた。</p><p>分娩室にも一緒に入ってくれ、手を握り、励ましてくれた。</p><p>３．１２４グラムの男の子。</p><p>小さな我が子の誕生を一緒になって喜んだ。</p><p>だが男の子は愛良の手に抱かれることはなく保育器に運ばれた。</p><p>生まれたばかりの赤ん坊には不整脈の症状が見られていたのだ。</p><p>母親である愛良はおろか、看護婦以外は触れることを許されなかった。</p><p>保育器の中でたくさんの管に覆われ眠る我が子を窓越しに見る日々。</p><p>抱いてもやれない。乳もやれない。不甲斐ない自分。</p><p>幼い自分が産んだからこのこはこう生まれたのだろうか。</p><p>不安と、悪い考えばかりが浮かんでいく。</p><p>それから一週間。</p><p>赤ん坊を抱いて暮らす母親に囲まれた病室で愛良は一人で過した。</p><p>退院後は家で母乳を搾り、凍らせて子供の入院する病院まで運んだ。</p><p>やっと我が子を抱くことができたのは１ヵ月後のこと。</p><p>「拓・・・・」</p><p>初めて我が子を腕に抱きしめ、その名を呼んだ時</p><p>初めて愛良の胸に愛しさが込み上げた。</p><p>「拓・・・・！」</p><p>乳房から乳を飲む力が思ったより力強くてほっとした。</p><br><p>このこは生きている。</p><p>今日からこの子と生きていくんだ。</p><br>
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<link>https://ameblo.jp/yuudai/entry-10013242265.html</link>
<pubDate>Mon, 05 Jun 2006 11:26:26 +0900</pubDate>
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<title>晃司との恋愛４</title>
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<![CDATA[ <p>妊娠。</p><p>その事実は愛良を激しく動揺させた。</p><p>何度確かめても結果は陽性。逃れられない現実が押し寄せては消えていく。</p><p>「どうすんの？」</p><p>晃司が聞いた。</p><p>どうするの？どうすればいいの？どうするのが正しいの？</p><p>心の中で自問する。</p><p>生みたいの？生みたくないの？</p><p>わかんない。わかんない。ただ怖い。どうしたらいいのかわからなくて怖い。</p><p>愛良はしゃがみこんだまま流れる涙を止められずに居た。</p><br><br><p>数日後、愛良は母親に話すことを決意した。</p><p>「お母さん･･･実はね・・・」</p><p>晃司は隣に居ない。仕事だから？怖いから？理由はわからないけど居ない。</p><p>こんな時ほど傍に居て欲しいのに、居てくれない彼がにくい。</p><p>「私妊娠したの・・・」</p><br><br><p>その時交わした会話を愛良は鮮明に覚えてはいなかった。</p><p>一つ一つの会話、動作が断片的にしか思い出せない。</p><p>ただ覚えているのは、母親に振り下ろされた拳。</p><p>殴られた頬が痛かった。</p><p>「この親不孝もの！」</p><p>叫ばれた言葉が痛かった。</p><p>「おろしなさい！」</p><p>母親は言った。</p><p>「子供が子供を生んでどうする。下ろしなさい。育てられやしない癖に」</p><p>あのとき感じた気持ちはなんだったんだろう。</p><p>怒り？悲しみ？</p><p>きっと怒りだ。</p><p>私を愛してくれなかった貴方が、</p><p>私を護ってくれなかった貴方が、</p><p>私を育ててくれなかった貴方が、</p><p>それを私に言うのか。</p><br><p>ソダテラレヤシナイクセニ。</p><br><p>「私産む。産むよ」</p><p>それは母親に対する反発から出た言葉だった。</p><p>産みたいなんて思ってなかった。</p><p>でもその瞬間、産まなければならないと思った。</p><p>私には家族がなかったから。</p><p>このこはやっと手に入れた家族なのだから。</p><p>産んでやろう。産んでみよう。</p><p>そしたらきっと、私は寂しくなくなるから。</p><p>孤独から解放されるのだから。</p>
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<link>https://ameblo.jp/yuudai/entry-10013241606.html</link>
<pubDate>Mon, 05 Jun 2006 11:15:17 +0900</pubDate>
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<title>晃司との恋愛３</title>
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<![CDATA[ <p>高校卒業したばかりの１８歳の年。</p><br><p>６歳上の姉が妊娠した。</p><p>「ご飯のにおいを嗅ぐと吐き気がしちゃって大変なの」</p><p>そんな話を聞きながら、その時はまだ自分に同じ事が起きるなどと思いもしてなかった。</p><p>１８歳の愛良は生理が不順で、月初めにくる時もあれば、下旬にくるときもあり、いつも最終月経日から１週間程度のずれ込みがあるのが当たり前のようになっていた。だからその時も生理がまたずれてるなくらいにしか思っていなかったのである。</p><p>だがある日、姉と母親とランチに出かけた愛良は注文したナポリタンの匂いに刹那的に吐き気を覚えた。</p><p>(なに・・･･？気持ちが悪い・・・)</p><p>脳裏に浮かぶのは姉の台詞。【妊娠したらご飯のにおいが気持ち悪くて・・・】</p><p>(もしかして私も・・・・)</p><p>今月の生理はまだ来ていない。じゃぁ、先月の生理は？思い出そうとするが思い出せない。先々月の末にきてそこから微妙にずれてきているから計算のしようがなかった。</p><p>だがナポリタンの湯気にこもる匂いは不自然なくらい吐き気を感じさせる。</p><p>「愛良？どうしたの？」</p><p>怪訝そうにこちらを見つめる姉の視線に我に返り、愛良は慌ててフォークを進めた。一口、もう一口と口に入れるたびに吐き気が込み上げたが、なるべく鼻で息をしないように心がけて愛良はその日のランチを無事にやり終えた。とりあえず怪しまれずにすんだ。そのことがせめてもの救いであった。</p><br><p>そのその夜。愛良は急いで晃司の部屋に駆けつけた。</p><p>生理がこないこと、吐き気がしたこと、妊娠したかもしれないこと。喉元に詰まる言葉を無理に押し出し愛良は説明した。どうしようもないほど愛良は動揺していた。喉の奥が焼けるように苦しい。泣いてはいないのにまるで嗚咽のように声が詰まる。そんな愛良を車にのせ、晃司は近くのドラックストアに向かい、２回分の妊娠検査薬を購入した。１回分では不確かだからと、晃司の勧めによるものだ。</p><p>帰宅してすぐ愛良はトイレで検査薬を使った。</p><p>結果は陰性。妊娠してはいなかった。</p><p>だが注意書きにあることを愛良は気に留めていなかった。妊娠していない。その現実にただひたすら安堵するばかりだった。</p><p>【使用上の注意。妊娠初期の場合は反応が陰性になります。後日生理がまだ訪れない場合は再度検査をおすすめします。生理予定日より３週間程度の猶予の後に調べることをえすすめします。】</p><p>その注意書きがなにを意味するか、まだ愛良はわかっていなかった。</p><br><p>そして数日後。早くも残りの検査薬を使う日がやってきたのである。</p><p>何気なくトイレに入った愛良は下着が血に汚れているのを発見した。</p><p>(生理がきた!)</p><p>それは喜びにも近かった。</p><p>だがその出血はその瞬間以降ぴたりと止まったのである。</p><p>夜になっても、翌朝になってもいつものような生理が始まらないことに愛良は困惑した。なぜ止まったのかわからなかった。</p><p>それは妊娠したことを知らせるおしるしという症状だった。</p><p>素直に打ち明けた愛良は晃司に二回目の検査薬を使うことを勧められた。</p><p>尿が浸透した検査結果表示欄には綺麗な赤い＋の模様が浮かび上がっていた。</p><p>結果は陽性。</p><p>愛良は紛れもなく妊娠していた。</p><p>結果を見て、愛良はその場に崩れ落ちた。</p><p>(どうしよう。どうしよう。妊娠した。妊娠してしまった・・・)</p><p>嬉しいなんて気持ちは微塵もなかった。ただ怖かった。宿ってしまった小さな命に、ただただ、どうしよう、それしか思えなかった。できることなら気付かなかった事にしてしまいたい。なかったことにしてしまいたい。</p><p>けれどそれは偽りようのない真実なのだった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/yuudai/entry-10013143790.html</link>
<pubDate>Fri, 02 Jun 2006 19:14:43 +0900</pubDate>
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<title>晃司との恋愛２</title>
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<![CDATA[ <p>晃司は愛良にとって初めてきちんとできた彼氏だった。</p><p>晃司は２３歳。愛良は１７歳。年の差は６。それは父性のような頼もしさをかんじさせたのかもしれない。父親の愛を知らずに育った愛良には無意識に父親像を男性に求める傾向があり、その結果年上の晃司がとても素敵な男性のように思えたのだ。</p><p>父親と母親の、家族の愛をかんじられなかった愛良は、いつも貪欲に愛を求めていた。</p><br><p>高校三年の夏。</p><p>一人暮らしをしていた晃司の部屋に通い、愛良は初体験を経験した。</p><p>身体を求められることは大切にされているような満ちたりた気持ちのように思えた。</p><p>晃司に好かれる為に愛良は頑張って大人になった。身体も、心も、大人になろうと心掛けた。我侭を言わず、理解のある振りをして、愛良は同世代より早く大人になった。寂しいとか、不安とか、そんな弱音なんかはけなかった。ああしたい、こうしたい、そんな欲求も胸に仕舞い込んで、晃司が楽なように、晃司がしたいように、ただそれだけ考えて行動した。そうしなければ晃司の愛が消えてしまうような気がしたからだ。</p><p>初体験もまたそれに当てはまることだった。晃司の想いにこたえ身体を委ねることで、晃司に近付き、晃司を引き止められると思っていたのだ。拒むことはできたのかもしれないが、拒めば愛は消えるような、そんな不安がいつも愛良の胸の中にはあった。</p><p>だからだろうか。セックスは愛良にとって最初から最期まで苦痛を伴う行為でしかなかった。そこには慣れない身体が生み出す痛みもあったが、痛みよりも虚しさが強かった。晃司の快楽を求める独りよがりの姿がソコには隠せず存在していて、快楽の為には愛良の感情は黙認されている事実が辛かったのかもしれない。きもちいいと感じる余裕もなく、実際きもちいいと思えることもなく、いつだったか無理に見せられたアダルトビデオの女優のように、愛良はいつも感じているふりを演じた。感じているような声を出しながら、いつも心の中では祈り続けていた。早く終わって。早く終わって。セックス、それは愛良にとって晃司の愛をつなぎとめるだけの苦痛の儀式でしかなかったのである。</p><p>その延長として、愛良は避妊をしない行為を受け入れることになってしまった。</p><br><p>そして愛良は妊娠した。</p><br><p>18歳。それは幼すぎる妊娠だった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/yuudai/entry-10013074583.html</link>
<pubDate>Wed, 31 May 2006 19:31:32 +0900</pubDate>
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<title>晃司との恋愛１</title>
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<![CDATA[ <p>高校2年の春。</p><p>愛良は新しく仲良くなった友だちと下校時に必ずゲームセンターによるのが日課になっていた。セーラー服は、薄暗く騒音に満ちたゲームセンター内では一種異様な存在感を醸し出す。愛良達の通うゲームセンターは近隣の大学生の溜まり場で、普通ならば寄り付きもしない女子高生達がソコにたむろすることに、彼等は好意を持って接してくれた。それはただ単に珍しいだけかもしれない。当時流行っていた格闘技に愛良達も同じく興味を引かれ、大学生達に時に揉まれ、時に教わりながら、いつしか近隣では大抵知られている格闘ゲームをする有名女子高生になりつつあった。ソコにいけば知り合いが存在し、一人でいっても寂しいことはない。話し相手がいる。自分を見てくれる人がいる。それだけで愛良はソコがとても居心地のよい場所に感じていた。</p><br><p>高校2年の秋。</p><p>愛良は常連になったゲームセンターで一人の男性に出会う。</p><p>同じ系列の、別の店舗の店長。晃司であった。</p><p>晃司への初対面の印象は"影の薄い男だなぁ"それだけだった。陰気そうで、暗そうで、特にこれから自分に係りはないだろう。そんなことを漠然とおもった。</p><p>だがしかし、事態は予想もしないほうに変わる。</p><p>ちょうどその頃、目立ちすぎた愛良は俗にいうストーカーに悩まされていた。通っているゲームセンターのお客で、愛良をまるで自分の女のように言いふらしては、家まで追いかけてくる。はじめは好かれる事に悪い気はしなかった愛良だが、度を越した男の行動に次第に気味悪さを覚えていた。</p><p>そんな時助けてくれたのが晃司だった。</p><p>毅然とした態度で男に対峙し、出入り禁止の扱いまで踏んでくれた晃司に、愛良は感謝と共に強い好感を覚えた。初対面の印象など既に頭から消え去り、純粋に好意だけが胸に残っていた。</p><p>それからしばらく、愛良は晃司のゲームセンターに通い続けた。恋愛関係になろうというわけではなくて、純粋に兄のように慕っていただけなのだが、仕事ばかりで女っけの一つもなかった晃司が愛良に恋心を抱くまで、そう時間は掛からなかった。</p><p>愛される。そのことが愛良にとってどんな意味を持つのか。わかるだろうか。</p><p>愛されることを知らず、愛されたいと思い続けた少女が、初めて愛してるよと囁かれる瞬間。</p><p>それは魔法のように愛良の心を支配した。</p><br><p>愛されたから、好きになる。</p><p>そんな危なげな恋の始まりだった。</p>
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<link>https://ameblo.jp/yuudai/entry-10013023161.html</link>
<pubDate>Tue, 30 May 2006 09:25:00 +0900</pubDate>
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<title>はじまり２</title>
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<![CDATA[ <p>壊れっぱなしの家庭は愛良が１６の時に崩壊した。</p><p>離婚届を母親に渡したのはほかならぬ愛良自身。夜毎暴力を受ける母を護ろうと止めに入っていたのは愛良だけで、兄弟は気にも留めずに閉じた扉の向こうで傍観を続けていた。お互いほかに相手を作り愛の欠片さえ見えない覚めた家庭にも、修復させようと試みない兄弟にも、別れたいと口にするばかりで別れようとしない母親にも、なにもかもに愛良は疲れていた。別れたいなら別れればいいじゃないか。私が小さいから、私が高校受験があるから、そんな言い訳ばかり繰り返して、結局は変わることが怖い情けない母親に嫌気が差していた。だから愛良は離婚届を自分で市役所までとりにいった。</p><p>壊れた家庭が他人になるまで、それは以外にもあっけないものだった。</p><br><p>大量に借金を作り父親は雲隠れした為、愛良の家には絶えず借金取りが押しかけた。築一桁の一見豪華な一戸建ての中で、借金取りから隠れるように電気もつけず、テレビもつけず暮らした数ヶ月。トイレを使うことすら禁止されて、惣菜のパックやスーパーの袋に尿をしたことも少なくはなかった。離婚成立後、愛良たちはそんな家から夜逃げするように逃げ去った。</p><p>豪華な一戸建てから、築50年の借家への引越し。たて付けの悪いドア。きたない畳。薄汚れた砂壁。公衆トイレのような匂いのする汚らしいトイレ。人生の転落とはこんなものか、１６の夏、愛良は漠然とした脳裏でそんなことを考えていた。</p><br><p>引っ越してほどなくして、母親は夜の仕事を始めた。もとよりスナックやクラブでママをしていた母親は夜の世界にすんなりと馴染み、その日から兄弟ばかりの生活が始まった。とはいえ、高校も中退し遊び歩いてばかりいた兄は家にろくに寄り付かず、家にいても部屋から出てくることは滅多にな勝ったため、１６の愛良と社会人になったばかりの１８の姉の2人だけの生活に近かった。</p><p>夕方出勤する母親の仕事は深夜０時の閉店頃には終わっていたが、ストレスの為か、ただの趣味か、そのまま飲み歩く日々が続き、母親がいないまま朝を迎えることも珍しくなかった。晩御飯はいつも机の上においてある茶筒の中に入っている2人分の食事代千円で姉と愛良と2人だけの外食の日々。朝ごはんは愛良が作る当番になっていた。母親は帰宅していても布団から起きてくることは絶対無く、そのうち顔を合わせて会話する機会さえなくなっていた。</p><br><p>壊れた家庭が終わりを告げても、愛良に愛情が注がれることはやはりなかったのである。</p>
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<link>https://ameblo.jp/yuudai/entry-10012998645.html</link>
<pubDate>Mon, 29 May 2006 16:48:08 +0900</pubDate>
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<title>はじまり１</title>
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<![CDATA[ <p>愛良の家ははたから見ればごく平凡で、幸せな家族だった。</p><p>しかし現実には、父親は酒乱であり、浮気癖があり、酷く短気であり、夜毎繰り広げられる母親への暴力に泣き叫び止めに入る愛良の姿があった。幼い頃からそんな暮らしが続けられ、物心ついたときには父親は恐怖の対象でしかなかった。その分愛良は母親に愛を求めたが、母親もまた浮気に走り、酒に走り、愛良へ愛を注ぐことはなかった。</p><br><p>万引きをして母親の気を引こうとした小学時代。呼び出しを受けた母親はただ理由も聞かずに愛良を叱りつけた。</p><p>いじめられて居ることを告げられずに居た中学時代。学年全員からハブにされ、汚らしいもののように扱われ、友だちの一人もなく、孤立した中学時代。登校拒否になった愛良を、母親は甘えるなと学校へ追いやった。いじめに耐え切れず身体を壊した朝、学校へいきたくないから病気になるなんて狡賢い子だと、嫌悪するような顔で母親は愛良を見た。それから卒業までの三年間。愛良はいじめられていることを相談もできずにたった一人で耐え続けた。</p><br><p>心の声は母親に助けを求めていたけれど、母親がそれに答えてくれることはなかった。</p><br><p>愛良１０代。それは愛に飢えた日々であった。</p><br><br>
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<link>https://ameblo.jp/yuudai/entry-10012927746.html</link>
<pubDate>Sat, 27 May 2006 16:29:05 +0900</pubDate>
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